JP5870013B2 - 無線通信システム - Google Patents

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Description

本発明は、通信障害の要因を推定する無線通信システムに関する。
無線通信システムでは、運用中に無線端末の移動や周囲の伝搬環境の変化によって受信電力が変動し、場合によっては既に確立されていた無線通信回線が切断されてしまうという問題がある。無線通信システムの運用・保守において、通信品質の劣化要因を特定することは重要な課題の一つである。特に無線通信は有線通信の様に接続回線が目視できないため、品質劣化時の伝搬変動の様子を詳細に把握することは困難である。
そこで、無線LAN(Local Area Network)におけるアクセスポイント(基地局装置)において取得可能な情報から干渉による劣化とシャドウイングにより受信電力が落ち込み劣化する場合とを判別する手法がある(例えば、非特許文献1参照)。
図6は、従来技術による無線通信システムの構成を示すブロック図である。図6において、符号8は、アクセスポイントである。符号9、10は、アクセスポイント8との間において無線通信回線を確立して無線通信を行う無線端末である。符号81は、無線信号の信号電力を測定する受信電力測定部である。符号82は、受信した無線信号の送信元の無線端末の種類を判別する端末ID判定部である。符号83は、通信が正常に行えず再送を行った回数を監視する再送回数監視部である。符号84は、通信開始前に実施するキャリアセンスに関わる情報を取得するCSMA/CA情報取得部である。符号85は、無線端末ID番号と受信電力、CSMA/CA情報を保存し、無線端末ID毎に順次送られてくる受信電力値、CSMA/CA情報の統計処理を行う統計処理部である。符号86は、統計処理結果の情報を元に障害要因を判定する障害要因推定部である。
ここで、図7を参照して、図6に示すアクセスポイント8が障害監視を行い、障害を特定する処理動作を説明する。図7は、図6に示すアクセスポイント8が障害監視を行い、障害を特定する処理動作を示すフローチャートである。障害要因推定部86は、再送回数監視部83の監視結果に基づき、再送回数が増加しているか否かを判定する(ステップS21)。この判定の結果、再送回数が増加していれば、障害要因推定部86は、無線障害発生と判定する(ステップS22)。
次に、障害要因推定部86は、統計処理部85における統計処理結果を参照して、CSMA/CAのビジー期間が増加しているか否かを判定する(ステップS23)。この判定の結果、CSMA/CAのビジー期間が増加していれば、障害要因推定部86は、障害要因は干渉と推定する(ステップS24)。一方、CSMA/CAのビジー時間が増加していなければ、障害要因推定部86は、RSSI(Received Signal Strength Indicator:受信信号の信号強度を示す値)が減少しているか否かを判定する(ステップS25)。この判定の結果、RSSI値が減少していれば、障害要因推定部86は、障害要因はシャドウイングと推定する(ステップS26)。一方、RSSIが減少していなければ、障害要因推定部86は、障害要因は未知と推定する(ステップS27)。
このように、従来手法では、RSSI情報と、CSMA/CAのビジー、アイドル状態の情報、再送回数情報を用い、これらの情報の統計処理を行うことによって、干渉による劣化とシャドウイングによる劣化を判別する。例えばRSSIの統計情報より、RSSIが減少傾向にあればシャドウイングによって品質劣化を生じていると判別する。
"統計分析による無線障害原因推定方式の設計と評価"米山清二郎・古川剛志,電子情報通信学会技術研究報告.IN,情報ネットワーク 108(204),123−128,2008−09−04.
しかしながら、従来手法では無線端末の利用環境に起因する障害を正しく検出することができない。例えば移動環境にある無線端末はマルチパスの影響により受信電力が常に変動しており、RSSI値が減少傾向にないのにも関わらず品質が劣化することがある。従来手法では、マルチパスによるフェージングにより受信電力が局所的に落ち込むことで再送回数が増えた場合、障害発生と判定されるものの、無線端末の移動に伴いRSSIの値は上下に変動するため減少傾向とはならずに、従来手法では「未知」と判定されてしまうという問題がある。
このように、従来手法では無線端末の利用方法に起因する障害を検出できず、無線端末の利用方法に起因する障害と無線端末の利用環境に起因する障害の切り分けが充分行えず、保守者がユーザへ適切な改善策を提案することが困難である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、無線端末の利用環境に起因する障害を推定することができる無線通信システムを提供することを目的とする。
本発明は、無線端末から送信された無線信号を受信し、該無線信号から伝搬環境を測定する無線通信システムであって、前記無線信号から受信電力を測定する受信電力測定部と、前記無線信号の送信元の無線端末の識別番号を判定する端末ID判定部と、前記無線端末に対する再送回数を監視する再送回数監視部と、キャリアセンス情報を取得する情報取得部と、前記端末ID判定部において識別した無線端末ごとの前記受信電力と、前記キャリアセンス情報とを統計処理する統計処理部と、前記再送回数が増加した際に、前記統計処理部において得られた統計処理の結果情報より前記無線端末の利用環境を推定する端末利用環境推定部と、前記端末利用環境推定部において推定した前記無線端末の利用環境から障害要因を推定する障害要因推定部とを備えることを特徴とする。
本発明は、無線端末から送信された無線信号を受信し、該無線信号から伝搬環境を測定するために、アクセスポイントと監視サーバとが接続された無線通信システムであって、前記アクセスポイントは、前記無線信号から受信電力を測定する受信電力測定部と、前記無線信号の送信元の無線端末の識別番号を判定する端末ID判定部と、前記無線端末に対する再送回数を監視する再送回数監視部と、キャリアセンス情報を取得する情報取得部とを備え、前記監視サーバは、前記受信電力と、前記無線端末の識別番号と、前記再送回数と、前記キャリアセンス情報とを前記アクセスポイントから入力し、前記無線端末の識別番号ごとの前記受信電力と、前記キャリアセンス情報とを一括して統計処理する統計処理部と、前記再送回数が増加した際に、前記統計処理部において得られた統計処理の結果情報より前記無線端末の利用環境を推定する端末利用環境推定部と、前記端末利用環境推定部において推定した前記無線端末の利用環境から障害要因を推定する障害要因推定部とを備えることを特徴とする。
本発明は、前記統計処理部は、前記受信電力の確率分布を計算し、前記端末利用環境推定部は、前記確率分布の分散の値に基づき前記無線端末が固定利用と移動利用のいずれであるかを判定することを特徴とする。
本発明は、前記障害要因推定部は、前記端末利用環境推定部において固定利用と判定され、前記統計処理部において前記受信電力が減少している場合にシャドウイングが障害要因と推定することを特徴とする。
本発明は、前記障害要因推定部は、前記端末利用環境推定部において移動利用と判定された場合にフェージングが障害要因と推定することを特徴とする。
本発明は、前記障害要因推定部は、前記端末利用環境推定部において固定利用と判定され、前記統計処理部において前記受信電力が減少していない場合に無線端末側の不具合が障害要因と推定することを特徴とする。
本発明によれば、無線端末の利用環境に起因する障害を推定することができ、障害発生時に無線端末の利用方法による障害と無線端末の利用環境による障害とを区別して推定することができるという効果が得られる。
本発明の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。 図1に示す無線通信システムが障害監視を行い、障害要因を推定する処理動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態の構成を示すブロック図である。 図4に示す無線通信システムが障害監視を行い、障害の要因を特定する動作を示すフローチャートである。 従来技術による無線通信システムの構成を示すブロック図である。 図6に示すアクセスポイント8が障害監視を行い、障害を特定する処理動作を示すフローチャートである。
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態による無線通信システムを説明する。図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は、アクセスポイントである。符号2、3は、アクセスポイント1との間において無線通信回線を確立して無線通信を行う無線端末である。無線端末2、3から送信された無線信号はアクセスポイント1の受信アンテナ10にて受信され、受信電力測定部11、端末ID判定部12、再送回数監視部13、CSMA/CA情報取得部14に入力する。
受信電力測定部11は無線信号の信号電力を測定する。受信電力は信号の振幅に比例した値となればどのような測定方法でも構わない。例えばIQ復調後のIQシンボル列の振幅の平均などが適用できる。端末ID判定部12は受信した無線信号の送信元の無線端末の種類を判別する。IDは無線端末固有の特徴量が検出できればどのようなIDでも構わない。例えば送信信号中に固有の識別番号を記載し、アクセスポイント側で復調した際にその識別番号をIDとする方法などが適用できる。再送回数監視部13は通信が正常に行えず再送を行った回数を計算する。CSMA/CA情報取得部14は通信開始前に実施するキャリアセンスに関わる情報を取得する。取得する情報として、例えばキャリアセンスにより事前に設定された閾値を超え、ビジーとなった回数やビジー状態となっている時間等がある。
統計処理部15は無線端末ID番号と受信電力、CSMA/CA情報を保存し、無線端末ID毎に順次送られてくる受信電力値、CSMA/CA情報の統計処理を行う。統計処理の仕方としては、例えば無線端末ID毎の受信電力値の確率分布を計算し、その確率分布の分散値を算出する方法などが適用できる。または無線端末ID毎にCSMA/CAのビジー回数の増減や、時間の増減が適用できる。端末利用環境推定部16はRSSI情報とCSMA/CA情報の統計処理結果より無線端末の利用している環境を推定する。例えば、RSSIの確率分布の分散が事前に設定した閾値より大きい場合にはその無線端末は移動環境にあり、確率分布の分散が小さい場合にはその無線端末は固定環境で使用されていると推定する手法が適用できる。障害要因推定部17は、端末利用環境推定部16にて推定された情報を元に障害要因を判定する。例えば無線端末が移動環境にある場合にはフェージングの影響により品質が劣化しているとし、無線端末が固定環境にあり、かつRSSIが減少傾向にある場合にはシャドウイングの影響により品質が劣化しているとする手法が適用できる。
次に、図2を参照して、図1に示す無線通信システムの動作を説明する。図2は、図1に示す無線通信システムが障害監視を行い、障害要因を推定する処理動作を示すフローチャートである。端末利用環境推定部16は、再送回数監視部13の監視結果に基づき、再送回数が増加しているか否かを判定する(ステップS1)。この判定の結果、再送回数が増加していれば、端末利用環境推定部16は、無線障害発生と判定する(ステップS2)。
次に、端末利用環境推定部16は、統計処理部15における統計処理結果を参照して、CSMA/CAのビジー期間が増加しているか否かを判定する(ステップS3)。この判定の結果、CSMA/CAのビジー期間が増加していれば、端末利用環境推定部16は、CSMA/CAのビジー期間が増加していることを障害要因推定部17に対して通知する。これを受けて、障害要因推定部17は、障害要因は干渉と推定する(ステップS4)。一方、CSMA/CAのビジー時間が増加していなければ、端末利用環境推定部16は、無線端末は固定であるか移動であるかを判定する(ステップS5)。この判定の結果、移動であれば、端末利用環境推定部16は、CSMA/CAのビジー期間が増加しておらず、無線端末が移動であることを障害要因推定部17に対して通知する。これを受けて、障害要因推定部17は、障害要因はフェージングと推定する(ステップS6)。
次に、無線端末が固定である場合、端末利用環境推定部16は、RSSI値が減少しているか否かを判定する(ステップS7)。この判定の結果、RSSI値が減少していれば、端末利用環境推定部16は、CSMA/CAのビジー期間が増加しておらず、無線端末が固定であり、RSSI値が減少していることを障害要因推定部17に対して通知する。これを受けて、障害要因推定部17は、障害要因はシャドウイングと推定する(ステップS8)。一方、RSSIが減少していなければ、端末利用環境推定部16は、CSMA/CAのビジー期間が増加しておらず、無線端末が固定であり、RSSI値が減少していないことを障害要因推定部17に対して通知する。これを受けて、障害要因推定部17は、障害要因は伝搬環境以外の要因(無線端末側の不具合など)と推定する(ステップS9)。
このように、障害監視を開始後、アクセスポイント1は再送回数を監視し続け、再送回数が事前に設定した回数以上となった場合に障害発生と判定する。障害発生後、CSMA/CAの統計量から、CSMA/CAがビジーとなる期間が増大している場合は外部干渉波による干渉と推定する。CSMA/CAのビジー期間が変化していない場合には固定環境と移動環境の判別を行う。ここで、移動環境と推定された場合はフェージングによる品質劣化と判定する。固定環境の場合は従来と同じくRSSI統計情報による判定を行い、RSSIが減少している場合はシャドウイングの影響により品質劣化と判定し、RSSIが変化しない、または増加している場合は伝搬環境による劣化ではなく、無線端末の故障や設定変更等などの伝搬環境以外の要因により障害が発生していると判別する。
これにより、従来手法では検出ができなかった無線端末の利用方法に起因する障害が判別可能となることで、無線端末の利用方法に起因する障害(フェージング)と無線端末の利用環境に起因する障害(シャドウイング)を正しく切り分け可能となる。そうすることで、保守者はユーザに対して、フェージングの場合には静止して利用することを提案したり、シャドウイングの場合にはアクセスポイントの位置を変えることを提案したりと、適切な改善策を提案することが可能となる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態による無線通信システムを説明する。図3は同実施形態の構成を示すブロック図である。図3に示す無線通信システムが、図1に示す無線通信システムと異なる点は、アクセスポイント1を、アクセスポイント4と、ネットワーク6を介して接続された監視サーバ5によって構成した点である。
無線端末2、3から送信された無線信号はアクセスポイント4の受信アンテナにて受信され、受信電力測定部11と端末ID判定部12、再送回数監視部13、CSMA/CA情報取得部14に入力する。受信電力測定部11は無線信号の信号電力を測定する。受信電力は信号の振幅に比例した値となればどのような測定方法でも構わない。例えばIQ復調後のIQシンボル列の振幅の平均などが適用できる。端末ID判定部12は受信した無線信号の送信元の無線端末の種類を判別する。IDは無線端末固有の特徴量が検出できればどのようなIDでも構わない。例えば送信信号中に固有の識別番号を記載し、アクセスポイント側で復調した際にその識別番号をIDとする方法などが適用できる。
再送回数監視部13は通信が正常に行えず再送を行った回数を監視する。CSMA/CA情報取得部14は通信開始前に実施するキャリアセンスに関わる情報を取得する。取得する情報として、例えばキャリアセンスにより事前に設定された閾値を超え、ビジーとなった回数やビジー状態となっている時間等がある。受信電力測定部11において測定された受信電力と、端末ID判定部12にて識別されたIDと、再送回数監視部13にて得られた再送回数と、CSMA/CA情報取得部14で取得されたCSMA/CA情報は共にネットワーク6を介して監視サーバ5内にある統計処理部15に入力する。
統計処理部15は無線端末ID番号と受信電力、CSMA/CA情報を保存し、無線端末ID毎に順次送られてくる受信電力値、CSMA/CA情報の統計処理を行う。統計処理の仕方としては、例えば無線端末ID毎の受信電力値の確率分布を計算し、その確率分布の分散値を算出する方法などが適用できる。または無線端末ID毎にCSMA/CAのビジー回数の増減や、時間の増減が適用できる。端末利用環境推定部16は、RSSI情報とCSMA/CA情報の統計処理結果より無線端末の利用している環境を推定する。例えば、RSSIの確率分布の分散が事前に設定した閾値より大きい場合にはその無線端末は移動環境にあり、確率分布の分散が小さい場合にはその無線端末は固定環境で使用されていると推定する手法が適用できる。
障害要因推定部17は、端末利用環境推定部16にて推定された情報を元に障害要因を判定する。例えば無線端末が移動環境にある場合にはフェージングの影響により品質が劣化しているとし、無線端末が固定環境にあり、かつRSSIが減少傾向にある場合にはシャドウイングの影響により品質が劣化しているとする手法が適用できる。
次に、図3に示す無線通信システムの動作を説明する。図3に示す無線通信システムの動作は、図2に示す動作と同様であるため、ここでは、簡単に説明する。障害監視を開始後、アクセスポイント4は再送回数を監視し続け、再送回数が事前に設定した回数以上となった場合に障害発生と判定する。障害発生後、CSMA/CAの統計量から、CSMA/CAがビジーとなる期間が増大している場合は外部干渉波による干渉と推定する。CSMA/CAのビジー期間が変化していない場合は固定環境と移動環境の判別を行う。ここで、移動環境と推定された場合はフェージングによる品質劣化と判定する。固定環境の場合は従来と同じくRSSI統計情報による判定を行い、RSSI値が減少している場合はシャドウイングの影響により品質劣化と判定し、RSSI値が変化しない、または増加している場合は伝搬環境による劣化ではなく、無線端末の故障や設定変更等などの伝搬環境以外の要因(無線端末側の不具合など)により障害が発生していると判別する。
このように、従来手法では検出ができなかった無線端末の利用方法に起因する障害が判別可能となることで、無線端末の利用方法に起因する障害(フェージング)と無線端末の利用環境に起因する障害(シャドウイング)を正しく切り分け可能となる。そうすることで、保守者はユーザに対して、フェージングの場合には静止して利用することを提案したり、シャドウイングの場合にはアクセスポイントの位置を変えることを提案したりと、適切な改善策を提案することが可能となる。また、このように統計処理以降をネットワーク6を介して監視サーバ5で行うことで遠隔にて監視・障害要因の推定が可能となる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態による無線通信システムを説明する。図4は同実施形態の構成を示すブロック図である。図4に示す無線通信システムが、図3に示す無線通信システムと異なる点は、ネットワーク6を介して監視サーバ5に接続されるアクセスポイント4に加え、アクセスポイント7を新たに設けた点である。図4においては、2台のアクセスポイント4、7がネットワーク6を介して監視サーバ5に接続されている例を示したが、監視サーバ5に接続されるアクセスポイントの数は3以上であってもよい。
無線端末2、3から送信された無線信号はアクセスポイント4の受信アンテナ10にて受信され、受信電力測定部11と端末ID判定部12、再送回数監視部13、CSMA/CA情報取得部14に入力する。受信電力測定部11は、無線信号の信号電力を測定する。受信電力は信号の振幅に比例した値となればどのような測定方法でも構わない。例えばIQ復調後のIQシンボル列の振幅の平均などが適用できる。端末ID判定部12は、受信した無線信号の送信元の無線端末の種類を判別する。IDは無線端末固有の特徴量が検出できればどのようなIDでも構わない。例えば送信信号中に固有の識別番号を記載し、アクセスポイント側で復調した際にその識別番号をIDとする方法などが適用できる。
再送回数監視部13は、通信が正常に行えず再送を行った回数を監視する。CSMA/CA情報取得部14は、通信開始前に実施するキャリアセンスに関わる情報を取得する。取得する情報として、例えばキャリアセンスにより事前に設定された閾値を超え、ビジーとなった回数やビジー状態となっている時間等がある。受信電力測定部11にて測定された受信電力と、端末ID判定部12にて識別されたIDと、再送回数監視部13にて得られた再送回数と、CSMA/CA情報取得部14で取得されたCSMA/CA情報は共にネットワーク6を介して監視サーバ5内にある統計処理部15に入力する。
統計処理部15は無線端末ID番号と受信電力、CSMA/CA情報を保存し、無線端末ID毎に順次送られてくる受信電力値、CSMA/CA情報の統計処理を行う。統計処理の仕方としては、例えば無線端末ID毎の受信電力値の確率分布を計算し、その確率分布の分散値を算出する方法などが適用できる。または無線端末ID毎にCSMA/CAのビジー回数の増減や、時間の増減が適用できる。端末利用環境推定部16は、RSSI情報とCSMA/CA情報の統計処理結果より無線端末の利用している環境を推定する。例えば、RSSIの確率分布の分散が事前に設定した閾値より大きい場合にはその無線端末は移動環境にあり、確率分布の分散が小さい場合にはその無線端末は固定環境で使用されていると推定する手法が適用できる。障害要因推定部17は、端末利用環境推定部16にて推定された情報を元に障害要因を判定する。例えば無線端末が移動環境にある場合にはフェージングの影響により品質が劣化しているとし、無線端末が固定環境にあり、かつRSSIが減少傾向にある場合にはシャドウイングの影響により品質が劣化しているとする手法が適用できる。
次に、図5を参照して、図4に示す無線通信システムの動作を説明する。図5は、図4に示す無線通信システムが障害監視を行い、障害の要因を特定する動作を示すフローチャートである。端末利用環境推定部16は、統計処理部15内に保持されている再送回数監視部13の監視結果に基づき、一つ以上のアクセスポイントにて再送回数が増加しているか否かを判定する(ステップS11)。この判定の結果、再送回数が増加していれば、端末利用環境推定部16は、無線障害発生と判定する(ステップS12)。
次に、端末利用環境推定部16は、統計処理部15における統計処理結果を参照して、CSMA/CAのビジー期間が増加しているか否かを判定する(ステップS13)。この判定の結果、CSMA/CAのビジー期間が増加していれば、端末利用環境推定部16は、ビジー期間の増加は全てのアクセスポイントで生じているか否かを判定する(ステップS14)。この判定の結果、ビジー期間の増加は全てのアクセスポイントで生じていれば、端末利用環境推定部16は、CSMA/CAのビジー期間が増加していること、ビジー期間の増加は全てのアクセスポイントで生じていることを障害要因推定部17に対して通知する。これを受けて、障害要因推定部17は、障害要因は無線端末2、3側での干渉と推定する(ステップS15)。一方、ビジー期間の増加は全てのアクセスポイントで生じていなければ、端末利用環境推定部16は、CSMA/CAのビジー期間が増加していること、ビジー期間の増加は全てのアクセスポイントで生じていないことを障害要因推定部17に対して通知する。これを受けて、障害要因推定部17は、障害要因はアクセスポイント4、7側での干渉と推定する(ステップS16)。
一方、CSMA/CAのビジー時間が増加していなければ、端末利用環境推定部16は、無線端末は固定であるか移動であるかを判定する(ステップS17)。この判定の結果、移動であれば、端末利用環境推定部16は、CSMA/CAのビジー期間が増加しておらず、無線端末が移動であることを障害要因推定部17に対して通知する。これを受けて、障害要因推定部17は、障害要因はフェージングと推定する(ステップS18)。
次に、無線端末が固定である場合、端末利用環境推定部16は、RSSI値が減少しているか否かを判定する(ステップS19)。この判定の結果、RSSI値が減少していれば、端末利用環境推定部16は、CSMA/CAのビジー期間が増加しておらず、無線端末が固定であり、RSSI値が減少していることを障害要因推定部17に対して通知する。これを受けて、障害要因推定部17は、障害要因はシャドウイングと推定する(ステップS20)。
一方、RSSI値が減少していなければ、端末利用環境推定部16は、CSMA/CAのビジー期間が増加しておらず、無線端末が固定であり、RSSI値が減少していないことを障害要因推定部17に対して通知する。これを受けて、障害要因推定部17は、障害要因は伝搬環境以外の要因(無線端末側の不具合など)と推定する(ステップS21)。
このように、障害監視を開始後、全てのアクセスポイントは再送回数を監視し続け、複数あるアクセスポイントのうち、少なくとも一つのアクセスポイントにて再送回数が事前に設定した回数以上となった場合に障害発生と判定する。障害発生後、CSMA/CAの統計量から、CSMA/CAがビジーとなる期間が増大している場合は外部干渉波による干渉と推定する。ここで、CSMA/CAのビジー期間の増加が全てのアクセスポイントで生じていた場合は無線端末側に外部干渉波が多重されていることになり、無線端末側での干渉と推定する。
一方、CSMA/CAのビジー期間の増加が一部のアクセスポイントのみで生じている場合は、ビジー期間の増加が生じているアクセスポイントに外部干渉波が多重されていることになり、アクセスポイント側での干渉と推定する。CSMA/CAのビジー期間が変化していない場合には固定環境と移動環境の判別を行う。ここで、移動環境と推定された場合はフェージングによる品質劣化と判定する。固定環境の場合は従来と同じくRSSI統計情報による判定を行い、RSSI値が減少している場合はシャドウイングの影響により品質劣化と判定し、RSSI値が変化しない、または増加している場合は伝搬環境による劣化ではなく、無線端末の故障や設定変更等などの伝搬環境以外の要因により障害が発生していると判別する。
これにより、従来手法では検出ができなかった無線端末の利用方法に起因する障害が判別可能となることで、無線端末の利用方法に起因する障害(フェージング)と無線端末の利用環境に起因する障害(シャドウイング)を正しく切り分け可能となる。そうすることで、保守者はユーザに対して、フェージングの場合には静止して利用することを提案したり、シャドウイングの場合にはアクセスポイントの位置を変えることを提案したりと、適切な改善策を提案することが可能となる。
また、複数のアクセスポイントを用いることで一つのアクセスポイントで推定するよりも多様な伝搬情報が得られることで推定精度を向上させることが可能となる。具体的には一つのアクセスポイントでは干渉の影響の有無しか推定できないが、複数のアクセスポイントで観測することにより干渉の影響を受けているのが無線端末側なのかアクセスポイント側なのかを区別することが可能となる。
また、統計処理以降の演算処理を一箇所の監視サーバで行うことで、アクセスポイントで行う演算量が少なくなり、回路構成を簡易化することが可能となる。
以上説明したように、受信電力を統計処理することにより、無線端末が移動環境にあるのか固定設置環境にあるのかを判別することができ、障害発生時に無線端末の利用方法による障害と無線端末の利用環境による障害を推定することが可能となり保守者がユーザへ無線端末の利用方法、利用環境に即した改善策を提案することが可能となる。また、ネットワークを介して遠隔で障害要因の推定が可能となることで、遠隔サポートなど保守者が遠隔地にいる場合でもユーザへより適切な改善策の提案も可能となる。また、複数のアクセスポイントを用いることで、多様な伝搬環境のRSSI情報、CSMA/CA情報、再送回数情報が得られることで統計処理に用いるサンプル数を増やすことができ、一つのアクセスポイントで推定した場合に比べ信頼度の高い統計処理演算を行うことが可能となり、障害要因の推定精度を向上させることが可能となる。
なお、図1、図3、図4に示すアクセスポイント1、4、7、監視サーバ5の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより・障害要因特定処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明してきたが、上記実施の形態は本発明の例示に過ぎず、本発明が上記実施の形態に限定されるものではないことは明らかである。したがって、本発明の技術思想及び範囲を逸脱しない範囲で構成要素の追加、省略、置換、その他の変更を行っても良い。
無線端末の利用環境に起因する障害を推定することが不可欠な用途に適用できる。
1、4、7・・・アクセスポイント、2、3・・・無線端末、5・・・監視サーバ、6・・・ネットワーク、10・・・アンテナ、11・・・受信電力測定部、12・・・端末ID判定部、13・・・再送回数監視部、14・・・CSMA/CA情報取得部、15・・・統計処理部、16・・・端末利用環境推定部、17・・・障害要因推定部

Claims (5)

  1. 無線端末から送信された無線信号を受信し、該無線信号から伝搬環境を測定する無線通信システムであって、
    前記無線信号から受信電力を測定する受信電力測定部と、
    前記無線信号の送信元の無線端末の識別番号を判定する端末ID判定部と、
    前記無線端末に対する再送回数を監視する再送回数監視部と、
    キャリアセンス情報を取得する情報取得部と、
    前記端末ID判定部において識別した無線端末ごとの前記受信電力と、前記キャリアセンス情報とを統計処理する統計処理部と、
    前記再送回数が増加した際に、前記統計処理部において得られた統計処理の結果情報より前記無線端末の利用環境を推定する端末利用環境推定部と、
    前記端末利用環境推定部において推定した前記無線端末の利用環境から障害要因を推定する障害要因推定部と
    を備え
    前記統計処理部は、前記受信電力の確率分布を計算し、
    前記端末利用環境推定部は、前記確率分布の分散の値に基づき前記無線端末が固定利用と移動利用のいずれであるかを判定することを特徴とする無線通信システム。
  2. 無線端末から送信された無線信号を受信し、該無線信号から伝搬環境を測定するために、アクセスポイントと監視サーバとが接続された無線通信システムであって、
    前記アクセスポイントは、
    前記無線信号から受信電力を測定する受信電力測定部と、
    前記無線信号の送信元の無線端末の識別番号を判定する端末ID判定部と、
    前記無線端末に対する再送回数を監視する再送回数監視部と、
    キャリアセンス情報を取得する情報取得部と
    を備え、
    前記監視サーバは、
    前記受信電力と、前記無線端末の識別番号と、前記再送回数と、前記キャリアセンス情報とを前記アクセスポイントから入力し、前記無線端末の識別番号ごとの前記受信電力と、前記キャリアセンス情報とを一括して統計処理する統計処理部と、
    前記再送回数が増加した際に、前記統計処理部において得られた統計処理の結果情報より前記無線端末の利用環境を推定する端末利用環境推定部と、
    前記端末利用環境推定部において推定した前記無線端末の利用環境から障害要因を推定する障害要因推定部と
    を備え
    前記統計処理部は、前記受信電力の確率分布を計算し、
    前記端末利用環境推定部は、前記確率分布の分散の値に基づき前記無線端末が固定利用と移動利用のいずれであるかを判定することを特徴とする無線通信システム。
  3. 前記障害要因推定部は、前記端末利用環境推定部において固定利用と判定され、前記統計処理部において前記受信電力が減少している場合にシャドウイングが障害要因と推定することを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信システム。
  4. 前記障害要因推定部は、前記端末利用環境推定部において移動利用と判定された場合にフェージングが障害要因と推定することを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信システム。
  5. 前記障害要因推定部は、前記端末利用環境推定部において固定利用と判定され、前記統計処理部において前記受信電力が減少していない場合に無線端末側の不具合が障害要因と推定することを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信システム。
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