以下、この発明の第1実施形態に係るデジタルサイネージシステムを(以下、単に「このデジタルサイネージシステム」と呼ぶ。)を添付図面に基づいて説明する。図2に示すように、このデジタルサイネージシステムは、複数の表示装置1a〜1cと、移動通信端末2と、ネットワーク3aを介して複数の表示装置1a〜1cに接続された管理装置4とを備える。
各表示装置1a〜1cは、ネットワーク3aに属するノードになっている。各表示装置1a〜1cは、平面ディスプレイやプロジェクタのような電子的な表示装置からなる。各表示装置1a〜1cは、街頭、交通機関等の公共の場所に設置し、その表示画面に画像情報(静止画像又は動画像)を表示することができる。ネットワーク3aは、IP網になっている。
移動通信端末2は、画面2aを有し、各表示装置1a〜1cから独立して移動可能な通信端末からなる。移動通信端末2は、無線ネットワーク3b、ネットワーク3aを介して管理装置4に接続される。移動通信端末2は、表示装置1a〜1cを視聴するユーザによって使用される。
管理装置4は、Webサーバ4aと、コンテンツサーバ4bと、サイネージ管理サーバ4cとで構成された分散コンピューティングシステムになっている。管理装置4の諸機能を図3に示す。また、管理装置4は、図4(a)、(b)に概念的に示すように、諸項目のデータを2つのテーブルで管理するデータベースを備える。このデータベースを活用して図3中の機能の幾つかが実現されている。なお、管理装置4は、単独のサーバで構成してもよいし、Webサーバ4aを除き、コンテンツサーバ4b、サイネージ管理サーバ4cを閉域網、例えば外部のネットワーク3aに対するローカルネットワークに配置してもよい。
具体的には、図3、図4(b)に示すように、管理装置4は、登録装置管理手段11を備える。登録装置管理手段11は、表示装置1a〜1cとの通信に用いるネットワークアドレス(図中の項目「IPアドレス」)、表示装置1a〜1cごとに固有な識別子(図中の項目「サイネージID」)、及び表示装置1a〜1cの位置情報(図中の項目「位置情報」に示す経度、緯度)を管理する処理を担う。
また、管理装置4は、利用候補決定手段12を備える。利用候補決定手段12は、登録装置管理手段11のデータベースに登録されている表示装置1a〜1c(サイネージID「3333」、「7777」、「8888」)の位置情報、移動通信端末2の位置情報及び所定の位置関係制限規則に基づいて、当該移動通信端末2と、コンテンツの表示先にする1つ以上の表示装置1a、1bとを紐付ける。
例えば、利用候補決定手段12は、移動通信端末2の位置情報を検索キーとして、位置関係制限規則を満足する1つ以上の表示装置1a、1bを抽出し、その抽出した表示装置1a,1bをコンテンツの表示先として、検索キーとした移動通信端末2に紐付ける処理を行うものとする。別例として、利用候補決定手段12は、コンテンツの表示先にする1つ以上の表示装置1a、1bの位置情報を検索キーとして、位置関係制限規則を満足する移動通信端末2を抽出し、その抽出した移動通信端末2を検索キーとした表示装置1a、1bに紐付ける処理を行うものにすることもできる。これら両例の処理を両方実装し、管理装置4へのオペレータ入力による手動切り替え、又は振り分けプログラムによる自動切り替えが行われるようにしてもよい。位置関係制限規則は、管理装置4の運営者側で自由に決定すればよい。なお、利用候補決定手段12は、移動通信端末2の位置情報を取得し、データベースで管理する機能をもっている。管理装置4が2つ以上の移動通信端末2にサービスを提供する場合、利用候補決定手段12は、全ユーザの移動通信端末2の位置情報を管理するようになっている。
移動通信端末2の位置情報は、移動通信端末2の現在位置を直接的又は間接的に示すものであればよく、取得先は問わない。直接的に示す位置情報として、例えば、管理装置4にアクセスする移動通信端末2のGPS機能で測定した測位座標が挙げられる。間接的に示す位置情報として、移動通信端末2が接続する基地局の経度、緯度が挙げられる。また、基地局と通信する電波強度等から移動通信端末2の位置情報を求めることもできる。
例えば、移動通信端末2の直接的な位置情報を取得する場合、表示装置の位置情報(X,Y,Z)とユーザ端末の位置情報(X,Y,Z)間の距離を計測し、表示装置1a〜1cの中から、前記位置関係制限規則:両者の距離が一定距離(閾値)以下である、を満足する表示装置を抽出する方式を採用することができる。このような方式の利用候補決定手段12として、例えば、特許文献1に開示したものを採用することができる。また、移動通信端末2の間接的な位置情報を取得する場合、基地局(WiFi等)の識別子(SSID等)を管理装置4に送信し、表示装置1a〜1cの中から、当該識別子に対応する表示装置を抽出する方式を採用することができる。この方式を採用する場合、予め、データベース上に、前記位置関係制限規則として、基地局(識別子)と表示装置1a〜1cの対応付けが登録されていることが前提になる。以下、図示例では、表示装置1a、1bを抽出したものとする。
また、管理装置4は、格納手段13と、配分管理手段14とを備える。格納手段13は、ネットワークアドレス及び前記識別子から独立した2種以上の識別表示情報を記憶する。配分管理手段14は、コンテンツの表示先にする表示装置1a、1bごとに、2種以上の識別表示情報の中から1種の識別表示情報を割り当てる処理を担う。
識別表示情報は、表示装置1a〜1c、移動通信端末2のそれぞれで表示可能なデータからなる。識別表示情報として、画像データ、テキストデータを採用することができる。例えば、画像データとして、写真、イラスト、画面塗潰し、広告等の静止画像データを採用することができる。また、テキストデータとして、数字、文字、記号を用いることもでき、これらを画像データと組み合わせることもできる。数字、文字を用いる場合、アルファベットの一文字、1桁の数字等、見易いものを採用することが好ましい。識別表示情報にテキストデータを含める場合、4文字以下であれば、格別読み取りに時間がかかるわけではなく、暗証番号の文字数として一般的に受け入れられているので、そのテキストデータのキー入力を要求してもユーザにとって煩雑な入力にはならない。また、画面塗潰しを採用する場合、赤、黄、青といった色相の相違が明確な淡色の塗潰し画像にすることが好ましい。前記1種、2種は、識別表示として見た場合に相違するという意味であり、全種の識別表示情報を、例えば、静止画データで統一してもよい。
図3、図4(a)に示すように、格納手段13は、識別表示情報の固有のID番号(図中の項目「画像ID」)、識別表示情報に固有のファイル名(図中の項目「ファイル名」)を対応付けて管理する処理を担う。なお、図4(a)では、画像データを識別表示情報に採用した一例として、Neko(猫)、Zou(象)、Kirin(麒麟)の動物写真データを挙げている。
例えば、配分管理手段14は、管理下にある未使用の識別表示情報の中から、表示装置1aに「Neko」の識別表示情報を割り当て、表示装置1bに「Zou」の識別表示情報を割り当てる。配分管理手段14は、その割り当てを図4(a)、(b)のテーブルに反映させる。割り当て処理は、例えば、図4(a)の項目「画像ID」と図4(b)の項目「サイネージID」をキーとして対応付ける処理で実現することができる。なお、図4(a)例では、項目「状態」において、対応付けがある状態を「Assigned」と記述し、項目「割当サイネージID」に図4(b)の項目「サイネージID」の対応のものを記述するようになっている。また、図4(b)例では、項目「動的アドレス」において、対応付け関係を図4(a)の項目「画像ID」の対応のものを記述するようになっている。また、図4(a)、(b)において、対応付けがなく自由に使用可能な状態の表示装置1c(サイネージID「3333」)、静止画像情報(画像ID「003」、ファイル名「Kirin」)を「UnAssigned」と記述するようになっている。
また、図3に示す管理装置4は、表示装置制御手段15と、利用先問合せ手段16とを備える。表示装置制御手段15は、配分管理手段14で割り当てた識別表示情報の表示を、当該割り当て先になっている表示装置1a、1bへ要求する。これを受信した表示装置1aは、図5に示すように、「Neko」の識別表示情報を表示し、表示装置1bは「Zou」の識別表示情報を表示する。表示装置1a、1bは、管理装置4へ表示完了を応答する。この応答を受信した表示装置制御手段15は、図4(b)の項目「状態」に反映させる。なお、項目「状態」では、表示装置が識別表示情報を表示中の状態を「Dynamic Address Assigned」と記述し、表示装置が識別表示情報を非表示で自由に使用可能な状態を「Available」と記述するようになっている。なお、表示装置制御手段15は、表示装置ごとの画面サイズや分解能、視野角といった表示能力の登録データ、表示装置ごとの位置情報の管理、表示装置の状態管理なども実施する。
図3に示す利用先問合せ手段16は、利用候補決定手段12で1つ以上の表示装置1a、1bに紐付けられている移動通信端末2へ、配分管理手段14で当該1つ以上の表示装置1a、1bのいずれかに割り当てられている識別表示情報を当該移動通信端末2から入力するように促す要求メッセージを送信する。図示例では、利用先問合せ手段16が、図5中での画像「Neko」,「Zou」を移動通信端末2に送信し、その画像「Neko」,「Zou」のどちらかの選択入力を要求する。
管理装置4が前記要求メッセージに対する応答を移動通信端末2から受信すると、配分管理手段14は、その応答で落選した識別表示情報(図5中での画像「Zou」)を抽出し、その落選した識別表示情報と、その落選した識別表示情報の割り当て先になっている表示装置1bとを解放する。配分管理手段14は、図4(a)、(b)に示すテーブルに、その解放を反映させる。その結果、図4(c)に示すように、項目「サイネージID」が「8888」(落選した表示装置1b)のレコードにおける項目「状態」に「Available」と記述し、同項目「動的アドレス」に「UnAssigned」と記述するようになっている。また、項目「サイネージID」が「7777」(当選した表示装置1a)のレコードにおける項目「状態」に、使用中であることを示す「InService」と記述するようになっている。また、図4(d)に示すように、項目「画像ID」が「002」のレコードにおける項目「状態」に「Available」、同項目「割当サイネージID」を空欄に戻すようになっている。
なお、管理装置4は、前記応答で当選した表示装置1aに対して、識別表示情報とは異なるコンテンツを表示するための制御を開始するようになっている。ユーザが視聴する表示装置1aを決定後(移動通信端末2へのユーザ入力トリガ)、広告等のメインコンテンツ表示を開始することになる。このため、メインコンテンツを冒頭から見逃すことを防止できる。
図3、図5に示すように、移動通信端末2は、ユーザ入力手段21を備える。ユーザ入力手段21は、利用先問合せ手段16からの前記要求メッセージに応じて、利用先問合せ手段から送信された1種以上の識別表示情報(図5中での画像「Neko」,「Zou」)を画面2aに表示し、当該表示上で識別表示情報を選択することができるユーザインターフェースになっている。ユーザ入力手段21は、カメラ撮影や煩雑なキー入力を要しないものであればよく、例えば、Webブラウザで画像「Neko」,「Zou」をリスト表示し、ユーザがカーソルを合わせて、又は指等でタッチして、画像「Neko」又は「Zou」を選択することができるようなものである。
上述の図3に示す管理装置4の諸機能は、Webサーバ4a等に備わる1又は複数の演算処理装置でコンピュータプログラムを実行することにより、記憶装置、ネットワークインターフェイスといったハードウェア資源上に構成される。また、移動通信端末2のユーザ入力手段21は、移動通信端末2に備わる1又は複数の演算処理装置でコンピュータプログラムを実行することにより、画面2a、記憶装置、ネットワークインターフェイスといったハードウェア資源上に構成される。
このデジタルサイネージシステムにおいて、利用候補決定手段12が移動通信端末2のGPS測位情報を取得し、その移動通信端末2の位置情報を検索キーとするものを例として、ユーザのアクセスから表示装置の利用開始までのシーケンスを図6〜図9に示し、この間の管理装置4の動作を図1のフローチャートに示す。
先ず、図1、図6に示すように、移動通信端末2は、管理装置4のWebサーバにアクセスし、利用希望要求を送信する。この要求中に、移動通信端末2の経度、緯度を記述した位置情報が含まれている。管理装置4は、その移動通信端末2の利用希望要求を受信すると、その移動通信端末2の位置情報及びネットワークアドレスを取得し、登録済みの表示装置の位置情報を用いた所定の判定条件に従って、移動通信端末2に近い表示装置1a(サイネージID:7777)、1b(サイネージID:8888)を抽出する(S1)。移動通信端末2のネットワークアドレスは、以降、移動通信端末2との通信に利用される。
次に、図1、図7に示すように、管理装置4は、識別表示情報を表示装置1a、1bに割り当て(S2)、表示装置1a、1bのそれぞれに対応の識別表示情報(「Neko」,「Zou」)の表示を要求する。
次に、表示装置1a、1bは、それぞれ対応の識別表示情報を表示し、その表示完了を管理装置4に応答する。管理装置4は、この応答を受信すると、移動通信端末2へ対応の識別表示情報(「Neko」,「Zou」)を送信すると共に、これらの中からの選択入力を促すための要求メッセージを送信する(S3)。なお、応答を受信しない場合、管理装置4は、タイムアウト処理等で使用不可な表示装置と判断し、これを前述のテーブルに反映させる。
次に、図8に示すように、移動通信端末2は、前記要求メッセージ中のデータを用いて、画面に「Neko」,「Zou」を表示する。ユーザは、その画面の表示と、図7で完了している表示装置1a、1bの表示とを見比べ、表示装置1a、1bのいずれで視聴するか任意に決める。ユーザは、決めた方の識別表示情報を移動通信端末2の画面の表示上で選択するカーソルの位置合わせを行い、そこでプッシュ、ないしエンターキーをプッシュする簡単な操作で入力を確定する。移動通信端末2は、選択に当選した識別表示情報(「Neko」)を示すメッセージを含んだ応答を管理装置4に送信する。
次に、図1、図9に示すように、管理装置4は、当選した識別表示情報(「Neko」)に対応の表示装置1aに対し、利用開始するための通知や制御を実行する(S4)。
次に、管理装置4は、前記要求メッセージに対する応答で落選した識別表示情報(「Zou」)と、落選した識別表示情報(「Zou」)の割り当て先になっている表示装置1bとを解放し、以後、自由に使用可能な状態とする(S5)。ここで、管理装置4は、表示装置1bへ識別表示情報(「Zou」)の表示を中止し、待機画面の表示を要求する。ユーザを待たせないようにするため、(S4)を(S5)に優先させたが、両処理の時差が問題ない場合、これらの実行順を入れ替えてもよい。
例えば、(S4)において管理装置4がメインコンテンツのダウンロードを表示装置1aに要求し、表示装置1aが管理装置4のコンテンツサーバからのダウンロードを完了し、メインコンテンツの表示を開始すると、これが管理装置4に通知される。
また、図1の(S5)で識別表示情報(「Zou」)の表示中止等を要求された表示装置1bは、図9に示すように、この要求の実行完了を管理装置4に応答する。
また、図1の(S4)以降、図9に示すように、管理装置4と表示装置1a間、表示装置1aと移動通信端末2間での利用状態が遷移すると、適宜の必要な情報が管理装置4へ通知される。
このように、このデジタルサイネージシステムによれば、将来的に管理装置4で管理する表示装置1a〜1cの数が増えても、ユーザの移動通信端末2の近くに存在する表示装置1a、1bごとに、視認し易い識別表示情報(「Neko」,「Zou」)を表示し、その移動通信端末2の画面2aでも利用候補分の識別表示情報(「Neko」,「Zou」)を見ることができるようにし、その画面2a上で識別表示情報(「Neko」)を選択するユーザ操作によって利用候補の表示装置1aを特定することができるようにしたので、移動通信端末2によるカメラ撮影や煩雑なキー入力を要することなく、ユーザが表示装置1aの選択を容易に行うことが可能である。
また、このデジタルサイネージシステムによれば、ユーザが移動通信端末2と表示装置1a、1bの表示(「Neko」,「Zou」)を見比べて表示装置1aを選択することになるので、ユーザが表示装置1aを視認したか管理装置側で確認することができる。したがって、各表示装置1a〜1cでの広告効果を管理装置4側で統計的に記録する用途にも好適である。
なお、上述の例では識別表示情報として動物の写真データを例示したが、識別表示情報として、広告主、商品名又はサービス名を告知する画像情報を採用することもできる。図10に例示したように、広告主を告知する画像情報(図中「A株式会社」に係る表示)や、商品名又はサービス名を特定する画像情報(図中「光回線サービスBB」に係る表示)は、シンプルな表示にすることができるので、見易い識別表示情報になり得る。この場合、ユーザは最初に広告主を確認して表示装置1aを選択することになるので、識別表示情報が広告をユーザに閲覧させるための動機付けになる。
第2実施形態に係るデジタルサイネージシステムを説明する。以下、第1実施形態との相違点を述べるに留める。第2実施形態は、図11に示すように、オンラインゲームシステムへの適用例である。この発明において、「オンラインゲーム」とは、複数のプレイヤが同時に遊戯可能なコンピュータゲームであって、各プレイヤが自己のクライアントからコンピュータネットワークを介してオンラインゲームサーバにアクセスし、自己のゲームコントローラ(クライアント)から要求コマンドをオンラインゲームサーバに送信してゲームを進めることができるものをいい、そのコンピュータゲームに同時に参加し得る人数や、そのコンピュータゲームで構築される仮想空間の数は問わない。
管理装置4は、オンラインゲームの進行を制御するゲーム管理手段31をさらに含み、オンラインゲームサーバとして機能する。
移動通信端末2は、コンピュータネットワークを介してゲーム管理手段31の通信手段32に接続するための通信手段41と、ゲームコントローラとしてゲーム管理手段31との間のコマンドの入出力を行うためのユーザインターフェース制御手段42とを有する。このように移動通信端末をゲームコントローラとして使用可能なオンラインゲームは、一般に、モバイルゲームと呼ばれている。この発明は、移動通信端末に専用のソフトウェアをダウンロードすることなくプレイ可能なブラウザゲーム、移動通信端末に専用のソフトウェアをダウンロードし、移動通信端末のアプリケーション実行機能を利用した携帯電話アプリゲームのいずれにも適用可能である。適用するゲームジャンルは特に問われず、例えば、モンスター等を倒すMO(Multiplayer Online)タイプ又はMMO(Massively Multiplayer Online)タイプのRPG(Role Playing Game)、一人称視点のファースト・パーソン・シューティング(First Person Shooting)が挙げられる。
表示装置1a〜1cは、自己の画面表示を制御する表示制御手段51と、通信手段32に接続するための通信手段52とを有する。
ゲーム管理手段31は、オンラインゲームの実行を一元的に管理する。ゲーム管理手段31は、その要求コマンドに基づいてゲームを進行する。ゲーム管理手段31は、ユーザ情報、仮想空間の構築に用いるゲームデータ等のオンラインゲームの実行に要する各種データや、ユーザのログイン処理や、タイトル画面、プレイ画面、エンド画面等のゲーム画面の生成を行い、各表示装置1a〜1c、各プレイヤの移動通信端末2以外で実行する全てのゲーム処理を行う。プレイヤは、ゲーム管理手段31の支配下で、移動通信端末2から希望の操作に対応の要求コマンドを入力することができる。以下、プレイヤがオンラインゲームの仮想空間でモンスターと対戦するゲーム内容を例に説明する。
前記識別表示情報は、オンラインゲームの仮想空間に登場するノンプレイヤオブジェクトの画像データを含んでいる。この発明において、「ノンプレイヤオブジェクト」とは、プレイヤによって直接に操作することができないオブジェクトをいう。また、「オブジェクト」とは、ゲーム世界を構成する仮想空間に表示される要素をいう。「オブジェクト」は、仮想空間での位置が固定していて移動することのない「固定オブジェクト」と、仮想空間での移動が可能な「移動オブジェクト」とに分けられる。「移動オブジェクト」としては、仮想空間でプレイヤの分身として振る舞うプレイヤオブジェクトに付随する装備やペットといったオプションオブジェクト、仮想空間でプレイヤの対戦相手となるモンスターや他クライアントオブジェクトといった敵オブジェクト、ゲーム進行上、発生する宝箱、道具、通貨といったアイテムオブジェクトが挙げられる。他クライアントオブジェクトは、他のプレイヤによって他のクライアントから直接に操作されるオブジェクトである。
図12に示すように、表示装置1aに表示されるノンプレイヤオブジェクトの画像は、例えば、プレイヤ向けの対戦相手として仮想空間に登場する敵オブジェクトの画像である。例示の敵オブジェクトは、他クライアントオブジェクトではなく、データ管理手段31によって操作されるものとなっており、一般には、モンスターオブジェクトと呼ばれるものである。図12、図13中の項目「モンスターID」は、上述の第1実施形態における識別表示情報の固有のID番号に相当する。モンスターIDは、ノンプレイヤオブジェクトごとに固有なNPO識別子として割り当てられている。また、図13中の項目「モンスター名」は、第1実施形態における識別表示情報に固有のファイル名に相当する。なお、管理装置4の利用候補決定手段、配分管理手段、利用先問合せ手段は、ゲーム管理手段31の一部として働く。これは、上述のように対戦相手とするノンプレイヤオブジェクト及びNPO識別子を識別表示情報に使用するためであり、あるプレイヤ向けに使用中のモンスターやモンスターIDが、ゲーム進行の管理外で他プレイヤ向けの識別表示情報として勝手に割り当てられることを避けるためである。
図12に示すように、表示装置(代表例として表示装置1aを図示する。)に表示される識別表示情報は、ノンプレイヤオブジェクトの画像データ(モンスターの画像データ)と、NPO識別子(モンスターIDのテキストデータ)とを含んでいる。
図11に示す管理装置4は、オンラインゲームへの参加資格をもったユーザごとに固有なユーザID情報と、当該ユーザによって使用される移動通信端末2の位置情報とを紐付けて管理する。移動通信端末2の位置情報は、定期的に更新される。
移動通信端末2のユーザインターフェース制御手段42は、管理装置4の利用先問合せ手段から送信された前記要求メッセージ中のデータを用いて、図14に例示のように、コマンド選択画面を自己の画面2aに表示する。そのコマンド選択画面には、近くの表示装置にモンスター出現中であることを知らせるテキストメッセージと、モンスターIDの入力を促すテキストメッセージと、画面上でコマンドを入力するためのウインドウ61、ボタン62、63とが含まれている。ウインドウ61には、ユーザが近くの表示装置に表示されているモンスターID(すなわち、NPO識別子)を入力することができる。ウインドウ61にモンスターID(NPO識別子)を入力すると、図11に示すユーザインターフェース制御手段42は、前記要求メッセージに対する応答として、そのモンスターID(NPO識別子)を管理装置4の通信手段32へ送信する。なお、ユーザインターフェース制御手段42とゲーム管理手段31間の通信は、IP網で接続された通信手段41、32を介して行われるようになっている。
さらに、プレイヤの行動選択を入力するため、図14に示す「戦う」ボタン62、「逃げる」ボタン63のうち、「戦う」ボタン62を選ぶ入力が行われた場合、対戦要求コマンドが通信手段32に送信され、これを受信したゲーム管理手段31は、プレイヤと表示装置1aに表示されている敵オブジェクトとの対戦処理を開始する。一方、「逃げる」を選ぶ入力が行われた場合、逃走要求コマンドが通信手段32に送信され、これを受信したゲーム管理手段31は、プレイヤとの対戦処理を開始せずに、当該プレイヤ向けのゲーム処理を終了する。
ゲーム管理手段31は、図15に示す対戦管理テーブルを有する。具体的には、オンラインゲームへの参加資格をもったユーザごとに固有なユーザID情報を項目「ユーザID」で管理する。また、ユーザによって使用される移動通信端末2の位置情報を項目「ユーザ位置情報」で管理する。また、コンテンツの表示先とする表示装置の位置情報を項目「割当サイネージ位置情報」で管理する。また、「割当サイネージ位置情報」と「ユーザ位置情報」を用いて求めた距離を項目「対ユーザ間距離」で管理する。これら各項目を「ユーザID」に紐付けて管理する。対戦相手となる敵オブジェクトの「モンスターID」と「割当サイネージ位置情報」の対応関係は、配分管理手段から知ることができる。「ユーザ位置情報」は、利用候補決定手段から知ることができる。利用候補決定手段は、移動通信端末2の位置情報を定期的に取得する。この取得タイミングに合わせてゲーム管理手段31も「ユーザ位置情報」を定期的に更新し、「対ユーザ間距離」の更新も自動的に行う。
図11に示すゲーム管理手段31は、前記要求メッセージに対する応答で当選した識別表示情報の割り当て先になっている表示装置1aを知ると、その表示装置1aに紐付けられている移動通信端末2をゲームコントローラとするプレイヤ向けにゲーム画面を生成する。ゲーム管理手段31は、生成したゲーム画面を表示装置制御手段15に渡す。表示装置制御手段15は、対応の表示装置1aに、そのゲーム画面の表示を要求する。ゲーム画面は、例えば、図16に示すように対戦相手のモンスターの画像65と、状態表示部66とを含むプレイ画面である。状態表示部66には、例えば、「交戦中」、「逃走中」といった仮想空間での基本的な行動状態や、モンスターの能力値や、仮想空間で設定されているプレイヤの能力値、所持アイテムをプレイヤに知らせるための情報が表示される。
図11に示すゲーム管理手段31は、ゲーム画面の表示要求先にしている表示装置1aと、プレイヤに使用される移動通信端末2との位置関係に基づいて、前記仮想空間で距離概念をもった操作の入力可否を制御する。具体的には、図15に示す対戦管理テーブルの項目「割当サイネージ位置情報」の位置情報と、項目「ユーザ位置情報」の位置情報を用いて求めた項目「対ユーザ間距離」が、前述の位置関係を示す情報になる。対ユーザ間距離は、表示装置の経度、緯度で特定される座標点と、移動通信端末の経度、緯度で特定される座標点とを結ぶ直線距離として算出されている。通常、図16に示すゲーム画面を見るプレイヤは、表示装置1aの前に位置するので、表示装置1aと同じような高度に位置している。このため、経度、緯度の二次元座標系で考えた対ユーザ間距離であっても、表示装置1aと、これを見るプレイヤとの間の距離と概ね一致する。なお、ビル高所の外壁面に設置された商業用大型電子掲示装置のように表示装置1aが地上高をもち、プレイヤが地面に立つような状況の場合、高度を含む三次元座標系で直線距離を求めるようにしてもよい。プレイヤの移動による移動通信端末の位置変化を追跡するため、ユーザ位置情報には、GPS測位情報のように、移動通信端末の位置を直接的に示す位置情報を用いる。
図11に示すゲーム管理手段31は、対ユーザ間距離を所定の閾値で判別し、当該判別結果に応じて前記仮想空間で距離概念をもった操作の入力可否を切り替える内容の制御を行う。仮想空間で距離概念をもった操作は、仮想空間におけるプレイヤの位置に基づいた距離に応じて入力可否が決まる操作である。例えば、前記対戦に用いる攻撃方法の決定操作であり、プレイヤオブジェクトの位置と敵オブジェクトの位置とで求めた距離が当該攻撃方法の属性として規定されている攻撃有効範囲内にあれば、プレイヤ又はゲーム管理手段31による当該攻撃方法の使用要求コマンドの入力が可、範囲外であれば不可となる操作である。他の例として、アイテムや敵オブジェクトを隠している位置とプレイヤオブジェクトの位置とで求めた距離がプレイヤオブジェクトの属性として規定されている探知範囲内にあれば、ゲーム管理手段31による当該アイテムや敵オブジェクトの出現要求コマンドの入力が可、範囲外であれば不可となる操作が挙げられる。
第2実施形態では、攻撃方法の決定操作として、仮想空間でプレイヤオブジェクトが敵オブジェクトに向けて使用する武器の選択操作が採用されている。すなわち、ゲーム管理手段31は、図14に示すコマンド選択画面で「戦う」を入力したプレイヤの移動通信端末2に対し、図17に例示するように、戦闘コマンド選択画面の表示を要求する。この要求を受信したユーザインターフェース制御手段42は、プレイヤの武器選択を入力するためのボタンとして、「刀」ボタン67と、「銃」ボタン68と、コマンド入力を促すテキストメッセージとを画面2aに表示する。ここで、図11に示すゲーム管理手段31は、そのプレイヤの対ユーザ間距離が閾値以下のとき、図17に示す「刀」ボタン67の入力を受け付ける。一方、対ユーザ間距離が閾値を超えているときは、「刀」ボタン67の入力を受け付けない。図11に示すゲーム管理手段31は、例えば、「刀」ボタン67の入力を受け付けたとき、図18に例示するようにに、敵オブジェクトに刀で攻撃した様を描いたゲーム画面を生成し、表示装置1aに表示させる。なお、閾値を超えているとき、「刀」ボタン67を比較的暗く表示して、プレイヤに選択不可であることを示唆してもよい。このような示唆は、ボタンの色変化の他、戦闘コマンド選択画面や図16に示すような表示装置1aの状態表示部66に表示するテキストメッセージでプレイヤに告知してもよい。
第2実施形態において、オンラインゲームにユーザが参加して最初の攻撃を行うまでの一動作例を図11、図19を参照して説明する。この動作例では、ゲーム運営者が、配下の表示装置に敵オブジェクトを登場させるイベントを起こすところから始まり、その表示装置の近くにいるユーザに対してゲーム参加を促す用途を想定している。前提として、管理装置4は、オンラインゲームの参加資格をもったユーザの移動通信端末2の位置情報を定期的に監視している。
先ず、管理装置4の利用候補決定手段は、指定された抽出条件に基づいて表示装置1a〜1cを抽出する(S11)。この指定は、ゲーム運営者によって決定された位置指定、時間指定を含んでいる。位置指定の抽出条件としては、1つ以上の表示装置の直接指定、エリア指定が挙げられる。エリア指定としては、指定の郵便番号の住所上に設置されている表示装置の抽出、ある経度、緯度を基準点としたエリア内に設置されている表示装置の抽出、1つ以上の表示装置の経度、緯度を基準点としたエリア内に設置されている表示装置の抽出、1つ以上の基地局に紐付けられている表示装置の抽出などが挙げられる。時間指定としては、即時実行、タイマー予約が挙げられる。ここでは、1台の表示装置1aを抽出した例とする。
次に、管理装置4の配分管理手段は、その抽出した表示装置1aに、敵オブジェクト、NPO識別子(モンスターID)を含んだ識別表示情報を割り当て、表示を要求する(S12)。これにより、図のような画像が、表示装置1aに表示されている状態となる。
次に、管理装置4の利用候補決定手段は、表示装置1aの位置情報を基準として前記位置関係制限規則を満足する移動通信端末2を抽出し、その抽出した移動通信端末2を表示装置1aに紐付ける(S13)。ここでは、1台の移動通信端末2(図15における「USER01」)を抽出した例とする。
次に、管理装置4の利用先問合せ手段は、抽出した移動通信端末2へ、近くの表示装置1aにモンスターが出現していることをユーザに通知する(S14)。なお、このように管理装置4側から能動的にイベントを起こしてユーザへ通知を行う場合、管理装置4で管理するユーザ情報には、移動通信端末2への通知用アドレスを含んでいる。通知は、電子メールや、移動通信端末2に常時起動する専用アプリケーションと管理装置4間の自動通信を用いることができる。
このメッセージを画面2aから読み取ったユーザは、自己の移動通信端末2から管理装置4のゲーム管理手段31にオンラインゲームにログインし、オンラインゲームに参加できる状態となる(S15)。なお、このログインは、汎用ブラウザを使用したWeb認証でログインする態様、移動通信端末2で専用アプリケーションを起動してログインする態様のいずれでもよい。
次に、管理装置4の利用先問合せ手段は、そのログインした移動通信端末2へ、図14に示すコマンド選択画面を表示するように要求する(S16)。管理装置4は、バトル受付中の状態で待機する。ユーザがコマンド選択画面の表示を許可する操作を行うと、移動通信端末2は、コマンド選択画面を表示する(S17)。その画面中のテキストメッセージで、ユーザに対し、モンスターIDを入力するように要求する。なお、このメッセージは、移動通信端末2で起動している専用アプリケーションから能動的に管理装置4から取得するようにしてもよい。
次に、ユーザが移動通信端末2からコマンド選択画面上でモンスターID及び「戦う」を入力すると、当該ユーザは、プレイヤとなる(S18)。管理装置4は、その移動通信端末2を対戦管理テーブルに登録して、当該プレイヤ向けのゲーム進行を開始し、該プレイヤ向けのゲーム画面を生成し、対応の表示装置1aに表示させる(S19)。この表示は、対戦状態への遷移をプレイヤに知らせるためのものであり、状態表示部66に表示されていた「モンスターID:77」の表示が消え、ここに「USER01が交戦中」のテキストメッセージが表示される。
次に、管理装置4は、プレイヤの移動通信端末2へ、図17に示す戦闘コマンド選択画面を表示するように要求する(S20)。プレイヤが戦闘コマンド選択画面上で「刀」又は「銃」を入力すると、移動通信端末2は、管理装置4へ、対応のコマンドを送信する(S21)。ここでは、「刀」を入力した例とする。管理装置4は、「刀」攻撃の要求コマンドを受信すると、攻撃を反映させた図18のゲーム画面を生成し、表示装置1aに表示を要求する(S22)。このゲーム画面を見たプレイヤは、攻撃の結果を知ることができる。以降、一般的なオンラインゲーム処理により、対戦の結着があるまでゲームが進行することになる。
上述のように、第2実施形態は、オンラインゲームのイベントをユーザに通知する際、その仮想空間に登場するノンプレイヤオブジェクトの画像を識別表示情報として表示装置1aに表示するので、オンラインゲームへの参加資格を有するユーザの興味を引くことができる。ユーザは、移動通信端末2からコマンドを送信し、その表示装置1aに表示されたゲーム画面でコマンドの実行結果を把握し、ゲームを進めることができる。
また、第2実施形態は、ノンプレイヤオブジェクトごとに固有なNPO識別子を識別表示情報に含み、ユーザがプレイ用の表示装置1aを応答する際の入力が前記NPO識別子の入力であるので、移動通信端末2の表示上でのキャラクタやアイテムの画像判別を不要とし、そのNPO識別この入力で管理装置側に利用希望の表示装置1aを知らせることができる。また、プレイヤ募集においては、多数のユーザ向けに同じノンプレイヤオブジェクトを表示して同時にゲーム参加を促すようなイベントを実施する場合、互いに相違するNPO識別子を含めることで一意な識別表示情報になるので、管理装置4は、どのユーザがどの表示装置1aでプレイするかを知ることができ、ユーザは近くの複数の表示装置1a〜1cに同じノンプレイヤオブジェクトが表示されていてもNPO識別子の相違から、プレイ用の表示装置1aを選ぶことができる。
また、第2実施形態は、ゲーム画面の表示要求先にしている表示装置1aと、プレイヤに使用される移動通信端末2との位置関係に基いて、オンラインゲームの仮想空間で距離概念をもった操作の入力可否を制御するので、プレイヤと表示装置1a間の実際の位置関係に基づいて、ゲームの進行を制御することができる。
また、第2実施形態は、プレイヤ向けの対戦相手として前記仮想空間に登場する敵オブジェクトであるモンスターを識別表示情報に利用し、そのモンスターを表示している表示装置1aと移動通信端末2の距離に基づいて、そのモンスターとの対戦に用いるプレイヤ側の攻撃武器の選択可否が切り替わり、プレイヤと表示装置1a間の実際の位置関係が攻撃方法の決定操作に影響するので、プレイヤに臨場感を与えるのに好適である。
また、第2実施形態は、オンラインゲーム運営者側で任意に抽出した表示装置1aを使って、ユーザにイベントを仕掛けることができる。その表示装置1aの近くにいるユーザは、管理装置4から移動通信端末2に届いた要求メッセージによって近くにイベント対象(敵オブジェクト)が出現していることを知り、イベントに参加することができる。
この発明の技術的範囲は、上述の各実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載に基く技術的思想の範囲内での全ての変更を含むものである。例えば、第2実施形態においては、ノンプレイヤオブジェクトの画像データ及びNPO識別子を第1実施形態のように移動通信端末に送信し、その画面上で入力することができるようにしてもよい。また、第2実施形態においても、ユーザからのログインを待って、第1実施形態のように移動通信端末の近くにある表示装置を抽出し、ノンプレイヤオブジェクトを表示させるようにしてもよい。また、ゲームタイトルとNPO識別子で識別表示情報を構成してもよい。