JP4735253B2 - 画像記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像記録装置に係り、特に、円柱状のドラムを備える画像記録装置に関する。
従来、特許文献1〜特許文献4に示すように、円柱状のドラムの周面に記録媒体を巻回させて画像記録を行う画像記録装置が知られている。これらの画像記録装置によれば、ドラムに記録媒体を保持させながら回転させ、ドラムの周面に対向するように配置させた記録ヘッドからインクを吐出させることにより画像記録を行うようになっている。このような画像記録装置においては、記録媒体に浮き又は剥がれが発生した搬送異常時には、当該記録媒体が記録ヘッドとドラムの間に搬送されてしまい、記録ヘッドのインク吐出面を傷つけてしまうという問題があった。
ここで、記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドの一例としては、記録媒体の幅方向に延在し多数のノズルが配設されたライン式の記録ヘッドが挙げられる。ライン式の記録ヘッドは、記録媒体を一定速度で搬送させつつノズルからインクを吐出させて画像記録を行うようになっている。ライン式の記録ヘッドの場合、搬送異常時にドラムの回転を停止させても、ドラムの回転が完全に停止するのが間に合わず、記録媒体が記録ヘッドの下方に搬送されて記録ヘッドのインク吐出面を傷つけてしまうという問題があった。
特に、紫外線硬化型インクを用いる場合、活性エネルギー線としての紫外線を照射する照射器からの熱の影響により、記録媒体が歪んでドラムから浮いてしまうという問題があった。また、カチオン重合系インクの場合、記録媒体をインク吐出前に加熱することにより、着弾したインク液滴の間接的な加熱が可能であり、紫外線硬化反応を活性化させる技術が知られている(特許文献5参照)。しかし、記録媒体を積極的に加熱するため、記録媒体が歪んでドラムから浮いてしまうという問題もあった。
そこで、特許文献6には、記録媒体の浮き又は剥がれを検知する検知機構と、当該検知機構が記録媒体の浮きを検知した際に記録ヘッドのインク吐出面を保護する保護手段と、を備える画像記録装置が記載されている。このような画像記録装置によれば、検知機構が異常搬送を検知すると、保護手段としてのシャッタをスライドさせて記録ヘッドのインク吐出面を被覆して保護するようになっている。しかし、記録ヘッドのインク吐出面に合わせたシャッタを、インク吐出面とドラムの間の限られた空間に開閉自在に備える必要があり、煩雑な構成になってしまうという問題があった。
また、特許文献7には、記録ヘッドより搬送方向上流側に、ドラムから浮き上がった記録媒体を排出する排出手段を備えるドラム型の画像記録装置が記載されている。このような画像記録装置によれば、記録媒体の先端部がドラムから浮き上がると、ドラムが回転することにより排出手段としての排出ガイド板に当該記録媒体が搬送されて排出されるようになっている。
さらに、特許文献8には、搬送異常時には、記録ヘッドを記録媒体から退避させて記録ヘッドを保護する画像記録装置が記載されている。このような画像記録装置によれば、記録媒体の搬送異常時には、バネ等の付勢力により記録ヘッドをドラムの周面と略垂直に移動させて記録媒体から遠ざけるようになっている。
特開平5−38820号公報 特開平10−138517号公報 特開平10−175294号公報 特開2000−118065号公報 特開2002−137375号公報 特開2002−36525号公報 特開2000−190582号公報 特開2005−313519号公報
しかしながら、特許文献7に記載のような発明は、排出手段は記録ヘッドより搬送方向上流側に固定されるものであり、ドラムとの間に間隙を設けて配置されるので、排出手段とドラムの間に記録媒体が詰まってしまうという問題があった。また、排出手段はドラムとの間隙ができるだけ小さくなるように配置されるものの、通常の記録媒体搬送時には当該間隙に記録媒体を通過させる必要があるため、その長さ寸法には限界があり、記録媒体の浮きが当該間隙より小さいと排出することが困難であるうえに、装置自体が大型化してしまうという問題があった。
また、特許文献8に記載の発明にように、搬送異常時に記録ヘッドを移動させると、記録ヘッドのインク吐出面の破損は回避できるものの、記録ヘッド内部のインクが急激に移動するため、メニスカス(ノズル開口部のインク面)に振動等の悪影響を与えたり、記録ヘッド内部やインク供給経路に気泡が生じてしまうという問題があった。また、一旦このような現象が起こると復帰にメンテナンスを要するという問題もあった。さらに、記録ヘッドを退避させるための機構や空間が必要となり、装置が大型化してしまうという問題があった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、記録媒体の搬送異常時に記録ヘッドを保護することのできる画像記録装置の提供を目的とするものである。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、画像記録装置において、
周面に記録媒体を保持しつつ回転するドラムと、
前記記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドと、
前記記録媒体の浮き又は剥がれを検知する検知機構と、
前記ドラムの周面に対向して配置され、前記ドラムの周面に接離可能な剥離爪を有する保護機構と、
を備え、
前記保護機構は、
前記記録ヘッドよりも前記ドラムの回転方向上流側に当該記録ヘッドに隣接して配置され、
常態で前記剥離爪を前記ドラムの周面から離間させておき、前記検知機構により前記記録媒体の浮き又は剥がれが検知された際には、前記剥離爪を前記ドラムの周面に接近させて当該記録媒体と前記ドラムの周面との間に挿入し、当該記録媒体を前記ドラムの周面から剥離させて当該記録媒体が前記記録ヘッドと対向する位置に搬送されるのを遮断すことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、検知機構により記録媒体の浮き又は剥がれが検知された際には、保護機構が、当該記録媒体が記録ヘッドと対向する位置に搬送されるのを遮断する。
また、保護機構は、記録ヘッドの搬送方向上流側に隣接されているので、浮き又は剥がれが検知された記録媒体が、記録ヘッドと対向する位置に搬送される手前で当該記録媒体を遮断する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像記録装置において、
前記保護機構は、前記ドラムの周面のうち前記記録媒体の後端から先端までの領域であって当該記録媒体を保持していない領域と対向している間に、前記剥離爪を前記ドラムの周面に接近させることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、保護機構は、ドラムの周面のうち記録媒体の後端から先端までの領域であって当該記録媒体を保持していない領域と対向している間に、剥離爪をドラムの周面に接近させるので、浮き又は剥がれの発生した記録媒体の先端から遮断する。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像記録装置において、
前記保護機構は、前記剥離爪を回動自在に備えていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、検知機構により記録媒体の浮き又は剥がれが検知された際には、保護機構の剥離爪が回動してドラムに近付いて、浮き又は剥がれの検知された記録媒体が記録ヘッドに対向する位置に搬送されるのを遮断する。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像記録装置において、
前記ドラムの前記記録媒体の先端部を保持する部分には、前記剥離爪の一端部が入り込む溝部が形成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、ドラムの記録媒体の先端部を保持する部分には、剥離爪の一端部がその内側に入り込む溝部が形成されているので、保護機構が動作すると、剥離爪は溝部の内側に入り込み、ドラムと記録媒体との間に入って記録媒体の搬送を遮断する。
請求項1に記載の発明によれば、浮き又は剥がれが発生した記録媒体は、保護機構により記録ヘッドと対向する位置に搬送されるのを防止されるので、当該記録媒体の浮き上がった部分が記録ヘッドのインク吐出面に接触して破損することを防止することができる。また、保護機構が記録媒体の搬送を遮断することにより記録ヘッドの保護が可能であるので、搬送異常時に記録ヘッドを動かす必要が無く、復帰が容易である。さらに、保護機構は搬送異常時に動作して記録媒体の搬送を遮断するので、記録媒体に小さな浮きが生じた場合でも、記録ヘッドを確実に保護することが可能である。
また、保護機構は、浮き又は剥がれが検知された記録媒体が、記録ヘッドと対向する位置に搬送される手前で当該記録媒体を遮断するので、浮き又は剥がれが検知された記録媒体による記録ヘッドのインク吐出面の破損を確実に防止することが可能である。
請求項2に記載の発明によれば、保護機構は浮き又は剥がれの検知された記録媒体の先端から遮断するので、当該記録媒体が記録ヘッドと対向する位置に搬送されることを確実に防止して、記録ヘッドの保護が可能である。
請求項3に記載の発明によれば、保護機構は剥離爪の回動により浮き又は剥がれが検知された記録媒体を遮断するので、簡易な構成で確実に記録ヘッドの保護が可能である。また、保護機構は簡易な構成であり、剥離爪の回動のみで記録媒体の搬送を遮断することができるので、装置自体を大型化させることなく記録ヘッドの保護が可能である。
請求項4に記載の発明によれば、保護機構がドラムの溝部の内側に入り込み、浮き又は剥がれが検知された記録媒体とドラムとの間に入って当該記録媒体の搬送を確実に遮断し、記録ヘッドのインク吐出面を効果的に保護することができる。
[第一の実施形態]
以下に、本発明に係る画像記録装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。ただし、発明の範囲を図示例に限定するものではない。
図1に示すように、本実施形態の画像記録装置1には、円柱状のドラム2が、記録媒体を保持しつつ回転自在に備えられている。ドラム2には、画像記録の際にドラム2を所定の回転速度で回転させる回転機構3が接続されている。また、ドラム2には、その周面に記録媒体を巻付けた状態で保持する保持機構4が備えられている(図5参照)。保持機構4は空気吸引により記録媒体を保持するものであり、ドラム2の周面のうち記録媒体が巻回される領域に複数の吸引穴(図示省略)が備えられている。保持機構4としては特に制限は無く、静電吸引によりドラム2の周面に記録媒体を保持させるものや、記録媒体の搬送方向における両端部を挟持するもの等を用いても良い。
ドラム2の両側方には、記録媒体の浮き又は剥がれを検知する検知機構5が、ドラム2を挟んで対向するように備えられている(図2参照)。検知機構5は、可視光線や紫外線等の光を発射する発光部51と、当該光を検出する受光部52と、からなる。発光部51はドラム2の周面に沿うように光を発射し、記録媒体に浮き又は剥がれが発生したりするような搬送異常の場合、発光部51から発射された光は記録媒体のドラム2から浮かび上がった部分により遮断され、受光部52による光の検出が途切れるようになっている。
ドラム2に対向する位置には、記録媒体を順次ドラム2の周面に案内するガイドローラ(図示省略)が、回転自在に備えられている。また、ドラム2の下方には、保持機構4による保持が解除された記録媒体が排出される排出トレイ(図示省略)が備えられている。
図2に示すように、本実施形態の画像記録装置1はいわゆるライン方式のものであり、ドラム2の周面上方には、ドラム2の回転軸方向(以下、「副走査方向」)に延在し記録媒体を被覆するヘッドユニット8が備えられている。
ヘッドユニット8には、記録媒体に向けてインクを吐出して画像を記録する複数の記録ヘッド7…が略平行に配置されている。図3に示すように、記録ヘッド7としては、画像記録用インク(イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K))を吐出するものが備えられている。各記録ヘッド7は直方体状に形成されており、その長手方向が記録媒体の幅方向に延在するように配置されている。記録ヘッド7の記録媒体に対向するインク吐出面には、インク液滴を吐出する複数のノズル(図示省略)が配設されている。また、各記録ヘッド7には、各色のインクを備えるインクタンク(図示省略)が連結されている。
ヘッドユニット8の搬送方向上流側には、浮き又は剥がれが検知された記録媒体から記録ヘッド7を保護する保護機構10が、隣接して備えられている。図3に示すように、保護機構10には、記録媒体の搬送をその先端部から遮断する複数の剥離爪101…が備えられている。剥離爪101の中央部には、図4に示すように剥離爪101を搬送方向に沿って回動自在に支持する支持部102が備えられている。剥離爪101の他端部には、剥離爪101の一端部が回動してドラム2に近付くように付勢力を付与するバネ103が取り付られている。剥離爪101の一端側には、剥離爪101の回動を抑止する係止片104が備えられている。係止片104は剥離爪101の一端部に対して移動自在であり、検知機構5が記録媒体の浮き又は剥がれを検知した際には、移動して係止片104との係合を解除するようになっている。係止片104として特に制限は無く、ソレノイドやバネ等を用いて検知信号に高速応答させるのが好ましい。また、保護機構10には、図示しない復帰機構としてのモータ等が接続されており、復帰機構は剥離爪101を動作後に逆方向に回動させて元の位置に復帰させるようになっている。
ここで、剥離爪101の一端部は回動してドラム2に接触することとしても良く、ドラム2の保護のために剥離爪101の少なくとも一端部を弾性素材からなるものとしても良い。
また、ヘッドユニット8の搬送方向下流側には、その下方を搬送される記録媒体に向けて紫外線を照射する紫外線照射装置11が、記録媒体の幅方向に延在するように備えられている。紫外線照射装置11には、インク液滴を硬化させる紫外線を照射する光源111が備えられている。本実施形態においては光源111は紫外線を照射するものとしたが、用いるインクに応じて電子線、X線、可視光、赤外光等の活性エネルギー線を照射するものが適用可能である。
ここで、本実施形態において用いられる「インク」について説明する。
本実施形態において用いられるインクは、活性エネルギー線を照射されて硬化するものである。詳しくは、活性エネルギー線としての紫外線の被照射により硬化する紫外線硬化型インクであり、主成分として、重合性化合物(公知の重合性化合物を含む。)と、光開始剤と、を少なくとも含有するものである。このような紫外線硬化型インクは、重合性化合物としてラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別されるが、その両系のインクが本実施形態に用いられるインクとしてそれぞれ適用可能であり、ラジカル重合系インクとカチオン重合系インクとを複合させたハイブリッド型インクを本実施形態に用いられるインクとして適用してもよい。ただし、酸素による重合反応の阻害作用が少ない又は無いカチオン重合系インクのほうが機能性、汎用性に優れるため、特に、カチオン重合系インクを用いることが好ましい。
次に、本実施形態において用いられる「記録媒体」について説明する。
本実施形態において用いられる記録媒体については、通常のインクジェットプリンタに適用される普通紙、再生紙、光沢紙などの各種紙、各種布地、各種不織布、樹脂、金属、などの材質からなるもの等が適用可能である。また、本実施形態においては保護機構10が記録媒体の先端部から搬送を遮断するので、記録媒体はカットシート状のものが用いられる。
次に、本実施形態に係る画像記録装置1の制御構成について説明する。
図5に示すように、画像記録装置1には、記録ヘッド7、紫外線照射装置11、検知機構5、保護機構10、ドラム2の回転機構3、記録媒体の搬送機構14及び保持機構4等に電気的に接続されるとともにこれらを制御する制御部12が設けられている。制御部12は、例えば、CPU、ROM、RAM(いずれも図示せず)からなり、ROMに記録された処理プログラムをRAMに展開してCPUによりこの処理プログラムを実行するものである。
制御部12は、画像記録の際には、回転機構3によりドラム2が所定の回転速度で回転するように制御するとともに、ドラム2の回転速度に合わせて搬送機構14により記録媒体を搬送方向に順次搬送させるように制御している。また、制御部12は、記録媒体の搬送に合わせて、ガイドローラにより案内された記録媒体をドラム2に保持させるように保持機構4を制御している。さらに、制御部12は、ドラム2に保持されている記録媒体の画像記録が終了した際には、保持機構4による記録媒体の保持を解除させるようになっている。
制御部12は、画像を記録する際には、記録媒体の搬送に合わせて、記録ヘッド7がインクを吐出するように制御し、紫外線照射装置11が光源111を点灯するように制御している。
制御部12は、ドラム2の回転の際には、受光部52からの出力信号の有無に基づいて、検知機構5により記録媒体の浮き又は剥がれを検知させるように制御している。検知機構5により記録媒体の浮き又は剥がれが検知された場合、制御部12は、保護機構10により記録ヘッド7を保護させると同時に、記録ヘッド7及び紫外線照射装置11による画像記録動作を一旦停止させるようになっている。具体的には、制御部12は、保護機構10の係止片104を移動させて係止片104による剥離爪101の抑止を解除させ、剥離爪101をバネ103の付勢力により回動させるようになっている(図4参照)。
ここで、検知機構5により記録媒体の浮き又は剥がれが検知された場合、制御部12は、記録媒体の後端から先端が保護機構10の下方を搬送される間に、保護機構10が動作するように制御している。つまり、保護機構10は、画像記録動作を一旦停止しても慣性力で回転を続けるドラム2の記録媒体を保持していない領域(図1中A)に対向したときに動作し、剥離爪101の一端部がドラム2と記録媒体の先端部との間に入って当該記録媒体が記録ヘッド7に対向する位置に搬送されるのを遮断するようになっている。ここで、保護機構10を記録媒体の先端が搬送される直前で動作させると、記録媒体の先端部とドラム2との間に剥離爪101が入り、記録媒体の搬送を確実に遮断でき好ましい。
次に、本実施形態に係る画像記録装置1による画像記録方法について説明する。
画像記録装置1に所定の画像情報が送られると、回転機構3はドラム2の回転を開始し所定の回転速度になるまで加速する。ドラム2の回転速度が所定の値になると、搬送機構14は記録媒体を搬送し、搬送された記録媒体をガイドローラが回転中のドラム2の周面に案内する。すると、保持機構4は案内された記録媒体をドラム2の回転に伴って巻回させて保持し、制御部12は当該記録媒体への画像記録を開始させる。
記録媒体への画像記録の際、制御部12は、検知機構5によって記録媒体の浮き又は剥がれを監視させており、記録媒体の浮き又は剥がれが検知されない限り、制御部12は画像記録を通常の方法で行わせる。通常の画像記録とは、ドラム2の回転に合わせて、記録ヘッド7が画像を形成する所定のインクを記録媒体に向けて吐出し、記録媒体に着弾したインク液滴は、ドラム2の回転に伴い紫外線照射装置11に対向すると、光源111から紫外線を照射されて硬化する。その後、ドラム2は回転を続け、このような動作を所定の回数繰り返して画像記録が完了する。
ドラム2が記録媒体を巻回させつつ回転している際、検知機構5により記録媒体の浮き又は剥がれが検知された場合、制御部12は、保護機構10により記録媒体の搬送を遮断して、記録ヘッド7のインク吐出面とドラム2との間に搬送されるのを防止する。詳しくは、受光部52による発光部51からの光の検出が途切れると、検知機構5は記録媒体の浮き又は剥がれが発生していると判断し、制御部12に信号を出力する。すると、制御部12は保護機構10の係止片104による剥離爪101の抑止を解除させるので、剥離爪101がバネ103の付勢力により回動する。剥離爪101は回動すると、その一端部が記録媒体の先端部とドラム2との間に入り込むので、記録媒体の先端部がドラム2から剥離爪101の上面に搬送される。そして、ドラム2の回転が完全に停止していなくても記録媒体は剥離爪101により遮断されるとともにドラム2から剥離し、記録ヘッド7のインク吐出面とドラム2との間に搬送されることはない。
このようにして、記録媒体の搬送異常が検知されると、ドラム2からの浮き又は剥がれが発生した記録媒体はドラム2から剥離されるとともに、ドラム2の回転が停止する。そして、保持機構4による記録媒体の保持を解除させ、当該記録媒体を回収する。また、復帰機構又は手動により回動後の剥離爪101を元の位置に戻し、係止片104により再び剥離爪101の回動を抑止させて、画像記録可能な状態に復帰させる。
以上のように、本実施形態の画像記録装置1によれば、浮き又は剥がれが発生した記録媒体は、保護機構10により記録ヘッド7と対向する位置に搬送されないように遮断されるので、当該記録媒体の浮き上がった部分が記録ヘッド7のインク吐出面に接触して破損することを防止することができる。また、剥離爪101を動作させるだけで記録ヘッド7の保護が可能であるので、搬送異常時に記録ヘッド7を動かす必要が無く、記録ヘッド7を動かすことによる弊害も生じず復帰が容易である。さらに、搬送異常時には剥離爪101が回動して記録媒体の搬送を遮断するので、保護機構10とドラム2との距離や記録媒体に生じた浮きの大きさによらず、記録ヘッド7の保護が可能である。
また、保護機構10はその下方に記録媒体の後端から先端が搬送される間に動作するので、剥離爪101は記録媒体の先端が搬送される前に回動しドラム2に近付く。従って、剥離爪101は記録媒体の搬送をその先端から剥離して遮断することができ、記録媒体をドラム2から剥離して記録ヘッド7の保護が可能である。
また、保護機構10は剥離爪101を回動させるだけで記録媒体が搬送されるのを遮断することが可能であるので、簡易な構成で確実に記録ヘッド7の保護が可能である。また、剥離爪101の回動のみで記録媒体の搬送を遮断することができるので、装置自体を大型化させることなく記録ヘッド7の保護が可能である。
さらに、保護機構10は、ヘッドユニット8に隣接して備えられているので、記録ヘッド7と対向する位置に搬送される手前で遮断し、記録媒体が保護機構10の下方を搬送されてから記録ヘッド7の下方に搬送されるまでの間に記録媒体に浮き又は剥がれが生じることは無く、記録媒体の搬送異常による記録ヘッド7のインク吐出面の破損を確実に防止することが可能である。
なお、本実施形態においては、保護機構10は剥離爪101の係止片104を移動させることにより剥離爪101が回動するようになっているが、剥離爪101を回動させる機構に特に制限はなく、例えば、長円形状の係止板105により剥離爪101の回動を調整することとしても良い。例えば、図6及び図7に示すように、係止板105を剥離爪101の他端部に当接しながら回転する係止板105が挙げられる。このような構成によれば、係止板105の回転を制御することにより保護機構10の動作制御が可能である。詳しくは、図6及び図7に示すように、係止板105は長円形状であるので、係止板105の回転中心から剥離爪101との接触箇所までの距離が、係止板105の回転に伴い変化する。そして、剥離爪101は係止板105によりバネ103の付勢力とは逆向きに押されているので、係止板105が回転することにより剥離爪101と係止板105の回転中心との距離が小さくなるように変化すると、剥離爪101の一端部がドラム2に近付くように回動する。係止板105により剥離爪101を回動させる場合、係止板105の回転中心と剥離爪101との距離が大きくなるように係止板105を回転させることにより、剥離爪101の一端部をドラム2から遠ざけるように回動させて復帰させることも可能であり、別途復帰機構を設ける必要が無く好ましい。
また、本実施形態においては、剥離爪101が回動して記録媒体とドラム2との間に入り込んで搬送を遮断するものとしたが、剥離爪101の動きに特に制限は無い。従って、例えば、剥離爪101がドラム2の円周面に略直交する方向に移動して記録媒体の搬送を遮断することとしても良い。
また、図9に示すように、ドラム2の記録媒体の先端部が保持される部分には、剥離爪101が回動する際に、剥離爪101の一端部がその内側に入り込む複数の溝部19…を形成することとしてもよい。溝部19の縦断面形状は、図9に示すように、剥離爪101が回動してドラム2に近付く角度に合わせて傾斜するように形成されている。
このように溝部19を形成することにより、保護機構10が動作すると、溝部19の内側を剥離爪101の一端部が入り込んで移動し、記録媒体の先端部とドラム2との間に入って記録媒体の搬送を遮断し、記録媒体がドラム2から剥離される。
従って、浮き又は剥がれが検知された記録媒体の搬送を容易に遮断し、記録ヘッド7のインク吐出面を効果的に保護することができる。
本実施形態における画像記録装置の概略構成を示す側面図である。 本実施形態における画像記録装置の概略構成を示す平面図である。 本実施形態における保護機構の動作前を示す側面図である。 本実施形態における保護機構の動作を示す側面図である。 本実施形態における画像記録装置の制御構成を示すブロック図である。 本実施形態における保護機構の変形例の動作前を示す側面図である。 本実施形態における保護機構の変形例の動作を示す側面図である。 本実施形態における画像記録装置の変形例の概略構成を示す平面図である。 本実施形態における画像記録装置の変形例の概略構成を示す側面図である。
符号の説明
1 画像記録装置
2 ドラム
3 回転機構
4 保持機構
5 検知機構
7 記録ヘッド
8 ヘッドユニット
10 保護機構
101 剥離爪
102 支持部
103 バネ
104 係止片
105 係止板
11 紫外線照射装置
111 光源
12 制御部
14 搬送機構
19 溝部

Claims (4)

  1. 周面に記録媒体を保持しつつ回転するドラムと、
    前記記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドと、
    前記記録媒体の浮き又は剥がれを検知する検知機構と、
    前記ドラムの周面に対向して配置され、前記ドラムの周面に接離可能な剥離爪を有する保護機構と、
    を備え、
    前記保護機構は、
    前記記録ヘッドよりも前記ドラムの回転方向上流側に当該記録ヘッドに隣接して配置され、
    常態で前記剥離爪を前記ドラムの周面から離間させておき、前記検知機構により前記記録媒体の浮き又は剥がれが検知された際には、前記剥離爪を前記ドラムの周面に接近させて当該記録媒体と前記ドラムの周面との間に挿入し、当該記録媒体を前記ドラムの周面から剥離させて当該記録媒体が前記記録ヘッドと対向する位置に搬送されるのを遮断すことを特徴とする画像記録装置。
  2. 前記保護機構は、前記ドラムの周面のうち前記記録媒体の後端から先端までの領域であって当該記録媒体を保持していない領域と対向している間に、前記剥離爪を前記ドラムの周面に接近させることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
  3. 前記保護機構は、前記剥離爪を回動自在に備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像記録装置。
  4. 前記ドラムの前記記録媒体の先端部を保持する部分には、前記剥離爪の一端部が入り込む溝部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像記録装置。
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