JP5983313B2 - 情報処理装置、音像定位強調方法、及び音像定位強調プログラム - Google Patents

情報処理装置、音像定位強調方法、及び音像定位強調プログラム Download PDF

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Description

本発明は、情報処理装置、音像定位強調方法、及び音像定位強調プログラムに関する。
左右のスピーカを用いて聴取者に対しステレオ信号に基づく音を再生する際、左側のスピーカで再生された左側の音は、聴取者の左耳だけでなく右耳にも伝達する。同様に、右側のスピーカで再生された右側の音は、聴取者の右耳だけでなく左耳にも伝達する。これに対し、聴取者が、イヤホン,ヘッドホン等の耳装着型音響再生装置を用いて聴取する場合、左側の音は右耳に伝達せず、右側の音は左耳に伝達しない。そこで、耳装着型音響再生装置において、左側からは左側の音とともに右側の音が一定の時間だけ遅延して聴こえるように補正を行なうとともに、右側からは右側の音とともに左側の音が一定の時間だけ遅延して聴こえるように補正を行なう技術が知られている。
また、例えば図26に示すように聴取者に対し右45度前方に音源Sが配置されている場合、音源Sから発せられる音は、聴取者の左右両方の耳に到達する。そこで、聴取者に対し所定方向に配置された音源Sから聴取者に耳に至るまでの音の伝達特性であるHRTF(Head Related Transfer Function;頭部伝達関数)を、左右の耳について予め求め、当該HRTFを用いた音像定位の処理を施す技術も知られている。このとき、音源Sからの音響信号に、前記所定方向に対応する左右耳用HRTFを畳み込むことにより、聴取者に対する左右の音が生成されて再生される。これにより、聴取者には、自分の周囲の所定方向から音が聴こえてくるようになる。
特開平09−198056号公報 特開2008−92193号公報 特開平09−205700号公報
上述した技術では、聴取者の正面側(図26の前方0度方向)の音像の定位が不十分であるため、前方の音像が聴取者の頭内または頭部分からの音のように聴こえる。そこで、聴取者の正面側の音量を、後方側の音量に比べて大きくすることも知られているが、それでもまだ、前方の音像定位感が低く、音像を明確に定位することができない。
また、聴取者が、耳装着型音響再生装置を用いて、当該聴取者周囲の複数方向からの音を聴取する場合、以下のような仮想スピーカ(仮想音源)を用いる技術が知られている。この技術では、聴取者の周囲において当該聴取者の頭部を中心とする周上に等間隔に配置された複数の仮想スピーカが予め規定されている。そして、再生すべき複数の音源からの音響信号が各仮想スピーカに配分され、各仮想スピーカに配分された音響信号に、各仮想スピーカ(聴取者に対する方向)に応じたHRTFを畳み込むことにより、聴取者に対する左右の音が生成され再生される。この技術によれば、音源の数によらず、HRTFの畳み込み等の処理量を、常に仮想スピーカの数に対応した量とすることができる。このような技術においても、前方の音像定位感を向上させるべく、聴取者の正面側に近い仮想スピーカの音量を、聴取者の後方側に近い仮想スピーカの音量に比べ大きくなるように設定することが行なわれている。しかしながら、上述のような音量設定を行なっても、聴取者の正面側の音像定位は十分と言えず、前方の音像が聴取者の頭内または頭部分からの音のように聴こえ、音像を明確に定位することができない。
一つの側面で、本発明は、音像を明確に定位可能にすることを目的とする。
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための最良の形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的の一つとして位置付けることができる。
一つの案において、情報処理装置は、生成部配置部および配分部を有している。前記生成部は、複数の仮想音源のそれぞれに配分された音響信号に、前記複数の仮想音源のそれぞれの聴取者に対する方向に応じた伝達関数を畳み込むことにより、前記聴取者に対する左右の音を生成する。前記配置部は、前記複数の仮想音源のうち前記聴取者の前方側仮想音源に対し、前記前方側仮想音源以外の仮想音源が前記聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、前記複数の仮想音源を配置する。前記配分部は、前記聴取者の周囲において前記聴取者の頭部を中心に配置された前記複数の仮想音源のそれぞれに、複数の音源からの前記音響信号を配分する。そして、前記配置部は、前記配分部によって前記音響信号を配分された前記複数の仮想音源の配置位置を、前記前方側仮想音源に対し、前記前方側仮想音源以外の仮想音源が前記聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、補正する。また、前記生成部は、前記配分部によって前記複数の仮想音源のそれぞれに配分された前記音響信号に、前記配置部によって配置位置を補正された前記複数の仮想音源のそれぞれの前記聴取者に対する方向に応じた伝達関数を畳み込むことにより、前記聴取者に対する前記左右の音を生成する。
一実施形態によれば、音像が明確に定位可能になる。
本実施形態の情報処理装置および耳装着型音響再生装置のハードウェア構成および機能構成を示すブロック図である。 図1に示す情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。 仮想スピーカ方式を採用しない場合の音源再生処理を説明する図である。 仮想スピーカ方式を採用した場合の音源再生処理を説明する図である。 各仮想スピーカへの音源の配分手法を説明する図である。 (A),(B)は、頭部姿勢連動の音像定位を説明する図である。 (A),(B)は、仮想スピーカ方式を採用し且つ頭部姿勢連動を行なう場合の音源再生処理を説明する図である。 (A),(B)は、本実施形態における、仮想スピーカの位置移動および音量による音像定位強調について説明する図である。 (A)〜(C)は、それぞれ、本実施形態における、仮想スピーカの位置移動および音量による音像定位強調の第1〜第3変形例について説明する図である。 (A),(B)は、図9(A)に示す第1変形例における仮想スピーカの位置移動の具体例を説明する図である。 (A)〜(C)は、図9(B)に示す第2変形例における仮想スピーカの位置移動の具体例を説明する図である。 (A)〜(C)は、図9(C)に示す第3変形例における仮想スピーカの位置移動の具体例を説明する図である。 (A)〜(C)は、図8(A),(B)または図9(A)に対応する、仮想スピーカの位置移動および音量による音像定位強調の具体例を説明する図である。 図1および図2に示す情報処理装置の動作を説明するフローチャートである。 図1および図2に示す情報処理装置の動作の変形例を説明するフローチャートである。 (A)〜(C)は、図1および図2に示す情報処理装置の記憶部における状態データの初期状態の例を示す図である。 (A)〜(C)は、図16(A)〜(C)に示す状態データに対し仮想スピーカの位置移動制御を行なって得られた状態データの例を示す図である。 (A)〜(C)は、図17(A)〜(C)に示す状態データに対し仮想スピーカの音量制御を行なって得られた状態データの例を示す図である。 (A)〜(C)は、図18(A)〜(C)に示す状態から聴取者が90度だけ時計回りに回転した時の、仮想スピーカの位置移動制御後および音量制御後の状態データの例を示す図である。 (A),(B)は、音像定位強調処理の4つの評価条件I〜IVを説明する図である。 評価条件Iでの評価実験結果を示す図である。 評価条件IIでの評価実験結果を示す図である。 評価条件IIIでの評価実験結果を示す図である。 評価条件IVでの評価実験結果を示す図である。 評価条件I〜IVでの実験により得られた回答の正解率を示す図である。 音源から聴取者の左右両耳に到達する音および頭部伝達関数(HRTF)について説明する図である。
以下、図面を参照して実施の形態を説明する。
〔1〕仮想スピーカ(仮想音源)方式
図3および図4を参照しながら、本実施形態において、本願の技術を適用される仮想スピーカ(仮想音源)方式について説明する。なお、図3は仮想スピーカ方式を採用しない場合の音源再生処理を説明する図、図4は仮想スピーカ方式を採用した場合の音源再生処理を説明する図である。
本願の技術は、博物館,美術館,展示会,テーマパークなどにおいて、イヤホン,ヘッドホン等の耳装着型音響再生装置を装着した聴取者が、展示物の方向から、当該展示物に係る展示案内の音声や音楽を聴取可能にするシステムに適用される。
このとき、図3を参照しながら、仮想スピーカ方式を採用しないシステムを用いて、展示会場における10個の展示(音源)S1〜S10の方向から音が聞こえるようにする際の音源再生処理について説明する。音源S1〜S10のそれぞれとしては、例えば、展示説明を事前に録音した音源ファイル、もしくは、展示説明員等がマイクロホンからリアルタイムに入力する音声信号が用いられる。また、聴取者に対する各音源S1〜S10の配置方向に対応する10個のHRTFが事前に取得されている。即ち、図3に示す例では、0度,30度,45度,90度,135度,180度,225度,270度,315度,330度のHRTFが事前に取得されている。そして、10個の音源S1〜S10からの音響信号に、それぞれ、聴取者に対する配置方向に応じたHRTFを畳み込むことで、聴取者に対する左右の音が生成されイヤホン等で再生される。これにより、聴取者には、自分の周囲の10方向から10種類の音源S1〜S10の音が聴こえてくるようになるが、仮想スピーカ方式を採用しないシステムでは、展示数(音源数)だけ、HRTFの畳み込みや残響付加等の処理を行なう必要がある。
次に、図4を参照しながら、仮想スピーカ方式を採用したシステムを用いて、展示会場における10個の展示(音源)S1〜S10の方向から音が聞こえるようにする際の音源再生処理について説明する。音源S1〜S10のそれぞれとしては、上述と同様のものが用いられる。仮想スピーカ方式を採用する場合、図4に示すように、聴取者の周囲において当該聴取者の頭部を中心とする円周上に等間隔(図4では45度間隔)に配置された、8個の仮想スピーカ(仮想音源)VS0〜VS7(ch0〜ch7)が予め規定されている。また、聴取者に対する各仮想スピーカVS0〜VS7の配置方向に対応する8個のHRTFが事前に取得されている。即ち、図4に示す例では、0度,45度,90度,135度,180度,225度,270度,315度のHRTFが事前に取得されている。そして、再生すべき10個の音源S1〜S10からの音響信号が8個の仮想スピーカVS0〜VS7に配分される。具体的には図5を参照しながら後述するように、音源と聴取者とを結ぶ直線上または略直線上に仮想スピーカが存在する場合、当該仮想スピーカに、当該音源の音響信号が配分される。一方、音源と聴取者とを結ぶ直線上もしくは略直線上に仮想スピーカが存在しない場合、当該音源に近い2個の仮想スピーカに対し、当該音源の音響信号が比例配分される。このようにして各仮想スピーカに配分された音響信号に、各仮想スピーカ(聴取者に対する方向)に応じたHRTFを畳み込むことで、聴取者に対する左右の音が生成され再生される。このように仮想スピーカ方式を採用した場合、音源の数によらず、HRTFの畳み込みや残響付加等の処理量を、常に仮想スピーカの数に対応した量とすることができる。つまり、音源数が10であっても20であっても、HRTFの畳み込みや残響付加等の処理の実行回数は、仮想スピーカVS0〜VS7の数(図4では8回)だけで済むため、HRTFの畳み込みや残響付加等の処理量を増大させることがない。
〔2〕本実施形態の情報処理装置および耳装着型音響再生装置の構成
まず、図1,図2および図5〜図13を参照しながら、本実施形態の情報処理装置1および耳装着型音響再生装置2の構成や機能について説明する。なお、図1は、本実施形態の情報処理装置1および耳装着型音響再生装置2のハードウェア構成および機能構成を示すブロック図、図2は、図1に示す情報処理装置1の機能構成を示すブロック図である。
図1および図2に示すように、本実施形態のシステムは、情報処理装置1および耳装着型音響再生装置2を有している。
耳装着型音響再生装置2は、聴取者の耳に装着されるイヤホン,ヘッドホン等であり、聴取者の左右の耳に対して音を発する左側音発生部(Lch)21Lおよび右側音発生部(Rch)21Rを有している。また、耳装着型音響再生装置2は、聴取者の位置を取得する聴取者位置取得手段22と、聴取者の頭部の方向を取得する聴取者頭部姿勢角度取得手段23とを有している。
聴取者位置取得手段22は、取得者の位置を経度緯度情報として検出するGPS(Global Positioning System)や、電波測位システム等の位置センサ22aを含む。
聴取者頭部姿勢角度取得手段23は、基準方向(例えば図5,図7,図8のy軸方向)に対する聴取者の注視方向/正面方向の角度を頭部姿勢角θを検出する頭部姿勢センサであり、例えば加速度センサ23a,地磁気センサ23b,ジャイロセンサ23cを含む。
聴取者位置取得手段22および聴取者頭部姿勢角度取得手段23によって取得された情報(位置,頭部姿勢角)は、有線または無線によって耳装着型音響再生装置2から情報処理装置1に送信される。無線によって情報を送信する場合、Bluetooth(登録商標),Wi−Fiなどの通信方式が用いられる。
情報処理装置1は、少なくとも音楽再生機能を有し音響信号に音響処理を施して定位音を再生させる装置で、パーソナルコンピュータ(PC),携帯電話,スマートフォン,タブレット端末等であり、記憶部1Aおよび処理部1Bを有している。
記憶部1Aは、RAM(Random Access Memory),HDD(Hard Disk Drive),SSD(Solid State Drive)等である。記憶部1Aには、複数の音源S1,S2,…や、各音源S1,S2,…の位置情報(展示位置情報)や、各種情報が記憶される。各音源S1,S2,…としては、例えば、展示物に関する展示説明を事前に録音した音源ファイルが記憶される。
各種情報としては、少なくとも、以下の情報(11)〜(14)が記憶される。
(11)仮想スピーカ(仮想音源)VS0〜VS7に関する情報。例えば、各仮想スピーカVS0〜VS7の聴取者に対する基準配置(図5参照;位置,方向)や、図16〜図19を参照しながら後述する仮想スピーカ状態に関する情報(つまり、各仮想スピーカVS0〜VS7の位置/座標やゲイン)。
(12)所定角度(例えば5度)毎に事前に取得されたHRTF。
(13)図16〜図19を参照しながら後述する聴取者状態に関する情報。つまり、聴取者位置取得手段23によって得られた位置情報や、聴取者頭部姿勢角度取得手段23によって得られた頭部姿勢角。
(14)処理部1Bに、後述する音像定位強調処理を実行させるべく、処理部1Bによって実行される音像定位強調プログラム。
処理部1Bは、例えばCPU(Central Processing Unit),プロセッサで、上記音像定位強調プログラムを記憶部1Aから読み出して実行することにより、振幅調節手段11(ゲイン調整部11a,仮想スピーカ配分処理部11b),信号処理手段12(仮想スピーカ配置処理部12a,定位音生成部12b,定位音量補正処理部12c),Lch用ミキサ13LおよびRch用ミキサ13Rとして機能する。
なお、図2に示すように、4個の音源S1〜S4が記憶されている場合、振幅調節手段11としては、4個の音源S1〜S4のそれぞれに対応する4個の振幅調節手段11−1〜11−4が備えられる。以下では、4個の振幅調節手段のうちの一つを特定する場合には符号11−1〜11−4が用いられ、任意の振幅調節手段を指す場合には符号11が用いられる。振幅調節手段11−1〜11−4は、それぞれ、音源S1〜S4について音源位置と聴取者位置との距離に応じたゲイン調整処理のほか、各音源S1〜S4を仮想スピーカVS0〜VS7に配分する処理を行なう。各振幅調節手段11は、図1に示すように、ゲイン調整部11aおよび仮想スピーカ配分処理部11bとしての機能を有している。
また、図2に示すように、8個の仮想スピーカVS0〜VS7が規定されている場合、信号処理手段12としては、8個の仮想スピーカVS0〜VS7のそれぞれに対応する8個の信号処理手段12−0〜12−7が備えられる。以下では、8個の信号処理手段のうちの一つを特定する場合には符号12−0〜12−7が用いられ、任意の信号処理手段を指す場合には符号12が用いられる。信号処理手段12−0〜12−7は、それぞれ、仮想スピーカVS0〜VS7について、HTRF畳み込みや残響付加を含む各種処理を行なう。各信号処理手段12は、図1に示すように、仮想スピーカ配置処理部12a,定位音生成部12b,定位音量補正処理部12cとしての機能を有している。
ゲイン調整部(第1調整部)11aは、聴取者に近い音源ほど音量が大きくなるように、聴取者の位置と複数の音源S1〜S4のそれぞれの位置との距離に応じ、複数の音源S1〜S4のそれぞれのゲインを調整する。ここで、聴取者の位置は、耳装着型音響再生装置2における聴取者位置取得手段22(位置センサ22a)によって得られ、各音源S1〜S4の位置は、記憶部1Aから読み出される。
仮想スピーカ配分処理部(配分部)11bは、聴取者の位置と各音源S1〜S4の位置と各仮想音源VS0〜VS7の聴取者に対する方向(位置)とに基づき、以下のようにして、各音源S1〜S4からの音響信号を、仮想音源VS0〜VS7のうちの一つに配分する、もしくは、仮想音源VS0〜VS7のうちの二つに比例配分する。ここで、聴取者の位置は、耳装着型音響再生装置2における聴取者位置取得手段22(位置センサ22a)によって得られ、各音源S1〜S4の位置と各仮想音源VS0〜VS7の聴取者に対する方向(位置)とは、記憶部1Aから読み出される。
本実施形態では、図5に示すように、聴取者の周囲において当該聴取者の頭部を中心とする円周上に等間隔(図5では45度間隔)に配置された、8個の仮想スピーカVS0〜VS7が予め規定されている。図5に示す仮想スピーカVS0〜VS7の配置状態を基準配置という場合がある。
ここで、図5を参照しながら、各仮想スピーカへの音源の配分手法について具体的に説明する。
音源と聴取者とを結ぶ直線上または略直線上に仮想スピーカが存在する場合、仮想スピーカ配分処理部11bは、当該仮想スピーカに、当該音源の音響信号を配分する。図5に示す例では、音源S2と聴取者とを結ぶ直線上に仮想スピーカVS6(ch6)が存在するので、仮想スピーカ配分処理部11bは、音源S2の音響信号を仮想スピーカVS6に配分する。
一方、音源と聴取者とを結ぶ直線上もしくは略直線上に仮想スピーカが存在しない場合、仮想スピーカ配分処理部11bは、当該音源に近い2個の仮想スピーカに対し、当該音源の音響信号を比例配分する。図5に示す例では、音源S1と聴取者とを結ぶ直線上もしくは略直線上に仮想スピーカが存在せず、聴取者から見て仮想スピーカVS1の方向(右45度方向)と仮想スピーカVS2の方向(右90度方向)との間に音源S1が存在している。この場合、仮想スピーカ配分処理部11bは、音源S1に近い2個の仮想スピーカVS1,VS2に対し、音源S1の音響信号を比例配分する。具体的に、仮想スピーカ配分処理部11bは、音源S1の位置と聴取者とを結ぶ直線と、聴取者に対する音源S1の方向との成す角度α[度]を求める。そして、仮想スピーカ配分処理部11bは、求めた角度αに基づき、音源S1の音響信号を仮想スピーカVS1に配分するための重みWch1と、音源S1の音響信号を仮想スピーカVS2に配分するための重みWch2とを算出する。このとき、0度<α<45度,0<Wch1<1,0<Wch2<1であり、重みWch1およびWch2は、それぞれ例えば下式(1),(2)で与えられる。
Wch1=1−{(45−α)/45} …(1)
Wch2=1−(α/45) …(2)
そして、仮想スピーカ配分処理部11bは、音源S1の音響信号(ゲイン)に重みWch1を乗じたものを仮想スピーカVS1に配分するとともに、音源S1の音響信号(ゲイン)に重みWch2を乗じたものを仮想スピーカVS2に配分する。これにより、音源S1が、2個の仮想スピーカVS1,VS2に比例配分される。
仮想スピーカ配置処理部(配置部)12aは、聴取者頭部姿勢角度検出手段23により聴取者の頭部の回転(頭部姿勢角θ)を検知すると、仮想スピーカVS0〜VS7を、聴取者の頭部を中心に、頭部の回転方向と反対の方向へ頭部の回転角度θだけ回転移動させる。つまり、本実施形態では、頭部姿勢連動の音像定位が行なわれている。頭部姿勢連動の音像定位については、図6〜図8を参照しながら後述する。
この後、仮想スピーカ配置処理部12aは、仮想スピーカVS0〜VS7のうち聴取者の前方側仮想スピーカに対し、前方側仮想スピーカ以外の仮想スピーカが聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、仮想スピーカVS0〜VS7の配置位置を補正(シフト)する。このような仮想スピーカの配置については、図8〜図12を参照しながら後述する。
定位音生成部(生成部)12bは、仮想スピーカ配分処理部11bによって各仮想スピーカVS0〜VS7に配分された音響信号に、仮想スピーカ配置処理部12aによって配置位置を補正された各仮想スピーカVS0〜VS7の聴取者に対する方向に応じたHRTFを畳み込むことで、聴取者に対する左右の音を生成する。各仮想スピーカVS0〜VS7の畳み込みに用いられるHRTFについては図8を参照しながら後述する。また、定位音生成部12bにおいてHRTFの畳み込み処理は、図13を参照しながら後述するごとく、FIR(Finite Impulse Response)フィルタを用いて実行される。
定位音量補正処理部(第2調整部)12cは、聴取者の前方側仮想スピーカよりも聴取者の後方側に配置される仮想スピーカほど音量が小さくなるように、各仮想スピーカVS0〜VS7のゲインを調整する。このようなゲイン調整については、図8,図9および図13を参照しながら後述する。
Lch用ミキサ13Lは、信号処理手段12−0〜12−7のそれぞれで生成されゲイン調整された左側の音をミキシングして、耳装着型音響再生装置2の左側音発生部21Lに出力する。
Rch用ミキサ13Rは、信号処理手段12−0〜12−7のそれぞれで生成されゲイン調整された右側の音をミキシングして、耳装着型音響再生装置2の右側音発生部21Rに出力する。
ここで、図6(A),(B)を参照しながら、頭部姿勢連動の音像定位について説明する。本実施形態では、博物館,美術館,展示会,テーマパークなどにおいて、複数方向からの展示物から発せられる音を耳装着型音響再生装置2で再生する際に、耳装着型音響再生装置2を装着した聴取者が向いている方向の展示物からの音が、正面からの音として聞こえるようにするために、頭部姿勢連動の音像定位が行なわれる。
聴取者が展示A,Bを正面に見ている状態で音A,Bが展示A,Bから発せられているように聴こえる場合、且つ、頭部姿勢連動を行なわない場合、図6(A)に示すように、聴取者が頭部を回転し注視方向を変えると音源の位置が移動してしまい、音A,Bが展示物A,Bの位置からずれて聴こえる。
これに対し、頭部姿勢連動を行なう場合、仮想スピーカ配置処理部12aが、仮想スピーカVS0〜VS7を、聴取者の頭部を中心に、頭部の回転方向と反対の方向へ頭部の回転角度θだけ回転移動させる。これにより、図6(B)に示すように、聴取者が頭部を回転しても、音A,Bが展示物A,Bの位置からずれることがない。したがって、音A,Bが、展示A,Bの位置にそれぞれ対応して聴こえる。このように、本実施形態の情報処理装置1(仮想スピーカ配置処理部12a,定位音生成部12b)では、聴取者が動き回る環境で動的に音像を定位させるべく、頭部姿勢に連動させて音像定位処理が行なわれる。
ここで、図7(A),(B)を参照しながら、仮想スピーカ方式を採用し且つ頭部姿勢連動を行なう場合の音源再生処理について説明する。図7(A),(B)において、細点線で示すx軸およびy軸によって規定される座標は仮想スピーカ座標であり、太実線で示すX軸およびY軸によって規定される座標は聴取者位置座標であり、太点線で示すx’軸およびy’軸によって規定される座標はHRTF座標である。なお、図7(A),(B)では、仮想スピーカ配置処理部12aが、聴取者の前方側仮想スピーカに対し、前方側仮想スピーカ以外の仮想スピーカを聴取者の後方側に偏った位置に配置する配置位置補正処理を行なっていない例が示されている。また、図7(A),(B)に示す例では、定位音量補正処理部12cによるゲイン調整処理を行なっていない例が示されている。
図7(A)に示す例では、仮想スピーカVS0〜VS7の配置状態が基準配置で、聴取者が聴取者位置座標のy軸方向を向いている。このとき、聴取者の注視方向は仮想スピーカVS0の方向であり、仮想スピーカ座標x−yと聴取者位置座標X−YとHRTF座標x’−y’とは一致している。また、仮想スピーカVS0〜VS7の畳み込み処理では、HRTF座標x’−y’に従い、それぞれ0度,45度,90度,135度,180度,225度,270度,315度のHRTFが用いられる。
図7(A)に示す状態から、聴取者が聴取者位置座標X−Yに対し時計回り方向に225度だけ回転した場合、仮想スピーカ配置処理部12aが、仮想スピーカVS0〜VS7を、聴取者の頭部を中心に、頭部の回転方向と反対の方向へ頭部の回転角度225度だけ回転移動させる。これにより、図7(B)に示すように、聴取者の注視方向は仮想スピーカVS5の方向になる。このとき、仮想スピーカ座標x−yと聴取者位置座標X−Yとは一致している。また、HRTF座標x’−y’は聴取者とともに時計回り方向に225度回転し、仮想スピーカVS0〜VS7の畳み込み処理では、回転後のHRTF座標x’−y’に従い、それぞれ135度,180度,225度,270度,315度,0度,45度,90度のHRTFが用いられることになる。
次に、図8(A),(B)を参照しながら、本実施形態における、仮想スピーカVS0〜VS7の位置移動および音量による音像定位強調について説明する。なお、図8(A)および図8(B)において、仮想スピーカVS0〜VS7を示す円の大きさ(直径)は、定位音量補正処理部12cによって補正された仮想スピーカVS0〜VS7の音量(ゲイン)に相当している。
図8(A)では、図7(A)に示すように、聴取者の注視方向が仮想スピーカVS0の方向であるときに、仮想スピーカ配置処理部12aによる配置位置補正処理および定位音量補正処理部12cによるゲイン調整処理を行なった場合の、仮想スピーカVS0〜VS7の位置や音量が示されている。
図8(A)では、聴取者の前方側仮想スピーカとして聴取者正面における仮想スピーカVS0が0度の位置に固定される。聴取者背面における仮想スピーカVS4も180度の位置に固定される。また、聴取者正面の仮想スピーカVS0に対し、当該仮想スピーカVS0以外の仮想スピーカVS1〜VS7が聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、仮想スピーカ配置処理部12aにより、仮想スピーカVS1〜VS7の配置位置が補正されている。つまり、仮想スピーカVS0,VS4はそれぞれ0度,180度の位置のままであるが、仮想スピーカVS1は45度から85度の位置にシフトし、仮想スピーカVS2は90度から135度の位置にシフトし、仮想スピーカVS3は135度から170度の位置にシフトしている。同様に、仮想スピーカVS5は225度から190度の位置にシフトし、仮想スピーカVS6は270度から225度の位置にシフトし、仮想スピーカVS7は315度から275度の位置にシフトしている。したがって、仮想スピーカVS0〜VS7の畳み込み処理では、それぞれ0度,85度,135度,170度,180度,190度,225度,275度のHRTFが用いられる。また、定位音量補正処理部12cによるゲイン調整処理を行なうことで、聴取者の前方側仮想スピーカVS0よりも聴取者の後方側に配置される仮想スピーカほど音量が小さくなるように、各仮想スピーカVS0〜VS7のゲインが調整される。
図8(B)では、図7(A)に示す状態から聴取者が時計回り方向に45度だけ回転し聴取者の注視方向が仮想スピーカVS1の方向であるときに、仮想スピーカ配置処理部12aによる配置位置補正処理および定位音量補正処理部12cによるゲイン調整処理を行なった場合の、仮想スピーカVS0〜VS7の位置や音量が示されている。
図8(B)では、上述した頭部姿勢連動を行なうことで、聴取者の前方側仮想スピーカとして聴取者正面における仮想スピーカVS1が、HRTF座標x’−y’〔図7(B)参照〕における0度の位置に固定される。聴取者背面における仮想スピーカVS5も180度の位置に固定される。また、聴取者正面の仮想スピーカVS1に対し、当該仮想スピーカVS1以外の仮想スピーカVS2〜VS7,VS0が聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、仮想スピーカ配置処理部12aにより、仮想スピーカVS2〜VS7,VS0の配置位置が補正されている。つまり、仮想スピーカVS1,VS5はそれぞれ0度,180度の位置のままであるが、仮想スピーカVS2は45度から85度の位置にシフトし、仮想スピーカVS3は90度から135度の位置にシフトし、仮想スピーカVS4は135度から170度の位置にシフトしている。同様に、仮想スピーカVS6は225度から190度の位置にシフトし、仮想スピーカVS7は270度から225度の位置にシフトし、仮想スピーカVS0は315度から275度の位置にシフトしている。したがって、仮想スピーカVS0〜VS7の畳み込み処理では、それぞれ275度,0度,85度,135度,170度,180度,190度,225度のHRTFが用いられる。また、定位音量補正処理部12cによるゲイン調整処理を行なうことで、聴取者の前方側仮想スピーカVS1よりも聴取者の後方側に配置される仮想スピーカほど音量が小さくなるように、各仮想スピーカVS0〜VS7のゲインが調整される。
例えば、図7(A)や図7(B)に示すように、8個の仮想スピーカVS0〜VS7が聴取者の周囲において当該聴取者の頭部を中心とする円周上に45度間隔で配置された場合、正面0度の両側位置である45度および315度に配置された仮想スピーカの音により、正面0度の仮想スピーカからの音が邪魔される。このため、音像を明確に定位することができなくなっていると考えられる。
そこで、本実施形態では、図8(A)や図8(B)に示すように、仮想スピーカ配置処理部12aが、聴取者の前方側仮想スピーカに対し、前方側仮想スピーカ以外の仮想スピーカを聴取者の後方側に偏った位置に配置する配置位置補正処理を行なっている。これにより、正面0度の仮想スピーカからの音は、両側の仮想スピーカからの音に邪魔され難くなり、音像を明確に定位することが可能になる。
さらに、本実施形態では、定位音量補正処理部12cが、聴取者の前方側仮想音源よりも聴取者の後方側に配置される仮想音源ほど音量が小さくなるように、各仮想スピーカVS0〜VS7のゲイン調整処理を行なっている。これにより、正面0度の仮想スピーカからの音は、両側の仮想スピーカからの音に、より邪魔され難くなり、音像をより明確に定位することが可能になる。
さて、図8(A)や図8(B)では、仮想スピーカ配置処理部12aが、聴取者正面における一の仮想スピーカを固定し、当該一の仮想スピーカに対し、当該一の仮想スピーカ以外の仮想スピーカが聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、8個の仮想スピーカVS0〜VS7の配置位置を補正する場合について説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、図9〜図12に示すような種々の変形例を適用することが可能である。
図9〜図12を参照しながら、本実施形態における、仮想スピーカの位置移動および音量による音像定位強調の第1〜第3変形例について説明する。
まず、図9(A)に示す第1変形例は、図8(A)や図8(B)で仮想スピーカの数が8個であったのに対し、12個である点で異なっている。第1変形例においても、仮想スピーカ配置処理部12aは、聴取者正面における仮想スピーカVS0に対し、それ以外の仮想スピーカVS1〜VS11が聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、12個の仮想スピーカVS0〜VS11の配置位置を補正している。これにより、聴取者の正面と背面の仮想スピーカVS0,VS6が固定され、他の仮想スピーカは聴取者の後方側にシフトされる。また、定位音量補正処理部12cは、聴取者の前方側仮想スピーカよりも聴取者の後方側に配置される仮想スピーカほど音量が小さくなるように、各仮想スピーカVS0〜VS11のゲインを調整している。つまり、聴取者正面の仮想スピーカVS0のゲインが最大になり、聴取者背面の仮想スピーカVS6のゲインが最小になる。
ここで、図10(A),(B)を参照しながら、図9(A)に示す第1変形例における仮想スピーカの位置移動の具体例について説明する。図10(A)は、図9(A)に示す第1変形例における、仮想スピーカ配置処理部12aの配置位置補正処理を実現する定位角補正関数f1の具体例を示す。また、図10(B)は、補正前の12個の仮想スピーカの位置P0〜P11と、図10(A)に示す定位角補正関数f1による補正後の12個の仮想スピーカの位置P0’〜P11’とを示す。頭部姿勢連動のための回転移動後の仮想スピーカVSm(mは仮想スピーカ番号;m=0,1,…,11)の定位角[度]つまり頭部姿勢角度と仮想スピーカVSm角度との相対角度をαmとし、補正後の定位角[度]をβmとすると、図10(A)に示す定位角補正関数f1は下式(3)で与えられる。
βm=f1(αm)=2*(180/π*sin-1(αm/180-1))+180 …(3)
仮想スピーカ配置処理部12aは、上式(3)のような定位角補正関数βm=f1(αm)を用いることで、図10(B)に示すように、略等間隔に配置された補正前の仮想スピーカの位置P0〜P11を、それぞれ位置P0’〜P11’に補正することができる。つまり、仮想スピーカ配置処理部12aは、上式(3)の定位角補正関数βm=f1(αm)を用い、聴取者正面の一の仮想スピーカに対し、それ以外の仮想スピーカを聴取者の後方側に偏った位置に配置するように、仮想スピーカの配置位置を補正することができる。
図9(B)に示す第2変形例において、仮想スピーカ配置処理部12aは、聴取者の前方側仮想スピーカとして聴取者正面における仮想スピーカVS0を含む二以上の仮想スピーカ〔図9(B)では個の仮想スピーカVS0,VS1,VS11〕を一の仮想スピーカVS0に統合している。そして、仮想スピーカ配置処理部12aは、聴取者正面における仮想スピーカVS0に対し、統合した3個の仮想スピーカVS0,VS1,VS11以外の仮想スピーカVS2〜VS10が聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、仮想スピーカVS0〜VS11の配置位置を補正している。これにより、聴取者前方側のいくつかの仮想スピーカが聴取者正面で統合され、他の仮想スピーカは聴取者の後方側にシフトされる。また、定位音量補正処理部12cは、聴取者の前方側仮想スピーカよりも聴取者の後方側に配置される仮想スピーカほど音量が小さくなるように、各仮想スピーカVS0およびVS2〜VS10のゲインを調整している。つまり、聴取者正面の仮想スピーカVS0のゲインが最大になり、聴取者背面の仮想スピーカVS6のゲインが最小になる。
ここで、図11(A)〜(C)を参照しながら、図9(B)に示す第2変形例における仮想スピーカの位置移動の具体例について説明する。図11(A)は、図9(B)に示す第2変形例における、仮想スピーカ配置処理部12aの配置位置補正処理を実現する関数の具体例を示す。また、図11(B)は、補正前の14個の仮想スピーカの位置P0〜P13と、図11(A)に示す関数による補正後の14個の仮想スピーカの位置P0’〜P13’とを示す。図11(C)は、第2変形例における定位角補正関数f1に依存しない範囲と定位角補正関数f1によって補正する範囲とを示す。第2変形例では、図11(C)に示すように、予め設定されたゼロ補正定位角θZERO(例えばθZERO=5度)が設定され、聴取者正面(0度)に向かって左θZEROから右θZEROまでの範囲内の仮想スピーカの位置は、定位角補正関数f1に依存せず、正面0度の位置に補正される。頭部姿勢連動のための回転移動後の仮想スピーカVSmの定位角[度]をαmとし、補正後の定位角[度]をβmとし、A=θZERO,B=360−Aすると、図11(A)に示す関数は下式(4),(5)で与えられる。
βm=0 (0≦αm≦AまたはB≦αm≦359の場合) …(4)
βm=f1(αm)=2*(180/π*sin-1(αm/180-1))+180 (A<αm<Bの場合)…(5)
仮想スピーカ配置処理部12aは、上式(4)を用いることで、図11(B)に示すように、補正前においては、正面0度の左右5度以内の範囲に存在する3個の仮想スピーカの位置P0,P1,P13は、正面0度の位置P0’,P1’,P13’の位置に補正される。また、仮想スピーカ配置処理部12aは、上式(5)を用いることで、図11(B)に示すように、略等間隔に配置された補正前の仮想スピーカの位置P2〜P12を、それぞれ位置P2’〜P12’に補正することができる。つまり、仮想スピーカ配置処理部12aは、上式(4)を用い、聴取者の前方側の所定範囲内に存在する仮想スピーカを、正面0度の仮想スピーカに統合することができる。また、仮想スピーカ配置処理部12aは、上式(5)を用い、聴取者正面の一の仮想スピーカに対し、上記所定範囲外に存在する仮想スピーカを聴取者の後方側に偏った位置に配置するように、仮想スピーカの配置位置を補正することができる。
図9(C)に示す第3変形例において、仮想スピーカ配置処理部12aは、聴取者の前方側仮想スピーカとして聴取者正面における仮想スピーカVS0を含む二以上の仮想スピーカ〔図9(C)では2個の仮想スピーカVS1,VS11〕を固定している。そして、仮想スピーカ配置処理部12aは、聴取者正面における仮想スピーカVS0に対し、固定した3個の仮想スピーカVS0,VS1,VS11以外の仮想スピーカVS2〜VS10が聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、仮想スピーカVS0〜VS11の配置位置を補正している。これにより、聴取者前方側のいくつかの仮想スピーカが聴取者正面で位置を変えないまま配置され、他の仮想スピーカは聴取者の後方側にシフトされる。また、定位音量補正処理部12cは、聴取者の前方側仮想スピーカよりも聴取者の後方側に配置される仮想スピーカほど音量が小さくなるように、各仮想スピーカVS0〜VS11のゲインを調整している。つまり、聴取者正面の仮想スピーカVS0のゲインが最大になり、聴取者背面の仮想スピーカVS6のゲインが最小になる。
ここで、図12(A)〜(C)を参照しながら、図9(C)に示す第3変形例における仮想スピーカの位置移動の具体例について説明する。図12(A)は、図9(C)に示す第3変形例における、仮想スピーカ配置処理部12aの配置位置補正処理を実現する関数の具体例を示す。また、図12(B)は、補正前の18個の仮想スピーカの位置と、図12(A)に示す関数よる補正後の18個の仮想スピーカの位置とを示す。図12(C)は、第3変形例における定位角補正関数f1に依存しない範囲と定位角補正関数f1によって補正する範囲とを示す。第3変形例では、図12(C)に示すように、予め設定されたゼロ補正定位角θZERO(例えばθZERO=30度)が設定され、聴取者正面(0度)に向かって左θZEROから右θZEROまでの範囲内の仮想スピーカの位置は、定位角補正関数f1に依存せず、補正されず、現状のまま維持される。頭部姿勢連動のための回転移動後の仮想スピーカVSmの定位角[度]をαmとし、補正後の定位角[度]をβmとし、A=θZERO,B=360−Aすると、図12(A)に示す関数は下式(6),(7)で与えられる。
βm=αm (0≦αm≦AまたはB≦αm≦359の場合) …(6)
βm=f1(αm)=2*(180/π*sin-1(αm/180-1))+180 (A<αm<Bの場合)…(7)
仮想スピーカ配置処理部12aは、上式(6)を用いることで、図12(B)に示すように、補正前においては、正面0度の左右30度以内の範囲に存在する7個の仮想スピーカの位置は、補正されることなく現状の位置に維持される。また、仮想スピーカ配置処理部12aは、上式(7)を用いることで、図12(B)に示すように、略等間隔に配置された補正前の仮想スピーカの位置P1〜P11を、それぞれ位置P1’〜P11’に補正することができる。つまり、仮想スピーカ配置処理部12aは、上式(6)を用い聴取者の前方側の所定範囲内に存在する仮想スピーカの位置を変えずに、上式(7)を用い、聴取者前方側の仮想スピーカに対し、上記所定範囲外に存在する仮想スピーカを聴取者の後方側に偏った位置に配置するように、仮想スピーカの配置位置を補正することができる。
さて、ここで、図13(A)〜(C)を参照しながら、図8(A),(B)または図9(A)に対応する、仮想スピーカの位置移動および音量による音像定位強調の具体例について説明する。図13(A)は、仮想スピーカ配置処理部12a,定位音生成部12bおよび定位音量補正処理部12cによる処理をより具体的に説明するブロック図である。図13(B)は、仮想スピーカ配置処理部12aによる配置位置補正処理を実現する、図10(A)と同様の定位角補正関数f1を示す。図13(C)は、定位音量補正処理部12cによる各仮想スピーカに対するゲイン調整処理を実現するゲイン関数f2を示す。
図13(A)〜(C)において、mは仮想スピーカ番号であり、lは、各仮想スピーカに配分された音源(音響信号)の1フレーム分の音データサンプルを特定するフレーム番号でl=0,1,2,..,513である。sp(m,l)は、仮想スピーカVSmに割り当てられた音源のうち、フレーム番号lの音データサンプル(音響信号)である。
αmは、前述した通り、頭部姿勢連動のための回転移動後の仮想スピーカVSmの定位角[度]、つまり頭部姿勢角度と仮想スピーカVSm角度との相対角度である。また、βmは、図13(B)に示す定位角補正関数f1によって定位角αmを補正して得られる補正後の定位角[度]である。つまり、上式(3)の通り、βm=f1(αm)である。
3D_L(m,l)は、定位音生成部12bにおいて、左用FIRフィルタLを用い、仮想スピーカVSmのサンプルsp(m,l)に対し、補正定位角βmに応じたHRTFを畳み込むことによって生成される左側定位音(Lch定位音)である。
同様に、3D_R(m,l)は、定位音生成部12bにおいて、右用FIRフィルタRを用い、仮想スピーカVSmのサンプルsp(m,l)に対し、補正定位角βmに応じたHRTFを畳み込むことによって生成される右側定位音(Rch定位音)である。
gmは、図13(C)に示すゲイン関数f2に補正定位角βmを代入して得られるゲイン値であり、gm=f2(βm)=f2(f1(αm))である。ここで、ゲイン関数f2は、例えば、正面方向(0度方向)で最大(例えば1.0)、背面方向(180度または−180度方向)で最小(例えば0.4)となるSin関数である。
d3D_L(m,l)は、定位音量補正処理部12cにおいて、左側定位音3D_L(m,l)のゲインを図13(C)に示すゲイン関数f2に基づき調整して得られ、Lch用ミキサ13Lに出力されるLch定位強調音であり、d3D_L(m,l)=gm*3D_L(m,l)=f2(f1(αm))*3D_L(m,l)である。
同様に、d3D_R(m,l)は、定位音量補正処理部12cにおいて、右側定位音3D_R(m,l)のゲインを図13(C)に示すゲイン関数f2に基づき調整して得られ、Rch用ミキサ13Rに出力されるRch定位強調音であり、d3D_R(m,l)=gm*3D_R(m,l)=f2(f1(αm))*3D_R(m,l)である。
このように、定位音量補正処理部12cは、図13(C)に示すゲイン関数f2に基づくゲイン調整を行なうことで、聴取者の前方側仮想スピーカよりも聴取者の後方側に配置される仮想スピーカほど音量が小さくなるように各仮想スピーカVSmのゲインを調整制御する。これにより、仮想スピーカ配置処理部12aによる配置位置補正処理に加え、定位音量補正処理部12cによるゲイン調整処理が実行され、正面0度の仮想スピーカからの音がより強調され、音像を明確に定位することが可能になる。
〔3〕本実施形態の動作
〔3−1〕本実施形態の情報処理装置の動作
次に、図14に示すフローチャート(ステップS11〜S28)に従って、図1および図2に示す情報処理装置1の動作について説明する。
情報処理装置1(処理部1B)が処理を開始すると、まず、仮想スピーカの位置設定が行なわれる(ステップS11)。このとき、本実施形態において、処理部1Bは、予め設定されている数の仮想スピーカを、例えば図5に示すような基準配置の状態に配置設定する。
そして、処理部1Bは、聴取者位置取得手段22(位置センサ22a)により、聴取者の位置を取得し(ステップS12)、記憶部1Aから一の音源と当該音源の位置とを取得する(ステップS13)。ゲイン調整部11aは、位置センサ22aによって得られた聴取者の位置と、記憶部1Aから読み出した当該音源の位置との距離に応じ、聴取者に近い音源ほど音量が大きくなるように、当該音源のゲインを調整する(ステップS14)。
この後、仮想スピーカ配分処理部11bによる配分処理(ステップS15〜S19)が実行される。まず、仮想スピーカ配分処理部11bは、当該音源の位置と聴取者の位置とを結ぶ直線上または略直線上に仮想スピーカが存在するか否かを判定する(ステップS15)。直線上または略直線上に仮想スピーカが存在する場合(ステップS15のYESルート)、仮想スピーカ配分処理部11bは、直線上または略直線上に存在する当該仮想スピーカに、当該音源の音響信号を配分し(ステップS16;例えば図5の音源S2および仮想スピーカVS6参照)、処理部1BはステップS20の処理へ移行する。
一方、直線上または略直線上に仮想スピーカが存在しない場合(ステップS15のNOルート)、仮想スピーカ配分処理部11bは、当該音源に近い2個の仮想スピーカを選択する(ステップS17)。そして、仮想スピーカ配分処理部11bは、当該音源の位置と聴取者の位置とを結ぶ直線と、当該音源の位置と選択した2個の仮想スピーカの位置とを結ぶ2本の直線との成す角度(例えば図5の角度αおよび角度45−α参照)を算出する(ステップS18)。仮想スピーカ配分処理部11bは、算出した角度に基づき、例えば上式(1),(2)に従って2個の仮想スピーカの重みを算出し、算出した重みにより、選択した2個の仮想スピーカに対し、当該音源の音響信号を比例配分する(ステップS19)。
この後、処理部1Bは、他に処理すべき音源があるか否かを判定し(ステップS20)、音源がある場合(ステップS20のYESルート)、ステップS13の処理に戻る。また、音源がない場合(ステップS20のNOルート)、処理部1Bは、聴取者頭部姿勢角度取得手段23により、基準方向(例えば図5,図7,図8のy軸方向)に対する聴取者の注視方向/正面方向の角度を頭部姿勢角θを取得する(ステップS21)。
そして、仮想スピーカ配置処理部12aは、聴取者頭部姿勢角度検出手段23により聴取者の頭部の回転(頭部姿勢角θ)を検知すると、図6〜図8を参照しながら上述したように、頭部姿勢連動処理を行なう。つまり、仮想スピーカ配置処理部12aは、仮想スピーカを、基準配置(例えば図5参照)から、聴取者の頭部を中心に、頭部の回転方向と反対の方向へ頭部の回転角度(頭部姿勢角)θだけ回転移動させる(ステップS22)。
ついで、仮想スピーカ配置処理部12aは、図8〜図13を参照しながら上述したように、仮想スピーカのうち聴取者の前方側仮想スピーカに対し、前方側仮想スピーカ以外の仮想スピーカが聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、仮想スピーカの配置位置を補正(シフト)する(ステップS23)。
さらに、定位音生成部12bは、図8や図13を参照しながら上述したように、仮想スピーカ配分処理部11bによって各仮想音源に配分された音響信号に、仮想スピーカ配置処理部12aによって配置位置を補正された各仮想スピーカの聴取者に対する方向に応じたHRTFを畳み込む。これにより、定位音生成部12bは、聴取者に対する左右の音として、図13(A)に示すLch定位音3D_L(m,l)およびRch定位音3D_L(m,l)を生成する(ステップS24)。
この後、定位音量補正処理部12cは、定位音生成部12bからのLch定位音3D_L(m,l)およびRch定位音3D_L(m,l)に対し、図13(C)に示すゲイン関数f2に基づくゲイン調整を行なう。これにより、定位音量補正処理部12cは、聴取者の前方側仮想スピーカよりも聴取者の後方側に配置される仮想スピーカほど音量が小さくなるように各仮想スピーカVSmのゲインを調整する(ステップS25)。このとき、図13(C)に示すように、聴取者に対する左右音として、図13(A)に示すLch定位強調音d3D_L(m,l)およびd3D_R(m,l)が生成され、それぞれLch用ミキサ13LおよびRch用ミキサ13Rに出力される。
そして、Lch用ミキサ13Lは、仮想スピーカ毎に生成されたLch定位強調音d3D_L(m,l)をミキシングして、耳装着型音響再生装置2の左側音発生部21Lに出力する。また、Rch用ミキサ13Rは、仮想スピーカ毎に生成されたRch定位強調音d3D_R(m,l)をミキシングして、耳装着型音響再生装置2の右側音発生部21Rに出力する(ステップS26)。これにより、耳装着型音響再生装置2において、左側音発生部21Lおよび右側音発生部21Rから、それぞれ、聴取者の左右の耳に対し、Lch定位強調音d3D_L(m,l)およびRch定位強調音d3D_R(m,l)が発せられ、ミキシング音が再生される(ステップS27)。
この後、処理部1Bは、再生処理が終了したか否かを判定し(ステップS28)、再生処理が終了していない場合(ステップS28のNOルート)、ステップS12の処理に戻り同様の処理を繰り返し実行する。一方、再生処理が終了した場合(ステップS28のYESルート)、処理部1Bは、処理を終了する。
〔3−2〕本実施形態の情報処理装置の動作の変形例
次に、図15に示すフローチャート(ステップS31〜S44)に従って、図1および図2に示す情報処理装置1の動作の変形例について説明する。図14では、聴取者位置取得手段22によって取得した聴取者の位置と、聴取者頭部姿勢角度検出手段23によって取得した聴取者の頭部姿勢角θとが取得され処理に反映される場合の動作について説明したが、本件の技術は、聴取者の位置や頭部姿勢角θを取得しない場合にも適用される。このような場合の動作を、変形例として、図15を参照しながら説明する。この場合、聴取者が、展示会場等の所定箇所(定点)において、所定方向に向いていることを前提として、情報処理装置1(処理部1B)は以下のような動作を行なう。
情報処理装置1(処理部1B)が処理を開始すると、まず、仮想スピーカの位置設定が行なわれる(ステップS31)。このとき、本実施形態において、処理部1Bは、予め設定されている数の仮想スピーカを、例えば図5に示すような基準配置の状態に配置設定する。そして、処理部1Bは、記憶部1Aから一の音源と当該音源の位置とを取得する(ステップS32)。ゲイン調整部11aは、聴取者の位置(予め設定された上記定点)と、記憶部1Aから読み出した当該音源の位置との距離に応じ、聴取者に近い音源ほど音量が大きくなるように、当該音源のゲインを調整する(ステップS33)。
この後、仮想スピーカ配分処理部11bによる配分処理(ステップS34〜S38)が実行される。図15に示すステップS34〜S38は、図14に示すステップS15〜S19に対応している。まず、仮想スピーカ配分処理部11bは、当該音源の位置(定点)と聴取者の位置とを結ぶ直線上または略直線上に仮想スピーカが存在するか否かを判定する(ステップS34)。直線上または略直線上に仮想スピーカが存在する場合(ステップS34のYESルート)、仮想スピーカ配分処理部11bは、直線上または略直線上に存在する当該仮想スピーカに、当該音源の音響信号を配分し(ステップS35)、処理部1BはステップS39の処理へ移行する。
一方、直線上または略直線上に仮想スピーカが存在しない場合(ステップS34のNOルート)、仮想スピーカ配分処理部11bは、当該音源に近い2個の仮想スピーカを選択する(ステップS36)。そして、仮想スピーカ配分処理部11bは、当該音源の位置と聴取者の位置(定点)とを結ぶ直線と、当該音源の位置と選択した2個の仮想スピーカの位置とを結ぶ2本の直線との成す角度(例えば図5の角度αおよび角度45−α参照)を算出する(ステップS37)。仮想スピーカ配分処理部11bは、算出した角度に基づき、例えば上式(1),(2)に従って2個の仮想スピーカの重みを算出し、算出した重みにより、選択した2個の仮想スピーカに対し、当該音源の音響信号を比例配分する(ステップS38)。
この後、処理部1Bは、他に処理すべき音源があるか否かを判定し(ステップS39)、音源がある場合(ステップS39のYESルート)、ステップS32の処理に戻る。また、音源がない場合(ステップS39のNOルート)、処理部1Bは、ステップS40〜S44の処理を実行し、処理を終了する。ここで、図15に示すステップS40〜S44の処理は、それぞれ、図14を参照しながら説明したステップS23〜S27の処理と同様であるため、図15に示すステップS40〜S44の処理についての説明は省略する。
〔3−3〕記憶部における状態データの変化例
次に、図16〜図19を参照しながら、本実施形態の情報処理装置1の動作に伴う、記憶部1Aにおける、聴取者および仮想スピーカの状態データの変化について具体的に説明する。
図16(A),図17(A),図18(A)および図19(A)には、記憶部1Aにおいて、聴取者の状態データを保存する聴取者テーブルが示されている。聴取者テーブルには、聴取者ID(IDentification)に対応する聴取者の現在位置を示す座標(x,y,z)[単位:m(メートル)]と、聴取者IDに対応する聴取者の現在の頭部姿勢角θ(t)[単位:deg(度)]とが保存されている。なお、前述した通り、座標(x,y,z)は、聴取者位置取得手段22によって取得され、頭部姿勢角θ(t)は、聴取者頭部姿勢角度検出手段23によって取得される。また、図16(A),図17(A),図18(A)および図19(A)では、聴取者IDがR001である聴取者の座標および頭部姿勢角θ(t)が示されている。
図16(B),図17(B),図18(B)および図19(B)には、記憶部1Aにおいて、各仮想スピーカの状態データを保存する仮想スピーカテーブルが示されている。仮想スピーカテーブルには、仮想スピーカIDに対応する仮想スピーカの現在位置を示す座標(x,y,z)[単位:m(メートル)]と、仮想スピーカIDに対応する仮想スピーカのゲインとが保存されている。
なお、仮想スピーカテーブルにおける座標としては、仮想スピーカ配置処理部12aによって算出された各仮想スピーカの位置が保存される。仮想スピーカテーブルにおけるゲインとしては、定位音量補正処理部12cによって算出された各仮想スピーカのゲインが保存される。また、図16(B),図17(B),図18(B)および図19(B)では、仮想スピーカIDがそれぞれS001,S002,S003である3個の仮想スピーカの座標およびゲイン(音量)が示されている。
図16(B),図17(B),図18(B)および図19(B)に示す仮想スピーカテーブルでは、各仮想スピーカの位置として座標が保存されているが、座標に代えて角度を保存してもよい。座標と角度とは相互に変換可能である。角度は、聴取者を中心とし、聴取者の注視方向を正面0度として規定される。
図16(C)では、図16(A)に示す聴取者テーブルに保存された聴取者と図16(B)に示す仮想スピーカテーブルに保存された3個の仮想スピーカとがxy座標上で示されている。図17(C),図18(C)および図19(C)についても、図16(C)と同様である。なお、図16(C),図17(C),図18(C)および図19(C)において、聴取者は、現在位置と注視方向(矢印方向)とが明確になるように示され、仮想スピーカは、現在位置と音量(ゲイン)の大きさ(円の直径)とが明確になるように示されている。
さて、図16(A)〜(C)は、図1および図2に示す情報処理装置1の記憶部1Aにおける状態データの初期状態の例を示す図である。初期状態では、図16(A)〜(C)に示すように、聴取者R001は、仮想スピーカS001の方向(y軸方向)を注視し、仮想スピーカS001〜S003は、等間隔(45度間隔)に配置されている(基準配置)。仮想スピーカS001〜S003のゲインはいずれも1.0である。なお、図16(B)に示す仮想スピーカS001〜S003の座標は、角度に変換すると、それぞれ0度,45度,90度となる。
図17(A)〜(C)は、図16(A)〜(C)に示す状態データに対し、仮想スピーカ配置処理部12aによって仮想スピーカS001〜S003の位置移動制御を行なって得られた状態データの例を示す図である。位置移動制御を行なった結果、図17(A)〜(C)に示すように、聴取者R001の位置と、聴取者正面の仮想スピーカS001の位置とは変化しないが、仮想スピーカS002,S003は、聴取者R001の後方側に偏った位置に配置されるようシフトされる。仮想スピーカS001〜S003のゲインはいずれも1.0である。なお、図17(B)に示す仮想スピーカS001〜S003の座標は、角度に変換すると、それぞれ0度,90度,135度となる。
図18(A)〜(C)は、図17(A)〜(C)に示す状態データに対し、定位音量補正処理部12cによって仮想スピーカS001〜S003の音量制御(ゲイン制御)を行なって得られた状態データの例を示す図である。音量制御を行なった結果、図18(A)〜(C)に示すように、聴取者正面の仮想スピーカS001のゲインは、最大値1.0に維持される。一方、聴取者R001の前方側仮想スピーカS001よりも聴取者R001の後方側に配置される仮想スピーカS002,S003ほど音量が小さくなるように、仮想スピーカS002,S003のゲインが調整される。図18(B),(C)に示す例では、仮想スピーカS001よりも後方側の仮想スピーカS002のゲインは0.8に設定され、仮想スピーカS002よりもさらに後方側の仮想スピーカS003のゲインは0.6に設定されている。このとき、定位音生成部12bは、仮想スピーカ配分処理部11bによって各仮想スピーカS001〜S003に配分された音響信号に、それぞれ0度,90度,135度のHRTFを畳み込むことで、聴取者に対する左右の音を生成することになる。
図19(A)〜(C)は、図18(A)〜(C)に示す状態から聴取者R001が90度だけ時計回りに回転した時の、仮想スピーカS001〜S003の位置移動制御後および音量制御後の状態データの例を示す図である。聴取者R001(頭部)が回転すると、その回転角度(ここではθ=90度)が聴取者頭部姿勢角度検出手段23により検出される。そして、図16(A)〜(C)に示す初期状態の仮想スピーカS001〜S003(xy座標)が、仮想スピーカ配置処理部12aによって、聴取者R001の頭部を中心に、頭部の回転方向と反対の方向へ頭部の回転角度θだけ回転移動される。この後、回転後の状態データに対して、図17(A)〜(C)および図18(A)〜(C)に示す処理と同様の処理が施される。これにより、図19(A)〜(C)に示すように、聴取者R001の前方正面には仮想スピーカS003が配置され、仮想スピーカS003のゲインが最大値1.0に設定される。また、仮想スピーカS001,S002は、聴取者R001の後方側に偏った位置に配置されるようシフトされ、仮想スピーカS003よりも後方側の仮想スピーカS002のゲインは0.8に設定され、仮想スピーカS002よりもさらに後方側の仮想スピーカS001のゲインは0.6に設定されている。なお、図19(B)に示す仮想スピーカS001〜S003の座標は、角度に変換すると、それぞれ225度,270度,0度となる。このため、定位音生成部12bは、仮想スピーカ配分処理部11bによって各仮想スピーカS001〜S003に配分された音響信号に、それぞれ225度,270度,0度のHRTFを畳み込むことで、聴取者に対する左右の音を生成することになる。
〔3−4〕音像定位強調処理の評価実験結果
本実施形態の情報処理装置1の音像定位強調処理によって聴取者が音源の方向を正しく認識できているか否かの評価実験を行なった。以下に、図20〜図25を参照しながら、評価実験結果について説明する。
評価項目として、被験者(聴取者)は、2つの音源〔“日本語音声(男性)”,“英語音声(男性)+音楽”〕がどの方向から聞こえてきたかを回答する。なお、被験者に対する音源の位置は、図20(A)に示す、45度間隔の8個の位置No.1〜No.8の中からランダムに選択される。
また、評価条件としては、音像定位を頭部姿勢に連動させるか否か,定位音量補正処理部12cによる音量制御を行なうか否か,仮想スピーカ配置処理部12aによる仮想スピーカ位置移動制御を行なうか否かによって、図20(B)に示す4つの評価条件I〜IVが設定された。評価条件Iは、頭部姿勢連動なし且つ音量制御オフ且つ仮想スピーカ位置移動制御オフであり、評価条件IIは、頭部姿勢連動あり且つ音量制御オフ且つ仮想スピーカ位置移動制御オフである。また、評価条件IIIは、頭部姿勢連動あり且つ音量制御オン且つ仮想スピーカ位置移動制御オフであり、評価条件IVは、頭部姿勢連動あり且つ音量制御オン且つ仮想スピーカ位置移動制御オンである。
評価条件I〜IVについて、評価人数20人に対し評価実験を実施し、19人から有効回答を得た。その結果を図21〜図25に示す。
ここで、図21〜図24は、それぞれ、評価条件I〜IVでの評価実験結果を示す図である。図25は、評価条件I〜IVでの実験により得られた回答の正解率を示す図である。
図21〜図24において、横軸は、被験者に対して発せられた音源の設定角度[度]、縦軸は、被験者が音を聞いて回答した角度(回答角度)[度]である。そして、出題された設定角度と被験者が回答した回答角度との交点に、回答数に対応する大きさ(直径)の円が描かれている。したがって、図21〜図24において、被験者の回答率が高い場合、回答角度=設定角度の直線上に大きな円が描かれることになる。
図21〜図25に示すように、評価条件Iでの正解率は33%、評価条件IIでの正解率は66%、評価条件IIIでの正解率は71%、評価条件IVでの正解率は75%となった。したがって、明らかに、評価条件IV、つまり、音像定位を頭部姿勢に連動させ、且つ、定位音量補正処理部12cによる音量制御を行ない、且つ、仮想スピーカ配置処理部12aによる仮想スピーカ位置移動制御を行なう場合の正解率が最も高く、音像を明確に定位できるようになっている。
〔4〕本実施形態の効果
上述した本実施形態の情報処理装置1によれば、図8〜図12に示すように、仮想スピーカ配置処理部12aが、聴取者の前方側仮想スピーカに対し、それ以外の仮想スピーカを聴取者の後方側に偏った位置に配置する配置位置補正処理を行なっている。これにより、正面0度の仮想スピーカからの音は、両側の仮想スピーカからの音に邪魔され難くなり、音像を明確に定位することが可能になる。
また、本実施形態の情報処理装置1によれば、定位音量補正処理部12cが、聴取者の前方側仮想音源よりも聴取者の後方側に配置される仮想音源ほど音量が小さくなるように、各仮想スピーカのゲイン調整処理を行なっている。これにより、正面0度の仮想スピーカからの音がより強調され、正面0度の仮想スピーカからの音は、両側の仮想スピーカからの音に、より邪魔され難くなり、音像をより明確に定位することが可能になる。
さらに、本実施形態の情報処理装置1によれば、仮想スピーカ配置処理部12aが、聴取者頭部姿勢角度取得手段23による検出結果に基づき、聴取者に対する仮想スピーカの位置を補正している。これにより、頭部姿勢に連動させて音像定位処理が行なわれることになるため、聴取者が動き回る環境で動的に音像が定位され、音像をより確実に定位することが可能になる。
またさらに、本実施形態では、仮想スピーカ方式を採用しているので、音源がいくつあっても、HRTFの畳み込みや残響付加等の処理の実行回数は、仮想スピーカの数だけで済み、HRTFの畳み込みや残響付加等の処理量を増大させることがない。
また、本実施形態では、ゲイン調整部11aにより、聴取者に近い音源ほど音量が大きくなるように、各音源S1〜S4のゲインが調整される。これにより、聴取者に対し、聴取者と音源との距離に応じた音量で音源が再生されるため、聴取者は、聴取者と音源との距離感を正しく感じることができ、音像をより確実に定位することが可能になる。
〔5〕その他
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変形、変更して実施することができる。
音源の数や仮想スピーカ(仮想音源)の数は、上述した実施形態で説明した数に限定されるものではない。
上述した実施形態では、仮想スピーカ配置処理部12aが、図10(A),図11(A),図12(A),図13(B)に示すような定位角補正関数f1を用いて仮想スピーカの配置位置を補正する場合について説明したが、定位角補正関数は、これに限定されるものでない。定位角補正関数としては、聴取者の前方側仮想スピーカに対しそれ以外の仮想スピーカが聴取者の後方側に偏った位置に配置される配置位置補正を行なえる関数であれば、他の種々の関数を用いてもよく、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、上述した実施形態では、定位音量補正処理部12cが、図13(C)に示すようなゲイン関数f2を用いて仮想スピーカのゲイン調整を行なう場合について説明したが、ゲイン関数は、これに限定されるものでない。ゲイン関数としては、聴取者の前方側仮想スピーカよりも聴取者の後方側に配置される仮想スピーカほど音量が小さくなるような関数であれば、他の種々の関数を用いてもよく、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
上述したゲイン調整部11a,仮想スピーカ配分処理部11b,仮想スピーカ配置処理部12a,定位音生成部12bおよび定位音量補正処理部12cとしての機能の全部もしくは一部は、コンピュータ(CPU,プロセッサ,処理部等)が所定のアプリケーションプログラム(音像定位強調プログラム)を実行することによって実現される。
そのプログラムは、例えばフレキシブルディスク,CD(CD−ROM,CD−R,CD−RWなど),DVD(DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD−RW,DVD+R,DVD+RWなど),ブルーレイディスク等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し格納して用いる。
ここで、コンピュータとは、ハードウェアとOS(オペレーティングシステム)とを含む概念であり、OSの制御の下で動作するハードウェアを意味している。また、OSが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。ハードウェアは、少なくとも、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取る手段とをそなえている。上記音像定位強調プログラムは、上述のようなコンピュータに、上述したゲイン調整部11a,仮想スピーカ配分処理部11b,仮想スピーカ配置処理部12a,定位音生成部12bおよび定位音量補正処理部12cとしての機能の全部もしくは一部を実現させるプログラムコードを含んでいる。また、その機能の一部は、アプリケーションプログラムではなくOSによって実現されてもよい。
〔6〕付記
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
複数の仮想音源のそれぞれに配分された音響信号に、前記複数の仮想音源のそれぞれの聴取者に対する方向に応じた伝達関数を畳み込むことにより、前記聴取者に対する左右の音を生成する生成部と、
前記複数の仮想音源のうち前記聴取者の前方側仮想音源に対し、前記前方側仮想音源以外の仮想音源が前記聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、前記複数の仮想音源を配置する配置部とを有する、情報処理装置。
(付記2)
前記聴取者の周囲において前記聴取者の頭部を中心に配置された前記複数の仮想音源のそれぞれに、複数の音源からの前記音響信号を配分する配分部をさらに有し、
前記配置部は、前記配分部によって前記音響信号を配分された前記複数の仮想音源の配置位置を、前記前方側仮想音源に対し、前記前方側仮想音源以外の仮想音源が前記聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、補正し、
前記生成部は、前記配分部によって前記複数の仮想音源のそれぞれに配分された前記音響信号に、前記配置部によって配置位置を補正された前記複数の仮想音源のそれぞれの前記聴取者に対する方向に応じた伝達関数を畳み込むことにより、前記聴取者に対する前記左右の音を生成する、付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)
前記配分部は、前記聴取者の位置と前記複数の音源のそれぞれの位置と前記複数の仮想音源のそれぞれの前記聴取者に対する方向とに基づき、前記複数の音源のそれぞれからの前記音響信号を、前記複数の仮想音源のうちの一つに配分する、もしくは、前記複数の仮想音源のうちの二つに比例配分する、付記2に記載の情報処理装置。
(付記4)
前記聴取者の頭部の回転を検知した場合、前記配置部は、前記複数の仮想音源を、前記頭部を中心に、前記頭部の回転方向と反対の方向へ前記頭部の回転角度だけ回転移動させてから、前記複数の仮想音源の配置位置を補正する、付記2または付記3に記載の情報処理装置。
(付記5)
前記聴取者に近い音源ほど音量が大きくなるように、前記聴取者の位置と前記複数の音源のそれぞれの位置との距離に応じ、前記複数の音源のそれぞれのゲインを調整する第1調整部をさらに有する、付記2〜付記4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記6)
前記聴取者の前方側仮想音源よりも前記聴取者の後方側に配置される仮想音源ほど音量が小さくなるように、前記複数の仮想音源のそれぞれのゲインを調整する第2調整部をさらに有する、付記1〜付記5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記7)
前記配置部は、前記聴取者の前方側仮想音源として前記聴取者正面における一の仮想音源を固定し、前記一の仮想音源に対し、前記一の仮想音源以外の仮想音源が前記聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、前記複数の仮想音源の配置位置を補正する、付記1〜付記6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記8)
前記配置部は、前記聴取者の前方側仮想音源として前記聴取者正面における一の仮想音源を含む二以上の仮想音源を前記一の仮想音源に統合し、前記一の仮想音源に対し、前記二以上の仮想音源以外の仮想音源が前記聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、前記複数の仮想音源の配置位置を補正する、付記1〜付記6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記9)
前記配置部は、前記聴取者の前方側仮想音源として前記聴取者正面における一の仮想音源を含む二以上の仮想音源を固定し、前記二以上の仮想音源に対し、前記二以上の仮想音源以外の仮想音源が前記聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、前記複数の仮想音源の配置位置を補正する、付記1〜付記6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記10)
コンピュータが、複数の仮想音源のそれぞれに配分された音響信号に、前記複数の仮想音源のそれぞれの聴取者に対する方向に応じた伝達関数を畳み込むことにより、前記聴取者に対する左右の音を生成する音像定位強調方法であって、
前記コンピュータが、前記複数の仮想音源のうち前記聴取者の前方側仮想音源に対し、前記前方側仮想音源以外の仮想音源が前記聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、前記複数の仮想音源を配置する、音像定位強調方法。
(付記11)
複数の仮想音源のそれぞれに配分された音響信号に、前記複数の仮想音源のそれぞれの聴取者に対する方向に応じた伝達関数を畳み込むことにより、前記聴取者に対する左右の音を生成するコンピュータに、
前記複数の仮想音源のうち前記聴取者の前方側仮想音源に対し、前記前方側仮想音源以外の仮想音源が前記聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、前記複数の仮想音源を配置する、
処理を実行させる、音像定位強調プログラム。
(付記12)
複数の仮想音源のそれぞれに配分された音響信号に、前記複数の仮想音源のそれぞれの聴取者に対する方向に応じた伝達関数を畳み込むことにより、前記聴取者に対する左右の音を生成するコンピュータに、
前記複数の仮想音源のうち前記聴取者の前方側仮想音源に対し、前記前方側仮想音源以外の仮想音源が前記聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、前記複数の仮想音源を配置する、
処理を実行させる、音像定位強調プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
(付記13)
複数の仮想音源のそれぞれに配分された音響信号に、前記複数の仮想音源のそれぞれの聴取者に対する方向に応じた伝達関数を畳み込むことにより、前記聴取者に対する左右の音を生成するプロセッサを有し、
前記プロセッサが、前記複数の仮想音源のうち前記聴取者の前方側仮想音源に対し、前記前方側仮想音源以外の仮想音源が前記聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、前記複数の仮想音源を配置する、情報処理装置。
1 情報処理装置
11,11−1,11−2,… 振幅調節手段
11a ゲイン調整部(第1調整部)
11b 仮想スピーカ配分処理部(配分部)
12,12−1,12−2,… 信号処理手段
12a 仮想スピーカ配置処理部(配置部)
12b 定位音生成部(生成部)
12c 定位音量補正処理部(第2調整部)
13L Lch用ミキサ
13R Rch用ミキサ
2 耳装着型音響再生装置
21L 左側音発生部(Lch)
21R 右側音発生部(Rch)
22 聴取者位置取得手段
22a 位置センサ
23 聴取者頭部姿勢角度取得手段(頭部姿勢センサ)
23a 加速度センサ
23b 地磁気センサ
23c ジャイロセンサ
S1,S2,… 音源
VS0,VS1,… 仮想スピーカ(仮想音源)

Claims (9)

  1. 複数の仮想音源のそれぞれに配分された音響信号に、前記複数の仮想音源のそれぞれの聴取者に対する方向に応じた伝達関数を畳み込むことにより、前記聴取者に対する左右の音を生成する生成部と、
    前記複数の仮想音源のうち前記聴取者の前方側仮想音源に対し、前記前方側仮想音源以外の仮想音源が前記聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、前記複数の仮想音源を配置する配置部と
    前記聴取者の周囲において前記聴取者の頭部を中心に配置された前記複数の仮想音源のそれぞれに、複数の音源からの前記音響信号を配分する配分部とを有し、
    前記配置部は、前記配分部によって前記音響信号を配分された前記複数の仮想音源の配置位置を、前記前方側仮想音源に対し、前記前方側仮想音源以外の仮想音源が前記聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、補正し、
    前記生成部は、前記配分部によって前記複数の仮想音源のそれぞれに配分された前記音響信号に、前記配置部によって配置位置を補正された前記複数の仮想音源のそれぞれの前記聴取者に対する方向に応じた伝達関数を畳み込むことにより、前記聴取者に対する前記左右の音を生成する、情報処理装置。
  2. 前記配分部は、前記聴取者の位置と前記複数の音源のそれぞれの位置と前記複数の仮想音源のそれぞれの前記聴取者に対する方向とに基づき、前記複数の音源のそれぞれからの前記音響信号を、前記複数の仮想音源のうちの一つに配分する、もしくは、前記複数の仮想音源のうちの二つに比例配分する、請求項に記載の情報処理装置。
  3. 前記聴取者の頭部の回転を検知した場合、前記配置部は、前記複数の仮想音源を、前記頭部を中心に、前記頭部の回転方向と反対の方向へ前記頭部の回転角度だけ回転移動させてから、前記複数の仮想音源の配置位置を補正する、請求項または請求項に記載の情報処理装置。
  4. 前記聴取者に近い音源ほど音量が大きくなるように、前記聴取者の位置と前記複数の音源のそれぞれの位置との距離に応じ、前記複数の音源のそれぞれのゲインを調整する第1調整部をさらに有する、請求項〜請求項のいずれか一項に記載の情報処理装置。
  5. 前記聴取者の前方側仮想音源よりも前記聴取者の後方側に配置される仮想音源ほど音量が小さくなるように、前記複数の仮想音源のそれぞれのゲインを調整する第2調整部をさらに有する、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の情報処理装置。
  6. 前記配置部は、前記聴取者の前方側仮想音源として前記聴取者正面における一の仮想音源を含む二以上の仮想音源を前記一の仮想音源に統合し、前記一の仮想音源に対し、前記二以上の仮想音源以外の仮想音源が前記聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、前記複数の仮想音源の配置位置を補正する、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
  7. 前記配置部は、前記聴取者の前方側仮想音源として前記聴取者正面における一の仮想音源を含む二以上の仮想音源を固定し、前記二以上の仮想音源に対し、前記二以上の仮想音源以外の仮想音源が前記聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、前記複数の仮想音源の配置位置を補正する、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
  8. コンピュータが、複数の仮想音源のそれぞれに配分された音響信号に、前記複数の仮想音源のそれぞれの聴取者に対する方向に応じた伝達関数を畳み込むことにより、前記聴取者に対する左右の音を生成する音像定位強調方法であって、
    前記コンピュータが、
    前記聴取者の周囲において前記聴取者の頭部を中心に配置された前記複数の仮想音源のそれぞれに、複数の音源からの前記音響信号を配分し、
    前記音響信号を配分された前記複数の仮想音源の配置位置を、前記複数の仮想音源のうち前記聴取者の前方側仮想音源に対し、前記前方側仮想音源以外の仮想音源が前記聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、補正し、
    前記複数の仮想音源のそれぞれに配分された前記音響信号に、前記配置部によって配置位置を補正された前記複数の仮想音源のそれぞれの前記聴取者に対する方向に応じた伝達関数を畳み込むことにより、前記聴取者に対する前記左右の音を生成する、音像定位強調方法。
  9. 複数の仮想音源のそれぞれに配分された音響信号に、前記複数の仮想音源のそれぞれの聴取者に対する方向に応じた伝達関数を畳み込むことにより、前記聴取者に対する左右の音を生成するコンピュータに、
    前記聴取者の周囲において前記聴取者の頭部を中心に配置された前記複数の仮想音源のそれぞれに、複数の音源からの前記音響信号を配分し、
    前記音響信号を配分された前記複数の仮想音源の配置位置を、前記複数の仮想音源のうち前記聴取者の前方側仮想音源に対し、前記前方側仮想音源以外の仮想音源が前記聴取者の後方側に偏った位置に配置されるように、補正し、
    前記複数の仮想音源のそれぞれに配分された前記音響信号に、前記配置部によって配置位置を補正された前記複数の仮想音源のそれぞれの前記聴取者に対する方向に応じた伝達関数を畳み込むことにより、前記聴取者に対する前記左右の音を生成
    する、
    処理を実行させる、音像定位強調プログラム。
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