JP6886049B2 - 透過型検出装置、媒体浮き検出装置並びに画像形成装置 - Google Patents

透過型検出装置、媒体浮き検出装置並びに画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は透過型検出装置、媒体浮き検出装置並びに画像形成装置に係り、特に、投光部と受光部を有する透過型のセンサを用いる検出技術、及びその検出技術が適用される媒体浮き検出装置並びに画像形成装置に関する。
投光部と受光部を有する透過型のレーザセンサを用いて、被搬送媒体のシワや折れ曲がり等によって生じる「浮き」を検出する方法が知られている(特許文献1、2)。例えば、検出用のビームは、被搬送媒体の搬送方向に対して直交する媒体幅方向に、被搬送媒体の媒体表面上を沿うように投射される。被搬送媒体に一定の高さ以上の浮きが発生している場合、その一定の高さ以上の浮きによってビームが遮光され、受光部にて受光される光量が低下する。したがって、受光部で受光した光量と予め設定されている閾値とを比較することにより、一定の高さ以上の浮きの有無を判定することができる。すなわち、受光部で受光される光量が閾値を下回ることにより、一定の高さ以上の浮き検出することができる。
このような媒体浮き検出は、例えば、インクジェット印刷装置においてインクジェットヘッドと被搬送媒体である用紙の浮きとが接触することによって、インクジェットヘッドが破損することを防ぐために実施される。
特許文献3に記載されたインクジェット印刷装置は、用紙浮きセンサにより許容範囲を超える用紙浮きを検出した場合に、用紙搬送用のドラムを停止させ、記録ヘッドをドラム外のメンテナンス位置に退避させる構成が開示されている。「用紙」は被搬送媒体に相当する。
また、特許文献4に記載されたインクジェット印刷装置は、用紙の浮き量が軽度である場合に、用紙搬送を停止させずに、記録ヘッドを用紙搬送面から離れる方向へ一時的に退避させ、浮きが発生した用紙を通過させた後に、記録ヘッドの位置を元の印刷位置に戻して、印刷を再開するよう構成されている。
特許第5444079号公報 特許第5456087号公報 特開2010-111474号公報 国際公開第2016/009941号
例えば、一定の高さ以上の浮きの検出を多段階で実施する場合、検出しようとする高さの種類に応じて透過型のレーザセンサを複数配列する形態が考えられる。しかしながら、透過型のレーザセンサを複数配列する構成は、高コストであり、また、個々のレーザセンサの光軸を調整しなければならず、調整作業が煩雑化する。さらに、複数個のレーザセンサを配置するための配置スペースの増大といった問題が生じる。
これらの課題を解決する方策として、光通過用の複数個の開口を有するアパーチャ部材を介して1個のレーザセンサのビームを複数のビームに分割し、受光部が受光した光量についての閾値処理を多段階にすることにより、多段階の浮き検出を実施することが考えられる。
しかし、かかる形態は、アパーチャ部材を介することで光の干渉による干渉縞がビームに発生し、均一な光強度分布のビームが得られない。このため、受光信号のノイズが多くなり、浮きを誤検出してしまう。さらに、被搬送媒体に生じた浮きによって一部のビームが遮光されると、浮きによる光の回折が発生し、その回折光が別のビームに干渉することで受光信号のノイズがより増大するという問題も発生する。
上述の各課題は、被搬送媒体の浮きを検出する用途に限らず、複数本のビームを用いる透過型の検出装置に共通する課題である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、上述した複数の課題の少なくとも1つを解決するため、簡易な構成によって、精度の高い検出を実現し得る透過型検出装置を提供することを目的の1つとする。また、本発明は、多段階の浮き検出を簡易な構成によって実現することができ、誤検出を抑制して精度の高い多段階の浮き検出を実現し得る媒体浮き検出装置及び画像形成装置を提供することを他の目的の1つとする。
本開示は、次の発明態様を提供する。
態様1に係る透過型検出装置は、被検出物が通過する通過領域にビームを投射する投光部と、投光部に配置された光通過用の複数個の開口を有するアパーチャ部材と、複数個の開口を介して通過領域に投射されたビームを受光する受光部と、受光部によって受光された光量と予め定められた複数の閾値とを比較して、比較結果に応じた信号を出力する演算部と、を備え、複数個の開口の各々は、多角形の開口形状を有し、複数個の開口は、互いに他の開口を通過するビームの回折光が発生する回折光発生領域の外側の領域である回折光非発生領域と重なる位置に配置されている透過型検出装置である。
態様1の透過型検出装置では、投光部から被検出物の通過領域に向けてビームが投射され、通過領域を透過したビームが受光部に受光される。投光部に配置されたアパーチャ部材の複数個の開口をビームが通過することにより、1つのビームが複数本のビームに分割される。態様1によれば、アパーチャ部材の各開口を通過するビームの回折光による干渉縞の発生を抑制することができ、精度の高い検出が可能である。また、態様1によれば、複数の閾値に対応した多段階の検出を、簡便な構成によって、低コスト及び省スペースで実現することができる。
態様2は、態様1の透過型検出装置において、被検出物は、媒体搬送経路に沿って搬送される被搬送媒体の一部分であって、被搬送媒体における被搬送媒体の厚み方向の浮き上がりが生じている部分であり、透過型検出装置は、厚み方向の高さが異なる複数の基準高さについて、基準高さ以上の浮き上がりの有無を多段階で検出する媒体浮き検出装置として用いられる構成であってよい。
被搬送媒体の厚み方向に生じる被搬送媒体の浮き上がりを「浮き」という。態様2によれば、複数種類の基準高さに対応させた複数の閾値を予め定めておき、受光部が受光する光量に対して複数の閾値を用いた閾値処理を行うことで、基準高さ以上の浮きを多段階で精度よく検出することができる。態様2において、アパーチャ部材における複数個の開口は、被搬送媒体の厚み方向と非平行な斜めの方向に並ぶ配置形態であることが好ましい。かかる配置形態によれば、被搬送媒体の浮きで発生する回折光と別のビームとの干渉を抑制することができ、受光信号のノイズが低減される。
態様3は、態様2の透過型検出装置において、投光部は、被搬送媒体の搬送方向と交差する方向に、被搬送媒体の媒体表面に沿ってビームを投射する構成であってよい。
搬送方向と交差する方向は、搬送方向と直角に交差する方向であってもよいし、搬送方向に対して斜めに交差する方向であってもよい。搬送方向と直交する媒体幅方向は、搬送方向と交差する方向の一例である。搬送方向と直交する媒体幅方向は、媒体搬送経路の幅方向と同義である。
態様4は、態様1から態様3のいずれか一態様の透過型検出装置において、多角形は、2組の対辺がそれぞれ平行な四角形である構成であってよい。
態様5は、態様1から態様4のいずれか一態様の透過型検出装置において、回折光発生領域は、多角形の各辺と直交する方向に広がる帯状の領域である構成であってよい。
態様6は、態様1から態様5のいずれか一態様の透過型検出装置において、受光部には、光通過用の複数個の受光用開口を有する受光側アパーチャ部材が配置されている構成であってよい。
受光用開口は、投光部のアパーチャ部材の各開口を通過する各ビームの光路にそれぞれ配置されることが好ましい。
態様7は、態様1から態様6のいずれか一態様の透過型検出装置において、複数個の開口は、互いに他の開口によって作られる回折光発生領域と重ならない位置に配置されている構成であってよい。
態様7によれば、各ビームに干渉縞が発生せず、均一な光強度のビームのスポットが得られる。
態様8は、態様6の透過型検出装置において、複数個の開口は、それぞれの開口領域の一部分が他の開口によって作られる回折光発生領域と重なる位置に配置されており、複数個の受光用開口は、投光部に配置されたアパーチャ部材の開口の各々を通過した各ビームのビーム領域内における均一な光強度分布を有する均一光強度領域と重なる位置であって、かつ、ビーム領域内の回折光発生領域と重なる領域である干渉縞発生領域と重ならない位置に配置されている構成であってよい。
何らかの制約条件から、投光部のアパーチャ部材における開口同士が近い位置に配置されるなどして、それぞれの開口領域の一部分が他の開口によって作られる回折光発生領域と部分的に重なる位置に各開口が配置された場合であっても、ビーム領域内の均一光強度領域と重なる位置に受光用開口を配置することにより、精度の高い検出が可能である。
態様9は、態様8の透過型検出装置において、複数個の受光用開口は、投光部に配置されたアパーチャ部材の開口よりも開口面積が小さく、かつ、均一光強度領域の範囲内に収まる位置に配置されている構成であってよい。
態様10は、態様1から態様9のいずれか一態様の透過型検出装置において、投光部は、レーザ光源と、レーザ光源から出力されたレーザ光のビーム径を広げるビーム整形光学系と、を含み、ビーム整形光学系は、レーザ光源とアパーチャ部材の間の光路に配置される構成であってよい。
態様10によれば、レーザ光源から出力されるビームのビーム径が小さくても、検出しようとする被検出物の範囲までビーム径を拡大することができる。
態様11は、態様10の透過型検出装置において、ビーム整形光学系がビームエキスパンダである構成であってよい。
態様12は、態様1から態様11のいずれか一態様の透過型検出装置において、受光部には、通過領域を透過したビームを集光するレンズが配置されている構成とすることができる。
態様13に係る媒体浮き検出装置は、被搬送媒体の搬送方向と交差する方向に、被搬送媒体の媒体表面に沿ってビームを投射する投光部と、投光部に配置された光通過用の複数個の開口を有するアパーチャ部材と、複数個の開口を介して媒体表面に沿って投射されたビームを受光する受光部と、受光部によって受光された光量と予め定められた複数の閾値とを比較して、比較結果に応じた信号を出力する演算部と、を備え、複数個の開口の各々は、多角形の開口形状を有し、複数個の開口は、互いに他の開口を通過するビームの回折光が発生する回折光発生領域の外側の領域である回折光非発生領域と重なる位置に配置されている媒体浮き検出装置である。
態様13によれば、アパーチャ部材の各開口を通過するビームの回折光による干渉縞の発生を抑制することができ、複数の閾値に対応した高さの異なる浮きを精度よく検出することができる。また態様13によれば、多段階の浮き検出を、簡便な構成によって、低コスト及び省スペースで実現することができる。
態様14は、態様13の媒体浮き検出装置において、投光部と受光部は、被搬送媒体の媒体搬送経路を幅方向に挟んで互いに対向して配置される構成であってよい。
態様15は、態様13又は態様14の媒体浮き検出装置において、媒体表面に沿って投射されるビームを、被搬送媒体の厚みに応じて、被搬送媒体の厚み方向に平行移動させる平行平板を備える構成であってよい。
態様15によれば、被搬送媒体の厚みによらず、媒体表面とビームとの距離を一定に保つことが可能である。これにより、媒体表面からの反射の影響を一定にすることができ、受光信号のノイズを低減することが可能である。
態様16は、態様13から態様15のいずれか一態様の媒体浮き検出装置において、ビームの光路に空気を送風する送風機構を備える構成であってよい。
態様16によれば、送風によってビーム周辺の温度境界層を破壊することができ、陽炎現象又は蜃気楼現象、つまり光の屈折によるビームの曲がりを抑制し、受光信号のノイズを低減できる。
態様17は、態様13から態様16のいずれか一態様の媒体浮き検出装置において、複数個の開口の各々を通過した複数本のビームは、互いに被搬送媒体の搬送面から被搬送媒体の厚み方向の異なる高さ位置を通過し、かつ、複数本のビームの中で相対的に低い高さ位置を通過するビームほど、搬送方向の上流側の位置を通過する構成であってよい。
態様18は、態様13から態様17のいずれか一項の媒体浮き検出装置において、被搬送媒体を保持し、かつ、被搬送媒体を搬送する搬送部を備える構成であってよい。
態様13から態様18の媒体浮き検出装置において、態様2から態様12で特定した事項を適宜組み合わせることができる。
態様19に係る画像形成装置は、態様13から態様18のいずれか一項の媒体浮き検出装置と、被搬送媒体に画像を記録する記録ヘッドと、を備える画像形成装置である。
態様20は、態様19の画像形成装置において、記録ヘッドがインクジェットヘッドである構成であってよい。
本発明によれば、アパーチャ部材の各開口を介して投射されるビームの回折光による干渉縞の発生を抑制することができ、精度の高い検出を実現できる。また、本発明によれば、複数の閾値に対応した多段階の検出を、簡便な構成によって、低コスト及び省スペースで実現することが可能である。
図1は、本発明の第1実施形態に係る媒体浮き検出装置の構成を概略的に示す図である。 図2は、比較例におけるアパーチャ部材の正面図である。 図3は、比較例において媒体搬送経路に向けて投射されるビームの明るさの分布を示す図である。 図4は、用紙の浮きによって一部のビームが遮光された様子を示す図である。 図5は、比較例において用紙の浮きによって下側のビームの一部が遮光された際に観測されるビームの明るさの分布を示す図である。 図6は、本発明の第1実施形態に係る媒体浮き検出装置の投光側に用いられるアパーチャ部材の例を示す正面図である。 図7は、アパーチャ部材を通過した検出用のビームと、用紙Pの関係を模式的に示した説明図である。 図8は、媒体表面に沿って放射されるビームの明るさの分布を示す図である。 図9は、比較例において浮きによって下側のビームの一部が遮光された場合のビームの明るさの分布を示す図である。 図10は、アパーチャ部材における1個の矩形開口をビームが通過した際に発生する回折光の回折光発生領域と回折光非発生領域とを模式的に示した図である。 図11は、アパーチャ部材における2個目の矩形開口の配置例を示した模式図である。 図12は、アパーチャ部材における3個目の矩形開口の配置例を示した模式図である。 図13は、用紙に浮きがない場合における1つのビームのスポットとその周囲に発生する回折光の光強度分布を示す図である。 図14は、図13に示したビームのスポットの一部が用紙の浮きによって遮光された場合のビーム形状と回折光の光強度分布を示す図である。 図15は、第2実施形態に係る媒体浮き検出装置の投光側に用いられるアパーチャ部材の例を示す正面図である。 図16は、第2実施形態における各ビームの位置関係を示す模式図である。 図17は、第2実施形態の受光部に配置される受光側アパーチャ部材の一例を示す図である。 図18は、第3実施形態の受光部に配置される受光側アパーチャ部材の一例を示す図である。 図19は、第4実施形態に係る媒体浮き検出装置の構成を概略的に示す図である。 図20は、媒体浮き検出装置の制御系の構成を示すブロック図である。 図21は、アパーチャ部材を介して投射される2本のビームと用紙の浮きの関係を模式的に示す側面図である。 図22は、アパーチャ部材を介して投射される2本のビームと用紙の浮きの関係を模式的に示す側面図である。 図23は、アパーチャ部材を介して投射される2本のビームと用紙の浮きの関係を模式的に示す側面図である。 図24は、アパーチャ部材を介して投射される2本のビームと用紙の浮きの関係を模式的に示す側面図である。 図25は、ビームと用紙の位置関係を模式的に示す側面図である。 図26は、本発明の実施形態に係るインクジェット印刷装置の全体構成図である。 図27は、インクジェット印刷装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。 図28は、描画部に配置された媒体浮き検出装置の投光部と受光部の例を示す斜視図である。 図29は、他の実施形態に係るインクジェット印刷装置の概略構成図である。 図30は、アパーチャ部材の他の形態を示す平面図である。 図31は、菱形の開口によって形成される回折光発生領域と、回折光非発生領域の例を模式的に示す図である。 図32は、三角形の開口によって形成される回折光発生領域と、回折光非発生領域の例を模式的に示す図である。 図33は、六角形の開口によって形成される回折光発生領域と、回折光非発生領域の例を模式的に示す図である。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
《媒体浮き検出装置の構成例》
図1は、本発明の第1実施形態に係る媒体浮き検出装置の構成を概略的に示す図である。媒体浮き検出装置10は、投光部12と、受光部14とを含む透過型のレーザセンサを用いて構成される。媒体浮き検出装置10は、透過型検出装置の一例である。媒体浮き検出装置10は、搬送される用紙Pの浮きを多段階で検出する装置である。用紙Pは、図示せぬ媒体搬送機構によって保持され、所定の媒体搬送経路に沿って搬送される。用紙Pは被搬送媒体の一例である。図1中に示した白抜き矢印は、用紙Pの搬送方向を示している。
投光部12と受光部14は、媒体搬送経路を幅方向に挟んで互いに対向して配置される。投光部12は、用紙Pの搬送方向と直交する媒体幅方向に、媒体表面に沿ってビームB1、B2を投射する。受光部14は、投光部12から投射されたビームB1、B2の一部又は全部を受光し、受光した光量に応じた受光信号を出力する。
媒体浮き検出装置10における被検出物は、用紙Pの浮きである。すなわち、被検出物は、媒体搬送経路に沿って搬送される用紙Pの一部分であって、用紙Pにおける用紙Pの厚み方向の浮き上がりが生じている部分である。用紙Pの搬送に伴い、浮きが通過する領域(通過領域)にビームB1、B2が投射される。浮きの通過領域は、媒体搬送経路における用紙Pの媒体表面に沿った媒体表面周辺の領域である。
投光部12は、レーザ光源22Aを含む投光器22と、投光器22から発せられた1つのビームを複数本のビームに分割するアパーチャ部材24とを含む。レーザ光源22Aには、半導体光源を用いることができる。レーザ光源22Aとして用いることができる発光素子の例として、レーザダイオードを挙げることができる。レーザ光源22Aの好ましい一例として、波長660ナノメートル[nm]帯の赤色半導体レーザダイオードを用いることができる。投光器22は、日本工業規格の「レーザ製品の安全基準:JIS C 6802」に規定されているクラス分類の「クラス1」に該当するものであってよい。また、投光器22の最大出力は、例えば、2ミリワット[mW]であってよい。
アパーチャ部材24は、光通過用の複数個の開口24A、24Bを有する板状の部材である。アパーチャ部材24は、「絞り」として機能する絞り部材と理解してよい。本実施形態では、2つの開口24A、24Bを有するアパーチャ部材24を例示する。アパーチャ部材24における開口の個数は、一定高さ以上の浮きの有無を判定する基準高さの水準の数と同数、つまり、用紙Pの浮きを多段階で検出する際の段階数と同数とすることができる。
本実施形態では、媒体表面から用紙Pの厚み方向に第1の基準高さ以上の浮きが発生しているか否かを判定する第1の基準高さと、用紙表面から第1の基準高さよりも高い第2基準高さ以上の浮きが発生しているか否かを判定する第2の基準高さの2段階の水準を用いて、2段階の用紙浮き検出を実施する例を述べる。
第1の基準高さは、例えば0.6ミリメートル[mm]である。第2の基準高さは、例えば3.0ミリメートル[mm]である。
投光部12には、投光器22から出射されたレーザ光のビーム径を広げるビームエキスパンダ26が設けられている。ビームエキスパンダ26は、投光器22とアパーチャ部材24の間の光路に配置される。ビームエキスパンダ26は、ビーム整形光学系の一例である。ビームエキスパンダ26は、例えば、凹レンズ26Aと、凸レンズ26Bとを含む。ビームエキスパンダ26は、ガリレオ式に限らず、ケプラー式であってもよい。
ビームエキスパンダ26を用いることにより、検出したい浮きの高さの種類(多段階の浮き検出の段階数)に応じて、ビーム径を変化させることができる。例えば、3段階の用紙浮き検出を実施する場合には、図1の例よりもさらにビーム径を大きくすればよい。
受光部14は、受光器32と、受光側アパーチャ部材34と、を含む。受光側アパーチャ部材34は、光通過用の複数個の受光用開口34A、34Bを有する。受光側アパーチャ部材34における受光用開口の個数は、投光側のアパーチャ部材24と同数である。投光側のアパーチャ部材24の開口24Aを通過したビームB1は、受光側アパーチャ部材34の受光用開口34Aを通って受光器32に受光される。投光側のアパーチャ部材24の開口24Bを通過したビームB2は、受光側アパーチャ部材34の受光用開口34Bを通って受光器32に受光される。
受光部14には、検出領域に広がるビームB1、B2を集光する凸レンズ36が設けられている。凸レンズ36は、受光側アパーチャ部材34と、受光器32の間の光路に配置される。受光側アパーチャ部材34の受光用開口34A、34Bを通過したビームは凸レンズ36によって集光され、受光器32に入射する。凸レンズ36はビームを集光するレンズの一例である。
受光器32は、光電変換素子を用いて構成され、受光した光量に応じた電気信号を出力する。受光器32から出力された受光信号は、図1に示されていない演算回路に送られる。演算回路は、受光器32から得られた受光信号が表す光量と、予め定められた複数の閾値との比較を行い、比較結果を示す信号を出力する。
また、媒体浮き検出装置10は、用紙Pの厚みに応じてビームB1、B2を用紙Pの厚み方向に平行移動させる第1の平行平板42と第2の平行平板44とを備える。
第1の平行平板42は、投光部12のアパーチャ部材24と、媒体搬送経路との間で、かつ、ビームB1、B2の光路上に配置される。第2の平行平板44は、受光部14の受光側アパーチャ部材34と媒体搬送経路との間で、かつ、ビームB1、B2の光路上に配置される。第1の平行平板42及び第2の平行平板44の各々は、ガラスその他の透明な材料を用いて構成されており、図示せぬ回転機構によって回転自在に支持されている。第1の平行平板42及び第2の平行平板44の2枚の平行平板の回転角度を制御することで、用紙Pの厚みによらず、ビームB1、B2の光軸と用紙表面との距離を一定に保つことができる。これにより、用紙Pからの反射光の影響を用紙Pの厚みによらず一定にすることができる。なお、平行平板を用いて検出用のビームを平行移動させる技術は、例えば、特許第5489926号公報などに記載されている。
《課題の考察》
ここで比較例を示しながら、複数の開口を有するアパーチャ部材を用いてビームを分割する際の課題について説明する。以下、説明の便宜上、X軸、Y軸及びZ軸の直交3軸の座標系を導入して3次元空間における方向及び/又は位置関係を示す。用紙Pの搬送方向と直交する用紙幅方向をX軸の方向とする。用紙幅方向を「X方向」と表記する場合がある。用紙Pの搬送方向をY軸の方向とする。用紙PはY軸の正方向に向かって搬送されるものとする。用紙Pの搬送方向を「Y方向」、若しくは「媒体搬送方向」と表記する場合がある。用紙Pの厚み方向をZ軸の方向とする。用紙Pの浮きの高さ方向をZ軸の正方向とする。用紙Pの厚み方向を「Z方向」と表記する場合がある。また、本明細書において上下の位置関係及び/又は上下の方向を表現する場合に、用紙Pの媒体表面から遠ざかるZ軸の正方向を「上」の方向とする。
〈比較例〉
図2は、比較例におけるアパーチャ部材54の正面図である。比較例のアパーチャ部材54が、図1に示したアパーチャ部材24に代わって、投光部12に配置された場合について説明する。
比較例のアパーチャ部材54には、光通過用の円形の開口54A、54BがZ方向に2個並んで配置されている。円形の開口54A、54Bは同じ開口面積である。例えば、開口54A、54Bの直径dは、1.0ミリメートル[mm]であり、開口54A、54Bの中心間距離Lは2.4ミリメートル[mm]である。
図3は、X方向から媒体搬送経路に向けて投射されるビームの明るさの分布を示す図である。明るさの分布は、ビームの光強度分布と理解してよい。また、ビームの光強度分布は、ビームの形状と理解してもよい。アパーチャ部材54の円形の開口54A、54Bを通過したビームは、光の干渉によって図3のように干渉縞が発生し、均一な光強度のビームが得られない。このため、受光部14において検出ノイズが多くなり、浮きを誤検出しやすい。この点が課題の1つである。
図4は、用紙の浮きによって一部のビームが遮光された様子を示す図である。図4には、用紙Pの媒体表面に沿って放射される2本のビームのうち、用紙Pの媒体表面に近い位置を通過する下側のビームが用紙Pの浮き58によって遮光された様子が模式的に示されている。図5は、比較例において用紙Pの浮き58によって下側のビームの一部が遮光された際に観測されるビームの明るさの分布を示す図である。
図5は、図3と比較して、下側のビームが浮き58によって遮光され、浮き58の箇所で光の回折が発生し、その回折光が上側のビームに干渉することにより、縞模様が変化している。図5のように、浮き58によって発生する回折光が上側のビームに干渉することで受光信号のノイズが増大する問題が発生する。この点が他の課題の1つである。
《第1実施形態におけるアパーチャ部材の構成》
図6は、本発明の第1実施形態に係る媒体浮き検出装置10の投光側に用いられるアパーチャ部材24の例を示す正面図である。アパーチャ部材24は、四角形の開口24A、24Bを複数個有する。ここでは、一辺の長さaが1.0ミリメートル[mm]の正方形の開口24A、24Bの例を示すが、開口形状は正方形に限らず、長方形や菱形などであってもよい。開口形状は、四角形以外の多角形であってもよいが、四角形は、開口形状として好ましい形態の1つである。開口形状については、2組の対辺がそれぞれ平行な四角形とする形態が好ましく、すべての角が直角である四角形とする形態がより好ましい。すべての角が直角である四角形を「矩形」と表記する。また、矩形の開口を「矩形開口」と表記する場合がある。
図6に例示した矩形の開口24A、24Bにおける1組の平行な2辺はY軸と平行であり、他の1組の平行な2辺はZ軸と平行である。2個の開口24A、24Bは、ビームの光軸方向から見て斜め方向に並んで配置されている。図6において、下側の開口24Aの真上の方位を角度0度の方位として、上側の開口24Bが、下側の開口24Aに対して角度θの斜めの方位に配置される。角度θは、例えばθ=45°であってよい。角度θは真上の「0°」と水平方向の「±90°」とを除外して適宜の角度とすることができる。つまり、開口24A、24Bは、Z方向と非平行な斜め方向(Z方向と非直角に交差する方向)に並ぶ配置形態で配置される。
開口24Aと開口24BのZ方向の中心間距離Lzは、例えば、2.4ミリメートル[mm]である。四角形の開口の一辺の長さa、角度θ及び中心間距離Lzは、検出しようとする浮きの高さに応じて適宜設計可能である。
図7は、アパーチャ部材24を通過した検出用のビームと、用紙Pの関係を模式的に示した説明図である。用紙Pは、媒体搬送機構60に保持され、図7の右から左に向かって搬送される。媒体搬送機構60の媒体支持面60Aが媒体搬送面に相当する。用紙Pには、浮き58が発生しており、図7では、下側のビームB1が浮き58によって遮光される直前の様子が描かれている。浮き58の高さhは、例えば、媒体表面から第1の基準高さh1を僅かに超える高さであるとする。第1の基準高さh1は、例えば、0.6ミリメートル[mm]である。
図7の例では、2本のビームB1、B2の中で相対的に低い高さ位置を通過する下側のビームB1が、上側のビームB2よりも搬送方向の上流側の位置を通過する構成となっている。
媒体表面から高さ1ミリメートル[mm]以下の基準高さを超える浮き58を検出する場合、例えば、0.6ミリメートル[mm]以上の浮き58を検出する場合、波長660ナノメートル[nm]のビームを用いるとすると、一辺が1ミリメートル[mm]程度の矩形のビームであれば、回折によるビームの広がりと用紙Pからの反射光のバランスがよく、高いS/N比を得られる。
図8は、媒体表面に沿って放射されるビームの明るさの分布を示す図である。本実施形態によれば、矩形の開口24A、24Bの各々を通過したビームの回折光は、各開口24A、24Bを中心にして、矩形の各辺に直交する十字の4方向に広がる。この場合、別のビームに干渉縞が発生せず、下側のビーム及び上側のビームのそれぞれについて均一な光強度のビームスポットが得られる。
図8と図3を比較すると明らかなように、本実施形態によれば、均一な光強度のビームを得ることができる。これにより、受光信号のノイズが低減され、浮きの誤検出を抑制することができる。
図9は、浮き58によって下側のビームの一部が遮光された場合のビームの明るさの分布を示す図である。浮き58による回折光は、上側のビームに届かないため、上側のビームについて均一な光強度のスポットを維持できる。
《アパーチャ部材における複数個の開口の位置関係について》
図10は、アパーチャ部材における1個の矩形開口をビームが通過した際に発生する回折光の回折光発生領域と回折光非発生領域とを模式的に示した図である。ビームが1個の矩形開口25Aを通過すると、図10のように、矩形開口25Aの外側の十字の4方向に回折光DLが発生する。回折光DLが発生する4方向は、矩形開口25Aの各辺に直交する方向である。なお、図10では一次回折光と二次回折光を示したが、さらに三次以上の高次の回折光も発生し得る。アパーチャ部材の開口の外側において回折光が発生する領域を回折光発生領域という。図10に示す矩形開口25Aの場合、回折光DLは、Y方向に帯状に伸びる回折光発生領域DA1と、Z方向に帯状に伸びる回折光発生領域DA2に発生する。その一方、回折光発生領域DA1、DA2の外側の領域、すなわち、図10においてハッチングで示した領域には、回折光が殆ど発生しない。この回折光が殆ど発生しない領域を回折光非発生領域といい、符号NDで示す。
つまり、1つの開口の周囲は、回折光発生領域と回折光非発生領域に区分けすることができる。なお、高次の回折光は次第に減衰していくため、実際の回折光の発生領域は、開口からの距離が遠くなるほど、幅が狭くなっていく。開口形状を基に回折光の強度分布を計算して、実際の回折光の発生領域をより忠実に反映した回折光発生領域を定義してもよいが、図10では、回折光発生領域DA1のZ方向幅と、回折光発生領域DA2のY方向幅は、それぞれ一定である場合を例に示した。図10のように、一定幅の回折光発生領域DA1、DA2を定義しても実用上は問題なく、このような簡易な取り扱いで十分である。
アパーチャ部材24に複数個の開口を設ける場合、1つの開口は、それ以外の開口が作る回折光の発生領域に重ならないように配置することで、回折光による干渉縞の発生を抑制することができる。つまり、複数個の開口の各々が、互いに他の開口の回折光発生領域を避けて、回折光非発生領域と重なる位置に配置されることが好ましい。
例えば、図10に示す1個の矩形開口25Aに対して、2個目の矩形開口25Bを設ける場合、図11に示すように、ハッチング領域として示した回折光非発生領域NDに配置する。また、3個目の矩形開口25Cを設ける場合には、例えば、図12に示すように、他の2つの矩形開口25A、25Bの各々が作る回折光発生領域と重ならない位置に配置する。このように、複数個の開口の各々は、他の開口による回折光発生領域の外側の領域である回折光非発生領域と重なる位置に配置されることが好ましく、このような開口の配置形態を採用することにより、回折光による干渉縞の発生を抑制することができる。
具体的には、例えば、図1に示したアパーチャ部材24の開口24A、24Bは、図11に示す矩形開口25A、25Bの位置関係と同等の位置関係で配置される。もちろん、開口24A、24Bの配置形態は、図11に例示した形態に限定されず、各開口24A、24Bは、互いに他の開口の回折光非発生領域と重なる位置に配置すればよい。
図13は、用紙に浮きがない場合における1つのビームのスポットとその周囲に発生する回折光の光強度分布を示す図である。図13の左側に示したビームのパターン71は、ビームのスポットとその周囲に発生する回折光の形状を模式的に示している。図13の右側に示したグラフ72は、パターン71のラインAに沿った断面の光強度分布を示すグラフである。ラインAは、ビームのスポットの中心を通り、かつ、Z方向と平行な線である。グラフ72の縦軸は位置を表し、横軸は光強度を示す。光強度は「光量」と理解してもよいし、「照度」と理解してもよい。
図14は、図13に示したビームのスポットの一部が用紙の浮きによって遮光された場合のビーム形状と回折光の光強度分布を示す図である。図14の左側に示したビームのパターン75は、図13に示したビームのスポットの下側の一部が用紙の浮きによって遮光された場合のビーム形状を模式的に示している。図14の右側に示したグラフ76は、パターン75のラインBに沿った断面の光強度分布を示すグラフである。ラインBは、ビームのスポットの中心を通り、かつ、Z方向と平行な線である。グラフ76の縦軸は位置を表し、横軸は光強度を示す。
図14に示すように、1個の均一な光強度のビームが用紙の浮きにより遮光されると、一般的に「ナイフエッジ回折」という光の回り込みが発生し、新たな干渉縞が発生する。つまり、回折光発生領域には、アパーチャ部材24の開口で生じる回折光と、浮きによる遮光で生じる回折光とが干渉した干渉縞が発生する。また、浮きによって遮光された領域にも光の回り込みが発生するため、浮いた場所から受光部14まで距離が長い場合は、用紙Pからの反射光が受光部14に入射し得る。
図13に示した浮きがない場合の光量の分布と比較して、図14に示すように、浮きによる遮光で生じる干渉縞は、より複雑なパターンとなるが、このような干渉縞は、図10で説明した回折光発生領域に生じる。したがって、図11及び図12で例示したように複数個の矩形の開口を、互いの回折光発生領域を避けた領域(回折光非発生領域ND)内に配置することで、浮きで生じる回折光による複雑な干渉縞の発生を抑制することができる。
《第2実施形態》
アパーチャ部材24において、何らかの制約条件で、ある1つの矩形開口を、それ以外の矩形開口によって形成される回折光発生領域の一部に重ねて配置しなければならない場合があり得る。図15にその例を示す。
図15では、中央に示した1つ目の開口24Aによって形成される回折光発生領域の一部に、2つ目の開口24Bの開口領域を部分的に重ねて配置した例が示されている。すなわち、開口24A、24Bは、それぞれの開口領域の一部分が他の開口によって作られる回折光発生領域と重なる位置に配置されている。このような場合、それぞれの開口24A、24Bを通過したビームは、均一な光強度分布を持つ均一光強度領域と、干渉縞が発生し得る干渉縞発生領域との2つの領域を含む。干渉縞発生領域は、光の強度分布が不均一となり得る不均一光強度領域と理解してよい。
図16の例では、中央に示した1つ目の開口24Aを通過したビームB1のビーム領域内に均一光強度領域80Aと、干渉縞発生領域81Aとが存在する。同様に、2つ目の開口24Bを通過した矩形のビームB2のビーム領域は、均一光強度領域80Bと、干渉縞発生領域81Bとを含む。このような場合、受光部14の受光側アパーチャ部材34は、干渉縞発生領域81A、81Bからの光を遮断し、均一光強度領域80A、80Bの光のみを通過させるような受光用開口34A、34Bを有することが好ましい。
図17は、受光部14に配置される受光側アパーチャ部材34の一例を示す図である。図17の破線で示した矩形領域の各々は、図16で説明したビームB1、B2の均一光強度領域80A、80Bを示している。図17に示した受光側アパーチャ部材34に形成される受光用開口34A、34Bの各々は、均一光強度領域80A、80Bよりも小さい開口面積であり、かつ、均一光強度領域80A、80Bの範囲内に収まる位置に設けられている。これにより、干渉縞が生じている部分のビームが受光器32に入射しないため、ノイズ低減を図ることができる。なお、受光用開口34A、34Bの開口形状は、円形であってよいし、多角形であってもよい。具体的な実施例の1つとして、波長660nmの透過型のレーザセンサを用いる場合、十分なダイナミックレンジを得るために、0.5mm×0.5mm程度の均一光強度強領域を持つビームを形成し、かつ、受光部14において0.25平方ミリメートル[mm]以下の開口面積の受光用開口34A、34Bを有する受光側アパーチャ部材34を配置する形態が好ましい。例えば、0.5mm×0.5mmの均一光強度強領域を持つビームに対して、受光用開口は、直径0.5mmの円形開口であってよい。
《第3実施形態》
図18は、受光部14に配置される受光側アパーチャ部材34の他の例を示す図である。図18の破線で示した矩形領域の各々は、図16で説明したビームB1、B2の均一光強度領域80A、80Bを示している。図18に示す受光側アパーチャ部材34に形成される受光用開口34A、34Bは、均一光強度領域80A、80Bと部分的に重なる位置に配置され、かつ、干渉縞発生領域81A、81Bと重ならない位置に配置されている。図18に示すような受光用開口34A、34Bの配置を採用しても、干渉縞が生じている部分のビームが受光器32に入射しないため、ノイズ低減を図ることができる。
《第4実施形態》
図19は、第4実施形態に係る媒体浮き検出装置の構成を概略的に示す図である。図19において図1に示した構成と同一又は類似する要素には、同一の符号を付し、その説明は省略する。図1との相違点について説明する。
図19に示す媒体浮き検出装置10は、ビームB1、B2に空気を送風する送風機構90を備える。送風機構90は、複数個のファン92と、送風ノズル94とを含んで構成される。複数個のファン92は、用紙Pの幅方向に並んで配置される。送風機構90は、ビームB1、B2の光路に空気を送風する。
送風機構90からの送風によって用紙P近傍の温度境界層を破壊することができ、信号変動を低減できる。すなわち、用紙P近傍に温度境界層があると、空気温度に依存した屈折率の分布が発生し、陽炎現象又は蜃気楼現象によってビームの光軸が曲がり、受光器32からの受光信号が変動し得る。この点、送風機構90を用いて、ビームB1、B2に空気を送風することにより、温度境界層を破壊することができ、受光器32から安定した信号を得ることができる。
《媒体浮き検出装置の制御系》
図20は、媒体浮き検出装置10の制御系の構成を示すブロック図である。媒体浮き検出装置10は、投光器22及び受光器32と接続される制御装置110を備える。制御装置110は、1台若しくは複数台のコンピュータとプログラムを用いて実現することができる。制御装置110は、演算部112を含み、投光器22の発光制御を行い、かつ、受光器32から得られる信号の処理を行う。
演算部112は、受光器32によって受光された光量と、予め定められた複数の閾値とを比較して、比較結果に応じた信号を出力する。図20では、演算部112が参照する複数の閾値の例として、第1の閾値と、第2の閾値を示す。第1の閾値は、第1の基準高さ以上の浮きの有無を判定する判定基準に相当し、第2の閾値は、第2の基準高さ以上の浮きの有無を判定する判定基準に相当する。なお、例えば、受光器32が受光量に応じた電圧信号を出力する場合、第1の閾値及び第2の閾値の各々は、電圧値を示す値であってよい。演算部112は、デジタル回路を用いて構成されてもよいし、オペアンプなどのアナログ回路を用いて構成されてもよい。
演算部112は、受光器32によって受光された光量が第1の閾値よりも大きい場合は、第1の基準高さ以上の浮きが発生していないと判定し、その判定結果を示す第1の浮き未検出信号を生成する。演算部112は、受光器32によって受光された光量が第1の閾値以下かつ第2の閾値よりも大きい場合は、第1の基準高さ以上かつ第2の基準高さ未満の浮きが発生していると判定し、その判定結果を示す第1の浮き検出信号を生成する。演算部112は、受光器32によって受光された光量が第2の閾値以下である場合は、第2の基準高さ以上の浮きが発生していると判定し、その判定結果を示す第2の浮き検出信号を生成する。
演算部112によって生成された第1の浮き検出信号は、搬送制御部120と、ヘッド昇降制御部122に送られる。搬送制御部120は、媒体搬送部124の動作を制御する制御回路である。媒体搬送部124は、用紙Pを保持して、所定の媒体搬送経路に沿って用紙Pを搬送する媒体搬送機構と、その動力源となるモータを含んで構成される。媒体搬送機構は、例えば、吸着ベルト搬送方式による搬送機構であってもよいし、ドラム搬送方式による搬送機構であってもよい。媒体搬送部124は「搬送部」の一例である。
搬送制御部120は、演算部112から第1の浮き検出信号を取得した場合に、媒体搬送部124による用紙Pの搬送を継続する。
ヘッド昇降制御部122は、記録ヘッド(不図示)をZ方向に昇降させるヘッド昇降部126の動作を制御する制御回路である。ヘッド昇降部126は、記録ヘッドを用紙Pに対して画像記録が可能な印刷位置と、印刷位置よりもZ方向に所定距離だけ上昇させた退避位置との間で昇降移動させる昇降機構とその動力源となるモータとを含んで構成される。
ヘッド昇降制御部122は、演算部112から第1の浮き検出信号を取得した場合に、ヘッド昇降部126を駆動して記録ヘッドを退避位置へと移動させ、浮きが発生した用紙Pが記録ヘッドの下を通過した後に記録ヘッドを印刷位置へと復帰させる。
演算部112によって生成された第2の浮き検出信号は、搬送制御部120に送られる。例えば、搬送制御部120は、演算部112から第2の浮き検出信号を取得した場合に、媒体搬送部124による用紙Pの搬送を緊急停止させる。
なお、搬送制御部120及びヘッド昇降制御部122は、制御装置110に含まれていてもよいし、制御装置110に接続される画像形成装置の制御装置などに含まれていてもよい。
制御装置110には、表示装置130及び入力装置132が接続される。表示装置130は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(organic electro-luminescence:OEL)ディスプレイ、若しくは、プロジェクタ、又はこれらの適宜の組み合わせであってよい。入力装置132には、キーボード、マウス、タッチパネル、トラックボール、或いは音声入力装置、又はこれら入力装置の適宜の組み合わせなどを採用することができる。
表示装置130は、制御装置110からの指令に応じて、様々な情報を表示し得る。入力装置132と表示装置130によってユーザインターフェースが構成される。例えば、ユーザは入力装置132を操作することにより、用紙Pの種類及び/又は厚みを特定する情報を入力することができる。制御装置110は、入力装置132を介して入力された情報に応じて各種処理を実行する。
制御装置110は、演算部112の他に、平行平板駆動制御部114、送風制御部116及び表示制御部118を含んでいてよい。また、媒体浮き検出装置10は、第1の平行平板駆動部142と、第2の平行平板駆動部144とを備える。第1の平行平板駆動部142は、第1の平行平板42を回転駆動させる動力源となるモータを含んで構成される。また、第2の平行平板駆動部144は、第2の平行平板44を回転駆動させる動力源となるモータを含んで構成される。
平行平板駆動制御部114は、用紙Pの厚みに応じて、第1の平行平板駆動部142と、第2の平行平板駆動部144を制御して、用紙Pの表面に対するビームB1、B2の高さを調整する。
送風制御部116は、送風機構90の動作を制御する。送風制御部116は、用紙Pの搬送中に送風機構90のファン92を駆動して、ビームB1,B2に空気を送風する。
表示制御部118は、表示装置130による表示内容を示す信号を生成する。演算部112から出力された信号は表示制御部118を介して表示装置130に表示させることができる。例えば、表示制御部118は、第1の浮き検出信号及び/又は第2の浮き検出信号に基づき、表示装置130に警告メッセージなどを表示させることができる。
《アパーチャ部材における複数個の開口のY方向の位置関係について》
図21は、アパーチャ部材24を介して投射される2本のビームB1、B2と用紙Pの浮き58の関係を模式的に示した側面図である。図21の最上段に示す符号151の状態は、用紙Pに媒体表面から高さhの浮き58が発生しており、この浮き58がビームB1、B2の手前に近づいている様子を表している。符号151の状態は、浮き58のY方向長さLyがビームB1、B2のY方向検出範囲L0よりも大きく、浮き58の高さhが第2の基準高さh2よりも大きい場合の例である。
図21の上から2段目に示す符号152の状態は、符号151の状態から用紙PがY方向に移動して、浮き58によってビームB1、B2が遮光された様子を示している。Ly≧L0の場合、浮き58によってビームB1、B2が同時に遮光され得る。
図21の上から3段目に示す符号153の状態は、浮き58の媒体表面からの高さhが第1の基準高さh1よりも大きく、かつ第2の基準高さh2よりも小さい場合の例を示している。符号153の状態における浮き58のY方向長さLyは、ビームB1、B2のY方向検出範囲L0よりも大きい。
図21の最下段に示す符号154の状態は、符号153の状態から用紙PがY方向に移動して、浮き58によって下側のビームB1のみが遮光された様子を示している。Ly≧L0の場合、浮き58によって下側のビームB1のみが遮光され得る。
受光器32から得られる信号を基に、符号152の状態と符号154の状態を判別することができる。
図22は、アパーチャ部材を介して投射される2本のビームB1、B2と用紙Pの浮き58の関係を模式的に示した側面図である。図22の最上段に示す符号155の状態は、用紙Pに媒体表面から高さhの浮き58が発生しており、この浮き58がビームB1、B2の手前に近づいている様子を表している。符号155の状態は、浮き58のY方向長さLyがビームB1、B2のY方向検出範囲L0よりも小さく、浮き58の媒体表面からの高さhが第2の基準高さh2よりも大きい場合の例を示している。
図22の上から2段目に示す符号156の状態は、符号155の状態から用紙PがY方向に移動して、浮き58によってビームB1が遮光された様子を示している。
図22の上から3段目に示す符号157の状態は、符号156の状態から用紙PがY方向に移動して、浮き58によってビームB2が遮光された様子を示している。Ly<L0の場合、浮き58によってビームB1、B2を同時に遮光することができない。
図22の上から4段目に示す符号158の状態は、浮き58の媒体表面からの高さhが第1の基準高さh1よりも大きく、かつ第2の基準高さh2よりも小さい場合の例を示している。符号158の状態における浮き58のY方向長さLyは、ビームB1、B2のY方向検出範囲L0よりも小さい。
図22の最下段に示す符号159の状態は、符号158の状態から用紙PがY方向に移動して、浮き58によって下側のビームB1のみが遮光された様子を示している。Ly<L0の場合、浮き58によって下側のビームB1のみが遮光され得る。
Ly<L0の場合、受光器32から得られる信号を基に、符号156の状態と符号159の状態とを判別することは困難である。したがって、L0を設計する際には、検出しようとする浮き58について想定されるY方向長さLyよりもL0を小さくすることが望ましい。
《上側のビームを媒体搬送方向の上流側に配置する形態について》
これまで、下側のビームB1を媒体搬送方向の上流側に配置し、かつ、上側のビームB2を媒体搬送方向の下流側に配置する例を説明したが、発明の実施に際しては、上側のB2を媒体搬送方向の上流側に配置し、かつ下側のビームB1を媒体搬送方向の下流側に配置する形態も可能である。図23及び図24では、上側のビームB2が媒体搬送方向の上流側の位置を通過し、かつ下側のビームB1が媒体搬送方向の下流側の位置を通過するように構成された例が示されている。
図23は、アパーチャ部材を介して投射される2本のビームB1、B2と用紙Pの浮き58の関係を模式的に示した側面図である。図23では、上側のビームB2が媒体搬送方向の上流側の位置を通過し、かつ下側のビームB1が媒体搬送方向の下流側の位置を通過するように構成された例が示されている。
図23の最上段に示す符号161の状態は、用紙Pに媒体表面から高さhの浮き58が発生しており、この浮き58がビームB1、B2の手前に近づいている様子を表している。符号151の状態は、浮き58のY方向長さLyがビームB1、B2のY方向検出範囲L0よりも大きく、浮き58の高さhが第2の基準高さh2よりも大きい場合の例である。
図23の上から2段目に示す符号162の状態は、符号161の状態から用紙PがY方向に移動して、浮き58によってビームB1、B2が遮光された様子を示している。Ly≧L0の場合、浮き58によってビームB1、B2が同時に遮光され得る。
図23の上から3段目に示す符号163の状態は、浮き58の媒体表面からの高さhが第1の基準高さh1よりも大きく、かつ第2の基準高さh2よりも小さい場合の例を示している。符号163の状態における浮き58のY方向長さLyは、ビームB1、B2のY方向検出範囲L0よりも大きい。
図23の最下段に示す符号164の状態は、符号163の状態から用紙PがY方向に移動して、浮き58によって下側のビームB1のみが遮光された様子を示している。Ly≧L0の場合、浮き58によって下側のビームB1のみが遮光され得る。
受光器32から得られる信号を基に、符号162の状態と符号164の状態を判別することができる。
図24は、アパーチャ部材を介して投射される2本のビームB1、B2と用紙Pの浮き58の関係を模式的に示した側面図である。図24の最上段に示す符号165の状態は、用紙Pに媒体表面から高さhの浮き58が発生しており、この浮き58がビームB1、B2の手前に近づいている様子を表している。符号165の状態は、浮き58のY方向長さLyがビームB1、B2のY方向検出範囲L0よりも小さく、浮き58の媒体表面からの高さhが第2の基準高さh2よりも大きい場合の例を示している。
図24の上から2段目に示す符号166の状態は、符号165の状態から用紙PがY方向に移動して、浮き58によってビームB2が遮光された様子を示している。
図24の上から3段目に示す符号167の状態は、符号166の状態から用紙PがY方向に移動して、浮き58によってビームB1が遮光された様子を示している。Ly<L0の場合、浮き58によってビームB1、B2を同時に遮光することができない。
図24の上から4段目に示す符号168の状態は、浮き58の媒体表面からの高さhが第1の基準高さh1よりも大きく、かつ第2の基準高さh2よりも小さい場合の例を示している。符号168の状態における浮き58のY方向長さLyは、ビームB1、B2のY方向検出範囲L0よりも小さい。
図24の最下段に示す符号169の状態は、符号168の状態から用紙PがY方向に移動して、浮き58によって下側のビームB1のみが遮光された様子を示している。Ly<L0の場合、浮き58によって下側のビームB1のみが遮光され得る。
Ly<L0の場合、受光器32から得られる信号を基に、符号157の状態と符号169の状態とを判別することは困難である。したがって、L0を設計する際には、検出しようとする浮き58について想定されるY方向長さLyよりもL0を小さくすることが望ましい。
《下側のビームの光軸と用紙Pの媒体表面との位置関係について》
図2、図21及び図22では、下側のビームB1を用紙Pの媒体表面よりも高い位置に示しているが、例えば、第1の基準高さ0.6ミリメートル[mm]以上の浮きを検出する場合、下側のビームB1は、図25に示すように、ビーム領域内を用紙Pが通過するような高さ位置に配置され得る。
《インクジェット印刷装置の構成例》
次に、媒体浮き検出装置10を搭載したインクジェット印刷装置の例について説明する。図26は、本発明の実施形態に係るインクジェット印刷装置201Aの全体構成図である。インクジェット印刷装置201Aは、描画部240の記録ヘッドとしてライン型のインクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yを備え、枚葉紙である用紙Pにブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)の4色のインクを使用して、所望の画像をシングルパス方式で印刷するカラーデジタル印刷装置である。インクジェット印刷装置201Aは、画像形成装置の一例である。
本例では描画用のインクとして水性インクが用いられる。水性インクは、水及び/又は水に可溶な溶媒に顔料や染料などの色材を溶解又は分散させたインクをいう。なお、水性インクに代えて、紫外線硬化型インクを用いてもよい。
インクジェット印刷装置201Aは、給紙部210と、処理液付与部220と、処理液乾燥部230と、描画部240と、インク乾燥部250と、集積部260と、を備える。
給紙部210は、給紙装置212と、フィーダボード214と、給紙ドラム216と、を備える。用紙Pは、多数枚が積み重ねられた束の状態で給紙台212Aに載置される。用紙Pの種類は、特に限定されないが、例えば、上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする印刷用紙を用いることができる。
給紙装置212は、給紙台212Aにセットされた束の状態の用紙Pを上から順に1枚ずつ取り出して、フィーダボード214に給紙する。フィーダボード214は、給紙装置212から受け取った用紙Pを給紙ドラム216へと搬送する。
給紙ドラム216は、フィーダボード214から給紙される用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを処理液付与部220へと搬送する。
処理液付与部220は、用紙Pに処理液を塗布する。処理液は、インク中の色材成分を凝集、若しくは不溶化又は増粘させる機能を備えた液体である。処理液付与部220は、処理液塗布ドラム222と、処理液塗布装置224と、を備える。
処理液塗布ドラム222は、給紙ドラム216から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを処理液乾燥部230へと搬送する。処理液塗布ドラム222は、周面にグリッパ223を備え、グリッパ223で用紙Pの先端部を把持して回転することにより、用紙Pを周面に巻き付けて搬送する。
処理液塗布装置224は、処理液塗布ドラム222によって搬送される用紙Pに処理液を塗布する。処理液はローラによって塗布される。処理液を塗布する方式は、ローラ塗布方式に限らない。処理液塗布装置224には他の方式が適用されてもよい。処理液塗布装置224の他の方式の例として、ブレードを用いた塗布、インクジェット方式による吐出、又はスプレー方式による噴霧などが挙げられる。
処理液乾燥部230は、処理液が塗布された用紙Pを乾燥処理する。処理液乾燥部230は、処理液乾燥ドラム232と、温風送風機234と、を備える。処理液乾燥ドラム232は、処理液塗布ドラム222から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを描画部240へと搬送する。処理液乾燥ドラム232は、周面にグリッパ233を備える。処理液乾燥ドラム232は、グリッパ233で用紙Pの先端部を把持して回転することにより、用紙Pを搬送する。
温風送風機234は、処理液乾燥ドラム232の内部に設置される。温風送風機234は、処理液乾燥ドラム232によって搬送される用紙Pに温風を吹き当てて、処理液を乾燥させる。
描画部240は、描画ドラム242と、ヘッドユニット244と、用紙浮き検出部245と、用紙押さえローラ247と、画像読取装置248と、を備える。描画ドラム242は、処理液乾燥ドラム232から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pをインク乾燥部250へと搬送する。描画ドラム242は、ドラム周面にグリッパ243を備え、グリッパ243を用いて用紙Pの先端を把持して回転することにより、用紙Pを周面に巻き付けて搬送する。描画ドラム242は、図示しない吸着機構を備え、周面に巻き付けられた用紙Pをドラム周面に吸着させて搬送する。吸着には、負圧が利用される。描画ドラム242は、周面に多数の吸着孔を備え、この吸着孔を介して描画ドラム242の内部から吸引することにより、用紙Pを描画ドラム242の周面に吸着させる。用紙Pが吸着支持される描画ドラム242の周面は、用紙Pを支持する用紙支持面に相当する。また、描画ドラム242の周面は、搬送面に相当する。描画ドラム242は「搬送部」の一例である。
用紙浮き検出部245は、描画ドラム242によって搬送される用紙Pの浮きを検出する手段である。用紙Pの浮きは、用紙Pのシワ及び/又は用紙Pの折れ曲がりなどによる浮き上がりである。本実施形態では、用紙Pの浮きの高さ、すなわち浮き量は、用紙Pの媒体表面である基準印刷面からの高さで基準に評価する。なお、用紙Pの浮き量は、描画ドラム242の用紙支持面からの高さで評価してもよい。
用紙浮き検出部245は、描画ドラム242における媒体搬送経路のヘッドユニット244の上流側、かつ、用紙押さえローラ247の下流側に配置され、ヘッドユニット244の手前の位置で用紙Pの浮きを検出する。
用紙浮き検出部245には、図1及び図7〜図19に示した媒体浮き検出装置10の構成を適用することができる。投光部12と受光部14は、描画ドラム242の軸線方向に描画ドラム242の両側に分かれて、互いに対向して配置される。描画ドラム242の軸線方向とは、描画ドラム242の回転軸に平行な方向である。投光部12から投射されるビームの光軸は、描画ドラム242の軸線方向と平行であり、ビームが描画ドラム242の表面近くを通過する。
ヘッドユニット244は、インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yを含んで構成される。インクジェットヘッド246Kは、ブラック(K)のインクの液滴を吐出する記録ヘッドである。インクジェットヘッド246Cは、シアン(C)のインクの液滴を吐出する記録ヘッドである。インクジェットヘッド246Mは、マゼンタ(M)のインクの液滴を吐出する記録ヘッドである。インクジェットヘッド246Yは、イエロー(Y)のインクの液滴を吐出する記録ヘッドである。なお、本明細書において「インクジェットヘッド」又は「記録ヘッド」を示す用語として、単に「ヘッド」と記載する場合がある。
インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yのそれぞれには、対応する色のインク供給源である不図示のインクタンクから不図示の配管経路を介して、インクが供給される。
インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yの各々は、描画ドラム242によって搬送される用紙Pに対して1回の走査によって、つまりシングルパス方式によって、印刷可能なラインヘッドで構成される。インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yは、各々のノズル面が描画ドラム242の周面に対向して配置される。インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yは、描画ドラム242による用紙Pの搬送経路に沿って一定の間隔をもって配置される。
図26には示さないが、インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yの各々のノズル面には、インクの吐出口である複数個のノズルが二次元配列されている。「ノズル面」とは、ノズルが形成されている吐出面をいい、「インク吐出面」或いは「ノズル形成面」などの用語と同義である。二次元配列された複数個のノズルのノズル配列を「二次元ノズル配列」という。インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yの各々のノズル面には、撥水膜が形成されている。
インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yの各々は、複数個のヘッドモジュールを用紙幅方向に繋ぎ合わせて構成することができる。インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yの各々は、用紙幅方向に関して、用紙Pの全記録領域を、1回の走査で規定の記録解像度による画像記録が可能なノズル列を有するライン型の記録ヘッドである。このような記録ヘッドは「フルライン型の記録ヘッド」或いは「ページワイドヘッド」とも呼ばれる。なお、本明細書において、規定の記録解像度とは、インクジェット印刷装置201Aによって予め定められた記録解像度であってもよいし、ユーザの選択により、若しくは、印刷モードに応じたプログラムによる自動選択により設定される記録解像度であってもよい。記録解像度として、例えば、1200dpiとすることができる。「dpi」は、dot per inch を意味し、1インチあたりのドット(点)の数を表す単位表記である。1インチは25.4ミリメートル[mm]である。
用紙Pの搬送方向と直交する用紙幅方向をラインヘッドのノズル列方向と呼び、用紙Pの搬送方向をノズル列垂直方向と呼ぶ場合がある。
二次元ノズル配列を有するインクジェットヘッドの場合、二次元ノズル配列における各ノズルをノズル列方向に沿って並ぶように投影(正射影)した投影ノズル列は、ノズル列方向について、最大の記録解像度を達成するノズル密度で各ノズルが概ね等間隔で並ぶ一列のノズル列と等価なものと考えることができる。「概ね等間隔」とは、インクジェット印刷装置で記録可能な打滴点として実質的に等間隔であることを意味している。例えば、製造上の誤差及び/又は着弾干渉による媒体上での液滴の移動を考慮して僅かに間隔を異ならせたものなどが含まれている場合も「等間隔」の概念に含まれる。投影ノズル列は実質的なノズル列に相当する。投影ノズル列を考慮すると、ノズル列方向に沿って並ぶ投影ノズルの並び順に、各ノズルにノズル位置を表すノズル番号を対応付けることができる。
インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yの各々におけるノズルの配列形態は限定されず、様々なノズル配列の形態を採用することができる。例えば、マトリクス状の二次元配列の形態に代えて、一列の直線配列、V字状のノズル配列、V字状配列を繰り返し単位とするW字状などのような折れ線状のノズル配列なども可能である。
描画ドラム242によって搬送される用紙Pに向けて、インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yのうち少なくとも1つのヘッドからインクの液滴が吐出され、吐出された液滴が用紙Pに付着することにより、用紙Pに画像が形成される。
描画ドラム242は、インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yと用紙Pとを相対移動させる手段として機能している。描画ドラム242は、インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yに対して、用紙Pを搬送する媒体搬送機構の一例である。インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yのそれぞれの吐出タイミングは、描画ドラム242に設置されたエンコーダから得られるエンコーダ信号に同期させる。図26においてエンコーダの図示は省略されている。吐出タイミングとは、インクの液滴を吐出するタイミングであり、打滴タイミングと同義である。
なお、本例では、CMYKの4色のインクを用いる構成を例示したが、インク色及び色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特色インクなどを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成、又は、緑色若しくはオレンジ色などの特色のインクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成なども可能である。また、各色のインクジェットヘッドの配置順序も特に限定はない。
画像読取装置248は、インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yによって用紙Pに記録された画像を光学的に読み取り、その読取画像を示す電子画像データを生成する装置である。画像読取装置248は、用紙P上に記録された画像を撮像して画像情報を示す電気信号に変換する撮像デバイスを含む。画像読取装置248は、撮像デバイスの他、読み取り対象を照明する照明光学系及び撮像デバイスから得られる信号を処理してデジタル画像データを生成する信号処理回路を含んでよい。
画像読取装置248は、カラー画像の読み取りが可能な構成であることが好ましい。本例の画像読取装置248は、例えば、撮像デバイスとしてカラーCCD(Charge-Coupled Device)リニアイメージセンサが用いられる。カラーCCDリニアイメージセンサはR(赤),G(緑),B(青)各色のカラーフィルタを備えた受光素子が直線状に配列したイメージセンサである。なお、カラーCCDリニアイメージセンサに代えて、カラーCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)リニアイメージセンサを用いることもできる。
画像読取装置248は、描画ドラム242による用紙Pの搬送中に用紙P上の画像の読み取りを行う。このように媒体搬送経路に設置される画像読取装置は「インラインスキャナ」又は「インラインセンサ」と呼ばれる場合がある。また、画像読取装置248はカメラであってもよい。
インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yの少なくとも1つを用いて画像が記録された用紙Pは、画像読取装置248の読取領域を通過する際に、用紙P上の画像が読み取られる。用紙Pに記録される画像としては、ジョブで指定される印刷対象のユーザ画像の他、ノズルごとの吐出状態を検査するための不良ノズル検知パターン、印刷濃度補正用テストパターン、その他の各種のテストパターンが含まれ得る。
画像読取装置248によって読み取られた読取画像のデータを基に、印刷画像の検査が行われ、画質異常の有無が判断される。また、画像読取装置248によって読み取られた読取画像のデータを基に、画像の濃度やインクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yの吐出不良などの情報が得られる。
インク乾燥部250は、描画部240によって画像が形成された用紙Pを乾燥処理する。インク乾燥部250は、チェーングリッパ270と、用紙ガイド280と、加熱乾燥処理部290と、を備える。
チェーングリッパ270は、描画ドラム242から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを集積部260へと搬送する。チェーングリッパ270は、規定の走行経路を走行する一対の無端状のチェーン272を備え、その一対のチェーン272に備えられたグリッパ274によって用紙Pの先端部を把持した状態で用紙Pを規定の搬送経路に沿って搬送する。グリッパ274は、チェーン272に一定の間隔で複数備えられる。
本例のチェーングリッパ270は、第1スプロケット271Aと、第2スプロケット271Bと、チェーン272と、複数のグリッパ274と、を含んで構成され、一対の第1スプロケット271A及び第2スプロケット271Bに、一対の無端状のチェーン272が巻き掛けられた構造を有している。図26には、一対の第1スプロケット271A及び第2スプロケット271B並びに一対のチェーン272のうち、一方のみが図示されている。
チェーングリッパ270は、チェーン272の送り方向における複数の位置に複数のグリッパ274が配置される構造を有している。また、チェーングリッパ270は、一対のチェーン272の間に、用紙幅方向に沿って複数のグリッパ274が配置される構造を有している。図26には、一対のチェーン272の間に配置される複数のグリッパ274のうち、1つのグリッパ274のみが図示されている。
チェーングリッパ270による用紙Pの搬送経路は、用紙Pを水平方向に沿って搬送する水平搬送領域と、水平搬送領域の終端から用紙Pを斜め上方向に搬送する傾斜搬送領域とを含んでいる。水平搬送領域を第1搬送区間といい、傾斜搬送領域を第2搬送区間という。
用紙ガイド280は、チェーングリッパ270による用紙Pの搬送をガイドする機構である。用紙ガイド280は、第1用紙ガイド282と第2用紙ガイド284を含んで構成される。第1用紙ガイド282は、チェーングリッパ270の第1搬送区間を搬送される用紙Pをガイドする。第2用紙ガイド284は、第1搬送区間の後段の第2搬送区間を搬送される用紙をガイドする。
第1用紙ガイド282の詳細な構造は、図示されていないが、第1用紙ガイド282として、吸着ベルト搬送装置が用いられている。吸着ベルト搬送装置は、無端状の搬送ベルトに用紙Pを吸着させた状態で、搬送ベルトを送ることにより用紙Pを搬送する装置である。
加熱乾燥処理部290は、描画部240によって画像が形成された用紙Pに熱を加えてインクの溶媒を蒸発させ、用紙Pを乾燥させる。加熱乾燥処理部290は、例えば、温風送風ユニットであり、第1用紙ガイド282と対向して配置され、チェーングリッパ270によって搬送される用紙Pに温風を吹き当てる。
集積部260は、チェーングリッパ270によってインク乾燥部250から搬送されてくる用紙Pを受け取り、集積する集積装置262を備える。チェーングリッパ270は、所定の集積位置で用紙Pをリリースする。集積装置262は集積トレイ262Aを備え、チェーングリッパ270からリリースされた用紙Pを受け取り、集積トレイ262Aの上に束状に集積する。集積部260は排紙部に相当する。
上述した構成の他、図26には示されていないが、インクジェット印刷装置201Aは、インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yの各々を個別に、それぞれのノズル面の法線方向に移動可能なヘッド昇降部を備える。ヘッド昇降部は、図20及び図27において符号126として記載した。ヘッド昇降部126を用いて、各ヘッドのノズル面と描画ドラム242の外周面との間の距離(ギャップ)を変化させることができる。
インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yの各々は、ヘッド昇降部126によって印刷位置から上方の退避位置に移動させることができ、また、退避位置から印刷位置に戻すことができる。ここでいう「上方」とは、媒体支持面としての描画ドラム242の周面から、描画ドラム242の外側に離れる方向を指す。印刷位置は、インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yの各々が用紙Pに対して画像を記録する際のヘッド位置である。退避位置は、印刷位置よりも上方の描画ドラム242の媒体支持面からの距離が遠い位置であり、第1の基準高さ以上の浮きが検出された場合に、用紙Pとヘッドとの接触を回避するために、各ヘッドを退避させる位置である。
また、図26には示されていないが、描画部240における各色のインクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yは共通のヘッド支持フレームに支持されている。インクジェット印刷装置201Aは、ヘッド支持フレームに取り付けられているインクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yを含むヘッドユニット244の全体をヘッド支持フレームと共に描画ドラム242の上方に移動可能な図示せぬヘッドユニット昇降部を備える。
更に、インクジェット印刷装置201Aは、ヘッドユニット244全体をヘッド支持フレームと共に描画ドラム242の軸線方向に水平移動可能なヘッド水平移動部を備える。図26に示されていないヘッド水平移動部は、図27において符号402として記載した。
また、図26では図示が省略されるが、インクジェット印刷装置201Aは、インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yのメンテナンス処理を行うメンテナンス部を備える。メンテナンス部は、描画ドラム242の軸方向に描画ドラム242と並んで設置される。メンテナンス部は、図2において符号240として記載した。
《インクジェット印刷装置の制御系の説明》
図27は、インクジェット印刷装置201Aの制御系の概略構成を示すブロック図である。インクジェット印刷装置201Aは、システムコントローラ300を備える。システムコントローラ300は、CPU(Central Processing Unit)300A、ROM(Read Only Memory)300B、及びRAM(Random Access Memory)300Cを含んで構成される。ROM300B、RAM300C等の記憶部は、システムコントローラ300の外部に設けられていてもよい。
システムコントローラ300は、インクジェット印刷装置201Aの各部を統括的に制御する全体制御部として機能する。また、システムコントローラ300は、各種演算処理を行う演算部として機能する。更に、システムコントローラ300は、ROM300B、及びRAM300Cなどのメモリにおけるデータの読み出し、及びデータの書き込みを制御するメモリコントローラとして機能する。
インクジェット印刷装置201Aは、通信部302、画像メモリ304、画像処理部306、搬送制御部120、給紙制御部312、処理液付与制御部314、処理液乾燥制御部316、描画制御部318、ヘッド昇降制御部122、ヘッド水平移動制御部322、インク乾燥制御部324、排紙制御部326、及びメンテナンス制御部328を備えている。これらの各部の要素は、1台又は複数台のコンピュータによって実現することが可能である。つまり、システムコントローラ300を含む各制御部の要素は、コンピュータのハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって構成することができる。また、制御に必要な処理機能の一部又は全部は、DSP(Digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)に代表される集積回路を用いて実現してもよい。
システムコントローラ300は、図20で説明した制御装置110の機能の一部又は全部を含でもよい。
通信部302は、図示されない通信インターフェースを備え、通信インターフェースと接続されたホストコンピュータ400との間でデータの送受信を行うことができる。
画像メモリ304は、画像データを含む各種データの一時記憶部として機能する。通信部302を介してホストコンピュータ400から取り込まれた画像データは、一旦、画像メモリ304に格納される。
画像処理部306は、入力画像データからドットデータを生成する。画像処理部306は、色分解処理部、色変換処理部、補正処理部、及びハーフトーン処理部を含んで構成される。画像処理部306において、入力画像データに対してRGBの各色に分解する色分解処理、RGBデータをCMYKデータに変換する色変換処理、ガンマ補正、ムラ補正等の各種補正処理、並びに、各色の画素ごとの階調値を元の階調値未満の階調値に変換するハーフトーン処理が施される。画像処理部306が実施する補正処理には、不良ノズルに起因する画像欠陥を抑制する不良補正の処理が含まれる。
入力画像データは連続階調の画像データである。入力画像データの一例として、0から255のデジタル値で表されるラスターデータが挙げられる。ハーフトーン処理の結果として得られるドットデータは、二値でもよいし、三値以上ハーフトーン処理前の階調値未満の多値でもよい。画像処理部306の処理機能の一部又は全部は、システムコントローラ300若しくは描画制御部318に含まれていてもよい。
搬送制御部120は、インクジェット印刷装置201Aにおける用紙Pの搬送系211の動作を制御する。搬送系211には、図26に示された給紙ドラム216、処理液塗布ドラム222、処理液乾燥ドラム232、描画ドラム242などの媒体搬送機構が含まれる。また、搬送系211には、図示せぬ動力源としてのモータ及びモータ駆動回路などの駆動部が含まれる。
図27に示された給紙制御部312は、システムコントローラ300からの指令に応じて給紙部210を動作させる。給紙制御部312は、用紙Pの供給開始動作、及び用紙Pの供給停止動作などを制御する。
処理液付与制御部314は、システムコントローラ300からの指令に応じて処理液付与部220を動作させる。処理液付与制御部314は、処理液の付与量、及び付与タイミングなどを制御する。
描画制御部318は、システムコントローラ300からの指令に応じて、ヘッドユニット244の描画動作を制御する。描画制御部318は、波形生成部、波形記憶部、及び駆動回路を含んで構成される。波形生成部、波形記憶部、及び駆動回路の図示は省略される。波形生成部は、ヘッドユニット244の各インクジェットヘッドを吐出動作させる駆動電圧の波形を生成する。波形記憶部には駆動電圧の波形が記憶される。駆動回路はドットデータに応じた駆動波形を有する駆動電圧を生成する。駆動回路は駆動電圧をヘッドユニット244のインクジェットヘッドに供給する。
インクジェット印刷装置201Aは、搬送系211における描画ドラム242の回転角度を検出する手段としてのエンコーダ406を備えている。エンコーダ406は、描画ドラム242に備えられ、描画ドラム242による用紙Pの搬送量に応じた信号を出力する。ここでは、描画ドラム242の回転軸の単位回転角度毎にパルス信号を出力するロータリエンコーダを用いている。インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yの各々は、エンコーダ406が出力するエンコーダ信号から生成される吐出タイミング信号に従って吐出タイミングが制御される。
画像処理部306による処理を経て生成されたドットデータに基づいて、各画素位置の吐出タイミング、インク吐出量が決められ、各画素位置の吐出タイミング、インク吐出量に応じた駆動電圧、及び各画素の吐出タイミングを決める制御信号が生成される。描画制御部318にて生成された駆動電圧がインクジェットヘッドへ供給され、インクジェットヘッドから吐出させたインクによってドットが形成される。
ヘッド昇降制御部122は、システムコントローラ300からの指令に応じてヘッド昇降部126を動作させる。ヘッド昇降部126は、インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yの各々を、ノズル面の法線方向に昇降移動させる機構とその動力源となるモータを含む。
用紙浮き検出部245は、受光器32が出力する信号に基づいて、用紙Pの浮きの有無を判定する回路を含んでもよい。用紙浮き検出部245によって検出された情報は、システムコントローラ300に送られる。
システムコントローラ300は、用紙浮き検出部245から得られた検出情報を基に、ヘッド昇降制御部122に対して、各インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yを退避位置へ移動させる指令を送出することができる。例えば、用紙浮き検出部245によって第1の基準高さ以上かつ第2の基準高さ以下の浮きが検出されると、ヘッド昇降部126が駆動され、インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yが印刷位置から上方の退避位置に移動される。また、用紙浮きが発生した用紙Pがインクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yの下を通過すると、各インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yは、退避位置から印刷位置へと戻される。
また、システムコントローラ300は、用紙浮き検出部245から得られた検出情報を基に、搬送制御部120に対して、搬送系211の駆動を停止させる指令を送出することができる。例えば、用紙浮き検出部245によって第2の基準高さ以上の浮きが検出されると、搬送系211が停止される。
ヘッド水平移動制御部322は、システムコントローラ300からの指令に応じてヘッド水平移動部402を動作させる。ヘッド水平移動部402は、ヘッドユニット244を描画ドラム242の軸線方向に水平移動させる機構とその動力源となるモータを含む。ヘッド水平移動部402は、インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yを、描画部240とメンテナンス部440との間で移動させる。
インク乾燥制御部324は、システムコントローラ300からの指令に応じてインク乾燥部250を動作させる。インク乾燥制御部324は、乾燥気体温度、乾燥気体の流量、及び/又は乾燥気体の噴射タイミングなどを制御する。
排紙制御部326は、システムコントローラ300からの指令に応じて集積部260を動作させる。図26に示された集積装置262が昇降機構を含む場合に、排紙制御部326は、用紙Pの増減に応じて昇降機構の動作を制御する。排紙制御部326は、印刷物を仕分けする仕分けの制御を行ってもよい。
メンテナンス制御部328は、システムコントローラ300からの指令に応じてメンテナンス部440の動作を制御する。メンテナンス部440は、インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yのそれぞれのノズル面のクリーニング及び/又は保湿のためのキャッピングなどのメンテナンス処理を行う処理部である。メンテナンス処理の例として、加圧パージ、ダミージェット、ノズル吸引、若しくは、ノズル面の払拭、又は、これらの適宜の組み合わせがなどを挙げることができる。「ダミージェット」は、予備吐出と同義である。メンテナンス部440には、例えば、インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yの各々のノズル面を覆うキャップ、及び、ノズル面を払拭するウェブなどの払拭部材が配置される。
インクジェット印刷装置201Aは、操作部330、表示部332、パラメータ記憶部334、及びプログラム格納部336を備えている。
操作部330は、操作ボタン、キーボード、マウス、タッチパネル等の操作部材、若しくは音声入力装置、又はこれらの適宜の組み合わせ等からなる入力装置を含んで構成される。操作部330を介して入力された情報は、システムコントローラ300に送られる。操作部330は、図20で説明した入力装置132であってもよい。システムコントローラ300は、操作部330から入力された情報に応じて各種処理を実行させる。
表示部332は、液晶パネル等の表示装置を含んで構成される。表示部332は、システムコントローラ300からの指令に応じて、装置の各種設定情報、又は異常情報などの各種情報を表示し得る。ユーザは、表示部332の画面に表示される内容を見ながら操作部330を使って各種パラメータの設定及び各種情報の入力並びに編集が可能である。表示部332は、図20で説明した表示装置130であってもよい。
パラメータ記憶部334は、インクジェット印刷装置201Aに使用される各種パラメータが記憶される。パラメータ記憶部334に記憶されている各種パラメータは、システムコントローラ300を介して読み出され、装置各部に設定される。
プログラム格納部336は、インクジェット印刷装置201Aの各部に使用されるプログラムが格納される。プログラム格納部336に格納されている各種プログラムは、システムコントローラ300を介して読み出され、装置各部において実行される。パラメータ記憶部334及びプログラム格納部336は、ハードディスク装置及び/又は半導体メモリ等の記憶デバイスを用いて構成される。
《描画部における用紙浮き検出部の配置形態の例》
上述したように、インクジェット印刷装置201Aには媒体浮き検出装置10が組み込まれており、インク打滴前に用紙Pの浮きが検出される。
図28は、描画部240に配置された媒体浮き検出装置10の投光部12と受光部14の例を示す斜視図である。投光部12と受光部14は、描画ドラム242の搬送面242Aを軸方向に挟んで対向するように配置されている。なお、図28においては、図1で説明した第1の平行平板42と第2の平行平板44の図示が省略されている。また、図28においては、図20で説明した送風機構90の図示が省略されている。
投光部12は、図示を省略したブラケットを介してインクジェット印刷装置201Aの本体フレームに取り付けられている。一方、受光部14は、図示を省略したブラケットを介してインクジェット印刷装置201Aの本体フレームに取り付けられている。
《インクジェットヘッドの吐出方式について》
インクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yのイジェクタは、液体を吐出するノズルと、ノズルに通じる圧力室と、圧力室内の液体に吐出エネルギーを与える吐出エネルギー発生素子と、を含んで構成される。吐出エネルギー発生素子として、例えば、圧電素子を用いることができる。イジェクタのノズルから液滴を吐出させる吐出方式に関して、吐出エネルギーを発生させる手段は、圧電素子に限らず、発熱素子や静電アクチュエータなど、様々な吐出エネルギー発生素子を適用し得る。例えば、発熱素子による液体の加熱による膜沸騰の圧力を利用して液滴を吐出させる方式を採用することができる。インクジェットヘッドの吐出方式に応じて、相応の吐出エネルギー発生素子が流路構造体に設けられる。
《インクジェット印刷装置の他の構成例》
次に、媒体浮き検出装置10を搭載したインクジェット印刷装置の他の構成例について説明する。図29は、他の実施形態に係るインクジェット印刷装置の概略構成図である。図29に示したインクジェット印刷装置500は、用紙Pを搬送する媒体搬送機構としてベルト搬送部540を備えている。ベルト搬送部540は、ローラ541A、及びローラ541Bに巻き掛けられた無端状のベルト542を備えている。ローラ541A、又はローラ541Bのいずれか一方を、図29における反時計回りに回転させることで、矢印線で示した方向へベルト542を走行させる。
ベルト542の媒体支持面542Aに支持された用紙Pは、ベルト542の走行方向へ搬送される。媒体支持面542Aは媒体搬送面の一態様である。
図29では、図27に示したインクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yをまとめて、符号544を付して図示する。インクジェットヘッド544は、図27に示したインクジェットヘッド246K、246C、246M、246Yと同様の構成が含まれる。
用紙浮き検出部245は、インクジェットヘッド544の前段において、用紙Pの浮きを多段階で検出する。図1から18に示した構成は、図29に示したインクジェット印刷装置500に適宜適用することができる。
《各処理部及び制御部のハードウェア構成について》
図20及び図28で説明した制御装置110、演算部112、平行平板駆動制御部114、送風制御部116、表示制御部、搬送制御部120、ヘッド昇降制御部122、通信部302、画像処理部306、給紙制御部312、処理液付与制御部314、処理液乾燥制御部316、描画制御部318、ヘッド水平移動制御部322、インク乾燥制御部324、排紙制御部326、及びメンテナンス制御部328などの各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、例えば、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。
各種のプロセッサには、プログラムを実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサで構成されてもよい。例えば、1つの処理部は、複数のFPGA、或いは、CPUとFPGAの組み合わせによって構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第一に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第二に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
《媒体搬送機構の変形例について》
図26では、媒体搬送機構として描画ドラム242を例示し、図29では、媒体搬送機構としてベルト搬送部540を例示したが、ドラム搬送方式、或いは、ベルト搬送方式に限らず、パレット搬送方式や、ロール搬送方式などの媒体搬送機構を採用してもよい。また、ベルト搬送方式やテーブル搬送方式などのように、被搬送媒体を平面の媒体支持面に支持して搬送する媒体搬送機構を採用する場合、検出用のビームは、X軸と平行に投射する形態に限らず、X軸と交差する斜め方向に、すなわち、X軸と非平行な方向に投射してもよい。
《アパーチャ部材の開口形状について》
〈変形例1〉
図6で説明したアパーチャ部材24におけるそれぞれの開口24A、24Bの向き(姿勢)は、同図のYZ平面内において適宜回転させてもよい。例えば、図30に示すように、矩形の開口24A、24Bは、各辺がY方向に対して45°の角度で傾斜する姿勢で配置されてもよい。この場合も開口24A、24Bの各々は、他の開口によって作られる回折光の発生領域を避けて、回折光非発生領域に配置される。
〈変形例2〉
アパーチャ部材24に形成される開口の開口形状は、矩形に限らず、図31に示すような菱形又は平行四辺形であってもよい。図31では、1つの開口と、その開口によって作られる回折光発生領域DAと、回折光非発生領域NDを模式的に示した。回折光発生領域DAは、開口の各辺に直交する方向に形成される。図示せぬ2個目の開口は、回折光非発生領域NDに配置される。
〈変形例3〉
アパーチャ部材24に形成される開口の形状は、四角形に限らず、様々な多角形とすることができ、例えば、三角形であってもよい。図32に、三角形の開口によって作られる回折光発生領域と、回折光非発生領域の例を模式的に示す。図示せぬ2個目の開口は、回折光非発生領域NDに配置される。
〈変形例4〉
アパーチャ部材24に形成される開口の形状は、六角形であってもよい。図33に、六角形の開口によって作られる回折光発生領域と、回折光非発生領域の例を模式的に示す。図示せぬ2個目の開口は、回折光非発生領域NDに配置される。
《本発明の実施形態による利点》
上述した本発明の実施形態によれば、次のような利点がある。
(1)1組の投光器22と受光器32を用い、複数個の開口を有するアパーチャ部材24を介して1つのビームを複数のビームに分割して、受光器32による受光量に対して複数の閾値を用いて比較を行う複数の閾値処理を行うことにより、簡易な構成で多段階の浮き検出を実施することが可能である。
(2)多段階の浮き検出を低コストで実現することができる。
(3)1組の投光器22と受光器32について光軸調整を実施すればよいため、透過型のレーザセンサを複数配置する形態と比較して、光軸の調整作業が簡略化される。
(4)本実施形態による媒体浮き検出装置は、透過型のレーザセンサを複数配置する形態と比べて、省スペースで多段階の浮き検出を実現できる。
(5)アパーチャ部材を介して投射されるビームについて、意図しない回折縞の発生が抑制され、複数種類の一定高さ以上の浮きを精度よく検出できる。
(6)投光部12にビーム径を変化させるビーム整形光学系としてのビームエキスパンダ26を配置し、かつ、受光部14にビームを集光するレンズとしての凸レンズ36を配置した構成によって、投光器22から出射されるビーム径が比較的小さい場合であっても、検出したい浮きの範囲まで、ビームの範囲を拡大して使うことができる。
(7)第1の平行平板42と第2の平行平板44とを用いてビームをZ方向に平行移動させる仕組みを搭載したことにより、用紙Pの厚みによらず、媒体表面とビームとの距離を一定に保つことができる。これにより、用紙Pからの反射光の影響を一定にすることができ、信号ノイズを低減できる。また、用紙Pの厚みによらず、媒体表面を基準にした一定高さの浮きの検出が可能である。
(8)送風機構90を備える構成を採用したことにより、用紙Pの媒体表面付近における温度境界層を破壊することができる。これにより、陽炎現象又は蜃気楼現象によるビームの曲がりを抑制し、信号ノイズを低減できる。
《実施形態及び変形例等の組み合わせについて》
上述の実施形態で説明した構成や変形例で説明した事項は、適宜組み合わせて用いることができ、また、一部の事項を置き換えることもできる。
《記録ヘッドの変形例について》
上記実施形態では、シングルパス方式のインクジェット印刷装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、シリアル型(シャトルスキャン型)ヘッドなど、短尺の記録ヘッドを移動させながら、複数回のヘッド走査により画像記録を行う画像形成装置についても本発明を適用可能である。なお、インクジェット方式の記録ヘッドを用いてカラー画像を形成する場合は、複数色のインクの色別にヘッドを配置してもよいし、1つの記録ヘッドから複数色のインクを吐出可能な構成としてもよい。
《記録ヘッドと用紙を相対移動させる構成について》
上述の実施形態では、印刷位置に停止したヘッドに対して用紙を搬送する構成を例示したが、本発明の実施に際しては、用紙Pに対してヘッドを移動させる構成も可能である。また、シングルパス方式のラインヘッドは、通常、媒体搬送方向と直交する媒体幅方向に沿って配置されるが、媒体搬送方向と直交する媒体幅方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿ってラインヘッドを配置する態様もあり得る。
《インクジェット方式以外の記録ヘッドを用いる画像形成装置について》
上述の説明では、記録ヘッドを用いる画像形成装置の一例としてインクジェット印刷装置を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。インクジェット方式以外では、サーマル素子を記録素子とする記録ヘッドを備えた熱転写記録装置、LED(Light Emitting Diode)素子を記録素子とする記録ヘッドを備えたLED電子写真プリンタ、LEDライン露光ヘッドを有する銀塩写真方式プリンタなど、ドット記録を行う各種方式の画像形成装置についても本発明を適用することが可能である。インクジェット印刷装置以外の様々な印刷方式における画像形成装置について、本発明の媒体浮き検出装置を適用することができる。例えば、電子回路の配線パターンを描画する配線描画装置、各種デバイスの製造装置、吐出用の機能性液体として樹脂液を用いるレジスト印刷装置、カラーフィルタ製造装置、マテリアルデポジション用の材料を用いて微細構造物を形成する微細構造物形成装置など、液状機能性材料を用いて様々な形状やパターンを得る画像形成装置についても本発明を適用できる。
《透過型検出装置の応用例》
本発明の透過型検出装置は、被搬送媒体の浮きを多段階で検出するための媒体浮き検出装置として用いる形態に限らず、様々な用途に応用することができる。つまり、複数本のビームによって検出する被検出物は、被搬送媒体における浮きに限らず、様々な対象物とすることができる。被検出物は、例えば、機械部品、電子部品、各種製品、異物、或いは構造物などであってもよい。本発明では、アパーチャ部材の複数個の開口を介して、干渉縞の発生を抑制した複数本のビームを得ることができるため、複数本のビームを用いる様々な用途の透過型の検出装置について、本発明を適用することができる。
《用語について》
「用紙」は、画像の記録に用いられる媒体である。用紙という用語は、記録媒体、記録用紙、印刷用紙、印刷媒体、印字媒体、被印刷媒体、画像形成媒体、被画像形成媒体、受像媒体、被吐出媒体など様々な用語で呼ばれるものの概念を含む。用紙の材質や形状等は、特に限定されず、シール用紙、樹脂シート、フィルム、布、不織布、その他材質や形状を問わず、様々なシート体を用いることができる。用紙は、枚葉の媒体に限らず、連続紙などの連続媒体であってもよい。また、枚葉の用紙は、予め規定のサイズに整えられたカット紙に限らず、連続媒体から随時、規定のサイズに裁断して得られるものであってもよい。
「印刷装置」という用語は、印刷機、プリンタ、印字装置、画像形成装置、画像出力装置、或いは、描画装置などの用語の概念を含む。また、「印刷装置」という用語は、複数の装置を組み合わせた印刷システムの概念を含む。「印刷」は、記録、印字、プリント、描画、又は、画像形成の意味を包括する用語として用いる。画像の「記録」とは、画像の形成、印刷、印字、描画、及びプリントなどの用語の概念を含む。
「画像」は広義に解釈するものとし、カラー画像、白黒画像、単一色画像、グラデーション画像、均一濃度(ベタ)画像なども含まれる。「画像」は、写真画像に限らず、図柄、文字、記号、線画、モザイクパターン、色の塗り分け模様、ラインパターン、ドットパターン、その他の各種パターン、テストチャート、若しくはこれらの適宜の組み合わせを含む包括的な用語として用いる。
また、「画像」は、色材を含有するインクによって形成されるものに限らず、インク付与前に用紙に付与される処理液、及び/又はインク付与後に用紙に付与されるニス等その他の機能性材料によって形成される画像であってもよい。
「記録ヘッド」という用語は、印刷ヘッド、印字ヘッド、プリントヘッド、描画ヘッドなどの用語と同義であり、インクジェットヘッド、インク吐出ヘッド、液体吐出ヘッド、液滴吐出ヘッド、又は、液滴噴射ヘッドの概念を含む。
本明細書における「直角」、「直交」又は「垂直」という用語には、90°未満の角度、又は90°を超える角度をなして交差する態様のうち、実質的に90°の角度をなして交差する場合と同様の作用効果を発生させる態様が含まれる。本明細書における「平行」という用語には、厳密には非平行である態様のうち、平行である場合と概ね同様の作用効果が得られる実質的に平行とみなし得る態様が含まれる。
本明細書における「均一」という用語には、厳密には均一でない態様のうち、均一である場合と概ね同様の作用効果が得られる実質的に「均一」とみなし得る態様が含まれる。
《その他》
以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、又は削除することが可能であり、また、各実施形態における構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施形態間で適宜組み合わせることができる。本発明の技術的範囲は、上記の実施形態に記載の範囲には限定されない。本発明は、上述した発明の実施形態に限らず、本発明の技術的思想内で同等関連分野の通常の知識を有する者により、多くの変形が可能である。
10 媒体浮き検出装置
12 投光部
12 投光部
14 受光部
22 投光器
22A レーザ光源
24 アパーチャ部材
24A、24B 開口
25A、25B、25C 矩形開口
26 ビームエキスパンダ
26A 凹レンズ
26B 凸レンズ
32 受光器
34 受光側アパーチャ部材
34A、34B 受光用開口
36 凸レンズ
42 第1の平行平板
44 第2の平行平板
54 アパーチャ部材
54A、54B 開口
60 媒体搬送機構
60A 媒体支持面
71 パターン
72 グラフ
75 パターン
76 グラフ
80A 均一光強度領域
80B 均一光強度領域
81A 干渉縞発生領域
81B 干渉縞発生領域
90 送風機構
92 ファン
94 送風ノズル
110 制御装置
112 演算部
114 平行平板駆動制御部
116 送風制御部
118 表示制御部
120 搬送制御部
122 ヘッド昇降制御部
124 媒体搬送部
126 ヘッド昇降部
130 表示装置
132 入力装置
142 第1の平行平板駆動部
144 第2の平行平板駆動部
151〜159 ビームと浮きの相対的関係を示す状態
161〜169 ビームと浮きの相対的関係を示す状態
201A インクジェット印刷装置
210 給紙部
211 搬送系
212 給紙装置
212A 給紙台
214 フィーダボード
216 給紙ドラム
220 処理液付与部
222 処理液塗布ドラム
223 グリッパ
224 処理液塗布装置
230 処理液乾燥部
232 処理液乾燥ドラム
233 グリッパ
234 温風送風機
240 描画部
242 描画ドラム
242A 搬送面
243 グリッパ
244 ヘッドユニット
245 用紙浮き検出部
246C インクジェットヘッド
246K インクジェットヘッド
246M インクジェットヘッド
246Y インクジェットヘッド
247 用紙押さえローラ
248 画像読取装置
250 インク乾燥部
260 集積部
262 集積装置
262A 集積トレイ
270 チェーングリッパ
271A 第1スプロケット
271B 第2スプロケット
272 チェーン
274 グリッパ
280 用紙ガイド
282 第1用紙ガイド
284 第2用紙ガイド
290 加熱乾燥処理部
300 システムコントローラ
302 通信部
304 画像メモリ
306 画像処理部
312 給紙制御部
314 処理液付与制御部
316 処理液乾燥制御部
318 描画制御部
322 ヘッド水平移動制御部
324 インク乾燥制御部
326 排紙制御部
328 メンテナンス制御部
330 操作部
332 表示部
334 パラメータ記憶部
336 プログラム格納部
400 ホストコンピュータ
402 ヘッド水平移動部
406 エンコーダ
440 メンテナンス部
500 インクジェット印刷装置
540 ベルト搬送部
541A ローラ
541B ローラ
542 ベルト
542A 媒体支持面
544 インクジェットヘッド
B1 ビーム
B2 ビーム
DA 回折光発生領域
DA1 回折光発生領域
DA2 回折光発生領域
DL 回折光
ND 回折光非発生領域
P 用紙

Claims (20)

  1. 被検出物が通過する通過領域にビームを投射する投光部と、
    前記投光部に配置された光通過用の複数個の開口を有するアパーチャ部材と、
    前記複数個の前記開口を介して前記通過領域に投射された前記ビームを受光する受光部と、
    前記受光部によって受光された光量と予め定められた複数の閾値とを比較して、比較結果に応じた信号を出力する演算部と、
    を備え、
    前記複数個の前記開口の各々は、多角形の開口形状を有し、
    前記複数個の前記開口は、互いに他の前記開口を通過する前記ビームの回折光が発生する回折光発生領域の外側の領域である回折光非発生領域と重なる位置に配置されている透過型検出装置。
  2. 前記被検出物は、媒体搬送経路に沿って搬送される被搬送媒体の一部分であって、前記被搬送媒体における前記被搬送媒体の厚み方向の浮き上がりが生じている部分であり、
    前記透過型検出装置は、前記厚み方向の高さが異なる複数の基準高さについて、前記基準高さ以上の浮き上がりの有無を多段階で検出する媒体浮き検出装置として用いられる請求項1に記載の透過型検出装置。
  3. 前記投光部は、前記被搬送媒体の搬送方向と交差する方向に、前記被搬送媒体の媒体表面に沿って前記ビームを投射する請求項2に記載の透過型検出装置。
  4. 前記多角形は、2組の対辺がそれぞれ平行な四角形である請求項1から3のいずれか一項に記載の透過型検出装置。
  5. 前記回折光発生領域は、前記多角形の各辺と直交する方向に広がる帯状の領域である請求項1から4のいずれか一項に記載の透過型検出装置。
  6. 前記受光部には、光通過用の複数個の受光用開口を有する受光側アパーチャ部材が配置されている請求項1から5のいずれか一項に記載の透過型検出装置。
  7. 前記複数個の前記開口は、互いに他の前記開口によって作られる前記回折光発生領域と重ならない位置に配置されている請求項1から6のいずれか一項に記載の透過型検出装置。
  8. 前記複数個の前記開口は、それぞれの開口領域の一部分が他の前記開口によって作られる前記回折光発生領域と重なる位置に配置されており、
    前記複数個の前記受光用開口は、前記投光部に配置された前記アパーチャ部材の前記開口の各々を通過した各ビームのビーム領域内における均一な光強度分布を有する均一光強度領域と重なる位置であって、かつ、前記ビーム領域内の前記回折光発生領域と重なる領域である干渉縞発生領域と重ならない位置に配置されている請求項6に記載の透過型検出装置。
  9. 前記複数個の前記受光用開口は、前記投光部に配置された前記アパーチャ部材の前記開口よりも開口面積が小さく、かつ、前記均一光強度領域の範囲内に収まる位置に配置されている請求項8に記載の透過型検出装置。
  10. 前記投光部は、レーザ光源と、前記レーザ光源から出力されたレーザ光のビーム径を広げるビーム整形光学系と、を含み、
    前記ビーム整形光学系は、前記レーザ光源と前記アパーチャ部材の間の光路に配置される請求項1から9のいずれか一項に記載の透過型検出装置。
  11. 前記ビーム整形光学系がビームエキスパンダである請求項10に記載の透過型検出装置。
  12. 前記受光部には、前記通過領域を透過した前記ビームを集光するレンズが配置されている請求項1から11のいずれか一項に記載の透過型検出装置。
  13. 被搬送媒体の搬送方向と交差する方向に、前記被搬送媒体の媒体表面に沿ってビームを投射する投光部と、
    前記投光部に配置された光通過用の複数個の開口を有するアパーチャ部材と、
    前記複数個の前記開口を介して前記媒体表面に沿って投射された前記ビームを受光する受光部と、
    前記受光部によって受光された光量と予め定められた複数の閾値とを比較して、比較結果に応じた信号を出力する演算部と、
    を備え、
    前記複数個の前記開口の各々は、多角形の開口形状を有し、
    前記複数個の前記開口は、互いに他の前記開口を通過するビームの回折光が発生する回折光発生領域の外側の領域である回折光非発生領域と重なる位置に配置されている媒体浮き検出装置。
  14. 前記投光部と前記受光部は、前記被搬送媒体の媒体搬送経路を幅方向に挟んで互いに対向して配置される請求項13に記載の媒体浮き検出装置。
  15. 前記媒体表面に沿って投射される前記ビームを、前記被搬送媒体の厚みに応じて、前記被搬送媒体の厚み方向に平行移動させる平行平板を備える請求項13又は14に記載の媒体浮き検出装置。
  16. 前記ビームの光路に空気を送風する送風機構を備える請求項13から15のいずれか一項に記載の媒体浮き検出装置。
  17. 前記複数個の前記開口の各々を通過した複数本の前記ビームは、互いに前記被搬送媒体の搬送面から前記被搬送媒体の厚み方向の異なる高さ位置を通過し、かつ、前記複数本の前記ビームの中で相対的に低い高さ位置を通過する前記ビームほど、前記搬送方向の上流側の位置を通過する請求項13から16のいずれか一項に記載の媒体浮き検出装置。
  18. 前記被搬送媒体を保持し、かつ前記被搬送媒体を搬送する搬送部を備える請求項13から17のいずれか一項に記載の媒体浮き検出装置。
  19. 請求項13から18のいずれか一項に記載の媒体浮き検出装置と、
    前記被搬送媒体に画像を記録する記録ヘッドと、
    を備える画像形成装置。
  20. 前記記録ヘッドがインクジェットヘッドである請求項19に記載の画像形成装置。
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