JP5984320B2 - ホリナートカルシウム含有フィルムコーティング錠 - Google Patents
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Description
先ず、フィルムコーティングを施した固形医薬組成物でのみホリナート由来の構造未知の分解生成物が増加した原因を追究した。その結果、曝光による黄色化の抑制のために添加していた酸化チタン(遮光剤)を除去したフィルムコーティングではホリナートの分解物が生成されないことが分かり、その分解物は酸化チタンを触媒としたホリナートの特異的な光分解により生成するものであることを見出した。しかしながら、酸化チタンを除去したフィルムコーティングでは着色の抑制が充分ではなかった。そこで、ホリナートカルシウムを含有する素錠に、第1層としてポリビニルアルコール系ポリマーとタルクを含有するフィルムをコーティングし、更にその上に第2層として、水溶性ポリマーとタルクと酸化チタンを含有するフィルムをコーティングすることにより、光に対して安定でレーザー印刷を可能とした錠剤が得られることを見出し、さらに検討を加え、本発明を完成するに至った。
(1)ホリナートカルシウムを素錠中に含有するフィルムコーティング錠剤であって、フィルムコーティング層中に遮光剤が含有されている錠剤、
(2)フィルムコーティング層中に水溶性ポリマーを含有し、水溶性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール共重合体、ポリビニルピロリドン、メタクリル酸コポリマーより選ばれる1以上である、前記(1)に記載のフィルムコーティング錠、
(3)水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコール又はポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体より選ばれる1以上を含む、前記(2)に記載のフィルムコーティング錠、
(4)水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を含む、前記(2)に記載のフィルムコーティング錠、
(5)遮光剤が、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄より選ばれる1以上を含む、前記(1)〜(4)のいずれかに記載のフィルムコーティング錠、
(6)遮光剤が、酸化チタンを含む、前記(1)〜(4)のいずれかに記載のフィルムコーティング錠、
(7)ホリナートカルシウムを含有する素錠に、第1層として水溶性ポリマーとタルクを含有するフィルムをコーティングし、その上に第2層として水溶性ポリマーとタルクと酸化チタンを含有するフィルムをコーティングした、前記(1)〜(6)のいずれかに記載のフィルムコーティング錠、
(8)第1層のフィルムの水溶性ポリマーがポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体である、前記(7)に記載のフィルムコーティング錠、
(9)第2層のフィルムの水溶性ポリマーがヒプロメロースである、前記(7)又は(8)に記載のフィルムコーティング錠、
(10)第1層のフィルムのコーティング量が素錠重量に対して1.5〜2重量%であり、第2層のフィルムのコーティング量が素錠重量に対して1.5〜2重量%である、前記(7)〜(9)のいずれかに記載のフィルムコーティング錠、
(11)第2層のフィルム中の酸化チタンの量が、第2層のフィルム重量に対して2.5〜10重量%である、前記(7)〜(10)のいずれかに記載のフィルムコーティング錠、を提供するものである。
本発明のフィルムコーティングを施す前の錠剤は、例えば、素錠、チュアブル錠などが挙げられ、好ましくは素錠であり、素錠にフィルムコーティングを施してフィルムコーティング錠とすることが出来る。
本発明の第1層のコーティング層で用いられる水溶性ポリマーであるコーティング剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール共重合体、ポリビニルピロリドン、メタクリル酸コポリマー等が挙げられる。好ましくは、ポリビニルアルコール又はポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体等のポリビニルアルコール系ポリマーであり、さらに好ましくはポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体である。
そのコーティング剤の使用量は、通常、本発明に係る第1層のコーティング層の全量に対して35〜90重量%の範囲が好ましい。
その可塑剤の使用量は、通常、本発明に係る第1層のコーティング層の全量に対して5〜15重量%の範囲が好ましい。
本発明に係る第2層のコーティング層には、遮光剤のほか、水溶性ポリマーであるコーティング剤とタルクを含有する。必要に応じて、可塑剤、着色剤を含有することができる。
本発明の第2層のコーティング層で用いられる水溶性ポリマーであるコーティング剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール共重合体、ポリビニルピロリドン、メタクリル酸コポリマー等が挙げられる。好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
そのコーティング剤の使用量は、通常、本発明に係る第2層のコーティング層の全量に対して25〜87.5重量%の範囲が好ましい。
その可塑剤の使用量は、通常、本発明に係る第2層のコーティング層の全量に対して5〜15重量%の範囲が好ましい。
本発明のコーティング層で用いられる遮光剤(タルク除く)の使用量は、通常、本発明に係る素錠の全量に対して0.01〜2重量%の範囲が好ましい。また、酸化チタンの使用量は、通常、本発明に係るコーティング層の全量に対して2.5〜10重量%の範囲がより好ましい。但し、本発明の第1層目のコーティング層には酸化チタンが含有されないことが好ましい。
ホリナートカルシウム及び添加剤[賦形剤(乳糖及び結晶セルロース)及び崩壊剤(部分アルファ化デンプン)等]を混合し、得られた混合物に、添加剤[滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)等]を混合して、圧縮成型することで素錠を得ることができる。
また、ホリナートカルシウム及び添加剤[賦形剤(乳糖及び結晶セルロース)及び崩壊剤(部分アルファ化デンプン)等]を混合し、得られた混合物を、精製水で造粒し、乾燥する。得られたホリナートカルシウム含有造粒物に、添加剤[滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)等]を混合して、圧縮成型することで素錠を得ることもできる。ホリナートカルシウムを含有する得られた素錠は、曝光による黄色化抑制等の目的でその表面の一部または全部を水溶性ポリマー等のコーティング剤で被覆してもよい。
光照射(ナガノサイエンス株式会社製:光安定性試験装置LTL−200D3CJ−14、色比較・検査用D65蛍光ランプ使用、照射強度3000lxを400時間、総照射量120万lx・hr)後、分光式色差計(日本電飾工業株式会社製:SE6000型)を用いて、曝光前後の錠剤表面の色調変化をΔE*(CIE L*a*b*)で数値化できる。
光照射(ナガノサイエンス株式会社製:光安定性試験装置LTL−200D3CJ−14、色比較・検査用D65蛍光ランプ使用、照射強度3000lxを400時間、総照射量120万lx・hr)後、HPLCを用いて曝光前後の分解生成物の含量を測定できる。測定条件を以下に示す。
検出器:フォトダイオードアレイ検出器
測定波長:254nm
カラム:ワイエムシィ株式会社製 YMC−Pack Triart C18(4.6×150、3μm)
カラム温度:45℃
移動相A:リン酸水素二ナトリウム十二水和物溶液(287→100000)/メタノール/テトラブチルアンモニウムヒドロキシド試液混液(385:110:4)にリン酸を加えてpH7.0に調整した液
移動相B:メタノール
グラジエント条件:以下の表1に示す通りに設定した。移動相組成は容量%で記載した。
流量:1.2mL/分
試料注入量:20μL
試料溶液の調整:ホリナートカルシウム25mg相当のホリナートカルシウム含有固形医薬組成物を精製水・メタノール混液(精製水80:メタノール20)を用いて40mLとする。
ホリナートカルシウム64.06g、乳糖水和物(ダイラクトーズS)161.94g、結晶セルロース(UF−702)48g及び部分アルファ化デンプン42gをポリエチレン製の袋に投入し、混合した。次いで、この混合物にステアリン酸マグネシウム4gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所:VELA5−M型)を用いて直径8mmに圧縮成形し、下記組成の素錠を得た(表3)。
ホリナートカルシウム64.06g、乳糖水和物(ダイラクトーズS)161.94g、結晶セルロース(UF−702)48g及び部分アルファ化デンプン42gをポリエチレン製の袋に投入し、混合した。次いで、この混合物にステアリン酸マグネシウム4gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所:VELA5−M型)を用いて直径8mmに圧縮成形し、素錠を得た。次いで、得られた素錠をコーティング機(パウレック社製:DRC−200型)に投入し、ヒプロメロース41.7g、マクロゴール7.6g、及びタルク22.7gを精製水647gに懸濁したコーティング液を噴霧し、第1層目のフィルムをコーティングした。次いで、第1層目のフィルムをコーティングした錠剤をコーティング機(パウレック社製:DRC−200型)に投入し、ヒプロメロース39.6g、マクロゴール7.2g、酸化チタン3.6g及びタルク21.6gを精製水633.1gに懸濁したコーティング液を噴霧し、下記組成のコーティング錠剤を得た(表4)。
ホリナートカルシウム65.06g、乳糖水和物(ファーマトース200M)208.54g、結晶セルロース(PH−101)54g、部分アルファ化デンプン10.8g及びデンプングリコール酸ナトリウム18gを撹拌造粒機(パウレック社製:バーチカルグラニュレータFM−VG−01型)に投入し、粉体を撹拌させながら、精製水80gを投入し、造粒した。得られた造粒物を流動層造粒機(パウレック社製:MP−01型)にて乾燥し、整粒機(パウレック社製:QC−197S型)にて整流した。得られた整粒品356.4gにステアリン酸マグネシウム3.6gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物にステアリン酸マグネシウム4gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所:VELA5−M型)を用いて直径8mmに圧縮成形し、下記組成の素錠を得た(表5)。
ホリナートカルシウム65.06g、乳糖水和物(ファーマトース200M)208.54g、結晶セルロース(PH−101)54g、部分アルファ化デンプン10.8g及びデンプングリコール酸ナトリウム18gを撹拌造粒機(パウレック社製:バーチカルグラニュレータFM−VG−01型)に投入し、粉体を撹拌させながら、精製水80gを投入し、造粒した。得られた造粒物を流動層造粒機(パウレック社製:MP−01型)にて乾燥し、整粒機(パウレック社製:QC−197S型)にて整流した。得られた整粒品356.4gにステアリン酸マグネシウム3.6gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物にステアリン酸マグネシウム4gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所:VELA5−M型)を用いて直径8mmに圧縮成形し、素錠を得た。次いで、得られた素錠をコーティング機(パウレック社製:DRC−200型)に投入し、ヒプロメロース22.56g、マクロゴール2.4g、タルク2.4g及び酸化チタン1.44gを精製水352.6gに懸濁したコーティング液を噴霧し、下記組成の単層のコーティング錠剤を得た(表6)。
ホリナートカルシウム65.06g、乳糖水和物(ファーマトース200M)208.54g、結晶セルロース(PH−101)54g、部分アルファ化デンプン10.8g及びデンプングリコール酸ナトリウム18gを撹拌造粒機(パウレック社製:バーチカルグラニュレータFM−VG−01型)に投入し、粉体を撹拌させながら、精製水80gを投入し、造粒した。得られた造粒物を流動層造粒機(パウレック社製:MP−01型)にて乾燥し、整粒機(パウレック社製:QC−197S型)にて整流した。得られた整粒品356.4gにステアリン酸マグネシウム3.6gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物にステアリン酸マグネシウム4gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所:VELA5−M型)を用いて直径8mmに圧縮成形し、素錠を得た。次いで、得られた素錠をコーティング機(パウレック社製:DRC−200型)に投入し、ヒプロメロース22.56g、マクロゴール2.4g及びタルク2.4gを精製水352.6gに懸濁したコーティング液を噴霧し、第1層目のフィルムをコーティングした。次いで、第1層目のフィルムをコーティングした錠剤をコーティング機(パウレック社製:DRC−200型)に投入し、ヒプロメロース22.56g、マクロゴール2.4g、タルク2.4g及び酸化チタン1.44gを精製水352.6gに懸濁したコーティング液を噴霧し、下記組成のコーティング錠剤を得た(表7)。
実施例1ならびに比較例1、2、3、4及び5で得られた各々の錠剤について、照射強度3000lxを400時間、総照射量120万lx・Hrとなるまで曝光し、錠剤表面の色の変化量及びホリナートの分解生成物の含量を測定した。なお、ホリナートの分解生成物の含量は、ホリナートの保持時間に対して相対保持時間1.165及び相対保持時間1.234に出現する構造未知の分解生成物の含量の和とし、曝光前後の差を構造未知の分解生成物の増加量とした。測定した結果を表8に示した。なお、表中のN.D.はホリナートの構造未知の分解生成物が検出されなかったことを示す。
よって以上の結果より、フィルムコーティング層(好ましくは第1層と第2層のフィルム層を含むもの)の存在や、さらには素錠を直接打錠により製造する等の各種の製造条件の検討によって、光による着色性の抑制や分解生成物の増加の低減等の有利な効果を顕著にもったホリナートカルシウムを含有する錠剤が製造可能であることが明らかになった。
Claims (2)
- ホリナートカルシウムを含有する素錠に、第1層としてポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を含む水溶性ポリマーとタルクを含有するフィルムをコーティングし、その上に第2層として水溶性ポリマーとタルクと酸化チタンを含有するフィルムをコーティングした、フィルムコーティング層中に素錠の全量に対して0.01〜2重量%の遮光剤が含有され、さらに其の遮光剤が酸化チタンを含む、フィルムコーティング錠。
- 第1層のフィルムのコーティング量が素錠重量に対して1.5〜2重量%であり、第2層のフィルムのコーティング量が素錠重量に対して1.5〜2重量%である、請求項1に記載のフィルムコーティング錠。
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