JP5986666B1 - エレベータシステム - Google Patents
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Abstract
Description
超高層大型ビルでは、エレベータ利用者の待ち時間を短縮するために複数のエレベータシャフトを設置し、行き先階を高層、中高層、中低層、低層などのようにいくつかのバンクに分けることによって待ち時間を短縮することがおこなわれている。
この方式では、多数のエレベータシャフトが必要となり、平面計画においてエレベータシャフトが占める面積が大きくなって利用可能面積が減少すると共に工事費もかさむものとなっていた。
また、特許文献2(特開平5−39173号公報)、特許文献3(特許第2914832号公報)には、リニアモータを利用した自走式カゴを利用することによって、カゴが上下方向の移動だけでなく水平方向や斜め方向にも移動できるようにしてエレベータの運用効率を上げて利用客の待ち時間を減少させることが開示されている。
複数台のかごの各々にリニアモータ2次導体を設置し、エレベータシャフトに設置したリニアモータ1次導体(コイル)により駆動推進力を得るものである。
また、万一のカゴ同士の衝突を想定し、カゴ同士の衝突による衝撃を緩和するための緩衝器を設けたり、カゴ同士を連結する連結器が設けてある。
また、エレベータシャフトの数を減らすことによって工事費が削減され、エレベータシャフトが占めていた部分を他の用途に使用できるので、建築物の利用可能面積が増大される。
図1の平面図に示す低層F1、中層F2、高層のF3の3つのバンクからなるエレベータシステムを例にして本発明を説明する。
以下に説明する実施例のエレベータシステムの駆動方式は、エレベータカゴ自体が駆動装置を有して自走することができるものであり、具体例としては、例えばリニアモータ方式である。各エレベータカゴにリニアモータの2次導体が設置されており、エレベータシャフトまたはエレベータシャフト間を連絡する連絡路に設置したガイドレールにリニアモータの一次導体が設置されているものであり、2次導体にはガイドレールに設置した給電設備から電気が供給される。各エレベータカゴにはブレーキや、エレベータカゴ同士の間隔を検知して衝突を防止する距離検知装置、連結運行のための連結器、また衝突時の衝撃を緩衝する緩衝装置等を装備している。連結器は、エレベータカゴの縦方向の移動だけでなく、横方向の移動にも対応できるようにするのが好ましい。
以下、説明を簡単にするため各バンク毎に昇り、下り1本ずつのエレベータシャフトの例で説明する。
平面図に示されるように、昇りエレベータシャフト10、11、12が高さの順に直列に配置してあり、これらの昇りエレベータシャフト10、11、12とペアとなる下りのエレベータシャフト20、21、22がエレベータホール3を挟んで対向する位置に設置してあり、各バンクエレベータシャフトの最上部において復帰路30、31、32で昇りと下りのエレベータシャフトは連絡されている。
待機スペース5は、エレベータカゴを他のバンクにも移動できるように下部連絡路35を兼用する空間であり、どのバンクにでも移動できるよう空間内にエレベータカゴ4の移動路を設けておく。
このようにエレベータカゴ4は、昇りエレベータシャフトと下りエレベータシャフト、また、場合によっては急行下りエレベータシャフトを通って乗込階Eに戻ることができる。
図1の実施例1の平面図に示されるように、エレベータの利用者が乗降するエレベータホール3は、昇りエレベータシャフト10、11,12と下りエレベータシャフト20、21、22の間に位置しており、両エレベータシャフトは向い合せに配置されており、昇り下りのエレベータシャフトの利用者が同一空間に混在することになり、乗る人と降りる人の動線が交差して移動が円滑におこなわれない可能性がある。また、復帰路30、31は、エレベータの昇降長さを短くするためには各バンクの直上に設けることが望ましいが、その場合は、直上階のエレベータホールを分断してしまうので平面計画上は好ましくない。
そこで、図2に示すように、昇り下りのペアとなるエレベータシャフト10、20を背中合わせに配置し、昇りと下りのエレベータホール3A、3Bに分離した別空間とすることによって乗降の際の混雑が生じないようにしたものであり、利用者の移動を円滑にすることができる。
この配置を採用すると昇りエレベータシャフト10と下りエレベータシャフト20は隣接しており、二つを連絡する復帰路が不要となり、エレベータカゴ4を昇りエレベータシャフトに隣接する下りエレベータシャフトに横移動させて下りエレベータシャフトに移すだけでよくなる。そのため最上階以外の途中の階において、復帰路を設けることなくエレベータカゴを下り用にすることが容易となり、エレベータホールを分断するような平面計画上の問題を生ずることもなく、低コストでエレベータカゴの運用効率を上げることができる。
この場合は、エレベータカゴ4のドアを前後に設け、昇りと下りで使用するドアを切り替えることによってエレベータホールで昇りと下りの利用者が一緒にならないようすることができる。
実施例1及び実施例2は、昇りのエレベータ利用者の待ち時間の短縮を図ったものであるが、下りの利用者が集中した場合にも対応できるように、エレベータカゴ4を短時間で各バンクの最上階に運び上げられるようにして下りのエレベータの利用者の待ち時間を短縮できるようにしたもので、図3に示す例は、急行昇りエレベータシャフトR2を低層バンクF1のエレベータシャフト20の外側で、急行下りエレベータシャフトR1とはエレベータホール3を挟んで対抗する位置に追加したものである。
待機スペース5や下りエレベータシャフト20、21、22を降下してきたエレベータカゴ4を急行昇りエレベータシャフトR2に移動させて各バンクF1、F2、F3の最上階にノンストップで上昇させ、利用者の集中に対応してバイパスB1'、B2'、B3'を経由して運び上げたエレベータカゴ4を各バンクの最上階の直上まで移動させて待機させておき、利用客が集中した場合に下りエレベータシャフトにエレベータカゴ4を移動させ、利用者を待たせることがないようにしてある。
エレベータカゴ4の待機場所は、各バンクの最上階の直上だけでなく、バイパスB1'、B2'、B3'にも待機させるようにしてもよい。
図4(1)に示す例は、平面図に示すように、各バンクF1、F2、F3において、昇りと下りのエレベータシャフトを隣接させて一列とし、低層バンクF1の外側に急行下りエレベータシャフトR1を設けたものである。エレベータシャフトの下側には各エレベータシャフトに連絡する待機スペース5が設けてある。
各バンクF1、F2、F3において、昇りエレベータシャフト10、11、12を通って最上階に達したエレベータカゴ4は、横移動して隣の下りエレベータシャフトに移って下り用エレベータカゴとして降下して乗込階Eに戻り、待機スペース5に移動して待機する。利用者の呼び出しに応じて順に昇りのエレベータシャフトに移動して昇り用のエレベータカゴとして稼働させる。
先行するエレベータカゴが下りエレベータシャフトにおいて停止もしくは停止予定があるときは、隣接の下りエレベータシャフトに移動させず、バイパスB2、B3側に行き先を切り替え、急行下りエレベータシャフトR1を通ってノンストップで待機スペース5に戻る。
急行昇りエレベータシャフトR2を通って最上部に移動したエレベータカゴ4は、バイパスB3を通り、下りエレベータシャフト20、21の延長シャフト20E、21Eを通って低層バンクF1、中層バンクF2と、高層バンクF3の下りエレベータシャフト20、21、22の最上階に移動し、下り用エレベータとなる。
この延長シャフト20E、21Eにエレベータカゴ4を待機させておくことが可能である。延長シャフト20E、21Eはバンクの最上階の直上であるため、下りの混雑時に迅速にエレベータカゴを供給することができ、混雑の解消を短時間で収束させることができる。
図5に示す例は、低層バンクF1、中低層バンクF2、中高層バンクF3、高層バンクF4からなる4つのバンクの場合であって、各バンクにおいて、昇りエレベータシャフト10と下りエレベータシャフト20が隣接しており、低層バンクF1と中低層バンクF2の間にはエレベータホール3Aが設けてある。低層バンクF1と中低層バンクF2のエレベータの乗降口がエレベータホール3Aを挟んで互いに向き合って配置されている。
中低層バンクF2と中高層バンクF3は背中合わせに配置され、中高層バンクF3と高層バンクF4は、エレベータホール3Bを挟んで乗降口が対向する位置に配置され、エレベータの乗降口はエレベータホール3Bに面して対向する配置である。
低層バンクF1の昇りエレベータシャフトに隣接して急行下りエレベータシャフトR1が設けてあり、この急行下りエレベータシャフトR1は各バンクの最上階とそれぞれバイパスB1、B2、B3で連結してあり、昇りの利用者が集中して待ち時間が長くなる恐れがある場合に、最上階に上昇してきたエレベータカゴ4を下りエレベータシャフトに廻さずに行き先切り替え手段によって急行下りエレベータシャフトR1へ向かうように行き先を切り替え、乗込階Eの下の待機スペース5に直通で降下させ、混雑しているエレベータシャフトにエレベータカゴを回送するようにしたものである。
図5(2)の例は、図5(1)の急行下りエレベータシャフトR1に加えて、急行昇りエレベータシャフトR2を急行下りエレベータシャフトR1に隣接して設けたものであり、下りの利用客が集中して混雑した場合にエレベータカゴ4を各バンクの最上階に短時間で運んで下りエレベータシャフトに廻し、下りの利用者の混雑を解消するものである。
20、21、22、23 下りエレベータシャフト
30、31、32 復帰路
35 下部連絡路
3 エレベータホール
3A、3B エレベータホール
4 エレベータカゴ
5 待機スペース
B1、B2、B3 バイパス
E 乗込階
F1、F2、F3、F4 バンク
R1 急行下りエレベータシャフト
R2 急行昇りエレベータシャフト
Claims (6)
- バンク分けしたエレベータシステムであって、各バンクは複数のペアとなる昇りエレベータシャフトと下りエレベータシャフトが上部と下部で連絡してあって自走式エレベータカゴが昇りと下りのエレベータシャフトの間を移動して循環するエレベータシステムにおいて、各バンクの昇りエレベータシャフトの乗込階の下に待機スペースがあり、各バンクの最上階と待機スペースを結ぶ急行下りエレベータシャフトが設けてあり、各昇りエレベータシャフトの最上部においてエレベータカゴを下りエレベータシャフトと急行下りエレベータシャフトへの振り分け手段が設けてあるエレベータシステム。
- 請求項1において、更に、各バンクの最上階と乗込階の下に設けた待機スペースを結ぶ急行昇りエレベータシャフトが設けてあり、乗込階の下に設けた待機スペースにおいてエレベータカゴを昇りエレベータシャフトと急行昇りエレベータシャフトへの振り手段が設けてあるエレベータシステム。
- 請求項1または2において、昇りエレベータシャフトと下りエレベータシャフトが順に横一列に並べてあり、各バンクの最上階と急行下りエレベータシャフトを連絡するバイパスが設けてあるエレベータシステム。
- 請求項1または2において、各バンクにおいて昇りエレベータシャフトと下りエレベータシャフトがエレベータホールを隔てて対向して配置してあり、昇りと下りのエレベータシャフトは最上部に設けた復帰路で連絡してあると共に、各バンクの最上部に昇りエレベータシャフトと急行下りエレベータシャフトを連絡するバイパスが設けてあるエレベータシステム。
- 請求項1または2において、昇りと下りのエレベータシャフトが背中合わせに配置してあり、昇り下りのエレベータホールが分離した別空間としてあるエレベータシステム。
- 請求項1または2において、バンク毎に昇りエレベータシャフトと下りエレベータシャフトのペアを複数並べ、第1バンクと第2バンクの間にエレベータホールを設けて、第2バンクと第3バンクはエレベータシャフトのペアを背中合わせに配置したエレベータシステム。
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