JP5979926B2 - 無線装置 - Google Patents
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従来、固定設置された2台の無線装置間で、準ミリ波帯(ギガヘルツ帯)の周波数を用いて2点間での無線通信を行う無線通信システムがある。
このような通信システムにおいては、長期運用中に種々の要因によって無線切断してしまうことがある。
無線切断した場合、保守員が直接現地に行って、無線装置及び周辺の環境を調査して、原因を特定し、装置の修理や交換、障害物の撤去等の対応策を施す必要があり、復旧には時間とコストがかかっていた。
尚、2点間の無線通信に関する技術としては、特開2009−302939号公報「無線通信システム」(株式会社日立国際電気、特許文献1)がある。
特許文献1には、一方の無線機で受信した受信強度の情報を送信信号に重畳させて送信し、他方の無線機において相手側の受信強度を認識可能とし、相手側において最大の受信強度となるように、アンテナの向きを変えてアライメントすることが記載されている。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る無線装置は、準ミリ波帯の周波数を用いて通信を行う無線装置であって、検出部が、通信の切断を検出すると切替部にその旨報知し、切替部がレーダー信号に切り替えるよう送受信部に指示を出力し、送受信部が通常の送信信号に代えてレーダー信号を特定時間出力し、その反射波を受信して、出力から受信までの時間と受信強度とを測定し、時間及び受信強度を蓄積部に蓄積し、ネットワークを介して接続されたユーザ端末が、蓄積部に蓄積された情報から、通信障害が生じている時間の長さや、障害物までの距離及び障害物の大きさを算出して、一時的な障害を除く障害の原因を簡易的に調査することができ、低コストで、原因解析や障害復帰に要する時間を短縮し、利便性を向上させることができるものである。
本発明の第1の実施の形態に係る無線装置について図1を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る無線装置の構成ブロック図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る無線装置(第1の無線装置)1は、準ミリ波帯の周波数を用いて、対向する無線装置(第2の無線装置)2との2点間で無線通信を行う無線装置であり、送受信部11と、同期信号検出部12と、レーダー機能切替部13と、受信データ蓄積部14と、インタフェース部(I/F)15とを備えている。
そして、インタフェース部15を介してネットワーク16に接続し、ユーザ端末(ユーザPC)に接続可能となっている。
尚、第2の無線装置2も第1の無線装置1と同様の構成である。
送受信部11は、例えば5〜30GHzの準ミリ波帯(ギガヘルツ帯)の周波数信号の送受信を行うものであり、本発明の実施の形態に係る無線装置の特徴として、後述するレーダー機能切替部13からの指示に応じて、通常の通信信号の送受信動作と、レーダー信号の送受信動作とを切り替えて行うものである。
また、レーダー機能切替部13は、通信切断後、所定回数の再接続のトライを行っても、一定時間以上再接続できなかった場合には、無線通信が切断状態にあることを管理者であるユーザPC17に報知する。
具体的には、レーダー信号の送出時刻と反射波の受信時刻とから障害物までの距離を算出したり、レーダー信号の反射波の受信強度から障害物の大きさを算出する。
尚、これらの解析機能を無線装置1に設けてもよい。
次に、無線装置1の動作について図1を用いて説明する。
送受信部11は、通常の通信を行っている場合、相手装置から受信した同期信号を同期信号検出部12に出力する。
同期信号検出部12は、一定時間同期信号が入力されない場合、通信が切断されたと判断してレーダー機能切替部13に切替信号を出力する。
送受信部11は、レーダー送受信命令を受信すると、通常の信号ではなくレーダー信号としてCW信号を一定の短い時間出力する。その際、レーダー信号の出力時刻を記憶する。そして、送受信部11は、障害物によって反射されて戻ってきたレーダー信号の反射波を受信し、受信電界強度を測定し、送信時刻及び受信時刻を対応付けて受信データ蓄積部14に出力する。
更に、所定回数のレーダー動作を行っても再接続できない場合には、一定時間までは再接続のトライを繰り返し、一定時間が経過した場合には、ユーザPC17に通信切断を報知するようになっている。
レーダー機能切替部13の処理については後述する。
このようにして、無線装置1の動作が行われるものである。
次に、レーダー機能切替部13の処理について図2を用いて説明する。図2は、レーダー機能切替部13の処理を示すフローチャートである。
図2に示すように、レーダー機能切替部13は、同期信号検出部12で回線切断を検出したか否か、つまり同期信号検出部12から切替信号が入力されたか否かをチェックし(100)、回線切断された場合(Yesの場合)には、送受信部11にレーダー送信命令を出力して送受信部11をレーダー動作に切り替える(102)。
これにより、送受信部11は、上述したようにレーダー信号の送受信動作を行う。
また、レーダー機能切替部13は、カウンタとタイマを備えており、レーダー動作を行った回数をインクリメントすると共に、タイマをスタートさせる。
そして、レーダー機能切替部13は、同期信号検出部12からの切替信号の有無により、再接続したか否かを判断し(106)、再接続した場合(Yesの場合)には、タイマ及びカウンタをリセットして、処理100に移行する。
これにより、無線装置1では、一時的な切断があっても、短時間で再接続した場合には障害とならずに通常の無線通信動作に復帰するものである。
このようにして無線装置1のレーダー機能切替部13の処理が行われるものである。
本発明の第1の実施の形態に係る無線装置によれば、準ミリ波帯の無線装置において、同期信号検出部12が無線通信の切断を検出すると、レーダー機能切替部13に切替信号を出力し、レーダー機能切替部13が切替信号を受信すると、送受信部11にレーダー送信命令を出力し、送受信部11が通常の送信信号の代わりに連続波であるレーダー信号を出力して反射波を受信して受信電界強度を測定し、レーダー信号の送信時刻、反射波の受信時刻及び受信電界強度の測定値を受信データ蓄積部14に蓄積するようにしているので、ユーザPC17から受信データ蓄積部14に蓄積されたレーダー信号の送受信に関するデータを取得して解析すれば、保守員が現地に出向かなくても、簡易的な調査として障害物までの距離や障害物の大きさを把握することができ、原因解析や障害復帰に要するコスト及び時間を低減することができる効果がある。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る無線装置について図3を用いて説明する。図3は、本発明の第2の実施の形態に係る無線装置の構成ブロック図である。
図3に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る無線装置3は、上述した第1の実施の形態に係る無線装置1と同様に準ミリ波帯の無線装置であり、送受信部21と、受信電界強度初期データ蓄積部22と、受信電界強度判定部23と、同期信号検出部24と、レーダー機能切替部25と、受信データ蓄積部26とを備えている。
また、上記構成部分の内、レーダー機能切替部25は、無線装置1と同様であるため説明を省略する。
無線装置3の送受信部21は、レーダー動作時だけでなく、通常の無線通信時にも受信信号の受信電界強度を測定し、受信電界強度判定部23に出力する。
尚、受信電界強度判定部23は、初期値に対する特定の割合ではなく、初期値から特定量低下した場合に電界強度判定信号を出力する構成としてもよい。
尚、電界強度判定信号の受信時刻の代わりに、簡易的に電界強度判定信号の受信回数をカウントしておき、切断時に、切断時刻と共に電界強度判定信号の受信回数を受信データ蓄積部26に蓄積するようにしてもよい。
無線装置3の動作について図3を用いて簡単に説明する。
無線装置3では、無線通信の開始時に、送受信部21が通信信号の受信電界強度を測定して、受信電界強度初期データ蓄積部22に記憶する。
そして、運用時に、送受信部21が通信信号の受信電界強度を測定して、受信電界強度判定部23に出力し、受信電界強度判定部23が、受信電界強度初期データ蓄積部22に記憶された初期値より所定の割合だけ低下したしきい値と比較して、測定された受信電界強度がしきい値未満であった場合に、電界強度判定信号を同期信号検出部24に出力する。
送受信部21は、レーダー送信命令を受信すると、連続波のレーダー信号を出力し、反射波の電界強度を測定して、レーダー信号の送信時刻、反射波の受信時刻と電界強度とを受信データ蓄積部26に蓄積する。
そして、ユーザ端末では、受信データ蓄積部26に記憶されたレーダー信号の受信結果と、受信電界強度の低下の状況を読み出して、無線切断の原因解析に利用する。
このようにして、無線装置3の動作が行われるものである。
本発明の第2の実施の形態に係る無線装置によれば、受信電界強度判定部23が、送受信部21で測定された通信信号の受信電界強度を、受信電界強度の初期値と比較して、所定の割合よりも低下している場合には、電界強度判定信号を同期信号検出部24に出力し、同期信号検出部24が、電界強度判定信号の受信時刻を保持しておき、無線通信の切断を検出すると、送受信部21にレーダー動作を行わせると共に、切断時刻と電界強度判定信号の受信時刻とを受信データ蓄積部26に記憶するようにしているので、管理者は、レーダー信号による障害物の情報に加えて、通信信号の電界強度の低下の経緯を把握することができ、原因解析に利用することができる効果がある。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る無線装置について図4を用いて説明する。図4は、本発明の第3の実施の形態に係る無線装置の構成ブロック図である。
図4に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る無線装置4は、準ミリ波帯の無線装置であり、送受信部31と、無線接続前レーダーデータ蓄積部32と、同期信号検出部33と、レーダー機能切替部34と、受信データ蓄積部35と、データ判定部36とを備えている。
更に、送受信部31には、2次元指向性可変アンテナ31aが設けられている。
また、同期信号検出部33、レーダー機能切替部34は第1の装置の同期信号検出部12、レーダー機能切替部13と同様であるため、説明を省略する。
無線装置4の送受信部31は、2次元指向性可変アンテナ31aを備えており、受信信号について2次元の観測データを得ることができるものである。
具体的には、レーダー動作時に、反射波が受信された方向及びそれぞれの方向成分の受信電界強度を測定することができるものである。
無線装置4の動作について図4を用いて説明する。
無線装置4では、無線通信の開始前に、送受信部31がレーダー動作を行って、2次元の各方向成分毎にレーダー反射波の受信電界強度を測定し、2次元のレーダー受信データ初期値として無線接続前レーダーデータ蓄積部32に記憶する。
レーダー機能切替部34は、切替信号を受信すると、送受信部31にレーダー送信命令を出力し、送受信部31はレーダー動作を行う。
そして、ネットワークを介してユーザ端末に送信する。
ユーザ端末では、レーダー信号の送受信時刻から障害物までの距離を算出すると共に、切断前と切断後の2次元のレーダー受信データの差分に基づいて、どの方向にどの程度の大きさの障害物があるかを解析することが可能となるものである。
更に詳細な情報を取得する構成として、無線装置4にジャイロ(ジャイロセンサ)やGPS(Global Positioning System)を備えてもよい。
ジャイロは、物体の傾きを検出するものであり、正常な無線装置4の設置状態に対する傾きを検出する。
GPSは、無線装置3の位置を検出する。
又は、ジャイロ及びGPSは、定期的に傾きデータ及び位置データを蓄積するようにしてもよく、この場合には、無線切断が発生する前から装置の傾き及び位置データを取得することができ、記憶されたデータを解析することにより、装置の設置状態が変化した時期を特定することができるものである。
このようにして、ジャイロやGPSを備えた場合には、無線装置の状態について一層詳細な情報を取得することができ、無線切断の原因をある程度推定可能として、迅速に復帰させることができるものである。
本発明の第3の実施の形態に係る無線装置によれば、送受信部31が2次元指向性可変アンテナ31aを備え、無線通信の運用開始時にレーダー動作を行って、2次元のレーダー受信データを無線接続前レーダーデータ蓄積部32に記憶しておき、無線通信の切断が検出されると、送受信部31がレーダー動作を行って切断後の2次元のレーダー受信データを取得して受信データ蓄積部35に蓄積し、データ判定部36が、受信データ蓄積部35に蓄積された切断後のレーダー受信データと、初期値とを比較して差分を算出し、ネットワークを介してユーザ端末に送信するようにしているので、切断前後の2次元上でのレーダー受信データの変化を把握することができ、より詳細な障害物の位置や大きさ等の情報を得ることができ、無線通信切断の原因解析に利用することができる効果がある。
Claims (2)
- 2つの無線装置が2点間で無線通信を行う無線システムにおいて、レーダー信号として使用可能な周波数帯域で無線通信を行う無線装置であって、
切替指示に基づいて、通信信号又はレーダー信号を切替えて送受信する送受信部と、
前記送受信部からの同期信号が一定時間入力されなかった場合に無線通信の切断を検出する検出部と、
前記切断が検出されると、レーダー信号への切替指示を前記送受信部に出力する切替部と、
データを蓄積する蓄積部と、
前記送受信部で測定された通信信号の受信電界強度が、無線通信の運用開始時に測定した受信信号の電界強度データの初期値に対して一定割合または特定値低下した場合に、前記検出部に電界強度判定信号を出力する受信電界強度判定部とを備え、
前記検出部が、前記電界強度判定信号を受信すると、当該電界強度判定信号の受信時刻または受信回数を保持し、前記無線通信の切断を検出した場合に、前記保持された電界強度判定信号の受信時刻または受信回数と、前記無線通信が切断された時刻とを前記蓄積部に蓄積すると共に、
前記送受信部が、前記レーダー信号への切替指示が入力されると、レーダー信号を特定時間送信し、当該レーダー信号の反射波を受信して、当該反射波に関するデータを前記蓄積部に蓄積することを特徴とする無線装置。 - 前記送受信部は2次元指向性可変アンテナを備えるとともに、
無線通信の運用開始時の2次元のレーダー受信データを記憶するレーダーデータ蓄積部と、
前記検出部によって前記無線通信の切断が検出されると、切断後の2次元のレーザー受信データを取得して、前記切断後の2次元のレーザー受信データと前記運用開始時の2次元のレーダー受信データとを比較して差分を算出する判定部とを備えたことを特徴とする、請求項1記載の無線装置。
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