以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部断面図である。図1に示される画像形成装置1は、いわゆるモノクロプリンター機であるが、他の実施形態において、画像形成装置は、カラープリンター、ファクシミリ装置、これらの機能を備える複合機やトナー画像をシートに形成するための他の装置であってもよい。尚、以下の説明で用いられる「上」や「下」、「前」や「後」、「左」や「右」といった方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、画像形成装置の原理を何ら限定するものではない。また、以下の説明において、「シート」との用語は、コピー用紙、コート紙、OHPシート、厚紙、葉書、トレーシングペーパーや画像形成処理を受ける他のシート材料或いは画像形成処理以外の任意の処理を受けるシート材料を意味する。
画像形成装置1は、略直方体形状の主筐体2を含む。主筐体2は、略直方体形状の下部筐体21と、下部筐体21の上方に配設される略直方体形状の上部筐体22と、下部筐体21と上部筐体22とを連結する連結筐体23とを含む。連結筐体23は、主筐体2の右縁及び背面縁に沿って延びる。下部筐体21、上部筐体22及び連結筐体23で囲まれる排出空間24に印刷処理が施与されたシートが排出される。特に、本実施形態では、下部筐体21の上面部に配置された排紙部241、および排紙部241の上方に配置される排紙トレイ242に、シートが排紙される。
上部筐体22の正面方向に配置される操作部221は、例えば、LCDタッチパネル222を含む。操作部221は、画像形成処理に関する情報を入力可能に形成される。使用者は、例えば、LCDタッチパネル222を通じて、印刷されるシートの枚数等を入力したり、印刷濃度等を入力したりすることができる。上部筐体22内には、主に原稿の画像を読み取るための機器や画像形成装置1の全体の制御を司る電子回路が収容される。
上部筐体22の上に配設される押さえカバー223は、原稿を押さえるために用いられる。押さえカバー223は、上部筐体22に上下に回動可能に取り付けられる。使用者は、押さえカバー223を上方に回動させ、上部筐体22上に原稿を載置する。その後、使用者は操作部221を操作して、原稿の画像を上部筐体22内に配設された機器に読み取らせることができる。また、押さえカバー223は、上部筐体22の上面部に配置された原稿載置台(不図示)に原稿を搬送する自動原稿搬送装置の一部からなる。
下部筐体21の右側面には、手差トレイ240が配設される。手差トレイ240は、下端240Aを支点として、上端240B側が上下に回動可能である。手差トレイ240が下方に回動され、手差トレイ240が下部筐体21の右方に突出する位置にあるとき、ユーザーは手差トレイ240上にシートを載置可能である。手差トレイ240上のシートは、操作部221を通じてユーザーによって入力された指示に基づき、下部筐体21内に引き込まれた後、画像形成処理を施与され、排出空間24へ排出される。
画像形成装置1は、カセット110と、給紙部11と、第2給紙ローラー114と、レジストローラー対116と、画像形成部120とを備える。給紙部11は、ピックアップローラー112と、第1給紙ローラー113と、を備える。給紙部11は、シート搬送路PPにシートPを送り出す。シート搬送路PPは、給紙部11から、レジストローラー対116を介して、画像形成部120内に配設された転写位置TPを通過した後、排出空間24に至るように配設された搬送路である。
カセット110は、内部にシートPを収容する。カセット110は、下部筐体21から正面方向(図1の紙面手前方向)に引出可能である。カセット110内に収容されたシートPは、下部筐体21内で上方に送り出される。その後、シートPは、操作部221を通じて使用者によって入力された指示に基づき、下部筐体21内で画像形成処理を施与され、排出空間24へ排出される。カセット110は、シートPを支持するリフト板111を備える。リフト板111は、シートPの先頭縁を上方に押し上げるように傾斜する。
ピックアップローラー112は、リフト板111によって上方に押し上げられたシートPの先頭縁上に配置される。ピックアップローラー112が回転すると、シートPはカセット110から引き出される。
第1給紙ローラー113は、ピックアップローラー112のシート搬送方向下流側に配設される。第1給紙ローラー113は、シートPを更にシート搬送方向の下流側に送り出す。第2給紙ローラー114は、手差しトレイ240の下端240Aの内側に配設される。第2給紙ローラー114は、手差トレイ240上のシートPを下部筐体21内に搬送する。使用者は、カセット110に収容されたシートP、または手差トレイ240の上に載置されたシートPを選択的に使用することができる。
レジストローラー対116は、シート搬送方向と直交する方向のシートの位置を規定する。これにより、シートP上に形成される画像の位置が調整される。レジストローラー対116は、ローラー間にニップ部を形成する。レジストローラー対116は、画像形成部120において、シートPにトナー画像が転写されるタイミングに合わせて、シートPを画像形成部120に搬送する。また、レジストローラー対116は、シートPの斜行(スキュー)を補正する機能を備える。
画像形成部120は、感光体ドラム121と、帯電器122と、露光装置123と、現像装置124と、トナーコンテナ125と、転写ローラー126と、クリーニング装置127と、を備える。
感光体ドラム121は、円筒体の形状を有する。感光体ドラム121は、周面に静電潜像が形成されるとともに、該静電潜像に応じたトナー画像を担持する。
帯電器122は、所定の電圧が印加され、感光体ドラム121の周面を略一様に帯電させる。露光装置123は、帯電器122によって帯電された感光体ドラム121の周面に、レーザー光を照射する。該レーザー光は、画像形成装置1に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータといった外部装置(図示せず)から出力された画像データに従って、照射される。この結果、感光体ドラム121の周面には、画像データに対応する静電潜像が形成される。
現像装置124は、静電潜像が形成された感光体ドラム121の周面にトナーを供給する。トナーコンテナ125は、現像装置124へトナーを供給する。現像装置124がトナーを感光体ドラム121に供給すると、感光体ドラム121の周面に形成された静電潜像が現像(可視化)される。この結果、感光体ドラム121の周面に、トナー画像が形成されることとなる。現像装置は、周面にトナーを担持する現像ローラー124Aを備える。現像ローラー124Aは、現像位置において、感光体ドラム121に対向して配置される。現像ローラー124Aは、回転駆動され、感光体ドラム121にトナーを供給する。
転写ローラー126は、転写位置TPにおいて、感光体ドラム121の周面に対向して配設される。転写ローラー126は、転写位置TPにおいて、感光体ドラム121と同方向に回転駆動される。転写位置TPにおいて、感光体ドラム121の周面に形成されたトナー画像が、シートPに転写される。
クリーニング装置127は、シートPへトナー画像が転写された後に、感光体ドラム121の周面に残るトナーを除去する。クリーニング装置127によって、清浄化された感光体ドラム121の周面は、再度、帯電器122の下方を通過し、一様に帯電される。その後、上述のトナー画像の形成が新たに行われる。
画像形成装置1は、画像形成部120よりも搬送方向下流側に、トナー画像が形成されたシートPに定着処理を施す定着装置130を更に備える。定着装置130は、シートP上のトナーを溶融させる定着ローラー131(定着部材)と、シートPを定着ローラー131に密着させる加圧ローラー132(加圧部材)と、を備える。シートPが定着ローラー131と加圧ローラー132との間を通過すると、トナー画像はシートPに定着される。
画像形成装置1は、定着装置130の下流に配設された搬送ローラー対133と、搬送ローラー対133の下流に配設された切り替え部70と、下排出ローラー対134と、上排出ローラー対135と、を更に備える。搬送ローラー対133は、定着装置130によって、定着処理が施されたシートPを、シート搬送方向下流側に搬送する。切り替え部70は、搬送ローラー対133のシート搬送方向下流側において、シートPの搬送方向を切り替える機能を備える。下排出ローラー対134は、切り替え部70の左方に配置され、搬送ローラー対133によって搬送されたシートPを、排紙部241に排出する。上排出ローラー対135は、下排出ローラー対134の上方に配置され、搬送ローラー対133によって搬送されたシートPを、排紙部241の上方に装着された排紙トレイ242に排出する。また、上排出ローラー対135は、その回転方向が反転されることによって、シートPを反転搬送路PRに搬送する。反転搬送路PRに搬送されたシートPは、再び画像形成部120に向かって搬送され、シートPの裏面に画像が形成される。
次に、図1に加え、図2および図3を参照して、本実施形態に係る定着装置130について説明する。図2は、本実施形態に係る定着装置130の断面図である。図2は、定着装置130の定着ローラー131の軸方向と直交する断面における断面図である。図3は、本実施形態に係る定着装置130において、シートPに加わる力を説明するための模式的な底面図である。なお、定着装置130は、各部材を支持する不図示のハウジングを備える。
定着ローラー131は、例えば、熱伝導性に優れたアルミニウムや鉄等の金属で形成される円筒状部材と、この円筒状部材の表面を被覆するコーティング層(例えば、フッ素樹脂層)と、によって構成される。定着ローラー131の内部空間には、例えばハロゲンヒーターやセラミックヒーター等によって構成される不図示のヒーターが収容されている。このヒーターは、通電によって発熱し、定着ローラー31を加熱するように構成されている。定着ローラー131は、第1周面131Aと、定着ローラー軸131Bとを備える。第1周面131Aは、シートPの第1のシート面P1(図2)に接触する周面である。シートPの第1のシート面P1には、画像形成部120においてトナー像が形成される。定着ローラー軸131Bは、定着ローラー131の回転における回転軸となる。
加圧ローラー132は、例えば、合成樹脂、金属等によって形成される円筒形状の基材層と、シリコンゴム等によって形成されて上記基材層に周設される弾性層と、フッ素樹脂等によって形成されて上記弾性層を被覆するコーティング層と、により構成される。加圧ローラー132は、第2周面132Aを備える。加圧ローラー132は、付勢機構(不図示)の付勢力によって定着ローラー131の第1周面131Aに対して所定の荷重をもって押圧される。この結果、定着ローラー131と加圧ローラー132との間には、シートPが通過する定着ニップ部Nが形成される。なお、加圧ローラー132の第2周面132Aは、前述の第1のシート面P1とは反対側の第2のシート面P2(図2)に接触する。
加圧ローラー132は不図示の駆動機構によって、図2の矢印D22方向に回転駆動される。そして、定着ローラー131は、加圧ローラー132の回転に従動して回転する(図2の矢印D21)。なお、他の実施形態において、定着ローラー131が不図示の駆動機構によって回転駆動され、加圧ローラー132が定着ローラー131の回転に従動して回転する態様であってもよい。
図3を参照して、本実施形態では、定着ローラー131の第1周面131Aは、定着ローラー軸131Bの軸方向(前後方向)の中央部の外径が、前記軸方向の両端部の外径よりも小径の逆クラウン形状からなる。詳しくは、本実施形態では、一例として、定着ローラー131の軸方向の中央部の外径は、24.82mmであり、両端部の外径は、24.92mmである。また、定着ローラー131の軸方向の長さ(コーティング層)は226mmである。そして、定着ローラー131の軸方向端部の外径と、定着ローラー131の軸方向中央部の外径との差は0.1mm±0.02mmの範囲に設定されている。一方、加圧ローラー132の第2周面132Aは、前記軸方向に沿ったストレート形状からなる。詳しくは、本実施形態では、加圧ローラー132の外径は、23mmである。また、加圧ローラー132の軸方向の長さは216mmである。なお、図3では、加圧ローラー132が定着ローラー131に押圧される様子を示すために、第2周面132Aが第1周面131Aにオーバーラップした状態で示されている。実際には、定着ローラー131の第1周面131Aに沿うように、加圧ローラー132の第2周面132Aが圧縮変形されている。換言すれば、定着ニップ部Nは第1周面131Aの逆クラウン形状に沿った形状からなる。なお、シート搬送方向に沿った定着ニップ部Nのニップ幅は、シート幅方向の両端部では4mm、中央部では2.7mmに設定されている。
前述のように、定着ローラー131および加圧ローラー132が図2の矢印D21およびD22方向に回転されると、シートPが定着ニップ部Nを通過するように搬送される。定着ローラー131の第1周面131Aが上記のように逆クラウン形状からなる場合、第1周面131Aの軸方向の中央部の周速よりも第1周面131Aの軸方向の端部の周速の方が速くなる。この結果、図3に示すように、定着ニップ部Nを通過するシートPの軸方向(前後方向)の両端部が外側に向かって引っ張られながら、シートPが搬送される(図3の矢印D31)。この結果、給紙ニップ部NにおいてシートPの軸方向全体に亘って安定したニップ幅が形成される。
しかしながら、定着ニップ部Nよりも搬送方向(図3の矢印DP)上流側のシートPの定着ニップ部Nに向かう姿勢が不安定となると、上記のようにシートPの軸方向外側に引っ張られながら搬送される挙動が妨げられてしまう。この結果、紙しわ、シートPの後端部における跳ね、および後記のミミズ状の画像欠陥などが生じることがあった。
上記のような課題を解決するために、本実施形態では、定着装置130がシートガイド5(ガイド部材)を備える。次に、図2、図3に加え、図4乃至図8を参照して、シートガイド5について詳述する。図4および図5は、本実施形態に係るシートガイド5の斜視図である。図6は、本実施形態に係るシートガイド5の断面図である。図6では、シートガイド5を、定着ローラー軸131B(図2)と直交する断面で見た断面図である。図7は、本実施形態に係るシートガイド5を後記の第1ガイド面51と垂直な方向から見た図である。図8は、シートガイド5を後記の第2ガイド面52に沿う方向から見た図である。
図5に示すように、シートガイド5は前方から見て、略三角形状の部材であり、前後方向に延伸される板状部材である。シートガイド5は樹脂成型によって成形される。図2に示すように、シートガイド5は、定着ニップ部Nの下方において、定着ローラー131の第1周面131Aに対して所定の間隔をおいて配置されている。シートガイド5は、シートPを定着ローラー131の第1周面131Aに当接させた後、定着ニップ部Nに案内する機能を備える。
シートガイド5は、導入ガイド面50と、切欠き部501(図5)と、案内リブ502(図5)と、第1ガイド面51と、第2ガイド面52と、第3ガイド面53と、装着片5Sと、を備える。
図6を参照して、導入ガイド面50は、シートガイド5の左方かつ下方に配置されるガイド面である。導入ガイド面50は、シートガイド5のうち、定着装置130に向かって搬送されたシートPが最初に接触するガイド面である。切欠き部501は、導入ガイド面50の下端部の一部が上方に向かって切り欠かれた切欠き部である。切欠き部501は、シート幅方向(前後方向)に間隔をおいて複数配置されている。なお、複数の切欠き部501には、定着装置130よりもシート搬送方向上流側(下方)のシート搬送路に配置された複数のガイドリブ(不図示)が挿入される。このように、ガイドリブが導入ガイド面50の一部に進入するように配置されることで、前記シート搬送路からシートガイド5へのシートPの受け渡しが安定して実現される。更に、案内リブ502は、導入ガイド面50において、シート搬送方向に沿って配置されたリブ部材である。案内リブ502は、前後方向に間隔をおいて複数配置されている。案内リブ502は、シート幅方向において切欠き部501を挟むように配置されている。案内リブ502は、導入ガイド面50から第1ガイド面51にシートPを案内する。
第1ガイド面51は、導入ガイド面50の上方に連設されるガイド面である。図6に示すように、第1ガイド面51は、導入ガイド面50に対して僅かに交差するように配置されている。図2に示すように、第1ガイド面51は、定着ニップ部Nよりも定着ローラー131の回転方向(図2の矢印D21)上流側の第1周面131Aに向かって延設されている。第1ガイド面51は、シートPを第1周面131Aに向かって案内する。第1ガイド面51は、第1端縁511を備える(図4乃至図8)。第1端縁511は、第1ガイド面51のうち、第1周面131Aに対向して配置される端縁である。第1端縁511は、後記のとおり円弧形状からなる。
第2ガイド面52は、第1ガイド面51よりも定着ローラー131の回転方向下流側で、第1端縁511において第1ガイド面51と交差するように第1ガイド面51に連設されるガイド面である。なお、後記のように第2ガイド面52は、第1端縁511の前記軸方向(シート幅方向)の中央部である中央連設部5C(図4、図5および図7)において、第1ガイド面51に連設されている。また、図2に示すように、第2ガイド面52は、第1周面131Aに沿って配置される。更に、第2ガイド面52は、加圧ローラー132の第2周面132Aに向かって延設されている。また、第2ガイド面52は、第1ガイド面51から定着ニップ部N側に進入するように配置されている。
第3ガイド面53は、シートガイド5のシート幅方向の両端部において、第1ガイド面51と第2ガイド面52とを連設させる一対のガイド面である。各第3ガイド面53は、前述の中央連設部5C側を頂点とした略二等辺三角形形状からなる。第3ガイド面53の底辺は、シートガイド5の前後方向の端縁の一部から構成される。第3ガイド面53の一辺は、第1端縁511の一部から構成される。また、第3ガイド面53の他辺は、第2ガイド面52と第3ガイド面53との境界線である。前記境界線が、第2端縁531と定義される。
なお、シートガイド5の形状について付言すると、図6を参照して、導入ガイド面50は、シートガイド5のシート搬送方向(矢印DP)の上流側において、上方に向かって僅かに左方に傾斜して配置されている。第1ガイド面51は、導入ガイド面50に連設され、上方に向かって導入ガイド面50よりも左方に傾斜して配置されている。シートガイド5のシート幅方向の中央部では、第1端縁511においてシートガイド5のガイド面が右方かつ上方に向かって屈曲され、第2ガイド面52が形成されている。第2ガイド面52の下方の端縁は、中央連設部5Cからシート幅方向の両端部に向かって先上がりに形成された第2端縁531によって画定されている。一方、シートガイド5のシート幅方向の両端部では、第1ガイド面51の第1端縁511に対して、第2ガイド面52の下方の端縁(第2端縁531)が上方に所定の間隔をおいて配置されている。そして、この第1端縁511と第2端縁531との間を埋めるように、一対の第3ガイド面53が配置されている。
装着片5Sは、シートガイド5のシート幅方向の両端部から右方に向かって突設されるフックである。装着片5Sは、定着装置130の不図示のハウジングに開口された開口部に装着される。この結果、前記ハウジングにシートガイド5が固定される。
次に、定着装置130にシートガイド5が装着された場合の第1ガイド面51、第2ガイド面52および第3ガイド面53の形状および位置関係について、更に詳述する。前述のように、図7は、シートガイド5を第1ガイド面51と直交する方向(図6の矢印E1)から見た図である。図7において、第1ガイド面51の第1端縁511は、定着ローラー131の軸方向(シート幅方向)の中央部が前記軸方向の両端部よりも定着ローラー131の回転方向(図2の矢印D21)下流側に突出して配置される第1円弧形状RAからなる。本実施形態では、第1円弧形状RAの曲率半径は、2000mm以上4000mm以下に設定される。また、より好ましくは、第1円弧形状RAの曲率半径は、2800mm以上3000mm以下に設定される。
一方、図8は、定着ローラー131の回転方向上流側から第2ガイド面52を第2ガイド面52に沿う方向(図6の矢印E2)から見た図である。この場合、第2ガイド面52は1本の稜線として視認される。そして、第2ガイド面52は、定着ローラー131の軸方向の中央部が前記軸方向の両端部よりも第1周面131Aに近接して配置され(図2および図6)、かつ、前記第1円弧形状RAよりも曲率半径が大きい第2円弧形状RBからなる曲面である(図8)。本実施形態では、第2円弧形状RBの曲率半径は、5000mm以上に設定され、より好ましくは、10000mm以上に設定される。なお、他の実施形態において、図8のように定着ローラー131の回転方向上流側から第2ガイド面52を第2ガイド面52に沿う方向(図6の矢印E2)から見た場合、第2ガイド面52は直線的に視認される平面であってもよい。
更に、前述のように第3ガイド面53は、第1ガイド面51のシート幅方向(定着ローラー131の軸方向)の両端部と、第2ガイド面52の前記シート幅方向の両端部とをシートPの搬送方向に沿って連設させるガイド面である。そして、図6に示すように、前記軸方向と交差する断面視で見た場合、第1端縁511の前記軸方向の中央部(中央連設部5C)において第1ガイド面51と第2ガイド面52とがなす角度θ1よりも、第1端縁511の前記軸方向の両端部において第1ガイド面51と第3ガイド面53とがなす角度θ2の方が小さくなるように、第3ガイド面53が配置されている。
<第1ガイド面51の作用について>
次に、本実施形態に係るシートガイド5の作用について説明する。図2を参照して、シートガイド5の導入ガイド面50に搬入されたシートPは、第1ガイド面51に案内されながら(図2の矢印DP1)、定着ローラー131の第1周面131A(図2の位置FP)に当接した後、第1周面131Aに沿いながら(図2の矢印DP2)、定着ニップ部Nに案内される。その後、シートPは、定着ニップ部Nから搬出される(図2の矢印DP3)。このように、シートPが定着ローラー131の第1周面131Aに沿って定着ニップ部Nに進入することによって、予め、シートPおよびシートP上のトナー画像に定着ローラー131から熱が供給される(プレ加熱)。この結果、シートPに対するトナー画像の定着性能が向上される。なお、第1ガイド面51を定着ローラー131の第1周面131Aに向かって延長した延長線(不図示)と第1周面131Aとの交点における第1周面131Aの接線と、前記延長線とがなす角度は、63度に設定されている。ここで、前記接線とは、前記交点から定着ローラー131の回転方向上流側に向かって引いた接線である。なお、前記接線と前記延長線とがなす角度は、50度から75度の範囲に設定されてもよい。
なお、図2では、位置FPよりも下流側において、シートPが第1周面131A上を搬送される様子を実線にて示している。しかしながら、シートPの先端部が給紙ニップ部Nに進入した後は、シートPのシート面は僅かに浮き上がり、図2の破線で示したように搬送される。換言すれば、この場合、シートガイド5のうち、シートPのシート面が最後に接触する部分は、第1ガイド面51の第1端縁511である。したがって、第1端縁511の形状によって、シートPのシート面が定着ニップ部Nに向かう際の姿勢が決定されることとなる。
前述のように、定着ローラー131が逆クラウン形状からなるため、シートPのシート幅方向の両端部が外側に引っ張られながら、シートPが定着ニップ部Nを搬送される(定着ローラー131によるシートPの腰付け)。本実施形態では、第1ガイド面51の第1端縁511の中央部が両端部よりもシート搬送方向に向かって突出した第1円弧形状RAからなる。このため、定着ニップ部Nよりもシート搬送方向上流側では、第1端縁511の中央部がシートPのシート幅方向の中央部を支えながら、第1端縁511の両端部が定着ニップ部Nにおける上記のシートPの両端部の挙動をアシストすることができる。換言すれば、仮に、第1端縁511がシート幅方向に沿って直線的に延設された場合、あるいは、第1端縁511の第1円弧形状RAの曲率半径が5000mm以上に大きく設定された場合、第1端縁511の両端部が、上記の定着ニップ部NにおけるシートPの挙動を阻害してしまう。この結果、定着ニップ部NにおいてシートPに不安定な力が付与され、紙しわ、シートPの後端の跳ね、およびミミズ状の画像欠陥が生じやすくなる。
なお、ミミズ状の画像欠陥とは、定着ニップ部Nに進入する直前で、シートP上のトナー画像が部分的にずれた結果、定着画像上で発生する画像欠陥であり、ミミズが這った痕跡のように画像が乱れる欠陥である。シートPの挙動はシート幅方向に沿って直線的に延設された第1端縁(不図示)によって規制される一方、シートP上のトナー画像には、定着ローラー131の逆クラウン形状によってシート幅方向に移動するような移動力が働いた場合に、トナー画像のスリップが生じ、上記の現象が発生しやすい。
本実施形態では、前述のように、第1ガイド面51の第1円弧形状RAの曲率半径は、2000mm以上4000mm以下に設定される。また、より好ましくは、第1円弧形状RAの曲率半径は、2800mm以上3000mm以下に設定される。このため、第1端縁511が定着ニップ部Nの上流側でシートPの姿勢(撓み)を安定して維持することができるため、定着ニップ部NにおけるシートPの挙動が阻害されることなく、シートPに対して安定した定着処理が施される。特に、第1円弧形状RAの曲率半径が2000mm以上に設定されることによって、シートPに過剰な撓みが形成されることが抑止される。この結果、シートPがスムーズに定着ニップ部Nに進入することができる。一方、第1円弧形状RAの曲率半径が4000mm以下に設定されることによって、第1端縁511においてシートPがシート幅方向に沿って直線的に規制されることが抑止される。この結果、シート幅方向に沿って好適な撓み形状を備えた状態で、シートPが定着ニップ部Nに進入することができる。
<第2ガイド面52の作用について>
次に、シートガイド5の第2ガイド面52の作用について説明する。図9は、本実施形態に係るシートガイド5と比較される他のシートガイド5Xを備える定着装置130Xにおいて、シートPの挙動を説明するための模式的な断面図である。定着装置130Xは、定着ローラー131Xと、加圧ローラー132Xと、シートガイド5Xと、を備える。シートガイド5Xは、本実施形態に係るシートガイド5と比較して、第2ガイド面52および第3ガイド面53を備えない点で相違する。図9を参照して、定着ローラー131Xと加圧ローラー132Xとの間に、定着ニップ部NXが形成される。定着ローラー131Xおよび加圧ローラー132Xが回転され(矢印D81、D82)、シートPが、図9の矢印D83で示すように、シートガイド5Xの第1ガイド面51Xにガイドされながら、定着ニップ部NXを通過する。やがて、シートPの後端部が、第1ガイド面51Xから脱離すると、定着ニップ部NXにおいてシートPに付与される腰付けによって、シートPの後端部が加圧ローラー132X側に強く移動される(図9の矢印D84)。この際、シートPが受ける衝撃によって、定着ニップ部NXの入口側の境界部分においてシートP上のトナーが散り、トナー画像上に、シート幅方向に沿った筋が発生する場合があった。あるいは、定着ニップ部Nに至る直前で、トナー画像に画像擦れが生じる場合や、手裏剣状の画像欠陥が生じる場合があった。
一方、本実施形態では、図2および図6に示すように、第1ガイド面51よりも下流側には、第2ガイド面52が配置されている。第2ガイド面52は、シートPの後端部が第1端縁511を通過した後、定着ローラー131の第1周面131Aに沿って前記後端部をガイドする機能を備える。このため、上記のようにシートPの後端部が加圧ローラー132側に跳ねることによって生じる画像欠陥が防止される。また、上記のように、シートPの後端部が定着ローラー131の第1周面131Aに近接した状態で、定着ニップ部Nに搬入される。この結果、シートPの後端部においても、予め、シートPおよびシートP上のトナー画像に定着ローラー131から熱が供給される(プレ加熱)。この結果、シートPに対するトナー画像の定着性能がシート搬送方向全域において向上される。
なお、上記のようなシートPの後端部の跳ねをシート幅方向全体に亘って防止するためには、第2ガイド面52の第2円弧形状RBの曲率半径は比較的大きく設定されることが望ましい。すなわち、前述のように、第1ガイド面51のうちシートPが最後に接触する部分が第1端縁511である。そして、第1端縁511の第1円弧形状RAは、比較的曲率半径が小さく設定されている(2000mm以上4000mm以下)。しかしながら、第2ガイド面52の第2円弧形状RBの曲率半径が第1円弧形状RAと同等に設定されると、シートPのシート幅方向の両端部の跳ねを抑止することが困難となる。このため、本実施形態では、第2ガイド面52は、第1円弧形状RAよりも曲率半径が大きい第2円弧形状RBからなる曲面とされる。また、このように第2円弧形状RBの曲率半径が大きく設定されることによって、シートPのシート幅方向の中央部(第1端縁511の中央連設部5C付近を通過する領域)だけが、定着ローラー131の第1周面131Aに近接することが防止される。換言すれば、シートPのシート幅方向の全域が安定して定着ローラー131の第1周面131Aに近接しながら、給紙ニップ部Nに搬入される。したがって、前述のプレ加熱が安定して実現される。なお、定着ローラー131の回転方向上流側から第2ガイド面52を第2ガイド面52に沿う方向(図6の矢印E2)から見た場合、第2ガイド面52は平面であってもよい。この場合であっても、第1端縁511を通過したシートPの後端部の跳ねが、シート幅方向全域において防止されるとともに、プレ加熱が安定して実現され、シートPの定着性能が向上される。
このように、本実施形態では、シートPの先端側を定着ローラー131から定着ニップ部Nに案内する第1ガイド面51の第1端縁511の第1円弧形状RAの曲率半径は、比較的小さく設定されている。一方、シートPの後端部が第1端縁511を通過した後、前記後端部を支える第2ガイド面52の第2円弧形状RBの曲率半径は、第1円弧形状RAの曲率半径よりも大きく設定されている。この結果、シートPの先端部が定着ニップ部Nに搬入された後、シートPの後端部が第1端縁511を通過するまでの間は、定着ローラー131の逆クラウン形状に基づくシートPの姿勢が安定して維持される。一方、シートPの後端部が第1端縁511を通過した後は、前記後端部が加圧ローラー132側に跳ねあがることが安定して防止される。
<第3ガイド面53の作用について>
更に、前述のとおり、第1ガイド面51と第2ガイド面52とは中央連設部5Cにおいて連設されている。一方、シート幅方向において第1ガイド面51および第2ガイド面52の両端部は、第3ガイド面53によって連設されている。図6を参照して、第1端縁511の前記軸方向の中央部において第1ガイド面51と第2ガイド面52とがなす角度θ1よりも、第1端縁511の前記軸方向の両端部において第1ガイド面51と第3ガイド面53とがなす角度θ2の方が大きく設定されている。本実施形態では、角度θ1は116度に設定され、角度θ2は137度に設定されている。上記について換言すれば、第1端縁511の前記軸方向の中央部において、第1ガイド面51を延長させた面と第2ガイド面52とがなす角度よりも、第1端縁511の前記軸方向の両端部において、第1ガイド面51を延長させた面と第3ガイド面53とがなす角度の方が小さく設定されている。第1端縁511の中央連設部5Cは、第1端縁511の両端部よりもシート搬送方向下流側に突出している。
そして、第1端縁511の第1円弧形状RAは、比較的曲率半径が小さく設定されている(2000mm以上4000mm以下)。また、第2ガイド面52の第2円弧形状RBの曲率半径は、5000mm以上に設定されている。このため、シートPの後端部が第1端縁511を通過した際、前記後端部のうちシート幅方向の両端部は、第1円弧形状RAから第2円弧形状RBに沿って移動する。この際、上記のように、第3ガイド面53が第2ガイド面52よりも緩やかな角度をもって第1ガイド面51と交差しているため、シートPのシート幅方向の両端部が、第1ガイド面51から第2ガイド面52にスムーズに受け渡たされる。この結果、シートPの後端部のトナーの散りが一層防止されるともに、シートPの定着性能が更に安定して維持される。
上記の作用について換言すれば、シートPの後端部が第1端縁511から離脱する際に、シートPのシート幅方向の中央部に対して両端部が遅れることがないよう、第3ガイド面53がシートPの搬送をアシストすることが可能となる。このように、本実施形態では、シートPの後端部が第1ガイド面51の第1端縁511から脱離した後に生じやすいシートPの後端部における課題を、第2ガイド面52および第3ガイド面53が解決する。
一方、上記のように、第1ガイド面51と第2ガイド面52とは中央連設部5Cにおいて連設されている。このため、シートPの後端部のうちシート幅方向の中央部が、第1ガイド面51から第2ガイド面52にスムーズに受け渡される。したがって、前述のシートPの後端部の跳ねがシート幅方向の中央部を起点として確実に抑制される。
以上、本発明の実施形態に係る定着装置130、およびこれを備えた画像形成装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
(1)上記の実施形態では、シートガイド5が、第1ガイド面51および第2ガイド面52に加え、第3ガイド面53を備える態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。シートガイド5は、第1ガイド面51および第2ガイド面52を備えるものであればよい。この場合、第3ガイド面53に相当する領域は、第1ガイド面51または第2ガイド面52の一部が湾曲されることで補われてもよい。
(2)また、上記の実施形態では、第2ガイド面52が第2円弧形状RBを備える曲面からなる態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。前述のように、第2ガイド面52は平面からなる態様でもよい。この場合、中央連設部5Cおよび第2端縁531は湾曲した稜線からなり、第1ガイド面51および第3ガイド面53と第2ガイド面52とを連設してもよい。
(3)また、上記の実施形態では、定着部材として定着ローラー131、加圧部材として加圧ローラー132を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記の各部材は、周回移動するベルト部材および該ベルト部材を他方の部材に向かって押圧する押圧パッドなどから構成されるものでもよい。