JP6193599B2 - 角速度センサ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は角速度センサ及びその製造方法に係り、特に圧電ダイヤフラムに錘(おもり)が支持された構造を持つ振動ジャイロ式の角速度センサとその製造技術に関する。
MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いた振動ジャイロセンサは、様々な用途で使用されている。これらのセンサは小型・省電力を特徴とし、コリオリ力を利用して角速度を検出している。この原理を利用して、特許文献1に記載のように錘を水平・垂直方向に駆動させ、3軸角速度センサを実現している例もある。
振動ジャイロ式の角速度センサにおける錘の駆動及び検出は共振振動を利用するため、デバイスの共振周波数の設計は非常に重要となる。このため有限要素法(FEM:Finite Element Method)などを用いて共振周波数を計算し、これを元にデバイス設計を行い、SOI(Silicon On Insulator)基板を用いて錘と振動板を構成し、ジャイロデバイスを実現するのが一般的である。
特開2010−160095号公報
しかし、SOI基板は、標準市販品である通常のSiウェハ(SOI構造を有しないSi基板)に比べて非常に高価な材料であり、デバイスコストが増加してしまうという問題がある。
また、SOI基板の代替材料を用いてデバイスの製造を試みた場合、実際に得られるデバイスの共振周波数が設計値どおりにならず、共振周波数のばらつきが生じるという問題がある。特に、ダイヤフラムのように複数の薄膜を積層した多層薄膜が用いられている場合、それぞれの層に存在する残留応力が共振周波数に大きく影響し、デバイスとして設計値どおりの感度が得られないという問題がある。また、形成された膜の応力のばらつきが大きく、膜の応力が制御できなかった場合、共振周波数のばらつきを発生させてしまうので問題である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、上記の課題を解決し、従来の角速度センサよりも低コストで製作でき、共振周波数のばらつきを抑えることができる角速度センサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、次の発明態様を提供する。
(第1態様):第1態様に係る角速度センサは、駆動電極部と検出電極部とがパターン配置された上部電極と、圧電体層と、下部電極と、1層以上の振動板層と、が積層されて成る積層構造を有する可撓性のあるダイヤフラム部と、ダイヤフラム部の外周を支持する台座部と、ダイヤフラム部の中心部に接合されている錘部と、を備え、駆動電極部を介して圧電体層に電界を印加することによって圧電体の逆圧電効果を利用して錘部を振動させ、コリオリ力に基づいて錘部に生じた変位を圧電効果によって検出電極部から検出する角速度センサであって、振動板層は、鉄(Fe)又はFeよりも原子量の小さい金属を50質量%以上含む金属材料で構成された金属薄膜振動板を含む角速度センサである。
第1態様によれば、金属材料で構成された金属薄膜を振動板として用いるため、SOI構造の基板を用いる必要がなく、非SOI構造の基板を用いて角速度センサを製造することが可能となる、したがって、高価なSOI基板の代替材料として、市販標準品である安価な非SOI構造の基板を用いることが可能になり、コストダウンを実現できる。
従来のSOI基板において活性層シリコンの代替材料として用いる鉄又は鉄よりも原子量の小さい金属を質量パーセントで50質量%以上含む金属材料は、主成分である鉄又は鉄よりも原子量の小さい金属の性質が大きく反映され、成膜条件の変動(ガス量など)の影響を受けにくく、形成された膜の内部応力のばらつきが小さいものとなる。すなわち、第1態様で特定した金属材料は膜の応力が安定しやすい材料であり、このような金属材料を用いたデバイスの共振周波数のばらつきは小さいものとなる。
本実施形態によれば、製造されるデバイスの共振周波数のばらつきを抑えることができ、安定した品質のデバイスを提供することができる。
(第2態様):第1態様に記載の角速度センサにおいて、金属薄膜振動板の厚さは、1μm(マイクロメートル)以上である構成とすることができる。
金属薄膜を振動板として有効に機能させる観点からその膜厚が1μm以上であることが好ましい。なお、振動板層の厚みは、デバイスの用途、仕様等から要求される共振周波数の設計値や振動板を構成する材料の選択などに応じて適宜設計される。
(第3態様):第1態様又は第2態様に記載の角速度センサにおいて、金属薄膜振動板は、気相成膜によって形成されたものとすることができる。
スパッタ法に代表される気相成膜法は、所望の膜厚を高精度に成膜できる点で有益である。このため、デバイス動作の設計からの誤差を大幅に低減させることができる。
また、材料が比較的安価で、成膜レートが高く、量産適性があるため、デバイスの低コスト化が可能である。
(第4態様):第1態様から第3態様のいずれか1項に記載の角速度センサにおいて、金属材料は、Ti、V、Cr、Feのうち少なくとも1つの金属を50質量%以上含むものとすることができる。
(第5態様):第1態様から第4態様のいずれか1項に記載の角速度センサにおいて、金属薄膜振動板の熱膨張係数が、圧電体層の熱膨張係数の±10%以内であるものとすることが好ましい。
圧電体層の熱膨張係数と金属薄膜振動板の熱膨張係数とが近い値であるほど、膜が剥離しにくく、デバイス製造の歩留まりが良好となる。両者の熱膨張係数の差が、圧電体層の熱膨張係数の10%以内であることが好ましい。
(第6態様):第1態様から第5態様のいずれか1項に記載の角速度センサにおいて、金属薄膜振動板は、Tiを50質量%以上含む金属薄膜で構成されるものとすることができる。
Tiは、膜の応力ばらつき(共振ばらつき)が小さく、素子の歩留まりも非常に良好であり、Tiを主成分とする(50質量%以上含む)金属薄膜は特に好ましい。
(第7態様):第1態様から第6態様のいずれか1項に記載の角速度センサにおいて、金属薄膜振動板は、非SOI構造のシリコン基板の上に成膜されて得られたものであり、錘部と台座部とは、金属薄膜振動板が形成された非SOI構造のシリコン基板の一部を除去加工することによって残るシリコン基板の残部によって構成されたものである構成とすることができる。
(第8態様):第1態様から第7態様のいずれか1項に記載の角速度センサにおいて、ダイヤフラム部は、平面視で円又は楕円の外周形状を有し、錘部は、ダイヤフラム部と中心軸を共通にする円又は楕円の同心位置に配置されている構成とすることができる。
(第9態様):第9態様に係る角速度センサの製造方法は、非SOI構造のシリコン基板の上に、鉄又は鉄よりも原子量の小さい金属を50質量%以上含む金属材料から成る金属薄膜振動板を形成する振動板形成工程と、金属薄膜振動板の上に下部電極を形成する下部電極形成工程と、下部電極の上に圧電体層を形成する圧電体層形成工程と、圧電体層の上に駆動電極部と検出電極部とがパターン配置された上部電極を形成する上部電極形成工程と、シリコン基板の一部を除去加工することによって上部電極と圧電体層と下部電極と金属薄膜振動板とを含む積層構造を有する可撓性のあるダイヤフラム部を形成するとともに、除去加工によって残るシリコン基板の残部によってダイヤフラム部の外周を支持する台座部と、ダイヤフラム部の中心部に接合されている錘部とを形成する加工工程と、を含む角速度センサの製造方法である。
第9態様によれば、SOI基板を使用しないため、コストダウンを実現できる。また、金属薄膜振動板の応力のばらつきを抑えることができ、共振周波数のばらつきを抑制することができる。
第9態様において、第2態様から第8態様の特定事項を適宜組み合わせることができる。
本発明によれば、従来の角速度センサよりも低コストで角速度センサを製造することが可能になる。また、共振周波数のばらつきを抑制することができる。
本発明の実施形態に係る角速度センサの構成を示す平面図 図1の2−2線に沿う断面図 図1の2−2線断面を含む斜視図 z方向(垂直方向)の共振振動駆動時の様子を示す模式図 x方向(水平方向)の共振振動駆動時の様子を示す模式図 本実施形態による角速度センサの製造方法の説明図 本実施形態による角速度センサの製造方法の説明図 SOI基板を用いた角速度センサの製造プロセスの説明図 共振周波数の測定方法の説明図 実施例として試作した角速度センサ(実施例1〜4)の振動板の材料、応力ばらつき、共振ばらつきをまとめた図表 実施例として試作した角速度センサ(実施例1〜4)の振動板材料の熱膨張係数と、素子の歩留まり評価をまとめた図表
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について詳細に説明する。
<角速度センサの構造例>
図1から図3に本実施形態に係る角速度センサのデバイスの概要を示す。図1は平面図、図2は図1の2−2線断面図、図3は図1の2−2線断面を含む斜視図である。ここでは薄膜ダイヤフラム型ジャイロセンサを例示する。有限要素法により仕様共振周波数を満たす寸法設計を行った。例えば、この仕様共振周波数は20〜35kHz(キロヘルツ)程度であることが多いが、本発明の適用範囲はこれに限るものではない。
角速度センサ10は、平面視で円形の外周形状を有するダイヤフラム部12と、ダイヤフラム部12の中心部に支持された錘部14と、ダイヤフラム部12の外周を支持している台座部16と、を備える。ダイヤフラム部12は、錘部14が接合されている側(図2で下面側)から膜厚方向の錘部14から離れる方向(図2の上方向)に向かって、振動板層20、下部電極30、圧電体層32、上部電極34の順に積層されて成る積層構造(多層構造)を有する。このダイヤフラム部12は可撓性を有し、その外周部の全周が台座部16に固定されている。台座部16及び錘部14はシリコン(Si)基板を加工して形成される。
本例の振動板層20は、シリコンの熱酸化膜(SiO)21と、金属薄膜振動板22とを含み、この2層の積層体部分が振動板として機能する。本例では、市販標準品であるシリコン熱酸化膜付きSi基板を用いてデバイスを作製しているため、振動板層20に熱酸化膜21が含まれている。ただし、発明の実施に際して熱酸化膜を有していないベアのSi基板を用いて作製することも可能であり、この場合、熱酸化膜21が省略された形態となる。すなわち、振動板層20は、金属薄膜振動板22を含む1層以上の膜で構成することができる。
金属薄膜振動板22は、スパッタ法に代表される薄膜形成技術を用いて形成されている。金属薄膜振動板22のみならず、ダイヤフラム部12の多層構造を構成する他の材料層(30、32、34)についても薄膜形成技術を用いて成膜される。薄膜形成技術には、物理的気相成膜法(PVD:physical vapor deposition)、化学的気相成膜法(CVD:chemical vapor deposition)、液相成膜法(めっき、塗布、ゾルゲル法、スピンコート法など)、熱酸化法が含まれる。それぞれの層について適宜の成膜法が選択される。
金属薄膜振動板22は気相成膜法で形成することが好ましい。気相成膜法は高精度な厚さ寸法制御が可能である。また、材料が安価で、成膜レートが高く、量産適性があるので、デバイスのコストダウンが可能である。
なお、図2その他の図面に示す各層の膜厚やそれらの比率は、説明の都合上、適宜変更して描いており、必ずしも実際の膜厚や比率を反映したものではない。また、本明細書では、積層構造を表現するにあたり、「Aの上にBを積層する」というときの「上」とは、基板から膜の厚み方向に離れる方向を「上」として表現する。Aを水平に保持した状態でAの上面にBを重ねて構成する場合には、重力方向を下方向とするときの上下の方向と一致する。ただし、Aの姿勢を傾けたり、上下反転させたりすることも可能であり、基板や膜の姿勢に依存する積層構造の積み重ね方向が必ずしも重力の方向を基準とする上下方向と一致しない場合についても、積層構造の上下関係を混乱なく表現するために、ある基準となる部材(例えばA)の面を基準にして、その面から厚み方向に離れる方向を「上」と表現する。また、「Aの上にBを積層する」という表現は、Aに接してBをA上に直接積層する場合に限らず、AとBの間に他の1又は複数の層を介在させ、Aの上に1又は複数の層を介してBを積層する場合も有りうる。
図2の例においては、台座部16と錘部14を構成する熱酸化膜21付きのシリコン基板の上に金属薄膜振動板22、下部電極30、圧電体層32、上部電極34の順に成膜が行われる。
圧電体層32の上に形成された上部電極34は、検出用の電極として機能する検出電極部35A〜35Dと、駆動用の電極として機能する駆動電極部36A〜36Dと、パターニングされている(図1参照)。検出電極部35A〜35Dと駆動電極部36A〜36Dとがそれぞれ独立した電極として機能するように、各電極部(35A〜35D、36A〜36D)とが個別に分離された形態でパターン配置されている。
また、図1において、符号38はグランド電極である。グランド電極38は、図示せぬ導電部材を介して下部電極30と通じており、上部電極34(検出電極部35A〜35D、駆動電極部36A〜36D)から分離されて(絶縁されて)平面視において台座部16の領域に設けられている。
本実施形態では、平面視で円形の外周形状を持つダイヤフラム部12の円の中心を通る中心軸CLを対称軸とする回転対称の電極パターンとなっている。錘部14は、ダイヤフラム部12と中心軸CLを共通にする同心位置に配置されている。
図1に示した検出電極部35A〜35Dと駆動電極部36A〜36Dのパターン配置は、中心軸CLの周りを90度回転させると、重なる4回対称のパターンを例示しているが、上部電極34のパターン配置形態は図1の例に限定されず、様々な配置形態が可能である。また、検出電極部35A〜35Dと駆動電極部36A〜36Dを入れ替えることも可能である。
駆動電極部36A〜36Dと下部電極30との間に圧電体層32が介在する部分によって駆動用の圧電素子部が構成される。駆動用の圧電素子部の電極間に駆動電圧を印加することにより(圧電体層32に電界を印加することにより)、圧電体の逆圧電効果によってダイヤフラム部12と錘部14を振動させることができる。駆動電極部36A〜36Dを含む駆動用の圧電素子部は、図示せぬ駆動用電力の供給源(駆動回路)と接続されることにより、錘部14を振動させる励振手段として機能する。
また、検出電極部35A〜35Dと下部電極30との間に圧電体層32が介在する部分によって、検出用の圧電素子部が構成される。振動している錘部14に角速度が加わるとコリオリ力が作用して、錘部14の振動に変位が生じる。このコリオリ力に基づいて錘部14に生じた変位を圧電体の圧電効果によって検出し、検出電極部35A〜35Dから電気信号(検出信号)を得る。検出電極部35A〜35Dを含む検出用の圧電素子部は、図示せぬ検出信号の処理回路(検出回路)と接続されることにより、錘部14の変位を検出する変位検出手段として機能する。
なお、以下説明の便宜上、ダイヤフラム部12の円の中心を原点とし、図1の左右方向をx軸方向、これに直交する図1の縦方向をy軸方向、図1の紙面垂直方向をz軸方向とする直交xyz軸を導入する。図2に示した中心軸CLはz軸と平行な軸である。
また、検出電極部35A〜35Dに関して、図3では「検出電極部35」として記載し、駆動電極部36A〜36Dについても図3では「駆動電極部36」として記載した。
図4はz方向の共振振動駆動時の様子を示す模式図、図5はx方向の共振振動駆動時の様子を示す模式図である。なお、図4、図5においては、台座部16の図示を省略してダイヤフラム部12と錘部14のみを示した。
図4のように錘部14をダイヤフラム部12の面と垂直方向(z方向)に共振駆動させると、可撓性を持つダイヤフラム部12はz方向に変位するため、その変位に応じて検出電極部35A〜35Dから検出信号が得られる。
また、図5のように錘部14をx方向(水平方向)に共振駆動させると、その振動方向に対応したダイヤフラム部12の変位に応じて、各検出電極部35A〜36Dから相応の検出信号が得られる。駆動振動の検出信号を元に自励発振回路を動作させることで、共振振動状態を保つことができる。また、コリオリ力の作用によって錘部14が共振駆動方向と異なる方向に振動すると、その変位に応じた検出信号が得られるため、検出信号から角速度を検知することができる。
なお、角速度の検出原理については、特許文献1に記載されている通りであり、ダイヤフラム部12の駆動方法については、特許文献1に記載の方法を適用することができる。
<金属薄膜振動板22について>
金属薄膜振動板22は、形成膜の内部応力のばらつきが小さい材料で構成されることが好ましい。一般的に原子量の小さい金属は成膜時のガス量の影響を受けづらく、形成膜の内部応力はばらつきが小さくなる。一方、原子量の大きい金属は成膜時のガス量の影響を受けやすく、形成膜の内部応力はばらつきが大きくなる。
実験に基づく知見によれば、鉄(Fe)の原子量を目安にして、それ以下の原子量の金属は成膜時のガス量の影響を受けづらく、形成膜の内部応力のばらつきが小さい。逆に、鉄(Fe)よりも原子量の大きい金属は成膜時のガス量の影響を受けやすく、形成膜の内部応力のばらつきは大きい。
具体例を示すと、応力が安定しやすい材料として、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)のうちいずれか、若しくは、これらを主成分とする合金を挙げることができる。「主成分とする」とは、質量パーセントで50%以上であることをいう。
また、応力がばらつきやすい材料として、Ti質量比が10%程度のチタンタングステン(TiW)やジルコニウム(Zr)を挙げることができる。
したがって、材料の観点で、応力のばらつきやすさを考慮に入れて材料選定をすることが好ましく、製造される素子の共振周波数(共振値)のばらつきをデバイス仕様の許容範囲(例えば、設計値に対して±5%以内)に収める。
本実施形態では、振動板層20として、鉄(Fe)又はFeよりも原子量の小さい金属を50質量%以上含む金属材料から成る金属薄膜振動板22が用いられる。
<角速度センサの製造方法の例>
図6は、本実施形態による角速度センサの製造方法の説明図である。
(手順1)まず、シリコン(Si)基板102を用意する(図6(a)参照)。ここで用いるシリコン基板102は、SOI基板ではなく、SOI構造を有していない非SOI構造の基板であり、安価な市販標準品であるシリコンウエハが用いられる。本例では、シリコン基板102の表面に熱酸化膜104が形成されている熱酸化膜付きSi基板110が用いられる。ただし、熱酸化膜104のないベアのSi基板を用いることもできる。本実施例では、熱酸化膜104の膜厚1μm(マイクロメートル)、シリコン基板102の厚み400μm(マイクロメートル)の熱酸化膜付きシリコン基板を用いた。ただし、熱酸化膜104の膜厚や基板の厚みについては、様々な寸法が可能であり、デバイスの用途(仕様)に応じて適切な厚みが選択される。
また、熱酸化膜104を省略したシリコン基板(ベアのもの)を用いる態様も可能である。すなわち、コスト削減の観点から採用される安価なSi基板は、市販されている基板の中で、ベアのもの、又は、シリコン酸化膜付きものであり、標準品であって簡単に入手可能なものである。
(手順2)次に、この熱酸化膜付きSi基板110(以下、単に「基板110」という。)の上に、スパッタ法により金属薄膜振動板120を形成する(「振動板形成工程」、図6(b))。金属薄膜振動板120の材料については、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)のうちいずれか1種類、若しくは、これらを主成分とする合金が用いられる。金属薄膜振動板120の膜厚は、1μm(マイクロメートル)以上とすることが好ましい。膜厚1μm(マイクロメートル)以上の金属薄膜振動板120を形成することにより、振動板としての役割を効果的に果たすことができる。
また、気相成膜法は5μm以下の薄膜を形成するのに適しているため、従来のSOI基板を用いる構成において製作が困難な5μm以下の薄膜化を実現する上で本発明の態様は特に有益である。
(手順3)次に、金属薄膜振動板120の上に下部電極130を形成する(「下部電極形成工程」、図6(c))。本例では、下部電極130としてイリジウム(Ir)をスパッタ法により150nmの膜厚で形成した。下部電極130の材料や膜厚については、本例に限らず、適宜の設計が可能である。
(手順4)次に、下部電極130の上に圧電体層132を形成する(「圧電体層形成工程」)。図6(d)には、下部電極130と圧電体層132を成膜した様子を図示した。本例では、圧電体層132として、ジルコンチタン酸鉛(PZT)をスパッタ法により2μm(マイクロメートル)の膜厚で成膜した。本例では、高周波(Rf;radio frequency)スパッタ装置を用い、成膜ガスに97.5%Arと2.5%Oを用い、ターゲット材料としてはPb1.3((Zr0.52 Ti0.48)0.88 Nb0.12)O3の組成のものを用いた。成膜圧力は2.2mTorr(約0.293Pa)、成膜温度は450℃とした。得られたPZT膜は、Nbが原子組成比で12%添加されたNbドープPZT薄膜であった。
(手順5)次に、圧電体層132の上に上部電極134を形成する。上部電極134として、検出電極部135と駆動電極部136とがパターニングされる(図6(e)参照、「上部電極形成工程」)。本例では上部電極134にチタン(Ti)とプラチナ(Pt)の積層膜(Ti/Pt)を用いている。スパッタ法により、チタン(Ti)を膜厚15nm(ナノメートル)形成し、その上にプラチナ(Pt)を膜厚150nm)で成膜した。このような上部電極134の膜構成は「Ti(15nm)/Pt(150nm)」と表記される。
上部電極134の材料や膜厚については、本例に限らず、適宜の設計が可能である。
なお、電極をパターニングする手法として、マスク蒸着やリフトオフを適用できる。
(手順6)その後、Si基板102を裏面側から深堀り反応性イオンエッチング(DeepRIE)などの深掘加工を行うことにより、Si基板102の一部を除去加工し、その残部によって錘部114と、台座部116とを形成する(図7)、「基板加工工程」)。この基板加工工程により、錘部114の周りが円環上の溝として除去され、その除去した部分がダイヤフラム部112の駆動部及び検出部として機能する領域となる。図7の構成は図1〜3で説明した角速度センサ10の構成と同等である。
<SOI基板を用いた角速度センサの製造プロセスの説明>
比較のために、SOI基板を用いた角速度センサの製造プロセスについて説明する。図8はSOI基板を用いた角速度センサの製造プロセスの説明図である。
図8(a)に示すように、SOI基板600は、ハンドル層602としてのシリコン基板と、表面のシリコン層(「活性層」という。)604の間にSiO層606が挿入された多層構造の基板である。活性層604は、最終的にダイヤフラム部の振動板として機能させる層であり、その膜厚は研磨によって調整される。
このようなSOI基板600を用い、図8(b)に示すように、SOI基板600の活性層604の上に、下部電極630が形成され、その上に圧電体層632が成膜される。
その後、図8(c)に示すように、圧電体層632の上に上部電極634としての検出電極部635と駆動電極部636とがパターニングされる。
次いで、図8(d)に示すように、ハンドル層602を裏面側から深掘加工することにより、ハンドル層602の一部を除去加工し、その残部によって錘部614と、台座部616とを形成する。深掘エッチングによって除去された部分に残る活性層604のSiが振動板の役割を果たす。
図8(a)〜(d)で説明した製造プロセスは、高価なSOI基板を用いており、コスト面で課題がある。
この点、図6(a)〜(e)、図7で説明した本実施形態の製造プロセスによれば、市販標準品である安価なSi基板を用い、SOI基板の活性層Siに当たる層を金属材料で代替し、振動板として用いる。
金属薄膜振動板の材料や成膜条件(ガス量など)を変えて、様々なデバイスの試作を行行い、共振値(共振周波数)の測定を行った(図9参照)。構造体の寸法と、構造体を構成する材料の弾性パラメータから、有限要素法(FEM;finite element method)を用いてジャイロ駆動、検出のいずれかに用いる共振振動モードの共振周波数を計算し、このFEM計算値と、試作したデバイスから測定された共振値との比較評価を行った。また、それぞれの金属薄膜振動板について応力値を算出し、応力のばらつきを調べた。
なお、本例ではz方向の共振駆動の周波数を評価したが、z方向共振駆動の共振周波数の設計値を「fz」、x方向共振駆動の共振周波数の設計値を「fx」とし、z方向の共振振動、x方向の共振振動のそれぞれについて共振周波数を測定することができる。z方向、x方向のいずれか一方の共振振動を利用するデバイスも可能であり、z方向、x方向のいずれか一方の共振モードの共振周波数について評価を行う態様が可能である。
<共振値の測定方法>
図9は共振周波数を測定する方法の説明図である。図示のように、試作した角速度センサ10の駆動電極部36にファンクションジェネレータ212を接続して、電圧を入力し、錘部14を振動させ、検出電極部35にオシロスコープ214を接続して出力電圧を測定した。
入力電圧の周波数を変化させることで出力電圧の変化を測定し、最大値となった入力電圧周波数が共振周波数となる。
<膜の内部応力値の測定方法>
金属薄膜振動板22の内部応力(残留応力)の測定は、薄膜形成後のサンプルについて基板の反り量(曲率)を測定し、ストーニーの式(式1)を用いることで算出することができる。
Figure 0006193599
ここで、Eはシリコン基板のヤング率、bは基板の厚さ、νはシリコン基板のポアソン比、rは反り量として把握される曲率、dは膜の厚み、を示す。
<実施例1〜4の試作に係るデバイス>
振動板の材料と成膜条件を変えて様々なデバイスを試作し(実施例1〜4及び比較例)、金属薄膜振動板の応力のばらつきと、デバイスの共振周波数のばらつき(「共振ばらつき」という。)を調べた。図10にその実施結果の表を示す。
振動板の材料について、実施例1ではCr、実施例2はTi、実施例3はV、実施例4はFeを用いた。また、比較例としてTiW(質量比でTi:W=1:9のもの)を用いた。振動板の成膜条件については、成膜時のガス圧条件を0.1Pa(パスカル)から2.5Paの範囲で段階的に設定し、各材料についてサンプル数n=3で実施した。
比較例のTiWは、タングスステンの性質が大きく反映されたものとなっており、応力値が−370MPa(メガパスカル)から400MPa(メガパスカル)と大きくばらついている。なお「−(マイナス)」の値(負の値)は圧縮方向の応力を表し、正の値は引っ張り方向の応力を表している。
図10の表における「応力ばらつき」の欄に併記したパーセントの値は、応力値のばらつき範囲の中心値からのずれ量の最大値(ばらつき幅の半分の値)を中心値に対する割合(百分率)として表している。
例えば、実施例1の場合、膜の応力が300MPa〜500MPaの範囲でばらつくため、ばらつき範囲の中心値は「400MPa」、中心値からのずれ量の最大値(ばらつき幅の半分の値)は100MPa=400-300[MPa]=500-400[MPa]=(500-300)/2 [MPa]であるため、100MPa/400MPa=0.25となり、百分率で示すと25.0%である。
一方、共振ばらつきを示す「%」の値は、サンプル(ここではn=3)の測定値のばらつきを示しており、計算方法は、サンプル(ここではn=3)の平均値からのズレ量をばらつきとして、百分率(%)表示している。
実施例1の場合、得られたデバイスの共振周波数を測定したところ、共振ばらつきは2.6%というわずかなばらつきであった。共振ばらつきの評価に際しては、ばらつきが5%以内であるものを「A」、ばらつきが5%を超えて実用に向かないレベルを「C」と評価した。実施例1〜4については、共振ばらつきが5%以内となっている。これに対し、比較例のものは、共振周波数のばらつきが、20.9%であった。
実施例1〜4に用いた材料は膜の応力ばらつきが比較的小さく、デバイスの共振周波数のばらつきを5%以内に収めることができる。膜の応力ばらつきを一定量(ある規定の値範囲以内)に抑えることで、デバイスの共振周波数のばらつきを所要の範囲内に抑えることが可能である。
振動板を構成する金属薄膜の応力ばらつきは45%以内であることが好ましく、図10によれば、応力ばらつきが40%以内であることが特に好ましい。
実施例1〜4で用いた材料に限らず、これらを主成分とする合金(金属材料)に関しても、主成分の材料の性質が大きく反映されるため、応力ばらつきは、主成分材料に近い値となる。例えば、TiW(ただし、Tiが質量パーセントで50%以上のもの)は、Tiの性質が大きく反映されるので、応力ばらつきがTiに近しい値となる。また、他のTi合金に関しても、Tiの質量パーセントが50%以上のもの(Tiを主成分とする合金)は、Tiの性質が大きく反映されるため、Tiと類似した性質となり、応力ばらつきがTiに近しい値になる。
このため、Tiを主成分とする合金についても、Tiの場合(実施例2)と同様に、共振ばらつきを抑制でき、振動板に好適な材料である。Tiの他、Cr、V、Feのいずれか主成分とする(50質量%以上の)金属材料についても、同様に、振動板として好適な材料である。
<金属材料の熱膨張係数について>
金属薄膜によって振動板を形成する際、上述した応力ばらつきの観点に加え、熱膨張係数を考慮することが望ましい。材料の選択によっては、異なる膜材料の境界面で膜が剥離してしまったり、マイクロクラックが発生してしまったりするため、熱膨張係数は製造の歩留まりに関係する要素である。
図11に、金属材料の熱膨張係数と、素子の歩留まりの関係を表にまとめた。圧電体膜(PZT)の線膨張係数は概ね8μm/℃であることから、この値を基準にして熱膨張係数の違いの程度を「%」の指標で表した値を併記した。
デバイスを量産した場合の歩留まりの評価については、サンプルにおける膜の剥離性、クラックの発生状況等を調べ、特に良好なものを「AA」、良好なものを「A」、量産適性に劣るものを「C」と評価した。なお、「C」評価となっている実施例1,4であっても量産の生産ラインに適さないという意味であり、デバイスの製造は可能である。
図11に示したように、金属薄膜振動板の熱膨張係数が圧電体膜の熱膨張係数に対して一定の範囲内であるものを選定することで、膜の剥離を抑制することができ、デバイスの歩留まりが向上する。図11によれば、振動板に用いる金属材料の熱膨張係数は圧電体膜の熱膨張係数に対して±10%の範囲内の値であることが好ましい。すなわち、圧電体膜の線膨張係数をCpzt、金属材料の線膨張係数をαとするとき、αがCpztの±10%以内であること(0.9Cpzt≦α≦1.1Cpzt)が好ましい。
実施例1〜4で用いた材料に限らず、これらを主成分とする合金に関しても、主成分の材料の性質が大きく反映されるため、熱膨張係数の値は、主成分材料に近い値となる。
例えば、TiW(ただし、Tiが質量パーセントで50%以上のもの)は、Tiの性質が大きく反映されるので、熱膨張係数の値がTiに近しい値となる。また、他のTi合金に関しても、Tiの質量パーセントが50%以上のもの(Tiを主成分とする合金)は、Tiの性質が大きく反映されるため、Tiと類似した性質となるので、熱膨張係数がTiに近しい値になる。
このため、Tiを主成分とする金属材料についても、Tiの場合(実施例2)と同様に、歩留まりが良好となり、量産適性があり、振動板として好適な材料である。
Tiの他、Vを主成分とする金属材料についても、Vの場合(実施例3)と同様に、歩留まりが良好となり、量産適性があり、振動板として好適な材料である。
図10及び図11の結果を総合すると、TiやVを主成分とする金属材料を用いて振動板を形成することが好ましい形態であり、特に、Tiを主成分とする金属材料が最も好ましい。
<圧電材料について>
本実施形態に好適な圧電体としては、下記式で表される1種又は2種以上のペロブスカイト型酸化物(P)を含むものが挙げられる。
一般式ABO・・・(P)
(式中、A:Aサイトの元素であり、Pbを含む少なくとも1種の元素。
B:Bサイトの元素であり、Ti,Zr,V,Nb,Ta,Sb,Cr,Mo,W,Mn,Sc,Co,Cu,In,Sn,Ga,Zn,Cd,Fe,及びNiからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素。
O:酸素元素。
Aサイト元素とBサイト元素と酸素元素のモル比は1:1:3が標準であるが、これらのモル比はペロブスカイト構造を取り得る範囲内で基準モル比からずれてもよい)。
上記一般式で表されるペロブスカイト型酸化物としては、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ジルコニウム酸鉛、チタン酸鉛ランタン、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛、ニッケルニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛、亜鉛ニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛等の鉛含有化合物、及びこれらの混晶系;チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムバリウム、チタン酸ビスマスナトリウム、チタン酸ビスマスカリウム、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、ビスマスフェライト等の非鉛含有化合物、及びこれらの混晶系が挙げられる。
また、本実施形態の圧電体膜は、下記式で表される1種又は2種以上のペロブスカイト型酸化物(PX)を含むことが好ましい。
一般式Aa(Zrx,Tiy,Mb−x−y)bOc・・・(PX)
(式中、A:Aサイトの元素であり、Pbを含む少なくとも1種の元素。
Mが、V、Nb、Ta、及びSbからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素である。
0<x<b、0<y<b、0≦b−x−y
a:b:c=1:1:3が標準であるが、これらのモル比はペロブスカイト構造を取り得る範囲内で基準モル比からずれてもよい)。
ペロブスカイト型酸化物(PX)は、真性PZT、あるいはPZTのBサイトの一部がMで置換されたものである。被置換イオンの価数よりも高い価数を有する各種ドナーイオンを添加したPZTでは、真性PZTよりも圧電性能等の特性が向上することが知られている。Mは、4価のZr,Tiよりも価数の大きい1種又は2種以上のドナーイオンであることが好ましい。かかるドナーイオンとしては、V5+,Nb5+,Ta5+,Sb+,Mo6+,及びW6+等が挙げられる。
b−x−yは、ペロブスカイト構造を取り得る範囲であれば特に制限されない。例えば、MがNbである場合、Nb/(Zr+Ti+Nb)モル比が0.05以上0.25以下であることが好ましく、0.06以上0.20以下であることがより好ましい。
上述の一般式(P)及び(PX)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる圧電体膜は、高い圧電歪定数(d31定数)を有するため、かかる圧電体膜を備えた圧電素子は、変位特性、検出特性の優れたものとなる。
また、一般式(P)及び(PX)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる圧電体膜を備えた圧電素子は、リニアリティの優れた電圧―変位特性を有している。これらの圧電材料は、本発明を実施する上で良好なアクチュエータ特性、センサ特性を示すものである。なお、一般式(PX)で表されるペロブスカイト型酸化物の方が一般式(P)で表されるものよりも圧電定数が高くなる。
本実施形態における圧電体層32の一具体例として、例えば、Nbを原子組成百分率で12%ドープしたチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)薄膜を用いることができる。スパッタリング法等によってNbを12%ドープしたPZTを成膜することにより、圧電定数d31=250pm/Vという高い圧電特性を持つ薄膜を安定的に作製できる。気相成膜法やゾルゲル法などにより基板上に圧電薄膜を直接成膜する構成が好ましい。特に、本実施形態の圧電体層としては、1μm以上10μm以下の厚さの薄膜であることが好ましい。
<成膜方法について>
圧電体の成膜方法としては気相成膜法が好ましい。例えば、スパッタリング法の他、イオンプレーティング法、MOCVD法(有機金属気相成長法)、PLD法(パルスレーザー堆積法)など、各種の方法を適用し得る。また、気相成長以外の方法(例えば、ゾルゲル法など)を用いることも考えられる。
PZT薄膜をスパッタリング法により基板に直接成膜し、圧電体を薄膜化することで製作プロセスを簡便にすることができる。また、このようにして成膜された圧電体薄膜は、エッチング等によって微細加工が容易であり、所望の形状にパターニングが可能である。
これによって、歩留まりが大幅に向上するとともにデバイスのさらなる小型化に対応することができる。
本発明の実施に際しては、基板の材料、電極材料、圧電材料、膜厚、成膜条件などは、目的に応じて適宜選択することができる。
<変形例>
図1では、平面視で円形のダイヤフラム部を説明したが、円形に限らず、平面視で楕円形のダイヤフラム部や平面視で多角形のダイヤフラム部とする構成も可能である。
本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有するものにより、多くの変形が可能である。
10…角速度センサ、12…ダイヤフラム部、14…錘部、16…台座部、20…振動板層、21…熱酸化膜、22…金属薄膜振動板、30…下部電極、32…圧電体層、34…上部電極、35A〜35D,35…検出電極部、36A〜36D,36…駆動電極部、110…シリコン(Si)基板、112…ダイヤフラム部、114…錘部、116…台座部、120…振動板層、121…熱酸化膜、122…金属薄膜振動板、132…圧電体層、134…上部電極、135…駆動電極部、136…検出電極部

Claims (12)

  1. 駆動電極部と検出電極部とがパターン配置された上部電極と、圧電体層と、下部電極と、1層以上の振動板層と、が積層されて成る積層構造を有する可撓性のあるダイヤフラム部と、
    前記ダイヤフラム部の外周を支持する台座部と、
    前記ダイヤフラム部の中心部に接合されている錘部と、を備え、
    前記駆動電極部を介して前記圧電体層に電界を印加することによって圧電体の逆圧電効果を利用して前記錘部を振動させ、コリオリ力に基づいて前記錘部に生じた変位を圧電効果によって前記検出電極部から検出する角速度センサであって、
    前記振動板層は、鉄(Fe)又はFeよりも原子量の小さい金属を50質量%以上含む金属材料で構成された金属薄膜振動板を含み、前記金属薄膜振動板は、気相成膜によって形成されたものである角速度センサ。
  2. 駆動電極部と検出電極部とがパターン配置された上部電極と、圧電体層と、下部電極と、1層以上の振動板層と、が積層されて成る積層構造を有する可撓性のあるダイヤフラム部と、
    前記ダイヤフラム部の外周を支持する台座部と、
    前記ダイヤフラム部の中心部に接合されている錘部と、を備え、
    前記駆動電極部を介して前記圧電体層に電界を印加することによって圧電体の逆圧電効果を利用して前記錘部を振動させ、コリオリ力に基づいて前記錘部に生じた変位を圧電効果によって前記検出電極部から検出する角速度センサであって、
    前記台座部及び前記錘部は、シリコン基板を用いて形成され、
    前記振動板層は、Feよりも原子量の小さい金属を50質量%以上含む金属材料で構成された金属薄膜振動板を含む角速度センサ。
  3. 前記金属薄膜振動板の厚さは、1μm(マイクロメートル)以上である請求項1又は2に記載の角速度センサ。
  4. 前記金属薄膜振動板は、気相成膜によって形成されたものである請求項2に記載の角速度センサ。
  5. 前記金属材料は、チタン(Ti)を50質量%以上含むものである請求項1から4のいずれか1項に記載の角速度センサ。
  6. 前記金属材料は、バナジウム(V)を50質量%以上含むものである請求項1から4のいずれか1項に記載の角速度センサ。
  7. 前記金属材料は、クロム(Cr)を50質量%以上含むものである請求項1から4のいずれか1項に記載の角速度センサ。
  8. 前記金属薄膜振動板の熱膨張係数が、前記圧電体層の熱膨張係数の±10%以内である請求項1からのいずれか1項に記載の角速度センサ。
  9. 前記金属薄膜振動板は、非SOI構造のシリコン基板の上に成膜されて得られたものであり、
    前記錘部と前記台座部とは、前記金属薄膜振動板が形成された前記非SOI構造のシリコン基板の一部を除去加工することによって残る前記シリコン基板の残部によって構成されたものである請求項1からのいずれか1項に記載の角速度センサ。
  10. 前記ダイヤフラム部は、平面視で円又は楕円の外周形状を有し、
    前記錘部は、前記ダイヤフラム部と中心軸を共通にする前記円又は前記楕円の同心位置に配置されている請求項1からのいずれか1項に記載の角速度センサ。
  11. 非SOI構造のシリコン基板の上に、鉄又は鉄よりも原子量の小さい金属を50質量%以上含む金属材料から成る金属薄膜振動板を気相成膜によって形成する振動板形成工程と、
    前記金属薄膜振動板の上に下部電極を形成する下部電極形成工程と、
    前記下部電極の上に圧電体層を形成する圧電体層形成工程と、
    前記圧電体層の上に駆動電極部と検出電極部とがパターン配置された上部電極を形成する上部電極形成工程と、
    前記シリコン基板の一部を除去加工することによって前記上部電極と前記圧電体層と前記下部電極と前記金属薄膜振動板とを含む積層構造を有する可撓性のあるダイヤフラム部を形成するとともに、前記除去加工によって残る前記シリコン基板の残部によって前記ダイヤフラム部の外周を支持する台座部と、前記ダイヤフラム部の中心部に接合されている錘部とを形成する加工工程と、
    を含む角速度センサの製造方法。
  12. 非SOI構造のシリコン基板の上に、鉄よりも原子量の小さい金属を50質量%以上含む金属材料から成る金属薄膜振動板を形成する振動板形成工程と、
    前記金属薄膜振動板の上に下部電極を形成する下部電極形成工程と、
    前記下部電極の上に圧電体層を形成する圧電体層形成工程と、
    前記圧電体層の上に駆動電極部と検出電極部とがパターン配置された上部電極を形成する上部電極形成工程と、
    前記シリコン基板の一部を除去加工することによって前記上部電極と前記圧電体層と前記下部電極と前記金属薄膜振動板とを含む積層構造を有する可撓性のあるダイヤフラム部を形成するとともに、前記除去加工によって残る前記シリコン基板の残部によって前記ダイヤフラム部の外周を支持する台座部と、前記ダイヤフラム部の中心部に接合されている錘部とを形成する加工工程と、
    を含む角速度センサの製造方法。
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