JP5976881B1 - 熱電対素線断線寿命の延長を実現する方法 - Google Patents

熱電対素線断線寿命の延長を実現する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 シングルエレメントシース熱電対を加熱と冷却が繰り返し与えられる環境において使用すると、当シングルエレメントシース熱電対の熱電対素線に断線が生じることがあり、当断線が生じた際の対策に手間と費用を要する課題があった。【解決手段】 無機絶縁材粉末10を介在して、断線が生じたシングルエレメントシース熱電対の熱電対素線と同材質で径が90%乃至略同一である二対の熱電対素線8が、当シングルエレメントシース熱電対の金属シースと同材質で外径及び肉厚が同一の金属シース7内に収容され、二対の熱電対素線8の一対のみが先端を接合されて測温接点9を形成されており、金属シース7の末端は先端が接合された一対の熱電対素線8が貫通した状態でシール12が施されている断線防止用シース熱電対1を、当シングルエレメントシース熱電対に替えて使用するものである。【選択図】 図1

Description

本発明は、大きな応力が繰り返し加わっても熱電対素線の断線が生じ難いシース熱電対を実現する方法、及びそれに用いる断線防止用シース熱電対に関するものである。
シース熱電対は、特許文献1の図6などに示されているとおり、先端が接合されて測温接点が形成された一対の熱電対素線が、無機絶縁材粉末を介在して金属シース内に収容された温度センサで、湿分の侵入による無機絶縁材の絶縁低下を防ぐため、金属シースの先端は溶接封止され、同金属シースの末端は樹脂等によって密閉されている。なお、一対の熱電対素線は、プラス側熱電対素線とマイナス側熱電対素線で一対となった熱電対素線である。
収容されている熱電対素線が一対ではなく複数対のシース熱電対もある。実際に使用されているのは一対のものが最も多く、次が二対で、三対以上は稀である。一対の熱電対素線を収容したシース熱電対、二対の熱電対素線を収容したシース熱電対、及び三対の熱電対素線を収容したシース熱電対は、其々、シングルエレメントシース熱電対、ダブルエレメントシース熱電対、及びトリプルエレメントシース熱電対と一般に呼ばれており、以下、この呼び方を用いる。
図2の(a)、(b)は、シングルエレメントシース熱電対2の構造を具体的に示したもので、図2(a)は、シングルエレメントシース熱電対2の先端部と末端部以外の径方向断面図、図2(b)は、図2(a)のC−C断面図である。一対の熱電対素線28は、先端が接合されて測温接点29が形成され、無機絶縁材粉末210を介在して金属シース27に収容されている。金属シースの先端211は溶接により封止されており、金属シースの末端は一対の熱電対素線28が貫通した状態で樹脂等によりシール212が施されている。
図2(c)は、シングルエレメントシース熱電対2の素材となるMI(Mineral Insulated)ケーブル3の長手方向断面図を示しており、その径方向断面は図2(a)と同じである。MIケーブル3は、金属シース27に無機絶縁材粉末210を介在して一対の熱電対素線28を収容したもので、これに先端部の加工と末端部の加工を施して図2の(a)、(b)に示すシングルエレメントシース熱電対2が作られる。
図3の(a)、(b)は、ダブルエレメントシース熱電対4である。図3(a)は、ダブルエレメントシース熱電対4の先端部と末端部以外の径方向断面図、図3(b)は、図3(a)のD−D断面及びE−E断面図で、D−D断面とE−E断面は同じである。二対の熱電対素線48は、各対毎に先端が接合されて測温接点49が形成され、無機絶縁材粉末410を介在して金属シース47に収容されており、シングルエレメントシース熱電対2と同様、金属シースの先端411は溶接により封止され、金属シースの末端は二対の熱電対素線48が貫通した状態で樹脂等によりシール412が施されている。その素材となるMIケーブルは、その径方向断面は図3(a)の形状をしたものとなり、収容された熱電対素線が二対である以外はMIケーブル3と同じである。これに先端部の加工と末端部の加工を施して図3の(a)、(b)に示すダブルエレメントシース熱電対4が作られる。
図3の(c)は、トリプルエレメントシース熱電対5の先端部と末端部以外の径方向断面図である。収容されている熱電対素線58が三対で各対毎の先端が接合されて測温接点が形成されている以外は、シングルエレメントシース熱電対2、ダブルエレメントシース熱電対4と同じであり、素材となるMIケーブル及びMIケーブルの加工も、熱電対素線58の対数が異なる以外は、シングルエレメントシース熱電対2、ダブルエレメントシース熱電対4の場合と同じである。
熱電対素線の線膨張率より大きい線膨張率を持つ金属が金属シースとして使用されたシングルエレメントシース熱電対を、加熱と冷却が繰り返し作用する環境で使用した場合、また、金属シースの線膨張率が熱電対素線より大きくないシングルエレメントシース熱電対であっても、非常に急激な加熱が繰り返し与えられる環境で使用した場合、熱電対素線に繰り返し生じる引張り応力によって、熱電対素線に断線が生じ易いことが従来から知られている。
このような熱電対素線の断線へ対処したものとして、特許文献2に示される、本願と同じ発明者の発明による断線防止線入りシース熱電対がある。図4の(a)乃至(c)が、この断線防止線入りシース熱電対6で、図4(a)が断線防止線入りシース熱電対の先端部と末端部以外の径方向断面図、図4(b)が図4(a)のF−F断面図、図4(c)が図4(a)のG−G断面図である。一対の熱電対素線68が、先端が接合されて測温接点69が形成され、無機絶縁材粉末610を介在して金属シース67に収容されており、また、線膨張率が熱電対素線68より小さく、かつ耐断線性の強い材質で作られた一対の断線防止線13が、同様に、無機絶縁材粉末610を介在して金属シース67に収容されている。
熱電対素線68の線膨張率が金属シース67の線膨張率より小さく、断線防止線13が無い場合、即ち図2のシングルエレメントシース熱電対2の場合、加熱された際に金属シース27が熱膨張によって長手方向に伸びる力は、金属シース27と無気絶線粉末210との間摩擦力、及び熱電対素線28と無機絶縁材粉末210との間の摩擦力を介して線膨張係数の小さい熱電対素線28に引張り応力を与える。金属シース27の断面積に比べて、熱電対素線8の断面積は小さいので、熱電対素線28に生じる引張り応力は大きく、これが繰り返し生じるとサイクル疲労によって熱電対素線28が断線することがある。
また、熱電対素線28の線膨張率が金属シース27の線膨張率より小さくない場合でも、非常に急激な加熱が加えられると、過渡的に金属シース27のみが昇温して伸びる状態となり、短期的ではあるが熱電対素線28に引張り応力が生じ、これが繰り返し生じるとやはり熱電対素線28が断線することがある。
図4のように断線防止線13がある場合、加熱された際の金属シース67の伸びる力は、無機絶縁材粉末610を介して線膨張係数の小さい断線防止線13に主として加わるため、熱電対素線68に生じる引張り応力は軽減され、断線が生じ難くなる。また、断線防止線13は太くかつ耐断線の強い材質であるので、引張り応力が繰り返し加わっても、断線防止線13自体にも断線が生じ難い。
なお、図4の(a)、(b)に示す断線防止線入りシース熱電対6は、その径方向断面が図4(a)の形状をしたMIケーブルを素材とし、それに先端部の加工と末端部の加工を施して作られるのは、図2と図3に示したシース熱電対2、4と同様である。
特開2010−230505号公報 特開2009− 75003号公報
上述のように、シングルエレメントシース熱電対の熱電対素線の加熱冷却サイクルによる断線は、特許文献2に示した断線防止線入りシース熱電対により回避できるが、このシース熱電対の素材となるMIケーブルは、断線防止線が収容された特殊なMIケーブルであり、断線防止線入りシース熱電対専用に作られるものであるので、その製作に手間と費用が掛かる問題があった。本発明はこの問題の軽減を課題としたものである。
無機絶縁材粉末を介在して、先端が接合されて測温接点を形成された略同一径の一対の熱電対素線が金属シース内に収容され、金属シースの末端は熱電対素線が貫通した状態でシールされているシングルエレメントシース熱電対を、加熱と冷却が繰り返し与えられる環境において使用すると、シングルエレメントシース熱電対の熱電対素線が断線する対策として、
無機絶縁材粉末を介在して、上記シングルエレメントシース熱電対の一対の熱電対素線と材質が同一で径が90%乃至略同一である二対の熱電対素線が、上記シングルエレメントシース熱電対の金属シースと材質、外径及び肉厚が同一の金属シース内に収容され、二対の熱電対素線のうちの一対の熱電対素線の先端が接合されて測温接点を形成されていて、当金属シースの末端は前記先端が接合された一対の熱電対素線が貫通した状態でシールされているシース熱電対を、上記シングルエレメントシース熱電対に替えて使用し、温度の測定は前記の先端が接合された一対の熱電対素線で行うことにより、熱電対素線断線寿命の延長を実現した。
熱電対素線の断線に結びつく引張り応力は、金属シースの熱伸び量が熱電対素線の熱伸び量より大きくなった際に発生する。熱伸び量は、線膨張率と温度の積であるので、熱電対素線の線膨張率より大きい線膨張率を持つ金属が金属シースとして使用されている場合はほとんどの加熱状態で引張り応力が熱電対素線に生じる。また、金属シースの線膨張率が熱電対素線より大きくない場合であっても、非常に急激な加熱で金属シースの温度のみが上昇した過渡状態では、金属シースの熱伸び量が熱電対素線を上回って熱電対素線に引張り応力が生じる。したがって、熱電対素線の線膨張率より大きい線膨張率を持つ金属が金属シースとして使用されている場合、加熱と冷却が繰り返し与えられる環境では熱電対素線に引張り応力が繰り返し生じ、金属シースの線膨張率が熱電対素線より大きくない場合であっても、非常に急激な加熱が繰り返し与えられる環境では熱電対素線に引張り応力が繰り返し生じる。
物理法則から、温度変化によって熱電対素線に生じる応力は、金属シースと熱電対素線の其々の断面積、ヤング率、及び線膨張率と温度の積によって決まる。同じ温度環境において、シングルエレメントシース熱電対を使用する場合と断線防止用シース熱電対を使用する場合を比べると、上記のうち異なるのは熱電対素線の断面積のみである。
本発明において、シングルエレメントシース熱電対に替えて熱電対素線断線寿命の延長のために使用するシース熱電対(以下、「断線防止用シース熱電対」という)の熱電対素線に生じる応力は、断線防止用シース熱電対の熱電対素線の断面積は、シングルエレメントシース熱電対に比べて、径が90%以上であるので少なくとも1本当りでは0.81倍、本数が2倍であるので、全体では1.62倍以上ある。応力は断面積の逆数に概略比例するので、断線防止用シース熱電対の二対の熱電対素線に生じる引張り応力は大きくとも、シングルエレメントシース熱電対の一対の熱電対素線に生じる応力の概略62%程度になる。

次に、金属が何回の繰り返し引張り応力によって破損するかは、S−N曲線(Stress−Number of cycles to failulure curve)で一般に評価される。対数目盛りの横軸を破損までの繰り返し数とし、線形目盛りの縦軸を応力の大きさとしてプロットした金属のS−N曲線は、破損の生じる応力範囲いおいて、右下がりのほぼ直線となることが知られており、横軸を対数目盛りとして直線状のプロットになることは、金属である熱電対素線に生じる引張り応力の少しの減少によって断線までの繰り返し数が大きく増えることを示している。
以上のように、本発明の方法、つまり、シングルエレメントシース熱電対を断線防止用シース熱電対へ取替えることにより、熱電対素線に生じる引張り応力は大きくとも概略62%程度に減り、その断線までの加熱冷却の繰り返し数は大幅に増加してその分の寿命延長を図ることができる。
本方法の発明たる所以は、以下に示す利便性、経済性を有する点にもある。
まず、取替え前のシングルエレメントシース熱電対と断線防止用シース熱電対の外径が同じであるので、装着部の形状を変更することが不要であるという利便性を持つ。例えば、シース熱電対は多くの場合、測定対象部に設けられた孔に挿入して使用されるが、シングルエレメントシース熱電対の挿入孔を作り直すことなく、そのまま断線防止用シース熱電対の挿入孔として使用することができる。
次に、断線防止用シース熱電対のダブルエレメントシース熱電対との構造上の違いは、ダブルエレメントシース熱電対の二対の熱電対素線は、各対毎に先端が接合されて測温接点が形成されているのに対し、断線防止用シース熱電対では、二対の熱電対素線のうち一対のみの先端が接合されて測温接点が形成されている点と、金属シースの端末のシールを貫通するのは先端が接合された一対の熱電対素線のみとなっている点である。この先端が接合された一対の熱電対素線で温度測定がなされる。
このことは、断線防止用シース熱電対は、ダブルエレメントシース熱電対と素材となるMIケーブルが同じで、両端部の加工において、先端部の加工は、一対の熱電対素線の先端の接合加工が省かれ、末端部の加工は、同じ一対の熱電対素線の末端のシールの貫通が省かれた加工になることを示している。このように、新たな特別な製作手段を作ることなく、一般に市販されているダブルエレメントシース熱電対の既存の製作手段を、一部の加工を省くだけで断線防止用シース熱電対の製作に適用できるという経済的な利点を有している。
さらに、図2(a)に示したシングルエレメントシース熱電対2の径方向断面と、図3(a)に示したダブルエレメントシース熱電対4の径方向断面を比べると解るとおり、ダブルエレメントシース熱電対においてシングルエレメントシース熱電対に追加された一対の熱電対素線は、図2(a)のC−C断面から周方向に90度回転した空きスペースに設けられるので、熱電対素線径の大きな減少は必要なく、市販のダブルエレメントシース熱電対の熱電対素線径は、シングルエレメントシース熱電対の熱電対素線径の90%以上あるのが普通である。また、市販のシングルエレメントシース熱電対の金属シースの肉厚とダブルエレメントシース熱電対の金属シースの肉厚は、金属シースの外径が同じであれば、通常同じであるので、断線防止用シース熱電対の素材となるMIケーブルを特別に作る必要はなく、一般に市販されているダブルエレメントシース熱電対の素材となるMIケーブルと同じものを素材として用いることができる。
このように、無機絶縁材粉末を介在して、二対の熱電対素線が金属シース内に収容され、二対の熱電対素線のうちの一対の熱電対素線の先端が接合されて測温接点を形成されていて、金属シースの末端は先端が接合された一対の熱電対素線が貫通した状態でシールされている断線防止用シース熱電対によって、上述の熱電対素線断線寿命の延長方法を有効に用いることができる。
前述のように、本発明の方法における断線防止用シース熱電対は、ダブルエレメントシース熱電対の通常の製作手段から一部の工程を除くだけで製作できる利点を持っているが、製作工程が自動化されていること等で、工程の一部を除くことが困難な場合、または工程の一部を除くことによって却って製作費が増す場合は、工程を除かず、断線防止用シース用熱電対を、二対の熱電対素線のうちの一対の熱電対素線の先端が接合されて測温接点を形成されているのに加え、他の一対の熱電対素線の先端も接合されて測温接点を形成されていて、金属シースの末端が、一対の熱電対素線に加え、他の一対の熱電対素線も貫通した状態でシールされるようにしてもよい。このシース熱電対はダブルエレメントシース熱電対そのものなので、ダブルエレメントシース熱電対がそのまま本発明における断線防止用シース熱電対となる。温度の測定は、二対の熱電対素線のうちのいずれか一対の熱電対素線で行う。
シングルエレメントシース熱電対を、加熱と冷却が繰り返し与えられる環境において使用すると、収容された熱電対素線が断線する対策方法として、特別な素材、製作工程を必要としないために製作が容易で、また測定対象物の装着部の改造不要な断線防止用シース熱電対に取り替える本発明の方法を採用することにより、熱電対素線が断線するまでの寿命を延ばす効果が経済的に得られる。
(a)本発明の一実施形態で用いる断線防止用シース熱電対の先端部と末端部以外の径方向断面図。 (b)図1(a)のA−A断面図。 (c)図1(a)のB−B断面図。 (a)シングルエレメントシース熱電対の先端部と末端部以外の径方向断面図。 (b)図2(a)のC−C断面図。 (c)シングルエレメントシース熱電対の素材となるMIケーブルの長手方向断面図。 (a)ダブルエレメントシース熱電対の先端部と末端部以外の径方向断面図。 (b)図3(a)のD−D断面及びE−E断面図。 (c)トリプルエレメントシース熱電対の先端部と末端部以外の径方向断面図。 (a)断線防止線入りシース熱電対の先端部と末端部以外の径方向断面図。 (b)図4(a)のF−F断面図。 (c)図4(a)のG−G断面図。
本発明の一実施形態を、図1に沿って、また、適宜、前出の図2と図3に沿って説明する。図1(a)は本発明の一実施形態で用いる断線防止用シース熱電対の先端部と末端部以外の径方向断面図、図1(b)は図1(a)のA−A断面図、図1(c)は図1(a)のB−B断面図である。
図2の(a)と(b)に示した、無機絶縁材粉末210を介在して、先端が接合されて測温接点29を形成された略同一径の一対の熱電対素線28が金属シース27の内に収容され、当金属シース27の末端は熱電対素線28が貫通した状態でシールされているシングルエレメントシース熱電対2を、加熱と冷却が繰り返し与えられる環境において使用すると、収容された熱電対素線28が断線することがある。
この断線対策として、図1に示す、無機絶縁材粉末10を介在して図2のシングルエレメントシース熱電対2の熱電対素線28と同材質で径が90%以上ある二対の熱電対素線8が、図2のシングルエレメントシース熱電対2の金属シース27と同材質で外径及び肉厚が略同じ金属シース7の内に収容され、当二対の熱電対素線8の一対のみが先端を接合されて測温接点9を形成されており、当金属シース7の末端は先端が接合された一対の熱電対素線8が貫通した状態でシール12が施されている断線防止用シース熱電対1を、シングルエレメントシース熱電対2に替えて使用することによって断線までの寿命を延長した。
前述のように、熱電対素線の線膨張率より大きい線膨張率を持つ金属が金属シースとして使用されている場合、加熱と冷却が繰り返し与えられる環境では熱電対素線に引張り応力が繰り返し生じて熱電対素線の断線の要因となり、金属シースの線膨張率が熱電対素線より大きくない場合であっても、非常に急激な加熱が繰り返し与えられる環境では熱電対素線に引張り応力が繰り返し生じ、熱電対素線の断線の要因となる。
また、前述のように、断線防止用シース熱電対1の熱電対素線8に生じる引張り応力は大きくとも、取替え前のシングルエレメントシース熱電対2の概略62%に減少し、そのため、断線までの加熱冷却繰り返し数は大幅に増加してその分の寿命延長を図ることができる。
次に、図1の断線防止用シース熱電対1と図3(a)(b)に示すダブルエレメントシース熱電対4との構造上の違いは、ダブルエレメントシース熱電対4の二対の熱電対素線48は、各対毎に先端が接合されて測温接点49が形成され、二対の熱電対素線48が貫通した状態で金属シース47の端末のシール412が施されているのに対し、断線防止用シース熱電対1では、二対の熱電対素線8のうち一対のみの先端が接合されて測温接点9が形成されている点と、金属シース7の端末のシール12を貫通するのは先端が接合された一対の熱電対素線8のみとなっている点にある。断線防止用シース熱電対1ではこの先端が接合された一対の熱電対素線8で温度測定がなされる。
本実施形態において、シングルエレメントシース熱電対2の金属シース27及び断線防止用シース熱電対1の金属シース7の具体的な外径は、4.8mm、6.4mm及び8.0mmの3種類とした。市販されているシングルエレメントシース熱電対とダブルエレメントシース熱電対の断面寸法について、A,B2社の例を表1に示す。
Figure 0005976881
材質の一例を挙げると、熱電対素線8はKタイプ熱電対素線、金属シース7はSUS316、無機絶縁材粉末10はマグネシアである。勿論、材質はこれらに限るものではない。
表1のように、金属シースの外径が同じであれば、金属シースの肉厚は、シングルエレメントシース熱電対とダブルエレメントシース熱電対とでA,B社ともに変わらず、熱電対素線の径は、A社はダブルエレメントシース熱電対がシングルエレメントシース熱電対の90%以上で、B社はダブルエレメントシース熱電対とシングルエレメントシース熱電対とで変わらない。
このことは、本実施形態の断線防止用シース熱電対1は、製作段階において、素材となるMIケーブルとして市販ダブルエレメントシース熱電対の素材であるMIケーブルと同じものが使用でき、また、市販のダブルエレメントシース熱電対の加工工程から、先端部の加工において一対の熱電対素線の先端の接合が、また末端部の加工において同じ一対の熱電対素線の末端のシールの貫通が省かれた工程で製作できることを示している。このように、一般に市販されているダブルエレメントシース熱電対の既存の製作手段を、一部の加工工程を除くだけで、断線防止用シース熱電対1の製作に適用できるという経済的な利点を有している。
但し、製作工程が自動化されていること等で、工程の一部を除くことが困難な場合、または工程の一部を除くことによって却って製作費が増す場合は、工程を除かず、二対の熱電対素線の各対の先端が接合され、末端のシールに熱電対素線二対とも貫通した断線防止用シース熱電対としてもよい。この場合、断線防止用シース熱電対1の形状はダブルエレメントシース熱電対そのものになるので、ダブルエレメントシース熱電対がそのまま本発明における断線防止用シース熱電対に適用できる。温度の測定は、二対の熱電対素線のうちのいずれか一対で行う。
経済的利点に加え、取替え前のシングルエレメントシース熱電対と断線防止用シース熱電対1の外径が同じであるので、装着部の形状を変更することが不要であるという利便性を、本実施形態は持つ。
なお、前述のように、ダブルエレメントシース熱電対においてシングルエレメントシース熱電対に追加された一対の熱電対素線は、シングルエレメントシース熱電対の空きスペースに配置される。そのため、表1に示したように、市販のシングルエレメントシース熱電対と市販のダブルエレメントシース熱電対の熱電対素線の径に大きな違いない。しかしながら、トリプルエレメントシース熱電対では、図3の(a)と(c)を比べると解るように、ダブルエレメントシース熱電対に一対の熱電対素線を追加できる空きスペースはないので、市販のものは、径を細くした三対の熱電対素線が等間隔に配置されている。
断線防止用シース熱電対の熱電対素線を三対としても、市販品のトリプルエレメントシース熱電対のMIケーブル及び製作手段を適用すると熱電対素線の径が細くなるので、断線防止効果は少ない。加えて、トリプルエレメントシース熱電対は、一般に使用されることは稀であるために、量産効果がなく高価であって、断線防止用シース熱電対の熱電対素線を三対とすることは、熱電対素線を二対にすることに比べて経済的効果が劣る。
レシプロエンジン、タービンエンジンなど、発停による温度変化が繰り返し生じる機器の温度監視としてシングルエレメントシース熱電対を用いると、その熱電対素線に断線が生じる問題がある場合、当問題を解決するために本発明は効果を発揮する。実例を挙げると、試験用レシプロエンジンの温度監視のために取り付けたシングルエレメントシース熱電対に熱電対素線の断線が頻繁に生じたのに対し、本発明を適用することによって断線が生じなくなった実績がある。
1 断線防止用シース熱電対
2 シングルエレメントシース熱電対
3 シングルエレメントシース熱電対用MIケーブル
4 ダブルエレメントシース熱電対
5 トリプルエレメントシース熱電対
6 断線防止線入りシース熱電対
7 金属シース
8 熱電対素線
9 測温接点
10 無機絶縁材粉末
12 シール
13 断線防止線
27 シングルエレメントシース熱電対の金属シース
28 シングルエレメントシース熱電対の熱電対素線

Claims (2)

  1. 無機絶縁材粉末を介在して、先端が接合されて測温接点を形成された略同一径の一対の熱電対素線が金属シース内に収容され、該金属シースの末端は該熱電対素線が貫通した状態でシールされているシングルエレメントシース熱電対を、加熱と冷却が繰り返し与えられる環境において使用すると、該シングルエレメントシース熱電対の熱電対素線が断線する対策として、
    無機絶縁材粉末を介在して、前記シングルエレメントシース熱電対の一対の熱電対素線と材質が同一で径が90%乃至略同一である二対の熱電対素線が、前記シングルエレメントシース熱電対の金属シースと材質、外径及び肉厚が同一の金属シース内に収容され、前記二対の熱電対素線のうちの一対の熱電対素線の先端が接合されて測温接点を形成されていて、前記金属シースの末端は前記の先端が接合された一対の熱電対素線が貫通した状態でシールされているシース熱電対を、前記シングルエレメントシース熱電対に替えて使用し、温度の測定は前記の先端が接合された一対の熱電対素線で行うことにより、熱電対素線断線寿命の延長を実現する方法。
  2. 前記シングルエレメントシース熱電対に替えて熱電対素線断線寿命の延長のために使用する前記シース熱電対は、
    前記二対の熱電対素線のうちの前記一対の熱電対素線の先端が接合されて測温接点を形成されているのに加え、他の一対の熱電対素線の先端も接合されて測温接点を形成されていて、
    前記金属シースの末端は、前記一対の熱電対素線に加え、前記他の一対の熱電対素線も貫通した状態でシールされており、
    温度の測定は、前記二対の熱電対素線のうちのいずれか一対の熱電対素線で行う、請求項1に記載の熱電対素線断線寿命の延長を実現する方法。

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