JP5987779B2 - 希土類酸化物粉末の製造方法 - Google Patents
希土類酸化物粉末の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5987779B2 JP5987779B2 JP2013096391A JP2013096391A JP5987779B2 JP 5987779 B2 JP5987779 B2 JP 5987779B2 JP 2013096391 A JP2013096391 A JP 2013096391A JP 2013096391 A JP2013096391 A JP 2013096391A JP 5987779 B2 JP5987779 B2 JP 5987779B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rare earth
- earth oxide
- oxide powder
- producing
- solution
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Geology (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
Description
〔1〕 希土類金属イオンを含有する水溶液に炭素数6以上20以下の飽和又は不飽和脂肪酸の塩を含有する陰イオン界面活性剤を添加し、該陰イオン界面活性剤を添加した水溶液と疎水性の有機溶媒とを混合して攪拌により油中水滴(W/O)型エマルション溶液とする工程と、該エマルション溶液に沈殿剤を添加して上記エマルション溶液の液滴サイズに対応した大きさの希土類酸化物前駆体を沈殿させる工程と、この希土類酸化物前駆体の沈殿物を上記溶液から分離し、該沈殿物を乾燥した後に上記希土類酸化物前駆体の表面が上記陰イオン界面活性剤由来の脂肪酸で表面修飾された状態で焼成して平均粒径が10nm以上1μm以下の単分散状態の希土類酸化物粉末を得る工程とを有する希土類酸化物粉末の製造方法。
〔2〕 上記希土類金属が、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする〔1〕記載の希土類酸化物粉末の製造方法。
〔3〕 上記陰イオン界面活性剤は、オレイン酸、ステアリン酸又はパルミチン酸の塩であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕記載の希土類酸化物粉末の製造方法。
〔4〕 上記有機溶媒は、ヘキサン、シクロヘキサン、デカン、トルエン又はキシレンであることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の希土類酸化物粉末の製造方法。
〔5〕 上記有機溶媒と共に非イオン界面活性剤を添加することを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の希土類酸化物粉末の製造方法。
〔6〕 上記沈殿剤は、アンモニア水、炭酸水素アンモニウム又は蓚酸を含むことを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の希土類酸化物粉末の製造方法。
〔7〕 上記焼成処理は、乾燥した上記沈殿物を500〜1200℃に加熱するものであることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の希土類酸化物粉末の製造方法。
本発明に係る希土類酸化物粉末の製造方法は、希土類金属イオンを含有する水溶液に炭素数6以上20以下の飽和又は不飽和脂肪酸の塩を含有する陰イオン界面活性剤を添加し、該陰イオン界面活性剤を添加した水溶液と疎水性の有機溶媒とを混合して油中水滴(W/O)型エマルション溶液とする工程(エマルション化工程)と、該エマルション溶液に沈殿剤を添加して希土類酸化物前駆体を沈殿させる工程(沈殿工程)と、この希土類酸化物前駆体の沈殿物を上記溶液から分離し、乾燥した後に焼成して平均粒径が10nm以上1μm以下の希土類酸化物粉末を得る工程(焼成工程)とを有する。
以下、各工程について説明する。
本工程では、まず希土類金属イオンを含有する水溶液に炭素数6以上20以下の飽和又は不飽和脂肪酸の塩を含有する陰イオン界面活性剤を添加する。
これにより、径のそろった微細な水滴が安定して有機溶媒中に分散したW/O型エマルション溶液が得られる。
本工程では、上記エマルション溶液に沈殿剤を添加して希土類酸化物前駆体を沈殿させる処理を行う。
また、沈殿剤として炭酸水素アンモニウムを用いる場合には、炭酸水素アンモニウムの添加量を溶存する希土類金属イオンに対し、少なくとも当量以上とし、希土類酸化物前駆体として希土類金属を含有する炭酸塩あるいはその複塩の沈殿物を得る。
また、沈殿剤として蓚酸を用いる場合には、蓚酸の添加量を溶存する希土類金属イオンに対し、少なくとも当量以上とし、希土類酸化物前駆体として希土類金属を含有する蓚酸塩あるいはその複塩の沈殿物を得る。
本工程では、上記溶液を固液分離することで希土類酸化物前駆体の沈殿物を回収し、該沈殿物を乾燥した後に焼成して平均粒径が10nm以上1μm以下の希土類酸化物粉末を得る。なお、平均粒径は、顕微鏡法による円相当径の平均値である。詳しくは、電子顕微鏡(SEM)によって観察される希土類酸化物粉末の各粒子の円相当径(粒子の投影面積と同じ面積をもつ円の直径)を測定し、その100個分の円相当径の平均値を求めたものである(以下、同じ)。
次に、回収された沈殿物を乾燥させるが、その乾燥方法としては特に制限されず、オーブンや真空乾燥機等により乾燥を行えばよい。
酸化イットリウムを硝酸に溶解し、該希土類金属イオン溶液に純水を添加して濃度1.0mol/Lの硝酸イットリウム水溶液100mLに調製した。この水溶液にオレイン酸ナトリウム5gを添加し、2時間攪拌した。次いで、該水溶液にシクロヘキサン1000mLと非イオン界面活性剤Span80(ソルビタンモノオレエート、関東化学(株)製)1.0gを加えて激しく攪拌すると、微小な液滴からなるW/O型エマルション溶液が得られた。次に、炭酸水素アンモニウム13gを純水50mLに溶かして水溶液とし、エマルション溶液を激しく攪拌しながらこの炭酸水素アンモニウム水溶液を滴下した。炭酸水素アンモニウム水溶液の滴下に伴い白色の沈殿が生じた。滴下完了後、攪拌を続けながら室温(25℃)で1時間の熟成を行なった。その後、生じた沈殿をブフナー漏斗で水溶液からろ別し、得られた沈殿を75℃のオーブンで12時間乾燥させた後、アルミナ坩堝に入れ800℃大気雰囲気下で3時間焼成した。こうして、9.2gの酸化イットリウム微粉末が得られた。
この粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図1に示すように、粒径がおよそ100nmの凝集のない粒径の揃った球状の粒子群であった。顕微鏡法による円相当径としての平均値は95nmであった(n数 100個)。
酸化イットリウムを硝酸に溶解し、該希土類金属イオン溶液を純水により濃度1.0mol/Lの硝酸イットリウム水溶液100mLに調製した。この水溶液にシクロヘキサン1000mLと界面活性剤Span80(ソルビタンモノオレエート、関東化学(株)製)1.0gを加え、激しく攪拌すると微小な液滴からなるエマルション溶液が得られたが、エマルションの安定性が低く、攪拌を停止するとすぐに分解して2相溶液に分離した。次に、炭酸水素アンモニウム13gを純水50mLに溶かして水溶液とし、上記エマルション溶液を激しく攪拌しながらこの炭酸水素アンモニウム水溶液を滴下した。炭酸水素アンモニウム水溶液の滴下に伴い白色の沈殿が生じた。滴下完了後、攪拌を続けながら室温(25℃)で1時間熟成を行なった。その後、生じた沈殿をブフナー漏斗で水溶液からろ別し、得られた沈殿を75℃のオープンで12時間乾燥させた後、アルミナ坩堝に入れ800℃大気雰囲気下で3時間焼成した。こうして、9.8gの酸化イットリウム微粉末が得られた。
この粉末を走査型電子顕微鏡で観察したところ、図2に示すように、粒径がおよそ200nmから900nm程度で粒子の大きさにばらつきがあり、また粒子同士の凝集がみられた。粒子形状は球状や薄片状等が混在した不定形粒子であった。顕微鏡法による円相当径としての平均値は379nmであった(n数 100個)。
酸化イットリウムを硝酸に溶解し、該希土類金属イオン溶液を純水により濃度1.0mol/Lの硝酸イットリウム水溶液100mLに調製した。この水溶液に無水酢酸ナトリウム1.5gを添加し、2時間攪拌した。該水溶液にシクロヘキサン1000mLと界面活性剤Span80(ソルビタンモノオレエート、関東化学(株)製)1.0gを加え、激しく攪拌すると微小な液滴からなるエマルション溶液が得られたが、エマルションの安定性が低く、攪拌を停止するとすぐに分解し2相溶液に分離した。次に、炭酸水素アンモニウム13gを純水50mLに溶かして水溶液とし、上記エマルション溶液を激しく攪拌しながらこの炭酸水素アンモニウム水溶液を滴下した。炭酸水素アンモニウム溶液の滴下に伴い白色の沈殿が生じた。滴下完了後、攪拌を続けながら室温(25℃)で1時間熟成を行なった。その後、生じた沈殿をブフナー漏斗で水溶液からろ別した。得られた沈殿を75℃のオーブンで12時間乾燥させた後、アルミナ坩堝に入れ800℃大気雰囲気下で3時間焼成した。こうして、9.1gの酸化イットリウム微粉末が得られた。
この粉末を走査型電子顕微鏡で観察したところ、図3に示すように、粒径がおよそ100nmから400nm程度で粒子の大きさにばらつきがあり、また粒子同士の凝集がみられた。粒子形状は球状粒子であった。顕微鏡法による円相当径としての平均値は186nmであった(n数 100個)。
Claims (7)
- 希土類金属イオンを含有する水溶液に炭素数6以上20以下の飽和又は不飽和脂肪酸の塩を含有する陰イオン界面活性剤を添加し、該陰イオン界面活性剤を添加した水溶液と疎水性の有機溶媒とを混合して攪拌により油中水滴(W/O)型エマルション溶液とする工程と、該エマルション溶液に沈殿剤を添加して上記エマルション溶液の液滴サイズに対応した大きさの希土類酸化物前駆体を沈殿させる工程と、この希土類酸化物前駆体の沈殿物を上記溶液から分離し、該沈殿物を乾燥した後に上記希土類酸化物前駆体の表面が上記陰イオン界面活性剤由来の脂肪酸で表面修飾された状態で焼成して平均粒径が10nm以上1μm以下の単分散状態の希土類酸化物粉末を得る工程とを有する希土類酸化物粉末の製造方法。
- 上記希土類金属が、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載の希土類酸化物粉末の製造方法。
- 上記陰イオン界面活性剤は、オレイン酸、ステアリン酸又はパルミチン酸の塩であることを特徴とする請求項1又は2記載の希土類酸化物粉末の製造方法。
- 上記有機溶媒は、ヘキサン、シクロヘキサン、デカン、トルエン又はキシレンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の希土類酸化物粉末の製造方法。
- 上記有機溶媒と共に非イオン界面活性剤を添加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の希土類酸化物粉末の製造方法。
- 上記沈殿剤は、アンモニア水、炭酸水素アンモニウム又は蓚酸を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の希土類酸化物粉末の製造方法。
- 上記焼成処理は、乾燥した上記沈殿物を500〜1200℃に加熱するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の希土類酸化物粉末の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013096391A JP5987779B2 (ja) | 2013-05-01 | 2013-05-01 | 希土類酸化物粉末の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013096391A JP5987779B2 (ja) | 2013-05-01 | 2013-05-01 | 希土類酸化物粉末の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014218384A JP2014218384A (ja) | 2014-11-20 |
JP5987779B2 true JP5987779B2 (ja) | 2016-09-07 |
Family
ID=51937217
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013096391A Active JP5987779B2 (ja) | 2013-05-01 | 2013-05-01 | 希土類酸化物粉末の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5987779B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105502467A (zh) * | 2014-09-22 | 2016-04-20 | 常州市卓群纳米新材料有限公司 | 一种纳米氧化镝的制备方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60193529A (ja) * | 1984-03-15 | 1985-10-02 | Kobayashi Kooc:Kk | W/o/w型エマルジヨンの製造方法 |
JPH05116938A (ja) * | 1991-10-24 | 1993-05-14 | Shin Etsu Chem Co Ltd | 希土類元素酸化物の製造方法 |
JPH07109118A (ja) * | 1993-10-13 | 1995-04-25 | Shin Etsu Chem Co Ltd | 希土類元素酸化物の製造方法 |
JP4517691B2 (ja) * | 2004-03-17 | 2010-08-04 | 住友化学株式会社 | 球状イットリア微粒子の製造方法 |
JP2012072349A (ja) * | 2010-08-31 | 2012-04-12 | Univ Of Tokyo | W/oナノエマルション及びその製造方法 |
-
2013
- 2013-05-01 JP JP2013096391A patent/JP5987779B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2014218384A (ja) | 2014-11-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
DE60020088T2 (de) | Verfahren zur herstellung von feinem pulver aus metallischen nickel mit feinen spherischen teilchen | |
CN108298502B (zh) | 一种制备分散纳米金属氧化物及纳米金属粉的方法 | |
DE112005000930T5 (de) | Oxynitridpulver und Verfahren zur Herstellung davon | |
Li et al. | Facile synthesis of GdBO 3 spindle assemblies and microdisks as versatile host matrices for lanthanide doping | |
JP4839854B2 (ja) | ニッケル微粒子の製造方法 | |
JP5987779B2 (ja) | 希土類酸化物粉末の製造方法 | |
Li et al. | Synthesis of dispersed Y2O3 nanopowder from yttrium stearate | |
JP3877922B2 (ja) | 希土類化合物の製造方法 | |
JP5987778B2 (ja) | 希土類酸化物粉末の製造方法 | |
JP2001163619A (ja) | 酸化亜鉛粉末の製造方法及びそのための製造用中間体 | |
CN115768853B (zh) | 氮化物荧光体及其制造方法 | |
Shao et al. | Facile large-scale synthesis of monodisperse REF 3 (RE= Y, Ce, Nd, Sm-Lu) nano/microcrystals and luminescence properties | |
Dai et al. | Preparation of Eu3+ doped (Y, Gd) 2O3 flowers from (Y, Gd) 2 (CO3) 3· nH2O flowerlike precursors: Microwave hydrothermal synthesis, growth mechanism and luminescence property | |
Kim et al. | Effects of negative ions in aqueous Ti solution on formation of ultrafine TiO2 powder by low temperature homogeneous precipitation | |
JP2000080363A (ja) | 緑色発光蛍光体の製造方法 | |
Jeong et al. | Synthesis and characterization of Y 2 O 3 powders by a modified solvothermal process | |
Dubnikova et al. | Neodymium substitution effects in sol–gel derived Y3− xNdxAl5O12 | |
Balderas-Xicohténcatl et al. | Y2O3: Dy3+/Li+ phosphors synthesized by spray | |
JP3891252B2 (ja) | 希土類元素酸化物及び塩基性炭酸塩の製造方法 | |
JP4196179B2 (ja) | 窒化ケイ素材料の製造方法 | |
JP7387043B1 (ja) | ジルコニア含有アルミナ系複合酸化物、及び、ジルコニア含有アルミナ系複合酸化物の製造方法 | |
JP7525683B1 (ja) | アルミナ系複合酸化物、及び、アルミナ系複合酸化物の製造方法 | |
JP2004277543A (ja) | 蛍光体粒子の製造方法 | |
JP2009062240A (ja) | 希土類元素酸化物ナノ粒子の製造方法 | |
DE3780573T2 (de) | Herstellung von teilweise stabilisiertem tetragonalem zirkondioxid. |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20150526 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20160317 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160412 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160525 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160712 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160725 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5987779 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |