以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
<1.一実施形態>
<2.変形例>
なお、以下に説明する実施形態および変形例は、本開示の好適な具体例であり、これらの実施形態および変形例に限定されないものとする。
<1.一実施形態>
「システムの構成」
図1は、本開示における制御システムの構成の一例を示す。制御システムは、1または複数のコントロールユニットCUと、1または複数のバッテリユニットBUとから構成される。図1に例示する制御システム1は、1のコントロールユニットCUと、3個のバッテリユニットBUa、BUb、BUcとから構成される。以下の説明において、個々のバッテリユニットを区別する必要がないときは、バッテリユニットBUと適宜称する。
制御システム1では、複数のバッテリユニットBUを独立して制御することが可能とされている。さらに、複数のバッテリユニットBUはそれぞれ独立して、制御システム1に接続できる。例えば、バッテリユニットBUaおよびバッテリユニットBUbが制御システム1に接続された状態で、新たにバッテリユニットBUcを制御システム1に接続することができる。バッテリユニットBUa〜バッテリユニットBUcが制御システム1に接続された状態で、バッテリユニットBUbのみを制御システム1から離脱することができる。
コントロールユニットCUとそれぞれのバッテリユニットBUとが、電力ラインによって接続されている。電力ラインは、例えば、コントロールユニットCUからバッテリユニットBUに電力が伝送される電力ラインL1と、バッテリユニットBUからコントロールユニットCUに電力が伝送される電力ラインL2とからなる。コントロールユニットCUとそれぞれのバッテリユニットBUとの間で、信号ラインSLを介した双方向の通信がなされる。通信は、例えば、SMBus(System Management Bus)やUART(Universal asynchronous Receiver-Transmitter)などの仕様に準じた通信がなされる。
信号ラインSLは、1または複数のラインによって構成され、用途に応じて、使用されるラインが定義されている。信号ラインSLは共通化されており、信号ラインSLに対して各バッテリユニットBUが接続される。各バッテリユニットBUは、信号ラインSLを介して伝送される制御信号のヘッダ部を分析して、自己に対する制御信号か否かを判別する。制御信号のレベル等を適宜、設定することで、バッテリユニットBUに対するコマンドを伝送できる。バッテリユニットBUからコントロールユニットCUに対する応答は他のバッテリユニットBUにも伝送されるが、他のバッテリユニットBUは、応答が伝送されることに応じた動作をすることはない。なお、この例では、電力の伝送および通信が有線により行われるものとして説明するが、無線によって行われるようにしてもよい。
「コントロールユニットの構成の概要」
コントロールユニットCUは、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12を含む構成とされる。コントロールユニットCUは、1または複数の第1の装置を有する。この例では、コントロールユニットCUは、2個の第1の装置を有し、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12がそれぞれ第1の装置に対応している。なお、高圧および低圧という表現を使用しているが、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12に入力される電圧が同じ入力範囲でもかまわない。高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12が受け入れることができる電圧の入力範囲が重複しても一向に構わない。
高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12に、環境に応じて発電する発電部によって生成された電圧が供給される。例えば、発電部は、太陽光や風力によって発電する装置である。一方で、この発電部は、自然環境に応じて発電する装置に限られない。例えば、発電部が人力によって発電する装置として構成されてもよい。このように、発電エネルギーが環境や状況に応じて変動する発電装置を想定しているが、変動しない物も受けいれることが可能である。そのため、図示しているように、AC電力の入力も行われるようになっている。なお、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12には、同一の発電部または異なる発電部から電圧が供給される。そして、発電部によって生成される電圧が第1の電圧の一例とされる。
高圧入力電源回路11には、例えば、太陽光発電によって生成された75V(ボルト)〜100V程度のDC(Direct Current)電圧(V10)が供給される。高圧入力電源回路11に、100V〜250V程度のAC(Alternating Current)電圧が供給されてもよい。高圧入力電源回路11は、太陽光発電から供給される電圧V10の変動に応じて第2の電圧を生成する。例えば、電圧V10が、高圧入力電源回路11によって降圧されることで第2の電圧が生成される。第2の電圧は、例えば、45〜48Vの範囲内のDC電圧である。
高圧入力電源回路11は、電圧V10が75Vのときは、電圧V10を45Vに変換する。電圧V10が100Vのときは、電圧V10を48Vに変換する。電圧V10が75Vから100Vの範囲を変化するのに応じて、高圧入力電源回路11は、45Vから48Vの範囲で略リニアに変化させて、第2の電圧を生成する。高圧入力電源回路11は、生成した第2の電圧を出力する。なお、変化率をリニアにせず、各種フィードバック回路を用いて、その出力をそのまま利用するようにしてもよい。
低圧入力電源回路12には、例えば、風力発電や人力によって生成された10V〜40V程度の範囲のDC電圧(V11)が供給される。低圧入力電源回路12は、高圧入力電源回路11と同様に、電圧V11の変動に応じて第2の電圧を生成する。低圧入力電源回路12は、電圧V11が10V〜40Vの範囲を変化することにともなって、電圧V11を、例えば、45V〜48Vの範囲のDC電圧に昇圧する。昇圧されたDC電圧が低圧入力電源回路12から出力される。
高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12からの出力電圧の両方もしくは一方が、バッテリユニットBUに供給される。図では、バッテリユニットBUに供給されるDC電圧がV12として示されている。上述したように、電圧V12は、例えば、45〜48Vの範囲のDC電圧である。電圧V12によって、複数のバッテリユニットBUのうち全部または一部が充電される。なお、放電しているバッテリユニットBUに対しては、充電はなされない。
コントロールユニットCUに対して、パーソナルコンピュータが接続可能とされてもよい。例えば、USB(Universal Serial Bus)によって、コントロールユニットCUとパーソナルコンピュータとが接続される。パーソナルコンピュータを使用して、コントロールユニットCUに対する制御がなされるようにしてもよい。
「バッテリユニットの構成の概要」
第2の装置の一例であるバッテリユニットの構成の概要について説明する。以下、バッテリユニットBUaを例にして説明するが、バッテリユニットBUbおよびバッテリユニットBUcは、特に断わらない限り同一の構成とされる。
バッテリユニットBUaは、チャージャー(充電)回路41aと、ディスチャージャー(放電)回路42aと、バッテリBaとを含む構成とされる。他のバッテリユニットBUも同様に、チャージャー(充電)回路と、ディスチャージャー(放電)回路と、バッテリとを含む構成とされている。以下の説明において、個々のバッテリを区別する必要がないときは、バッテリBと適宜称する。
チャージャー回路41aは、コントロールユニットCUから供給される電圧V12をバッテリBaに適応した電圧に変換する。変換された電圧に基づいて、バッテリBaが充電される。なお、チャージャー回路41aは、電圧V12の変動に応じて、バッテリBaに対する充電レートを変化させる。
バッテリBaから出力された電力がディスチャージャー回路42aに供給される。バッテリBaからは、例えば、12〜55V程度の範囲のDC電圧が出力される。ディスチャージャー回路42aによって、バッテリBaから供給されたDC電圧がDC電圧V13に変換される。電圧V13は、例えば、48VのDC電圧である。電圧V13が、電力ラインL2を介して、ディスチャージャー回路42aからコントロールユニットCUに対して出力される。なお、バッテリBaから出力されたDC電圧が、ディスチャージャー回路42aを介さずに、外部機器に対して直接、供給されるようにしてもよい。
バッテリBは、リチウムイオンバッテリ、オリビン型リン酸鉄リチウムイオンバッテリ、鉛バッテリなどである。各バッテリユニットBUのバッテリBが異なるバッテリでもよい。例えば、バッテリユニットBUaのバッテリBaおよびバッテリユニットBUbのバッテリBbは、リチウムイオンバッテリで構成される。バッテリユニットBUcのバッテリBcは、鉛バッテリで構成される。バッテリBにおけるバッテリセルの個数および接続態様は適宜、変更可能である。複数のバッテリセルが直列または並列に接続されてもよい。複数のバッテリセルが直列に接続されたものが並列に接続されるようにしてもよい。
複数のバッテリユニットが放電するときは、負荷が軽い場合には、出力電圧が最も高い電圧が電圧V13として電力ラインL2に供給される。負荷が重くなるにつれて、複数のバッテリユニットからの出力が合成され、合成された出力が電力ラインL2に供給される。電力ラインL2を介して、電圧V13がコントロールユニットCUに供給される。電圧V13がコントロールユニットCUの出力ポートから出力される。コントロールユニットCUに対しては、複数のバッテリユニットBUから分散して電力を供給することができる。このため、個々のバッテリユニットBUの負担を軽減することが可能となる。
例えば、以下のような使用形態が考えられる。バッテリユニットBUaから出力される電圧V13がコントロールユニットCUを介して外部機器に供給される。バッテリユニットBUbに対しては、コントロールユニットCUから電圧V12が供給され、バッテリユニットBUbのバッテリBbが充電される。バッテリユニットBUcは、予備電源として使用される。例えば、バッテリユニットBUaの残容量が低下した際に、使用するバッテリユニットをバッテリユニットBUaからバッテリユニットBUcに切り換える。バッテリユニットBUcから出力された電圧V13が外部機器に供給される。もちろん、上述した使用形態は一例であり、これに限定されることはない。
「コントロールユニットの内部構成」
図2は、コントロールユニットCUの内部構成の一例を示す。上述したように、コントロールユニットCUは、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12を含む構成とされる。高圧入力電源回路11は、AC入力をDC出力に変換するAC−DCコンバータ11aと、電圧V10を45V〜48Vの範囲のDC電圧に降圧するDC−DCコンバータ11bとを含む構成とされる。AC−DCコンバータ11aおよびDC−DCコンバータ11bの方式については、公知のものを適用できる。なお、高圧入力電源回路11にDC電圧のみが供給されるときは、AC−DCコンバータ11aがなくてもよい。
DC−DCコンバータ11bの入力段および出力段のそれぞれに、電圧センサと、電子スイッチと、電流センサとが接続されている。図2および後述する図5では、電圧センサを四角で、電子スイッチを丸で、電流センサを斜線が付された丸で、それぞれ簡略化して示している。DC−DCコンバータ11bの入力段には、電圧センサ11cと、電子スイッチ11dと、電流センサ11eとが接続されている。DC−DCコンバータ11bの出力段には、電流センサ11fと、電子スイッチ11gと、電圧センサ11hとが接続されている。各センサによって得られるセンサ情報が後述するCPU(Central Processing Unit)13に供給される。各電子スイッチのオン/オフがCPU13によって制御される。
低圧入力電源回路12は、電圧V11を45V〜48Vの範囲のDC電圧に昇圧するDC−DCコンバータ12aを含む構成とされる。低圧入力電源回路12の入力段および出力段のそれぞれに、電圧センサと、電子スイッチと、電流センサとが接続されている。DC−DCコンバータ12aの入力段には、電圧センサ12bと、電子スイッチ12cと、電流センサ12dとが接続されている。DC−DCコンバータ12aの出力段には、電流センサ12eと、電子スイッチ12fと、電圧センサ12gとが接続されている。各センサによって得られるセンサ情報が後述するCPU13に供給される。各スイッチのオン/オフがCPU13よって制御される。
なお、図において、センサから延びる矢印が、センサ情報がCPU13に供給されることを示している。電子スイッチに対する矢印は、電子スイッチに対してCPU13による制御がなされることを示している。
高圧入力電源回路11の出力電圧がダイオードを介して出力される。低圧入力電源回路12の出力電圧がダイオードを介して出力される。高圧入力電源回路11の出力電圧および低圧入力電源回路12の出力電圧が合成され、合成された電圧V12が電力ラインL1を介してバッテリユニットBUに出力される。バッテリユニットBUから供給された電圧V13が、電力ラインL2を介してコントロールユニットCUに供給される。次に、コントロールユニットCUに供給された電圧V13が、電力ラインL3を介して外部機器に供給される。なお、図において、外部機器に供給される電圧を電圧V14として示している。
電力ラインL3がバッテリユニットBUと接続されてもよい。このような構成により、例えば、バッテリユニットBUaから出力された電力が、電力ラインL2を介してコントロールユニットCUに供給される。供給された電力が電力ラインL3を介してバッテリユニットBUbに供給され、バッテリユニットBUbを充電することができる。なお、図示は省略しているが、電力ラインL2を介してコントロールユニットCUに供給された電力が、電力ラインL1に供給されるようにしてもよい。
コントロールユニットCUは、CPU13を含む構成とされる。CPU13は、コントロールユニットCUの各部を制御する。例えば、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12における電子スイッチをオン/オフする。さらに、CPU13は、各バッテリユニットBUに制御信号を供給する。CPU13は、例えば、バッテリユニットBUの電源をオンさせる制御信号や、充電または放電を指示する制御信号を、バッテリユニットBUに供給する。CPU13は、バッテリユニットBU毎に異なる内容の制御信号を出力することができる。
CPU13は、バス14を介してメモリ15、D/A(Digital to Analog)変換部16、A/D(Analog to Digital)変換部17および温度センサ18と接続されている。バス14は、例えば、I2Cバスで構成される。メモリ15は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリにより構成される。D/A変換部16は、各種の処理で使用されるデジタル信号をアナログ信号に変換する。
CPU13には、電圧センサや電流センサにより測定されたセンサ情報が入力される。センサ情報は、A/D変換部17によってデジタル信号に変換された後に、CPU13に入力される。温度センサ18は、環境温度を測定する。例えば、コントロールユニットCU内部の温度や、コントロールユニットCUの周囲の温度を測定する。
CPU13が通信機能を有していてもよい。例えば、CPU13とパーソナルコンピュータ(PC)19との間で通信のやり取りがなされてもよい。パーソナルコンピュータに限らず、インターネットなどのネットワークに接続された機器とCPU13との間で通信がなされるようにしてもよい。
「コントロールユニットの電源系統」
図3は、コントロールユニットCUの、主に電源系統に関する構成の一例を示す。高圧入力電源回路11の出力段には、逆流防止用のダイオード20が接続されている。低圧入力電源回路12の出力段には、逆流防止用のダイオード21が接続されている。ダイオード20およびダイオード21により、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12がOR接続される。高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12の出力が合成されてバッテリユニットBUに供給される。実際には、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12の出力のうち、電圧が高い一方の出力がバッテリユニットBUに供給されるものの、負荷となるバッテリユニットBUの電力消費量に応じて、両方から電力が供給される状況にもなる。
コントロールユニットCUには、ユーザによって操作可能なメインスイッチSW1が設けられている。メインスイッチSW1がオンされることでCPU13に電力が供給され、コントロールユニットCUが起動する。CPU13に、例えば、コントロールユニットCUに内蔵されるバッテリ22から電力が供給される。バッテリ22は、リチウムイオンバッテリなどの充電可能なバッテリである。バッテリ22からのDC電圧がDC−DCコンバータ23によって、CPU13が動作する電圧に変換される。変換された電圧がCPU13の電源電圧として供給される。このように、コントロールユニットCUの起動時には、バッテリ22が使用される。バッテリ22に対する制御は、例えば、CPU13によってなされる。
高圧入力電源回路11や低圧入力電源回路12、あるいはバッテリユニットBUから供給される電力によってバッテリ22を充電することができる。バッテリユニットBUから供給された電力がチャージャー回路24に供給される。チャージャー回路24は、DC−DCコンバータを含む構成とされる。バッテリユニットBUから供給された電圧V13がチャージャー回路24によって所定のレベルのDC電圧に変換される。変換されたDC電圧がバッテリ22に供給される。供給されたDC電圧によってバッテリ22が充電される。
なお、高圧入力電源回路11や低圧入力電源回路12、あるいはバッテリユニットBUから供給される電圧V13によってCPU13が動作するようにしてもよい。バッテリユニットBUから供給された電圧V13がDC−DCコンバータ25によって所定のレベルの電圧に変換される。変換された電圧が、電源電圧としてCPU13に供給され、CPU13が動作する。
コントロールユニットCUが起動した後に、V10およびV11の少なくとも一方が入力されると電圧V12が生成される。電圧V12が、電力ラインL1を介してバッテリユニットBUに供給される。このとき、CPU13は、信号ラインSLを使用してバッテリユニットBUと通信を行う。この通信によって、CPU13は、バッテリユニットBUに対して起動および放電を指示する制御信号を出力する。そして、CPU13は、スイッチSW2をオンする。スイッチSW2は、例えば、FET(Field Effect Transistor)から構成される。IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)によって構成されてもよい。スイッチSW2がオンされることで、バッテリユニットBUからコントロールユニットCUに電圧V13が供給される。
スイッチSW2の出力側には、逆流防止用のダイオード26が接続されている。ダイオード26を接続することにより、太陽電池や風力発電などから供給される不安定な電力が、外部機器に直接供給されることを防止できる。そして、外部機器には、バッテリユニットBUから供給される安定した電力を供給できる。もちろん、安全のために、バッテリユニットBUの最終段にもダイオードを設けてもよい。
バッテリユニットBUから供給された電力を外部機器に供給するときは、CPU13は、スイッチSW3をオンする。スイッチSW3がオンされることで、電圧V13に基づく電圧V14が、電力ラインL3を介して外部機器に供給される。なお、電圧V14が他のバッテリユニットBUに供給され、他のバッテリユニットBUのバッテリBが電圧V14によって充電されてもよい。
「高圧入力電源回路の構成例」
図4は、高圧入力電源回路の具体的な構成の一例を示す。図4に示すように、高圧入力電源回路11は、DC−DCコンバータ11bと、後述するフィードフォワード制御系とを備えている。図4では、電圧センサ11c、電子スイッチ11d、電流センサ11e、電流センサ11f、電子スイッチ11gおよび電圧センサ11hならびにダイオード20などの図示を省略している。
低圧入力電源回路12は、DC−DCコンバータ12aが昇圧型のDC−DCコンバータとされること以外は、高圧入力電源回路11の構成とほぼ同様の構成を備えているため、図示および説明を省略する。
DC−DCコンバータ11bは、例えば、スイッチング素子などを含む一次側回路32と、トランス33と、整流素子などを含む二次側回路34とから構成される。図4に例示するDC−DCコンバータ11bは、電流共振型のコンバータ(LLC共振コンバータ)である。
フィードフォワード制御系は、オペアンプ35、トランジスタ36、抵抗Rc1、Rc2およびRc3を含み、フィードフォワード制御系の出力は、例えば、DC−DCコンバータ11bの一次側回路32のドライバに備えられた制御用端子に入力される。DC−DCコンバータ11bは、制御用端子に対する入力電圧が一定となるように、高圧入力電源回路11からの出力電圧を調整する。
高圧入力電源回路11がフィードフォワード制御系を備えることにより、高圧入力電源回路11からの出力電圧の値が、あらかじめ設定された範囲内の電圧値となるように調整される。したがって、高圧入力電源回路11を備えるコントロールユニットCUは、例えば、太陽電池などからの入力電圧の変化に応じて出力電圧を変化させる電圧変換装置の機能を有している。
図4に示すように、高圧入力電源回路11からは、コンデンサ31を含むAC−DCコンバータ11a、一次側回路32、トランス33、二次側回路34を介して出力電圧が取り出される。AC−DCコンバータ11aは、コントロールユニットCUの外部からの入力が交流電源であるときに配置される力率補正(Power Factor Correction)回路である。
コントロールユニットCUからの出力は、電力ラインL1により、バッテリユニットBUに送出される。例えば、個々のバッテリユニットBUa、BUb、BUc、・・・は、逆流防止用のダイオードD1、D2、D3、・・・を介して、出力端子Te1、Te2、Te3、・・・にそれぞれ接続される。
以下、高圧入力電源回路11に備えられたフィードフォワード制御系について説明する。
オペアンプ35の非反転入力端子に対しては、高圧入力電源回路11への入力電圧をkc倍(kc:数十〜百分の一程度)した電圧が入力される。一方、オペアンプ35の反転入力端子c1に対しては、あらかじめ定められた一定の電圧Vt0をkc倍した電圧が入力されている。オペアンプ35の反転入力端子c1に対する入力電圧(kc×Vt0)は、例えば、D/A変換部16から印加される。電圧Vt0の値は、例えば、D/A変換部16の内蔵メモリに保持され、必要に応じて、電圧Vt0の値を変更することが可能とされている。電圧Vt0の値が、バス14を介してCPU13に接続されたメモリ15に保持され、これをD/A変換部16に転送するようにしてもよい。
オペアンプ35の出力端子はトランジスタ36のベースに接続されており、トランジスタ36により、オペアンプ35の非反転入力端子に対する入力電圧と反転入力端子に対する入力電圧との差に応じた電圧−電流変換が行われる。
トランジスタ36のエミッタに接続された抵抗Rc2の抵抗値は、抵抗Rc2と並列に接続される抵抗Rc1の抵抗値に対して大とされている。
例えば、高圧入力電源回路11に対する入力電圧が、あらかじめ定められた一定の電圧Vt0よりも十分に高い電圧であったとする。このとき、トランジスタ36はオンであり、抵抗Rc1および抵抗Rc2の合成抵抗の値が抵抗Rc1の抵抗値より小となるため、図4に示すf点の電位はグラウンド電位に近づく。
すると、フォトカプラ37を介して接続された、一次側回路32のドライバに備えられた制御用端子に対する入力電圧が低下する。制御用端子に対する入力電圧の低下を検出したDC−DCコンバータ11bは、制御用端子に対する入力電圧が一定となるように、高圧入力電源回路11からの出力電圧を引き上げる。
逆に、例えば、コントロールユニットCUに接続された太陽電池の端子電圧が低下し、高圧入力電源回路11に対する入力電圧が、あらかじめ定められた一定の電圧Vt0に近づいたとする。
高圧入力電源回路11に対する入力電圧が下がってくると、トランジスタ36の状態が、オンからオフの状態に近づく。トランジスタ36の状態がオンからオフの状態に近づくに伴い、抵抗Rc1および抵抗Rc2には電流が流れにくくなり、図4に示すf点の電位が上昇する。
すると、一次側回路32のドライバに備えられた制御用端子に対する入力電圧が一定に保たれなくなるため、DC−DCコンバータ11bは、制御用端子に対する入力電圧が一定となるように、高圧入力電源回路11からの出力電圧を引き下げる。
すなわち、高圧入力電源回路11は、入力電圧があらかじめ定められた一定の電圧Vt0よりも十分に高い電圧である場合には、出力電圧を引き上げる。また、高圧入力電源回路11は、太陽電池の端子電圧が低下して、入力電圧があらかじめ定められた一定の電圧Vt0に近づくと、出力電圧を引き下げる。このように、高圧入力電源回路11を備えるコントロールユニットCUは、入力電圧の大きさに応じて出力電圧を動的に変化させる。
さらに、以下に説明するように、高圧入力電源回路11は、コントロールユニットCUの出力側で必要とされる電圧の変化に対しても出力電圧を動的に変化させる。
例えば、太陽電池の発電中に、コントロールユニットCUに対して電気的に接続されるバッテリユニットBUの数が増加したとする。すなわち、太陽電池の発電中において、太陽電池からみた負荷が増加したとする。
この場合、コントロールユニットCUに対して新たにバッテリユニットBUが電気的に接続されることにより、コントロールユニットCUに接続されている太陽電池の端子電圧が下がることになる。すると、高圧入力電源回路11に対する入力電圧が低下するに伴い、トランジスタ36の状態が、オンからオフの状態に近づくこととなり、高圧入力電源回路11からの出力電圧が引き下げられる。
一方、例えば、太陽電池の発電中に、コントロールユニットCUに対して電気的に接続されたバッテリユニットBUの数が減少したとすると、太陽電池からみた負荷が減少するため、コントロールユニットCUに接続された太陽電池の端子電圧が上昇する。高圧入力電源回路11に対する入力電圧が、あらかじめ定められた一定の電圧Vt0よりも十分に高い電圧になると、一次側回路32のドライバに備えられた制御用端子に対する入力電圧が低下し、高圧入力電源回路11からの出力電圧が引き上げられる。
なお、抵抗Rc1、Rc2およびRc3の抵抗値は、高圧入力電源回路11からの出力電圧の値があらかじめ設定された範囲内の電圧値となるように適宜選択される。すなわち、抵抗Rc1およびRc2の抵抗値により、高圧入力電源回路11からの出力電圧の上限がきめられる。トランジスタ36は、高圧入力電源回路11に対する入力電圧が所定の値を超えているときに、高圧入力電源回路11からの出力電圧の値が、あらかじめ設定された上限の電圧値を超えないようにするために配置されている。
一方、高圧入力電源回路11からの出力電圧の下限は、後述するように、チャージャー回路41aにおけるフィードフォワード制御系のオペアンプの反転入力端子に対する入力電圧によってきめられる。
「バッテリユニットの内部構成」
図5は、バッテリユニットBUの内部構成の一例を示す。ここでは、バッテリユニットBUaを例にして説明する。特に断らない限り、バッテリユニットBUbおよびバッテリユニットBUcは、バッテリユニットBUaと同様の構成とされる。
バッテリユニットBUaは、チャージャー回路41aと、ディスチャージャー回路42aと、バッテリBaとを含む構成とされる。コントロールユニットCUからチャージャー回路41aに対して、電圧V12が供給される。バッテリユニットBUaからの出力である電圧V13が、ディスチャージャー回路42aを介してコントロールユニットCUに供給される。ディスチャージャー回路42aから外部機器に対して、直接、電圧V13が供給されるようにしてもよい。
チャージャー回路41aは、DC−DCコンバータ43aを備える。チャージャー回路41aに入力される電圧V12が、DC−DCコンバータ43aによって所定電圧に変換される。変換された所定電圧がバッテリBaに供給され、バッテリBaが充電される。所定電圧は、バッテリBaの種類等によって異なる。DC−DCコンバータ43aの入力段には、電圧センサ43bと、電子スイッチ43cと、電流センサ43dとが接続されている。DC−DCコンバータ43aの出力段には、電流センサ43eと、電子スイッチ43fと、電圧センサ43gとが接続されている。
ディスチャージャー回路42aは、DC−DCコンバータ44aを備える。バッテリBaからディスチャージャー回路42aに供給されるDC電圧が、DC−DCコンバータ44aによって電圧V13に変換される。変換された電圧V13がディスチャージャー回路42aから出力される。DC−DCコンバータ44aの入力段には、電圧センサ44bと、電子スイッチ44cと、電流センサ44dとが接続されている。DC−DCコンバータ44aの出力段には、電流センサ44eと、電子スイッチ44fと、電圧センサ44gとが接続されている。
バッテリユニットBUaは、CPU45を備える。CPU45は、バッテリユニットBUの各部を制御する。例えば、電子スイッチのオン/オフを制御する。過充電防止機能や過電流防止機能などの、バッテリBの安全を確保する処理をCPU45が行うようにしてもよい。CPU45は、バス46に接続されている。バス46は、例えば、I2Cバスである。
バス46には、メモリ47と、A/D変換部48と、温度センサ49とが接続されている。メモリ47は、例えば、EEPROMなどの書き換え可能な不揮発性メモリである。A/D変換部48は、例えば、電圧センサや電流センサによって得られるアナログのセンサ情報をデジタル情報に変換する。A/D変換部48によってデジタル信号へと変換されたセンサ情報がCPU45に供給される。温度センサ49は、バッテリユニットBU内の所定箇所の温度を測定する。温度センサ49は、例えば、CPU45が実装される基板の周囲の温度と、チャージャー回路41aおよびディスチャージャー回路42aの温度と、バッテリBaの温度とを測定する。
「バッテリユニットの電源系統」
図6は、バッテリユニットBUaの、主に電源系統に関する構成の一例を示す。バッテリユニットBUaには、メインスイッチは設けられていない。バッテリBaとCPU45との間には、スイッチSW5およびDC−DCコンバータ39が接続されている。バッテリBaとディスチャージャー回路42aとの間には、スイッチSW6が接続されている。チャージャー回路41aの入力段には、スイッチSW7が接続されている。ディスチャージャー回路42aの出力段には、スイッチSW8が接続されている。それぞれのスイッチSWは、例えば、FETにより構成される。
バッテリユニットBUaは、例えば、コントロールユニットCUからの制御信号によって起動される。コントロールユニットCUから、所定の信号ラインを介して、例えば、ハイレベルの制御信号が常に供給されている。このため、バッテリユニットBUaのポートを所定の信号ラインに接続するだけでハイレベルの制御信号がスイッチSW5に供給され、スイッチSW5がオンされる。スイッチSW5がオンすることで、バッテリユニットBUaが起動する。スイッチSW5がオンすることで、バッテリBaからのDC電圧がDC−DCコンバータ39に供給される。DC−DCコンバータ39によって、CPU45を動作させる電源電圧が生成される。生成された電源電圧がCPU45に供給され、CPU45が動作する。
CPU45は、コントロールユニットCUの指示に応じた制御を実行する。コントロールユニットCUからCPU45に対して、例えば、充電指示の制御信号が供給される。充電指示に応じて、CPU45は、スイッチSW6およびスイッチSW8をオフした後にスイッチSW7をオンする。スイッチSW7がオンされることで、コントロールユニットCUから供給される電圧V12が、チャージャー回路41aに供給される。チャージャー回路41aによって電圧V12が所定電圧に変換され、変換された所定電圧によってバッテリBaが充電される。なお、バッテリBに対する充電方法は、バッテリBの種類に応じて適宜変更することができる。
コントロールユニットCUからCPU45に対して、例えば、放電指示の制御信号が供給される。放電指示に応じて、CPU45は、スイッチSW7をオフし、スイッチSW6およびスイッチSW8をオンする。例えば、スイッチSW6をオンしてから、一定時間後にスイッチSW8をオンする。スイッチSW6がオンされることで、バッテリBaからのDC電圧がディスチャージャー回路42aに供給される。ディスチャージャー回路42aによって、バッテリBaからのDC電圧が電圧V13に変換される。変換された電圧V13が、スイッチSW8を介してコントロールユニットCUに供給される。なお、本例では省略しているが、他のバッテリユニットBUからの出力と衝突しないようにするため、スイッチSW8の後段にダイオードを追加するようにしてもよい。
なお、CPU45の制御によって、ディスチャージャー回路42aのオン/オフを切り換えることができる(図中のCPU45からディスチャージャー回路42aに出ているON/OFF信号線)。例えば、スイッチSW6の出力側に、図示しないスイッチSW(説明の便宜を考慮して、スイッチSW10と称する)が設けられている。スイッチSW10は、ディスチャージャー回路42aを経由する第1の経路と、ディスチャージャー回路42aを経由しない第2の経路とを切り換えるスイッチである。
ディスチャージャー回路42aをオンするときは、CPU45は、スイッチSW10を第1の経路に接続する。これにより、スイッチSW6からの出力がディスチャージャー回路42aを介してスイッチSW8に供給される。ディスチャージャー回路42aをオフするときは、CPU45は、スイッチSW10を第2の経路に接続する。これにより、スイッチSW6からの出力がディスチャージャー回路42aを介さずに直接、スイッチSW8に供給される。
「チャージャー回路の構成例」
図7は、バッテリユニットにおけるチャージャー回路の具体的な構成の一例を示す。図7に示すように、チャージャー回路41aは、DC−DCコンバータ43aと、後述するフィードフォワード制御系およびフィードバック制御系とを備えている。なお、図7では、電圧センサ43b、電子スイッチ43c、電流センサ43d、電流センサ43e、電子スイッチ43f、電圧センサ43gならびにスイッチSW7などの図示を省略している。
各バッテリユニットBUにおけるチャージャー回路も、図7に示すチャージャー回路41aの構成とほぼ同様の構成を備えている。
DC−DCコンバータ43aは、例えば、トランジスタ51、コイル52、制御用IC(Integrated Circuit)53などから構成される。トランジスタ51は、制御用IC53により制御される。
フィードフォワード制御系は、高圧入力電源回路11と同様に、オペアンプ55、トランジスタ56、抵抗Rb1、Rb2およびRb3を含む。フィードフォワード制御系の出力は、例えば、DC−DCコンバータ43aの制御用IC53に備えられた制御用端子に入力される。DC−DCコンバータ43a中の制御用IC53は、制御用端子に対する入力電圧が一定となるように、チャージャー回路41aからの出力電圧を調整する。
すなわち、チャージャー回路41aに備えられたフィードフォワード制御系は、高圧入力電源回路11に備えられたフィードフォワード制御系と同様に作用する。
チャージャー回路41aがフィードフォワード制御系を備えることにより、チャージャー回路41aからの出力電圧の値が、あらかじめ設定された範囲内の電圧値となるように調整される。チャージャー回路からの出力電圧の値が、あらかじめ設定された範囲内の電圧値に調整されることにより、コントロールユニットCUに電気的に接続された各バッテリBに対する充電電流が、高圧入力電源回路11からの入力電圧の変化に応じて調整される。したがって、チャージャー回路を備えるバッテリユニットBUは、各バッテリBに対する充電レートを変化させる充電装置の機能を有している。
コントロールユニットCUに電気的に接続された各バッテリBに対する充電レートが変化させられることにより、各バッテリユニットBUのチャージャー回路に対する入力電圧の値(高圧入力電源回路11または低圧入力電源回路12からの出力電圧の値といってもよい。)が、あらかじめ設定された範囲内の電圧値となるように調整される。
チャージャー回路41aへの入力は、例えば、上述したコントロールユニットCUの高圧入力電源回路11または低圧入力電源回路12からの出力である。したがって、例えば、図4に示す端子Te1、Te2、Te3、・・・のいずれかと、チャージャー回路41aの入力端子とが接続されている。
図7に示すように、チャージャー回路41aからは、DC−DCコンバータ43a、電流センサ54、フィルタ55を介して出力電圧が取り出される。チャージャー回路41aの端子Tb1には、バッテリBaが接続される。すなわち、チャージャー回路41aからの出力は、バッテリBaに対する入力となる。
後述するように、各チャージャー回路からの出力電圧の値は、各チャージャー回路に接続されるバッテリの種類に応じて、あらかじめ設定された範囲内の電圧値となるように調整されている。各チャージャー回路からの出力電圧の範囲は、抵抗Rb1、Rb2およびRb3の抵抗値が適宜選択されることにより調整される。
このように、各チャージャー回路からの出力電圧の範囲が、チャージャー回路に接続されるバッテリの種類に応じて個別にきめられるため、バッテリユニットBUに備えられるバッテリBの種類は特に限定されない。各チャージャー回路内の抵抗Rb1、Rb2およびRb3の抵抗値を、接続されるバッテリBの種類に応じて適宜選択すればよいからである。
なお、図7ではフィードフォワード制御系の出力が制御用IC53の制御用端子に入力される構成を例示したが、バッテリユニットBUのCPU45が、制御用IC53の制御用端子に入力を与えるようにしてもよい。例えば、バッテリユニットBUのCPU45が、信号ラインSLを介してバッテリユニットBUに対する入力電圧に関する情報をコントロールユニットCUのCPU13から取得するようにしてもよい。コントロールユニットCUのCPU13は、電圧センサ11hや電圧センサ12gなどの測定結果から、バッテリユニットBUに対する入力電圧に関する情報を取得することが可能である。
以下、チャージャー回路41aに備えられたフィードフォワード制御系について説明する。
オペアンプ55の非反転入力端子に対する入力は、チャージャー回路41aへの入力電圧をkb倍(kb:数十〜百分の一程度)した電圧とされる。一方、オペアンプ55の反転入力端子b1に対する入力は、高圧入力電源回路11または低圧入力電源回路12からの出力電圧の下限として設定しようとする電圧Vbをkb倍した電圧である。オペアンプ55の反転入力端子b1に対する入力電圧(kb×Vb)は、例えば、CPU45から印加される。
したがって、チャージャー回路41aに備えられたフィードフォワード制御系は、チャージャー回路41aに対する入力電圧が、あらかじめ定められた一定の電圧Vbよりも十分に高い電圧である場合に、チャージャー回路41aからの出力電圧を引き上げる。また、チャージャー回路41aに対する入力電圧が、あらかじめ定められた一定の電圧Vbに近づくと、フィードフォワード制御系は、チャージャー回路41aからの出力電圧を引き下げる。
トランジスタ56は、図4に示すトランジスタ36と同様に、チャージャー回路41aに対する入力電圧が所定の値を超えているときに、チャージャー回路41aからの出力電圧の値が、あらかじめ設定された上限を超えないようにするために配置されている。なお、チャージャー回路41aからの出力電圧の値の範囲は、抵抗Rb1、Rb2およびRb3の抵抗値の組み合わせによってきまる。そのため、抵抗Rb1、Rb2およびRb3の抵抗値は、各チャージャー回路に接続されるバッテリBの種類に応じて調整される。
また、チャージャー回路41aは、上述したように、フィードバック制御系をも備えている。フィードバック制御系は、例えば、電流センサ54、オペアンプ57およびトランジスタ58などから構成される。
バッテリBaに供給される電流量があらかじめ設定された規定値を超えると、フィードバック制御系により、チャージャー回路41aからの出力電圧が引き下げられ、バッテリBaに供給される電流量が制限される。フィードバック制御系による、バッテリBaに供給される電流量の制限の程度は、各チャージャー回路に接続されるバッテリBの定格にあわせてきめられる。
フィードフォワード制御系またはフィードバック制御系により、チャージャー回路41aからの出力電圧が引き下げられると、バッテリBaに供給される電流量が制限されることになる。バッテリBaに供給される電流量が制限されると、結果として、チャージャー回路41aに接続されたバッテリBaに対する充電が減速される。
次に、本開示の実施形態の理解を容易とするため、MPPT制御と、電圧追従法による制御とを例にとり、それぞれの制御方式について説明する。
「MPPT制御」
まず、以下に、MPPT制御の概略について説明を行う。
図8Aは、太陽電池の電圧−電流特性を示すグラフである。図8A中、縦軸は、太陽電池の端子電流を表し、横軸は、太陽電池の端子電圧を表している。図8A中、Iscは、光照射時において、太陽電池の端子間を短絡したときの出力電流を表し、Vocは、光照射時において、太陽電池の端子間を開放したときの出力電圧を表している。IscおよびVocは、それぞれ短絡電流および開放電圧と呼ばれる。
図8Aに示すように、光照射時において、太陽電池の端子電流は、太陽電池の端子間を短絡したときが最大であり、このとき、太陽電池の端子電圧はほぼ0Vである。一方、光照射時において、太陽電池の端子電圧は、太陽電池の端子間を開放したときが最大であり、このとき、太陽電池の端子電流はほぼ0Aである。
いま、太陽電池の電圧−電流特性を示すグラフが、図8Aに示す曲線C1で表されるとする。ここで、太陽電池に対して負荷を接続したとすると、接続される負荷の必要としている消費電力により、太陽電池から取りだされる電圧と電流がきまる。このときの太陽電池の端子電圧および端子電流の組により表される、曲線C1上の点を、太陽電池の動作点という。なお、図8Aは、動作点の位置を模式的に示したものであり、実際の動作点の位置を示すものではない。本開示の他の図における動作点に関しても、同様とする。
太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線上において動作点を変化させると、端子電圧と端子電流との積、すなわち発電電力が最大となる端子電圧Vaおよび端子電流Iaの組が見つかる。太陽電池により得られる電力が最大となる端子電圧Vaおよび端子電流Iaの組により表される点は、太陽電池の最適動作点と呼ばれる。
太陽電池の電圧−電流特性を示すグラフが図8Aに示す曲線C1で表されるとき、太陽電池から得られる最大の電力は、最適動作点を与えるVaとIaとの積により求められる。すなわち、太陽電池の電圧−電流特性を示すグラフが図8Aに示す曲線C1で表されるとき、太陽電池から得られる最大の電力は、図8Aにおいて網掛けで示された領域の面積(Va×Ia)により表される。なお、(Va×Ia)を(Voc×Isc)で割った量がフィルファクタである。
最適動作点は、太陽電池に接続される負荷の必要としている電力により変化し、最適動作点を表す点PAは、太陽電池に接続される負荷の必要としている電力の変化にしたがって曲線C1上を動く。負荷の必要としている電力量が少ない場合、負荷への電流の供給は、最適動作点における端子電流よりも少ない電流で事足りる。そのため、このときの太陽電池の端子電圧の値は、最適動作点における電圧値よりも高い値になる。一方、負荷の必要としている電力量が、最適動作点で供給できる電力量よりも大きい場合には、この時点の照度で提供できる電力を超えているため、太陽電池の端子電圧が0まで低下していくものと考えられる。
図8Aに示す曲線C2およびC3は、例えば、太陽電池に対する照度が変化した場合における、太陽電池の電圧−電流特性を示している。例えば、図8Aに示す曲線C2は、太陽電池に対する照度が増加した場合における電圧−電流特性に対応し、図8Aに示す曲線C3は、太陽電池に対する照度が減少した場合における電圧−電流特性に対応する。
例えば、太陽電池に対する照度が増加し、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C1から曲線C2に変化したとすると、最適動作点も太陽電池に対する照度の増加に伴って変化する。なお、このとき、最適動作点は、曲線C1上の点から曲線C2上の点にうつる。
MPPT制御とは、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線の変化に対して最適動作点を求め、太陽電池から得られる電力が最大となるように、太陽電池の端子電圧(または端子電流)を制御することにほかならない。
図8Bは、ある曲線により太陽電池の電圧−電流特性が表される場合における、太陽電池の端子電圧と太陽電池の発電電力との関係を表したグラフ(P−V曲線)である。
図8Bに示すように、最大動作点を与える端子電圧において、太陽電池の発電電力が最大値Pmaxをとるものとすると、最大動作点を与える端子電圧は、山登り法と呼ばれる手法により求めることができる。以下に説明する一連の手順は、一般的には、太陽電池と、電力系統との間に接続されるパワーコンディショナー(power conditioner)のCPUなどにより実行される。
例えば、まず、太陽電池から入力される電圧の初期値をV0として、このときの発電電力P0が計算される。次に、V1=V0+ε(ここではε>0とする。)として、太陽電池から入力される電圧がεだけ増加させられる。次に、太陽電池から入力される電圧をV1として、このときの発電電力P1が計算される。次に、得られたP0とP1とが比較され、P1>P0である場合には、V2=V1+εとして、太陽電池から入力される電圧がεだけ増加させられる。次に、太陽電池から入力される電圧をV2として、このときの発電電力P2が計算される。次に、得られたP1とP2とが比較され、P2>P1である場合には、V3=V2+εとして、太陽電池から入力される電圧がεだけ増加させられる。次に、太陽電池から入力される電圧をV3として、このときの発電電力P3が計算される。
ここで、P3<P2であったとすると、最大動作点を与える端子電圧は、V2とV3との間にある。このように、εの大きさを調節することにより、任意の精度で最大動作点を与える端子電圧を求めることができる。上述した手順に、二分法(bisection method algorithm)を適用してもよい。なお、太陽電池の光照射面に部分的に影ができたときなど、P−V曲線が2以上のピークを有していると単純な山登り法では対応できないため、制御プログラムに工夫が必要である。
MPPT制御によれば、太陽電池からみた負荷が常に最適になるように端子電圧が調整されるため、それぞれの気象条件下で、太陽電池から最大の電力を取り出すことができる。その一方で、最大動作点を与える端子電圧の計算にアナログ/デジタル変換(A/D変換)が必要とされるほか、計算に乗算が含まれるために、制御に時間を要してしまう。そのため、MPPT制御では、空が急に曇りだして太陽電池に対する照度が急激に変化したときなど、太陽電池に対する照度の急激な変化に対応できないときがある。
「電圧追従法による制御」
ここで、図8Aに示す曲線C1〜C3を比較すると、太陽電池に対する照度の変化(電圧−電流特性を表す曲線の変化といってもよい。)に対して、開放電圧Vocの変化は、短絡電流Iscの変化と比較して小さい。また、いずれの太陽電池もよく似た電圧−電流特性を示し、最大動作点を与える端子電圧は、結晶シリコン太陽電池の場合、開放電圧のおよそ80%の付近にあることが知られている。したがって、太陽電池の端子電圧として適当な電圧値を設定し、太陽電池の端子電圧が、その設定された電圧値となるようにコンバータの出力電流を調整すれば、太陽電池から効率よく電力を取り出せると予想される。このような電流制限による制御は、電圧追従法と呼ばれる。
以下に、電圧追従法による制御の概略を説明する。前提として、太陽電池とパワーコンディショナーとの間にスイッチング素子が配置され、太陽電池とスイッチング素子との間に電圧測定手段が配置されているものとする。また、太陽電池は、光照射がされた状態にあるものとする。
まず、スイッチング素子がオフとされ、スイッチング素子のオフから所定の時間が経過した時に、電圧測定手段により太陽電池の端子電圧が測定される。スイッチング素子のオフから太陽電池の端子電圧の測定までに所定の時間の経過を待つのは、太陽電池の端子電圧が安定するのを待つためである。このときの端子電圧は、開放電圧Vocである。
次に、測定により得られた開放電圧Vocの例えば80%の電圧値が、目標電圧値として計算され、目標電圧値がメモリなどに一時的に保持される。次に、スイッチング素子がオンとされ、パワーコンディショナー内のコンバータへの通電が開始される。このとき、太陽電池の端子電圧が、目標電圧値となるように、コンバータの出力電流が調整される。上述した一連の手順が、任意の時間間隔で実行される。
電圧追従法による制御は、MPPT制御と比較して、太陽電池により得られる電力の損失が大きいが、簡単な回路で実現でき、低コストであるため、コンバータを備えるパワーコンディショナーを、安価なものとできる。
図9Aは、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線の変化に対する動作点の変化を説明するための図である。図9A中、縦軸は、太陽電池の端子電流を表し、横軸は、太陽電池の端子電圧を表している。また、図9A中の白丸は、MPPT制御を行ったときの動作点を表し、図9A中の黒丸は、電圧追従法による制御を行ったときの動作点を表している。
いま、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C5であったとする。次に、太陽電池に対する照度の変化に伴い、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C5からC8に順に変化したとすると、それぞれの制御方式による動作点も太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線の変化に伴って変化する。なお、太陽電池への照度の変化に対する開放電圧Vocの変化が小さいため、図9A中においては、電圧追従法による制御を行ったときの目標電圧値をほぼ一定の値Vsとみなしている。
図9Aからわかるように、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が曲線C6である場合には、MPPT制御の動作点と電圧追従法による制御の動作点との間の乖離の度合いは小さい。そのため、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が曲線C6である場合には、いずれの制御の場合においても、太陽電池により得られる発電電力に大きな違いはないと考えられる。
一方、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が曲線C8である場合には、MPPT制御の動作点と電圧追従法による制御の動作点との間の乖離の度合いが大きい。例えば、図9Aに示すように、MPPT制御を適用したときの端子電圧と電圧追従法による制御を適用したときの端子電圧との差△V6および△V8を比較すると、△V6<△V8となっている。そのため、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が曲線C8である場合には、MPPT制御を適用したときに太陽電池から得られる発電電力と電圧追従法による制御を適用したときに太陽電池から得られる発電電力との差は大きい。
「コントロールユニットおよびバッテリユニットの協調制御」
次に、コントロールユニットおよびバッテリユニットの協調制御の概略を説明する。以下、コントロールユニットおよびバッテリユニットの協調(連動)による制御を、協調制御と適宜称する。
図9Bは、コントロールユニットおよび複数のバッテリユニットにより協調制御を行う制御システムの構成例を示すブロック図である。
図9Bに示すように、例えば、コントロールユニットCUには、チャージャー回路およびバッテリの組を備える1または複数のバッテリユニットBUが接続される。図9Bに示すように、1または複数のバッテリユニットBUは、電力ラインL1に対して並列に接続されている。なお、図9BではコントロールユニットCUが1つの場合を例示したが、制御システムがコントロールユニットCUを複数備える場合も同様に、1または複数のコントロールユニットCUは、電力ラインL1に対して並列に接続される。
一般的には、太陽電池から得られた電力により1台のバッテリの充電を行おうとする場合、太陽電池とバッテリとの間に介在されたパワーコンディショナーにより、上述したMPPT制御または電圧追従法による制御が実行される。該1台のバッテリには、複数のバッテリが内包されて一体として動作する物も含まれるが、該1台のバッテリは、複数のバッテリとはいえ、単一の種類からなることが一般的である。言い換えれば、上述したMPPT制御または電圧追従法による制御は、太陽電池と、1台のバッテリとの間に接続されるパワーコンディショナーの単体で実行されることが想定されている。そして、充電中における、充電の対象となるバッテリの台数、構成(並列、直列等の接続の態様)には変化がなく、充電中における、充電の対象となるバッテリの台数、構成は、一般に固定されている。
一方、協調制御においては、コントロールユニットCUおよび複数のバッテリユニットBUa、BUb、BUc、・・・のそれぞれが、コントロールユニットCUの出力電圧と、複数個のバッテリユニットBUの必要とする電圧とのバランスがとれるように自律的に制御を行う。上述したように、バッテリユニットBUa、BUb、BUc、・・・に内包されるバッテリBは、いずれの種類でもよい。すなわち、本開示によるコントロールユニットCUは、複数種のバッテリBに対する協調制御を行うことが可能とされる。
さらに、図9Bに示す構成例では、個々のバッテリユニットBUの着脱も自在であり、太陽電池の発電中に、コントロールユニットCUに接続されるバッテリユニットBUの数も変化しうる。図9Bに示す構成例では、太陽電池の発電中において、太陽電池からみた負荷も変化しうるが、協調制御によれば、太陽電池に対する照度の変化のみならず、太陽電池の発電中における、太陽電池からみた負荷の変化にも対応が可能である。これは、従来の構成にはなかった大きな特徴の一つである。
上述したコントロールユニットCUとバッテリユニットBUとを接続することにより、コントロールユニットCUからの供給能力に応じて充電レートを動的に変化させる制御システムを構築することが可能となる。以下、協調制御の一例についての説明を行う。なお、以下の説明では、初期の状態において、コントロールユニットCUに対して1のバッテリユニットBUaが接続された制御システムを例にとるが、コントロールユニットCUに対して複数のバッテリユニットBUが接続されている場合も同様である。
例えば、コントロールユニットCUの入力側に太陽電池が、出力側にバッテリユニットBUaが接続されているとする。また、例えば、太陽電池の出力電圧の上限が100Vであるものとし、太陽電池の出力電圧の下限を75Vに抑えたいとする。すなわち、Vt0=75Vと設定されており、オペアンプ35の反転入力端子に対する入力電圧が、(kc・75)Vであるとする。
また、コントロールユニットCUからの出力電圧の上限および下限が、例えば、48Vおよび45Vにそれぞれ設定されているものとする。すなわち、Vb=45Vと設定されており、オペアンプ55の反転入力端子に対する入力電圧が、(kb×45)Vであるとする。なお、コントロールユニットCUからの出力電圧の上限である48Vという値は、高圧入力電源回路11内の抵抗Rc1およびRc2を適宜選択することにより調整されている。言い換えれば、コントロールユニットCUからの出力の目標電圧値が、48Vに設定されているものとする。
さらに、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aからの出力電圧の上限および下限が、例えば、42Vおよび28Vにそれぞれ設定されているものとする。したがって、チャージャー回路41a内の抵抗Rb1、Rb2およびRb3は、チャージャー回路41aからの出力電圧の上限および下限がそれぞれ42Vおよび28Vとなるように選択されている。
なお、チャージャー回路41aへの入力電圧が上限であるときが、バッテリBaに対する充電レート100%である状態に対応し、入力電圧が下限であるときが、バッテリBaに対する充電レート0%である状態に対応する。すなわち、チャージャー回路41aへの入力電圧が48Vであるときが、バッテリBaに対する充電レートが100%である状態に対応し、チャージャー回路41aへの入力電圧が45Vであるときが、バッテリBaに対する充電レートが0%である状態に対応する。入力電圧が45V〜48Vの範囲で変動することに応じて、充電レートが0〜100%の範囲で設定される。
なお、協調制御とは別に、バッテリへの充電レート制御を平行して行うようにしてもよい。すなわち、充電初期では定電流充電が行われるため、チャージャー回路41aからの出力をフィードバック調整して充電電流を一定以下に保てるように充電電圧を調整し、最終段階では、充電電圧を一定以下に保つようにする。ここで、調整される充電電圧は、上記協調制御で調整された電圧以下とされる。これにより、コントロールユニットCUから供給される電力内で充電処理がなされる。
まず、太陽電池に対する照度が変化した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化について説明を行う。
図10Aは、太陽電池に対する照度が減少した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化を説明するための図である。図10A中、縦軸は、太陽電池の端子電流を表し、横軸は、太陽電池の端子電圧を表している。また、図10A中の白丸は、MPPT制御を行ったときの動作点を表し、図10A中の網掛けがされた丸は、協調制御を行ったときの動作点を表している。図10Aに示す曲線C5〜C8は、太陽電池に対する照度が変化した場合における、太陽電池の電圧−電流特性を示している。
いま、バッテリBaの必要としている電力が100w(ワット)であるものとし、太陽電池の電圧−電流特性が、曲線C5(最も晴れた状態)により表されるとする。このときの太陽電池の動作点は、例えば、曲線C5上のa点により表され、太陽電池から高圧入力電源回路11およびチャージャー回路41aを介してバッテリBaに供給される電力(供給量)が、バッテリBaの必要としている電力(需要量)を上回っているとする。
太陽電池からバッテリBaに供給される電力が、バッテリBaの必要としている電力を上回っている場合、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧(電圧V12)は、上限の48Vとなる。すなわち、バッテリユニットBUaへの入力電圧が上限の48Vであるため、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aからの出力電圧が上限の42Vとされ、バッテリBaに対する充電が、充電レート100%で行われる。なお、余剰分の電力は、例えば、熱などとして捨てられる。なお、バッテリへのチャージを100%で行うよう説明したが、バッテリへのチャージは100%に限定されず、充電レートは、バッテリの特性に応じて適宜調整が可能である。
この状態から空が曇りだすと、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線は、曲線C5から曲線C6へと変化する。空が曇りだすことにより、太陽電池の端子電圧が徐々に低下し、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧も徐々に低下する。したがって、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C5から曲線C6へと変化することに伴い、太陽電池の動作点は、例えば、曲線C6上のb点にうつる。
この状態からさらに空が曇りだすと、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が曲線C6から曲線C7へと変化し、太陽電池の端子電圧が徐々に低下することに伴って、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧も低下する。コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧がある程度低下すると、制御システムは、バッテリBaに対して100%の電力を供給できなくなってくる。
ここで、太陽電池の端子電圧が、100Vから、下限であるVt0=75Vに近づいてくると、コントロールユニットCUの高圧入力電源回路11は、バッテリユニットBUaに対する出力電圧を、48VからVb=45Vに向けて引き下げはじめる。
コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧が引き下げられると、バッテリユニットBUaへの入力電圧が低下するため、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aは、バッテリBaに対する出力電圧を引き下げはじめる。チャージャー回路41aからの出力電圧が引き下げられると、バッテリBaに供給される充電電流が減少されることとなり、チャージャー回路41aに接続されたバッテリBaに対する充電が減速される。すなわち、バッテリBaに対する充電レートが引き下げられる。
バッテリBaに対する充電レートが引き下げられると、消費電力が低下することになるため、太陽電池からみた負荷が小さくなる。すると、太陽電池からみた負荷の減少分だけ太陽電池の端子電圧が上昇(回復)する。
太陽電池の端子電圧が上昇すると、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧の引き下げの度合いが減少し、バッテリユニットBUaへの入力電圧が上昇する。バッテリユニットBUaへの入力電圧が上昇することにより、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aは、チャージャー回路41aからの出力電圧を引き上げ、バッテリBaに対する充電レートを引き上げる。
バッテリBaに対する充電レートが引き上げられると、太陽電池からみた負荷が大きくなり、太陽電池からみた負荷の増加分だけ太陽電池の端子電圧が低下する。太陽電池の端子電圧が低下すると、コントロールユニットCUの高圧入力電源回路11は、バッテリユニットBUaに対する出力電圧を引き下げる。
以後、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧が、ある値に収束して電力の需要量と供給量との間のバランスのとれるまで、上述した充電レートの調整が自動的に繰り返される。
協調制御は、MPPT制御とは異なり、ソフトウェアによる制御ではない。そのため、協調制御には、最大動作点を与える端子電圧の計算が不要である。また、協調制御による充電レートの調整においては、CPUによる計算が介在しない。そのため、協調制御は、MPPT制御と比較して消費電力が小さく、上述した充電レートの調整も、数ナノ秒〜数百ナノ秒程度と短時間で実行される。
また、高圧入力電源回路11およびチャージャー回路41aは、自身に対する入力電圧の大きさを検知して出力電圧を調整するだけなので、アナログ/デジタル変換も不要であり、コントロールユニットCUとバッテリユニットBUaとの間の通信も不要である。したがって、協調制御は、複雑な回路を必要とせず、協調制御を実現するための回路は、小さなものとなる。
ここで、曲線C5上の点aにいたときはコントロールユニットCUが100wの電力を供給できていたと仮定し、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧がある値に収束したとする。すなわち、太陽電池の動作点が、例えば、曲線C7上のc点にうつったとする。このとき、バッテリBaに対して供給される電力は100wを下回ることとなるが、図10Aに示すように、電圧Vt0の値の選び方によっては、MPPT制御行った場合と比較しても遜色のない電力をバッテリBaに対して供給することができる。
さらに空が曇りだすと、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線は、曲線C7から曲線C8へと変化し、太陽電池の動作点は、例えば、曲線C8上のd点にうつる。
図10Aに示すように、協調制御のもとでは、電力の需要量と供給量との間のバランスが調整されるので、太陽電池の端子電圧が電圧Vt0を下回ることはない。すなわち、協調制御のもとでは、太陽電池に対する照度が極端に低下した場合であっても、太陽電池の端子電圧が電圧Vt0を下回ることはない。
太陽電池に対する照度が極端に低下した場合、太陽電池の端子電圧が、電圧Vt0に近い値となり、バッテリBaに対して供給される電流量は、ごくわずかなものとなる。したがって、太陽電池に対する照度が極端に低下した場合には、バッテリBaの充電に時間を要することとなるが、制御システムにおける電力の需要量と供給量との間のバランスがとれているため、制御システムがダウンすることはない。
上述したように、協調制御による充電レートの調整は、非常に短時間で実行されるため、協調制御によれば、急に空が曇りだして太陽電池に対する照度が急激に減少した場合であっても、制御システムのダウンを回避することができる。
次に、太陽電池からみた負荷が変化した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化について説明を行う。
図10Bは、太陽電池からみた負荷が増加した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化を説明するための図である。図10B中、縦軸は、太陽電池の端子電流を表し、横軸は、太陽電池の端子電圧を表している。また、図10B中の網掛けがされた丸は、協調制御を行ったときの動作点を表している。
いま、太陽電池に対する照度の変化がないものとし、太陽電池の電圧−電流特性が、図10Bに示す曲線C0により表されるとする。
制御システムの起動の直後においては、制御システム内部の電力消費がほぼないと考えられるため、太陽電池の端子電圧は、開放電圧にほぼ等しいと考えてよい。したがって、制御システムの起動の直後における太陽電池の動作点は、例えば、曲線C0上のe点にあるものと考えてよい。なお、このときのコントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧は、上限である48Vと考えてよい。
バッテリユニットBUaに接続されたバッテリBaに対する電力の供給が開始されると、太陽電池の動作点は、例えば、曲線C0上のg点にうつる。なお、本例の説明においては、バッテリBaの必要としている電力が100wであるため、図10Bに網掛けで示す領域S1の面積は、100wに等しい。
太陽電池の動作点が曲線C0上のg点にあるときの制御システムの状態は、太陽電池から高圧入力電源回路11およびチャージャー回路41aを介してバッテリBaに供給される電力が、バッテリBaの必要としている電力を上回っている状態である。したがって、太陽電池の動作点が曲線C0上のg点にあるときの太陽電池の端子電圧、コントロールユニットCUからの出力電圧およびバッテリBaに供給される電圧は、それぞれ100V、48Vおよび42Vである。
ここで、バッテリユニットBUaと同様の構成を備えるバッテリユニットBUbが、コントロールユニットCUに対して新たに接続されたとする。バッテリユニットBUaに接続されているバッテリBaと同様に、バッテリユニットBUbに接続されているバッテリBbが、充電のために100wの電力を必要とするものとすると、消費電力が増加し、太陽電池からみた負荷が急激に大きくなる。
合計で200wの電力を2つのバッテリに供給するためには、例えば、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aおよびバッテリユニットBUbのチャージャー回路41bからの出力電圧を維持させたまま、出力電流の合計を2倍にしなければならない。
ところが、発電装置が太陽電池である場合、チャージャー回路41aおよび41bからの出力電流の増加に伴って太陽電池の端子電圧も低下してしまうため、太陽電池の動作点がg点にあるときと比較して、出力電流の合計を2倍より大きくする必要がある。そうすると、図10Bに示すように、太陽電池の動作点が、例えば、曲線C0上のh点になければならないこととなり、太陽電池の端子電圧が極端に低下してしまう。太陽電池の端子電圧が極端に低下すると、制御システムがダウンするおそれがある。
協調制御では、バッテリユニットBUbが新たに接続されたことにより、太陽電池の端子電圧が低下すると、制御システムにおける電力の需要量と供給量との間のバランスの調整がなされる。具体的には、バッテリBaおよびバッテリBbに供給される電力が合計で例えば150wとなるように、2つのバッテリに対する充電レートが自動的に引き下げられる。
すなわち、バッテリユニットBUbが新たに接続されたことにより、太陽電池の端子電圧が低下すると、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaおよびBUbに対する出力電圧も低下する。太陽電池の端子電圧が、100Vから、下限であるVt0=75Vに近づいてくると、コントロールユニットCUの高圧入力電源回路11は、バッテリユニットBUaおよびBUbに対する出力電圧を、48VからVb=45Vに向けて引き下げはじめる。
コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaおよびBUbに対する出力電圧が引き下げられると、バッテリユニットBUaおよびBUbへの入力電圧が低下する。
すると、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aおよびバッテリユニットBUbのチャージャー回路41bは、バッテリBaおよびBbに対する出力電圧をそれぞれ引き下げはじめる。チャージャー回路からの出力電圧が引き下げられると、チャージャー回路に接続されたバッテリに対する充電が減速される。すなわち、それぞれのバッテリに対する充電レートが引き下げられることになる。
それぞれのバッテリに対する充電レートが引き下げられると、全体として消費電力が低下することになるため、太陽電池からみた負荷が小さくなり、太陽電池からみた負荷の減少分だけ太陽電池の端子電圧が上昇(回復)する。
以後、太陽電池に対する照度が急激に減少した場合と同様にして、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaおよびBUbに対する出力電圧が、ある値に収束して電力の需要量と供給量との間のバランスのとれるまで、充電レートの調整が行われる。
なお、実際に収束する電圧値がいくつになるかは状況によって異なる。そのため、実際に収束する電圧値ははっきりとはわからないが、太陽電池の端子電圧が下限であるVt0=75Vになると充電がなされなくなるため、下限であるVt0の値よりは若干高い電圧で収束するものと推定される。また、個々のバッテリユニットは連動制御されていないため、個々のバッテリユニットが同じ構成であっても、使用される素子のばらつきにより充電レートは異なっているものと推測される。ただし、結果として全体を協調制御できることに変わりはない。
協調制御による充電レートの調整が非常に短時間で実行されるため、バッテリユニットBUbが新たに接続されると、太陽電池の動作点は、曲線C0上のg点からi点へとうつる。なお、図10Bにおいては、説明の都合上、曲線C0上に太陽電池の動作点の一例としてh点を図示したが、協調制御のもとでは、太陽電池の動作点が実際にh点にうつるわけではない。
このように、協調制御では、太陽電池からみた負荷の増加に対して、個々のバッテリユニットBUのチャージャー回路が、自身に対する入力電圧の大きさを検知して、個々のバッテリユニットBUのチャージャー回路が、自身の吸いこむ電流量を自動的に抑制する。協調制御によれば、コントロールユニットCUに対して接続されるバッテリユニットBUの数が増加して太陽電池からみた負荷が急激に増加した場合であっても、制御システムのダウンを回避することができる。
次に、太陽電池に対する照度と太陽電池からみた負荷との両方が変化した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化について説明を行う。
図11は、太陽電池に対する照度と太陽電池からみた負荷との両方が変化した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化を説明するための図である。図11中、縦軸は、太陽電池の端子電流を表し、横軸は、太陽電池の端子電圧を表している。また、図11中の網掛けがされた丸は、協調制御を行ったときの動作点を表している。図11に示す曲線C5〜C8は、太陽電池に対する照度が変化した場合における、太陽電池の電圧−電流特性を示している。
まず、コントロールユニットCUに対して、充電のために100wの電力を必要とするバッテリBaを備えたバッテリユニットBUaが接続されているものとする。また、このときの太陽電池の電圧−電流特性が、曲線C7により表され、太陽電池の動作点が、曲線C7上のp点により表されるとする。
図11に示すように、p点における太陽電池の端子電圧が、太陽電池の出力電圧の下限としてあらかじめ設定された電圧Vt0にかなり近づいているとする。太陽電池の端子電圧が電圧Vt0にかなり近づいていることは、制御システムにおいて、協調制御による充電レートの調整が実行され、充電レートが非常に抑えられていることを意味する。すなわち、太陽電池の動作点が図11に示すp点により表される状態では、チャージャー回路41aを介してバッテリBaに供給される電力が、太陽電池から高圧入力電源回路11に供給される電力を大幅に上回っていることを示している。したがって、太陽電池の動作点が図11に示すp点により表される状態においては、充電レートの調整が大きくなされ、バッテリBaを充電するチャージャー回路41aに対しては、100wよりもかなり小なる電力が供給されている。
次に、太陽電池に対する照度が増加し、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C7から曲線C6へと変化したとする。また、バッテリユニットBUaと同様の構成を備えるバッテリユニットBUbが、コントロールユニットCUに対して新たに接続されたとする。このとき、太陽電池の動作点は、例えば、曲線C7上のp点から、曲線C6上のq点にうつる。
コントロールユニットCUに対して2つのバッテリユニットが接続されたことにより、チャージャー回路41a、41bがバッテリBa、Bbにフルで充電する際の消費電力は200wとなるが、太陽電池に対する照度が十分でない場合、協調制御が継続され、消費電力が、200w未満(例えば150wなど)に調整される。
次に、空が晴れあがるなどして、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C6から曲線C5へと変化したとする。このとき、太陽電池に対する照度の増加に伴って太陽電池の発電電力が増加してくると、太陽電池からの出力電流が増加する。
太陽電池に対する照度が十分に増加し、太陽電池の発電電力がさらに増加すると、あるところで太陽電池の端子電圧が電圧Vt0と比較して十分大きい値となる。太陽電池から高圧入力電源回路11ならびにチャージャー回路41aおよび41bを介して2つのバッテリに供給される電力が、2つのバッテリを充電するのに必要としている電力を上回ると、協調制御による充電レートの調整が緩和されるか、自動的に解除される。
このとき、太陽電池の動作点は、例えば、曲線C5上のr点で表され、個々のバッテリBaおよびBbに対する充電は、100%の充電レートで行われる。
次に、太陽電池に対する照度が減少し、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C5から曲線C6へと変化したとする。
すると、太陽電池の端子電圧が低下し、太陽電池の端子電圧があらかじめ設定された電圧Vt0に近づくと、協調制御による充電レートの調整が再び実行される。このときの太陽電池の動作点は、曲線C6上のq点で表される。
次に、太陽電池に対する照度がさらに減少し、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C6から曲線C8へと変化したとする。
すると、太陽電池の端子電圧が電圧Vt0を下回らないように充電レートが調整されるため、太陽電池からの端子電流が減少し、太陽電池の動作点が、曲線C6上のq点から、曲線C8上のs点にうつる。
協調制御では、個々のバッテリユニットBUに対する入力電圧があらかじめ定められた電圧Vt0を下回らないように、コントロールユニットCUと個々のバッテリユニットBUとの間で電力の需要量と供給量との間のバランスが調整される。したがって、協調制御によれば、個々のバッテリユニットBUからみた入力側の供給能力に応じて、個々のバッテリBに対する充電レートをリアルタイムで変化させることができる。このように、協調制御によれば、太陽電池に対する照度の変化のみならず、太陽電池からみた負荷の変化に対しても対応が可能である。
上述したように、本開示は、商用電源を必要としない。したがって、電源装置や電力網が整備されていない地域においても、本開示は有効である。
「台数制御処理」
次に、台数制御処理について説明する。台数制御処理は、充電処理を行うバッテリユニットの台数を変更する処理である。図12は、太陽電池に関する照度が変化した場合の電圧−電流特性を示している。図12では、さらに、充電するバッテリユニットの台数が変化したときの動作点の変化を示している。
天候が晴れた状態では、太陽電池の電圧−電流特性が、例えば、曲線C5により表されるとする。充電処理を行うバッテリユニットの台数が0台のときの動作点がaa点となる。充電処理を行うバッテリユニットの台数が増加するにつれ、バッテリユニットを流れる電流が大きくなる。例えば、1台のバッテリユニットが充電処理を開始すると、動作点がaa点からbb点にうつる。2台のバッテリユニットが充電処理を開始すると、動作点がbb点からcc点にうつる。3台のバッテリユニットが充電処理を開始すると、動作点がcc点からdd点にうつる。
天候が曇った状態では、太陽電池の電圧−電流特性が、例えば、曲線C8により表されるとする。充電処理を行うバッテリユニットの台数が0台のときの動作点がee点となる。充電処理を行うバッテリユニットの台数が増加するにつれ、バッテリユニットを流れる電流が大きくなる。例えば、1台のバッテリユニットが充電処理を開始すると、動作点がee点からff点にうつる。2台のバッテリユニットが充電処理を開始すると、動作点がff点からgg点にうつる。ここで、電圧Vが電圧Vt0になる、もしくは電圧Vt0に近づくと上述した協調制御がはたらく。このため、充電処理を行う台数を3台に増加させても、動作点は、曲線C8上をほとんど移動しない。このときの動作点をgg´で示している。ggとgg´の位置は略同じである。但し、ggは2台のバッテリユニットによって充電処理が行われ、gg´は2台で充電したときの電力を3台のバッテリユニットで分け合うことで充電処理が行われる状態である。
ここで、太陽光発電の出力は天候によって変化する。もちろん、太陽光発電に限らず、風力発電や人力発電も状態によって、その出力が変化するものである。このように、発電部の出力が変化した場合に、充電処理を行うバッテリユニットの台数を如何なるように変更するかが課題となり得る。例えば、動作点がddからgg´に移動した場合に、台数を減らして動作点をggにすべきか否かを判断する必要がある。
一つのやり方として、天候の変化に応じて台数を変更することが考えられる。例えば、晴れた状態では、充電処理を行うバッテリユニットの数を1台、2台、3台と増やしていく。そして、天候が曇ってきた場合には、3台目の充電処理を停止し、充電処理を行うバッテリユニットの台数を2台にする。しかしながら、天候の変化には規則性がない。特に晴れまたは曇りを繰り返すような天気の場合には、3台目のバッテリユニットが充電処理を開始または停止する処理を繰り返すことになる。このような状態は、3台目のバッテリユニットが有するバッテリやチャージャー回路に負担がかかり、好ましくない。そこで、本開示では、以下の台数制御処理を行う。
「第1の台数制御処理」
図13は、第1の台数制御処理の、処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下に説明する処理は、特に断らない限り、コントロールユニットCUのCPU13によって行われる。第1の台数制御処理が開始される。ステップS1では、充電処理を行うべきバッテリユニットが上位になるように、順位が決定される。例えば、バッテリの残容量が少ないバッテリユニットや、バッテリの充電可能量が大きいバッテリユニットが上位になるように、順位付けがなされる。ここでは、第1順位がバッテリユニットBUaに割り当てられ、第2順位がバッテリユニットBUbに割り当てられ、第3順位がバッテリユニットBUcに割り当てられたものとする。そして、処理がステップS2に進む。
ステップS2では、発電部からの入力があるか否かの判断が行われる。発電部は、上述した太陽光発電や風力、人力などで発電するものである。発電部からの入力がない場合は、ステップS2の処理を繰り返す。発電部からの入力がある場合は、処理がステップS3に進む。発電部からの入力は、コントロールユニットCUの高圧入力電源回路11または低圧入力電源回路12に供給される。発電部からコントロールユニットCUに供給される電圧を適宜、受電電圧と称する。受電電圧は、例えば、天気の変化などの状態に変化によって変動する。
ステップS3では、高圧入力電源回路11が起動する。電圧を供給する発電部によっては、低圧入力電源回路12が起動する。そして、処理がステップS4に進む。
ステップS4では、バッテリユニットBUが選択される。例えば、ステップS1の処理で順位付けがなされたバッテリユニットのうち、第1順位のバッテリユニットが選択される。ここでは、バッテリユニットBUaが選択される。そして、処理がステップS5に進む。ステップS5では、バッテリユニットBUaに対する充電指示が行われる。充電指示は、コントロールユニットCUからバッテリユニットBUaに対して行われる。充電指示に応じて、バッテリユニットBUaが充電処理を開始する。なお、コントロールユニットCUからの指示に応じて、バッテリユニットBUが充電を開始する処理および充電を停止する処理の詳細は上述してあるため、重複した説明を省略する。そして、処理がステップS6に進む。
ステップS6では、受電電圧が閾値より大きいか否かが判断される。なお、閾値より大きいということは、閾値より大きいまたは閾値以上を意味する。閾値より小さいということは、閾値より小さいまたは閾値以下を意味する。閾値は、例えば、Vt0の値(75V)に数V程度のオフセットを設けた値に設定される。例えば、閾値が78V程度に設定される。受電電圧が、閾値より大きい場合は、処理がステップS7に進む。
受電電圧が閾値より大きいことは、発電部からの供給量がバッテリユニットでの需要量を上回ることを意味する。そこで、ステップS7では、充電するバッテリユニットの台数(以下、適宜、充電台数と称する)を増やす。ここでは、第1順位のバッテリユニットBUaが既に充電処理を行っていることから、ステップS7では、第2順位のバッテリユニットBUbに対する充電指示がなされる。充電指示に応じて、バッテリユニットBUbが充電処理を開始する。そして、処理がステップS6に戻る。受電電圧が閾値より大きい場合には、ステップS1で付した順位にしたがって、バッテリユニットBUに対する充電指示が順次、なされる。
ステップS6において、受電電圧が閾値より小さい場合には、処理がステップS8に進む。ステップS8では、受電電圧が閾値より小さい状態が所定時間、続いているか否かが判断される。所定時間は、例えば、数分から10分程度に設定される。受電電圧が閾値より小さい状態が所定時間、続いていなければ、処理がステップS6に戻る。
受電電圧が閾値より小さい状態が所定時間、続いている場合は、処理がステップS9に進む。受電電圧が閾値より小さいことは、バッテリユニットでの需要量が発電部からの供給量を上回っていることを意味する。このため、ステップS9では、最後に充電処理を開始したバッテリユニットにおける充電処理を停止させる。そして、処理がステップS6に戻る。
このように、第1の台数制御処理では、受電電圧が閾値より小さい場合でも、充電台数をすぐに減らさない。所定時間経過したか否かが判断された後に充電台数が減らされる。これにより、例えば、天候が晴れから曇りに変化し、すぐに曇りから晴れに変化した場合でも、台数の変更が行われない。すなわち、あるバッテリユニットにおいて充電処理の開始および停止が頻繁に繰り返されることを防止できる。
ステップS7の処理を行う前に、ステップS8と同様の処理が行われてもよい。しかしながら、発電部からの供給量がバッテリユニットでの需要量を上回る場合には、発電部からの供給量を効率的に使用するために、所定時間の経過を待たずに充電台数を増やすことが好ましい。充電台数を増やす処理および充電台数を減らす処理のいずれか一方のみの処理において、所定時間の経過を判断すれば、バッテリユニットBUにおいて充電処理の開始および停止が頻繁に繰り返されることを防止できる。
なお、ステップS6における閾値との比較において、充電台数を増やす場合と充電台数を減らす場合とに応じて、閾値を異なる値にしてもよい。台数を増やす場合には、閾値は、例えば、上述した78V程度に設定される。台数を減らす場合には、閾値をVt0の値(例えば、75V)か、Vt0よりやや高い75.5V程度が好ましい。
「第2の台数制御処理」
次に第2の台数制御処理について説明する。第2の台数制御処理の理解を容易にするために、具体的な例を使用して説明する。なお、具体例において、各バッテリユニットのチャージ電力が100wとする。例えば、太陽光発電からの供給量を210wとする。
図14は、第1の具体例を示す。2台のバッテリユニットBUが充電処理を行っている場合は、供給量(210w)が需要量(バッテリユニットBUが2台であることから200w)を上回る。したがって、協調制御は働かずオフとなっている。このとき、供給量における10w分が使用されずに損失となる。各バッテリユニットBUにおけるチャージャー回路41では、12wの電力が消費されるとする。そうすると、2台のバッテリユニットに、実際にチャージされる電力(以下、適宜、実効チャージ電力と称する)は、200w−24w(2台分のチャージャー回路で消費される電力)となり、176wとなる。
太陽光発電の供給量がバッテリユニット側の需要量を上回ることから、通常であれば、充電台数を増やす。しかしながら、第2の台数制御処理では、チャージャー回路における消費電力を考慮して、発電部からの電力をより効率的に使用できるように制御する。
例えば、充電台数を3台に増やしたとする。この場合は、バッテリユニット側の需要量(300w)が太陽光発電からの供給量(210w)を上回るので、協調制御がオンする。太陽光発電の供給量は全て、チャージ電力として使用される。このため、損失は無い。この場合に実効チャージ電力は、210w−36w(3台分のチャージャー回路で消費される電力)となり、174wとなる。
それぞれの実効チャージ電力を対比すると、176wの方が太陽光発電の供給量を効率的に使用している。このような場合は、充電台数を増やさないで2台のままにする。もし、現在の充電台数が3台であれば、充電台数を2台に減らす。
図15は、第2の具体的を示す。2台のバッテリユニットBUが充電処理を行っている場合は、供給量(210w)が需要量(バッテリユニットBUが2台であることから200w)を上回る。したがって、協調制御は働かずオフとなっている。このとき、供給量における10w分が使用されずに損失となる。
チャージャー回路41における消費電力は、バッテリユニットBUのバッテリ毎によって異なる場合がある。第1の具体例では、チャージャー回路41では12wの電力が消費されるものとして説明したが、第2の具体例では、チャージャー回路41では8wの電力が消費されるものとする。そうすると、2台のバッテリユニットに、実際にチャージされる電力(以下、適宜、実効チャージ電力と称する)は、200w−16w(2台分のチャージャー回路で消費される電力)となり、184wとなる。
太陽光発電の供給量がバッテリユニット側の需要量を上回ることから、通常であれば、充電台数を増やす。しかしながら、第2の台数制御処理では、チャージャー回路における消費電力を考慮して、発電部からの電力をより効率的に使用できるように制御する。
例えば、充電台数を3台に増やしたとする。この場合は、バッテリユニット側の需要量(300w)が太陽光発電からの供給量(210w)を上回るので、協調制御がオンする。太陽光発電の供給量は全て、チャージ電力として使用される。このため、損失は無い。この場合に実効チャージ電力は、210w−24w(3台分のチャージャー回路で消費される電力)となり、186wとなる。
それぞれの実効チャージ電力を対比すると、186wの方が太陽光発電の供給量を効率的に使用している。このような場合は、充電台数を増やして3台のままにする。もし、現在の充電台数が3台であれば、充電台数を減らさずに維持する。以上のように、チャージャー回路における消費電力を考慮して、太陽光発電から供給される電力を効率的に使用する。
太陽光発電からの供給量が変化する場合もある。例えば、空が晴れ上がり、上述した太陽光発電の供給量(210w)が220wに増加する。この場合、充電台数が2台のときの実行チャージ電力は、200w−24wとなり、176wとなる。これに対して、充電台数が3台のときの実行チャージ電力は、220w−36wとなり、184wとなる。すなわち、充電台数が3台の方が効率がよいので、充電台数を2台から3台に増やす、または、充電台数を3台のままにして減らさないようにする。このように、太陽光発電の供給量が変化した場合でも、実行チャージ電力による比較を行うことで、充電台数を適切に設定できる。
なお、バッテリユニットのチャージャー回路毎の消費電力が異なる場合がある。その場合でも、チャージャー回路の消費電力の合計が算出できるため、実行チャージ電力を求めることができる。
図16は、第2の台数制御処理の、処理の流れの一例を示すフローチャートである。第2の台数制御処理が開始される。ステップS11では、所定時間が経過するまで待機する。所定時間が、例えば、数分程度に設定される。所定時間が経過すると、処理がステップS12に進む。
ステップS12では、受電電圧および電流値の測定が行われ、測定された受電電圧および電流値が記録される。そして、処理がステップS13に進む。ステップS13では、受電電圧および電流値が所定回数、記録されたか否かが判断される。所定回数、記録されていない場合は、処理がステップS11に戻る。そして、所定時間が経過した後に、受電電圧および電流値の測定および記録が再度、行われる。受電電圧および電流値が所定回数、記録された場合は、処理がステップS14に進む。
ステップS14では、太陽光発電の電圧−電流特性(V−I曲線)が推定される。そして、処理がステップS15に進む。ステップS15では、協調制御がオンであるか否かが判断される。この判断は、受電電圧と閾値とを比較することで行われる。受電電圧が閾値より小さければ、協調制御がオンと判断され、処理がステップS16に進む。受電電圧が閾値より大きければ、協調制御がオフと判断され、処理がステップS20に進む。閾値は、Vt0またはVt0よりやや大きい値に設定される。
協調制御がオンされているということは、バッテリユニットの需要量が太陽光発電からの供給量を上回ることを意味する。したがって、ステップS16以降の処理は、充電台数を減らすべきか否かを判断する処理である。
ステップS16では、充電台数を減らしたときのチャージ電力が算出される。例えば、図14の第1の具体例では、充電台数を3台から2台に減らしたときのチャージ電力が200wと算出される。そして、処理がステップS17に進む。ステップS17では、太陽光発電の現在の供給電力とステップS16で算出された電力との差分が算出される。そして、差分の絶対値(以下、差分電力と適宜、称する)が算出される。太陽光発電の現在の供給電力を210wとすると、差分電力は210w−200wとなり、10wと算出される。そして、処理がステップS18に進む。
ステップS18では、差分電力とチャージャー回路における消費電力が比較される。第1の具体例では、1台当たりのチャージャー回路における消費電力が12wである。このため、ステップS18における判定は、NOとなり、処理がステップS11に戻る。すなわち、充電台数が減らされない。上述した第2の具体例のように、1台当たりのチャージャー回路における消費電力が8wである場合は、処理がステップS19に進み、充電台数を減らす処理が行われる。そして、処理がステップS11に戻る。
ステップS15の判断で、協調制御がオフされているということは、太陽光発電からの供給量がバッテリユニットの需要量を上回ることを意味する。したがって、ステップS20以降の処理は、充電台数を増やすべきか否かを判断する処理である。
ステップS20では、余剰電力が算出される。余剰電力とは、例えば、協調制御が行われるまでの余剰の電力である。図14の第1の具体例では、充電台数を2台ではチャージ電力が200wである。充電台数が3台になると協調制御が行われることから、余剰電力が10wと算出される。そして、処理がステップS21に進む。
ステップS21では、余剰電力とチャージャー回路における消費電力が比較される。第1の具体例では、1台当たりのチャージャー回路における消費電力が12wである。このため、ステップS21における判定は、NOとなり、処理がステップS11に戻る。すなわち、充電台数が増やされない。上述した第2の具体例のように、1台当たりのチャージャー回路における消費電力が8wである場合は、処理がステップS22に進み、充電台数を3台に増やす処理が行われる。そして、処理がステップS11に戻る。
以上のように、例えば、チャージャー回路における消費電力を考慮して、充電処理を行うバッテリユニットの台数を変更する。これにより、発電部から供給される電力を使用して、バッテリユニットに充電を効率的に行うことができる。
上述した第1および第2の台数制御処理が、組み合せて実行されるようにしてもよい。例えば、ステップS8とステップS9との間に、ステップS16〜ステップS19の処理が行われ、ステップS6とステップS7との間にステップS20〜ステップS22の処理が行われるようにしてもよい。ステップS11〜ステップS14の処理が予め行われるようにしてもよい。
<2.変形例>
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に限定されることはなく、種々の変形が可能である。実施形態における構成、数値、材料などは全て一例であり、例示した構成等に限定されることはない。例示した構成等は、技術的矛盾が生じない範囲において、適宜、変更することができる。
制御システムにおけるコントロールユニットおよびバッテリユニットが携帯可能とされてもよい。上述した制御システムが、例えば、自動車や家屋などに適用されてもよい。
なお、本開示は、以下の構成をとることもできる。
(1)
状態の変化に応じて変動する電圧が、発電部から供給される供給部と、
前記電圧と基準値との関係に応じて、充電を行うバッテリユニットの台数を変更する制御部と
を備える制御装置。
(2)
前記制御部は、
前記電圧が前記基準値より大きい場合に前記台数を増やし、前記電圧が前記基準値より小さい状態が所定時間継続した場合に前記台数を減らす(1)に記載の制御装置。
(3)
前記制御部は、
前記電圧が前記基準値より小さい場合に第1の電力を算出し、前記第1の電力が、前記バッテリユニットが有する充電制御部の消費電力より小さい場合に前記台数を減らし、
前記電圧が前記基準値より大きい場合に第2の電力を算出し、前記第2の電力が、前記バッテリユニットが有する充電制御部の消費電力より大きい場合に前記台数を増やす(1)に記載の制御装置。
(4)
前記第1の電力は、前記発電部が供給する電力と前記台数を減らしたときの前記バッテリユニットにおける合計電力との差分であり、
前記第2の電力は、前記発電部が供給する電力と前記バッテリユニットにおける合計電力との差分である(3)に記載の制御装置。
(5)
前記発電部は、太陽光発電部で構成される(1)乃至(4)のいずれか1に記載の制御装置。
(6)
状態の変化に応じて変動する電圧が発電部から供給され、
前記電圧と基準値との関係に応じて、充電を行うバッテリユニットの台数を変更する
制御方法。