JP2009062240A - 希土類元素酸化物ナノ粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】粒子同士の融着がなく、分散性に優れる希土類元素酸化物ナノ粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の希土類元素酸化物ナノ粒子の製造方法は、希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属元素イオンを含む水溶液に、これらの希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属元素イオンの合計モル量に対して1倍量以上の炭酸アルカリを含む水溶液を添加して、希土類元素およびアルカリ土類金属元素を含む炭酸塩を沈殿させる工程と、前記炭酸塩の沈殿物を熱処理し、前記炭酸塩を酸化して、希土類元素酸化物およびアルカリ土類金属元素酸化物を生成する工程と、これらの酸化物を、アンモニウムイオンを含む水溶液に添加して、前記アルカリ土類金属酸化物を溶解する工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の希土類元素酸化物ナノ粒子の製造方法は、希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属元素イオンを含む水溶液に、これらの希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属元素イオンの合計モル量に対して1倍量以上の炭酸アルカリを含む水溶液を添加して、希土類元素およびアルカリ土類金属元素を含む炭酸塩を沈殿させる工程と、前記炭酸塩の沈殿物を熱処理し、前記炭酸塩を酸化して、希土類元素酸化物およびアルカリ土類金属元素酸化物を生成する工程と、これらの酸化物を、アンモニウムイオンを含む水溶液に添加して、前記アルカリ土類金属酸化物を溶解する工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、希土類元素酸化物ナノ粒子の製造方法に関し、さらに詳しくは、放電ランプ保護膜、蛍光体保護膜、希土類元素透明焼結体原料、窒化アルミニウムなどのセラミックス焼結助剤、耐プラズマ耐食膜材料として有用な、平均粒径がナノメートルサイズで分散性に優れる希土類元素酸化物ナノ粒子の製造方法に関するものである。
従来、希土類元素酸化物の製造方法としては、希土類元素の硝酸塩水溶液や塩酸塩水溶液に、シュウ酸、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなどを添加して生成した希土類元素の炭酸塩、もしくは、希土類元素の硝酸塩水溶液や塩酸塩水溶液に、尿素水溶液を添加して、50℃から200℃にて水熱処理を行うことにより生成した希土類金属元素の水酸化物、炭酸塩またはシュウ酸塩を、濾過、洗浄、乾燥、焼成などの工程を経て希土類元素酸化物を得る方法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
上記の製造方法により得られた希土類元素酸化物は、平均粒子径が大きく、粒度分布も不揃いである上に、焼成時に粒子同士が融着するため、分散性が著しく劣るという問題があった。
そこで、希土類元素イオンを含む水溶液と、尿素を含む水溶液とを混合し、さらに、この混合溶液に分散剤を添加した後、水熱処理することにより生成した微粒子を焼成することにより、分散性に優れた球形微粒子を有する希土類元素酸化物の微粉体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、沸点以下の温度に加熱したイットリウムの鉱酸塩水溶液に、沸点以下の温度を維持しながら尿素または尿素水溶液を添加してイットリウムの塩基性炭酸塩を析出させ、得られた沈殿を固液分離した後、焼成することにより、イットリア球状微粒子を得るイットリア球状微粒子の製造方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平6−305726号公報
特開平5−254830号公報
特開平10−139426号公報
そこで、希土類元素イオンを含む水溶液と、尿素を含む水溶液とを混合し、さらに、この混合溶液に分散剤を添加した後、水熱処理することにより生成した微粒子を焼成することにより、分散性に優れた球形微粒子を有する希土類元素酸化物の微粉体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、沸点以下の温度に加熱したイットリウムの鉱酸塩水溶液に、沸点以下の温度を維持しながら尿素または尿素水溶液を添加してイットリウムの塩基性炭酸塩を析出させ、得られた沈殿を固液分離した後、焼成することにより、イットリア球状微粒子を得るイットリア球状微粒子の製造方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、これらの方法では、希土類元素酸化物を生成するために、700℃程度の温度にて、希土類元素を焼成するため、この焼成の途中で、粒子の成長や粒子同士の融着が生じてしまい、分散性に優れるシングルナノメートルサイズの希土類元素酸化物を製造することが難しかった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、粒子同士の融着がなく、分散性に優れる希土類元素酸化物ナノ粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、希土類元素とアルカリ土類金属元素からなる複合または混合炭酸塩を生成させた後、これを熱処理して希土類元素酸化物とアルカリ土類金属元素酸化物との混合粒子とした後、アンモニウムイオンを含む水溶液にアルカリ土類酸化物を溶解除去させることにより、粒子成長および粒子同士の融着を抑制し、分散性に優れる希土類元素酸化物ナノ粒子が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の希土類元素酸化物ナノ粒子の製造方法は、希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属元素イオンを含む水溶液に、これらの希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属元素イオンの合計モル量に対して1倍量以上の炭酸アルカリを含む水溶液を添加して、希土類元素およびアルカリ土類金属元素を含む炭酸塩を沈殿させる工程と、前記炭酸塩の沈殿物を熱処理し、前記炭酸塩を酸化して、希土類元素酸化物およびアルカリ土類金属元素酸化物を生成する工程と、これらの酸化物を、アンモニウムイオンを含む水溶液に添加して、前記アルカリ土類金属元素酸化物を溶解する工程と、を有することを特徴とする。
前記希土類元素イオンに対する前記アルカリ土類金属元素イオンの比率は、原子比で1以上であることが好ましい。
本発明の希土類元素酸化物ナノ粒子の製造方法によれば、希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属元素イオンを含む水溶液に、これらの希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属元素イオンの合計モル量に対して1倍量以上の炭酸アルカリを含む水溶液を添加して、希土類元素およびアルカリ土類金属元素を含む炭酸塩を沈殿させる工程と、前記炭酸塩の沈殿物を熱処理し、前記炭酸塩を酸化して、希土類元素酸化物およびアルカリ土類金属元素酸化物を生成する工程と、これらの酸化物を、アンモニウムイオンを含む水溶液に添加して、前記アルカリ土類金属元素酸化物を溶解する工程と、を有するので、粒子成長および粒子同士の融着を抑制し、分散性に優れ、シングルナノメートルサイズの希土類元素酸化物ナノ粒子を製造することができる。
本発明の希土類元素酸化物ナノ粒子の製造方法の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本発明の希土類元素酸化物ナノ粒子の製造方法は、希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属元素イオンを含む水溶液に、これらの希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属元素イオンの合計モル量に対して1倍量以上の炭酸アルカリを含む水溶液を添加して、希土類元素およびアルカリ土類金属元素を含む炭酸塩を沈殿させる工程と、前記炭酸塩の沈殿物を熱処理し、前記炭酸塩を酸化して、希土類元素酸化物およびアルカリ土類金属元素酸化物を生成する工程と、これらの酸化物を、アンモニウムイオンを含む水溶液に添加して、前記アルカリ土類金属元素酸化物を溶解する工程と、を有する方法である。
希土類元素イオンを含む水溶液としては、通常の希土類元素の塩化物、硝酸塩、硫酸塩などの水溶性の希土類塩の水溶液が用いられる。
希土類塩としては、塩化イットリウム、硝酸イットリウム、塩化ランタン、硝酸ランタン、塩化セリウム、硝酸セリウム、塩化プラセオジウム、硝酸プラセオジウム、塩化ユーロピウム、硝酸ユーロピウムなどが挙げられ、これらの群から選択される1種または2種以上が用いられる。
希土類塩としては、塩化イットリウム、硝酸イットリウム、塩化ランタン、硝酸ランタン、塩化セリウム、硝酸セリウム、塩化プラセオジウム、硝酸プラセオジウム、塩化ユーロピウム、硝酸ユーロピウムなどが挙げられ、これらの群から選択される1種または2種以上が用いられる。
アルカリ土類金属元素イオンを含む水溶液としては、通常のアルカリ土類金属元素の塩化物、硝酸塩、硫酸塩などの水溶性のアルカリ土類金属塩の水溶液が用いられる。
アルカリ土類金属塩としては、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、塩化バリウム、硝酸バリウムなどが挙げられ、これらの群から選択される1種または2種以上が用いられる。
アルカリ土類金属塩としては、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、塩化バリウム、硝酸バリウムなどが挙げられ、これらの群から選択される1種または2種以上が用いられる。
上記の希土類塩を水に溶解して調製した水溶液(希土類塩水溶液)の濃度、すなわち、この希土類塩水溶液1kg当たりに含まれる希土類元素イオンのモル量(重量モル濃度)と、上記のアルカリ土類金属塩を水に溶解して調製した水溶液(アルカリ土類金属塩水溶液)の濃度、すなわち、このアルカリ土類金属塩水溶液1kg当たりに含まれるアルカリ土類金属元素イオンのモル量(重量モル濃度)との合計(合計重量モル濃度)は、特に限定されるものではないが、0.2mol/kg以上かつ5mol/kg以下が好ましく、0.5mol/kg以上かつ2mol/kg以下がより好ましい。
この合計重量モル濃度が0.2mol/kg以上かつ5mol/kg以下の範囲が好ましい理由は、合計重量モル濃度がこの範囲内であれば、本発明の希土類元素酸化物ナノ粒子の製造方法は生産性やハンドリング性に優れるからである。
なお、本発明の希土類元素酸化物ナノ粒子の製造方法では、重量モル濃度は、溶質モル数/溶液重量を示している。
この合計重量モル濃度が0.2mol/kg以上かつ5mol/kg以下の範囲が好ましい理由は、合計重量モル濃度がこの範囲内であれば、本発明の希土類元素酸化物ナノ粒子の製造方法は生産性やハンドリング性に優れるからである。
なお、本発明の希土類元素酸化物ナノ粒子の製造方法では、重量モル濃度は、溶質モル数/溶液重量を示している。
また、上記の希土類塩水溶液と上記のアルカリ土類金属塩水溶液との混合溶液、すなわち、希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属元素イオンを含む水溶液において、希土類元素イオンに対するアルカリ土類金属元素イオンの比率は、原子比で1以上であることが好ましく、より好ましくは1以上かつ3以下である。
希土類元素イオンに対するアルカリ土類金属元素イオンの比率は、原子比で1以上であることが好ましい理由は、原子比が1未満では、希土類酸化物の分散性が著しく低下するためである。
希土類元素イオンに対するアルカリ土類金属元素イオンの比率は、原子比で1以上であることが好ましい理由は、原子比が1未満では、希土類酸化物の分散性が著しく低下するためである。
炭酸アルカリを含む水溶液(炭酸アルカリ水溶液)としては、通常の炭酸アルカリ塩あるいは尿素の水溶液が用いられる。
炭酸塩としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。
炭酸塩としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。
上記の炭酸アルカリ水溶液の濃度、すなわち、この炭酸アルカリ水溶液1L(リットル)当たりに含まれる炭酸イオン(CO3 2−)(重炭酸イオン(HCO3 −))のモル量は、特に限定されるものではないが、0.2mol/L以上かつ5mol/L以下が好ましく、0.5mol/L以上かつ3mol/L以下がより好ましい。
このモル量が0.2mol/L以上かつ5mol/L以下の範囲が好ましい理由は、モル量がこの範囲内であれば、本発明の希土類元素酸化物ナノ粒子の製造方法は生産性やハンドリング性に優れるからである。
このモル量が0.2mol/L以上かつ5mol/L以下の範囲が好ましい理由は、モル量がこの範囲内であれば、本発明の希土類元素酸化物ナノ粒子の製造方法は生産性やハンドリング性に優れるからである。
また、炭酸アルカリ水溶液の添加量は、上記の希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属元素イオンの合計モル量に対して1倍量以上であり、好ましくは1倍量以上かつ5倍量以下であり、より好ましくは1倍量以上かつ2倍量以下である。
希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属元素イオンの合計モル量に対する炭酸アルカリ水溶液の添加量を1倍量以上とした理由は、炭酸アルカリ水溶液の添加量が1倍量未満では、希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属元素イオンのモル量に対する炭酸イオン(CO3 2−)(重炭酸イオン(HCO3 −))のモル量が、化学反応式の化学量論的に不足するため、希土類元素およびアルカリ土類金属元素炭酸塩の生成が完了せず、収量の低下を招くからである。
希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属元素イオンの合計モル量に対する炭酸アルカリ水溶液の添加量を1倍量以上とした理由は、炭酸アルカリ水溶液の添加量が1倍量未満では、希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属元素イオンのモル量に対する炭酸イオン(CO3 2−)(重炭酸イオン(HCO3 −))のモル量が、化学反応式の化学量論的に不足するため、希土類元素およびアルカリ土類金属元素炭酸塩の生成が完了せず、収量の低下を招くからである。
上記の希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属元素イオンを含む水溶液に、これらの希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属元素イオンの合計モル量に対して1倍量以上の炭酸アルカリを含む水溶液を添加することにより生成した、希土類元素およびアルカリ土類金属元素を含む炭酸塩(以下、希土類元素およびアルカリ土類金属元素を含む炭酸塩を、「複合炭酸塩」と言うこともある。)からなる沈殿物を濾過法やデカンテーションにより洗浄し、不純物イオンを除去する。
次いで、上記の不純物イオンを除去した沈殿物を濾過して、回収する。
次いで、沈殿物を乾燥して乾燥粉末とした後、希土類元素の炭酸塩およびアルカリ土類金属元素の炭酸塩がともに酸化物となる温度にて、沈殿物を熱処理し、希土類元素の酸化物(希土類元素酸化物)およびアルカリ土類金属元素の酸化物(アルカリ土類金属元素酸化物)の混合粉末を得る。
次いで、沈殿物を乾燥して乾燥粉末とした後、希土類元素の炭酸塩およびアルカリ土類金属元素の炭酸塩がともに酸化物となる温度にて、沈殿物を熱処理し、希土類元素の酸化物(希土類元素酸化物)およびアルカリ土類金属元素の酸化物(アルカリ土類金属元素酸化物)の混合粉末を得る。
上記の沈殿物を乾燥する方法としては、希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属元素イオンを含む水溶液の溶媒である水を散逸させることができれば特に限定されないが、ヒーターなどによる加熱乾燥;減圧乾燥;真空乾燥;赤外線、マイクロ波などのエネルギー照射による乾燥など、通常の方法を利用することができる。これらの乾燥方法は、単独で行ってもよく、複数の方法を組み合わせて行ってもよい。
複合炭酸塩からなる沈殿物の熱処理温度や熱処理時間は、アルカリ土類金属元素の炭酸塩が完全に酸化物となるように調整される。理化学事典によると、アルカリ土類金属元素の炭酸塩の分解温度は、大気圧下で、炭酸カルシウムでは898℃、炭酸マグネシウムでは600℃、炭酸ストロンチウムでは1340℃、炭酸バリウムでは1450℃であるが、アルカリ土類金属元素の炭酸塩の粒径がナノサイズになると、その分解温度が200℃程度低下することから、大気雰囲気下、熱処理温度を400℃以上とすることが好ましい。
また、複合炭酸塩の熱処理温度を低下させるために、減圧下にて複合炭酸塩を熱処理してもよい。
また、上記のように、炭酸マグネシウムや炭酸カルシウム、特に炭酸マグネシウムの分解温度は、他のアルカリ土類金属元素の分解温度よりも低いので、炭酸マグネシウムや炭酸カルシウムを用いれば、希土類元素酸化物ナノ粒子の融着による粒子成長を抑制できるので好ましい。
また、上記のように、炭酸マグネシウムや炭酸カルシウム、特に炭酸マグネシウムの分解温度は、他のアルカリ土類金属元素の分解温度よりも低いので、炭酸マグネシウムや炭酸カルシウムを用いれば、希土類元素酸化物ナノ粒子の融着による粒子成長を抑制できるので好ましい。
なお、希土類元素の炭酸塩や酸化物と、アルカリ土類金属元素の炭酸塩や酸化物とは、化学的な性質が類似しているので、アルカリ土類金属元素の炭酸塩のアルカリ土類金属元素酸化物への転換が不十分であると、アルカリ土類金属元素酸化物を溶解、除去する工程において、アルカリ土類金属元素の炭酸塩が不純物として残留するので好ましくない。
次いで、上記の希土類元素酸化物およびアルカリ土類金属元素酸化物の混合粉末を、アンモニウムイオンを含む水溶液に添加する。これにより、アルカリ土類金属元素酸化物とアンモニウムイオンとの反応により、水溶性のアルカリ土類金属元素の塩を生成させることによって、アルカリ土類金属元素酸化物を水に溶解させる。
一方、希土類元素酸化物は、アンモニウムイオンを含む水溶液には溶解しないので、アルカリ土類金属元素酸化物のみを水に溶解させて、アルカリ土類金属元素の塩を含む水溶液と希土類元素酸化物を濾別することにより、希土類元素酸化物ナノ粒子を得ることができる。
一方、希土類元素酸化物は、アンモニウムイオンを含む水溶液には溶解しないので、アルカリ土類金属元素酸化物のみを水に溶解させて、アルカリ土類金属元素の塩を含む水溶液と希土類元素酸化物を濾別することにより、希土類元素酸化物ナノ粒子を得ることができる。
アンモニウムイオンを含む水溶液としては、通常のアンモニウム塩の水溶液が用いられる。
アンモニウム塩としては、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウムなどのアンモニウムハロゲン塩;アンモニウム塩素酸塩;アンモニウム過塩素酸塩;アンモニウム硫酸塩;アンモニウム硝酸塩などが挙げられる。
アンモニウム塩としては、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウムなどのアンモニウムハロゲン塩;アンモニウム塩素酸塩;アンモニウム過塩素酸塩;アンモニウム硫酸塩;アンモニウム硝酸塩などが挙げられる。
上記のアンモニウム塩を含む水溶液の濃度(重量モル濃度)は、特に限定されるものではないが、0.2mol/kg以上かつ5mol/kg以下が好ましく、0.5mol/kg以上かつ2mol/kg以下がより好ましい。
この重量モル濃度が5mol/kg以下の範囲が好ましい理由は、アンモニウム塩のモル量が5mol/kgを超えても、これ以下のモル量の場合と、生成するアルカリ土類金属元素の塩の量に差異がなく、経済的ではないからである。
この重量モル濃度が5mol/kg以下の範囲が好ましい理由は、アンモニウム塩のモル量が5mol/kgを超えても、これ以下のモル量の場合と、生成するアルカリ土類金属元素の塩の量に差異がなく、経済的ではないからである。
また、アンモニウム塩を含む水溶液の添加量は、上記のアルカリ土類金属元素酸化物に起因するアルカリ土類金属元素イオンのモル量に対して1倍量以上であり、好ましくは1倍量以上かつ5倍量以下であり、より好ましくは1倍量以上かつ3倍量以下である。
アルカリ土類金属元素イオンのモル量に対するアンモニウムイオンを含む水溶液の添加量を1倍量以上とした理由は、アンモニウムイオンを含む水溶液の添加量が1倍量未満では、アルカリ土類金属元素イオンのモル量に対するアンモニウムイオン(NH3 +)のモル量が、化学反応式の化学量論的に不足するからである。
アルカリ土類金属元素イオンのモル量に対するアンモニウムイオンを含む水溶液の添加量を1倍量以上とした理由は、アンモニウムイオンを含む水溶液の添加量が1倍量未満では、アルカリ土類金属元素イオンのモル量に対するアンモニウムイオン(NH3 +)のモル量が、化学反応式の化学量論的に不足するからである。
次いで、希土類元素酸化物に含まれる不要なイオン性の不純物を洗浄除去することによって、分散性に優れた希土類元素酸化物ナノ粒子を製造することができる。
本発明の希土類元素酸化物ナノ粒子の製造方法によって得られた希土類元素酸化物ナノ粒子は、X線回折により求められる結晶子径が5nm〜50nmであり、また、イットリウムまたは原子番号が57〜71のランタノイド元素を1種以上含む酸化物粒子である。また、得られた希土類元素酸化物ナノ粒子は、粒子同士の融着がなく分散性に優れており、蛍光体用材料、放電ランプ保護膜、蛍光体保護膜、希土類元素透明焼結体原料、窒化アルミニウムなどのセラミックス焼結助剤、耐プラズマ耐食膜材料用として用いる希土類酸化物分散液や塗料に好適である。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
「実施例1」
塩化イットリウム(YCl3・6H2O、キシダ化学社製)500gと、塩化カルシウム(CaCl2・2H2O、キシダ化学社製)242.5gとを、純水7000gに溶解し、塩化イットリウムと塩化カルシウムとの水溶液Aを調製した。この水溶液Aの金属イオン濃度は、0.54mol/kgであった。
炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3、キシダ化学社製)652.2gを、純水6000gに溶解し、炭酸水素アンモニウムの水溶液Bを調製した。この水溶液Bの炭酸水素イオン濃度は、1.37mol/kgであった。
次いで、水溶液Aに水溶液Bを加え、沈殿物を生成させた。
次いで、この沈殿物を純水により洗浄した後、120℃にて12時間、乾燥させて、乾燥粉末を得た。
次いで、この乾燥粉末を、電気炉中で、700℃にて5時間、焼成した。
次いで、この焼成粉末を、塩化アンモニウムの5重量%水溶液5000gに懸濁させて、室温にて24時間攪拌することにより、焼成粉末に含まれる酸化カルシウムを溶解させた。
次いで、塩化アンモニウム水溶液を濾過し、回収物を洗浄した後、この回収物を120℃にて12時間、乾燥させて、イットリア粉末を得た。
塩化イットリウム(YCl3・6H2O、キシダ化学社製)500gと、塩化カルシウム(CaCl2・2H2O、キシダ化学社製)242.5gとを、純水7000gに溶解し、塩化イットリウムと塩化カルシウムとの水溶液Aを調製した。この水溶液Aの金属イオン濃度は、0.54mol/kgであった。
炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3、キシダ化学社製)652.2gを、純水6000gに溶解し、炭酸水素アンモニウムの水溶液Bを調製した。この水溶液Bの炭酸水素イオン濃度は、1.37mol/kgであった。
次いで、水溶液Aに水溶液Bを加え、沈殿物を生成させた。
次いで、この沈殿物を純水により洗浄した後、120℃にて12時間、乾燥させて、乾燥粉末を得た。
次いで、この乾燥粉末を、電気炉中で、700℃にて5時間、焼成した。
次いで、この焼成粉末を、塩化アンモニウムの5重量%水溶液5000gに懸濁させて、室温にて24時間攪拌することにより、焼成粉末に含まれる酸化カルシウムを溶解させた。
次いで、塩化アンモニウム水溶液を濾過し、回収物を洗浄した後、この回収物を120℃にて12時間、乾燥させて、イットリア粉末を得た。
得られたイットリア粉末について、結晶子径の測定、不純物相の同定、分散性の評価を行った。
(1)結晶子径の測定
粉末X線回折法により、粉末の特定の回折線のプロファイルを測定し、このプロファイルの拡がりから結晶子の大きさ(結晶子径)を求めた。
結果を表1に示す。
(2)不純物相の同定
粉末X線回折法により、不純物相の同定を行った。
結果を表1に示す。
(3)分散性の評価
イットリア粉末30gを、微量のリン酸エステル系界面活性剤とともに、エタノール70gに添加し、これらの混合液を調製した。
次いで、この混合液を、0.1mmφのジルコニアビーズを用いたビーズミルにより、回転速度2000rpmにて2時間、分散処理を行い、イットリア粉末の分散液を調製した。
次いで、動的散乱粒度分布測定器(商品名(型式);Zetasizer Nano、シスメックス社製)を用いて、この分散液の粒度分布により、イットリア粉末の分散性の評価を行った。
結果を表1に示す。なお、表1には、得られた粒度分布のうち、1次粒子を複数個集合した2次粒子の累積粒度分布の累積百分率が50重量%の粒径値(D50値)による粒子径を記載した。
(1)結晶子径の測定
粉末X線回折法により、粉末の特定の回折線のプロファイルを測定し、このプロファイルの拡がりから結晶子の大きさ(結晶子径)を求めた。
結果を表1に示す。
(2)不純物相の同定
粉末X線回折法により、不純物相の同定を行った。
結果を表1に示す。
(3)分散性の評価
イットリア粉末30gを、微量のリン酸エステル系界面活性剤とともに、エタノール70gに添加し、これらの混合液を調製した。
次いで、この混合液を、0.1mmφのジルコニアビーズを用いたビーズミルにより、回転速度2000rpmにて2時間、分散処理を行い、イットリア粉末の分散液を調製した。
次いで、動的散乱粒度分布測定器(商品名(型式);Zetasizer Nano、シスメックス社製)を用いて、この分散液の粒度分布により、イットリア粉末の分散性の評価を行った。
結果を表1に示す。なお、表1には、得られた粒度分布のうち、1次粒子を複数個集合した2次粒子の累積粒度分布の累積百分率が50重量%の粒径値(D50値)による粒子径を記載した。
「実施例2」
塩化イットリウム(YCl3・6H2O、キシダ化学社製)500gと、塩化カルシウム(CaCl2・2H2O、キシダ化学社製)484.6gとを、純水7500gに溶解し、塩化イットリウムと塩化カルシウムとの水溶液Cを調製した。この水溶液Cの金属イオン濃度は、0.73mol/kgであった。
炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3、キシダ化学社製)652.2gを、純水6000gに溶解し、炭酸水素アンモニウムの水溶液Bを調製した。この水溶液Bの炭酸水素イオン濃度は、1.37mol/kgであった。
次いで、水溶液Cに水溶液Bを加え、沈殿物を生成させた。
次いで、この沈殿物を純水により洗浄した後、120℃にて12時間、乾燥させて、乾燥粉末を得た。
次いで、この乾燥粉末を、電気炉中で、800℃にて1時間、焼成した。
次いで、この焼成粉末を、塩化アンモニウムの5重量%水溶液5000gに懸濁させて、室温にて24時間攪拌することにより、焼成粉末に含まれる酸化カルシウムを溶解させた。
次いで、塩化アンモニウム水溶液を濾過し、回収物を洗浄した後、この回収物を120℃にて12時間、乾燥させて、イットリア粉末を得た。
得られたイットリア粉末について、実施例1と同様にして、結晶子径の測定、不純物相の同定、分散性の評価を行った。
これらの結果を表1に示す。
これらの結果を表1に示す。
塩化イットリウム(YCl3・6H2O、キシダ化学社製)500gと、塩化カルシウム(CaCl2・2H2O、キシダ化学社製)484.6gとを、純水7500gに溶解し、塩化イットリウムと塩化カルシウムとの水溶液Cを調製した。この水溶液Cの金属イオン濃度は、0.73mol/kgであった。
炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3、キシダ化学社製)652.2gを、純水6000gに溶解し、炭酸水素アンモニウムの水溶液Bを調製した。この水溶液Bの炭酸水素イオン濃度は、1.37mol/kgであった。
次いで、水溶液Cに水溶液Bを加え、沈殿物を生成させた。
次いで、この沈殿物を純水により洗浄した後、120℃にて12時間、乾燥させて、乾燥粉末を得た。
次いで、この乾燥粉末を、電気炉中で、800℃にて1時間、焼成した。
次いで、この焼成粉末を、塩化アンモニウムの5重量%水溶液5000gに懸濁させて、室温にて24時間攪拌することにより、焼成粉末に含まれる酸化カルシウムを溶解させた。
次いで、塩化アンモニウム水溶液を濾過し、回収物を洗浄した後、この回収物を120℃にて12時間、乾燥させて、イットリア粉末を得た。
得られたイットリア粉末について、実施例1と同様にして、結晶子径の測定、不純物相の同定、分散性の評価を行った。
これらの結果を表1に示す。
これらの結果を表1に示す。
「実施例3」
実施例2で得られた乾燥粉末を、電気炉中で、900℃にて1時間、焼成した。
次いで、この焼成粉末を、塩化アンモニウムの5重量%水溶液5000gに懸濁させて、室温にて24時間攪拌することにより、焼成粉末に含まれる酸化カルシウムを溶解させた。
次いで、塩化アンモニウム水溶液を濾過し、回収物を洗浄した後、この回収物を120℃にて12時間、乾燥させて、イットリア粉末を得た。
得られたイットリア粉末について、実施例1と同様にして、結晶子径の測定、不純物相の同定、分散性の評価を行った。
これらの結果を表1に示す。
実施例2で得られた乾燥粉末を、電気炉中で、900℃にて1時間、焼成した。
次いで、この焼成粉末を、塩化アンモニウムの5重量%水溶液5000gに懸濁させて、室温にて24時間攪拌することにより、焼成粉末に含まれる酸化カルシウムを溶解させた。
次いで、塩化アンモニウム水溶液を濾過し、回収物を洗浄した後、この回収物を120℃にて12時間、乾燥させて、イットリア粉末を得た。
得られたイットリア粉末について、実施例1と同様にして、結晶子径の測定、不純物相の同定、分散性の評価を行った。
これらの結果を表1に示す。
「実施例4」
塩化イットリウム(YCl3・6H2O、キシダ化学社製)500gと、塩化カルシウム(CaCl2・2H2O、キシダ化学社製)671gとを、純水7500gに溶解し、塩化イットリウムと塩化カルシウムとの水溶液Dを調製した。この水溶液Dの金属イオン濃度は、1.37mol/kgであった。
炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3、キシダ化学社製)652.2gを、純水6000gに溶解し、炭酸水素アンモニウムの水溶液Bを調製した。この水溶液Bの炭酸水素イオン濃度は、1.37mol/kgであった。
次いで、水溶液Dに水溶液Bを加え、沈殿物を生成させた。
次いで、この沈殿物を純水により洗浄した後、120℃にて12時間、乾燥させて、乾燥粉末を得た。
次いで、この乾燥粉末を、電気炉中で、600℃にて1時間、焼成した。
次いで、この焼成粉末を、塩化アンモニウムの5重量%水溶液5000gに懸濁させて、室温にて24時間攪拌することにより、焼成粉末に含まれる酸化カルシウムを溶解させた。
次いで、塩化アンモニウム水溶液を濾過し、回収物を洗浄した後、この回収物を120℃にて12時間、乾燥させて、イットリア粉末を得た。
得られたイットリア粉末について、実施例1と同様にして、結晶子径の測定、不純物相の同定、分散性の評価を行った。
これらの結果を表1に示す。
塩化イットリウム(YCl3・6H2O、キシダ化学社製)500gと、塩化カルシウム(CaCl2・2H2O、キシダ化学社製)671gとを、純水7500gに溶解し、塩化イットリウムと塩化カルシウムとの水溶液Dを調製した。この水溶液Dの金属イオン濃度は、1.37mol/kgであった。
炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3、キシダ化学社製)652.2gを、純水6000gに溶解し、炭酸水素アンモニウムの水溶液Bを調製した。この水溶液Bの炭酸水素イオン濃度は、1.37mol/kgであった。
次いで、水溶液Dに水溶液Bを加え、沈殿物を生成させた。
次いで、この沈殿物を純水により洗浄した後、120℃にて12時間、乾燥させて、乾燥粉末を得た。
次いで、この乾燥粉末を、電気炉中で、600℃にて1時間、焼成した。
次いで、この焼成粉末を、塩化アンモニウムの5重量%水溶液5000gに懸濁させて、室温にて24時間攪拌することにより、焼成粉末に含まれる酸化カルシウムを溶解させた。
次いで、塩化アンモニウム水溶液を濾過し、回収物を洗浄した後、この回収物を120℃にて12時間、乾燥させて、イットリア粉末を得た。
得られたイットリア粉末について、実施例1と同様にして、結晶子径の測定、不純物相の同定、分散性の評価を行った。
これらの結果を表1に示す。
「実施例5」
塩化ランタン(LaCl3・6H2O、キシダ化学社製)500gと、塩化カルシウム(CaCl2・2H2O、キシダ化学社製)395.8gとを、純水7500gに溶解し、塩化ランタンと塩化カルシウムとの水溶液Eを調製した。この水溶液Eの金属イオン濃度は、0.54mol/kgであった。
炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3、キシダ化学社製)652.2gを、純水6000gに溶解し、炭酸水素アンモニウムの水溶液Bを調製した。この水溶液Bの炭酸水素イオン濃度は、1.37mol/kgであった。
次いで、水溶液Eに水溶液Bを加え、沈殿物を生成させた。
次いで、この沈殿物を純水により洗浄した後、120℃にて12時間、乾燥させて、乾燥粉末を得た。
次いで、この乾燥粉末を、電気炉中で、800℃にて1時間、焼成した。
次いで、この焼成粉末を、塩化アンモニウムの5重量%水溶液5000gに懸濁させて、室温にて24時間攪拌することにより、焼成粉末に含まれる酸化カルシウムを溶解させた。
次いで、塩化アンモニウム水溶液を濾過し、回収物を洗浄した後、この回収物を120℃にて12時間、乾燥させて、酸化ランタン粉末を得た。
得られた酸化ランタン粉末について、実施例1と同様にして、結晶子径の測定、不純物相の同定、分散性の評価を行った。
なお、(3)分散性の評価において、酸化ランタン粉末30gを、微量のリン酸エステル系界面活性剤とともに、エタノール70gに添加して、酸化ランタン粉末の分散液を調製した。
これらの結果を表1に示す。
塩化ランタン(LaCl3・6H2O、キシダ化学社製)500gと、塩化カルシウム(CaCl2・2H2O、キシダ化学社製)395.8gとを、純水7500gに溶解し、塩化ランタンと塩化カルシウムとの水溶液Eを調製した。この水溶液Eの金属イオン濃度は、0.54mol/kgであった。
炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3、キシダ化学社製)652.2gを、純水6000gに溶解し、炭酸水素アンモニウムの水溶液Bを調製した。この水溶液Bの炭酸水素イオン濃度は、1.37mol/kgであった。
次いで、水溶液Eに水溶液Bを加え、沈殿物を生成させた。
次いで、この沈殿物を純水により洗浄した後、120℃にて12時間、乾燥させて、乾燥粉末を得た。
次いで、この乾燥粉末を、電気炉中で、800℃にて1時間、焼成した。
次いで、この焼成粉末を、塩化アンモニウムの5重量%水溶液5000gに懸濁させて、室温にて24時間攪拌することにより、焼成粉末に含まれる酸化カルシウムを溶解させた。
次いで、塩化アンモニウム水溶液を濾過し、回収物を洗浄した後、この回収物を120℃にて12時間、乾燥させて、酸化ランタン粉末を得た。
得られた酸化ランタン粉末について、実施例1と同様にして、結晶子径の測定、不純物相の同定、分散性の評価を行った。
なお、(3)分散性の評価において、酸化ランタン粉末30gを、微量のリン酸エステル系界面活性剤とともに、エタノール70gに添加して、酸化ランタン粉末の分散液を調製した。
これらの結果を表1に示す。
「実施例6」
塩化ユーロピウム(EuCl3・6H2O、キシダ化学社製)500gと、塩化カルシウム(CaCl2・2H2O、キシダ化学社製)401.4gとを、純水7500gに溶解し、塩化ユーロピウムと塩化カルシウムとの水溶液Fを調製した。この水溶液Fの金属イオン濃度は、0.54mol/kgであった。
炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3、キシダ化学社製)652.2gを、純水6000gに溶解し、炭酸水素アンモニウムの水溶液Bを調製した。この水溶液Bの炭酸水素イオン濃度は、1.37mol/kgであった。
次いで、水溶液Fに水溶液Bを加え、沈殿物を生成させた。
次いで、この沈殿物を純水により洗浄した後、120℃にて12時間、乾燥させて、乾燥粉末を得た。
次いで、この乾燥粉末を、電気炉中で、800℃にて1時間、焼成した。
次いで、この焼成粉末を、塩化アンモニウムの5重量%水溶液5000gに懸濁させて、室温にて24時間攪拌することにより、焼成粉末に含まれる酸化カルシウムを溶解させた。
次いで、塩化アンモニウム水溶液を濾過し、回収物を洗浄した後、この回収物を120℃にて12時間、乾燥させて、酸化ユーロピウム粉末を得た。
得られた酸化ユーロピウム粉末について、実施例1と同様にして、結晶子径の測定、不純物相の同定、分散性の評価を行った。
なお、(3)分散性の評価において、酸化ユーロピウム粉末30gを、微量のリン酸エステル系界面活性剤とともに、エタノール70gに添加して、酸化ランタン粉末の分散液を調製した。
これらの結果を表1に示す。
塩化ユーロピウム(EuCl3・6H2O、キシダ化学社製)500gと、塩化カルシウム(CaCl2・2H2O、キシダ化学社製)401.4gとを、純水7500gに溶解し、塩化ユーロピウムと塩化カルシウムとの水溶液Fを調製した。この水溶液Fの金属イオン濃度は、0.54mol/kgであった。
炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3、キシダ化学社製)652.2gを、純水6000gに溶解し、炭酸水素アンモニウムの水溶液Bを調製した。この水溶液Bの炭酸水素イオン濃度は、1.37mol/kgであった。
次いで、水溶液Fに水溶液Bを加え、沈殿物を生成させた。
次いで、この沈殿物を純水により洗浄した後、120℃にて12時間、乾燥させて、乾燥粉末を得た。
次いで、この乾燥粉末を、電気炉中で、800℃にて1時間、焼成した。
次いで、この焼成粉末を、塩化アンモニウムの5重量%水溶液5000gに懸濁させて、室温にて24時間攪拌することにより、焼成粉末に含まれる酸化カルシウムを溶解させた。
次いで、塩化アンモニウム水溶液を濾過し、回収物を洗浄した後、この回収物を120℃にて12時間、乾燥させて、酸化ユーロピウム粉末を得た。
得られた酸化ユーロピウム粉末について、実施例1と同様にして、結晶子径の測定、不純物相の同定、分散性の評価を行った。
なお、(3)分散性の評価において、酸化ユーロピウム粉末30gを、微量のリン酸エステル系界面活性剤とともに、エタノール70gに添加して、酸化ランタン粉末の分散液を調製した。
これらの結果を表1に示す。
「比較例1」
塩化イットリウム(YCl3・6H2O、キシダ化学社製)500gと、塩化カルシウム(CaCl2・2H2O、キシダ化学社製)193.9gとを、純水7000gに溶解し、塩化イットリウムと塩化カルシウムとの水溶液Gを調製した。この水溶液Gの金属イオン濃度は、0.46mol/kgであった。
炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3、キシダ化学社製)652.2gを、純水6000gに溶解し、炭酸水素アンモニウムの水溶液Bを調製した。この水溶液Bの炭酸水素イオン濃度は、1.37mol/kgであった。
次いで、水溶液Gに水溶液Bを加え、沈殿物を生成させた。
次いで、この沈殿物を純水により洗浄した後、120℃にて12時間、乾燥させて、乾燥粉末を得た。
次いで、この乾燥粉末を、電気炉中で、700℃にて5時間、焼成した。
次いで、この焼成粉末を、塩化アンモニウムの5重量%水溶液5000gに懸濁させて、室温にて24時間攪拌することにより、焼成粉末に含まれる酸化カルシウムを溶解させた。
次いで、塩化アンモニウム水溶液を濾過し、回収物を洗浄した後、この回収物を120℃にて12時間、乾燥させて、イットリア粉末を得た。
得られたイットリア粉末について、実施例1と同様にして、結晶子径の測定、不純物相の同定、分散性の評価を行った。
これらの結果を表1に示す。
塩化イットリウム(YCl3・6H2O、キシダ化学社製)500gと、塩化カルシウム(CaCl2・2H2O、キシダ化学社製)193.9gとを、純水7000gに溶解し、塩化イットリウムと塩化カルシウムとの水溶液Gを調製した。この水溶液Gの金属イオン濃度は、0.46mol/kgであった。
炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3、キシダ化学社製)652.2gを、純水6000gに溶解し、炭酸水素アンモニウムの水溶液Bを調製した。この水溶液Bの炭酸水素イオン濃度は、1.37mol/kgであった。
次いで、水溶液Gに水溶液Bを加え、沈殿物を生成させた。
次いで、この沈殿物を純水により洗浄した後、120℃にて12時間、乾燥させて、乾燥粉末を得た。
次いで、この乾燥粉末を、電気炉中で、700℃にて5時間、焼成した。
次いで、この焼成粉末を、塩化アンモニウムの5重量%水溶液5000gに懸濁させて、室温にて24時間攪拌することにより、焼成粉末に含まれる酸化カルシウムを溶解させた。
次いで、塩化アンモニウム水溶液を濾過し、回収物を洗浄した後、この回収物を120℃にて12時間、乾燥させて、イットリア粉末を得た。
得られたイットリア粉末について、実施例1と同様にして、結晶子径の測定、不純物相の同定、分散性の評価を行った。
これらの結果を表1に示す。
「比較例2」
実施例2で得られた乾燥粉末を、電気炉中で、650℃にて1時間、焼成した。
次いで、この焼成粉末を、塩化アンモニウムの5重量%水溶液5000gに懸濁させて、室温にて24時間攪拌することにより、焼成粉末に含まれる酸化カルシウムを溶解させた。
次いで、塩化アンモニウム水溶液を濾過し、回収物を洗浄した後、この回収物を120℃にて12時間、乾燥させて、イットリア粉末を得た。
得られたイットリア粉末について、実施例1と同様にして、結晶子径の測定、不純物相の同定、分散性の評価を行った。
これらの結果を表1に示す。
実施例2で得られた乾燥粉末を、電気炉中で、650℃にて1時間、焼成した。
次いで、この焼成粉末を、塩化アンモニウムの5重量%水溶液5000gに懸濁させて、室温にて24時間攪拌することにより、焼成粉末に含まれる酸化カルシウムを溶解させた。
次いで、塩化アンモニウム水溶液を濾過し、回収物を洗浄した後、この回収物を120℃にて12時間、乾燥させて、イットリア粉末を得た。
得られたイットリア粉末について、実施例1と同様にして、結晶子径の測定、不純物相の同定、分散性の評価を行った。
これらの結果を表1に示す。
表1の結果から、実施例1〜6で得られた粒子は、X線回折により求められる結晶子径が5nm〜28nmであり、分散粒子径が20nm〜41nmであるから、粒子同士の融着がなく、分散性に優れることが分かった。
一方、比較例1、2で得られた粒子は、X線回折により求められる結晶子径が8nm、32nmであり、分散粒子径が120nm、150nmであるから、粒子同士が融着し、分散性に劣ることが分かった。また、比較例2で得られた粉末には、不純物相として炭酸カルシウムが多量に存在していた。
一方、比較例1、2で得られた粒子は、X線回折により求められる結晶子径が8nm、32nmであり、分散粒子径が120nm、150nmであるから、粒子同士が融着し、分散性に劣ることが分かった。また、比較例2で得られた粉末には、不純物相として炭酸カルシウムが多量に存在していた。
Claims (2)
- 希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属元素イオンを含む水溶液に、これらの希土類元素イオンおよびアルカリ土類金属元素イオンの合計モル量に対して1倍量以上の炭酸アルカリを含む水溶液を添加して、希土類元素およびアルカリ土類金属元素を含む炭酸塩を沈殿させる工程と、前記炭酸塩の沈殿物を熱処理し、前記炭酸塩を酸化して、希土類元素酸化物およびアルカリ土類金属元素酸化物を生成する工程と、これらの酸化物を、アンモニウムイオンを含む水溶液に添加して、前記アルカリ土類金属元素酸化物を溶解する工程と、を有することを特徴とする希土類元素酸化物ナノ粒子の製造方法。
- 前記希土類元素イオンに対する前記アルカリ土類金属元素イオンの比率は、原子比で1以上であることを特徴とする請求項1に記載の希土類元素酸化物ナノ粒子の製造方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011116622A (ja) * | 2009-10-29 | 2011-06-16 | Mitsui Mining & Smelting Co Ltd | ランタノイド元素の酸化物を含む水性分散液 |
KR20170033863A (ko) * | 2014-07-23 | 2017-03-27 | 솔베이(소시에떼아노님) | 정제된 알칼리 토금속 탄산염의 제조 공정 |
-
2007
- 2007-09-07 JP JP2007232950A patent/JP2009062240A/ja active Pending
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JP2011116622A (ja) * | 2009-10-29 | 2011-06-16 | Mitsui Mining & Smelting Co Ltd | ランタノイド元素の酸化物を含む水性分散液 |
KR20170033863A (ko) * | 2014-07-23 | 2017-03-27 | 솔베이(소시에떼아노님) | 정제된 알칼리 토금속 탄산염의 제조 공정 |
KR102401698B1 (ko) | 2014-07-23 | 2022-05-26 | 솔베이(소시에떼아노님) | 정제된 알칼리 토금속 탄산염의 제조 공정 |
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