JP5983354B2 - 車両用シート - Google Patents

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本発明は、車両用シートに関する。詳しくは、着座者の座部となるシートクッションと、背凭れ部となるシートバックとを備え、シートバックに対してシートクッションが離間する方向に相対的に移動可能とされている車両用シートに関する。
従来、一般的な車両用シートは、基本構成として、着座者の座部となるシートクッションと、着座者の背凭れとなるシートバックとを備える。そして、更に、この基本構成を補足する構成として、シートバックの上部位置には頭を支持するヘッドレストが備えられており、更には、着座状態を安楽な状態とするためにシートクッションの前部位置には着座者の脚部を支持するオットマンが、その支持角度を調整可能として備えられることがある。このオットマンが備えられた車両用シートにあっては、オットマンの使用時に、シートクッションとシートバックとの間に設けられたリクライニング機構を連動作動させて、シートバックを後方へ傾動させた状態として安楽姿勢状態をとるようにしている。この際、シートクッションをシートバックに対して相対的に前方移動させて、より着座者が安楽姿勢の傾動状態を取り得るようにしている。この連動作動に伴う着座者の傾動方向の姿勢変化において、シートクッションがシートバックに対して相対的に前方に移動することから着座者の腰部とシートバックとの間に隙間が生じて、シートバックによる着座者の腰部の支持が適切に行われないという問題がある。
このような問題に対処する方策として、下記特許文献1に示すような技術がある。その内容は、シートクッションにパネルを設けて、このパネルをシートクッションの前方へのスライドに連動させて、パネルによりシートバックの下方前面部を押し出すように構成して、シートバックと着座者の腰部との隙間を埋めるようにしている。
特開平6−72199号公報
しかし、上述した特許文献1に示す技術によれば、パネルのシートクッションへの配設において、パネルを回動可能状態に取付けなければならなく、そのため構成が複雑になるという問題がある。また、シートバックにもパネルを取付けるための軸を設ける必要があり、部品点数が増加すると言う問題がある。
而して、本発明は、上述した問題に鑑みて創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、簡素な構成でシートバックの下方前面部をシートクッションの離間方向への相対移動に伴い前方に押し出して、着座者の腰部とシートバックとの間の隙間を埋めることにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両用シートは次の手段をとる。
すなわち、本発明の車両用シートは、着座者の座部となるシートクッションと、背凭れ部となるシートバックとを備え、シートバックに対してシートクッションが離間する方向に相対的に移動可能とされている。そして、シートクッションの後方部とシートバックの下方部との間には、シートクッションのシートバックに対する離間方向への相対的移動に際してシートバックの下方前面部を連動させて前方に変位させる連動連結機構が設けられている。この連動連結機構は、前記シートクッションにシートバックに向けたクッションワイヤが配設されており、前記クッションワイヤはシートバックのバックパッド内部に形成された挿通孔に挿通されて係合されて前記シートクッションが前記シートバックに対して離間方向へ相対的に移動することで前記シートバックの下方前面部を前方に押し出す機構となっている。


上記本発明によれば、シートクッションの後方部とシートバックの下方部との間に設けられた連動連結機構により、シートクッションのシートバックに対する離間方向への相対的移動に際してシートバックの下方前面部を連動させて前方に変位させることができて、着座者の腰部とシートバックとの間の隙間を埋めることができる。
そして、連動連結機構は、シートクッションにシートバックに向けた配設されたクッションワイヤによりシートバックの下方前面部を前方に押し出す機構であり、簡素な構成のものである。
本発明は上述した手段とすることにより、簡素な構成でシートバックの下方前面部をシートクッションの離間方向への相対移動に伴い前方に押し出して、着座者の腰部とシートバックとの間の隙間を埋めることができる。
本発明の実施形態のオットマンを備えた車両用シートの斜視図を示し、(A)はオットマン未使用状態を示す斜視図であり、(B)はオットマン使用状態を示す斜視図である。 シートクッションとシートバックに跨って配設される連動連結機構の作動状態を示す概念側面図である。 連動連結機構の配設状態を背面から見た状態を示す概念一部断面図である。 シートバックの下方前面部が前方に押し出された状態を示す斜視図である。
以下に、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。なお、この説明において、上下、左右、前後等方向表示は、車両用シートに着座した着座者から見た場合の方向を示している。
図1はオットマンを備えた車両用シートを示す。図1(A)は乗員がオットマンを使用していない通常の着座状態を示し、図1(B)は乗員がオットマンを使用した安楽状態の着座状態を示している。車両用シート10は、基本構成として、着座者の座部となるシートクッション12と、着座者の背凭れとなるシートバック14とを備える。そして、更に、この基本構成を補足する構成として、シートバック14の上部位置には頭を支持するヘッドレスト16が備えられており、シートクッション12の前部位置には着座者の脚部を支持するオットマン18が、その支持角度を調整可能として備えられている。また、通常の車両用シートにおいては、着座者の身体的相違に対応した好適な着座姿勢とするために、シートバック14とシートクッション12との間にはリクライニング機構が設けられており、シートバック14をシートクッション12に対して傾動可能としている。
そして、オットマン18の使用状態、すなわちオットマン18の前端を上方に持ち上げる作動機構と、シートバック14を傾動させるリクライニング機構とは連動作動されるように連結されている。したがって、図1(A)に示すようなオットマン18の未使用状態から図1(B)に示すような使用状態とする際には、シートバック14も連動して図1(A)に示すような通常の着座姿勢をとることのできる起立した状態から、図1(B)に示すような後方に傾動した安楽姿勢をとることのできる状態となる。
なお、本実施形態の車両用シート10においては、オットマン18の作動機構とシートバック14のリクライニング機構との連動作動により図1(A)の状態から図1(B)の状態に作動する際には、シートクッション12はシートバック14から離反する方向の前方に僅かにスライド移動するように構成されている。これにより図1(B)に示す状態時に休息姿勢に適するより安楽な姿勢状態となるようにしている。
また、本実施形態の車両用シート10は、オットマン18の作動機構とシートバック14のリクライニング機構との連動作動を遮断できる遮断機構も備えられている。常時は連動作動状態とされているが、この遮断機構により連動状態を遮断させたときには、シートバック14は単独でリクライニング機構により傾動作動することができる。
図2に良く示されるように、シートクッション12の後部位置とシートバック14の下方部位置との間には、連動連結機構20が配設されている。連動連結機構20はシートクッション12とシートバック14に跨って配設されている。以下にその配設構成を説明する。シートクッション12は周知の構成のものであり、クッションパッド12Pがクッションカバー12Cにより被覆されて構成されている。シートバック14も周知の構成のものであり、バックパッド14Pがバックカバー14Cにより被覆されて構成されている。
シートクッション12の後部位置には、シートクッション12の骨格を形成するフレームの1つであるクッションパイプ22が左右方向(幅方向)に配設されている。クッションパイプ22は鋼製等の剛性のある部材で形成されており、回動不能状態として配設されている。このクッションパイプ22にクッションワイヤー24の端部が一体的状態として取付けられている。例えば、溶接等により固定されて一体的に取付けられている。
クッションワイヤー24は、シートバック14に向けて配設されている。図3に良く示されるように、クッションワイヤー24の配設形状は逆U字形状の門形形状であり、両側のサイドメンバ24Sと、サイドメンバ24Sを繋ぐ連接メンバー24Kとから成っている。なお、このクッションワイヤー24もクッションパイプ22と同様の鋼製等の剛性のある部材で形成されている。
図3に示されるように、クッションワイヤー24のサイドメンバ24Sはシートクッション12のシートカバー12Cの外側に配設されており、前述したクッションパイプ22への一体的取付けもシートカバー12Cの外側位置で行われている。通常、この位置は不図示のシールドカバーで覆われており、見栄え上の問題はない。
クッションワイヤー24の連接メンバー24Kは、シートバック14のバックパッド14Pに形成された挿通孔26に挿通されて配設されている。相通孔26は、図2に示されるように、バックパッド14Pの後面から前方に切り込み状態で形成されており、この切り込みを通じて連接メンバー24Kはシートバック14内に挿入され係合される。なお、挿通孔26の切り込みは、図2で見て、後方から斜め前方下方に向けて形成されている。クッションワイヤー24の連接メンバー24Kが挿入されて係合したバックパッド14Pの前部位置はパッド部材が充填された状態にある。これにより連接メンバー24Kが前方に移動する場合には充填状態のパッド部材を押して、シートバック14の下方前面部を前方に押し出すことができる構成となっている。
次に、上述の構成よりなる車両用シートの作動、特に、連動連結機構20の作動について説明する。図1(A)に示すオットマン18の未使用状態から、図1(B)に示すオットマン18の使用状態にしようとすると、オットマン18の作動機構とシートバック14のリクライニング機構とが連動作動して、図1(B)に示す安楽な着座状態となる。この状態では、オットマン18の前端が持ち上げられて着座者の脚部がオットマン18により支持される状態となり、シートバック14は後方へ傾動した状態となり、休息に適する安楽な姿勢状態となる。
このとき、図2に示すように、シートバック14は実線で示す図1(A)に相当する状態から、仮想線で示す図1(B)に相当する状態となる。このとき、シートクッション12はL1だけ後方位置から前方にスライド移動する。このシートクッション12のスライド移動に伴いシートクッション12の後部に配置されているクッションパイプ22も一緒に移動し、併せて、クッションパイプ22と一体的に取付けられているクッションワイヤー24も一緒に前方に移動する。このクッションワイヤー24の前方への移動に伴い、クッションワイヤー24の連接メンバ24Kがシートバック14の連接メンバ24Kより前部に位置するパッド部位を押してシートバック14下方部の前面部を前方に押し出す。この押し出しは、シートバック14を後方に傾動させたときの通常の下方部の位置は図2に破線で示す位置であるので、通常の位置より下方部位置で見た場合、LXだけ前方に押し出された状他となる。なお、シートバック14が後方へ傾動した際の、シートバック14の下方部の前方への移動量はL2であり、この移動量L2はシートクッション12の移動量L1より短い。すなわち、シートバック14の後方への傾動における前方への移動量は、シートバック14の移動量よりシートクッション12の移動量の方が大きく、それだけシートクッション12はシートバック14に対して相対的に離間して前方に移動している。
図4はシートバック14の下方部の前面部が前方へ押し出された状態を示す斜視図である。図4ではシートバック14が後方へ傾動した状態の、下方部の前面部が前方に押し出された状態が実線で示されており、本実施形態における連動連結機構が備えられていない従前の構成の場合におけるシートバック14の下方部の前面部の位置状態が破線で示されている。仮想線は通常のシートクッション12とシートバック14の配置状態を示す。この図4から良く分かるように、シートバック14が後方へ傾動した際においては、従前のシートバック14の下方部の前面部が前方に押し出されていないため、着座者の腰部との間に隙間が生じて、シートバック14により着座者の腰部を確実に支持することができない。しかし、上記本実施形態においては連動連結機構20によりシートバック14の下方部の前面部が前方に押し出されることにより、着座者の腰部との間の隙間を可及的になくすることができて、シートバック14により着座者の腰部を支持することが可能となり、快適に安楽姿勢をとることが可能となる。
しかも、上述した実施形態における連動連結機構20は、シートクッション12に配設されるクッションパイプ22にクッションワイヤー24を取付け、このクッションワイヤー24をシートバック14のバックパッド14Pに係合させるという極めて簡素な構成により達成することができる。したがって、従前のように複雑な構成とすることなく達成することができ、実用化に適する構成である。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態のほか各種の形態で実施することができるものである。
例えば、上記実施形態ではオットマンを備えた車両用シートとして説明したが、オットマンを備えない車両用シートであっても、シートバックに対してシートクッションが離間する方向に相対的に移動可能とされる車両用シートには適用することができるものである。
また、クッションワイヤーの配置形状は、両側にサイドメンバを有する門形形状に限らず、サイドメンバが片側のみの配置形状等各種の配置形態で形成することができる。
また、クッションワイヤーのバックパッドへの配設は、バックパッドに形成した挿通孔に挿通する形態に限らず、シートバックのバックパッドの下部をクッションワイヤーの連接メンバーに巻きつけて構成することもできる。
10 車両用シート
12 シートクッション
12P クッションパッド
12C クッションカバー
14 シートバック
14P バックパッド
14C バックカバー
16 ヘッドレスト
18 オットマン
20 連動連結機構
22 クッションパイプ
24 クッションワイヤー
24S サイドメンバ
24K 連接メンバ
26 挿通孔

Claims (1)

  1. 着座者の座部となるシートクッションと、背凭れ部となるシートバックとを備え、シートバックに対してシートクッションが離間する方向に相対的に移動可能とされている車両用シートであって、
    前記シートクッションの後方部と前記シートバックの下方部との間には、前記シートクッションのシートバックに対する離間方向への相対的移動に際して前記シートバックの下方前面部を連動させて前方に変位させる連動連結機構が設けられており、
    該連動連結機構は、前記シートクッションにシートバックに向けたクッションワイヤが配設されており、前記クッションワイヤはシートバックのバックパッド内部に形成された挿通孔に挿通されて係合されて前記シートクッションが前記シートバックに対して離間方向へ相対的に移動することで前記シートバックの下方前面部を前方に押し出す機構となっていることを特徴とする車両用シート。
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