以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施形態例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
まずは、循環式遊技機である封入式パチンコ機(以下、単にパチンコ機とも記載)について基本的な構成を説明する。封入式パチンコ機は、発射制御装置により遊技盤に向けて発射された遊技球を回収し、回収した遊技球を発射制御装置により再度発射することで、内部に封入された所定数の遊技球を循環的に使用して遊技を行うパチンコ機である。この封入式パチンコ機で遊技を行う遊技者は、遊技球を直接手にすることはなく、パチンコ機に表示される持球(遊技に用いることができる遊技球)の数に基づいて遊技を進行する。
封入式パチンコ機には、ICカード処理装置が設けられ、遊技者所有の遊技カード(ICカード)をこれに挿入して所定の球貸処理を行うことにより、遊技者に持球が付与され、パチンコ機での遊技が可能となる。この遊技カードにはユニークIDが付与されており、そのユニークIDに対応させて、球貸しを行うための残高(金額)、遊技で得た持球や貯玉などの各種情報を機外に設けられたサーバーに記憶している。
遊技者が遊技カードをICカード処理装置へ挿入して球貸操作を行えば、遊技カードの照合処理が行われた後、持球や貯玉があれば、その数がパチンコ機に表示される。また、遊技カードの残高から所定額が減算されるのと引換えに遊技者に所定数の持球が付与され、その付与された持球が持球数に反映される。
これにより可能となった遊技が開始されると、遊技球の発射に応じて持球が減算されると共に、入賞口への入球により賞球が付与された際にはこれに応じて持球が加算され、パチンコ機には最新の持球数が表示される。また、発射制御装置から発射され、遊技盤上の遊技領域に到達した遊技球の数(イン(IN)とも記載)や、遊技領域を通過した遊技球の数(アウト(OUT)とも記載)や、賞球の数や、大当りの発生等といった遊技情報が、パチンコ機からホールコンピュータに送信される。また、持球を有した状態で遊技を終了した遊技者が精算操作を行えば、持球の数は遊技カードのユニークIDに対応させてサーバーに記憶され、遊技者は、持球の数に応じて各種景品を得ることができる。
次に、封入式パチンコ機50の全体の構成について、図1を用いて説明する。図1に示すように、パチンコ機50は、上述のICカード処理装置100と隣り合わせで配置されている。ICカード処理装置100には、カード挿入口110が設けられており、カード挿入口110に遊技カードを挿入することで、球貸操作等が可能となり、パチンコ機50での遊技が可能となる。
また、パチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて各部を保持する構造を有している。外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられていると共に、該ヒンジ53には内枠70が取り付けられており、内枠70は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。
また、内枠70には、ヒンジ53等により前枠52が開閉可能に取り付けられていると共に、この前枠52には、板ガラス61が取り外し自在に設けられており、板ガラス61の奥には、内枠70に取り付けられた遊技盤1が配されている。
前枠52の上部左右には、スピーカ(図示無し)が設けられており、パチンコ機50から発生する遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また、遊技者の趣向性を向上させるために前枠52に遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ(図示無し)も複数設けられている。
前枠52の下方右側には発射ハンドル64が取り付けられており、該発射ハンドル64を時計回りに回動操作することによって発射制御装置84(本発明における発射装置に該当)が可動して、遊技球が遊技盤1に形成された遊技領域3(本発明における遊技領域に該当)に向けて発射される。
発射ハンドル64の右上(パチンコ機50の右端)には、内枠70と前枠52の両方の枠の開放が規制できるスライド錠を操作するシリンダ錠36が配置され、鍵が挿入可能となっている。このシリンダ錠は、解錠するための鍵の種類を変更自在に行い得る可変式錠になっており、このような可変式錠をパチンコ機50に使用することで、パチンコ遊技店は、店に配置される全てのパチンコ機を店独自の鍵(1種類)に設定することが出来る。
前枠52の下方には、遊技者とのインターフェースとなるコントロール部8が設けられている。このコントロール部8には、球貸しを行う(遊技カードの残高と引き換えに発射可能な持球を得る)引落ボタン8aと、精算を行う(持球の数をサーバーに記憶する)精算ボタン8bと、遊技を終了して持球の数を遊技カードに記憶し、遊技カードをICカード処理装置100から取り出す返却ボタン8cと、持球の数を表示する持球数表示装置8e(本発明の持球数表示装置に該当)と、ファール球発生時のファール球数を表示するファール球数表示装置8f(本発明のファール球数表示装置に該当)と、遊技カードの残高を表示するカード残高表示装置8gとが設けられている。また、コントロール部8を備える前板部も、ヒンジ53等によって内枠70から開閉可能となっているが、前枠52が前板部に被さる様に設置されているため、前枠52の開放時のみ前板部の開放が可能となる。
また、図1は、板ガラス61の奥に位置する遊技盤1の遊技領域3の様子を概略的に示している。遊技領域3は、ガイドレール16等によって囲まれた略円形の領域であると共に、多数の遊技釘が植設されており、発射制御装置84から発射された遊技球は、ガイドレール16に沿って遊技領域3に誘導される。
そして、遊技領域3のほぼ中央部には、ワープ通路やステージ等が形成されたセンターケースや窓が設けられており、この窓の奥には、演出図柄表示装置6の液晶画面が配される。また、これら以外にも、遊技領域3には、常時入賞可能な第1始動口11や、普通電動役物として構成された第2始動口12や、一般入賞口13や、アタッカー式の大入賞口14等の役物(入賞口)や、アウト口15、特図表示装置、特図保留数表示装置等が設けられている。
次に、図2を用いて封入式パチンコ機50における遊技球を循環させる仕組みについて説明する。図2には、封入式パチンコ機50の遊技領域3や、遊技球の発射制御装置84や、遊技球を誘導する経路や、スライド錠及び前枠52の開放を規制する規制手段等の背面図を模式的に示す説明図が記載されている。
パチンコ機50では、発射制御装置84と遊技領域3とが、発射経路61により繋がっており、発射制御装置84から発射された遊技球は、発射経路61を通って遊技領域3に到達する。なお、発射経路61の一部は、遊技盤1上に設けられたガイドレール16により形成されている。
遊技領域3に到達した遊技球は、第1始動口11、第2始動口12等の入賞口に入球するか、或いは、アウト口15に入球するが、それぞれの入賞口、アウト口15は、入球した遊技球を誘導する誘導経路に繋がっており、これらの誘導経路を流下する遊技球は、回収経路60に導かれる。
また、発射制御装置84から発射されても遊技領域に達しなかった遊技球は、発射経路61に形成されたファール球取込口63からファール球として回収され回収経路60に導かれる。
回収経路60を流下した遊技球は、遊技球の汚れを落とす図示しない研磨装置を経て、発射待機経路62に導かれ発射制御装置84に至る。
遊技球は、上記した流れでパチンコ機50内を循環するが、発射経路61の始点付近(発射制御装置84の配置位置の付近)には、発射した遊技球の通過を検出する発射球センサ91(本発明の発射球検出手段に該当)が設けられ、発射経路61に形成されたファール球取込口63には、ファール球の通過を検出するファール球センサ93(本発明のファール球検出手段に該当)が設けられている。また、回収経路60のファール球以外の回収球が通過する位置には、遊技球の流下を検出するアウト球センサ92が設けられている。
パチンコ機50の主制御装置80は、上記した各種センサを用いて、それぞれの地点で遊技球の数をカウントする。そして、主制御装置80は、発射球センサ91がカウントした遊技球の数から、ファール球センサ93がカウントした遊技球の数を減じた数をインとして算出し、アウト球センサ92がカウントした遊技球の数をアウトとして算出し、イン及びアウトを、外部に設けられたホールコンピュータ87に一定間隔で送信する。
なお、イン、アウトをカウントするためのセンサの配置は、これに限定されることは無く、例えば、発射球センサ91を、発射経路61におけるファール球取込口63よりも終点側に設け、該発射球センサ91を用いてカウントした遊技球の数を、インとしても良い。また、アウト球センサ92を、回収経路60における、入賞口及びアウト口15に入球した遊技球の合流地点の下流側であって、ファール球の合流地点の下流側の位置に設け、アウト球センサ92がカウントした遊技球の数からファール球センサがカウントした遊技球数を減算した数をアウトとしても良い。
更に、第1始動口11、第2始動口12、一般入賞口13、大入賞口14に入球した遊技球は、アウト球センサ92よりも下流で回収経路60と合流する構成としたうえで、各入賞口に配置された検出スイッチがカウントした遊技球数と、アウト球センサ92がカウントしたアウト口15に入球した遊技球数を加算してアウトとしても良い。
次に、封入式パチンコ機50の実施例1における電気的構成を図3に示したブロック図を用いて説明する。この、主制御装置80を中心に構成されたブロック図には、単に信号を中継するだけのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細な図示は省略するが、主制御装置80、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83はいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
主制御装置80には、遊技盤中継端子板74を介して、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄作動ゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ14a、一般入賞口13に入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ13a等の検出信号が入力され、裏配線中継端子板75を介して、前枠閉鎖スイッチ18、内枠閉鎖スイッチ19からの検出信号が入力される。
また、主制御装置80には、上述した発射球センサ91、アウト球センサ92、ファール球センサ93からの検出信号が入力され、パチンコ機50内で循環する遊技球の管理が行われる。なお、本実施例では、封入式パチンコ機50に封入されている遊技球の数は、50個となる。
主制御装置80は、搭載しているプログラムに従って動作し、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成してサブ統合制御装置83に出力する。また、主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている第1特図表示装置9、第2特図表示装置10及び普通図柄表示装置7の表示、第1特図保留数表示装置9a、第2特図保留数表示装置10a、普図保留数表示装置8の点灯を制御する。
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド12bを制御することで普通電動役物(第2始動口12)の開閉を制御する。また、主制御装置80は、裏配線中継端子板75および外部接続端子板78を介して、パチンコ機外の管理装置であるホールコンピュータ87と電気的に接続される。
主制御装置80は、ICカード中継基板23を介してICカード処理装置100と通信可能に構成されている。また、主制御装置80は、ICカード中継基板23を介してカード残高表示装置8gにICカードに対応した残高、持球数表示装置8eに持球数、ファール球数表示装置8fにファール球発生時のファール球数を表示させると共に、引落ボタン8a、精算ボタン8b、返却ボタン8cの操作を検知する。
また、主制御装置80は、持球が存在し発射禁止設定が為されていない場合、発射制御装置84による遊技球の発射を許可する。発射制御装置84は、発射モータ30を制御して遊技球を遊技領域3に発射する。
なお、発射制御装置84には発射ハンドル64からの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号が入力される。回動量信号は、遊技者が発射ハンドル64を操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドル64を触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル64を触っていても遊技球は発射されない。
サブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカからの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が主制御装置80からの入力に基づいて生成したものとがある)に基づく制御を行い、擬似図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面に表示させる。尚、サブ統合制御装置83と主制御装置80とは、間に演出中継端子板65を介した主制御装置80からサブ統合制御装置83への一方向通信回路として構成され、サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とはサブ統合制御装置83から演出図柄制御装置82への一方向通信回路として構成されている。
次に、図4を用いて主制御装置80が実行する持球数表示処理を説明する。持球数表示処理は、本発明の減算手段と、ファール球表示手段と加算手段とを含む処理となり、発射球センサ91の遊技球検出に応じて、発射可能な持球数を管理する持球数カウンタのデクリメントを行うと共に、該持球数カウンタの値を表示する持球数表示装置8eの表示をデクリメントに応じて減算表示する処理を行い、賞球の発生に応じて持球数カウンタに加算すると共に持球数表示装置8eに表示された持球数の加算を行い、ファール球センサ93の検出に応じて、ファール球数カウンタにインクリメントを行いファール球数表示装置8fに表示されたファール球数に加算する処理を行う。また、ファール球センサ93の検出時には、個々の該検出からの時間を計時するためのタイマをセットする処理を行う。なお、持球数表示処理とは別に、引き落としボタン8aの操作に応じた玉貸処理実施時においても、持球数カウンタへの加算が行われ持球数表示装置8eの持球数に加算表示処理が行われる。
持球数表示処理を開始すると、発射球センサ91が遊技球を検出したか否か判定する(S10)。肯定判定なら(S10:yes)、発射可能な持球数を示す持球数カウンタから−1し(S13)、持球数カウンタの値を表示する持球数表示装置8eの表示数からも−1する処理を行う(S15)(本発明の減算手段に該当)。S15の後、又はS10が否定判定なら(S10:no)、ファール球センサ93が遊技球を検出したか否か判定する(S20)。肯定判定なら(S20:yes)、ファール球数カウンタに+1し(S25)、ファール球数表示装置8fに表示したファール球数に+1する処理(本発明のファール球表示手段に該当)を行い(S30)、ファール球保持タイマの計時を開始する(S35)。S35の後、又はS20が否定判定なら(S20:no)、賞球が発生したか否か判定し(S40)、肯定判定なら(S40:yes)、持球数カウンタに賞球数を加算し、持球数表示装置8eに賞球数を加算した表示を行う処理(本発明の加算手段に該当)を行う(S45)。S45の後、又はS40が否定判定なら(S40:no)リターンする。
以上が持球数表示処理となる。ファール球数カウンタは、ファール球センサ93が検出した遊技球数を持球数カウンタ(持球数表示装置8e)に加算する前に所定時間(本実施例では5秒とする)保持する装置であり、該所定時間は、ファール球数表示装置8fにファール球センサ93が検出したファール球数を表示する時間ともなる。また、この所定時間はファール球保持タイマが計時し、S35では、検出した個々のファール球に対して計時を開始する。
次に、図5を用いて実施例1において主制御装置80が実行するファール球移動処理1を説明する。この処理では、ファール球数カウンタに値がある場合、即ちファール球数表示装置8fでファール球数を表示している場合に、所定の条件が成立することにより、ファール球数カウンタ値を持球数カウンタに移動し持球数表示装置8eに加算表示する処理となる。
ファール球移動処理1を開始すると、ファール球数カウンタの値が0よりも大きいか否か判定する(S50)。否定判定なら(S50:no)リターンし、肯定判定なら(S50:yes)、持球数カウンタの値が0か否か、即ち、発射可能な持球数が無い状態か否か判定する(S55)。肯定判定なら(S55:yes)、持球数カウンタにファール球数カウンタの値を加算し(S60)(本発明の加算手段に該当)、持球数表示装置8eにファール球数カウンタの値を加算表示し(S65)、ファール球数カウンタの値をクリアし(S70)、ファール球数表示装置8fの表示数を0にして(S75)、リターンする。
S55が否定判定、即ち発射可能な持球があるなら(S55:no)、S35で計時を開始してから最も時間が経過したファール球保持タイマの値が所定時間(本実施例では5秒)を経過したか否か判定する(S80)。否定判定なら(S80:no)リターンに抜け、肯定判定なら(S80:yes)、持球数カウンタに+1し(S85)(本発明の加算手段に該当)、持球数表示装置8eの持球表示数に+1し(S90)、ファール球数カウンタから−1し(S95)、ファール球数表示装置8fのファール球表示数から−1し(S100)、所定値を超えたファール球保持タイマをクリアして(S105)リターンする。
以上が実施例1で主制御装置50が実行するファール球移動処理1となる。この処理により、発射可能な遊技球が有る場合にファール球が発生すると、所定時間(本実施例では5秒)が経過するまでファール球としてファール球数カウンタに保持し、所定時間が経過するとファール球数カウンタの値を持球数カウンタに移動することによって、ファール球が発射可能な遊技球となる。更に、ファール球を所定時間保持する以前に持球がなくなる(持球数カウンタの値が0になる)と、保持しているファール球数カウンタの値を即座に持球数カウンタに移動し、発射可能な遊技球としている。
また、上記したファール球のカウンタ移動に伴い、本実施例では各カウンタ(ファール球数カウンタ及び持球数カウンタ)の値を示すファール球数表示装置8fの表示と持球数表示装置8eの表示が変化し、これは、本発明の「前記ファール球表示手段は、前記ファール球検出手段の検出に基づく前記ファール球数表示装置への表示を所定時間実施した後に終了し、前記加算手段は該ファール球検出手段の検出に基づく前記持ち球表示装置への加算を該所定時間が経過した後に実施する」の構成と「前記ファール球表示手段がファール球数の表示中に前記持ち球表示装置に表示された持ち球数が0になると、該ファール球表示手段は該ファール球数の表示を終了し、前記加算手段が該ファール球数の示す値を前記持ち球表示装置に加算する」との構成に該当する。
次に、上記処理に伴う持球数表示装置8eとファール球数表示装置8fとの表示変化の具体的な様子を、図6、7を用いて説明する。(1)は、持球数表示装置8eとファール球数表示装置8fの位置関係を示す図である。持球数表示装置8eの右横に数字が並ぶようにファール球数表示装置8fが配置されている。本実施例では、表示する数字の大きさ及び表示色は共通となっているが、異なる構成でもよい。
(2)は、ファール球が発生していない状況を示す図であり、具体的には、遊技球の連続した発射に応じて持球数が1500個から1496個まで減少する場合に、ファール球が発生しなかった場合の持球数表示装置8eとファール球数表示装置8fの表示態様を示す図となる。左側の持球数表示装置8eが、連続した遊技球の発射に応じて表示数を1個ずつ減少させて表示内容を変化させるのに対して、右側のファール球数表示装置8fは、その期間に保持又は発生したファール球が無いため、表示数「00」を継続して表示する。
(3)は、連続した遊技球の発射時にファール球が1個発生した状況を示す図であり、具体的には、持球数が1500個から1491個まで減少する遊技中において、持球数が1498個の時点でファール球が1個発生した場合の持球数表示装置8eとファール球数表示装置8fの表示態様を示す図となる。
この場合、右側のファール球数表示装置8fは、ファール球が1個発生したことに応じて、持球数が1498個の時点から「01」の表示を開始する。この表示は、表示開始から約5秒間継続し、持球数表示装置8eの表示内容が1498から1492に変化するまでとなる(発射制御装置84は、1分間に100個の遊技球を発射する)。ファール球の検出から5秒が経過すると、ファール球数表示装置8fに表示された「01」が「00」に変化する。この変化時は持球数表示装置8eの表示が1492から1個遊技球を発射した1491に変化する時点に該当するが、この時点で持球数表示装置8e(持球数カウンタ)にファール球数が1個加算されるため、1492を継続して表示し、引き続いて遊技球が発射されることにより表示内容が1491に変化する。
(3)の右側の四角で囲んだ記載は、ファール球数表示装置を備えない持球数表示装置のみの構成で上記した状況(ファール球の発生)を表した図となる。この場合では、持球数の連続した減算表示の中で、ファール球の検出に応じて同じ数値を表示する時間が長くなる(又は瞬間的に数値に+1される)だけで、遊技者にはファール球の扱い(ファール球が再度発射可能な遊技球となったのか否か)が判り辛い。従って、(3)の左右の記載を比べると、明らかに左側の表示構成の方が、ファール球の発生と該ファール球が持球に加算されるタイミング(ファール球数表示が減算されるタイミングが持球数に加算されるタイミングとなる)が明確になっている。
図7の(4)は、連続した遊技球の発射により持球数が0になった時点でファール球を保持していた場合、該ファール球の保持時間に拘らず該ファール球を発射可能な遊技球に移動する状況を示す図である。具体的には、持球数が6個から0個まで減少する遊技中において、持球数が3個の時点でファール球が1個発生した場合の持球数表示装置8eとファール球数表示装置8fの表示態様を示す図となる。
この場合、持球数表示装置8eの表示が3個になった時点でファール球を検出し、ファール球数表示装置8fが「01」の表示を開始する。この表示は、持球数表示装置8eの表示が「0」になると(持球数カウンタの値が0になると)、ファール球の検出から5秒が経過していなくても終了し、ファール球数表示装置8fに表示されていたファール球が持球数表示装置8eに移動し発射可能な遊技球となる。
以上が実施例1の説明となる。図6、7を用いた持球数表示装置8eとファール球表示装置8fの表示内容の説明では、例としてファール球の検出数を1個として説明したが、ファール球の保持期間(5秒)内に新たなファール球の検出を行った場合には、ファール球数表示装置8fの表示数に(ファール球数カウンタに)新たな検出分を加算して表示する。
また、ファール球数表示装置8fに複数のファール球が表示されている場合には、ファール球毎にタイマが設定されているため、所定時間が経過したファール球から順に持球数表示装置8eに移動し、それに合わせてファール球数表示装置8fの表示は減算される。
次に実施例2について説明する。本実施例に於いて循環式遊技機の基本構成は実施例1と共通である。従って、重複する部分は実施例1を援用して説明を進める。
実施例2において実施例1と異なるのは、ファール球返却ボタンを備え、ファール球を保持している場合に、遊技者のファール球返却ボタンの操作に応じてファール球を発射可能な待球に移動可能とする点と、保持しているファール球数が所定数に達した場合に該ファール球数を待球に移動する点となる。
本実施例におけるファール球返却ボタン8hは、図8に示すように、ファール球数表示装置8fの直下に設けることにより、ファール球との関連性を強調すると共に、その形状を四角形とし、他の操作ボタンとは異なる性能であることを示している(本発明のファール球返却ボタンに該当)。
また、ファール球返却ボタン8hの電気的構成は、図9に示すように、ICカード中継基板23を介して主制御装置80に接続され、主制御装置80がファール球返却ボタン8hの操作を検知する構成となっている。
次に、図10に示したフローチャートを用いて、実施例2において主制御装置80が実行するファール球移動処理2を説明する。この処理は、その基本構成を実施例1で説明したファール球移動処理1と同じくし、ファール球数カウンタと持球数カウンタとが0でない場合に、ファール球返却ボタン8hの検出判定と、ファール球数カウンタの値が所定数に達したか否かの判定を追加した構成となる。
ファール球移動処理2を開始すると、ファール球数カウンタの値が0よりも大きいか否か判定し(S150)、肯定判定なら(S150:yes)、持球数カウンタの値が0か否か判定し(S155)、肯定判定なら(S155:yes)S160からS175までの処理を実施しリターンするが、このS150からS175までの処理はファール球移動処理1のS50からS75までと同一の処理構成となるため説明は援用とする。
S155が否定判定なら(S155:no)、ファール球返却ボタン8hの操作が未検出か否か判定する(S180)。否定判定、即ち、ファール球返却ボタン8hの操作が検出されたなら(S180:no)、S160、S165、S170、S175の処理を行い、ファール球数カウンタの値を持球数カウンタに移動すると共に、ファール球数表示装置8fの表示数も持球数表示装置8eに移動する。これは、本発明の「ファール球数表示装置にファール球数を表示している時に遊技者がファール球返却ボタンを操作すると、前記ファール球表示手段による該ファール球数の表示を終了し、前記加算手段によって該ファール球数が示した値を前記持ち球数表示装置に加算する」に該当する。
S180が肯定判定なら(S180:yes)、ファール球数カウンタの値が5未満か否か判定する(S185)。否定判定、即ち、保持しているファール球が5個に達したら(S185:no)、S160、S165、S170、S175の処理を行い、ファール球数カウンタの値を持球数カウンタに移動すると共に、ファール球数表示装置8fの表示数も持球数表示装置8eに移動する。これは、本発明の「前記ファール球数表示装置に表示されたファール球数が所定数に達すると、前記ファール球表示手段は該ファール球数の表示を終了し、前記加算手段によって該ファール球数の示す値を前記持ち球数表示装置に加算する」に該当する。S185が肯定判定なら(S185:yes)、S190に進み、引き続いてS195、S200、S205、S210、S215の処理を行ってリターンする。この、S190からS215の処理はファール球移動処理1のS80からS105の処理構成と同一なため説明は援用とする。
以上がファール球移動処理2の説明となる。この処理では、ファール球移動処理1と同様に、ファール球発生からの所定時間と持球数が0でないかの判定とに応じてファール球を発射可能な遊技球に移動すると共に、所定時間が経過しなくてもファール球数カウンタの値が5になった時点又は、ファール球返却ボタン8hが操作された時点でファール球を発射可能な遊技球に移動する処理となる。
次に、ファール球移動処理2に応じた持球数表示装置8eとファール球数表示装置8fとの表示内容の具体的な変化の様子を、図11、12を用いて説明する。図11は、連続した遊技球の発射時にファール球が1個発生し、所定時間が経過する前にファール球返却ボタンが操作された状況を示す図であり、具体的には、持球数が1498個の時点でファール球が1個発生し、遊技者のファール球返却ボタンの操作に応じてファール球が持球に移動する場合の持球数表示装置8eとファール球数表示装置8fの表示態様を示す図となる。
この場合、右側のファール球数表示装置8fは、ファール球が1個発生したことに応じて、持球数が1498個の時点から「01」の表示を開始する。この表示は、表示開始から遊技球を3個発射した時点(1496)でファール球返却ボタン8hが操作されるまで継続する。ファール球返却ボタン8hが操作されると、ファール球数表示装置8fに表示された「01」が「00」に変化する。この変化時は持球数表示装置8eの表示が1496から1個遊技球を発射した1495に変化する時点に該当するが、この時点で持球数表示装置8e(持球数カウンタ)にファール球数が1個加算されるため、1496を継続して表示し、引き続いて遊技球が発射されることにより表示内容が1495に変化する。
図12は、所定時間が経過する前のファール球の合計が5個になり、その5個のファール球が持球に移動した状況を示す図であり、具体的には、持球数が1498個から1494個までにかけてファール球が1個ずつ発生し、持球数が1494個の時点で保持しているファール球の合計が5個となったために該5個のファール球が持球に移動する場合の持球数表示装置8eとファール球数表示装置8fとの表示態様を示す図となる。
この場合、右側のファール球数表示装置8fの表示は、持球数表示装置8eの表示が1498の時点で「01」、1497の時点で「02」、1496の時点で「03」、1495の時点で「04」、1494の時点で「05」と増加し、この「05」となった時点でS185が否定判定となりファール球数カウンタの値(5)が持球数カウンタに移動する。持球数表示装置8eとファール球数表示装置8fの表示内容も、このS185の否定判定を契機に加減算が行われ、持球数表示装置8eの表示は1494から遊技球を1個発射した1493の時点で5が加算され1498となり、ファール球数表示装置8fの表示は5が減算され「00」となる。
以上が実施例の説明となる。従来機では、ファール球の検出に応じて持球数表示に直接+1されるため、連続して−1ずつ減算されている表示数が、ファール球の検出時は−1されるタイミングずれるだけで、ファール球が再度発射可能な遊技球となったかが非常に分かり辛かった。
実施例の循環式遊技機では、持球数表示装置8eの表示は従来機と同様に遊技球の連続発射に応じて絶えず変化(表示数が遊技球の発射に応じて−1ずつ連続して減算されていく)するが、この状況でファール球が発生すると、発生したファール球数を所定期間ファール球数表示装置8fに表示することによって、ファール球の発生及び発生したファール球数を遊技者が容易に確認しやすくなっている。更に、所定期間経過後は、ファール球数表示装置8fの表示が減算されると同時に持球数表示装置8eの連続した減算表示のタイミングにずれが生じるため、ファール球が発射可能となる持球に移動した時期が判別できる。
また、よりファール球の持球への移動をわかり易くするために、持球数表示装置8eはファール球数カウンタの値が加算されるタイミングに限って、所定期間(例えば1秒)表示色を変化させる構成も考えられる(通常「緑色」。加算時「赤色」に変化)。これにより、よりファール球が持球に加えられたことが更に認識しやすくなる。