JP3674141B2 - 無線データ通信システム - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物などに固定設置して無線通信を行う無線データ通信システムに関するもので、特に機器設置後の電波環境の監視を行うものである。
【０００２】
【従来の技術】
固定設置するような機器のデータ通信、例えば給湯機とそのリモコンの通信や石油貯蔵タンクとその残量メータなどは家屋の壁を隔てて通信する必要がある。従来、それには信号線を接続して行う有線式が主流であった。しかし以下の利点から信号線に代わって電波を用いる無線式に移行している。
【０００３】
（１）信号線を敷設する必要がなく設置工事が簡易であること。
（２）信号線の断線がなくメンテナンスが容易であること。
【０００４】
（３）無線化することで設置場所を選ばないシステムが新たに可能となること。
【０００５】
上述３の例として電気、水道などのメータに無線のデータ通信機能を持たせ、計測したデータを送信して遠隔で収集するようなシステムが考えられる。例えば特開昭６４−７２００号公報に記載されている。
【０００６】
以下、図９を参照してこのような無線データ通信システムについて簡単に説明する。２０１はデータ収集器、２０４はメータであり、データ収集器２０１とメータ２０４との間を無線で接続して、メータ２０４からデータ収集器２０１にメータ２０４のデータを収集する。データ収集器２０１の送信部２０３から無線でデータ収集値要求信号が送信される。これをメータ２０４の受信部２０５で受信すると、メータの計量部２０６で計測した値を記録している計測値記憶部２０７の計量値を送信部２０８を介して無線でデータ収集器２０１へ送信する。データ収集器２０１はこの計量値を受信部２０９で受信してデータ表示部２１０で表示したりデータ記憶部２１１で記録するものである。このデータ収集器２０１を電話回線などの通信回線と接続して収集すれば遠隔にしてデータ収集ができる。
【０００７】
しかしながら従来の有線通信に比較すると無線通信は次のような課題を持つ。すなわち、無線通信は電波伝幡上の障害物や妨害信号などの周囲環境の影響を受け易い。例えば、人物や自動車などの障害物の存在によって電波が伝わりにくくなり、その結果、通信可能な距離が短くなることがある。また、無線データ通信システムの近くから同じような周波数で大出力で送信されるとそれが妨害信号となり通信が困難になることがある。
【０００８】
このような周囲環境から受ける通信状態の変化に対して、携帯電話などの電話では使用者が相手の声の明瞭度によって通信状態をリアルタイムに把握しており、悪化すればこれを認識して対処方法を知ることができた。これに対して、上述のようにデータ収集を行うものも、通信状態を把握し悪化したときの原因追究を行えるような機能が必要である。
【０００９】
従来、このようなものには電波環境を調べるものがあり、例えば特開平４−１４９７１３号公報に記載されている環境モニターがある。これは予め設定した電界強度許容値を超えたときに時刻と周波数と強度とを記録し異常信号を出力するものである。
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の環境モニターは測定装置である。すなわち、機器を取り付ける場所を選択するために設置時にのみ用いるものである。あるいは機器の動作に不具合が発生したとき、それを究明するため電波環境を調べる測定装置である。これでは設置後の電波環境が変化してもわからない。そして、不具合が発生したときに無線通信がどのような状況であったか、正常に機能していたか、電波環境が悪化していたのかはわからない。
【００１１】
また、妨害電波の大きさを監視するものであり、その他に、その妨害電波の発信源や妨害電波の時間長（通信ができない時間長）や無線通信の混雑度を監視する必要がある。
【００１２】
また、電波環境は妨害信号だけではない。人物や自動車などの障害物によって受信信号が弱くなり通信可能な距離が短くなることがある。その結果、いままでは通信可能であった場所が通信不能となることが考えられる。
【００１３】
加えて、建物外に設置される機器に特有の課題として周囲温度の変化幅の大きさがあげられる。このような機器では冬場の戸外や夏場の直射日光があり、設置される温度範囲は非常に広い。温度が下がると駆動電源である電池の電圧が下がる。それにともなって送信装置では送信出力が減少し、また受信装置では受信性能が劣化してくる。したがって周囲温度によって無線通信可能な距離が大きく変化する。
【００１４】
さらに、機器によっては不具合が発生した場合に、その場所で記録内容を見てこれを解析するということが、温度環境や空間スペースの点から困難である。機器全体を持ち帰って調査することは大がかりである。
【００１５】
以上のように、まとめれば、
（１）機器に原因不明の不都合が発生したとき、無線データ通信システムが正常に機能していたのか調べられない。常に通信の信頼性を保証する必要がある。
【００１６】
（２）環境モニターのような測定装置を新たに設置しなければ妨害信号などを調べられない。
【００１７】
（３）妨害電波の強さだけでなく他にも無線通信に関係する要素を監視する必要がある。
【００１８】
（４）通信状態が悪化したときに周囲環境で何が発生していたのか、後で解析できるようにする必要がある。
【００１９】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、無線信号を送信する送信装置は、送信時刻を計測する時計手段と、送信時刻と送信内容とを記録する送信記録手段とを有するものである。また、無線信号を受信する受信装置は、受信時刻を計測する時計手段と、受信時刻と受信内容とを記録する受信記録手段とを有するものである。
【００２０】
上記構成によって、送信装置は送信した時刻と送信した内容を記録し、機器に不具合があったときに記録内容を解析すれば送信装置が正常に送信していたか、送信していなかったか判明することができる。そして、受信装置の記憶手段は受信した時刻と受信した内容を記録しているので機器に不具合があったときに受信装置が正常に受信していたか解析できる。
【００２３】
【発明の実施の形態】
送信装置は、送信時刻を計測する時計手段と、送信時刻と送信内容とを記録する送信記録手段とを有し、受信装置は、受信時刻を計測する時計手段と、受信時刻と受信内容とを記録する受信記録手段とを有し前記送信記録手段の記録と前記受信記録手段の記録とで比較分析するものである。そして、送信装置、受信装置それぞれの記録手段は送信した時刻と受信した時刻、ならびに送信した内容と受信した内容を記録しているので送信装置、受信装置それぞれで記録をとって送信と受信とで比較解析すれば送信したのに受信できなかったことも解析できる。
【００２４】
また、送信装置は送信時刻を計測する第一の時計手段を備えて予め定めた時間に無線信号を送信し、受信装置は、受信予定時間を計測する第二の時計手段と、時刻を計測する第三の時計手段と、受信予定時間に無線信号を受信できなかったときに時刻を記録する記録手段とを有するものである。そして、送信装置は予め定めた時間に無線信号を送信し、受信装置は受信予定時間を計測して無線信号を受信できなかったときに記録手段に時刻を記録するので通信状況の安定性をいつでも解析することができる。
【００２５】
また、無線信号を送信した後に応答信号を受信する送信装置は、送信時刻を計測する時計手段と、応答信号を受信できなかったときに送信時刻と送信内容とを記録する記録手段とを有するものである。そして、送信装置は無線信号を送信した後に応答信号を受信して通信の確認を行い、応答信号を受信できなかったときに記録手段に送信時刻と送信内容とを記録するので通信状況の安定性をいつでも解析することができる。
【００３１】
あるいは、送信装置または受信装置は、妨害信号の受信時刻を計測する第一の時計手段と、妨害信号の時間長を計測する第二の時計手段と、時間長が予め設定した値を越えたときに受信時刻と時間長とを記録する記録手段を有するものである。そして、送信装置または受信装置の記録手段は妨害信号を検知した時刻と時間長を記録しするので、妨害信号の存在をいつでも解析することができる。
【００３３】
また、送信装置または受信装置は、一定期間毎に妨害信号の時間長の総計を計測する第三の時計手段と、一定期間の時刻と時間長の総計とを記録する記録手段とを有するものである。そして、送信装置または受信装置の記録手段は一定期間毎に妨害信号の時間長の総計を記録するので、混雑度をいつでも解析することができる。
【００４３】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
（実施例１）
図１において、本発明の第１の実施例を説明する。１は第一の機器であるメータである。計量装置２で電気や水道の使用量を測定し、測定データを出力する。３は無線システムの送信装置である。メータ１からの測定データを電波で出力するもので以下の手段から構成される。４は送信データ生成手段で、計量装置２からの測定データを基に無線通信用の送信データを生成する。例えば、測定データに同期符号や混信を防止するための識別符号を付加し、第三者に測定データが見えないようにスクランブルを施す。このような送信データは変調手段５で無線信号に変調され、送信アンテナ６から送信される。このとき、送信した時間と送信データの内容とを後に解析できるように、送信側時計手段７で計測された時刻と送信データとを送信側記録手段８に記録する。記録するのは送信データの一部であっても、またその内容を示す記号でも良い。
【００４４】
９は無線システムの受信装置で、送信装置３からの受信データを第二の機器である電話回線接続装置１０に出力する。受信装置９は以下の手段から構成される。受信アンテナ１１を通して受信した無線信号は復調手段１２で受信データに復調される。そして受信データ解析手段１３で、同期符号によってデータの位置を捜し出しデータ解析を行う。つまり、電話回線接続装置１０に出力して良いデータかどうか、例えば受信すべき相手からの信号かどうかを識別符号で確認し、受信データから測定データを取り出して出力する。このとき、受信した時間と受信データの内容とを後に解析できるように、受信側時計手段１４で計測された時刻と受信データとを受信側記録手段１５に記録する。記録するのは受信データの一部であっても、またその内容を示す記号でも良い。記録手段は電池切れや停電などでも記録内容が残るように不揮発性半導体メモリや磁気ディスクなどがよい。
【００４５】
電話回線接続装置１０は中継手段１６を有する。中継手段１６は電話回線に接続して、受信データ解析手段１３から受信データを受け取るとデータ収集局に電話をかけてこれを送信する。データ収集局に送信すべきデータがなくなったときは電話を切って電話回線を切り離す。
【００４６】
本発明は上記構成によって、送信装置は送信した時刻と送信した内容を、一方で受信装置は受信した時刻と受信した内容を記録しているので機器に不具合があったときに送信装置が正常なデータを送信していたか、受信装置は受信に誤りがないかを解析でき、発生した不具合に無線データ通信システムが関わっていたかがはっきりできる。特に図１のように、送信装置、受信装置それぞれで記録をとって比較解析すれば送信したのに受信できなかったことも解析できる。
【００４７】
送信側記録手段８および受信側記録手段１５には無線通信を行う毎に記録されていくが、記録容量が一杯となって不足すれば古い記録の上書きする。すなわち、不具合が判明したときに時間を遡ってそのときの状況を解析するのに必要なだけ、一定期間あいだの記録を残しておけばよい。
【００４８】
なお、解析時に記録内容を読み出すときに、読み出すための装置（以下、読み出し装置）を現場に持っていてもよいが、送信側記録手段８は送信装置３から取り外し可能とする。そうすれば取り外して持ち帰り、解析することができる。これは読み出し装置が大型であれば大変有効である。あるいは、送信側記録手段８は通信機能を備えて読み出し装置と通信して記録内容を読み出す。例えば電話回線接装置１０の中継手段１６を通じて読み出し装置と通信して記録内容を読み出す。このようにすれば、その場で記録読み出しや解析ができない場所に設置された機器についても、記録手段を取り外して設備の整った場所で解析ができる。またその場に行かなくても記録を読み出して解析できるので迅速に対応できる。受信側記録手段１５についても、受信装置９から取り外し可能、あるいは通信機能を備えて記録内容を読み出す。
【００４９】
（実施例２）
次に図２を参照して第２の実施例を説明する。図２は受信信号の電界強度値を監視し、記録し、異常時に報知するものである。なお図１と同じ機能のものは同一番号とする。図１と比較して、受信装置９は受信信号の電界強度値を測定する受信電界強度測定手段２０と異常時に報知する受信側報知手段２１を有する。
【００５０】
本発明は上記構成によって、受信側記録手段１５は、受信側時計手段１４で計測する受信時刻と受信信号の電界強度値とを一定期間記録する。また、受信側報知手段２１は電界強度値が所定値以下であるときに報知する。この所定値は確実な受信に必要な最低の電界強度値に設定する。また受信側報知手段２１は受信側記録手段１５に記録した回数が所定値を越えたときに報知する。すなわち、記録が多くなって記録容量の残りが減り記録できなくなることが発生する前に記録した内容を読み出す必要があることを知らせる。あるいは、一定期間が近くて記録した内容が消去されることを知らせる。
【００５１】
報知方法としてブザーによる音やＬＥＤによる表示で付近の者に知らせる。また、電話回線接続装置１０を利用して自動的に電話回線で管理者や施工業者に直接通報する。このように通信するときは受信側記録手段１５に記録した内容も併せて通報すれば、直ちに解析して調べることができる。
【００５２】
以上の構成により、周囲環境が変化して受信信号が弱くなることを想定して、受信信号のあった時刻とその電界強度値を一定期間記録し、電界強度値の変動を解析することができる。加えて、電界強度値の監視を常に行い、これが小さくて満足に受信できない場合に報知するので、通信の信頼性が確保できる。報知があった場合は、受信側記録手段１５から記録を読みだして解析すれば、報知があったときだけ一時的に電界強度値が小さかったのか、日常から小さい傾向にあったのかなどが判明し、改善策の判断が容易になる。
【００５３】
（実施例３）
次に図３を参照して第３の実施例を説明する。図３は送信装置で無線信号に通信内容についての誤り検出情報を持たせ、受信装置は通信誤りを監視し、記録し、通信誤りが多ければ報知するものである。なお図１と同じ機能のものは同一番号とする。図１と比較して、送信装置３に誤り検出情報付加手段３１を、受信装置９に誤り検出手段３２と受信側報知手段２１を有する。
【００５４】
本発明は上記構成により、誤り検出情報付加手段３１は、送信データ作成手段４からの送信データに誤り検出情報を付加して変調手段５に出力する。誤り検出情報として、パリティ符号やＣＲＣ符号、ＢＣＨ符号などが用いられる。また、誤り検出だけでなく誤り訂正情報を加えればさらによい。受信装置９の誤り検出手段３２は、受信したデータに含まれている誤り検出情報を基にして、無線通信の途中で通信誤りが発生したか、発生しているならばどの程度発生したかを計算する。誤り検出の結果、通信誤りがない場合には誤り検出情報を取り除いたデータを受信データ解析手段１３に出力する。通信誤りがあった場合には、受信データ解析手段１３に出力しない。また、誤り訂正情報によって誤り訂正が可能であった場合は、誤り訂正を行った受信データ１３に出力する。それとともに、受信側時計手段１４で計測する受信時刻と通信誤りの有無とを受信側記録手段１５に一定期間記録する。通信誤りが有った場合には、どの程度有ったか、データのどの部分に有ったか、例えば同期信号にあったのか、識別符号にあったのか、データ内容にあったのかなど詳細に記録する。また、受信側報知手段２１は通信誤りの数が所定値以上であるときに報知する。この所定値は確実な受信に許容される最低の通信誤り値に設定する。所定値を１とすれば、１回でも通信誤りがあれば報知される。なお、通信誤りの数を用いる代わりに、通信誤り率を記録して誤り率が所定値以上のときに報知してもよい。
【００５５】
以上の構成により、周囲環境が変化し受信信号が弱くなったりして通信誤りが変化することを想定して、受信信号のあった時刻とその通信誤りの状況を一定期間記録し、通信誤りの変動を解析することができる。加えて、通信誤りの数の監視を常に行い、これが大きくて満足に受信できない場合に報知するので、通信の信頼性が確保できる。報知があった場合は、受信側記録手段１５から記録を読みだして解析すれば、報知があったときだけ一時的に通信誤りが多かったのか、普段からわずかながら発生していたのかなどが判明し、改善策の判断が容易になる。
【００５６】
（実施例４）
次に図４を参照して第４の実施例を説明する。図４は妨害信号の電界強度値を監視し、記録し、異常時に報知するものである。なお図１と同じ機能のものは同一番号とする。図１と比較して、送信装置３は妨害信号を受信する第二の受信アンテナ４１と、妨害信号の電界強度値を測定する妨害電界強度測定手段４２と、異常時に報知する送信側報知手段４３とを有する。
【００５７】
本発明は上記構成により、送信側記録手段８は、妨害信号の電界強度が予め設定した値を越えたときに、送信側時計手段７で計測する時刻と妨害信号の電界強度値とを記録する。また、送信側報知手段４３は所定値以上の強度の妨害信号があったときに報知する。記録する電界強度値は無線通信に大きな影響を及ぼす値、たとえば受信信号と同じ電界強度の妨害信号が有ると判断する値である。また報知する所定値は記録する電界強度値と同じでも良いが、これと別にして妨害信号が強力で無線通信が困難であると判断する値に設定してもよい。
【００５８】
また受信装置９は、妨害信号と受信信号との受信を第一の受信アンテナ４３で共用し、妨害信号の電界強度値を測定する妨害電界強度測定手段４４と、異常時に報知する受信側報知手段２１とを有する。
【００５９】
本発明は上記構成により、受信側記録手段１５は、妨害信号の電界強度が予め設定した値を越えたときに、受信側時計手段１４で計測する時刻と妨害信号の電界強度値とを記録する。また、受信側報知手段２１は、所定値以上の強度の妨害信号があったときに報知する。記録する電界強度値は無線通信に大きな影響を及ぼす値、たとえば受信信号と同じ電界強度の妨害信号が有ると判断する値である。また報知する所定値は妨害信号が非常に強力で無線通信が困難であると判断する値に設定する。
【００６０】
加えて、受信装置９は備えている復調手段１２で妨害信号を復調することができる。復調手段１２で復調した妨害信号の内容を併せて受信側記録手段１５に記録すれば、後に妨害信号を解析する上で非常に参考になる。すなわち、妨害信号が他の無線システムからの送信信号である場合、その送信内容には送信者を特定できる識別符号が含まれているので識別符号から妨害信号の発信源が限定できる。
【００６１】
以上の構成により、周囲環境から妨害信号を受けることを想定して、妨害信号のあった時刻とその電界強度値と妨害信号の内容を記録し、妨害信号の存在を解析することができる。加えて、妨害信号の電界強度値の監視を常に行い、妨害信号が強くて無線通信が困難な場合には報知するので、通信の信頼性が確保できる。報知があった場合は、各々の記録手段から記録を読みだして解析すれば、報知があったときだけ一時的に大きな妨害信号が存在したのか、日常から小さいながら妨害信号が存在したのかなどが判明し、改善策の判断が容易になる。
【００６２】
また、本実施例のように送信装置３と受信装置９と２カ所で妨害信号の電界強度を測定することで妨害信号の発信源がどちらの装置に近いかわかる。さらにこのように妨害信号の電界強度を記録する無線システムが付近に多数設置されれば各地点での電界強度の強さ分布から妨害信号の位置が詳細に追求できる。
【００６３】
なお、送信装置（第一の機器）から受信装置（第二の機器）への一方向通信で説明してきたが、通信の信頼性を高めるために第一の機器と第二の機器とにそれぞれ送信装置と受信装置の両方を備えて双方向通信としたものがある。このような双方向通信の機器は受信装置に復調手段を備えているので、新たに復調回路を必要とせず容易にその場所での妨害信号の内容を記録することが可能である。なお、双方向通信のなかには、第一の送信装置から第二の機器に送信する周波数と、第二の機器から第一の機器に送信する周波数とを異なるものがある。２周波数を使用する無線通信でも第一の機器および第二の機器の受信装置とに本実施例を実施すれば、１周波数ずつ分担して妨害信号を監視することでが容易にできる。
【００６４】
（実施例５）
次に図５を参照して第５の実施例を説明する。図５は妨害信号の時間長を監視し、記録し、異常時に報知するものである。なお図４と同じ機能のものは同一番号とする。図４と比較して、送信装置３は、妨害信号が連続してどのくらいのあいだ存在したかの時間長を測定する送信側第二の時計手段５１を有する。送信側第一の時計手段は図４の送信側時計手段と同じであるので７とする。
【００６５】
本発明は上記構成により、送信側記録手段８は、妨害信号の電界強度が予め設定した値を越えたときに、送信側第二の時計手段５１で妨害信号の時間長を測定する。測定した時間長がが予め設定した値を越えたときに、送信側第一の時計手段７で計測する時刻と妨害信号の時間長とを記録する。また、送信側報知手段４３は所定値よりも長い妨害信号があったときに報知する。記録する時間長は無線通信に大きな影響を及ぼす値、長い妨害信号がたびたびあって無視できないと判断する値である。また報知する時間長はたとえば法律で許容された時間よりも長い妨害信号に設定する。
【００６６】
また受信装置９は、妨害信号が連続してどのくらいのあいだ存在したかの時間長を測定する受信側第二の時計手段５２を有する。受信側第一の時計手段は図４の受信側時計手段と同じであるので１４とする。
【００６７】
本発明は上記構成により、受信側記録手段１５は、妨害信号の電界強度が予め設定した値を越えたときに、受信側第二の時計手段５２で妨害信号の時間長を測定する。測定した時間長が予め設定した値を越えたときに、受信側第一の時計手段１４で計測する時刻と妨害信号の時間長とを記録する。また、受信側報知手段２１は所定値よりも長い妨害信号があったときに報知する。記録する時間長は無線通信に大きな影響を及ぼす値、長い妨害信号がたびたびあって無視できないと判断する値である。また報知する時間長はたとえば法律で許容された時間よりも長い妨害信号に設定する。
【００６８】
加えて、受信装置９は備えている復調手段１２で妨害信号を復調することができる。復調手段１２で復調した妨害信号の内容を併せて受信側記録手段１５に記録すれば、後に妨害信号を解析する上で非常に参考になる。すなわち、妨害信号が他の無線システムからの送信信号である場合、その送信内容には送信者を特定できる識別符号が含まれているので識別符号から妨害信号の発信源が限定できる。
【００６９】
以上の構成により、周囲環境から妨害信号を受けることを想定して、妨害信号のあった時刻とその時間長を記録し、妨害信号の存在を解析することができる。加えて、妨害信号の時間長の監視を常に行い、法律で許されない妨害信号があった時に報知するので、通信の信頼性が確保できる。報知があった場合は、各々の記録手段から記録を読みだして解析すれば、報知があったときだけ一時的に長い妨害信号が存在したのか、日常から短いながら妨害信号が存在したのかなどが判明し、改善策の判断が容易になる。
【００７０】
また、図５において、送信装置または受信装置で第二の時計手段が一定期間毎に妨害信号の時間長の総計を計測し、一定期間の時刻と時間長の総計とを記録手段に記録する。そして、時間長の総計が所定値を越えたときに報知手段が報知する。一定期間毎の妨害信号の時間長の総計を計測することで、その期間に無線信号がどのくらい出ていたのかという混雑度を見ることができる。所定値は無線が非常に混雑して混信などの影響が大きいと判断する値に設定する。混雑度が大きければ無線通信がスムーズにできないので、これを監視し、記録し、報知することで通信の信頼性が確保できる。
【００７１】
（実施例６）
次に図６を参照して第６の実施例を説明する。図６は予め定めた時間に送信装置から無線信号を送信し、受信装置がその無線信号を受信したかを監視し、記録し、異常時に報知するものである。なお図１と同じ機能のものは同一番号とする。図１と比較して、送信装置３は、時間を計って送信すべき時間がきたときに送信データ作成手段に送信データをつくらせ送信させる送信側時計手段６１を有する。一方、受信装置９は時間を計って復調手段１２および受信データ解析手段１３に受信すべき時間がきたことを知らせる受信側時計手段６２を有する。このとき送信側時計手段６１と受信側時計手段６２とは時計ずれがないように調整されている。その他に、時刻を測定している受信側第一の時計手段６３、異常時に報知する受信側報知手段２１を有する。
【００７２】
この無線データ通信システムでは、送信側時計手段６１によって毎日同じ時刻あるいは同じ時間間隔で送信装置３は無線信号を送信し、受信側時計手段６２によってその時刻あるいはその時間間隔を計って受信装置９は無線信号を受信する。これによって例えば１日最低１回通信を行うことで無線データ通信システムやそれに接続した機器が正常に動作していることを定期的に確認することができる。
【００７３】
また、送信側時計手段６１と受信側時計手段６２とを同期させて、送信装置３は送信側時計手段６１のタイミングでのみ送信するようにする。一方、受信装置９の復調手段１２や受信データ解析手段１３の動作電源を受信側時計手段６２のタイミングで供給する。加えて、送信装置３からの無線信号を受信する度に受信データ解析手段１３は受信側第二の時計手段６２の計時時間を補正して送信側時計手段６１と同じになるようする。このように時計ずれを定期的に補正すれば、受信装置９は送信が来るタイミングのときだけ受信系の動作電源を供給するような間欠受信により、待ち受け受信に伴う消費電流を飛躍的に減らすことができる。
【００７４】
本発明は上記構成により、送信装置３は定期的に無線信号を送信し、受信装置９はその無線信号が来るタイミングにある時間待っても受信しないときに、無線システムが正常に働いていないとして受信側記録手段１５は受信側第一の時計手段６３で測定したその時刻を記録する。時刻の他に、受信信号を待っているときの受信状況、例えば受信信号が来なくて受信できなかったのか、妨害信号が出ていて受信できなかったのか、受信信号らしきものは受信したがその解析ができなくて受信できなかったのか、同期信号が解析できなかった、識別符号が所定の符号と合わなかった、通信誤りが発生したなどを詳細に記録する。また、受信側報知手段２１は受信側記録手段１５に記録した回数が所定値を越えたとき、つまり信号を受信できなかった回数が所定値以上あったときに報知する。報知する所定値は影響が大きいと判断する回数に設定する。所定値を１回とすれば受信できなかった度に毎回報知する。
【００７５】
以上の構成によって、周囲環境から影響を受けることを想定して、無線通信を定期的に行って確認し、無線信号を受信できなかった時刻とそのときの状況内容を記録し、解析することができる。加えて、信号が受信できないことが多くて無線システムに大きな影響を及ぼす場合には報知するので、通信の信頼性が確保できる。報知があった場合は、記録手段から記録を読みだして解析すれば改善策の判断が容易になる。
【００７６】
（実施例７）
次に図７を参照して第７の実施例を説明する。図７は送信した無線信号に対してその応答信号が帰ってきたかを監視し、記録し、異常時に報知するものである。なお図１と同じ機能のものは同一番号とする。図１と比較して、送信装置３は、応答信号の受信アンテナ７１、応答信号を復調する応答信号復調手段７２、復調したデータを解析する応答信号解析手段７３、応答信号が帰ってこないことを記録する送信側記録手段８、応答信号が帰ってこないことを報知する送信側報知手段４３を有する。受信装置９は、受信データを解析した結果が正常であれば応答データを作成する応答データ作成手段７４、応答データを変調して応答信号を送信する応答信号変調手段７５、応答信号の送信アンテナ７６を有する。
【００７７】
本発明は上記構成により、受信装置９は送信装置３からの無線信号を正しく受信したときは応答信号を返す。正しく受信できないときは応答信号を返さない。送信装置３はこの応答信号を受信することで先に送信した無線信号が受信装置９に伝送されたことを確認する。送信後ある時間待っても応答信号が受信できないときは、伝送されていないとして無線信号を再び送信する。同時に、あとで解析できるように送信側時計手段７で計測された時刻（＝応答信号が受信できなかった時刻）とその送信データとを送信側記録手段８に記録する。時刻と送信データの他に、応答信号を待っているときの受信状況、例えば応答信号が来なくて受信できなかったのか、妨害信号が出ていて受信できなかったのか、応答信号らしきものは受信したがその解析ができなくて受信できなかったのか、同期信号が解析できなかった、識別符号が所定の符号と合わなかった、通信誤りが発生したなどを詳細に記録する。また、送信側報知手段４３は送信側記録手段８に記録した回数が所定値を越えたとき、つまり応答信号を受信できなかった回数が所定値以上あったときに報知する。報知する所定値は影響が大きいと判断する回数に設定する。所定値は再送する回数とすれば再送を繰り返したが伝送できなかった度に毎回報知する。
【００７８】
以上の構成によって、周囲環境から影響を受けることを想定して、応答信号によって無線通信の信頼性を高め、応答信号を受信できなかった時刻とその送信内容を記録し、解析することができる。加えて、応答信号が帰ってこないことが多くて無線システムに大きな影響を及ぼす場合には報知するので、通信の信頼性が確保できる。報知があった場合は、記録手段から記録を読みだして解析すれば改善策の判断が容易になる。
【００７９】
（実施例８）
次に図８を参照して第８の実施例を説明する。図８は無線データ通信システムの周囲温度と電源電圧値を監視し、記録し、異常時に報知するものである。なお図１や図４と同じ機能のものは同一番号とする。図１と比較して、送信装置３は、周囲温度値を測定する温度測定手段８１と、異常時に報知する送信側報知手段４３とを有する。
【００８０】
本発明は上記構成により、送信側記録手段８は、送信時刻と送信内容に併せて温度測定手段８１で測定した周囲温度値を記録する。また、送信側報知手段４３は周囲温度値が予め設定した許容範囲を越えたときに報知する。予め設定した許容範囲は無線通信が正常に動作する設計範囲である。
【００８１】
受信装置９は、受信装置を駆動する電池電源の電圧を測定する電源電圧測定手段８２と、異常時に報知する受信側報知手段２１を有する。
【００８２】
本発明は上記構成により、受信側記録手段１５は、受信時刻と受信内容に併せて電源電圧測定手段８２で測定した電源電圧値を記録する。また、受信側報知手段２１は電源電圧が予め設定した許容範囲を越えたときに報知する。予め設定した許容範囲は無線通信が正常に動作する設計範囲である。
【００８３】
以上の構成により、周囲環境から温度の影響を受けることを想定して、周囲温度や電源電圧を併せて記録し、解析することができる。加えて、温度と電圧の監視を常に行い、これが設計値を越えた場合には報知するので、通信の信頼性が確保できる。また、電源電圧を監視することで、電池切れ時の報知も兼ねることができる。
【００８４】
なお、図８では送信装置３に温度測定手段６１を、受信装置に電源電圧測定手段８２を有したが、その逆でもよく、戸外に設置して温度環境の厳しいものに温度測定手段を、また電池消耗の激しいものに電源電圧測定手段を備えればよい。
【００８５】
なお、上記実施例ではメータと電話回線接続装置を用いて説明したが、固定設置され無線通信を用いた機器であればこの限りではない。たとえば、燃料の残量を計測する機器とそれを表示する機器でもよいし、エアコンやテレビのような機器と定期的に通信して制御するリモコンでもよい。ここで、リモコンはリモコン台に収納されていれば固定の位置に設置してあるし、テレビは通常移動させて見るものではないので固定設置である。
【００８６】
また、上記実施例では第一の機器と第二の機器とで通信を行って説明したが、第一の機器と複数の機器とで通信を行っても、複数の機器どうしで通信を行っても効果がある。
【００８９】
【発明の効果】
送信装置は送信した時刻と送信した内容を、受信装置は受信した時刻と受信した内容を記録しているので送信装置、受信装置それぞれで記録をとって送信と受信とで比較解析すれば送信したのに受信できなかったことも解析できる。
【００９０】
また、送信装置は所定の送信時間に送信する一方で、受信装置は受信予定時間であるのに無線信号を受信できなかったときに記録手段に時刻を記録し、またその回数が所定値を越えたときに報知手段が報知するので通信状況の安定性を監視し解析することができる。
【００９１】
また、無線信号を送信した後に応答信号を受信する送信装置は、無線信号を送信した後に応答信号を受信できなかったときに記録手段に送信時刻と送信内容とを記録し、また、その回数が所定値を越えたときに報知手段が報知するので通信状況の安定性を監視し解析することができる。
【００９５】
あるいは、送信装置または受信装置は、妨害信号を検知した時刻と時間長を記録するので、妨害信号の存在を監視し解析することができる。
【００９６】
あるいは、送信装置または受信装置は、一定期間毎に妨害信号の時間長の総計を記録するので、混雑度を監視し解析することができる。
【０１０４】
以上によって、まとめれば
（１）機器に原因不明の不都合が発生したとき、そのときに無線データ通信システムが正常に通信していたのか調べらる。すなわち、常に通信の信頼性を常に保証できる。
【０１０５】
（２）環境モニターを設置しなくても、無線通信に適した要素を監視できる。
（３）通信状態が悪化したときに周囲環境で何が発生していたのか、後で解析できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１の実施例における機器と無線データ通信システムのブロック図
【図２】本発明の第２の実施例における機器と無線データ通信システムのブロック図
【図３】本発明の第３の実施例における機器と無線データ通信システムのブロック図
【図４】本発明の第４の実施例における機器と無線データ通信システムのブロック図
【図５】本発明の第５の実施例における機器と無線データ通信システムのブロック図
【図６】本発明の第６の実施例における機器と無線データ通信システムのブロック図
【図７】本発明の第７の実施例における機器と無線データ通信システムのブロック図
【図８】本発明の第８の実施例における機器と無線データ通信システムのブロック図
【図９】従来の実施例における機器と無線データ通信システムのブロック図
【符号の説明】
１ メーター（第一の機器）
２ 計量装置
３ 送信装置
４ 送信データ生成手段
５ 変調手段
６ 送信アンテナ
７ 送信側時計手段
８ 送信側記録手段
９ 受信装置
１０ 電話回線接続装置（第二の機器）
１１ 受信アンテナ
１２ 復調手段
１３ 受信データ解析手段
１４ 受信側時計手段
１５ 受信側記録手段
１６ 中継手段
２０ 受信電界強度測定手段
２１ 受信側報知手段
３１ 誤り検出情報付加手段
３２ 誤り検出手段
４１ 第二の受信アンテナ
４２ 妨害電界強度測定手段
４３ 送信側報知手段
４４ 第一の受信アンテナ
４５ 妨害電界強度測定手段
５１ 送信側第二の時計手段
５２ 受信側第二の時計手段
７１ 応答信号受信アンテナ
７２ 応答信号復調手段
７３ 応答データ解析手段
７４ 応答データ作成手段
７５ 応答信号変調手段
７６ 応答信号送信アンテナ
８１ 温度測定手段
８２ 電源電圧測定手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物などに固定設置して無線通信を行う無線データ通信システムに関するもので、特に機器設置後の電波環境の監視を行うものである。
【０００２】
【従来の技術】
固定設置するような機器のデータ通信、例えば給湯機とそのリモコンの通信や石油貯蔵タンクとその残量メータなどは家屋の壁を隔てて通信する必要がある。従来、それには信号線を接続して行う有線式が主流であった。しかし以下の利点から信号線に代わって電波を用いる無線式に移行している。
【０００３】
（１）信号線を敷設する必要がなく設置工事が簡易であること。
（２）信号線の断線がなくメンテナンスが容易であること。
【０００４】
（３）無線化することで設置場所を選ばないシステムが新たに可能となること。
【０００５】
上述３の例として電気、水道などのメータに無線のデータ通信機能を持たせ、計測したデータを送信して遠隔で収集するようなシステムが考えられる。例えば特開昭６４−７２００号公報に記載されている。
【０００６】
以下、図９を参照してこのような無線データ通信システムについて簡単に説明する。２０１はデータ収集器、２０４はメータであり、データ収集器２０１とメータ２０４との間を無線で接続して、メータ２０４からデータ収集器２０１にメータ２０４のデータを収集する。データ収集器２０１の送信部２０３から無線でデータ収集値要求信号が送信される。これをメータ２０４の受信部２０５で受信すると、メータの計量部２０６で計測した値を記録している計測値記憶部２０７の計量値を送信部２０８を介して無線でデータ収集器２０１へ送信する。データ収集器２０１はこの計量値を受信部２０９で受信してデータ表示部２１０で表示したりデータ記憶部２１１で記録するものである。このデータ収集器２０１を電話回線などの通信回線と接続して収集すれば遠隔にしてデータ収集ができる。
【０００７】
しかしながら従来の有線通信に比較すると無線通信は次のような課題を持つ。すなわち、無線通信は電波伝幡上の障害物や妨害信号などの周囲環境の影響を受け易い。例えば、人物や自動車などの障害物の存在によって電波が伝わりにくくなり、その結果、通信可能な距離が短くなることがある。また、無線データ通信システムの近くから同じような周波数で大出力で送信されるとそれが妨害信号となり通信が困難になることがある。
【０００８】
このような周囲環境から受ける通信状態の変化に対して、携帯電話などの電話では使用者が相手の声の明瞭度によって通信状態をリアルタイムに把握しており、悪化すればこれを認識して対処方法を知ることができた。これに対して、上述のようにデータ収集を行うものも、通信状態を把握し悪化したときの原因追究を行えるような機能が必要である。
【０００９】
従来、このようなものには電波環境を調べるものがあり、例えば特開平４−１４９７１３号公報に記載されている環境モニターがある。これは予め設定した電界強度許容値を超えたときに時刻と周波数と強度とを記録し異常信号を出力するものである。
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の環境モニターは測定装置である。すなわち、機器を取り付ける場所を選択するために設置時にのみ用いるものである。あるいは機器の動作に不具合が発生したとき、それを究明するため電波環境を調べる測定装置である。これでは設置後の電波環境が変化してもわからない。そして、不具合が発生したときに無線通信がどのような状況であったか、正常に機能していたか、電波環境が悪化していたのかはわからない。
【００１１】
また、妨害電波の大きさを監視するものであり、その他に、その妨害電波の発信源や妨害電波の時間長（通信ができない時間長）や無線通信の混雑度を監視する必要がある。
【００１２】
また、電波環境は妨害信号だけではない。人物や自動車などの障害物によって受信信号が弱くなり通信可能な距離が短くなることがある。その結果、いままでは通信可能であった場所が通信不能となることが考えられる。
【００１３】
加えて、建物外に設置される機器に特有の課題として周囲温度の変化幅の大きさがあげられる。このような機器では冬場の戸外や夏場の直射日光があり、設置される温度範囲は非常に広い。温度が下がると駆動電源である電池の電圧が下がる。それにともなって送信装置では送信出力が減少し、また受信装置では受信性能が劣化してくる。したがって周囲温度によって無線通信可能な距離が大きく変化する。
【００１４】
さらに、機器によっては不具合が発生した場合に、その場所で記録内容を見てこれを解析するということが、温度環境や空間スペースの点から困難である。機器全体を持ち帰って調査することは大がかりである。
【００１５】
以上のように、まとめれば、
（１）機器に原因不明の不都合が発生したとき、無線データ通信システムが正常に機能していたのか調べられない。常に通信の信頼性を保証する必要がある。
【００１６】
（２）環境モニターのような測定装置を新たに設置しなければ妨害信号などを調べられない。
【００１７】
（３）妨害電波の強さだけでなく他にも無線通信に関係する要素を監視する必要がある。
【００１８】
（４）通信状態が悪化したときに周囲環境で何が発生していたのか、後で解析できるようにする必要がある。
【００１９】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、無線信号を送信する送信装置は、送信時刻を計測する時計手段と、送信時刻と送信内容とを記録する送信記録手段とを有するものである。また、無線信号を受信する受信装置は、受信時刻を計測する時計手段と、受信時刻と受信内容とを記録する受信記録手段とを有するものである。
【００２０】
上記構成によって、送信装置は送信した時刻と送信した内容を記録し、機器に不具合があったときに記録内容を解析すれば送信装置が正常に送信していたか、送信していなかったか判明することができる。そして、受信装置の記憶手段は受信した時刻と受信した内容を記録しているので機器に不具合があったときに受信装置が正常に受信していたか解析できる。
【００２３】
【発明の実施の形態】
送信装置は、送信時刻を計測する時計手段と、送信時刻と送信内容とを記録する送信記録手段とを有し、受信装置は、受信時刻を計測する時計手段と、受信時刻と受信内容とを記録する受信記録手段とを有し前記送信記録手段の記録と前記受信記録手段の記録とで比較分析するものである。そして、送信装置、受信装置それぞれの記録手段は送信した時刻と受信した時刻、ならびに送信した内容と受信した内容を記録しているので送信装置、受信装置それぞれで記録をとって送信と受信とで比較解析すれば送信したのに受信できなかったことも解析できる。
【００２４】
また、送信装置は送信時刻を計測する第一の時計手段を備えて予め定めた時間に無線信号を送信し、受信装置は、受信予定時間を計測する第二の時計手段と、時刻を計測する第三の時計手段と、受信予定時間に無線信号を受信できなかったときに時刻を記録する記録手段とを有するものである。そして、送信装置は予め定めた時間に無線信号を送信し、受信装置は受信予定時間を計測して無線信号を受信できなかったときに記録手段に時刻を記録するので通信状況の安定性をいつでも解析することができる。
【００２５】
また、無線信号を送信した後に応答信号を受信する送信装置は、送信時刻を計測する時計手段と、応答信号を受信できなかったときに送信時刻と送信内容とを記録する記録手段とを有するものである。そして、送信装置は無線信号を送信した後に応答信号を受信して通信の確認を行い、応答信号を受信できなかったときに記録手段に送信時刻と送信内容とを記録するので通信状況の安定性をいつでも解析することができる。
【００３１】
あるいは、送信装置または受信装置は、妨害信号の受信時刻を計測する第一の時計手段と、妨害信号の時間長を計測する第二の時計手段と、時間長が予め設定した値を越えたときに受信時刻と時間長とを記録する記録手段を有するものである。そして、送信装置または受信装置の記録手段は妨害信号を検知した時刻と時間長を記録しするので、妨害信号の存在をいつでも解析することができる。
【００３３】
また、送信装置または受信装置は、一定期間毎に妨害信号の時間長の総計を計測する第三の時計手段と、一定期間の時刻と時間長の総計とを記録する記録手段とを有するものである。そして、送信装置または受信装置の記録手段は一定期間毎に妨害信号の時間長の総計を記録するので、混雑度をいつでも解析することができる。
【００４３】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
（実施例１）
図１において、本発明の第１の実施例を説明する。１は第一の機器であるメータである。計量装置２で電気や水道の使用量を測定し、測定データを出力する。３は無線システムの送信装置である。メータ１からの測定データを電波で出力するもので以下の手段から構成される。４は送信データ生成手段で、計量装置２からの測定データを基に無線通信用の送信データを生成する。例えば、測定データに同期符号や混信を防止するための識別符号を付加し、第三者に測定データが見えないようにスクランブルを施す。このような送信データは変調手段５で無線信号に変調され、送信アンテナ６から送信される。このとき、送信した時間と送信データの内容とを後に解析できるように、送信側時計手段７で計測された時刻と送信データとを送信側記録手段８に記録する。記録するのは送信データの一部であっても、またその内容を示す記号でも良い。
【００４４】
９は無線システムの受信装置で、送信装置３からの受信データを第二の機器である電話回線接続装置１０に出力する。受信装置９は以下の手段から構成される。受信アンテナ１１を通して受信した無線信号は復調手段１２で受信データに復調される。そして受信データ解析手段１３で、同期符号によってデータの位置を捜し出しデータ解析を行う。つまり、電話回線接続装置１０に出力して良いデータかどうか、例えば受信すべき相手からの信号かどうかを識別符号で確認し、受信データから測定データを取り出して出力する。このとき、受信した時間と受信データの内容とを後に解析できるように、受信側時計手段１４で計測された時刻と受信データとを受信側記録手段１５に記録する。記録するのは受信データの一部であっても、またその内容を示す記号でも良い。記録手段は電池切れや停電などでも記録内容が残るように不揮発性半導体メモリや磁気ディスクなどがよい。
【００４５】
電話回線接続装置１０は中継手段１６を有する。中継手段１６は電話回線に接続して、受信データ解析手段１３から受信データを受け取るとデータ収集局に電話をかけてこれを送信する。データ収集局に送信すべきデータがなくなったときは電話を切って電話回線を切り離す。
【００４６】
本発明は上記構成によって、送信装置は送信した時刻と送信した内容を、一方で受信装置は受信した時刻と受信した内容を記録しているので機器に不具合があったときに送信装置が正常なデータを送信していたか、受信装置は受信に誤りがないかを解析でき、発生した不具合に無線データ通信システムが関わっていたかがはっきりできる。特に図１のように、送信装置、受信装置それぞれで記録をとって比較解析すれば送信したのに受信できなかったことも解析できる。
【００４７】
送信側記録手段８および受信側記録手段１５には無線通信を行う毎に記録されていくが、記録容量が一杯となって不足すれば古い記録の上書きする。すなわち、不具合が判明したときに時間を遡ってそのときの状況を解析するのに必要なだけ、一定期間あいだの記録を残しておけばよい。
【００４８】
なお、解析時に記録内容を読み出すときに、読み出すための装置（以下、読み出し装置）を現場に持っていてもよいが、送信側記録手段８は送信装置３から取り外し可能とする。そうすれば取り外して持ち帰り、解析することができる。これは読み出し装置が大型であれば大変有効である。あるいは、送信側記録手段８は通信機能を備えて読み出し装置と通信して記録内容を読み出す。例えば電話回線接装置１０の中継手段１６を通じて読み出し装置と通信して記録内容を読み出す。このようにすれば、その場で記録読み出しや解析ができない場所に設置された機器についても、記録手段を取り外して設備の整った場所で解析ができる。またその場に行かなくても記録を読み出して解析できるので迅速に対応できる。受信側記録手段１５についても、受信装置９から取り外し可能、あるいは通信機能を備えて記録内容を読み出す。
【００４９】
（実施例２）
次に図２を参照して第２の実施例を説明する。図２は受信信号の電界強度値を監視し、記録し、異常時に報知するものである。なお図１と同じ機能のものは同一番号とする。図１と比較して、受信装置９は受信信号の電界強度値を測定する受信電界強度測定手段２０と異常時に報知する受信側報知手段２１を有する。
【００５０】
本発明は上記構成によって、受信側記録手段１５は、受信側時計手段１４で計測する受信時刻と受信信号の電界強度値とを一定期間記録する。また、受信側報知手段２１は電界強度値が所定値以下であるときに報知する。この所定値は確実な受信に必要な最低の電界強度値に設定する。また受信側報知手段２１は受信側記録手段１５に記録した回数が所定値を越えたときに報知する。すなわち、記録が多くなって記録容量の残りが減り記録できなくなることが発生する前に記録した内容を読み出す必要があることを知らせる。あるいは、一定期間が近くて記録した内容が消去されることを知らせる。
【００５１】
報知方法としてブザーによる音やＬＥＤによる表示で付近の者に知らせる。また、電話回線接続装置１０を利用して自動的に電話回線で管理者や施工業者に直接通報する。このように通信するときは受信側記録手段１５に記録した内容も併せて通報すれば、直ちに解析して調べることができる。
【００５２】
以上の構成により、周囲環境が変化して受信信号が弱くなることを想定して、受信信号のあった時刻とその電界強度値を一定期間記録し、電界強度値の変動を解析することができる。加えて、電界強度値の監視を常に行い、これが小さくて満足に受信できない場合に報知するので、通信の信頼性が確保できる。報知があった場合は、受信側記録手段１５から記録を読みだして解析すれば、報知があったときだけ一時的に電界強度値が小さかったのか、日常から小さい傾向にあったのかなどが判明し、改善策の判断が容易になる。
【００５３】
（実施例３）
次に図３を参照して第３の実施例を説明する。図３は送信装置で無線信号に通信内容についての誤り検出情報を持たせ、受信装置は通信誤りを監視し、記録し、通信誤りが多ければ報知するものである。なお図１と同じ機能のものは同一番号とする。図１と比較して、送信装置３に誤り検出情報付加手段３１を、受信装置９に誤り検出手段３２と受信側報知手段２１を有する。
【００５４】
本発明は上記構成により、誤り検出情報付加手段３１は、送信データ作成手段４からの送信データに誤り検出情報を付加して変調手段５に出力する。誤り検出情報として、パリティ符号やＣＲＣ符号、ＢＣＨ符号などが用いられる。また、誤り検出だけでなく誤り訂正情報を加えればさらによい。受信装置９の誤り検出手段３２は、受信したデータに含まれている誤り検出情報を基にして、無線通信の途中で通信誤りが発生したか、発生しているならばどの程度発生したかを計算する。誤り検出の結果、通信誤りがない場合には誤り検出情報を取り除いたデータを受信データ解析手段１３に出力する。通信誤りがあった場合には、受信データ解析手段１３に出力しない。また、誤り訂正情報によって誤り訂正が可能であった場合は、誤り訂正を行った受信データ１３に出力する。それとともに、受信側時計手段１４で計測する受信時刻と通信誤りの有無とを受信側記録手段１５に一定期間記録する。通信誤りが有った場合には、どの程度有ったか、データのどの部分に有ったか、例えば同期信号にあったのか、識別符号にあったのか、データ内容にあったのかなど詳細に記録する。また、受信側報知手段２１は通信誤りの数が所定値以上であるときに報知する。この所定値は確実な受信に許容される最低の通信誤り値に設定する。所定値を１とすれば、１回でも通信誤りがあれば報知される。なお、通信誤りの数を用いる代わりに、通信誤り率を記録して誤り率が所定値以上のときに報知してもよい。
【００５５】
以上の構成により、周囲環境が変化し受信信号が弱くなったりして通信誤りが変化することを想定して、受信信号のあった時刻とその通信誤りの状況を一定期間記録し、通信誤りの変動を解析することができる。加えて、通信誤りの数の監視を常に行い、これが大きくて満足に受信できない場合に報知するので、通信の信頼性が確保できる。報知があった場合は、受信側記録手段１５から記録を読みだして解析すれば、報知があったときだけ一時的に通信誤りが多かったのか、普段からわずかながら発生していたのかなどが判明し、改善策の判断が容易になる。
【００５６】
（実施例４）
次に図４を参照して第４の実施例を説明する。図４は妨害信号の電界強度値を監視し、記録し、異常時に報知するものである。なお図１と同じ機能のものは同一番号とする。図１と比較して、送信装置３は妨害信号を受信する第二の受信アンテナ４１と、妨害信号の電界強度値を測定する妨害電界強度測定手段４２と、異常時に報知する送信側報知手段４３とを有する。
【００５７】
本発明は上記構成により、送信側記録手段８は、妨害信号の電界強度が予め設定した値を越えたときに、送信側時計手段７で計測する時刻と妨害信号の電界強度値とを記録する。また、送信側報知手段４３は所定値以上の強度の妨害信号があったときに報知する。記録する電界強度値は無線通信に大きな影響を及ぼす値、たとえば受信信号と同じ電界強度の妨害信号が有ると判断する値である。また報知する所定値は記録する電界強度値と同じでも良いが、これと別にして妨害信号が強力で無線通信が困難であると判断する値に設定してもよい。
【００５８】
また受信装置９は、妨害信号と受信信号との受信を第一の受信アンテナ４３で共用し、妨害信号の電界強度値を測定する妨害電界強度測定手段４４と、異常時に報知する受信側報知手段２１とを有する。
【００５９】
本発明は上記構成により、受信側記録手段１５は、妨害信号の電界強度が予め設定した値を越えたときに、受信側時計手段１４で計測する時刻と妨害信号の電界強度値とを記録する。また、受信側報知手段２１は、所定値以上の強度の妨害信号があったときに報知する。記録する電界強度値は無線通信に大きな影響を及ぼす値、たとえば受信信号と同じ電界強度の妨害信号が有ると判断する値である。また報知する所定値は妨害信号が非常に強力で無線通信が困難であると判断する値に設定する。
【００６０】
加えて、受信装置９は備えている復調手段１２で妨害信号を復調することができる。復調手段１２で復調した妨害信号の内容を併せて受信側記録手段１５に記録すれば、後に妨害信号を解析する上で非常に参考になる。すなわち、妨害信号が他の無線システムからの送信信号である場合、その送信内容には送信者を特定できる識別符号が含まれているので識別符号から妨害信号の発信源が限定できる。
【００６１】
以上の構成により、周囲環境から妨害信号を受けることを想定して、妨害信号のあった時刻とその電界強度値と妨害信号の内容を記録し、妨害信号の存在を解析することができる。加えて、妨害信号の電界強度値の監視を常に行い、妨害信号が強くて無線通信が困難な場合には報知するので、通信の信頼性が確保できる。報知があった場合は、各々の記録手段から記録を読みだして解析すれば、報知があったときだけ一時的に大きな妨害信号が存在したのか、日常から小さいながら妨害信号が存在したのかなどが判明し、改善策の判断が容易になる。
【００６２】
また、本実施例のように送信装置３と受信装置９と２カ所で妨害信号の電界強度を測定することで妨害信号の発信源がどちらの装置に近いかわかる。さらにこのように妨害信号の電界強度を記録する無線システムが付近に多数設置されれば各地点での電界強度の強さ分布から妨害信号の位置が詳細に追求できる。
【００６３】
なお、送信装置（第一の機器）から受信装置（第二の機器）への一方向通信で説明してきたが、通信の信頼性を高めるために第一の機器と第二の機器とにそれぞれ送信装置と受信装置の両方を備えて双方向通信としたものがある。このような双方向通信の機器は受信装置に復調手段を備えているので、新たに復調回路を必要とせず容易にその場所での妨害信号の内容を記録することが可能である。なお、双方向通信のなかには、第一の送信装置から第二の機器に送信する周波数と、第二の機器から第一の機器に送信する周波数とを異なるものがある。２周波数を使用する無線通信でも第一の機器および第二の機器の受信装置とに本実施例を実施すれば、１周波数ずつ分担して妨害信号を監視することでが容易にできる。
【００６４】
（実施例５）
次に図５を参照して第５の実施例を説明する。図５は妨害信号の時間長を監視し、記録し、異常時に報知するものである。なお図４と同じ機能のものは同一番号とする。図４と比較して、送信装置３は、妨害信号が連続してどのくらいのあいだ存在したかの時間長を測定する送信側第二の時計手段５１を有する。送信側第一の時計手段は図４の送信側時計手段と同じであるので７とする。
【００６５】
本発明は上記構成により、送信側記録手段８は、妨害信号の電界強度が予め設定した値を越えたときに、送信側第二の時計手段５１で妨害信号の時間長を測定する。測定した時間長がが予め設定した値を越えたときに、送信側第一の時計手段７で計測する時刻と妨害信号の時間長とを記録する。また、送信側報知手段４３は所定値よりも長い妨害信号があったときに報知する。記録する時間長は無線通信に大きな影響を及ぼす値、長い妨害信号がたびたびあって無視できないと判断する値である。また報知する時間長はたとえば法律で許容された時間よりも長い妨害信号に設定する。
【００６６】
また受信装置９は、妨害信号が連続してどのくらいのあいだ存在したかの時間長を測定する受信側第二の時計手段５２を有する。受信側第一の時計手段は図４の受信側時計手段と同じであるので１４とする。
【００６７】
本発明は上記構成により、受信側記録手段１５は、妨害信号の電界強度が予め設定した値を越えたときに、受信側第二の時計手段５２で妨害信号の時間長を測定する。測定した時間長が予め設定した値を越えたときに、受信側第一の時計手段１４で計測する時刻と妨害信号の時間長とを記録する。また、受信側報知手段２１は所定値よりも長い妨害信号があったときに報知する。記録する時間長は無線通信に大きな影響を及ぼす値、長い妨害信号がたびたびあって無視できないと判断する値である。また報知する時間長はたとえば法律で許容された時間よりも長い妨害信号に設定する。
【００６８】
加えて、受信装置９は備えている復調手段１２で妨害信号を復調することができる。復調手段１２で復調した妨害信号の内容を併せて受信側記録手段１５に記録すれば、後に妨害信号を解析する上で非常に参考になる。すなわち、妨害信号が他の無線システムからの送信信号である場合、その送信内容には送信者を特定できる識別符号が含まれているので識別符号から妨害信号の発信源が限定できる。
【００６９】
以上の構成により、周囲環境から妨害信号を受けることを想定して、妨害信号のあった時刻とその時間長を記録し、妨害信号の存在を解析することができる。加えて、妨害信号の時間長の監視を常に行い、法律で許されない妨害信号があった時に報知するので、通信の信頼性が確保できる。報知があった場合は、各々の記録手段から記録を読みだして解析すれば、報知があったときだけ一時的に長い妨害信号が存在したのか、日常から短いながら妨害信号が存在したのかなどが判明し、改善策の判断が容易になる。
【００７０】
また、図５において、送信装置または受信装置で第二の時計手段が一定期間毎に妨害信号の時間長の総計を計測し、一定期間の時刻と時間長の総計とを記録手段に記録する。そして、時間長の総計が所定値を越えたときに報知手段が報知する。一定期間毎の妨害信号の時間長の総計を計測することで、その期間に無線信号がどのくらい出ていたのかという混雑度を見ることができる。所定値は無線が非常に混雑して混信などの影響が大きいと判断する値に設定する。混雑度が大きければ無線通信がスムーズにできないので、これを監視し、記録し、報知することで通信の信頼性が確保できる。
【００７１】
（実施例６）
次に図６を参照して第６の実施例を説明する。図６は予め定めた時間に送信装置から無線信号を送信し、受信装置がその無線信号を受信したかを監視し、記録し、異常時に報知するものである。なお図１と同じ機能のものは同一番号とする。図１と比較して、送信装置３は、時間を計って送信すべき時間がきたときに送信データ作成手段に送信データをつくらせ送信させる送信側時計手段６１を有する。一方、受信装置９は時間を計って復調手段１２および受信データ解析手段１３に受信すべき時間がきたことを知らせる受信側時計手段６２を有する。このとき送信側時計手段６１と受信側時計手段６２とは時計ずれがないように調整されている。その他に、時刻を測定している受信側第一の時計手段６３、異常時に報知する受信側報知手段２１を有する。
【００７２】
この無線データ通信システムでは、送信側時計手段６１によって毎日同じ時刻あるいは同じ時間間隔で送信装置３は無線信号を送信し、受信側時計手段６２によってその時刻あるいはその時間間隔を計って受信装置９は無線信号を受信する。これによって例えば１日最低１回通信を行うことで無線データ通信システムやそれに接続した機器が正常に動作していることを定期的に確認することができる。
【００７３】
また、送信側時計手段６１と受信側時計手段６２とを同期させて、送信装置３は送信側時計手段６１のタイミングでのみ送信するようにする。一方、受信装置９の復調手段１２や受信データ解析手段１３の動作電源を受信側時計手段６２のタイミングで供給する。加えて、送信装置３からの無線信号を受信する度に受信データ解析手段１３は受信側第二の時計手段６２の計時時間を補正して送信側時計手段６１と同じになるようする。このように時計ずれを定期的に補正すれば、受信装置９は送信が来るタイミングのときだけ受信系の動作電源を供給するような間欠受信により、待ち受け受信に伴う消費電流を飛躍的に減らすことができる。
【００７４】
本発明は上記構成により、送信装置３は定期的に無線信号を送信し、受信装置９はその無線信号が来るタイミングにある時間待っても受信しないときに、無線システムが正常に働いていないとして受信側記録手段１５は受信側第一の時計手段６３で測定したその時刻を記録する。時刻の他に、受信信号を待っているときの受信状況、例えば受信信号が来なくて受信できなかったのか、妨害信号が出ていて受信できなかったのか、受信信号らしきものは受信したがその解析ができなくて受信できなかったのか、同期信号が解析できなかった、識別符号が所定の符号と合わなかった、通信誤りが発生したなどを詳細に記録する。また、受信側報知手段２１は受信側記録手段１５に記録した回数が所定値を越えたとき、つまり信号を受信できなかった回数が所定値以上あったときに報知する。報知する所定値は影響が大きいと判断する回数に設定する。所定値を１回とすれば受信できなかった度に毎回報知する。
【００７５】
以上の構成によって、周囲環境から影響を受けることを想定して、無線通信を定期的に行って確認し、無線信号を受信できなかった時刻とそのときの状況内容を記録し、解析することができる。加えて、信号が受信できないことが多くて無線システムに大きな影響を及ぼす場合には報知するので、通信の信頼性が確保できる。報知があった場合は、記録手段から記録を読みだして解析すれば改善策の判断が容易になる。
【００７６】
（実施例７）
次に図７を参照して第７の実施例を説明する。図７は送信した無線信号に対してその応答信号が帰ってきたかを監視し、記録し、異常時に報知するものである。なお図１と同じ機能のものは同一番号とする。図１と比較して、送信装置３は、応答信号の受信アンテナ７１、応答信号を復調する応答信号復調手段７２、復調したデータを解析する応答信号解析手段７３、応答信号が帰ってこないことを記録する送信側記録手段８、応答信号が帰ってこないことを報知する送信側報知手段４３を有する。受信装置９は、受信データを解析した結果が正常であれば応答データを作成する応答データ作成手段７４、応答データを変調して応答信号を送信する応答信号変調手段７５、応答信号の送信アンテナ７６を有する。
【００７７】
本発明は上記構成により、受信装置９は送信装置３からの無線信号を正しく受信したときは応答信号を返す。正しく受信できないときは応答信号を返さない。送信装置３はこの応答信号を受信することで先に送信した無線信号が受信装置９に伝送されたことを確認する。送信後ある時間待っても応答信号が受信できないときは、伝送されていないとして無線信号を再び送信する。同時に、あとで解析できるように送信側時計手段７で計測された時刻（＝応答信号が受信できなかった時刻）とその送信データとを送信側記録手段８に記録する。時刻と送信データの他に、応答信号を待っているときの受信状況、例えば応答信号が来なくて受信できなかったのか、妨害信号が出ていて受信できなかったのか、応答信号らしきものは受信したがその解析ができなくて受信できなかったのか、同期信号が解析できなかった、識別符号が所定の符号と合わなかった、通信誤りが発生したなどを詳細に記録する。また、送信側報知手段４３は送信側記録手段８に記録した回数が所定値を越えたとき、つまり応答信号を受信できなかった回数が所定値以上あったときに報知する。報知する所定値は影響が大きいと判断する回数に設定する。所定値は再送する回数とすれば再送を繰り返したが伝送できなかった度に毎回報知する。
【００７８】
以上の構成によって、周囲環境から影響を受けることを想定して、応答信号によって無線通信の信頼性を高め、応答信号を受信できなかった時刻とその送信内容を記録し、解析することができる。加えて、応答信号が帰ってこないことが多くて無線システムに大きな影響を及ぼす場合には報知するので、通信の信頼性が確保できる。報知があった場合は、記録手段から記録を読みだして解析すれば改善策の判断が容易になる。
【００７９】
（実施例８）
次に図８を参照して第８の実施例を説明する。図８は無線データ通信システムの周囲温度と電源電圧値を監視し、記録し、異常時に報知するものである。なお図１や図４と同じ機能のものは同一番号とする。図１と比較して、送信装置３は、周囲温度値を測定する温度測定手段８１と、異常時に報知する送信側報知手段４３とを有する。
【００８０】
本発明は上記構成により、送信側記録手段８は、送信時刻と送信内容に併せて温度測定手段８１で測定した周囲温度値を記録する。また、送信側報知手段４３は周囲温度値が予め設定した許容範囲を越えたときに報知する。予め設定した許容範囲は無線通信が正常に動作する設計範囲である。
【００８１】
受信装置９は、受信装置を駆動する電池電源の電圧を測定する電源電圧測定手段８２と、異常時に報知する受信側報知手段２１を有する。
【００８２】
本発明は上記構成により、受信側記録手段１５は、受信時刻と受信内容に併せて電源電圧測定手段８２で測定した電源電圧値を記録する。また、受信側報知手段２１は電源電圧が予め設定した許容範囲を越えたときに報知する。予め設定した許容範囲は無線通信が正常に動作する設計範囲である。
【００８３】
以上の構成により、周囲環境から温度の影響を受けることを想定して、周囲温度や電源電圧を併せて記録し、解析することができる。加えて、温度と電圧の監視を常に行い、これが設計値を越えた場合には報知するので、通信の信頼性が確保できる。また、電源電圧を監視することで、電池切れ時の報知も兼ねることができる。
【００８４】
なお、図８では送信装置３に温度測定手段６１を、受信装置に電源電圧測定手段８２を有したが、その逆でもよく、戸外に設置して温度環境の厳しいものに温度測定手段を、また電池消耗の激しいものに電源電圧測定手段を備えればよい。
【００８５】
なお、上記実施例ではメータと電話回線接続装置を用いて説明したが、固定設置され無線通信を用いた機器であればこの限りではない。たとえば、燃料の残量を計測する機器とそれを表示する機器でもよいし、エアコンやテレビのような機器と定期的に通信して制御するリモコンでもよい。ここで、リモコンはリモコン台に収納されていれば固定の位置に設置してあるし、テレビは通常移動させて見るものではないので固定設置である。
【００８６】
また、上記実施例では第一の機器と第二の機器とで通信を行って説明したが、第一の機器と複数の機器とで通信を行っても、複数の機器どうしで通信を行っても効果がある。
【００８９】
【発明の効果】
送信装置は送信した時刻と送信した内容を、受信装置は受信した時刻と受信した内容を記録しているので送信装置、受信装置それぞれで記録をとって送信と受信とで比較解析すれば送信したのに受信できなかったことも解析できる。
【００９０】
また、送信装置は所定の送信時間に送信する一方で、受信装置は受信予定時間であるのに無線信号を受信できなかったときに記録手段に時刻を記録し、またその回数が所定値を越えたときに報知手段が報知するので通信状況の安定性を監視し解析することができる。
【００９１】
また、無線信号を送信した後に応答信号を受信する送信装置は、無線信号を送信した後に応答信号を受信できなかったときに記録手段に送信時刻と送信内容とを記録し、また、その回数が所定値を越えたときに報知手段が報知するので通信状況の安定性を監視し解析することができる。
【００９５】
あるいは、送信装置または受信装置は、妨害信号を検知した時刻と時間長を記録するので、妨害信号の存在を監視し解析することができる。
【００９６】
あるいは、送信装置または受信装置は、一定期間毎に妨害信号の時間長の総計を記録するので、混雑度を監視し解析することができる。
【０１０４】
以上によって、まとめれば
（１）機器に原因不明の不都合が発生したとき、そのときに無線データ通信システムが正常に通信していたのか調べらる。すなわち、常に通信の信頼性を常に保証できる。
【０１０５】
（２）環境モニターを設置しなくても、無線通信に適した要素を監視できる。
（３）通信状態が悪化したときに周囲環境で何が発生していたのか、後で解析できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１の実施例における機器と無線データ通信システムのブロック図
【図２】本発明の第２の実施例における機器と無線データ通信システムのブロック図
【図３】本発明の第３の実施例における機器と無線データ通信システムのブロック図
【図４】本発明の第４の実施例における機器と無線データ通信システムのブロック図
【図５】本発明の第５の実施例における機器と無線データ通信システムのブロック図
【図６】本発明の第６の実施例における機器と無線データ通信システムのブロック図
【図７】本発明の第７の実施例における機器と無線データ通信システムのブロック図
【図８】本発明の第８の実施例における機器と無線データ通信システムのブロック図
【図９】従来の実施例における機器と無線データ通信システムのブロック図
【符号の説明】
１ メーター（第一の機器）
２ 計量装置
３ 送信装置
４ 送信データ生成手段
５ 変調手段
６ 送信アンテナ
７ 送信側時計手段
８ 送信側記録手段
９ 受信装置
１０ 電話回線接続装置（第二の機器）
１１ 受信アンテナ
１２ 復調手段
１３ 受信データ解析手段
１４ 受信側時計手段
１５ 受信側記録手段
１６ 中継手段
２０ 受信電界強度測定手段
２１ 受信側報知手段
３１ 誤り検出情報付加手段
３２ 誤り検出手段
４１ 第二の受信アンテナ
４２ 妨害電界強度測定手段
４３ 送信側報知手段
４４ 第一の受信アンテナ
４５ 妨害電界強度測定手段
５１ 送信側第二の時計手段
５２ 受信側第二の時計手段
７１ 応答信号受信アンテナ
７２ 応答信号復調手段
７３ 応答データ解析手段
７４ 応答データ作成手段
７５ 応答信号変調手段
７６ 応答信号送信アンテナ
８１ 温度測定手段
８２ 電源電圧測定手段
Claims (5)
- 固定設置した第一の機器と少なくとも第二の機器とで無線通信を行う無線データ通信システムで、無線信号を送信する送信装置は、送信時刻を計測する時計手段と、前記送信時刻と送信内容とを記録する送信記録手段とを有し、無線信号を受信する受信装置は、受信時刻を計測する時計手段と、前記受信時刻と受信内容とを記録する受信記録手段とを有し、前記送信記録手段の記録と前記受信記録手段の記録とで比較分析する無線データ通信システム。
- 固定設置した第一の機器と少なくとも第二の機器とで無線通信を行う無線データ通信システムで、送信装置は送信する時間を計測する第一の時計手段を備えて予め定めた時間に無線信号を送信し、前記無線信号を受信する受信装置は、受信予定の時間を計測する第二の時計手段と、時刻を計測する第三の時計手段と、前記受信予定の時間に前記無線信号を受信できなかったときに前記第三の時計手段で計測した時刻を記録する記録手段とを有する無線データ通信システム。
- 固定設置した第一の機器と少なくとも第二の機器とで無線通信を行う無線データ通信システムで、無線信号を送信した後に応答信号を受信して通信の確認を行う送信装置は、送信時刻を計測する時計手段と、前記応答信号を受信できなかったときに前記送信時刻と送信内容とを記録する記録手段とを有する無線データ通信システム。
- 固定設置した第一の機器と少なくとも第二の機器とで無線通信を行う無線データ通信システムで、無線信号を送信する送信装置または前記無線信号を受信する受信装置は、妨害信号の受信時刻を計測する第一の時計手段と、前記妨害信号の時間長を計測する第二の時計手段と、前記受信時刻と前記時間長とを記録する記録手段とを有する無線データ通信システム。
- 固定設置した第一の機器と少なくとも第二の機器とで無線通信を行う無線データ通信システムで、無線信号を送信する送信装置または前記無線信号を受信する受信装置は、一定期間毎に妨害信号の時間長の総計を計測する第三の時計手段と、前記一定期間の時刻と前記時間長の総計とを記録する記録手段とを有する無線データ通信システム。
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