JP5984132B2 - ターゲット供給装置 - Google Patents
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Description
ここで、材料に引張り応力(荷重/断面積)を与えると、この材料は破断し得る。この
破断するときの応力を、引張り強さ(N/mm2)と言い得る。
1.概要
2.EUV光生成装置の全体説明
2.1 構成
2.2 動作
3.ターゲット供給装置を備えたEUV光生成装置
3.1 用語の説明
3.2 第1実施形態
3.2.1 概略
3.2.2 構成
3.2.3 動作
3.3 第2実施形態
3.3.1 概略
3.3.2 構成
3.3.3 動作
3.4 第3実施形態
3.4.1 概略
3.4.2 構成
3.4.3 動作
3.5 第4実施形態
3.5.1 概略
3.5.2 構成
3.5.3 動作
本開示の実施形態においては、ターゲット供給装置は、第1の材料で筒状に形成されたタンクと、前記第1の材料よりも引張り強さの大きい第2の材料で形成され、前記タンクを覆う筒状部と、前記筒状部の軸方向の一端側に設けられ、第2の材料で形成され、挿通孔を備える第1蓋部と、前記筒状部の軸方向の他端側に設けられ、第2の材料で形成された第2蓋部と、前記タンク内部と連通するように、且つ前記挿通孔を挿通するように設置され、第1の材料で形成されたノズルと、を含んでもよい。
ところで、ターゲット生成器からターゲット物質を出力する場合、ターゲット生成器内に、高い圧力が加わり得る。例えば、ターゲット生成器内に、10MPa以上の圧力が加わり得る。ターゲット生成器が焼結により形成されている場合、この圧力によって、ターゲット生成器が破損し得る。そして、ターゲット生成器の破片が飛散して、ターゲット生成器周辺の装置が損傷し得る。
本開示の実施形態によれば、高張力材で形成された筒状部、第1の蓋部、および、第2の蓋部を含むカバー部材によってターゲット生成器を覆うため、圧力によってターゲット生成器が破損した場合であっても、カバー部材が破損することを防止し得る。したがって、ターゲット生成器の破片の飛散が抑制され、ターゲット生成器周辺の装置の損傷を抑制し得る。
2.1 構成
図1は、例示的なLPP方式のEUV光生成装置1の構成を概略的に示す。EUV光生成装置1は、少なくとも1つのレーザ装置3と共に用いられてもよい。EUV光生成装置1およびレーザ装置3を含むシステムを、以下、EUV光生成システム11と称する。図1を参照に、以下に詳細に説明されるように、EUV光生成装置1は、チャンバ2を含んでもよい。チャンバ2は、密閉可能であってもよい。EUV光生成装置1は、ターゲット供給装置7をさらに含んでもよい。ターゲット供給装置7は、例えばチャンバ2に取り付けられていてもよい。ターゲット供給装置7から供給されるターゲットの材料は、スズ、テルビウム、ガドリニウム、リチウム、キセノン、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せ等を含んでもよいが、これらに限定されない。
図1を参照に、レーザ装置3から出力されたパルスレーザ光31は、レーザ光進行方向制御部34を経て、パルスレーザ光32としてウインドウ21を透過して、チャンバ2に入射してもよい。パルスレーザ光32は、少なくとも1つのレーザ光経路に沿ってチャンバ2内に進み、レーザ光集光光学系22で反射されて、パルスレーザ光33として少なくとも1つのドロップレット27に照射されてもよい。
3.1 用語の説明
以下、ノズルの先端に近い側の方の温度を遠い方の温度よりも高くすることを、「軸方向に温度勾配を付ける」と説明し得る。
3.2.1 概略
本開示の第1実施形態によれば、ターゲット供給装置は、焼結材料により形成されたターゲット生成器と、カバー部材とを備えてもよい。ターゲット生成器のノズルは、ノズル本体部と、ノズル先端部とを備えてもよい。ノズル本体部は、タンクと一体的に形成されてもよい。ノズル先端部は、ノズル孔を有し、ノズル本体部の先端に着脱自在に取り付けられてもよい。
本実施形態のターゲット供給装置によれば、ノズル孔を有するノズル先端部がノズル本体部に対して着脱自在に構成されているため、酸化物がノズル孔に詰まった場合でも、ノズル先端部を交換するだけの簡単な方法で対応し得る。
図2は、ターゲット供給装置を備えるEUV光生成装置の構成を概略的に示す。図3は、ターゲット生成器およびカバー部材の構成を概略的に示す。図4は、ターゲット供給装置の構成を概略的に示す。
EUV光生成装置1Aは、図2に示すように、チャンバ2と、ターゲット供給装置7Aとを備えてもよい。ターゲット供給装置7Aは、ターゲット生成部70Aと、ターゲット制御装置80Aとを備えてもよい。
ターゲット生成部70Aは、図2〜図4に示すように、ターゲット生成器71Aと、カバー部材9Aと、圧力調整器74Aと、加熱部75Aと、図示しないピエゾ押出部と、を備えてもよい。
生成器本体710Aおよびノズル先端部730Aは、液体のターゲット物質270と反応しにくい焼結材料(第1の材料)で形成されてもよい。例えば、液体のターゲット物質270がスズである場合、これと反応しにくい焼結材料は、モリブデン、タングステン、タンタルであってもよい。
タンク711Aの中空部は、ターゲット物質270を収容する収容空間713Aであってもよい。
タンク711Aの上面には、Oリング用溝714Aが設けられてもよい。Oリング用溝714Aは、円環状に形成されてもよい。
タンク711Aには、ノズル本体部718Aが設けられてもよい。ノズル本体部718Aは、タンク711Aの下面中央から下方に延びる筒状に形成されてもよい。ノズル本体部718Aの中空部は、収容空間713A内のターゲット物質270がノズル先端部730Aに送られるための貫通孔719Aであってもよい。ノズル本体部718Aおよびノズル先端部730Aは、貫通孔719Aと収容空間713Aとが連通するように設置されたノズル712Aを構成してもよい。
孔が形成された部材731Aは、平面部分の外形寸法が貫通孔719Aの直径よりも大きく形成されてもよい。固定部材732Aは、平面部分の外形寸法が、孔が形成された部材731Aの平面部分の外形寸法よりも大きく形成されてもよい。固定部材732Aの上面には、嵌合用溝733Aが設けられてもよい。嵌合用溝733Aは、当該嵌合用溝733Aの内部に孔が形成された部材731Aが嵌め込まれたときに、孔が形成された部材731Aの上面と固定部材732Aの上面とが同一面を形成するように、設けられてもよい。
また、ノズル先端部730Aの中央には、孔が形成された部材731Aの上面と固定部材732Aの下面とを連通する錐状孔734Aが設けられてもよい。錐状孔734Aは、上から下に向かうに従って径寸法が大きくなる円錐状に形成されてもよい。錐状孔734Aの上端には、ノズル孔735Aが形成されてもよい。ノズル孔735Aの径は、6μm以上30μm以下であってもよい。
このように第1ボルト725Aがタンク711Aに取り付けられることで、ノズル先端部730Aはタンク711Aに固定される。それによりノズル孔735Aの中心がタンク711Aの中心軸上に位置し、かつ、孔が形成された部材731Aとノズル本体部718Aとの間が面シールされてもよい。
第2ヒータ755Aは、後述する筒状部911Aの外周面の下端側を加熱してもよい。第2温度センサ757Aは、主に筒状部911Aにおけるチャンバ2の内部に位置する部分の温度(ノズル本体部718A内のターゲット物質270の温度に近い値)を検出してもよい。
第3ヒータ759Aは、筒状部911Aの外周面の上端側を加熱してもよい。第3温度センサ761Aは、主に筒状部911Aにおけるチャンバ2の外部に位置する部分の温度(タンク711A内のターゲット物質270の温度に近い値)を検出してもよい。
カバー本体91Aおよび蓋部材92Aは、生成器本体710A、第1ボルト725A、ノズル先端部730Aの材料よりも引張り強さが大きい高張力材(第2の材料)で形成されてもよい。例えば、モリブデンよりも引張り強さの大きい高張力材は、SUS(ステンレス鋼)、鉄、インコネル(登録商標)、ハステロイ(登録商標)であってもよい。カバー本体91Aと蓋部材92Aとは、生成器本体710A、第1ボルト725A、ノズル先端部730Aの材料よりも熱膨張率が大きい材料で形成されてもよい。カバー本体91Aと蓋部材92Aとは、同じ材料で形成されてもよい。
筒状部911Aの上面には、円環状のOリング用溝913Aが設けられてもよい。筒状部911Aの外周面には、取付部914Aが設けられてもよい。取付部914Aは、外側に突出するように設けられてもよい。取付部914Aは、筒状部911Aの外周方向に沿って連続的に設けられていてもよいし、断続的に設けられてもよい。
下面部912Aの中央には、挿通孔915Aが設けられてもよい。
このとき、筒状部911Aとタンク711Aとの間が面シールされ、筒状部911Aの上面がタンク711Aの上面と略同一面上に位置し、下面部912Aとタンク711Aとの間が面シールされてもよい。また、挿通孔915Aとノズル本体部718Aとが面シールされ、下面部912Aの下面からノズル本体部718Aが突出してもよい。
カバー本体91Aと生成器本体710Aとは、第2ボルト931Aによって固定されてもよい。第2ボルト931Aは、カバー本体91Aおよび蓋部材92Aの材料と同じ材料で形成されてもよい。第2ボルト931Aは、下面部912Aの下側からボルト用挿通孔917Aに挿通されて、タンク711Aに螺合されてもよい。
カバー本体91Aは、取付部914Aよりも下端側がチャンバ2の挿通孔20Aを介してチャンバ2の内部に位置する状態で、取付部914Aがチャンバ2に固定されてもよい。
蓋部材92Aは、カバー本体91Aおよび蓋部材92Aの材料と同じ材料で形成された第3ボルト935Aによってタンク711Aに固定されてもよい。第3ボルト935Aは、蓋部材92Aの上側からボルト用挿通孔921Aに挿通されて、タンク711Aに螺合されてもよい。第3ボルト935Aと、蓋部材92Aのボルト用挿通孔921Aの内面との間には隙間があってもよい。
このとき、蓋部材92Aと、タンク711Aおよび筒状部911Aとが面シールされてもよい。Oリング用溝714Aに第1Oリング941Aを嵌め込むことで、生成器本体710Aと蓋部材92Aとの間をシールしてもよい。Oリング用溝913Aに第2Oリング942Aを嵌め込むことで、筒状部911Aと蓋部材92Aとの間をシールしてもよい。第1Oリング941Aは、メタルOリングであってもよい。第2Oリング942Aは、樹脂製のOリングであってもよい。
EUV光生成時には、加熱部75Aによってターゲット生成器71Aがターゲット物質270の融点以上の温度に加熱されている状態において、ターゲット制御装置80Aは、圧力調整器74Aに信号を送信して、ターゲット生成器71A内の圧力を所定の圧力に調節するよう構成されてもよい。
この所定の圧力とは、ノズル孔735Aにターゲット物質270によるメニスカス面が形成される程度の圧力でよく、この状態ではドロップレット27は出力されなくともよい。
例えば、ターゲット制御装置80Aは、以下の制御を行ってターゲット物質270を加熱する。
ターゲット制御装置80Aは、第1,第2,第3ヒータ751A,755A,759Aの目標温度T1t,T2t,T3tを、それぞれおよそ370℃,360℃,350℃に設定してもよい。
以上の処理によって、ターゲット生成器71A内のターゲット物質270には、軸方向の温度分布が付き得る。
電力の供給を受けたピエゾ素子は、電力の供給タイミングに合わせて変形し得る。これにより、ノズル本体部718Aが高速で押圧され、ドロップレット27が出力され得る。ターゲット生成器71A内が所定の圧力に維持されていれば、電力供給のタイミングに合わせてドロップレット27が出力され得る。
あるいは、ターゲット制御装置80Aは、ドロップレットを生成するための振動信号をピエゾ素子電源に送信してもよい。振動信号を受信したピエゾ素子電源は、ピエゾ素子に対して当該ピエゾ素子を振動させるための電力を供給してもよい。
電力の供給を受けたピエゾ素子は、ノズル712Aを高速で振動させ得る。これにより、ジェットは、一定周期で分断され、ドロップレットとして出力され得る。そして、このように出力されたドロップレットにパルスレーザ光が照射されることで、EUV光が生成されてもよい。
これにより、ターゲット物質270の酸化物が発生してノズル孔735Aに詰まった場合でも、ノズル先端部730Aを交換するだけの簡単な方法で対応し得る。
これにより、ターゲット生成器71Aの加熱前後において、タンク711Aと第1ボルト725Aとの螺合状態が維持され得るとともに、ノズル本体部718Aとノズル先端部730Aとの間の面シールが維持され得る。したがって、ノズル本体部718Aとノズル先端部730Aとの間から、ターゲット物質270が漏れる不具合を抑制し得る。
これにより、ターゲット生成器71Aの貫通孔719A内でのターゲット物質270の酸化物の析出を抑制し得る。したがって、酸化物が当該貫通孔719A内に詰まる可能性が低減し得る。さらには、ドロップレット27の出力方向の変化等の不具合を抑制し得る。
さらには、ノズル先端部730Aをタンク711Aに固定するために、圧入や係合でノズル先端部730Aをタンク711Aに固定してもよい。
これらの各構成は、後述する各実施形態においても適用してもよい。
3.3.1 概略
本開示の第2実施形態によれば、カバー部材の筒状部および第1,第2蓋部は、ターゲット生成器の材料(第1の材料)よりも膨張率が大きい材料(第2の材料)により形成されてもよい。筒状部は、第1蓋部に固定され、第2蓋部は、ターゲット生成器のタンクに固定されてもよい。第1蓋部は、カバー部材の温度がターゲット物質の融点以上の所定温度のときに、筒状部が第2蓋部と接触し、かつ、前記所定温度よりも低いときに筒状部と第2蓋部との間に隙間が存在するように、タンクに固定されてもよい。
本実施形態のターゲット供給装置によれば、ターゲット生成器およびカバー部材が加熱されると、カバー部材の膨張量は、ターゲット生成器の膨張量よりも大きくなり得る。そして、ターゲット生成器およびカバー部材が、ターゲット物質の融点以上の所定温度まで加熱されると、筒状部が第1蓋部から伸びるように変形して第2蓋部に接触し得る。この筒状部と第2蓋部との接触により、カバー部材内が密閉されることとなる。
図5Aは、第2実施形態に係るターゲット生成器およびカバー部材の構成を概略的に示し、ターゲット生成器およびカバー部材が加熱されていない状態を示す。図5Bは、図5Aに示すターゲット生成器およびカバー部材がターゲット物質の融点以上の温度に加熱された状態を示す。
ターゲット供給装置7Cを構成するターゲット生成器71Cは、図5Aに示すように、生成器本体710Cと、ノズル先端部730Cとを備えてもよい。
生成器本体710Cおよびノズル先端部730Cは、スズのターゲット物質270と反応しにくいモリブデンで形成されてもよい。
生成器本体710Cは、筒状に形成されたタンク711Cと、タンク711Cの下面中央から下方に延びる筒状のノズル本体部718Cとを備えてもよい。ノズル本体部718Cは、貫通孔719Aを有してもよい。ノズル本体部718Cおよびノズル先端部730Cは、ノズル712Cを構成してもよい。
ノズル先端部730Cは、孔が形成された部材731Cと、固定部材732Cとを備えてもよい。孔が形成された部材731Cおよび固定部材732Cは、モリブデンで形成され、第1ボルト725Aによってタンク711Cに固定されてもよい。
カバー本体91Cおよび蓋部材92Cは、生成器本体710C、第1ボルト725A、ノズル先端部730Cの材料よりも引張り強さが大きいSUSで形成されてもよい。
カバー本体91Cは、筒状部911Cと、この筒状部911Cの軸方向の一端側(下端側)に設けられた第1蓋部としての下面部912Cとを備えてもよい。筒状部911Cの外周面には、取付部914Cが設けられてもよい。
カバー本体91Cの内部には、タンク711Cが筒状部911C内に位置し、かつ、ノズル本体部718Cが挿通孔915Aに挿通するように、生成器本体710Cが収容されてもよい。このとき、筒状部911Cの上面がタンク711Cの上面よりも、寸法ΔL1だけ下方に位置してもよい。この寸法ΔL1は、およそ0.423mmであってもよい。
また、挿通孔915Aとノズル本体部718Cとが面シールされ、下面部912Cの下面からノズル本体部718Cが突出してもよい。カバー本体91Cと生成器本体710Cとは、第2ボルト931Aによって固定されてもよい。
図示しないターゲット制御装置は、図5Aに示すような、ターゲット生成器71Cおよびカバー部材9Cが20℃の状態(加熱されていない状態)において、第1,第2,第3ヒータ751A,755A,759Aの目標温度T1t,T2t,T3tを、それぞれおよそ370℃,360℃,350℃に設定してもよい。このような設定によって、加熱されたターゲット生成器71C内のターゲット物質270には、軸方向の温度分布が付き得る。
ここで、ターゲット生成器71Cおよびカバー部材9Cは、加熱されるとそれぞれ膨張し得る。また、下面部912Cがタンク711Cに固定され得るが、筒状部911Cは、タンク711Cおよび蓋部材92Cのいずれにも固定されない状態となり得る。このため、上述したような熱膨張係数の違いによって、カバー部材9Cの内部空間の高さ寸法、すなわち筒状部911Cの高さ寸法の増加量が、ターゲット生成器71Cの高さ寸法の増加量よりも寸法ΔL1だけ大きくなり得る。これにより、図5Bに示すように、筒状部911Cの上面とカバー本体91Cの下面とが接触して面シールされ得るとともに、つぶれた第2Oリング942Aによってもシールされ得る。
その後、第1実施形態と同様の動作によって、EUV光が生成され得る。
これにより、EUV光の生成のために、ターゲット生成器71Cおよびカバー部材9Cが、ターゲット物質270の融点以上の所定温度まで加熱されると、筒状部911Cが伸びるように変形して蓋部材92Cに接触し得る。
3.4.1 概略
本開示の第3実施形態によれば、カバー部材は、ターゲット生成器の材料(第1の材料)よりも膨張率が大きい材料(第2の材料)により形成されてもよい。カバー部材の第2蓋部は、タンクに固定されてもよい。カバー部材の温度がターゲット物質の融点以上の所定温度のときに、第1蓋部とノズル先端部との間に隙間が存在するように、筒状部が第2蓋部に固定されてもよい。
本実施形態のターゲット供給装置によれば、カバー部材がターゲット物質の融点以上の所定温度まで加熱されることで膨張した場合、第1蓋部とタンクとの間に隙間が形成され得るものの、第1蓋部とノズル先端部との間に隙間が設けられた状態を維持し得る。このため、第1蓋部とノズル先端部とが接触せず、ノズル先端部がノズル本体部から離れる方向に付勢されることを抑制し得る。したがって、ノズル先端部とノズル本体部との間から、ターゲット物質が漏れる不具合を抑制する。
図6Aは、第3実施形態に係るターゲット生成器およびカバー部材の構成を概略的に示し、ターゲット生成器およびカバー部材が加熱されていない状態を示す。図6Bは、図6Aに示すターゲット生成器およびカバー部材がターゲット物質の融点以上の温度に加熱された状態を示す。
ターゲット供給装置7Dを構成するカバー部材9Dは、カバー本体91Dと、第2蓋部としての蓋部材92Dとを備えてもよい。
カバー本体91Dおよび蓋部材92Dは、SUSで形成されてもよい。カバー本体91Dは、筒状部911Dと、第1蓋部としての下面部912Dとを備えてもよい。下面部912Dは、ボルト用挿通孔916Aを備え、ボルト用挿通孔917A(図3)を備えなくてもよい。蓋部材92Dには、複数のボルト用挿通孔922Dが設けられてもよい。ボルト用挿通孔922Dは、ボルト用挿通孔921Aの外側に設けられてもよい。
ターゲット生成器71Cおよびカバー部材9Dが加熱されていない20℃の状態において、カバー本体91Dの内部には、タンク711Cが筒状部911D内に位置し、かつ、ノズル本体部718Cが挿通孔915Aに挿通するように、生成器本体710Cが収容されてもよい。挿通孔915Aとノズル本体部718Cとが面シールされ、下面部912Dの下面からノズル本体部718Cが突出してもよい。また、タンク711Cと下面部912Dとが面シールされてもよい。
蓋部材92Dは、第3ボルト935Aによってタンク711Cに固定されてもよい。このとき、蓋部材92Dとタンク711Cとを面シールするとともに、第1Oリング941Aによって蓋部材92Dとタンク711Cとの間をシールしてもよい。また、蓋部材92Dは、ボルト用挿通孔922Dに挿通された第4ボルト936Dによって筒状部911Dに固定されてもよい。第4ボルト936Dと、蓋部材92Dのボルト用挿通孔922Dの内面との間には隙間があってもよい。このとき、蓋部材92Dと筒状部911Dとを面シールするとともに、第2Oリング942Aによって蓋部材92Dと筒状部911Dとの間をシールしてもよい。
ノズル先端部730Cは、ボルト用挿通孔736Aおよびボルト用挿通孔916Aに挿通された第1ボルト725Aによって、タンク711Cに固定されてもよい。
図示しないターゲット制御装置は、図6Aに示すような、ターゲット生成器71Cおよびカバー部材9Dが20℃の状態(加熱されていない状態)において、第1,第2,第3ヒータ751A,755A,759Aの目標温度T1t,T2t,T3tを、それぞれおよそ370℃,360℃,350℃に設定してもよい。
ここで、筒状部911Dが蓋部材92Dに固定され得るが、下面部912Dは、タンク711Cに固定されない状態となり得る。このため、上述したような熱膨張係数の違いによって、カバー部材9Dの内部空間の高さ寸法、すなわち筒状部911Dの高さ寸法の増加量が、ターゲット生成器71Cの高さ寸法の増加量よりも寸法ΔL2だけ大きくなり得る。これにより、図6Bに示すように、下面部912Dがタンク711Cから離れて下面部912Dとタンク711Cとの間に隙間が形成され得るが、当該下面部912Dと固定部材732Cとの接触が防止され得る。
その後、第1実施形態と同様の動作によって、EUV光が生成され得る。
これにより、EUV光の生成のために、ターゲット生成器71Cおよびカバー部材9Dが、ターゲット物質270の融点以上の所定温度まで加熱されることで、筒状部911Dが伸びるように変形した場合でも、下面部912Dとノズル先端部730Cとの間に隙間が設けられた状態を維持し得る。このため、下面部912Dによってノズル先端部730Cがノズル本体部718Cから離れる方向に付勢されることを抑制し得る。したがって、ノズル先端部730Cとノズル本体部718Cとの間から、ターゲット物質270が漏れる不具合を抑制し得る。
3.5.1 概略
本開示の第4実施形態によれば、ターゲット供給装置は、カバー部材の内周面とターゲット生成器の外周面との間に配置された熱伝導部材を備えてもよい。
本実施形態のターゲット供給装置によれば、ターゲット物質を溶融するためのヒータをカバー部材の外周面に配置しても、熱伝導部材を介してターゲット生成器内を効率よく加熱することが可能となり、ターゲット物質の温度制御の安定性が向上し得る。
図7Aは、第4実施形態に係るターゲット生成器およびカバー部材の構成を概略的に示し、ターゲット生成器およびカバー部材が加熱されていない状態を示す。図7Bは、図7Aに示すターゲット生成器およびカバー部材がターゲット物質の融点以上の温度に加熱された状態を示す。
ターゲット供給装置7Eを構成するターゲット生成器71Eは、図7Aに示すように、生成器本体710Eと、ノズル先端部730Cとを備えてもよい。
また、生成器本体710Eにおけるノズル本体部718Eよりも上方の部分は、軸方向の全範囲にわたって内径が同じ大きさのタンク711Eを構成してもよい。タンク711Eの中空部は、収容空間713Eであってもよい。
ノズル先端部730Cは、孔が形成された部材731Cと生成器本体710Eの下面との間が面シールされるように、第1ボルト725Aによって、生成器本体710Eに固定されてもよい。
ノズル本体部718Eおよびノズル先端部730Cは、貫通孔719Eと収容空間713Eとが連通するように設置されたノズル712Eを構成してもよい。
カバー本体91Eおよび蓋部材92Eは、SUSで形成されてもよい。カバー本体91Eは、筒状部911Eと、第1蓋部としての下面部912Eとを備えてもよい。
下面部912Eの中央には、挿通孔915Eが設けられてもよい。挿通孔915Eの内径は、固定部材732Cの外径よりも若干大きくてもよい。挿通孔915Eの外側には、複数のボルト用挿通孔917Eが設けられてもよい。ボルト用挿通孔917Eの外側には、例えば円環状のOリング用溝918Eが設けられてもよい。
カバー本体91Eの内部には、タンク711Eが筒状部911E内に位置し、かつ、ノズル先端部730Cが挿通孔915Eに挿通するように、生成器本体710Eが収容されてもよい。
このとき、生成器本体710Eの外周面と筒状部911Eの内周面との間に隙間が形成されてもよい。また、筒状部911Eの上面がタンク711Eの上面よりも、寸法ΔL3だけ下方に位置してもよい。この寸法ΔL3は、およそ0.423mmであってもよい。
また、カバー本体91Eと生成器本体710Eとは、ボルト用挿通孔917Eに挿通された第2ボルト931Eによって固定されてもよい。さらに、Oリング用溝918Eに嵌め込まれた第3Oリング943Eによって、下面部912Eにおけるボルト用挿通孔917Eよりも外側の領域と生成器本体710Eの下面との間をシールしてもよい。
図示しないターゲット制御装置は、図7Aに示すような、ターゲット生成器71Eおよびカバー部材9Eが20℃の状態(加熱されていない状態)において、第1,第2,第3ヒータ751A,755A,759Aの目標温度T1t,T2t,T3tを、それぞれおよそ370℃,360℃,350℃に設定してもよい。
ここで、下面部912Eが生成器本体710Eに固定され得るが、筒状部911Eは、生成器本体710Eおよび蓋部材92Eのいずれにも固定されない状態となり得る。このため、筒状部911Eの高さ寸法の増加量がターゲット生成器71Eの高さ寸法の増加量よりも寸法ΔL3だけ大きくなり得る。これにより、図7Bに示すように、筒状部911Eの上面とカバー本体91Eの下面とが接触して面シールされ得るとともに、つぶれた第2Oリング942Aによってもシールされ得る。
その後、第1実施形態と同様の動作によって、EUV光が生成され得る。
これにより、第2ヒータ755Aおよび第3ヒータ759Aをカバー部材9Eの外周面に配置しても、熱伝導部材95Eを介してターゲット生成器71E内を効率よく加熱することが可能となり、ターゲット物質270の温度制御の安定性が向上し得る。
これにより、熱伝導部材95Eである熱伝導グリースからガスが発生しても、当該ガスがカバー部材9Eの外部や収容空間713E内に漏れることを抑制し得る。
Claims (4)
- 第1の材料で筒状に形成されたタンクと、
前記第1の材料よりも引張り強さの大きい第2の材料で形成され、前記タンクを覆う筒状部と、
前記筒状部の軸方向の一端側に設けられ、第2の材料で形成され、挿通孔を備える第1蓋部と、
前記筒状部の軸方向の他端側に設けられ、第2の材料で形成された第2蓋部と、
前記タンク内部と連通するように、且つ前記挿通孔を挿通するように設置され、第1の材料で形成されたノズルと、を含み、
前記第2の材料の膨張率は、前記第1の材料の膨張率よりも大きく、
前記筒状部は、前記第1蓋部に固定され、
前記第2蓋部は、前記タンクに固定され、
前記第1蓋部は、前記筒状部の温度、前記第1蓋部の温度、および、前記第2蓋部の温度がターゲット物質の融点以上の所定温度のときに前記筒状部が前記第2蓋部と接触し、かつ、前記所定温度よりも低いときに前記筒状部と前記第2蓋部との間に隙間が存在するように、前記タンクに固定されるターゲット供給装置。 - 請求項1に記載のターゲット供給装置において、
前記ノズルは、前記タンクと一体的に形成されたノズル本体部と、前記ターゲット物質を出力するためのノズル孔を有し、前記ノズル本体部の先端に着脱自在に取り付けられるノズル先端部とを備え、
前記ノズル先端部は、前記第1蓋部を貫通して前記タンクに結合されたノズル先端部用結合部材によって、前記ノズル本体部に取り付けられ、
前記ノズル先端部および前記ノズル先端部用結合部材は、前記タンクの材料と膨張率が略等しい材料により形成されるターゲット供給装置。 - 請求項2に記載のターゲット供給装置において、
前記第1蓋部は、前記筒状部に固定され、
前記第2蓋部は、前記タンクに固定され、
前記筒状部は、前記筒状部の温度、前記第1蓋部の温度、および、前記第2蓋部の温度が前記ターゲット物質の融点以上の所定温度のときに前記第1蓋部と前記ノズル先端部との間に隙間が存在するように、前記第2蓋部に固定されるターゲット供給装置。 - 請求項1または2に記載のターゲット供給装置において、
前記筒状部の内周面と前記タンクの外周面との間に配置された熱伝導部材を備えるターゲット供給装置。
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