JP5988494B2 - 角速度センサ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は角速度センサ及びその製造方法に係り、特に圧電ダイヤフラムに錘(おもり)が支持された構造を持つ振動ジャイロ式の角速度センサとその製造技術に関する。
シリコン(Si)の微細加工技術を用いたMEMS(Micro Electro Mechanical System)振動ジャイロセンサは、小型・低消費電力などの特徴を有するため、モバイル分野などを中心に様々な用途が期待される。一般的なMEMS振動ジャイロセンサは、錘となる部分が振動バネに支持された構造をとっており、駆動力によって錘を振動させ、外部から角速度が印加された際に発生するコリオリ力を検知して角速度検出を行う(特許文献1,2参照)。
例えば、特許文献1で提案されている角速度センサは、圧電ダイヤフラムに錘が支持された構造を有し、錘を垂直(z共振駆動)方向及び水平(x共振駆動)方向に共振振動駆動させ、角速度を検出する構造となっている。また、特許文献2で提案されている角速度センサは、錘(重錘体)を所定の周回軌道に沿って周回運動させることによって、3軸(x軸、y軸、z軸)の角速度を検出する。この構造は小型で3軸すべての軸周りにおける角速度を検出できるという利点がある。
特開2010−160095号公報 特許第4012232号明細書
特許文献1、2で提案されているような構造を持つ角速度センサの製作には、従来、SOI(Silicon On Insulator)基板を用いるのが一般的である。SOI基板は、比較的厚いシリコン基板(ハンドル層)の上にSiO2層を介して薄いシリコン層(デバイス層)が積層された多層構造を有し、デバイス層の部分が最終的にダイヤフラムの振動板となる。ダイヤフラムの厚みはデイスの設計によって様々であり、設計に応じて適切なデバイス層の厚みが選択される。
しかし、SOIウェハは2枚のシリコン(Si)基板を貼り合わせ、シリコン基板を研磨してデバイス層の厚みを調整するという複雑なプロセスで製作されるため、通常のSiウェハに比べてコストが大幅に高く、デバイスコストが増加してしまうという問題がある。また、角速度センサの共振周波数を保ちつつ、デバイスをさらに小型化しようとすると、ダイヤフラム径の寸法を小さくすると同時にダイヤフラムの厚みを薄くする必要がある。
しかし、SOIウェハを用いたプロセスでは、研磨技術の問題からデバイス層厚みを均一に薄くするのは難しい。研磨精度の限界により、一般的にデバイス層厚みには±0.5マイクロメートル(μm)程度のバラつきが存在するため、デバイス層の厚みが5マイクロメートル(μm)以下になると膜厚ばらつきが±10%以上に増加していく。ダイヤフラムの厚みは共振周波数に大きく影響するため、膜厚ばらつきが±10%以上になると角速度センサの設計上の共振周波数に対する実際の共振周波数のずれ(誤差)が許容範囲を超えてしまい、実用的な量産ができない。つまり、従来のSOIウェハを用いたプロセスでは角速度センサの小型化には限界がある。その一方で近時のモバイル機器等の小型化、薄型化に伴い、角速度センサのデバイスの一層の小型化が望まれている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、上記の課題を解決し、従来の角速度センサよりも低コストで製作でき、さらなる小型化が可能な角速度センサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、次の発明態様を提供する。
(第1態様):第1態様に係る角速度センサは、駆動電極部と検出電極部とがパターン配置された上部電極と、圧電体層と、下部電極と、1層以上の振動板層と、が積層されて成る積層構造を有する可撓性のあるダイヤフラム部と、ダイヤフラム部の外周を支持する台座部と、ダイヤフラム部の中心部に接合されている錘部と、を備え、駆動電極部を介して圧電体層に電界を印加することによって圧電体の逆圧電効果を利用して錘部を振動させ、コリオリ力に基づいて錘部に生じた変位を圧電効果によって検出電極部から検出する角速度センサであって、振動板層は、薄膜形成技術によって成膜されたものであり、角速度センサの構造体の寸法と、構造体を構成する材料の弾性パラメータから計算される共振振動モードの共振周波数をf (単位はキロヘルツ[kHz])、錘部の質量をM(単位はミリグラム[mg])、ダイヤフラム部の周長をr(単位はメートル[m])、圧電体層にかかる応力をσp(単位はパスカル[Pa])、圧電体層の膜厚をt(単位はメートル[m])、下部電極と1層以上の振動板層とを含む複数層で構成される振動板部分における錘部の側から数えて第n番目の層にかかる応力をσ(単位はパスカル[Pa])、第n番目の層の膜厚をt (単位はメートル[m])としたとき(nは自然数)、
Figure 0005988494
で表されるTeffが、
Figure 0005988494
を満たす角速度センサである。
第1態様によれば、ダイヤフラム部の振動板として機能する層が薄膜形成技術によって成膜される。成膜される各層の残留応力の影響による共振周波数の設計値からのずれ(シフト量)を評価する指標として[数1]で定義されるTeffが導入される。
effは、多層構造を有するダイヤフラム部の応力による引っ張りのエネルギーを錘部の質量Mで割ったものに相当しており、ダイヤフラム部の応力による共振周波数のシフト量と関連する。実験に基づく知見から、Teffが[数2]の関係を満たす範囲に収まるように、各層の応力と膜厚を決定することで、共振周波数の設計値fからのシフトを±20%の許容範囲内に収めることができる。
第1態様によれば、SOI基板を用いることなく、通常のシリコン基板などを用いて製作できるため、従来の角速度センサよりも低コストで製作できる。また、薄膜形成技術により、膜厚ばらつきの少ない薄膜を精度よく成膜できるため、従来の構成よりもさらなる薄膜化、デバイスの小型化が可能である。
(第2態様):第1態様に記載の角速度センサにおいて、
Figure 0005988494
を満たす構成とすることができる。
effが[数3]の関係を満たす範囲に収まるように、各層の応力と膜厚を決定することで、共振周波数の設計値fからのシフトを±15%の許容範囲内に収めることができる。
(第3態様):第1態様に記載の角速度センサにおいて、
Figure 0005988494
を満たす構成とすることができる。
effが[数4]の関係を満たす範囲に収まるように、各層の応力と膜厚を決定することで、共振周波数の設計値fからのシフトを±10%の許容範囲内に収めることができる。
(第4態様):第1態様から第3態様のいずれか1項に記載の角速度センサにおいて、振動板層の膜厚が5マイクロメートル(μm)以下である構成とすることができる。
振動板部分の合計膜厚を薄くするほど、ダイヤフラムを小型化することができる。
(第5態様):第1態様から第4態様のいずれか1項に記載の角速度センサにおいて、前記共振周波数fを持つ振動モードが、前記錘部が膜厚方向に並進運動する振動形態である構成とすることができる。
(第6態様):第1態様から第5態様のいずれか1項に記載の角速度センサにおいて、振動板層は、気相成膜によって形成された膜である構成とすることができる。
気相成膜法は5μm以下の薄膜を形成するのに適しているため、SOI基板を用いる従来の構成において製作が困難な5μm以下の薄膜化を実現する上で本発明の態様は特に有益である。本発明態様によれば、振動板部分の合計膜厚を5μmよりもさらに薄くすることが可能であり、振動板部分の合計膜厚を4μm以下とする態様、さらに、振動板部分の合計膜厚を3μm以下とする態様も可能である。また、気相成膜法は、所望の膜厚を高精度に成膜できる点で有益である。このため、デバイス動作の設計からの誤差を大幅に低減させることができる。
(第7態様):第1態様から第6態様のいずれか1項に記載の角速度センサにおいて、圧電体層は、スパッタリング法で成膜された薄膜である構成とすることができる。
圧電体膜をスパッタリング法で形成し、薄膜化すれば微細加工が容易である。
また、スパッタリング法に代表される気相成長法やゾルゲル法などの直接成膜法を用いることにより、所要の圧電性能を持つ圧電体薄膜を得ることができる。基板に圧電体の薄膜を直接成膜し、ドライエンチング若しくはウエットエッチングなどの半導体プロセスで加工することで、デバイスの作製プロセスを簡便にできる。
(第8態様):第1態様から第7態様のいずれか1項に記載の角速度センサにおいて、圧電体層は、下記式(P)で表される1種又は2種以上のペロブスカイト型酸化物である構成とすることができる。
一般式ABO・・・(P)
式中、A:Aサイトの元素であり、Pbを含む少なくとも1種の元素。
B:Bサイトの元素であり、Ti,Zr,V,Nb,Ta,Sb,Cr,Mo,W,Mn,Sc,Co,Cu,In,Sn,Ga,Zn,Cd,Fe,及びNiからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素。
O:酸素元素。
Aサイト元素とBサイト元素と酸素元素のモル比は1:1:3が標準であるが、これらのモル比はペロブスカイト構造を取り得る範囲内で基準モル比からずれてもよい。
かかる圧電体は良好な圧電特性を有し、駆動及び検出を行う角速度センサに好ましいものである。
(第9態様):第1態様から第7態様のいずれか1項に記載の角速度センサにおいて、圧電体層は、下記式(PX)で表される1種又は2種以上のペロブスカイト型酸化物である構成とすることができる。
(Zr,Ti,Mb−x−y・・・(PX)
式中、A:Aサイトの元素であり、Pbを含む少なくとも1種の元素。
Mが、V,Nb,Ta,及びSbからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素である。
0<x<b、0<y<b、0≦b−x−y。
a:b:c=1:1:3が標準であるが、これらのモル比はペロブスカイト構造を取り得る範囲内で基準モル比からずれてもよい。
かかる圧電体は良好な圧電特性を有し、駆動及び検出を行う角速度センサに好ましいものである。
(第10態様):第1態様から第9態様のいずれか1項に記載の角速度センサにおいて、振動板層はシリコン基板の上に成膜されて得られたものであり、錘部と台座部とは、振動板層が形成されたシリコン基板の一部を除去加工することによって残るシリコン基板の残部によって構成されたものとすることができる。
第9態様によれば、SOI基板に比べて安価なシリコン基板を用いて角速度センサを製造できる。
(第11態様):第1態様から第10態様のいずれか1項に記載の角速度センサにおいて、ダイヤフラム部は、平面視で円又は楕円の外周形状を有し、錘部は、ダイヤフラム部と中心軸を共通にする円又は楕円の同心位置に配置されている構成とすることができる。
(第12態様):第12態様に係る角速度センサの製造方法は、駆動電極部と検出電極部とがパターン配置された上部電極と、圧電体層と、下部電極と、1層以上の振動板層と、が積層されて成る積層構造を有する可撓性のあるダイヤフラム部と、ダイヤフラム部の外周を支持する台座部と、ダイヤフラム部の中心部に接合されている錘部と、を備え、駆動電極部を介して圧電体層に電界を印加することによって圧電体の逆圧電効果を利用して錘部を振動させ、コリオリ力に基づいて錘部に生じた変位を圧電効果によって検出電極部から検出する角速度センサの製造方法であって、薄膜形成技術を用いて1層以上の振動板層を形成するものとし、角速度センサの構造体の寸法と、構造体を構成する材料の弾性パラメータから計算される共振振動モードの共振周波数をf (単位はキロヘルツ[kHz])、錘部の質量をM(単位はミリグラム[mg])、ダイヤフラム部の周長をr(単位はメートル[m])、圧電体層にかかる応力をσ p (単位はパスカル[Pa])、圧電体層の膜厚をtp(単位はメートル[m])、下部電極と1層以上の振動板層とを含む複数層で構成される振動板部分における錘部の側から数えて第n番目の層にかかる応力をσn(単位はパスカル[Pa])、第n番目の層の膜厚をtn(単位はメートル[m])としたとき(nは自然数)、
Figure 0005988494
で表されるTeffが、
Figure 0005988494
を満たすようにσp 、σn、tおよびtを調節する角速度センサの製造方法である。
第12態様によれば、共振周波数の設計値fからのシフトを±20%の許容範囲内に収めることができる。また、第12態様によれば、従来の角速度センサよりも低コストで製作できる。また、従来の構成よりもさらなる薄膜化、デバイスの小型化が可能である。
第12態様において、第2態様から第11態様の特定事項を適宜組み合わせることができる。
本発明によれば、SOI基板を用いて製作される従来の角速度センサよりも低コストで製作することができる。また、本発明によれば、角速度センサのさらなる小型化が可能であり、設計上の共振周波数からのずれが許容範囲内に収まるものとなる。
本発明の実施形態に係る角速度センサの構成を示す平面図 図1の2−2線に沿う断面図 z方向(垂直方向)の共振振動駆動時の様子を示す模式図 x方向(水平方向)の共振振動駆動時の様子を示す模式図 本実施形態による角速度センサの製造方法の説明図 SOI基板を用いた角速度センサの製造プロセスの説明図 積層構造体の各パラメータを例示する模式図 第1のケースによるパラメータの定義の説明図 第2のケースによるパラメータの定義の説明図 試作した実験例に係る角速度センサの構造を示す平面図 図10の11−11線に沿う断面図 実験例の条件と結果をまとめた図表 各実験例における共振周波数の設計値と、実際の共振周波数の値のずれ量を記録した図表 実験例1〜11の結果から、Teffと共振周波数の二乗差(Δf2)の関係をプロットしたグラフ
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について詳細に説明する。
<角速度センサの構造例>
図1は本発明の実施形態に係る角速度センサの構成を示す平面図、図2は図1の2−2線に沿った断面図である。
この角速度センサ10は、平面視で円形の外周形状を有するダイヤフラム部12と、ダイヤフラム部12の中心部に支持された錘部14と、ダイヤフラム部12の外周を支持している台座部16と、を備える。ダイヤフラム部12は、錘部14が接合されている側(図2で下面側)から膜厚方向の錘部14から離れる方向(図2の上方向)に向かって、振動板層20、下部電極30、圧電体層32、上部電極34の順に積層されて成る積層構造(多層構造)を有する。このダイヤフラム部12は可撓性を有し、その外周部の全周が台座部16に固定されている。
振動板層20は、薄膜形成技術を用いて成膜された1層以上の薄膜で構成されている。本例では、第1振動板層21の上に第2振動板層22を重ねて成膜した2層構造の振動板層20を例示しているが(図2参照)、振動板層20の構造はこの例に限らない。振動板層20を1層のみで構成することも可能であるし、2層以上の複数層の積層構造(多層薄膜)によって構成してもよい。
また、振動板層20(21,22)のみならず、ダイヤフラム部12を構成する他の層(30、32、34)についても薄膜形成技術を用いて成膜されたものである。薄膜形成技術には、物理的気相成膜法(PVD:physical vapor deposition)、化学的気相成膜法(CVD:chemical vapor deposition)、液相成膜法(めっき、塗布、ゾルゲル法、スピンコート法など)、熱酸化法が含まれる。それぞれの層について適宜の成膜法が選択される。
なお、図2その他の図面に示す各層の膜厚やそれらの比率は、説明の都合上、適宜変更して描いており、必ずしも実際の膜厚や比率を反映したものではない。また、本明細書では、積層構造を表現するにあたり、「Aの上にBを積層する」というときの「上」とは、Aから膜の厚み方向に離れる方向を「上」として表現する。Aを水平に保持した状態でAの上面にBを重ねて構成する場合には、重力方向を下方向とするときの上下の方向と一致する。ただし、Aの姿勢を傾けたり、上下反転させたりすることも可能であり、基板や膜の姿勢に依存する積層構造の積み重ね方向が必ずしも重力の方向を基準とする上下方向と一致しない場合についても、積層構造の上下関係を混乱なく表現するために、ある基準となる部材(例えばA)の面を基準にして、その面から厚み方向に離れる方向を「上」と表現する。また、「Aの上にBを積層する」という表現は、Aに接してBをA上に直接積層する場合に限らず、AとBの間に他の1又は複数の層を介在させ、Aの上に1又は複数の層を介してBを積層する場合も有りうる。
図2の例においては、台座部16と錘部14を構成する基板(シリコン基板)の上に第1振動板層21、第2振動板層22、下部電極30、圧電体層32、上部電極34の順に成膜が行われる。
圧電体層32の上に形成された上部電極34は、駆動用の電極として機能する駆動電極部35A〜35Dと、検出用の電極として機能する検出電極部36A〜36Dとにパターニングされている(図1参照)。駆動電極部35A〜35Dと検出電極部36A〜36Dとがそれぞれ独立した電極として機能するように、各電極部(35A〜35D、36A〜36D)とが個別に分離された形態でパターン配置されている。
本実施形態では、平面視で円形の外周形状を持つダイヤフラム部12の円の中心を通る中心軸 L を対称軸とする回転対称の電極パターンとなっている。錘部14は、ダイヤフラム部12と中心軸 L を共通にする同心位置に配置されている。
図1に示した駆動電極部35A〜35Dと検出電極部36A〜36Dのパターン配置は、中心軸 L の周りを90度回転させると、重なる4回対称のパターンを例示しているが、上部電極34のパターン配置形態は図1の例に限定されず、様々な配置形態が可能である。また、駆動電極部35A〜35Dと検出電極部36A〜36Dを入れ替えることも可能である。
駆動電極部35A〜35Dと下部電極30との間に圧電体層32が介在する部分によって駆動用の圧電素子部が構成される。駆動用の圧電素子部の電極間に駆動電圧を印加することにより(圧電体層32に電界を印加することにより)、圧電体の逆圧電効果によってダイヤフラム部12と錘部14を振動させることができる。駆動電極部35A〜35Dを含む駆動用の圧電素子部は、図示せぬ駆動用電力の供給源(駆動回路)と接続されることにより、錘部14を振動させる励振手段として機能する。
また、検出電極部36と下部電極30との間に圧電体層32が介在する部分によって、検出用の圧電素子部が構成される。振動している錘部14に角速度が加わるとコリオリ力が作用して、錘部14の振動に変位が生じる。このコリオリ力に基づいて錘部14に生じた変位を圧電体の圧電効果によって検出し、検出電極部36から電気信号(検出信号)を得る。検出電極部36A〜36Dを含む検出用の圧電素子部は、図示せぬ検出信号の処理回路(検出回路)と接続されることにより、錘部14の変位を検出する変位検出手段として機能する。
なお、以下説明の便宜上、ダイヤフラム部12の円の中心を原点とし、図1の左右方向をx軸方向、これに直交する図1の縦方向をy軸方向、図1の紙面垂直方向をz軸方向とする直交xyz軸を導入する。図2に示した中心軸CLはz軸と平行な軸である。
図3はz方向の共振振動駆動時の様子を示す模式図、図4はx方向の共振振動駆動時の様子を示す模式図である。なお、図3、4においては、台座部16の図示を省略してダイヤフラム部12と錘部14のみを示した。
図3のように錘部14をダイヤフラム部12の面と垂直方向(z方向)に共振駆動させると、可撓性を持つダイヤフラム部12はz方向に変位するため、その変位に応じて検出電極部36A〜36Dから検出信号が得られる。
また、図4のように錘部14をx方向(水平方向)に共振駆動させると、その振動方向に対応したダイヤフラム部12の変位に応じて、各検出電極部36A〜36Dから相応の検出信号が得られる。駆動振動の検出信号を元に自励発振回路を動作させることで、共振振動状態を保つことができる。また、コリオリ力の作用によって錘部14が共振駆動方向と異なる方向に振動すると、その変位に応じた検出信号が得られるため、検出信号から角速度を検知することができる。
なお、角速度の検出原理については、特許文献1,2に記載されているとおりであり、ダイヤフラム部12の駆動方法については、特許文献1に記載の方法や特許文献2に記載の方法を適用することができる。
<角速度センサの製造方法の例>
図5は、本実施形態による角速度センサの製造方法の説明図である。
(手順1)まず、シリコン(Si)基板110を用意する(図5(a)参照)。ここで用いるSi基板110は、SOI基板ではなく、SOI基板よりも安価な通常のシリコンウエハを用いる。
(手順2)次に、このSi基板110の片側面に、気相成膜などの薄膜形成技術によって1層以上の振動板層120を形成する(「振動板層成膜工程」)。図5(b)では、Si基板110に近い側から第1振動板層121を形成し、第1振動板層121の上に第2振動板層122を重ねて形成した2層構造の振動板層を例示しているが、振動板層120は1層であってもよいし、2層以上さらに多数の積層構造で構成されてもよい。
(手順3)次に、振動板層120の上に下部電極130を形成する(「下部電極形成工程」)。
(手順4)次に、下部電極130の上に圧電体層132を形成する(「圧電体層成膜工程」)。図5(c)には、下部電極130と圧電体層132を成膜した様子を図示した圧電体層132は、例えばスパッタリング法によって成膜される。
(手順5)次に、圧電体層132の上に上部電極134を形成する。上部電極134として、駆動電極部135と検出電極部156とがパターニングされる(図5(d)参照、「上部電極形成工程」)。
(手順6)その後、Si基板110を裏面側から深掘エッチングすることにより、Si基板110の一部を除去加工し、その残部によって錘部114と、台座部116とを形成する(図5(e)、「基板加工工程」)。この基板加工工程により、錘部114の周りが円環上の溝として除去され、その除去した部分がダイヤフラム部12の駆動部及び検出部として機能する領域となる。
<SOI基板を用いた角速度センサの製造プロセスの説明>
比較のために、SOI基板を用いた角速度センサの製造プロセスについて説明する。図6はSOI基板を用いた角速度センサの製造プロセスの説明図である。
図6(a)に示すように、SOI基板600は、ハンドル層602としてのシリコン基板と、表面のシリコン層(「デバイス層」という。)604の間にSiO層606が挿入された多層構造の基板である。デバイス層604は、最終的にダイヤフラム部の振動板として機能させる層であり、その膜厚は研磨によって調整される。
このようなSOI基板600を用い、図6(b)に示すように、SOI基板600のデバイス層604の上に、下部電極630が形成され、その上に圧電体層632が成膜される。
その後、図6(c)に示すように、圧電体層632の上に上部電極634としての駆動電極部635と検出電極部636とがパターニングされる。
次いで、図6(d)に示すように、ハンドル層602を深掘エッチングすることにより、ハンドル層602の一部を除去加工し、その残部によって錘部614と、台座部616とを形成する。深掘エッチングによって除去された部分(符号612)に残るデバイス層604が振動板の役割を果たす。
図6(a)〜(d)で説明したようなプロセスは、デバイス層604の膜厚を研磨によって調整するため、研磨技術の制約により、膜厚の更なる薄型化、均一化が困難であり、デバイスの小型化に限界がある。また、SOI基板は通常のSi基板に比べて高価である。
この点、図5(a)〜(e)で説明した製造プロセスによれば、安価なSi基板を用いて、薄膜形成技術によって成膜した薄膜によって振動板層を形成するため、低コストで製作することができ、膜厚ばらつきの少ない薄膜の振動板層を得ることができ、更なるデバイスの小型化が可能である。
ダイヤフラム部の厚みは適宜設計することが可能であるが、振動板層の膜厚を5マイクロメートル以下に構成することができる。また、1層以上の振動板層と下部電極とを含めた複数層からなる振動板部分の合計膜厚を5マイクロメートル以下に構成することができる。
<薄膜形成技術を利用する上での技術的課題について>
図1〜図4に例示したような振動ジャイロ方式の角速度センサ10における錘部14の駆動及び角速度の検出は共振振動を利用するため、共振周波数の設計は非常に重要となる。このため、構造体の寸法と、構造体を構成する材料の弾性パラメータから、有限要素法(FEM;finite element method)などのシミュレーション手法を用いて、ジャイロ駆動、検出のいずれかに用いる共振振動モードの共振周波数を計算し、これを元にデバイス設計を行うのが一般的である。
しかしながら、薄膜形成技術によって成膜された薄膜によって構成されるダイヤフラム部には残留応力が存在するため、これがデバイスの共振周波数に影響を及ぼし、共振周波数が設計値どおりにならないという問題が生じる。すなわち、実際に製作されたデバイスでは、構造体の残留応力によって共振周波数が設計値どおりにならない。特に、ダイヤフラム部12のような多層薄膜が振動板として用いられる場合は、振動板部分を構成するそれぞれの層に存在する残留応力が共振周波数に影響し、デバイスとして設計通りの感度が得られないという問題がある。
<課題解決に向けた原因の究明と対処>
膜の残留応力と、設計上の共振周波数のずれとの関係について、次のように考察される。
図1〜4に例示した振動ジャイロの構造において、ダイヤフラム部に支持された錘部の最大運動エネルギーをK、ダイヤフラム部の最大弾性エネルギーをU、ダイヤフラム部の張力による最大ポテンシャルエネルギーをNとすると、共振状態においては、
[数7] U+N=K ・・・式(1)
が成り立つ。ここで、最大変位量をx、共振周波数をf、バネ定数をk、錘部の質量m、ダイヤフラム部にかかる張力をTとすると、
Figure 0005988494
Figure 0005988494
である。
ダイヤフラム部がxだけ変位したときの張力による反力Fは、xとTが微小な領域では、
Figure 0005988494
で表される。αは比例定数である。このとき、張力によるポテンシャルエネルギーNは、
Figure 0005988494
となる。式(2)、式(3)、式(5)を式(1)に代入して整理すると、
Figure 0005988494
となる。式(6)の右辺の第一項は張力が働いていない場合の共振周波数であり、有限要素法(FEM)などを用いて算出される設計値である。振動板層を構成する膜の残留応力などが原因でダイヤフラム部に張力がかかると、式(6)における右辺の第二項の影響によって共振周波数が設計値からシフトする。
この式(6)中のT/mが後述のTeffに相当するものである。
本発明では、次の式(7)で定義される eff という指標を導入する。
Figure 0005988494
式(7)において、錘部の質量をM(単位はミリグラム[mg])、ダイヤフラム部の周長をr(単位はメートル[m])、圧電体層にかかる応力をσp(単位はパスカル[Pa])、圧電体層の膜厚をtp (単位はメートル[m])、下部電極と1層以上の振動板層とを含む複数層で構成される振動板部分における錘部の側から数えて第n番目の層にかかる応力をσn(単位はパスカル[Pa])、当該第n番目の層の膜厚をtn (単位はメートル[m])としている(nは自然数)。
なお、式(7)で表されるTeffの定義における振動板部分には、下部電極(共通電極)が含まれる。
参考のために、図7に、式(7)中に示した各パラメータを例示する模式図を示す。図7に示した構造体では、振動板層が第1振動板層121、第2振動板層122、第3振動板層123の3層構造(n=1,2,3)で構成される例を示した。図7における第3振動板層123は、図2で説明した下部電極130に対応している。
図7の構造体の場合、第1振動板層121、第2振動板層122、第3振動板層123によって振動板部分150が構成される。つまり、振動板層(121、122)と下部電極130の積層体を「振動板部分」として取り扱う。図7では、第1振動板層121は引っ張り方向の残留応力σ、第2振動板層122は圧縮方向の残留応力σ、第3振動板層123は引っ張り方向の残留応力σ、圧電体層132は引っ張り方向の残留応力σ、として図示されており、図中の矢印は各層にかかる応力の方向と大きさを表している。
次に、実務におけるTeffの計算方法を以下に述べる。
式(7)で定義される各層の応力σn、σpは不明な場合が多いが、振動板層と圧電体層の複合膜(積層構造)における平均応力σaveと、複合膜の合計膜厚ttotalについて、それぞれ次のような関係がある。
Figure 0005988494
Figure 0005988494
したがって、次に示す式(10)、(11)を用いてσaveを計算することで簡単にTeffが求められる。
Figure 0005988494
Figure 0005988494
ここで、R、R、E、tの各パラメータの定義は図8、図9による。
図8、図9は各パラメータの定義の説明図である。図8は第1のケースによるR,Rの定義の説明図、図9は第2のケースによるR,Rの定義の説明図である。ここでは説明を簡単にするために、振動板部分が2層構造で構成される場合を例示するが、振動板部分がさらに多数の層構造で構成される場合も同様である。
<第1のケース>
図8に示す第1のケースは、例えば、単結晶シリコンウエハを基板210として用いる場合である。図8(a)に示すように、基板210の板厚をtとする。この基板210上に、図8(b)に示すように、第1振動板層221、第2振動板層222、圧電体層230がこの順で成膜される。
第1振動板層221の膜厚がt、第2振動板層222の膜厚がt、圧電体層230の膜厚がtである。第2振動板層222は下部電極に対応する層である。図8(b)には示されていないが、圧電体層230の上に、パターン配置された上部電極が形成される。
その後、図8(c)に示すように、基板210の裏面側から深掘エッチングにより基板210の一部を除去加工して、その残部により錘部214と台座部216とを形成する。この除去加工によってシリコン層が除去された部分がダイヤフラム部212の駆動部と検出部の役割を果たす。
このような製造プロセスにおいて、第1振動板層221を成膜する前の初期状態(図8(a))における基板210の曲率半径をR1とし、圧電体層230を含む各層(221、222、230)成膜後の深掘エッチング前の状態(図8(b))における積層構造体の曲率半径を 2 とする。
単結晶シリコンウエハの場合、初期状態(図8(a))において、残留応力は存在しないので、曲率半径Rは無限大、つまり、1/R=0となり、式(11)のR’=Rとなる。
式(10)中の s は基板210のヤング率である。νはポアソン比である。
<第2のケース>
図9に示す第2のケースは、最終的に振動板として構成されない膜層を有している場合である。図9(a)に示すように、ベースとなる基材250を用い、この基材250に対し、図9(b)に示すように、基材250の片側面若しくは両面に、最終的に振動板とならない膜層251、252が付加される(図9(b))。図9(b)では、基材250の下面と上面に膜層251、252が設けられている例が示されているが、いずれか一方の面(片側面)のみに膜層が形成される形態も可能である。
最終的に振動板として構成されない膜層251、252を有している場合、これらの膜層251、252と基材250の積層体260の状態で測定した曲率半径を 1 とする。そして、基材250の厚さts0と、膜層251の膜厚ts1及び膜層252の膜厚ts2の合計の厚さを s とする( s =ts0+ts1+ts2)。つまり、図9(b)の積層体260が図8(a)の基板210に相当する部材として把握される。この場合の、 s は積層体260の全体としてのヤング率を表す。
この積層体260の膜層252の上に、図9(c)に示すように、第1振動板層221、第2振動板層222、圧電体層230がこの順で成膜される。図9(c)には示されていないが、圧電体層230の上に、パターン配置された上部電極が形成される。
その後、図9(d)に示すように、積層体260の裏面側(膜層251側)から深掘エッチングにより積層体260の一部を除去加工して、その残部により錘部264と台座部266とを形成する。この除去加工により、膜層251、252と基材250が除去された部分がダイヤフラム部262の駆動部と検出部の役割を果たす。図9(d)に示されているように、膜層251、252は最終的にダイヤフラム部262の振動板とならない。
このような製造プロセスにおいて、第1振動板層221を成膜する前の初期状態(図9(b))における基体(積層体260)の曲率半径をRとし、圧電体層230を含む各層(221、222、230)成膜後の深掘エッチング前の状態(図9(c))における積層構造体の曲率半径をRとする。
図8、図9で説明したように、曲率半径Rを定義するときの「基板」とは、最終的に振動板とならない膜層を有している場合には、その膜層を全て付加した状態の基体(積層構造体)のことを意味する。また、曲率半径R,Rは、振動板層が形成される側の面が凹状態でプラス(正)、凸状態でマイナス(負)の値をとるものと定義する。
図8、図9で説明したパメータを用いて複合膜の平均応力σaveを計算することができる。
<課題の解決手段について>
本実施形態では、可撓性を持つダイヤフラム部に錘部が支持された構造の角速度センサにおいて、シリコン基板上に気相成膜などの薄膜形成技術によって1層以上成膜された振動板層を備える構造とする。また、後述する実験の結果から、式(6)の右辺第二項の成分がTeffと概ね比例関係にあることが見出され、Teffが特定の条件([数2]の式)を満たすような範囲に収まるように、各層の応力、膜厚を設定することで、共振周波数の設計値からのシフト量を許容範囲(±20%)以内に収めることができることが見出された。
<実施例>
図10は、試作した実験例に係る角速度センサの構造を示す平面図、図11は図10中の11−11線に沿う断面図である。図10、図11は、それぞれ図1、図2で説明した構造と同様であり、以下に述べる各実験例のデバイスの寸法の定義について、図10、図11に示すように、ダイヤフラム部12の外径(楕円の場合は長径)をφ、錘部14の外径(楕円の場合は長径)をφ、錘部14の厚みをhとした。なお、平面視で円形のダイヤフラム部の場合、周長rはπ×φで表される。
厚みh(単位はマイクロメートル[μm])のSi基板上に、各種気相成膜法にて振動板層1,2,3を成膜した。「振動板層1」は第1振動板層121、「振動板層2」は第2振動板層122、「振動板層3」は下部電極130(第3振動板層)に相当している(図2,図5(e)参照)。
その後、高周波(Rf;radio frequency)スパッタ装置を用いて圧電体(ジルコン酸チタン酸鉛、PZT)膜を成膜した。成膜ガスは97.5%Arと2.5%Oを用い、ターゲット材料としてはPb1.3((Zr0.52 Ti0.48)0.88 Nb0.12)O3の組成のものを用いた。成膜圧力は2.2mTorr(約0.293Pa)、成膜温度は450℃とした。得られたPZT膜は、Nbが原子組成比で12%添加されたNbドープPZT薄膜であった。
こうして圧電体層を形成した後、リフトオフ法によってAu/Tiの層構造による上部電極をパターン形成し、最後にSi基板の裏面からハンドル層(シリコン基板層)を深堀エッチング(Deep RIE)することにより、図10、図11のような構成の角速度センサを作成した。
なお、膜の積層構造を表現するにあたり、上層から下層に向かって、A材料層、B材料層、C材料層の順に積層されている構成を「A/B/C」という表記によって表す。つまり、「/」の前に記載された材料が上層を構成し、「/」の後ろに記載された材料が下層を構成するものとして表記した。
PZT成膜後の段階で基板全体の曲率半径(R)を測定し、この値から振動板層(振動板部分)と圧電体層を合わせた複合膜の平均応力σaveを計算した。
デバイス寸法や材料、膜厚等の条件を変えて、様々な実験を行い、実験例ごとの振動板材料、膜厚を図12の表にまとめた。実験例で適用した各種振動板層の成膜法は以下の通りである。
・DLC(Diamond Like Carbon):イオンプレーティング法
・熱酸化SiO:熱酸化法
・TEOS-SiO2:TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)-CVD法
・Ti:スパッタリング法
・TiW:スパッタリング法
・Poly-Si:LP(Low Pressure)-CVD法
・Ir:スパッタリング法
また、これらの各実験例について、デバイス構造体の寸法と、構造体を構成する材料の弾性パラメータから有限要素法を用いて、ジャイロの駆動、検出のいずれかに用いる共振振動モードの共振周波数(設計値)を計算し、その設計値と、実際の駆動実験で得られた共振周波数の値のずれ量を図13の表に記録した。なお、ここでいう「設計値」は、式(6)の右辺の第一項に相当するものである。
図13では、z方向共振駆動の共振周波数の設計値を「fz」、x方向共振駆動の共振周波数の設計値を「fx」とし、実験結果から得られたz方向共振周波数とx方向共振周波数をそれぞれ「fz’」、「fx’」とした。共振周波数の設計値からのずれ量は、図13のように、二乗の差で評価した。すなわち、z方向共振周波数の二乗差Δfz=fz’−fz、x方向共振周波数の二乗差Δfx=fx’−fxを調べた。
実験例1〜11の結果から、Teffと共振周波数の二乗差(Δf2)の関係をプロットしたものが図14である。図14において、黒丸で示したプロット点はΔfzを表し、白抜き菱形で示したプロット点はΔfxを表す。
図14に示した結果から、ΔfはTeffと比例関係にあり、かつ錘部が垂直方向(z方向、すなわち、「膜厚方向」)に並進振動する振動モード(z共振と呼ぶ)の共振周波数の二乗差ΔfzのほうがTeffによる影響を受けやすいことが分かる。すなわち、z共振の共振周波数シフトを許容範囲内に収めれば、デバイス性能の設計からのズレは許容範囲内に収まる。
ここで、振動板の応力が非常に強いデバイスでは材料の非線形性が現れるため、共振シフト量が式(6)から外れてくる(シフト量がより大きくなっていく)。そのため、応力の小さい領域である実験例3,実験例4,実験例8,実験例9,実験例10におけるΔfzとTeffの関係を最小二乗法にて近似し、
Figure 0005988494
の関係を見出した。
実際のデバイスの共振周波数fz’のシフトを設計共振周波数fzに対して20%以内に収めるには、
Figure 0005988494
を満たせば良い。
また、式(14)の関係があるため、
Figure 0005988494
式(12)、式(13)、式(14)を合わせて整理すると、適切なTeffの範囲は、
Figure 0005988494
となる。
式(15)を満たすようにσp 、σn、tnおよびtpを調節して各層の成膜を行うことにより、共振周波数の設計値からのシフトを許容範囲内(ここでは20%以内の共振周波数シフト)に抑えることができる。
角速度センサ(ジャイロセンサ)の場合、一般に設計値から20%以内の共振周波数シフトであれば許容される。好ましくは、設計値から15%以内の共振周波数シフトに抑えることが良い。より好ましくは、設計値から10%以内の共振周波数シフトに抑えることが良い。
同様にして、実際のデバイスの共振周波数fz’のシフトを設計共振周波数fzに対して15%以内に収めるためのTeffの範囲は、
Figure 0005988494
となる。
式(16)を満たすようにσp 、σn、tnおよびtpを調節して各層の成膜を行うことにより、共振周波数の設計値からのシフトを許容範囲内(ここでは15%以内の共振周波数シフト)に抑えることができる。
同様にして、実際のデバイスの共振周波数fz’のシフトを設計共振周波数fzに対して10%以内に収めるためのTeffの範囲は、
Figure 0005988494
となる。
式(17)を満たすようにσ 、σ、tおよびtを調節して各層の成膜を行うことにより、共振周波数の設計値からのシフトを許容範囲内(ここでは10%以内の共振周波数シフト)に抑えることができる。
なお、SOI基板を用いる場合、ダイヤフラム径φを1000マイクロメートル(μm)以下に小型化することは極めて困難であったが、本発明の適用によれば実験例8〜10に示されているように、ダイヤフラム径φを800μm(実験例8)、700μm(実験例9,10)というように小さくすることができる。
実験例8〜10は、デバイスの小型化、並びに、共振周波数の設計値からのシフト量抑制という点で特に好ましい態様である。
<応用例>
例えば、SOIウエハを基板として用いる場合、振動板の主要部となるデバイス層(Si活性層)は原理的に無応力であるが、その上に成膜される圧電体膜の残留応力が大きい場合は、共振周波数の値が設計値に比べてシフトし、デバイスとしての仕様値を満たさないことが起こりうる。
圧電体薄膜がPZT膜の場合、一般的に引っ張り方向の残留応力を持つ。この場合は、振動板を構成する層として応力制御層を挿入し、式(7)から計算されるTeffが、式(15)、式(16)又は式(17)で特定される範囲内に収まるようにすれば、共振周波数のシフト量を許容範囲内に抑えることができる。
一例として、応力制御層として、圧縮応力を持つ熱酸化SiOをデバイス層(Si活性層)の表面に所定の膜厚で形成し、Teffを範囲内に収めることが考えられる。
圧縮応力を持つ膜と、引っ張り応力を持つ膜と、を適宜組み合わせて積層構造を形成することにより、複合膜の応力を制御することが可能である。
<圧電材料について>
本実施形態に好適な圧電体としては、下記式で表される1種又は2種以上のペロブスカイト型酸化物(P)を含むものが挙げられる。
一般式ABO・・・(P)
(式中、A:Aサイトの元素であり、Pbを含む少なくとも1種の元素。
B:Bサイトの元素であり、Ti,Zr,V,Nb,Ta,Sb,Cr,Mo,W,Mn,Sc,Co,Cu,In,Sn,Ga,Zn,Cd,Fe,及びNiからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素。
O:酸素元素。
Aサイト元素とBサイト元素と酸素元素のモル比は1:1:3が標準であるが、これらのモル比はペロブスカイト構造を取り得る範囲内で基準モル比からずれてもよい。)
上記一般式で表されるペロブスカイト型酸化物としては、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ジルコニウム酸鉛、チタン酸鉛ランタン、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛、ニッケルニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛、亜鉛ニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛等の鉛含有化合物、及びこれらの混晶系;チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムバリウム、チタン酸ビスマスナトリウム、チタン酸ビスマスカリウム、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、ビスマスフェライト等の非鉛含有化合物、及びこれらの混晶系が挙げられる。
また、本実施形態の圧電体膜は、下記式で表される1種又は2種以上のペロブスカイト型酸化物(PX)を含むことが好ましい。
一般式A a (Zr x ,Ti y ,M b-x-y b c ・・・(PX)
(式中、A:Aサイトの元素であり、Pbを含む少なくとも1種の元素。
Mが、V、Nb、Ta、及びSbからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素である。
0<x<b、0<y<b、0≦b−x−y。
a:b:c=1:1:3が標準であるが、これらのモル比はペロブスカイト構造を取り得る範囲内で基準モル比からずれてもよい。)
ペロブスカイト型酸化物(PX)は、真性PZT、あるいはPZTのBサイトの一部がMで置換されたものである。被置換イオンの価数よりも高い価数を有する各種ドナーイオンを添加したPZTでは、真性PZTよりも圧電性能等の特性が向上することが知られている。Mは、4価のZr,Tiよりも価数の大きい1種又は2種以上のドナーイオンであることが好ましい。かかるドナーイオンとしては、V5+,Nb5+,Ta5+,Sb 5+ ,Mo6+,及びW6+等が挙げられる。
b−x−yは、ペロブスカイト構造を取り得る範囲であれば特に制限されない。例えば、MがNbである場合、Nb/(Zr+Ti+Nb)モル比が0.05以上0.25以下であることが好ましく、0.06以上0.20以下であることがより好ましい。
上述の一般式(P)及び(PX)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる圧電体膜は、高い圧電歪定数(d31定数)を有するため、かかる圧電体膜を備えた圧電素子は、変位特性、検出特性の優れたものとなる。
また、一般式(P)及び(PX)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる圧電体膜を備えた圧電素子は、リニアリティの優れた電圧―変位特性を有している。これらの圧電材料は、本発明を実施する上で良好なアクチュエータ特性、センサ特性を示すものである。なお、一般式(PX)で表されるペロブスカイト型酸化物の方が一般式(P)で表されるものよりも圧電定数が高くなる。
本実施形態における圧電体層32の一具体例として、例えば、Nbを原子組成百分率で12%ドープしたチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)薄膜を用いることができる。スパッタリング法等によってNbを12%ドープしたPZTを成膜することにより、圧電定数d31=250pm/Vという高い圧電特性を持つ薄膜を安定的に作製できる。気相成長法やゾルゲル法などにより基板上に圧電薄膜を直接成膜する構成が好ましい。特に、本実施形態の圧電体層としては、1μm以上10μm以下の厚さの薄膜であることが好ましい。
<成膜方法について>
圧電体の成膜方法としては気相成長法が好ましい。例えば、スパッタリング法の他、イオンプレーティング法、MOCVD法(有機金属気相成長法)、PLD法(パルスレーザー堆積法)など、各種の方法を適用し得る。また、気相成長法以外の方法(例えば、ゾルゲル法など)を用いることも考えられる。
PZT薄膜をスパッタリング法により基板に直接成膜し、圧電体を薄膜化することで製作プロセスを簡便にすることができる。また、このようにして成膜された圧電体薄膜は、エッチング等によって微細加工が容易であり、所望の形状にパターニングが可能である。
これによって、歩留まりが大幅に向上するとともにデバイスのさらなる小型化に対応することができる。
本発明の実施に際しては、基板の材料、電極材料、圧電材料、膜厚、成膜条件などは、目的に応じて適宜選択することができる。
<変形例>
図1では、平面視で円形のダイヤフラム部を説明したが、円形に限らず、平面視で楕円形のダイヤフラム部や平面視で多角形のダイヤフラム部とする構成も可能である。
本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有するものにより、多くの変形が可能である。
10…角速度センサ、12…ダイヤフラム部、14…錘部、16…台座部、20…振動板層、21…第1振動板層、22…第2振動板層、30…下部電極、32…圧電体層、34…上部電極、35A〜35D…駆動電極部、36A〜36D…検出電極部、110…シリコン(Si)基板、112…ダイヤフラム部、114…錘部、116…台座部、120…振動板層、121…第1振動板層、122…第2振動板層、123…第3振動板層、130…下部電極、132…圧電体層、134…上部電極、135…駆動電極部、136…検出電極部、150…振動板部分

Claims (10)

  1. 駆動電極部と検出電極部とがパターン配置された上部電極と、圧電体層と、下部電極と、1層以上の振動板層と、が積層されて成る積層構造を有する可撓性のあるダイヤフラム部と、
    前記ダイヤフラム部の外周を支持する台座部と、
    前記ダイヤフラム部の中心部に接合されている錘部と、を備え、
    前記駆動電極部を介して前記圧電体層に電界を印加することによって圧電体の逆圧電効果を利用して前記錘部を振動させ、コリオリ力に基づいて前記錘部に生じた変位を圧電効果によって前記検出電極部から検出する角速度センサであって、
    前記振動板層は、薄膜形成技術によって成膜されたものであり、
    前記角速度センサの構造体の寸法と、前記構造体を構成する材料の弾性パラメータから計算される共振振動モードの共振周波数をf (単位はキロヘルツ[kHz])、前記錘部の質量
    をM(単位はミリグラム[mg])、前記ダイヤフラム部の周長をr(単位はメートル[m])、前記圧電体層にかかる応力をσp(単位はパスカル[Pa])、前記圧電体層の膜厚をtp (単位はメートル[m])、前記下部電極と前記1層以上の振動板層とを含む複数層で構成される振動板部分における前記錘部の側から数えて第n番目の層にかかる応力をσn(単位はパスカル[Pa])、前記第n番目の層の膜厚をtn (単位はメートル[m])としたとき(nは自然数)、
    Figure 0005988494

    で表されるTeffが、
    Figure 0005988494

    を満たす角速度センサ。
  2. Figure 0005988494

    を満たす請求項1に記載の角速度センサ。
  3. Figure 0005988494

    を満たす請求項1に記載の角速度センサ。
  4. 前記振動板層の膜厚が5マイクロメートル(μm)以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の角速度センサ。
  5. 前記共振周波数fを持つ振動モードが、前記錘部が膜厚方向に並進運動する振動形態で
    ある請求項1から4のいずれか1項に記載の角速度センサ。
  6. 前記圧電体層は、下記式(P)で表される1種又は2種以上のペロブスカイト型酸化物である請求項1からのいずれか1項に記載の角速度センサ。
    一般式ABO・・・(P)
    (式中、A:Aサイトの元素であり、Pbを含む少なくとも1種の元素。
    B:Bサイトの元素であり、Ti,Zr,V,Nb,Ta,Sb,Cr,Mo,W,Mn,Sc,Co,Cu,In,Sn,Ga,Zn,Cd,Fe,及びNiからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素。
    O:酸素元素。
    Aサイト元素とBサイト元素と酸素元素のモル比は1:1:3が標準であるが、これらのモル比はペロブスカイト構造を取り得る範囲内で基準モル比からずれてもよい。)
  7. 前記圧電体層は、下記式(PX)で表される1種又は2種以上のペロブスカイト型酸化物である請求項1からのいずれか1項に記載の角速度センサ。
    (Zr,Ti,Mb−x−y・・・(PX)
    (式中、A:Aサイトの元素であり、Pbを含む少なくとも1種の元素。
    Mが、V,Nb,Ta,及びSbからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素である。0<x<b、0<y<b、0≦b−x−y。
    a:b:c=1:1:3が標準であるが、これらのモル比はペロブスカイト構造を取り得る範囲内で基準モル比からずれてもよい。)
  8. 前記振動板層はシリコン基板の上に成膜されて得られたものであり、
    前記錘部と前記台座部とは、前記振動板層が形成された前記シリコン基板の一部を除去加工することによって残る前記シリコン基板の残部によって構成されたものである請求項1からのいずれか1項に記載の角速度センサ。
  9. 前記ダイヤフラム部は、平面視で円又は楕円の外周形状を有し、
    前記錘部は、前記ダイヤフラム部と中心軸を共通にする前記円又は前記楕円の同心位置に配置されている請求項1からのいずれか1項に記載の角速度センサ。
  10. 駆動電極部と検出電極部とがパターン配置された上部電極と、圧電体層と、下部電極と、1層以上の振動板層と、が積層されて成る積層構造を有する可撓性のあるダイヤフラム部と、
    前記ダイヤフラム部の外周を支持する台座部と、
    前記ダイヤフラム部の中心部に接合されている錘部と、を備え、
    前記駆動電極部を介して前記圧電体層に電界を印加することによって圧電体の逆圧電効果を利用して前記錘部を振動させ、コリオリ力に基づいて前記錘部に生じた変位を圧電効果によって前記検出電極部から検出する角速度センサの製造方法であって、
    薄膜形成技術を用いて前記1層以上の前記振動板層を形成するものとし、
    前記角速度センサの構造体の寸法と、前記構造体を構成する材料の弾性パラメータから計算される共振振動モードの共振周波数をf (単位はキロヘルツ[kHz])、前記錘部の質量をM(単位はミリグラム[mg])、前記ダイヤフラム部の周長をr(単位はメートル[m])、前記圧電体層にかかる応力をσp(単位はパスカル[Pa])、前記圧電体層の膜厚をtp (単位はメートル[m])、前記下部電極と前記1層以上の振動板層とを含む複数層で構成される振動板部分における前記錘部の側から数えて第n番目の層にかかる応力をσn(単位はパスカル[Pa])、前記第n番目の層の膜厚をtn (単位はメートル[m])としたとき(nは自然数)、
    Figure 0005988494

    で表されるTeffが、
    Figure 0005988494

    を満たすようにσp、σn、tn およびtp を調節する角速度センサの製造方法。
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