以下、本発明に係るコンベア式食品加熱装置の一実施形態について図面を用いて説明すると、図1は、本発明の一実施形態に係るコンベア式食品加熱装置の全体概略正面図である。図2は、図1の2−2線に沿って見たコンベア式食品加熱装置の側断面図である。図3は、図2の3−3線に沿って見たコンベア式食品加熱装置の平断面図である。
このコンベア式食品加熱装置は、食品Fを加熱するための加熱室11を有するコンベアオーブン本体10と、上面20aを水平方向に延設させるとともに加熱室11を貫通し、上面20aに載置された食品Fを搬送するための網目状のコンベア20とを備えている。コンベアオーブン本体10は、正面から見て加熱室11に対し、右側に制御ボックス12、左側に駆動ボックス13、下側に下ボックス14及び上側に上ボックス15を備えている。これらの制御ボックス12、駆動ボックス13、下ボックス14及び上ボックス15は、それぞれステンレスなどの金属板材により形成され、外壁面の位置を合わせてそれぞれ一体的に連結固着されている。そして、これらの制御ボックス12と、駆動ボックス13と、下ボックス14と、上ボックス15とで囲まれた内側の空間が、加熱室11である。
加熱室11には、その前側にてコンベア20の上面20aに載置された食品Fを加熱室11内に搬入するための搬入口11aが設けられ、その後側にて加熱室11において加熱調理された調理済み食品Fを搬出するための搬出口11bが設けられている。加熱室11内には、食品Fを加熱調理するための上側電熱ヒータUH1、UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1、LH2,LH3が設けられている。上側電熱ヒータUH1、UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1、LH2,LH3は、カーボンフィラメントを不活性ガス(例えば、アルゴンガス)と共に石英ガラス管内に封入した長尺状かつ円筒状のガラス管ヒータであって、カーボンフィラメントに通電することにより遠赤外線及び輻射熱を放射する遠赤外線ヒータである。なお、上側電熱ヒータUH1、UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1、LH2,LH3は、全て同一に構成されており、それらの軸線方向の長さは、コンベア20の幅方向の長さとほぼ同一である。
上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3は、加熱室11内にてコンベア20の上面20aの上方にて、コンベア20の上面20aの移動方向(図2及び図3の左右方向)と直交する方向に延設され、コンベア20の上面20aに対して平行すなわち水平に所定の等間隔でコンベア20の上面20aの移動方向に沿って配置されている。下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3は、加熱室11内にてコンベア20の上面20aの下方にて、コンベア20の上面20aの移動方向(図2及び図3の左右方向)と直交する方向に延設され、コンベア20の上面20aに対して平行すなわち水平に前記所定の等間隔でコンベア20の上面20aの移動方向に沿って配置されている。上側電熱ヒータUH1及び下側電熱ヒータLH1、上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH2、並びに上側電熱ヒータUH3及び下側電熱ヒータLH3は、それぞれコンベア20の上面20aの移動方向における同一位置、すなわちコンベア20の上面20aを挟んで対向するように配置されている。
上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3の上方には、上方に向かって放射される輻射熱を下方に反射するための反射板16が配設されている。コンベア20の上面20aよりも下方であって、下側電熱ヒータLH1、LH2,LH3の上方には、保護カバー17−1,17−2,17−3が、それぞれ下側電熱ヒータLH1、LH2,LH3の上部を覆うように、下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3に沿って近接して配設されている。保護カバー17−1,17−2,17−3は、石英ガラスなどの高耐熱性及び高透光性の材料で断面半円形の長尺状に形成されている。これにより、コンベア20の上面20aに載置された食品Fの小片(カス)、食品Fに塗布された調味液などが落下しても、下側電熱ヒータLH1、LH2,LH3の管表面に付着することが防止される。
ここで、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1、LH2,LH3の垂直方向の位置について説明しておく。下側電熱ヒータLH1、LH2,LH3から放射されてコンベア20上に載置された食品に達する遠赤外線及び輻射熱の一部は、保護カバー17−1,17−2,17−3及び網目状のコンベア20によって遮蔽される。そこで、上側電熱ヒータUH1、UH2,UH3による食品Fの上面に対する加熱能力と、下側電熱ヒータLH1、LH2,LH3による食品Fの下面に対する加熱能力とを同等にするために、上側電熱ヒータUH1、UH2,UH3とコンベア20の上面20a間の垂直方向の距離Lupを、下側電熱ヒータLH1、LH2,LH3とコンベア20の上面20a間の垂直方向の距離Ldwよりも長くする。距離Lupと距離Ldwとの比は実験により確認して設定されるべきものであり、本実施形態では、距離Lupは距離Ldwの約3倍である。
これにより、上側電熱ヒータUH1、UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1、LH2,LH3の全てを同時に作動させた場合には、食品Fの上面及び下面の両加熱度合いはほぼ等しくなる。また、上側電熱ヒータUH1、UH2,UH3のうちの2つの電熱ヒータと、下側電熱ヒータLH1、LH2,LH3のうちの1つの電熱ヒータとを同時に作動させた場合には、食品Fの上面の加熱度合いと下面の加熱度合いとの比はほぼ2対1となる。さらに、上側電熱ヒータUH1、UH2,UH3のうちの1つの電熱ヒータと、下側電熱ヒータLH1、LH2,LH3のうちの2つの電熱ヒータとを同時に作動させた場合には、食品Fの上面の加熱度合いと下面の加熱度合いとの比はほぼ1対2となる。
また、加熱室11内には、コンベア20の上面20aに載置された食品Fの小片(カス)、食品Fに塗布された調味液などの落下物を収容する受け皿18が設けられている。
制御ボックス12内には、このコンベア式食品加熱装置の運転条件を制御するための後述する電気制御装置30及び制御ボックス12内を冷却するための冷却ファンFMが収容されている。駆動ボックス13内には、コンベア20を回動させるための伝動チェーンを含むコンベア20の駆動機構(図示せず)が収納されている。下ボックス14内には、駆動モータGMが収納されており、駆動モータGMの回転は前記伝動チェーンを介してコンベア20に伝達されるようになっている。上ボックス15には、外部に連通した排気口15aが設けられている。制御ボックス12と下ボックス14の接合部、下ボックス14と駆動ボックス13の接合部、及び駆動ボックス13と上ボックス15との接合部には、それぞれに通気口(図示せず)が設けられており、制御ボックス12、下ボックス14、駆動ボックス13及び上ボックス15は連通している。したがって、冷却ファンFMを作動させると、外気が制御ボックス12内に吸引されて、制御ボックス12内の電気制御装置30を冷却し、その後に下ボックス14に流入して駆動モータGMを冷却し、その後に駆動ボックス13内に流入して伝動チェーンを冷却し、最後に上ボックス15の排気口15aから外部に排出される。
制御ボックス12及び駆動ボックス13の加熱室11側の壁面には、上ボックス15と下ボックス14の間にて加熱室11を貫通するように、水平かつ互いに平行に延設された支持枠21,22が固定されている。なお、支持枠21,22は、それらの長さが同一であると同時に、コンベアオーブン本体10の正面側及び裏面側(図2及び図3の左右方向)から張り出して、それらの両端部を互いに対向させている。支持枠21,22の前端部(図2及び図3の右側端部)には、円柱状の回転ロッド23がその両端部にて回転可能に支持されている。支持枠21,22の後端部(図2及び図3の左側端部)には、円柱状の回転ロッド24がその両端部にて回転可能に支持されている。回転ロッド23,24の外周面上には、それぞれ複数の従動ローラ23a,24aが固定されている.また、加熱室11の下部における前後方向(図2及び図3の左右方向)の中央位置近傍には、駆動モータGMに伝動チェーンを介して動力伝達可能に接続された駆動ローラ25が回転可能に設けられている。
コンベア20は、複数の従動ローラ23a,24a及び駆動ローラ25に巻き掛けられ、支持枠21,22はコンベア20の左右両端部(図3の上下端部)を摺動可能に支持している。なお、この支持枠21,22のコンベア20の左右両端部の支持幅は、下側電熱ヒータLH1、LH2,LH3からの熱放射を妨げることがない程度に小さい(例えば、約20mm程度)。これにより、駆動モータGMの作動によって駆動ローラ25が回転駆動されると、コンベア20は、その上面20a側をコンベアオーブン本体10の正面側から裏面側に(図2及び図3の左方向に)移動させるとともに、その下面20b側をコンベアオーブン本体10の裏面側から正面側に(図2及び図3の右方向に)移動させるように回転する。この場合、コンベア20の上面20a側は上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3と下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3の間に位置し、コンベア20の下面20b側は下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3と受け皿18との間に位置する。
次に、制御ボックス12内に収容された電気制御装置30について説明する。電気制御装置30は、図4に示すように、商用三相交流電源線に接続された3本の電力供給線PW1,PW2,PW3を備えるとともに、商用三相交流電源線と電力供給線PW1,PW2,PW3との開閉を行う主電源スイッチ31を備えている。電力供給線PW2,PW3間には、運転スイッチ32、温度ヒューズ33、過昇防止サーモスタット34及び主電磁接触器35の励磁コイル35aが直列に接続されている。
運転スイッチ32は、このコンベア式食品加熱装置の作動時にオン操作されるもので、そのオン・オフ操作により主電磁接触器35を開閉する。主電磁接触器35は、励磁コイル35aの非通電状態では、電力供給線PW1,PW2,PW3に介装されたリレースイッチ35b,35c,35dをオフしており、励磁コイル35aの通電によりリレースイッチ35b,35c,35dをオンする。温度ヒューズ33は、制御ボックス12内の温度が極端に高くなると切断されて、励磁コイル35aへの通電を禁止する。過昇防止サーモスタット34は、制御ボックス12内の温度が所定温度以上になったとき、励磁コイル35aへの通電を禁止し、制御ボックス12内の温度が所定温度未満になれば励磁コイル35aへの通電の禁止を解除する。この所定温度は前記温度ヒューズ33が切断される温度よりも低く、過昇防止サーモスタット34は電気制御装置30の作動の不安定及び電気制御装置30の故障を回避するためのものである。
電力供給線PW1,PW2,PW3は、主電磁接触器35の出力側を、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2に電力を供するための電力供給線PW1a,PW2a,PW3aと、上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3に電力を供するための電力供給線PW1b,PW2b,PW3bとに分岐させている。上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2は、3相の電力供給線PW1a,PW2a,PW3aにデルタ接続されている。上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3は、3相の電力供給線PW1b,PW2b,PW3bにデルタ接続されている。この場合、電熱ヒータUH1,UH2,UH3,LH1,LH2,LH3はそれぞれ同一に構成されており、前記デルタ接続により、各電熱ヒータUH1,UH2,UH3,LH1,LH2,LH3に対する印加電圧の平衡性が保たれるようになっている。
電力供給線PW2a,PW3a間には、動作モードを選択するための第1スイッチ36と、電磁接触器37の励磁コイル37aとが直列に接続されている。第1スイッチ36は、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2を作動させるためにオン操作されるもので、そのオン・オフ操作により電磁接触器37を開閉する。電磁接触器37は、励磁コイル37aの非通電状態では、電力供給線PW1a,PW2a,PW3aに介装されたリレースイッチ37b,37c,37dをオフしており、励磁コイル37aへの通電によりリレースイッチ37b,37c,37dをオンする。電力供給線PW2b,PW3b間には、動作モードを選択するための第2スイッチ38と、電磁接触器39の励磁コイル39aとが直列に接続されている。第2スイッチ38は、上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3を作動させるためにオン操作されるもので、そのオン・オフ操作により電磁接触器39を開閉する。電磁接触器39は、励磁コイル39aの非通電状態では、電力供給線PW1b,PW2b,PW3bに介装されたリレースイッチ39b,39c,39dをオフしており、励磁コイル39aへの通電によりリレースイッチ39b,39c,39dをオンする。
また、電力供給線PW2,PW3間には、主電磁接触器35よりも出力側にて、冷却ファンFMが接続されている。電力供給線PW1,PW3間には、主電磁接触器35よりも出力側にて、駆動モータGM及び速度コントローラ回路SCが接続されている。速度コントローラ回路SCは、ボリュームVRの操作に応じて、駆動モータGMの回転速度を可変制御、すなわちコンベア20の移動速度を可変制御する。なお、このボリュームVRの操作により、駆動モータGMの回転速度は停止から高速まで無段階に制御される。
次に、上記のように構成したコンベア式食品加熱装置の動作について説明する。作業者は、コンベア式食品加熱装置の使用開始時には、まず、主電源スイッチ31をオン操作する。この主電源スイッチ31のオン操作により、電力供給線PW1,PW2,PW3は給電される。その後、作業者は、運転スイッチ32をオン操作する。この運転スイッチ32のオン操作により、温度ヒューズ33及び過昇防止サーモスタット34を介して、主電磁接触器35の励磁コイル35aが通電される。なお、本発明は、制御ボックス12内の電気制御装置30を含むコンベア式食品加熱装置の異常に直接関係しないので、以下の説明では、温度ヒューズ33及び過昇防止サーモスタット34は常に導通状態にあるものとする。
前記励磁コイル35aへの通電により、リレースイッチ35b,35c,35dはそれぞれオンし、冷却ファンFM、速度コントローラ回路SC及び駆動モータGMが作動し始める。この冷却ファンFMの作動により、外気が制御ボックス12内に吸引され、この吸引された外気は、制御ボックス12、下ボックス14、駆動ボックス13及び上ボックス15に流れ、上ボックス15の排気口15aから外部に排出される。これにより、制御ボックス12内の電気制御装置30、下ボックス14内の駆動モータGM、駆動ボックス13内の伝動チェーンなどが冷却され始める。駆動モータGMは、速度コントローラ回路SCによって制御され、ボリュームVRによって設定された速度で回転し始める。この駆動モータGMの回転は伝動チェーンを介して駆動ローラ25に伝達され、この駆動ローラ25の回転により、コンベア20も回転し、コンベア20の上面20a側がこのコンベア式食品加熱装置の正面側から裏面側(図2及び図3の右から左方向)へ移動し始める。この場合、作業者は、食品Fの種類や大きさ、焼成仕上がり具合などを考慮してボリュームVRを調節して、コンベア20の移動速度を適当な速度に調整する。
次に、作業者は、食品Fの種類に応じて、第1及び第2スイッチ36,38を選択的にオン操作して、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3を、次の第1乃至第3動作モードの何れかで作動させて、食品を熱処理する。以下、これらの第1乃至第3動作モードごとの上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3による食品の加熱処理について詳しく説明する。
まず、第1動作モードについて説明する。パンのトースト調理、ピザ、焼鳥、魚の丸焼き、焼肉、ナスの丸焼きなどの食品Fの加熱調理においては、食品Fの上面と下面が均一に焼成されるのが一般的である。この場合、作業者は、第1及び第2スイッチ36,38を同時にオン操作する。この第1及び第2スイッチ36,38の同時オン操作により、電磁接触器37の励磁コイル37a及び電磁接触器39の励磁コイル39aが通電され、リレースイッチ37b,37c,37d及びリレースイッチ39b,39c,39dがそれぞれオンする。これにより、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2は電力供給線PW1a,PW2a,PW3aを介して給電されるとともに、上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3は電力供給線PW1b,PW2b,PW3bを介して給電される。そして、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2は発熱し始めるとともに、上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3も発熱し始める。図5は、この第1動作モードにおける上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3の状態を示すもので、発熱状態にある上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3に斜線を付して示している。
次に、作業者は、搬入口11aの手前にて、パン、ピザ、鳥肉、魚、牛肉、豚肉、ナスなどの食品Fをコンベア20上に次々に載置する。この場合、コンベア20の上面20a側は、正面側から裏面側に、すなわち図2及び図3の右側から左側に移動しているので、コンベア20の上面20aに載置された食品Fは、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3によって加熱されて、搬出口11bから次々に搬出される。その後、作業者は、搬出口11bから搬出された前記食品Fをコンベア20の上面20aから次々に取上げる。この第1動作モードにおいては、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3の食品Fに対する加熱能力は全て同じであるので、食品Fの上面及び下面がほぼ均一に焼成される。すなわち、食品Fの上面と下面の加熱度合いの比はほぼ1対1である。
次に、第2動作モードについて説明する。グラタンなどの食品Fを加熱調理するときは、上面側に焼き色を付けて完成品にされる。この場合は、作業者は、第1及び第2スイッチ36,38のうちの第1スイッチ36のみをオン操作する。この第1スイッチ36のみのオン操作により、電磁接触器37の励磁コイル37aのみが通電され、リレースイッチ37b,37c,37dのみがそれぞれオンする。これにより、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2は電力供給線PW1a,PW2a,PW3aを介して給電されるが、上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3は給電されず、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2のみが発熱し始める。図6は、この第2動作モードにおける上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3の状態を示すもので、発熱状態にある上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2に斜線を付して示している。
次に、作業者は、搬入口11aの手前にて、前記グラタンなどの食品Fをコンベア20の上面20aに次々に載置する。この場合も、コンベア20の上面20a側は、正面側から裏面側に、すなわち図2及び図3の右側から左側に移動しているので、コンベア20の上面20aに載置された食品Fは、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2によって加熱されて、搬出口11bから次々に搬出される。その後、作業者は、搬出口11bから搬出された食品Fをコンベア20の上面20aから次々に取上げる。この第2動作モードにおいては、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2の食品Fに対する加熱能力は全て同じであるので、食品Fの上面と下面の加熱度合いの比はほぼ2対1となる。
さらに、第3動作モードについて説明する。魚の開き干し(塩干魚)、開き魚(ウナギ、アナゴなど)などの食品Fを加熱調理するときは、食品Fの皮側を下にしてコンベア20の上面20aに載置し、上面の身側を弱火で下面の皮側を強火で焼成する。この場合は、作業者は、第1及び第2スイッチ36,38のうちの第2スイッチ38のみをオン操作する。この第2スイッチ38のみのオン操作により、電磁接触器39の励磁コイル39aのみが通電され、リレースイッチ39b,39c,39dのみがそれぞれオンする。これにより、上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3は電力供給線PW1b,PW2b,PW3bを介して給電されるが、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2は給電されず、上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3のみが発熱し始める。図7は、この第3動作モードにおける上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3の状態を示すもので、発熱状態にある上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3に斜線を付して示している。
次に、作業者は、搬入口11aの手前にて、前記魚の開き干し(塩干魚)、開き魚(ウナギ、アナゴなど)などの食品Fをコンベア20の上面20aに次々に載置する。この場合も、コンベア20の上面20a側は、正面側から裏面側に、すなわち図2及び図3の右側から左側に移動しているので、コンベア20の上面20aに載置された食品Fは、上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3によって加熱されて、搬出口11bから次々に搬出される。その後、作業者は、搬出口11bから搬出された食品Fをコンベア20の上面20aから次々に取上げる。この第3動作モードにおいては、上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3の食品Fに対する加熱能力は全て同じであるので、食品Fの上面と下面の加熱度合いの比はほぼ1対2となる。
このような第1乃至第3動作モードによる食品Fの加熱処理が終了すると、作業者は、オン状態にある第1及び/又は第2スイッチ36,38をオフ状態に戻すとともに、運転スイッチ32もオフ状態に戻す。これにより、励磁コイル37a,39aの通電が解除されて、リレースイッチ37b,37c,37d,39b,39c,39dもオフ状態にされ、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3への電力供給線PW1a,PW2a,PW3a,PW1b,PW2b,PW3bを介した給電が停止して、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3の発熱が停止する。また、励磁コイル35aの通電も解除されて、リレースイッチ35b、35c、35dもオフ状態にされ、冷却ファンFM、速度コントローラ回路SC及び駆動モータGMへの電力供給線PW1,PW2,PW3を介した給電も停止して、冷却ファンFM、速度コントローラ回路SC及び駆動モータGMの作動も停止する。さらに、必要に応じて主電源スイッチ31もオフ状態に戻す。その結果、このコンベア式食品加熱装置の動作が終了する。
このように動作する上記実施形態においては、食品Fの上面と下面の加熱度合いを同等(すなわち、1対1)にしたい場合には、第1及び第2スイッチ36,38を同時にオン操作すればよい。また、食品Fの上面の加熱度合いを下面の加熱度合いよりも高く(すなわち2対1に)したい場合には、第1及び第2スイッチ36,38のうちの第1スイッチ36のみをオン操作すればよく、食品Fの上面の加熱度合いを下面の加熱度合いよりも低く(すなわち1対2に、言い換えれば食品Fの下面の加熱度合いを食品Fの上面の加熱度合いよりも高く)したい場合には、第1及び第2スイッチ36,38のうちの第2スイッチ38のみをオン操作すればよい。その結果、上記実施形態によれば、3種類の食品Fの上面及び下面の加熱度合いを、簡単な操作により選択できるようになるとともに、3通りの加熱度合いの選択のために、第1及び第2スイッチ36,38及び電磁接触器37,39を設けるだけでよいので、前記3通りの加熱度合いを選択可能なコンベア式食品加熱装置を簡単に構成できる。
また、上記実施形態においては、第1動作モードでは全ての上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3が通電制御され、第2動作モードでは上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2が通電制御され、第3動作モードでは上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3が通電制御される。これにより、第2動作モードと第3動作モードとを選択的に利用した場合、同一の電熱ヒータが常に通電制御されることがなく、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3が均等に動作する傾向が増す。その結果、上記実施形態によれば、特定の電熱ヒータの使用頻度を他の電熱ヒータに比べて極端に高めることを回避できる。そして、第2動作モードによる使用頻度と、第3動作モードによる使用頻度とが適当であれば、全ての上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3の使用時間に大きな差が生じることがなくなり、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3の交換を同時に行っても大きな無駄が生じなくなる。
特に、上記実施形態においては、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3をそれぞれ3つずつ設けて、第2及び第3動作モードで利用される電熱ヒータの重複を避けるようにしたので、簡単な構成により、前記効果を達成できる。また、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2からなる3つの電熱ヒータと、上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3からなる3つの電熱ヒータとをデルタ接続するようにしたので、3相交流電源に対する適用が簡単になる。
また、上記実施形態においては、下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3に、食品Fからの落下物の付着を避けるための保護カバー17−1,17−2,17−3を設けても、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3からコンベア20の上面20aまでの距離Lupを複数の下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3からコンベア20の上面20aまでの距離Ldwよりも大きくして、コンベア20によって搬送される食品Fに対する上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3による加熱能力と下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3による加熱能力とを同等にしたので、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3と下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3とを食品Fに対して同等に寄与させることができる。
なお、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
a.第1変形例
上記実施形態においては、三相交流電力を利用するコンベア式食品加熱装置について説明したが、このコンベア式食品加熱装置を二相交流電力を利用するように変更することも可能である。この二相交流電力を利用した上記実施形態の第1変形例に係るコンベア式食品加熱装置について説明すると、図8は、この第1変形例に係り、上記実施形態の制御ボックス12内に収容された電気制御装置40のブロック図である。なお、この第1変形例に係るコンベア式食品加熱装置においては、電気制御装置40部分が上記実施形態に係るコンベア式食品加熱装置とは異なり、他の部分は上記実施形態と同様であるので、同一部分に関しては、同一符号を付して、その説明を省略する。
この電気制御装置40は、商用二相交流電源線に接続された2本の電力供給線L1,L2を備えるとともに、商用二相交流電源線と電力供給線L1,L2との開閉を行う主電源スイッチ41を備えている。主電源スイッチ41の出力側には、電力供給線L1,L2を通電状態又は非通電状態に切換える運転スイッチ42が設けられている。また、電力供給線L2には、上記実施形態と同様な温度ヒューズ33及び過昇防止サーモスタット34が介装されている。さらに、電力供給線L1,L2間には、上記実施形態と同様な冷却ファンFM、駆動モータGM及び速度コントローラ回路SCも設けられている。
電力供給線L1,L2は、運転スイッチ42の出力側を、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2に電力を供するための電力供給線L1a,L2aと、上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3に電力を供するための電力供給線L1b,L2bとに分岐させている。上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3も上記実施形態と同様に構成されているが、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2は2相の電力供給線L1a,L2a間に接続され、上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3は2相の電力供給線L1b,L2b間に接続されている。
また、この第1変形例に係るコンベア式食品加熱装置の電気制御装置40においては、上記実施形態の第1スイッチ36に相当する第1スイッチ45は電力供給線L1a,L2aに介装され、オフ状態にて上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2への給電を停止し、オン操作により上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2に給電する。上記実施形態の第2スイッチ38に相当する第2スイッチ46は電力供給線L1b,L2bに介装され、オフ状態にて上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3への給電を停止し、オン操作により上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3に給電する。
このように構成した第1変形例に係るコンベア式食品加熱装置においても、主電源スイッチ41及び運転スイッチ42のオン操作により、装置の作動が開始される。そして、第1及び第2スイッチ45,46を同時にオン操作すれば、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2は電力供給線L1a,L2aを介して給電されるとともに、上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3は電力供給線L1b,L2bを介して給電されて、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2が発熱するとともに、上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3も発熱する。したがって、第1及び第2スイッチ45,46の同時オン操作により、上記実施形態における第1動作モードが実現される。
また、第1及び第2スイッチ45,46のうちの第1スイッチ45のみをオン操作すれば、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2は電力供給線L1a,L2aを介して給電されるが、上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3は給電されず、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2のみが発熱する。したがって、前記第1スイッチ45のみのオン操作により、上記実施形態の場合の第2動作モードが実現される。さらに、第1及び第2スイッチ45,46のうちの第2スイッチ46のみをオン操作すれば、上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3は電力供給線L1b,L2bを介して給電されるが、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH2は給電されず、上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH1,LH3のみが発熱する。したがって、前記第2スイッチ46のみのオン操作により、上記実施形態の場合の第3動作モードが実現される。
このように、前記第1変形例においても、三相交流に代えて二相交流を用いる点を除けば、上記実施形態と同様に動作する。したがって、この第1変形例によっても、三相交流に関する事項を除けば、上記実施形態と同様な効果が期待される。
b.第2変形例
また、上記実施形態及び前記第1変形例においては、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2、LH3をそれぞれ3つずつ設けるようにしたが、上側電熱ヒータUH3及び下側電熱ヒータLH3を省略して、上側電熱ヒータUH1,UH2及び下側電熱ヒータLH1,LH2をそれぞれ2つずつ設けるようにしてもよい。このように変形した第2変形例に係るコンベア式食品加熱装置について説明すると、図9は、この第2変形例に係り、上記実施形態及び第1変形例の制御ボックス12内に収容された電気制御装置40のブロック図である。この場合、前記図8の第1変形例における第1及び第2スイッチ45,46に相当する第1及び第2スイッチ51,53と、上側電熱ヒータUH1,UH2及び下側電熱ヒータLH1,LH2への電力供給線L1a,L2a,L1b,L2bの接続を異ならせればよい。電力供給線L1a,L2a及び電力供給線L1b,L2bは、それぞれ商用二相交流電源線に接続された電力供給線L1,L2から分岐された電力供給線である。なお、上側電熱ヒータUH1,UH2及び下側電熱ヒータLH1,LH2のコンベア20の上面20aの移動方向に沿った水平方向の間隔に関しては、電熱ヒータの数の減少により適宜設定するとよい。他の構成は、前記第1変形例と同じである。
この第2変形例においては、図9に示すように、電力供給線L1a,L2a間には、第1スイッチ51及び電磁接触器52の励磁コイル52aが直列に接続されている。第1スイッチ51は、前記第1及び第2動作モード時にオン操作されるもので、そのオン・オフ操作により電磁接触器52を開閉する。電磁接触器52は、励磁コイル52aの非通電状態では、リレースイッチ52b,52c,52d,52eをオフしており、励磁コイル52aの通電によりリレースイッチ52b,52c,52d,52eをオンする。リレースイッチ52b,52c,52dの一端は電力供給線L1aにそれぞれ接続され、リレースイッチ52b,52c,52dの他端は、上側電熱ヒータUH1,UH2及び下側電熱ヒータLH1の一端にそれぞれ接続されている。リレースイッチ52eの一端は電力供給線L2aに接続され、リレースイッチ52eの他端は、上側電熱ヒータUH1,UH2及び下側電熱ヒータLH1,LH2の他端にそれぞれ接続されている。
また、電力供給線L1b,L2b間には、第2スイッチ53及び電磁接触器54の励磁コイル54aが直列に接続されている。第2スイッチ53は、前記第1及び第3動作モード時にオン操作されるもので、そのオン・オフ操作により電磁接触器54を開閉する。電磁接触器54は、励磁コイル54aの非通電状態では、リレースイッチ54b,54c,54d,54eをオフしており、励磁コイル54aの通電によりリレースイッチ54b,54c,54d,54eをオンする。リレースイッチ54b,54c,54dの一端は電力供給線L1bにそれぞれ接続され、リレースイッチ54b,54c,54dの他端は、上側電熱ヒータUH1及び下側電熱ヒータLH1,LH2の一端にそれぞれ接続されている。リレースイッチ54eの一端は電力供給線L2bに接続され、リレースイッチ54eの他端は、上側電熱ヒータUH1,UH2及び下側電熱ヒータLH1,LH2の他端にそれぞれ接続されている。
このように構成した第2変形例においても、前記第1変形例と同様に、装置の作動が開始された状態で、第1及び第2スイッチ51,53を同時にオン操作すれば、励磁コイル52a,54aは通電されて、リレースイッチ52b,52c,52d,52e及びリレースイッチ54b,54c,54d,54eはオンする。これにより、上側電熱ヒータUH1,UH2及び下側電熱ヒータLH1,LH2は電力供給線L1a,L2a、L1b,L2bを介して給電されて、上側電熱ヒータUH1,UH2及び下側電熱ヒータLH1,LH2は発熱する。したがって、第1及び第2スイッチ51,53の同時オン操作により、食品Fの上面と下面はほぼ同一比率(1対1)で加熱される。
また、第1及び第2スイッチ51,53のうちの第1スイッチ51のみをオン操作すれば、励磁コイル52aの通電により、上側電熱ヒータUH1,UH2及び下側電熱ヒータLH1は電力供給線L1a,L2aを介して給電されるが、下側電熱ヒータLH2は給電されず、上側電熱ヒータUH1,UH2及び下側電熱ヒータLH1のみが発熱する。したがって、前記第1スイッチ51のみのオン操作により、食品Fの上面と下面はほぼ2対1の比率で加熱される。さらに、第1及び第2スイッチ51,53のうちの第2スイッチ53のみをオン操作すれば、上側電熱ヒータUH1及び下側電熱ヒータLH1,LH2は電力供給線L1b,L2bを介して給電されるが、上側電熱ヒータUH2は給電されず、上側電熱ヒータUH1及び下側電熱ヒータLH1,LH2のみが発熱する。したがって、前記第2スイッチ53のみのオン操作により、食品Fの上面と下面はほぼ1対2の比率で加熱される。
その結果、この第2変形例においても、第1及び第2スイッチ51,53の選択操作により、食品Fの上面と下面の加熱比率は、ほぼ1対1、2対1又は1対2に選択的に設定されるので、上記実施形態及び第1変形例の第1乃至第3動作モードと同様な加熱度合いを設定できて、上記実施形態及び第1変形例の場合と同様な効果が期待される。ただし、この場合、前記第1乃至第3動作モードにおいて、上側電熱ヒータUH1及び下側電熱ヒータLH1は常に通電されて発熱する。しかし、上側電熱ヒータUH2は第1及び第2動作モードのみにおいて通電されて発熱し、下側電熱ヒータLH2は第1及び第3動作モードのみにおいて通電されて発熱する。したがって、この第2変形例では、上側電熱ヒータUH1及び下側電熱ヒータLH1は上側電熱ヒータUH2及び下側電熱ヒータLH2に比べて使用頻度が高くなる傾向にあり、上側電熱ヒータUH1,UH2及び下側電熱ヒータLH1,LH2の使用時間が上記実施形態及び第1変形例の場合のように均等にならない。
c.第3変形例
次に、前記図8の第1変形例において、上側電熱ヒータ及び下側電熱ヒータの数を1つずつ増やして、4つずつの上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3,UH4及び下側電熱ヒータLH1,LH2、LH3、LH4を設けるようにした第3変形例について説明する。なお、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3,UH4及び下側電熱ヒータLH1,LH2、LH3、LH4は、コンベア20の上面20a側の上方及び下方にて、それぞれ水平方向に等間隔でコンベア20の上面20aの移動方向に沿って配置される。
この第3変形例に係るコンベア式食品加熱装置について説明すると、図10は、この第3変形例に係り、上記実施形態の制御ボックス12内に収容された電気制御装置40のブロック図である。この第3変形例においては、第1スイッチ45の出力側にて電力供給線L1a,L2a間に、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH4及び下側電熱ヒータLH3が接続されている。また、第2スイッチ46の出力側にて電力供給線L1b,L2b間に、上側電熱ヒータUH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH4が接続されている。他の構成は、図8の第1変形例の場合と同じである。
このように構成した第3変形例に係るコンベア式食品加熱装置においては、前記第1変形例と同様に、装置の作動が開始された状態で、第1及び第2スイッチ45,46を同時にオン操作すれば、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH4及び下側電熱ヒータLH3は電力供給線L1a,L2aを介して給電されるとともに、上側電熱ヒータUH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH4は電力供給線L1b,L2bを介して給電されて、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3,UH4及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3,LH4の全ての電熱ヒータは発熱する。したがって、第1及び第2スイッチ45,46の同時オン操作により、食品Fの上面と下面はほぼ同一比率(ほぼ1対1)で加熱される。
また、第1及び第2スイッチ45,46のうちの第1スイッチ45のみをオン操作すれば、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH4及び下側電熱ヒータLH3は電力供給線L1a,L2aを介して給電されるが、上側電熱ヒータUH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH4は給電されず、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH4及び下側電熱ヒータLH3のみが発熱する。したがって、前記第1スイッチ45のみのオン操作により、食品Fの上面と下面はほぼ3対1の比率で加熱される。第1及び第2スイッチ45,46のうちの第2スイッチ46のみをオン操作すれば、上側電熱ヒータUH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH4は電力供給線L1b,L2bを介して給電されるが、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH4及び下側電熱ヒータLH3は給電されず、上側電熱ヒータUH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH4のみが発熱する。したがって、前記第2スイッチ46のみのオン操作により、食品Fの上面と下面はほぼ1対3の比率で加熱される。
その結果、この第3変形例においても、第1及び第2スイッチ45,46の選択操作により、食品Fの上面と下面の加熱比率は、異なる所定比率に選択的に設定されるので、上記実施形態及び第1変形例の第1乃至第3動作モードに類似した加熱度合いを設定できて、上記実施形態及び第1変形例の場合と同様な効果が期待される。ただし、この場合、上記実施形態及び第1変形例の場合とは異なり、第1乃至第3動作モードでの食品Fの上面と下面の加熱比率は、ほぼ1対1、3対1及び1対3になる。また、この第3変形例においては、第2動作モードでは上側電熱ヒータUH1,UH2,UH4及び下側電熱ヒータLH3が通電されて発熱し、第3動作モードでは前記第2動作モードとは異なる上側電熱ヒータUH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH4が通電されて発熱するので、上側電熱ヒータUH1、UH2、UH3,UH4及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3,LH4の使用頻度は、上記実施形態及び第1変形例に場合と同様に、それぞれ均等になる傾向にある。
d.第4変形例
次に、前記第3変形例のように、4つずつの上側電熱ヒータUH1、UH2、UH3,UH4及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3,LH4を設けたコンベア式食品加熱装置において、第1乃至第3動作モードにおける食品Fの上面と下面との加熱比率を、上記実施形態、第1及び第2変形例の場合と同様に、ほぼ1対1、2対1、及び1対2になるようにした第4変形例について説明する。
図11は、この第4変形例に係るコンベア式食品加熱装置の電気制御装置40のブロック図である。この第4変形例においても、前記図9の第2変形例の場合と同様に、電力供給線L1a,L2a間には、第1スイッチ55及び電磁接触器56の励磁コイル56aが直列に接続されている。第1スイッチ55は、前記第1及び第2動作モード時にオン操作されるもので、そのオン・オフ操作により電磁接触器56を開閉する。電磁接触器56は、励磁コイル56aの非通電状態では、リレースイッチ56b,56c,56d,56e,56f,56g,56hをオフしており、励磁コイル52aの通電によりリレースイッチ56b,56c,56d,56e,56f,56g,56hをオンする。リレースイッチ56b,56c,56d,56e,56f,56gの一端は電力供給線L1aにそれぞれ接続され、リレースイッチ56b,56c,56d,56e,56f,56gの他端は、上側電熱ヒータUH1,UH2、UH3,UH4及び下側電熱ヒータLH1,LH3の一端にそれぞれ接続されている。リレースイッチ56hの一端は電力供給線L2aに接続され、リレースイッチ56hの他端は、上側電熱ヒータUH1,UH2、UH3,UH4及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3,LH4の他端にそれぞれ接続されている。
また、電力供給線L1b,L2b間には、第2スイッチ57及び電磁接触器58の励磁コイル58aが直列に接続されている。第2スイッチ57は、前記第1及び第3動作モード時にオン操作されるもので、そのオン・オフ操作により電磁接触器58を開閉する。電磁接触器58は、励磁コイル58aの非通電状態では、リレースイッチ58b,58c,58d,58e,58f,58g,58hをオフしており、励磁コイル58aの通電によりリレースイッチ58b,58c,58d,58e,58f,58g,58hをオンする。リレースイッチ58b,58c,58d,58e,58f,58gの一端は電力供給線L1bにそれぞれ接続され、リレースイッチ58b,58c,58d,58e,58f,58gの他端は、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3,LH4の一端にそれぞれ接続されている。リレースイッチ58hの一端は電力供給線L2bに接続され、リレースイッチ58hの他端は、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3,UH4及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3,LH4の他端にそれぞれ接続されている。
このように構成した第4変形例においても、前記第2変形例と同様に、装置の作動が開始された状態で、第1及び第2スイッチ55,56を同時にオン操作すれば、励磁コイル56a,58aは通電されて、リレースイッチ56b,56c,56d,56e,56f,56g,56h及びリレースイッチ58b,58c,58d,58e,58f,58g,58hはオンする。これにより、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3,UH4及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3,LH4は電力供給線L1a,L2a、L1b,L2bを介して給電されて、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3,UH4及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3,LH4は発熱する。したがって、第1及び第2スイッチ51,53の同時オン操作により、食品Fの上面と下面はほぼ同一比率(ほぼ1対1)で加熱される。
また、第1及び第2スイッチ55,57のうちの第1スイッチ55のみをオン操作すれば、励磁コイル56aの通電により、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3,UH4及び下側電熱ヒータLH1,LH3は電力供給線L1a,L2aを介して給電されるが、下側電熱ヒータLH2,LH4は給電されず、上側電熱ヒータUH1,UH2,UH3,UH4及び下側電熱ヒータLH1,LH3のみが発熱する。したがって、前記第1スイッチ55のみのオン操作により、食品Fの上面と下面はほぼ2対1の比率で加熱される。さらに、第1及び第2スイッチ55,57のうちの第2スイッチ57のみをオン操作すれば、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3,LH4は電力供給線L1b,L2bを介して給電されるが、上側電熱ヒータUH2,UH4は給電されず、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3,LH4のみが発熱する。したがって、前記第2スイッチ57のみのオン操作により、食品Fの上面と下面はほぼ1対2の比率で加熱される。
その結果、この第4変形例においても、第1及び第2スイッチ55,57の選択操作により、食品Fの上面と下面の加熱比率は、ほぼ1対1、2対1又は1対2に選択的に設定されるので、上記実施形態、第1及び第2変形例の第1乃至第3動作モードと同様な加熱度合いを設定できて、上記実施形態、第1及び第2変形例の場合と同様な効果が期待される。ただし、この場合、前記第1乃至第3動作モードにおいて、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH3は常に通電されて発熱する。しかし、上側電熱ヒータUH2,UH4は第1及び第2動作モードのみにおいて通電されて発熱し、下側電熱ヒータLH2,LH4は第1及び第3動作モードのみにおいて通電されて発熱する。したがって、上側電熱ヒータUH1,UH3及び下側電熱ヒータLH1,LH3は上側電熱ヒータUH2,UH4及び下側電熱ヒータLH2,UH4に比べて使用頻度が高くなる傾向にあり、上側電熱ヒータUH1,UH2、UH3,UH4及び下側電熱ヒータLH1,LH2,LH3,LH4の使用時間は、上記実施形態、第1及び第3変形例の場合のように均等にならない。
e.その他の変形例
上記実施形態及び前記各種変形例においては、上側電熱ヒータ及び下側電熱ヒータを、それぞれ2つずつ、3つずつ、及び4つずつ設けた例について説明したが、さらに他の数ずつ上側電熱ヒータ及び下側電熱ヒータを設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態及び前記各種変形例においては、電熱ヒータとして、カーボンフィラメントを不活性ガスと共に石英ガラス管内に封入したガラス管タイプの遠赤外線ヒータを用いたが、遠赤外線の放射量が高いヒータであればこれに限定されることなく使用できる。また、電熱ヒータとして遠赤外線ヒータを用いたので、電熱ヒータの立ち上がり時間が短くて最高温度に達する時間が短い。しかし、この時間が問題にならなければ、その他の電熱ヒータを用いてもよい。例えば、シーズヒータ、セラミックヒータ、ハロゲンヒータなどの各種ヒータを用いることもできる。
また、上記実施形態及び各種変形例においては、コンベア20の上面20aを水平方向に延設するようにした。しかし、上面20aに載置した食品Fが自然落下しない程度に、上面20aを水平に対して傾斜させるようにしてもよい。さらに、上面20aに載置した食品Fの自然落下を防止するための防止策を施せば、例えばコンベア20の上面に食品Fの自然落下を防止するストッパ部材、固定部材などを設けるようにすれば、上面20aを水平に対して更に大きく傾斜させるようにしてもよい。
また、上記実施形態及び各種変形例に係るコンベア式食品加熱装置においても、上記背景技術の項で引用した特許文献1で説明されているように、冷蔵庫から取出したばかりの冷えた食品を加熱処理するための、過熱蒸気噴出器を設けるようにしてもよい。
さらに、本発明は、食品Fの加熱調理に限定されず、食品Fを加熱処理するものであれば、食品の加熱乾燥などを行う装置にも適用できるものである。例えば、農産物の野菜、キノコ、果物及び水産物の海藻類、丸魚などの食品(食材)を、上記実施形態及び各種変形例の第1動作モードのように、食品の上面側と下面側とでほぼ均一に加熱すると、ほぼ均一な乾燥食品ができる。
また、穀物の粉砕物、水性スリラー液などを、金属製の容器に入れてコンベア20の上面20a上に載置し、上記実施形態及び各種変形例の第2動作モードのように、上面側の加熱度合いを下面側の加熱度合いよりも大きくして、容器の温度上昇を抑制しながら加熱すると、焦げることなくほぼ均一な乾燥食品ができる。
また、開き魚などの食品(食材)の場合には、食品(魚)の皮側を下にしてコンベア20の上面20a上に載置し、上記実施形態及び各種変形例の第3動作モードのように、食品の上面側よりも下面側の加熱度合いを大きくして熱の入りにくい皮側を強く加熱すると、ほぼ均一な乾燥干物ができる。また、ブランチングしたカット野菜に応用する場合は、カット野菜を金網容器に入れてコンベア20の上面20a上に載置して搬送すると、下側からの加熱された空気の上昇自然対流が金網を通過してカット野菜の水分除去を円滑に行わせることができる。これは金網容器によって下からの光や輻射熱が遮られるので、上側よりも下側の熱量を大きくしておくのが均一乾燥に適しているからである。
このように、上記実施形態及び各種変形例に係るコンベア式食品加熱装置を用いて、前述のような第1乃至第3動作モードによって乾燥食品を製造すれば、遠赤外線で食品の内部加熱(表面側から1〜10mm)をすることができるので、表面の固化や収縮が抑制され、水戻しし易く、かつ食品の形態の変化の少ない乾燥食品を製造することができる。