JP5977205B2 - タンクの製造方法および繊維巻付装置 - Google Patents
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Description
[形態1]本発明の一形態によれば、タンクの製造方法が提供される。このタンクの製造方法は、(a)繊維巻き装置を用いて、タンク容器状のマンドレルに繊維を巻き付ける工程と;(b)前記繊維を、前記マンドレルに巻き付けられている既設部と前記繊維巻き装置との間において固定する工程と;(c)前記繊維を、前記工程(b)において固定された固定部と前記既設部との間において切断する工程と;を備え;前記工程(a)は、(a1)前記繊維巻き装置を、前記マンドレルの外周を囲むように配置する工程と;(a2)前記繊維巻き装置から複数の前記繊維を繰り出して、前記マンドレルに巻き付ける工程と;を備え、前記工程(b)は、繊維固定装置を用いて、前記複数の繊維を、前記既設部と前記繊維巻き装置との間において固定する工程であり、前記繊維固定装置は、前記マンドレルの中心軸上に中心を有し、円周方向に沿って第1凹部と第1凸部とが交互に配列されている環状の内側チャック部と;前記内側チャック部よりも外径の大きな外側チャック部であって、前記マンドレルの中心軸上に中心を有し、円周方向に沿って第2凹部と第2凸部とが交互に配列されている環状の外側チャック部と;を有し;前記工程(b)は、(b1)前記複数の繊維を、それぞれ前記内側チャック部の前記第1凹部と前記外側チャック部の前記第2凹部とに亘って配置する工程と;(b2)前記内側チャック部と前記外側チャック部とのうち、少なくとも一方を、中心を軸として円周方向に沿って回転させる工程と;を含む。
この形態のタンクの製造方法によれば、繊維を、既設部と繊維巻き装置との間において固定した後に、切断することができる。このため、切断の際に繊維がずれることを抑制できるので、繊維の切断を短時間で完了できると共に正確な位置で繊維を切断できる。加えて、切断後の繊維の広がりを抑制できるので、周辺に位置する設備やマンドレルに既に巻き付けられている繊維に、切断後の繊維(繊維の端部)が絡むことを抑制できる。このため、周辺に位置する設備の故障や、タンクの品質劣化を抑制できる。加えて、環状の内側チャック部と環状の外側チャック部とを有する繊維固定装置を用いて、第1凹部と第2凹部とに亘って繊維を配置するので、繊維巻き装置から繰り出されてマンドレルに向かって延びる繊維を確実に固定できる。加えて、内側チャック部と前記外側チャック部とのうち、少なくとも一方を、中心を軸として円周方向に沿って回転させることにより繊維を固定するので、繊維の固定と解除との切り替えを容易に行うことができる。また、繊維を複数回巻き付けて固定する技術に比べて、固定のために利用する繊維量を低減できる。このため、固定のための利用により劣化する繊維量を低減できる。
[形態2]本発明の他の形態によれば、タンク容器状のマンドレルに繊維を巻き付けるための繊維巻付装置が提供される。この繊維巻付装置は、前記マンドレルに繊維を巻き付ける繊維巻き部と;前記繊維を、前記マンドレルに巻き付けられている既設部と前記繊維巻き装置との間において固定する繊維固定部と;前記繊維を、前記繊維固定部により固定された固定部と前記既設部との間において切断する切断部と;を備え;前記繊維巻き部は、前記マンドレルの外周を囲むように配置され、複数の前記繊維を繰り出して前記マンドレルに巻き付け;前記繊維固定部は、前記マンドレルの中心軸上に中心を有し、円周方向に沿って第1凹部と第1凸部とが交互に配列されている環状の内側チャック部と;前記内側チャック部よりも外径の大きな外側チャック部であって、前記マンドレルの中心軸上に中心を有し、円周方向に沿って第2凹部と第2凸部とが交互に配列されている環状の外側チャック部と;を有し、前記内側チャック部の前記第1凹部と前記外側チャック部の前記第2凹部とに亘って配置されている前記複数の繊維を、前記内側チャック部と前記外側チャック部とのうち、少なくとも一方を、中心を軸として円周方向に沿って回転させることにより固定する。
この形態の繊維巻付装置によれば、繊維を、既設部と繊維巻き装置との間において固定した後に、切断することができる。このため、切断の際に繊維がずれることを抑制できるので、繊維の切断を短時間で完了できると共に正確な位置で繊維を切断できる。加えて、切断後の繊維の広がりを抑制できるので、周辺に位置する設備やマンドレルに既に巻き付けられている繊維に、切断後の繊維(繊維の端部)が絡むことを抑制できる。このため、周辺に位置する設備の故障や、タンクの品質劣化を抑制できる。加えて、環状の内側チャック部と環状の外側チャック部とを有する繊維固定部により、第1凹部と第2凹部とに亘って繊維を配置するので、繊維巻き装置から繰り出されてマンドレルに向かって延びる繊維を確実に固定できる。加えて、内側チャック部と前記外側チャック部とのうち、少なくとも一方を、中心を軸として円周方向に沿って回転させることにより繊維を固定するので、繊維の固定と解除との切り替えを容易に行うことができる。また、繊維を複数回巻き付けて固定する技術に比べて、固定のために利用する繊維量を低減できる。このため、固定のための利用により劣化する繊維量を低減できる。
A1.装置構成:
図1は、本発明の一実施形態としての繊維巻付装置の外観構成を示す斜視図である。繊維巻付装置10は、フィラメントワインディング法によってマンドレル20に繊維を巻き付ける装置である。本実施形態では、マンドレル20に巻き付ける繊維は、直径が数マイクロメートル程度の単繊維を多数(例えば、2万本)束ねて構成され、熱硬化性樹脂が含浸されたカーボン繊維(いわゆるプリプレグ)である。本実施形態では、熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂を用いる。また、本実施形態では、カーボン繊維として、ポリアクリロニトリル(PAN)系カーボン繊維を用いる。なお、ポリアクリロニトリル(PAN)系カーボン繊維に代えて、レーヨン系カーボン繊維やピッチ系カーボン繊維など、他の任意のプリプレグを用いてもよい。
図4は、本発明の一実施形態としてのタンクの製造方法の処理手順を示すフローチャートである。
B1.変形例1:
上述した実施形態におけるチャックピン441,442の外観形状は、先端部がテーパードした柱状の形状であったが、本発明は、かかる形状に限定されるものではない。
上述した実施形態では、繊維に含浸される樹脂は、エポキシ樹脂であったが、エポキシ樹脂に限らず任意の樹脂を採用してもよい。例えば、フェノール樹脂や、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを用いてもよい。また、上述した実施形態では、マンドレル20に巻き付けられる繊維は、熱硬化性樹脂が含浸されたカーボン繊維であったが、かかるカーボン繊維に代えて、または、カーボン繊維に加えて、ガラス繊維やアラミド繊維などの任意の繊維を用いてもよい。このような構成においても、マンドレル20に巻き付けられている繊維の切断後において、繊維の端部の広がりを抑制し、かつ、マンドレル20に巻き付いた繊維の緩みを抑制できる。
上述した実施形態では、ステップS130において、繊維巻付装置10(繊維処理ユニット400)が備える切断部440により繊維が切断されていたが、かかる切断部440とは異なる切断手段により、繊維を切断してもよい。具体的には、例えば、繊維巻付装置10とは別体として用意された切断装置(カッター)を用いて繊維を切断する構成を採用してもよい。この構成によれば、繊維巻付装置10(繊維処理ユニット400)は切断部を省略できる。
上述した実施形態では、チャック部430は、内側チャック部431と外側チャック部432とのうち、内側チャック部431のみが所定の角度だけ回転移動することにより繊維fbを固定していたが、内側チャック部431に代えて、または、内側チャック部431に加えて外側チャック部432が回転移動することにより、繊維fbを固定してもよい。すなわち、一般には、内側チャック部431と外側チャック部432とのうち、少なくとも一方を回転移動させることにより、繊維fbを固定する構成を採用してもよい。
上述した実施形態では、チャック部430は、内側チャック部431と外側チャック部432とにより構成されていたが、かかる構成に代えて、繊維を固定可能な任意の構成を採用してもよい。このような構成においても、各繊維fbを切断する前に、各繊維fbは、マンドレル20に既に巻き付けられている部分とヘリカル巻き装置200との間において固定されるため、各繊維fbを切断する際に各繊維fbがずれることを抑制できる。
上述した実施形態では、燃料電池システムで用いられる高圧ガスタンクが製造されたが、かかる高圧ガスタンクに代えて、他の任意の用途で用いられる高圧ガスタンクを製造してもよい。また、高圧ガスタンクに限らず、液体等の他の任意の流体を貯蔵可能なタンクを製造してもよい。
20…マンドレル
21…口金部
22…ドーム部
41a,41b,41c,41d,42e…基端部
42a,42b,42c,42d…接続部
43a,43b,43c,43d,43e…先端部
44a,44b,44c,44d,44e…チャックピン
45…支持部
46…支持部
47…空隙
48…空隙
100…フープ巻き装置
102…フレーム
104…巻掛テーブル
105…中央孔
106…ホルダー
107…ボビン
108…第1のガイド給糸部
109…第2のガイド給糸部
200…ヘリカル巻き装置
202…フレーム
204…給糸リング
206…中央孔
210…クリール装置
211…ボビン
212…給糸ガイド
300…基台
302…第1のレール
304…第2のレール
310…第1の支持台
311…第2の支持台
312…ベース
314…支持腕
315…取り付け治具
400…繊維処理ユニット
430…チャック部
431…内側チャック部
432…外側チャック部
440…切断部
441…チャックピン
442…チャックピン
450…繊維巻取部
460…支持部
470…駆動部
480…取付部
AX…軸
fb…繊維
Claims (8)
- タンクの製造方法であって、
(a)繊維巻き装置を用いて、タンク容器状のマンドレルに繊維を巻き付ける工程と、
(b)前記繊維を、前記マンドレルに巻き付けられている既設部と前記繊維巻き装置との間において固定する工程と、
(c)前記繊維を、前記工程(b)において固定された固定部と前記既設部との間において切断する工程と、
を備え、
前記工程(a)は、
(a1)前記繊維巻き装置を、前記マンドレルの外周を囲むように配置する工程と、
(a2)前記繊維巻き装置から複数の前記繊維を繰り出して、前記マンドレルに巻き付ける工程と、
を備え、
前記工程(b)は、繊維固定装置を用いて、前記複数の繊維を、前記既設部と前記繊維巻き装置との間において固定する工程であり、
前記繊維固定装置は、
前記マンドレルの中心軸上に中心を有し、円周方向に沿って第1凹部と第1凸部とが交互に配列されている環状の内側チャック部と、
前記内側チャック部よりも外径の大きな外側チャック部であって、前記マンドレルの中心軸上に中心を有し、円周方向に沿って第2凹部と第2凸部とが交互に配列されている環状の外側チャック部と、
を有し、
前記工程(b)は、
(b1)前記複数の繊維を、それぞれ前記内側チャック部の前記第1凹部と前記外側チャック部の前記第2凹部とに亘って配置する工程と、
(b2)前記内側チャック部と前記外側チャック部とのうち、少なくとも一方を、中心を軸として円周方向に沿って回転させる工程と、
を含む、タンクの製造方法。 - 請求項1に記載のタンクの製造方法において、さらに、
(d)前記既設部と前記繊維巻き装置との間における前記繊維の固定を解除する工程と、
(e)前記繊維の切断端部と前記繊維巻き装置との間に存在する繊維であって、固定を解除された前記繊維を巻き取る工程と、
を備える、タンクの製造方法。 - 請求項1に記載のタンクの製造方法において、
前記工程(c)は、前記内側チャック部の内側に配置されている切断装置を、前記内側チャック部の内周に沿って回転させることにより、前記複数の繊維を、前記固定部と前記既設部との間において切断する工程である、タンクの製造方法。 - タンク容器状のマンドレルに繊維を巻き付けるための繊維巻付装置であって、
前記マンドレルに繊維を巻き付ける繊維巻き部と、
前記繊維を、前記マンドレルに巻き付けられている既設部と前記繊維巻き装置との間において固定する繊維固定部と、
前記繊維を、前記繊維固定部により固定された固定部と前記既設部との間において切断する切断部と、
を備え、
前記繊維巻き部は、前記マンドレルの外周を囲むように配置され、複数の前記繊維を繰り出して前記マンドレルに巻き付け、
前記繊維固定部は、
前記マンドレルの中心軸上に中心を有し、円周方向に沿って第1凹部と第1凸部とが交互に配列されている環状の内側チャック部と、
前記内側チャック部よりも外径の大きな外側チャック部であって、前記マンドレルの中心軸上に中心を有し、円周方向に沿って第2凹部と第2凸部とが交互に配列されている環状の外側チャック部と、
を有し、前記内側チャック部の前記第1凹部と前記外側チャック部の前記第2凹部とに亘って配置されている前記複数の繊維を、前記内側チャック部と前記外側チャック部とのうち、少なくとも一方を、中心を軸として円周方向に沿って回転させることにより固定する、繊維巻付装置。 - 請求項4に記載の繊維巻付装置において、
さらに、繊維巻取部を備え、
前記繊維固定部は、前記繊維を、前記既設部と前記繊維巻き装置との間において解除自在に固定し、
前記繊維巻取部は、前記繊維の切断端部と前記繊維巻き装置との間に存在し、固定を解除された前記繊維を巻き取る、繊維巻付装置。 - 請求項4に記載の繊維巻付装置において、
前記切断部は、前記内側チャック部の内側に配置され、前記内側チャック部の内周に沿って回転することにより前記複数の繊維を切断する、繊維巻付装置。 - 請求項4に記載の繊維巻付装置において、
前記内側チャック部と前記外側チャック部とのうち、少なくとも一方は、円周方向に沿って所定の間隔で並んでいる複数の柱状部材を有し、
前記第1凹部と前記第2凹部とのうち、少なくとも一方は、隣り合う2つの前記柱状部材の間の空隙により構成されている、繊維巻付装置。 - 請求項7に記載の繊維巻付装置において、
前記内側チャック部と前記外側チャック部とのうち、少なくとも一方は、前記複数の柱状部材のそれぞれを支持する環状の支持部を有し、
前記複数の柱状部材は、それぞれ、
前記柱状部材の長手方向における一端に位置し、前記支持部と接続されている基端部と、
前記基端部とは反対の端に位置する先端部と、
前記基端部と前記先端部との間に位置し、前記基端部の最大径と前記先端部の最大径とに比べて小さい最小径を有する接続部と、
を有する、繊維巻付装置。
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