JP5980762B2 - 使用済みのMgO−C煉瓦屑及び使用済みのアルミナマグネシア質の不定形耐火物屑を利用した不定形耐火物 - Google Patents
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Description
特許文献1には、分子量20000〜100000のスルホン化メラミン重縮合物が0.001〜0.1質量%添加され、粒度10〜40mmである耐火性粗大粒が50%以下添加された流し込み用施工用不定形耐火物が開示されている。
まず、特許文献1では、例えば、Al2O3/MgO比が適正でないため、熱の急激な変動が発生すると耐火物の剥離・脱落が生じる虞があった。また、耐火物を構成する原料の粒径が大き過ぎるために耐火物の内部に空隙が生じたり、亀裂(剥離脱落)が発生する虞があった。また、特許文献2では、耐火物の最大粒径を規定しているものの、その粒径が10mmと比較的小さいことから、剥離・脱落の抑制効果が低下してしまうことがあった。
すなわち、本発明にかかる不定形耐火物は、混銑車の炉口に施工される不定形耐火物であって、使用済みのMgO−C煉瓦を粉砕することで粒径が16mm以上31.5mm以下に構成した粗大粒と、使用済みのアルミナマグネシア質の不定形耐火物を粉砕すると共
に未使用のアルミナ原料を加えることで構成した粒径が0.2mm以上5mm以下である中粒と、粒径が0.2mm未満である微粒とで構成され、前記粗大粒は、MgO−Cの成分で主構成されるものであり、前記MgO−Cの含有量は、粗大粒と中粒と微粒と合わせた全質量に対して24質量%以上34質量%以下でとされ、前記中粒は、Al 2 O 3 が主成分、MgOが副成分で構成され、前記Al 2 O 3 の含有量は、全質量に対して15質量%以上27質量%以下とされ、前記MgOの含有量は、2質量%以下とされていて、前記微粒は、Al 2 O 3 が主成分、MgO,SiO 2 及びCaOが副成分で構成され、前記Al 2 O 3 の含有量は、全質量に対して33質量%以上38質量%以下とされ、前記MgOの含有量は、3質量%以上8質量%以下とされ、前記SiO 2 の含有量は、1質量%以下とされ、前記CaOの含有量は、0.5質量%以上5質量%以下とされていて、全質量でのMgOに対するAl2O3の質量比は1.5以上3.0であり、微粒に対する粗大粒の質量比は0.46以上0.67以下であることを特徴とする。
本発明のマグカーボンを利用した不定形耐火物は、溶銑(銑鉄)を運搬する混銑車に施工されるものであって、特に、混銑車の炉口に施工されるものである。
図1及び図2に示すように、混銑車1は、例えば、高炉から出銑した溶銑を脱りん炉や脱炭炉(転炉)等が設置されている精錬処理工場に搬送するものである。この混銑車1は、溶銑を一時的に貯留するための容器2と、この容器2を搬送するための搬送装置3とを備えている。
混銑車1の内部には、当該混銑車1の外側を構成する鉄皮を溶銑から保護するために耐火物が施工されているが、特に、炉口7の周囲は形状が複雑なために、当該炉口7の周囲にはキャスタブルからなる不定形耐火物8が施工されている。また、混銑車1の内部には、レンガ等の定形耐火物9が施工されている。不定形耐火物8は、予めミキサーに不定形耐火物8の原料を入れ、所定量の水と混合することにより構成する。不定形耐火物8の施工は、混合後の流動性のある原料を炉口7の周辺に設置した型枠に流し込むことにより行う。
本発明では、不定形耐火物の元である原料の大きさや成分等を適正にすることにより、剥離・脱落を抑制された不定形耐火物を構成することとしている。以下、本発明の不定形耐火物について詳しく説明する。
粗大粒は、キャスタブル耐火物の骨格をなすものであるが、当該粗大粒の粒径が16mm未満であると、剥離・脱落が発生し易くなる。一方、粗大粒の粒径が31.5mmを超えると、キャスタブル耐火物を構成したときに内部に空隙が生じやすくなり、施工後の強度が低下する虞がある。つまり、キャスタブル耐火物を構成したときに内部に空隙が生じると強度が低下して、剥離・脱落し易くなる。ゆえに、粗大粒の粒径は、16mm以上31.5mm以下としている。
MgO−Cを主成分とするMgO−C煉瓦は、他の一般的な原料(原料)と比べて熱を受けたときの膨張量が多くなる性質がある。それゆえ、MgO−Cの添加量(成分量)が多い場合、膨張に起因して剥離・脱落が生じやすくなる。具体的には、粗大粒において、MgO−Cの量が全質量に対して34質量%以上である場合、含まれる量が多すぎることから剥離・脱落が生じ易くなる。
中粒は、使用済みのアルミナマグネシア質の不定形耐火物を粉砕した粉砕物と、未使用のアルミナ原料とを加えることによって構成したものである。
また、未使用のアルミナ原料、即ち、ヴァージン原料を用意する。詳しくは、粒径が0.2mm〜1.0mmであるアルミナのヴァージン原料を用意して、このヴァージン原料と上述した粉砕物とを合わせて中粒を構成する。アルミナのヴァージン原料のことを「ヴァージンアルミナ」という。
なお、粒径が0.2mm〜1.0mmである細粒にヴァージン原料ではなく、アルミナマグネシア質の不定形耐火物の屑を用いた場合、例えば、SiO2やCaOといったスラグ由来の成分が混在しやすく、熱の影響を受けて耐火物が焼き固まり易くなり、急激な温度変化にともなって割れることがあるため、粒径が0.2mm〜1.0mmである範囲では、ヴァージン原料を用いることが望ましく、特に、ヴァージンアルミナを用いることが望ましい。
したがって、上述したように、中粒のAl2O3は、全質量に対して15質量%以上27質量%以下、MgOは2質量%以下としている。
上述した大粒や中粒では使用済みの耐火物、即ち、使用済みの煉瓦を用いていたが、この微粒では、使用済みの耐火物を用いずに構成したものである。言い換えると、微粒は、使用済みの耐火物ではなく、ヴァージン原料で構成したものである。
この微粒は、中粒よりも粒径が小さいキャスタブル耐火物の構成粒で、主に粗大粒間や中粒間のの空隙を埋めることができるものである。微粒の粒径が0.2mmを超える場合は、十分に粗大粒間や中粒間の空隙を埋めることができず、キャスタブル耐火物を構成したときに内部に空隙が生じやすくなり、施工後の強度が低下する虞がある。一方、微粒の粒径を0.2mm未満とした場合、耐火物の流動性と充填性が向上し、微粒としての役割を十分に発揮する。
微粒のAl2O3の含有量は、全質量に対して33質量%以上38質量%以下とされている。微粒のAl2O3が33質量%未満である場合、高温時に耐火物組織の一部が焼き固まり易くなり、急激な温度変化が発生すると、焼き固まった部分などが割れ易くなる。即ち、急激な温度変化により剥離して脱落し易くなる。一方、微粒のAl2O3が38質量%を超えた場合、銑鉄の熱と外気温度との温度差により剥離・脱落が生じ易くなる。
微粒のSiO2は、不可避的に不純物として入ってしまうものであるが、SiO2の含有量が1%を超えると、銑鉄の熱と外気温度との温度差により剥離・脱落が生じ易くなる。微粒のCaOは、耐火物を固化するためのものであるが、CaOの含有量が全質量に対して0.5質量未満である場合、耐火物を固化するセメント量が極端に少なくなり、施工後の強度が低下し、脱枠時に欠け等が発生し易くなる。一方、CaOの含有量が全質量に対して5質量を超えると、割れが発生して、剥離・脱落し易くなる。
粗大粒と中粒と微粒とを合わせた粒全体の質量(全質量と呼ぶこともある)において、Al2O3とMgOとのバランスにより、剥離・脱落の有無があることが実操業により分かってきている。本発明では、全質量に含有されるAl2O3とMgOとの質量比(Al2O3/MgO比)を、1.5以上3.0以下としている。Al2O3/MgO比が1.5未満の場合は、急激な温度変化によって剥離・脱落し易いことが知見された。また、Al2O3/MgO比が3.0を超えた場合も、急激な温度変化によって剥離・脱落し易いことを本願発明者は知見している。なお、Al2O3/MgO比も、実験や実操業の結果により求めたものである。
転炉又は/及び溶鋼鍋で使用済みのMgO−C煉瓦を所定の大きさに粉砕した粉砕物、溶鋼鍋で使用したアルミナマグネシア質の不定形耐火物を所定の大きさに粉砕した粉砕物、所定の大きさのヴァージン原料などを用いて、所定成分及び比率となるように配合及び混合することにより不定形耐火物を製作した。上述した粉砕物やヴァージン原料等をミキサに入れて混合した後、混合後の原料を型枠に流し込むことにより耐火物(不定形耐火物)を施工した。
また、使用耐火物の組成は、表4に示す通りである。
ミキサは、内容量が30Lで1回当たりの混合量は20kgのものを使用した。事前に所定量計量した材料(不定形耐火物の元となる材料)をミキサに投入し、ミキサの回転数を140rpmに設定して、約10秒間回転させることによって原料を混合した。また、混合原料に8〜10質量%の水を添加し、その後、ミキサーの回転数を192rpmに設定して3分間混練した。
詳しくは、脱枠後、サンプルSを110℃にて24時間乾燥した。そして、サンプルS内の結晶水を抜くために、前処理として500℃で3時間、仮焼成を行った。なお、仮焼成は、電気炉内での急加熱によって、サンプルが結晶水の水蒸気圧により破裂する危険を取り除く目的で行った。
上述したように、加熱、急冷、空冷を5サイクル繰り返し、実施したのち、サンプルSの上半分(加熱側)について、剥離・脱落の評価を行った。図6に示すように、サンプルSの上半分に剥離・脱落等の有無を目視にて確認した。
さて、上述したようにキャスタブル耐火物を型枠に流し込んだ後、当該キャスタブル耐火物が硬化すると、この型枠を取り除く脱枠を行うが、その際にキャスタブル耐火物(サンプル)に欠落が発生すると、構造体としての耐火物強度が低下し、炉口に用いたときの寿命が低下する要因となる。それゆえ、脱枠時にサンプルSが欠落しないか否かを確認するテスト(脱枠時の欠落確認テスト)を行う必要がある。脱枠時の欠落確認テストでは、図8に示すように、脱枠直後にサンプルSを目視し、サンプルSの欠落の発生の有無を目視にて確認した。
また、実施例1〜10では、微粒のAl2O3は33質量%〜38質量%、MgOは3質量%〜8質量%、SiO2は1質量%以下、CaOは0.5質量%〜5質量%であり、Al2O3/MgO質量比は、1.5〜3.0、粗大粒/微粒との質量比は、0.46〜0.67である。
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
2 容器
3 搬送装置
5 中央部
6 絞り部
7 炉口
8 不定形耐火物
9 れんが
Claims (1)
- 混銑車の炉口に施工される不定形耐火物であって、
使用済みのMgO−C煉瓦を粉砕することで粒径が16mm以上31.5mm以下に構成した粗大粒と、使用済みのアルミナマグネシア質の不定形耐火物を粉砕すると共に未使用のアルミナ原料を加えることで構成した粒径が0.2mm以上5mm以下である中粒と、粒径が0.2mm未満である微粒とで構成され、
前記粗大粒は、MgO−Cの成分で主構成されるものであり、前記MgO−Cの含有量は、粗大粒と中粒と微粒と合わせた全質量に対して24質量%以上34質量%以下でとされ、
前記中粒は、Al 2 O 3 が主成分、MgOが副成分で構成され、前記Al 2 O 3 の含有量は、全質量に対して15質量%以上27質量%以下とされ、前記MgOの含有量は、2質量%以下とされていて、
前記微粒は、Al 2 O 3 が主成分、MgO,SiO 2 及びCaOが副成分で構成され、前記Al 2 O 3 の含有量は、全質量に対して33質量%以上38質量%以下とされ、前記MgOの含有量は、3質量%以上8質量%以下とされ、前記SiO 2 の含有量は、1質量%以下とされ、前記CaOの含有量は、0.5質量%以上5質量%以下とされていて、
全質量でのMgOに対するAl2O3の質量比は1.5以上3.0であり、微粒に対する粗大粒の質量比は0.46以上0.67以下であることを特徴とする使用済みのMgO−C煉瓦屑及び使用済みのアルミナマグネシア質の不定形耐火物屑を利用した不定形耐火物。
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