以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
《インクジェット記録装置の全体構成》
図1は本発明に係るインクジェット記録装置の一実施形態を示す全体構成図である。
このインクジェット記録装置10は、枚葉の用紙Pに水性インク(水及び水に可溶な溶媒に染料、顔料などの色材を溶解又は分散させたインク)を用いてインクジェット方式で印刷する装置であり、用紙Pを給紙する給紙部20と、用紙Pの表面(印刷面)に所定の処理液を塗布する処理液塗布部30と、用紙Pの印刷面にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、クロ(K)の各色のインク滴をインクジェットヘッドで打滴して、カラー画像を描画する画像記録部40と、用紙Pに打滴されたインク滴を乾燥させるインク乾燥部50と、用紙Pに記録された画像を定着させる定着部60と、用紙Pを回収する回収部70とを備えて構成される。
処理液塗布部30、画像記録部40、インク乾燥部50、定着部60の各部には、それぞれ用紙Pの搬送手段として、搬送ドラム31、41、51、61が備えられる。用紙Pは、この搬送ドラム31、41、51、61によって、処理液塗布部30、画像記録部40、インク乾燥部50、定着部60の各部を搬送される。
各搬送ドラム31、41、51、61は、円筒状に形成され、印刷する用紙Pの用紙幅に対応して形成される。したがって、異なるサイズの用紙Pに印刷する場合は、最大サイズの用紙Pの用紙幅に対応して形成される。
各搬送ドラム31、41、51、61は、図示しないモータに駆動されて回転する(図1において、反時計回りに回転する。)。用紙Pは、各搬送ドラム31、41、51、61の外周面に巻き付けられて搬送される。
各搬送ドラム31、41、51、61の周面には、グリッパが備えられる。用紙Pは、このグリッパに先端部を把持されて搬送される。本例では、各搬送ドラム31、41、51、61の周面の2箇所にグリッパGが設置される。グリッパGは、180°間隔で設置される。これにより、1回の回転で2枚の用紙を搬送することができる。
また、各搬送ドラム31、41、51、61には、外周面上に巻き付けられた用紙Pを吸着保持する吸着保持機構が備えられる。本例では、空気圧(負圧)を用いて、用紙Pを外周面上に吸着保持する。このため、各搬送ドラム31、41、51、61の外周面には、多数の吸着孔が形成される。用紙Pは、この吸着孔から裏面を吸引されて、各搬送ドラム31、41、51、61の外周面上に吸着保持される。吸着保持機構は、静電気を利用した方式(いわゆる静電吸着方式)を採用することもできる。
処理液塗布部30と画像記録部40の間、画像記録部40とインク乾燥部50の間、インク乾燥部50と定着部60の間には、それぞれ渡し胴(回転搬送手段)80、90、100が配置される。用紙Pは、この渡し胴80、90、100によって、各部の間を搬送される。
各渡し胴80、90、100は、円筒状の枠体で構成され、用紙幅に対応して形成される。各渡し胴80、90、100は、図示しないモータに駆動されて回転する(図1において、時計回りに回転する。)。
各渡し胴80、90、100の周面には、グリッパGが備えられる。用紙Pは、このグリッパGに先端部を把持されて搬送される。本例では、各渡し胴80、90、100の外周部2箇所にグリッパGが設置される。グリッパGは、180°間隔で設置される。これにより、1回の回転で2枚の用紙を搬送することができる。
各渡し胴80、90、100の下部には、用紙Pの搬送経路に沿って円弧状のガイド板82、92、102が配設される。渡し胴80、90、100によって搬送される用紙Pは、このガイド板82、92、102に裏面(印刷面の反対側の面)をガイドされながら搬送される。
また、各渡し胴80、90、100の内部には、渡し胴80によって搬送される用紙Pに向けて熱風を吹き出すドライヤ84、94、104が設置される(本例では、用紙Pの搬送経路に沿って3台設置している。)。各渡し胴80、90、100によって搬送される用紙Pは、その搬送過程でドライヤ84、94、104から吹き出された熱風が印刷面に吹き当てられる。これにより、各渡し胴80、90、100による搬送過程で用紙Pを乾燥処理することができる。
なお、ドライヤ84、94、104は、熱風を吹き出して加熱する構成に代えて、赤外線ヒータ等から熱を放射して加熱する構成とすることもできる(いわゆる輻射による加熱)。
給紙部20から給紙された用紙Pは、搬送ドラム31→渡し胴80→搬送ドラム41→渡し胴90→搬送ドラム51→渡し胴100→搬送ドラム61の順で搬送され、最後に回収部70で回収される。この給紙部20から回収部70で回収されるまでの間に用紙Pは所要の処理が施されて、印刷面に画像が記録される。
以下、本実施の形態のインクジェット記録装置10の各部の構成について詳説する。
〈給紙部〉
給紙部20は、枚葉の用紙Pを1枚ずつ周期的に給紙する。この給紙部20は、主として、給紙装置21と、給紙トレイ22と、渡し胴23とで構成される。
給紙装置21は、図示しないマガジンにスタックされた用紙Pを上側から順に1枚ずつ給紙トレイ22に給紙する。
給紙トレイ22は、給紙装置21から給紙された用紙Pを渡し胴23に向けて送り出す。
渡し胴23は、給紙トレイ22から送り出された用紙Pを受け取り、回転して、処理液塗布部30の搬送ドラム31に受け渡す。
用紙Pは、特に限定されないが、一般のオフセット印刷などで使用される汎用の印刷用紙(いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする用紙)を用いることができる。本例では塗工紙が用いられる。塗工紙は、一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。具体的には、アート紙、コート紙、軽量コート紙、微塗工紙などが好適に用いられる。
汎用の印刷用紙は、インクジェット方式で印刷すると、滲み等が発生し、画像の品位が損なわれる。そこで、このような不具合を防止するために、本実施の形態のインクジェット記録装置10では、次の処理液塗布部30において、用紙Pの印刷面に所定の処理液を塗布する。
〈処理液塗布部〉
処理液塗布部30は、用紙Pの印刷面に所定の処理液を塗布する。この処理液塗布部30は、主として、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「処理液塗布ドラム」という。)31と、その処理液塗布ドラム31によって搬送される用紙Pの印刷面(記録面)に所定の処理液を塗布する塗布装置32とで構成される。
処理液塗布ドラム31は、給紙部20の渡し胴23から用紙Pを受け取り(グリッパGで用紙Pの先端を把持して受け取る。)、回転して用紙Pを所定の搬送経路に沿って搬送する。
塗布装置32は、処理液塗布ドラム31によって搬送される用紙Pの印刷面に所定の処理液をローラ塗布する。すなわち、周面に処理液が付与された塗布ローラを処理液塗布ドラム31によって搬送される用紙Pの印刷面に押圧当接させて、用紙Pの印刷面に処理液を塗布する。処理液は、一定の厚さで塗布される。
塗布装置32で塗布する処理液は、インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む液体で構成される。
凝集剤としては、インク組成物のpHを変化させることができる化合物であっても、多価金属塩であっても、ポリアリルアミン類であってもよい。
pHを低下させ得る化合物としては、水溶性の高い酸性物質(リン酸、シュウ酸、マロン酸、クエン酸、若しくは、これらの化合物の誘導体、又は、これらの塩等)が好適に挙げられる。酸性物質は、1種単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。これにより、凝集性を高め、インク全体を固定化することができる。
また、インク組成物のpH(25℃)は、8.0以上であって、処理液のpH(25℃)は、0.5〜4の範囲が好ましい。これにより、画像濃度、解像度及びインクジェット記録の高速化を図ることができる。
また、処理液には、添加剤を含有することができる。たとえば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤を含有することができる。
このような処理液を用紙Pの印刷面に事前に塗布して印刷することにより、フェザリングやブリーディング等の発生を防止でき、一般の印刷用紙を使用しても、高品位な印刷を行うことが可能になる。
以上の構成の処理液塗布部30において、用紙Pは、処理液塗布ドラム31に保持されて、所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程で塗布装置32によって印刷面に処理液が塗布される。
印刷面に処理液が塗布された用紙Pは、その後、所定位置で処理液塗布ドラム31から渡し胴80に受け渡される。そして、渡し胴80によって所定の搬送経路を搬送されて、画像記録部40の搬送ドラム41に受け渡される。
ここで、上記のように、渡し胴80には、その内部にドライヤ84が設置されており、ガイド板82に向けて熱風が吹き出されている。用紙Pは、この渡し胴80によって処理液塗布部30から画像記録部40に搬送される過程で印刷面に熱風が吹き当てられて、印刷面に塗布された処理液が乾燥される(処理液中の溶媒成分が蒸発除去される。)。
〈画像記録部〉
画像記録部40は、用紙Pの印刷面にC、M、Y、Kの各色のインク滴を打滴して、用紙Pの印刷面にカラー画像を描画する。この画像記録部40は、主として、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「画像記録ドラム」という。)41と、用紙Pの印刷面を押圧して、用紙Pの裏面を画像記録ドラム41の周面に密着させる押圧ローラ42と、用紙Pの浮き上がりの有無を検出する用紙浮き検出センサ150と、用紙PにC、M、Y、Kの各色のインク滴を吐出して、画像を描画するインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kと、画像記録ドラム41に巻き掛けられる用紙Pにバックテンションを付与するバックテンション付与装置(バックテンション付与手段)300とを備えて構成される。
画像記録ドラム41は、渡し胴80から用紙Pを受け取り(グリッパGで用紙Pの先端を把持して受け取る。)、回転して用紙Pを所定の搬送経路(搬送路)に沿って搬送する。
押圧ローラ42は、画像記録ドラム41の幅とほぼ同じ幅を有するゴムローラ(少なくとも外周部がゴム(弾性体)で構成されるローラ)で構成され、画像記録ドラム41の用紙受取位置(渡し胴80から用紙Pを受け取る位置)の近傍に配置される。渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、この押圧ローラ42によって表面を押圧されることにより、裏面が画像記録ドラム41の外周面に密着させて巻き付けられる。
用紙浮き検出センサ150は、押圧ローラ42を通過した用紙Pの浮き上がりの有無を検出する(画像記録ドラム41の外周面からの一定以上の浮き上がりを検出する。)。詳細は後述するが、この用紙浮き検出センサ150は、レーザ光を検出光として投光する投光部152と、その検出光を受光する受光部154とを有している。
投光部152は、画像記録ドラム41の一端から他端に向けて画像記録ドラム41の回転軸41Aと平行な方向に進行する検出光を画像記録ドラム41の外周面から所定高さの位置(浮き上がりの許容範囲の上限の高さの位置)に投光する。
受光部154は、投光部152から投光された検出光を受光する。
画像記録ドラム41によって搬送される用紙Pに許容値以上の浮き上がりが生じていると、投光部152から投光された検出光が用紙Pに遮光される。この結果、受光部154で受光される検出光の受光量が低下する。用紙浮き検出センサ150は、この受光部154で受光される検出光の受光量を検出して、用紙Pの浮き上がりの発生の有無を検出する。すなわち、受光部154で受光された検出光の受光量と閾値とを比較して、閾値以下の場合に浮き(許容値以上の浮き上がり)が発生したと判定する。
許容値以上の浮き上がりが検出されると、画像記録ドラム41の回転が停止され、用紙Pの搬送が停止される。
4台のインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、用紙浮き検出センサ150の後段に配され、用紙Pの搬送方向に沿って一定の間隔で配置される。このインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、用紙幅に対応したラインヘッドで構成され、その下面(画像記録ドラム41の外周面と対向する面)にノズル面が形成される。ノズル面には、用紙Pの搬送方向と直交する方向に一定のピッチでノズルが配置される(ノズル列)。各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、このノズルから画像記録ドラム41に向けてインク滴を吐出する。
本実施の形態のインクジェット記録装置10で使用するインクは、水性紫外線硬化型インクであり、顔料、ポリマー粒子及び活性エネルギー線により重合する水溶性の重合性化合物を含有する。水性紫外線硬化型インクは、紫外線を照射することで硬化可能であり、耐察性に優れ膜強度が高いという性質を有する。
顔料は、その表面の少なくとも一部がポリマー分散剤で被覆された水分散性顔料が用いられる。
ポリマー分散剤は、酸価が25〜1000(KOHmg/g)のポリマー分散剤が用いられる。自己分散性の安定性が良好、かつ、処理液が接触したときの凝集性が良好になる。
ポリマー粒子は、酸価が20〜50(KOHmg/g)の自己分散性ポリマー粒子が用いられる。自己分散性の安定性が良好、かつ、処理液が接触したときの凝集性が良好になる。
重合性化合物としては、凝集剤と顔料、ポリマー粒子との反応を妨げない点でノニオン性又はカチオン性の重合性化合物が好ましく、水に対する溶解度が10質量%以上(更には15質量%以上)の重合性化合物を用いることが好ましい。
また、インクは、活性エネルギー線により重合性化合物の重合を開始する開始剤を含有する。開始剤は、活性エネルギー線により重合反応を開始し得る化合物を適宜選択して含有することができ、たとえば、放射線若しくは光又は電子線により活性種(ラジカル、酸、塩基など)を発生する開始剤(たとえば、光重合開始剤等)を用いることができる。なお、開始剤は処理液に含有させることもでき、インクと処理液の少なくとも一方に含有させればよい。
また、インクは水を50〜70質量%含有する。また、インクには添加剤を含有することができる。たとえば、水溶性有機溶媒や乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤を含有することができる。
バックテンション付与装置300は、用紙Pが押圧ローラ42によって押圧される直前の位置(用紙Pが画像記録ドラム41と押圧ローラ42との間に進入する直前の位置)で用紙Pの表面を吸着して、画像記録ドラム41に巻き掛けられる用紙Pにバックテンションを付与する。このバックテンション付与装置300は、用紙Pの表面を幅方向にわたって吸着するための用紙ガイド310を備える。用紙ガイド310は、用紙Pの表面が吸着される吸着面を備え、この吸着面に形成された多数の吸着孔から吸引して、用紙Pを吸着する。用紙Pは、表面を吸着面に吸着されることにより、表面を吸着面に摺られながら搬送される。これにより、バックテンションが付与される。そして、このようにバックテンションを付与することにより、用紙Pが画像記録ドラム41に巻き掛けられる際、用紙Pが伸ばされながら画像記録ドラム41に巻き付けられる。これにより、シワや浮きを生じさせることなく、用紙Pを画像記録ドラム41の周面に巻き付けることができる。また、用紙Pがピンと張られながら画像記録ドラム41に巻き付けられるので、シワや浮きを生じさせることなく、用紙Pを画像記録ドラム41の周面に巻き付けることができる。
なお、本実施の形態のバックテンション付与装置300では、用紙Pを吸着面で吸着する際、用紙Pの幅方向に均一な吸着力で吸着するのではなく、幅方向の中央から幅方向の両端に向かって吸着力が低くなるようにして、用紙Pを吸着する。これにより、用紙Pに生じている変形を単に後方に伸ばすのではなく、幅方向に分散させながら伸ばすことができ、より効果的にシワや浮きの発生を防止することができる。
以上の構成の画像記録部40において、用紙Pは、画像記録ドラム41によって所定の搬送経路を搬送される。渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、バックテンション付与装置300によってバックテンションが付与されながら押圧ローラ42でニップされて、画像記録ドラム41の外周面に密着される。次いで、用紙浮き検出センサ150によって、用紙Pの浮き上がりの発生の有無が検出され、その後、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44KからC、M、Y、Kの各色のインク滴が印刷面に打滴されて、印刷面にカラー画像が描画される。
なお、用紙Pの浮き上がりの発生が検出された場合は、搬送が停止される。これにより、浮き上がりが発生した用紙Pが、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kのノズル面に接触するのを防止できる。
上記のように、本例のインクジェット記録装置10では、各色ともに水性インクが使用される。このような水性インクを用いた場合であっても、上記のように、用紙Pには処理液が塗布されているので、一般の印刷用紙を用いた場合であっても、高品位な印刷を行うことができる。
画像が描画された用紙Pは、渡し胴90に受け渡される。そして、渡し胴90によって所定の搬送経路を搬送されて、インク乾燥部50の搬送ドラム51に受け渡される。
ここで、上記のように、渡し胴90には、その内部にドライヤ94が設置されており、ガイド板92に向けて熱風が吹き出されている。インクの乾燥処理は、後段のインク乾燥部50で行われるが、用紙Pは、この渡し胴90による搬送時にも乾燥処理が施される。
なお、図示されていないが、この画像記録部40には、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kのメンテナンスを行うメンテナンス部が備えられており、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、必要に応じてメンテナンス部に移動して、所要のメンテナンスができるように構成されている。
〈インク乾燥部〉
インク乾燥部50は、画像記録後の用紙Pに残存する液体成分を乾燥させる。このインク乾燥部50は、主として、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「インク乾燥ドラム」という。)51と、インク乾燥ドラム51によって搬送される用紙Pに対して乾燥処理を施すインク乾燥装置52とで構成される。
インク乾燥ドラム51は、渡し胴90から用紙Pを受け取り(グリッパGで用紙Pの先端を把持して受け取る。)、回転して用紙Pを所定の搬送経路に沿って搬送する。
インク乾燥装置52は、たとえば、ドライヤで構成され(本例では用紙Pの搬送経路に沿って配設された3台のドライヤで構成)、インク乾燥ドラム51によって搬送される用紙Pに向けて熱風(たとえば、80℃)を吹き付ける。
以上の構成のインク乾燥部50において、用紙Pは、インク乾燥ドラム51によって所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程で印刷面にインク乾燥装置52から熱風が吹き付けられて、印刷面に付与されたインクが乾燥される(溶媒成分が蒸発除去される。)。
インク乾燥装置52を通過した用紙Pは、その後、所定位置でインク乾燥ドラム51から渡し胴100に受け渡される。そして、渡し胴100によって所定の搬送経路を搬送されて、定着部60の搬送ドラム61に受け渡される。
なお、上記のように、渡し胴100には、その内部にドライヤ104が設置されており、ガイド板102に向けて熱風が吹き出されている。したがって、用紙Pは、この渡し胴100での搬送時にも乾燥処理が施される。
〈定着部〉
定着部60は、用紙Pを加熱加圧して、印刷面に画像記録された画像を定着させる。この定着部60は、主として、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「定着ドラム」という。)61と、用紙Pの印刷面に紫外線を当てる紫外線照射光源62と、印刷後の用紙Pの温度、湿度等を検出するとともに、印刷された画像を撮像するインラインセンサ64とで構成される。
定着ドラム61は、渡し胴100から用紙Pを受け取り(グリッパGで用紙Pの先端を把持して受け取る。)、回転して用紙Pを所定の搬送経路に沿って搬送する。
紫外線照射光源62は、定着ドラム61によって搬送される用紙Pの印刷面に紫外線を照射して、処理液とインクとの凝集体を固化させる。
インラインセンサ64は、温度計、湿度計、CCDラインセンサ等を備え、定着ドラム61によって搬送される用紙Pの温度、湿度等を検出するとともに、用紙Pに印刷された画像を読み取る。このインラインセンサ64の検出結果に基づいて、装置の異常やヘッドの吐出不良等がチェックされる。
以上の構成の定着部60において、用紙Pは、定着ドラム61によって所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程で紫外線照射光源62から印刷面に紫外線が照射され、処理液とインクとの凝集体が固化される。
定着処理が施された用紙Pは、この後、所定位置で定着ドラム61から回収部70へと受け渡される。
〈回収部〉
回収部70は、一連の印刷処理が行われた用紙Pをスタッカ71に積み重ねて回収する。この回収部70は、主として、用紙Pを回収するスタッカ71と、定着部60で定着処理された用紙Pを定着ドラム61から受け取り、所定の搬送経路を搬送して、スタッカ71に排紙する排紙コンベア72とで構成される。
定着部60で定着処理された用紙Pは、定着ドラム61から排紙コンベア72に受け渡され、その排紙コンベア72によってスタッカ71まで搬送されて、スタッカ71内に回収される。
《制御系》
図2は、本実施の形態のインクジェット記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。
同図に示すように、インクジェット記録装置10は、システムコントローラ200、通信部201、画像メモリ202、搬送制御部203、給紙制御部204、処理液塗布制御部205、画像記録制御部206、インク乾燥制御部207、定着制御部208、回収制御部209、操作部210、表示部211等を備えている。
システムコントローラ200は、インクジェット記録装置10の各部を統括制御する制御手段として機能するとともに、各種演算処理を行う演算手段として機能する。このシステムコントローラ200は、CPU、ROM、RAM等を備えており、所定の制御プログラムに従って動作する。ROMには、このシステムコントローラ200が、実行する制御プログラムや制御に必要な各種データが格納されている。
通信部201は、所要の通信インターフェースを備え、その通信インターフェースと接続されたホストコンピュータとの間でデータの送受信を行う。
画像メモリ202は、画像データを含む各種データの一時記憶手段として機能し、システムコントローラ200を通じてデータの読み書きが行われる。通信部201を介してホストコンピュータから取り込まれた画像データは、この画像メモリ202に格納される。
搬送制御部203は、処理液塗布部30、画像記録部40、インク乾燥部50、定着部60の各部における用紙Pの搬送手段である搬送ドラム31、41、51、61と、渡し胴80、90、100の駆動を制御する。
すなわち、各搬送ドラム31、41、51、61を駆動するモータの駆動を制御するとともに、各搬送ドラム31、41、51、61に備えられた、グリッパGの開閉を制御する。
同様に各渡し胴80、90、100を駆動するモータの駆動を制御するとともに、各渡し胴80、90、100に備えられた、グリッパGの開閉を制御する。
また、各搬送ドラム31、41、51、61には、用紙Pを周面に吸着保持する機構が備えられているので、その吸着保持機構の駆動を制御する(本実施の形態では、用紙Pを真空吸着するので、負圧発生手段としての真空ポンプの駆動を制御する。)。
また、各渡し胴80、90、100には、ドライヤ84、94、104が備えられているので、その駆動(加熱量と送風量)を制御する。
この搬送ドラム31、41、51、61と、渡し胴80、90、100の駆動は、システムコントローラ200からの指令に応じて制御される。
給紙制御部204は、システムコントローラ200からの指令に応じて給紙部20を構成する各部(給紙装置21、渡し胴23等)の駆動を制御する。
処理液塗布制御部205は、システムコントローラ200からの指令に応じて処理液塗布部30を構成する各部(塗布装置32等)の駆動を制御する。
画像記録制御部206は、システムコントローラ200からの指令に応じて画像記録部40を構成する各部(押圧ローラ42、用紙浮き検出センサ150、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44K、バックテンション付与装置300等)の駆動を制御する。
インク乾燥制御部207は、システムコントローラ200からの指令に応じてインク乾燥部50を構成する各部(インク乾燥装置52等)の駆動を制御する。
定着制御部208は、システムコントローラ200からの指令に応じて定着部60を構成する各部(紫外線照射光源62、インラインセンサ64等)の駆動を制御する。
回収制御部209は、システムコントローラ200からの指令に応じて回収部70を構成する各部(排紙コンベア72等)の駆動を制御する。
操作部210は、所要の操作手段(たとえば、操作ボタンやキーボード、タッチパネル等)を備えており、その操作手段から入力された操作情報をシステムコントローラ200に出力する。システムコントローラ200は、この操作部210から入力された操作情報に応じて各種処理を実行する。
表示部211は、所要の表示装置(たとえば、LCDパネル等)を備えており、システムコントローラ200からの指令に応じて所要の情報を表示装置に表示させる。
上記のように、用紙に記録する画像データは、ホストコンピュータから通信部201を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、画像メモリ202に格納される。システムコントローラ200は、この画像メモリ202に格納された画像データに所要の信号処理を施してドットデータを生成し、生成したドットデータに従って画像記録部40の各インクジェットヘッドの駆動を制御することにより、その画像データが表す画像を用紙に記録する。
ドットデータは、一般に画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。色変換処理は、sRGBなどで表現された画像データ(たとえば、RGB8ビットの画像データ)をインクジェット記録装置10で使用するインクの各色のインク量データに変換する処理である(本例では、C、M、Y、Kの各色のインク量データに変換する。)。ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色のインク量データに対して誤差拡散等の処理で各色のドットデータに変換する処理である。
システムコントローラ200は、画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って各色のドットデータを生成する。そして、生成した各色のドットデータに従って、対応するインクジェットヘッドの駆動を制御することにより、画像データが表す画像を用紙に記録する。
《印刷動作》
次に、上記のインクジェット記録装置10による印刷動作について概説する。
システムコントローラ200から給紙装置21に給紙指令が出力されると、給紙装置21から給紙トレイ22に用紙Pが給紙される。給紙トレイ22に給紙された用紙Pは、渡し胴23を介して処理液塗布部30の処理液塗布ドラム31に受け渡される。
処理液塗布ドラム31に受け渡された用紙Pは、処理液塗布ドラム31によって所定の搬送経路を搬送され、その搬送過程で塗布装置32によって印刷面に処理液が塗布される。
処理液が塗布された用紙Pは、処理液塗布ドラム31から渡し胴80に受け渡される。そして、その渡し胴80によって所定の搬送経路を搬送されて、画像記録部40の画像記録ドラム41に受け渡される。用紙Pは、その渡し胴80による搬送過程で渡し胴80の内部に設置されたドライヤ84から印刷面に熱気が吹き付けられ、印刷面に塗布された処理液が乾燥される。
渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、まず、押圧ローラ42にニップされて、裏面が画像記録ドラム41の外周面に密着される。
押圧ローラ42を通過した用紙Pは、その後、用紙浮き検出センサ150によって浮き上がりの有無が検出される。ここで、用紙Pの浮き上がりが検出されると、搬送が停止される。一方、浮き上がりが検出されない場合は、そのままインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kに向けて搬送される。そして、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kの下を通過する際、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44KからC、M、Y、Kの各色のインク滴が吐出されて、印刷面にカラー画像が描画される。
画像が描画された用紙Pは、画像記録ドラム41から渡し胴90に受け渡される。そして、その渡し胴90によって所定の搬送経路を搬送されて、インク乾燥部50のインク乾燥ドラム51に受け渡される。用紙Pは、その渡し胴90による搬送過程で渡し胴90の内部に設置されたドライヤ94から印刷面に熱気が吹き付けられて、印刷面に付与されたインクが乾燥される。
インク乾燥ドラム51に受け渡された用紙Pは、インク乾燥ドラム51によって所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程でインク乾燥装置52から熱風が印刷面に吹き付けられて、印刷面に残存する液体成分が乾燥される。
乾燥処理された用紙Pは、インク乾燥ドラム51から渡し胴100に受け渡される。そして、その渡し胴100によって所定の搬送経路を搬送されて、定着部60の定着ドラム61に受け渡される。用紙Pは、その渡し胴100による搬送過程で渡し胴100の内部に設置されたドライヤ104から印刷面に熱気が吹き付けられ、印刷面に付与されたインクが、さらに乾燥される。
定着ドラム61に受け渡された用紙Pは、定着ドラム61によって所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程で印刷面に紫外線が照射され、描画された画像が用紙Pに定着される。用紙Pは、この後、定着ドラム61から回収部70の排紙コンベア72に受け渡され、排紙コンベア72によってスタッカ71まで搬送されて、スタッカ71内に排紙される。
以上のように、本例のインクジェット記録装置10では、用紙Pをドラム搬送し、その搬送過程で用紙Pに対し、処理液の塗布、乾燥、インク滴の打滴、乾燥、定着の各処理を施して、用紙Pに所定の画像を記録する。
《用紙浮き検出センサ》
〈第1の実施の形態の用紙浮き検出センサ〉
以下、本発明に係る記録媒体浮き検出装置の一形態として上記インクジェット記録装置10の画像記録部40に組み込まれた第1の実施の形態の用紙浮き検出センサ150について説明する。
図3は、画像記録部40の概略構成を示す斜視図であり、図4は、画像記録部40の画像記録ドラム41の回転軸41Aに直交する方向であって、用紙Pの搬送方向C(画像記録ドラム41の円周方向)の下流側から用紙浮き検出センサ150を示した正面図である。
図3には、図1に示した画像記録部40の構成要素のうち、回転軸41A周りに回転して用紙Pを搬送する円柱状の画像記録ドラム41と、用紙Pの印刷面を押圧して、用紙Pの裏面を画像記録ドラム41の外周面(搬送面)41Sに密着させる押圧ローラ42と、用紙Pの浮き上がりの有無を検出する用紙浮き検出センサ150と、画像記録ドラム41に巻き掛けられる用紙Pにバックテンションを付与するバックテンション付与装置300の用紙ガイド310とが示されており、用紙PにC、M、Y、Kの各色のインク滴を吐出して画像を描画するインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは省略されている。
同図に示すように用紙浮き検出センサ150は、押圧ローラ42に対して、画像記録ドラム41により用紙Pが搬送される搬送路の用紙Pの搬送方向C(以下、用紙搬送方向Cという)の下流側に配置され、不図示のインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kに対しては用紙搬送方向Cの上流側に配置されている。
即ち、用紙浮き検出センサ150は、詳細を後述するように、検出光Bが搬送路の用紙Pの印刷面よりも高い位置を往復する光路OP1、OP2を有しており、それらの光路OP1、OP2が、押圧ローラ42(及び用紙ガイド310)よりも用紙搬送方向Cの下流側の位置で、且つ、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kよりも用紙搬送方向Cの上流側の位置を通過するように配置されている。
そして、用紙浮き検出センサ150は、その検出光Bが遮断された状態か否かによって、用紙Pの浮き上がりの有無を検出するように構成されている。
なお、検出光Bの往路となる光路をOP1で表し、第1光路OP1と称し、検出光Bの復路となる光路をOP2で表し、第2光路OP2と称するものとする。
また、本実施の形態の用紙Pの搬送手段の形態に関わらず、任意の搬送手段の形態に関して、用紙Pが搬送される搬送路(搬送経路)において、用紙Pが搬送される方向を用紙搬送方向Cとし、搬送路を搬送されている用紙Pの幅方向となる方向、即ち、搬送路を搬送されている用紙Pの裏面(印刷面と反対側の面)が通過する搬送面と平行で、且つ、用紙搬送方向Cに直交する方向を幅方向Wとし、搬送路を搬送されている用紙Pの厚さ方向となる方向、即ち、搬送面に直交する方向を高さ方向Hとする。特に、搬送面から用紙Pが配置される面側の高さ方向Hの距離が大きくなる位置ほど高い位置とし、その距離の大きさを高さ、又は、搬送面からの高さ等というものとする。
本実施の形態の用紙Pの搬送手段の形態においては、画像記録ドラム41の外周面41Sが搬送路の搬送面に相当し、画像記録ドラム41の円周方向が用紙搬送方向Cに相当し、画像記録ドラム41の回転軸41Aの方向が幅方向Wに相当し、画像記録ドラム41の径方向(回転軸41Aに直交する方向)が高さ方向Hに相当する。
用紙浮き検出センサ150の構成を具体的に説明すると、用紙浮き検出センサ150は、図3及び図4に示すように、レーザ光(理想的には所定ビーム径の平行光)を検出光Bとして投光(出射)する投光部152と、その検出光Bを受光して受光量に応じた電圧値又は電流値の電気信号として検出する受光部154と、投光部152から投光された検出光Bの進行方向を受光部154に向けた方向に変更する方向変更部156とから構成されている。これらの投光部152、受光部154、及び方向変更部156は不図示の支持部材を介してインクジェット記録装置10の本体フレームに支持されている。
〈投光部〉
投光部152は、所定ビーム径のレーザ光を検出光Bとして投光面から所定方向に出射する投光素子を備えて構成されており、投光部152からはその検出光Bが出射されるようになっている。なお、検出光Bはレーザ光に限らない。また、以下において検出光Bの位置(通過位置)及びその光路の位置に関して特に断らない限りは検出光Bの光軸(中心軸)の位置及び光路の光軸(中心軸)の位置を示すものとする。
この投光部152は、押圧ローラ42よりも用紙搬送方向Cの下流側で、かつ、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kよりも用紙搬送方向Cの上流側となる位置に設置される。
また、投光部152は、図4のように用紙浮き検出センサ150を用紙搬送方向Cの下流側から示したときに、画像記録ドラム41の左端の周辺部、即ち、搬送路の左側の側部に設置されている。なお、幅方向Wに関して、幅方向Wを水平方向にして用紙搬送方向Cの下流側からみたときの右側を右と左側を左とする。
そして、この投光部152からは、搬送路の用紙Pの印刷面PSよりも高い、所定高さとなる位置(用紙Pの浮き上がりの検出高さとなる位置)を、幅方向Wの右向きに(搬送路の右側の側部に向けて)に進行する検出光Bが出射されるようになっている。
したがって、投光部152から出射された検出光Bは、押圧ローラ42よりも用紙搬送方向Cの下流側で、かつ、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kよりも用紙搬送方向Cの上流側となる位置において、搬送路の用紙Pの印刷面PSよりも高い、所定高さとなる位置を幅方向Wの右向きに進行し、図3及び図4に往路として示した第1光路OP1の位置を通過する。
なお、第1光路OP1を含み、かつ、用紙搬送方向Cに直交する面(搬送面に直交する面)を「検出面」というものとする。
ここで、図5は、投光部152、受光部154、方向変更部156、検出光の光路、画像記録ドラム41の外周面41S(搬送面)、及び、用紙Pの位置関係を示した正面図である。
同図に示すように、投光部152から出射された検出光Bが往路として進行する第1光路OP1は、搬送面である画像記録ドラム41の外周面41Sからの高さ(高さ方向Hの距離)がTOP1となる位置を幅方向Wに通過する光路となる。
同図には、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44K(以下、インクジェットヘッド44という)の高さ方向H及び幅方向Wに関する位置が二点鎖線のブロック44により示されており、第1光路OP1の高さTOP1は、インクジェットヘッド44の最下面となるノズル面44Sの高さと略一致している。
したがって、画像記録ドラム41の外周面41Sに密着して巻き掛けられている搬送路上の用紙Pの厚さ(高さ)をTPとし、インクジェットヘッド44のノズル面44Sから用紙Pの印刷面PSまでの高さ方向Hの距離を意味するスローディスタンスをTDとすると、画像記録ドラム41の外周面41Sからの第1光路OP1の高さTOP1は、TOP1=TD+TPとなる。
なお、第1光路OP1の高さTOP1、即ち、投光部152が出射する検出光Bの高さは、用紙Pの浮き上がりが発生したと判断する浮き上がりの高さを示す。即ち、用紙Pの浮き上がりの高さが第1光路OP1の高さTOP1よりも低ければ、検出光Bが用紙Pにより遮断されないため、用紙Pの浮き上がりは検出されない(用紙Pの浮き上がりが発生していないことが検出される)。
一方、用紙Pの浮き上がりの高さが第1光路OP1の高さTOP1以上になると、検出光Bが用紙Pにより遮断されるため、用紙Pの浮き上がりが検出される(用紙Pの浮き上がりが発生していることが検出される)。
したがって、第1光路OP1の高さTOP1は、用紙Pの浮き上がりを許容する高さの上限(浮き上がりを検出する高さであり、「浮き上がりの検出高さ」というものとする)を示す。そして、その高さTOP1は、用紙Pの浮き上がり部分がインクジェットヘッド44のノズル面44Sに接触しない範囲であればよく、用紙Pの印刷面PSよりも高い位置で、且つ、インクジェットヘッド44のノズル面44Sよりも低い位置の高さとなるようにしてもよい。即ち、第1光路OP1の高さTOP1が、TP<TOP1≦TD+TPの条件を満たす値となるようにしてもよい。
〈方向変更部〉
方向変更部156は、ミラーやプリズム等の光を反射する反射面を有する光学部材や光ファイバのような導光部材により、所定の入射位置から入射した光の進行方向を180度反転して所定の出射位置から出射するように構成されている。
この方向変更部156は、用紙搬送方向Cに関して投光部152と略同一の位置に設置されるとともに、画像記録ドラム41の右端の周辺部、即ち、搬送路の右側の側部に設置されている。これによって、方向変更部156は、搬送路を挟んで投光部152と幅方向Wに対向する位置に配置されている。
方向変更部156には、投光部152から出射されて第1光路OP1を通過した検出光Bが所定の入射位置から入射するようになっており、その検出光Bが進行方向を180度反転させ、また、高さを変えて方向変更部156の所定の出射位置から出射されるようになっている。
方向変更部156から出射された検出光Bは、第1光路OP1よりも高い、所定高さとなる位置を幅方向Wの左向きに(搬送路の左側の側部に向けて)進行し、図3及び図4に復路として示した第2光路OP2の位置を通過する。
なお、第2光路OP2は、上記の検出面(第1光路OP1に含み、かつ、用紙搬送方向Cに直交する面)と同一面上を通過する光路となり、また第1光路OP1と平行となる。
方向変更部156の具体的な構成は図4に例示されており、同図に示すように方向変更部156は、2つの反射ミラー156A、156Bにより構成されている。
反射ミラー156Aは、光を反射する反射面が第1光路OP1と交わる位置に設定され、第1光路OP1を通過した検出光Bが反射ミラー156Aの反射面に入射するようになっている。
また、反射ミラー156Aの反射面は、検出面(図4の紙面)において、反射面の法線方向が第1光路OP1と一致する方向から時計回り方向に略45度に傾く角度に設置されている。
したがって、この反射ミラー156Aにより、第1光路OP1を通過した検出光Bが幅方向Wから略90度上向きに折り曲げた方向、即ち、高さ方向Hの上向きに反射される。そして、その検出光Bが、高さ方向Hの上向きに進行し、方向変更部156内において検出光Bが通過する光路を示す第3光路OP3(光路OP1と光路OP2を繋ぐ光路)の位置を通過する。
一方,反射ミラー156Bは、光を反射する反射面が第3光路OP3と交わる位置に設置され、第3光路OP3を通過した検出光Bがその反射面に入射するようになっている。
また、反射ミラー156Bの反射面は、検出面において、反射面の法線方向が第3光路OP3と一致する方向から時計回り方向に略45度に傾く角度に設置されている。
したがって、この反射ミラー156Bにより、第3光路OP3を通過した検出光Bが高さ方向Hから略90度左向きに折り曲げた方向、即ち、幅方向Wの左向きに反射される。そして、その検出光Bが、上記のように第2光路OP2の位置を進行する。
このように構成された方向変更部156によれば、第1光路OP1を通過して方向変更部156に入射した検出光Bが、進行方向を180度反転させ、また、高さを変えて方向変更部156から出射される。
ここで、図5に示すように、方向変更部156から出射された検出光Bが復路として進行する第2光路OP2は、検出面と同一の面内において、搬送面である画像記録ドラム41の外周面41Sからの高さがTOP2となる位置を幅方向Wと平行に通過する光路となる。
その高さTOP2は、少なくとも第1光路OP1よりも高く、第1光路OP1の高さTOP1よりも大きい値となっている。本実施の形態においては、例えば、第2光路OP2の高さTOP2が第1光路OP1の高さTOP1の略2倍、即ち、TOP2=TOP1×2=(TD+TP)×2の高さとなるようにしている。
即ち、第1光路OP1は、用紙Pの浮き上がりが発生した部分によって検出光Bが遮断されることを目的とする検出用光路であるのに対して、第2光路OP2は、そのような目的の光路ではなく、主として第1光路OP1を通過した後の検出光Bの光路(光路長)を長くして散乱光の影響を軽減することを目的とした散乱光軽減用光路である(詳細は後述する)。
したがって、第2光路OP2は、少なくとも第1光路OP1よりも高い位置となるようにしている。
また、検出光Bは理想的には所定ビーム径の平行光であるが、実際には拡がり角を有し、進行するにしたがって検出光Bのビーム径が徐々に拡大している。そのため、検出光Bの拡がり部分が用紙Pの印刷面PSに照射される可能性があり、印刷面PSに検出光Bの拡がり部分が照射されると散乱して印刷面PSから散乱光が発生する。その散乱光が受光部154に受光されると、受光部154で検出される受光量が散乱光の影響で変動し、受光量に基づく用紙Pの浮き上がりの検出が適切に行わないという事態を招くおそれがある。
そのため、第2光路OP2を進行している検出光Bの拡がり部分が用紙Pの印刷面PSに照射されないようにするために、第2光路OP2の高さTOP2として第1光路OP1の高さTOP1の2倍の高さとなるようにし、第2光路OP2を印刷面PSから離間させるようにしている。
第2光路OP2と印刷面PSとの距離を大きくする分には、検出光Bの拡がり部分が用紙Pの印刷面PSに照射されるという事態を起こり難くする方向に作用するため、第2光路OP2の高さTOP2は、第1光路OP1の高さTOP1の2倍以上の高さ、即ち、TOP2≧TOP1×2の条件を満たす高さであればよい。
このように検出光Bの拡がり部分の印刷面PSへの照射を考慮した第2光路OP2の好適な高さTOP2の下限値、即ち、搬送面である画像記録ドラム41の外周面41Sから第2光路OP2までの好適な距離の下限値を制限高さH0というものとすると、高さTOP2はTOP2≧制限高さH0の条件を満たす高さであればよく、上記の条件は、制限高さH0をTOP1×2としたものに等しい。
また、用紙Pの厚さTPが用紙Pの種類によって相違する場合であっても、インクジェット記録装置10で使用される全ての種類の用紙の厚さに対して、第2光路OP2を進行している検出光Bの拡がり部分の印刷面PSへの照射を問題のない程度に低減できる第2光路OP2の高さTOP2を第1光路OP1の高さTOP1とは関係なく実測等によって求めることも可能である。
その場合に、その値を制限高さH0とすることができ、高さTOP2はTOP2≧制限高さH0の条件を満たす高さであればよい。この場合の制限高さH0を、H0は例えば1mmとすると好適である。
なお、第2光路OP2の高さTOP2の制限高さH0をTOP1×2とした場合に、たとえば、スローディスタンスTD=0.3mm、用紙Pの厚さTP=0.1mmのときには、第1光路OP1の高さTOP1が0.4mmとなり、制限高さH0が0.8mmとなる。このように制限高さH0が1mm未満となるような場合には、制限高さH0の下限値を1mmとして第2光路OP2の高さTOP2を1mm以上とするのが好ましい。
また、第2光路OP2を高くすると、それだけ用紙浮き検出センサ150が大型化するため、小型化のためには、第2光路OP2の高さTOP2は、上記条件を満たす範囲でできるだけ小さい値とすることが望ましい。
次に、方向変更部156の具体的な構成について図4に示した構成と異なる形態を説明する。
方向変更部156は、図4に示した方向変更部156の構成に限定されず、図4の方向変更部156の構成と同様の作用を有するものであればどのような構成であってもよい。
例えば、図4のように反射ミラーを用いた構成ではなく、プリズムを用いた構成とすることもできる。
図9は、プリズムを用いて方向変更部156の構成を示した正面図である。
同図において、方向変更部156は1つのプリズム190により構成されている。プリズム190は、直角二等辺三角柱の形状をした直角プリズム(全反射プリズム)であり、その作用については周知であるため簡単に説明する。
プリズム190は、2つの直角面190A、190Bにミラーコーティングが施されており、それらの直角面190A、190Bが反射面としての作用を有し、直角面190A、190Bの各々が、図4の反射ミラー156A、156Bの各々の反射面に相当した作用を有する。
即ち、第1光路OP1を通過した検出光Bは、プリズム190内に斜面190Cから進入する。プリズム190内に進入した検出光Bは、直角面190Aで反射して進行方向が高さ方向Hの上向きに曲げられる。
そして、直角面190Bで反射した検出光Bは、更に直角面190Bで反射して進行方向が幅方向Wの左向きに曲げられて斜面190Cから出射される。これによって、斜面190Cから出射された検出光Bが、第1光路OP1よりも高い、所定高さとなる位置を幅方向Wの左向きに(搬送路の左側の側部に向かって)進行し、第2光路OP2の位置を通過する。
なお、図9では、検出光Bがプリズム190の斜面190Cに入射してから斜面190Cから出射されるまでの間に通過するプリズム190内の光路を、方向変更部156内において検出光Bが通過する第3光路OP3として示している。
このようなプリズム190によって構成された方向変更部156によっても、図4の如く構成された方向変更部156と同様に、第1光路OP1を通過して入射した検出光Bの進行方向を180度反転させるとともに、第1光路OP1よりも高い、所定高さとなる位置からその検出光Bを出射することができる。
図10は、光ファイバを用いた方向変更部156の構成を示した正面図である。
同図において、方向変更部156は、可撓性を有する光ファイバ194Aと、光ファイバ194の一方の端部に設けられた入射端194Bと、出射端194Cとから構成されている。
入射端194Bは、第1光路OP1と交差する位置に設置されると共に、光が入射する入射面(光を取り込む入射面)の方向が幅方向Wの左向きとなるように設置される。これにより、第1光路OP1を通過した検出光Bが入射端194Bから光ファイバ194A内に取り込まれる。そして、光ファイバ194A内に取り込まれた検出光Bは、光ファイバ194A内を導光されて出射端194Cまで進行する。
出射端194Cは、入射端194Bに対して用紙搬送方向Cの同一位置において高い位置に設置されると共に、光を出射する出射面の方向が幅方向Wの左向きとなるように設置されている。なお、光ファイバ194Aは、入射端194Bと出射端194Cの間で任意形状に湾曲する。
これにより、入射端194Bから入射して光ファイバ194により導光された検出光Bが出射端194Cから出射される。出射端194Cから出射された検出光は、第1光路OP1よりも高い、所定高さとなる位置を幅方向Wの左向きに進行し、第2光路OP2の位置を通過する。
このように光ファイバによって構成された方向変更部156によっても、図4の如く構成された方向変更部156と同様に、第1光路OP1を通過して入射した検出光Bの進行方向を180度反転させるとともに、第1光路OP1よりも高い所定高さとなる位置からその検出光Bを出射することができる。
以上の図4、図9、図10に示した方向変更部156の構成は一例であって、それらの構成に限らない。
〈受光部〉
受光部154は、受光面に入射した光を受光してその受光量を電気信号として変換する受光素子(例えば透過型の光電素子)を備えて構成されている。
この受光部154は、投光部152及び方向変更部156と略同一の用紙搬送方向Cの位置に設置されるとともに、画像記録ドラム41の左端の周辺部、即ち、搬送路の左側の側部に設置されている。これにより、受光部154は、搬送路の両側部のうち、投光部152と同一の側部に設置されている。
また、受光部154には、投光部152よりも高い位置に設置されている。
そして、この受光部154には、方向変更部156から出射されて第1光路OP1よりも高い位置の第2光路OP2を通過した検出光Bが受光面に入射するようになっている。
これにより、投光部152から出射された検出光Bが方向変更部156を介して受光部154に受光され、その受光量が電気信号として検出される。
〈用紙浮き検出センサの作用〉
以上の如く構成された用紙浮き検出センサ150の作用について説明する。
画像記録ドラム41に巻き掛けられて搬送路を搬送されている用紙Pに浮き上がりが発生していない場合(正常な搬送状態である場合)、即ち、用紙Pの印刷面PSと反対側の裏面が搬送面である画像記録ドラム41の外周面41Sに密着して搬送されている場合、投光部152から出射されて往路である第1光路OP1を進行している検出光Bは用紙Pに遮断されることなく、第1光路OP1を通過して方向変更部156に到達する。
そして、方向変更部156に到達した検出光Bは、方向変更部156により進行方向が180度反転され、また、高さが変更されて方向変更部156から出射される。
方向変更部156から出射されて復路である第2光路OP2を進行している検出光Bも用紙Pに遮断されることなく、第2光路OP2を通過して受光部154に到達する。
したがって、用紙Pの浮き上がりが発生していない正常な搬送状態の場合には、投光部152から出射された検出光Bは、用紙Pに遮断されることなく、受光部154により受光される。
なお、搬送路を搬送されている用紙Pに浮き上がりが発生している場合であっても、その浮き上がりの高さが検出高さ(浮き上がりを許容する高さの上限値)、即ち、第1光路OP1の高さよりも低い場合には、投光部152から出射された検出光Bが、用紙Pに遮断されることなく、受光部154により受光される。この場合も正常な搬送状態であり、用紙Pに浮き上がりが発生していない場合の状態に含めるものとする。
一方、画像記録ドラム41に巻き掛けられて搬送路を搬送される用紙Pに浮き上がりが発生している場合(異常な搬送状態である場合)、即ち、図4において、用紙Pが、二点鎖線で示す用紙P−1のように裏面が画像記録ドラム41の外周面41Sから離間し、浮き上がりの検出高さである第1光路OP1の高さLOP1よりも高い位置まで用紙Pが浮き上がった場合には、投光部152から出射されて第1光路OP1を進行している検出光Bは、用紙Pに遮断される。
なお、検出光Bの断面(光軸に直交する断面)のビーム径の範囲のうち、用紙Pによって全範囲が遮断されている状態に限らず、一部の範囲が遮断されている状態も生じ得る。
このとき、第1光路OP1を通過して方向変更部156に到達する検出光Bの光量が減少し、方向変更部156(第3光路OP3)及び第2光路OP2を通過して受光部154に到達する検出光Bの光量も減少する。
したがって、用紙Pの浮き上がりが発生している異常な搬送状態の場合には、受光部154により受光される検出光Bの受光量が、正常な搬送状態の場合と比較して減少する。
このようにして受光部154において受光された検出光Bの受光量は電気信号として検出され、その信号が図2に示したシステムコントローラ200に伝送されるようになっている。そして、浮き上がりの有無を判定する判定手段としてシステムコントローラ200において、受光部154により検出された受光量と所定の閾値とが比較される。
その閾値は、用紙Pの浮き上がりが発生していない正常な搬送状態のときの受光量よりも小さい値に設定されており、システムコントローラ200における比較の結果、受光量が閾値よりも大きい場合には、用紙Pの浮き上がりが発生していない正常な搬送状態であると判定される。
この場合には、特別な制御は行われることなく、用紙Pの搬送制御や用紙Pへの画像記録等が継続して実施される。
一方、受光量が閾値以下である場合には、用紙Pの浮き上がりが発生している異常な搬送状態であると判定される。
この場合には、システムコントローラ200により、用紙Pの浮き上がり発生時おける対応動作の制御が実施される。
用紙Pの浮き上がり発生時おける対応動作の制御として、例えば、システムコントローラ200から搬送制御部203や画像記録制御部206等への指令により、用紙Pの搬送を停止させることや、用紙Pへの画像の印刷を停止させることなどが実施される。また、表示部211への警告表示等も実施される。
これによって、用紙Pの浮き上がりが発生している異常な搬送状態での用紙Pの搬送が防止され、用紙Pがインクジェットヘッド44のノズル面44Sに接触してノズル面44Sの破損を招くことや、図1に示した処理液塗布部30により用紙Pの印刷面PSに塗布された処理液がノズル面44Sに付着し、ノズルの目詰まりを生じさせることなどの不測の事態が未然に防止されるようになっている。
なお、用紙Pの浮き上がり発生時の対応動作の内容は上述の場合に限らない。
〈用紙浮き検出センサの第2光路の効果〉
ところで、図5に示したように、インクジェットヘッド44のノズル面44Sから用紙Pの印刷面PSまでの距離を示すスローディスタンスTDは、画質向上のために小さくすることが望まれている。
そして、スローディスタンスTDを小さくするほど、即ち、ノズル面44Sの搬送面(画像記録ドラム41の外周面41S)からの高さを低くするほど、第1光路OP1の高さTOP1も低くなり、用紙Pの印刷面PSに近づく。
一方、投光部152から出射される検出光Bはレーザ光のように指向性が高いものであっても、完全な平行光とすることはできず拡がりが生じている。そして、第1光路OP1を用紙Pの印刷面PSに近づける程、第1光路OP1を進行する検出光Bの拡がり部分が用紙Pの印刷面PSに照射され易くなり、印刷面PSでの散乱光が発生し易くなる。
このような散乱光が検出光Bと共に受光部154に入射し、受光されると、受光部154により検出される受光量に、印刷面PSの散乱光に起因する変動が発生する。
このとき、用紙Pの浮き上がりによって第1光路OP1を進行する検出光Bの断面の範囲の一部が遮断されて、本来であれば受光量が閾値以下となるような状況でも、受光量が閾値以下とはならず、用紙Pの浮き上がりが適切に検出されないという状況が生じ得る。
例えば、図12のイメージ図に示すように、用紙Pの幅方向Wの範囲のうち、同図(A)のように投光部152に対して遠位となる右側の端部で浮き上がりが生じる場合と、同図(B)のように投光部152に対して近位となる左側の端部で浮き上がりが生じる場合がある。
同図(A)のように投光部152に対して遠位の端部で浮き上がりが生じた場合には、その浮き上がり部分によって検出光Bの一部が遮断され、また、用紙Pの印刷面PSでの散乱光の多くも遮断され、受光部154での受光量が用紙Pの浮き上がりの高さに応じて減少する。したがって、用紙Pに一定高さ以上の浮き上がりが生じた場合に受光部154での受光量が閾値以下となり、その浮き上がりが適切に検出される。
一方、同図(B)のように投光部152に対して近位の端部で浮き上がりが生じた場合には、その浮き上がり部分によって検出光Bの一部が遮断される。しかしながら、浮き上がり部分を通過した検出光Bの拡がり部分が用紙Pの印刷面PSに照射され、その散乱光が受光部154に受光される可能性がある(特にスローディスタンスTDが小さい場合)。
そのため、本来であれば、受光部154での受光量が閾値以下となるような用紙Pの浮き上がりが生じた場合であっても、散乱光の影響で受光量が増加して閾値以下とならない場合が生じ、誤検出が生じてしまう可能性がある。
一方、印刷面PSでの散乱光の影響を考慮して閾値を本来よりも高い値などに変更すると、用紙Pの浮き上がりが発生していない場合でも、印刷面PSでの散乱光による受光量の変動によって受光量が減少して閾値以下となり、用紙Pの浮き上がりが発生していると誤検出されてしまうという状況が生じ得る。
そこで、本実施の形態の用紙浮き検出センサ150では、用紙Pの印刷面PSからの散乱光が混入する第1光路OP1よりも(正確には、第1光路OP1のうち、用紙Pの印刷面PSに高さ方向Hに対向する光路範囲よりも)後に検出光Bが通過する受光部154までの光路を、第2光路OP2によって長くしている。
これによって、検出光Bの中心部分の進行方向と、用紙Pの印刷面PSから発生した散乱光の進行方向とに微少な差異しかない場合であっても、受光部154に到達するまでの光路が長いために受光部154の位置において大きな位置ズレを生じさせることができ、多くの散乱光が受光部154の受光面に入射しないようになっている。
特に、用紙Pの印刷面PSの各点で発生する散乱光のうち、各点に入射した入射光(検出光Bの拡がり部分の光)に対して鏡面反射の関係にある散乱光、即ち、入射光の入射角と同じ大きさの反射角となる方向に散乱された散乱光の強度が最も高い。したがって、そのような強度の高い散乱光が受光部154に入射しないようにすれば十分な効果が得られることになるが、第2光路OP2によって光路を長くすることによって、受光部154の受光面には、それらの強度の高い散乱光も入射しないようになっている。
ここで、図11には、投光部152から受光部154までの第1光路OP1、第2光路OP2、第3光路OP3が同一直線上に配置して示されている。図5にも示したように第1光路OP1の光路長LOP1と第2光路OP2の光路長LOP2とは略等しく、第3光路OP3の光路長LOP3がそれらに比べて十分に短いため、用紙Pの印刷面PSの近傍を通過する第1光路OP1の光路長LOP1に対して全体の光路長が約2倍の光路長となっている。
一方、図11には、用紙Pの印刷面PSの左端付近、中央付近、及び右端付近に、投光部152から出射された検出光Bの拡がり部分の光線B1〜B3が照射されている状態が示されている。そして、それらの光線B1〜B3の照射によって印刷面PSで散乱された散乱光のうち、光線B1〜B3と鏡面反射の関係にある強度の高い散乱光の光線E1〜E3が示されている。
これによれば、受光部154の受光面の高さに相当する第2光路OP2の高さにおいて、光線E1〜E3のいずれも受光部154の受光面の位置に到達しておらず、受光部154の受光面に入射しない。このことから、印刷面PSの任意の位置で発生した強度の高い散乱光は受光部154の受光面に入射しないことがわかる。
また、鏡面反射の関係にある散乱光が受光部154の受光面に入射する場合には、同図の光線B4、光線E4のように投光部152から受光部154までの全体の光路の中央位置において検出光Bの拡がり部分の光線B4が印刷面PSに入射し、光線B4と鏡面反射の関係にある散乱光の光線E4が発生することが条件となる。
しかしながら、第2光路OP2の光路長LOP2を第1光路OP1の光路長LOP1の約2倍としたことによって、投光部152から受光部154までの全体の光路の中央位置は、方向変更部156の第3光路OP3の範囲内となるため、印刷面PSが存在していない。
したがって、このことからも受光部154には強度の高い散乱光が入射しないことがわかる。
更に、このように強度の高い散乱光が受光部154の受光面に入射しないようにするためには、全体の光路の中央位置が用紙Pの印刷面PSの近傍とならないようにすればよい。
即ち、投光部152の投光面から、用紙Pの投光部152に対して遠位側となる端部までの光路長と比較して、その用紙Pの遠位側の端部から受光部154の受光面までの光路長が同じか、又は長くなるようにすればよい。
したがって、第3光路OP3の光路長LOP3や、方向変更部156から印刷面PSの範囲(投光部152に対して遠位側となる用紙Pの端部)までの第1光路OP1の光路長を考慮すれば、正確には第2光路OP2の光路長LOP2は、第1光路OP1の光路長LOP1よりも短くすることが可能である。少なくとも、第2光路OP2の光路長LOP2は、投光部152の投光面から、用紙Pの投光部152に対して遠位側となる端部までの光路長と同じ長さまで短くすることが可能である。
ただし、それらの光路長LOP3や方向変更部156から印刷面PSの範囲までの光路長が短いことを考慮すると、第2光路OP2の光路長LOP2は、第1光路OP1の光路長LOP1以上とするのが望ましい。投光部152から受光部154までの全体の光路長としては、第1光路OP1の2倍以上となるようにすることが望ましい。
なお、上記条件は他の散乱光に比べて強度の高い散乱光が受光部154の受光面に入射しないようするものであり、かならずしも上記条件を満たす必要はない。
一般に散乱光の強度は、伝搬した距離の2乗に反比例して減衰するため、印刷面PSの各点で発生した散乱光が受光部154に到達するまでの光路長をある程度長くすれば、受光部154に到達する散乱光の強度を大幅に減衰させることができる。したがって、第2光路OP2の光路長LOP2は、第1光路OP1の光路長LOP1未満であっても散乱光の影響を低減することができ、また、投光部152から受光部154までの全体の光路長が、第1光路OP1の2倍未満であっても散乱光の影響を低減することができる。
以上の第1の実施の形態の用紙浮き検出センサ150において、用紙浮き検出センサ150の全体を高さ方向Hに移動可動に支持する支持手段と、支持手段により支持された用紙浮き検出センサ150を高さ方向Hにモータによって移動させる駆動手段とを備えるようにしてもよい。この場合に、システムコントローラ200により駆動手段のモータを制御できるようし、システムコントローラ200の制御により用紙浮き検出センサ150の高さ方向Hに動かして、操作者の操作部210から指示に従って第1光路OP1及び第2光路OP2の高さを変更できるようにした形態が可能である。
また、インクジェットヘッド44のノズル面44Sの高さが変更可能な場合、それに連動して、用紙浮き検出センサ150の全体を高さ方向Hに動かすようにしてもよい。
さらに、投光部152、受光部154、方向変更部156の各々の高さを個別に変更できるようにし、第1光路OP1と第2光路OP2の各々の高さを個別に変更できるようにしてもよい。
《用紙浮き検出センサの他の実施の形態》
以下、用紙浮き検出センサ150の他の実施の形態について説明する。
〈第2、第3の実施の形態の用紙浮き検出センサ〉
図3〜図5に示した第1の実施の形態の用紙浮き検出センサ150では、方向変更部156に対して受光部154を搬送路を挟んで幅方向Wに対向する位置に配置し、第2光路OP2が搬送路を幅方向Wに(左側の側部から右側の側部まで)通過するようにしている。
しかしながら、これに限らず、受光部154を、搬送路に対して方向変更部156と同じ右側、即ち、画像記録ドラム41の右端の周辺部に設置することによって、第2光路OP2が搬送路を幅方向Wに通過しないようにした形態、即ち、第2光路OP2を進行する検出光Bの拡がり部分が用紙Pの印刷面PSに照射されないように第2光路OP2が搬送路の用紙Pに対向しない非対向となる位置に配置した形態としてもよい。
図6、図7は、そのような形態とした第2及び第3の実施の形態の用紙浮き検出センサ150を図3と同様に画像記録部40の概略構成と共に示した斜視図である。なお、図6、図7において、図3と同一又は類似の作用の構成要素には図3と同一符号を付しており、それらの構成要素についての詳細な説明を省略する。
図6の第2の実施の形態及び図7の第3の実施の形態のいずれの用紙浮き検出センサ150も、投光部152と方向変更部156とが第1の実施の形態と同様に用紙P(搬送路)を挟んで幅方向Wに対向する位置に配置されている。
これに対して、受光部154は、方向変更部156とともに搬送路に対して右側に配置されている。そして、第1光路OP1(幅方向W)に対して略直交する方向に受光部154が配置されるとともに、受光部154の受光面が方向変更部156の方向を向くようにして配置されている。
図6の第2の実施の形態では、検出面(第1光路OP1を含み、かつ、用紙搬送方向Cに直交する平面)に対して直交する方向(用紙搬送方向Cの下流側)に受光部154が配置され、図7の第3の実施の形態では、検出面に沿った方向に受光部154が配置されている。
また、方向変更部156は、反射ミラーやプリズム等の光学部材によって第1光路OP1を通過して入射した検出光Bの進行方向を受光部154が配置された方向に変更して出射するように構成されている。なお、方向変更部156は、単一の反射ミラーでも実現できる容易な構成である。
これによれば、投光部152から出射されて第1光路OP1を通過した検出光Bは、方向変更部156により進行方向が変更されて方向変更部156から出射される。そして、方向変更部156から出射された検出光Bは、第1光路OP1と略直交する第2光路OP2を通過して受光部154に入射して受光されるようになっている。
従って、第1の実施の形態と同様に用紙Pの浮き上がりの有無を検出することができる。
また、第2光路OP2の光路長LOP2は、第1の実施の形態と同様に第1光路OP1の光路長LOP1以上とすることが望ましい。これによれば、第1の実施の形態と同様に第1光路OP1において検出光の拡がり部分の照射により用紙Pの印刷面PSから発生した散乱光の影響を軽減できる。
なお、受光部154は、方向変更部156に対して任意の方向に設置することができ、また、第2光路OP2は第1光路OP1に直交してなくてもよい。即ち、第2光路OP2が搬送面である画像記録ドラム41の外周面41Sに対して制限高さH0以上離間した位置を通過する光路となるのであれば、受光部154はどのような位置に配置してもよい。たとえば、搬送路に対して高さ方向Hに対向する位置に受光部154を配置することもできる。
また、第2光路OP2は、方向変更部156から受光部154まで検出光Bが直線状に進行する光路である必要はなく、第2光路OP2上の任意の位置に反射ミラーやプリズム等の光学部材を配置して屈曲した光路としてもよい。即ち、第2光路OP2は、搬送路の用紙Pに対向しない非対向となる位置(空間)と、画像記録ドラム41の外周面41Sに対して制限高さH0以上離間した位置(空間)とからなる空間領域内(搬送路の用紙Pと対向する位置であって、外周面41Sに対して制限高さH0未満となる位置を除く空間領域)において任意の形状の光路として設けることができる。
また、第2、第3の実施の形態と比較した場合、第1の実施の形態の受光部154の配置の方が、装置としてコンパクトであり、装置の小型化に寄与することができる。
〈第4の実施の形態の用紙浮き検出センサ〉
次に、第4の実施の形態の用紙浮き検出センサ150について説明する。図8は、図5に示した第1の実施の形態の用紙浮き検出センサ150の正面図に対して、第4の実施の形態の用紙浮き検出センサ150において追加される構成要素を付加して示した正面図である。なお、図8において、図5の第1の実施の形態と同一又は類似の作用の構成要素には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図8に示すように第4の実施の形態の用紙浮き検出センサ150では、画像記録ドラム41の左端の周辺部、即ち、搬送路の左側の側部において、投光部152から出射された検出光Bが通過する第1光路OP1と交差する位置に、アパーチャ160の開口160Aと、投光用平行平板170が配置されている。
一方、画像記録ドラム41の左端の周辺部、即ち、搬送路の左側の側部において、受光部154に入射する直前の検出光Bが通過する第2光路OP2と交差する位置に、アパーチャ162の開口162Aと、受光用平行平板172が配置されている。
なお、これらのアパーチャ160、162、投光用平行平板170、受光用平行平板172は、不図示の支持部材を介してインクジェット記録装置10の本体フレームに支持されている。
アパーチャ160は、投光部152から出射された検出光Bを開口160Aに通すことによりビーム径を細くする。これによって、第1光路OP1を通過している検出光Bの拡がり部分が用紙Pの印刷面PSに照射され難くなるため、用紙Pの印刷面PSで散乱する散乱光自体が低減されるようになる。
投光用平行平板170は、硝子等の透明材料により平板状に形成され、互いに平行な入射面(第1入射面)170Aと出射面(第1出射面)170Bとを有している。
そして、投光用平行平板170は、支持手段により検出面(第1光路OP1を含み、かつ、用紙搬送方向Cに直交する面)に直交する回転軸(第1回転軸)の周りに回動可能に支持され、投光用平行平板駆動手段のモータ180の動力が不図示の動力伝達機構を介して投光用平行平板170に加えられることによって回動するようになっている。
これによって、投光用平行平板170は、検出面内において、入射面170Aの法線方向が入射面170Aに入射する検出光Bの光軸と一致した方向から時計回り又は反時計回りに所定角度(傾斜角度)回動して検出光Bに対してその傾斜角度に傾けた状態に設定されるようになっている。
この投光用平行平板170によれば、アパーチャ160の開口160Aを通過した検出光Bが投光用平行平板170の入射面170Aから入射すると、その検出光Bが投光用平行平板170内を通過する際に入射面170Aと出射面170Bとにおいて屈折する。これによって、入射面170Aに入射する検出光Bの高さ(入射位置)に対して、出射面170Bから出射される検出光Bの高さ(出射位置)が、投光用平行平板170の傾斜角度に応じた高さ分だけ変更されるようになっている。なお、検出光Bの進行方向に関しては幅方向Wと平行な方向に維持される。
従って、用紙Pに対向する第1光路OP1の光路範囲において第1光路OP1の高さTOP1を投光用平行平板170の傾斜角度の変更によって調整することができるようになる。例えば、用紙Pの印刷面PSと第1光路OP1との間隔(高さ方向Hの距離)が様々な種類の用紙Pの厚さにかかわらず一定の間隔となるように投光用平行平板170の傾斜角度を調整することによって第1光路OP1の高さTOP1を調整することができる。
また、用紙Pの厚さTPに関わらず、第1光路OP1の高さTOP1を、インクジェットヘッド44のノズル面44Sの高さに一致させるようにする場合には、その調整を投光用平行平板170の調整によって正確に行うことができる。インクジェットヘッド44のノズル面44Sの高さが変更可能となっている場合には、ノズル面44Sの高さの変更に連動させて投光用平行平板170の傾斜角度を変更することで、第1光路OP1の高さTOP1を常にノズル面44Sの高さに設定することができる。
なお、投光用平行平板駆動手段のモータ180はシステムコントローラ200により制御され、システムコントローラ200は、操作者の操作部210から指示に従って、または、プログラムに従って、投光用平行平板170が所期の傾斜角度となるようにモータ180を制御して投光用平行平板170を回動させる。
受光用平行平板172は、投光用平行平板170と同様に硝子等の透明材料により平板状に形成され、互いに平行な入射面(第2入射面)172Aと出射面(第2出射面)172Bとを有している。
そして、受光用平行平板172は、支持手段により検出面に直交する回転軸(第2回転軸)の周りに回動可能に支持され、受光用平行平板駆動手段のモータ182の動力が不図示の動力伝達機構を介して受光用平行平板172に加えられることによって、その回転軸の周りに回動するようになっている。
これによって、受光用平行平板172は、検出面内において、入射面172Aの法線方向が入射面172Aに入射する検出光Bの光軸と一致した方向から時計回り又は反時計回りに所定角度(傾斜角度)回動して検出光Bに対してその傾斜角度に傾けた状態に設定されるようになっている。
この受光用平行平板172によれば、投光用平行平板170と同様に、第2光路OP2を進行して入射面170Aに入射する検出光Bの高さ(入射位置)に対して、出射面170Bから出射される検出光Bの高さ(出射位置)が、受光用平行平板172の傾斜角度に応じた高さ分だけ変更されるようになっている。
従って、受光部154の受光面に入射する検出光Bの高さを受光用平行平板172の傾斜角度を変更することによって調整することができるようになる。例えば、投光用平行平板170によって第1光路OP1の高さが変更され、これと連鎖して第2光路OP2の高さも変更された場合であっても、投光用平行平板170の傾斜角度の変更に連動させて受光用平行平板172の傾斜角度を変更することで、受光部154の受光面に入射する検出光の高さをその受光面の中心位置の高さに一致させることができる。
なお、受光用平行平板駆動手段のモータ182はシステムコントローラ200により制御され、システムコントローラ200は、操作者の操作部210から指示に従って、または、プログラムに従って、受光用平行平板172が所期の傾斜角度となるようにモータ182を制御して投光用平行平板170を回動させる。
アパーチャ162は、開口160Aの高さが受光部154の受光面の中心位置の高さと一致するように配置されており、受光部154の受光面に向かって進行する光線のうち、幅方向Wと平行でない進行方向の光線が受光部154の受光面に入射することを制限している。これにより、用紙Pの印刷面PSからの散乱光のように、検出光Bと異なる進行方向の光が受光部154に入射され難くなり、受光部154により検出される受光量に対する散乱光の影響が軽減される。なお、アパーチャ162の開口162Aの開口面積(開口径)は、アパーチャ160の開口160Aの開口面積(開口径)よりも小さくすることが望ましい。
以上のアパーチャ160、162、投光用平行平板170、受光用平行平板172は、必ずしも全てを設置する必要はなく、それらの光学要素のうちのいずれか1つ又は複数の光学要素のみを設置した形態も可能である。特に、投光用平行平板170のみを設置した形態、投光用平行平板170と受光用平行平板172を設置した形態、アパーチャ162のみを設置した形態、アパーチャ160とアパーチャ162を設置した形態、及び、これらの形態の各々を組み合わせた形態などが考えられる。
なお、第4の実施の形態のように、アパーチャ160、162、投光用平行平板170、受光用平行平板172を設置することは、第2及び第3の実施の形態のように第1の実施の形態と異なる構成の用紙浮き検出センサにおいても同様に実施することができる。
その場合において、受光用平行平板172は、投光用平行平板170の回動に伴って変化する入射面172Aへの検出光Bの入射位置の変位方向と一致する方向に出射面172Bから出射される検出光Bの出射位置が変位するように受光用平行平板172の回転軸の方向が設定される。
以上、第1、第4の実施の形態の用紙浮き検出センサ150では、第2光路OL2が幅方向Wと平行になるようにしたが、受光部154の受光面と方向変更部156の出射位置とを異なる高さに配置し、または、用紙搬送方向Cの異なる位置に配置すると共に、方向変更部156の出射位置から出射する検出光Bの出射方向を受光部154の受光面に向かう方向となるようにした場合のように、第2光路OL2が幅方向Wと平行でない形態としてもよい。
また、第1〜第4の実施の形態の用紙浮き検出センサ150では、第1光路OL1が幅方向Wと平行になるようにしたが、投光部152の投光面と方向変更部156の入射位置とを用紙搬送方向Cの異なる位置に配置すると共に、投光部152の投光面から出射する検出光Bの出射方向を方向変更部156の入射位置に向かう方向となるようにした場合のように、第1光路OL1が幅方向Wと平行でない形態とすることができる。
また、第1、第4の実施の形態の用紙浮き検出センサ150では、第1光路OL1と第2光路OL2の両方を幅方向Wと平行になるにしたが、第1光路OL1と第2光路OL2の両方を幅方向Wと平行でない形態、第1光路OL1と第2光路OL2の両方を幅方向Wと平行でない形態とすることもでき、その場合に第1光路OL1と第2光路OL2とが平行になる形態とすることもできるし、平行でない形態とすることもできる。
また、第1〜第4の実施の形態の用紙浮き検出センサ150において、各構成要素の配置を搬送路(画像記録ドラム41の外周面41A)に対して左右反転した配置の構成としてもよい。
また、第1〜第4の実施の形態の用紙浮き検出センサ150は、枚葉の用紙Pの浮き上がりの有無を検出する用紙浮き検出センサに本発明に係る記録媒体浮き検出装置を適用した場合について説明したが、本発明に係る記録媒体浮き検出装置は、枚葉の用紙以外の任意の記録媒体の浮き上がりの有無を検出する装置に適用することができる。
また、第1〜第4の実施の形態の用紙浮き検出センサ150では、インクジェット記録装置における画像記録部での用紙の浮き上がりの有無を検出する用紙浮き検出センサに本発明に係る記録媒体浮き検出装置を適用した場合について説明したが、本発明に係る記録媒体浮き検出装置は、インクジェット記録装置の他の位置の搬送路における用紙(記録媒体)の浮き上がりを検出する装置としても適用することができる。さらにインクジェット記録装置以外の装置であっても記録媒体を搬送路によって搬送する装置に適用することができる。
また、第1〜第4の実施の形態の用紙浮き検出センサ150では、画像記録ドラムの外周面に記録媒体を巻き掛けて搬送する搬送路における記録媒体の浮き上がりの有無を検出する用紙浮き検出センサに本発明に係る記録媒体浮き検出装置を適用した場合について説明したが、搬送ベルト等によって平面の搬送面上に記録媒体を搬送する搬送路における記録媒体の浮き上がりを検出する装置として本発明に係る記録媒体浮き検出装置を適用することができる。