JP5991368B2 - 細胞シート、細胞培養方法および細胞培養装置 - Google Patents

細胞シート、細胞培養方法および細胞培養装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5991368B2
JP5991368B2 JP2014504465A JP2014504465A JP5991368B2 JP 5991368 B2 JP5991368 B2 JP 5991368B2 JP 2014504465 A JP2014504465 A JP 2014504465A JP 2014504465 A JP2014504465 A JP 2014504465A JP 5991368 B2 JP5991368 B2 JP 5991368B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cell
cells
oxygen supply
supply amount
cell culture
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014504465A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2013136372A1 (ja
Inventor
亮太 中嶌
亮太 中嶌
志津 松岡
志津 松岡
豊茂 小林
豊茂 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Publication of JPWO2013136372A1 publication Critical patent/JPWO2013136372A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5991368B2 publication Critical patent/JP5991368B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M21/00Bioreactors or fermenters specially adapted for specific uses
    • C12M21/08Bioreactors or fermenters specially adapted for specific uses for producing artificial tissue or for ex-vivo cultivation of tissue
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M41/00Means for regulation, monitoring, measurement or control, e.g. flow regulation
    • C12M41/30Means for regulation, monitoring, measurement or control, e.g. flow regulation of concentration
    • C12M41/34Means for regulation, monitoring, measurement or control, e.g. flow regulation of concentration of gas
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/06Animal cells or tissues; Human cells or tissues
    • C12N5/0602Vertebrate cells
    • C12N5/0652Cells of skeletal and connective tissues; Mesenchyme
    • C12N5/0662Stem cells
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2500/00Specific components of cell culture medium
    • C12N2500/02Atmosphere, e.g. low oxygen conditions

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Sustainable Development (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Developmental Biology & Embryology (AREA)
  • Rheumatology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

本発明は、細胞培養方法と当該方法で作製した細胞シートと、自動培養装置に関するものである。
生体外で再構成された3次元形状の再生組織は、生体内に近い性質を有しており、細胞を用いて疾病の治療を行う再生医療おける治療効果向上や、医薬品、化粧品開発における動物実験代替やヒト由来細胞による開発効率向上の観点から近年重要になってきている。
再生組織の中でも、上皮系の細胞シートを作製する際には、しばしばフィーダー細胞と呼ばれる栄養細胞を用いる。この栄養細胞はマウス由来であるNIH/3T3や3T3−J2と呼ばれる細胞を用いるのが一般的である。再生医療においては、上記のフィーダー細胞を用いて作製された再生組織は異種とされ、それを生体に移植する行為は、異種間移植に該当する(厚生労働省指針:「異種移植の実施に伴う公衆衛生上の感染症問題に関する指針」に基づく3T3J2株及び3T3NIH株をフィーダー細胞として利用する上皮系の再生医療への指針)。異種由来のフィーダー細胞を再生組織作製に用いる場合、異種由来感染症が否定できないこと、フィーダー細胞の厳密な品質管理の負担が少なくないことなど、大きな課題がある。
こうした課題を解決する目的で、非特許文献1には、セルカルチャインサートと呼ばれる培養容器を用いることで、上皮系細胞シートのbasal側からの培地栄養分の供給が可能となるため、フィーダー細胞を用いずとも、重層化した上皮系細胞シートが得られることが開示されている。
D.Murakami et al.: The effect of micropores in the surface of temperature-responsive culture inserts on the fabrication of transplantable canine oral mucosal epithelial cell sheets: Biomaterials, 27, 5518-5523, 2006 Rama P. et al.: Limbal stem-cell therapy and long-term corneal regeneration: N Engl J Med, 363, 147-155, 2010
しかしながら、このような方法で作製した細胞シートでは上皮系幹細胞マーカーであるp63の発現が低下することが知られている(非特許文献1参照)。角膜輪部幹細胞疲弊症患者の治療においては、細胞シート内の幹細胞の存在(p63強陽性率3%超)が、治療予後を決定する重要な因子であるため(非特許文献2参照)、フィーダー細胞フリーで作製し幹細胞が減少した細胞シートは、治療には適用できないという課題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みて、フィーダー細胞フリーでもフィーダー細胞を用いた場合に近く、幹細胞の存在を示すコロニー形成率が3%以上となる細胞シートを作製する方法とその方法を自動化する培養装置を提供することを目的とする。
組織を形成する幹細胞または前駆細胞が自己複製する第一の期間における第一の酸素供給量と、前記幹細胞または前駆細胞が分化する期間を含む第二の期間における、前記第一の酸素供給量よりも多い酸素供給量の第二の酸素供給量を制御することを特徴とする細胞培養方法と、組織を形成する幹細胞または前駆細胞を培養する培養領域を有する細胞培養装置であって、前記培養領域内の酸素濃度を調節する酸素調節部と、前記酸素調節部を制御する制御部と、を有し、前記幹細胞または前駆細胞が自己複製する期間内の第一の期間における第一の酸素供給量を低酸素濃度(20%未満)とすることを特徴とする細胞培養装置である。
本発明に係る細胞培養方法および細胞培養装置によれば、フィーダー細胞を用いずとも、フィーダー細胞を用いた場合に近く、幹細胞の存在を示すコロニー形成率が3%以上となる上皮系細胞シートが作製可能である。
比較例1と実例1における、角膜上皮幹細胞および前駆細胞のコロニー形成を示す図。 比較例2、3と実例2〜6における、細胞培養に要した日数を示す図。 比較例2、3と実例4における、角膜輪部上皮細胞の位相差顕微鏡像を示す図。 比較例2、3と実例2〜6における、角膜上皮細胞シートの外観を示す図。 比較例2、3と実例2〜6における、角膜上皮細胞シート中の細胞数を示す図。 比較例2、3と実例2〜6における、角膜上皮細胞シート中の幹細胞・前駆細胞のコロニー形成率を示す図。 比較例2、3と実例2〜6における、角膜上皮細胞シート中の幹細胞・前駆細胞のコロニー形成を示す図 比較例2、3と実例2〜6における、角膜上皮細胞シート切片のヘマトキシリンーエオジン染色像を示す図。 比較例2、3と実例2〜5における、角膜上皮細胞シート切片のCK3と細胞核染色像を示す図。 本実施例を適用可能な細胞種を示す図。 コンフルエント、敷石状形態、密着結合の時期を示す概略図。 培養槽全体の酸素濃度を切り替える場合の装置構成図。 図12の構成に、光干渉断層計を加えたときの装置構成図。 図12の構成に、電気抵抗測定装置を加えた場合の装置構成図。 培養日数と細胞の大きさの関係を示す図。 コンフルエント時と敷石状形態における細胞の大きさの分布を表わす図。 コンフルエントと敷石状形態を示す図。 図12の構成に、光干渉断層計と経上皮電気抵抗測定装置を加えた場合の装置構成図。 培養容器内の酸素濃度を直接切り替える場合の装置構成図。 図19の構成に、電気抵抗測定装置を加えた場合の装置構成図。 図19の構成に、光干渉断層計を加えた場合の装置構成図。 図19の構成に、光干渉断層計と経上皮電気抵抗測定装置を加えた場合の装置構成図。 ガス透過膜を変更可能な培養容器内の酸素濃度を直接切り替える場合の装置構成図。 図23の構成に、電気抵抗測定装置を加えた場合の装置構成図。 図23の構成に、光干渉断層計と経上皮電気抵抗測定装置を加えた場合の装置構成図。 図23の構成に、光干渉断層計と電気抵抗測定装置を加えた場合の装置構成図。 ガス透過膜を交換可能な培養容器を示す図。 比較例2、3と実例7〜10における、角膜上皮細胞シート切片のCK3と細胞核染色像を示す図。 培養容器を示す図。 図29の変形例。
本発明を実施するための形態について、実施例を示しながら説明する。ただし、これらの形態および実施例は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、各図において共通の構成については同一の参照番号が付されている。
本実施例では、酸素濃度制御による再生組織製造期間短縮の原理及び方法について説明する。以下は、ウサギ角膜上皮細胞シートをモデルとした一例である。細胞の種はウサギに限定されるものではなく、マウス、ラット、イヌ、ブタ、ヒトなどの哺乳動物細胞であってもよい。また、細胞の種類は、角膜上皮細胞に限定されるものではなく、皮膚、口腔などの重層上皮細胞であってもよい。
組織を形成する細胞の培養過程は、幹細胞・前駆細胞などが自己複製を行う自己複製期間と、自己複製により培養面を一定以上占有した後に細胞分化を行う分化期間に分けられる。以下、角膜上皮細胞シートを例に、培養期間短縮化の原理を示す。尚、角膜上皮細胞シートにおける分化は、より具体的には細胞が積層構造を形成する重層化と呼ばれ、以下分化期を重層化期と称して説明する。
まず、自己複製期では低酸素濃度で培養し、重層化期では正常酸素濃度で培養することにより、フィーダー細胞を用いずとも、幹細胞が保持された重層上皮細胞シートを製造する原理について、以下の実証を用いて説明する。
まず、ウサギ角膜輪部から採取した細胞を用いたコロニー形成試験において、フィーダー細胞を用いずにO20%で培養する場合を比較例1、フィーダー細胞を用いずにO5%で培養する場合を実例1とし、コロニー形成の程度を求めた。図1はその結果を示す図である。比較例1ではコロニーがほとんど見られないのに対し、実例1では、フィーダー細胞が無いのにも関わらず、多くのコロニーが認められた。これは、低酸素濃度では、フィーダー細胞が無くとも、幹細胞および前駆細胞が接着、増殖することを示している。この結果からは、低酸素濃度では、幹細胞としての活性、性質が維持される可能性が示唆される。
続いて、角膜上皮細胞シート形成において、フィーダー細胞を用いない条件において、自己複製期をO1%、重層化期を正常酸素濃度であるO20%で培養する場合を実例2、自己複製期をO2%、重層化期を正常酸素濃度であるO20%で培養する場合を実例3、自己複製期をO5%、重層化期を正常酸素濃度であるO20%で培養する場合を実例4、自己複製期をO10%、重層化期を正常酸素濃度であるO20%で培養する場合を実例5、自己複製期をO15%、重層化期を正常酸素濃度であるO20%で培養する場合を実例6、重層化期、自己複製期両過程共にO1%で培養する場合を実例7、重層化期、自己複製期両過程共にO2%で培養する場合を実例8、重層化期、自己複製期両過程共にO5%で培養する場合を実例9、重層化期、自己複製期両過程共にO10%で培養する場合を実例10、フィーダー細胞を用いて、両過程共にO20%で培養する場合を比較例2、フィーダー細胞を用いずに、両過程共にO2%で培養する場合を比較例3とした。図2は比較例2,3、実例2〜6における、細胞シート作製に要した日数を示す図である。図3は比較例2、3、実例4における培養5、7、9、11、12日目の位相差顕微鏡像を示す図である。比較例2では培養11日目、比較例3では培養12日目で細胞が培養領域内に隙間なく密に培養されている状態(以下コンフルエントとする)を経過し、さらにその後の自己複製による細胞の増殖により細胞が凝縮し、細胞一つ一つの体積が小さくなって敷き詰められた状態(以下敷石状形態とする)を示したのに対し、実例2〜6では、約9日目で敷石状形態を示した。比較例、実例共に重層化期は5日間と設定した。
図4は、比較例2,3、実例2〜6における、細胞シートの外観を示す図である。いずれの細胞シートも、ピンセット操作に耐えうる厚さをもつものであった。図5は比較例2,3、実例2〜6における、細胞シートに含まれる細胞数を示す図である。この結果からは、どの細胞シートでもほぼ同等の細胞数から成ることが分かる。この結果から、フィーダー細胞なしで作製した細胞シートとフィーダー細胞ありで作製した細胞シートが同程度重層化していることが推測できる。
図6は、比較例2,3、実例2〜6における、細胞シート中に含まれる幹細胞の割合を表す、コロニー形成率を示す図である。比較例2と比較例3を比べると、フィーダー細胞がないことで、コロニー形成率は1/4程度に低下していることがわかる。一方、実例2〜5はフィーダー細胞なしの条件にも関わらず、比較例3と比べると、コロニー形成率は有意に高く、比較例2の3/4程度であり、3%以上を示した。しかしながら、実例6は比較例3と比べると、有意に高いものの、実例2〜5の半分程度であった。図7は、比較例2、3、実例4におけるコロニー形成を示す図である。
図8は、比較例2,3、実例2〜6における、組織染色像を示すもので、角膜上皮細胞シート評価を目的とするものである。これによると、いずれの条件でも3〜6層程度に重層化していることが分かる。
図9は、比較例2,3、実例2〜5における、角膜上皮細胞分化マーカであるCK3の免疫染色像と細胞核染色像を示す図である。これによると、3〜6層に重層した細胞が角膜上皮細胞として分化していることが分かる。
図28は、比較例2,3、実例7〜10における、角膜上皮細胞分化マーカであるCK3の免疫染色像と細胞核染色像を示す図である。これによると、重層化期、自己複製期両過程共に低酸素濃度で培養したものは、酸素濃度依存的に重層化が十分に進行しないことが分かる。
図1〜9、28に示す結果は、いずれも、フィーダー細胞なしの条件においても、自己複製期を低酸素濃度で培養することで、従来の方法である比較例2と比べてそん色のない程度の幹細胞を保持した重層化上皮細胞シートが製造できることを示すものである。上述の原理にて検証した結果、フィーダー細胞無しの条件で、自己複製期はO1%以上15%未満で、フィーダー細胞無し、O20%で培養した時よりもコロニー形成率が有意に高く、フィーダー細胞あり、O20%で培養した時に近いコロニー形成率を示すことが明らかとなった。また、重層化期は、低酸素では分化が抑制されるが、O15%以上であれは分化することが分かった。従って、自己複製期間はO1%以上15%未満、分化期間はO15%以上が、比較例2で作製した細胞シートのコロニー形成率よりも高く、コロニー形成率3%以上を保持する、重層化した上皮細胞シートを得る上で望ましい酸素濃度であった。以下に上記実験の具体的な方法を示す。
(ウサギ角膜上皮細胞培養方法)
培養容器は6ウェル用セルカルチャインサートと6ウェルプレート、もしくは、12ウェル用セルカルチャインサートと12ウェルプレートとした。角膜上皮細胞を培養する前日に、フィーダー細胞として、マイトマイシンC(10μg/ml)で37℃2時間処理したNIH−3T3細胞を2×10/cmとなるように、6ウェルプレートに播種した。NIH−3T3細胞を播種した翌日に、フナコシ社より購入したウサギ眼球の角膜輪部から常法に従って角膜上皮細胞を採取し、1×10/cmとなるように6ウェル用セルカルチャインサートに播種した。培養液には、上皮系細胞の培養に用いられる5%FBSを含むKCM培地を用いた。培養液の交換は、細胞培養容器の上層下層共に、培養開始5、7、9−16日目に1回行った。培養期間中は、位相差顕微鏡で細胞増殖状況を確認した。
(角膜上皮細胞シートの外観検査と細胞数測定方法)
各培養条件で作製した細胞シート内に含まれる細胞数と、DNA量から、増殖過程での細胞数を定量した。作製後の細胞シートに含まれる細胞数の算出方法を以下に記載する。まずディスパーゼ(200U/ml)を培養下層に注入し、37℃60分処理した。処理後、ピンセットで細胞シートの培養表面から剥離させ、外観を検査した。剥離した細胞シートを0.25%トリプシンで37℃10分処理して、細胞懸濁液として細胞シートに含まれる細胞数を求めた(TC10 bio−rad社製)(n=4)。
(コロニー形成率算出方法)
コロニー形成率を求めるために、ディスパーゼで剥離した細胞シートを、0.25%トリプシン溶液を用いて細胞懸濁液として、その内2000個の細胞を、あらかじめマイトマイシンC処理したNIH−3T3細胞を2×10/cm となるように播種した10cmディッシュに播種し、約10日間KCM培地にて培養した。出現したコロニー数(直径約2mm以上)/2000個の割合を求めてコロニー形成率を算出した。
(角膜上皮組織の組織切片作製、組織切片染色方法)
組織切片を作製するために、常法に従い細胞シートを凍結包埋した。凍結包埋した組織から, ミクロトームで厚さ10μmの切片を作製した。作製した切片を用いて常法に従い、ヘマトキシリンーエオジン染色、および免疫組織染色を実施した。免疫組織染色には、抗CK3抗体(AE5)を用いた。
上記方法を適用可能な細胞種の範囲について、図10を用いて説明する。上記方法を適用できる細胞は、組織を形成する幹細胞、あるいは当該幹細胞の分化によって生じる前駆細胞である。これらは、まず自己複製を行い、所定の度合いにまで増殖された後、一般酸素濃度にて分化を開始する。一般に、低酸素状態では分化抑制傾向にある。すなわち、低酸素状態から正常酸素状態へと切り替えることは、組織を形成する幹細胞、前駆細胞の分化の開始を意味している。
次に、組織を形成する幹細胞、前駆細胞の培養過程において酸素濃度を変更する具体的な方法について説明する。まず、培養容器などの培養空間に播種された細胞を、当該培養空間内が低酸素濃度となるようにして培養する。自己複製期においては、細胞は正常酸素濃度よりも迅速に複製による増殖を繰り返す。培養する幹細胞の種類によって、増殖して結合した幹細胞・前駆細胞の全体の大きさ、または細胞単体での大きさ、増殖速度などの度合いは異なる場合がある。そのため、細胞種により、自己複製によって得られた細胞の大きさの度合いを任意に定め、低酸素濃度から正常酸素濃度に切り替えることが望ましい。正常酸素濃度に晒された細胞は分化を開始し、組織形成を行う。
細胞の増殖の度合いは、培養される培養面に対する占有率にて判別することも可能である。細胞は播種された培養空間の培養面に広がるように自己複製による増殖を開始する。この培養面に対する細胞の占有率が100%となったとき、上述の原理にて述べたように、コンフルエントの状態であると位置づけられるので、酸素濃度を正常酸素濃度(20%)に切り替える。尚、切り替えるタイミングを決定する占有率は、細胞種の特性などによって80%や90%など、任意に設定してすることも可能である。
また、酸素濃度を切り替える時点については、上述のように細胞がコンフルエントとなった状態だけでなく、敷石状形態にて切り替えることも有効である。図11に示すように、敷石状形態は、細胞がコンフルエントの状態になってから分化期開始までに生じる状態であり、敷石状形態で酸素を切り替えることで、コンフルエントに比べ分化期直前まで低酸素にて培養できるため、より短期間での培養が可能となる。
さらに、酸素濃度を切り替えた後、図11に示すように、敷石状形態の後の分化期間にて生じる、密着結合と呼ばれる現象が生じているかを確認することで、酸素濃度切り替え後の細胞が正常に培養されているか、品質評価することができる。密着結合とは、膜貫通タンパク質である、クローディンとオクルーディンにより細胞間隙が閉じられた構造で、培養された細胞は密着結合の状態となることにより、溶解物質、イオン、水の傍細胞経路を制御している。つまりは、外部からの溶解物質や汚染物質などの介入が無い状態にて細胞が培養されていることを、密着結合の発生の確認によって判断することができる。
酸素濃度を制御する方法は、培養する細胞に送る酸素の供給量によって制御することができる。例えば、細胞に供給する気体の酸素濃度を高めるには、酸素をより多く供給する、あるいは窒素や二酸化炭素などの供給を少なくすることで可能となる。逆に、酸素濃度を低くするには、酸素をより少なく供給する。あるいは窒素や二酸化炭素などを多くしてやれば可能となる。
本実施例では、実施例1にて説明した原理および方法に基づいて、酸素濃度を自動で制御する機能を搭載した自動細胞培養装置について図12〜14を用いて説明する。尚、本実施例以降、酸素濃度の制御に関わる演算手段を制御装置2に内蔵した例として説明するが、演算手段に関するソフトウェアやCPUなどはこれに限られるものではなく、外付けのコンピュータや、ガス濃度調節部8などに内蔵されていても良い。
酸素濃度の制御を行う際、細胞培養装置内の細胞をユーザーが直接観察して酸素濃度を切り替えることも可能であるが、CCDカメラ12のような細胞を観察し撮像する撮像手段を設けておいて、撮像した画像を表示画面13などに表示させ、撮像された画像を基にユーザーが酸素濃度を切り替えるようにしてもよい。また、表示画面13は視覚的な表示ではなく、ブザーのような聴覚へと指示を促すものであってもよい。
酸素濃度を自動で制御するためには、細胞状態を自動認識して、酸素濃度変更に適切な時期を判別することが望ましい。まず、培養中にCCDカメラ12で細胞を撮像し、細胞画像を取得した制御装置2は、取得した画像データから細胞を検出する処理を実施し、画像の輝度により、画像の白黒やグレースケールなどに基づく二値化し、当該画像における細胞占有面積を算出する。培養面の数点のデータを取得後、細胞占有面積が100%である場合、酸素濃度を低酸素濃度から通常酸素濃度へ変更する。細胞占有面積が所定の面積に達していない場合は、酸素濃度切替は実施せず、低酸素状態での培養を継続し、所定のタイミングで上記動作を繰り返し、細胞占有面積が100%に達した時点で酸素濃度切替を実行する。
細胞占有率は細胞の自己複製が進むにつれて上昇していくため、自己複製の最終過程付近の、細胞占有率100%付近のコンフルエントにて切り替えることが望ましい。ただし、CCDカメラのスペックや細胞の培養状況、培養面上で実際に細胞が培養される領域面等に合わせて、80%や90%など、任意に設定が可能である。また、細胞の種類によって、コンフルエントに達しない場合は、細胞の自己複製が完了するまでの大きさや占有面積に合わせて、酸素濃度切り替えのタイミングを設定しても良い。
また、コンフルエントの別の判別方法として、細胞の大きさの平均から判別することが可能である。図15に示すように、培養面に接着した細胞は通常仮足を伸ばしながら増殖するので、細胞のサイズが播種直後に比べて大きくなり、細胞の大きさの平均は、コンフルエント付近にて最大値となる。その後、敷石状形態に向かうにつれて、面積あたりの細胞数が増加して細胞は縮小されるため、細胞の大きさの平均が徐々に減少し、敷石状形態後は細胞の形状が固定されるため、細胞の大きさは一定となる。
CCDカメラ12は、時系列に複数の画像を撮像し、制御装置2はこの複数の画像を基に、プロットファイルなどで細胞の大きさの統計を算出する。さらに算出された統計データから、画像ごとの細胞の大きさの平均を算出し、時系列的に前後の画像に含まれる細胞の大きさの平均と比較を行う。比較によって細胞の大きさの平均の時系列変化を演算し、細胞の大きさが最大値となるタイミングを特定する。
さらに制御装置2は、特定した最大値となるタイミング以降、つまりはコンフルエントとなるタイミング以降について、酸素濃度を変更する。またこの際、表示画面13に、最大値となる細胞の大きさや、特定した切り替えタイミングの期間などを表示し、ユーザーに酸素濃度の切り替えを促すようにしてもよい。
細胞の大きさの最大値を特定する方法はこれに限られるものではなく、細胞種に応じて特定の値を予め設定しておき、この値を超える大きさ平均にまで細胞が自己複製を行ったタイミングにて酸素濃度を切り替えるようにしてもよい。また、細胞の大きさの平均ではなく、図16(a)のように、大きさの分布の時系列変化を画像から解析し、分布のピークが最大となる点を上記最大値として設定する、あるいは酸素濃度を切り替える分散値を予め設定しておいてもよい。
上述のような細胞画像から酸素濃度切り替え時期を判別する方法以外に、図13に示すような光干渉断層計14により細胞状態を解析することにより、酸素濃度切り替えを判断することができる。細胞画像から判断する方法では、培養面数点を観察して判断するため、観察しなかった箇所がコンフルエントか否かが分からない可能性がある。一方、光干渉断層計14により細胞状態を解析する方法では、培養面全体での細胞欠損箇所を検出できる。光干渉断層計14は、2分割した赤外光の一方をサンプルに照射し、反射した光ともう一方の光を干渉させて、培地面全体の組織の表面および断面を画像化することができる。光干渉断層計14に設置された光源は、光源から照射される赤外光の照射位置を可変できる駆動手段を具備させることも可能である。この駆動手段を用いて、培養面の一方向における断面の画像を取得する。さらに、駆動手段を前記一方向に対して垂直方向に動かしながら、断面の画像を複数取得することで、培養面全体の断面画像を得ることができる。取得する断面画像の垂直方向の間隔は、細胞の欠損箇所に漏れのないよう、細胞の大きさよりも狭くなるように行うことが望ましい。また、後述する画像解析方法などによって細胞の大きさが解析できるため、細胞の増殖の度合いによって断面の画像を取得する間隔を決定してもよい。また、取得した画像は表示部16に表示するようにしてもよい。表示の仕方は、細胞の欠損のある画像のみを表示してもよいし、画像は表示せずに細胞の欠損があったことをブザーで警告するようにしてもよい。細胞の有無を判別することができる。制御装置2は光干渉断層計14での検出結果に基づいて、コンフルエントであれば低酸素濃度から正常酸素濃度へと切り替える。
上述した細胞画像による方法と光干渉断層計による方法は併用して用いることが可能であり、より確実に酸素濃度を自動制御できる。例えば、培養面に対する細胞占有面積が設定した値以上(例えば100%)であり、かつ培養面全体(例えば100%)で細胞分の厚みを有していると判断された場合、酸素脳濃度を切り替えることにより、よりコンフルエントを判断する精度を高めることができる。
以上のようにコンフルエントの状態かどうかを判別し、酸素濃度を切り替えることが可能であるが、切り替える時点は、コンフルエントとなった時点よりも所定時間経過後とするように設定することも短期間化に有効である。所定時間を経過すると、実施例3にて詳細を説明する敷石状形態が発生する。そのため、予めこの敷石状形態発生を考慮した切り替え時点を設定しておけば、より短期にて培養が可能となる。
尚、本実施例では酸素濃度を切り替える演算手段を制御装置2に有した場合について述べたが、ガス濃度調節部8に演算手段を持たせ、制御装置2とは独立したガス濃度調節部8によって酸素濃度の変更を制御することも可能である。
酸素濃度を制御する方法は、ガス供給部から供給される各気体の供給量を、ガス濃度調節部8にて調節するよう、制御装置2にて制御してやればよい。例えば、細胞に供給する気体の酸素濃度を高めるには、酸素をより多く供給する、あるいは窒素や二酸化炭素などの供給を少なくすることで可能となる。逆に、酸素濃度を低くするには、酸素をより少なく供給する。あるいは窒素や二酸化炭素などを多くしてやれば可能となる。
酸素濃度切り替え時期は、コンフルエント時ではなく、コンフルエント後、細胞密度が高くなり、細胞一つ一つの体積が小さくなって敷き詰めれた状態である敷石状形態の状態とすることができる。重層化などの分化は敷石状形態を経た後に起こる事象であるため、敷石状形態を示した時点で酸素濃度を切り替た方がより早期に所望の組織を製造できる。制御装置2は、まず実施例2に記載した細胞解析結果により、細胞占有率が100%に到達した後に、制御装置2は細胞画像における細胞間が明瞭となるように画像を処理する。その後、図17に示すように、任意に設定された画像の一線上における輝度の変化を信号にして算出する。この信号の分布から、敷石状形態における細胞の大きさである約5〜15μmおきに規則的に検出される信号であるかどうかで敷石状形態を判別し、敷石状形態であった場合に酸素濃度を低酸素濃度から正常酸素濃度へ変更する。敷石状形態を示さない場合、即ち、細胞間の長さを示す信号の検出結果にて、細胞が上記のような敷石状形態における大きさでない場合は、低酸素濃度での培養を継続し、上記に示した手順を再度実行する。
敷石状形態か否かを判別する別の方法として、CCDカメラ12で撮像された細胞の画像の信号の分布から、細胞の大きさの平均、或いは分布を用いて判別する方法がある。
撮像された画像における各細胞の輪郭周辺部分は、画像において相対的に輝度が低くなり、細胞自身と各細胞間の輝度は高くなって示される。すなわち、培養の初期の頃は細胞数が少ないため、輝度が高くなる部分が多く、画像の平均輝度は高い状態となっている。さらに、細胞数が増えるにつれて、細胞周辺部分(輝度が低い部分)も増えるため、画像の平均輝度は徐々に低くなる。
培養面がコンフルエントの状態となった後は、敷石状形態に近づくにつれ、細胞の増殖によって密に敷き詰められていくため、細胞の数が増加していく。つまり、画像における細胞の輪郭周辺部分の面積が増えていくため、平均輝度は下がり続ける。
最終的に形成される敷石状形態は、培養面における細胞の自己複製が飽和している状態であるので、敷石状形態が形成されてから分化が開始されるまでは、画像の平均輝度は一定の状態となる。よって、制御装置2は、画像の平均輝度が一定の値となった時期を敷石状形態として判別し、酸素濃度を切り替えることができる。
実施例2にて説明した細胞の大きさの平均を用いることでも、敷石状形態を判別することが可能である。図15に示すように、敷石状形態の場合、細胞の時系列変化は、コンフルエントから凝縮されて一定の大きさに留まるため、この一定の大きさとなった期間において、酸素濃度を切り替える。期間を求めるまでの制御装置2での演算方法は実施例2にて説明した方法と同様である。
また、制御装置2によって解析された細胞の大きさの分布から、敷石状形態を判別することも可能である。図16に示すように、自己複製期における細胞の大きさは、上述のように敷石状形態よりも大きい。さらに培養面の各領域における培養の進行にもばらつきが生じるため、分布の分散値の領域も広くなっている。細胞の大きさ、および大きさの分布は、敷石状形態に近づくにつれて徐々に減少し、敷石状形態が形成された時点で、自己複製期における細胞の大きさとしては、最小かつ一定の値となる。
したがって制御装置2は、細胞の大きさの分布が最も小さくなるような領域に移行した場合、あるいは分布による分散値の幅が最も狭くなった場合、大きさの分布の時系列変化が一定の値となった場合、もしくはこれらの組み合わせによっても、敷石状形態を判別し、酸素濃度を切り替えることが可能である。
本実施例では、実施例1で説明した細胞培養方法と実施例2、3で示した酸素濃度自動制御方法により、培養空間である培養槽内全体の酸素濃度を切り替える方法について説明する。
図12は、細胞培養装置1の構成を模式的に示す図で、制御装置2によって制御される各要素が、恒温槽3および、恒温槽3の内部に配置される培養容器4に接続される。制御装置2には、恒温槽3の温度を制御するための温度調節部5と、培養容器内の湿度を制御するための湿度調節部6と、培養容器内のガス濃度を制御するための、ガス供給部7を有するガス濃度調節部8と、培養容器内の培養液を自動で交換するための、培養液と廃液を保持するタンク9に接続された送液用チューブを有する培養液供給ポンプ10と、それぞれの構成要素の動作を制御することを目的とした、温度・湿度・CO2・O2センサー11と、細胞観察用のCCDカメラ12と表示画面13が接続されている。そして、温度調節部4、湿度調節部5、ガス濃度調節部7は恒温槽2に接続され、培養液供給ポンプ8は細胞培養容器3に接続される。上記装置構成の場合、恒温槽内に酸素が供給されるので、閉鎖系培養容器3は内部にガス供給ができるように、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン等のガス透過膜、好ましくはポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミドから成る多孔膜を設けた方がよい。この際多孔の直径は、ウイルスや細菌の培養容器内への侵入を回避するために、20nm未満であることが望ましい。これは、現在知られている最も小さいウイルスである、パルボウイルスの直径が約20nmであることに基づいた設定である。
実施例3に基づいて、光干渉断層計14を付属させた実施例4装置構成の変形例を図13に示す。光干渉断層計は断面の厚みを計測できるため、作製した細胞シートが分化しているか否かという品質を非侵襲で評価することに適用可能である。
細胞シートの非侵襲品質評価方法として、光干渉断層計による方法以外に、電気抵抗値により評価する方法を提示する。上皮系の細胞は細胞同士が密に結合することによって密着結合を形成する。密着結合が細胞間に形成されると、細胞間でのイオンのやり取りが遮断されるため、細胞間に電圧を印加した際に抵抗が生じる。すなわち、細胞が密で敷石状形態となり、密着結合が形成されているか否かを電気抵抗値により判断することができる。光干渉断層計14を付属させた実施例2の変形例を図13に、電気抵抗測定装置15を付属させた実施例2の変形例を図14に示す。制御装置2は、電気抵抗測定装置15による抵抗値の時系列変化を演算し、演算結果から抵抗値が指数関数の形状にて変化しているかどうかを解析する。抵抗値が指数関数にて変化していれば、密着結合が生じていると判別する。尚、電気抵抗測定装置は、図18のように光干渉断層計14と組み合わせて用い、より培養された細胞の品質を確認するようにしてもよい。
実施例4では、培養槽内の酸素濃度を制御する装置構成であったが、図19の構成のように、湿度調節部と、ガス調節部と、温度・湿度・CO2・O2センサーは培養容器に接続され、培養容器内の酸素濃度を制御する場合の実施例を実施例5として示す。
この構成により、培養容器内ガス供給ポートを利用して、水蒸気も培養容器内に流入することができる。また、培養槽全体が恒温多湿環境である場合、培養槽自体は無菌空間でないため、カビ、細菌が繁殖する危険性を有している。これに対して、培養容器内が恒温多湿環境である場合、培養容器内は無菌空間であるため、カビ、細菌が繁殖する危険性が低いといった利点がある。また、培養容器に特殊な膜を設ける必要がないので、培養容器作製工程も簡素化できる。図20〜22は、実施例4同様に、装置構成の変形例を示すものである。
実施例4、5では、培養槽内や培養容器内の酸素濃度を制御する装置構成であったが、培養容器に設置されたガス透過性の膜の透過性を変化させることができる。この構成により、低酸素ガスや水蒸気を培養容器内に流入する必要なく、培養容器内酸素濃度を制御することができる。例えば、図23に示すように湿度調節部、ガス調節部、CO2、O2センサーが必要なく、装置構成を簡素化できる。図24〜26に装置構成の変形例を示す。
本装置構成では、培養容器の形状が重要となる。上記装置構成における培養容器の一例を図27に示す。培養容器4の枠体18に2枚のガス透過膜を設け、最外層は酸素の透過を抑制し、培養容器内の酸素濃度を低酸素にできる抑制膜16とし、取り外し可能な構造としておく。抑制膜16は、ポリエチレンテレフタレート、PVA、ナイロン、ナイロン系、シリカ蒸着系フィルムなどの医薬品、食品包装資材として使用されているものがある。また、有機EL、電子ペーパー、太陽電池などで使用されている、富士フィルム社製のスーパーバリアフィルムと呼ばれる、特殊な層をもつフィルム等が挙げられる。内側の膜は、実施例2に記載した直径20nm未満の孔を有する多孔膜17とする。自己複製期は抑制膜16を保持した状態で培養する。これによって低酸素培養環境が実現する。自己複製終了後、正常酸素濃度にするために、抑制膜16を自動で除去できる機構を装置に備えておき、制御装置2によって、当該機構を操作し、コンフルエントや敷石状形態などの期間にて、抑制膜16することによって、培養容器内の酸素濃度を変更させる。
抑制膜16の除去方法は、細胞培養装置に、駆動手段を有したマニュピレータ等を設置し、制御装置2がマニュピレータを駆動させ、抑制膜16を除去することが可能である。
抑制膜除去後、細胞分化培養を行うが、この際、培養槽内が多湿環境でないため培養液が蒸発する可能性がある。これを回避する方法としては、蒸発する培養液分を細胞容器内に自動で注入する機構を装置の設け、培養液量を常に一定に保つようにしておくのが効果的である。
培養容器下層にフィーダー細胞を用いた場合、そのフィーダー細胞から分泌される成分を必要とするために、下層内の培養液を還流や常時通液することは好ましくない。しかし、フィーダー細胞を用いない場合は、下層内の培養液を還流や常時通液することが可能である。例えば図29に示すような、多孔膜を有するインサート容器20を1個内包する培養容器21や、インサート容器20を複数個内包する培養容器22において、培養液の還流や常時通液により、培養容器下層は常に新鮮な培養液に満たされた状態となるために、還流や常時通液をしない場合と比較して、より品質が安定または向上した細胞シートが作製できる。
培養液の還流や常時通液の際には、例えばペリスタポンプ等を用いて培養液を流通させることができる。その際例えば図30に示すように、注液口と排出口の高さを変えることで、電磁弁等で流路を遮断しておく必要なく、培養容器に一定量液が満たされた後に、液を排出することも可能である。具体的には、注入口よりも排出口を高くすればよい。高さは培養容器に満たしたい液量によって変わるものである。
尚、培養液の流通速度は、細胞への意図しないダメージを防ぐためにも乱流が生じない程度の流速が望ましい。この培養液の流通速度は、ペリスタポンプ等の動作を図示しない制御部により制御することで調節すればよい。
上記では注液口と排出口の高さを変える例を示したが、これに限らず、電磁弁等で流路を遮断する開閉可能な部材を用いて制御部の制御により注液、廃液を調整する様にしても良い。
図29、30を用いて常時通液を行うための構成例を示したが、これに限らず、目的、用途に応じてインサート容器の配置形態を変えても良い。例えば、円状にインサートを配置しても良いし、インサートの設置高さをインサート毎に変えるようにしても良い。またその際、高さの調整機構を備えるようにしても良い。
上記の様な培養液の還流や常時通液により、培養容器下層は常に新鮮な培養液に満たされた状態となるために、還流や常時通液をしない場合と比較して、より品質が安定または向上した細胞培養を行うことが可能となる。
本発明は、細胞培養方法および細胞培養装置として有用である。
1…細胞培養装置
2…制御装置
3…恒温槽
4…培養容器
5…温度調節部
6…湿度調節部
7…ガス供給部
8…ガス濃度調節部
9…培養液・廃液タンク
10…培養液供給ポンプ
11…温度・湿度・ガスセンサ
12…細胞観察用CCDカメラ
13…表示装置
14…光干渉断層計
15…電気抵抗測定装置
16…抑制膜
17…多孔膜
18…枠体
19…温度センサー
20…インサート容器
21…培養容器
22…培養容器

Claims (15)

  1. フィーダー細胞を用いない細胞培養方法であって、
    組織を形成する幹細胞または前駆細胞を培養する期間のうち、
    前記幹細胞または前駆細胞を自己複製させる期間内の第一の期間を第一の酸素供給量で培養し、
    前記幹細胞または前駆細胞の自己増殖による増殖の度合いに基づいて、前記第一の酸素供給量より高い酸素供給量の第二の酸素供給量に変更し、
    前記幹細胞または前駆細胞が分化する期間を含む第二の期間を前記第二の酸素供給量にて培養することを特徴とする細胞培養方法。
  2. フィーダー細胞を用いない細胞培養方法であって、
    上皮組織を形成する幹細胞または前駆細胞を培養する期間のうち、
    前記幹細胞または前駆細胞を自己複製させる期間内の第一の期間を第一の酸素供給量で培養し、
    前記幹細胞または前駆細胞の自己増殖による増殖の度合いに基づいて、前記第一の酸素供給量より高い酸素供給量の第二の酸素供給量に変更し、
    前記幹細胞または前駆細胞が分化する期間を含む第二の期間を前記第二の酸素供給量にて培養することを特徴とする細胞培養方法。
  3. 前記第一の酸素供給量は、1%以上15%未満であって、
    前記第二の酸素供給量は、15%以上であることを特徴とする請求項1または2記載の細胞培養方法。
  4. 前記細胞培養方法であって、
    前記度合いは、前記幹細胞または前駆細胞の大きさの平均とし、
    細胞の大きさの平均が最大となった時点以降に、前記第一の酸素供給量より高い酸素供給量の第二の酸素供給量に変更することを特徴とする請求項1または2記載の細胞培養方法。
  5. フィーダー細胞を用いず、組織を形成する幹細胞または前駆細胞を用いた細胞シートの製造方法であって、
    前記幹細胞または前駆細胞を培養する期間のうち、
    前記幹細胞または前駆細胞を自己複製させる期間内の第一の期間を第一の酸素供給量で培養し、
    前記幹細胞または前駆細胞の自己増殖による増殖の度合いに基づいて、前記第一の酸素供給量より高い酸素供給量の第二の酸素供給量に変更し、
    前記幹細胞または前駆細胞が分化する期間を含む第二の期間を前記第二の酸素供給量にて培養することを特徴とする細胞シートの製造方法。
  6. フィーダー細胞を用いず、組織を形成する幹細胞または前駆細胞を培養する培養領域を有する細胞培養装置であって、
    前記培養領域内の酸素供給量を調節する酸素調節部と、
    前記酸素調節部を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記幹細胞または前駆細胞の自己複製による増殖の前記度合いに基づいて、
    前記幹細胞または前駆細胞が自己複製する期間内の第一の期間における第一の酸素供給量を、前記幹細胞または前駆細胞が分化する期間を含む第二の期間における、前記第一の酸素供給量よりも多い酸素供給量の第二の酸素供給量に変更するよう前記酸素調節部を制御するものであことを特徴とする細胞培養装置。
  7. フィーダー細胞を用いず、上皮組織を形成する幹細胞または前駆細胞を培養する培養領域を有する細胞培養装置であって、
    前記培養領域内の酸素供給量を調節する酸素調節部と、
    前記酸素調節部を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記幹細胞または前駆細胞の自己複製による増殖の前記度合いに基づいて、
    前記幹細胞または前駆細胞が自己複製する期間内の第一の期間における第一の酸素供給量を、前記幹細胞または前駆細胞が分化する期間を含む第二の期間における、前記第一の酸素供給量よりも多い酸素供給量の第二の酸素供給量に変更するよう前記酸素調節部を制御するものであことを特徴とする細胞培養装置。
  8. 前記第一の酸素供給量は、1%以上15%未満であって、
    前記第二の酸素供給量は、15%以上であることを特徴とする請求項6または7記載の細胞培養装置。
  9. 前記細胞培養装置は、
    前記幹細胞または前駆細胞を撮像する撮像部をさらに備え、
    前記制御部は、前記撮像部から取得した画像から、前記度合いを算出することを特徴とする請求項6または7記載の細胞培養装置。
  10. 前記細胞培養装置は、
    前記培養領域に、幹細胞または前駆細胞を培養させる第一の面を有し、
    前記増殖の度合いは、前記第一の面に対する前記幹細胞または前駆細胞の占有率であることを特徴とする請求項6または7記載の細胞培養装置。
  11. 前記細胞培養装置は、
    前記幹細胞または前駆細胞を撮像する撮像部を備え、
    前記制御部は、
    前記撮像部から取得した画像から、前記占有率を算出することを特徴とする請求項10記載の細胞培養装置。
  12. 前記細胞培養装置は、
    前記占有率を表示させる表示部を有することを特徴とする請求項11記載の細胞培養装置。
  13. 前記制御部は、
    前記占有率に基づいて、前記第一の酸素供給量を前記第二の酸素供給量に変更するよう前記酸素調節部を制御することを特徴とする請求項11記載の細胞培養装置。
  14. 前記細胞培養装置は、
    前記幹細胞または前駆細胞を撮像する撮像部をさらに備え、
    前記制御部は、
    前記撮像部から取得した画像に基づいて、前記幹細胞または前駆細胞の大きさの平均の時系列変化を算出することを特徴とする請求項6または7記載の細胞培養装置。
  15. 前記制御部は、
    前記時系列変化に基づき、前記幹細胞または前駆細胞が自己複製する期間のうち、前記幹細胞または前駆細胞の大きさの平均が最大となる時点以降の期間に、
    前記酸素供給量を前記第一の酸素供給量から前記第二の酸素供給量に変更するよう、前記酸素調節部を制御することを特徴とする請求14記載の細胞培養装置。
JP2014504465A 2012-03-16 2012-03-16 細胞シート、細胞培養方法および細胞培養装置 Expired - Fee Related JP5991368B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2012/001834 WO2013136372A1 (ja) 2012-03-16 2012-03-16 細胞シート、細胞培養方法および細胞培養装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2013136372A1 JPWO2013136372A1 (ja) 2015-07-30
JP5991368B2 true JP5991368B2 (ja) 2016-09-14

Family

ID=49160347

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014504465A Expired - Fee Related JP5991368B2 (ja) 2012-03-16 2012-03-16 細胞シート、細胞培養方法および細胞培養装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5991368B2 (ja)
WO (1) WO2013136372A1 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6599310B2 (ja) * 2014-03-31 2019-10-30 テルモ株式会社 シート状細胞培養物の品質評価方法
JP2017522016A (ja) * 2014-06-27 2017-08-10 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア 培養哺乳動物輪部幹細胞、その産生方法及びその使用
JP6338955B2 (ja) 2014-07-18 2018-06-06 株式会社日立ハイテクノロジーズ 細胞培養装置および画像解析装置
JP6690119B2 (ja) * 2014-12-16 2020-04-28 大日本印刷株式会社 細胞培養容器及び細胞積層体の作製方法
WO2016209089A1 (en) * 2015-06-25 2016-12-29 Peter Roderick Dunbar Tissue culture apparatus and method
US11286454B2 (en) * 2015-08-31 2022-03-29 I Peace, Inc. Pluripotent stem cell manufacturing system and method for producing induced pluripotent stem cells
JP2020089304A (ja) * 2018-12-05 2020-06-11 株式会社日立ハイテク 細胞培養装置および培養液の気体濃度制御方法
JP7316912B2 (ja) * 2019-11-12 2023-07-28 株式会社日立製作所 細胞シート評価方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4634779B2 (ja) * 2004-11-22 2011-02-16 株式会社カネカ 培養装置
US20100184221A1 (en) * 2007-07-13 2010-07-22 Seiichi YOKOO Method for isolation of cell, serum-free culture medium for cell, and method for culture of cell

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2013136372A1 (ja) 2015-07-30
WO2013136372A1 (ja) 2013-09-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5991368B2 (ja) 細胞シート、細胞培養方法および細胞培養装置
JP5802751B2 (ja) 細胞培養装置および細胞培養方法
JP7465294B2 (ja) 組織を培養する装置及び方法
TWI576433B (zh) Cell culture system and cell culture method
EP2832847B1 (en) Culture vessel and automated culture apparatus
RU2530169C2 (ru) Мембрана в качестве подложки для выращивания клеток ретинального пигментного эпителия (варианты), ее применение и способ засевания таких клеток
WO2012008368A1 (ja) 細胞培養容器、および細胞培養装置
CN103898056B (zh) 细胞培养基及其在培养人原代肿瘤细胞中的应用
JP5834020B2 (ja) 連続培養装置
JP6326827B2 (ja) 細胞培養装置および細胞培養方法
JP5960256B2 (ja) 培養容器及び自動培養装置
WO2015004762A1 (ja) 細胞培養方法、装置、及び細胞シート
KR20080054500A (ko) 세포조작 및 배양을 위한 차폐된 장치
US20090233361A1 (en) Tissue bioreactor
JP6674946B2 (ja) シート状細胞培養物の評価方法
JP2009225675A (ja) 上皮系細胞シートの作製のための同種皮膚由来フィーダー細胞
CN206043279U (zh) 一种益生菌乳制品发酵用培养箱
JP2008271915A (ja) 閉鎖系小型細胞培養用培地供給システム
JP2005218368A (ja) 細胞培養装置
EP3562934A1 (en) Method of transportingin vivo
PT106827B (pt) Bioreator de estímulo para caracterização biomecânica de engenharia de tecidos

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150728

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150918

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20160209

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160428

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20160516

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160719

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160801

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5991368

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees