JP2009228042A - スラグ除去材およびスラグの除去方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】1600〜2200℃の溶融金属表面に浮遊するスラグの除去に用いられるスラグ除去材であって、スラグ除去材が、加熱発泡性を有し、スラグ除去材の強熱減量が、0.5〜4質量%であり、1100℃で30秒間加熱発泡させたスラグ除去材の単位容積質量が、0.05〜0.30kg/リットルであり、スラグ除去材が、5mm以下の所定の粒径分布の粒子を含み、粒径が5mmを超える粒子を5質量%未満含むスラグ除去材である。
【選択図】なし
Description
(1)スラグ除去材が、粒径が5mmを超える粒子を含まない。
(2)スラグ除去材が、黒曜石、真珠岩、松脂岩および軽石から選ばれる1種の材料または2種以上の混合材である。
(3)スラグ除去材の単位容積質量が、加熱発泡前、0.5〜1.5kg/リットルである。
(1)溶融金属表面に浮遊するスラグに対して散布する際に、微細粒子が舞い上がる現象を抑制することのできる性状。
(2)スラグ除去材が溶融金属により加熱されて発泡する際に、激しく発泡し、粒子が爆裂して舞い上がる現象を抑制することのできる性状。
(3)スラグ除去材が溶融金属により加熱されて適正に発泡して、スラグ除去材加熱発泡体が溶融金属表面のスラグを必要充分に覆う性状。
(4)スラグ除去材加熱発泡体が溶融金属によってさらに加熱されて軟化し、溶融金属表面に浮遊するスラグを粘着する性状。
(5)スラグ除去材加熱発泡体中のガスが脱気して収縮し、スラグを粘着したスラグ塊を形成する特性。
(6)除去具を用いたスラグ塊を除去する場合の、迅速に、適確に、安全に、さらに効率的に行うことのできる作業性。
本発明のスラグ除去材の原料としては、加熱することにより発泡する性質(加熱発泡性)を有する原料を用いることが好ましい。本発明のスラグ除去材の原料として、具体的には、黒曜石、真珠岩、松脂岩であるパーライト原石ならびに天然軽石および人工軽石などの軽石から選ばれるいずれか1種または2種以上の混合材を用いることができる。これらの原料は、溶融金属表面に散布した場合に溶融金属によって加熱されて発泡し、溶融金属表面上に浮遊するスラグ全体を覆ったのち、脱泡して収縮する過程でスラグ塊を形成できるため、本発明のスラグ除去材の原料として好適である。
本発明のスラグ除去材は、加熱発泡前の単位容積質量が、好ましくは0.5〜1.5kg/リットルの範囲、より好ましくは0.55〜1.4kg/リットルの範囲、さらに好ましくは0.6〜1.3kg/リットルの範囲であることがより好ましい。本発明のスラグ除去材は、前記範囲の加熱発泡前の単位容積質量を有することにより、溶融金属表面に浮遊するスラグに対して散布する場合に、スラグ除去材の微細粒子が舞い上がる現象を抑制することができる。
本発明のスラグ除去材は、乾燥工程において強熱減量が0.5〜4質量%の範囲、より好ましくは0.7〜3質量%の範囲、さらに好ましくは1〜2.5質量%の範囲に調整されることが好ましい。本発明のスラグ除去材の強熱減量は、JIS M 8852に準拠し、1000℃で60分間加熱して測定される。スラグ除去材の強熱減量は、所定温度で所定時間焼成したときの質量の減少率を表すものであるため、スラグ除去材中に含まれる水分や結晶水の量とほぼ一致し、これらの水分や結晶水は、スラグ除去材を加熱した場合に気化し、スラグ除去材を発泡させる役割を果たす。強熱減量が4%よりも高くなると、スラグ除去材に含まれる水分や結晶水の量が多くなり過ぎ、激しく発泡するため、粒子が爆裂して周囲に飛び散る可能性があるため、上記範囲の上限以下であることが好ましい。強熱減量が0.5%よりも少ない場合は、発泡に必要な水分・結晶水の量が少なくなるため、散布した後に溶融金属表面上での発泡が不十分で広がり難くなり、十分にスラグを取り込むことが難しくなる可能性があるため、上記範囲の下限以上であることが好ましい。
本発明のスラグ除去材は、スラグ除去材の原料を、所定の粒径分布および単位容積質量となるよう乾燥・粉砕、必要に応じて分級・混合して製造される。製造に使用される装置は、スラグ除去材の原料を所定の粒径とすることが可能であれば特に限定はされない。乾燥装置としてはロータリードライヤー、バッチ式熱風炉等が、粉砕装置としてはジョークラッシャー、ボールミル、ロールクラッシャー等が、分級装置としては振動篩、ロータリーシフター等が好適に使用できる。原料を2種以上使用する場合には、混合装置としてリボンブレンダーや円筒型混合機、パドルミキサー等が使用できるが、乾燥装置や粉砕装置に使用する原石をそれぞれ定量供給して、混合乾燥や混合粉砕等を行っても良い。また、粒径を調整するために、分級して篩い分けた原石を所定の粒径となるよう混合して製造しても良い。
本発明のスラグ除去材は、スラグ除去材を構成する粒子の粒径を調整することに特徴がある。スラグ除去材を構成する粒子に微細粒子が多い場合には、高温の溶融金属上での上昇気流にあおられて、散布時の微細粒子の舞い上がりが生じるなどの問題がある。また、粒径が大きい方が発泡するまでの時間が長いなど、スラグ除去材を構成する粒子の粒径によって発泡するまでの時間が異なる。したがって、散布時の微細粒子の舞い上がり抑制、適正な加熱発泡性および最適な溶融性を制御するために、適正な粒径分布を有するスラグ除去材を用いることが必要である。
本発明のスラグ除去材は、1100℃で30秒間加熱発泡させた後の単位容積質量が、好ましくは0.05〜0.30kg/リットルの範囲、さらに好ましくは0.07〜0.27kg/リットルの範囲、特に好ましくは0.10〜0.25kg/リットルの範囲であることが好ましい。加熱発泡させたときの単位容積質量が0.05kg/リットルよりも小さい場合、溶融金属表面に浮遊するスラグ上にスラグ除去材を散布した際に、発泡性が高過ぎて、スラグ除去材が爆裂して発塵し、作業環境が悪化する可能性があるため、上記範囲の下限以上であることが好ましい。また、0.30kg/リットルよりも大きい場合、スラグ除去材を溶融金属表面に添加した際の加熱発泡が不十分となり、少量のスラグ除去材で溶融金属表面に浮遊するスラグを完全に覆うことができなくなる可能性があるため、上記範囲の上限以下であることが好ましい。
本発明のスラグ除去材は、各種金属の鋳鉄、鋳鋼、その他の合金等の鋳造等において、溶解炉や取鍋等の溶融金属表面に浮遊するスラグの除去材として用いられる。本発明のスラグ除去材は、鋳造において溶融金属表面に浮遊するスラグを除去するために用いることが好ましいが、それに限定されず、溶融金属表面のスラグ状の不純物を除去するために用いることができる。また、本発明のスラグ除去材を使用することができる溶融金属としては、特に限定されるものではなく、鉄・鋼・アルミ合金・銅・真鍮、その他合金等を鋳造する場合に、溶融金属表面に浮遊するスラグの表面にスラグ除去材を散布して用いることができる。
次に、本発明のスラグ除去方法について詳細に説明する。
(1)スラグ除去材の調製
<スラグ除去材A>
真珠岩aをジョークラッシャーで粉砕して13.2mm以下とした後、ロータリードライヤーを用いて原料温度が200℃となるよう乾燥させ、さらにロールクラッシャーを用いて粉砕し、5mm、1.5mmおよび0.3mmの篩目の金網を装着した振動篩を使用して分級した後、5mm以上および0.3mm以下の粒群を除去し、1.5〜5mmおよび0.3〜1.5mmの2つの粒群に分級した。1.5〜5mmの粒群と0.3〜1.5mmの粒群を質量比で70:30で混合し、スラグ除去材Aを得た。
スラグ除去材Aと同様の方法で真珠岩aを乾燥・粉砕し、3.35mm、1.5mmおよび0.3mmの篩目の金網を装着した振動篩を使用して分級した後、3.35mm以上および0.3mm以下の粒群を除去し、1.5〜3.35mmおよび0.3〜1.5mmの2つの粒群に分級した。1.5〜3.35mmの粒群と0.3〜1.5mmの粒群を質量比で60:40および20:80で混合し、スラグ除去材B、Cを得た。さらに、1.5〜3.35mmの粒群をスラグ除去材Dとして得た。
スラグ除去材Aと同様の方法で真珠岩aを乾燥・粉砕し、8mmおよび1.5mmの篩目の金網を装着した振動篩を使用して分級した後、8mm以上を除去し、1.5〜8mmおよび1.5mm以下の2つの粒群に分級した。1.5〜8mmの粒群と1.5mm以下の粒群を質量比で95:5で混合し、スラグ除去材Eを得た。
スラグ除去材Aと同様の方法で真珠岩aを乾燥・粉砕し、2.5mm、1.5mmおよび0.3mmの篩目の金網を装着した振動篩を使用して分級した後、2.5mm以上および0.3mm以下を除去し、1.5〜2.5mmおよび0.3〜1.5mm以下の2つの粒群に分級した。1.5〜2.5mmの粒群と0.3〜1.5mmの粒群を質量比で70:30で混合し、スラグ除去材Fを得た。
軽石bをロータリードライヤーを用いて原料温度が150℃となるよう乾燥した後、ロールクラッシャーで粉砕し、5mm、1.5mmおよび0.3mmの篩目の金網を装着した振動篩を使用して分級した後、5mm以上および0.3mm以下の粒群を除去し、1.5〜5mmおよび0.3〜1.5mmの2つの粒群に分級した。1.5〜5mmの粒群と0.3〜1.5mmの粒群を質量比で70:30で混合し、スラグ除去材Gを得た。
真珠岩aをロータリー原料温度が450℃となるようロータリードライヤーを用いて乾燥した後、ロールクラッシャーで粉砕し、5mm、1.5mmおよび0.3mmの篩目の金網を装着した振動篩を使用して分級した後、1.5mm以上および0.3mm以下の粒群を除去し、1.5〜5mmおよび0.3〜1.5mmの2つの粒群に分級した。1.5〜5mmの粒群と0.3〜1.5mmの粒群を質量比で70:30で混合し、スラグ除去材Hを得た。
得られたスラグ除去材について、JIS A 5007「パーライト」に準拠して「単位容積質量」および「粒度(粒径)」を測定した。
得られたスラグ除去材3gを1100℃に調整した箱型電気炉内の白金るつぼ(内径φ70mm×高さ40mm)内に投入し、30秒間加熱した後取り出した。発泡後のスラグ除去材の質量とメスシリンダーを用いて測定した容積から、各スラグ除去材の単位容積質量を求め、「加熱発泡後の単位容積質量」とした。また、同様に、加熱前のスラグ除去材の単位容積質量を測定した。
スラグ除去材の強熱減量は、JIS M 8852に準拠して測定した。すなわち、1000℃で60分間加熱した場合の質量の減少率を測定することにより、強熱減量を測定した。
ステンレス鋳鋼鋳造試験を行う際に、5tの溶融金属の入った電気炉内(内寸法;直径φ1.0m×高さ1.1m)に浮遊するスラグを、上記除滓材A〜Hを1200g散布し、スラグ除去材が凝集した後、鉄筋を用いて直ちにスラグ塊を電気炉より取り除いた。スラグ除去材は、スラグ除去材A〜E、G、Hを1800℃の溶融金属のスラグ除去に、スラグ除去材Fを1650℃の溶融金属のスラグ除去に使用した。電気炉上のスラグが十分除去できない場合には、スラグ除去材は必要に応じて適宜追加して散布しながら、スラグ除去を行い、電気炉上にスラグが無くなるまでこの操作を繰り返した。また、スラグ除去材を添加するときの発塵量を目視により確認した。スラグ除去後の電気炉内の溶融金属の温度を、放射温度計(横河M&C株式会社製 携帯用ディジタル放射温度計PM173)により測定した。
得られたスラグ除去材の物性測定結果、発泡性試験結果、スラグ除去材の使用量およびスラグ除去回数を表1に示す。スラグ除去材A、B、Fは、0.3〜0.15mm、1.5〜2.5mmおよび2.5〜5mmの粒径の粒子を適度に含み、かつ1100℃で30秒間加熱発泡させたときの単位容積質量が0.05〜0.30kg/リットルの範囲にあるため、電気炉上のスラグを1回の操作で除去できた。また、0.3mm以下の粒径の粒子が20質量%未満、かつ、強熱減量が0.5〜4%となるように調整したため、スラグ除去材を電気炉上へ散布したときの発塵が少なかった。
Claims (6)
- 1600〜2200℃の溶融金属表面に浮遊するスラグの除去に用いられるスラグ除去材であって、
スラグ除去材が、加熱発泡性を有し、
スラグ除去材の強熱減量が、0.5〜4質量%であり、
1100℃で30秒間加熱発泡させたスラグ除去材の単位容積質量が、0.05〜0.30kg/リットルであり、
スラグ除去材が、スラグ除去材(100質量%)中に、
粒径が0.3mm以下の粒子を0質量%以上20質量%未満、
粒径が0.3mmを超えて1.5mm以下の粒子を10質量%以上50質量%未満、
粒径が1.5mmを超えて2.5mm以下の粒子を20質量%以上60質量%未満、
粒径が2.5mmを超えて5mm以下の粒子を0質量%以上50質量%未満、および
粒径が5mmを超える粒子を5質量%未満含むスラグ除去材。 - スラグ除去材が、粒径が5mmを超える粒子を含まない、請求項1記載のスラグ除去材。
- スラグ除去材が、黒曜石、真珠岩、松脂岩および軽石から選ばれる1種の材料または2種以上の混合材である、請求項1または2記載のスラグ除去材。
- スラグ除去材の単位容積質量が、加熱発泡前、0.5〜1.5kg/リットルである、請求項1〜3のいずれか1項記載のスラグ除去材。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載のスラグ除去材を、1600〜2200℃の溶融金属表面に浮遊するスラグに対して散布する工程と、
スラグ除去材と、溶融金属表面に浮遊するスラグとが、スラグ塊を形成する工程と、
スラグ塊を、除去具を用いて溶融金属表面から除去する工程と
を含む、スラグの除去方法。 - スラグ塊を形成する工程が、
スラグ除去材が、溶融金属により加熱発泡してスラグ除去材加熱発泡体となり、スラグ除去材加熱発泡体が、溶融金属表面に浮遊するスラグを覆う工程と、
スラグ除去材加熱発泡体が、溶融金属表面に浮遊するスラグを粘着し、および脱気して収縮し、スラグ塊を形成する工程と
を含む、請求項5記載のスラグの除去方法。
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