以下、添付図面に従って本発明の実施形態について詳細に説明する。
<第1の実施形態>
(記録媒体浮き検出部の概要)
図1は、検出高さを精度よく調整するための第1の実施形態に係る記録媒体浮き検出部の概要を説明するための図であり、記録媒体に画像を記録する画像記録部200と、記録媒体の浮きを検出する記録媒体浮き検出部300を示す模式図である。
同図に示すように、画像記録部200は、外周面(搬送面)に吸着された記録媒体Pを搬送する円筒状の搬送ドラム210、記録媒体Pの記録面にインクを吐出するインクジェットヘッド240等から構成される。搬送ドラム210は、搬送面に貼り付けられた、多数の吸着穴が設けられている吸着シート(図20、図21参照)を含んで構成されている。
また、記録媒体浮き検出部300は、レーザ光等の検出ビームBを出射する投光ユニット310、投光ユニット310から出射された検出ビームBを受光する受光ユニット312、検出ビームBと搬送ドラム210の搬送面との距離(以後、検出ビームBの検出高さと呼ぶ)を変更するための投光用硝子平行平板314、基準検出板340等から構成される。
投光ユニット310と受光ユニット312とは、搬送ドラム210を幅方向(長手方向)に挟んで互いに対向して配置される。また投光ユニット310と受光ユニット312とは、搬送ドラム210の搬送方向に対してインクジェットヘッド240の上流側に配置される。
投光ユニット310は、レーザダイオード(LD)を備えて構成され、検出ビームBとしてレーザ光を出射する。なお、LDの代わりにLEDを採用し、LED光を出射するように構成してもよいし、その他の光線出射手段を採用してもよい。
受光ユニット312は、フォトダイオード(PD)を備えて構成され、検出ビームBを受光する。なお、受光手段としてはPDに限定されるものではなく、その他の受光手段を採用してもよい。
投光用硝子平行平板314は、例えば矩形形状の透明ガラス板であり、互いに平行な入射面314aと出射面314bとを有している。投光用硝子平行平板314は、硝子ではなく、プラスチックやその他の材料で形成されてもよい。また、矩形形状に限定されるものではなく、丸形状やその他適宜な形状を選択することもできる。
この投光用硝子平行平板314は、検出ビームBの光路上に配置されるものであり、投光ユニット310と受光ユニット312の間であって、搬送ドラム210よりも投光ユニット310寄りに配置されている。
また、投光用硝子平行平板314は、検出ビームBと直交する回転軸315を中心に回動自在に構成され、回転軸315に接続された投光用モータ316(図2参照)によって駆動されて回動する。この回動により、投光用硝子平行平板314の入射面314aに対する検出ビームBの入射角が変更される。
基準検出板340は、検出ビームBの検出高さの基準となる平板である。基準検出板340は、搬送ドラム210の側面であって、搬送ドラム210の表面に形成された凹部Oの側面に設けられている。なお、基準検出板340の詳細については後述する。
投光ユニット310から出射された検出ビームBは、投光用硝子平行平板314に入射する。ここで、投光用硝子平行平板314の入射面314aが、検出ビームBに対して垂直である場合は、入射面314aから入射した検出ビームBはそのまま投光用硝子平行平板314内部を直進し、出射面314bから出射されて受光ユニット312により受光される。
一方、投光用硝子平行平板314の入射面314aが、検出ビームBに対して垂直以外の角度になるように傾いている場合は、入射面314aから入射した検出ビームBは、投光用硝子平行平板314の内部で屈折し、光軸が上方に(搬送ドラム210の外周面から離れるように)、または、下方に(搬送ドラム210の外周面に近づくように)シフトして出射面314bから出射し、受光ユニット312により受光される。
即ち、投光用モータ316によって投光用硝子平行平板314を回動させ、投光ユニット310から出射された検出ビームBが投光用硝子平行平板314の入射面314aに入射する角度を調整することにより、検出ビームBの検出高さを調整することができる。
図2は、図1に示した画像記録部200と記録媒体浮き検出部300の電気的構成を示すブロック図である。
同図に示すように、画像記録部200は、上述の搬送ドラム210、インクジェットヘッド240の他、ドラム制御部220、エンコーダ検出部230を備えている。
ドラム制御部220は、搬送ドラム210の回転を制御することで、記録媒体の搬送を制御する。またエンコーダ検出部230は、搬送ドラム210に設置されたエンコーダ(不図示)から出力されるパルス信号に基づいて、搬送ドラム210の回転角度を検出する。
また画像記録部200は、上述の投光ユニット310、受光ユニット312、投光用硝子平行平板314等の他、投光用モータ316、モータ制御部318、モニタ部320を備えている。
投光用モータ316は、投光用硝子平行平板314の回転軸315に接続されたパルスモータであり、駆動パルス数に応じて投光用硝子平行平板314を回動させる。モータ制御部318は、投光用モータ316を制御し、投光用硝子平行平板314の角度を変更することで、検出ビームBの検出高さを調整する。また、モニタ部320は、受光ユニット312による検出ビームBの受光量をモニタする。
このように構成された画像記録部200は、搬送ドラム210が記録媒体Pを搬送する。記録媒体Pは、その先端部がグリッパ(不図示)と搬送ドラム210とに挟持され、先端部以外の部分が搬送ドラム210の搬送面に吸着シートを介して吸着される。記録媒体Pは、この状態で搬送ドラム210が回転することにより、インクジェットヘッド240の直下に搬送される。
エンコーダ検出部230により、記録媒体Pが、インクジェットヘッド240が画像を記録すべき位置に搬送されたことが検出されると、インクジェットヘッド240から記録媒体Pの表面にインクが吐出される。
この間、記録媒体浮き検出部300は、投光ユニット310から検出ビームBを出射し、受光ユニット312によりこの検出ビームBを受光する。
このとき、モータ制御部318が投光用モータ316を制御することにより、投光用硝子平行平板314が所望の角度に設定され、検出ビームBの検出高さが最適な高さに設定される。
記録媒体Pが浮き上がり、検出ビームBを遮った場合には、受光ユニット312の受光量が変化する。モニタ部320は、この受光量の変化を検出することにより、記録媒体Pが浮き上がったと判断する。
モニタ部320は、記録媒体Pが浮き上がったと判断した場合には、ドラム制御部220により搬送ドラム210の回転を停止させる。なお、搬送ドラム210を停止させるのではなく、報知手段(不図示)によりアラームを発する等の制御を行ってもよいし、搬送ドラム210の停止とアラーム報知の両方を行ってもよい。
(投光用モータの駆動パルス数と検出ビームの高さの関係)
このように、記録媒体浮き検出部300は、モータ制御部318の制御により検出ビームBの検出高さを所望の高さに設定することができる。
図3は、投光用モータ316の駆動パルス数と検出ビームの高さh[単位:mm]との関係を示すグラフである。
このグラフでは、投光用硝子平行平板314に左側から検出ビームBが入射してきた場合において、投光用硝子平行平板314の入射面314aが検出ビームBに対して垂直のときの駆動パルス数を0とし、投光用硝子平行平板314を反時計回りの方向の回動をさせる駆動パルスの数をプラス(+)、時計回りの方向の回動をさせる駆動パルスの数をマイナス(−)としている。また、ここでは投光用硝子平行平板314の入射面314aが、検出ビームBに対して垂直のとき(駆動パルス数が0のとき)を高さh=0として表している。
ここで、投光用モータ316に入力される駆動パルス数に対して、投光用硝子平行平板314の回動角度(傾斜角度)は線形に変化する。しかし、図3に示すように、投光用硝子平行平板314の回動角度を変化させ、屈折により検出ビームの高さを可変させる本方式では、投光用モータ316の駆動パルス数に対する検出ビームの高さhの変化量は非線形であるため、用紙の厚みに応じて最適な用紙浮き検出高さに調整することが難しい。
これに対し、本実施形態では、投光用モータ316の駆動パルス数に対する検出ビームの高さhのテーブルを作成し、このテーブルを用いて検出ビームBを最適な検出高さに設定する。
(テーブル作成処理)
駆動パルス数と検出ビームの高さとの関係を示すテーブルの作成方法について、詳細を説明する。
図4は、図1の矢印A方向から見た画像記録部200と記録媒体浮き検出部300との側面図である。同図に示すように、搬送ドラム210の側面であって、搬送ドラム210の表面に形成された凹部Oの側面には、基準検出板340が設けられている。なお、基準検出板340は、インクジェットヘッド240とは干渉しない位置に設けられる。
基準検出板340は、複数の基準高さを有する板状部材であり、ここでは凹部Oにおける搬送ドラム210の外周面(搬送面)の延長線Cに対して高さhaだけ突出した第1検出部340aと、延長線Cに対して高さhbだけ突出した第2検出部340bと、第1検出部340a及び第2検出部340b以外の部分であり、搬送ドラム210の側面に固定された胴体部340cと、を備えている。第1検出部340a及び第2検出部340bの高さ(基準高さ)は、ここでは一例としてha=0.5mm、hb=1.2mmに設定されている。
また、搬送ドラム210は、その外周面であって、記録媒体を保持する記録媒体保持領域H以外の領域に、搬送ドラム基準位置Sを有している。搬送ドラム基準位置Sは、搬送ドラム210の外周面(記録媒体Pの記録面の反対面が接する面)の高さ(基準高さ)を測定するために用いられる。
第1検出部340a、第2検出部340b、及び搬送ドラム基準位置Sのそれぞれの位置と、搬送ドラム210上の位置(回転角度位置)とは、予め対応付けられている。したがって、ドラム制御部220は、エンコーダ検出部230の検出結果に基づいて、第1検出部340a、第2検出部340b、及び搬送ドラム基準位置Sのそれぞれの位置と、投光ユニット310から出射される検出ビームBの位置(検出ビームBにより高さを検出可能な位置)とが一致するまで回転させ、その位置で搬送ドラム210を停止させることができる。
図5は、テーブル作成処理の一例を示すフローチャートである。
まず、ドラム制御部220は、搬送ドラム210を回転させ、検出ビームBの位置と搬送ドラム基準位置Sとが一致する位置(検出ビームBにより搬送ドラム基準位置Sの高さを検出可能な位置)で停止させる(ステップS1)。
このドラム位置において、モータ制御部318は、投光用モータ316を駆動することで投光用硝子平行平板314を回動させ、投光ユニット310から出射された検出ビームBの高さを徐々に変更する。これと同時にモニタ部320は、受光ユニット312の受光量をモニタする。モニタ部320は、受光量が所定値以上変化したことを検出すると、モータ制御部318にその検出信号を入力する(ステップS2)。
モータ制御部318は、モニタ部320から検出信号が入力されると、投光用モータ316の駆動を停止する。また、このときの投光用モータ316の駆動パルス数情報を、搬送ドラム基準位置Sの高さh0の情報として記憶しておく。例えば、投光用モータ316の駆動パルス数をn0=0として記憶する。
なお、この搬送ドラム基準位置Sにおける高さ検出は、受光ユニット312のヒステリシス特性を考慮し、受光ユニット312が検出ビームBを検出している状態から、検出ビームBを検出できなくなる状態を検出することが好ましい。
記録媒体対浮き検出部300は、搬送中の記録媒体Pの浮きを検出する場合に、記録媒体Pが浮いておらず、受光ユニット312が検出ビームBを検出している状態から、記録媒体Pが浮き、浮いた記録媒体Pにより検出ビームBが遮光され、検出ビームBが受光ユニット312により検出できなく状態になったときを検出するものだからである。
したがって、検出ビームBが搬送ドラム210より上部にあり、検出ビームBが搬送ドラム210により遮光されない状態から、徐々に検出ビームBの高さを下げていき、検出ビームBが搬送ドラム210により遮光される状態に変化させることが好ましい。
この検出がされたときの投光用硝子平行平板314の傾斜角度が、検出ビームBの検出高さ=0のときの角度となる。
次に、ドラム制御部220は、搬送ドラム210を回転させ、検出ビームBの位置と第1検出部340aの位置とが一致する位置(検出ビームBにより第1検出部340aの高さを検出可能な位置)で停止させる(ステップS3)。
このドラム位置において、モータ制御部318は、投光用モータ316を駆動することで投光用硝子平行平板314を回動させ、投光ユニット310から出射された検出ビームBの高さを徐々に変更する。これと同時にモニタ部320は、受光ユニット312の受光量をモニタする。モニタ部320は、受光量が所定値以上変化したことを検出すると、モータ制御部318にその検出信号を入力する(ステップS4)。
モータ制御部318は、モニタ部320から検出信号が入力されると、投光用モータ316の駆動を停止する。またこのときの投光用モータ316の駆動パルス数情報を、第1検出部340aの高さhaの情報として記憶しておく。例えば、高さh0からの駆動パルス数n1を記憶する。
なお、この第1検出部340aの高さ検出においても、受光ユニット312が検出ビームBを検出している状態から、徐々に検出ビームBの高さを下げていき、検出ビームBが第1検出部340aにより遮光され、受光ユニット312が検出ビームBを検出できなくなる状態を検出する。
さらに、ドラム制御部220は搬送ドラム210を回転させ、ビームBの位置と第2検出部340bの位置とが一致する位置(検出ビームBにより第2検出部340bの高さを検出可能な位置)で停止させる(ステップS5)。
同様に、モータ制御部318において検出ビームBの高さを徐々に変更しながら、モニタ部320において受光ユニット312の受光量をモニタする。ここでも、受光ユニット312が検出ビームBを検出している状態から、受光ユニット312が検出ビームBを検出できなくなる状態を検出する。
モニタ部320は、受光量が所定値以上変化したことを検出すると、モータ制御部318にその検出信号を入力する(ステップS6)。またモータ制御部318は、モニタ部320から検出信号が入力された時点の駆動パルス数情報を、第2検出部340bの高さhbの情報として記憶しておく。例えば、高さh0からの駆動パルス数n2を記憶する。
最後に、これら既知の検出高さh0、ha、hbとそれぞれの検出時の駆動パルス数n0、n1、n2との関係から、駆動パルス数に対する検出高さの関係を示すテーブル(検出高さテーブル)を作成する(ステップS7)。
図6は、このように作成した検出高さテーブルをグラフ上に表した図である。このテーブルは、図3のグラフとは異なり、横軸は高さh0を0とし、縦軸は高さh0の検出時の駆動パルス数n0を0としている。
またこのテーブルにおいては、各測定点間の駆動パルス数は、各測定点間を結ぶ直線で補間されている。モータ制御部318は、このテーブルをメモリ(不図示)に記憶しておく。
このように、記録媒体を保持する記録媒体保持領域以外の領域に配置された3箇所以上の基準高さにおいて検出ビームBが遮光される駆動パルス数を検出し、基準高さと駆動パルス数の関係からテーブルを作成する。これにより、投光用硝子平行平板314の角度と検出高さの関係、即ち駆動パルス数と検出高さの関係が非線形であっても、適切なテーブルを作成することができる。
このテーブルを用いて投光用モータ316を駆動することにより、検出ビームBの高さを記録媒体Pの厚さに応じた最適な検出高さに調整することができる。
記録媒体Pの厚さは、ユーザが記録媒体浮き検出部300の操作部(不図示)を用いて入力してもよいし、センサを用いて検出してもよい。記録媒体の厚さだけでなく、重さや曲がりやすさ等、記録媒体の浮き上がりやすさを基準に検出ビームBの高さを最適な検出高さに調整してもよい。
また、本実施形態で作成されたテーブルは、検出ビームBが遮られていない状態から遮られた状態に変化した高さを基準に作成されているため、受光ユニット312に用いる光電センサのヒステリシス分の誤差の影響が低減されている。
さらに、基準高さを有する基準検出板340は、記録媒体保持領域H以外の領域、即ち記録媒体浮き検出部300が記録媒体の浮き検出を行わない領域に配置されているため、記録媒体浮き検出部300の誤動作を防止することができる。
本実施形態では、搬送ドラム210の高さと、基準検出板340の2つの基準高さを検出することでテーブルを作成したが、3つ以上の既知の高さを検出できればどの高さを検出してもよい。例えば、3つの基準高さを備えた基準検出板340を用いて、その3つの基準高さを検出してテーブルを作成してもよい。
<第2の実施形態>
検出高さを精度よく調整するための第2の実施形態について説明する。
(高さ検出板)
図7は、第2の実施形態における画像記録部200と記録媒体浮き検出部302との側面図である。同図に示すように、本実施形態では、第1の実施形態の基準検出板340の代わりに、高さ検出板342が設けられている。
高さ検出板342は、凹部Oにおける搬送ドラム210の搬送面の延長線Cに対して突出した高さが無段階に変わるように、所定の傾斜角を有する斜面342aを備えている。図7に示す例では、斜面342aは、高さhcから高さhdに直線的に変化するように構成されている。
また、斜面342aは、搬送ドラム210が回転して高さ検出板342が移動する際に、延長線Cに対して突出した高さの低い方(高さhc)が前方、高い方(高さhd)が後方となる向きに設けられている。
このように構成された高さ検出板342に対し、高さ検出板342の斜面342aのそれぞれの位置と、搬送ドラム210上の位置とが、予め対応付けられている。また、斜面342aのそれぞれの位置と、その位置における高さ(延長線Cに対して突出した高さ)も予め対応付けられている。
モータ制御部318により検出ビームBの高さをhc〜hdの範囲内の所望の高さheに設定し、ドラム制御部220により搬送ドラム210を回転させると、受光ユニット312が検出ビームBの遮光を検出するタイミングと、エンコーダ検出部230が高さheに対するエンコーダ信号を検出するタイミングとが一致する。
ここで、hc<he<hdの関係にあるので、検出ビームBは、高さ検出板342の斜面342aの高さheの位置により遮られる。したがって、受光ユニット312は、検出ビームBを検出している状態から、検出ビームBを検出できなくなる状態を検出することができる。
これらのタイミングが一致しない場合には、検出ビームBの高さが所望の高さheに設定されていない。この場合には、モータ制御部318により検出ビームBの高さを変更することで、検出ビームBの高さを所望の高さheに調整することができる。
(検出高さの調整処理)
図8は、この検出高さの調整処理の一例を示すフローチャートである。
まず、モータ制御部318により、検出ビームBの高さを所望の高さに設定する(ステップS11)。ここでは、所望の高さをheとする。第1の実施形態で作成したテーブルを備えている場合であれば、テーブルに基づいて検出高さを設定すればよい。また、テーブルを備えていない場合であっても、おおよその高さに設定しておけばよい。
次に、記録媒体Pへの印刷を開始する(ステップS12)。なお、実際に印刷を開始するのではなく、記録媒体Pの搬送を行わずに、検出ビームBの高さを調整するためだけに搬送ドラム210を回転させてもよい。
前述のように、検出ビームBの検出高さが正確にheに設定されていれば、受光ユニット312が検出ビームBの遮光を検出するタイミングと、エンコーダ検出部230が高さheに対するエンコーダ信号を検出するタイミングとは一致するはずである。したがって、これらのタイミングが一致するか否かを判定する(ステップS13)。
タイミングが一致する場合には、検出ビームBの検出高さは所望の高さheに設定されていることから、モータ制御部318は、投光用モータ316の駆動を行わずに、この検出ビームBの高さを維持する(ステップS14)。
タイミングが一致しない場合には、高さheに対するエンコーダ検出タイミングの方が先か否かを判定する(ステップS15)。
エンコーダ検出タイミングの方が先の場合には、検出ビームBの検出高さはheよりも高くなっていることから、モータ制御部318は、検出ビームBが下がるように投光用モータ316を制御し、投光用硝子平行平板314の角度を調整する(ステップS16)。
ここで、受光ユニット312による検出ビームBの遮光を検出したタイミングにおけるエンコーダ検出部230の検出結果から、現在の検出ビームBの検出高さを知ることができる。したがって、第1の実施形態のテーブルを備えている場合であれば、テーブルに基づいて現在の検出ビームBと所望の検出高さheとの差分に応じた駆動パルス数を算出し、この駆動パルス数でモータ制御部318が投光用モータ316を駆動すればよい。
逆に、検出ビームBの遮光検出タイミングの方が先の場合には、検出ビームBの検出高さはheよりも低くなっていることから、モータ制御部318は、検出ビームBが上がるように投光用モータ316を制御し、投光用硝子平行平板314の角度を調整する(ステップS17)。
検出ビームBを下げる場合と同様に、受光ユニット312による検出ビームBの遮光を検出したタイミングにおけるエンコーダ検出部230の検出結果から、現在の検出ビームBの検出高さを知ることができる。したがって、第1の実施形態のテーブルを備えている場合であれば、テーブルに基づいて現在の検出ビームBと所望の検出高さheとの差分に応じた駆動パルス数を算出し、この駆動パルス数でモータ制御部318が投光用モータ316を駆動することが可能である。
この動作を印刷が終了するまで繰り返し行い(ステップS18)、印刷が終了した場合には搬送ドラム210を停止させる(ステップS19)。
このように、搬送ドラム210のエンコーダ信号と高さ検出板342の斜面342aのそれぞれの位置に対する高さとの相関を予め作っておくことで、検出ビームBの光軸位置や光量が変化してしまった場合であっても、搬送ドラム210を停止させることなく、常に安定した検出高さを維持することが可能となる。
なお、第1の実施形態と第2の実施形態を組み合わせて実施する場合には、搬送ドラム210に形成された2つの凹部Oのうち、一方の凹部Oに基準検出板340を設け、他方の凹部Oに高さ検出板342を設ければよい。また、テーブル作成後に基準検出板340を取り外し、高さ検出板342を取り付ける態様も可能である。
<記録媒体浮き検出部の変形例>
上記の第1の実施形態、第2の実施形態を適用できる記録媒体浮き検出部は、図1に示した例に限定されるものではなく、適宜変形が可能である。
例えば図9は、変形例の一例として記録媒体浮き検出部304を示す模式図である。なお、図1に示す記録媒体浮き検出部300と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。また図10は、画像記録部200と記録媒体浮き検出部304の電気的構成を示すブロック図である。
図9に示すように、記録媒体浮き検出部304は、記録媒体浮き検出部300に加え、受光ユニット312側に設置された受光用硝子平行平板350と、受光ユニット312側に設置された絞りである受光用アパーチャ360と、を備えている。また、搬送ドラム210の表面に形成された凹部Oの両側面には、基準検出板344a、344bが設けられている。
さらに図10に示すように、受光用硝子平行平板350を回動させるための受光用モータ352を備えている。ここで、受光用モータ352は、モータに限定するものではなく、回動を可能にする一般的な手段を用いることができる。
この受光用硝子平行平板350は、投光用硝子平行平板314と同様に、例えば矩形形状の透明ガラス板であり、互いに平行な入射面350aと出射面350bとを有している。なお、受光用硝子平行平板350は、硝子ではなく、プラスチックやその他の材料で形成されてもよい。また、矩形形状に限定されるものではなく、丸形状やその他適宜な形状を選択することもできる。
この受光用硝子平行平板350は、検出ビームBの光路上に配置されるものであり、投光ユニット310と受光ユニット312の間であって、搬送ドラム210よりも受光ユニット312寄りに配置されている。
また、受光用硝子平行平板350は、検出ビームBと直交する回転軸351を中心に回動自在に構成され、回転軸351に接続された受光用モータ352によって駆動されて回動する。この回動により、受光用硝子平行平板350の入射面350aに対する検出ビームBの入射角が変更される。
ここで、モータ制御部318は、投光用硝子平行平板314における検出ビームBの出射角に対し、受光用硝子平行平板350における検出ビームBの入射角を適切に制御することで、受光用硝子平行平板350は、投光用硝子平行平板314とは逆の作用をする。
即ち、投光用硝子平行平板314により検出ビームBの光軸が上方に(搬送ドラム210の外周面から離れるように)出射された場合には、受光用硝子平行平板350はその光軸を下方に平行移動させて受光ユニット312に受光させる。
逆に、投光用硝子平行平板314により検出ビームBの光軸が下方に(搬送ドラム210の外周面に近づくように)出射された場合には、受光用硝子平行平板350はその光軸を上方に平行移動させて受光ユニット312に受光させる。
このように、受光用硝子平行平板350を設けることにより、検出ビームBのシフト量(検出ビームBの搬送ドラム210外周面からの距離の変化量)を、受光ユニット312の受光面の径よりも大きくすることができる。
即ち、受光用硝子平行平板350を有さない場合には、検出ビームBのシフト量は、受光ユニット312に使用されている受光素子の受光面から検出ビームBがはみ出さない範囲に限定される。しかし、受光用硝子平行平板350を設けることにより、投光用硝子平行平板314により検出ビームBを大きくシフトさせた場合であっても、受光用硝子平行平板350によって受光素子の受光面内に検出ビームが入るように逆にシフトすることが可能となり、検出ビームBのシフト量を大きくすることができる。
なお、検出ビームBの検出高さを変更する場合には、投光用硝子平行平板314と受光用硝子平行平板350とが左右対称の同じ傾斜角度となるように駆動することが好ましいが、必ずしも同じ角度でなくてもよい。
また受光用アパーチャ360は、受光ユニット312と受光用硝子平行平板350との間に設置される。この受光用アパーチャ360により、受光ユニット312に入射する検出ビームBの広がり(幅)を規制することができ、さらに検出ビームB以外の外乱となる他の光が受光ユニット312に受光されることを防止することができる。
これにより、外乱による記録媒体浮き検出部302の誤動作を防止することができる。ここで、外乱となる光には、投光ユニット310から出射された検出ビームBのうち、出射後に広がることにより記録媒体Pやその他の部分で反射した反射光、及び、投光ユニット310以外の光源からの直接光や乱反射光などがある。
基準検出板344a、344bは、第1の実施形態の基準検出板340と同様のものであり、左右対称の略同一の形状を有し、それぞれ第1検出部と第2検出部を有している。基準検出板344a、344bは、搬送ドラム210の凹部Oの両側面に、第1検出部と第2検出部とがそれぞれ向かい合うように取り付けられている。このように複数の基準検出板を設けることで、記録媒体の浮き検出時における検出ビームB以外の外乱光の影響を低減することができる。
なお、記録媒体浮き検出部304を第2の実施形態に適用する場合には、基準検出板344a、344bの代わりに、高さ検出板342と左右対称に同形状の2つの高さ検出板を凹部Oの両側面に設ければよい。また、図8のフローチャートのステップS16、S17において検出ビームBの検出高さを変更する場合には、投光用硝子平行平板314と受光用硝子平行平板350とを同時に一定量ずつ駆動することが好ましい。
また図11に示す記録媒体浮き検出部306のように、投光ユニット側に投光用アパーチャ362を設けてもよい。これにより、投光ユニット310が出射した検出ビームBの広がり(幅)を規制することができ、さらに検出ビームB以外の外乱光の影響を低減することも可能である。
例えば、開口径0.5mmの投光用アパーチャ362を用いた場合、検出ビームBは受光側ではφ2mm程度に広がっている。この検出ビームBを開口径0.3mmの受光用アパーチャ360を介して受光することで、精度の高い浮き検出が可能となる。
<投光用硝子平行平板と受光用硝子平行平板の始点検出>
投光用硝子平行平板314、受光用硝子平行平板350について、それぞれ独自の始点位置を検出可能に構成し、前述の検出高さテーブルを始点検出位置からの検出高さテーブルに置き換えてもよい。
図12は、本実施形態に係る記録媒体浮き検出部308を示す模式図である。なお、図10に示す記録媒体浮き検出部306と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。また図13は、画像記録部200と記録媒体浮き検出部308の電気的構成を示すブロック図である。
図12に示すように、記録媒体浮き検出部308は、記録媒体浮き検出部306に加え投光用始点位置検出センサ370、投光用遮光板372、受光用始点位置検出センサ374、及び受光用遮光板372を備えている。
投光用始点位置検出センサ370は、発光部と受光部(不図示)とが対向して配置された透過型フォトインタラプタである。
投光用遮光板372は、投光用硝子平行平板314に連設された不透明な薄板であり、投光用硝子平行平板314の検出ビームBに対する角度に応じて移動可能に構成され、投光用始点位置検出センサ370の発光部と受光部とのギャップを通過可能に構成されている。
また受光用始点位置検出センサ374は、投光用始点位置検出センサ370と同様の透過型フォトインタラプタである。受光用遮光板376は、受光用硝子平行平板350に連設された不透明な薄板であり、受光用硝子平行平板350の検出ビームBに対する角度に応じて移動可能に構成され、受光用始点位置検出センサ374の発光部と受光部とのギャップを通過可能に構成されている。
この投光用始点位置検出センサ370と受光用始点位置検出センサ374の出力信号は、図13に示すように、モータ制御部318に入力される。
モータ制御部318は、投光用始点位置検出センサ370の出力信号をモニタしながら投光用モータ316を駆動し、投光用硝子平行平板314の角度を変更する。投光用始点位置検出センサ370の発光部と受光部とのギャップに投光用遮光板372が通過すると、投光用始点位置検出センサ370の出力信号が変化する。モータ制御部318は、この出力信号の変化を検出し、この位置を投光用硝子平行平板314の始点位置とする。
受光側についても同様に、モータ制御部318は、受光用始点位置検出センサ374の出力信号をモニタしながら受光用モータ352を駆動し、受光用硝子平行平板350の角度を変更する。受光用始点位置検出センサ374の発光部と受光部とのギャップに受光用遮光板3762が通過すると、受光用始点位置検出センサ374の出力信号が変化する。モータ制御部318は、この出力信号の変化を検出し、この位置を受光用硝子平行平板350の始点位置とする。
その後、図5のフローチャートに示した検出高さテーブル作成処理を行うことにより、投光用硝子平行平板314と受光用硝子平行平板350の始点位置からの検出高さテーブルに置き換えることができる。
例えば、第1の実施形態では、高さh0の情報として投光用モータ316の駆動パルス数をn0=0、高さhaの情報として高さh0からの駆動パルス数n1、高さhbの情報として高さh0からの駆動パルス数n2を記憶してテーブルを作成したが、各高さの情報として始点位置からの駆動パルス数を記憶してテーブルを作成することができる。
なお、図12の例では、投光用始点位置検出センサ370及び受光用始点位置検出センサ374に透過型フォトインタラプタを用いたが、磁気センサ等を用いることも可能である。
図14は、記録媒体浮き検出部308による基準位置検出の動作タイミングの一例を示すタイミングチャートである。
まず、ドラム制御部220が、搬送ドラム210をその始点位置まで駆動する(時間t0〜t1)。始点位置の情報は、エンコーダ検出部230から取得する。
続いてドラム制御部220は、エンコーダ検出部230の検出結果に基づいて搬送ドラム210を回転させ、検出ビームBの位置を搬送ドラム基準位置Sの位置と一致させて停止させる(時間t2〜t3)。
次に、モータ制御部318は、投光用始点位置検出センサ370が始点位置を検出するまで、投光用モータ316を反時計回り方向(CCW方向)に回動させる(時間t3〜t4)。また同時にモータ制御部318は、受光用始点位置検出センサ374が始点位置を検出するまで、受光用モータ352を時計回り方向(CW方向)に回動させる(時間t3〜t4)。ここでは、投光用始点位置検出センサ370、受光用始点位置検出センサ374は、始点位置を検出した場合にHレベルを出力する例で示している。
投光用硝子平行平板314と受光用硝子平行平板350の始点位置が検出されたら、次に、搬送ドラム基準位置Sの高さ検出を行う。ここでは、搬送ドラム基準位置Sの高さh0は、始点位置における検出ビームBの光路よりも下側(搬送ドラム210の外周面に近い側)となるように、始点位置が設定されている。
搬送ドラム210は、すでに検出ビームBの位置と搬送ドラム基準位置Sの位置とが一致する位置で停止している。また搬送ドラム基準位置Sにおいては、投光用硝子平行平板314と受光用硝子平行平板350とが始点位置にある状態では、投光ユニット310から出射した検出ビームBは、搬送ドラム210に遮光されることなく受光ユニット312に受光される。したがって、この状態から検出ビームBの検出高さを下げていくと、検出ビームBは搬送ドラム210において遮光される。
時間t5〜t6では、この検出ビームBが搬送ドラム210で遮光される検出高さを求めている。即ちモータ制御部318は、モニタ部320の受光量が変化するまで、投光用モータ316をCCW方向に回動させ、検出ビームBと搬送ドラム210との距離を徐々に小さくすることで検出ビームBの検出高さを徐々に下げていく(時間t5〜t6)。
このモニタ部320の受光量が変化した検出高さと始点位置における高さとの差分を、搬送ドラム基準位置Sの投光側の高さ情報として記憶する。ここでは、投光用モータ316の始点位置からの駆動パルス数の差分を記憶する。
搬送ドラム基準位置Sの高さを検出後、モータ制御部318は、モニタ部320が遮光を検出しない検出高さまで投光用モータ316をCW方向に回動させ、検出ビームBの高さを上げる(時間t7〜t8)。また、モニタ部320が遮光を検出しなくなった検出高さから、さらに所定数のパルスを出力し、投光用モータ316をCW方向に回動させ、検出ビームBの高さを上げる(時間t8〜t9)。ここでは、モニタ部320が遮光を検出しなくなった検出高さから、さらに56パルスを出力している。
これは、投光ユニット310と受光ユニット312との距離及び検出ビームBの広がりを考慮し、検出ビームBの位置が搬送ドラム基準位置Sの検出高さよりも低くなることを防止するためである。
この状態では、投光ユニット310から出射した検出ビームBは、搬送ドラム210に遮光されることなく受光ユニット312に受光される。したがって、この状態から受光用硝子平行平板350の角度を変えていくと、検出ビームBの受光用アパーチャ360の開口に対する位置が変化する。
時間t9〜t10では、この検出ビームBが受光用アパーチャ360の開口から外れて遮光される検出高さを求めている。即ちモータ制御部318は、受光用モータ352をCW方向に回動させ、モニタ部320の受光量が変化するまで、検出ビームBと搬送ドラム210との距離を一定としたまま検出ビームBの受光用アパーチャ360の開口に対する位置を徐々に下げていく(時間t9〜t10)。
このモニタ部320の受光量が変化した検出高さと始点位置における高さとの差分を、搬送ドラム基準位置Sの受光側の高さ情報として記憶する。投光側と同様に、受光用モータ352の始点位置からの駆動パルス数の差分を記憶する。
その後、モータ制御部318は、モニタ部320が遮光を検出しない検出高さまで受光用モータ352をCCW方向に回動させ、検出ビームBの高さを上げる(時間t11〜t12)。モニタ部320が遮光を検出しなくなった検出高さから、さらに所定数のパルスを出力し、受光用モータ352をCCW方向に回動させ、検出ビームBの高さを上げる(時間t12〜t13)。ここでも投光側と同様に、モニタ部320が遮光を検出しなくなった検出高さから、さらに56パルスを出力している。
時間t13〜t21においては、上記と同様の基準位置検出処理を繰り返している。検出ビームBと搬送ドラム210との距離が異なると、受光用アパーチャ360の最適な角度も異なってくる。即ち、投光用アパーチャ362の角度に応じて、最適な受光用アパーチャ360の角度も異なる。したがって、上記の処理を2回以上繰り返すことにより、より精度の高い基準高さを検出することができ、これにより精度の高い検出高さテーブルの作成が可能となる。また、再度始点位置からの処理を行うことにより、複数回基準位置を検出し、その結果を平均化してもよい。
搬送ドラム基準位置Sの高さを検出したら、次に基準検出板344a、344bの第1検出部340a、第2検出部340bの高さ検出を行う(t24〜)。
全ての基準高さの検出が終了したら、それぞれの基準高さにおける投光側の高さ情報から投光側の検出高さテーブルを作成し、受光側の高さ情報から受光側の検出高さテーブルを作成する。始点位置検出のばらつきや硝子平行平板の厚みばらつき、検出ビームBの平行ばらつき、広がった検出ビームBの強度ばらつき、受光用アパーチャ360が検出ビームBのどの部分を切り出すか、等により、投光側のテーブルと受光側のテーブルが異なってくる。
なお、本発明に係る記録媒体浮き検査装置は、ドラム外周面に記録媒体を把持して搬送する方式だけでなく、ベルト上に記録媒体や板状物を載せて搬送する方式や、その他の記録媒体や板状物を搬送するのに用いられる一般的搬送方式においても適用することができることは言うまでもない。
<インクジェット記録装置の詳細構成>
次に、記録媒体浮き検出装置を適用したインクジェット記録装置の一実施例について図面を参照して説明する。図15は、本発明の一実施例に係るインクジェット記録装置10の全体構成を示した構成図である。
インクジェット記録装置10は、枚葉の記録媒体Pに水性インク(水を溶媒に含むインク)を用いてインクジェット方式で記録する記録装置であり、記録媒体Pを給紙する給紙部20と、記録媒体Pの記録面に所定の処理液を付与する処理液付与部30と、記録媒体Pの記録面にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、クロ(K)の各色のインク滴をインクジェットヘッドで打滴して、カラー画像を描画する画像記録部40と、記録媒体Pに打滴されたインク滴を乾燥させるインク乾燥部50と、記録媒体Pに記録された画像を定着させる定着部60と、記録媒体Pを回収する回収部70を備えて構成されている。
処理液付与部30、画像記録部40、インク乾燥部50、定着部60の各部には、それぞれ記録媒体Pの搬送手段として、搬送ドラム31、41、51、61が備えられている。記録媒体Pは、この搬送ドラム31、41、51、61によって、処理液付与部30、画像記録部40、インク乾燥部50、定着部60の各部を搬送される。
各搬送ドラム31、41、51、61は、記録媒体幅に対応して形成されており、図示しないモータに駆動されて回転する(図15において、反時計回りに回転)。各搬送ドラム31、41、51、61の周面には、グリッパGが備えられており、記録媒体Pは、このグリッパGに先端部を把持されて搬送される。本例では、各搬送ドラム31、41、51、61の周面2箇所(180°間隔)にグリッパGが備えられており、1回転で2枚の記録媒体を搬送できるように構成されている。
また、各搬送ドラム31、41、51、61の周面には、多数の吸着穴が形成されており、記録媒体Pは、この吸着穴から裏面を真空吸着されて、各搬送ドラム31、41、51、61の外周面上に保持される。なお、本例では、記録媒体Pを真空吸着して、各搬送ドラム31、41、51、61の外周面上に吸着保持する構成としているが、記録媒体Pを静電吸着して、各搬送ドラム31、41、51、61の外周面上に吸着保持する構成とすることもできる。
処理液付与部30と画像記録部40の間、画像記録部40とインク乾燥部50の間、インク乾燥部50と定着部60の間には、それぞれ渡し胴80、90、100が配置されている。記録媒体Pは、この渡し胴80、90、100によって、各部の間を搬送される。
各渡し胴80、90、100は、枠体で構成された渡し胴本体81、91、101と、その渡し胴本体81、91、101に備えられたグリッパGとで構成されている。渡し胴本体81、91、101は、記録媒体幅に対応して形成されており、図示しないモータに駆動されて回転する(図15において、時計回りに回転)。これにより、グリッパGが同一円周上を回転する。記録媒体Pは、このグリッパGに先端部を把持されて搬送される。なお、本例では、一対のグリッパGが回転軸を挟んで対称位置に配置されており、1回転で2枚の記録媒体を搬送できるように構成されている。
各渡し胴80、90、100の下部には、記録媒体Pの搬送経路に沿って円弧状のガイド板83、93、103が配設されている。渡し胴80、90、100によって搬送される記録媒体Pは、このガイド板83、93、103に裏面(記録面の反対側の面)をガイドされながら搬送される。
また、各渡し胴80、90、100の内部には、渡し胴80によって搬送される記録媒体Pに向けて熱風を吹き出すドライヤ84、94、104が配置されている。各渡し胴80、90、100によって搬送される記録媒体Pは、その搬送過程でドライヤ84、94、104から吹き出された熱風が記録面に吹き当てられる。
給紙部20から給紙された記録媒体Pは、処理液付与部30の搬送ドラム31に受け渡され、処理液付与部30の搬送ドラム31から渡し胴80を介して画像記録部40の搬送ドラム41(以下、「画像記録ドラム41」という。)に受け渡される。そして、画像記録部40の画像記録ドラム41から渡し胴90を介してインク乾燥部50の搬送ドラム51に受け渡され、インク乾燥部50の搬送ドラム51から渡し胴100を介して定着部60の搬送ドラム61に受け渡される。そして、定着部60の搬送ドラム61から回収部70へと受け渡される。この一連の搬送過程で記録媒体Pは、所要の処理が施されて、記録面に画像が形成される。
なお、記録媒体Pは、搬送ドラム31、41、51、61には、記録面が外側に向くようにして搬送され、渡し胴80、90、100には、記録面が内側に向くようにして搬送される。
以下、本実施の形態のインクジェット記録装置10の各部の構成について詳説する。
(給紙部)
給紙部20は、給紙装置21と、給紙トレイ22と、渡し胴23とを備えており、枚葉の記録媒体Pを処理液付与部30に1枚ずつ連続的に給紙する。
給紙装置21は、図示しないマガジンにスタックされた記録媒体Pを上側から順に1枚ずつ給紙トレイ22に給紙する。
給紙トレイ22は、給紙装置21から給紙された記録媒体Pを渡し胴23に向けて送り出す。
渡し胴23は、給紙トレイ22から送り出された記録媒体Pを受け取り、所定の搬送経路に沿って搬送して、処理液付与部30の搬送ドラム31に受け渡す。
記録媒体Pには、インクジェット専用記録媒体では無い汎用の記録媒体が用いられる。
(処理液付与部)
処理液付与部30は、記録媒体Pの記録面に所定の処理液を付与する。この処理液付与部30は、記録媒体Pを搬送する搬送ドラム(以下、「処理液付与ドラム」という。)31と、処理液付与ドラム31によって搬送される記録媒体Pの記録面に所定の処理液を付与する処理液付与装置32とを備えて構成されている。
処理液付与ドラム31は、給紙部20の渡し胴23から記録媒体Pを受け取り(グリッパGで記録媒体Pの先端を把持して受け取る。)、回転して記録媒体Pを搬送する。
処理液付与装置32は、処理液付与ドラム31によって搬送される記録媒体Pの記録面にインク中の色材を凝集させる機能を有する処理液を付与する。この処理液付与装置32は、例えば、処理液をローラ塗布する塗布装置で構成され、周面に処理液が付与された塗布ローラを記録媒体Pの表面に押圧当接させて、記録媒体Pの記録面に処理液を付与する。このような処理液を事前に付与してインクを打滴することにより、汎用の記録媒体を用いた場合であっても、フェザリングやブリーディング等を抑止でき、高品位な記録を行うことができる。なお、処理液付与装置32としては、この他、後述するインクジェットヘッドと同様の液滴吐出ヘッドを用いて付与する構成や、スプレーで付与する構成とすることもできる。
以上のように構成された処理液付与部30によれば、記録媒体Pは処理液付与ドラム31によって所定の搬送経路を搬送され、その搬送過程で処理液付与装置32から記録面に処理液が付与される。記録面に処理液が付与された記録媒体Pは、その後、所定位置で処理液付与ドラム31から渡し胴80に受け渡される。
ここで、上記のように、渡し胴80には、その内部にドライヤ84が設置されており、ガイド板83に向けて熱風が吹き出されている。記録媒体Pは、この渡し胴80によって処理液付与部30から画像記録部40に搬送される過程で記録面に熱風が吹き当てられて、記録面に付与された処理液が乾燥される(処理液中の溶媒成分が蒸発除去される。)。
(画像記録部)
画像記録部40は、図1等の画像記録部200に相当するものであり、記録媒体Pの記録面にC、M、Y、Kの各色のインク滴を打滴して、記録媒体Pの記録面にカラー画像を描画する。この画像記録部40は、記録媒体Pを搬送する搬送ドラム(以下、「画像記録ドラム」という。)41と、画像記録ドラム41によって搬送される記録媒体Pの記録面を押圧して、記録媒体Pの裏面を画像記録ドラム41の周面に密着させる記録媒体押さえローラ42と、記録媒体押さえローラ42を通過した記録媒体Pの浮きを検出する記録媒体浮き検出部300と、記録媒体PにC、M、Y、Kの各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kとを備えて構成されている。
画像記録ドラム41は、渡し胴80から記録媒体Pを受け取り、回転して記録媒体Pを搬送する。この際、上記のように、記録媒体Pは画像記録ドラム41の外周面に吸着保持されて搬送される。したがって、記録媒体Pは、この画像記録ドラム41の外周面によって画される円弧状の面(渡し胴80から記録媒体Pを受け取り、渡し胴90に記録媒体Pを受け渡すまでの領域)を搬送面とし、その搬送面上に設定される搬送経路を搬送される。なお、搬送経路は、画像記録ドラム41の中央を通り、記録媒体Pの幅に対応して設定される。
記録媒体押さえローラ42は、画像記録ドラム41の記録媒体受取位置(渡し胴80から記録媒体Pを受け取る位置)の近傍に設置されており、図示しない押圧機構によって押圧力が付与されて、画像記録ドラム41の周面に押圧当接されている。渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された記録媒体Pは、この記録媒体押さえローラ42を通過することによりニップされ、裏面が画像記録ドラム41の外周面に密着される。
4台のインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、記録媒体浮き検出部300の後段に配されており、記録媒体Pの搬送経路に沿って一定の間隔で配置されている。このインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、記録媒体幅に対応したラインヘッドで構成されており、そのノズル面に形成されたノズル列から、画像記録ドラム41に向けて対応する色のインク滴を吐出する。
以上のように構成された画像記録部40によれば、記録媒体Pは画像記録ドラム41によって所定の搬送経路を搬送される。渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された記録媒体Pは、まず、記録媒体押さえローラ42でニップされて、画像記録ドラム41の外周面に密着される。次いで、記録媒体浮き検出部300によって、浮きの有無が検出され、その後、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44KからC、M、Y、Kの各色のインク滴が記録面に打滴されて、記録面にカラー画像が描画される。
ここで、本例のインクジェット記録装置10では、各色ともにインク中に熱可塑性樹脂が分散された水性インクが使用される。このような水性インクを用いた場合であっても、上記のように、記録媒体Pには所定の処理液が付与されているので、フェザリングやブリーディング等を起こすことなく、高品位な記録を行うことができる。
画像が描画された記録媒体Pは、渡し胴90に受け渡され、渡し胴90によって所定の搬送経路を搬送されて、インク乾燥部50の搬送ドラム51に受け渡される。なお、上記のように、渡し胴90には、その内部にドライヤ94が設置されており、ガイド板93に向けて熱風が吹き出されている。インクの乾燥処理は、後段のインク乾燥部50で行われるが、記録媒体Pは、この渡し胴90による搬送時にも乾燥処理が施される。
なお、図示されていないが、この画像記録部40には、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kのメンテナンスを行うメンテナンス部が備えられており、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、必要に応じてメンテナンス部に移動して、所要のメンテナンスを受けることができるように構成されている。
(インク乾燥部)
インク乾燥部50は、画像記録後の記録媒体Pに残存する液体成分を乾燥させる。このインク乾燥部50は、記録媒体Pを搬送する搬送ドラム(以下、「インク乾燥ドラム」という。)51と、インク乾燥ドラム51によって搬送される記録媒体Pに対して乾燥処理を施すインク乾燥装置52とを備えて構成されている。
インク乾燥ドラム51は、渡し胴90から記録媒体Pを受け取り、回転して記録媒体Pを搬送する。
インク乾燥装置52は、例えば、ドライヤで構成され(本例では記録媒体Pの搬送経路に沿って配設された3台のドライヤで構成)、インク乾燥ドラム51によって搬送される記録媒体Pに向けて熱風を吹き付けることにより、インクを乾燥させる(記録媒体上に存在する液体成分を蒸発させる。)。
以上のように構成されたインク乾燥部50によれば、記録媒体Pはインク乾燥ドラム51によって搬送される。そして、その搬送過程で記録面にインク乾燥装置52から熱風が吹き付けられて、記録面に付与されたインクが乾燥される。
インク乾燥装置52を通過した記録媒体Pは、その後、所定位置でインク乾燥ドラム51から渡し胴100に受け渡される。そして、渡し胴100によって所定の搬送経路を搬送されて、定着部60の搬送ドラム61に受け渡される。
なお、上記のように、渡し胴100には、その内部にドライヤ104が設置されており、ガイド板103に向けて熱風が吹き出されている。したがって、記録媒体Pは、この渡し胴100での搬送時にも乾燥処理が施される。
(定着部)
定着部60は、記録媒体Pを加熱加圧して、記録面に画像記録された画像を定着させる。この定着部60は、記録媒体Pを搬送する搬送ドラム(以下、「定着ドラム」という。)61と、定着ドラム61によって搬送される記録媒体Pに加熱加圧処理を施すヒートローラ62、63と、記録後の記録媒体Pの温度、湿度等を検出するとともに、記録された画像を撮像するインラインセンサ64とを備えて構成されている。
定着ドラム61は、渡し胴100から記録媒体Pを受け取り、回転して記録媒体Pを搬送する。
ヒートローラ62、63は、記録媒体Pの記録面に付与されたインクを加熱加圧することにより、インク中に分散された熱可塑性樹脂を溶着して、インクを皮膜化させる。また、これと同時に記録媒体Pに生じたコックリング、カール等の変形を矯正する。各ヒートローラ62、63は、定着ドラム61とほぼ同じ幅で形成されており、内蔵するヒータによって所定温度に加熱される。また、各ヒートローラ62、63は、図示しない加圧手段によって、定着ドラム61の周面に所定の押圧力で押圧当接される。記録媒体Pは、このヒートローラ62、63を通過することにより、ヒートローラ62、63によって加熱加圧される。
インラインセンサ64は、温度計、湿度計、CCDラインセンサ等を備え、定着ドラム61によって搬送される記録媒体Pの温度、湿度等を検出するとともに、記録媒体Pに記録された画像を撮像する。このインラインセンサ64の検出結果に基づいて、装置の異常やヘッドの吐出不良等がチェックされる。
以上のように構成された定着部60によれば、記録媒体Pは定着ドラム61によって搬送され、その搬送過程で記録面にヒートローラ62、63が押圧当接されて、加熱加圧される。これにより、インク中に分散された熱可塑性樹脂が溶着されて、インクが皮膜化される。また、これと同時に記録媒体Pに生じた変形が矯正される。
定着処理が施された記録媒体Pは、この後、所定位置で定着ドラム61から回収部70へと受け渡される。
(回収部)
回収部70は、一連の記録処理が行われた記録媒体Pをスタッカ71に積み重ねて回収する。この回収部70は、記録媒体Pを回収するスタッカ71と、定着部60で定着処理された記録媒体Pを定着ドラム61から受け取り、所定の搬送経路を搬送して、スタッカ71に排紙する排紙コンベア72とを備えて構成されている。
定着部60で定着処理された記録媒体Pは、定着ドラム61から排紙コンベア72に受け渡され、その排紙コンベア72によってスタッカ71まで搬送されて、スタッカ71内に回収される。
(画像記録部の詳細)
次に、画像記録部40について図16及び図17を参照して更に説明する。図16は画像記録部40の斜視図であり、図17は画像記録部40の側面図である。
図16及び図17に示すように、記録媒体Pは、その先端部をグリッパGと画像記録ドラム41とに挟持される。画像記録ドラム41の回転により、記録媒体Pは、記録媒体押さえローラ42の位置に運ばれて、記録媒体押さえローラ42によって画像記録ドラム41の表面に押圧される。
続いて、記録媒体Pは、インクジェットヘッド44(インクジェットヘッド44K、44Y、44M、44Cを総称して、インクジェットヘッド44とも称する。)の位置に運ばれて、インクジェットヘッド44によって記録媒体P表面に画像が形成される。
このとき、記録媒体押さえローラ42とインクジェットヘッド44の間に位置する記録媒体浮き検出部300は、記録媒体押さえローラ42を通過した記録媒体Pが、画像記録ドラム41表面から浮き上がっているか否かを検出する。
具体的には、記録媒体浮き検出部300を構成する投光ユニット310が、同じく記録媒体浮き検出部300を構成する受光ユニット312に向かって検出ビームBを出射する。投光ユニット310と、受光ユニット312とは、画像記録ドラム41の幅方向に対向して設置され、その設置位置は、検出ビームBが、画像記録ドラム41の表面より少し上に位置するように調整される。
これにより、記録媒体Pが、画像記録ドラム41の表面から浮き上がって検出ビームBを遮ると、受光ユニット312が受光する光量に変化が生じ、記録媒体Pの浮き上がりが検出される。
このようにして、記録媒体浮き検出部300が、記録媒体Pの浮き上がりを検出した場合は、図示しない制御装置により画像記録ドラム41の回転を停止させる。
これにより、浮き上がった記録媒体Pとインクジェットヘッド44Y、44C、44K、44Mのヘッド面とが擦れることによるヘッド面の損傷を防ぐことができる。
記録媒体浮き検出部300は、基準検出板340や高さ検出板342が配置されている位置、即ちグリッパGが設置されている、画像記録ドラム41表面に形成された凹部Oにおいては、記録媒体の浮き検出は行わないように制御される。
ここで、記録媒体浮き検出部300の位置に画像記録ドラム41外周面のどの部分が位置しているかについては、画像記録ドラム41に設置されたエンコーダによって、モニタすることができ、この値に基づいて浮き検出の制御を行うことができる。
これにより、基準検出板340や高さ検出板342によって検出ビームBが遮光された場合に、記録媒体Pが浮いていると誤検出するのを防ぐことができる。
また、画像記録ドラム41は、その両端面にジャンプ台Jを備える。これにより、画像記録ドラム41が回転して、グリッパGが、記録媒体押さえローラ42の位置に来ても、記録媒体押さえローラ42の両端に位置する、記録媒体押さえローラ42よりも直径の大きいベアリング部Aがジャンプ台Jに乗り上げることによって、記録媒体押さえローラ42を画像記録ドラム41の表面より上に待避させ、記録媒体押さえローラ42が、グリッパGに接触することを防ぐことができる。
本実施形態では、基準検出板340や高さ検出板342は、ジャンプ台Jに設けている。この位置に設けることで、インクジェットヘッド44や記録媒体Pと干渉することなく、基準高さを検出することができる。
(記録媒体浮き検出部の詳細)
ここで、記録媒体浮き検出部300について図18及び図19を参照して更に説明する。図18は記録媒体浮き検出部300の正面図であり、図19は記録媒体浮き検出部300の平面図である。
図18及び図19に示すように、記録媒体浮き検出部300は、投光ユニット310、受光ユニット312、投光用硝子平行平板314、投光用モータ316、投光用アパーチャ322、投光用始点位置検出センサ370、受光用硝子平行平板350、受光用モータ352、受光用アパーチャ360、及び受光用始点位置検出センサ374を主に備えて構成される。
投光ユニット310からは、画像記録ドラム41の回転軸Tと平行、即ち記録媒体Pの搬送方向に対して直角に、検出ビームBが出射される。この検出ビームBは、投光用アパーチャ322を介して投光用硝子平行平板314に入射する。
投光用硝子平行平板314は、検出ビームBと直交する回転軸315を中心に回動することで、検出ビームBの高さを変更する。この検出ビームBは、受光用硝子平行平板350に入射する。
受光用硝子平行平板350は、検出ビームBと直交する回転軸351を中心に回動することで、検出ビームBの高さを変更する。この検出ビームBは、受光用アパーチャ360を介して受光ユニット312に受光される。
記録媒体Pが、浮き上がって検出ビームBを遮ったとき、受光ユニット312の受光量が変化する。不図示の制御装置(システムコントローラとも称する。)は、この受光量の変化をモニタし、この変化量、または、受光量が、所定の値または所定の範囲の値になったとき、記録媒体Pが浮き上がったと判断して、画像記録ドラム41の回転を止め、記録媒体の搬送を停止する、または、アラームを発する等の制御を行う。
(画像記録ドラムの詳細)
画像記録ドラム41について図20、図21を参照して更に説明する。
図20は、画像記録ドラム41の全体構造を示す斜視図である。同図に示すように、画像記録ドラム41は、不図示の回転機構に連結され、軸受け411A、411Bにより支持される回転軸412の周りを、該回転機構の動作によって回転可能に構成される回転体部材である。
また、画像記録ドラム41の記録媒体Pが保持(固定)される媒体保持面(周面)413には、媒体吸着領域414(図20中ドットハッチで図示した領域)が設けられており、媒体吸着領域414には多数の吸着穴(開口)が設けられている。なお、図20では媒体吸着領域414における各吸着穴は個別に図示していない。
一方、図20において、符号416A〜416Cで示したように、画像記録ドラム41の軸方向(回転軸412と平行方向、以下「ドラム軸線方向」という。)の略中央部(416A)と、中央から左右に約1/4のドラム長の位置(416B)、更に左右両端部(416C)に、吸着穴が設けられていない非開口部がドラム周方向に沿って帯状に一定幅で設けられている。なお、この非開口部416A〜416Cは、後述するドラム本体430に形成されるドラム吸着溝426の位置に対応し(図21参照)、吸着シート420の裏面に形成される吸着溝(不図示)の絞り部(不図示)の背後を塞ぐように設けられている。
図20に示す画像記録ドラム41の内部には、媒体吸着領域414の吸着穴と連通する吸引用の真空流路が設けられており、該真空流路は、画像記録ドラム41の側面に設けられた真空配管系418(配管、ジョイント等)及び、画像記録ドラム41の回転軸412の内部に設けられた真空流路を介して画像記録ドラム41の外部に設けられた真空ポンプ(不図示)に接続されている。該真空ポンプを動作させて真空(負圧)を発生させると、吸着穴及び真空流路等を介して記録媒体Pに吸着圧力が付与される。即ち、画像記録ドラム41は、エア吸着方式により媒体保持面413である周面に記録媒体Pが保持されるように構成されている。
図21は、画像記録ドラム41の内部構造を示す分解斜視図である。画像記録ドラム41は、表面に多数の吸着穴が形成されている吸着シート420と、当該吸着シート420の裏面側に形成される吸着溝(不図示)の絞り部(不図示)と連通するドラム吸着溝426を備えたドラム本体430と、を含んで構成されている。ドラム本体430の周面に設けられたドラム吸着溝426の端部には、ドラム本体430の内部に設けられる不図示の真空流路と連通するドラム吸着穴428が設けられている。
(ドラム本体の構造)
次に、ドラム本体430の構造について詳説する。
ドラム本体430の周面430Aには、ドラム軸線方向と直交する方向(ドラム周方向、即ち、記録媒体Pの搬送方向)に沿って、ドラム本体430の全周に対応するようにドラム吸着溝426が複数本設けられている。
本例のドラム本体430は周方向に2分割されている。各分割領域は同様の構造を有しているので、ここでは、1つの分割領域について説明する。
図21に示すドラム本体430は、周方向に2分割された各分割領域について、それぞれ、ドラム軸線方向の異なる位置(中央、両端、更にその中間の5箇所)に、複数本のドラム吸着溝426が設けられている。図21上では、ドラム右端のドラム吸着溝426が描かれていないが、左端側と同様にドラム右端部分についてもドラム吸着溝426が設けられている。
図21の場合、ドラム軸線方向の各位置(5箇所)について周方向に2分割した2本のドラム吸着溝426が設けられているため、1つの分割領域内において、合計10本(=5列×2)のドラム吸着溝426を備える。同様の構成をドラム本体430の全周にわたって適用すると、分割領域が2つあるので、合計20本のドラム吸着溝426を備える。
各ドラム吸着溝426の一方の端部にはドラム吸着穴428が設けられ、ドラム吸着溝426は、ドラム吸着穴428を介してドラム本体430の内部に設けられた真空流路(不図示)と連通されている。該真空流路は、ドラム本体430の側面に設けられる真空配管系418及び回転軸412の内部に設けられた真空流路を介して真空ポンプ(不図示)と接続される。
ドラム本体430の周面430Aには、吸着シート420を固定する際に、吸着シート420に設けられた折り返し構造(L字曲げ構造)を挟み込む溝構造(吸着シート固定用の挟持固定部)432が設けられるとともに、この挟持固定部432のドラム本体430を挟んで反対側に、吸着シート420の折り返し構造(L字曲げ構造)を挟み込んだ状態で吸着シート420に周方向に沿ってテンションをかける引張機構433が設けられている。
なお、ドラム本体430の挟持固定部432及び引張機構433は、図20に示す吸着シート420を密着させて固定できる構造であればよい。本例に示す画像記録ドラム41は、吸着シート420を周方向に2枚並べて、画像記録ドラム41の全周に所定の真空流路を構成している。即ち、上述した挟持固定部432と引張機構433は、周方向の対向する位置の2ヶ所に設けられている。
このように、本例の画像記録ドラム41は、ドラム本体430のドラム吸着溝426と吸着シート420裏面の絞り部の位置合わせがされ、ドラム本体430の周面に吸着シート420を巻きつけて密着固定した構造を有している。なお、搬送ドラム表面に吸着シートを有する構造詳細については、例えば特開2010−158812号公報を参照することができる。
搬送手段である画像記録ドラムが上記のような構造を有している場合は、記録媒体浮き検出部における搬送ドラム基準位置Sの高さ検出は、記録媒体Pと接する面の高さ、即ち吸着シートの上面の高さを基準高さとして検出すればよい。
ここでは、発明を実施するための形態として、本発明をインクジェット記録装置に適用した実施例で説明したが、それに限定されるものではなく、例えば、輪転機や製膜装置等の、ドラム表面に保持された薄板体の浮き検出が必要な分野であれば、どのような分野においても適用可能である。