JP5983633B2 - ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーの製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、APFOは、自然界には存在せず分解され難い物質であり、更には、生物蓄積性が高いことが指摘されており、環境面からその排出を抑えることが提案されている。
例えば、特許文献1〜4には、鎖長部分にエーテル性酸素原子を導入して親水性をAPFOよりも上げた含フッ素カルボン酸およびその塩を、含フッ素乳化剤として使用してTFEを乳化重合する技術が提案されている。
そこで、これらの問題を解決するための方法として、PTFE乳化液のPTFE濃度を下げて凝集撹拌する方法がある。しかしながら、該方法では、凝集バッチ収量が低下し、更には、凝集時間が長くなり、生産性が低下した。また、PTFE濃度が低いと、PTFEの一次粒子が密に会合・凝集し難く、得られるPTFEファインパウダーの嵩密度が低下する傾向を示す。
凝析剤として、硝酸およびその塩、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等の、比較的低温で気化、分解される窒素化合物を用いる方法もある。しかしながら、上記窒素化合物の排出による河川、海洋の富栄養化が懸念され、窒素排出規制を考慮すると、排水処理のために手間やコストを要することとなり、更には、総生産量も限られたものとなる。
得られたPTFE乳化液を、PTFE濃度10〜25質量%に調整し、凝集温度5〜18℃で凝集撹拌して湿潤状態のPTFEファインパウダーを分離し、
得られた湿潤状態のPTFEファインパウダーを乾燥してPTFEファインパウダーを製造することを特徴とするPTFEファインパウダーの製造方法。
[6] 凝集撹拌して湿潤状態のPTFEファインパウダーを分離した凝集排液中の未凝集ポリテトラフルオロエチレン濃度が、0.4質量%未満である、[1]〜[5]のいずれかに記載のPTFEファインパウダーの製造方法。
[9] 湿潤状態のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーの乾燥を、アンモニアを含有する雰囲気下で行う、[1]〜[8]のいずれかに記載のPTFEファインパウダーの製造方法。
工程1:TFEを乳化重合してPTFE乳化液を製造する工程
工程2:PTFE乳化液を凝集撹拌して、水性媒体から湿潤状態のPTFEファインパウダーを分離する工程
工程3:湿潤状態のPTFEファインパウダーを乾燥する工程
以下、各工程について詳しく説明する。
工程1では、水性媒体と、炭素数4〜7で主鎖に1〜4個のエーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸およびその塩からなる群から選ばれる1種以上の含フッ素乳化剤と、ラジカル重合開始剤と、の存在下にて、TFEを乳化重合してPTFE乳化液を製造する。
PTFE乳化液の製造に用いる水性媒体としては、水、又は、水溶性有機溶媒を含有する水が好ましく、水がより好ましい。
PTFE乳化液の製造に用いるラジカル重合開始剤としては、水溶性ラジカル重合開始剤、水溶性酸化還元系触媒、油溶性ラジカル重合開始剤などが挙げられる。水溶性ラジカル重合開始剤または水溶性酸化還元系触媒が好ましい。
上記水溶性酸化還元系触媒としては、臭素酸またはその塩、塩素酸またはその塩、過硫酸またはその塩、過マンガン酸またはその塩、過酸化水素などの酸化剤と、亜硫酸またはその塩、亜硫酸水素またはその塩、チオ硫酸またはその塩、有機酸などの還元剤、との組み合わせが好ましい。
ラジカル重合開始剤は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。ラジカル重合開始剤としては、ジコハク酸パーオキシドがより好ましい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、最終的なPTFEの収量に対して0.01〜0.20質量%が好ましく、0.01〜0.15質量%がより好ましい。
TFEの乳化重合は、上記原料の他に更に安定化助剤を添加して行っても良い。
上記パーフルオロ(アルケニルビニルエーテル)としては、パーフルオロ(アリルビニルエーテル)、パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)などが挙げられる。
また、本発明においては、前記コモノマーとして、下式(1)で表わされる(ポリフルオロアルキル)エチレン(a)、および/または、TFEとの共重合におけるモノマー反応性比rTFEが0.1〜8であるコモノマー(b)(以下、(ポリフルオロアルキル)エチレン(a)とコモノマー(b)とをあわせて、「高反応性コモノマー」ともいう)を、用いてもよい。高反応性のコモノマーをTFEの乳化重合開始時に極微量添加することにより、界面活性能の低い含フッ素乳化剤を使用しても、PTFE乳化液の安定性が加工性等に悪影響を及ぼさない程度に適度に高く、耐熱性の高い成形品を得ることが可能な、高分子量のPTFE粒子が分散したPTFE乳化液を製造できる。
(式(1)中のRf1は、炭素数が1〜10のポリフルオロアルキル基である。)
ここで、TFEとの共重合におけるモノマー反応性比rTFE(以下、「モノマー反応性比rTFE」という)とは、成長ラジカルがTFEに基づく繰り返し単位末端である時に、該成長ラジカルがTFEと反応する場合の速度定数を、該成長ラジカルがコモノマーと反応する場合の速度定数で除した値である。この値が低いほど、コモノマーがTFEと高反応性であることを表す。モノマー反応性比rTFEは、TFEとコモノマーとを共重合して開始直後の生成ポリマー中の組成を求め、ファインマン−ロスの式より算出できる。
高反応性コモノマーは、最終的なPTFEの生成量に対して0.001〜0.01質量%となるように乳化重合系に含有させることが好ましい。
TFEの乳化重合条件について説明すると、重合温度は10〜95℃が好ましく、15〜90℃がより好ましい。重合圧力は0.5〜4.0MPaが好ましく、0.6〜3.5MPaがより好ましい。重合時間は90〜520分が好ましく、90〜450分がより好ましい。
TFEを乳化重合して得られるPTFE乳化液は、PTFE濃度が10〜45質量%であることが好ましく、15〜45質量%がより好ましく、20〜40質量%が特に好ましい。
次に、工程2では、PTFE乳化液を凝集撹拌して、水性媒体から湿潤状態のPTFEファインパウダー(以下、未乾燥PTFEファインパウダーという)を分離する。
なお、上記工程1で得られるPTFE乳化液中のPTFE濃度は、およそ10〜45質量%であるので、PTFE濃度が高い場合は、水等の希釈溶媒を添加して10〜25質量%に調整する。また、乳化重合後のPTFE乳化液中のPTFE濃度が10〜25質量%である場合は、PTFE乳化液を、そのまま凝集用PTFE乳化液として用いることができる。
なお、未乾燥PTFEファインパウダーを分離した後の水性媒体(凝集排水)には、含フッ素乳化剤が含まれているが、凝集排水に含まれる含フッ素乳化剤は、イオン交換樹脂により吸着する方法、水分を蒸発させるなどの濃縮方法、活性炭への吸着する方法などを用いて回収できる。
次に、工程3では、未乾燥PTFEファインパウダーを乾燥して、PTFEファインパウダーを製造する。
未乾燥PTFEファインパウダーの乾燥は、未乾燥PTFEファインパウダーをできるだけ流動させない状態で、好ましくは静置した状態で、乾燥することが好ましい。この時、真空、高周波、熱風などを用いて乾燥することも好ましい。
なお、尿素は、およそ130℃以上まで加熱しないとアンモニアまで分解しないので、低温で乾燥を行う場合は、アンモニアまたはアンモニウム塩の存在下で乾燥を行うことが好ましい。
なお、未乾燥PTFEファインパウダーが、乾燥時に揮発又は昇華する含フッ素乳化剤を吸着している場合には、乾燥時の排気をアルカリ水溶液(例えば、濃炭酸カリウム水溶液など)に導入することによって、吸着されていた含フッ素乳化剤を回収できる。
本発明において、凝集用PTFE乳化液中のPTFE濃度を10〜25質量%の範囲内で高くすることや、凝集温度を5〜18℃の範囲内で低くすることがより好ましい。
PTFEファインパウダーのSSGは、より分子量を上げる重合処方を採用すれば低い値となり、分子量を上げない重合処方を採用すれば高い値となる。
なお、本発明において、PTFEファインパウダーのSSGは、後述する実施例に記載した方法で測定した値である。
なお、本発明において、PTFEファインパウダーの平均粒子径は、後述する実施例に記載した方法で測定した値である。
PTFEファインパウダーは、ペースト押出し成形することにより、所望の成形品とすることができる。
PTFEファインパウダーのペースト押し出し成形方法としては、従来公知の方法を採用することができる。例えば、PTFEファインパウダーと潤滑剤とを混合してPTFEファインパウダーに流動性を付与した後、所望の形状にペースト押出し成形する方法が挙げられる。潤滑剤の混合割合は、PTFEファインパウダーが流動性を有するように、適宜選定すればよい。例えば、PTFEファインパウダーの100質量部に対し、潤滑剤を15〜30質量部混合することが好ましく、20〜25質量部がより好ましい。潤滑剤としては、ナフサ、乾点が100℃以上の石油系炭化水素が好ましい。また、着色するための顔料などの添加剤や、強度および導電性などを付与するための各種充填剤などを添加することもできる。
PTFEファインパウダーのペースト押出し成形物の形状としては、チューブ、シート、フィルム、繊維等が挙げられる。また、PTFEファインパウダーのペースト押出し成形物を、その後に延伸することにより、PTFEの延伸多孔体が得られる。延伸条件としては、適当な速度、例えば5%/秒〜1000%/秒の速度、適当な延伸倍率、例えば500%以上の延伸倍率、が採用される。延伸多孔体の空孔率は特に制限ないが、空孔率が50〜99%の範囲が好ましく、70〜98%の範囲が特に好ましい。延伸多孔体で構成される物品の形状としては、チューブ、シート、フィルム、繊維などが挙げられる。
レーザー散乱法粒子径分布分析計(堀場製作所社製、商品名「LA−920」)を用いてメジアン径を測定し、PTFEの一次粒子の平均粒子径を求めた。
PTFE乳化液を撹拌し、剪断を与えて凝集をした後、凝集排水の約10gをサンプリングしてガラスシャーレに採取し、120℃で2時間乾燥した。その後、残留分の質量をガラスシャーレにサンプリングした質量で除して、凝集排水中の未凝集PTFE濃度を算出した。
JIS K6891に準拠して測定した。上から順に20、30、40、45および60メッシュの標準ふるいを重ね、20メッシュのふるい上に粉末を乗せてふるい、各ふるい上に残るPTFEファインパウダーの質量を求めた。この質量に基づいて対数確率紙で算出した50%粒子径を、PTFEファインパウダーの平均粒子径とした。
JIS K6891に準拠して測定した。内容積100mLのステンレス鋼製のはかり瓶に、上部に設置された漏斗よりPTFEファインパウダーを落として、はかり瓶から盛り上がったPTFEファインパウダーを平板で擦り落とした後、はかり瓶内に残ったPTFEファインパウダーの質量を、はかり瓶の内容積で割った値をPTFEファインパウダーの嵩密度とした。
ASTM D1457−91a、D4895−91aに準拠して測定した。PTFEファインパウダーを12.0g計量し、内径28.6mmの円筒金型で34.5MPa、2分間保持した。これを290℃のオーブンへ入れて120℃/hrで昇温した。380℃で30分間保持した後、60℃/hrで降温して294℃で24分間保持した。23℃のデシケーター中で12時間保持した後、23℃での成形物と水との比重値を測定し、これをPTFEファインパウダーのSSGとした。
室温で2時間以上放置されたPTFEファインパウダーの100gを、内容量900ccのガラス瓶に入れ、潤滑剤(商品名「アイソパーH(登録商標)」、エクソン社製)の21.7gを添加し、3分間混合してPTFE混合物を得た。得られたPTFE混合物を25℃恒温槽に2時間放置した後に、リダクションレシオ(ダイスの入り口の断面積と出口の断面積の比)100、押出し速度51cm/分の条件で、25℃にて、直径2.5cm、ランド長1.1cm、導入角30°のオリフィスを通して、ペースト押出しして、ビードを得た。このときの押出しに要する圧力を測定し、押出し圧とした。
また、潤滑剤を加熱除去した上記ビートを、クランプ間3.8cmとなるよう、各末端を固定し、空気循環炉中で300℃に加熱した。そして、延伸速度1000%/秒、総延伸2400%の条件でビードを延伸することにより、応力緩和時間の測定用のサンプルを作製した。このサンプルの両方の末端を固定具で固定し、ぴんと張り全長25cmとした。そして、このサンプルを390℃のオーブン中に放置したときに破断するのに要する時間を求め、該時間を応力緩和時間とした。
邪魔板、撹拌機を備えた、内容積が100Lのステンレス鋼製オートクレーブに、C2F5OC2F4OCF2COONH4(Ammonium perfluoro−3,6−dioxaoctanoate、以降、「APFDO」と記す。)の50gと、パラフィンワックスの750gと、コハク酸の9.0gと、シュウ酸の0.3gと、脱イオン水の62Lとを仕込んだ。オートクレーブを窒素置換した後、減圧にして、CH2=CH−(CF2)4F(以下、「PFBE」と記す)の0.5gを仕込んだ。次いで、TFEで加圧し、撹拌しながら65℃に昇温した。次いでTFEで1.275MPaまで昇圧し、0.04質量%の過マンガン酸カリウム水溶液を3.5ml〜4.0ml/分で添加した。TFEを7.5kg添加した後、過マンガン酸カリウム水溶液の添加を止めて、APFDOを追加添加した。内温は90℃まで昇温した。この後、TFEを22kgまで添加し、反応を終了させ、オートクレーブ中のTFEを大気放出した。重合時間は215分であった。得られたPTFE乳化液を冷却し、上澄みのパラフィンワックスを除去した。PTFE乳化液中のPTFE濃度は約25質量%であった。また、PFBEの含有量は、最終PTFE収量に対して約0.002質量%であった。また、オートクレーブ中の凝固物は痕跡程度であった。そして、PTFEの一次粒子の平均粒子径は0.25μmであった。
このPTFE乳化液を、純水でPTFE濃度15質量%に希釈して、凝集用PTFE乳化液を調製した。そして、容量8Lの撹拌翼付きの凝集槽に、凝集用PTFE乳化液の7.3kgを仕込み、16℃に調整した後、20質量%炭酸アンモニウム水溶液の11.0g(炭酸アンモニウムは、PTFEの100質量部に対して0.2質量部)を投入し、427rpmで凝集させて、未乾燥PTFEファインパウダーを分離した。凝集排水中の未凝集のPTFE濃度は0.30質量%であった。
得られたPTFEファインパウダーの平均粒子径は390μm、嵩密度は580g/L、SSGは2.142であった。また、測定方法(F)に従いビードを得たところ、PTFEファインパウダーの押出し圧力は16.9MPaであった。このビードは断裂やボイドの発生が無い均一な多孔体であった。また、破断強度は29.2Nで、応力緩和時間は550秒であった。
実施例1で調製した凝集用PTFE乳化液(PTFE濃度15質量%)の7.3kgを、内容積8Lの撹拌翼付きの凝集槽に仕込み、12℃に調整した後、427rpmで凝集させた以外は、実施例1と同様にして未乾燥PTFEファインパウダーを分離した。凝集排水中の未凝集のPTFE濃度は0.20質量%であった。そして、実施例1と同様にして、未乾燥PTFEファインパウダーを乾燥し、PTFEファインパウダーを製造した。
得られたPTFEファインパウダーの平均粒子径は400μm、嵩密度は550g/Lであった。また、測定方法(F)に従いビードを得たところ、押出し圧力は16.7MPaであった。このビードは断裂やボイドの発生が無い均一な多孔体であった。また、破断強度は29.2Nで、応力緩和時間は509秒であった。
実施例1で調製したPTFE乳化液を、純水でPTFE濃度を17質量%に希釈して、凝集用PTFE乳化液を調製した。そして、内容積8Lの撹拌翼付きの凝集槽に、凝集用PTFE乳化液の7.3kgを仕込み、10℃に調整した後、427rpmで凝集させて、未乾燥PTFEファインパウダーを分離した。凝集排水中の未凝集のPTFE濃度は0.18質量%であった。そして、実施例1と同様にして、未乾燥PTFEファインパウダーを乾燥し、PTFEファインパウダーを製造した。
得られたPTFEファインパウダーの平均粒子径は380μm、嵩密度は570g/Lであった。
実施例3で調製した凝集用PTFE乳化液(PTFE濃度17質量%)の7.3kgを、内容積8Lの撹拌翼付きの凝集槽に仕込み、14℃に調整した後、20質量%炭酸アンモニウム水溶液の12.4g(炭酸アンモニウムは、PTFE100質量部に対して0.2質量部)を投入し、427rpmで凝集させた以外は、実施例1と同様にして未乾燥PTFEファインパウダーを分離した。凝集排水中の未凝集のPTFE濃度は0.28質量%であった。そして、実施例1と同様にして、未乾燥PTFEファインパウダーを乾燥し、PTFEファインパウダーを製造した。得られたPTFEファインパウダーの平均粒子径は380μm、嵩密度は560g/Lであった。
実施例1で調製したPTFE乳化液を、純水でPTFE濃度を13質量%に希釈して、凝集用PTFE乳化液を調製した。そして、内容積8Lの撹拌翼付きの凝集槽に、凝集用PTFE乳化液の7.3kgを仕込み、14℃に調整した後、427rpmで凝集させて、未乾燥PTFEファインパウダーを分離した。凝集排水中の未凝集のPTFE濃度は0.34質量%であった。そして、実施例1と同様にして、未乾燥PTFEファインパウダーを乾燥し、PTFEファインパウダーを製造した。
得られたPTFEファインパウダーの平均粒子径は460μm、嵩密度は520g/Lであった。また、測定方法(F)に従いビードを得たところ、押出し圧力は16.7MPaであった。このビードは断裂やボイドの発生が無い均一な多孔体であった。また、破断強度は32.2Nで、応力緩和時間は587秒であった。
実施例1で調製したPTFE乳化液を、純水でPTFE濃度を10質量%に希釈して、凝集用PTFE乳化液を調製した。そして、内容積8Lの撹拌翼付きの凝集槽に、凝集用PTFE乳化液の7.3kgを仕込み、17℃に調整した後、427rpmで凝集させて、未乾燥PTFEファインパウダーを分離した。凝集排水中の未凝集のPTFE濃度は0.30質量%であった。そして、実施例1と同様にして、未乾燥PTFEファインパウダーを乾燥し、PTFEファインパウダーを製造した。
得られたPTFEファインパウダーの平均粒子径は530μm、嵩密度は510g/Lであった。また、測定方法(F)に従いビードを得たところ、押出し圧力は17.2MPaであった。このビードは断裂やボイドの発生が無い均一な多孔体であった。また、破断強度は29.6Nで、応力緩和時間は577秒であった。
邪魔板、撹拌機を備えた、内容積100Lのステンレス鋼製オートクレーブに、APFDOの63gと、パラフィンワックスの670gと、脱イオン水の60Lとを仕込んだ。オートクレーブを窒素置換した後減圧にして、TFEで加圧し、撹拌しながら70℃に昇温した。次いでTFEで1.765MPaまで昇圧し、ジコハク酸パーオキシド(濃度80質量%、残りは水分)の5.0gを溶解して注入した。3分ほどで内圧が1.78MPaまで降下した。オートクレーブ内圧を1.80MPaに保つようにTFEを添加しながら重合を進行させた。APFDOを温水に溶解して重合途中でAPFDOとして合計125g添加した。また亜硫酸アンモニウムを水に溶解して重合途中で亜硫酸アンモニウムとして合計4g添加した。温度は途中64℃まで下げ、重合後半は80℃まで昇温した。TFEの添加量が26kgになったところで反応を終了させ、オートクレーブ中のTFEを大気放出した。重合時間は183分であった。得られたPTFE乳化液を冷却し、上澄みのパラフィンワックスを除去した。PTFE乳化液中のPTFE濃度は約28質量%であった。またPTFEの一次粒子の平均粒子径は0.33μmあった。反応器中の凝固物は痕跡程度であった。
このPTFE乳化液を、純水でPTFE濃度を10質量%に希釈して、凝集用PTFE乳化液を調製した。そして、内容積8Lの撹拌翼付きの凝集槽に、凝集用PTFE乳化液の7.3kgを仕込み、18℃に調整した後、427rpmで凝集させて、未乾燥PTFEファインパウダーを製造した。凝集排水中の未凝集のPTFE濃度は0.14質量%であった。
得られたPTFEファインパウダーの平均粒子径は500μm、嵩密度は500g/L、SSGは2.151であった。また、測定方法(F)に従いビードを得たところ、押出し圧力は16.9MPaであった。このビードは断裂やボイドの発生が無い均一な多孔体であった。また、破断強度は24.3Nで、応力緩和時間は634秒であった。
実施例7で調製したPTFE乳化液を、純水でPTFE濃度を13質量%に希釈して、凝集用PTFE乳化液を調製した。そして、内容積8Lの撹拌翼付きの凝集槽に、凝集用PTFE乳化液の7.3kgを仕込み、14℃に調整した後、427rpmで凝集させて、未乾燥PTFEファインパウダーを分離した。凝集排水中の未凝集のPTFE濃度は0.15質量%であった。そして、実施例7と同様にして、未乾燥PTFEファインパウダーを乾燥し、PTFEファインパウダーを製造した。
得られたPTFEファインパウダーの平均粒子径は460μm、嵩密度は520g/Lであった。また、測定方法(F)に従いビードを得たところ、押出し圧力は17.6MPaであった。このビードは断裂やボイドの発生が無い均一な多孔体であった。また、破断強度は25.1Nで、応力緩和時間は683秒であった。
実施例7で調製したPTFE乳化液を、純水でPTFE濃度を17質量%に希釈して、凝集用PTFE乳化液を調製した。そして、8Lサイズ撹拌翼付きの凝集槽に、凝集用PTFE乳化液の7.3kgを仕込み、11℃に調整した後、427rpmで凝集させて、未乾燥PTFEファインパウダーを分離した。凝集排水中の未凝集のPTFE濃度は0.10質量%であった。そして、実施例7と同様にして、未乾燥PTFEファインパウダーを乾燥し、PTFEファインパウダーを製造した。
得られたPTFEファインパウダーの平均粒子径は390μm、嵩密度は540g/Lであった。また、測定方法(F)に従いビードを得たところ、押出し圧力は17.2MPaであった。このビードは断裂やボイドの発生が無い均一な多孔体であった。また、破断強度は23.5Nで、応力緩和時間は628秒であった。
実施例7で調製したPTFE乳化液を、純水でPTFE濃度を21質量%に希釈して、凝集用PTFE乳化液を調製した。そして、内容積8Lの撹拌翼付きの凝集槽に、凝集用PTFE乳化液の7.3kgを仕込み、9℃に調整した後、427rpmで凝集させて、未乾燥PTFEファインパウダーを分離した。凝集排水中の未凝集のPTFE濃度は0.16質量%であった。そして、実施例7と同様にして、未乾燥PTFEファインパウダーを乾燥し、PTFEファインパウダーを製造した。
得られたPTFEファインパウダーの平均粒子径は380μm、嵩密度は600g/Lであった。また、測定方法(F)に従いビードを得たところ、押出し圧力は17.1MPaであった。このビードは断裂やボイドの発生が無い均一な多孔体であった。また、破断強度は23.5Nで、応力緩和時間は611秒であった。
実施例1で調製した凝集用PTFE乳化液(PTFE濃度15質量%)の7.3kgを、内容積8Lの撹拌翼付きの凝集槽に仕込み、20℃に調整した後、427rpmで凝集させた以外は、実施例1と同様にして未乾燥PTFEファインパウダーを分離した。凝集排水中の未凝集のPTFE濃度は1.31質量%であった。そして、実施例1と同様にして、未乾燥PTFEファインパウダーを乾燥し、PTFEファインパウダーを製造した。
得られたPTFEファインパウダーの平均粒子径は510μm、嵩密度は550g/Lであった。また、測定方法(F)に従いビードを得たところ、押出し圧力は16.7MPaであった。このビードは断裂やボイドの発生が無い均一な多孔体であった。また、破断強度は28.8Nで。応力緩和時間は549秒であった。
実施例6で調製した凝集用PTFE乳化液(PTFE濃度10質量%)の7.3kgを、内容積8Lの撹拌翼付きの凝集槽に仕込み、20℃に調整した後、427rpmで凝集させた以外は、実施例1と同様にして未乾燥PTFEファインパウダーを分離した。凝集排水中の未凝集のPTFE濃度は1.18質量%であった。そして、実施例1と同様にして、未乾燥PTFEファインパウダーを乾燥し、PTFEファインパウダーを製造した。
得られたPTFEファインパウダーの平均粒子径は580μm、嵩密度は500g/Lであった。また、測定方法(F)に従いビードを得たところ、押出し圧力は16.7MPaであった。このビードは断裂やボイドの発生が無い均一な多孔体であった。また、破断強度は31.0Nで、応力緩和時間は616秒であった。
実施例1で調製したPTFE乳化液を、純水でPTFE濃度を8質量%に希釈して、凝集用PTFE乳化液を調製した。そして、内容積8Lの撹拌翼付きの凝集槽に、凝集用PTFE乳化液の7.3kgを仕込み、20℃に調整した後、427rpmで凝集させて、未乾燥PTFEファインパウダーを分離した。凝集排水中の未凝集のPTFE濃度は0.68質量%であった。そして、実施例1と同様にして、未乾燥PTFEファインパウダーを乾燥し、PTFEファインパウダーを製造した。
得られたPTFEファインパウダーの平均粒子径は580μm、嵩密度は490g/Lであった。
上記結果を表1〜3にまとめて記す。
また、電線被覆、多孔膜、フィルター、摺動部材、シール材などの用途にも適する。
なお、2012年2月2日に出願された日本特許出願2012−020530号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである
Claims (7)
- 水性媒体と、炭素数4〜7で主鎖に1〜4個のエーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸およびその塩からなる群から選ばれる1種以上の含フッ素乳化剤と、ラジカル重合開始剤と、の存在下に、テトラフルオロエチレンを乳化重合してポリテトラフルオロエチレン乳化液を製造し、
得られたポリテトラフルオロエチレン乳化液を、ポリテトラフルオロエチレン濃度10〜25質量%に調整し、凝集温度5〜18℃で、凝析剤を使用せずに凝集撹拌して湿潤状態のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーを分離して、凝集排液中の未凝集ポリテトラフルオロエチレン濃度を0.4質量%未満とし、
得られた湿潤状態のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーを乾燥してポリテトラフルオロエチレンファインパウダーを製造することを特徴とするポリテトラフルオロエチレンファインパウダーの製造方法。 - 前記ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーの嵩密度が500g/L以上である、請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーの製造方法。
- 前記ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーの標準比重が2.135〜2.220である、請求項1又は2に記載のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーの製造方法。
- 重合温度10〜95℃、重合圧力0.5〜4.0MPa、重合時間90〜520分の乳化重合条件で、テトラフルオロエチレンの乳化重合を行いポリテトラフルオロエチレン乳化液を製造する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーの製造方法。
- 前記含フッ素乳化剤が、CF3O(CF2)3OCHFCF2COONH4、CF3OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4、C3F7OCF(CF3)COONH4、またはC2F5OCF2CF2OCF2COONH4である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーの製造方法。
- 前記含フッ素乳化剤の使用量が、ポリテトラフルオロエチレンの収量に対して1500〜20000ppmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーの製造方法。
- 湿潤状態のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーの乾燥を、アンモニアを含有する雰囲気下で行う、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーの製造方法。
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