JP5985247B2 - 燃料取扱装置 - Google Patents

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Description

本発明は、原子力発電プラント設備における燃料集合体を移送する燃料取扱装置に関する。
以下、図1、図14から図17を参照しながら、従来の燃料取扱装置1について説明する。図1は、本発明に係る燃料取扱装置の全体構成図である。図14は、燃料取扱装置による炉心からの燃料集合体の取り出し説明図、図15(a)は、使用済燃料貯蔵ラックの縦断面図、図15(b)は、使用済燃料貯蔵ラックの部分斜視図である。図16(a)は、従来の燃料取扱装置の燃料掴み装置の概要図、図16(b),(c)は、従来の燃料取扱装置の燃料掴み装置による燃料集合体の上方向への移動の説明図である。図17(a)は、従来の燃料取扱装置の燃料掴み装置におけるフック開放状態での燃料集合体のハンドル上への下降の説明図、図17(b)は、燃料集合体のハンドル上面にリミッタが当接してフックを把持した状態の説明図である。
沸騰水型原子炉を用いた原子力発電所では、原子炉の1つの運転サイクルが終了すると次の運転サイクルのために、図14に示すように燃料取扱装置1を使って原子炉圧力容器2内の炉心2aに装荷された燃料集合体3の取り出し作業、原子炉圧力容器2内の炉心2aへの燃料集合体3の装荷作業を行っている。
図14に示すように、この作業は、次の運転サイクルに使用しない燃料集合体3を使用済み燃料として原子炉圧力容器2から取り出し燃料貯蔵プール4側に移動し、そこに配置された使用済燃料貯蔵ラック20(図15(a),(b)参照。以下、単に「燃料貯蔵ラック20」と称する)に格納する作業や、新しい燃料集合体3を原子炉圧力容器2内の炉心2aの所定位置に装荷する作業や、次の運転サイクルにおいても引き続いて使用する燃料集合体3を必要に応じて炉心2a内の別の位置に移動させる作業や、次の運転サイクルにおいても引き続いて使用する燃料集合体3を必要に応じて原子炉圧力容器2から取り出し燃料貯蔵プール4側に移動し、燃料貯蔵ラック20に一時的に格納する作業や、燃料貯蔵ラック20に一時的に格納された燃料集合体3を炉心2a内に再装荷する作業を含む。
このような作業の際は、図14に示す燃料貯蔵プール4と原子炉ウェルプール5との間のゲート4aの堰板は除去されている。
図1に示す燃料取扱装置1は、燃料貯蔵プール4、原子炉ウェルプール5、原子炉圧力容器2上を跨ぐように設置されている。そして、燃料取扱装置1は、オペレーティングフロア6上に敷設された走行レール7上を自在に水平走行可能な走行台車8と、走行台車8上に設置された横行レール9上を自在に水平走行可能な横行台車10と、横行台車10上に搭載された燃料掴み装置(燃料把持部)11と、を有する。ちなみに、走行レール7と横行レール9は、平面視で直角になるように設置されている。
燃料掴み装置11は、図16に示すように径の異なる複数の同軸の中空管からなるマスト(伸縮管)111をテレスコピック式に設けて伸縮自在とし、横行台車10に設置されたウインチ(昇降装置)113Aのワイヤロープ(昇降装置)114Aにより下方に懸垂設置されている。図16ではマスト111は、中空管111a,111b,111cの三重管で簡略化して表示してあるが、実際はもっと多数の多重管で構成されている。
また、横行台車10上に設置されたウインチ(昇降装置)113Bの2本のワイヤロープ(昇降装置)114Bを介して燃料掴み装置11の下端の掴み具12Bを昇降可能としている。
掴み具12Bは、2本のワイヤロープ114Bの端がその上端に接続されたシャフト121、シャフト121の下部に接続する下方が開口したほぼ角筒形状のグラップルボディ(筺体)123、グラップルボディ123内に格納されたフック124、エアシリンダ125、リミッタ126、リミットバルブ127A,127B(図16、図17では、リミットバルブ127Aのみ表示)を含んで構成されている。
フック124は、グラップルボディ123の対向する2面の支持孔で支持されたピン123aを回転軸にして開放、把持の位置にエアシリンダ125の駆動力により回動することが可能なっている。
フック124に掛かる荷重は、ピン123aを介してグラップルボディ123に伝えられる。
ちなみに、燃料取扱装置1は、燃料掴み装置11を燃料貯蔵プール4内の燃料貯蔵ラック20の横断面の所定の格子15(図15参照)の直上位置や、原子炉圧力容器2内の炉心2aの横断面の所定の燃料位置直上に位置するように走行台車8及び横行台車10を走行移動させ、停止する機能や、掴み具12Bを燃料貯蔵ラック20上の所定の高さや炉心2a内の燃料集合体3が装荷された状態のハンドル3a1(図17(a)参照)の高さ位置まで自動的に降ろす機能等を有する燃料取扱装置制御盤(符号省略。以下、「制御装置」と称する)を有している。
そして、横行台車10上には、制御装置によってウインチ113A,113Bをそれぞれ別個に駆動する電動モータ等のスイッチ操作等をする制御盤が搭載されている。
図16に戻って、マスト111の各中空管111a〜111cは、互いに相対的に周方向には相対運動ができず伸縮だけが可能に構成され、最上段の中空管111aを駆動機構115で周方向に左右所定の角度、例えば、−180°〜+180°の範囲内で回動させることによりマスト111全体が左右所定の角度の範囲で回動可能となっている。
最下端の中空管111cの開口部はシャフト121と上下方向に摺動可能とし、周方向には係合する形状となっており、マスト111全体が左右所定の角度の範囲で回動すると、掴み具12Bもそれに応じて、左右所定の角度の範囲で回動できる。
燃料集合体3は、図17に示す上部タイプレート3aと下部タイプレート3bとに設けられた格子孔により、所定の間隔を取って配置された複数の燃料棒(図示せず)の上下端を支持している。そして、上部タイプレート3aと下部タイプレート3bとの上下方向の間に、複数段の燃料スペーサ(図示せず)を配置し、各燃料棒間に所定の間隙を確保するようにした燃料束(図示せず)に、内部に冷却材流路を形成する四角筒のチャンネルボックス3cを上から被せたものである。
上部タイプレート3aには、コの字形のハンドル3a1が一体に設けられ、前記した掴み具12Bのフック124で引っ掛けて掴めるようになっている。
燃料束とチャンネルボックス3cとは、チャンネルファスナ(図示せず)により上部タイプレート3aのコーナー部にねじ固定される。チャンネルファスナは、炉心2a内において横断面が十字形の制御棒が挿入可能とするために、制御棒周囲の4体の燃料集合体3が所定の間隙を確保するように互いに水平方向に押圧する板ばね部材を含んでいる。そして、チャンネルボックス3cの上端近傍の外周面における制御棒に面する面のチャンネルファスナのコーナー部から遠ざかったコーナー部寄りの位置に、スペーサ(図示せず)が設けられ、対向する燃料集合体3のスペーサと互いに押圧するようにされている。
下部タイプレート3bは、そのネットワーク部の下側で下方に向かって窄まる斜面部(図示省略)を有し、ほぼ四角錘台の形状から円錐台の形状に変化し、更に斜面部の下側が円筒形の冷却材入口部(図示省略)に接続する形状をしている。この円筒形の冷却材入口部の下側には、炉心2aに装荷されたときに燃料支持金具の冷却材供給口(図示せず)に冷却材入口部が誘導され着座しやすいように、上方に向かって三叉形状に開いた上端が冷却材入口部に接続した形状のガイドノーズ3b1が設けられている。
ちなみに、冷却材入口部及びガイドノーズ3b1を合わせて「ノーズピース」とも称する。
燃料貯蔵ラック20は、図15に示すように、例えば、ステンレス鋼製又はボロンを含有したステンレス鋼製の板材で形成した格子15を複数配置したものであり、格子15を所定のN×Mの配列にしてユニット化されている。格子15の内周面で囲まれた横断面の大きさは、燃料集合体3の横断面外形よりもやや大きく、燃料集合体3のチャンネルファスナやスペーサが格子15の内周面に接触しながら円滑に格納可能な形状である。
ちなみに、燃料貯蔵ラック20の格子15の底にはベース部材25が配置され、格子15の下端はベース部材25に溶接固定されている。ベース部材25には、燃料貯蔵ラック20に格納された燃料集合体3を格子15のほぼ中央に配置するために、燃料集合体3の下部プレート3bの冷却材入口部が嵌め込まれる支持孔23が設けられている。支持孔23は、燃料貯蔵プール4の冷却水を燃料集合体3のチャンネルボックス3c内に自然循環で供給する役目もしている。
燃料取扱装置1による燃料集合体3の炉心2aからの取り出し、燃料貯蔵ラック20からの取り出しは、以下の手順で行われる。先ず、走行台車8及び横行台車10の走行により、燃料掴み装置11を原子炉圧力容器2内、又は燃料貯蔵ラック20内の移動作業対象の燃料集合体3が装荷又は格納されている位置の真上に位置決めする。このとき、掴み具12Bのフック124(図17参照)は、既にエアシリンダ125により開放状態にされ、ラッチ機構によりリミッタ126の係止爪により開放位置に保持されている。次いで、ウインチ113A,113Bを制御装置で制御して、マスト111を下方に伸ばすとともに、同期させて掴み具12Bをも下方に下降させる。
掴み具12Bのリミッタ126が、燃料集合体3の上部タイプレート3aのハンドル3a1の上面に当接すると、図17(a)の状態から図17(b)の状態に示すように、リミッタ126の係止爪(図示せず)がフック124(図17(a)参照)のラッチ機構(図示せず)から外れる。更に、掴み具12Bが下降し、リミッタ126がハンドル3a1の上面により、更に上方に押されることにより、リミットバルブ127Aを動作させ、フック124の自重とエアシリンダ125の動作とにより、フック124は開放状態から把持状態に回動して、燃料集合体3のハンドル3a1を把持する。
燃料集合体3の把持後は、制御装置は、ウインチ113A,113Bを制御してマスト111を縮めるとともに、燃料集合体3を上方に吊り上げ、上昇させ、燃料集合体3の水平方向の移送可能な鉛直方向位置(高さ位置)まで燃料集合体3を引き上げる。その後、再び、走行台車8及び横行台車10の移動により燃料貯蔵ラック20又は原子炉圧力容器2内の燃料集合体3を格納しようとする目的の位置の真上に位置決めする。
その状態から、マスト111を下方に伸ばすとともに、同期させて掴み具12Bをも下方に降下させる。燃料集合体3が所定の目的の水平位置でかつ、所定の高さ位置に着座すれば、図17(b)の状態から図17(a)の状態に示すように、掴み具12Bのリミッタ126に燃料集合体3のハンドル3a1の上面が当接し、リミッタ126を介してリミットバルブ127Bを動作させ、エアシリンダ125を動作させて、フック124を把持状態から開放状態に回動させ、リミッタ126の係止爪がフック124のラッチ機構に掛かった状態とする。
このようにリミットバルブ127A,127Bはその作動ピンがリミッタ126で下方から押される位置がリミットバルブ127Aの方がリミットバルブ127Bよりも高い位置に設定されている。
このように、燃料貯蔵ラック20内の所定位置の燃料集合体3の炉心2aへの移送と炉心2aの所定位置への装荷、炉心2aの所定位置の燃料集合体3の取り出しと燃料貯蔵ラック20の所定位置への格納において、燃料集合体3の上下方向の移動は、燃料掴み装置11で行われ、燃料集合体3の水平方向の移動は走行台車8及び横行台車10で行われる。
そのため、燃料集合体3を燃料貯蔵ラック20又は炉心2aから上方に引き上げる途中で、制御装置が所定の高さ位置まで上昇させる前にウインチ113Bの荷重センサが所定値より大きな荷重を検出、つまり、燃料集合体3のスティック状態を検出して異常停止をさせたり、若しくは、燃料集合体3を燃料貯蔵ラック20又は炉心2aの所定の位置に格納又は装荷のために着座させようと下方に降下させる途中で、制御装置が所定の高さ位置まで降下させる前にウインチ113Bの荷重センサが荷重の所定値より小さな異常軽荷重を検出、つまり、燃料集合体3のスティック状態を検出して異常停止をさせたりした場合、そのスティック状態を自動的には脱することができなくなる。
そのような場合、従来は、基本的に、燃料取扱装置1の横行台車10等の作業スペースに作業員が乗り、荷重センサの異常ではないか等の点検をしたり、燃料取扱装置1上に搭載された制御盤の手動操作装置を操作して、ウインチ113Bをインチングしたり、走行台車8又は横行台車10をチョイ移動させたりして、通常操作とは異なる操作を行ったりすることになる。
しかし、作業員の被曝低減の観点からも、できるだけ作業員が燃料取扱装置1の機上に乗っての復旧作業は望ましくなく減らす必要がある。
特許文献1には、燃料取扱装置において水平方向の位置決めの微調整のために、横行台車上に設置された燃料掴み装置の伸縮マストを、その外周に設置された複数の水平方向に進退自在のアームで水平方向の伸縮マストの位置を調整する技術が開示されている。これは、走行台車と横行台車を所定の位置に正確に停止させることができないときに、走行台車と横行台車の位置を微調整するのに要する時間をなくし、燃料集合体の所定位置への降下、所定位置の燃料集合体の把持後の引き上げを容易に迅速にする技術である。
特公平5−48878号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、燃料取扱装置により燃料集合体3を炉心2a内で上下方向に移動させている際に何らかの理由でスティックしたり、燃料集合体3を燃料貯蔵ラック20内で上下方向に移動させている際に何らかの理由でスティックしたりした場合には、余り役立たない。
何故なら、仮にこの技術を燃料集合体3がスティックした場合に適用しても、伸縮マスト111の上端部での揺動となり、伸縮マスト111の下端に位置する掴み具12Bのフック124で把持されている燃料集合体3に効果的な揺動を伝えることができず、燃料集合体3をスティック状態から脱出させるための対策とはならないからである。
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、炉心又は燃料貯蔵ラックの水平方向の所定の位置において、燃料集合体を上下方向に移動中に燃料集合体がスティックした際に、燃料集合体をスティック状態から脱出させることが容易にできる燃料取扱装置を提供することを目的とする。
本発明は、燃料集合体を移送する燃料取扱装置であって、その燃料把持部は、伸縮自在に形成された多重かつ同軸の伸縮管と、燃料集合体をフックで把持したりその把持を開放したりすることができるように形成された掴み具と、掴み具を懸垂支持し、昇降動させる昇降装置を含んでおり、掴み具は、上下方向の揺動を与える上下方向揺動手段及び水平方向の揺動を与える水平方向揺動手段のうちの少なくとも上下方向揺動手段を含む揺動手段を有し、昇降装置が、掴み具のフックで燃料集合体を把持して、炉心から又は燃料貯蔵ラックからの吊り上げ作業時において、所定値より大きな荷重を検出した場合は、前記揺動手段を動作させて、把持中の燃料集合体を少なくとも上下方向及び水平方向のうちのいずれかの方向に揺動させる制御手段を有しており、掴み具は、その上部に接続された棒状体を介して前記昇降装置により懸垂支持されており、棒状体に上下方向のスライド機構で構成された上下方向揺動手段が組み込まれており、掴み具のフックは、フックから把持された燃料集合体のハンドルが飛び上がるのを抑制するストッパを、燃料集合体のハンドルの上面側に設定するストッパ駆動機構を有しており、制御手段は、フックで把持された燃料集合体に上下方向の揺動を効率的に伝えるために、少なくとも上下方向揺動手段の動作時には、ストッパ駆動機構を動作制御してストッパを燃料集合体のハンドルの上面側に設定するようになっており、水平方向揺動手段は、モータと、モータの回転軸の端部に偏心固定された分銅と、モータ及び分銅を包囲する金属製のホルダケースとを有し、ホルダケースは、フックからの荷重を受ける掴み具の筺体に水平方向の揺動を伝えるように固定されていることを特徴とする。
本発明によれば、燃料把持部が、掴み具のフックで燃料集合体を把持して、例えば、炉心から又は燃料貯蔵ラックからの吊り上げ作業時において、燃料集合体がスティックして所定値より大きな荷重を検出した場合は、揺動手段を動作させて、把持中の燃料集合体を少なくとも上下方向又は水平方向のいずれかの方向に揺動させて、容易に燃料集合体のスティック状態を解消し、吊り上げ作業を再開できる。
本発明によれば、炉心又は燃料貯蔵ラックの水平方向の所定の位置において、燃料集合体を上下方向に移動中にスティックした際、スティック状態から脱することが容易にできる燃料取扱装置を提供することができる。
本発明に係る燃料取扱装置の全体構成図である。 実施形態に係る燃料取扱装置の燃料掴み装置の概略構造図である。 図2における掴み具の部分断面図である。 図3におけるA部拡大図の上下方向揺動部の構造説明図である。 上下方向揺動部の動作説明図であり、(a)は、上下方向揺動部が下部シャフトを上限位置近くから下方に移動を開始した状態を示す説明図、(b)は、上下方向揺動部が下部シャフトを下限位置近くに移動した状態を示す説明図である。 図3におけるB部拡大図のフックを含むその近傍の構造説明図である。 フックに設けられた可動ストッパの動作説明図であり、(a)は、図6のD−D矢視断面図におけるストッパの回動の説明図、(b)は、側面視におけるストッパの回動の説明図である。 図3における掴み具のC−C矢視断面図である。 図3における掴み具のC−C矢視断面図で示した振動モータを動作させたときの掴み具の水平方向の揺動運動の説明図である。 掴み具で懸垂している燃料集合体を吊り上げ、上昇の過程の途中で、過荷重を検出して燃料集合体のスティック状態を検出し、そのスティック状態を解消する揺動を与える制御のフローチャートである。 掴み具で懸垂している燃料集合体を、所定の位置に装荷又は格納するため下降させている過程の途中で、正常な着座前の異常な軽荷重を検出して燃料集合体のスティック状態を検出し、そのスティック状態を解消する揺動を与える制御のフローチャートである。 (a)は、実施形態の変形例における掴み具の部分断面図、(b)は、(a)におけるE−E矢視断面図である。 図12における掴み具のE−E矢視断面図で示した振動モータを動作させたときの、掴み具の水平方向の揺動運動の説明図であり、(a)は、2つの振動モータが互いに逆方向に同期して回転する説明図、(b)は、2つの振動モータによる水平方向の揺動が強め合う場合の説明図、(c)は、2つの振動モータによる水平方向の揺動が打ち消し合う場合の説明図である。 燃料取扱装置による炉心からの燃料集合体の取り出し説明図である。 (a)は、燃料貯蔵ラックの縦断面図、(b)は、燃料貯蔵ラックの部分斜視図である。 (a)は、従来の燃料取扱装置の燃料掴み装置の概要図、(b),(c)は、従来の燃料取扱装置の燃料掴み装置による燃料集合体の上方向への移動の説明図である。 (a)従来の燃料取扱装置の燃料掴み装置におけるフック開放状態での燃料集合体のハンドル上への下降の説明図、(b)は、燃料集合体のハンドル上面にリミッタが当接してフックを把持した状態の説明図である。
《実施形態》
以下に、本発明の実施形態に係る燃料取扱装置について図を参照しながら詳細に説明する。
図1から図6を参照して、適宜、図7から図10、図14、図15を参照しながら本実施形態における燃料取扱装置1について説明する。
図1は、本発明に係る燃料取扱装置の全体構成図であり、背景技術の段落で説明したものと同じであり、重複する説明を省略する。図2は、実施形態に係る燃料取扱装置の燃料掴み装置の概略構造図である。
(燃料掴み装置11と掴み具12A)
燃料取扱装置1における燃料掴み装置(燃料把持部)11は、その下部に掴み具12Aを有している。掴み具12Aは、図2に示すようにウインチ(昇降装置)113Bに2本のワイヤロープ(昇降装置)114Bによりウインチ113Bに掛かる荷重トルクを検出する荷重センサ116が設けられているとともに、2本のワイヤロープ114Bの端がその上端に接続された上部シャフト(棒状体)121A、上部シャフト121Aの下端に接続する上下方向揺動部(棒状体、上下方向揺動手段)122、上下方向揺動部122の下部にその上端が接続する下部シャフト(棒状体)121B、下部シャフト121Bの下部に接続する下方が開口したほぼ角筒形状のグラップルボディ(筺体)123、グラップルボディ123内に格納されたフック124A、エアシリンダ125、リミッタ126、リミットバルブ127A,127B((図8参照)、図2では、リミットバルブ127Aのみ表示)、振動モータ(水平方向揺動手段)129(図3参照)、可動ストッパ128を含んで構成されている。
荷重センサ116の出力信号、ウインチ(昇降装置)113A,113B及び駆動機構115の回転角センサ(図示せず)の出力信号、又は、ウインチ113A,113B及び駆動機構115をそれぞれ駆動する電動モータ(図示せず)の回転角センサ(図示せず)の出力信号、ウインチ113A,113Bを駆動する電動モータ及び駆動機構115(図2参照)を駆動する電動モータ(図示せず)への横行台車10上に設置された制御盤(図2では図示省略)からの駆動制御信号が制御装置(制御手段)200に入力される。また、上下方向揺動部122の後記する上限位置リミットスイッチ及び下限位置リミットスイッチ、並びに後記するストッパバー(ストッパ)128f(図6参照)の向きを検出するリミットスイッチからの信号等が、制御装置200に入力される。
そして、制御装置200は、ウインチ113A,113B、駆動機構115をそれぞれ駆動する電動モータを制御する前記した横行台車10上に設置された制御盤への制御信号を出力する。
また、制御装置200は、上下方向揺動部122の後記する水圧モータ122b(図4参照)への水圧供給開始と停止、後記する振動モータ129(図8参照)の回転開始と停止の制御信号を横行台車10上に設置された制御盤に出力する。制御盤は、その制御信号を受けて、例えば、オペレーティングフロア6(図1参照)に設置された水圧源から供給される水圧や空気に対しその供給管のバルブの開閉を制御して、必要に応じ水圧モータ122bや、エアモータ128b(図6参照)や振動モータ129等を駆動させる。
図2では、制御装置200からの制御信号の矢印を示す上で、横行台車10上に設置された制御盤を省略して記載している。
(上下方向揺動部122)
図3は、図2における掴み具の部分断面図である。図4は、図3におけるA部拡大図の上下方向揺動部の構造説明図である。
上下方向揺動部122は、上部シャフト121Aの下端に接続する開口を下方に向けた円筒体122aを有している。円筒体122aは、円筒本体部122a1、接続円盤122a2、ストッパ円盤122a3から構成されている。円筒本体部122a1は、その上端側が接続円盤122a2と接続し、接続円盤122a2を介して上部シャフト121Aの下端と接続している。円筒本体部122a1の下端側には、円筒本体部122a1の内径よりも小さな内径の穴を有するストッパ円盤122a3が設けられている。
接続円盤122a2の下面側には、例えば、水圧モータ122bが固定され、水圧モータ122bの回転軸がスクリュー軸122cを回転駆動する。水圧モータ122bの駆動源である駆動水圧配管(図示省略)は、耐圧及び対放射線性高い可撓性の合成樹脂チューブにより、横行台車10上に設置された制御盤から供給される。ちなみに、水圧モータ122bは、水中で使用される点、大きい駆動トルクが求められることから、この形態のモータにするのである。水圧モータ122bは、駆動水圧配管から供給される水圧の方向がバルブの開閉により切り換えられて正回転、逆回転が可能な構成である。
スクリュー軸122cには、雄ネジが切られたネジ部122c1とその下部の雄ネジが切られていない棒状部122c2とに区切られている。
スクリュー軸122cには、ネジ部122c1とネジ嵌合で接続する環状体122dが嵌り、スクリュー軸122cに対し相対的に上下方向にスライド可能なスライド機構を構成している。環状体122dは、雌ネジが内径側に切られたナット部122d1と、その下方に接続する中心に円筒形の中空122gを有するほぼ円筒形状の接続部122d2と、接続部122d2の下端に接続する底部122d3から主に構成されている。環状体122dのナット部122d1の内径側の雌ネジが、ネジ部122c1の雄ネジとネジ嵌合して、水圧モータ122bの回転により、環状体122dが上下動する。
接続部122d2は、その上下方向ほぼ中央部位に空所122d4を有し、棒状部122c2が接続部122d2の中空122g内でぶれないように、棒状部122c2を上下方向に摺動可能に支承するベアリング部122fを格納している。接続部122d2の下端に接続する底部122d3は、下部シャフト121Bの上端と接続し、ストッパ円盤122a3の穴内を上下動し、環状体122dの底部122d3の底面側の外周縁部が円筒体122aのストッパ円盤122a3の上面側に当接することで、環状体122dが円筒体122aから脱落しないようにするストッパの役目をしている。
なお、図4では表示してないが、環状体122dが円筒本体部122a1内で回転しないように円筒本体部122a1の内周面と接続部122d2の外周面との間に、上下方向に摺動可能な回転止めを設けると都合が良い。
ちなみに、上下方向揺動部122における燃料集合体3の荷重は、上下方向揺動部122を上下方向に揺動動作させる際には、下部シャフト121Bから環状体122d、スクリュー軸122c、水圧モータ122b及び接続円盤122a2を介して上部シャフト121Aに伝えられることになる。
しかし、上下方向揺動部122内の水圧モータ122bを動かさない通常時は、環状体122dの下端の底部122d3の底面側の外周縁部をストッパ円盤122a3の上面側に着座させて、燃料集合体3の荷重が、下部シャフト121Bから底部122d3、ストッパ円盤122a3、円筒本体部122a1及び接続円盤122a2を介して上部シャフト121Aに伝えることにすると、水圧モータ122bの回転軸に大きな荷重をかけ続けることがなく、都合が良い。
図5は、上下方向揺動部の動作説明図であり、(a)は、上下方向揺動部が下部シャフトを上限位置近くから下方に移動を開始した状態を示す説明図、(b)は、上下方向揺動部が下部シャフトを下限位置近くに移動した状態を示す説明図である。
円筒体122aには、環状体122dの円筒体122a内での上限位置、下限位置を検出するための上限位置リミットスイッチ(図示省略)及び下限位置リミットスイッチ(図示省略)と、これら上限位置リミットスイッチ、下限位置リミットスイッチの動作により、前記した水圧モータ122bへ供給される水圧方向を切り換え制御する切換バルブ(図示省略)とが設けられている。水圧モータ122bが駆動されているときに、つまり、前記駆動水圧配管に駆動水圧力が加えられているときに、上限位置リミットスイッチ又は下限位置リミットスイッチの動作と切換バルブの動作により、水圧モータ122bの回転方向が切り換えられる。
(フック124Aと可動ストッパ128)
次に図3、図6、図7を参照しながら、フック124Aとフック124Aに設けられる可動ストッパ128について説明する。グラップルボディ123に格納されたフック124Aは、基本的に従来のフック124(図17参照)と同じ構成であるが、異なるところは、上下方向揺動部122により上下方向に揺動させた際に、フック124Aで懸垂している燃料集合体3のハンドル3a1がフック124Aから飛び上がらないように抑える可動ストッパ128を有している点である。
図6は、図3におけるB部拡大図のフックを含むその近傍の構造説明図である。図7は、フックに設けられた可動ストッパの動作説明図であり、(a)は、図6のD−D矢視断面図におけるストッパの回動の説明図、(b)は、側面視におけるストッパの回動の説明図である。
フック124Aは、グラップルボディ123の対向する2面の支持孔で支持されたピン123aを回転軸にして、エアシリンダ125の駆動力により伸縮するロッド125aにより開放、把持の位置に回動することが可能なっている。
フック124Aに掛かる荷重は、ピン123aを介してグラップルボディ123に伝えられる。
リミッタ126は、本体部126a、ストッパバー126b、ラッチ係止部126c、プッシュロッド126dを含んで構成されている。本体部126aは、グラップルボディ123内の図示しない支持バーに上下方向に摺動可能に取り付けられ、図示しないバネにより下方に付勢されている。
フック124Aが開放状態において、燃料集合体3のハンドル3a1の上面が、リミッタ126の本体部126aの下端に設けられ、ピン123a側に延びるストッパバー126bに当接すると、本体部126aが上方に移動し、ラッチ係止部126cも上方に移動する。ラッチ係止部126cの上方への移動により、フック124Aのラッチ機構(図示せず)から外れて、更に、ストッパバー126bがハンドル3a1の上面により更に上方に押されることにより、プッシュロッド126dの上端が、リミットバルブ127Aのバルブ作動ピン127aを押し上げ、リミットバルブ127A(図8参照)を動作させ、フック124Aの自重とエアシリンダ125の動作とにより、フック124Aが開放状態から把持状態に回動して、燃料集合体3のハンドル3a1を把持する。
燃料集合体3のハンドル3a1の懸垂状態から、マスト(伸縮管)111を下方に伸ばすとともに、同期させて掴み具12Aをも下方に降下させ、燃料集合体3が所定の目的の水平位置でかつ、所定の高さ位置に着座すれば、掴み具12Aのリミッタ126のストッパバー126bに燃料集合体3のハンドル3a1の上面が当接し、本体部126a及びプッシュロッド126dを介してリミットバルブ127Bのバルブ作動ピン127aを動作させ、エアシリンダ125を動作させて、フック124Aを把持状態から開放状態に回動させ、ラッチ係止部126cの係止爪(図示せず)がフック124Aのラッチ機構(図示せず)に掛かった状態となる。
このようにリミットバルブ127A,127Bはそのバルブ作動ピン127aが、リミッタ126のプッシュロッド126dにより下方から押される位置は、リミットバルブ127Aの方がリミットバルブ127Bよりも高い位置に設定されている。
ちなみに、エアシリンダ125、リミットバルブ127A,127Bは、グラップルボディ123内の図示しない支持バーに取り付けられている。
フック124Aは、その本体部124aがピン123aに懸垂する把持状態で鉛直になる部位において、ハンドル3a1を懸垂した状態のときに、ハンドル3a1の上面のやや上方にストッパ回動軸部124bを有している(図6参照)。可動ストッパ128は、例えば、エアモータ128bと、エアモータ128bの回転軸に固定されたピニオンギア128cと、ストッパ回動軸部124bにより回転可能に支承されたピニオンギア128cに駆動される被駆動ギア128dと、ストッパ回動軸部124bに回動可能に支承されて被駆動ギア128dの下面に一体に固定された回動管128eと、回動管128eの外周に溶接固定されたストッパバー(ストッパ)128fと、エアモータ128b、ピニオンギア128c及び被駆動ギア128dを格納するフック124Aの本体部124aに固定された筺体128aと、を含んで構成されている。
ちなみに、エアモータ128bは、正転、逆転が可能なモータである。図示省略してあるが、筺体128a内は、リミットスイッチ2個と、これにより制御操作される方向切換バルブと、を少なくとも格納している。2個のリミットスイッチのうちの一方は、ストッパバー128fがフック124Aの先端側の方向(ハンドルの上面側)を向いている状態か否かを検出し、制御装置200にその信号を送り、他方のリミットスイッチは、フック124Aの先端側の方向と反対方向の背面側の方向を向いている状態か否かを検出し、制御装置200にその信号を送る。そして、方向切換バルブは、図7に実線表示で示すようにストッパバー128fがフック124Aの先端側の方向に向いた状態と、二点鎖線表示で示すフック124Aの先端側の方向と反対方向の背面側の方向を向いた状態とのいずれかでストッパバー128fを保持できるようにしている。ちなみに、ストッパバー128fが、フック124Aの先端側の方向と、その反対方向の背面側の方向との間の180°の範囲しか回動しないように、その回動許容範囲の外側に回動を阻止する回動阻止ストッパを設けると良い。
ここで、エアモータ128b、ピニオンギア128c、被駆動ギア128d、回動管128eが、特許請求の範囲に記載の「ストッパ駆動機構」に対応する。
また、ストッパ回動軸部124bは、その上下に連なる本体部124aよりも外径が細くなった円柱形状であり、ストッパ回動軸部124bの上下に連なる本体部124aとの間に段差部124b1,124b2を有している。この段差部124b1により被駆動ギア128dの上方への移動を規制し、段差部124b2により回動管128eの下方への移動を規制している。
次に、図7を参照して、可動ストッパ128の動作を説明する。図7は、フックに設けられた可動ストッパの動作説明図であり、(a)は、図6のD−D矢視断面図におけるストッパの回動の説明図、(b)は、側面視におけるストッパの回動の説明図である。
例えば、フック124Aに燃料集合体3を懸垂して燃料貯蔵ラック20から上方へ引き上げる途中で過大な荷重を荷重センサ116(図2参照)が検出したとき、掴み具12Aの上昇作業を一旦停止させ、エアモータ128bを回動させてストッパバー128fをフック124Aの先端側の方向に180°回動する。その後、上下方向揺動部122の水圧モータ122bを所定の周期で正転、逆転させ、環状体122dを上下駆動することによって、フック124Aが上下方向に揺動され、それに伴いスティック状態の燃料集合体3のハンドル3a1の部分を上下方向に揺動することができる。その結果、効果的にスティック状態の燃料集合体3を小刻みに上下運動させるような上下方向の揺動を与えることができる。
なお、ストッパバー128fをフック124Aの先端側の方向に180°回動することによって、環状体122dを下方に駆動したときに、燃料集合体3のスティック状態がまだ解消されていないときに、ストッパバー128fを介して、少なくとも掴み具12Aの部分の水中荷重をハンドル3a1の上面に加えることができ、効果的に上下方向の小刻みの揺動を燃料集合体3に与えることができる。
また、そのとき、ハンドル3a1の上面がリミッタ126のストッパバー126bの下面に衝突したり、フック124Aからハンドル3a1が外れたりすることを防止できる。
(振動モータ129)
次に、図3のグラップルボディ123のC−C矢視断面図である図8を参照して、振動モータ(水平方向揺動手段)129の構成とその動作について説明する。図8は、図3における掴み具のC−C矢視断面図である。図9は、図3における掴み具のC−C矢視断面図で示した振動モータを動作させたときの掴み具の水平方向の揺動運動の説明図である。
振動モータ129は、例えば、空気圧で一方向に回転駆動されるエアモータ(モータ)129aと、エアモータ129aの下端(前端)から突出した回転軸129bの端部に偏心固定された分銅129cと、それらを格納する金属製の軸方向両端が有底の筒状のホルダケース129dと、を含んで構成されている。
ちなみに、エアモータ129aは、それを収容する筒状のケースを介して、ホルダケース129dに固定されている。ホルダケース129dは、エアシリンダ125、リミットバルブ127A,127Bが固定されている前記した支持バー(図示せず)に固定されている。エアモータ129aを回転駆動させることによって、効果的にスティック状態の燃料集合体3を小刻みに水平方向運動させるような水平方向の揺動を与えることができる。
ここで、上下方向揺動部(上下方向揺動手段)122及び振動モータ(水平方向揺動手段)129が、特許請求の範囲に記載の「揺動手段」に対応する。
振動モータ129のエアモータ129aを回転させると、図9に示すように振動モータ129が動作していない状態のとき、二点鎖線の仮想線で示した位置にあったグラップルボディ123は、偏心した分銅129cの回転向きによって遠心力が、異なる方向に発生しグラップルボディ123を、実線で示したように水平方向に揺動させる。これによって、フック124Aが水平方向に揺動され、それに伴いスティックしている燃料集合体3をハンドル3a1の部分でもって水平方向に揺動することができる。その結果、効果的にスティック状態の燃料集合体3を歳差運動させるような水平方向の揺動を与えることができる。
(吊り上げ、上昇の過程の途中のスティック状態の解消)
次に、図10を参照しながら燃料集合体3を吊り上げ、上昇の過程の途中で燃料集合体3がスティック状態となった場合に、水平方向及び上下方向の揺動を掴み具12Aで懸垂している燃料集合体3に与え、スティック状態から脱出させる制御の流れについて説明する。図10は、掴み具で懸垂している燃料集合体を吊り上げ、上昇の過程の途中で、過荷重を検出して燃料集合体のスティック状態を検出し、そのスティック状態を解消する揺動を与える制御のフローチャートである。
この制御は、全て制御装置200(図2参照)において行われる。
図10に示すフローチャートにおいては、制御装置200からの通常の制御により、燃料貯蔵ラック20又は原子炉圧力容器2内の炉心2aの所定位置の燃料集合体3のハンドル3a1をフック124Aが既に把持完了し、これから吊り上げ、上昇動作を開始する直前の状態であり、所定の高さ位置(第1の所定の高さ位置)までは低速で燃料集合体3を吊り上げ、上昇させる指令制御が制御装置200において設定完了していると仮定する。
また、フック124Aの可動ストッパ128は、そのストッパバー128fを、フック本体124aの背面側の方向に向けて設定している。
ここで、所定の高さ位置(第1の所定の高さ位置)とは、燃料貯蔵ラック20からの燃料集合体3の吊り上げ、上昇の場合は、燃料集合体3の下端が燃料貯蔵ラック20の格子15(図15参照)の上端より上の位置であり、炉心2aからの燃料集合体3の吊り上げ、上昇の場合は、燃料集合体3の下端が原子炉圧力容器2の炉心2a(図14参照)の上部格子板(図示せず)の上端より上の位置である。
ステップS01では、n=0とする。このnは、燃料集合体3をこれから吊り上げ上昇させる過程で、万一、燃料集合体3のスティック状態を検出した場合に、スティック状態を解消する動作を何回行ったかを計数する数字である。そして、スティック状態を解消する動作を、予め設定された最大N回、例えば、5回まで行ってもスティック状態を解消することができなかった場合は、後記するように警報を発するように定めたものである。
ステップS02では、燃料集合体3を吊り上げ、低速で上昇させる。つまり、ウインチ113A,113Bの同期した巻上げを低速で行う。ステップS03では、ウインチ113B(図2参照)を駆動する電動モータ(図示せず)の回転角センサ(図示せず)の出力信号に基づいて、前記した所定の高さ位置(第1の所定の高さ位置)に到達したか否かをチェックする。所定の高さ位置に到達した場合(Yes)は、ステップS15へ進み、所定の高さ位置に到達していない場合(No)は、ステップS04へ進む。
ステップS04では、ウインチ113Bの荷重センサ116が所定値より大きな荷重(第1の異常荷重)を検出したか否かをチェックする。この所定値より大きな荷重(第1の異常荷重)とは、水中で燃料集合体3を掴み具12Aで懸垂したときの、燃料集合体3の水中荷重と掴み具12Aの水中荷重と、ウインチ113Bから引き出されたワイヤロープ114B,114Bの荷重に、更に、吊り上げ時のショック荷重や、通常の摩擦荷重を加算し、それらを加算した値に余裕を取って大きめに設定された荷重であり、燃料集合体3の吊り上げ、上昇時に何らかの理由により当該の燃料集合体3がスティック状態にあるときにのみ発生する過大な異常荷重である。
ステップS04において、所定値より大きな荷重(第1の異常荷重)を検出した場合(Yes)は、ステップS05へ進み、そうでない場合は(No)は、ステップS02へ戻る。ステップS05では、上昇を一時停止する。つまり、ウインチ113A,113Bの同期した巻上げの動作制御を一時停止する。
ステップS06では、nを1だけインクレメントし、ステップS07では、nの値がN以上か否かをチェックする。nの値がN以上の場合(Yes)は、ステップS17へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS08へ進む。
ステップS08では、水平方向の揺動を所定時間与える。つまり、振動モータ129を所定時間、例えば、1分間回転駆動させるように制御する。その後、ステップS09では、上昇を再開する。つまり、ウインチ113A,113Bの同期した低速での巻上げを再開する。ステップS10では、ウインチ113Bの荷重センサ116が所定値より大きな荷重(第1の異常荷重)を検出したか否かをチェックする。所定値より大きな荷重(第1の異常荷重)を検出した場合(Yes)は、燃料集合体3のスティック状態が解消されていないと判定し、ステップS11へ進み、上昇を一時停止する。つまり、ウインチ113A,113Bの同期した低速での巻上げの動作制御を一時停止する。ステップS10において、ウインチ113Bの荷重センサ116が所定値より大きな荷重(第1の異常荷重)を検出していない場合は(No)は、燃料集合体3のスティック状態が解消されたと判定し、ステップS03へ戻る。
ステップS12では、フック124Aの可動ストッパ128を係止位置に回動設定する(「フックのストッパを係止位置に回動設定」)。具体的には、エアモータ128bを駆動すると、ストッパバー128fをフック124Aにおける本体部124aの先端側の方向を向く状態にまで所定方向に回動させ、前記した筺体128a内の2つのリミットスイッチの一方側が図7の実線で示したストッパバー128fの位置を検出したとき、エアモータ128bの駆動を停止する。
なお、既に前回のステップS12において、フック124Aの可動ストッパ128を係止位置に回動設定している場合は、このステップS12は省略可能である。
その後、ステップS13では、上下方向の揺動を所定時間与える。つまり、水圧モータ122bを所定時間、例えば、所定の方向へ回転駆動して、フック124Aを上方へ引き上げるようにする。上限位置リミットスイッチが上限位置を検出すると、上限位置リミットスイッチは、切換バルブを制御して、水圧モータ122bの回転方向を逆転させ、水圧モータ122bを反対方向に回転駆動してフック124Aを下方に降下させるようにする。下限位置リミットスイッチが下限位置を検出すると、下限位置リミットスイッチは、切換バルブを制御して、水圧モータ122bの回転方向を再度逆転させ、フック124Aを上方へ引き上げるようにする。このような上下方向の揺動を、前記した所定時間、例えば、1分間続け、最終的には、下限位置リミットスイッチが下限位置を検出位置になるように水圧モータ122bを駆動し、ストッパ円盤122a3の上面に円筒体122aの底部122d3の下面を着座させる(図4参照)。
その後、ステップS14では、上昇を再開する。つまり、ウインチ113A,113Bの同期した低速での巻上げを再開し、ステップS03へ戻る。
ステップS03の後、YesでステップS15へ進むと、nが1以上の値か否かをチェックする。nが1以上の値の場合(Yes)は、ステップS16へ進み、そうでない場合は、この制御を終了する。
ステップS15においてYesの場合は、ステップS16へ進み、フック124Aの可動ストッパ128が係止位置の場合、非係止位置に回動設定する(「フックのストッパが係止位置の場合、非係止位置に回動設定する」)。具体的には、前記した筺体128a内の2つのリミットスイッチのうちの一方が、ストッパバー128fのフック124Aにおける本体部124aの先端側の方向を向いている状態を検出している場合、エアモータ128aを駆動制御して、2つのリミットスイッチの前記した他方が図7の二点鎖線の仮想線で示した位置にストッパバー128fの位置を検出するまで回動させて停止さて、その後、エアモータ128bを停止させる。そして、この制御を終了する。
ここで、制御の終了とは、低速でのウインチ113A,113Bの同期した巻上げの制御を終わり、高速の巻上げ制御を開始して、燃料集合体3を水平方向に移動可能な第1の所定の高さ位置よりも高い第2の所定の高さ位置まで上昇させ、その後、走行台車8(図1参照)、横台車10(図1参照)を移動させて、燃料集合体3の水平方向の移動を必要に応じて行う。
ステップS07において、NoでステップS17へ進むと、スティック状態からの脱出不能の警報出力のメッセージを、図示しない制御装置200の遠隔監視盤の表示装置に出力し、以後は、操作員が従来どおり燃料取扱装置1の横行台車10に乗って、横行台車10上の制御盤の手動操作スイッチや、操作ポール等を用いて、燃料集合体3のスティック状態の解消作業を行う。
(吊り下げ、下降の過程の途中のスティック状態の解消)
次に、図11を参照しながら燃料集合体3を吊り下げ、下降の過程の途中で燃料集合体3がスティック状態となった場合に、水平方向及び上下方向の揺動を掴み具12Aで懸垂している燃料集合体3に与え、スティック状態から脱出させる制御の流れについて説明する。図11は、掴み具で懸垂している燃料集合体を、所定の位置に装荷又は格納するため下降させている過程の途中で、正常な着座前の異常な軽荷重を検出して燃料集合体のスティック状態を検出し、そのスティック状態を解消する揺動を与える制御のフローチャートである。
この制御も、全て制御装置200(図2参照)において行われる。
図11に示すフローチャートにおいては、制御盤200からの通常の制御により、フック124Aに燃料集合体3を前記第2の所定の高さ位置に吊り下げた状態で、燃料貯蔵ラック20又は原子炉圧力容器2内の炉心2aの水平方向の目的の所定位置の直上の位置まで燃料集合体3の移動が完了している。また、前記した第1の所定の高さ位置まで高速で下降させ、そこに達してからは、低速での吊り下げ、下降動作を行う制御の設定と、燃料集合体3を燃料貯蔵ラック20又は炉心2aの所定の高さ位置(第3の所定の高さ位置)まではその低速で挿入し、着座させる制御の設定が、制御装置200において設定完了していると仮定する。
また、フック124Aの可動ストッパ128は、そのストッパバー128fを、フック本体124aの背面側の方向に向けて設定している。
ここで、所定の高さ位置(第3の所定の高さ位置)とは、燃料貯蔵ラック20の格子15に燃料集合体3を装荷する場合は、燃料貯蔵ラック20の格子15(図15参照)のベース部材25の支持孔23に下部タイプレート3bが着座した位置であり、炉心2aへの燃料集合体3の装荷の場合は、炉心2a(図14参照)の炉心支持板上の燃料支持金具(図示せず)の冷却材吐出口{ガイドノーズ3b1(図17参照)の挿入口}上に着座した位置である。
ステップS21では、n=0とする。このnは、燃料集合体3を低速で燃料貯蔵ラック20の格子15内又は炉心2a内へ吊り下げ下降させる過程で、万一、燃料集合体3のスティック状態を検出した場合に、スティック状態を解消する動作を何回行ったかを計数する数字である。そして、スティック状態を解消する動作を、予め設定された最大N回、例えば、5回まで行ってもスティック状態を解消することができなかった場合は、後記するように警報を発するように定めたものである。
ステップS22では、燃料集合体3を吊り下げ状態で、低速で下降させる。つまり、ウインチ113A,113Bの同期した巻下げを低速で行う。ステップS23では、ウインチ113B(図2参照)を駆動する電動モータ(図示せず)の回転角センサ(図示せず)の出力信号に基づいて、前記した所定の高さ位置(第3の所定の高さ位置)に到達したか否かをチェックする。所定の高さ位置に到達した場合(Yes)は、ステップS35へ進み、所定の高さ位置に到達していない場合(No)は、ステップS24へ進む。
ステップS24では、ウインチ113Bの荷重センサ116が所定値より小さな異常軽荷重(第2の異常荷重)を検出したか否かをチェックする。この所定値より小さな異常軽荷重(第2の異常荷重)とは、水中での掴み具12A及び燃料集合体3の荷重が加わっておらず、ウインチ113Bから引き出されたワイヤロープ114B,114Bの荷重程度である値に余裕を取って小さめに設定された荷重である。
ステップS24において、所定値より小さな異常軽荷重(第2の異常荷重)を検出した場合(Yes)は、ステップS25へ進み、そうでない場合は(No)は、ステップS22へ戻る。ステップS25では、下降を一時停止する。つまり、ウインチ113A,113Bの同期した巻下げの動作制御を一時停止する。
ステップS66では、nを1だけインクレメントし、ステップS27では、nの値がN以上か否かをチェックする。nの値がN以上の場合(Yes)は、ステップS37へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS28へ進む。
ステップS28では、水平方向の揺動を所定時間与える。つまり、振動モータ129を所定時間、例えば、1分間回転駆動させるように制御する。その後、ステップS29では、下降を再開する。つまり、ウインチ113A,113Bの同期した低速での巻下げを再開する。ステップS30では、ウインチ113Bの荷重センサ116が所定値より小さな異常軽荷重(第2の異常荷重)を検出したか否かをチェックする。所定値より小さな異常軽荷重(第2の異常荷重)を検出した場合(Yes)は、燃料集合体3のスティック状態が解消されていないと判定し、ステップS31へ進み、下降を一時停止する。つまり、ウインチ113A,113Bの同期した低速での巻下げの動作制御を一時停止する。ステップS30において、ウインチ113Bの荷重センサ116が所定値より小さな異常軽荷重(第2の異常荷重)を検出していない場合は(No)は、燃料集合体3のスティック状態が解消されたと判定し、ステップS23へ戻る。
ステップS32では、フック124Aの可動ストッパ128を係止位置に回動設定する(「フックのストッパを係止位置に回動設定」)。具体的には、図10におけるステップS12における制御と同じである。
なお、既に前回のステップS32において、フック124Aの可動ストッパ128を係止位置に回動設定している場合は、このステップS32は省略可能である。
その後、ステップS33では、上下方向の揺動を所定時間与える。具体的には、図10におけるステップS13における制御と同じである。
その後、ステップS34では、下降を再開する。つまり、ウインチ113A,113Bの同期した低速での巻下げを再開し、ステップS23へ戻る。
ステップS23の後、YesでステップS35へ進むと、nが1以上の値か否かをチェックする。nが1以上の値の場合(Yes)は、ステップS36へ進み、そうでない場合は、この制御を終了する。
ステップS35においてNoの場合は、ステップS36へ進み、フック124Aの可動ストッパ128が係止位置の場合、非係止位置に回動設定する(「フックのストッパが係止位置の場合、非係止位置に回動設定する」)。具体的には、図10におけるステップS16における制御と同じである。そして、この制御を終了する。
ここで、制御の終了とは、低速でのウインチ113A,113Bの同期した巻下げの制御を終わり、フック124Aを燃料集合体3のハンドル3a1の把持状態から開放状態とし、高速の巻上げ制御を開始して、第2の所定の高さ位置まで上昇させ、その後、横台車10(図1参照)、走行台車8(図1参照)を移動させて、掴み具12Aの水平方向の移動を必要に応じて行う。
ステップS27において、NoでステップS37へ進むと、スティック状態からの脱出不能の警報出力のメッセージを、図示しない制御装置200の遠隔監視盤の表示装置に出力し、以後は、操作員が従来どおり燃料取扱装置1の横行台車10に乗って、横行台車10上の制御盤の手動操作スイッチや、操作ポール等を用いて、燃料集合体3のスティック状態の解消作業を行う。
本実施形態によれば、炉心2a又は燃料貯蔵ラック20に装荷又は格納されている燃料集合体3を、燃料取扱装置1の燃料掴み装置11を用いて吊り上げ、上昇させる際に、燃料集合体3がスティック状態で過大な荷重が荷重センサ116で検出されたとき、振動モータ129を回転駆動させて燃料掴み装置11の下端部の掴み具12Aに水平方向の揺動を与えることができる。また、上下方向揺動部122を駆動して掴み具12Aに上下方向の揺動を与えることができる。
掴み具12Aに図9に示すような水平方向の揺動を与えることにより、従来技術のように走行台車8や横行台車10のチョイ移動を繰り返して、マスト111全体を振動させる方法よりもより効果的に、燃料集合体3のハンドル3a1が図9に示すような水平方向の揺動をうけ、燃料集合体3にスティック状態の高さ位置において効果的な歳差運動を生じさせられる。
また、上下方向揺動部122を駆動して掴み具12Aに上下方向の揺動を与えることによって(図5参照)、ハンドル3a1を介して燃料集合体3にスティック状態の高さ位置において効果的な上下方向の揺動を生じさせられる。
この結果、炉心2a又は燃料貯蔵ラック20に装荷又は格納されている燃料集合体3を、燃料取扱装置1の燃料掴み装置11を用いて吊り上げ、上昇させる際に燃料集合体3がスティック状態になった場合に、効果的にスティック状態を解消することができる。
また、本実施形態によれば、燃料取扱装置1で吊り下げた状態の燃料集合体3を、炉心2a又は燃料貯蔵ラック20に装荷又は格納すべき所定の位置に装荷又は格納するために下降させる際に、燃料集合体3がスティック状態で所定値より小さな異常な軽荷重(第2の異常荷重)が荷重センサ116で検出された場合も、燃料取扱装置1の燃料掴み装置11を用いて燃料集合体3を吊り上げ、上昇させる際にスティック状態となった場合と同様に、振動モータ129を回転駆動させて燃料掴み装置11の下端部の掴み具12Aに水平方向の揺動を与えることができるし、又、上下方向揺動部122を駆動して掴み具12Aに上下方向の揺動を与えることができる。
そして、燃料集合体3にスティック状態の高さ位置において効果的な歳差運動を生じさせられる。また、上下方向揺動部122を駆動して掴み具12Aに上下方向の揺動を与えることによって(図5参照)、ハンドル3a1を介して燃料集合体3にスティック状態の高さ位置において効果的な上下方向の揺動を生じさせられる。
この結果、炉心2a又は燃料貯蔵ラック20に装荷又は格納しようと、燃料集合体3を燃料取扱装置1の燃料掴み装置11を用いて吊り下げ、下降させる際に燃料集合体3がスティック状態になった場合に、効果的にスティック状態を解消することができる。
よって、作業員が燃料取扱装置1の横行台車10に搭乗して、操作ポール等を使って、燃料集合体3のスティック状態の解消を行う作業を無くすことができ、作業員の放射線被曝の機会を低減できる。
ちなみに、炉心2aにおける燃料集合体3の取り出し作業や装荷作業における燃料集合体3のスティック状態は、例えば、当該の燃料集合体3のチャンネルボックス3cが、炉心2a内の隣接する燃料集合体3のチャンネルボックス3cや制御棒(図示せず)と強く接触している箇所がある場合に生じる。
また、燃料貯蔵ラック20における燃料集合体3の取り出し作業や格納作業における燃料集合体3のスティック状態は、例えば、当該の燃料集合体3のチャンネルボックス3c(図17参照)の外周面と、燃料貯蔵ラック20の格子15(図15参照)の内周面との間に異物が存在したり、チャンネルボックス3cが外側に異常に膨らんで燃料貯蔵ラック20の格子15の内周面との間で局部的に強く当接していたりする場合に生じる。
なお、本実施形態の図10、図11のフローチャートでは、燃料集合体3に水平方向の揺動を与える動作制御と、燃料集合体3に上下方向の揺動を与える動作制御とを、タイミングを分けて行うこととしたが、これに限定されず、同時に燃料集合体3に水平方向の揺動及び上下方向の揺動を与えても良い。
《変形例》
次に本実施形態の変形例として、図12、図13を参照しながら掴み具12Aのグラップルボディ123内に振動モータ(水平方向揺動手段)129A,129Bを2つ有したものについて説明する。図12(a)は、実施形態の変形例における掴み具の部分断面図、(b)は、(a)におけるE−E矢視断面図である。図13は、図12における掴み具のE−E矢視断面図で示した振動モータを動作させたときの、掴み具の水平方向の揺動運動の説明図であり、(a)は、2つの振動モータが互いに逆方向に同期して回転する説明図、(b)は、2つの振動モータによる水平方向の揺動が強め合う場合の説明図、(c)は、2つの振動モータによる水平方向の揺動が打ち消し合う場合の説明図である。
振動モータ(水平方向揺動手段)129A,129Bは前記した実施形態における振動モータ129と構成は同じであり、重複する説明は省略する。単に、実施形態と本変形例とで、2つの振動モータ129間を識別する便宜のため符号を129A,129Bとしただけである。
本変形例では、振動モータ129A,129Bの二つを有しており、制御装置200は、水平方向の揺動を与えるときに、2つの振動モータ129A,129Bを互いに逆方向に、例えば、偏心した分動129c,129c同士が、グラップルボディ123の横断面における特定の方向のときに同一方向を向くように同期して回転するようにする。そうすると図13に示すように2つの振動モータ129A,129Bの偏心した分銅129cが同一方向(図13(b)参照)に向いて遠心力を発生している場合は、振動モータ1291つの場合よりも大きな水平方向の揺動を発生させることができる。しかし、図13(c)のように2つの振動モータ129A,129Bの分銅129cが互いに反対方向に遠心力を発生している場合は、打ち消しあって水平方向の揺動を発生させることができない。
よって、振動子129c,129cが同一方向に向いたときに、振動モータ129が1つの場合よりもより長い周期で、より大きな揺動を発生させることができる。
ちなみに、振動モータ129A,129Bを同期して互いに反対方向に同期させて回転駆動させることに限定されるものではない。
振動モータ129A,129Cを同一回転方向に、偏心した分銅129c,129cの向きが同一方向になるように同期させて回転させても良い。その場合は、掴み具12Aは、図9に示したような歳差運動をすることになるが、その揺動はより大きくできる。
また、振動モータ129A,129Bを同期して互いに反対方向に同期させて回転駆動させたり、同一回転方向に、偏心した分銅129c,129cの向きが同一方向になるように同期させて回転駆動する必要はなく、例えば、振動モータ129Aと振動モータ129Bの回転速度に差をつけて、周期的に偏心した分銅129c,129c同士が同一方向を向いたり、互いに反対方向に向いたりして、単に水平方向の並行運動の揺動を掴み具12Aに与えるだけでなく、掴み具12Aを捩じるような揺動を与えても良い。
《他の変形例》
実施形態においては、可動ストッパ128の回転駆動をエアモータ128bによるものとしたが、それに限定されるものではない。空気圧によるスイングシリンダで駆動しても良い。つまり、ラック軸を内蔵したエアシリンダと、エアシリンダによるラック軸の直線運動をラック軸のラック歯に噛み合うピニオンギアで揺動運動に変換するスイングシリンダとすると、ラック軸のリミットスイッチによる直線移動範囲がラック歯とピニオンギアを介して回動管128e及びストッパバー128fの180°の回転範囲に容易に設定できる。
また、本実施形態においては、上下方向揺動部122に水圧モータ122bを用い、振動モータ129にエアモータ129aを用いたが、それは、水中で使用する観点から、漏電が無く、長期の運用において信頼性が高い点から選択したものである。しかし、それに限定されるものではない。上下方向揺動部122及び振動モータ129に電動モータを用いても良い。
その場合、例えば、水圧モータ122bやエアモータ129aに代えて、これを電動モータとする場合は、キャンドモータとしたり、ロータの回転軸の軸封部や供給電力線の接続部等を水密構造としたりする必要がある。また、電気絶縁材料には、耐放射線性能の高い材料を用いる必要がある。
1 燃料取扱装置
2 原子炉圧力容器
3 燃料集合体
3a1 ハンドル
3b1 ガイドノーズ
3a 上部タイプレート
3b 下部タイプレート
3c チャンネルボックス
4 燃料貯蔵プール
4a ゲート
5 原子炉ウェルプール
6 オペレーティングフロア
7 走行レール
8 走行台車
9 横行レール
10 横行台車
11 燃料掴み装置(燃料把持部)
12A 掴み具
15 格子
20 使用済燃料貯蔵ラック(燃料貯蔵ラック)
23 支持孔
25 ベース部材
111 マスト(伸縮管)
111a,111b,111c 中空管
113A,113B ウインチ(昇降装置)
114A,114B ワイヤロープ(昇降装置)
115 駆動機構
116 荷重センサ
121A 上部シャフト(棒状体)
121B 下部シャフト(棒状体)
122 上下方向揺動部(棒状体、上下方向揺動手段、揺動手段)
122a 円筒体
122a1 円筒本体部
122a2 接続円盤
122a3 ストッパ円盤
122b 水圧モータ
122c スクリュー軸(スライド機構)
122c1 ネジ部
122c2 棒状部
122d 環状体(スライド機構)
122d1 ナット部
122d2 接続部
122d3 底部
122d4 空所
122f ベアリング部
122g 中空
123 グラップルボディ(筺体)
123a ピン
124A フック
124a 本体部
124b ストッパ回動軸部
124b1,124b2 段差部
125 エアシリンダ
125a ロッド
126 リミッタ
126a 本体部
126b ストッパバー
126c ラッチ係止部
126d プッシュロッド
127A,127B リミットバルブ
127a バルブ作動ピン
128 可動ストッパ
128a 筺体
128b エアモータ(ストッパ駆動機構)
128c ピニオンギア(ストッパ駆動機構)
128d 被駆動ギア(ストッパ駆動機構)
128e 回動管(ストッパ駆動機構)
128f ストッパバー(ストッパ)
129,129A,129B 振動モータ(水平方向揺動手段、揺動手段)
129a エアモータ(モータ)
129b シャフト
129c 分銅
129d ホルダケース
200 制御装置(制御手段)

Claims (2)

  1. 原子炉の燃料集合体の交換作業を行うために、所定の方向に水平走行する走行台車、該走行台車上でその走行台車の走行方向と直角方向に水平走行する横行台車、及び該横行台車に取り付けられた燃料把持部を備え、
    前記燃料把持部は、伸縮自在に形成された多重かつ同軸の伸縮管と、前記燃料集合体をフックで把持したり、その把持を開放したりすることができるように形成された掴み具と、該掴み具を懸垂支持し、昇降動させる昇降装置を含んでいる燃料取扱装置において、
    前記掴み具は、上下方向の揺動を与える上下方向揺動手段及び水平方向の揺動を与える水平方向揺動手段のうちの少なくとも前記上下方向揺動手段を含む揺動手段を有し、
    前記昇降装置が、前記掴み具のフックで前記燃料集合体を把持して、炉心から又は燃料貯蔵ラックからの吊り上げ作業時において、所定値より大きな荷重を検出した場合は、前記揺動手段を動作させて、把持中の前記燃料集合体を少なくとも上下方向及び水平方向のうちのいずれかの方向に揺動させる制御手段を有しており、
    前記掴み具は、その上部に接続された棒状体を介して前記昇降装置により懸垂支持されており、
    前記棒状体に上下方向のスライド機構で構成された前記上下方向揺動手段が組み込まれており、
    前記掴み具のフックは、該フックから把持された前記燃料集合体のハンドルが飛び上がるのを抑制するストッパを、前記燃料集合体のハンドルの上面側に設定するストッパ駆動機構を有しており、
    前記制御手段は、前記フックで把持された前記燃料集合体に上下方向の揺動を効率的に伝えるために、少なくとも前記上下方向揺動手段の動作時には、前記ストッパ駆動機構を動作制御して前記ストッパを前記燃料集合体のハンドルの上面側に設定するようになっており、
    前記水平方向揺動手段は、モータと、前記モータの回転軸の端部に偏心固定された分銅と、前記モータ及び前記分銅を包囲する金属製のホルダケースとを有し、
    前記ホルダケースは、前記フックからの荷重を受ける前記掴み具の筺体に水平方向の揺動を伝えるように固定されていることを特徴とする燃料取扱装置。
  2. 原子炉の燃料集合体の交換作業を行うために、所定の方向に水平走行する走行台車、該走行台車上でその走行台車の走行方向と直角方向に水平走行する横行台車、及び該横行台車に取り付けられた燃料把持部を備え、
    前記燃料把持部は、伸縮自在に形成された多重かつ同軸の伸縮管と、前記燃料集合体をフックで把持したり、その把持を開放したりすることができるように形成された掴み具と、該掴み具を懸垂支持し、昇降動させる昇降装置を含んでいる燃料取扱装置において、
    前記掴み具は、上下方向の揺動を与える上下方向揺動手段及び水平方向の揺動を与える水平方向揺動手段のうちの少なくとも前記水平方向揺動手段を含む揺動手段を有し、
    前記昇降装置が、前記掴み具のフックで前記燃料集合体を把持して、炉心から又は燃料貯蔵ラックからの吊り上げ作業時において、所定値より大きな荷重を検出した場合は、前記揺動手段を動作させて、把持中の前記燃料集合体を少なくとも上下方向及び水平方向のうちのいずれかの方向に揺動させる制御手段を有しており、
    前記水平方向揺動手段は、モータと、前記モータの回転軸の端部に偏心固定された分銅と、前記モータ及び前記分銅を包囲する金属製のホルダケースとを有し、
    前記ホルダケースは、前記フックからの荷重を受ける前記掴み具の筺体に水平方向の揺動を伝えるように固定されていることを特徴とする記載の燃料取扱装置。
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