JP6335125B2 - シース型熱電対とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、異なる二種の金属を接合し、それぞれの熱電能の違いから熱起電力が生じる現象(ゼーベック効果)により前記接合点と他方の端点(冷接点)との温度差に応じた電圧を測定して温度を測定する温度センサ、即ち熱電対とその製造に関する。特に、異なる2種の金属からなる1対以上の熱電対素線を金属チューブであるシースの中に収納し、熱電対素線間及び熱電対素線とシースとの間に耐熱性を有する無機絶縁材を充填して絶縁したシース型熱電対とそれを製造する方法に関する。
シース型熱電対は、温度を電気的に測定するため、種々の分野で使用されているが、熱電対素線を金属製のシースと呼ばれるパイプ状の部材で覆い、このシースと内部の熱電対素線との間にマグネシア(酸化マグネシウム)等の無機絶縁材を充填し互いに絶縁してなるものである。これらは例えば特開平07−055586公報や特開2006−090742号公報等により既に知られている。
このような従来の一般的なシース型熱電対の例をその補償導線と共に図5−図7に示す。補償導線とは常温付近で熱電対と同じ起電力特性をもつ導線のことであり、コスト的に熱電対より安い材料から作られている。シース型熱電対1は既に述べた通り、熱電対素線4、5を金属製のシース7と呼ばれるパイプ状のケースの中に収納し、このシース7とその内部の熱電対素線4、5との間にマグネシア(酸化マグネシウム)等の無機絶縁材料からなる絶縁材6を充填することにより、シース7とその内部の熱電対素線4、5とを相互に絶縁した電線ケーブルである。シース7の先端部分で同シース7の中に収納された熱電対素線4、5(図6、図7)の先端が接合され、この接合部を測温接点8と呼び、測温接点8が設けられたシース7の端部は溶接等の手段で気密に封止18されている。
シース型熱電対1のシース7の中に収納された前記熱電対素線4、5(図6、図7)と補償導線ケーブル2のシース17の中に収納された補償導線13、14とがアダプタ部3において接続される。アダプタ部3では、シース型熱電対1と補償導線ケーブル2とのシース7、シース17がスリーブ11で互いに接続される。前記測温接点8とこのアダプタ部3における熱電対素線4、5の端末との間で発生する熱起電力とアダプタ部3の内部の補償導線端末から端子15、16までに発生する起電力を測定することで前記測温接点8の温度が正確に測定できる。一般的に熱電対の起電力測定器には冷接点回路が内蔵され、補償導線の端子15、16を熱電対の起電力測定器に接続すれば、起電力に相当した温度を表示してくれる。以前は、電子回路による冷接点回路がなかったので、補償導線の端子15、16を氷水の入った魔法瓶の中の補償導線に接続し、その魔法瓶の中から出てくる補償導線のもう一方の端末を起電力測定器に接続して、測温接点8の温度を正確に測定していた。
冷接点回路とは、基準接点のことであり、通常0℃を指示する回路であり、これによって起電力測定器の温度がどのような温度であっても0℃からの熱起電力を測定できるようにしているものである。なぜなら熱電対自体は温度差に応じた起電力しか出てこないので起電力だけ測定する測定回路が40℃雰囲気だとその雰囲気温度分を測定していないことになり、測温接点8が40℃で冷接点回路が内蔵されていない測定器が40℃雰囲気だと温度差に伴う起電力が発生しないので、0℃を表示してしまうからである。
補償導線ケーブル2の末端では、シース17の補償導線13、14が端部からリード線13、14として導出され、このリード線13、14の端部に測定器への接続のための端子15、16が設けられる。この端子15、16を介して補償導線13、14を図示してない測定器に接続すれば自動的に、前述したシース型熱電対1の測温接点8から熱電対素線4、5と補償導線13、14との間に発生する熱起電力を測定し、測温接点8と測定器に内蔵された冷接点との間の温度差をも含めて測定する。補償導線ケーブル2のリード線13、14を導出したシース17の端末は封止部材19により封止される。
このような従来のシース型熱電対1は、次のような手段で製造されている。まず、シース7となる母材である金属パイプの中に熱電対素線となる金属線母材を収納し、金属パイプと金属線母材との間にマグネシア等の粉末状の無機絶縁材6を充填する。次に、金属パイプの外側から圧力を加え、同金属パイプとその中の金属線母材を延伸する。この延伸加工には、ダイスで叩いて伸ばすスエージングや円錐ダイスの穴に差し入れて引き延ばすドローイング等の工法が使用される。これらの工法により、金属パイプがシース7として、その中の金属線母材が熱電対素線4、5としてそれぞれ延伸されると共に、粉末状の絶縁材6の充填圧が高められ、細径の前述したシース型熱電対が出来上がる。
このシース型熱電対1はその先端の測温接点8が装置や機械等の温度を測定しようとする箇所に導かれ、固定される。そして補償導線ケーブル2側は図示してない測定器側に導出され、補償導線ケーブル2のリード線13、14の端子15、16を介して図示してない測定器に接続され、測温接点8から熱電対素線4、5の端末と補償導線を含む前記端子15、16までの間の電圧が測定される。測定された電圧に測定器に内蔵された冷接点(0℃)と前記端子15、16までとの間の温度差を加算し、すべて0℃からの起電力差を温度に換算して、温度表示している。
このようなシース型熱電対では、その先端の測温接点8が測定箇所に導かれる過程でシース型熱電対1がそのシース7ごと屈曲されることが多い。この場合にシース7の中に収納された熱電対素線4、5も屈曲されるため、熱電対素線4、5に応力が発生し、この応力に伴う伸びや圧縮が生じる。そのためこれに起因する熱電対素線4、5の電気抵抗値の変動が発生し、温度測定値に誤差が生じるという課題があった。この温度誤差は、焼鈍温度以下の低温側で生じる。
特開2008−116397号公報 特開2008−107115公報 特開2008−089494号公報 特開2006−090742号公報 特開平07−055586公報
本発明は、前述のような従来のシース型熱電対における課題に鑑み、屈曲しても熱電対素線の電気抵抗変動が小さくなるように抑えることができ、もって熱電対素線の電気抵抗変動に伴い発生する温度測定値の誤差を抑え、より正確な温度測定を可能としたシース型熱電対とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明では、前記の従来におけるシース型熱電対における課題に鑑み、屈曲時等における熱電対素線の電気抵抗の変動を小さくするという目的を達成するため、熱電対を構成する二種の異なる金属からなる熱電対素線のうち、歪に伴う電気抵抗の変動の大きい方の熱電対素線を、歪に伴う電気抵抗の変動のより小さい方の熱電対素線よりシースの中心(中心軸)近くに配置したシース型熱電対を提供する。さらにそのようなシース型熱電対を製造可能なシース型熱電対の製造方法を提供する。
すなわち、本発明によるシース型熱電対を図面の符号を引用しながら説明すると、熱電対素線24、25を金属製のシース27の中に収納し、このシース27と内部の熱電対素線24、25との間に絶縁材26を充填することにより、前記シース27と内部の熱電対素線24、25とを互いに絶縁している。本発明では、このようなシース型熱電対において、熱電対を構成する二種の異なる金属からなる熱電対素線24、25のうち、歪に伴う電気抵抗の変動の大きい方の第一の熱電対素線24を、歪に伴う電気抵抗の変動のより小さい方の第二の熱電対素線25よりシース27の中心cにより近い位置に配置した。より具体的には、第一の熱電対素線24とシース27の中心cとの距離をδ、第二の熱電対素線25とシース27の中心cとの距離をΔとした場合、Δ>δとする。
このようなシース型熱電対21を製造する方法は、まず、シース27となる母材である金属パイプの中に熱電対素線24、25となる金属線母材を収納し、金属パイプと金属線母材との間に絶縁材26を充填する。この時、熱電対を構成する二種の異なる金属からなる熱電対素線24、25のうち、歪に伴う電気抵抗の変動の大きい方の第一の熱電対素線24となる金属線母材を、歪に伴う電気抵抗の変動のより小さい方の第二の熱電対素線となる金属線母材よりシース27の母材である前記金属パイプの中心に近い位置に偏らせて配置しておく。次に、金属パイプの外側から圧力を加え、同金属パイプとその中の金属線母材を延伸する。これにより、金属パイプがシース27として、その中の金属線母材が熱電対素線24、25としてそれぞれ延伸されると共に、絶縁材26の充填圧が高められ、シース型熱電対が出来上がる。
シース型熱電対21を屈曲すると、そのシース27が屈曲されると共に、その中の熱電対素線24、25も屈曲される。このとき熱電対素線24、25の屈曲に伴い金属線である当該熱電対素線24、25の内部に応力が発生し、歪が生じる。一般的には曲げ中心軸に対して内側に圧縮応力が、外側に引張応力が発生する。これらいずれの応力は、曲げ中心から離れれば離れるほど大きくなり、熱電対素線24、25の内部に伸びや縮(ちぢみ)等の歪(ひずみ)が発生する。
従来ではこのような熱電対素線24、25に起こる歪により、金属線である当該熱電対素線24、25が伸びたり、断面積が小さくなったりするのが、電気抵抗変動の原因であるとされてきた。
これに対し本件発明者らは、このような熱電対素線24、25に起こる歪により、金属線である当該熱電対素線24、25の内部に起こる変化にも着目した。熱電対素線24、25に起こる歪により、金属線である当該熱電対素線24、25の内部では空孔欠陥や転移ができて、自由電子の流れが阻害されて抵抗が増加すると共に熱電能の変位が起こると考えた。本件発明者らは、この熱電対素線24、25の電気抵抗変動に伴う熱電能の変化は熱電対素線24、25を構成する金属材料に依存することに着目した。
本件発明は、このような着目を基礎としてなされたもので、熱電対を構成する二種の異なる金属からなる熱電対素線24、25のうち、歪に伴う電気抵抗の変動の大きい方の第一の熱電対素線24を、歪に伴う電気抵抗の変動のより小さい方の第二の熱電対素線25よりシース27の中心cにより近い位置に配置する。これによりシース型熱電対21の屈曲による第一の熱電対素線24の歪の発生が小さく抑えられ、その電気抵抗変化が低減出来る。
既に述べた通り、一般的には曲げ中心軸に対して曲げの内側に圧縮応力が、外側に引張応力が発生する。シース27に近い位置にある熱電対素線は、それが屈曲時に曲げ中心軸に対して内側に位置するとき大きな圧縮応力が発生し、外側に位置するときは内部に大きな引張応力が起こる。そこで、熱電対を構成する二種の異なる金属からなる熱電対素線24、25のうち、歪に伴う電気抵抗の変動の大きい方の第一の熱電対素線24を、歪に伴う電気抵抗の変動のより小さい方の第二の熱電対素線25よりシース27の中心cにより近い位置に配置することにより、第一の熱電対素線24の屈曲に伴い内部に発生する応力を小さくする。このことで、第一の熱電対素線24の大きな歪の発生を抑え、その電気抵抗変化を最小限に抑えることが出来る。
以上説明した通り、本発明によるシース型熱電対では、屈曲の影響を強く受ける第一の熱電対素線24に極端な応力による電気抵抗の上昇が起こらないようにすることで、歪に伴う電気抵抗変化が起こりやすい第一の熱電対素線24の大きな歪を抑えることが出来るので、屈曲による起電力の誤差を低減したシース型熱電対を得ることが出来るようになる。
本発明によるシース型熱電対の一実施例を示す中間部分を省略した縦断側面図である。 図1のA−A線断面図である。 本発明によるシース型熱電対の他の実施例を示す中間部分を省略した縦断側面図である。 図3のB-B線断面図である。 シース型熱電対の従来例を示す中間部分を省略した側面図である。 シース型熱電対の同従来例を示す中間部分を省略した縦断側面図である。 図6のC-C線断面図である。
本発明では、シース型熱電対21の屈曲時等における熱電対素線24、25の電気抵抗の変動を小さくするという目的を達成するため、熱電対を構成する二種の異なる金属からなる熱電対素線24、25のうち、歪に伴う電気抵抗の変動の大きい方の熱電対素線24を、歪に伴う電気抵抗の変動のより小さい方の熱電対素線25よりシース27の中心c(中心軸)の近くに配置したものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、実施例をあげて詳細に説明する。
図1と図2は、本発明によるシース型熱電対21の一実施例である。この実施例では、1本のシース27の中に異なる二種の金属線からなる熱電対素線24、24を1本ずつ、すなわち一対の熱電対素線24、24を収納した例である。
既に述べた従来の一般的なシース型熱電対と同様にして、本発明によるシース型熱電対21は、異なる二種の金属線である熱電対素線24、25を金属パイプ状のシース27の中に収納し、このシース27と内部の熱電対素線24、25との間に絶縁材26を充填し、シース27とその内部の熱電対素線24、25とを相互に絶縁している。シース27の先端部分で同シース27の中に収納された二種の金属線である熱電対素線24、25の先端が接合され、測温接点28が形成されている。測温接点28が設けられたシース27の端部は溶接等の手段で気密に封止38される。但し、使用目的によってはこのシース27の端部の封止38がされず、測温接点28とそれに至る熱電対素線24、25の先端部分がシース27から露出されているものもある。また、熱電対素線24、25の先端が直接接合されず、他の導体を介して接合することにより測温接点28がシース27と一体形成される場合もある。本発明は、何れの形態のシース型熱電対に対しても適用可能である。
シース型熱電対21のシース27の中に収納された前記熱電対素線24、25と補償導線ケーブル22のシース37の中に収納された補償導線33、34とがアダプタ部23において接続される。端子15、16からこの補償導線33、34とこのアダプタ部23における熱電対素線24、25の端末までと前記測温接点28との間で発生する熱起電力を測定する。アダプタ部23では、シース型熱電対21と補償導線ケーブル22のシース27、37がスリーブ31で接続される。
補償導線ケーブル22の末端では、シース37の補償導線33、34が端部リード線33、34として導出され、その端部に測定機器への接続のための端子35、36が設けられている。この端子35、36を介して補償導線33、34を図示してない測定器に接続し、前述した熱電対素線24、25と補償導線33、34との間に生じる熱起電力を測定し、これにより測温接点28と測定器に内蔵された冷接点との間の温度差を測定する。補償導線ケーブル22のリード線33、34を導出したシース37の端末は封止部材39により封止される。なお、補償導線ケーブル22は、耐熱性、耐湿性等が要求されない環境下で使用する場合は、図示のようなシースケーブルではなく、一般的な樹脂絶縁ケーブルが使用されることもある。もちろん本発明では、このような形態のシース型熱電対21にも適用される。
このシース型熱電対21はその先端の測温接点28が装置や機械等の温度を測定しようとする箇所に導かれ、設置される。そして補償導線ケーブル22側は図示してない測定器側に導出され、補償導線ケーブル22のリード線33、34の端子35、36を介して図示してない測定器に接続され、測温接点28から前記熱電対素線24、25と補償導線33、34との間の電圧が測定される。補償導線33、34は熱電対素線24、25と同じ熱起電力特性なので、測定器に内蔵された冷接点と測温接点28間の電圧は、二種の金属線からなる熱電対素線24、25の間に生じる同等の熱起電力とみなせるので、これにより測温接点28と測定器に内蔵された冷接点との間の温度差を電気的に測定することが出来る。
ここで熱電対を構成する二種の異なる金属からなる熱電対素線24、25のうち、歪に伴う電気抵抗の変動の大きい方の熱電対素線24を第一の熱電素線24とし、歪に伴う電気抵抗の変動が前記第一の熱電対素線24より小さい方の熱電対素線25を第二の熱電対素線25とする。この場合に前記第一の熱電対素線24を第二の熱電対素線25よりシース27の中心cにより近い位置に配置する。
図2に示すように、第一の熱電対素線24とシース27の中心cとの距離をδ、第二の熱電対素線25とシース27の中心cとの距離をΔとした場合、Δ>δとする。第一の熱電対素線24とシース27の中心cとの距離δは、出来る限りδ=0となるよう配置するのが好ましい。他方、第二の熱電対素線25とシース27の中心cとの距離Δについては、第二の熱電対素線25とシース27とが近接或いは接触して短絡や漏電が起こらない程度であればよい。シース型熱電対21においてその熱電対素線24、25に流れる電流と電圧は一般的に微弱であり、第二の熱電対素線25とシース27とが接触しない限り漏電は起こり難い。
シース型熱電対21を屈曲すると、シース27の中の熱電対素線24、25も屈曲される。このとき熱電対素線24、25の内部に応力が発生し、歪が生じる。線材としての熱電対素線24、25の屈曲を考慮した場合、曲げ中心軸に対して内側に圧縮応力が、外側に引張応力が発生し、曲げ中心軸からずれればずれるほど圧縮応力も引張応力も増大する。これらの応力により、熱電対素線24、25の内部に伸びや縮(ちぢみ)等の歪(ひずみ)が発生する。この熱電対素線24、25の内部に起こる歪により、金属線である当該熱電対素線24、25の内部に空孔欠陥や転移ができて、自由電子の流れが阻害されて抵抗が増加すると共に熱電能の変位が起こる。
断面積が一定の物体での抵抗値は、電気抵抗率と長さに比例し断面積に反比例する。金属は典型的なオーム性材料(オーミックマテリアル)であり、電気抵抗 Rの値は、電気抵抗率をρ、導体の長さをL、導体の断面積をAとするとR=ρL/A示される。すなわち、電気抵抗率ρは、ρ=RA/Lで表される。この電気抵抗率ρの逆数1/ρを電気導電率と呼ぶ。これら電気抵抗率ρや電気導電率1/ρは材料によって決まる物性値である
ところが熱電対素線24、25の内部に前述した伸びや縮(ちぢみ)等の歪(ひずみ)が発生すると、金属線である当該熱電対素線24、25の内部に空孔欠陥や転移ができて、自由電子の流れが阻害されて抵抗が増加すると共に熱電能の変位が起こる。そのため、上前記電気抵抗率ρや電気導電率1/ρが変化する。
加えて、熱電対素線24、25の長さLが増大したり、その断面積Aが減少したりするため、電気抵抗 Rの値の変動がもたらされる。一般的には電気抵抗Rが増大することになる。従来はこの熱電対素線24、25の長さLの増大やその断面積Aの減少のみが考慮されて来た。本発明では、これのみならず、前述の歪に伴い熱電対素線24、25の内部に発生する変化に着目している。この変化は、熱電対素線24、25として使用する金属の種類に依存する。
本件発明者らは、熱電対を構成する二種の異なる金属からなる熱電対素線24、25には、歪に伴う電気抵抗値の変動が比較的大きいものと、比較的小さいものがあることに着目した。そこで、歪に伴う電気抵抗の変動の大きい方の第一の熱電対素線24を、歪に伴う電気抵抗の変動のより小さい方の第二の熱電対素線25よりシース27の中心cにより近い位置に配置することにより、シース型熱電対21の屈曲の影響が抑えられ、電気抵抗変化が総体的に低減出来る。
既に述べた通り、一般的には曲げ中心軸に対して内側に圧縮応力が、外側に引張応力が発生する。特に、シース27に近い位置にある熱電対素線は、それが屈曲時に曲げ中心軸に対して内側に位置するときは内部に生じる圧縮応力が大きいが、曲げ中心軸に対して外側に位置するときは内部に大きな引張応力が生じる。そこで、熱電対を構成する二種の異なる金属からなる熱電対素線24、25のうち、歪に伴う電気抵抗の変動の大きい方の第一の熱電対素線24を、歪に伴う電気抵抗の変動のより小さい方の第二の熱電対素線25よりシース27の中心cにより近い位置に配置することにより、屈曲の影響をより強く受ける第一の熱電対素線24の内部に発生する応力を小さくし、極端な応力が起こらないようにする。このことで熱電対素線24の電気抵抗変化を最小限に抑えることが出来るのである。
このようなシース型熱電対21は、次のような手段で製造される。まず、シース27となる母材である金属パイプの中に熱電対素線となる金属線母材を収納し、金属パイプと金属線母材との間に粉末状の無機絶縁材26を充填する。この時、熱電対を構成する二種の異なる金属からなる熱電対素線24、25のうち、歪に伴う電気抵抗の変動の大きい方の第一の熱電対素線24となる金属線母材を、歪に伴う電気抵抗の変動のより小さい方の第二の熱電対素線となる金属線母材よりシース27の母材である前記金属パイプの中心に近い位置に偏らせて配置しておく。次に、金属パイプの外側から圧力を加え、同金属パイプとその中の金属線母材を延伸する。これにより、金属パイプがシース7として、その中の金属線母材が熱電対素線4、5として延伸されると共に、粉末状の無機絶縁材6の充填圧が高められ、シース型熱電対が出来上がる。
なお、前述した金属パイプの外側から圧力を加え、同金属パイプとその中の金属線母材を延伸することにより、金属パイプがシース27として、その中の金属線母材が熱電対素線24、25として延伸するにはスエージングやドローイング工法を用いればよい。シース27の中の熱電対素線24、25に若干の撚れが入り、熱電対素線24、25がシース27の中でツイスト(スパイラル)状態となることがある。この場合でも、二種の金属線からなる熱電対素線24、25のシース27の中心に対する位置関係、すなわち図2に示したδとΔの関係が前記の条件を満たすことは出来るので、本発明を適用することに何ら問題は無い。
図3と図4は、本発明によるシース型熱電対21の他の実施例である。この他の実施例では、1本のシース27の中に異なる二種の金属線からなる熱電対素線24、24をそれぞれ2本ずつ収納し、それらをそれぞれ別の測温接点28、28で接続したものである。すなわち2対の熱電対素線24、25を1本のシース27にし収納した例である。
この例でも、熱電対を構成する二種の異なる金属からなる熱電対素線24、25のうち、歪に伴う電気抵抗の変動の大きい方の第一の熱電素線24を、歪に伴う電気抵抗の変動が前記第一の熱電対素線24より小さい方の第二の熱電対素線25よりシース27の中心cにより近い位置に配置する。すなわち、図4に示すように、第一の熱電対素線24とシース27の中心cとの距離をδ、第二の熱電対素線25とシース27の中心cとの距離をΔとした場合、Δ>δとする。この点は前記図1と図2により前述した実施例と基本的に同じである。
前記シース27としては金属パイプが使用され、最も一般的にはステンレスが使用される。その他に、銅、インコネル、カンタル、チタン、ハスロイ等が使用され得る。シース27の中に充填される絶縁材26としては、粉末状のマグネシア(酸化マグネシウム)が最も一般的である。その他アルミナ(酸化アルミニウム)、シリカ(酸化ケイ素)、シリコンナイトライド(窒化ケイ素)等の無機絶縁粉末が使用される。
熱電対素線24、25の組み合わせは、幾つかの組み合わせがあり、使用温度範囲や特徴がそれぞれ異なる。主なものは日本工業規格(JIS)により定められているが、それらを本願発明の第一の熱電対素線24と第二の熱電対素線25との組み合わせで示すと次の通りである。前者が第一の熱電対24、後者が第二の熱電対25となる。なお、最後の2つの組合せはJIS規格外である。
K型熱電対 アルメルとクロメル
E型熱電対 コンスタンタンとクロメル
J型熱電対 鉄とコンスタンタン
T型熱電対 銅とコンスタンタン
N型熱電対 ナイシルとナイクロシル
R型熱電対 白金と白金ロジウム合金(ロジウム13%)
S型熱電対 白金と白金ロジウム合金(ロジウム10%)
B型熱電対 白金ロジウム合金(ロジウム6%)と白金ロジウム合金(ロジウム30%)
CrAu 金鉄合金(鉄0.07%)とクロメル
本発明によるシース型熱電対は、電気的に温度測定が可能なので、製造業等の工業分野ではもちろんのこと、高温、低温等の環境下における研究開発分野で広く利用することが出来る。シース型熱電対は、高温領域や極低温領域で用いられことが多いが、熱電対素線の組合せ、種類ごとに特性が違うので使用目的によって選択される。
21 シース型熱電対
24 第一の熱電対素線
25 第二の熱電対素線
26 絶縁材
27 シース
28 測温接点
c シースの中心(中心軸)
δ 第一の熱電対素線とシースの中心との距離
Δ 第二の熱電対素線とシースの中心との距離

Claims (3)

  1. 熱電対素線(24)、(25)を金属製のシース(27)の中に収納し、このシース(27)と内部の熱電対素線(24)、(25)との間に絶縁材(26)を充填することにより、前記シース(27)と内部の熱電対素線(24)、(25)とを互いに絶縁したシース型熱電対において、熱電対を構成する二種の異なる金属からなる熱電対素線(24)、(25)のうち、歪に伴う電気抵抗の変動の大きい方の第一の熱電対素線(24)を、歪に伴う電気抵抗の変動のより小さい方の第二の熱電対素線(25)よりシース(27)の中心(c)により近い位置に配置したことを特徴とするシース型熱電対。
  2. 第一の熱電対素線(24)とシース(27)の中心(c)との距離を(δ)、第二の熱電対素線(25)とシース(27)の中心(c)との距離を(Δ)としたとき、Δ>δとしたことを特徴とする請求項1に記載のシース型熱電対。
  3. 熱電対素線(24)、(25)を金属製のシース(27)の中に収納し、このシース(27)と内部の熱電対素線(24)、(25)との間に絶縁材(26)を充填することにより、前記シース(27)と内部の熱電対素線(24)、(25)とを互いに絶縁したシース型熱電対を製造する方法において、シース(27)となる母材である金属パイプの中に熱電対素線(24)、(25)となる金属線母材を収納し、金属パイプと金属線母材との間に絶縁材(26)を充填するに当たり、熱電対を構成する二種の異なる金属からなる熱電対素線(24)、(25)のうち、歪に伴う電気抵抗の変動の大きい方の第一の熱電対素線(24)となる金属線母材を、歪に伴う電気抵抗の変動のより小さい方の第二の熱電対素線(25)となる金属線母材よりシース(27)の母材である前記金属パイプの中心に近い位置に偏らせて配置し、次いで金属パイプの外側から圧力を加え、同金属パイプとその中の金属線母材を延伸することにより、金属パイプをシース(27)として、その中の金属線母材を熱電対素線(24)、(25)としてそれぞれ延伸することを特徴とするシース型熱電対の製造方法。
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