JP5982469B2 - アシル化触媒の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料、およびその製造方法、ならびにアシル化反応におけるBEA骨格構造を有するゼオライト系材料を含む触媒の使用を含む有機化合物のアシル化方法に関する。
BEA骨格構造を持つゼオライト系材料についての最も顕著な、また最良に研究された例は、その骨格中にSiOおよびAlを含有するゼオライトであって、その三次元12員環(12MR)ポア/チャネル系を持つ最も重要なナノ多孔性触媒の1つであると考えられており、かつ石油精製およびファインケミカル産業で広く用いられてきたゼオライトベータである。ゼオライトベータは、最初に、米国特許第3,308,069号に記載され、構造指向剤としてテトラエチルアンモニウムカチオンの使用を含むものであった。米国特許第4,554,145号におけるジベンジル−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、または米国特許第4,642,226号におけるジベンジルメチルアンモニウムのような他の構造指向剤を含む、多数の改変および改良がそれ以来調製手法に対してなされてきたが、その調製のための公知の方法は有機テンプレート化合物の使用に依然として依拠していた。米国特許第5,139,759号においては、例えば、ゼオライトベータの合成手法における有機テンプレート化合物の不存在は、その代わり、ZSM−5の結晶化をもたらすことが報告されている。
しかしながら、最近、驚くべきことに、常に構造指令剤として用いられてきた有機テンプレートの不存在下でゼオライトベータおよび関連材料を調製することができることが見出されている。かくして、Xiao et al.,Chem.Mater.2008,20,pp.4533−4535および裏付け情報において、ゼオライトベータの合成方法が示されており、そこでは、アルミノシリケートゲルの結晶化が、ゼオライトベータ種子結晶を用いて行われる。国際公開第2010/146156号においては、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料の有機テンプレートを含まない合成、特に、ゼオライトベータの有機テンプレートを含まない合成が記載されている。Majano et al.,Chem.Mater.2009,21,pp.4184−4191において、他方、3.9もと低いSi/Al比率を有するAlリッチのゼオライトベータの材料が議論されており、これは、有機テンプレートの不存在下でシーディングを使用する反応から得ることができる。か焼による微多孔性骨格からの引き続いての除去を必要とした費用がかさむ有機テンプレートを用いる必要がないかなりな利点以外に、新しい有機テンプレートを含まない合成方法は、さらに、先例がない低いSi/Al比率を持つAlリッチなゼオライトベータの調製を可能とした。
BEA骨格構造を有する新しいゼオライト系材料の合成に関して顕著な進歩が最近なされているが、改良された特徴を有する新しいゼオライト系材料の提供に対してかなりの要望が依然として存在する。これは、特に、それらが現在使用されている多数の触媒応用を考慮すると当てはまる。この点で、国際公開第97/48665号およびそこで引用された文献が言及されており、ここでは、芳香族化合物のアシル化方法における触媒としてのゼオライトベータの高度に有利かつ特に好ましい使用が記載されている。さらに、現存する、および将来の触媒応用において有利に使用することができる、新しくかつ改良されたゼオライト系材料の開発において継続的な要望が存在する。
米国特許第3,308,069号明細書 米国特許第4,554,145号明細書 米国特許第4,642,226号明細書 米国特許第5,139,759号明細書 国際公開第2010/146156号 国際公開第97/48665号
従って、本発明の目的は、特に、化学反応における触媒としてのそれらの使用に関して、新規な特徴および特性を有する新しいゼオライト系材料を提供することにあった。該問題を考慮すると、驚くべきことに、本発明により、各々、YOおよびXとしての四価および三価構造成分YおよびXの双方を含むBEA骨格構造を有するゼオライト系材料を、X、好ましくは、四価で配位されたXを骨格構造から除去する方法に付すことを含む方法が、高度に有利な特性を有する新規なゼオライト系材料を供することが判明した。それに加えて、さらに、予期せぬことに、そのようなゼオライト系材料は、触媒として、特に、アシル化触媒として有利に使用することができることが判明した。
かくして、本発明は:
(i)BEA骨格構造を有する1以上のゼオライト系材料を供し、ここにおいて、該BEA骨格構造は、YOおよびXを含み、ここにおいて、Yは四価元素であって、Xは三価元素であり;
(ii)工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料を、BEA骨格構造からX、好ましくは四価に配位されたXの少なくとも一部を除去する手法に付す
工程を含み、
ここにおいて、工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料のY:Xのモル比率は、1から50、好ましくは1.5から35、より好ましくは2から25、より好ましくは2.5から15、より好ましくは3から10、より好ましくは3.5から7、より好ましくは4から6の範囲、なおより好ましくは4から5の範囲に各々含まれることを特徴とする、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料の調製方法に関する。
本発明の意味内では、工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料のBEA骨格構造に含まれるYOおよび、所望により、Xは、骨格構造によって形成されたポアおよびキャビティに存在でき、かつ一般的にはゼオライト系材料にとって典型的であり得る非骨格元素と反対に、構造形成元素としてそこに含有される。
本発明によると、本発明の方法の工程(i)で供されるゼオライト系材料の数および/またはタイプにつき特に制限はなく、但し、BEA骨格構造を有し、かつYOおよびXを含むものとする。かくして、例を挙げると、1以上のゼオライト系材料は、ゼオライトベータ、[B−Si−O]−BEA、[Ga−Si−O]−BEA、[Ti−Si−O]−BEA、Alリッチなベータ、CIT−6、ツアーニック沸石、および純粋なシリカベータよりなる群から選択されるBEA骨格構造を有する1以上のゼオライトを含むことができ、ここにおいて、好ましくは、1以上のゼオライト系材料はゼオライトベータを含む。
さらに、本発明によると、BEA骨格構造を有する1以上のゼオライト系材料に含まれるYは、いずれの考えられる四価元素も表し、ここにおいて、Yは1以上の四価元素である。本発明による好ましい四価元素は、Si、Sn、Ti、Zr、およびGe、およびその組合せを含む。より好ましくは、YはSi、Ti、またはZr、または該三価元素のいずれかの組合せ、なおより好ましくは、Siおよび/またはSnを表す。本発明によると、YがSiを表すことが特に好ましい。
かくして、本発明の好ましい実施形態によると、工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料に含まれるYは、Si、Sn、Ti、Zr、Ge、およびその2以上の組合せよりなる群から選択され、Yは好ましくはSiである。
本発明によると、BEA構造を有する1以上のゼオライト系材料の骨格はXを含み、ここにおいて、Xはいずれの考えられる三価元素も表し、Xは1以上の三価元素である。本発明による好ましい三価元素は、Al、B、In、およびGa、およびその組合せを含む。より好ましくは、YはAl、B、またはIn、または該三価元素のいずれかの組合せを表し、なおより好ましくはAlおよび/またはBを表す。本発明によると、XがAlを表すことが特に好ましい。
かくして、本発明の好ましい実施形態によると、工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料に含まれるXは、Al、B、In、Ga、およびその2以上の組合せよりなる群から選択され、Xは好ましくは、Alである。
本発明によると、BEA骨格構造を有する1以上のゼオライト系材料に含まれるYOおよびXの組合せにつき特に制限はない。かくして、原理的には、YO中の1以上の四価元素のいずれの考えられる組合せも、X中の1以上の三価元素との組合せにおいて1以上のゼオライト系材料に含まれてよく、ここにおいて、前記元素YおよびXは、各々、BEA骨格構造の構成元素という。しかしながら、特に好ましい実施形態によると、1以上の四価元素YはSiを含み、および1以上の三価元素XはAlを含み、ここにおいて、なおより好ましくは、該1以上のゼオライト系材料のうちの1以上はSiOおよびAlを含む。
対応するY:Xのモル比との関係では、BEA骨格構造を有する該1以上のゼオライト系材料のうちの1以上に含まれてよいXに対するYOの割合に関しては、1以上のゼオライト系材料は、一般に、1から50までのどこかの範囲にあるモル比率を示す。好ましくは、三価元素Xに対する四価元素YのY:Xのモル比は1.5から35、より好ましくは2から25、より好ましくは2.5から15、より好ましくは3から10、より好ましくは3.5から7、なおより好ましくは4から6の範囲である。本発明の特に好ましい実施形態によると、Y:Xのモル比は4から5の範囲である。かくして、該1以上のゼオライト系材料のうちの1以上がSiOおよびAlを含む本発明の特に好ましい実施形態によると、骨格構造によって示されるSi:Alのモル比は、1から50、好ましくは1.5から35、より好ましくは2から25、より好ましくは2.5から15、より好ましくは3から10、より好ましくは3.5から7、より好ましくは4から6の範囲、なおより好ましくは、4から5の範囲に含まれることがなおさらに好ましい。
本発明によると、工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料は1以上のアルカリ金属Mを含むことがさらに好ましい。この点において、いずれの具体的アルカリ金属、またはアルカリ金属のいずれの具体的組合せが1以上のゼオライト系材料に含まれてよいかにつき特に制限はない。しかしながら、1以上のアルカリ金属がLi、Na、およびKよりなる群から選択されることがさらに好ましく、ここにおいて、より好ましくは、1以上のアルカリ金属はナトリウムおよび/またはカリウムである。特に好ましい実施形態によると、工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料はナトリウムを含む。
従って、本発明の好ましい実施形態によると、工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料は1以上のアルカリ金属M、好ましくはLi、Na、およびKよりなる群から選択される1以上のアルカリ金属Mを含み、ここにおいて、より好ましくは、1以上のアルカリ金属MはNaおよび/またはK、より好ましくは、Naを含み、ここにおいて、なおより好ましくは、MはNaである。
工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料が1以上のアルカリ金属Mを含む本発明の好ましい実施形態によると、その中に含有される1以上のアルカリ金属の量につき一般的な制限はない。かくして、1以上のゼオライト系材料に含まれるXに対する1以上のアルカリ金属の割合に関しては、1以上の三価元素Xに対する1以上のアルカリ金属のモル比M:Xは、例えば、0.10から20までのいずれかの範囲とすることができ、ここにおいて、M:X比は、0.05から10、より好ましくは0.1から5、より好ましくは0.5から2、より好ましくは0.7から1.5、なおより好ましくは、0.8から1.3の範囲に含まれることが好ましい。本発明の特に好ましい実施形態によると、工程(A)で用いられる1以上のゼオライト系材料によって示されるモル比M:Xは0.9から1.1の範囲に含まれる。
かくして、工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料が1以上のアルカリ金属Mを含む本発明の好ましい実施形態によると、M:Xのモル比は、好ましくは0.01から20、好ましくは0.05から10、より好ましくは0.1から5、より好ましくは0.5から2、より好ましくは0.7から1.5、より好ましくは0.8から1.3、なおより好ましくは0.9から1.1の範囲である。
原理的には、工程(i)で供される1以上のゼオライト系材料がどのようにして得られるかにつき一般的な制限はなく、但し、それらは、各々、YOおよびXを含むBEA骨格構造を有するものとし、かつそれらは先に概略を述べた範囲および好ましい範囲に含まれるY:Xモル比を示すものとする。好ましい実施形態によると、天然源から得られるのとは反対に、ゼオライト系材料は合成から提供され、ここにおいて、1以上のゼオライト系材料は有機テンプレートを含まない合成方法から得ることができることがさらに好ましい。本発明の特に好ましい実施形態によると、工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料は有機テンプレートを含まない合成方法から得られる。
従って、好ましい実施形態によると、工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料は有機テンプレートを含まない合成方法から得ることができ、好ましくは得られる。
工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料が有機テンプレートを含まない合成方法から得ることができ、好ましくは得られる好ましい実施形態に関しては、この趣旨で用いることができる合成手法につき特に制限はなく、但し、それは構造指向剤として有機テンプレートを使用しないものとする。
本発明の特に好ましい実施形態によると、工程(i)で供される1以上のゼオライト系材料は、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料の有機テンプレートを含まない合成なついての合成方法に従って得ることができ、好ましくは得られ、ここにおいて、該合成方法は、
(1)種子結晶およびYOについての1以上の源を含む混合物を調製し;次いで、
(2)該構造を結晶化する
工程を含み、ここにおいて、BEA骨格が、好ましくはXを含む場合、工程(1)による混合物は、さらに、Xについての1以上の源を含む。
工程(i)で1以上のゼオライト系材料を供するための該好ましい合成によると、いずれの時点においても、工程(1)で供され、かつ工程(2)で結晶化された混合物は、BEA骨格構造を有する1以上のゼオライト系材料の合成で具体的に使用される有機構造指向剤、特に、テトラエチルアンモニウムおよび/またはジベンジルメチルアンモニウム塩、およびジベンジル−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンのような特別なテトラアシルアンモニウム塩および/または有機テンプレートを不純物を超えては含有しない。そのような不純物は、例えば、好ましい合成で用いられる種子結晶に依然として存在する有機構造指向剤によって引き起こされ得る。しかしながら、種子結晶材料に含有される有機テンプレートは、結晶化プロセスに参画できない。というのは、それらは種子結晶骨格内に捕獲され、従って、本発明の意味内では構造指令剤を作用できないからである。
本発明によると、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料は、好ましい合成方法の工程(2)において結晶化される。この目的では、YOはいずれの考えられる形態においても工程(1)で供することができ、但し、YOを含むBEA骨格構造を有するゼオライト系材料は工程(2)において結晶化できるものとする。好ましくは、YOはそれ自体で、および/または化学部位としてYOを含む化合物として、および/または本発明の方法の間にYOに(部分的にまたは全体的に)化学的に変換される化合物として供される。YがSi、またはSiと1以上のさらなる四価元素との組合せを表す本発明の好ましい実施形態において、工程(1)で供されるSiOについての源はいずれの考えられる源とすることができる。従って、例えば、シリカおよびケイ酸塩の全てのタイプ、好ましくは、溶融シリカ、シリカヒドロゾル、反応性アモルファス固体シリカ、シリカゲル、ケイ酸、水ガラス、メタケイ酸ナトリウム水和物、三二ケイ酸塩または二ケイ酸塩、コロイドシリカ、焼成シリカ、ケイ酸エステル、またはテトラアルコキシシラン、またはこれらの化合物の少なくとも2つの混合物を用いることができる。
工程(1)による混合物がSiOについての1以上の源を含む好ましい合成方法の好ましい実施形態によると、該源は、好ましくは、シリカおよびケイ酸塩、好ましくはアルカリ金属ケイ酸塩よりなる群から選択される1以上の化合物を含む。好ましいアルカリ金属ケイ酸塩の中では、該1以上の源は、好ましくは水ガラス、より好ましくはケイ酸ナトリウムおよび/またはカリウム、より好ましくはケイ酸ナトリウムを含む。本発明の特に好ましい実施形態においては、SiOについての源はケイ酸ナトリウムである。さらに、シリカを含むさらなる好ましい実施形態においては、溶融シリカが特に好ましい。
BEA骨格構造を有する1以上のゼオライト系材料がXを含む本発明の好ましい実施形態によると、Xについての1以上の源は好ましい合成方法の工程(1)で供される。一般に、Xはいずれの考えられる形態においても供することができ、但し、Xを含むBEA骨格構造を有するゼオライト系材料は工程(2)において結晶化できるものとする。好ましくは、Xは、それ自体で、および/または化学部位としてXを含む化合物として、および/または本発明の方法の間に(部分的にまたは全体的に)Xに化学的に変換される化合物として供される。
XがAlを、またはAlと1以上のさらなる三価元素との組合せを表す好ましい合成方法の好ましい実施形態によると、工程(1)で供されたAlについての源はいずれの考えられる源とすることもできる。例えば、いずれのタイプの、アルミナおよびアルミン酸塩、例えば、アルカリ金属アルミン酸塩のようなアルミニウム塩、例えば、アルミニウムトリイソプロピレートのようなアルミニウムアルコラート、または例えば、アルミナ三水和物のような水和アルミナ、またはその混合物を用いることもできる。好ましくは、Alについての源は、アルミナおよびアルミン酸塩、好ましくはアルミン酸塩、より好ましくはアルカリ金属アルミン酸塩よりなる群から選択される1以上の化合物を含む。好ましいアルカリ金属アルミン酸塩の中では、1以上の源は、好ましくは、アルミン酸塩ナトリウムおよび/またはカリウム、より好ましくはアルミン酸ナトリウムを含む。好ましい合成方法の特に好ましい実施形態において、Alについての源はアルミン酸ナトリウムである。
工程(1)の混合物が、さらに、1以上のホウ素化合物を含むXについての1以上の源を含む場合には、例えば、遊離ホウ酸、および/またはホウ酸塩、および/または例えば、ホウ酸トリエチルまたはホウ酸トリメチルのようなホウ酸エステルを出発物質として用いることができる。
好ましい合成方法の特に好ましい実施形態によると、工程(1)による混合物はYOについての源として1以上のケイ酸塩、およびXについての源として1以上のアルミン酸塩、より好ましくは1以上のアルカリ金属ケイ酸塩および/または1以上のアルカリ金属アルミン酸塩、なおより好ましくは1以上の水ガラス化合物および/または1以上のアルカリ金属アルミン酸塩を含み、ここにおいて、該好ましい実施形態のアルカリ金属は、好ましくは、ナトリウムおよび/またはカリウム、より好ましくはナトリウムを含み、ここにおいて、アルカリ金属はなおより好ましくはナトリウムである。
特に好ましいものである好ましい合成方法のさらなる実施形態によると、工程(1)による混合物はYOについての源として1以上のケイ酸塩およびXについての源として1以上のアルミン酸塩、より好ましくは溶融シリカおよび1以上のアルカリ金属ケイ酸塩および/または1以上のアルカリ金属アルミン酸塩、なおより好ましくはシリカおよび1以上の水ガラス化合物および/または1以上のアルカリ金属アルミン酸塩を含み、ここにおいて、該好ましい実施形態のアルカリ金属は好ましくはナトリウムおよび/またはカリウム、より好ましくはナトリウムを含み、ここにおいて、アルカリ金属はなおより好ましくはナトリウムである。
工程(1)による混合物がXについての1以上の源を含む好ましい合成方法の好ましい実施形態において、混合物のYO:Xのモル比はいずれの考えられる値も有することができ、但し、YOおよびX双方を含むBEA骨格構造を有するゼオライト系材料は工程(2)において結晶化されるものとする。一般に、該モル比は1から100、好ましくは5から75、より好ましくは10から50、より好ましくは15から40、より好ましくは18から35、特に好ましくは20から33の範囲である。
さらに好ましいものである好ましい合成方法の実施形態において、好ましい合成方法により得られた、および/または得ることができるゼオライト系材料、および/または本発明の材料それ自体は1以上のアルカリ金属M、好ましくはナトリウムおよび/またはカリウム、より好ましくはナトリウムを含む。アルカリ金属は好ましい合成方法のいずれの考えられる段階においても加えることができ、ここにおいて、好ましくは、それは工程(1)においても加えられる。より好ましくは、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料に含まれるアルカリ金属の全量が、好ましい合成方法の工程(1)において加えられる。好ましい合成方法の特に好ましい実施形態において、アルカリ金属は、工程(1)で供されるYOおよび/またはXについての1以上の源に部分的にまたは全体的に含有され、ここにおいて、好ましくは、アルカリ金属はYOおよび/またはXについての1以上の源に、より好ましくはYOおよび/またはXについての1以上の源の双方に全体的に含有される。
一般に、アルカリ金属Mは、いずれの考えられる量にても好ましい合成方法の工程(1)に従って混合物に含有させることができ、但し、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料は工程(2)で結晶化されるものとする。好ましくは、工程(1)による混合物におけるM:YOのモル比は0.1から2、より好ましくは0.2から1.2、より好ましくは0.3から1、より好ましくは0.4から0.85、より好ましくは0.5から0.75、より好ましくは0.55から0.7の範囲である。好ましい合成方法の特に好ましい実施形態によると、工程(1)による混合物におけるM:YOのモル比は0.61から0.65の範囲である。
好ましい合成方法の好ましい実施形態によると、工程(1)による混合物はXについての1以上の源および1以上のアルカリ金属Mを含む。一般に、いずれの考えられる量のこれらの成分も混合物に含有させることができ、但し、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料は、工程(2)において結晶化されるものとする。好ましくは、工程(1)による混合物におけるYO:X:Mのモル比は、(1−100):1:(2−90)、より好ましくは(5−75):1:(4−60)、より好ましくは(10−50):1:(6−40)、より好ましくは(15−40):1:(8−30)、より好ましくは(18−35):1:(10−25)、なおより好ましくは(20−33):1:(12−22)の範囲である。
好ましい合成方法のさらに好ましい実施形態によると、種子結晶が工程(1)で供され、ここにおいて、該種子結晶はBEA骨格構造を有するゼオライト系材料を含む。一般に、該種子結晶はBEA骨格構造を有するいずれのゼオライト系材料も含むことができ、但し、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料は工程(2)において結晶化されるものとする。好ましくは、種子結晶に含まれるBEA骨格構造を有するゼオライト系材料は、好ましい合成方法に従って得ることができる、好ましくは得られたゼオライト系材料である。より好ましくは、種子結晶に含まれるBEA骨格構造を有するゼオライト系材料は、次いで、工程(2)で結晶化されるBEA骨格構造を有するゼオライト系材料と同一である。特に好ましいのはゼオライトベータ、より好ましくは好ましい合成方法に従って得ることができる、または好ましくは得られたゼオライトベータを含む種子結晶である。特に好ましい実施形態において、種子結晶はゼオライトベータ結晶、好ましくは、好ましい合成方法に従って得ることができる、または好ましくは得られたゼオライトベータ結晶である。
好ましい合成方法によると、いずれの適当な量の種子結晶も工程(1)による混合物に供することができ、但し、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料は工程(2)で結晶化されるものとする。一般に、工程(1)による混合物に含有される種子結晶の量は、YOについての1以上の源中のYOの100重量%に基づいて0.1から50重量%、好ましくは0.5から35重量%、より好ましくは1から20重量%、より好ましくは1.5から10重量%、より好ましくは2から5重量%、なおより好ましくは2.5から3.5重量%の範囲である。
好ましい合成方法による工程(1)において、混合物はいずれの考えられる手段によっても調製することができ、ここにおいて、好ましくは撹拌によるかき混ぜによる混合が好ましい。
好ましい合成方法の好ましい実施形態において、工程(1)による混合物はさらに溶媒を含む。いずれの考えられる溶媒もいずれの考えられる量にて用いることもでき、但し、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料は好ましい合成方法の工程(2)において結晶化できるものとする。好ましくは、溶媒は水を含み、ここにおいて、混合物のHO:YOのモル比は1から100、好ましくは5から70、より好ましくは10から50、より好ましくは12から35、より好ましくは15から25、より好ましくは16から20、特に好ましくは17から18の範囲である。特に好ましい実施形態において、工程(1)で供される溶媒は蒸留水である。
一般に、好ましい合成方法の工程(1)の混合物を供するための単一の成分はいずれの順序で加えることもでき、但し、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料は好ましい合成方法の工程(2)における混合物から結晶化されるものとする。これは、例えば、任意の溶媒およびXについての1以上の源の添加、続いての、YOについての1以上の源の添加を含むことができ、ここにおいて、種子結晶が後に混合物に加えられるのみである。別法として、任意の溶媒およびXについての1以上の源の添加を最初に行い、続いて、種子結晶の添加を行うことができ、ここにおいて、YOについての1以上の源がその後に加えられるのみである。
一般に、好ましい合成方法による工程(2)は、いずれの考えられる方法で行うこともでき、但し、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料は工程(1)による混合物から結晶化されるものとする。混合物はいずれのタイプの容器中で結晶化することもでき、ここにおいて、かき混ぜの手段を所望により用いることもでき、該かき混ぜは好ましくは容器の回転および/または撹拌によって、より好ましくは混合物を撹拌することによって達成される。
好ましい合成方法によると、混合物は、好ましくは、工程(2)において結晶化プロセスの少なくとも一部の間に加熱される。一般に、混合物は結晶化のいずれの考えられる温度までも加熱することができ、但し、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料は混合物から結晶化されるものとする。好ましくは、混合物は、80から200℃、より好ましくは90から175℃、より好ましくは95から150℃、より好ましくは100から140℃、より好ましくは110から130℃、なおより好ましくは115から125℃の範囲の結晶化の温度まで加熱される。
好ましい合成方法の工程(2)における好ましい加熱は、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料の結晶化に適したいずれの考えられる様式にても行うことができる。一般に、加熱は、結晶化の1つの温度で行うことができ、または異なる温度の間を変化させることができる。好ましくは、熱ランプが結晶化の温度に到達するために用いられ、ここにおいて、例として、加熱速度は10から100℃/h、より好ましくは15から70℃/h、より好ましくは20から50℃/h、より好ましくは25から40℃/h、なおより好ましくは30から35℃/hの範囲とすることができる。
好ましい合成方法の好ましい実施形態において、工程(1)による混合物は、工程(2)において、常圧に対して上昇された圧力に付される。本発明との関係で用いられる用語「常圧」は、理想的な場合における101,325Paの圧力に関する。しかしながら、この圧力は当業者に知られた境界内で変化させることができる。例として、この圧力は95,000から106,000、または96,000から105,000、または97,000から104,000、または98,000から103,000、または99,000から102,000Paの範囲とすることができる。
溶媒が工程(1)による混合物に存在する好ましい合成方法の好ましい実施形態において、工程(2)における加熱は溶媒熱条件下で行われることがさらに好ましく、これは、混合物が、例えば、溶媒熱条件を生じさせるのに適したオートクレーブまたは他の結晶化容器中で加熱を行うことによって用いられる溶媒の自生圧力下で結晶化されることを意味する。溶媒が水、好ましくは蒸留水を含む、またはそれよりなる特に好ましい実施形態において、工程(2)における加熱は、従って、好ましくは、水熱条件下で行われる。
結晶化のための好ましい合成方法で用いることができる装置は特に制限されるものではなく、但し、結晶化プロセスのための所望のパラメータ―は、特に、特別な結晶化条件を必要とする好ましい実施形態に関して実現できるものとする。溶媒熱条件下で行われる好ましい実施形態において、いずれのタイプのオートクレーブまたは消化槽も用いることができ、テフロン(登録商標)ライニングされた装置が好ましい。
一般に、好ましい合成方法の工程(2)における結晶化プロセスの持続時間は特に限定されるものではない。工程(1)による混合物の加熱を含む好ましい実施形態において、該結晶化プロセスは10から200時間、より好ましくは30から150時間、より好ましくは100から140時間、なおより好ましくは110から130時間の範囲の期間で行われる。
混合物が工程(2)において加熱される好ましい合成方法の好ましい実施形態によると、該加熱は全結晶化プロセスの間に、またはその1以上の部分のみの間に行うことができ、但し、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料は結晶化されるものとする。好ましくは、加熱は結晶化の全持続の間に行われる。
一般に、好ましい合成方法のプロセスは、所望により、工程(1)で供された混合物から工程(2)において結晶化されたBEA骨格構造を有するゼオライト系材料の仕上げ処理および/またはさらなる物理的および/または化学的変換のためのさらなる工程を含むことができる。結晶化された材料は、例えば、いずれかの順序の単離および/または洗浄手法に付すことができ、ここにおいて、工程(2)における結晶化から得られたゼオライト系材料は、好ましくは、1以上の単離および1以上の洗浄手法に付される。
結晶化された生成物の単離はいずれの考えられる手段によっても達成することができる。好ましくは、結晶化された生成物の単離は濾過、限外濾過、透析、遠心および/またはデカンテーション方法によって達成することができ、ここにおいて、濾過方法は吸引および/または加圧濾過工程を含むことができる。
1以上の任意の洗浄手法に関して、いずれの考えられる溶媒を用いることもできる。用いることができる洗浄剤は、例えば、水、メタノール、エタノールまたはプロパノールのようなアルコール類、またはその2以上の混合物である。混合物の例は、メタノールおよびエタノール、またはメタノールおよびプロパノール、またはエタノールおよびプロパノール、またはメタノールおよびエタノールおよびプロパノールのような2以上のアルコール類の混合物、または水およびメタノール、または水およびエタノール、または水およびプロパノール、または水およびメタノールおよびエタノール、または水およびメタノールおよびプロパノール、または水およびエタノールおよびプロパノール、または水およびメタノールおよびエタノールおよびプロパノールのような水および1以上のアルコール類の混合物である。水、または水および1以上のアルコール類の混合物、好ましくは水およびエタノールの混合物が好ましく、蒸留水は唯一の洗浄剤として非常に特別に好ましい。
好ましくは、分離されたゼオライト系材料は、洗浄剤、好ましくは洗浄水のpHが、標準ガラス電極を介して決定して6から8、好ましくは6.5から7.5の範囲となるまで洗浄される。
さらに、好ましい合成方法は、所望により、1以上の乾燥工程を含むことができる。一般に、乾燥のいずれの考えられる手段も用いることができる。乾燥手法は、好ましくは、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料を加熱し、および/または該材料に真空を適用することを含む。好ましい合成方法の考えられる実施形態において、1以上の乾燥工程は、ゼオライト系材料の噴霧乾燥、好ましくは、噴霧造粒を含むことができる。
1以上の乾燥工程を含む実施形態において、乾燥温度は好ましくは25℃から150℃、より好ましくは60から140℃、より好ましくは70から130℃の範囲、なおより好ましくは75から125℃の範囲である。乾燥の持続時間は好ましくは2から60時間の範囲、より好ましくは6から48時間の範囲、なおより好ましくは12から24時間の範囲である。
好ましい合成方法によると、工程(2)において結晶化されたゼオライト系材料は、所望により、1以上のイオン交換手法に付すこともできる。一般に、全ての可能なイオン性元素および/または分子でのいずれの考えられるイオン交換手法もゼオライト系材料で行うことができる。好ましくは、イオン性元素として、1以上のカチオンおよび/またはカチオン性元素が使用されて、これは、好ましくは、H、NH 、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、遷移金属、およびその組合せよりなる群から、より好ましくはH、NH 、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ランタン、セリウム、ニッケル、白金、パラジウム、およびその組合せよりなる群から選択される1以上のカチオンおよび/またはカチオン性元素を含み、ここにおいて、なおより好ましくは、1以上のカチオンおよび/またはカチオン性元素はHおよび/またはNH 、好ましくはNH を含む。
一般に、好ましい合成方法に含まれる任意の洗浄および/または単離および/またはイオン交換手法は、いずれの考えられる順序で行うこともでき、かつ望まれる頻度で反復することができる。
従って、さらなる好ましい実施形態によると、好ましい合成方法は、所望により、以下の工程:
(3)好ましくは濾過によって、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料を単離し、および/または
(4)BEA骨格構造を有するゼオライト系材料を洗浄し、および/または
(5)BEA骨格構造を有するゼオライト系材料を乾燥し、および/または
(6)BEA骨格構造を有するゼオライト系材料をイオン交換手法に付す
の1以上を含み、ここにおいて、工程(3)および/または(4)および/または(5)および/または(6)はいずれの順序で行うこともでき、ここにおいて、該工程の1以上は好ましくは少なくとも1回反復される。
好ましくは、好ましい合成方法は、より好ましくはその濾過によって、工程(2)に従って結晶化されたゼオライト系材料を単離する1以上の工程を含む。好ましい合成方法によると、1以上の単離工程の後、ゼオライト系材料が1以上の乾燥工程に付されることがさらに好ましく、ここにおいて、より好ましくは、ゼオライト系材料は1以上の乾燥工程に先立って1以上の洗浄工程に付される。特に好ましい実施形態において、工程(2)に従って結晶化されたゼオライト系材料は、1以上の単離工程、続いての1以上の洗浄工程、続いての1以上の乾燥工程に付される。
好ましい合成方法のさらなる実施形態によると、工程(2)において結晶化されたゼオライト系材料は、事前にゼオライト系材料の単離、洗浄または乾燥なくして、1以上の乾燥工程、好ましくは噴霧乾燥および/または噴霧造粒に直接的に付される。好ましい合成方法の工程(2)から得られた混合物を噴霧乾燥または噴霧造粒段階に直接的に付すことは、単離および乾燥が単一の段階で行われる利点を有する。
好ましい合成方法のさらなる実施形態によると、工程(2)における結晶化から得られたゼオライト系材料は、1以上のイオン交換手法に付されるに先立って、1以上の単離工程に、好ましくは1以上の単離工程、続いての1以上の洗浄工程に、より好ましくは1以上の単離工程、続いての1以上の洗浄工程、続いての1以上の乾燥工程に付される。
好ましい合成方法は、好ましくは、一般には、工程(2)に従って結晶化されたゼオライト系材料を500℃の温度を超えて加熱することを含む、か焼工程を含まない。より好ましくは、か焼工程を含まない、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料の製造のための好ましい合成方法は合成方法といい、ここにおいて、工程(2)に従って結晶化されたゼオライト系材料は450℃、より好ましくは350℃、より好ましくは300℃、より好ましくは250℃、より好ましくは200℃、より好ましくは150℃、なおより好ましくは100℃を超える温度に付されない。
かくして、本発明によると、本発明の方法の工程(i)で供される1以上のゼオライト系材料は、好ましくは、前記した好ましい合成方法および特に好ましい合成方法の1以上の工程に従って得ることができ、なおより好ましくは得られる。
本発明によると、工程(i)で供される1以上のゼオライト系材料は、好ましくは、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料の合成で典型的に用いられる有機構造指向剤、特に、テトラエチルアンモニウムおよび/またはジベンジルメチルアンモニウム塩、およびジベンジル−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンのような特別なテトラアシルアンモニウム塩および/または関連有機テンプレートを不純物を超えては含有しない。そのような不純物は、例えば、好ましい合成プロセスで用いられる種子結晶に依然として存在する有機構造指向剤によって引き起こされ得る。
さらに、本発明によると、1以上のゼオライト系材料はか焼されないことが好ましく、これは、それらがか焼工程に付されていないことを意味する。本発明の意味内では、か焼工程は、一般に、1以上のゼオライト系材料を500℃の温度を超えて加熱するプロセスを指す。しかしながら、より好ましくは、本発明によるか焼されていないゼオライト系材料は、450℃、より好ましくは350℃、より好ましくは300℃、より好ましくは250℃、より好ましくは200℃を超える温度に、なおより好ましくは150℃を超えない温度に付されていない材料を指す。一般に、か焼工程は、本発明の方法で用いられる1以上のゼオライト系材料の合成で使用することができるいずれの工程も指すことができる。しかしながら、本発明によると、か焼工程は、好ましくは、そこで使用することができるいずれの種子結晶も例外として、BEA骨格構造を有しない1以上の前駆体化合物からのBEA骨格構造を有する1以上のゼオライト系材料の結晶化の完了後に行われる工程のみをいう。本発明のなおさらなる好ましい実施形態によると、か焼工程は、骨格構造からの有機テンプレートの除去のための1以上のゼオライト系材料の完了した結晶化後に通常または適切には行われる工程のみをいう。
かくして、本発明の好ましい実施形態によると、工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料はか焼されていない。
本発明によると、本発明の方法の工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料の結晶性構造につき特に制限はなく、但し、これらはBEA骨格構造を呈し、特に、1以上のゼオライト系材料は、BEA骨格構造に典型的な反射を含むX線回折パターンを供するものとする。本発明の意味内では、BEA骨格構造に典型的なX線パターンは、主として、X線ディフラクトグラムに含まれる反射のパターンを指し、ここにおいて、2θ回折角度はBEA骨格構造に典型的であり、ここにおいて、好ましくは、個々の反射の相対的な強度はBEA骨格構造にやはり典型的である。
本発明によると、本発明の方法の工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料の表面積につき特に制限はなく、但し、1以上のゼオライト系材料は有機化合物のアシル化を触媒するのに適したものとする。かくして、DIN 66135に従って決定された1以上のゼオライト系材料のBET表面積に関しては、例として、これらは200から700m/gであってよく、ここにおいて、好ましくは、BET表面積は400から650m/g、より好ましくは475から575m/g、なおより好ましくは500から550m/gの範囲に含まれる。特に好ましい実施形態によると、DIN 66135に従って決定されたBET表面積は510から530m/gの範囲である。
本発明によると、工程(ii)に先立って、工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料に好ましくは含まれる1以上のアルカリ金属Mの少なくとも一部をHおよび/またはNH で交換する。特に好ましい実施形態によると、1以上のアルカリ金属Mの少なくとも一部がNH と交換される。
かくして、特に好ましい実施形態によると、工程(ii)における手法に先立って工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料に含有されるアルカリ金属原子Mの少なくとも一部はHおよび/またはNH 、好ましくはNH で交換される。
工程(i)で供された好ましい1以上のゼオライト系材料中の1以上のアルカリ金属Mの交換に関しては、それに従って置換または交換が達成される方法につき特に制限はなく、但し、工程(ii)に先立って得られるゼオライト系材料は本発明の方法の工程(ii)においてXの少なくとも一部を除去するための引き続いての手法に適するものとする。特に好ましい実施形態によると、置換または交換はイオン交換によって達成される。本発明によると、用語「イオン交換」とは、一般に、1以上のゼオライト系材料に含有される非骨格イオン性元素および/または分子をいう。
アルカリ金属原子Mの少なくとも一部を置換するための工程(ii)に先立って行われる好ましいイオン交換手法に関しては、該手法は、原理的には、アルカリ金属原子Mの前記置換を達成するためのいずれの適当な条件を用いても、いずれの適当な様式にても行うことができる。特に好ましい実施形態によると、該手法は、適当な溶媒中で、好ましくは水性溶媒中で行われる。さらに、好ましくは水である溶媒を使用する実施形態において、イオン交換手法を中性または酸性pHにて、好ましくは酸性pHにて行うことがさらに好ましい。かくして、例として、該好ましい実施形態で使用されるpHは0から7までのいずれかの範囲とすることができ、ここにより好ましくは、pHは1から6、より好ましくは1から4、より好ましくは1.5から3.5、なおより好ましくは2から3.5の範囲に含まれる。特に好ましい実施形態によると、pHは2.5から3.5の範囲に含まれる。
かくして、特に好ましい実施形態によると、工程(ii)に先立って行われるイオン交換プロセスは、0から7、好ましくは1から6、より好ましくは1から4、より好ましくは1.5から3.5、より好ましくは2から3.5、なおより好ましくは2.5から3.5の範囲のpHで行われる。
本発明によると、本発明の方法の工程(ii)で行われる手法は、1以上のゼオライト系材料のBEA骨格構造からの三価元素Xの少なくとも一部の除去に導く。この点において、工程(ii)で用いることができるプロセスおよび条件につき特に制限はなく、但し、その構成元素としてのBEA骨格に元来存在する元素Xの少なくとも一部は除去されるものとする。本発明の意味内では、骨格元素Xの少なくとも一部の除去に関して用語「除去する」は、除去されたXの該一部が工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料に存在せず、および/または骨格元素としてその中に含有されないように、該手法は骨格の改変に導くことを示す。本発明の意味内では、用語「骨格元素」または「骨格イオン」は、特に、骨格構造におけるその配位に関して、BEA骨格構造の構成元素またはイオンを定義する。この点において、骨格元素Xは、好ましくは四面体配位における骨格構造に含まれるXをいう。
他方、用語「非骨格元素」または「非骨格」イオンとは、骨格構造を構成しないBEA骨格構造を有するゼオライト系材料に含有されるいずれの元素またはイオンもいい、これは、それが、例えば、当該構造の微細孔に含有され、および/またはそれが、例えば、対イオン等として構造骨格を補うように働くに過ぎないことを意味する。さらに、該用語は、それらの元来の配位状態から改変されたBEA骨格構造の元来構成する元素またはイオンもいう。特に、非骨格元素Xとは、構成元素として、特に、BEA骨格中の四面体配位したXとして骨格構造に元来含有され、かつ、例えば、その元来の配位状態の変化によって、および/またはその骨格とは反対にゼオライト系材料の微細孔に含有されることによって、骨格構造から引き続いて除去されたXをいう。かくして、本発明の好ましい定義によると、非骨格元素またはイオンXとは、BEA骨格構造に元来四面体配位され、引き続いて、異なる配位状態、好ましくは、高次配位状態を呈するXをいう。特に、本発明によると、非骨格元素Xとは、工程(ii)に付された後に五面体および/または八面体配位にある、好ましくは、八面体配位状態にあるゼオライト系材料に含有された元来四面体配位したXをいう。
本発明の方法の好ましい実施形態によると、Xの少なくとも一部が、工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料の蒸気処理によってBEA骨格構造から除去される。この点において、本発明によると、工程(ii)で用いられる該好ましい手法で使用することができる手法および条件につき特に制限はなく、但し、Xの少なくとも一部はBEA骨格構造から除去されるものとする。
かくして、本発明の好ましい実施形態によると、BEA骨格構造からXの少なくとも一部を除去するための工程(ii)における手法は、1以上の蒸気処理工程(S)を含む。
原理的には、いずれの考えられる温度も好ましい蒸気処理工程(S)で使用することができ、但し、Xの少なくとも一部はBEA骨格構造から除去されるものとする。かくして、例として、1以上の蒸気処理工程は、200から1,000℃の範囲に含まれるいずれの温度で行うこともでき、ここで、好ましくは、蒸気温度は300から900℃、より好ましくは400から800℃、なおより好ましくは500から700℃の範囲に含まれる。特に好ましい実施形態によると、該1以上の蒸気処理工程(S)のうちの1以上は、550から650℃の範囲に含まれる温度で行われる。
さらに、本発明によると、好ましくは、本発明の方法の工程(ii)で使用される1以上の蒸気処理工程(S)の持続時間につき特に制限はなく、但し、Xの少なくとも一部はBEA骨格構造から除去されるものとする。この点において、0.1から48時間までのいずれかの範囲の蒸気処理工程の持続時間は例によって言及することができ、ここにおいて、好ましくは、該持続時間は0.2から24時間まで、より好ましくは0.3から12時間まで、より好ましくは0.35から6時間まで、より好ましくは0.4から4時間まで、なおより好ましくは0.45から2時間までのいずれかの範囲に含まれる。しかしながら、本発明によると、好ましい蒸気処理工程(S)は0.5から1.5時間の範囲の時間で行われることが特に好ましい。
本発明の方法の工程(ii)が1以上の蒸気処理工程(S)を含む本発明の好ましい実施形態によると、純粋な蒸気を用いることができるか、あるいは加えて、1以上のさらなる気体を蒸気中に存在させることができる。蒸気がさらなる気体を含む実施形態において、原理的には、用いることができる1以上のさらなる気体のタイプまたは量に対して特に制限はなく、但し、気体を含有する該蒸気を用い、Xの少なくとも一部はBEA骨格構造から除去できるものとする。しかしながら、本発明によると、1以上のゼオライト系材料と化学的に反応しない蒸気に対する1以上の追加の気体を用いることが好ましい。かくして、特に好ましい実施形態によると、1以上の蒸気処理工程(S)における蒸気に加えて、1以上の不活性ガスおよび、好ましくは、窒素をさらなる気体として用いる。
好ましい蒸気処理工程(S)で用いられる蒸気が1以上のさらなる気体、好ましくは1以上のさらなる不活性ガス、より好ましくは窒素を含む本発明の好ましい実施形態において、得られる気体混合物中の蒸気の含有量は、例として、5から75容量%までのいずれかの範囲とすることができ、ここにおいて、好ましくは、蒸気含有量は10から50容量%、なおより好ましくは15から25容量%の範囲に含まれる。
かくして、本発明の特に好ましい実施形態によると、工程(ii)で使用される1以上の蒸気処理工程(S)は、5から75容量%、好ましくは10から50容量%、より好ましくは15から25容量%の蒸気濃度を用いて行われ、ここにおいて、残りの容量は、好ましくは不活性ガス、より好ましくは窒素である。
本発明の方法によると、工程(ii)で使用される1以上の蒸気処理工程(S)に続いて、1以上の酸処理工程(A)を行うことがさらに好ましい。本発明の方法の該特に好ましい実施形態で使用することができる酸のタイプ、手法、および条件に関しては、特に制限は適用されず、但し、該1以上の酸処理工程は、工程(ii)におけるBEA骨格構造からのXの少なくとも一部の除去に干渉しないものとする。さらに、該手法は、処理されたゼオライト系材料のBEA骨格構造が少なくとも部分的に保持されるように選択され、ここにおいて、BEA骨格構造は、それに先立ってのその条件と比較して、酸処理工程の間に劣化せず、または部分的に破壊されないことが好ましい。
従って、本発明の特に好ましい実施形態によると、工程(ii)における手法が、さらに、1以上の蒸気処理工程(S)から得られた1以上のゼオライト系材料を1以上の酸処理工程(A)に付すことを含む。
特に好ましいさらなる酸処理工程(A)に関しては、該手法は、蒸気処理されたゼオライト系材料と1以上の酸または酸性化合物との接触に導くいずれの適当な条件下で行うこともでき、ここにおいて、該手法は、好ましくは、適当な溶媒中で、好ましくは水性溶液中で行われる。溶媒の助けを借りて、特に、水性溶液中で行われる好ましい手法に関しては、溶液のpHにつき特に制限はなく、但し、それは酸性であるものとする。かくして、例として、1以上の特に好ましい酸処理工程は4以下のpHで行うことができ、ここにおいて、3.5以下のpHが好ましい。特に好ましい実施形態によると、pHは−1.5から3、より好ましくは−1から2.5、より好ましくは−0.5から2、なおより好ましくは−0.5から1の範囲に含まれ、ここにおいて、該実施形態によると、pHは−0.5から0.5の範囲に含まれることがなおさらに好ましい。
かくして、本発明の方法の該特に好ましい実施形態によると、1以上の酸処理工程(A)は1以上のゼオライト系材料を、4以下の、好ましくは3.5以下のpHを有する酸性溶液と接触させることを含むことがさらに好ましく、ここにおいて、好ましくは、pHは−1.5から3、より好ましくは−1から2.5、より好ましくは−0.5から2、より好ましくは−0.5から1、なおより好ましくは−0.5から0.5の範囲にある。
特に好ましいさらなる酸処理工程(A)で用いられる条件に関して、この点において、再度特に制限はない。従って、該手法は雰囲気温度にて、または好ましくは加熱下で行うことができる。酸処理工程(A)が雰囲気条件に対して上昇された温度で行われる特に好ましい実施形態に関して、酸処理は50から100℃の範囲に含まれる温度で行われることがさらに好ましく、ここにおいて、より好ましくは、酸処理工程で使用される温度は60から95℃、より好ましくは70から90℃、なおより好ましくは75から85℃の範囲に含まれる。
さらに、その持続時間に関して、特に好ましい酸処理工程(A)に従うと、特に制限はなく、但し、処理されたゼオライト系材料のBEA骨格構造は少なくとも部分的に保持され、BEA骨格構造は、好ましくは、それに先立ってのゼオライト系材料の条件と比較して、酸処理工程の特別な持続時間のため劣化せず、または部分的に破壊されないものとする。しかしながら、本発明によると、酸処理工程(A)の持続時間は0.25から5時間、より好ましくは0.5から4.5時間、より好ましくは1から4時間、より好ましくは1から3.5時間の範囲に含まれることが好ましく、ここにおいて、なおより好ましくは、酸処理工程(A)の持続時間は1.5から3.5時間の範囲に含まれる。
従って、1以上のさらなる酸処理工程(A)を含む本発明の方法の特に好ましい実施形態によると、該1以上の酸処理工程(A)は、50から100℃、好ましくは60から95℃、より好ましくは70から90℃、なおより好ましくは75から85℃の温度において1以上のゼオライト系材料を酸性溶液と接触させることを含む。さらに、該特に好ましい実施形態によると、1以上の酸処理工程(A)は、0.25から5時間、好ましくは0.5から4.5時間、より好ましくは1から4時間、より好ましくは1から3.5時間、なおより好ましくは1.5から3.5時間の時間で1以上のゼオライト系材料を酸性溶液と接触させることを含むことがさらに好ましい。
本発明の方法の別法として好ましい実施形態によると、BEA骨格構造からXの少なくとも一部を除去するための工程(ii)における手法は、1以上のか焼工程(C)を含む。
前記した好ましい蒸気処理および特に好ましいさらなる酸処理手法に関して、BEA骨格構造からのXの除去のための別法として好ましいか焼工程で使用することができる手法および条件に関して特に制限はなく、但し、か焼されたゼオライト系材料のBEA骨格構造は少なくとも部分的に保持されるものとし、ここにおいて、BEA骨格構造は、そのそれに先立つ条件と比較して、好ましいか焼工程の間に劣化せず、または部分的に破壊されないことが好ましい。かくして、か焼手法で使用することができる温度に関しては、450から800℃の範囲に含まれる温度が例として挙げることができ、ここにおいて、好ましくは、か焼温度は550から750℃、より好ましくは600から720℃の範囲に含まれる。特に好ましい実施形態によると、620から700℃の範囲に含まれるか焼温度が使用される。さらに、か焼の持続時間に関しては、この点において、再度特に制限はなく、ここにおいて、該持続時間は0.5から10時間、より好ましくは1から6時間、なおより好ましくは1.5から3時間の範囲に含まれることが好ましい。
かくして、本発明の別法としての好ましい実施形態によると、1以上のか焼工程(C)は、450から800℃、好ましくは550から750℃、より好ましくは600から720℃、なおより好ましくは620から700℃の温度で行われる。さらに、好ましくは、それに加えて、1以上のか焼工程(C)が、0.5から10時間、好ましくは1から6時間、なおより好ましくは1.5から3時間の時間で行われる。
本発明の製造方法によると、工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料をXの少なくとも一部を除去するための手法に付す工程(ii)を反復することができる。この点において、反復の回数につき特に制限はなく、但し、ゼオライト系材料は少なくとも部分的に保持され、好ましくは、BEA骨格構造は、工程(ii)の過剰な反復の結果として劣化せず、または部分的に破壊されないものとする。かくして、例として、本発明の方法の工程(ii)は1回から5回までのいずれかで反復することができ、ここにおいて、好ましくは、工程(ii)は1から5回、より好ましくは1から3回、なおより好ましくは1回または2回反復される。本発明の方法の特に好ましい実施形態によると、工程(ii)は2回反復される。
さらに、工程(ii)の反復を含む特に好ましい実施形態によると、該反復は、1以上のか焼工程(C)の1回以上の反復を含む。この点において、反復することができる、先に概略を示した本発明の方法の好ましい実施形態に従った1以上のか焼工程(C)の具体的なタイプにつき特に優先性はなく、ここにおいて、工程(ii)における該1以上のか焼工程の反復を含むそれらの実施形態において、前記にて概略を記載した本発明の特に好ましい実施形態によるか焼工程はそこで反復されることが特に好ましい。
従って、本発明の方法の好ましい実施形態によると、工程(ii)は1回以上、好ましくは1から5回、より好ましくは1から3回、より好ましくは1または2回、なおより好ましくは2回反復され、ここにおいて、工程(ii)の反復は、好ましい実施形態による、特に、前記にて概略を説明した特に好ましい実施形態による該1以上のか焼工程(C)の1回以上の反復を含むことが特に好ましい。
さらに、1以上のか焼工程(C)を含む工程(ii)の反復を含む特に好ましい実施形態によると、該実施形態に従い、該反復の少なくとも1つに先立って、好ましくは、該反復の各々に先立って、1以上のゼオライト系材料が少なくとも1つのイオン交換手法に付されることが特に好ましい。特に、該実施形態に従うと、工程(ii)におけるBEA骨格から除去された非骨格元素Xの少なくとも一部が、さらなる工程(ii)における1以上のか焼工程(C)の反復に先立って、まず、ゼオライト系材料から除去されることが特別に好ましい。該特に好ましい実施形態によると、工程(ii)の反復に先立って使用されるイオン交換手法の具体的なタイプにつき特に制限はなく、但し、最初のおよび/または先行する工程(ii)におけるBEA骨格構造から除去された非骨格Xの少なくとも一部、好ましくは全てを、1以上のカチオンおよび/またはカチオン性元素で交換することができるものとし、ここにおいて、非骨格Xは、好ましくは、八面体配位した非骨格Xを含む。該特に好ましい実施形態によると、最初のおよび/または先行する工程(ii)から得られた1以上のゼオライト系材料に含まれた非骨格Xは、工程(ii)の反復に先立って、特に、1以上のか焼工程(C)に先立って、Hおよび/またはNH で、より好ましくはNH で交換することがさらに好ましい。
かくして、本発明の方法の特に好ましい実施形態によると、各々、1以上のゼオライト系材料に存在する非骨格イオンの少なくとも一部は、反復工程(ii)に先立って1以上のカチオンおよび/またはカチオン性元素で交換され、ここにおいて、1以上のカチオンおよび/またはカチオン性元素は、好ましくは、Hおよび/またはNH を含み、ここにおいて、なおより好ましくは、非骨格イオンの少なくとも一部はNH で交換される。特に、該特に好ましい実施形態のなお好ましい実施形態によると、非骨格イオンは、X、好ましくは、先の工程(ii)においてBEA骨格構造から除去されたXを含む。
本発明は、さらに、本発明による方法によって、または本発明の方法により得ることができるように、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料に導くいずれかの考えられる方法によって得られたBEA骨格構造を有するゼオライト系材料に関する。
従って、本発明は、本発明の方法により得ることができる、および/または得られたBEA骨格構造を有するゼオライト系材料にも関する。
しかしながら、本発明は、BEA骨格構造それ自体を有するゼオライト系材料にも関し、ここにおいて、BEA骨格構造はYOおよびXを含み、ここにおいて、Yは四価元素であって、Xは三価元素であり、ここにおいて、ゼオライト系材料のH MAS NMRは0.40から1.00ppmの範囲の第一のピーク(P1)、1.40から2.00ppmの範囲の第二のピーク(P2)、および2.30から2.90ppmの範囲の第三のピーク(P3)を含み、ここにおいて、ゼオライト系材料のH MAS NMRにおける第一、第二、および第三のピークの積分は、1:(0.5−1.2):(0.30−2.5)の積分値の比率P1:P2:P3を供する。特に、本発明によるゼオライト系材料は、それが、過剰な骨格Xヒドロキシル(P1)、単一のY−OHヒドロキシル部位(P2)、および水素結合効果によるX−OH(P3)に帰属する信号を呈するH MAS NMRを有することを特徴とする。
本発明の好ましい実施形態によると、ゼオライト系材料のH MAS NMRにおいて、第一のピーク(P1)は0.50から0.90ppm、好ましくは0.60から0.80ppm、なおより好ましくは0.65から0.75ppmの範囲に含まれる。該好ましい実施形態によると、またはそれとは別法として、ゼオライト系材料のH MAS NMRにおける第二のピーク(P2)は、好ましくは、1.50から1.90ppm、より好ましくは1.60から1.80ppm、なおより好ましくは1.65から1.75の範囲に含まれる。さらに、該各々好ましい実施形態によると、またはそれとは別法にて、ゼオライト系材料のH MAS NMRにおける第三のピーク(P3)は、好ましくは、2.40から2.80ppm、より好ましくは2.50から2.70ppm、なおより好ましくは2.55から2.65ppmの範囲に含まれる。
第一および/または第二および/または第三のピークP1、P2、およびP3についてのppm範囲に関する該各々好ましい実施形態に加えて、またはそそれとは別法にて、ゼオライト系材料のH MAS NMRにおける該第一、第二、および第三のピークの積分は、好ましくは、1:(0.6−1.1):(0.50−1.5)、より好ましくは1:(0.65−1):(0.60−1.2)、より好ましくは1:(0.7−0.95):(0.70−1)、より好ましくは1:(0.75−0.9):(0.75−0.9)、なおより好ましくは1:(0.8−0.85):(0.8−0.85)の積分値の比率P1:P2:P3を供する。
BEA骨格構造がYOおよびXを含み、かつ特別なH MAS NMRを有する、本発明のゼオライト系材料それ自体の、該好ましい実施形態および特に好ましい実施形態によると、該ゼオライト系材料は本発明の製造方法の前記実施形態および好ましい実施形態のいずれかに従って得ることができることがさらに好ましい。さらに、本発明の特に好ましい実施形態によると、本発明のゼオライト系材料は、本発明の方法の前記実施形態および好ましい実施形態のいずれかによって得られたものである。
かくして、本発明は、所望により、請求項1から28に従って得ることができる、および/または得られたBEA骨格構造を有するゼオライト系材料にも関し、ここにおいて、BEA骨格構造はYOおよびXを含み、ここにおいて、Yは四価元素であって、Xは三価元素であり、ここにおいて、ゼオライト系材料のH MAS NMRは:
0.40から1.00ppm、好ましくは0.50から0.90ppm、より好ましくは0.60から0.80ppm、なおより好ましくは0.65から0.75ppmの範囲の第一のピーク(P1);
1.40から2.00ppm、1.50から1.90ppm、より好ましくは1.60から1.80ppm、なおより好ましくは1.65から1.75ppmの範囲の第二のピーク(P2);および
2.30から2.90ppm、好ましくは2.40から2.80ppm、より好ましくは2.50から2.70ppm、なおより好ましくは2.55から2.65ppmの範囲の第三のピーク(P3)
を含み、
ここにおいて、ゼオライト系材料のH MAS NMRにおける第一、第二、および第三のピークの積分は、1:(0.5−1.2):(0.30−2.5)、好ましくは1:(0.6−1.1):(0.50−1.5)、より好ましくは1:(0.65−1):(0.60−1.2)、より好ましくは1:(0.7−0.95):(0.70−1)、より好ましくは1:(0.75−0.9):(0.75−0.9)、なおより好ましくは1:(0.8−0.85):(0.8−0.85)の積分値の比率P1:P2:P3を供する。
本発明のゼオライト系材料のさらに好ましい実施形態によると、そのH MAS NMRは、第一、第二、および/または第三のピークP1、P2、およびP3の積分値の100%以上の積分値を有する3.85から3.95ppmの範囲のピークを含まない。特に、本発明のゼオライト系材料の好ましい実施形態のH MAS NMRにおいて、さらなるピークは、ブレンステッド酸部位に帰属する、3.60から4.20ppm、好ましくは3.70から4.10ppm、より好ましくは3.80から4.00ppm、なおより好ましくは3.85から3.95ppmの範囲に含まれる。しかしながら、ゼオライト系材料は、特に、本発明のゼオライト系材料のH MAS NMRにおけるピークP1、P2、およびP3の各々の強度によって示される水素結合効果による過剰な骨格Xヒドロキシル、単一のY−OHヒドロキシル部位、およびX−OHの量と比較して、ブレンステッド酸部位の比較的少量によって区別される。該好ましい実施形態によると、ゼオライト系材料のH MAS NMRは、第一、第二、および/または第三のピークの積分値の100%以上の積分値を有する、3.80から4.00ppm、好ましくは3.70から4.10ppm、なおより好ましくは3.60から4.20ppmの範囲におけるピークを含まないことがさらに好ましい。さらに、または該さらなる好ましい実施形態とは別法として、本発明のゼオライト系材料のH MAS NMRにおいて、該さらなるピークは、第一、第二、および/または第三のピークの50%以上、第一、第二、および/または第三のピークの積分値の、より好ましくは20%以上、より好ましくは10%以上、より好ましくは5%以上、より好ましくは1%以上、より好ましくは0.1%以上、なおより好ましくは0.01%以上の積分値を有しないことが好ましい。
従って、本発明のゼオライト系材料の好ましい実施形態によると、ゼオライト系材料のH MAS NMRは、第一(P1)、第二(P2)、および/または第三(P3)のピークの積分値の100%以上、第一、第二、および/または第三のピークの積分値の、好ましくは50%以上、より好ましくは20%以上、より好ましくは10%以上、より好ましくは5%以上、より好ましくは1%以上、より好ましくは0.1%以上、なおより好ましくは0.01%以上の積分値を有する、3.85から3.95ppm、好ましくは3.80から4.00ppm、より好ましくは3.70から4.10ppm、なおより好ましくは3.60から4.20ppmの範囲のピークを有しない。
本発明によると、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料において、Yはいずれの考えられる四価元素も表し、Yは1つまたは数個のいずれかの四価元素を表す。本発明による好ましい四価元素はSi、Sn、Ti、Zr、およびGe、およびその組合せを含む。より好ましくは、YはSi、Ti、またはZr、または該三価元素のいずれかの組合せ、なおより好ましくはSiおよび/またはSnを表す。本発明によると、YがSiを表すことが特に好ましい。
さらに、本発明のBEA骨格構造を有するゼオライト系材料において、Xはいずれの考えられる三価元素も表し、Xは1つまたは数個のいずれかの三価元素を表す。本発明による好ましい三価元素はAl、B、In、およびGa、およびその組合せを含む。より好ましくは、YはAl、B、またはIn、または該三価元素のいずれかの組合せを表し、なおより好ましくはAlおよび/またはBを表す。本発明によると、XがAlを表すことが特に好ましい。
かくして、本発明のゼオライト系材料の好ましい実施形態によると、YはSi、Sn、Ti、Zr、Ge、およびその2以上の組合せよりなる群から選択され、Yは好ましくはSiである。さらに、またはそれとは別法に、および好ましくはそれに加えて、さらに好ましい実施形態によると、XはAl、B、In、Ga、およびその2以上の組合せよりなる群から選択され、Xは好ましくはAlである。
本発明によると、本発明のゼオライト系材料のY:Xのモル比に関して特に制限はない。かくして、例として、本発明のゼオライト系材料のY:Xのモル比は2から60の範囲に含まれてよく、ここにおいて、好ましくは、モル比は3から40、より好ましくは4から20、より好ましくは5から15、なおより好ましくは6から10の範囲に含まれる。本発明のゼオライト系材料の特に好ましい実施形態によると、Y:Xのモル比は6.5から7.5の範囲に含まれる。
従って、好ましい実施形態によると、本発明のゼオライト系材料のY:Xのモル比は2から60、好ましくは3から40、より好ましくは4から20、より好ましくは5から15、より好ましくは6から10、なおより好ましくは6.5から7.5の範囲に含まれる。
さらに、本発明によると、本発明のゼオライト系材料の具体的なタイプ、または具体的な構造につき制限はなく、但し、骨格構造はBEAタイプのものであり、それはYOおよびXを含むものとし、ここにおいて、Yは四価元素であって、Xは三価元素である。かくして、例として、ゼオライト系材料はゼオライトベータ、[B−Si−O]−BEA、[Ga−Si−O]−BEA、[Ti−Si−O]−BEA、Alリッチなベータ、CIT−6、ツァーニック沸石、および純粋なシリカベータよりなる群から選択されるBEA骨格構造を有する1以上のゼオライトを含むことができ、ここにおいて、好ましくは、ゼオライト系材料はゼオライトベータを含む。
かくして、本発明の特に好ましい実施形態によると、ゼオライト系材料はゼオライトベータを含む。
本発明によると、本発明のゼオライト系材料の結晶性構造につき特に制限はなく、但し、それはBEA骨格構造を呈し、特に、それはBEA骨格構造に典型的な反射を含むX線回折パターンを供するものとする。本発明の方法に関して前記で述べたように、本発明の意味内では、BEA骨格構造に典型的なX線パターンは、主として、X線ディフラクトグラムに含まれる反射のパターンを指し、ここにおいて、2θ回折角度はBEA骨格構造に典型的なものであり、ここにおいて、好ましくは、個々の反射の相対的強度はBEA骨格構造に典型的なものである。本発明の好ましい実施形態によると、BEA骨格構造を有する本発明のゼオライト系材料は、少なくとも以下の反射を含むX線回折パターンを呈する。
Figure 0005982469
ここにおいて、100%は、X線粉末回折パターンにおける最大ピークの強度に関する。
より好ましくは、BEA骨格構造を有する本発明のゼオライト系材料は、少なくとも以下の反射を含むX線回折パターンを呈する。
Figure 0005982469
ここにおいて、100%は、X線粉末回折パターンにおける最大ピークの強度に関する。
さらに好ましいものである特に好ましい実施形態によると、BEA骨格構造を有する本発明のゼオライト系材料は、少なくとも以下の反射を含むX線回折パターンを呈する。
Figure 0005982469
ここにおいて、より好ましくは、X線回折パターンは少なくとも以下の反射を含む。
Figure 0005982469
ここにおいて、100%は、X線粉末回折パターンにおける最大ピークの強度に関する。
かくして、本発明の好ましい実施形態によると、BEA骨格構造を有する本発明のゼオライト系材料は、少なくとも以下の反射を含むX線回折パターンを有する。
Figure 0005982469
ここにおいて、100%は、X線粉末回折パターンにおける最大ピークの強度に関し、ここにおいて、なおより好ましくは、X線回折パターンは、さらに、以下の反射を含む。
Figure 0005982469
本発明は、さらに、本発明の触媒を用いる有機化合物のアシル化方法に関する。特に、驚くべきことに、本発明の方法に従って好ましくは得ることができる、なおより好ましくは得られた本発明によるゼオライト系材料は、アシル化可能な化合物およびアシル化剤双方と接触される改良されたアシル化触媒を供する。最も顕著には、有機化合物のアシル化方法において触媒として用いる場合、本発明のゼオライト系材料は、増大した活性を示すのみならず、具体的なアシル化生成物に対してかなり選択的であることが証明される。
かくして、本発明は:
(a)BEA骨格構造を有する1以上のゼオライト系材料を含む触媒を供し、
(b)1以上のアシル化有機化合物を得るための1以上のリアクター中にて、1以上のアシル化剤の存在下で該触媒を1以上のアシル化可能な有機化合物と接触させる
ことを含み、ここにおいて、該1以上のゼオライト系材料は請求項29から36いずれかに記載されたBEA骨格構造を有するゼオライト系材料であることを特徴とする、有機化合物をアシル化する方法にも関する。
本発明の方法の工程(b)において触媒を接触させる1以上のアシル化可能な有機化合物に関しては、1以上のアシル化可能な化合物として用いることができる有機化合物のタイプにつき特に制限はなく、但し、それは該工程で使用される1以上のアシル化剤でアシル化できるものとする。この点において、本発明の意味内では、工程(b)で得られた1以上のアシル化有機化合物は、1以上のアシル化可能な有機化合物と1以上のアシル化剤との反応のアシル化生成物である1以上のアシル化された有機化合物を含むことを注記する。かくして、原理的には、アシル化可能な有機化合物は、工程(b)で用いられる1以上のアシル化剤の少なくとも1つと反応できるいずれの有機化合物であってもよく、ここにおいて、反応の間に、共有結合がアシル化可能な有機化合物の原子と、該1以上のアシル化剤のうちの1以上のカルボニル炭素原子との間で形成される。
本発明の方法の好ましい実施形態によると、1以上のアシル化可能な有機化合物は1以上の芳香族化合物を含む。原理的には、本発明の方法に従ってアシル化可能な有機化合物として好ましくは使用される芳香族化合物につき特に制限はなく、但し、芳香族化合物は工程(b)で使用される1以上のアシル化剤でアシル化できるものとする。かくして、例として、工程(b)で好ましく用いられる芳香族化合物は単核芳香族環および/または多核縮合芳香族環部位を含有してよく、ここにおいて、好ましくは、芳香族化合物は1以上の単核芳香族環部位、なおより好ましくは1つの芳香族環部位を含む。本発明の特に好ましい実施形態によると、芳香族化合物の芳香性は、そこに含有される1以上の単核芳香族環の存在によるものであり、なおより好ましくは、そこに含有される単一の単核芳香族環の存在によるものである。好ましい芳香族化合物に含有される1以上の芳香族環部位に関しては、そこに含有される環員のタイプおよび数につき一般的な制限はない。かくして、例として、芳香族化合物に含有される1以上の芳香族環は3から8までの環員のいずれかを含有することができ、ここにおいて、好ましくは、芳香族環は4から7の環員、より好ましくは5から7の環員を含有する。本発明によると、芳香族化合物に含有される1以上の芳香族環は5および/または6の環員、好ましくは6の環員を含有する。特に好ましい実施形態によると、好ましい芳香族化合物は1以上の縮合したおよび/または縮合していない、好ましくは縮合していない6員の芳香族環、なおより好ましくは1つの6員の芳香族環を含む。
本発明によると、好ましい芳香族化合物の環員として含有された原子のタイプにつき特に制限はなく、但し、芳香族化合物は工程(b)で使用される該1以上のアシル化剤のうちの1以上によってアシル化されるのに適しているものとする。かくして、例として、環員は炭素、窒素、酸素、硫黄、およびその2以上の組合せよりなる群から、好ましくは、炭素、窒素、酸素、およびその2以上の組合せよりなる群から選択することができる。特に好ましい実施形態によると、好ましい芳香族化合物の環員は炭素および/または窒素、好ましくは炭素である。好ましい芳香族化合物として用いることができる1以上の化合物に関しては、これらは、例として、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ピロール、インドール、イソインドール、チオフェン、ベンゾチオフェン、ベンゾ[c]チオフェン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、プリン、ピラゾール、インダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ピラジン、キノキサリン、アクリジン、ピリミジン、キナゾリン、ピリダジン、シンノリン、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペリレン、コロネン、フェナントレン、および(さらなる)そのヘテロ芳香族誘導体よりなる群から選択することができる。本発明の好ましい実施形態によると、芳香族化合物はベンゼン、ナフタレン、およびそのヘテロ芳香族誘導体から選択される1以上の化合物を含み、ここにおいて、なおより好ましくは、1以上のアシル化可能な芳香族化合物はベンゼンおよび/またはナフタレンを含む。
本発明によると、該1以上のアシル化可能な有機化合物の中に好ましくは含まれる芳香族化合物は、1以上の官能基で置換することができる。原理的には、本発明によると、好ましい芳香族化合物に存在することができる官能基の数またはタイプにつき特に制限はなく、但し、芳香族化合物は、工程(b)で供されるアシル化剤の1以上でアシル化されるのに適しているものとする。かくして、例として、官能基はOH、ハライド、OR、SR、NH、NHR、NRR’、置換されたおよび置換されていない環状、直鎖状、または分岐鎖状アルキル、置換されたおよび置換されていないアシル、置換されたまたは置換されていないエステル、およびその2以上の組合せよりなる群から選択される1以上の官能基を含むことができ、ここにおいて、RおよびR’は、独立して、各々、環状、直鎖状、または分岐鎖状であってよい置換されたまたは置換されていないアルキルを表す。好ましい実施形態によると、1以上の官能基は、OH、F、Cl、OR、SR、NH、NHR、NRR’、置換されたおよび置換されていないアルキル、置換されたおよび置換されていないアシル、置換されたまたは置換されていないエステル、およびその2以上の組合せよりなる群から選択される1以上の官能基、より好ましくは、OH、F、Cl、OR、SR、NHR、NRR’、置換されたおよび置換されていないアルキル、置換されたおよび置換されていないアシル、およびその2以上の組合せよりなる群から選択される1以上の官能基、より好ましくは、OH、F、Cl、OR、SR、NHR、NRR’、置換されたおよび置換されていないアルキル、置換されたおよび置換されていないアシル、およびその2以上の組合せよりなる群から選択される1以上の官能基、より好ましくは、OH、OR、SR、置換されたおよび置換されていないアルキル、置換されたおよび置換されていないアシル、およびその2以上の組合せよりなる群から選択される1以上の官能基を含み、ここにおいて、より好ましくは、1以上の官能基はOR、SR、および/または置換されたおよび/または置換されていないアルキル、より好ましくはORおよび/またはSR、好ましくはORを含み、ここにおいて、相互に独立して、もう1つのアルキル、R、および/またはR’は、好ましくは、(CからC)アルキル、より好ましくは(CからC)アルキル、より好ましくは(CからC)アルキル、より好ましくは(CまたはC)アルキルを表し、ここにおいて、なおより好ましくは、アルキル、R、および/またはR’はC−アルキルを表し、ここにおいて、置換されたおよび/または置換されていないメトキシ、特に、置換されていないメトキシが特に好ましい。
好ましい芳香族化合物を置換することができる官能基の量については、例として、それらの数は1から10までのいずれかの範囲とすることができ、ここにおいて、好ましくは、好ましい芳香族化合物は1から5の官能基で、より好ましくは1から4、より好ましくは1から3、より好ましくは1または2、なおより好ましくは1の官能基で置換される。
かくして、例として、1以上の芳香族化合物が該1以上のアシル化可能有機化合物のうちの1以上として使用される本発明の方法の特に好ましい実施形態に関して、各々、置換されたおよび置換されていない芳香族化合物、芳香族アミン含有化合物、フェノール性化合物、芳香族モノエーテル、芳香族ジエーテル、芳香族トリエーテル、芳香族チオエーテル、およびその2以上の組合せよりなる群から選択される1以上の化合物が好ましく用いられる。特に好ましい実施形態によると、1以上のアシル化可能な有機化合物は、ベンゼン、トルエン、フルオロベンゼン、クロロトルエン、フルオロトルエン、トリフルオロメトキシベンゼン、トリクロロメトキシベンゼン、トリフルオロメチルチオベンゼン、アニリン、フェノール、o−クレゾール、グアイアコール、グエトール(guetol)、α−ナフトール、β−ナフトール、アニソール、エトキシベンゼン、プロポキシベンゼン、イソプロポキシベンゼン、ブトキシベンゼン、イソブトキシベンゼン、1−メトキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、2−エトキシナフタレン、2−クロロアニソール、3−クロロアニソール、2−ブロモアニソール、3−ブロモアニソール、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、2−エチルアニソール、3−エチルアニソール、2−イソプロピルアニソール、3−イソプロピルアニソール、2−プロピルアニソール、3−プロピルアニソール、2−アリルアニソール、2−ブチルアニソール、3−ブチルアニソール、2−ベンジルアニソール、2−シクロヘキシルアニソール、1−ブロモ−2−エトキシベンゼン、1−ブロモ−3−エトキシベンゼン、1−クロロ−2−エトキシベンゼン、1−クロロ−3−エトキシベンゼン、1−エトキシ−2−エチルベンゼン、1−エトキシ−3−エチルベンゼン、1−メトキシ−2−アリルオキシベンゼン、2,3−ジメチルアニソール、2,5−ジメチルアニソール、ベラトロール、1,3−ジメトキシベンゼン、1,4−ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシベンゼン、1,3−ジエトキシベンゼン、1,2−ジプロポキシベンゼン、1,3−ジプロポキシベンゼン、1,2−メチレンジオキシベンゼン、1,2−エチレンジオキシベンゼン、1,2,3−トリメトキシベンゼン、1,3,5−トリメトキシベンゼン、1,3,5−トリエトキシベンゼン、チオアニソール、o−チオクレゾール、m−チオクレゾール、p−チオクレゾール、2−チオエチルナフタレン、S−フェニルチオアセテート、3−(メチルメルカプト)アニリン、フェニルチオプロピオネート、およびその2以上の組合せよりなる群から選択される1以上の化合物を含む。なおさらなる特に好ましい実施形態によると、1以上のアシル化可能な有機化合物は、ベンゼン、トルエン、イソブチルベンゼン、アニソール、フェネトール、ベラトロール、1,2−メチレンジオキシベンゼン、2−メトキシナフタレン、チオアニソール、およびその2以上の組合せよりなる群から、より好ましくは、ベンゼン、トルエン、アニソール、2−メトキシナフタレン、チオアニソール、およびその2以上の組合せよりなる群から選択され、ここにおいて、なおより好ましくは、1以上のアシル化可能な化合物はアニソールおよび/または2−メトキシナフタレンを含む。
従って、有機化合物のアシル化のための本発明の方法の好ましい実施形態によると、1以上のアシル化可能な有機化合物は、1以上のアシル化可能な芳香族化合物、より好ましくは、置換されたまたは置換されていないベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペリレン、コロネン、フェナントレン、およびそのヘテロ芳香族誘導体よりなる群から、好ましくは、置換されたまたは置換されていないベンゼン、ナフタレン、およびそのヘテロ芳香族誘導体よりなる群から、より好ましくは、置換されたまたは置換されていないベンゼンおよびナフタレンよりなる群から選択される1以上の化合物を含み、ここにおいて、より好ましくは1以上のアシル化可能な芳香族化合物は、置換されたベンゼンおよび/または置換されたナフタレン、なおより好ましくは、アニソールおよび/または2−メトキシナフタレンを含む。
本発明の方法の工程(b)におけるアシル化可能な化合物の現実のアシル化に関しては、1以上のアシル化可能な有機化合物がアシル化される位置または複数位置につき特に制限はなく、但し、共有結合が1以上のアシル化可能な有機化合物と、該1以上のアシル化剤のうちの1以上のカルボニル炭素原子との間に形成される。1以上のアシル化可能な有機化合物が1以上の芳香族化合物を含む本発明の好ましい実施形態によると、有機化合物のいずれの位置も、原理的には、芳香族化合物に含有される1以上の縮合したおよび/または縮合していない芳香族環がアシル化でき、および/または芳香族化合物の1以上に含有される該1以上の官能基のうちの1以上が工程(b)において同等に、または択一的にアシル化できるようにアシル化することができる。芳香族環の1以上がアシル化される場合、アシル化に付される芳香族環の1以上の員は、所望により官能性化されていない、特に、工程(b)において、各々、1以上のアシル化剤によって置換される1以上の水素原子を含有する員であることが一般的に好ましい。
特に好ましい実施形態によると、該1以上の縮合したおよび/または縮合していない芳香族環に対する1以上が本発明の方法の工程(b)においてアシル化され、ここにおいて、原理的には、1以上の芳香族環の員のいずれの1以上も適切にアシル化することができる。該1以上の芳香族環のうちの1以上の員が適切にアシル化される場合、該1以上の芳香族環の1以上の炭素および/または窒素原子の員原子員が適切にアシル化されていることがなおさらに好ましく、ここにおいて、1以上の炭素原子員が適切にアシル化されていることがなおより好ましい。
本発明の方法で用いられる1以上のアシル化剤に関しては、原理的には、この趣旨で用いることができる化合物のタイプにつき制限はなく、但し、それらを適切に用いて、該1以上のアシル化可能な有機化合物のうちの1以上をアシル化できるものとする。これは、原理的には、いずれの適当な芳香族または脂肪族の置換されたまたは置換されていない環状、直鎖状、または分岐鎖状有機基Rがそこに含有できるように、アシル化剤に含有されたアシル部位−C(O)Rのタイプにつきそれに従って適用される。Rが置換されたまたは置換されていない環状、直鎖状または分岐鎖状アルキルである好ましい実施形態によると、例として、該アルキル部位のサイズはCからC22の範囲に含まれ得るが、ここにおいて、好ましくは、CからC20の範囲、より好ましくはCからC18の範囲、より好ましくはCからC16の範囲、より好ましくはCからC14、より好ましくはCからC10、より好ましくはCからC、より好ましくはCからC、より好ましくはCからC、より好ましくはCからC、より好ましくはCからCの範囲に含まれ、ここにおいて、なおより好ましくは、該アルキル部位はCまたはCアルキル部位であり、特に好ましくはCアルキルである。Rが芳香族部位を含む、別法としての好ましい実施形態によると、該芳香族基は、特に好ましくは、置換されたまたは置換されていないベンジルおよび/またはナフチルを含み、ここにおいて、なおより好ましくは、Rは置換されたまたは置換されていないベンジルまたはナフチルである。
基が置換されている本発明の方法の好ましい実施形態に関しては、1以上の官能基は、好ましくは、OH、ハロゲン、OR、ニトロ、およびその2以上の組合せよりなる群から選択され、ここにおいて、RおよびR’は、独立して、各々が、環状、直鎖状、または分岐鎖状であってよい置換されたまたは置換されていないアルキルを表す。より好ましくは、1以上の官能基はハロゲン、OR、ニトロ、およびその2以上の組合せよりなる群から選択され、より好ましくは、Cl、F、Br、OR、ニトロ、およびその2以上の組合せから、より好ましくは、Cl、F、OR、ニトロ、およびその2以上の組合せよりなる群から、より好ましくは、Cl、F、CからCアルコキシ、ニトロ、およびその2以上の組合せよりなる群から、より好ましくは、Cl、F、メトキシ、ニトロ、およびその2以上の組合せよりなる群から選択され、ここにおいて、なおより好ましくは、官能基はClである。別法としての好ましい実施形態によると、Rは置換されていない。
本発明の方法において、Rが所望により置換されていてもよい直鎖状または分岐鎖状の飽和または不飽和のCからC、好ましくはCからC、より好ましくはCからC、より好ましくはCからC、なおより好ましくはCからCの脂肪族部位であることが特に好ましく、ここにおいて、Rは、好ましくは、所望により置換されていてもよい直鎖状または分岐鎖状アルキル、好ましくはCからCアルキル、より好ましくはCからCアルキル、より好ましくはCからCアルキル、より好ましくはCからCアルキル、より好ましくはCまたはCアルキル、なおより好ましくは所望により置換されていてもよいCアルキルであり、ここにおいて、より好ましくは、Rは直鎖状または分岐鎖状のブチル、プロピル、エチル、およびメチルよりなる群から選択され、およびここにおいて、なおより好ましくは、Rはエチルまたはメチル、好ましくはエチルである。
本発明によると、Rで置換されるのとは別に、1以上のアシル化剤が式R−CO−Xを有するように、アシル化剤に含有されたカルボニル部位の第二の官能性はXである。さらなる置換基Xに関しては、本発明によると、その化学的性質につき特に制限はなく、但し、該1以上のアシル化剤のうちの1以上は、本発明のアシル化方法における該1以上のアシル化可能な化合物のうちの1以上をアシル化するのに適しているものとする。かくして、前記した化学式において表される−Xは、アシル化剤が電子親和性種R−COであるように、空の軌道を表すことができる。しかしながら、一般に、Xは化学的官能性および/または前記した電子親和性種R−COに対する少なくとも対イオンを表す。好ましい実施形態によると、Xはハロゲン、ヒドロキシル、および−O−CO−Rよりなる群から選択される官能基であり、ここにおいて、Rは、1以上のアシル化剤に含まれるアシル部位に関して前記において記載された好ましいおよび特に好ましい実施形態によるRと同一の意味を有する。特に、本発明の方法によると、RはRと同一でもよいし、異なってもよい。特に好ましい実施形態によると、Xはクロロ、ブロモ、ヒドロキシル、および−O−CO−Rよりなる群から、より好ましくは、クロロ、ブロモ、および−O−CO−Rよりなる群から選択され、なおより好ましくは、Xはクロロまたは−O−CO−R、好ましくは−O−CO−Rである。該好ましい実施形態および特に好ましい実施形態によると、Rは好ましくはRと同一である。
かくして、本発明の方法の特に好ましい実施形態によると、1以上のアシル化剤は無水酢酸、無水プロパン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水トリフルオロ酢酸、無水安息香酸、無水モノクロロアセチル、無水ジクロロアセチル、塩化アセチル、塩化モノクロロアセチル、塩化ジクロロアセチル、塩化プロパノイル、塩化イソブタノイル、塩化ピバロイル、塩化ステアロイル、塩化クロトニル、塩化ベンゾイル、塩化クロロベンゾイル、塩化p−ニトロベンゾイル、塩化メトキシベンゾイル、塩化ナフトイル、酢酸、安息香酸、およびその2以上の組合せよりなる群から選択される1以上の化合物を含む。なおさらに特に好ましい実施形態によると、1以上のアシル化剤は無水酢酸、無水プロパン酸、無水安息香酸、無水モノクロロアセチル、無水ジクロロアセチル、塩化ベンゾイル、およびその2以上の組合せよりなる群から選択され、ここにおいて、なおより好ましくは、1以上のアシル化剤は無水酢酸を含む。
かくして、有機化合物のアシル化のための本発明の方法の好ましい実施形態によると、1以上のアシル化剤は式R−CO−Xの1以上の化合物を含み、
ここにおいて、−CO−はカルボニル部位を表し;
は所望により置換されていてもよい直鎖状または分岐鎖状の飽和または不飽和のCからC、好ましくはCからC、より好ましくはCからC、より好ましくはCからC、なおより好ましくはCからCの脂肪族部位であり、ここにおいて、Rは好ましくは所望により置換されていてもよい直鎖状または分岐鎖状のアルキル、好ましくはCからCアルキル、より好ましくはCからCアルキル、より好ましくはCからCアルキル、より好ましくはCからCアルキル、より好ましくはCまたはCアルキル、なおより好ましくは所望により置換されていてもよいCアルキルであり、ここにおいて、より好ましくは、Rは直鎖状または分岐鎖状のブチル、プロピル、エチル、およびメチルよりなる群から選択され、ここにおいて、なおより好ましくは、Rはエチルまたはメチル、好ましくはエチルであり;および
Xはハロゲン、ヒドロキシル、および−O−CO−Rよりなる群から選択され、ここにおいて、RはRと同一の意味を有し、ここにおいて、RはRと同一または異なってよく、ここにおいて、好ましくは、Xはクロロ、ブロモ、ヒドロキシル、および−O−CO−Rよりなる群から、より好ましくは、クロロ、ブロモ、および−O−CO−Rよりなる群から選択され、ここにおいて、なおより好ましくは、Xはクロロまたは−O−CO−R、好ましくは−O−CO−Rであり、ここにおいて、なおより好ましくは、RはRと同一である。
本発明によると、工程(a)で供される触媒は、原理的には、いずれの適当な形態で用いることもでき、但し、それはアシル化反応を触媒できるものとする。かくして、BEA骨格構造を有する1以上のゼオライト系材料を含む工程(a)で供されたアシル化触媒は、それ自体で、例として、粉末、噴霧粉末または噴霧粒状物の形態などで使用することができる。
本発明の方法を産業規模で使用する場合、しかしながら、成型物の形態よりはむしろ粉末または噴霧された材料としてのゼオライト系材料を含むアシル化触媒を使用しないことが好ましい。
従って、本発明の方法の好ましい実施形態によると、BEA骨格構造を有する1以上のゼオライト系材料を含む触媒は成型物の形態で提供される。
一般に、粉末または噴霧された材料は、例えば、適当な圧粉によるなどして、いずれの他の化合物もなくして成型物を形成するように形状を付与して、錠剤、円筒形、および/または球状物の形態などの所望の幾何学の成型物を得ることができる。しかしながら、成型物は、触媒中に含まれる1以上のゼオライト系材料に加えて、全ての考えられるさらなる化合物を含むことができ、但し、得られた成型物は工程(b)でのアシル化反応を触媒できることが確保されるものとする。該好ましい実施形態によると、少なくとも1つの適当なバインダー材料が成型物の製造で用いられることがさらに好ましい。この好ましい実施形態との関係では、より好ましくは、1以上のゼオライト系材料および1以上のバインダーを含む触媒の混合物が調製される。適当なバインダーは、一般に、結合されるべき1以上のゼオライト系材料の間に、特に、バインダーなくして存在し得る物理収着を超えた接着および/または凝集を付与する全ての化合物である。そのようなバインダーの例はSiO、Al、TiO、ZrOまたはMgO、または粘土またはこれらの化合物の2以上の混合物のような金属酸化物である。Alバインダーとしては、粘土鉱物および天然に生じるまたは合成アルミナ、例えば、アルファ−、ベータ−、ガンマ−、デルタ−、エタ−、カッパ−、カイ−またはシータ−アルミナ、およびジプサイト、バイヤライト、ベーマイト、擬ベーマイト、またはトリイソプロピオン酸アルミニウムのようなトリアルコキシアルミネートのような無機または有機金属前駆体化合物が特に好ましい。さらなる好ましいバインダーは極性および非極性部位を有する両親媒性化合物、および黒鉛である。さらなるバインダーは、例えば、モンモリロナイト、カオリン、ベントナイト、ハロイサイト、ディッカイト、ナクライトまたはアナキサイトのような粘土である。
本発明によると、バインダーは、成型物の製造のために、それ自体で用いることができる。しかしながら、本発明との関係では、成型物の製造での少なくとも1つのさらなる工程において、それからバインダーが形成される化合物を使用するのも可能である。そのようなバインダー前駆体の例はテトラアルコキシシラン、テトラアルコキシチタネート、テトラアルコキシジルコネート、または2以上の異なるテトラアルコキシシランの混合物、または2以上の異なるテトラアルコキシチタネートの混合物、または2以上の異なるテトラアルコキシジルコネートの混合物、または少なくとも1つのテトラアルコキシシランおよび少なくとも1つのテトラアルコキシチタネートの、または少なくとも1つのテトラアルコキシシランおよび少なくとも1つのテトラアルコキシジルコネートの、または少なくとも1つのテトラアルコキシチタネートおよび少なくとも1つのテトラアルコキシジルコネートの混合物、または少なくとも1つのテトラアルコキシシランおよび少なくとも1つのテトラアルコキシチタネートおよび少なくとも1つのテトラアルコキシジルコネートの混合物である。本発明との関係では、SiOより完全にまたは部分的になる、または成型物の製造における少なくとも1つのさらなる工程でそれからSiOが形成されるSiOの前駆体であるバインダーに言及されるべきである。この関係で、コロイドシリカおよび「湿式プロセス」シリカならびに「乾式プロセス」シリカの双方を用いることができる。これらは非常に特に好ましくはアモルファスシリカであり、シリカ粒子のサイズは、例えば、5から100nmの範囲であり、シリカ粒子の表面は50から500m/gの範囲である。好ましくは、アルカリ性および/またはアンモニア性溶液の形態である、より好ましくは、アンモニア性溶液の形態であるコロイドシリカは、例えば、とりわけ、ルドックス(Ludox)(登録商標)、シトン(Syton)(登録商標)、ナルコ(Nalco)(登録商標)またはスノーテックス(Snowtex)(登録商標)として商業的に入手可能である。「湿式プロセス」シリカは、例えば、とりわけ、ハイ−ジル(Hi−Sil)(登録商標)、ウルトラジル(Ultrasil)(登録商標)、ヴルカジル(Vulcasil)(登録商標)、サントセル(Santocel)(登録商標)、バルロン−エステルジル(Valron−Estersil)(登録商標)、トクジル(Tokusil)(登録商標)またはニプジル(Nipsil)(登録商標)として商業的に入手可能である。「乾式プロセス」シリカは、例えば、とりわけ、アエロジル(Aerosil)(登録商標)、レオロジル(Reolosil)(登録商標)、カブ−オー−ジル(Cab−O−Sil)(登録商標)、フランジル(Fransil)(登録商標)またはアークシリカ(ArcSilica)(登録商標)として商業的に入手可能である。バインダーは、好ましくは、そのバインダーの含有量が、各々の場合に、最終的に得られる成型物の全量に基づいて、80重量%までである、より好ましくは5から80重量%の範囲、より好ましくは10から70重量%の範囲、より好ましくは10から60重量%の範囲、より好ましくは15から50重量%の範囲、より好ましくは15から45重量%の範囲、特に好ましくは15から40重量%の範囲にある最終的に得られる成型物に導く量で用いられる。
原理的には、本発明のアシル化触媒を含む成型物はいずれの適当な手法に従って得ることもでき、但し、成型物は本発明の方法の工程(b)においてアシル化を触媒できるものとする。本発明の好ましい実施形態によると、成型物は:
(I)1以上のゼオライト系材料を含むアシル化触媒および、所望により、少なくとも1つのバインダーを含有する混合物を調製し;
(II)所望により、混合物を混練し;
(III)混練された混合物を成型して、少なくとも1つの成型物が得られ;
(IV)所望により、少なくとも1つの成型物を乾燥し;および/または
(V)所望により、少なくとも1つの乾燥された成型物をか焼する
工程を含む、成型物の製造方法に従って得ることができ、好ましくは得られる。
本発明との関係で用いられる用語「最終的に得られる成型物」は、任意の乾燥および/またはか焼工程(IV)および/または(V)から得ることができる、好ましくは得られる、特に好ましくは、工程(IV)から得ることができ、好ましくは得られる成型物に関する。
従って、バインダーまたはバインダーの前駆体および1以上のゼオライト系材料を含む触媒の混合物は、さらなる加工のために、およびプラスチック材料の形成のために、少なくとも1つのさらなる化合物と混合することができる。ここにおいて、とりわけ、細孔形成剤が好ましくは言及することができる。本発明の方法において、仕上げられた成型物に関し、ある細孔サイズおよび/またはある細孔サイズの分布および/またはある細孔体積を供する全ての化合物を細孔形成剤として用いることができる。好ましくは、本発明の方法において用いる細孔形成剤は、水または水性溶媒混合物に分散可能、懸濁可能、または乳化可能なポリマーである。ここにおいて、好ましいポリマーは高分子ビニル化合物、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミドおよびポリエステルのようなポリアシレンオキサイド、セルロースまたはセルロース誘導体、例えば、メチルセルロース、または糖類または天然繊維のような炭水化物である。さらなる適当な細孔形成剤は、例えば、パルプまたは黒鉛である。孔形成剤が(I)に従う混合物の調製で用いられれば、細孔形成剤の含有量、好ましくは、(I)に従った混合物のポリマー含有量は、各々の場合に、(I)に従った混合物中の1以上のゼオライト系材料の量に基づいて、好ましくは5から90重量%の範囲、好ましくは15から75重量%の範囲、特に好ましくは25から55重量%の範囲である。達成すべき細孔サイズの分布について所望であれば、2以上の細孔形成剤の混合物を用いることもできる。本発明の方法の好ましい実施形態において、細孔形成剤を工程(V)においてか焼によって除去して、多孔性成型物を得る。しかしながら、本発明によると、工程(III)で得られた成型物が、引き続いて、か焼工程に付されないことが特に好ましい。本発明の方法で好ましく用いられる成型物のか焼に関して、用語「か焼」とは、1以上のゼオライト系材料に関して前記で定義されたか焼工程をいう。従って、工程(III)で得られた成型物が、引き続いて、か焼工程に付されない本発明の特に好ましい実施形態によると、従って、該実施形態によると、細孔形成剤を用いないか、あるいは別法として、本発明の意味内にあるか焼工程ではない加熱工程によって適切に除去することができる、および/または1以上の細孔形成剤を含有する好ましい成型物の適切な加熱以外の手段によって除去することができる1以上の細孔形成剤を用いることが好ましい。
本発明の同様に好ましい実施形態との関係では、少なくとも1つの貼付剤を(I)による混合物の調製中に加える。用いることができる貼付剤は、この目的に適した全ての化合物である。これらは、好ましくは、有機の、特に、親水性のポリマー、例えば、セルロース、メチルセルロースのようなセルロース誘導体、ジャガイモ澱粉のような澱粉、壁紙ペースト、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリイソブテンまたはポリテトラヒドロフランである。従って、細孔形成剤としても作用する特定の化合物は貼付剤として用いることができる。以下に記載する本発明の方法の特に好ましい実施形態において、これらの貼付剤は工程(V)においてか焼によって除去されて、多孔性成型物が得られる。しかしながら、本発明によると、工程(III)で得られた成型物は、引き続いて、か焼工程に付されないことが特に好ましい。従って、工程(III)で得られた成型物が、引き続いて、か焼工程に付されない本発明の特に好ましい実施形態によると、従って、該実施形態によると、貼付剤を使用しないか、あるいは別法として、本発明の意味内のか焼工程ではない加熱工程によって適切に除去することができる、および/または1以上の貼付剤を含有する好ましい成型物の適切な加熱による以外の手段によって除去することができる1以上の貼付剤を用いることが好ましい。
本発明のさらなる実施形態によると、少なくとも1つの酸性添加物が、(I)による混合物の調製の間に加えることができる。この点において、任意のか焼工程(V)で除去することができる有機酸性化合物が好ましい。カルボン酸、例えば、ギ酸、シュウ酸および/またはクエン酸が特に好ましい。これらの酸性化合物のうち2以上を用いるのも可能である。しかしながら、前記した細孔形成剤および貼付剤に関しては、1以上の酸性添加剤、好ましくは、本発明の意味内のか焼工程ではない加熱工程によって除去することができる、および/または1以上の酸性添加剤、好ましくは1以上の有機酸性化合物を含有する好ましい成型物の適切な加熱による以外の手段によって除去することができる1以上の有機酸性化合物を用いることが好ましい。
BEA骨格構造を有する1以上のゼオライト系材料を含むアシル化触媒を含有する(I)による混合物の成分の添加の順序は重要ではない。特に、まず、少なくとも1つのバインダーを加え、次いで、少なくとも1つの細孔形成剤および少なくとも1つの酸性化合物、最後に、少なくとも1つの貼付剤を加える、および少なくとも1つのバインダー、少なくとも1つの細孔形成剤、少なくとも1つの酸性化合物および少なくとも1つの貼付剤に関して順番を交換する、の双方が可能である。
適切であれば、前記した化合物の少なくとも1つが既に加えられているゼオライト系材料を含むアシル化触媒へのバインダーの添加の後、(I)による混合物は、通常、10から180分の間均質化される。とりわけ、ニーダー、エッジミルまたはエクストルーダーが均質化で特に好ましく用いられる。混合物は好ましくは混練される。産業規模では、エッジミルにおける処理は、好ましくは、均質化で使用される。均質化は、一般に、約10℃から貼付剤の沸点の範囲の温度、および常圧またはわずかに大気圧を超える圧力で行われる。その後、適切であれば、前記した化合物の少なくとも1つを加えることができる。かくして得られた混合物は、押し出し可能なプラスチック材料が形成されるまで均質化され、好ましくは混練される。
成型物の製造のための本発明の好ましい方法によると、均質化された混合物が引き続いて成型される。本発明との関係では、慣用的なエクストルーダーでの押出によって成型が行われて、例えば、好ましくは1から10mm、特に好ましくは2から5mmの直径を有する押出物が得られる方法が形状付与プロセスで好ましい。そのような押出装置は、例えば、Ullmann’s Enzyklopadie der Technischen Chemie、第4版、第2巻、295頁等、1972に記載されている。スクリュータイプのエクストルーダーの使用に加えて、プランジャータイプのエクストルーダーも成型のために好ましく用いられる。原理的には、しかしながら、全ての公知のおよび/または適当な混練および成型装置および方法を形状付与のために用いることができる。これらの例は、とりわけ:ブリケッティング、すなわち、さらなるバインダー材料の添加の有りまたは無しでの機械的圧縮;ペレット化、すなわち、円状および/または回転運動によるコンパクティング;か焼、すなわち、成形すべき材料を熱処理に付すことである。本発明によって製造される成型物の形状は望むように選択することができる。特に、とりわけ、球、卵型、円筒形または錠剤が可能である。
本発明との関係では、工程(III)に続いて、好ましくは、少なくとも1回の乾燥工程が行われる。原理的には、いずれの適当な乾燥工程も用いることができ、但し、乾燥成型物が供されるものとする。しかしながら、本発明によると、乾燥工程は、本発明の意味内のか焼工程で用いられる温度を含まないことが好ましい。
本発明との関係では、任意の乾燥工程(IV)に続いて、所望により、少なくとも1回のか焼工程(V)が行われる。ある実施形態によると、か焼工程(V)は、成型工程(III)の後に直接行われる。しかしながら、本発明によると、BEA骨格構造を有する1以上のゼオライト系材料を含むアシル化触媒を含有する好ましい成型物は、か焼工程(V)、引き続いて、任意の乾燥工程(IV)に付されないことが好ましく、ここにおいて、か焼工程(V)を含まない該特に好ましい実施形態によると、製造方法は、1以上の乾燥工程(IV)、引き続いての、成型工程(III)を含むことが好ましい。
好ましい成型物が、1以上のか焼工程(V)を含む成型物の製造のための前記した好ましい方法に従って得ることができ、好ましくは得られた実施形態によると、か焼は、一般的には、本発明の意味内で定義されたいずれの温度においても行うことができ、ここにおいて、それは、好ましくは、300から700℃、より好ましくは400から600℃の範囲の温度で行われる。該実施形態によると、か焼は、いずれかの適当なガス雰囲気、空気および/または好ましいものである希薄な空気下で行うことができる。さらに、か焼は、好ましくは、マッフル炉、ロータリーキルンおよび/またはベルトか焼オーブン中で行われる。か焼工程の間の温度は、一定のままであるか、または継続的にまたは不連続的に変化させることが可能である。か焼が2回、またはよりしばしば行われるならば、か焼温度は個々の工程において異なるか、または同一であり得る。
任意の乾燥工程(IV)の前および/または後に、および/または任意のか焼工程(V)の前および/または後に、適切であれば、少なくとも1つの成型物を濃いまたは希薄なブレンステッド酸または2以上のブレンステッド酸の混合物で処理することができる。適当な酸は、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸またはカルボン酸、ニトロトリ酢酸、スルホサリチル酸またはエチレンジアミンテトラ酢酸のようなジカルボン酸またはオリゴまたはポリカルボン酸である。適切であれば、少なくとも1つのブレンステッド酸でのこの少なくとも1回の処理に続いて、少なくとも1回の乾燥工程(IV)および/または少なくとも1回のか焼工程(V)を行う。
本発明の方法のさらなる実施形態によると、好ましくは、工程(a)で供され、かつ工程(b)で用いられる成型物は、良好な硬化のために、水蒸気処理に付すことができ、その後、好ましくは、乾燥を再度少なくとも1回行い、および/またはか焼を再度少なくとも1回行う。例えば、少なくとも1回の乾燥工程および少なくとも1回の引き続いてのか焼工程の後、か焼された成型物は水蒸気処理に付され、次いで、再度少なくとも1回乾燥され、および/または再度少なくとも1回か焼される。
前記に加えて、本発明は、触媒としての本発明のゼオライト系材料の実施形態および好ましい実施形態によるBEA骨格構造を有するゼオライト系材料の、特に、ゼオライト系材料の調製のための本発明の方法の実施形態および好ましい実施形態によって得ることができるゼオライト系材料の、より好ましくは、本発明の方法の該実施形態および好ましい実施形態から得られたゼオライト系材料の使用にも関する。原理的には、本発明のゼオライト系材料を使用することができる反応のタイプに制限は課されず、但し、それは、所与の化学反応において活性化エネルギーを少なくとも部分的に低下させるのに有効なものとする。しかしながら、本発明によると、ゼオライト系材料は、有機酸性化合物の変換のために触媒として使用される。この点において、該変換が、さらなる化学化合物に、好ましくは、元の化合物の誘導体および/または異性体に化学的に変換される単一の有機化合物に関連できるように、本発明のゼオライト系材料の使用につき、再度、特に制限はなく、および/または、ここにおいて、単一の有機化合物は2以上の化学的に区別される反応生成物に化学的に変換される。しかしながら、特に好ましい実施形態によると、本発明のゼオライト系材料は、相互に反応して、反応生成物として1以上の、好ましくは1つの化学化合物を形成する2以上の化学化合物、好ましくは2つの化学化合物に関連する化学反応において触媒として用いられる。
さらなる化学化合物への化合物の化学的変換および/または2以上の前駆体化合物の反応からの新しい化学化合物の形成を含む本発明の使用の好ましい実施形態によると、該反応は、1以上の炭素−炭素単結合および/または二重結合、好ましくは1以上の炭素−炭素単結合の形成を含むことが特に好ましく、ここにおいて、該結合は、炭素−炭素結合によって、従前には相互に結合されていなかった2つの炭素原子の間に形成される。特に好ましい実施形態によると、有機化合物の化学的な変換は、アシル化反応、より好ましくは、有機化合物のアシル化のための本発明の方法の実施形態および好ましい実施形態のいずれかに従って前記にて定義された、1以上のアシル化可能な有機化合物および1以上のアシル化剤の間の反応を含むアシル化反応を含む。
本発明は、さらに、ゼオライト系材料、およびゼオライト系材料の調製のための方法に関連する本発明の実施形態および好ましい実施形態によるBEA骨格構造を有するゼオライト系材料の使用に関し、ここにおいて、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料は、好ましくは、有機化合物の変換のための触媒として、より好ましくは、炭素−炭素結合によって、1以上の炭素−炭素単結合および/または二重結合、好ましくは1以上の炭素−炭素単結合が、従前には相互に結合していなかった2つの炭素原子の間に形成される反応において触媒として用いられる。さらに、本発明の使用の特に好ましい実施形態によると、有機化合物の変換は、好ましくは、アシル化反応、なおより好ましくは、1以上のアシル化可能な有機化合物、および試薬としての1以上のアシル化剤を含むアシル化反応である。
図1aは、実施例1における水熱合成から得られたゼオライト系材料の(CuKアルファ−1照射を用いて測定された)X線回折(XRD)を示す。図面中、°で表した回折角2シータは、横軸に沿って示され、強度は縦軸に沿ってプロットされる。図1aは、さらに、テンプレート媒介合成から得られたゼオライトベータおよび比較のためのモルデナイトの各線のパターンを示す。 図1bは、実施例1で得られたイオン交換されたゼオライト系材料の窒素吸着等温線を示す。図面中、相対的な圧力p/pは横軸に沿ってプロットされ、77KにおいてDIN 66134に従って決定された、cm/g STP(標準圧力および温度)で表した細孔体積は縦軸に沿ってプロットされる。吸着についての値は記号(◆)によって示され、脱着についての値は記号(▲)によって示される。 図2aは、実施例9において水熱合成から得られたゼオライト系材料の(CuKアルファ−1照射を用いて測定された)X線回折(XRD)パターンを示す。図面中、°で表した回折角2シータは横軸に沿って示され、強度は縦軸に沿ってプロットされる。図2aは、さらに、テンプレート媒介合成から得られたゼオライトベータ、ゼオライトP、比較のためのゼオライトECR−1の各線のパターンを含む。 図2bは、実施例9における水熱合成から得られたゼオライト系材料の窒素吸着等温線を示す。図面中、相対的圧力p/p、77KにおいてDIN 66134に従って決定された、cm/g STP(標準圧力および温度)で表した細孔体積は図1bにおけるように示される。 図2cは、実施例9で得られたイオン交換されたゼオライト系材料の(CuKアルファ−1照射を用いて測定された)X線回折(XRD)パターンを示す。図面中、°で表された回折角2シータは横軸に沿って示され、強度は縦軸に沿ってプロットされる。図2cは、さらに、テンプレート媒介合成から得られたホウ素−ゼオライトベータ、および比較のためのモルデナイトの各線のパターンを含む。 図3は、各々、商業的ゼオライトベータ(頂部)から、ならびに実施例8(頂部から2番目)および1(底部)からの試料から得られた(ノイズ除去した)H MAS NMRを示す。図面中、ppmで表した値は横軸に沿ってプロットされ、ここにおいて、正確なppm値は、括弧に入れた%で表したノイズ除去からの相対強度を含めて、各ピーク上方に示される。
実施例1
23.95gのNaAlOを0.812kgのHOに溶解させ、続いて、撹拌下で、9.01gのAl−ベータゼオライト種子結晶(Zeolyst InternationalからのCP814Cゼオライトベータ)を加えた。次いで、1,154.69gのナトリウム−水ガラス溶液(26重量%のSiOおよび8重量%のNaO)をゆっくりと混合物に加え、ここにおいて、10から20gのナトリウム−水ガラス溶液を加えた後、透明なゲルが生成され、これを、次いで、該溶液をさらに添加した後に溶解させた。
次いで、混合物をオートクレーブに移し、120℃にて120時間結晶化させた。反応混合物を室温まで冷却した後、それを濾過し、固体残渣を蒸留水で反復して洗浄し、その後、それを120℃で16時間乾燥し、かくして、85gの白色結晶性生成物を得た。該生成物は、合成で用いたAl−ベータゼオライトと比較して90%の結晶化度を示した。
水熱合成から得られた結晶性生成物の元素分析は、1.0:4.6:1のNa:Si:Alのモル比を与えた。
図1aにおいて、水熱合成から得られた洗浄しかつ乾燥した結晶性生成物のXRDが示される。特に、XRDパターンはBEA骨格構造で典型的である。さらに、水熱合成から得られた結晶性生成物の(ノイズ除去した)H MAS NMRスペクトルは図3に示される。
次いで、水熱合成から得られたゼオライト系生成物をイオン交換処理に付し、そこでは、50mlの4M硝酸アンモニウム溶液をゼオライト1g当たりでゼオライトに加え、撹拌下で、得られた混合物を1時間で80℃まで加熱した。得られた生成物の濾過および洗浄の後、該手法を2回反復した。最後に、得られた生成物を350℃にて5時間か焼して、最終のイオン交換生成物を得た。
図1bにおいては、実施例1のイオン交換された生成物を用いて得られた窒素等温線が示される。特に、微多孔性固体に典型的なI型吸着等温線の階段状曲線が明らかであり(cf.DIN 66135)、これは、ゼオライト系材料が連続微細孔を有することを示す。データの評価は、ラングミュア法による680.78m/gの等価面および520.63m/gのBET表面積を与えた。
実施例2
実施例1からのイオン交換されたゼオライト系生成物の試料を、引き続いて、窒素ガス中の20%HOで、500℃にて、空間速度W/F=30g*H/モルにて1時間蒸気処理して、蒸気処理されたゼオライト試料を得た。
実施例3
実施例2からの蒸気処理されたゼオライト試料の一部を、引き続いて、酸処理手法に付し、そこでは、60mlの1M硝酸がゼオライト1g当たりでゼオライトに加えられ、得られた混合物を撹拌下で3時間で80℃まで加熱して、蒸気および酸処理されたゼオライト試料を得た。
実施例4
実施例3の手法を実施例2からのさらなる試料で反復し、そこでは、酸処理を6時間行った。
実施例5
実施例2の手法を実施例1からのさらなる試料で反復し、そこでは、蒸気処理を600℃の温度で行った。
実施例6
実施例5からの蒸気処理したゼオライト試料の一部を、引き続いて、酸処理手法に付し、そこでは、60mlの1M硝酸をゼオライト1g当たりでゼオライトに加え、得られた混合物を撹拌下で3時間で80℃まで加熱して、蒸気および酸処理されたゼオライト試料を得た。
実施例7
実施例2の手法を実施例1からのさらなる試料で反復し、そこでは、蒸気処理を700℃の温度で行った。
実施例8
実施例7からの蒸気処理ゼオライト試料の一部を、引き続いて、酸処理手法に付し、そこでは、60mlの1M硝酸をゼオライト1g当たりでゼオライトに加え、得られた混合物を撹拌下で3時間で80℃まで加熱して、蒸気および酸処理されたゼオライト試料を得た。
実施例9
332.1gのNaAlOを7.58kgのHOに溶解させ、続いて、62.8gのAl−ベータゼオライト種子結晶(Zeolyst InternationalからのCP814Cゼオライトベータ)を加えた。引き続いて、363.6gの溶融シリカ(アエロジル(Aerosil)(登録商標)200)を撹拌下にゆっくりと加えた。次いで、混合物を20リットルのオートクレーブに移し、8.063kgのナトリウム−水ガラス溶液(Fa.Woellnerからの26重量%のSiOおよび8重量%のNaO)を減圧を用いてオートクレーブ中に吸引し、そこでは、撹拌の性能は、最初、混合物のゲル化のため短時間で減少した。次いで、水熱条件下で、得られた混合物を120℃にて117時間結晶化させた。反応混合物を室温まで冷却した後、それを濾過し、固体残渣を蒸留水で反復して洗浄し、その後、それを120℃にて16時間乾燥し、かくして、1.33kgの白色結晶性生成物を得た。該成型物は、合成で用いたAl−ベータゼオライトと比較して90%の結晶化度を示した。
水熱合成から得られた結晶性生成物の元素分析は、1.0:4.5:1のNa:Si:Alのモル比を与えた。
図2aにおいて、水熱合成から得られた洗浄されかつ乾燥された結晶性生成物が示される。特に、XRDパターンはBEA骨格構造に典型的である。
図2bにおいて、水熱合成から得られた洗浄されかつ乾燥された結晶性生成物について得られた窒素等温線が示される。特に、微多孔性固体に典型的なI型吸着等温線の階段状曲線が明らかであり、(cf.DIN 66135)、これは、ゼオライト系材料が連続微細孔を有することを示す。データの評価は、ラングミュア法による741.28m/gの等価面、および529.61m/gのBET表面積を与えた。
水熱合成から得られた100gの洗浄されかつ乾燥されたゼオライト系材料を、次いで、100mlの蒸留水に溶解させた100gの硝酸アンモニウムの溶液に加えた。次いで、3gの濃硝酸(65%)を用いて溶液のpHをpH=3に調整し、混合物を撹拌下で1時間で90℃まで加熱した。次いで、熱溶液を濾過し、ゼオライト系材料を熱蒸留水(50から60℃)で洗浄した。次いで、ゼオライト系材料を120℃で乾燥した。次いで、加熱に先立っていずれの硝酸も混合物に加えることなく該手法を反復した。というのは、pHは既に3以下となっていたからである。
イオン交換手法の第二の反復後に、ゼオライト系材料を150℃で乾燥し、その後、25重量%の蒸留水を冷却した後のゼオライト系材料に加えた。引き続いて、ゼオライト系材料を、第二の皿で被覆した磁器皿に移し、次いで、1℃/分の加熱ランプを用いて620℃まで加熱し、次いで、650℃で2時間維持して、か焼されたゼオライトを得た。
イオン交換手法および引き続いてのか焼手法を合計2回反復し、そこでは、か焼を680℃で反復して行い、かくして、合成で用いたAl−ベータゼオライトと比較して、105%の結晶化度を示す65gのベージュ色の結晶性生成物を得た。
イオン交換された結晶性生成物の元素分析は、0.005:7.1:1のNa:Si:Alのモル比を与えた。
図2cにおいて、イオン交換された生成物のXRDが示される。XRDパターンから読み取ることができるように、BEA骨格構造が依然として明らかである。さらに、イオン交換された結晶性生成物の(ノイズ除去された)H MAS NMRスペクトルが図3に示される。
実施例10
アシル化反応の触媒作用における本発明によるゼオライト系材料の活性をテストするために、前記実施例から得られた25gの試料を、各々、25ミリモルのアニソール、および2.5ミリモルの無水酢酸を含有するリアクター中に入れ、そこではアシル化反応を60℃の温度にて5時間行った。次いで、反応生成物をモノアシル化生成物である4−メトキシアセトフェノン(p−MAP)の製造に関して分析した。各試料について、ならびに参照ゼオライトベータ試料(触媒学会によって供給されたJRC−Z−HB25)について行った触媒テストからの結果を表1に示す。
表1:無水酢酸を用いてアニソールについて行ったアシル化触媒テストからの結果
Figure 0005982469

かくして、表1に示された結果から読み取れるように、脱アルミナ化手法に付された本発明によるゼオライト系材料の試料は、参照ゼオライトベータJRC−Z−HB25と比較して、4−メトキシアセトフェノンに関して収率をかなり改良された収率を示す。特に、用いる種々の試料のSi:Alのモル比から、ゼオライト系材料におけるその全値は、参照試料と比較して、本発明のゼオライトの性能についての決定因子ではなく、むしろ、ゼオライト系材料におけるその全含有量を必ずしも変化させることなくゼオライト系骨格におけるアルミニウムの配位に直接的に影響する脱アルミナ化工程であることを注記することができる。これは、それが、比較的低いSi:Alのモル比に拘わらず、実施例10で使用したテスト条件下でのアシル化反応の触媒作用において現実的には活性を示さないので、脱アルミナ化手法に付されなかった実施例1からの試料で得られた結果から特に明らかである。
特に、本発明の試料で観察された極めて予期されない挙動に影響する潜在的因子は、ゼオライト系骨格の内側および外側の異なるタイプのヒドロキシル官能性に存在し得る。かくして、例えば、図3から読み取ることができるように、実施例8の試料から得られた(ノイズ除去した)H MAS NMRスペクトルを商業的ゼオライトベータから得られたスペクトルと比較し、ゼオライト系材料に存在する異なるタイプのヒドロキシル基の出現の差は非常に顕著である。特に、双方の試料は過剰な骨格アルミニウムから生じるヒドロキシル基(0.7から0.9ppm)、単一のシラノール(1.7から1.8ppm)、および水素結合効果から生じるアルミニウムヒドロキシル(2.5から2.7ppm)を含有するが、過剰な骨格アルミニウムヒドロキシルの量は、このタイプのヒドロキシルが、全く存在としてゼロに近いほど少量で存在するに過ぎない商業的試料と比較して、本発明のゼオライト系材料においては極端に高い。図3からさらに読み取ることができるように、他方、本発明の実施例とは反対に、脱アルミナ化に付されなかった実施例1の試料から得られたH MAS NMRは、過剰な骨格アルミニウム、および単一のシラノール双方に帰属されるヒドロキシル基の非常に少量を含有するに過ぎず、他方、ブレンステッド酸性部位に帰属させることができる3.8から3.9ppmの範囲におけるシグナルが現実には圧倒的である。結果として、本発明によるBEA骨格構造を有するゼオライト系材料と、脱アルミナ化工程にまだ付されていない、比較的低いSi:Al比を有する関連ゼオライト系材料との間に、明瞭な構造的差も観察される。
実施例11
特定のアシル化反応の触媒作用における本発明によるゼオライト系材料の選択性をテストするために、無水酢酸での2−メトキシナフタレンのアシル化を行った。これを行うために、2.5mlのクロロベンゼンおよび50mgのゼオライト系材料を反応容器に入れ、その後、1gの無水酢酸および等モル量の2−メトキシナフタレンを加えた。次いで、反応混合物を24時間で100℃まで加熱し、その後、次いで、反応生成物を分析した。実施例9の本発明のゼオライト系材料および商業的ゼオライトベータ(Zeolyst InternationalからのCP814Cゼオライトベータ)を用いて行った触媒テストからの結果が表2に示される。
表2:無水酢酸を用いて2−メトキシナフタレンで行ったアシル化触媒テストからの結果
Figure 0005982469
かくして、表2に示された結果から読み取ることができるように、実施例9からの本発明のゼオライト系材料は、2−メトキシナフタレンのアシル化に関して増大した活性を示すのみではない。さらにより興味深いのは、商業的ゼオライトベータ材料を用いて観察されたものよりもほぼ3倍高い2−アセチル−6−メトキシナフタレン生成物に対する本発明の触媒の選択性である。従って、増大した活性に加えて、選択性、特に、位置選択性の高い度合が、全くではないが、非常に小さな位置選択性を示すに過ぎない商業的ゼオライト系材料と比較して、本発明によるゼオライト系材料で達成することができる。
従って、特に、化学反応および変換において触媒としてのそれらの使用に関してかなり有利な特性を備えたBEA骨格構造を有する新規なゼオライト系材料を本発明に従って提供することができることが、かなり予期せぬことに見出された。特に、驚くべきことに、そのような材料は、例えば、Alリッチなゼオライト系材料を1以上の脱アルミナ化プロセスに付すことによって供することができることが判明した。これは一層の驚きである。というのは、低いアルミニウム含有量を有するゼオライト系材料の直接的な合成は、アルミニウムリッチな材料を介するそのような材料の間接的な調製、引き続いての、その脱アルミナ化が前記にて証明されたように予期せぬ特性を有する完全に異なる材料に導き得るものとしてよく知られているからである。

Claims (34)

  1. (i)BEA骨格構造を有する1以上のゼオライト系材料を供する工程、ここにおいて、該BEA骨格構造はYOおよびXを含み、ここにおいて、Yは四価元素であって、Xは三価元素であり;
    (ii)工程(i)で供された該1以上のゼオライト系材料を、該BEA骨格構造からXの少なくとも一部を除去する手法に付す工程;
    を含み:
    工程(i)で供された該1以上のゼオライト系材料のY:Xのモル比は、各々、1から50の範囲に含まれ、ここにおいて、工程(ii)における手法に先立って、工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料に含有されたアルカリ金属原子Mの少なくとも一部がH および/またはNH で交換され、ここにおいて、イオン交換プロセスが、0から7の範囲のpHで行われ、
    及び/又は
    BEA骨格構造からXの少なくとも一部を除去するための工程(ii)における該手法が1以上の蒸気処理工程(S)を含み、ここにおいて該1以上の蒸気処理工程(S)が、200から700℃の温度で、0.1から48時間の持続時間の間に行われ、および
    ここにおいて、工程(i)で供された該1以上のゼオライト系材料は有機テンプレートを含まない合成プロセスから得られたことを特徴とする、BEA骨格構造を有するゼオライト系材料の調製方法。
  2. 工程(i)で供された該1以上のゼオライト系材料のY:Xのモル比が1.5から35の範囲に含まれる請求項1に記載の方法。
  3. YがSi、Sn、Ti、Zr、Ge、およびその2以上の組合せよりなる群から選択される請求項1または2に記載の方法。
  4. XがAl、B、In、Ga、およびその2以上の組合せよりなる群から選択される請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料がか焼されない請求項1からのいずれかに記載の方法。
  6. 工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料のDIN 66135に従って決定されたBET表面積が200から700m/gの範囲である請求項1からのいずれかに記載の方法。
  7. 該1以上のゼオライト系材料がゼオライトベータを含む請求項1からのいずれかに記載の方法。
  8. 工程(i)で供された1以上のゼオライト系材料が1以上のアルカリ金属Mを含む請求項1からのいずれかに記載の方法。
  9. M:Xのモル比が0.01から20の範囲である請求項に記載の方法。
  10. 該1以上の蒸気処理工程(S)が、5から75容量%の蒸気濃度を用いて行われる請求項1に記載の方法。
  11. 工程(ii)における該手法が、さらに、1以上の蒸気処理工程(S)から得られた1以上のゼオライト系材料を1以上の酸処理工程(A)に付すことを含む請求項から10のいずれかに記載の方法。
  12. 該1以上の酸処理工程(A)が、1以上のゼオライト系材料を、4以下のpHを有する酸性溶液と接触させることを含む請求項11に記載の方法。
  13. 該1以上の酸処理工程(A)が、1以上のゼオライト系材料を、50から100℃の温度にて酸性溶液と接触させることを含む請求項11または12に記載の方法。
  14. 該1以上の酸処理工程(A)が、1以上のゼオライト系材料を、0.25から5時間の間、酸性溶液と接触させることを含む請求項13に記載の方法。
  15. BEA骨格構造からXの少なくとも一部を除去するための工程(ii)における該手法が、1以上のか焼工程(C)を含む請求項1から14のいずれかに記載の方法。
  16. 該1以上のか焼工程(C)が、450から800℃の温度で行われる請求項15に記載の方法。
  17. 該1以上のか焼工程(C)が、0.5から10時間の範囲の時間に行われる請求項15または16に記載の方法。
  18. 工程(ii)が1回以上反復される請求項1から17のいずれかに記載の方法。
  19. 工程(ii)の該反復が、請求項17に記載された該1以上のか焼工程(C)のうちの1以上の反復を含む請求項18に記載の方法。
  20. 反復工程(ii)に先立って、該1以上のゼオライト系材料に各々が存在する非骨格イオンの少なくとも一部が1以上のカチオンおよび/またはカチオン性元素で交換される請求項18または19に記載の方法。
  21. 該非骨格イオンがXを含む請求項20に記載の方法。
  22. EA骨格構造を有するゼオライト系材料であって、
    該BEA骨格構造がYOおよびXを含み、ここにおいてYが四価元素であって、Xが三価元素であり、
    該ゼオライト系材料のH MAS NMRが:
    0.40から1.00ppmの範囲の第一のピーク(P1);
    1.40から2.00ppmの範囲の第二のピーク(P2);および
    2.30から2.90ppmの範囲の第三のピーク(P3)
    を含み、
    ここにおいて、該ゼオライト系材料のH MAS NMRにおける第一、第二および第三のピークの積分は、1:(0.5〜1.2):(0.30〜2.5)の積分値の比P1:P2:P3を与えるゼオライト系材料。
  23. 該ゼオライト系材料のH MAS NMRが、第一、第二、および/または第三のピークの積分値の100%以上の積分値を有する、3.85から3.95ppmの範囲のピークを含まない請求項22に記載のゼオライト系材料。
  24. YがSi、Sn、Ti、Zr、Ge、およびその2以上の組合せよりなる群から選択される請求項22又は23のいずれかに記載のゼオライト系材料。
  25. XがAl、B、In、Ga、およびその2以上の組合せよりなる群から選択される請求項22から24のいずれかに記載のゼオライト系材料。
  26. 該ゼオライト系材料のY:Xのモル比が、2から60の範囲に含まれる請求項22から25のいずれかに記載されたゼオライト系材料。
  27. 該ゼオライト系材料がゼオライトベータを含む請求項22から26のいずれかに記載のゼオライト系材料。
  28. 該ゼオライト系材料が少なくとも以下の反射:
    Figure 0005982469
    を含むX線回折パターンを有し、ここにおいて、100%はX線粉末回折パターンにおける最大ピークの強度に関する請求項22から27のいずれかに記載のゼオライト系材料。
  29. 該X線回折パターンが以下の反射:
    Figure 0005982469
    を含む請求項28に記載のゼオライト系材料。
  30. (a)BEA骨格構造を有する1以上のゼオライト系材料を含む触媒を供し、
    (b)1以上のアシル化された有機化合物を得るための1以上のリアクター中にて、1以上のアシル化剤の存在下で、触媒を1以上のアシル化可能な有機化合物と接触させることを含む、有機化合物をアシル化する方法であって、
    該1以上のゼオライト系材料は、請求項22から29のいずれかに記載のBEA骨格構造を有するゼオライト系材料であることを特徴とする方法。
  31. 該1以上のアシル化可能な有機化合物が1以上のアシル化可能な芳香族化合物を含む請求項30記載の方法。
  32. 該1以上のアシル化剤が式R−CO−Xの1以上の化合物を含み、ここにおいて、
    −CO−はカルボニル部位を表し;
    は直鎖状または分岐鎖状の飽和または不飽和のCからCであり;および
    Xはハロゲン、ヒドロキシル、および−O−CO−Rよりなる群から選択され、ここにおいて、RはRと同一の意味を有し、ここにおいて、RはRと同一または異なってよい請求項30または31に記載の方法。
  33. 触媒としての、請求項22から29のいずれかに記載されたBEA骨格構造を有するゼオライト系材料の使用。
  34. 触媒反応がアシル化反応である請求項33記載の使用。
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