図1は、本発明の第1実施例である車両用電源装置10の構成図を示す。本実施例の車両用電源装置10は、車両に搭載されており、車載バッテリ及び発電機を用いて負荷に電力供給可能な電源装置である。
図1に示す如く、車両用電源装置10は、車載バッテリ12を備えている。車載バッテリ12は、所定容量の電力を蓄えることが可能であり、所定電圧でその蓄えている電力を出力する直流電源である。車載バッテリ12には、車載電気負荷14及びエンジンスタータ16が電気的に接続されている。車載電気負荷14は、メータやランプ,オーディオなどの補機類や各種電子制御ユニットなどであって、予め定められた所定電圧(例えば12ボルト程度)が印加されることにより駆動する。また、エンジンスタータ16は、車両エンジンを始動する機器であって、予め定められた所定電圧(例えば12ボルト程度)が印加されることにより駆動する。車載電気負荷14及びエンジンスタータ16はそれぞれ、車載バッテリ12から供給される電力により駆動することが可能である。以下、車載電気負荷14を一般負荷14と称す。
車両用電源装置10は、また、オルタネータ18を備えている。オルタネータ18は、車両エンジンなど(図示せず)に機械的に接続されており、車両エンジンなどを動力源として駆動されることで発電する発電機である。オルタネータ18は、ロータに巻回されるロータコイル20と、ステータに巻回されるステータコイル(図示せず)と、ステータコイルの交流出力を全波整流して直流出力に変換する整流回路と、を有している。オルタネータ18は、ロータコイル20に流れる電流量に応じて駆動されて発電する。オルタネータ18は、発電で得た電力を整流回路で整流して直流出力する。
オルタネータ18のロータコイル20には、電圧制御部22が電気的に接続されている。電圧制御部22は、ロータコイル20に流す励磁電流を変化させることで、オルタネータ18の出力する発電電圧を所定範囲(尚、この所定範囲は、少なくとも車載バッテリ12の出力電圧以上に設定されるものであり、例えば、12ボルト〜48ボルトなどである。)で可変させることが可能である。すなわち、オルタネータ18から直流出力される発電電圧は、上記した所定範囲で可変される。
車両用電源装置10は、また、一般負荷14及び車載バッテリ12とオルタネータ18との間に電気的に介在されるDC−DCコンバータ24を備えている。DC−DCコンバータ24は、車載バッテリ12とオルタネータ18との間で双方向に電圧変換を行う昇降圧変換器であって、オルタネータ18の発電電圧を一般負荷14の駆動可能な目標電圧(例えば12ボルト程度の略一定の電圧)に降圧すると共に、車載バッテリ12の出力電圧を昇圧する。以下、DC−DCコンバータ24を双方向DDC24と称す。
オルタネータ18には、双方向DDC24を介して一般負荷14及び車載バッテリ12が電気的に接続されていると共に、車載電気負荷26が電気的に接続されている。車載電気負荷26は、双方向DDC24を介することなくオルタネータ18に直接に接続されている。車載電気負荷26は、電動パワーステアリング装置用モータや太陽電池などであって、車載バッテリ12の出力電圧よりも高い所定範囲の電圧が印加されることにより駆動する。車載電気負荷26は、オルタネータ18から供給される電力により駆動することが可能である。以下、車載電気負荷26を高電圧負荷26と称す。
オルタネータ18には、また、DC−DCコンバータ30を介して車載電気負荷32が電気的に接続されている。すなわち、車両用電源装置10は、また、オルタネータ18と車載電気負荷32との間に電気的に介在されるDC−DCコンバータ30を備えている。DC−DCコンバータ30は、オルタネータ18の発電電圧及び/又は双方向DDC24の昇圧電圧を入力電圧としかつ車載電気負荷32に印加する電圧を出力電圧として電圧変換を行う電圧変換器であって、オルタネータ18の発電電圧及び/又は双方向DDC24の昇圧電圧を降圧して車載電気負荷32に印加する降圧変換器である。以下、DC−DCコンバータ30を降圧DDC30と称す。
車載電気負荷32は、メータやランプ,オーディオなどの補機類や各種電子制御ユニット,リレー,アクチュエータなどであって、イグニションオン時に予め定められた所定電圧(例えば12ボルト程度)が印加されることにより通常どおりに駆動すると共に、特にイグニションのオンからオフへの切り替え時に通常の所定電圧よりも低い電圧が印加されることによりイグニションオフ時の終了処理などを実行する機器である。車載電気負荷32は、降圧DDC30を介して供給される電力により駆動することが可能である。以下、車載電気負荷32を可変電圧負荷32と称す。
オルタネータ18の発電電力は、高電圧負荷26に供給され、双方向DDC24により上記所定範囲の発電電圧から一般負荷14の駆動可能な目標電圧(例えば、車載バッテリ12の出力電圧と略等しい12ボルト程度の略一定の電圧)に降圧された後に一般負荷14及び車載バッテリ12に供給され、また、降圧DDC30により上記所定範囲の発電電圧から可変電圧負荷32の駆動可能な目標電圧(例えば、車載バッテリ12の出力電圧と略等しい12ボルト程度やイグニションオフ時の終了処理実行時には6ボルト程度の可変電圧)に降圧された後に可変電圧負荷32に供給される。また、車載バッテリ12の充電電力は、一般負荷14及びエンジンスタータ16に供給され、双方向DDC24により車載バッテリ12の出力電圧から昇圧された後に高電圧負荷26に供給され、また、その昇圧後に更に降圧DDC30により降圧された後に可変電圧負荷32に供給される。
一般負荷14は、車載バッテリ12から供給される電力により駆動することが可能であると共に、オルタネータ18から双方向DDC24を介して供給される電力により駆動することが可能である。車載バッテリ12は、オルタネータ18から双方向DDC24を介して供給される電力により充電されることが可能である。高電圧負荷26は、オルタネータ18から供給される電力により駆動することが可能であると共に、車載バッテリ12から双方向DDC24を介して供給される電力により駆動することが可能である。また、可変電圧負荷32は、オルタネータ18から降圧DDC30を介して供給される電力により駆動することが可能であると共に、車載バッテリ12からDC−DCコンバータ24及び降圧DDC30を介して供給される電力により駆動することが可能である。
双方向DDC24は、2つのスイッチング素子(例えば、MOS−FET)とインダクタとコンデンサとを有する昇降圧チョッパー回路からなる。双方向DDC24は、2つのスイッチング素子が交互にスイッチングされることにより降圧動作及び/又は昇圧動作を行う。具体的には、オルタネータ18の上記所定範囲の発電電圧を一般負荷14の駆動可能な電圧(例えば、車載バッテリ12の出力電圧と略等しい12ボルト程度の略一定の電圧)に降圧し、また、車載バッテリ12の出力電圧を高電圧負荷26の駆動可能な電圧に昇圧する。
双方向DDC24のゲートには、電圧制御部34が電気的に接続されている。電圧制御部34は、双方向DDC24での降圧動作及び昇圧動作を制御する。具体的には、2つのスイッチング素子のオン/オフが互いに反転しながら所定周期で繰り返されるようにパルス状のゲート信号を生成してスイッチング素子のゲートに供給することで、2つのスイッチング素子を交互にスイッチング動作させて双方向DDC24での降圧動作及び昇圧動作を実施させる。かかる双方向DDC24によれば、2つのスイッチング素子のオン/オフを繰り返し行うことでインダクタ及びコンデンサを適宜、充放電させ、オルタネータ18の発電電圧よりも低い電圧を出力させることができると共に、車載バッテリ12の出力電圧よりも高い電圧を出力させることができる。
また、降圧DDC30は、スイッチング素子(例えば、MOS−FET)とインダクタとコンデンサとを有する降圧チョッパー回路からなる。降圧DDC30は、スイッチング素子がスイッチングされることにより降圧動作を行う。具体的には、オルタネータ18の上記所定範囲の発電電圧を可変電圧負荷32の駆動可能な目標電圧(例えば、車載バッテリ12の出力電圧と略等しい12ボルト程度やイグニションオフ時の終了処理実行時には6ボルト程度の可変電圧)に降圧する。
降圧DDC30のゲートには、上記の電圧制御部34が電気的に接続されている。電圧制御部34は、降圧DDC30での降圧動作を制御する。具体的には、スイッチング素子のオン/オフが所定周期で繰り返されるようにパルス状のゲート信号を生成してスイッチング素子のゲートに供給することで、スイッチング素子をスイッチング動作させて降圧DDC30での降圧動作を実施させる。かかる降圧DDC30によれば、スイッチング素子のオン/オフを繰り返し行うことでインダクタ及びコンデンサを適宜、充放電させ、オルタネータ18の発電電圧よりも低い電圧を出力させることができる。
電圧制御部34は、オルタネータ18の発電時、双方向DDC24又は降圧DDC30に入力される電圧(すなわち、オルタネータ18の上記所定範囲の発電電圧)を監視・検出することが可能である。電圧制御部34は、検出したオルタネータ18の発電電圧に基づいて、双方向DDC24から出力される電圧が目標電圧(例えば、12ボルト程度の略一定の電圧)になるように、その発電電圧をその目標電圧に降圧させるのに必要なスイッチング素子のオン時間とオフ時間との比(デューティ比)を設定し、スイッチング素子に供給するパルス状のゲート信号を生成する。このため、オルタネータ18の発電時、その発電電圧が所定範囲内で変化しても、双方向DDC24においてその所定範囲の発電電圧から所望の目標電圧への降圧を適切に実施することができる。
電圧制御部34は、また、オルタネータ18の非発電時、車載バッテリ12の出力電圧すなわち双方向DDC24の入力電圧を、高電圧負荷26及び/又は可変電圧負荷32の駆動可能な電圧まで昇圧させるのに必要なスイッチング素子のオン時間とオフ時間との比(デューティ比)を設定し、スイッチング素子に供給するパルス状のゲート信号を生成する。このため、オルタネータ18の非発電時、双方向DDC24において車載バッテリ12の出力電圧から高電圧負荷26及び/又は可変電圧負荷32の駆動可能な電圧への昇圧を適切に実施することができる。
また、電圧制御部34は、検出した降圧DDC30の入力電圧に基づいて、降圧DDC30から出力される電圧が目標電圧(例えば、12ボルト程度や6ボルト程度の可変電圧)になるように、その降圧を実現させるのに必要なスイッチング素子のオン時間とオフ時間との比(デューティ比)を設定し、スイッチング素子に供給するパルス状のゲート信号を生成する。このため、降圧DDC30においてオルタネータ18の発電電圧や双方向DDC24による車載バッテリ12の出力電圧を昇圧した昇圧電圧から所望の目標電圧への降圧を適切に実施することができる。
更に、本実施例において、電圧制御部22は、一般負荷14に供給される電力(一般負荷電力)と高電圧負荷26に供給される電力(高電圧負荷電力)と可変電圧負荷32に供給される電力(可変電圧負荷電力)とに対して、オルタネータ16、双方向DDC24、降圧DDC30、及び高電圧負荷26での効率を最大にするオルタネータ18の発電電圧を規定したマップを予めメモリに格納している。
電圧制御部22は、DC−DCコンバータ24,30の高電圧負荷26側端子に現れる電圧、高電圧負荷26へ流れる電流、双方向DDC24の一般負荷14及び車載バッテリ12側端子に現れる電圧、双方向DDC24から一般負荷14及び車載バッテリ12へ流れる電流、降圧DDC30から出力される出力電圧、及び、降圧DDC30から可変電圧負荷32へ流れる出力電流をそれぞれ、監視・検出することが可能である。そして、かかるパラメータに基づいて上記の一般負荷電力、高電圧負荷電力、及び可変電圧負荷電力をそれぞれ検出し、それらの負荷電力に基づいてオルタネータ18、双方向DDC24、降圧DDC30、及び高電圧負荷26での効率が最大になるオルタネータ18の発電電圧を算出し、その効率最大の発電電圧が生ずるようにロータコイル20に励磁電流を供給する。この場合、オルタネータ18は、その励磁電流に応じた発電電圧で発電する。
従って、本実施例によれば、オルタネータ18から高電圧負荷26への高電圧負荷電力、オルタネータ18から双方向DDC24を介した一般負荷14及び車載バッテリ12への一般負荷電力、及びオルタネータ18から降圧DDC32を介して可変電圧負荷32への可変電圧負荷電力に応じて、オルタネータ18から出力される発電電圧を調整することで、その電力供給時におけるシステム(具体的には、オルタネータ18、DC−DCコンバータ24,32、及び高電圧負荷32)トータルでの効率を常に最大にすることができ、オルタネータ18からの電力供給を常に効率良く行うことができる。
図2は、本実施例の車両用電源装置10の要部構成図を示す。また、図3は、本実施例の車両用電源装置10における降圧DDC30の動作を説明するための図を示す。尚、図3(A)には本実施例において降圧DDC30から出力されるIG電圧としての電圧Vの一例の時間変化を表した図を、また、図3(B)には本実施例と対比される対比例におけるIG電圧Vの一例の時間変化を表した図を、それぞれ示す。
本実施例の車両用電源装置10において、電圧制御部34は、降圧DDC30から可変電圧負荷32へ出力させる出力電圧を時間的に可変させることにより、可変電圧負荷32へ時間的に可変する電圧を印加させる。具体的には、電圧制御部34は、車両のイグニションスイッチ40がオンからオフへ切り替わった場合、降圧DDC30からの出力電圧を時間的に少なくとも2段階で低下させることにより、まず、可変電圧負荷32にイグニションスイッチ40のオフ前(すなわち、イグニションスイッチ40のオン時)の電圧(例えば12ボルト程度)よりも低い所定電圧(例えば、6ボルト程度)を印加させ、その後に、その可変電圧負荷32に印加する電圧をゼロにする。
双方向DDC24及び降圧DDC30には、車両運転者により操作されるイグニションスイッチ40が電気的に接続されている。双方向DDC24及び降圧DDC30は、原則としてイグニションスイッチ40のオン時に、上記した電圧変換動作を行う。イグニションスイッチ40の状態を示す情報は、電圧制御部34に供給されている。電圧制御部34は、イグニションスイッチ40がオンされているか或いはオフされているか否かを判定する。
電圧制御部34は、イグニションスイッチ40がオフからオンへ切り替わったと判定した場合、以後、各DC−DCコンバータ24,30での電圧変換動作を実施させる。具体的には、双方向DDC24において降圧動作及び/又は昇圧動作を実施させると共に、降圧DDC30において降圧動作を実施させる。特に、降圧DDC30において、入力電圧を、可変電圧負荷32の通常どおりの駆動が可能な目標電圧(例えば、12ボルト程度の略一定の電圧)V1へ降圧させる。この場合、可変電圧負荷32は、イグニションオン時に通常どおりの駆動が可能な電圧が印加されつつ車載バッテリ12及びオルタネータ18から電力が供給されることにより、通常どおりの駆動処理を実行する。
一方、電圧制御部34は、イグニションスイッチ40がオンからオフへ切り替わったと判定した場合、その切替後、所定期間(例えば、数秒間)T、各DC−DCコンバータ24,30での電圧変換動作の実施を継続させる。具体的には、双方向DDC24において車載バッテリ12の出力電圧を所定電圧(例えば、12ボルト以上)に昇圧する昇圧動作を実施させつつ、降圧DDC30においてその昇圧電圧を上記した通常の目標電圧(例えば、12ボルト程度の略一定の電圧)V1よりも低い所定電圧(例えば、6ボルト程度など)V2に降圧する降圧動作を実施させる(図3(A)参照)。
かかる電圧変換動作が実施されると、可変電圧負荷32は、降圧DDC30から印加される電圧が通常の目標電圧V1からその目標電圧V1よりも低い所定電圧V2に変化したことを検知することにより、イグニションスイッチ40がオンからオフへ切り替わったことを判定する。そして、その判定後、所定期間T、通常の目標電圧V1よりも低い所定電圧V2が印加されつつ車載バッテリ12から電力が供給されることにより、イグニションオフ時に行う終了処理を実行する。
電圧制御部34は、上記の所定期間Tが終了したと判定すると、各DC−DCコンバータ24,30での電圧変換動作を停止させる。この場合、可変電圧負荷32は、降圧DDC30から印加される電圧がゼロになり車載バッテリ12からの電力供給が停止されることで駆動停止する。
このように、本実施例の車両用電源装置10においては、降圧DDC30から可変電圧負荷32へ出力される電圧を、イグニションオン時とイグニションオフ直後とで可変させることができる。具体的には、車両のイグニションスイッチ40がオンからオフへ切り替わった場合に、可変電圧負荷32へ電源側から印加する電圧を、図3(B)に示す対比例の如く直ちにゼロにするのではなく、図3(A)に示す如く、その切替後、所定期間Tは降圧DDC30を用いて通常の目標電圧V1よりも低い所定電圧V2に維持しつつ、車載バッテリ12から可変電圧負荷32への電力供給を継続することができる。このため、車両のイグニションスイッチ40がオンからオフへ切り替わった際に、その後所定期間T内に可変電圧負荷32に終了処理を実行させることができる。
この点、本実施例においては、イグニションスイッチ40がオフに切り替わった後に可変電圧負荷32にイグニションオフ時の終了処理を実行させるうえで、その可変電圧負荷32への電力供給をDC−DCコンバータ24,30の電圧変換処理を利用して車載バッテリ12の電力で賄うことができるので、可変電圧負荷32での終了処理を実行させるための別途の専用電源は不要であり、コストの削減を図ることができる。
従って、本実施例の車両用電源装置10によれば、イグニションスイッチ40がオン状態にある場合は、降圧DDC30を通常どおり可変電圧負荷32が通常駆動を行ううえで必要な降圧変換器として利用して、その可変電圧負荷32に電力供給を行うと共に、イグニションスイッチ40がオンからオフへ切り替わった場合に、降圧DDC30をイグニションリレー代わりに利用して通常時よりも低い電圧に降圧しつつ可変電圧負荷32への電力供給を所定期間T継続することができる。この点、本実施例によれば、降圧DDC30の多機能化を図ることができる。
また、本実施例においては、降圧DDC30の出力電圧をIG電圧とし、可変電圧負荷32をイグニションスイッチ40のオン時に駆動されるIG系負荷とすることで、IG電源を構成することができる。かかる構成においては、イグニションスイッチ40がオフからオンへ切り替わったときに降圧DDC30の出力電圧が適度な速度で目標電圧まで立ち上がるので、降圧DDC30での突入電流を低減することができる。また、イグニションスイッチ40がオンからオフへ切り替わったときに降圧DDC30の出力電圧が徐々にゼロまで立ち下がるので、可変電圧負荷32である各種電子制御ユニットでの放電を適切に行うことができる。
尚、上記の第1実施例においては、車載バッテリ12及びオルタネータ18が特許請求の範囲に記載した「直流電源」に、可変電圧負荷32が特許請求の範囲に記載した「車載電気負荷」に、双方向DDC24及び降圧DDC30が特許請求の範囲に記載した「電圧変換器」に、電圧制御部34が降圧DDC30から可変電圧負荷32へ出力させる出力電圧を時間的に可変させることにより、可変電圧負荷32へ時間的に可変する電圧を印加させることが特許請求の範囲に記載した「電圧制御部」に、オルタネータ18が特許請求の範囲に記載した「発電機」に、双方向DDC24が特許請求の範囲に記載した「第1の電圧変換器」に、降圧DDC30が特許請求の範囲に記載した「第2の電圧変換器」に、それぞれ相当している。
ところで、上記の第1実施例においては、イグニションスイッチ40がオンからオフへ切り替わった場合、降圧DDC30の出力電圧を、所定電圧V1から所定電圧V2に低下させ、その後にゼロに低下させることで、2段階で低下させることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、3段階以上で低下させることとしてもよい。
本発明の第2実施例は、上記した第1実施例の車両用電源装置10の電圧制御部34に上記した第1実施例に示した処理に代えて以下の処理を実行させることにより実現される。
図4は、本実施例の車両用電源装置10において降圧DDC30から出力される電圧Vの一例の時間変化を表した図を示す。また、図5は、本実施例の降圧DDC30の動作による効果を説明するための図を示す。尚、図5(A)には本実施例における電源回路での損失を、また、図5(B)には本実施例と対比される対比例における電源回路での損失を、それぞれ示す。
本実施例において、可変電圧負荷32は、降圧DDC30の出力電圧よりも低い略一定の電圧(例えば5ボルト程度)V3が印加されることにより駆動する電子制御ユニットなどである。可変電圧負荷32は、電源回路100を介して上記の降圧DDC30に電気的に接続されている。降圧DDC30は、オルタネータ18の発電電圧及び/又は双方向DDC24の昇圧電圧を降圧して電源回路100に印加する。電源回路100は、降圧DDC30からの電圧に基づいて可変電圧負荷32の駆動に適した上記略一定の電圧V3を生成する回路である。
また、車両用電源装置10において、電圧制御部34は、降圧DDC30から可変電圧負荷32側(具体的には、電源回路100)へ出力する出力電圧を時間的に可変させることにより、可変電圧負荷32側の電源回路100へ時間的に可変する電圧を印加させる。具体的には、図4示す如く、車両のイグニションスイッチ40がオフからオンへ切り替わった後、降圧DDC30からの出力電圧を、第1の所定電圧V1とその第1の所定電圧V1よりも低い第2の所定電圧V2とに周期的に可変させることにより、可変電圧負荷32へその第1の所定電圧V1とその第2の所定電圧V2とに周期的に変化する可変電圧を印加させる。
すなわち、イグニションスイッチ40のオン直後は、第1の所定電圧V1を第1の所定時間t1だけ継続して印加させ、その後、第2の所定電圧V2を第2の所定時間t2だけ継続して印加させ、更にその後、第1の所定電圧V1を第3の所定時間t3だけ継続して印加させ、その後は、第2の所定電圧V2の第2の所定時間t2の印加と第1の所定電圧V1の第3の所定時間t3の印加とを繰り返し実行させる。
尚、上記した第1の所定電圧V1は例えば12ボルト程度であり、また、第2の所定電圧V2は例えば6ボルト程度である。また、上記した第1の所定時間t1は、例えば数秒に設定され、第3の所定時間t3は、例えば0.5秒〜1秒程度に設定され、更に、第2の所定時間t2は、可変電圧負荷32の駆動を適切に行うことのできる範囲で第3の所定時間t3よりもできるだけ長い時間、例えば10秒以上に設定される。
かかる構成においては、イグニションオン中、降圧DDC30から電源回路100へ印加する電圧を第1の所定電圧V1とその第1の所定電圧V1よりも低い第2の所定電圧V2とに周期的に可変させつつ、電源回路100から可変電圧負荷32へ印加する電圧を略一定の電圧V3に維持させる。イグニションオン中は、上記の如く、降圧DDC30から第2の所定電圧V2が出力される第2の所定時間t2は、降圧DDC30から第1の所定電圧V1が出力される第3の所定時間t3よりも長く、できるだけ長くなるように設定される。
従って、本実施例においては、図5(A)に示す如く、電源回路100が可変電圧負荷32への出力電圧の生成を降圧DDC30からの比較的低い入力電圧を用いて行うことで、入力電圧が常に例えば12ボルト系電源から印加される比較的高い8ボルト〜16ボルト程度である図5(B)に示す如き対比例に比べて、電源回路100での入力電圧と出力電圧との差圧が小さく抑えられ、電源回路100での損失が小さくなる。このため、本実施例の車両用電源装置10によれば、電源回路100における可変電圧負荷32への出力電圧の生成が比較的高い入力電圧を用いて行われる場合と比較して、電源回路100での発熱を抑制することができるので、電源回路100での放熱設計を緩和させることができる。
尚、上記の第2実施例においては、電圧制御部34が降圧DDC30から可変電圧負荷32側の電源回路100へ出力させる出力電圧を周期的に可変させることにより、可変電圧負荷32へ周期的に可変する電圧を印加させることが特許請求の範囲に記載した「電圧制御部」に、第3の所定時間t3が特許請求の範囲に記載した「第1の継続時間」に、第2の所定時間t2が特許請求の範囲に記載した「第2の継続時間」に、それぞれ相当している。
本発明の第3実施例は、上記した第1実施例の車両用電源装置10の電圧制御部34に上記した第1実施例に示した処理に代えて以下の処理を実行させることにより実現される。
図6は、本実施例の車両用電源装置10を用いたシステムの構成及び動作を説明するための図を示す。また、図7は、本実施例と対比される対比例の車両用電源装置を用いたシステムの構成及び動作を説明するための図を示す。尚、図6(A)及び図7(A)にはシステム構成図を、また、図6(B)及び図7(B)には動作タイムチャートを、それぞれ示す。
本実施例において、可変電圧負荷32は、降圧DDC30や後述の電源200の出力電圧(例えば12ボルト程度)が印加されることにより駆動するコイルからなるアクチュエータなどである。可変電圧負荷32は、駆動開始時は、コイル両端に比較的高い電圧が印加されることによりそのコイルに大電流を流す必要がある一方、その後は、コイル両端に印加される電圧VLが比較的低くなることによりそのコイルに流す電流ILを比較的小さくてよい電気負荷である。
可変電圧負荷32は、スイッチング素子Q1を介して電源200に電気的に接続されていると共に、スイッチング素子Q2を介して上記の降圧DDC30に電気的に接続されている。電源200は、例えば車載バッテリ12やオルタネータ18を用いて略一定の所定電圧(例えば12ボルト程度)V1を出力する電源である。スイッチング素子Q1,Q2はそれぞれ、例えばMOS−FETなどであり、ゲート信号が供給されることによりオン/オフのスイッチング動作を行う。
かかる構成において、可変電圧負荷32の駆動が要求されると、図6(B)に示す如く、まず、スイッチング素子Q1がオンされる。この場合には、可変電圧負荷32に電源200からの比較的高い所定電圧V1(VL)が印加されることにより、可変電圧負荷32に比較的大きな電流ILが流れる。従って、可変電圧負荷32を駆動要求時に高電圧・大電流の供給により速やかに駆動開始させることができる。
また、可変電圧負荷32の駆動開始が完了したと判定される(例えば、高電圧・大電流の供給開始から所定時間が経過する)と、図6(B)に示す如く、スイッチング素子Q1がオンからオフへ切り替わると共に、スイッチング素子Q2がオフからオンへ切り替わり、その後、そのスイッチング素子Q2のオンが継続される。
電圧制御部34は、降圧DDC30から可変電圧負荷32へ出力する出力電圧を時間的に可変させることにより、可変電圧負荷32へ時間的に可変する電圧VLを印加させる。具体的には、上記した第2実施例と同様に、降圧DDC30からの出力電圧VLを、第1の所定電圧V1(例えば12ボルト程度)とその第1の所定電圧V1よりも低い第2の所定電圧V2(例えば6ボルト程度)とに周期的に可変させることにより、可変電圧負荷32へその第1の所定電圧V1とその第2の所定電圧V2とに周期的に変化する可変電圧VLを印加させる。この場合には、可変電圧負荷32の駆動開始が完了した後、可変電圧負荷32に降圧DDC30からの可変電圧VLが印加されることにより、可変電圧負荷32に比較的小さな電流(保持電流)ILが流れる。従って、可変電圧負荷32を駆動開始完了後に低電圧・小電流の供給により駆動保持させることができる。
この点、本実施例によれば、可変電圧負荷32を駆動するための回路に常に大電流が流れることは回避されるので、その回路の耐熱設計を緩和させることができ、その回路の体格を小さくすることができ、また、可変電圧負荷32を駆動保持させるうえで無駄な電流が消費されるのを防止することができる。
ここで、可変電圧負荷32の保持電流を抑えるうえでは、図7に示す如く、スイッチング素子Q1をPWM(Pulse Width Modulation)駆動することが考えられる。これに対して、本実施例においては、可変電圧負荷32の保持電流を抑えるうえで、降圧DDC30から比較的低い第2の所定電圧V2を出力させることとすれば十分であって、スイッチング素子Q1をPWM駆動させることは不要である。
このため、本実施例においては、図7に示す如き対比例と異なり、可変電圧負荷32を駆動させるための制御が複雑になるのを防止することができ、また、PWM駆動に伴うノイズ対策を不要とすることができる。また、可変電圧負荷32に供給する電流にPWM駆動によるリプルが重畳することは無いので、そのリプル重畳を抑制するうえで、可変電圧負荷32の、降圧DDC30側と接続する一方の端子とは反対側の他方の端子を、車両用電源装置10側に戻して接地することは不要であり、車両のボデーGNDにそのまま接地することとすれば十分である。このため、車両用電源装置10と可変電圧負荷32との間の配線(ワイヤハーネス)を一本のみとすることが可能であり、システムの簡素化・低コスト化を図ることができる。
尚、上記の第3実施例においては、電圧制御部34が降圧DDC30から可変電圧負荷32へ出力させる出力電圧を周期的に可変させることにより、可変電圧負荷32へ周期的に可変する電圧を印加させることが特許請求の範囲に記載した「電圧制御部」に、スイッチング素子Q2が特許請求の範囲に記載した「スイッチング素子」に、それぞれ相当している。
ところで、上記の第3実施例においては、可変電圧負荷32をコイルからなるアクチュエータとし、その可変電圧負荷32に、スイッチング素子Q1を介して電源200と、スイッチング素子Q2を介して降圧DDC30とを並列的に接続することとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、図8(A)に示す如く、可変電圧負荷32をコイルからなるリレーとし、その可変電圧負荷32にスイッチング素子Q2を介して降圧DDC30を接続することのみとしてもよい。
スイッチング素子Q2は、イグニションスイッチ40がオンされた直後にオンされ、イグニションスイッチ40がオフされた直後にオフされる、例えばMOS−FETである。可変電圧負荷32は、例えば、イグニションオン直後にリレーオンし、その後、システム異常が無い限りイグニションオフまでリレーオンしたままに維持されるリレーである。電圧制御部34は、上記した第2実施例と同様に、車両のイグニションスイッチ40がオフからオンへ切り替わった後、降圧DDC30からの出力電圧を、第1の所定電圧V1(例えば12ボルト程度)とその第1の所定電圧V1よりも低い第2の所定電圧V2(例えば6ボルト程度)とに周期的に可変させることにより、可変電圧負荷32へその第1の所定電圧V1とその第2の所定電圧V2とに周期的に変化する可変電圧を印加させる。すなわち、イグニションスイッチ40のオン直後は、第1の所定電圧V1を第1の所定時間t1だけ継続して印加させ、その後、第2の所定電圧V2を第2の所定時間t2だけ継続して印加させ、更にその後、第1の所定電圧V1を第3の所定時間t3だけ継続して印加させ、その後は、第2の所定電圧V2の第2の所定時間t2の印加と第1の所定電圧V1の第3の所定時間t3の印加とを繰り返し実行させる。
かかる変形例においては、図8(B)に示す如く、イグニションスイッチ40がオフからオンへ切り替わった場合、その切替直後に、降圧DDC30から比較的高い第1の所定電圧V1が出力されかつスイッチング素子Q2がオンされることで、可変電圧負荷32に比較的高い第1の所定電圧V1が印加される。そしてその後、スイッチング素子Q2がオンに維持されたまま高圧DDC30から出力される電圧が比較的低い第2の所定電圧V2に変化されることで、可変電圧負荷32に印加される電圧が比較的低い第2の所定電圧V2に低下される。
従って、上記の変形例によれば、可変電圧負荷32のリレーオンをイグニションオン後直ちに実現させつつ、その後はそのリレーオンを低電圧で維持させることができる。また、可変電圧負荷32への電力供給が降圧DDC30及びスイッチング素子Q2のみを用いて行われるので、上記の電源200やスイッチング素子Q1を不要とすることができ、構成の簡素化・低コスト化を図ることができる。
また、上記の変形例においては、イグニションスイッチ40のオフからオンへの切替後、降圧DDC30から比較的高い第1の所定電圧V1が出力される時間が第1の所定時間t1に達するまでに、可変電圧負荷32がリレーオンできなくても、その後、周期的に降圧DDC30から出力される電圧がその比較的高い第1の所定電圧V1となるので、その第1の所定電圧V1の区間(第3の所定時間t3)でその可変電圧負荷32を確実にリレーオンさせることが可能となる。
また、上記の変形例においては、図8(C)に示す如く、イグニションスイッチ40のオフからオンへの切替後に可変電圧負荷32がリレーオンした後、降圧DDC30から出力される電圧が比較的低い第2の所定電圧V2に維持されている際にスイッチング素子Q2がオフされることによりその可変電圧負荷32が一旦リレーオフしても、周期的に降圧DDC30から出力される電圧が比較的高い第1の所定電圧V1となるので、スイッチング素子Q2の再オン後、その第1の所定電圧V1の区間(第3の所定時間t3)でその可変電圧負荷32を確実にリレーオンさせることが可能となる。