JP5983508B2 - 火花点火式エンジンの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料としてアルコール、ガソリン、またはこれらの混合燃料が供給される火花点火式エンジンの制御装置に関する。
近年、地球温暖化等の環境問題を改善する視点から、植物資源(例えばサトウキビやトウモロコシ)から精製されたいわゆるバイオマスエタノールを車両用エンジンの燃料に使用することが考案され、実用化されている。
バイオマスエタノールは、しばしばガソリンと混合された状態で使用される。例えば、ガソリンにエタノールが25%混合されたE25と呼ばれる燃料と、エタノールが95%(残りは水)のE95と呼ばれる燃料とが販売されている。ところが、車両を使用するユーザは、そのときどきの値段等によってどちらの燃料を給油するかを決めるため、車両の燃料タンク内の燃料は、E25とE95とが任意の割合で混合したものになる。このため、燃料中のエタノールの濃度は、給油のたびに変動し、25%から95%まで任意の数値を取り得る。
そこで、エタノール含有燃料を使用する車両では、エタノール濃度が変動しても対応できるように、燃料のエタノール濃度を推定しまたは特許文献1、2に開示されるようなアルコールセンサを用いて検出し、取得されたエタノール濃度に応じて燃料噴射量を変更する等の機能を備えたエンジンが搭載される。このように任意のエタノール濃度(一般にはアルコール濃度)の燃料を使用可能な車両のことを、フレックス燃料自動車(FFV:flexible fuel vehicle)という。
特開平05−60003号公報 特開2010−133288号公報
ところで、エタノールのようなアルコールを含有した燃料においては、ガソリン100%の燃料(E0)と比べて、アルコール濃度が高いほど燃料の気化性能が悪化するという問題がある。その理由は、ガソリンは分子式の異なる複数成分の混合物であるため、低沸点成分の存在により比較的低温でも一部が蒸発・気化し得るのに対し、アルコールは1つの分子式で定義される単成分であるため、沸点(エタノールで78.3℃)以下ではほとんど蒸発・気化しないからである。そして、このようなアルコール含有燃料の性質のため、FFVではいわゆる減速燃料カットからの燃料復帰時に次のような問題が起こり得る。
すなわち、減速燃料カット制御は、車両の減速走行時、所定の燃料カット条件(例えば車速が所定車速以上であること等)が成立したときに、燃費向上等のためにエンジンに対する燃料供給を断つ制御である。この減速燃料カット制御の実行中は、インジェクタからの燃料噴射および点火プラグによる火花点火が停止される。そして、燃料カットによる車速の低下に伴い、エンジン回転数が所定の復帰回転数まで低下すると、エンジンストールを回避するために、インジェクタからの燃料供給および点火プラグによる点火・燃焼が再開される(燃料復帰)。
したがって、上記減速燃料カットからの燃料復帰時は、それまでの燃料カットに伴う燃焼の停止により筒内温度が低下しているので、アルコール濃度の高い燃料を使用した場合には、燃料が充分に気化せず、失火等を引き起こすことが懸念されるのである。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、アルコール含有燃料が供給される火花点火式エンジンにおいて、減速燃料カットからの燃料復帰時の燃焼安定性を確保することが可能な火花点火式エンジンの制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、気筒に燃料を噴射するインジェクタと、噴射された燃料に点火する点火プラグとを備え、上記燃料として、アルコール、ガソリン、またはこれらの混合燃料が供給される火花点火式エンジンの制御装置であって、上記燃料のアルコール濃度を取得する濃度取得手段と、上記気筒への吸気充填量を調節する吸気充填量調節手段と、車両の減速走行時、所定の燃料カット条件が成立したとき、上記エンジンに対する燃料供給を断つ減速燃料カット手段と、上記燃料供給が断たれた状態で所定の燃料復帰条件が成立したとき、上記エンジンに対する燃料供給を再開する燃料復帰手段と、上記燃料供給の再開時、燃料のアルコール濃度が高いほど上記気筒への吸気充填量を増大する制御手段と、上記気筒への吸気充填量の増大時、車両の走行抵抗を増大させる走行抵抗増大手段とを備え、上記走行抵抗増大手段は、エンジン水温が所定の閾値温度以上のときに車両の走行抵抗を増大させることを特徴とする火花点火式エンジンの制御装置である(請求項1)。
本発明によれば、アルコール含有燃料が供給される火花点火式エンジンにおいて、減速燃料カットからの燃料復帰時は、燃料のアルコール濃度が高いほど気筒への吸気充填量が増大される。減速燃料カットからの復帰時は、それまでの燃料カットに伴う燃焼の停止により筒内温度が低下しているので、気筒に噴射した燃料の蒸発・気化性が悪化し易い。これに対し、本発明では、燃料のアルコール濃度が高いほど吸気充填量が増大されるので、これに伴い、圧縮時の筒内温度が高められる。これにより、たとえアルコール濃度の高い混合燃料であっても、燃料の筒内での気化が促進・改善され、燃焼室内での蒸発・気化量が多くなり、燃焼安定性が確保される。
ただし、上記のように、燃料カットからの燃料復帰時の燃焼安定性を確保するために、燃料のアルコール濃度が高いほど気筒への吸気充填量を増大すると、吸気負圧が減少してエンジンの回転抵抗が低下する。そのため、エンジンブレーキによる制動感(以下「エンブレ感」という)が低減し、空走感が生じるという不具合が起こり得る。これに対し、本発明によれば、上記気筒への吸気充填量の増大時(すなわち燃料カットからの燃料復帰時)に、車両の走行抵抗が増大されるので、上記のような不具合が回避され、適正なエンブレ感が付与される。
しかも、本発明では、エンジン水温が所定の閾値温度以上でないと車両の走行抵抗が増大されないので、エンジン水温が所定の閾値温度未満のとき、つまりエンジン水温が比較的低く、そのため機械抵抗が大きく、吸気充填量が増大されてもある程度のエンブレ感が得られるようなときに、無駄に車両の走行抵抗が増大されることが防がれる。
以上により、本発明によれば、アルコール含有燃料が供給される火花点火式エンジンにおいて、減速燃料カットからの燃料復帰時の燃焼安定性を確保することが可能な火花点火式エンジンの制御装置が提供される。
本発明において、好ましくは、上記制御手段は、上記燃料供給の再開時、冷間状態ほど上記気筒への吸気充填量を増大する(請求項2)。
冷間時(例えばエンジン水温が比較的低いときや、燃料カット時間が比較的長いとき等)は、ただでさえ燃料の蒸発・気化性が悪い。しかも、燃料が、沸点以下ではほとんど蒸発・気化しないアルコールを含有するアルコール含有燃料である場合はなおさらである。これに対し、本発明では、冷間状態ほど(例えばエンジン水温が低いほど、燃料カット時間が長いほど)吸気充填量が増大されるので、これに伴い、圧縮時の筒内温度が高められる。これにより、たとえ筒内温度が低下して燃料が蒸発・気化し難い冷間状態であっても(特にアルコールの沸点以下の冷間状態であっても)、燃料の筒内での気化が促進・改善され、燃焼室内での蒸発・気化量が多くなり、燃焼安定性が確保される。
本発明において、好ましくは、上記制御手段は、燃料のアルコール濃度が所定濃度より高いこと、エンジン水温が所定温度より低いこと、及び燃料カット時間が所定時間より長いことのうちの少なくとも1つに該当するときは、上記インジェクタに燃料の一部または全部を圧縮行程の後半で噴射させる(請求項3)。
この構成によれば、燃料のアルコール濃度や筒内温度の観点から、燃料の蒸発・気化性が所定の基準レベルよりも低下しているときは、燃料の少なくとも一部が圧縮行程後半で筒内に噴射されるので、燃料は温度が高められた筒内環境の中に噴射される。これにより、たとえ燃料が蒸発・気化し難いときであっても、噴射された燃料の筒内での気化が促進・改善され、燃焼室内での蒸発・気化量が多くなり、燃焼安定性が確保される。
本発明において、好ましくは、上記走行抵抗増大手段は、上記燃料供給の再開時に開放されている変速機内のブレーキ要素をスリップさせるものである(請求項)。
この構成によれば、車輪とエンジンとの間にある変速機の内部でのトルク伝達に制動力が作用することによって、燃料カットからの燃料復帰時に、車両の走行抵抗が確実に増大する。
本発明において、好ましくは、上記走行抵抗増大手段は、エンジンの出力軸で駆動されるオルタネータを発電させるものである(請求項)。
この構成によれば、エンジンの出力軸にオルタネータを発電させるための負荷が作用することによって、燃料カットからの燃料復帰時に、車両の走行抵抗が確実に増大する。
本発明は、アルコール含有燃料が供給される火花点火式エンジンにおいて、減速燃料カットからの燃料復帰時の燃焼安定性を確保できるから、バイオマスエタノールを燃料として使用し得るFFVの技術の発展向上に寄与する。
本発明の実施形態に係るFFVに搭載された火花点火式エンジンの全体構成図である。 上記エンジンに連結された自動変速機の構成を示す骨子図である。 上記自動変速機の摩擦要素と変速段との関係を示す締結表である。 上記エンジンの制御システム図である。 上記自動変速機の変速マップの概念図である。 燃焼安定性指標と当量比との関係が、燃料のエタノール濃度および充填効率によってどのように変化するかを示したグラフである。 上記エンジンのPCMが行う減速燃料カット制御の各種パラメータの変化を示すタイムチャートである。 上記減速燃料カット制御のフローチャートである。
以下、図面に基いて本発明の実施形態を説明する。
(1)エンジンの構成
図1に示すように、本実施形態に係る火花点火式エンジン1は、複数の気筒2(図1には1つのみ図示)を有する4サイクルエンジンであり、出力軸であるクランク軸3を回転自在に支持するシリンダブロック4と、シリンダブロック4の上方に配置されたシリンダヘッド5と、シリンダブロック4の下方に配置されたオイルパン6と、シリンダヘッド5の上方に配置されたヘッドカバー7とで、エンジン本体の外形が略形成されている。
各気筒2にコンロッド8を介してクランク軸3に連結されたピストン9が摺動自在に収容され、ピストン9の上方に燃焼室10が形成されている。燃焼室10に燃料を直接噴射するインジェクタ11がシリンダヘッド5に設けられ、燃焼室10の天井壁部に点火プラグ12と、吸気ポート13を開閉するための吸気弁14と、排気ポート15を開閉するための排気弁16とが設けられている。吸気弁14および排気弁16はそれぞれ図略のカムシャフトを有する動弁機構17,18によってクランク軸3に連動して開閉駆動される。
吸気ポート13に吸気通路20が接続され、排気ポート15に排気通路30が接続されている。吸気通路20に吸入空気量を調節するためのスロットル弁21が備えられ、排気通路30に排気ガスを浄化するための図略の三元触媒を収容する触媒装置31が備えられている。
シリンダブロック4の下部およびオイルパン6の上部に亘る空間を覆うエンジン本体の部分であるクランクケースとスロットル弁21より吸気下流の吸気通路20との間に、燃焼室10からクランクケースに漏れ出した未燃の混合気(ブローバイガス)を吸気通路20に還流させるためのPCV(positive crankcase ventilation)ホース23が設けられている。ヘッドカバー7とスロットル弁21より吸気上流の吸気通路20との間に、通気のための別のベンチレーションホース24が設けられている。
また、エンジン1は、クランク軸3で駆動されて発電を行うオルタネータ25を備えている。
本実施形態に係るエンジン1は、エタノールを含有する燃料を使用することが可能なエンジンである。すなわち、本実施形態に係る車両はFFV(フレックス燃料自動車)である。そのため、燃料タンク40には、例えばE95(エタノール95%+水5%の燃料)やE25(エタノール25%+ガソリン75%の燃料)等のエタノール含有燃料が給油される。給油時は、E95またはE25が任意の量だけ燃料タンク40に注がれるから、燃料タンク40内の燃料のエタノール濃度は、そのときどきで様々な値を取り得る。そして、燃料タンク40内のエタノール含有燃料は、燃料供給管41を介してインジェクタ11に供給され、インジェクタ11から燃焼室10に直接噴射される。
本実施形態に係るエンジン1では、燃料が燃焼室10に直接噴射されるので、インジェクタ11に供給される燃料の圧力が比較的高圧に設定されている。そのため、インジェクタ11から噴射される燃料の微粒化が促進される。
本実施形態に係るエンジン1では、幾何学的圧縮比および有効圧縮比が比較的高圧縮比に設定されている(例えば幾何学的圧縮比はガソリンエンジンとしては高めの値である12.5以上20以下に設定されている)。そのため、例えばエンジン1の始動時等に燃料が圧縮行程後半で燃焼室10に直接噴射された場合、噴射された燃料は高温の燃焼室10内で気化が促進され、点火プラグ12の周りでリッチな混合気を生成し(弱成層)、燃料の微粒化と併せて着火安定性の向上が図られる。
ところで、ガソリンは分子式の異なる複数成分の混合物であるのに対し、アルコールは1つの分子式で定義される単成分である。そのため、ガソリンは低沸点成分の存在により比較的低温でも一部が蒸発・気化して着火燃焼し得るが、アルコールは沸点(エタノールで78.3℃)以下ではほとんど蒸発・気化しないため着火燃焼せず、エンジン始動が難しくなる。
この問題に対処するため、従来、エンジン始動専用に、エタノール濃度の低いE25専用またはガソリン専用のサブタンク、供給管、フュエルレール、およびサブインジェクタを備え、エンジン始動時は、このエンジン始動専用のサブの燃料系統を用いてエンジンを始動することが行われている(サブタンクシステム)。しかし、メインの燃料系統(上記燃料タンク40、燃料供給管41、インジェクタ11等)に加えてサブの燃料系統を備えると、ハード面の複雑化、コスト面の上昇、および車両重量の増大を招く。また、サブタンクの配置場所等、安全面でも解決すべき課題が生じる。
そこで、本実施形態に係るエンジン1では、エンジン始動専用のサブタンクシステムを備える代わりに、上述のように、インジェクタ11から燃焼室10に噴射される燃料の液滴の微粒化を図るとともに、圧縮比を高くしてピストン9上昇時の燃焼室10温度を高め、燃料を圧縮行程後半で燃焼室10に噴射することにより、たとえアルコール濃度の高い混合燃料であっても、特にアルコールの沸点以下の冷間始動時であっても、燃焼室10内での蒸発・気化量を多くして、エンジン1の始動性を確保するようにしたものである(サブタンクレスシステム)。
(2)自動変速機の構成
図2は、上記エンジン1に連結された自動変速機60の構成を示す骨子図である。この自動変速機60は、主たる構成要素として、クランク軸3に連結されたトルクコンバータ61と、トルクコンバータ61の出力回転が入力軸62を介して入力される変速機構63とを備えている。変速機構63は、入力軸62の軸心上に配置された状態で変速機ケース64に収納されている。
変速機構63の出力回転が、入力軸62の軸心上において入力軸62の中間部に配置された出力ギヤ65からカウンタドライブ機構66を介して差動装置67に伝達され、左右の車軸67a,67bが駆動される。
トルクコンバータ61は、クランク軸3に連結されたケース61aと、このケース61a内に固設されたポンプ61bと、このポンプ61bに対向配置されてポンプ61bにより作動油を介して駆動されるタービン61cと、上記ポンプ61bとタービン61cとの間に介設され、かつ、上記変速機ケース64にワンウェイクラッチ61dを介して支持されてトルク増大作用を行うステータ61eと、上記ケース61aとタービン61cとの間に設けられ、上記ケース61aを介してクランク軸3とタービン61cとを直結するロックアップクラッチ61fとで構成されている。そして、タービン61cの回転が入力軸62を介して変速機構63に伝達される。
変速機構63は、第1、第2、第3プラネタリギヤセット70,80,90を有し、これらが変速機ケース64内における上記出力ギヤ65の反トルクコンバータ側において、トルクコンバータ側から上記順に配置されている。
変速機構63を構成する摩擦要素として、出力ギヤ65のトルクコンバータ側に、第1クラッチ100および第2クラッチ110が配置されているとともに、出力ギヤ65の反トルクコンバータ側に、第1ブレーキ120、第2ブレーキ130、および第3ブレーキ140がトルクコンバータ側から上記順に配置されている。
第1、第2、第3プラネタリギヤセット70,80,90は、いずれもシングルピニオン型のプラネタリギヤセットである。各ギヤセット70,80,90は、それぞれ、サンギヤ71,81,91と、これらのサンギヤ71,81,91に噛み合うピニオン72,82,92と、これらのピニオン72,82,92を支持するキャリヤ73,83,93と、上記ピニオン72,82,92に噛み合うリングギヤ74,84,94とで構成されている。
入力軸62が第3プラネタリギヤセット90のサンギヤ91に連結されている。第1プラネタリギヤセット70のサンギヤ71と第2プラネタリギヤセット80のサンギヤ81とが連結され、第1プラネタリギヤセット70のリングギヤ74と第2プラネタリギヤセット80のキャリヤ83とが連結され、第2プラネタリギヤセット80のリングギヤ84と第3プラネタリギヤセット90のキャリヤ93とが連結されている。第1プラネタリギヤセット70のキャリヤ73に出力ギヤ65が連結されている。
第1プラネタリギヤセット70のサンギヤ71および第2プラネタリギヤセット80のサンギヤ81が第1クラッチ100を介して入力軸62に断接可能に連結されている。第2プラネタリギヤセット80のキャリヤ83が第2クラッチ110を介して入力軸62に断接可能に連結されている。
第1プラネタリギヤセット70のリングギヤ74および第2プラネタリギヤセット80のキャリヤ83が第1ブレーキ120を介して変速機ケース64に断接可能に連結されている。第2プラネタリギヤセット80のリングギヤ84および第3プラネタリギヤセット90のキャリヤ93が第2ブレーキ130を介して変速機ケース64に断接可能に連結されている。第3プラネタリギヤセット90のリングギヤ94が第3ブレーキ140を介して変速機ケース64に断接可能に連結されている。
以上の構成により、この変速機構63によれば、図3の締結表に示すように、第1、第2クラッチ100,110および第1、第2、第3ブレーキ120,130,140の各摩擦要素の締結状態の組み合わせにより、前進1速〜6速と後退速とが達成される。
(3)制御システム
図4に示すように、本実施形態に係る車両(FFV)はPCM(powertrain controle module)50を備える。PCM50は、周知の通り、CPU、ROM、RAM等から構成されるマイクロプロセッサであり、本発明の減速燃料カット手段、燃料復帰手段、および制御手段に相当する。
PCM50は、吸気通路20に備えられて吸入空気量を検出するためのエアフローセンサSW1、エンジン回転数を検出するためのエンジン回転数センサSW2、エンジン水温(エンジンの冷却水の温度)を検出するためのエンジン水温センサSW3、排気通路30に備えられて排気ガス中の酸素濃度を検出するためのリニア空燃比センサ(酸素濃度センサ)SW4、運転者のアクセル操作(アクセルペダルの踏込み)の有無およびアクセル操作量(アクセルペダルの踏込量)を検出するためのアクセルポジションセンサSW5、および車両の走行速度を検出するための車速センサSW6と相互に電気的に接続されている。
PCM50は、上記各種センサSW1〜SW6から入力される種々の情報に基き、エンジン1の制御および自動変速機60の制御を行う。特に、PCM50は、触媒装置31の排気ガス浄化率の向上のために、エンジン1を理論空燃比で運転するように、リニア空燃比センサSW4を用いて空燃比のフィードバック制御を行う。また、PCM50は、例えばアルコールセンサ等を用いずに、上記リニア空燃比センサSW4を利用して、燃料タンク40内の燃料のエタノール濃度を推定するエタノール濃度推定制御を行う。さらに、PCM50は、車両の走行中、アクセル開度全閉等による減速時に、燃費向上等のためにエンジン1に対する燃料供給および火花点火を断つ減速燃料カット制御を行う。
PCM50は、これらの各種制御を実行するため、インジェクタ11、点火プラグ12、スロットル弁21を駆動するためのスロットル弁アクチュエータ22、オルタネータ25、および自動変速機60(より詳しくは上記摩擦要素100,110,120,130,140を締結または解放するための油圧の供給および排出を制御するソレノイドバルブ等)と相互に電気的に接続されており、これらの各種機器に制御信号を出力する。
例えば、PCM50は、図5に概念的に示す変速マップに基いて、車速およびスロットル開度(スロットル弁21の開度)から変速段を決定し、決定した変速段が実現するように、図3の締結表に従って、上記摩擦要素100,110,120,130,140を締結または解放する。
図5には、変速段がシフトアップする際の変速ラインを実線で示し、変速段がシフトダウンする際の変速ラインを破線で示している。なお、図5は、あくまでも概念図であって、各ラインの車速に対する位置や形状はこれに限定されないことはいうまでもない。
中〜高速度域でスロットル開度がゼロ(アクセル開度全閉)の領域は、PCM50が減速燃料カット制御を行う減速燃料カット領域(F/C領域)である。すなわち、この領域では、インジェクタ11からの燃料噴射および点火プラグ12による火花点火が行われず停止される。
(4)制御の内容
[4−1]エタノール濃度推定制御
PCM50が行うエタノール濃度推定制御はおよそ次のようである。すなわち、燃料のエタノール濃度と理論空燃比との関係は一義的に決まっている。例えばエタノール濃度が0%(全量ガソリン)の場合、理論空燃比は14.7であり、エタノール濃度が100%の場合、理論空燃比は9.0である。そして、エタノール濃度がその間の値(0%超〜100%未満)である燃料の理論空燃比は、14.7と9.0とを結ぶ直線上に1対1にある。この直線は、エタノール濃度が1%増える毎に理論空燃比が0.057減るような傾きを持っている。
例えば、いま、エタノール濃度が50%と推定して理論空燃比Xが実現する燃料噴射量を設定したとする。その結果、リニア空燃比センサSW4からの情報に基き特定される理論空燃比がXであれば、推定値が正しかった(実際のエタノール濃度が50%である)と判定できる。しかし、リニア空燃比センサSW4からの情報に基き特定される理論空燃比がXよりも大きい場合は、その大きい分だけ、実際のエタノール濃度が50%よりも低いと判定でき、リニア空燃比センサSW4からの情報に基き特定される理論空燃比がXよりも小さい場合は、その小さい分だけ、実際のエタノール濃度が50%よりも高いと判定できる。
PCM50は、理論空燃比のズレ量を上記直線の傾きに当てはめることにより、エタノール濃度のズレ量を求める。そして、このエタノール濃度のズレ量を最初の推定値(上記例でいえば50%)に加算することにより、実際のエタノール濃度を推定する。
以上のことから、本実施形態では、上記リニア空燃比センサSW4は、本発明の濃度取得手段(燃料のアルコール濃度を取得する手段)に相当する。
[4−2]減速燃料カット制御
次に、PCM50が行う減速燃料カット制御を説明する。
図6は、燃料を吸気行程で噴射した場合に、燃焼安定性指標(所定の燃焼回数のうち安定した燃焼が起こる回数の割合を示す指標)と当量比φとの関係が、燃料のエタノール濃度および充填効率Ceによってどのように変化するかを示したグラフである(当初のエンジン水温はいずれも−5℃)。なお、図6において、E95とは、エタノール95%+水5%の燃料、E85とは、エタノール85%+ガソリン15%の混合燃料、E35とは、エタノール35%+ガソリン65%の混合燃料、E25とは、エタノール25%+ガソリン75%の混合燃料のことである。
図6(a)に示すように、充填効率Ceが比較的低い場合に、E95とE85とを比較すると、E95のほうがE85よりも燃焼安定性が全体的に低い。つまり、冷間時に、燃料のエタノール濃度が高いほど、燃料が充分に気化せず、失火等が起き易くなる。そして、E95およびE85のいずれにおいても、充填効率Ceが低く、温度が低い場合は、図中破線で囲って示したように、燃焼安定性が高い当量比φの範囲が極めて狭い範囲に限られる。これはE95およびE85のいずれもエタノール濃度が相対的に高いためである。
これに対し、図6(b)に示すように、充填効率Ceを増大すると、E95およびE85のいずれにおいても、燃焼安定性が高い当量比φの範囲が大幅に拡大する。つまり、充填効率Ceを増大することにより、圧縮時の筒内温度が高められるので、たとえ冷間時であっても、筒内での燃料の気化が促進・改善されて、燃焼安定性が向上する。
また、図6(c)に示すように、充填効率Ceが比較的低い場合に、E35とE25とを比較すると、E35のほうがE25よりも燃焼安定性が全体的に低い。つまり、図6(a)と同様、冷間時に、燃料のエタノール濃度が高いほど、燃料が充分に気化せず、失火等が起き易くなる。そして、図6(c)と図6(a)とを比較すると、E35,E25のほうがE95,E85よりも燃焼安定性が高い当量比φの範囲が拡大している。これは、E35,E25のほうがE95,E85よりもエタノール濃度が低く、燃料の気化性能が向上し、燃焼安定性が高いためである。
図7は、減速燃料カット制御の各種パラメータの変化を示すタイムチャートである。図中、時刻t1は、車両の走行中、アクセル開度が全閉とされて減速が開始する時刻、時刻t2は、エンジン回転数が所定の復帰回転数まで低下する時刻、時刻t3は、車両が停車する(車速がゼロとなる)時刻である。
時刻t1で減速が開始すると、燃料カットフラグ(F/Cフラグ)がoffからonにセットされる。これにより、インジェクタ11からの燃料噴射および点火プラグ12による火花点火が停止され、燃費の向上等が図られる。すなわち、減速燃料カットである。そして、減速燃料カットによる車速の低下に伴い、時刻t2でエンジン回転数が復帰回転数まで低下すると、燃料カットフラグ(F/Cフラグ)がonからoffにリセットされる。これにより、インジェクタ11からの燃料噴射および点火プラグ12による火花点火が再開され、エンジンストールが回避される。すなわち、減速燃料カットからの燃料復帰である。この燃料復帰時、PCM50は、基本的動作として、燃料を吸気行程で噴射する。
気筒2の充填効率Ceは、時刻t1〜t2の間、ほぼ最小値まで減少する。これは、減速燃料カット中は、アクセル開度が全閉とされることによりスロットル弁21がほぼ開度ゼロの全閉状態まで閉じられるからである。そして、時刻t2以降の燃料復帰時に、スロットル弁21が所定量だけ開かれ、燃焼噴射量に見合った量の吸気が気筒2に導入される。これにより、気筒2の充填効率Ceは、時刻t2以降、所定量だけ増大する。
そして、この時刻t2以降の燃料復帰時に、PCM50は、スロットル弁アクチュエータ22を制御して、燃料のエタノール濃度が高いほど、スロットル弁21の開度を大きくし、気筒2の充填効率Ceを増大する。例えば、図7において、時刻t2以降の充填効率Ceのうち、実線で示す相対的に大きい充填効率(i)は、燃料としてE95が使用される場合のものであり、鎖線で示す相対的に小さい充填効率(ii)は、燃料としてE0(ガソリン100%の燃料)が使用される場合のものである。つまり、充填効率(i)は、エタノール95%+水5%の燃料の燃焼限界の充填効率であり、充填効率(ii)は、ガソリンそのものの燃焼限界の充填効率である。
このように、減速燃料カットからの燃料復帰時(時刻t2以降)に、燃料のエタノール濃度が高いほど気筒2への吸気充填量を増大することにより、燃料のエタノール濃度が高いほど圧縮時の筒内温度が高められる。これにより、たとえエタノール濃度の高い混合燃料が使用されていても、燃料の筒内での気化が促進・改善され、燃焼室10内での蒸発・気化量が多くなり、減速燃料カットからの燃料復帰時における燃焼安定性が確保される。つまり、エンジン1は円滑に再始動する。
なお、車両が停車する時刻t3以降は、充填効率Ceはアイドル時の充填効率に固定される。つまり、PCM50は、燃料のエタノール濃度が高いほど気筒2の充填効率Ceを増大する制御を、燃料噴射が再開される時刻t2から車両が停車する時刻t3までの期間中、行う。
以上のことから、本実施形態では、上記スロットル弁21は、本発明の吸気充填量調節手段(気筒2への吸気充填量を調節する手段)に相当する。
また、PCM50は、時刻t2以降の燃料復帰時に、スロットル弁アクチュエータ22を制御して、冷間状態ほど、スロットル弁21の開度を大きくし、気筒2の充填効率Ceを増大する。ここで、冷間状態とは、例えば、エンジン水温センサSW3で検出されるエンジン1の冷却水の温度が比較的低い状態のときや、図7の時刻t1〜t2の燃料カット時間(燃料カットフラグがonにセットされている時間)が比較的長い状態のとき等をいう。このような冷間状態では、筒内温度が相対的に低下する。
これにより、たとえ筒内温度が低下して燃料が蒸発・気化し難い冷間状態であっても(特にエタノールの沸点以下の冷間状態であっても)、燃料の筒内での気化が促進・改善され、燃焼室10内での蒸発・気化量が多くなり、減速燃料カットからの燃料復帰時における燃焼安定性がより一層確保される。
また、PCM50は、時刻t2以降の燃料復帰時に、燃料のエタノール濃度が所定濃度より高いこと、エンジン水温が所定温度より低いこと、及び燃料カット時間(時刻t1〜t2)が所定時間より長いことのうちの少なくとも1つに該当するときは、インジェクタ11に燃料の少なくとも一部を圧縮行程の後半で噴射させる(上述のように、PCM50の燃料復帰時の基本的動作は、燃料を吸気行程で噴射することである)。これにより、圧縮行程後半で筒内に噴射された燃料は、温度が高められた筒内環境の中に噴射される。そのため、たとえエタノール濃度の観点や筒内温度の観点から燃料が蒸発・気化し難いときであっても、噴射された燃料の筒内での気化が促進・改善され、燃焼室10内での蒸発・気化量が多くなり、燃焼安定性が確保される。
ところで、燃料カットからの燃料復帰時の燃焼安定性を確保するために、燃料のエタノール濃度が高いほど気筒2の充填効率Ceを増大すると、吸気負圧が減少してエンジン抵抗が低下し、エンブレ感が低減する。また、実際、エンジントルクが増大するので、図7に符号(iii)で示すように、時刻t2以降は車速が上がり気味となり、空走感が生じる。
そこで、PCM50は、燃料噴射が再開される時刻t2から車両が停車する時刻t3までの期間中、走行抵抗をonにする。具体的に、PCM50は、上記図2および図3で説明した自動変速機60の第3ブレーキ140をスリップさせる。図5の例では、減速燃料カットからの燃料復帰時(時刻t2)は、変速段は6速に設定されるため、本実施形態では、減速燃料カットからの燃料供給の再開時(燃料復帰時)は、第2クラッチ110と第2ブレーキ130とが締結され、他の摩擦要素は解放される(図3参照)。したがって、この解放されている第3ブレーキ140をスリップさせることにより、車輪とエンジン1との間にある自動変速機6の内部でのトルク伝達に制動力が作用する。これにより、走行抵抗がonとなり、気筒2の充填効率Ceの増大時に、車両の走行抵抗が確実に増大し、上記のようなエンブレ感の低減が補われる(空走感が抑えられる)。
なお、これに限らず、例えば、減速燃料カットからの燃料復帰時(時刻t2)に、変速段が5速に設定される場合は、5速で解放されている第2ブレーキ130をスリップさせてもよい。
あるいは、PCM50は、走行抵抗をonにするために、エンジン1のクランク軸3でオルタネータ25を駆動して発電させる。これにより、クランク軸3にオルタネータ25を発電させるための負荷が作用するので、走行抵抗がonとなり、気筒2の充填効率Ceの増大時に、車両の走行抵抗が確実に増大し、上記のようなエンブレ感の低減が補われる(空走感が抑えられる)。
以上のことから、本実施形態では、上記自動変速機60および上記オルタネータ25は、本発明の走行抵抗増大手段(気筒2への吸気充填量の増大時、車両の走行抵抗を増大させる手段)に相当する。
次に、図8のフローチャートに従い、減速燃料カット制御の具体的動作の1例を説明する。
減速燃料カット制御(F/C制御)がスタートすると、PCM50は、ステップS1で、各種センサ値を読み込んだ後、ステップS2で、減速燃料カット領域(F/C領域)か否かを判定し(図5参照)、NOのときはリターンし、YESのときは(図7の時刻t1)、ステップS3で、減速燃料カット(F/C)を実行する。つまり、インジェクタ11からの燃料噴射および点火プラグ12による火花点火を停止する。
次いで、PCM50は、ステップS4で、エンジン回転数Neが復帰回転数No以下(Ne≦No)か否かを判定し、NOのときはステップS3に戻り、YESのときは(図7の時刻t2)、ステップS5で、燃料のエタノール濃度が高いほど気筒2の充填効率Ceを高めて燃料復帰する。これにより、燃料のエタノール濃度が高いほど圧縮時の筒内温度が高められるので、例えばE95のようなエタノール濃度の高い混合燃料が用いられていても、燃料の気化が促進・改善され、燃焼室10内での蒸発・気化量が多くなり、減速燃料カットからの燃料復帰時における燃焼安定性が確保されて、エンジン1が円滑始動する。
次いで、PCM50は、ステップS6で、自動変速機60やオルタネータ25を制御することにより、走行抵抗を増大(on)して、リターンする。
(5)作用等
以上のように、本実施形態では、気筒2に燃料を噴射するインジェクタ11と、噴射された燃料に点火する点火プラグ12とを備え、上記燃料として、エタノール、ガソリン、またはこれらの混合燃料が供給される火花点火式エンジン1において、次のような特徴的構成を採用した。
すなわち、燃料のエタノール濃度を取得するリニア空燃比センサSW4と、気筒2への吸気充填量を調節するスロットル弁21とが備えられた上で、PCM50は、車両の走行中、アクセル開度が全閉とされたとき(時刻t1)、エンジン1に対する燃料供給を断ち(減速燃料カット)、燃料供給を断った状態でエンジン回転数Neが所定の復帰回転数Noまで低下したとき(時刻t2)、エンジン1に対する燃料供給を再開し(燃料復帰)、この燃料復帰時、燃料のエタノール濃度が高いほど気筒2への吸気充填量を増大する(ステップS5)。
この構成によれば、エタノール含有燃料が供給される火花点火式エンジン1において、減速燃料カットからの燃料復帰時は、燃料のエタノール濃度が高いほど気筒2への吸気充填量が増大される。そのため、燃料のエタノール濃度が高いほど圧縮時の筒内温度が高められる。これにより、たとえエタノール濃度の高い混合燃料(例えばE95等)であっても、燃料の筒内での気化が促進・改善され、燃焼室10内での蒸発・気化量が多くなり、減速燃料カットからの燃料復帰時の燃焼安定性が確保される。そのため、エンジン1が円滑に再始動する。
以上により、本実施形態では、エタノール含有燃料が供給される火花点火式エンジン1において、燃料カットからの燃料復帰時の燃焼安定性を確保することが可能な火花点火式エンジン1の制御装置が提供される。
本実施形態では、PCM50は、上記燃料供給の再開時、冷間状態ほど上記気筒2への吸気充填量を増大する。
冷間時(例えばエンジン水温が比較的低いときや、燃料カット時間が比較的長いとき等)は、ただでさえ燃料の蒸発・気化性が悪い。しかも、燃料が、沸点以下ではほとんど蒸発・気化しないエタノールを含有するエタノール含有燃料である場合はなおさらである。これに対し、本実施形態では、冷間状態ほど(例えばエンジン水温が低いほど、燃料カット時間が長いほど)吸気充填量が増大されるので、これに伴い、圧縮時の筒内温度が高められる。これにより、たとえ筒内温度が低下して燃料が蒸発・気化し難い冷間状態であっても(特にエタノールの沸点以下の冷間状態であっても)、燃料の筒内での気化が促進・改善され、燃焼室10内での蒸発・気化量が多くなり、燃焼安定性が確保される。
本実施形態では、PCM50は、燃料のエタノール濃度が所定濃度より高いこと、エンジン水温が所定温度より低いこと、及び燃料カット時間が所定時間より長いことのうちの少なくとも1つに該当するときは、上記インジェクタ11に燃料の一部または全部を圧縮行程の後半で噴射させる。
この構成によれば、燃料のエタノール濃度や筒内温度の観点から、燃料の蒸発・気化性が所定の基準レベルよりも低下しているときは、燃料の少なくとも一部が圧縮行程後半で筒内2に噴射されるので、燃料は温度が高められた筒内環境の中に噴射される。これにより、たとえ燃料が蒸発・気化し難いときであっても、噴射された燃料の筒内2での気化が促進・改善され、燃焼室10内での蒸発・気化量が多くなり、燃焼安定性が確保される。
本実施形態では、PCM50は、気筒2への吸気充填量の増大時(時刻t2〜t3)、車両の走行抵抗を増大させる(ステップS6)。
この構成によれば、減速燃料カットからの燃料復帰時に、車両の走行抵抗が増大されるので、吸気充填量の増大に起因するエンブレ感の低減が補われ、適正なエンブレ感が付与される。
本実施形態では、PCM50は、車両の走行抵抗を増大させる1つの態様として、燃料供給の再開時(時刻t2)に開放されている自動変速機60内の第3ブレーキ140をスリップさせる。
この構成によれば、車輪とエンジン1との間にある自動変速機60の内部でのトルク伝達に制動力が作用することによって、燃料カットからの燃料復帰時に(時刻t2)、車両の走行抵抗が確実に増大する。
本実施形態では、PCM50は、車両の走行抵抗を増大させる他の1つの態様として、エンジン1のクランク軸3で駆動されるオルタネータ25を発電させる。
この構成によれば、クランク軸3にオルタネータ25を発電させるための負荷が作用することによって、燃料カットからの燃料復帰時に(時刻t2)、車両の走行抵抗が確実に増大する。
また、エンジン水温が比較的低いときは、機械抵抗が大きいため、時刻t2の燃料復帰時に、気筒2への吸気充填量を増大しても、ある程度のエンブレ感が得られる。したがって、そのようなときに車両の走行抵抗を増大するという無駄を防ぐために、PCM50は、エンジン水温が所定の閾値温度以上のときに(のみ)車両の走行抵抗を増大(on)させることが好ましい態様の1つである。これにより、機械抵抗が大きく、吸気充填量が増大されてもある程度のエンブレ感が得られるようなときに、無駄に車両の走行抵抗が増大されることが防がれる。
なお、燃料のエタノール濃度を推定する代わりに、濃度取得手段として、燃料のエタノール濃度を直接検出するアルコールセンサを用いても構わない。
また、吸気弁14用の動弁機構17がVVT(variable valve timing)機構を有する場合は、気筒2への吸気充填量を調節する吸気充填量調節手段として、スロットル弁21に代えてあるいはスロットル弁21とともに、上記吸気弁14用のVVT機構を用いることもできる。すなわち、吸気弁14を吸気下死点よりも早く閉じる早閉じまたは遅く閉じる遅閉じを行うことにより、気筒2への吸気充填量が調節可能である。
また、上記実施形態では、アルコールとして、エタノールを使用したが、これに限らず、例えば、メタノール、ブタノール、プロパノール等を使用してもよい。
1 火花点火式エンジン
2 気筒
3 クランク軸(出力軸)
10 燃焼室
11 インジェクタ
12 点火プラグ
21 スロットル弁(吸気充填量調節手段)
25 オルタネータ(走行抵抗増大手段)
30 排気通路
40 燃料タンク
50 PCM(減速燃料カット手段、燃料復帰手段、制御手段)
60 自動変速機(走行抵抗増大手段)
140 第3ブレーキ(ブレーキ要素)
SW2 エンジン回転数センサ
SW3 エンジン水温センサ
SW4 リニア空燃比センサ(濃度取得手段)
SW5 アクセルポジションセンサ
SW6 車速センサ

Claims (5)

  1. 気筒に燃料を噴射するインジェクタと、噴射された燃料に点火する点火プラグとを備え、上記燃料として、アルコール、ガソリン、またはこれらの混合燃料が供給される火花点火式エンジンの制御装置であって、
    上記燃料のアルコール濃度を取得する濃度取得手段と、
    上記気筒への吸気充填量を調節する吸気充填量調節手段と、
    車両の減速走行時、所定の燃料カット条件が成立したとき、上記エンジンに対する燃料供給を断つ減速燃料カット手段と、
    上記燃料供給が断たれた状態で所定の燃料復帰条件が成立したとき、上記エンジンに対する燃料供給を再開する燃料復帰手段と、
    上記燃料供給の再開時、燃料のアルコール濃度が高いほど上記気筒への吸気充填量を増大する制御手段と
    上記気筒への吸気充填量の増大時、車両の走行抵抗を増大させる走行抵抗増大手段とを備え
    上記走行抵抗増大手段は、エンジン水温が所定の閾値温度以上のときに車両の走行抵抗を増大させることを特徴とする火花点火式エンジンの制御装置。
  2. 請求項1に記載の火花点火式エンジンの制御装置において、
    上記制御手段は、上記燃料供給の再開時、冷間状態ほど上記気筒への吸気充填量を増大することを特徴とする火花点火式エンジンの制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の火花点火式エンジンの制御装置において、
    上記制御手段は、燃料のアルコール濃度が所定濃度より高いこと、エンジン水温が所定温度より低いこと、及び燃料カット時間が所定時間より長いことのうちの少なくとも1つに該当するときは、上記インジェクタに燃料の一部または全部を圧縮行程の後半で噴射させることを特徴とする火花点火式エンジンの制御装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置において、
    上記走行抵抗増大手段は、上記燃料供給の再開時に開放されている変速機内のブレーキ要素をスリップさせるものであることを特徴とする火花点火式エンジンの制御装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置において、
    上記走行抵抗増大手段は、エンジンの出力軸で駆動されるオルタネータを発電させるものであることを特徴とする火花点火式エンジンの制御装置。
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