JP5978877B2 - 電流検出装置および電流値演算方法 - Google Patents
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Description
電流センサとして、インバータの各相のスイッチング素子の電流検出部位に電流が流れることによって発生する磁界を検出する電流センサを用い、かつ、前記電流センサを、前記電流検出部位に対する前記磁界の検出感度が、前記相毎に異なるように配置し、
前記演算手段は、前記スイッチング素子の動作状態と、前記電流センサの検出した電流値と、前記検出感度と、に基づいて前記出力側の各相の電流を算出することを特徴とする電流検出装置とした。
このため、複数のスイッチング素子が同時にONとなっていても、動作しているスイッチング素子の違いに基づく電流センサの感度の違いに基づいて、同時駆動の各相の電流を復元して反映させることができる。
したがって、複数の相が同時に駆動しているタイミングでも、各相の出力側の電流を求めることが可能となり、従来と比較して、検出精度の向上を図ることができる。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1の電流検出装置を備えたPWMタイプのインバータIVTの主回路10を示す回路図である。
図示のように、インバータIVTは、図示を省略した電動機の負荷であるモータコイル100に正弦波の出力電流を供給するための電圧形三相の主回路10を備えている。
各パワーモジュール11〜13は、それぞれ、直流電源20の高電位側に接続された高電位側スイッチング素子111,121,131と、直流電源20の低電位側に接続された低電位側スイッチング素子112,122,132とを備えている。そして、各パワーモジュール11〜13は、それぞれ、高電位側スイッチング素子111,121,131および低電位側スイッチング素子112,122,132をON、OFFすることにより、正弦波の出力電流を得る周知の構造である。
このセンサ感度は、間隙距離Lに逆比例の関係にある。そこで、電流センサ30を、図2(a)に示す配置とすることにより、各高電位電極11P〜13Pとのセンサ感度は、U相、V相、W相の順で(0.4)(1.0)(0.7)に設定されている。一方、各低電位電極11N〜13Nとのセンサ感度を、同じくU相、V相、W相の順で(0.7)(1.0)(0.4)に設定されている。
電流演算部40は、電流センサ30から各検出値である電流値Idcを入力し、この電流値Idcと、各パワーモジュール11〜13の動作状態とに基づいて、各相(U,V,W)の各電極対(P,N)間の電流Iu,Iv,Iw、すなわち、出力電流を算出する。
SA:Idc=0.4×Iu+1×Iv+0.7×Iw
SB:Idc=0.4×Iu+1×Iv+0.4×Iw
SC:Idc=0.7×Iu+1×Iv+0.7×Iw
SD:Idc=0.7×Iu+1×Iv+0.4×Iw
次に、実施の形態1の作用を、図4〜図6に基づいて説明する。
図4および図5は、それぞれ動作例を示しており、図5が後述するクロスポイント時期における動作例を示し、図4がこのクロスポイント時期以外の動作例を示している。図6は、主回路10の制御信号としての各相の正弦波信号を示している。
主回路10の各スイッチング素子111〜113、112,122,132の駆動タイミングは、図6に示す正弦波信号と、三角波比較信号(図4,5参照)とが交差するタイミングに基づいて制御される。
各相の正弦波信号どうしが交わらない非クロスポイントでは、図4に示すように、各相の指令タイミングが異なって設定される。このため、各相(U,V,W)の各スイッチング素子111〜113、112,122,132の駆動タイミングも異なる。なお、図4において、Up、Vp、Wpが、各スイッチング素子111〜113のオン、オフの状態を示している。
実施の形態1の電流検出装置では、以下に列挙する効果を奏する。
a)実施の形態1の電流検出装置は、
直流電源20から電力供給を受けて多相交流の電力を出力するインバータIVTと、
このインバータIVTの直流側に流れる電流を検出する1つの電流センサ30と、
この電流センサ30が検出した電流値Idcに基づいてインバータIVTの出力側の各相に流れる電流Iu,Iv,Iwを演算する演算手段としての電流演算部40と、
を有するインバータの電流検出装置であって、
電流センサ30として、各相の各スイッチング素子111,121,131、112〜133の電流検出部位としての各電極11P,12P,13P,11N,12N,13Nに電流が流れることによって発生する磁界を検出する電流センサ30を用い、かつ、電流センサ30を、電流検出部位に対する磁界の検出感度が、相毎に異なるように配置し、
電流演算部40は、各スイッチング素子111,121,131、112〜133の動作状態と、電流センサ30の検出した電流値Idcと、検出感度(センサ感度)と、に基づいて出力側の各相に流れる電流Iu,Iv,Iwを算出することを特徴とする。
したがって、本実施の形態1は、複数の相が同時にONとなる動作状態(クロスポイント)であっても、検出した直流側の電流値Idcに対して、センサ感度に応じた出力側の各相の電流Iu,Iv,Iwの配分を復元することが可能である。
よって、従来は検出できなかった、クロスポイントにおける各相の電流Iu,Iv,Iwを求めることが可能となり、従来と比較して、検出精度の向上を図ることが可能となる。
電流センサ30は、各相の電流検出部位としての各電極11P,12P,13P,11N,12N,13Nに対する間隙距離L11P,L11N,L12P,L12N,L13P,L13Nを、相毎に相違させる配置とすることにより磁界の検出感度(センサ感度)を異ならせていることを特徴とする。
このように、電流センサ30の各電極11P,12P,13P,11N,12N,13Nに対するセンサ感度を異ならせるのにあたり、単に、間隙距離Lを異ならせた配置としているため、センサ感度の設定が容易である。
電流演算部40は、各相の各スイッチング素子111,121,131、112,122,132の動作状態の違い応じて複数の状態方程式SA〜SDが設定され、かつ、各状態方程式SA〜SDは、変数としての出力側の各相の電流Iu,Iv,Iwに検出感度(センサ感度)に応じた係数を乗算した項を有した多項式であり、各相の電流Iu,Iv,Iwを算出するのにあたり、各スイッチング素子111,121,131、112,122,132の動作状態が異なる複数回の計測値と、その動作状態に応じた状態方程式とによる連立方程式を用いて、各相の電流Iu,Iv,Iwを演算することを特徴とする。
このように、電流演算部40を用いて状態方程式SA〜SDによる連立方程式を解いて、複数の変数(電流Iu,Iv,Iw)の演算を行うようにしたため、この複数の変数の演算を容易に実施可能である。
インバータIVTは、各相に、直流電源20の高電位側電極(11P,12P,13P)に接続された高電位側スイッチング素子111,121,131と、直流電源20の低電位側電極(11N,12N,13N)に接続された低電位側スイッチング素子112,122,132と、を備え、
電流センサ30は、高電位側スイッチング素子111,121,131の直流側を流れる電流および低電位側スイッチング素子112,122,132の直流側を流れる電流を検出していることを特徴とする。
したがって、電流センサ30により、各相の各スイッチング素子111,121,131,112,122,132を電流が流れることにより発生する磁界の検出が可能であり、多相のインバータIVTにおいて、本発明の実施が可能である。
電流センサ30は、高電位側スイッチング素子111,121,131の電流検出部位としての高電位側電極11P,12P,13Pとの間隙距離Lを、それぞれ、各相で異ならせて配置しているとともに、低電位側スイッチング素子112,122,132の電流検出部位としての低電位側電極11N,12N,13Nとの距離を、それぞれ、各相で異ならせて配置していることを特徴とする。
このように、電流センサ30は、各相の高電位側電極11P,12P,13Pとの間隙距離Lを異ならせ、かつ、低電位側電極11N,12N,13Nとの間隙距離Lを異ならせることで、各電極11〜13P、11〜13Nに対するセンサ感度を異ならせている。したがって、電流センサ30の電流検出部位に対するセンサ感度を、相毎に異ならせるように設置するのが容易である。
インバータIVTの作動時に、各相の各スイッチング素子111,121,131、112,122,132における電流検出部位としての各電極11〜13P、11〜13Nに対し、磁界の検出感度を異ならせて配置させた1つの電流センサ30による直流側の電流値Idcの計測を、各スイッチング素子111,121,131、112,122,132の動作状態が異なる状態で複数回実行する計測ステップと、
計測ステップで得られた電流値Idcが得られたときの動作状態に応じ、電流値Idcと、各相の各スイッチング素子111,121,131、112,122,132のうちで動作したスイッチング素子の検出感度と、に基づいた状態方程式SA〜SDを用いて、電流演算部40により、インバータIVTの出力側の電流Iu,Iv,Iwを演算する演算ステップと、
を備えていることを特徴とする電流値演算方法を実施するようにした。
したがって、上記a)にて説明したように、複数の相が同時にONとなる動作状態(クロスポイント)であっても、検出した直流側の電流値Idcに対して、出力側の各相の電流Iu,Iv,Iwの配分を復元することが可能である。
よって、従来検出できなかったクロスポイントにおける各相の電流Iu,Iv,Iwを求めることが可能となり、従来と比較して、検出精度の向上を図ることが可能となる。
次に、他の実施の形態の電流検出装置について説明する。
なお、他の実施の形態を説明するのにあたり、実施の形態1および各実施の形態間にて、共通する構成には同じ符号を付して説明を省略し、相違点のみ説明する。
実施の形態2は、実施の形態1の状態1〜8に対応する全ての状態方程式が異なるように設定した例である。
そのため、実施の形態2では、電流センサ30を、図7に示すように、各相パワーモジュール11〜13の各電極対(P,N)との間隙距離L11P,L11N,L12P,L12N,L13P,L13Nが、全て異なる配置とした。
S2A:Id=0.5×Iu+1×Iv+0.6×Iw
S2B:Id=0.5×Iu+1×Iv+0.3×Iw
S2C:Id=0.5×Iu+0.9×Iv+0.6×Iw
S2D:Id=0.5×Iu+0.9×Iv+0.3×Iw
S2E:Id=0.8×Iu+1×Iv+0.6×Iw
S2F:Id=0.8×Iu+1×Iv+0.3×Iw
S2G:Id=0.8×Iu+0.9×Iv+0.6×Iw
S2H:Id=0.8×Iu+0.9×Iv+0.3×Iw
g)実施の形態2の電流検出装置では、
電流センサ30と、各相の電流検出部位としての各電極11P,11N,12P,12N,13P,13Nとの間隙距離L11P,L11N,L12P,L12N,L13P,L13Nを全て異ならせ、センサ感度が全て異なるようにした。
このため、各スイッチング素子111,121,131,112,122,132の各動作状態である状態1〜状態8において、全て異なる状態方程式S2A〜S2Hを用いることが可能となる。
これにより、全ての動作状態において、確実に、3つの変数である電流Iu,Iv,Iwを演算(復元)することが可能となる。すなわち、3つの変数を求める場合、その連立方程式として、状態の異なる3つの状態方程式が必要である。このとき、実施の形態1のように、状態により共通する状態方程式を備えている場合、共通しない3つの状態方程式に対応する電流値Idcを得るのに、時間を要する場合が生じる。
それに対し、本実施の形態2では、状態1〜8が違えば、使用する状態方程式も異なるため、3つの状態方程式による連立方程式により、3つの変数である電流Iu,Iv,Iwを確実に演算(復元)することが可能となる。
実施の形態3は、電流センサ330を、各電極によって、感度方向の符号が反転するように設置した例である。
S3A:Id0.4×Iu+1×Iv−0.7×Iw
S3B:Id0.4×Iu+1×Iv−0.4×Iw
S3C:Id0.4×Iu−1×Iv−0.7×Iw
S3D:Id0.4×Iu−1×Iv−0.4×Iw
S3E:Id0.7×Iu+1×Iv−0.7×Iw
S3F:Id0.7×Iu+1×Iv−0.4×Iw
S3G:Id0.7×Iu−1×Iv−0.7×Iw
S3H:Id0.7×Iu−1×Iv−0.4×Iw
h)実施の形態3の電流検出装置は、
電流センサ330は、各相の電流検出部位としての各電極11P〜13P,11N〜13Nにおいて発生する磁界に対する向きを相毎に異ならせる配置とすることにより磁界の検出感度(センサ感度)を異ならせていることを特徴とする。
これにより、同じ間隙距離Lであっても、検出感度(センサ感度)を異ならせることができ、電流センサ330の設置自由度が向上する。
したがって、上記g)に記載したのと同様の効果を得ることができる。
実施の形態4は、実施の形態3の変更例であり、電流センサ330は、実施の形態3と同様のものを用いている。
そして、実施の形態4では、各パワーモジュール11〜13において、直流電源20側の各電極11P,11N,12P,12N,13P,13Nと、モータコイル100側の接続電極11AC,12AC,13ACとの間にシールド板400を設けた。これにより、電流センサ330は、検出対象の各電極11P,11N,12P,12N,13P,13Nとは異なる電極である接続電極11AC,12AC,13ACとからの磁界の影響を受けるのを回避するようにした。
j)実施の形態4の電流検出装置では、
電流検出部位としての各電極11P,11N,12P,12N,13P,13Nと、この電流検出部位以外の電極として接続電極11AC,12AC,13ACとの間に、電磁波を遮蔽するシールド材としてのシールド板400を介在させたことを特徴とする。
これにより、電流センサ330が、電流検出部位以外からの磁界などのノイズによる干渉を受けるのを抑制可能である。
また、実施の形態4では、シールド材としてシールド板を示したが、電磁波を遮蔽するものであれば、板以外の例えば網状のものを用いることができる。
11N 低電位電極(電流検出部位:低電位側電極)
11P 高電位電極(電流検出部位:高電位側電極)
12 V相パワーモジュール
12N 低電位電極(電流検出部位:低電位側電極)
12P 高電位電極(電流検出部位:高電位側電極)
13 W相パワーモジュール
13N 低電位電極(電流検出部位:低電位側電極)
13P 高電位電極(電流検出部位:高電位側電極)
20 直流電源
30 電流センサ
40 電流演算部(演算手段)
111 高電位側スイッチング素子
121 高電位側スイッチング素子
131 高電位側スイッチング素子
112 低電位側スイッチング素子
122 低電位側スイッチング素子
132 低電位側スイッチング素子
330 電流センサ
400 シールド板(シールド材)
IVT インバータ
L11P 間隙距離
L11N 間隙距離
L12P 間隙距離
L12N 間隙距離
L13P 間隙距離
L13N 間隙距離
Claims (8)
- 直流電源から電力供給を受けて多相交流の電力を出力するインバータと、
このインバータの直流側に流れる電流を検出する1つの電流センサと、
この電流センサが検出した電流値に基づいて前記インバータの出力側の各相に流れる電流を演算する演算手段と、
を有するインバータの電流検出装置であって、
前記電流センサとして、前記各相のスイッチング素子の電流検出部位に電流が流れることによって発生する磁界を検出する電流センサを用い、かつ、前記電流センサを、前記電流検出部位に対する前記磁界の検出感度が、前記相毎に異なるように配置し、
前記演算手段は、前記スイッチング素子の動作状態と、前記電流センサの検出した電流値と、前記検出感度と、に基づいて前記出力側の各相の電流を算出することを特徴とする電流検出装置。 - 請求項1に記載の電流検出装置において、
前記電流センサは、前記電流検出部位に対する間隙距離を前記相毎に相違させる配置とすることにより前記磁界の検出感度を異ならせていることを特徴とする電流検出装置。 - 請求項1または請求項2に記載の電流検出装置において、
前記電流センサは、前記電流検出部位において発生する磁界に対する向きを前記相毎に異ならせる配置とすることにより前記磁界の検出感度を異ならせていることを特徴とする電流検出装置。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電流検出装置において、
前記電流検出部位と、この電流検出部位以外の電極との間に、電磁波を遮蔽するシールド材を介在させたことを特徴とする電流検出装置。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電流検出装置において、
前記演算手段は、各相の各スイッチング素子の動作状態の違い応じて複数の状態方程式が設定され、かつ、各状態方程式は、変数としての前記各相の電流に前記検出感度に応じた係数を乗算した項を有した多項式であり、前記各相の電流を算出するのにあたり、前記スイッチング素子の動作状態が異なる複数回の計測値と、その動作状態に応じた状態方程式とによる連立方程式を用いて、前記各相の電流を演算することを特徴とする電流検出装置。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電流検出装置において、
前記インバータは、前記各相に、前記直流電源の高電位側電極に接続された高電位側スイッチング素子と、前記直流電源の低電位側電極に接続された低電位側スイッチング素子と、を備え、
前記電流センサは、前記高電位側スイッチング素子の直流側を流れる電流および前記低電位側スイッチング素子の直流側を流れる電流を検出していることを特徴とする電流検出装置。 - 請求項6に記載の電流検出装置において、
前記電流センサは、前記高電位側スイッチング素子の前記電流検出部位との間隙距離を、それぞれ、各相で異ならせて配置しているとともに、前記低電位側スイッチング素子の前記電流検出部位との間隙距離を、それぞれ、各相で異ならせて配置していることを特徴とする電流検出装置。 - インバータの作動時に、各相のスイッチング素子における電流検出部位に対し、磁界の検出感度を異ならせて配置させた1つの電流センサによる直流側の電流値の計測を、前記スイッチング素子の動作状態が異なる状態で複数回実行する計測ステップと、
前記計測ステップで得られた電流値が得られたときの動作状態に応じ、前記電流値と、前記各相の動作したスイッチング素子の検出感度と、に基づいた状態方程式を用いて、演算手段により、前記インバータの出力側の電流を演算する演算ステップと、
を備えていることを特徴とする電流値演算方法。
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