JP6326827B2 - 細胞培養装置および細胞培養方法 - Google Patents

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Description

本発明は、細胞培養装置および細胞培養方法に関する。特に人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem cells、iPS細胞)や胚性幹細胞(Emblyonic Stem cells、ES細胞)の三次元培養に関する。
幹細胞は、血球、粘膜上皮、表皮等、特定の機能を有する細胞に分化する能力を細胞分裂後も保持し続けるため、個体組織の発生メカニズムの研究に重用される。また医療分野では、治療対象の組織や器官の幹細胞を培養して患者に移植することが期待される。受精卵から発生するES細胞は、あらゆる細胞に分化しうる多能性を有する。そのような多能性を有する幹細胞を人工的に作製する技術も向上している。iPS細胞から分化させた任意の細胞を利用することにより、難病の原因解明や薬物の安全確認を分子レベルで行える可能性が高まっている。
上記の基礎研究、臨床研究の進展や実用化には、所望の細胞に分化誘導させ得る未分化の幹細胞の量産が前提となる。従来、多能性幹細胞の大量培養方法として、三次元培養方法がある。三次元培養方法は、培養液を培養槽内で流動させることにより細胞を浮遊させて三次元培養する細胞培養方法である。三次元培養方法は、高密度で幹細胞を培養することができる。三次元培養方法と静地培養方法との培養効率を比較すると、一般的に直径20μmの動物細胞を培養する場合、三次元培養方法では培養される細胞の密度は1×106cells/cm2程度である。一方、静地培養方法における上記密度は6×104cells/cm2程度である。
従来、培養槽内の培地交換や、継代培養や、剥離等の作業は、作業者の手作業により行われる。そのため、作業中に培養槽内へ菌を混入させないように、作業者には高度の注意力と技量が求められる。また培地交換のタイミングも作業者の経験に基づいて判断される。これらの細胞メンテナンスの精度は作業者の技量に拠るところが大きいため、作業者の交代が培養細胞の品質や培養効率に影響する。したがって作業者の技量に影響されることなく、品質が安定し、高効率で行える細胞培養方法が求められる。また作業者からは作業負荷の軽減が求められる。
上記の課題を解決する為、細胞培養装置の自動化が提案される(特許文献1)。特許文献1には、(1)人体より摘出した細胞と培地とを培養容器へ注入するステップと、(2)培地と前記細胞が入った前記培養容器内の換気と培地の交換を行いつつ、細胞を培養するステップと、(3)前記培養容器内で培養された培養細胞の洗浄を行った後、前記洗浄された細胞をその一部を残して前記培養容器内から細胞回収容器へ回収するステップと、(4)前記ステップ(3)において前記培養容器内に残された培養細胞に対し、培地を注入するステップと、(5)前記ステップ(2)とステップ(3)を繰返し実行するステップにより構成される培養方法が開示される。上記の培養容器としてはシャーレが用いられる。シャーレを用いる静置培養では、細胞が集塊を作り、培地成分中の分化抑制剤が内部に浸透しない。そのため集塊内部の細胞が分化し、細胞の未分化率が保てない。
国際公開WO2007/083465号公報
しかし、幹細胞の品質安定性を確保して高未分化率で大量培養できる方法が求められる。また作業者の作業負荷軽減も求められる。本発明の課題は、培養細胞の品質安定性と培養効率とを向上させ、加えて作業者のメンテナンス作業を軽減できる細胞培養装置を提供することである。
本発明は、少なくとも洗浄液と剥離剤とを個別に送液する供給ユニットと、培養液を送液する培養液送液ユニットと、担体を洗浄液に懸濁させた担体懸濁液を送液する担体懸濁液送液ユニットと、培養液を循環させて三次元培養を行う細胞培養ユニットと、担体から剥離させた培養細胞を含有する細胞含有液を送液する細胞回収ユニットと、担体懸濁液送液ユニットと細胞培養ユニットと細胞回収ユニットとから排出される廃液を回収する廃液回収ユニットと、少なくとも前記洗浄液と剥離剤と培養液と担体懸濁液と細胞懸濁液と細胞含有液とのいずれか一つ以上の送液と排出とを制御する制御ユニットとを有する細胞培養装置である。
本発明の供給ユニットは、洗浄液を貯留する洗浄液タンクと、洗浄液タンクと連通する担体容器へ洗浄液を送液する第一洗浄液送液装置と、洗浄液タンクと連通する剥離槽へ洗浄液を送液する第二洗浄液送液装置と、剥離剤を貯留する剥離剤タンクと、剥離剤タンクと連通する剥離槽へ剥離剤を送液する剥離剤送液装置とを備える。
また培養液送液ユニットは、培養液タンクと、培養液タンクから培養液加温タンクを介して培養液タンクと連通する培養槽へ培養液を送液する培養液送液装置とを含む。さらに担体懸濁液送液ユニットは、担体容器と、担体容器内で洗浄液タンクから担体容器に供給された洗浄液と担体とを懸濁させてなる担体懸濁液を、担体容器と連通する培養槽へ送液する担体懸濁液送液装置とを含む。
加えて細胞培養ユニットは、培養液と担体懸濁液とが送液され、さらに被培養細胞が導入される培養槽と、培養槽と連通するガス供給槽と、培養槽とガス供給槽との間で培養液を循環させる循環装置と、培養槽内で培養液に被培養細胞と担体とを懸濁させた細胞懸濁液を培養槽と連通する剥離槽へ送液する細胞懸濁液送液装置とを含む。
さらに細胞回収ユニットは、剥離槽と、剥離槽と連通する細胞回収バイアルと、剥離槽内で剥離剤に担体と細胞とを懸濁させた細胞含有液から担体を除去する担体阻止装置と、担体阻止装置を介して剥離槽から細胞回収バイアルへ細胞含有液を送液する細胞含有液送液装置とを含む。
廃液回収ユニットは、担体容器から廃液を排出させる第一廃液排出装置と、培養槽から廃液を排出させる第二廃液排出装置と、剥離槽から廃液を排出させる第三廃液排出装置と、担体容器と培養槽と剥離槽とのいずれとも連通し、担体容器と培養槽と剥離槽とからそれぞれ排出される廃液を回収する廃液タンクとを備える。
本発明は、培養槽内の細胞懸濁液の溶存酸素量を測定する溶存酸素量測定装置と、ガス供給槽の液量測定装置とを備え、供給ユニットと、培養液送液ユニットと、担体懸濁液送液ユニットと、細胞培養ユニットと、細胞回収ユニットと、廃液回収ユニットとで行われる、洗浄液と剥離剤と培養液と担体懸濁液と細胞懸濁液と細胞含有液とのいずれか一つ以上の送液と、廃液の排出とを制御する制御ユニットを備える。
上記の制御ユニットにおいては、培養槽への培養液の送液と排出とを、細胞懸濁液の溶存酸素量に基づいて制御することが好ましい。また、培養槽から剥離槽への細胞懸濁液の送液後の担体懸濁液と培養液との培養槽への送液を、培養槽から剥離槽への細胞懸濁液の送液量に基づいて制御することも好ましい。
また、第一洗浄液送液装置と、第二洗浄液送液装置と、培養液送液装置と、担体懸濁液送液装置と、循環装置と、細胞含有液送液装置と、第一廃液排出装置と、第二廃液排出装置と、第三廃液排出装置との少なくとも一つがチューブポンプであることが好ましい。
本発明は、下記の供給工程と、培養液送液工程と、担体懸濁液送液工程と、細胞培養工程と、細胞回収工程と、廃液回収工程とを含み、これらの工程における洗浄液と剥離剤と培養液と担体懸濁液と細胞懸濁液と細胞含有液との送液と廃液の排出とを制御する細胞培養方法を包含する。
該供給工程は、少なくとも洗浄液を送液する洗浄液送液工程と、剥離剤を送液する剥離剤送液工程とを個別に実行する工程である。好ましくは、洗浄液タンクから洗浄液タンクと連通する担体容器へ、洗浄液を送液する第一洗浄液送液工程と、洗浄液タンクから洗浄液タンクと連通する剥離槽へ、洗浄液を送液する第二洗浄液送液工程と、剥離剤タンクから剥離剤タンクと連通する剥離槽へ、剥離剤を送液する剥離剤送液工程とのいずれか一つ以上を実行する工程である。
該培養液送液工程は、培養液の送液を実行する工程である。好ましくは、培養液タンクから培養液タンクと連通する培養槽へ、培養液加温タンクを介して培養液を送液する工程である。
該担体懸濁液送液工程は、洗浄液に担体を懸濁させて担体懸濁液を生成し、該担体懸濁液の送液を実行する工程である。好ましくは、担体容器内で、洗浄液タンクから送液された洗浄液に担体と懸濁させて担体懸濁液を生成し、該担体懸濁液を担体容器から担体容器と連通する培養槽へ送液する工程である。
該細胞培養工程は、培養液を循環させて三次元培養を行う循環工程を含む工程である。好ましくは、培養槽内で、培養液タンクから送液された培養液に、担体容器から送液された担体懸濁液に含有される担体と被培養細胞とを懸濁させて細胞懸濁液を生成し、培養槽と、培養槽と連通するガス供給槽との間で培養液を循環させて、培養槽内で細胞懸濁液に含有される担体を浮遊させて三次元培養を行う循環工程と、培養槽内の培養液を排出し新たな培養液を送液する培養液交換工程と、培養槽内で細胞懸濁液中の担体を分散させ、該細胞懸濁液の一部を剥離槽へ送液し、培養槽内に新たな培養液と担体懸濁液とを送液する継代工程とのいずれか一つを実行する工程である。
該細胞回収工程は、剥離剤を添加して担体から剥離させた培養細胞を含有する細胞含有液を生成し、該細胞含有液の送液を実行する工程である。好ましくは、剥離槽内で、培養槽から送液された細胞懸濁液に含有される担体と培養細胞とに剥離剤を添加して細胞含有液を生成し、該細胞含有液から担体を除去した後、該細胞含有液を細胞回収バイアルへ送液する工程である。
該廃液回収工程は、担体懸濁液送液工程と細胞培養工程と細胞回収工程との実行によりそれぞれ排出される廃液の回収を実行する工程である。好ましくは、担体容器と培養槽と剥離槽とのいずれか一つ以上から廃液タンクへ廃液を排出させる工程である。
上記の細胞培養方法においては、洗浄液と、剥離剤と、培養液と、担体懸濁液と、細胞懸濁液と、細胞含有液との送液と廃液の排出とを、細胞懸濁液の溶存酸素量とガス供給槽内の培養液の液量とに基づき制御することが好ましい。
本発明によれば、培養細胞の品質安定性と培養効率とを向上させ、加えて作業者のメンテナンス作業を軽減できる。
本発明の細胞培養装置の概略図である。 本発明の細胞培養装置のブロック図である。 本発明の細胞培養方法の例を示すフローチャートである。 本発明の細胞培養方法の例を示すフローチャートである。 本発明の細胞培養方法の例を示すフローチャートである。 本発明の細胞培養方法の例を示すフローチャートである。 本発明の細胞培養装置の細胞培養ユニットの例を示す概略図である。 本発明の細胞培養装置の細胞培養ユニットの例を示す概略図である。 本発明の細胞懸濁液中の溶存酸素量変化のモデル図である。
[細胞培養装置]
本発明の細胞培養装置を、図1と、図2とを用いて説明する。図2において、200は供給ユニット、300は培養液送液ユニット、400は担体懸濁液送液ユニット、500は細胞培養ユニット、600は細胞回収ユニット、700は廃液回収ユニット、800は制御ユニット、900は操作ユニットである。
供給ユニット200は、少なくとも洗浄液Aを貯留する洗浄液タンク201と、洗浄液タンク201と連通する担体容器401へ洗浄液Aを送液する第一洗浄液送液装置211と、洗浄液タンク201と連通する剥離槽601へ洗浄液Aを送液する第二洗浄液送液装置212と、剥離剤Bを貯留する剥離剤タンク202と、剥離剤タンク202と連通する剥離槽601へ剥離剤Bを送液する剥離剤送液装置213とを備える。
培養液送液ユニット300は、培養液タンク301と、培養液タンク301から培養液加温タンク302を介して培養液タンク301と連通する培養槽501へ培養液Eを送液する培養液送液装置303とを含む。
担体懸濁液送液ユニット400は、担体容器401と、担体容器401内で洗浄液タンク201から担体容器401に供給された洗浄液Aと担体Fとを懸濁させてなる担体懸濁液Gを、担体容器401と連通する培養槽501へ送液する担体懸濁液送液装置402とを含む。
細胞培養ユニット500は、培養液Eと担体懸濁液Gとが送液され、さらに被培養細胞が導入される培養槽501と、培養槽501と連通するガス供給槽502と、培養槽501とガス供給槽502との間で培養液Eを循環させる循環装置503と、培養槽501内で培養液Eに被培養細胞と担体Fとを懸濁させた細胞懸濁液Jを培養槽501と連通する剥離槽601へ送液する細胞懸濁液送液装置504とを含む。
細胞回収ユニット600は、剥離槽601と、剥離槽601と連通する細胞回収バイアル602と、剥離槽601内で剥離剤Bに担体Fと培養細胞とを懸濁させた細胞含有液Kから担体Fを除去する担体阻止装置603と、担体阻止装置603を介して剥離槽601から細胞回収バイアル602へ細胞含有液Kを送液する細胞含有液送液装置604とを含む。
廃液回収ユニット700は、担体容器401から廃液を排出させる第一廃液排出装置701と、培養槽501から廃液を排出させる第二廃液排出装置702と、剥離槽601から廃液を排出させる第三廃液排出装置703と、担体容器401と培養槽501と剥離槽601とのいずれとも連通し、担体容器401と培養槽501と剥離槽601とからそれぞれ排出される廃液を回収する廃液タンク704とを備える。
制御ユニット800は、培養槽501内の細胞懸濁液Jの溶存酸素量を測定する溶存酸素量測定装置801とガス供給槽502の液量測定装置802とを備え、プログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller、PLC)803により、上記の供給ユニット200と、培養液送液ユニット300と、担体懸濁液送液ユニット400と、細胞培養ユニット500と、細胞回収ユニット600と、廃液回収ユニット700とで実行される、洗浄液Aと剥離剤Bと培養液Eと担体懸濁液Gと細胞懸濁液Jと細胞含有液Kとの送液と、廃液の排出とを制御する。ガス供給槽502の液量測定装置802の構成例としては、液量レベル別のセンサ802aと802bと802cと802dとを備えた液量測定装置802が挙げられる。
本発明は、担体容器401から培養槽501への担体F導入と、培養液Eの培養槽501への供給と、培養槽501から剥離槽601への培養細胞と担体Fとの移送と、剥離槽601から細胞回収バイアル602への培養細胞の移送とを液移送により実行する。本発明においては、該液移送と、洗浄液Aと剥離剤Bとの各装置への供給とが、PLC803の指令により、対応する送液装置を駆動させることで自動的に行われる。また循環装置503の駆動は、細胞培養ユニット500内の細胞懸濁液Jの溶存酸素量から算出される溶存酸素消費量の積算値と、培養液Eの液量の測定値とに基づいて、PLC803により制御される。すなわち、本発明は、被培養細胞導入と細胞回収バイアルからの培養細胞回収を除く全ての工程について、液量管理による自動化を実現した細胞培養装置である。
供給ユニット200において、洗浄液タンク201に貯留される洗浄液Aとしては、Phosphate Buffered Salin(PBS)が例示される。剥離剤タンク202に貯留される剥離剤Bとしては、EthyleneDiamineTetraacetic Acid(EDTA)、トリプシン、アキュターゼが例示される。洗浄液Aと剥離剤Bとは劣化防止のため常温より低い温度で管理される。洗浄液Aは、洗浄を要する工程で、PLC803の指令により送液装置を駆動させて、送液される。第一洗浄液送液装置211と第二洗浄液送液装置212とは、上記の送液装置の例である。第一洗浄液送液装置211は、担体容器401に洗浄液Aを送液し担体Fを洗浄させるために用いられる。第二洗浄液送液装置212は、剥離槽601に洗浄液Aを送液し、担体Fと培養細胞とを洗浄させるために用いられる。
培養液送液ユニット300において、培養液タンク301に冷蔵保存される培養液Eは、従来公知の培養液であり、液温は、2〜6℃に保たれる。ただし培養液Eは、細胞培養ユニット500の培養槽501へ送液する前に、36〜38℃に液温が調整される。培養液加温タンク302は、これに培養液Eを通過させることにより液温を調整する装置である。
培養液の構成例としては、Dulbecco's Modified Eagle's Medium(DMEM)、Grasgow Minimum Essential Medium(GMEM)、RPMI640等が挙げられる。上記に例示した培養液にL-グルタミン、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、セレニウム、2-メルカプトエタノール、L-アラニル-L-グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、L-アラニン、L-アスパラギン、L-アスパラチン酸、グリシン、L-プロリン、L-セリン等公知の成分を添加することができる。培養液には、ウシ胎児血清(FBS)等を添加できるが、無血清培養してもよい。
上記の培養液に、分化抑制剤として白血病抑制因子(LIF)を添加してもよい。ヒト多能性幹細胞を培養する場合には、フィーダー細胞を用いない公知の方法を適用することができる。これにより共培養方法の影響を回避してヒト多能性幹細胞を適用することができる。
担体懸濁液送液ユニット400においては、担体容器401内で、担体Fへの幹細胞付着性物質のコーティングや、担体洗浄が行われる。幹細胞付着性物質や洗浄液A等の薬剤中で均質に担体Fを分散させるため、担体容器401を振盪させる担体容器シェーカ403を備えることが好ましい。
本発明で用いられる担体Fは、動物細胞の培養、特に幹細胞、マウスES細胞やヒトES細胞の培養に使用する公知の材料を用いることができる。成型加工性の観点からは、ポリスチレン、ニトロセルロース、ナイロン、ポリウレタン等が好ましい。
担体Fの形状やサイズは、培養槽501の容積、被培養細胞の直径や、播種密度等に対応させて適宜選択される。好ましい範囲としては、サイズについては最大外寸が0.1〜5mmが好ましく、1.0〜3mmがより好ましい。表面積については、0.02〜40.0mm2のものが好ましい。質量については、0.00005〜0.50mgが好ましい。培養液Eの液量あたりの担体Fの供給量は、10〜200個/mlが好ましく、30〜150個/mlがより好ましい。
幹細胞付着性物質としては、フィブロネクチン、コラーゲン等の細胞結合物質が好ましく、特にE-カドヘリン、マトリゲル、ラミニン等の幹細胞付着性物質が好ましい。これにより幹細胞表面に発現する所定の基底膜成分と、担体表面にコートさせた幹細胞付着性物質とが互いの親和性により強固に結合するため、担体表面に十分に接着させることができる。
幹細胞付着性物質のコート量は、付着性向上の観点から、担体Fに対しコートさせ得る最大量とすることが好ましい。担体表面に対する幹細胞付着性物質のコート量は、0.6〜1.1μg/cm2が好ましく、0.8〜1.1μg/cm2がより好ましい。
接着性を向上させる他の手段として、担体表面に高低を設け、高部を幹細胞付着の足場として機能させてもよい。そのような表面形状を備える担体に上記の幹細胞付着性物質をコートさせることがより好ましい。
細胞培養ユニット500は、培養槽501と、ガス供給槽502とを備える。少なくとも培養槽501と、ガス供給槽502と、培養液送液ユニット300の培養液加温タンク302とは、恒温槽であるインキュベータ内で35〜37℃に温度管理される。ガス供給槽502は、培養液Eに酸素と二酸化炭素とを供給して、そのガス濃度を2〜5%に調整するための装置である。循環装置503は、培養槽501とガス供給槽502との間で培養液Eを循環させる装置である。
図7に本発明の培養槽とガス供給槽との構成例を示す。図7において、1001は培養槽、1002はガス供給槽、1003は対応する送液装置を駆動させて培養槽1001に培養液Eや担体懸濁液Gを送液する供給管、1004はガス供給槽1002から培養槽1001に培養液Eを循環させるための供給管、1005は培養槽1001から排出された培養液Eをガス供給槽1002に導入するための導入管である。培養槽1001は、その開口する上端部が閉塞部材1006により閉塞される。
閉塞部材1006の天壁部1006aには、被培養細胞を導入するための操作口1007が設けられる。一方、培養槽1001の上端部よりも低い位置にある底壁部1006bには、鉛直方向に沿って配置された導入管1005の上端が、閉塞部材1006の内部に開口するように固定される。培養槽1001の側壁1001bの底部近傍には、供給管1004に接続されて内部に培養液Eが注入される注入口1008が側壁1001bに沿って、かつ鉛直軸線に対して交差する斜め上方に開口するように設けられる。
また、注入口1008から培養槽1001の内部に注入された培養液Eは、鉛直軸線周り方向成分を有しているため、螺旋状に上昇することになる。すなわち培養液Eを循環させることで、培養槽1001内では旋回上昇流が形成される。この上昇流により担体Fを浮遊させ、培養領域1009を形成できる。該培養領域1009で、被培養細胞は担体Fに付着して三次元培養される。
培養槽1001に供給された培養液Eがオーバーフローすると導入管の下端1005aから、ガス供給槽1002に貯留される。オーバーフロー時に培養槽1001内の担体Fと培養細胞とがガス供給槽1002へ流出することを防止する為、培養槽1001と導入管1005との接続部には不図示のフィルタ等を設ける。図1に例示する構成例では、培養液送液ユニット300の培養液送液装置303を駆動させるだけで、ガス供給槽502(図7において1002)にまで培養液Eを供給できる。そのため、培養液Eの液量管理が簡潔で細胞培養装置の全自動化に有利である。
本発明を構成する培養槽としては、潅流培養用のものの他、撹拌培養や振盪・ゆらし培養に用いられる培養槽を適用できる。本発明は、潅流培養に好適である。好適例として図7に示される形状の培養槽が挙げられる。図7の培養槽1001は、水平方向断面積が底部から上方へ向かうに従い大きくなる円錐台状に形成され、さらにその上端部が円筒状に形成される。そのような培養槽は、培養液Eの循環により形成される上昇流に速度勾配を出すことができる。その場合、沈降速度が異なる担体を複数用いることで、培養領域を担体の種類ごとに複数形成させることができる。これにより培養効率を向上させることができる。その他、本発明に用いられる培養槽は、矩形台、多角形台等の形状でもよい。
ガス供給槽1002には、細胞培養に必要な酸素やpH調整用の二酸化炭素を含むガスを供給するガス供給管1012と、ガス排気管1013とが接続される。ガス供給管1012の先端は、供給するガスと培養液との混合性を向上させるため、上述したガス供給槽1002内の液面位置よりも下方に位置するように接続される。また、ガス供給管1012の途中には、ガス供給槽1002に供給するガスを除菌するための除菌フィルタが介装される。
細胞回収ユニット600は、培養細胞を付着させた担体Fの洗浄や培養細胞を担体から剥離させるための剥離槽601を備える。洗浄液Aや剥離剤Bは、PLC803の指令により駆動する第二洗浄液送液装置212や剥離剤送液装置213により送液が実行される。洗浄液Aや剥離剤B中に均質に培養細胞および担体Fを分散させるため、剥離槽601を振盪させる剥離槽シェーカ605を備えることが好ましい。担体阻止装置603としては、担体Fを通過させないフィルタ、メッシュ等が用いられる。細胞回収バイアル602は、培養細胞の劣化防止のため無菌的に培養液Eを入れて閉塞した後、無菌コネクタを介して剥離槽601に接続させる。
廃液回収ユニット700は、少なくとも上記の担体容器401と培養槽501と剥離槽601からそれぞれ廃液を排出させるための第一ないし第三の廃液排出装置701、702、703と、廃液を回収するための廃液タンク704とを備える。
本発明の各ユニットに備えられる送液装置は、いずれも液中の担体を沈殿させない構造のものであればよく、好ましい例として、脈動を持たせた送液を実行できるチューブポンプを挙げられる。
制御ユニット800は、PLC803、またはパーソナルコンピュータ等のCPUの指令により、上記の各ユニットに備えられる送液装置や循環装置を駆動させ、少なくとも洗浄液Aと、剥離剤Bと、培養液Eと、担体懸濁液Gと、細胞懸濁液Jと、細胞含有液Kとの送液および排出、循環動作を実行する。その他、培養槽等の振盪動作、撹拌動作、本発明の細胞培養装置の起動、停止を制御する。すなわち制御ユニット800は、被培養細胞の培養槽への供給と細胞回収バイアルの細胞培養装置からの解除を除く全ての動作を制御する。
細胞培養ユニット500内の培養液Eの液量制御には、培養槽内の細胞懸濁液J(培養液E)の溶存酸素量測定装置およびガス供給槽液量測定装置が用いられる。上記の溶存酸素量測定装置の例としては、DOセンサが挙げられる。上記の液量制御に用いられる他の装置例として、グルコースセンサやpHセンサが挙げられる。またガス供給槽液量測定装置の例としては、液レベルセンサが挙げられる。
操作ユニット900は、本発明への操作指令を入力する操作器や、細胞培養装置の動作を観察するモニタ等を備える。操作指令は制御ユニット800のPLC803に記憶させることができる。その場合、再現性が高まり、培養細胞の品質と培養効率とを一層向上させることができる。
(第二実施形態)
本発明の第二実施態様について、図8を用いて説明する。図8において図7と共通する符号はその説明を省略する。本発明の第二実施形態は、ガス供給槽1002から培養槽1001に培養液Eを供給するための供給管の形状を第一実施形態と異ならせた形態である。図8に示されるように、第二実施形態においては培養槽1001が閉塞部材1006により閉塞される。閉塞部材1006の天壁部1006aには、円筒状の供給管1010が挿通される。供給管1010は、鉛直方向に沿って配置され、その下端部が培養槽1001の底部1001a近傍で開口している。上端部は、循環装置503を介してガス供給槽1002と接続する。
したがって、循環装置503を駆動させることでガス供給槽1002から培養槽1001内に培養液Eを送液できる。送液された培養液Eは、供給管1010の下端の開口部を介して培養槽底部1001aへ供給されるため、培養槽1001内に上昇流を形成できる。
[細胞培養方法]
本発明の細胞培養方法を、上記の細胞培養装置の動作と関連付けて説明する。該細胞培養方法においては、制御ユニットのPLC803の指令により、培養液送液工程と担体懸濁液送液工程とが、細胞培養工程の準備工程として実行される他、細胞培養工程と並行して実行される。供給工程と廃液工程とは、担体懸濁液送液工程と培養液送液工程と細胞培養工程と細胞回収工程とのいずれか一つ以上の工程と並行して行われる。該細胞培養方法の各工程を図3ないし図6のフローチャートを用いて説明する。
本発明の細胞培養装置を起動させると、PLC803は、培養液送液工程と担体懸濁液送液工程とを実行する。PLC803が培養液送液工程と担体懸濁液送液工程との実行を指令すると、同時に供給工程と廃液回収工程との実行も指令される。
(培養液送液工程)
図3は培養液送液工程のフローチャートである。PLC803により培養液送液工程の実行が指令されると、培養液送液装置303が駆動し、培養液タンク301に冷蔵貯留される培養液Eが、予めPLC803に入力された送液量で培養液加温タンク302へ送液される(S301)。培養液加温タンク302で貯留され細胞培養に適する温度に調整された培養液Eは、培養槽501へ送液される(S302)。培養液加温タンク302の液温設定はインキュベータで行ってもよく、予めPLC803に入力してもよい。通常は36〜38℃に設定する。
培養液送液装置303の送液速度は、培養液加温タンク302で培養液Eの液温を培養に適する温度に調整可能な送液速度を、予めPLC803に入力して設定できる。例えば、図1の構成例において、1000mlの培養液タンクと200mlの培養液加温タンクと、100mlの培養槽と50mlのガス供給槽とを備える場合、培養液送液装置の送液速度は、10〜100ml/minの範囲で、PLC803に入力することが好ましい。
培養槽501とガス供給槽502とは連通する。したがって培養液Eは、送液が進むと培養槽501からオーバーフローしてガス供給槽502へ流入する(S303)。ガス供給槽502に流入した培養液Eの液量は、制御ユニット800のガス供給槽の液量測定装置802で測定させる。PLC803は、培養液タンク301から送液される培養液Eの送液を継続するか否かを、ガス供給槽の液量測定装置802により測定される液量レベルに基づき判定する。
すなわち、ガス供給槽502内の培養液Eの液量が予めPLC803に入力した液量レベルの判定値hに到達するまでは送液を継続し、到達したときは送液を終了する(S304)。図1に例示する構成例では、ガス供給槽502内の液量が培養槽501の容積の50〜80%に到達した場合、培養液送液装置303の駆動を停止させ、培養液Eの送液を終了する。
(担体懸濁液送液工程)
図4は、担体懸濁液送液工程のフローチャートである。本発明に用いられる担体Fは、好ましくは幹細胞付着性物質でコーティングさせる。
担体Fを幹細胞付着性物質でコーティングする場合、幹細胞付着性物質を蒸留水またはPBS、培地等適切な溶媒で10μg/mlに調製後、ろ過、滅菌した溶液を準備する。任意の容器内をコーティング対象の担体Fを完全に浸漬できる液量の該幹細胞付着性物質溶液で満たし、担体Fを室温35〜37℃で30〜60分間浸漬させる。上記の浸漬は担体容器401内で行ってもよい。浸漬時間の終了後、幹細胞付着性物質溶液を容器から排出させる。幹細胞付着性物質溶液は、浸漬時間終了後は完全に排出されることが好ましい。これにより幹細胞付着性物質でコーティングさせた担体を作製できる。
担体容器401内に担体Fを収納した後、PLC803は、供給工程の第一洗浄液送液工程を実行し、第一洗浄液送液装置211を駆動させ、洗浄液タンク201から担体容器401へ洗浄液Aを送液する(S401)。送液量は、担体容器401内の担体量、担体サイズ等を考慮して洗浄可能な液量をPLC803に予め入力すればよい。図1に例示する構成例では、洗浄液は、20〜100ml送液させる。所定の送液量が送液されると、PLC803は、第一洗浄液送液装置211の駆動を停止させ、送液を完了する。
続いてPLC803の指令により、担体Fの洗浄が開始される(S402)。洗浄は、担体容器401を担体容器シェーカ403やスターラーで振盪させて行うことが好ましい。洗浄条件すなわち振盪時間や振盪速度は予めPLC803に入力する。図1に例示する構成例において、振盪時間は10〜100秒程度であり、振盪速度は50〜300rpm程度である。洗浄が終了すると、PLC803は、廃液回収工程を実行する。すなわち、廃液回収ユニット700の第一廃液排出装置701を駆動させ、洗浄液Aの一部を廃液タンク704へ排出させる(S403)。
本発明は、PLC803の指令により、洗浄液Aに担体を懸濁させた担体懸濁液Gを、担体容器401から培養槽501へ送液させることで、担体Fを培養槽501へ供給する。したがって担体懸濁液Gを構成する洗浄液Aの液量は、送液中に担体Fを沈殿させない液量であることが要件となる。すなわち洗浄液Aの排出量は、担体容器401に残す洗浄液Aが上記の要件を満たす液量になるように、PLC803に入力する。図1に例示する構成例においては、排出量を10〜90mlに設定する。その結果、10〜90mlの洗浄液に50〜200個の担体を懸濁させることができる。
所定量の洗浄液Aの排出後、PLC803は、担体容器401内の洗浄液Aの撹拌を実行し、洗浄液A中に均質に担体Fを分散させてなる担体懸濁液Gを生成する(S404)。撹拌手段は、振盪(シェーカー)が好ましい。撹拌時間は、担体が均質に分散させるのに十分な時間を、予めPLC803に入力する。図1に例示する構成例においては、10〜100秒である。
撹拌時間経過後、生成された担体懸濁液Gの全量または一部について、PLC803は、担体懸濁液送液装置402を駆動させて担体容器401から培養槽501への送液を実行する(S405)。担体容器401内の全量を送液する場合は、PLC803に、当初の洗浄液供給量と洗浄後の洗浄液排出量との差分に相当する液量を算出させ、送液量として設定する。一部を送液する場合は、PLC803に所望の送液量を入力する。図1に例示する構成例では、送液量を10〜50mlに設定する。
送液中の担体沈殿を防止する為、送液は脈動をもって行われることが好ましい。そのような観点から担体懸濁液送液装置402としては、チューブポンプが好ましく用いられる。送液速度はPLC803に予め入力でき、20〜200ml/minが好ましい。
(細胞培養工程)
図5は、細胞培養工程のフローチャートである。細胞培養工程開始前に、PLC803により培養液送液工程が実行され、続いて担体懸濁液送液工程が実行される。その結果、細胞培養工程の開始時、培養槽501とガス供給槽502とは培養液Eと担体懸濁液Gとの混合液で満たされる。ただし、担体懸濁液Gを構成する洗浄液Aは、培養槽501内の上記混合液中の混合量としてはごく微量である。したがって上記の混合液は、実質的には培養液Eと担体Fとの混合液である。該混合液に被培養細胞を導入する(S501)。被培養細胞は、好ましくは細胞導入バイアルを用いて導入される。他法としては、シリンジにより無菌的に注入する方法が挙げられる。
細胞導入バイアルを用いた被培養細胞の導入工程を説明する。まず細胞導入バイアルに培養液Eを入れ、該培養液E中に被培養細胞を入れる。その後エアフィルタと、培養槽501に接続される無菌コネクタとを備える蓋で閉塞する。上記の操作はクリーンルーム等の無菌的な環境で行う。その後、エアフィルタを介してシリンジで細胞導入バイアル内に空気を送る。これによりバイアル内の被培養細胞が培養液Eと共に培養槽501内に導入される。
細胞導入バイアルを上記の蓋で閉塞した後は、細胞導入バイアルと培養槽501とが無菌的に接続されるため、その他の工程は無菌的環境でなくても実行できる。本発明は凍結バイアルを用いる必要がないため、汎用性が高い。細胞導入バイアルとしては、遠沈管を用いることができる。上記の導入操作は通常手動で行われるが、自動化してもよい。
該培養液E中に播種される被培養細胞は特に限定されないが、本発明は、特にヒト、マウス、ウシ等種々の哺乳動物由来のES細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、多能性生殖幹細胞(mES細胞)等に好適である。上記の幹細胞の担体に対する播種密度は、5〜100cells/cm2が好ましく、20〜50cells/cm2がより好ましい。
(循環工程)
PLC803は、培養槽501に培養液Eと担体懸濁液Gと被培養細胞との供給工程が完了すると、循環装置503の駆動を指令する。これにより培養液Eが培養槽501とガス供給槽502との間を予め入力された循環速度で循環し始める。本発明は、PLC803の指令により上記の循環工程を実行することで、培養槽501内で培養液Eの上昇流を形成させる。培養槽501内に供給された担体Fが、この上昇流にのって浮遊し、培養領域1009を形成する。これにより本発明は三次元培養が実行される(S502)。
培養領域1009は、該上昇流の流速と担体Fの沈降速度とが均衡することで形成される。培養液の上昇流の流速は、言い換えれば循環速度である。また担体の沈降速度は、担体の比重、形状、表面積等に依存する。したがってPLC803に循環装置503の循環速度を入力する場合、用いられる担体Fの比重、形状、表面積等を考慮して決定する。通常、培養液の循環速度は、50〜500ml/minである。図1に例示する構成例の場合、培養槽に、比重1.03〜1.05、表面積約6mm2のポリスチレン製ディスク状担体を50〜200個投入する場合、PLC803に循環速度を100〜200ml/minの範囲内で入力する。
上記の循環条件で細胞培養を実行すると培養液のせん断力を抑制できる。そのため本発明は、細胞の損傷が少なく、細胞が担体から剥離しにくい細胞培養方法である。担体に対する接着効率は、50〜100%である。
PLC803は、上記の循環工程と並行して、溶存酸素量測定装置801に、任意の溶存酸素量測定時における培養槽501内で培養細胞に酸素が消費された後の培養液Eの溶存酸素量を測定させる。本発明は、任意の溶存酸素量測定時における培養槽内501の培養液E中の溶存酸素が培養細胞に消費される前の溶存酸素量と、上記の培養細胞に溶存酸素が消費された後の培養液Eの溶存酸素量の測定値との差を、瞬間溶存酸素消費量と規定する。PLC803は、瞬間溶存酸素消費量やその積算値を用いて、培養細胞数や培養液E中の栄養成分量を判定する。各判定結果に基づき、循環工程の停止と、後に説明する培養液交換工程の実行あるいは継代工程の実行とが指令される。
PLC803は、任意の期間の瞬間溶存酸素消費量の積算値を算出できる。該瞬間溶存酸素消費量の積算値に基づいて培養液E中の栄養成分量を判定する(S503)。本発明は、所定の瞬間溶存酸素消費量の積算値を判定値Sxと規定する。瞬間溶存酸素消費量の積算値がSx以上の場合、培養液Eの状態について栄養成分量を回復させる必要があると判定する(S503)。その場合PLC803は、培養液交換工程の実行を指令する(S505)。培養液E中の栄養成分量は、培養細胞数と培養細胞の生存時間との積の積算値が増加するに伴って減少する。上記の積算値は、瞬間溶存酸素消費量の積算値と比例関係にあるため、培養液E中の栄養成分量を、瞬間溶存酸素消費量の積算値を用いて判定できる。なお、瞬間溶存酸素消費量の積算値がSx未満の場合、循環工程を継続実行する(S502)。
本発明は、循環工程(S502)と培養液交換工程(S505)とを繰り返すことにより培養細胞を増殖させることができる。PLC803は、瞬間溶存酸素消費量に基づいて培養細胞数が所望の値に到達したか否かを判定する(S504)。その判定結果に基づいて継代工程の実行を指令する(S506)。本発明は所定の瞬間溶存酸素消費量を判定値gxと規定する。瞬間溶存酸素消費量が判定値gx以上の場合、培養細胞が所望の培養細胞数まで増殖したと判定する(S504)。その場合、PLC803は継代工程の実行を指令する(S506)。
瞬間溶存酸素消費量について図7の構成例および図9を用いて説明する。図7において、培養液Eは、ガス供給槽1002(502)で飽和状態になるまで酸素が供給された後、培養槽の底部1001aに送液される。本発明は、培養槽の底部1001aに送液させることで、培養槽の底部1001a側を上流側とする培養液Eの上昇流を形成させ、担体Fに該上昇流の所望の領域で培養領域1009を形成させる。
培養細胞に溶存酸素が消費される前の培養液Eは、ガス供給槽1002で飽和状態になるまで酸素を供給された後、培養槽501に供給され、かつ上記の培養領域1009を通過する前の培養液Eである。図7の構成例によれば、そのような培養液Eは、培養領域1009より上流側、より具体的には培養槽の底部1001a近傍に存在する。
従って上記の培養細胞に溶存酸素が消費される前の培養液Eの溶存酸素量は、ガス供給槽1002での酸素供給量に相当する。本発明においては、常に飽和状態になるまで酸素を供給させた培養液Eを培養槽501に供給するため、培養細胞に溶存酸素が消費される前の培養液Eの溶存酸素量は、培養時間の経過に関わらず飽和溶存酸素量DO0で、一定である。一方、培養細胞に酸素が消費された後の培養液Eの溶存酸素量は、培養領域1009より下流側の培養液Eの溶存酸素量を、溶存酸素量測定装置801を用いて測定することで得られる(DOn)。
図9は、培養液Eの溶存酸素量変化のモデル図である。図9のモデル図において、縦軸は、培養液E中の溶存酸素量であり、横軸は培養時間である。実線は、培養細胞に酸素が消費された後の培養液Eの溶存酸素量を示す。破線は、培養細胞に酸素が消費される前の培養液Eの溶存酸素量を示す。g1、g2、g3は、それぞれ任意の溶存酸素量測定時t1、t2、t3における瞬間溶存酸素消費量である。溶存酸素量測定時tnの瞬間溶存酸素消費量gnは、gn=DO0-DOnと表せる。瞬間溶存酸素消費量gnは、培養時間の経過に従い増加する。
また図9において、培養開始時から溶存酸素量測定時t1までの瞬間溶存酸素消費量の積分値は、面積S1で表される。溶存酸素量測定時t1から溶存酸素量測定時t2までの瞬間溶存酸素消費量の積分値は、面積S2で表される。溶存酸素量測定時t2から溶存酸素量測定時t3までの瞬間溶存酸素消費量の積分値は、面積S3で表される。
上記に説明した判定値Sxや判定値gxは、作業者が行った実験により経験的に適切な値を設定できる。また設定された判定値Sxや判定値gxは、PLC803に記憶させることができる。これにより本発明は、設定された判定値Sxに基づき適切なタイミングで培養液交換工程を繰り返し実行できる。また、判定値gxに基づき効率的に継代工程を実行できる。
なお、本発明は培養細胞数が所望の値に到達したか否かの判定は、培養液交換工程の実行間隔に基づいて行ってもよい。その場合、PLC803は、さらに培養液交換工程の実行間隔を判定する。
培養時間tの経過に伴い培養液交換工程を繰り返すと、培養液交換工程(S505)の実行間隔dは短くなる。培養細胞数の増加に伴い、培養液Eの栄養成分量の消費速度が増加するためである。図9において、溶存酸素消費量測定時t1直後に1回目の培養液交換工程を実行し、溶存酸素消費量測定時t2直後に2回目の培養液交換工程を実行し、さらに溶存酸素消費量測定時t3直後に3回目の培養液交換工程を実行した場合を例として説明する。上記例においては、各培養液交換工程の実行間隔d1(d1:t2−t1)と、実行間隔d2(d2:t3−t2)とを比較すると、d2はd1より短い。すなわち培養液交換工程の実行回数が増加するほど、培養液交換工程の実行間隔dは減少し、培養液E中の栄養成分量の消費速度が加速する。
本発明は、培養液交換工程(S504)の実行間隔dが任意の判定値dx未満の場合は、所望の培養細胞数を培養できたと判定する。その場合循環工程を停止し継代工程(S506)を実行する。判定値dx以上の場合は、三次元培養を継続するため、循環工程や培養液交換工程を適宜実行する。
培養液交換工程(S504)の実行間隔の判定値dxは、作業者が行った実験により経験的に適切な値を設定できる。また設定された判定値dxは、PLC803に記憶させることができる。これにより本発明は、設定された判定値dxに基づき適切なタイミングで培養液交換工程を繰り返し実行できる。
(培養液交換工程)
培養液交換工程においては、PLC803の指令により、廃液回収工程の実行により第二廃液排出装置702を駆動させて、培養槽501内の培養液Eを廃液タンク704へ排出する。続いて培養液送液装置303を駆動させて、上記排出量と同量の新たな培養液Eを培養液タンク301から培養槽501へ送液させる。上記排出と送液とは、PLC803に入力した古い培養液の排出量と新たな培養液との送液量の出力により実行される。図1に例示する構成例では、一回の培養液交換で、通常は培養槽内の培養液を100〜150ml排出し、新たな培養液を100〜150ml培養槽内に送液する。培養液交換工程を実行すると培養液E中の栄養成分量が回復するため、細胞培養を継続できる。
(継代工程)
継代工程は、PLC803の指令により循環装置503の駆動を停止させ、培養槽の振盪動作を開始させて実行する。該振盪動作は、例えば、PLC803の指令により培養槽シェーカ505を駆動させて実行される。これにより、培養細胞を付着させた担体Fを培養液Eに懸濁させた細胞懸濁液Jが生成できる。担体を均質に分散させる観点から、PLC803は、振盪速度を、50〜300rpm、振盪時間を10〜100秒として細胞懸濁液Jの生成を実行する。
PLC803は、細胞懸濁液送液装置504を駆動させて、PLC803に入力された所定の送液量で細胞懸濁液Jの剥離槽601への送液を実行する(S507)。上記の細胞懸濁液Jの送液量は、培養槽501内の細胞懸濁液Jの一部である。したがって送液完了後の培養槽501内には、細胞懸濁液Jが残存する。上記の細胞懸濁液の送液完了後、PLC803は、細胞懸濁液Jが残存する培養槽501への培養液Eと担体懸濁液Gとの送液を実行する。培養液Eと担体懸濁液Gとの送液は、ガス供給槽502の液量レベルが判定値hに到達するまで継続される。その後、PLC803は、培養槽シェーカ505の駆動停止と循環装置503を再駆動とを指令し、循環工程を再実行する。
PLC803は、剥離槽601へ送液された細胞懸濁液Jについて剥離工程を実行する。細胞懸濁液Jの剥離槽601への送液量は、通常、送液前の培養槽内の細胞懸濁液Jの液量の80〜90%としてPLC803に入力される。該細胞懸濁液Jは担体Fを均質に分散させている。したがって、PLC803が上記の剥離槽601への送液を実行すると、剥離槽601へは培養細胞を付着させた担体Fの80〜90%が剥離槽601に移送される。
従来の継代作業は、培養細胞の過度の増殖による培地の劣化を防止する為、作業者が培地の状態を観察しながら行っている。その場合、培地の劣化を見逃さないように、培養可能な状態の培地であっても定時的に継代作業を行っている。したがって培地の有効利用の観点では改善の余地があった。本発明においては、溶存酸素量の測定値に基づき客観的に継代工程時期を判定する為、培養液Eを有効利用できる。また作業者の負荷が少なく、技量も問われない。本発明においては継代を少なくとも3〜10継代まで行い得る。
上記のように幹細胞を培養する場合、幹細胞の未分化率は、95〜99%程度であると推察される。本発明は培養細胞の担体への接着効率が良好なため、担体に付着させた全ての培養細胞に十分に分化抑制剤を作用させることができる。その結果、幹細胞の未分化状態を維持させることができる。
培養細胞の未分化状態の確認は、被培養細胞の種類に対応するALP活性や特異的マーカー遺伝子の発現量を測定することにより行うことができる。上記特異的マーカーとしては、Oct-3/4やRex1/Zfp42等の遺伝子産物の発現を利用することができる。
(細胞回収工程)
図6は、細胞回収工程のフローチャートである。PLC803は、培養槽501から送液させた細胞懸濁液Jを入力された所定時間、静置させる(S601)。剥離槽601内には、担体阻止装置603としてのフィルタが設けられるため、静置時間の経過により、担体阻止装置603上に培養細胞を付着させた担体が沈降する。静置時間は、通常1〜20分間としてPLC803に入力される。
PLC803は、所定の静置時間を経過後、廃液回収工程の実行により第三廃液排出装置703を駆動させ培養液排出を実行する(S602)。培養液Eの排出量は、PLC803に細胞懸濁液Jの送液量と同量の排出量が入力される。図1に例示する構成例において剥離槽の容量は200mlである。培養槽の細胞懸濁液を80%剥離槽へ送液する場合、培養液の排出量は、50〜80mlと設定できる。
培養液Eの排出完了後、PLC803は第二洗浄液送液工程を実行し、第二洗浄液送液装置212を駆動させ剥離槽601への洗浄液Aの送液を実行する(S603)。洗浄液Aは、細胞懸濁液Jの送液量に対応する担体Fと培養細胞との量を考慮して、これらを十分に洗浄できる液量を送液量としてPLC803に入力する。剥離槽601内に送液された細胞懸濁液Jの液量から推算される担体量に基づき、洗浄液の送液量は通常、10〜80mlである。
続いてPLC803は、担体Fとこれに付着する培養細胞の洗浄を実行する(S604)。培養細胞の洗浄は、例えば剥離槽シェーカ605を駆動させて剥離槽601を振盪させることにより行われる。その場合、PLC803への入力により、好ましい振盪時間として、10〜100秒と、好ましい振盪速度として50〜300rpmとを設定する。所定の振盪時間が経過した後、PLC803の指令により振盪動作を停止し、第三廃液排出装置703を駆動させて剥離槽601内の洗浄液Aを廃液タンク704へ排出する(S605)。洗浄液Aは完全に排出されることが好ましい。したがってPLC803は、上記の洗浄液Aの送液量と同量を排出量として上記の洗浄液排出を実行する(S605)。
洗浄液Aの排出完了後、PLC803は剥離剤送液装置213を駆動させて、剥離槽601内への剥離剤添加工程を実行する(S606)。剥離剤Bの送液量は、剥離槽601内の担体量に対応して十分に剥離効果を得られる液量をPLC803に設定して送液すればよい。図1に例示する構成例において剥離剤Bの送液量は、10〜25mlが好ましい。
剥離剤Bの送液が完了した後、PLC803は、培養細胞の剥離を実行する。培養細胞の剥離は、例えば剥離槽シェーカ605を駆動させて剥離槽601を振盪させることにより行われる。その場合、PLC803の指令により、所定の振盪時間と振盪速度とで剥離槽601を振盪させる。これにより、担体Fと培養細胞が剥離し、細胞含有液Kが生成される。振盪時間は、10〜100秒、振盪速度は50〜300rpmとしてPLC803に入力することが好ましい。
振盪動作の停止後、PLC803の指令により所定時間静置させて培養細胞を沈降させる。剥離槽601内に設ける担体阻止装置603としてのフィルタは、担体Fを通過させない一方で培養細胞を通過させる。そのため培養細胞を剥離槽601底部に完全に沈降させることで、担体Fを除去させ、剥離剤Bに培養細胞を含有させた細胞含有液Kを生成させる(S607)。
次にPLC803は、剥離槽601内に洗浄液Aの送液を実行し、細胞含有液Kに混合させる(S608)。その後、洗浄液Aを含有する細胞含有液Kの細胞回収バイアル602への送液を実行する(S609)。細胞含有液Kの送液は、PLC803の指令により細胞含有液送液装置604を駆動させて実行される。細胞回収バイアル602は、予め無菌的に培養液Eを入れて閉塞させたものを無菌コネクタを介して剥離槽601に接続させる。
剥離剤Bと培養細胞とを含む細胞含有液は、細胞回収バイアル602内で培養液Eと混合させることで、剥離剤Bが培養細胞に及ぼす悪影響を低減できる。したがって細胞含有液Kの送液量は、細胞回収バイアル602内の培養液Eの液量を考慮してPLC803に入力する。図1に例示する構成例では、培養液が25ml入った細胞回収バイアルに対する細胞含有液の送液量は、25mlが好ましい。細胞回収バイアル602へ送液された細胞含有液Kは、培養液Eにより剥離剤B濃度を低減できる。これにより細胞への悪影響を回避できる。
洗浄液Aと剥離剤Bと培養液Eと培養細胞とを含む細胞含有液Kの細胞回収バイアルへの送液が完了すると、本発明の全工程が終了する。この後、作業者は、細胞回収バイアル602をピンチコック等を用いて閉塞し、細胞回収バイアルを剥離槽に接続する無菌コネクタを解除して、細胞回収バイアルをクリーンルームへ移動可能にする。
以上説明したように、本発明は、担体や培養細胞を、担体懸濁液、細胞懸濁液、または細胞含有液のいずれかの液の移動に伴わせて移動させることができる。そのため、細胞培養に必要な作業を上記の各液の液量で管理できる。また細胞培養に必要な培養液や洗浄液や剥離剤の送液と排出とを制御できる。これにより、被培養細胞を培養槽に供給すると、三次元培養、培養液交換、継代を含むあらゆる作業が本発明により自動的に行われる。そのため作業者は、培養細胞が細胞回収バイアルに回収されるまで作業を行う必要がない。したがって本発明は作業者のメンテナンス作業を軽減できる。
本発明を用いる細胞培養では、作業者の技量は問われない。したがって本発明は、いかなる作業者であっても安定した品質で培養細胞を提供できる。また本発明は三次元培養であるので、高未分化率で幹細胞を大量培養できる。
本発明は、三次元培養方法における品質安定性と培養効率とを向上させ、加えて作業者の作業負荷を軽減できる。
A 洗浄液
B 剥離剤
E 培養液
F 担体
G 担体懸濁液
J 細胞懸濁液
K 細胞含有液
200 供給ユニット
201 洗浄液タンク
202 剥離剤タンク
211 第一洗浄液送液装置
212 第二洗浄液送液装置
213 剥離剤送液装置
300 培養液送液ユニット
301 培養液タンク
302 培養液加温タンク
303 培養液送液装置
400 担体懸濁液送液ユニット
401 担体容器
402 担体懸濁液送液装置
403 担体容器シェーカ
500 細胞培養ユニット
501、1001 培養槽
502、1002 ガス供給槽
503 循環装置
504 細胞懸濁液送液装置
505 培養槽シェーカ
600 細胞回収ユニット
601 剥離槽
602 細胞回収バイアル
603 担体阻止装置
604 細胞含有液送液装置
605 剥離槽シェーカ
700 廃液回収ユニット
701 第一廃液排出装置
702 第二廃液排出装置
703 第三廃液排出装置
704 廃液タンク
800 制御ユニット
801 溶存酸素量測定装置
802 ガス供給槽の液量測定装置
802a、802b、802c、802d 液量レベル別のセンサ
803 PLC
900 操作ユニット
1001a 培養槽の底部
1001b 培養槽の側壁
1003、1004、1010 供給管
1005 導入管
1005a 導入管の下端
1006 閉塞部材
1006a 天壁部
1006b 底壁部
1007 操作口
1008 注入口
1009 培養領域
1012 ガス供給管
1013 ガス排気管

Claims (10)

  1. 少なくとも洗浄液と剥離剤とを個別に送液する供給ユニットと、
    培養液を送液する培養液送液ユニットと、
    担体を洗浄液に懸濁させた担体懸濁液を送液する担体懸濁液送液ユニットと、
    培養液を循環させて三次元培養を行う細胞培養ユニットと、
    担体から剥離させた培養細胞を含有する細胞含有液を送液する細胞回収ユニットと、
    担体懸濁液送液ユニットと細胞培養ユニットと細胞回収ユニットとから排出される廃液を回収する廃液回収ユニットと、
    少なくとも前記洗浄液と剥離剤と培養液と担体懸濁液と細胞懸濁液と細胞含有液との送液と排出とを制御する制御ユニットとを有し、
    担体懸濁液送液ユニットが、担体容器と、担体容器内で洗浄液タンクから担体容器に供給された洗浄液と担体とを懸濁させてなる担体懸濁液を、担体容器と連通する培養槽へ送液する担体懸濁液送液装置とを含み、
    細胞培養ユニットが、培養液と担体懸濁液とが送液され、さらに被培養細胞が導入される培養槽と、培養槽と連通するガス供給槽と、培養槽とガス供給槽との間で培養液を循環させる循環装置と、培養槽内で培養液に被培養細胞と担体とを懸濁させた細胞懸濁液を培養槽と連通する剥離槽へ送液する細胞懸濁液送液装置とを含み、
    細胞回収ユニットが、剥離槽と、剥離槽と連通する細胞回収バイアルと、剥離槽内で剥離剤に担体と細胞とを懸濁させた細胞含有液から担体を除去する担体阻止装置と、担体阻止装置を介して剥離槽から細胞回収バイアルへ細胞含有液を送液する細胞含有液送液装置とを含む、細胞培養装置。
  2. 少なくとも洗浄液と剥離剤とを個別に送液する供給ユニットと、
    培養液を送液する培養液送液ユニットと、
    担体を洗浄液に懸濁させた担体懸濁液を送液する担体懸濁液送液ユニットと、
    培養液を循環させて三次元培養を行う細胞培養ユニットと、
    担体から剥離させた培養細胞を含有する細胞含有液を送液する細胞回収ユニットと、
    担体懸濁液送液ユニットと細胞培養ユニットと細胞回収ユニットとから排出される廃液を回収する廃液回収ユニットと、
    少なくとも前記洗浄液と剥離剤と培養液と担体懸濁液と細胞懸濁液と細胞含有液との送液と排出とを制御する制御ユニットとを有し、
    供給ユニットが、洗浄液を貯留する洗浄液タンクと、洗浄液タンクと連通する担体容器へ洗浄液を送液する第一洗浄液送液装置と、洗浄液タンクと連通する剥離槽へ洗浄液を送液する第二洗浄液送液装置と、剥離剤を貯留する剥離剤タンクと、剥離剤タンクと連通する剥離槽へ剥離剤を送液する剥離剤送液装置とを備え、
    培養液送液ユニットが、培養液タンクと、培養液タンクから培養液加温タンクを介して培養液タンクと連通する培養槽へ培養液を送液する培養液送液装置とを含み、
    廃液回収ユニットが、担体容器から廃液を排出させる第一廃液排出装置と、培養槽から廃液を排出させる第二廃液排出装置と、剥離槽から廃液を排出させる第三廃液排出装置と、担体容器と培養槽と剥離槽とのいずれとも連通し、担体容器と培養槽と剥離槽とからそれぞれ排出される廃液を回収する廃液タンクとを備え、
    制御ユニットが、培養槽内の細胞懸濁液の溶存酸素量を測定する溶存酸素量測定装置と、ガス供給槽の液量測定装置とを備え、供給ユニットと、培養液送液ユニットと、担体懸濁液送液ユニットと、細胞培養ユニットと、細胞回収ユニットと、廃液回収ユニットとで行われる、洗浄液と剥離剤と培養液と担体懸濁液と細胞懸濁液と細胞含有液との送液と、廃液の排出とを制御する制御ユニットである、細胞培養装置。
  3. 供給ユニットが、洗浄液を貯留する洗浄液タンクと、洗浄液タンクと連通する担体容器へ洗浄液を送液する第一洗浄液送液装置と、洗浄液タンクと連通する剥離槽へ洗浄液を送液する第二洗浄液送液装置と、剥離剤を貯留する剥離剤タンクと、剥離剤タンクと連通する剥離槽へ剥離剤を送液する剥離剤送液装置とを備え、
    培養液送液ユニットが、培養液タンクと、培養液タンクから培養液加温タンクを介して培養液タンクと連通する培養槽へ培養液を送液する培養液送液装置とを含み、
    廃液回収ユニットが、担体容器から廃液を排出させる第一廃液排出装置と、培養槽から廃液を排出させる第二廃液排出装置と、剥離槽から廃液を排出させる第三廃液排出装置と、担体容器と培養槽と剥離槽とのいずれとも連通し、担体容器と培養槽と剥離槽とからそれぞれ排出される廃液を回収する廃液タンクとを備え、
    制御ユニットが、培養槽内の細胞懸濁液の溶存酸素量を測定する溶存酸素量測定装置と、ガス供給槽の液量測定装置とを備え、供給ユニットと、培養液送液ユニットと、担体懸濁液送液ユニットと、細胞培養ユニットと、細胞回収ユニットと、廃液回収ユニットとで行われる、洗浄液と剥離剤と培養液と担体懸濁液と細胞懸濁液と細胞含有液との送液と、廃液の排出とを制御する制御ユニットである、請求項1に記載の細胞培養装置。
  4. 培養槽への培養液の送液と培養槽からの培養液の排出とを、細胞懸濁液の溶存酸素量とガス供給槽内の培養液の液量とに基づき実行する制御ユニットを備える請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の細胞培養装置。
  5. 培養槽から剥離槽へ細胞懸濁液を送液した後の担体懸濁液と培養液との培養槽への送液を、培養槽から剥離槽への細胞懸濁液の送液量に基づいて実行する制御ユニットを備える請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の細胞培養装置。
  6. 第一洗浄液送液装置と、第二洗浄液送液装置と、培養液送液装置と、担体懸濁液送液装置と、循環装置と、細胞含有液送液装置と、第一廃液排出装置と、第二廃液排出装置と、第三廃液排出装置との少なくとも一つがチューブポンプである請求項2又は3に記載の細胞培養装置。
  7. 少なくとも洗浄液を送液する洗浄液送液工程と、剥離剤を送液する剥離剤送液工程とを個別に実行する供給工程と、
    培養液の送液を実行する培養液送液工程と、
    洗浄液に担体を懸濁させて担体懸濁液を生成し、該担体懸濁液の送液を実行する担体懸濁液送液工程と、
    培養液を循環させて三次元培養を行う循環工程を含む細胞培養工程と、
    剥離剤を添加して担体から剥離させた培養細胞を含有する細胞含有液を生成し、該細胞含有液の送液を実行する細胞回収工程と、
    担体懸濁液送液工程と細胞培養工程と細胞回収工程との実行によりそれぞれ排出される廃液の回収を実行する廃液回収工程とを含み、
    洗浄液と、剥離剤と、培養液と、担体懸濁液と、細胞懸濁液と、細胞含有液との送液と廃液の排出とを制御し、
    担体懸濁液送液工程が、担体容器内で、洗浄液タンクから送液された洗浄液に担体を懸濁させて担体懸濁液を生成し、該担体懸濁液を担体容器から担体容器と連通する培養槽へ送液する担体懸濁液送液工程であり、
    細胞培養工程が、培養槽内で、培養液タンクから送液された培養液に、担体容器から送液された担体懸濁液に含有される担体と被培養細胞とを懸濁させて細胞懸濁液を生成し、培養槽と、培養槽と連通するガス供給槽との間で培養液を循環させて、培養槽内で細胞懸濁液に含有される担体を浮遊させて三次元培養を行う循環工程と、培養槽内の培養液を排出し新たな培養液を送液する培養液交換工程と、培養槽内で細胞懸濁液に含有される担体を分散させ、該細胞懸濁液の一部を剥離槽へ送液し、培養槽内に新たな培養液と担体懸濁液とを送液する継代工程とのいずれか一つを実行する細胞培養工程であり、
    細胞回収工程が、剥離槽内で、培養槽から送液された細胞懸濁液に含有される担体と培養細胞とに剥離剤を添加して細胞含有液を生成し、該細胞含有液から担体を除去した後、該細胞含有液を細胞回収バイアルへ送液する細胞回収工程である、細胞培養方法。
  8. 少なくとも洗浄液を送液する洗浄液送液工程と、剥離剤を送液する剥離剤送液工程とを個別に実行する供給工程と、
    培養液の送液を実行する培養液送液工程と、
    洗浄液に担体を懸濁させて担体懸濁液を生成し、該担体懸濁液の送液を実行する担体懸濁液送液工程と、
    培養液を循環させて三次元培養を行う循環工程を含む細胞培養工程と、
    剥離剤を添加して担体から剥離させた培養細胞を含有する細胞含有液を生成し、該細胞含有液の送液を実行する細胞回収工程と、
    担体懸濁液送液工程と細胞培養工程と細胞回収工程との実行によりそれぞれ排出される廃液の回収を実行する廃液回収工程とを含み、
    洗浄液と、剥離剤と、培養液と、担体懸濁液と、細胞懸濁液と、細胞含有液との送液と廃液の排出とを制御し、
    供給工程が、洗浄液タンクから洗浄液タンクと連通する担体容器へ、洗浄液を送液する第一洗浄液送液工程と、洗浄液タンクから洗浄液タンクと連通する剥離槽へ、洗浄液を送液する第二洗浄液送液工程と、剥離剤タンクから剥離剤タンクと連通する剥離槽へ、剥離剤を送液する剥離剤送液工程とのいずれか一つ以上を実行する供給工程であり、
    培養液送液工程が、培養液タンクから培養液タンクと連通する培養槽へ、培養液加温タンクを介して培養液を送液する培養液送液工程であり、
    廃液回収工程が、担体容器と培養槽と剥離槽とのいずれか一つ以上から廃液タンクへ廃液を排出させる廃液回収工程である、細胞培養方法。
  9. 供給工程が、洗浄液タンクから洗浄液タンクと連通する担体容器へ、洗浄液を送液する第一洗浄液送液工程と、洗浄液タンクから洗浄液タンクと連通する剥離槽へ、洗浄液を送液する第二洗浄液送液工程と、剥離剤タンクから剥離剤タンクと連通する剥離槽へ、剥離剤を送液する剥離剤送液工程とのいずれか一つ以上を実行する供給工程であり、
    培養液送液工程が、培養液タンクから培養液タンクと連通する培養槽へ、培養液加温タンクを介して培養液を送液する培養液送液工程であり、
    廃液回収工程が、担体容器と培養槽と剥離槽とのいずれか一つ以上から廃液タンクへ廃液を排出させる廃液回収工程である、請求項7に記載の細胞培養方法。
  10. 細胞培養工程における培養液と担体懸濁液と細胞懸濁液との送液と排出とを、細胞懸濁液の溶存酸素量とガス供給槽内の培養液の液量とに基づき実行する請求項7又は9に記載の細胞培養方法。
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