JP5984503B2 - トラクタの排気装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンからの排気を流通させる第1排気路と、外気を導入する外気導入部と、前記第1排気路を流通した排気と前記外気導入部から導入された外気とを混合して外部に排気する第2排気路とを備えているトラクタの排気装置に関する。
上記のような排気装置は、第1排気路を流通した排気に外気導入部から導入した外気を混合させることで、排気温度を低下させており、その温度低下された排気を第2排気路にて外部に排気するようにしている。
従来の排気装置では、第1排気路と第2排気路がともに、流体を流通自在な流通管にて構成されており、その流通管の内径を第2排気路の方が第1排気路よりも大径になるようにしている。そして、排気の流通方向において、第1排気路の下流側端部が第2排気路の上流側端部よりも下流側となるようにして、第1排気路を内側に、第2排気路を外側とする二重管構造としている(例えば、特許文献1参照。)。
この特許文献1に記載の排気装置では、第2排気路の上流側端部において、第1排気路の外周部と第2排気路の内周部との間に形成された開口を外気導入部としており、第1排気路を流通した排気が第2排気路に流入することで、その流入に伴うエジェクタ効果により、外気導入部から外気を導入している。外気導入部から導入された外気は、二重管構造において、第1排気路の外周部と第2排気路の内周部との間に形成された間隙を流通し、その後、第2排気路を流通する排気に混合されている。
実公平2−47215号公報
上記特許文献1に記載の排気装置では、外気導入部から導入された外気が、二重管構造において、第1排気路の外周部と第2排気路の内周部との間に形成された間隙を流通しているので、その外気は、第1排気路の外周部の周囲を流通する間に第1排気路を流通する排気によって加熱される。したがって、その加熱により温度上昇した外気が、その後、排気に混合されることになり、排気温度を効果的に低下させることができない虞があった。
また、上記特許文献1に記載の如く、二重管構造を採用するものでは、外気導入部から外気を導入するに当たり、内側に位置する第1排気路等が抵抗となって、外気導入部から十分な流量の外気を導入させ難く、この点からも、排気温度を効果的に低下させることができない虞があった。
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、排気温度を効果的に低下させると共に排気路の組付けを容易にすることができるトラクタの排気装置を提供する点にある。
この目的を達成するために、本発明に係るトラクタの排気装置の特徴構成は、エンジンからの排気を流通させる第1排気路と、外気を導入する外気導入部と、前記第1排気路を流通した排気と前記外気導入部から導入された外気とを混合して外部に排気する第2排気路とを備えているトラクタの排気装置において、
前記第1排気路と前記第2排気路とは、前記第1排気路の下流側端部及び前記第2排気路が前後に延びる状態で配設され、
前記第2排気路の流路断面積は、前記第1排気路よりも大きくなるように構成され、
前記第1排気路と前記第2排気路との排気の流通方向での位置関係が、前記第1排気路の下流側端部における外周部と前記第2排気路の上流側端部における内周部との間が外部に開放された状態で、前記第1排気路の下流側端部と前記第2排気路の上流側端部とが同一位置となるように、又は、前記第1排気路の下流側端部と前記第2排気路の上流側端部との間に隙間を形成するように、前記第1排気路及び前記第2排気路が備えられ、
前記外気導入部は、前記第1排気路の下流側端部における外周部と前記第2排気路の上流側端部における内周部との間に形成される間隙にて構成され
前記エンジンを覆うエンジンボンネットの下方に、前記第1排気路の下流側端部及び前記第2排気路が配置されている点にある。
本特徴構成によれば、排気の流通方向において、第1排気路の下流側端部と第2排気路の上流側端部とを同一位置とする、又は、第1排気路の下流側端部と第2排気路の上流側端部との間に隙間を形成しているので、第2排気路の上流側端部では、第1排気路の下流側端部の外周部と第2排気路の上流側端部の内周部との間に間隙が形成され、その間隙を外気導入部として構成することができる。
外気導入部から導入される外気は、第1排気路の外周部の周囲を流通することなく、直接、第2排気路に流入することになる。これにより、外気導入部から導入される外気は、第1排気路を流通する排気により加熱されることを抑制しながら、第2排気路に流通する排気に混合されるので、排気温度を効果的に低下させることができる。
しかも、排気の流通方向において、第1排気路の下流側端部と第2排気路の上流側端部とを同一位置とする、又は、第1排気路の下流側端部と第2排気路の上流側端部との間に隙間を形成しているので、第2排気路の内側に第1排気路が位置せず、それが抵抗となることもなく、外気導入部から十分な流量の外気を導入させ易くなり、この点からも、排気温度を効果的に低下させることができる。
また、第1排気路端に第2排気路を取り付けるに当たって、第2排気路の内部に第1排気路を挿入させるように排気路間の遠近方向への移動を必要とせず少ない空間で組み付けることができ、排気路の組付けを容易に行うことができる。
本発明に係るトラクタの排気装置の更なる特徴構成は、前記第1排気路の下流側端部と前記第2排気路の上流側端部との間に隙間を形成するように、前記第1排気路及び前記第2排気路が備えられ
記第2排気路が前記第1排気路に対して機体前後方向における前側に配置されている点にある。
本発明に係るトラクタの排気装置の更なる特徴構成は、前記第1排気路と前記第2排気路とは、前記第1排気路の下流側端部における外周部と前記第2排気路の上流側端部における内周部との間にその周方向の全周に亘って前記外気導入部を形成するように配設されている点にある。
本特徴構成によれば、外気導入部は、第1排気路の下流側端部における外周部と第2排気路の上流側端部における内周部との間において、その周方向の全周に亘って、外気を導入することができる。これにより、その周方向の全周から外気を均一に導入できるとともに、より多くの外気を導入させ易くなり、外気導入部からの導入流量として十分な量を確保し易くなる。
本発明に係るトラクタの排気装置の更なる特徴構成は、前記第1排気路を支持する第1支持体と前記第2排気路を支持する第2支持体とは各別に備えられている点にある。
本特徴構成によれば、第1支持体と第2支持体とを各別に備えているので、第1排気路と第2排気路とを接続する部材を備えなくても、第1排気路及び第2排気路の両者を適切な位置関係に配置することができる。よって、第1排気路と第2排気路とを接続する部材が外気導入部から外気を導入する際の抵抗となることもなく、外気導入部からの導入流量として十分な量を確保し易くなる。また、第1排気路と第2排気路の支持体が各別に備えられているので、例えば、第2支持体にてエンジンや排気浄化処理装置(DPF)から離間させて第2排気路を支持することができ、このように支持することで、エンジンから排気浄化処理装置(DPF)を通じて伝わる振動も第2排気路に伝わる事を防ぐことができる。
本発明に係るトラクタの排気装置の更なる特徴構成は、前記外気導入部の断面積は、前記第1排気路の流路断面積に対して、前記外気導入部からの導入流量を前記第1排気路での排気流量以上とする設定倍数以上となるように構成されている点にある。
本特徴構成によれば、第1排気路の流路断面積に対して、外気導入部の断面積を設定倍数以上とすることで、外気導入部からの導入流量を第1排気路での排気流量以上とすることができる。これにより、第2排気路では、第1排気路を流通した排気に対して、その排気流量以上の流量の外気を混合させることができるので、排気温度の低下を効果的に図ることができる。
トラクタの側面図 エンジンルーム内を示す縦断面図 エンジンルーム内を示す斜視図 排気装置の要部を示す図 第2実施形態における排気装置の要部を示す図 第1排気路と第2排気路との排気の流通方向での位置関係と、第2排気路の長さと、第1排気路での排気流量に対する外気導入部からの外気導入流量の比率との関係を示す実験結果 第1排気路と第2排気路との排気の流通方向での位置関係と、排気流量に対する外気導入流量の比率との関係を示す実験結果 第1排気路の流路断面積と、第2排気路の流路断面積と、第1排気路での排気流量に対する外気導入部からの外気導入流量の比率との関係を示す実験結果 第1排気路の流路断面積と、第2排気路の流路断面積と、排気温度との関係を示す実験結果 第1排気路の流路断面積に対する外気導入部の断面積の比率である面積比と、排気流量に対する外気導入流量の比率との関係を示す実験結果
本発明に係るトラクタの排気装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明に係るトラクタの排気装置を適用したトラクタの一例であるキャビン付きトラクタの全体側面を示している。
このトラクタは、車体前部に位置する原動部1と、車体後部に位置する運転キャビン2とを備えており、エンジン搭載フレーム3、クラッチハウジング(図外)、及びミッションケース4を一体的に連結して車体フレーム5を構成している。そして、車体フレーム5に原動部1と運転キャビン2とを搭載しており、車体フレーム5が左右一対の前輪6及び後輪7にて支持されている。
原動部1には、図2に示すように、エンジンボンネット8で覆われたエンジンルーム内において、エンジン搭載フレーム3上に、防振材(図外)で防振支持されたディーゼルエンジンを採用したエンジン9が設けられている。図2は、エンジンルーム内を示す縦断面図である。このエンジン9からの動力を、フレーム兼用のミッションケース4に内装した走行用の変速装置(図示せず)等からなる走行伝動系を介して前輪6及び後輪7に伝達するように構成して、四輪駆動型のトラクタが構成されている。
ミッションケース4の後部には、その後上部に内装した油圧式の昇降シリンダ(図示せず)の作動で上下方向に揺動駆動される左右一対のリフトアーム10や、エンジン動力の外部への取り出しを可能にする動力取出軸11等が備えられている。動力取出軸11には、ミッションケース4に内装した走行伝動系とは別系統の作業用の変速装置(図示せず)や作業クラッチ(図示せず)等からなる作業伝動系を介して、エンジン9からの動力が伝達されている。そして、左右のリフトアーム10には、ミッションケース4の後部に昇降揺動可能に連結装備されるリンク機構(図示せず)が連結され、動力取出軸11には、そのリンク機構に連結されるロータリ耕耘装置などの作業装置(図示せず)に対して動力を伝えるための伝動軸等が接続される。
運転キャビン2は、前後左右の四隅に立設したキャビンフレーム12に屋根材13を支持させ、前側に透明の曲面ガラス等からなる前面ガラス14を備えるとともに、左右側部に透明ガラスで構成された外開き式の左右一対のドアパネル15を備えて矩形箱状に形成されている。そして、運転キャビン2の内部には、ステアリングホイール16や運転座席17等が備えられている。
図2に示すように、原動部1では、エンジンルーム内において、エンジン9の車体前方側にバッテリー18とエンジン冷却用のラジエータ19とが備えられ、エンジン9の車体後方側に燃料タンク20が備えられている。また、エンジンルーム内には、エンジン用のエアクリーナ(図示せず)や、DOC(ディーゼル酸化触媒)やDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)等を収容したマフラ機能付きの排気浄化処理装置21が備えられている。
排気浄化処理装置21は、図2及び図3に示すように、エンジン搭載フレーム3から上方側に延設された門型の支持体22によりエンジン9の上方側に支持されている。図3は、エンジンルーム内を示す斜視図である。排気浄化処理装置21は、エンジン9からの排気中に含まれる微粒状物質をDPFで捕捉し、排気中の未燃燃料をDOCで酸化燃焼させて排気温度を上げることによりDPFに捕捉された微粒状物質を焼却してDPFの再生を行うように構成されている。
エンジン9からの排気は、排気浄化処理装置21にて処理され、その処理後の排気が排気装置23によって外部に排気されるように構成されている。排気装置23は、図3及び図4に示すように、エンジン9からの排気H(排気浄化処理装置21にて処理後の排気)を流通させる第1排気路24と、外気を導入する外気導入部25と、第1排気路24を流通した排気Hと外気導入部25から導入された外気Gとを混合してその混合気Kを外部に排気する第2排気路26とを備えている。
第1排気路24及び第2排気路26は、ともに流体を流通自在な流通管にて構成されている。第2排気路26の流路断面積は、第1排気路24よりも大きくなるように構成されている。そして、第1排気路24と第2排気路26との排気の流通方向での位置関係が、第1排気路24の下流側端部24bと第2排気路26の上流側端部26aとの間に隙間S(例えば、0〜30mm程度)を形成するように、第1排気路24及び第2排気路26が備えられている。外気導入部25は、第1排気路24の下流側端部24bにおける外周部と第2排気路26の上流側端部24aにおける内周部との間に形成される間隙Tにて構成されている。
第1排気路24は、その上流側端部24aが排気浄化処理装置21に接続されており、エンジン9の上方側から車体前方の下方側に向けて延び、その下流側端部24bがエンジン搭載フレーム3よりも横外側に位置するように配設されている。第1排気路24の下流側端部24bは、図4(b)に示すように、その断面形状が、円形ではなく、その横側部を内方側に押圧させた縦長の扁平形状に形成されている。また、第2排気路26もその断面形状は円形ではなく、第1排気路24の下流側端部を囲うような形状であればよい。第1排気路24の下流側部位が第1支持体27にて支持されており、第1支持体27は、第1板状部材27aと第2板状部材27bとから構成されている。第1板状部材27aは、エンジン搭載フレーム3の横側部に接続されて車体前後方向に延びるように備えられている。第2板状部材27bは、その基端部が第1板状部材27aにボルト連結されて車体横幅方向の外側に延び、その先端部が第1排気路24に接続されている。
第2排気路26は、エンジン搭載フレーム3の横外側において、車体前方側ほど外側となるように車体前方側に延びるように配設されている。第2排気路26の中間部位が第2支持体28にて支持されており、第2支持体28は、第3板状部材28aと第4板状部材28bとから構成されている。第3板状部材28aは、その基端部がバッテリー18を載置支持する板状の載置支持体29に接続されており、下方側に延びるように備えられている。第4板状部材28bは、上下方向に沿う姿勢で備えられており、その上端部が第3板状部材28aにボルト連結され、その下端部が第2排気路26に接続されている。
このようにして、第1排気路24を支持する第1支持体27と第2排気路26を支持する第2支持体28とは各別に備えられている。また、第1支持体27が接続される部材がエンジン搭載フレーム3であり、第2支持体28が接続される部材が載置支持体29であり、第1支持体27が接続される部材と第2支持体28が接続される部材が異なる部材となるように構成されている。
排気装置23における排気Hと外気Gの流れについて説明する。
第1排気路24を流通した排気Hの第2排気路26への流入によるエジェクタ効果により、外気導入部25から外気Gを第2排気路26へ流入させるようにしている。そして、第1排気路24の下流側端部24bと第2排気路26の上流側端部26aとの間に隙間Sを形成しているので、その隙間Sをも通して外気Gが導入され、十分な流量の外気Gを外気導入部25から導入することができる。そして、外気導入部25から導入された外気Gは、そのまま直接第2排気路26に導入されるので、第1排気路24を流通する排気Hにて加熱されることなく、第2排気路26において第1排気路24を流通した排気Hに混合される。これにより、第2排気路26において、十分な流量で低温の外気Gを排気Hに混合させることができるので、その混合気Kの温度を十分に低下させることができ、外部への排気温度の低下を効果的に図ることができる。
また、第1排気路24及び第2排気路26はともに流通管にて構成されており、第1排気路24の流路断面の中央部と第2排気路26の流路断面の中央部とが同一位置となるように、第1排気路24及び第2排気路26が備えられている。これにより、第1排気路24の下流側端部24bにおける外周部と第2排気路26の上流側端部24aにおける内周部との間にその周方向の全周に亘って間隙Tが形成されており、その間隙Tが外気導入部25として構成されている。よって、外気導入部25は、第1排気路24の下流側端部24bにおける外周部の周方向の全周に亘って外気Gを導入することができ、十分な外気Gの導入流量を確保することができる。
〔第2実施形態〕
上記第1実施形態では、第1排気路24と第2排気路26との排気の流通方向での位置関係について、第1排気路24の下流側端部24bと第2排気路26の上流側端部26aとの間に隙間Sを形成するように、第1排気路24及び第2排気路26を備えている。これに代えて、図5に示すように、第1排気路24の下流側端部24bと第2排気路26の上流側端部26aとが同一位置になるように、第1排気路24及び第2排気路26を備えることもできる。
〔実験結果〕
以下、上記第1及び第2実施形態における排気装置23について、その効果を検証するための実験を行ったので、その実験結果に基づいて説明する。
まず、図6に示すように、第1排気路24と第2排気路26との排気の流通方向での位置関係(A1〜A4)、及び、第2排気路26の長さ(X1〜X3)を変化させた場合に、第1排気路24での排気流量に対する外気導入部25からの外気導入流量の比率Rがどのように変化するかの実験を行った。図6では、第2排気路26の長さを横軸に取り、排気流量に対する外気導入流量の比率Rを縦軸に取っている。
第1排気路24と第2排気路26との排気の流通方向での位置関係について、A1では、第1排気路24の下流側端部24bと第2排気路26の上流側端部26aとの間に隙間Sを形成している。このA1が上記第1実施形態に相当する。A2では、第1排気路24の下流側端部24bと第2排気路26の上流側端部26aとを同一位置としている。このA2が上記第2実施形態に相当する。A3、A4は比較例であり、A3では、第2排気路26の上流側端部26aを第1排気路24の下流側端部24bよりも上流側として、第1排気路24と第2排気路26との二重管構造となる部位が生じるようにしている。A4では、A3と同様に、第1排気路24と第2排気路26との二重管構造となる部位が生じるようにしており、その二重管構造となる部位の長さがA3よりも長くなるようにしている。
また、第2排気路26の長さについては、X1<X2<X3の関係となるようにしている。
図6では、排気流量に対する外気導入流量の比率Rが大きくなるほど、外気導入流量が増大することになる。よって、第1排気路24と第2排気路26との排気の流通方向での位置関係については、第1排気路24と第2排気路26との二重管構造となる部位が生じるように配置する場合(A3、A4)よりも、第1排気路24の下流側端部24bと第2排気路26の上流側端部26aとを同一位置とする場合(A2)、及び、第1排気路24の下流側端部24bと第2排気路26の上流側端部26aとの間に隙間Sを形成する場合(A1)の方が、外気導入流量が増大する。
また、第2排気路26の長さが長くなる程、外気導入流量が増大する。
ここで、図7に示すように、第1排気路24と第2排気路26との排気の流通方向での位置関係(A1〜A4)を横軸に取り、排気流量に対する外気導入流量の比率Rを縦軸に取る。すると、第1排気路24と第2排気路26との二重管構造とするよりも、第1排気路24の下流側端部24bと第2排気路26の上流側端部26aとを同一位置とする、又は、第1排気路24の下流側端部24bと第2排気路26の上流側端部26aとの間に隙間Sを形成する方が、外気導入流量が増大することが分かる。これにより、第1排気路24の下流側端部24bと第2排気路26の上流側端部26aとを同一位置とする(第2実施形態)、又は、第1排気路24の下流側端部24bと第2排気路26の上流側端部26aとの間に隙間Sを形成する(第1実施形態)場合には、外気導入流量として十分な量を確保することができ、排気温度の低下を効果的に図ることができる。また、上記第1及び第2実施形態において、第2排気路26の長さを極力長くすることで、外気導入流量の増大を図ることができる。
ちなみに、上述のように、第1排気路と第2排気路との排気の流通方向での位置関係と、第2排気路の長さと、第1排気路での排気流量に対する外気導入部からの外気導入流量の比率との関係については、排気浄化処理装置21からの排気の風速を変えても、同様の傾向を示すことを実験にて確認している。
また、別の実験として、第1排気路24の流路断面積(d1、d2)と第2排気路26の流路断面積(D1、D2)を変化させた場合に、第1排気路24での排気流量に対する外気導入部25からの外気導入流量の比率Rがどのように変化するか、及び、第2排気路26の流路断面の中央部での排気温度がどのように変化するかの実験を行った。第1排気路24の流路断面積については、d1<d2とし、第2排気路26の流路断面積については、D1<D2としている。
図8では、第1排気路24の流路断面積を横軸に取り、排気流量に対する外気導入流量の比率Rを縦軸に取っている。図9では、第1排気路24の流路断面積を横軸に取り、第2排気路26の流路断面の中央部での排気温度を縦軸に取っている。
図8及び図9に示すように、第1排気路24の流路断面積を小さく(d1)、且つ、第2排気路26の流路断面積を大きく(D2)した場合に、排気流量に対する外気導入流量の比率Rが増大して、十分な外気導入流量を確保することができ、排気温度も十分に低下している。これにより、外気導入部25の断面積を大きくする程、外気導入流量の増大を図ることができ、排気温度を効果的に低下させることができると考えられる。
ここで、図10に示すように、第1排気路24の流路断面積に対する外気導入部25の断面積の比率を面積比Pとし、その面積比Pを横軸に取り、排気流量に対する外気導入流量の比率Rを縦軸に取ると、面積比Pが大きくなるほど、排気流量に対する外気導入流量の比率Rが増大することが分かる。
排気流量に対する外気導入流量の比率R=1の場合に、排気流量と外気導入流量とが同量となり、排気温度を十分に低下させることができると考えられるので、面積比Pとしては、排気流量に対する外気導入流量の比率Rが1以上となる面積比とすることが好適である。そこで、上記第1及び第2実施形態では、外気導入部25の断面積は、第1排気路24の流路断面積に対して、外気導入部25からの導入流量を第1排気路24での排気流量以上とする設定倍数(例えば、3倍)以上となるように構成している。
〔別実施形態〕
上記第1及び第2実施形態において、第1排気路24及び第2排気路26の形状については、各種の形状が適応可能であり、例えば、角パイプにて第1排気路24及び第2排気路26を構成することもできる。
本発明は、エンジンからの排気を流通させる第1排気路と、外気を導入する外気導入部と、前記第1排気路を流通した排気と前記外気導入部から導入された外気とを混合して外部に排気する第2排気路とを備え、排気温度を効果的に低下させることができるトラクタの各種の排気装置に適応することができる。
8 エンジンボンネット
9 エンジン
23 排気装置
24 第1排気路
24b 第1排気路の下流側端部
25 外部導入部
26 第2排気路
26a 第2排気路の上流側端部
27 第1支持体
28 第2支持体
S 隙間
T 間隙

Claims (5)

  1. エンジンからの排気を流通させる第1排気路と、外気を導入する外気導入部と、前記第1排気路を流通した排気と前記外気導入部から導入された外気とを混合して外部に排気する第2排気路とを備えているトラクタの排気装置であって、
    前記第1排気路と前記第2排気路とは、前記第1排気路の下流側端部及び前記第2排気路が前後に延びる状態で配設され、
    前記第2排気路の流路断面積は、前記第1排気路よりも大きくなるように構成され、
    前記第1排気路と前記第2排気路との排気の流通方向での位置関係が、前記第1排気路の下流側端部における外周部と前記第2排気路の上流側端部における内周部との間が外部に開放された状態で、前記第1排気路の下流側端部と前記第2排気路の上流側端部とが同一位置となるように、又は、前記第1排気路の下流側端部と前記第2排気路の上流側端部との間に隙間を形成するように、前記第1排気路及び前記第2排気路が備えられ、
    前記外気導入部は、前記第1排気路の下流側端部における外周部と前記第2排気路の上流側端部における内周部との間に形成される間隙にて構成され
    前記エンジンを覆うエンジンボンネットの下方に、前記第1排気路の下流側端部及び前記第2排気路が配置されているトラクタの排気装置。
  2. 前記第1排気路の下流側端部と前記第2排気路の上流側端部との間に隙間を形成するように、前記第1排気路及び前記第2排気路が備えられ
    記第2排気路が前記第1排気路に対して機体前後方向における前側に配置されている請求項1に記載のトラクタの排気装置。
  3. 前記第1排気路と前記第2排気路とは、前記第1排気路の下流側端部における外周部と前記第2排気路の上流側端部における内周部との間にその周方向の全周に亘って前記外気導入部を形成するように配設されている請求項1又は2に記載のトラクタの排気装置。
  4. 前記第1排気路を支持する第1支持体と前記第2排気路を支持する第2支持体とは各別に備えられている請求項1〜3の何れか1項に記載のトラクタの排気装置。
  5. 前記外気導入部の断面積は、前記第1排気路の流路断面積に対して、前記外気導入部からの導入流量を前記第1排気路での排気流量以上とする設定倍数以上となるように構成されている請求項1〜4の何れか1項に記載のトラクタの排気装置。
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