JP5969427B2 - 静電変換装置およびその製造方法 - Google Patents

静電変換装置およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、振動エネルギーを電気エネルギーに変換する静電変換技術に関する。
近年、多数の携帯端末装置から構成されるユビキタスネットワークの開発が進んでいる。このユビキタスネットワークにおいて、ノードとなる携帯端末装置には、携帯性などの観点から、小型かつメンテナンス不要であることが望まれている(例えば、非特許文献1など参照)。
ところが、従来より携帯端末装置の電源に用いられている一次電池や二次電池は、携帯端末装置の他の構成要素と比較してサイズが大きくなるとともに、交換や充電などのメンテナンスが不可欠であった。
そこで、近年では、携帯端末装置に適した電源として、エネルギーハーベスト(Energy harvesting)技術を用いた手段が注目されている。このエネルギーハーベスト技術とは、環境の中に存在する振動、熱、電磁波(光や電波)など、通常は無駄に放出されていた各種エネルギーを電気エネルギーに変換する技術のことである。
このようなエネルギーハーベスト技術のうち、振動エネルギーを電気エネルギーに変換する技術としては、電磁誘導、圧電変換、静電変換などを用いた技術が提案されている(例えば、非特許文献2など参照)。中でも静電変換を用いる技術は、半導体プロセスやMEMS(Micro Electro Mechanical System)プロセスにより、小型化が容易であり、かつ機械的要素と電気的要素を独立して設計や作製することが可能であることから、多くの提案がなされている。図11は、従来の静電変換装置を示す説明図である(例えば、非特許文献3など参照)。
非特許文献3に開示された従来の静電変換装置は、図11に示すように、20mm角程度のガラス板からなる下部基板と、この下部基板と同等の材料からなり、下部基板の上方に所定距離だけ離間し、かつ、下部基板と互いに平行に配置された上部基板と、この上部基板の一端に連結され、上部基板をその平面と平行な方向に振動させる加振器とを備えている。下部基板のうち上部基板と対向する側の平面上には、複数の電極が設けられている。同様に、上部基板のうち下部基板と対向する側の平面上には、複数の電極が設けられている。これらの電極および電極は、互いに対向配置されており、外部負荷を介して電気的に接続されている。また、下部基板に設けられた電極の一部には、その上面に絶縁層が設けられている。この絶縁層は、一般に「エレクトレット」と呼ばれる、誘導電荷保持のための絶縁体として機能する。
このように構成された静電変換装置では、エレクトレットとして機能する絶縁層により形成される静電場によって、その絶縁層と対向する電極に誘導電荷を生じさせる。そして、加振器を駆動させて上部基板をその平面に平行な方向に振動させて、絶縁層と電極との重なり合う面積(以下、「重なり面積」という)を変化させる。この変化により、電極の絶縁層と重なり合っていない部分が生じると、この部分に誘導されていた誘導電荷が、外部負荷を通って電極に移動し、再びその部分が絶縁層と重なり合うと、電極に移動した誘導電荷が外部負荷を通ってその部分に移動することになる。これにより、外部負荷に交流電流が流れることとなる。
T. Shimamura, et al., "Nano-Watt Power Management and Vibration Sensing on a Dust-Size Batteryless Sensor Node for Ambient Intelligence Applications", Proc. Int. Conf. ISSCC2010, pp. 504-505, 2010 S. Beeby, et al., "Energy harvesting vibration sources for microsystem applications", Meas. Sci. Technol., 17 (2006) pp. R175-R195 T. Tsutsumino, et al., "SEISMIC POWER GENERATOR USING HIGH-PERFORMANCE POLYMER ELECTRET", Proc. Int. Conf. MEMS 2006, pp. 98-101, 2006
このような従来の静電変換装置によれば、半導体プロセスやMEMSプロセスによりサイズの小型化が容易であるものの、その機構上、エレクトレットとして機能する絶縁層やこれと対向する電極を形成できる領域が、下部基板と上部基板との対向面に限定されている。このため、このような機構では、一定サイズ当たりで、与えられた振動エネルギーから得られる電気エネルギーの量、すなわち発電効率(静電変換効率)を向上させることが難しいという問題点があった。したがって、サイズの小型化により、当然のことながら重なり面積などの発電効率に関わるファクターも小さくなるため、結果として十分な発電量が得られないという問題点があった。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、一定サイズ当たりの発電効率を向上させることができる静電変換技術を提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかる静電変換装置は、上下に離間して平行配置された上側基板および下側基板と、前記上側基板と前記下側基板との間にこれら基板と平行配置されるとともに、これら基板の平面方向と平行な一定の揺動方向に沿って揺動自在に支持されて、表面に絶縁帯電体が形成された平板形状をなす可動部材と、前記可動部材の下面に、前記下側基板に向けて突設されて、表面に前記絶縁帯電体が形成された下面可動電極と、前記可動部材の上面に、前記上側基板に向けて突設されて、表面に前記絶縁帯電体が形成された上面可動電極と、前記可動部材の各側面に、前記平面方向に向けて突設されて、表面に前記絶縁帯電体が形成された側面可動電極と、前記下側基板の上面に形成されている絶縁膜上のうち前記下面可動電極と対向する位置に突設されて、当該下面可動電極の揺動により誘導電荷を発生させる下部固定電極と、前記上側基板の下面に形成されている絶縁膜上のうち前記上面可動電極と対向する位置に突設されて、当該上面可動電極の揺動により誘導電荷を発生させる上部固定電極と、前記下側基板の上面または前記上側基板の下面に形成されている絶縁膜上のうち前記側面可動電極と対向する位置に突設されて、当該側面可動電極の揺動により誘導電荷を発生させる側面固定電極とを備えている。
本発明にかかる上記静電変換装置の一構成例は、前記下面可動電極が、前記可動部材の下面のうち前記揺動方向と直交する直交方向に延在するように突設されて、表面に前記絶縁帯電体が形成された板状部材からなり、前記下部固定電極は、前記下側基板の上面に形成されている前記絶縁膜のうち、前記下面可動電極の揺動による変位のない静止位置と対向する位置に前記直交方向に延在するように突設された導電体の板状部材からなる中間下部固定電極と、当該絶縁膜上のうち、前記下面可動電極が前記揺動方向に変位した正側変位位置と対向する位置に当該直交方向に延在するように突設された導電体の板状部材からなる正側下部固定電極と、当該絶縁膜上のうち、前記下面可動電極が前記揺動方向とは逆方向に変位した負側変位位置と対向する位置に当該直交方向に延在するように突設された導電体の板状部材からなる負側下部固定電極とを含むものである。
本発明にかかる上記静電変換装置の一構成例は、前記上面可動電極が、前記可動部材の上面のうち前記揺動方向と直交する直交方向に延在するように突設されて、表面に前記絶縁帯電体が形成された板状部材からなり、前記上部固定電極は、前記上側基板の下面に形成されている前記絶縁膜のうち、前記上面可動電極の揺動による変位のない静止位置と対向する位置に前記直交方向に延在するように突設された導電体の板状部材からなる中間上部固定電極と、当該絶縁膜上のうち、前記上面可動電極が前記揺動方向に変位した正側変位位置と対向する位置に当該直交方向に延在するように突設された導電体の板状部材からなる正側上部固定電極と、当該絶縁膜上のうち、前記上面可動電極が前記揺動方向とは逆方向に変位した負側変位位置と対向する位置に当該直交方向に延在するように突設された導電体の板状部材からなる負側上部固定電極とを含むものである。
本発明にかかる上記静電変換装置の一構成例は、前記側面可動電極が、前記可動部材の各側面のうち前記揺動方向と直交する直交側面に突設されて、表面に前記絶縁帯電体が形成された板状の直交側面可動電極からなり、前記側面固定電極は、前記下側基板の上面または前記上側基板の下面に形成されている前記絶縁膜のうち、前記直交側面可動電極の揺動による変位のない静止位置と対向する位置に立設された導電体の柱状部材からなる中間直交側面固定電極と、当該絶縁膜上のうち、前記直交側面可動電極が前記揺動方向に変位した正側変位位置と対向する位置に立設された導電体の柱状部材からなる正側直交側面固定電極と、当該絶縁膜上のうち、前記直交側面可動電極が前記揺動方向とは逆方向に変位した負側変位位置と対向する位置に立設された導電体の柱状部材からなる負側直交側面固定電極とを含むものである。
本発明にかかる上記静電変換装置の一構成例は、前記側面可動電極が、前記可動部材の各側面のうち前記揺動方向と平行する平行側面に突設されて、表面に前記絶縁帯電体が形成された凸状の平行側面可動電極からなり、前記側面固定電極は、前記下側基板の上面または前記上側基板の下面に形成されている前記絶縁膜のうち、前記平行側面可動電極の揺動による変位のない静止位置と対向する位置に立設された導電体の柱状部材からなる中間平行側面固定電極と、当該絶縁膜上のうち、前記平行側面可動電極が前記揺動方向に変位した正側変位位置と対向する位置に立設された導電体の柱状部材からなる正側平行側面固定電極と、当該絶縁膜上のうち、前記平行側面可動電極が前記揺動方向とは逆方向に変位した負側変位位置と対向する位置に立設された導電体の柱状部材からなる負側平行側面固定電極とを含むものである。
また、本発明にかかる静電変換装置の製造方法は、下側基板と、当該下側基板上に、当該下側基板の平面方向と平行な一定の揺動方向に沿って揺動自在に支持されて、表面に絶縁帯電体が形成された平板形状をなす可動部材と、当該可動部材の上方に配置された上側基板とを有し、当該可動部材の上面、下面、および各側面に可動電極をそれぞれ突設するとともに、当該下側基板のうち当該可動電極に対向する位置に固定電極をそれぞれ立設し、外部から与えられた振動エネルギーにより当該可動電極を揺動させ、これに応じて当該固定電極を移動する誘導電荷から得られた電気エネルギーを出力する静電変換装置の製造方法であって、前記下側基板上に揺動自在支持された、前記可動電極を有する前記可動部材を含む下側基板構造体のうち、前記可動部材および前記可動電極の表面に、撥水性、絶縁性、および帯電性を発現する電着材料を用いた着電により、前記絶縁帯電体となる絶縁膜を形成する絶縁帯電体ステップを備えている。
本発明にかかる上記静電変換装置の製造方法の一構成例は、前記絶縁帯電体ステップが、スルフォニウムカチオンが分散する着電液の中に、前記下側基板構造体および白金からなる前記固定電極を浸漬した浸漬状態とするステップと、前記浸漬状態で、前記可動部材および前記可動電極に負電圧を印加するとともに、前記固定電極に正電圧を印加することによりカチオン着電を行うステップとを含むものである。
本発明によれば、可動電極と固定電極との重なり面積を大幅に増大させることができ、サイズ当たりの発電率効率を向上させることが可能となる。これにより、結果として、発電出力の向上や静電変換装置の小型化を実現することが可能となる。
本発明の一実施の形態にかかる静電変換装置の構成を示す平面図である。 図1のII−II線における断面を示す断面図である。 図1のIII−III線における断面を示す断面図である。 直交側面可動電極による発電動作(静止位置)を示す説明図である。 直交側面可動電極による発電動作(正側変位位置)を示す説明図である。 直交側面可動電極による発電動作(負側変位位置)を示す説明図である。 平行側面可動電極による発電動作(静止位置)を示す説明図である。 平行側面可動電極による発電動作(正側変位位置)を示す説明図である。 平行側面可動電極による発電動作(負側変位位置)を示す説明図である。 下面可動電極による発電動作(静止位置)を示す説明図である。 下面可動電極による発電動作(正側変位位置)を示す説明図である。 下面可動電極による発電動作(負側変位位置)を示す説明図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。 従来の静電変換装置を示す説明図である。
[静電変換装置の構成]
次に、図1−図3を参照して、本発明の一実施の形態にかかる静電変換装置1について説明する。図1は、本発明の一実施の形態にかかる静電変換装置の構成を示す平面断面図である。図2は、図1のII−II線における断面を示す断面図である。図3は、図1のIII−III線における断面を示す断面図である。なお、図2,図3におけるI−I線が図1に示した平面断面の位置に相当する。
図1−図3に示すように、本発明の一実施の形態にかかる静電変換装置1は、全体として、半導体プロセスやMEMSプロセスにより半導体基板上に機械的要素と電気的要素を集積化した微細構造体からなり、互いに対向配置された固定電極および可動電極を有し、外部から与えられた振動エネルギーにより当該可動電極を揺動させ、これに応じて当該固定電極を移動する誘導電荷から得られた電気エネルギーを出力する機能を有している。
この静電変換装置1は、主として、下側基板10、上側基板20、可動部材30、および、スペーサ部材50から構成されている。
下側基板10は、平面視略矩形状をなし、上面11に酸化シリコン等の絶縁膜11Pが形成されたシリコンなどの半導体基板からなる。
上側基板20は、平面視略矩形状をなし、下面22に酸化シリコン等の絶縁膜22Pが形成されたシリコンなどの半導体基板からなる。
スペーサ部材50は、金属などの導電体が、下側基板10の周部に沿って平面視略矩形状に配置された筒体(枠体)である。このスペーサ部材50の上部に上側基板20を載置することにより、下側基板10の上方に所定距離だけ離間して上側基板20が平行配置されている。
可動部材30は、金属などの導電体の表面に絶縁帯電体30Eが形成された、平面視略矩形状をなす平板部材(直方体)からなり、スペーサ部材50の内側の下側基板10と上側基板20との間に、これら下側基板10,上側基板20と平行配置されるとともに、これら下側基板10,上側基板20の平面方向と平行する一定の揺動方向Yに沿って揺動自在に支持されている。
絶縁帯電体30Eは、負電荷が帯電した絶縁膜からなり、一般に「エレクトレット」と呼ばれる誘導電荷保持のための絶縁体として機能する。
本発明では、可動部材30の揺動する方向を図1−図3に示した揺動方向Yとした静電変換装置の構成およびその製造方法について説明するが、揺動する方向については揺動方向Yに限定されるものではない。以下では、揺動方向Yと直交する下側基板10,上側基板20の平面方向と平行な方向を直交方向Xとし、下側基板10,上側基板20の平面方向と垂直な方向を垂直方向Zとする。
スペーサ部材50の開口51内側には、可動部材30と、可動部材30を揺動自在に支持する2つの柱部材52A,52Bおよび2つの梁部材53A,53Bとが収容されている。
柱部材52A,52Bは、金属などの導電体から構成された、断面略矩形状をなす柱状部材からなり、下側基板10の絶縁膜11Pのうち、揺動方向Yと平行する可動部材30の平行側面34A,34Bと対向する位置に立設されている。
梁部材53A,53Bは、金属などの導電体から構成された、断面略矩形状をなす棒状部材または板状部材から構成されており、一端が柱部材52A,52Bの上部に固定され、他端に可動部材30の平行側面34A,34Bに接続されている。特に、梁部材53A,53Bとして板状部材を利用する場合には、当該断面の長手方向が垂直方向Zに沿った縦方向の向きで柱部材52A,52Bに固定される。
これにより、可動部材30が、これら梁部材53A,53Bにより、下側基板10と上側基板20との間に吊設されることとなる。
このとき、梁部材53A,53Bが揺動方向Yに沿って可撓性を有していることから、外部からの振動エネルギーに応じて、可動部材30が揺動方向Yに沿って往復して変位する、すなわち揺動することになる。
以下では、可動部材30の位置として、開口51の中心位置を揺動による変位のない静止位置PCとし、可動部材30が揺動方向Yに変位した位置を正側変位位置PAとし、可動部材30が揺動方向Yとは逆方向に変位した位置を負側変位位置PBとする。これらPA,PB,PCは、可動部材30の位置だけでなく、可動部材30に形成された各可動電極の位置を表す場合にも適用する。
[可動電極]
次に、図1−図3を参照して、本実施の形態にかかる静電変換装置1の可動部材30に設けられた可動電極について説明する。
本実施の形態は、全体として板形状をなす可動部材30の下面31、上面32、直交側面33A,33B、および平行側面34A,34Bのすべてに、可動電極を形成するとともに、これら可動電極と対向する位置に固定電極を設けたことを特徴としている。
図2および図3に示すように、可動部材30のうち、下側基板10と対向する下面31には、表面に絶縁帯電体30Eが形成された下面可動電極31Mが、下側基板10に向けて突設されており、上側基板20と対向する上面32には、表面に絶縁帯電体30Eが形成された上面可動電極32Mが、上側基板20に向けて突設されている。
下面可動電極31Mは、可動部材30の下面31のうち直交方向Xに延在するように突設されて、表面に絶縁帯電体30Eが形成された金属などの導電体からなる、断面略矩形状の板状部材から構成されており、当該断面の長手方向が垂直方向Zに沿った縦方向の向きで下面31に固定されている。
上面可動電極32Mは、可動部材30の上面32のうち直交方向Xに延在するように突設されて、表面に絶縁帯電体30Eが形成された金属などの導電体からなる、断面略矩形状の板状部材から構成されており、当該断面の長手方向が垂直方向Zに沿った縦方向の向きで上面32に固定されている。
また、可動部材30のうち、揺動方向Yと直交する直交側面33A,33Bには、表面に絶縁帯電体30Eが形成された直交側面可動電極(側面可動電極)33Mが、下側基板10,上側基板20の平面方向に向けて、ここでは揺動方向Yに沿って突設されている。
直交側面可動電極33Mは、表面に絶縁帯電体30Eが形成された金属などの導電体からなる、断面略矩形状の板状部材から構成されており、当該断面の長手方向が垂直方向Zに沿った縦方向の向きで、その一端が直交側面33A,33Bに固定されている。
また、可動部材30のうち、揺動方向Yと平行する平行側面34A,34Bには、表面に絶縁帯電体30Eが形成された平行側面可動電極(側面可動電極)34Mが、下側基板10,上側基板20の平面方向に向けて、ここでは直交方向Xに沿って突設されている。
平行側面可動電極34Mは、表面に絶縁帯電体30Eが形成された金属などの導電体からなる、断面略矩形状の凸状部材から構成されており、当該断面の長手方向が垂直方向Zに沿った縦方向の向きで、その一端が平行側面34A,34Bに固定されている。
[固定電極]
次に、図1−図3を参照して、本実施の形態にかかる静電変換装置1の下側基板10および上側基板20に設けられた固定電極について説明する。
図2および図3に示すように、下側基板10のうち、可動部材30と対向する上面11の絶縁膜11P上には、可動部材30の下面可動電極31Mと対向して正側下部固定電極11A、負側下部固定電極11B、および中間下部固定電極11Cが、揺動方向Yに沿って等間隔で突設されている。
このうち、中間下部固定電極11Cは、絶縁膜11Pのうち、下面可動電極31Mの揺動による変位のない静止位置PCと対向する位置に、直交方向Xに沿って延在するように突設された、金属などの導電体からなる断面略矩形状の板状部材から構成されており、当該断面の長手方向が垂直方向Zに沿った縦方向の向きで絶縁膜11Pに固定されている。
また、正側下部固定電極11Aは、絶縁膜11Pのうち、下面可動電極31Mが揺動方向Yに変位した正側変位位置PAと対向する位置に、直交方向Xに沿って延在するように突設された、金属などの導電体からなる断面略矩形状の板状部材から構成されており、当該断面の長手方向が垂直方向Zに沿った縦方向の向きで絶縁膜11Pに固定されている。
負側下部固定電極11Bは、絶縁膜11Pのうち、下面可動電極31Mが揺動方向Yとは逆方向に変位した負側変位位置PBと対向する位置に、直交方向Xに延在するように突設された、金属などの導電体からなる断面略矩形状の板状部材から構成されており、当該断面の長手方向が垂直方向Zに沿った縦方向の向きで絶縁膜11Pに固定されている。
また、上側基板20のうち、可動部材30と対向する下面22の絶縁膜22Pには、可動部材30の上面可動電極32Mと対向して正側上部固定電極22A、負側上部固定電極22B、および中間上部固定電極22Cが、揺動方向Yに沿って等間隔で突設されている。
このうち、中間上部固定電極22Cは、絶縁膜22Pのうち、上面可動電極32Mの揺動による変位のない静止位置PCと対向する位置に、直交方向Xに沿って延在するように突設された、金属などの導電体からなる断面略矩形状の板状部材から構成されており、当該断面の長手方向が垂直方向Zに沿った縦方向の向きで絶縁膜22Pに固定されている。
また、正側上部固定電極22Aは、絶縁膜22Pのうち、上面可動電極32Mが揺動方向Yに変位した正側変位位置PAと対向する位置に、直交方向Xに沿って延在するように突設された、金属などの導電体からなる断面略矩形状の板状部材から構成されており、当該断面の長手方向が垂直方向Zに沿った縦方向の向きで絶縁膜22Pに固定されている。
負側上部固定電極22Bは、絶縁膜22Pのうち、上面可動電極32Mが揺動方向Yとは逆方向に変位した負側変位位置PBと対向する位置に、直交方向Xに沿って延在するように突設された、金属などの導電体からなる断面略矩形状の板状部材から構成されており、当該断面の長手方向が垂直方向Zに沿った縦方向の向きで絶縁膜22Pに固定されている。
また、下側基板10のうち、上面11の絶縁膜11Pには、可動部材30の直交側面可動電極33Mと対向して、正側直交側面固定電極13A、負側直交側面固定電極13B、および中間直交側面固定電極13Cが、揺動方向Yに沿って等間隔で立設されている。
このうち、中間直交側面固定電極13Cは、絶縁膜11Pのうち、直交側面可動電極33Mの揺動による変位のない静止位置PCと対向する位置に立設された、金属などの導電体からなる断面略矩形状の柱状部材から構成されている。
また、正側直交側面固定電極13Aは、絶縁膜11Pのうち、直交側面可動電極33Mが揺動方向Yに変位した正側変位位置PAと対向する位置に立設された、金属などの導電体からなる断面略矩形状の柱状部材から構成されている。
負側直交側面固定電極13Bは、絶縁膜11Pのうち、直交側面可動電極33Mが揺動方向Yとは逆方向に変位した負側変位位置PBと対向する位置に立設された、金属などの導電体からなる断面略矩形状の柱状部材から構成されている。
また、下側基板10のうち、上面11の絶縁膜11Pには、可動部材30の平行側面可動電極34Mと対向して、正側平行側面固定電極14A、負側平行側面固定電極14B、および中間平行側面固定電極14Cが、揺動方向Yに沿って等間隔で立設されている。
このうち、中間平行側面固定電極14Cは、絶縁膜11Pのうち、平行側面可動電極34Mの揺動による変位のない静止位置PCと対向する位置に立設された、金属などの導電体からなる断面略矩形状の柱状部材から構成されている。
また、正側平行側面固定電極14Aは、絶縁膜11Pのうち、平行側面可動電極34Mが揺動方向Yに変位した正側変位位置PAと対向する位置に立設された、金属などの導電体からなる断面略矩形状の柱状部材から構成されている。
負側平行側面固定電極14Bは、絶縁膜11Pのうち、平行側面可動電極34Mが揺動方向Yとは逆方向に変位した負側変位位置PBと対向する位置に立設された、金属などの導電体からなる断面略矩形状の柱状部材から構成されている。
これら可動電極と固定電極とからなる組のうち、下面可動電極31Mと、正側下部固定電極11A、負側下部固定電極11B、および中間下部固定電極11Cとの電極組は、図1−図3において、5組設けられているが、この組数については5組に限定されるものではなく、適宜変更すればよい。これについては、上面可動電極32Mと、正側上部固定電極22A、負側上部固定電極22B、および中間上部固定電極22Cとの電極組の組数についても同様である。
さらに、直交側面可動電極33Mと、正側直交側面固定電極13A、負側直交側面固定電極13B、および中間直交側面固定電極13Cとの電極組は、図1−図3において、8組設けられているが、この組数については8組に限定されるものではなく、適宜変更すればよい。これについては、平行側面可動電極34Mと、正側平行側面固定電極14A、負側平行側面固定電極14B、および中間平行側面固定電極14Cとの電極組の組数についても同様である。
また、各電極組に属する正側下部固定電極11Aは、下側基板10に設けられている正側接続端子(図示せず)まで、配線を介して共通接続されており、負側下部固定電極11Bおよび中間下部固定電極11Cも、これと同様にして、下側基板10に設けられている負側接続端子および中間接続端子(ともに図示せず)まで、配線を介してそれぞれ共通接続されている。これについては、各電極組に属する正側上部固定電極22A、負側上部固定電極22B、および中間上部固定電極22Cについても同様であり、上側基板20に設けられている正側接続端子、負側接続端子、および中間接続端子(ともに図示せず)まで、配線を介してそれぞれ共通接続されている。
また、各電極組に属する正側直交側面固定電極13A、負側直交側面固定電極13B、および中間直交側面固定電極13Cについても同様であり、下側基板10に設けられている正側接続端子、負側接続端子、および中間接続端子(ともに図示せず)まで、配線を介してそれぞれ共通接続されている。さらに、各電極組に属する正側平行側面固定電極14A、負側平行側面固定電極14B、および中間平行側面固定電極14Cについても同様であり、下側基板10に設けられている正側接続端子、負側接続端子、および中間接続端子(ともに図示せず)まで、配線を介してそれぞれ共通接続されている。
[本実施の形態の動作]
次に、図面を参照して、本実施の形態にかかる静電変換装置1の発電動作について、電極組ごとに説明する。
まず、図4A,図4B,図4Cを参照して、下側基板10,上側基板20の平面方向に沿って対向配置された、直交側面可動電極33Mと、正側直交側面固定電極13A、負側直交側面固定電極13B、および中間直交側面固定電極13Cとの電極組における、発電動作について説明する。図4Aは、直交側面可動電極による発電動作(静止位置)を示す説明図である。図4Bは、直交側面可動電極による発電動作(正側変位位置)を示す説明図である。図4Cは、直交側面可動電極による発電動作(負側変位位置)を示す説明図である。
直交側面可動電極33Mは、一端が可動部材30の直交側面33A,33Bに固定された板状部材からなる腕部材33Uと、腕部材33Uの他端に設けられた、腕部材33Uの幅(厚さ)より幅広の先端部33Tから構成されており、これら腕部材33Uおよび先端部33Tの表面には絶縁帯電体30Eが形成されている。
また、正側直交側面固定電極13A、負側直交側面固定電極13B、および中間直交側面固定電極13Cは、2組設けられており、直交側面可動電極33Mを挟んで、対向する位置に立設されている。
図4Aに示すように、可動部材30が揺動により変位していない静止位置PCに位置している場合、直交側面可動電極33Mの先端部33Tは、中間直交側面固定電極13Cと対向する。このため、中間直交側面固定電極13Cは、先端部33Tの絶縁帯電体30Eにより形成される静電場の影響を受け、静電誘導の原理により絶縁帯電体30Eの負電荷に対応した正電荷が、中間直交側面固定電極13Cに現れる。
このような状態において、外部から静電変換装置1に振動エネルギーが与えられた場合、質量を有する可動部材30が揺動方向Yに揺動する。ここで、図4Bに示すように、可動部材30が揺動方向Yに移動して、先端部33Tも揺動方向Yに正側変位位置PAまで移動した場合、先端部33Tは、正側直交側面固定電極13Aと対向する。このため、正側直交側面固定電極13Aは、先端部33Tの絶縁帯電体30Eにより形成される静電場の影響を受け、静電誘導の原理により絶縁帯電体30Eの負電荷に対応した正電荷が、正側直交側面固定電極13Aに現れる。この正電荷は、中間直交側面固定電極13Cと正側直交側面固定電極13Aとの間に電気的に接続された正側外部負荷RAを介して、中間直交側面固定電極13Cから移動してきたものである。
一方、図4Cに示すように、可動部材30が揺動方向Yに移動して、先端部33Tも揺動方向Yに負側変位位置PBまで移動した場合、先端部33Tは、負側直交側面固定電極13Bと対向する。このため、負側直交側面固定電極13Bは、先端部33Tの絶縁帯電体30Eにより形成される静電場の影響を受け、静電誘導の原理により絶縁帯電体30Eの負電荷に対応した正電荷が、負側直交側面固定電極13Bに現れる。この正電荷は、中間直交側面固定電極13Cと負側直交側面固定電極13Bとの間に電気的に接続された負側外部負荷RBを介して、中間直交側面固定電極13Cから移動してきたものである。
このように、静電変換装置1が振動することによって可動部材30が揺動方向Yに揺動した場合、先端部33Tが、静止位置PCから正側変位位置PAまで変位した後、再び静止位置PCまで戻る。このため、中間直交側面固定電極13Cと正側直交側面固定電極13Aとに、交互に正電荷が誘導され、結果として、正側外部負荷RAに交流電流が流れることとなる。
同様に、可動部材30が揺動方向Yとは逆方向に沿って揺動し、先端部33Tが静止位置PCから負側変位位置PBまで変位した後、再び静止位置PCまで戻る。このため、中間直交側面固定電極13Cと負側直交側面固定電極13Bとに、交互に正電荷が誘導され、結果として、負側外部負荷RBに交流電流が流れることとなる。
このように、本実施の形態は、直交側面可動電極33Mと、正側直交側面固定電極13A、負側直交側面固定電極13B、および中間直交側面固定電極13Cとを、下側基板10,上側基板20の平面方向に沿って対向配置するようにしたので、下側基板10,上側基板20や可動部材30の面積による制約を受けずに、直交側面可動電極33Mの絶縁帯電体30Eと、正側直交側面固定電極13A、負側直交側面固定電極13B、および中間直交側面固定電極13Cとの重なり面積を設定することができ、サイズ当たりの発電率効率を向上させることができる。
また、正側直交側面固定電極13A、負側直交側面固定電極13B、および中間直交側面固定電極13Cを2組設けて、直交側面可動電極33Mを挟んで、対向する位置に立設したので、サイズ当たりの発電率効率を向上させることができる。
次に、図5A、図5B、図5Cを参照して、下側基板10,上側基板20の平面方向に沿って対向配置された、平行側面可動電極34Mと、正側平行側面固定電極14A、負側平行側面固定電極14B、および中間平行側面固定電極14Cとの電極組における、発電動作について説明する。図5Aは、平行側面可動電極による発電動作(静止位置)を示す説明図である。図5Bは、平行側面可動電極による発電動作(正側変位位置)を示す説明図である。図5Cは、平行側面可動電極による発電動作(負側変位位置)を示す説明図である。
平行側面可動電極34Mは、可動部材30の平行側面34A,34Bに突出して設けられた凸状部材34Uから構成されており、この凸状部材34Uの表面には絶縁帯電体30Eが形成されている。
図5Aに示すように、可動部材30が揺動により変位していない静止位置PCに位置している場合、凸状部材34Uの先端部34Tは、中間平行側面固定電極14Cと対向する。このため、中間平行側面固定電極14Cは、先端部34Tの絶縁帯電体30Eにより形成される静電場の影響を受け、静電誘導の原理により絶縁帯電体30Eの負電荷に対応した正電荷が、中間平行側面固定電極14Cに現れる。
このような状態において、外部から静電変換装置1に振動エネルギーが与えられた場合、質量を有する可動部材30が揺動方向Yに揺動する。ここで、図5Bに示すように、可動部材30が揺動方向Yに移動して、先端部34Tも揺動方向Yに正側変位位置PAまで移動した場合、先端部34Tは、正側平行側面固定電極14Aと対向する。このため、正側平行側面固定電極14Aは、先端部34Tの絶縁帯電体30Eにより形成される静電場の影響を受け、静電誘導の原理により絶縁帯電体30Eの負電荷に対応した正電荷が、正側平行側面固定電極14Aに現れる。この正電荷は、中間平行側面固定電極14Cと正側平行側面固定電極14Aとの間に電気的に接続された正側外部負荷RAを介して、中間平行側面固定電極14Cから移動してきたものである。
一方、図5Cに示すように、可動部材30が揺動方向Yに移動して、先端部34Tも揺動方向Yに負側変位位置PBまで移動した場合、先端部34Tは、負側平行側面固定電極14Bと対向する。このため、負側平行側面固定電極14Bは、先端部34Tの絶縁帯電体30Eにより形成される静電場の影響を受け、静電誘導の原理により絶縁帯電体30Eの負電荷に対応した正電荷が、負側平行側面固定電極14Bに現れる。この正電荷は、中間平行側面固定電極14Cと負側平行側面固定電極14Bとの間に電気的に接続された負側外部負荷RBを介して、中間平行側面固定電極14Cから移動してきたものである。
このように、静電変換装置1が振動することによって可動部材30が揺動方向Yに揺動した場合、先端部34Tが、静止位置PCから正側変位位置PAまで変位した後、再び静止位置PCまで戻る。このため、中間平行側面固定電極14Cと正側平行側面固定電極14Aとに、交互に正電荷が誘導され、結果として、正側外部負荷RAに交流電流が流れることとなる。
同様に、可動部材30が揺動方向Yとは逆方向に沿って揺動し、先端部34Tが静止位置PCから負側変位位置PBまで変位した後、再び静止位置PCまで戻る。このため、中間平行側面固定電極14Cと負側平行側面固定電極14Bとに、交互に正電荷が誘導され、結果として、負側外部負荷RBに交流電流が流れることとなる。
このように、本実施の形態は、平行側面可動電極34Mと、正側平行側面固定電極14A、負側平行側面固定電極14B、および中間平行側面固定電極14Cとを、下側基板10,上側基板20の平面方向に沿って対向配置するようにしたので、下側基板10,上側基板20や可動部材30の面積による制約を受けずに、平行側面可動電極34Mの絶縁帯電体30Eと、正側平行側面固定電極14A、負側平行側面固定電極14B、および中間平行側面固定電極14Cとの重なり面積を設定することができ、サイズ当たりの発電率効率を向上させることができる。
次に、図6A、図6B、図6Cを参照して、下側基板10,上側基板20の垂直方向Zに沿って対向配置された、下面可動電極31Mと、正側下部固定電極11A、負側下部固定電極11B、および中間下部固定電極11Cとの電極組における、発電動作について説明する。図6Aは、下面可動電極による発電動作(静止位置)を示す説明図である。図6Bは、下面可動電極による発電動作(正側変位位置)を示す説明図である。図6Cは、下面可動電極による発電動作(負側変位位置)を示す説明図である。
下面可動電極31Mは、可動部材30の下面31に突出して設けられた板形部材31Uから構成されており、この板形部材31Uの表面には絶縁帯電体30Eが形成されている。
図6Aに示すように、可動部材30が揺動により変位していない静止位置PCに位置している場合、板形部材31Uの先端部31Tは、中間下部固定電極11Cと対向する。このため、中間下部固定電極11Cは、先端部31Tの絶縁帯電体30Eにより形成される静電場の影響を受け、静電誘導の原理により絶縁帯電体30Eの負電荷に対応した正電荷が、中間下部固定電極11Cに現れる。
このような状態において、外部から静電変換装置1に振動エネルギーが与えられた場合、質量を有する可動部材30が揺動方向Yに揺動する。ここで、図6Bに示すように、可動部材30が揺動方向Yに移動して、先端部31Tも揺動方向Yに正側変位位置PAまで移動した場合、先端部31Tは、正側下部固定電極11Aと対向する。このため、正側下部固定電極11Aは、先端部31Tの絶縁帯電体30Eにより形成される静電場の影響を受け、静電誘導の原理により絶縁帯電体30Eの負電荷に対応した正電荷が、正側下部固定電極11Aに現れる。この正電荷は、中間下部固定電極11Cと正側下部固定電極11Aとの間に電気的に接続された正側外部負荷RAを介して、中間下部固定電極11Cから移動してきたものである。
一方、図6Cに示すように、可動部材30が揺動方向Yに移動して、先端部31Tも揺動方向Yに負側変位位置PBまで移動した場合、先端部31Tは、負側下部固定電極11Bと対向する。このため、負側下部固定電極11Bは、先端部31Tの絶縁帯電体30Eにより形成される静電場の影響を受け、静電誘導の原理により絶縁帯電体30Eの負電荷に対応した正電荷が、負側下部固定電極11Bに現れる。この正電荷は、中間下部固定電極11Cと負側下部固定電極11Bとの間に電気的に接続された負側外部負荷RBを介して、中間下部固定電極11Cから移動してきたものである。
このように、静電変換装置1が振動することによって可動部材30が揺動方向Yに揺動した場合、先端部31Tが、静止位置PCから正側変位位置PAまで変位した後、再び静止位置PCまで戻る。このため、中間下部固定電極11Cと正側下部固定電極11Aとに、交互に正電荷が誘導され、結果として、正側外部負荷RAに交流電流が流れることとなる。
同様に、可動部材30が揺動方向Yとは逆方向に沿って揺動し、先端部31Tが静止位置PCから負側変位位置PBまで変位した後、再び静止位置PCまで戻る。このため、中間下部固定電極11Cと負側下部固定電極11Bとに、交互に正電荷が誘導され、結果として、負側外部負荷RBに交流電流が流れることとなる。
このように、本実施の形態は、下面可動電極31Mと、正側下部固定電極11A、負側下部固定電極11B、および中間下部固定電極11Cとを、下側基板10,上側基板20の垂直方向Zに沿って対向配置するようにしたので、可動部材30の下面31も利用して、下面可動電極31Mと、正側下部固定電極11A、負側下部固定電極11B、および中間下部固定電極11Cとの重なり面積を増やすことができ、サイズ当たりの発電率効率を向上させることができる。
また、下面可動電極31Mと、正側下部固定電極11A、負側下部固定電極11B、および中間下部固定電極11Cとを、直交方向Xに延在するように突設したので、互いの重なり面積を効果的に増やすことができ、サイズ当たりの発電率効率を向上させることができる。
また、図6A−図6Cでは、可動部材30の下面31を利用した場合の発電動作を例として説明したが、上面32を利用した場合の発電動作、すなわち、上面可動電極32Mと、正側上部固定電極22A、負側上部固定電極22B、および中間上部固定電極22Cとの電極組における、発電動作についても同様であり、ここでの説明は省略する。
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、全体として平板部材(直方体)をなす可動部材30の下面31、上面32、直交側面33A,33B、および平行側面34A,34Bの6面すべてに、表面に絶縁帯電体30Eが形成された可動電極31M,32M,33M,34Mを形成するとともに、これら可動電極31M,32M,33M,34Mと対向する位置に、導電体からなる固定電極11A,11B,11C,22A,22B,22C,13A,13B,13C,14A,14B,14Cを設けたものである。
このような可動電極と固定電極との対向構造により、可動電極と固定電極との重なり面積を大幅に増大させることができ、サイズ当たりの発電率効率を向上させることが可能となる。したがって、結果として、発電出力の向上や静電変換装置の小型化を実現することが可能となる。また、可動部材30および各可動電極を31M,32M,33M,34Mの表面に絶縁帯電体30Eを形成したので、より発電率効率を向上させることが可能となる。
[静電変換装置の製造方法]
次に、本実施の形態にかかる静電変換装置1の製造方法について説明する。本実施の形態では、下側基板10の構造物と、上側基板20の構造物とを、別個の製造工程で製造した後、両者を貼り合わせることにより静電変換装置1を製造する場合を例として説明する。
まず、図7A−図7Dを参照して、下側基板10の構造物のうち、下部固定電極を構成する、正側下部固定電極11A、負側下部固定電極11B、および中間下部固定電極11Cほかの製造工程までについて説明する。図7A〜図7Dは、下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。
図7Aに示すように、例えば、酸化シリコンからなる絶縁膜102(11P)が上面101(11)に形成された、シリコンからなる下側基板100(10)を用意する。この下側基板100は、複数のトランジスタ、抵抗、容量、配線などから構成された半導体集積回路を備えるようにしてもよい。この場合、集積回路の配線や、パッドの配線などと電気的に接続するためのコンタクトホールなどが、絶縁膜102の所定の箇所に形成されていてもよい。
このような下側基板100に対して、図7Bに示すように、絶縁膜102上に第1のシード層103(11S)を形成する。この第1のシード層103は、例えば、スパッタ法や蒸着法などにより、絶縁膜102上にチタンを堆積した後、この上に金を堆積することにより形成することができる。この場合、チタンの膜厚は0.1μm程度、金の膜厚は0.1μm程度とすればよい。
第1のシード層103を形成した後、図7Cに示すように、第1のシード層103の上にレジスト材料を塗布し、このレジスト材料に対して所望のパターンを有するマスクを用いて露光することにより、第1のシード層103上の所望の位置に開口部が形成されたレジストパターンを形成する。このとき、その開口部からは、第1のシード層103が露出している。
このようなレジストパターンを形成した後、例えばメッキ法により、そのレジストパターンの開口部内に金を堆積した後、そのレジストパターンを除去することにより、第1のシード層103上に上方に突出した柱状の第1の金属パターン104(スペーサ部材50、正側下部固定電極11A、負側下部固定電極11B、および中間下部固定電極11Cなど)を形成する。このとき、例えば、塗布するレジスト材料の膜厚を5μm程度、メッキ膜の膜厚を1μm程度とすることにより、第1の金属パターンの高さを1μm程度に形成することができる。
このようにして第1の金属パターン104を形成した後、この第1の金属パターン104をマスクとして第1のシード層103をエッチング除去し、図7Dに示すように、第1の金属パターン104が絶縁膜102の上で互いに分離した状態とする。これにより、スペーサ部材50の下部、柱部材52A,52Bの下部、正側直交側面固定電極13A、負側直交側面固定電極13B、中間直交側面固定電極13C、正側平行側面固定電極14A、負側平行側面固定電極14B、および中間平行側面固定電極14Cの各固定電極の下部、正側下部固定電極11A、負側下部固定電極11B、および中間下部固定電極11Cの各固定電極の全体が形成される。
この際、第1のシード層103のエッチング除去は、例えば、第1のシード層103の上層にある金を、硝酸と塩酸からなる王水エッチング液でウエットエッチングした後、このウエットエッチングにより露出した第1のシード層103の下層にあるチタンを、フッ化水素水溶液によりウエットエッチングすることにより行うことができる。
次に、図8A〜図8Gを参照して、下側基板10の構造物のうち、下面可動電極31Mほかの製造工程までについて説明する。図8A〜図8Gは、静電変換装置の下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。
第1のシード層103を選択的にエッチング除去した後、図8Aに示すように、絶縁膜上に第1の犠牲層110を形成する。このとき、第1の金属パターン104の上面は、第1の犠牲層110表面に露出した状態とされる。
このような第1の犠牲層110は、例えば、PBO(ポリベンゾオキサゾール)からなる感光性有機樹脂を絶縁膜上に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を公知のリソグラフィ技術によりパターニングすることにより形成することができる。
そのパターニングでは、前処理として120℃のプリベークを4分間行い、パターニング後に310℃の加熱処理を行い、有機樹脂の膜が熱硬化された状態とする。その有機樹脂としては、例えば、住友ベークライト社製のCRC8300を用いることができる。
第1の犠牲層110を形成した後、図8Bに示すように、上述した第1のシード層103を形成した方法と同様の方法により第1の犠牲110層上に第2のシード層111を形成し、図8Cに示すように、上述した第1の金属パターン104を形成した方法と同様の方法により第2のシード層111上に第2の金属パターン112を形成する。ここで、第2の金属パターン112の形成時には、例えば、塗布するレジスト材料の膜厚を20μm程度、メッキ膜の膜厚を15μm程度とすることにより、第2の金属パターンの高さを15μm程度に形成することができる。
第2の金属パターン112を形成した後、この第2の金属パターン112をマスクとして第2のシード層111をエッチング除去し、図8Dに示すように、第2の金属パターン112が第1の犠牲層110の上で互いに分離した状態とする。これにより、スペーサ部材50の下部、柱部材52A,52Bの下部、正側直交側面固定電極13A、負側直交側面固定電極13B、中間直交側面固定電極13C、正側平行側面固定電極14A、負側平行側面固定電極14B、および中間平行側面固定電極14Cの各固定電極の下部が形成される。
第2のシード層111のエッチング除去は、第1のシード層103の除去と同様な方法で行えばよい。
第2のシード層111を選択的にエッチング除去した後、図8Eに示すように、第1の犠牲層110上に第2の犠牲層113を形成する。このとき、第2の金属パターン112の上面は、第2の犠牲層113の表面に露出した状態とされる。このような第2の犠牲層113の形成は、第1の犠牲層110と同様な方法で行えばよい。
第2の犠牲層113を形成した後、図8Fに示すように、上述した第1のシード層110を形成した方法と同様の方法により第2の犠牲層113上に第3のシード層114を形成し、上述した第1の金属パターン104を形成した方法と同様の方法により第3のシード層114上に第3の金属パターン115を形成する。ここで、第3の金属パターン115の形成時には、例えば、マスクとなるレジストパターンの膜厚を40μm程度、メッキの膜厚20μm程度に形成された状態とすればよい。
第3の金属パターン115を形成した後、図8Gに示すように、第1のシード層103をエッチング除去した方法と同様の方法により、第3の金属パターン115をマスクとして第3のシード層114をエッチング除去し、第3の金属パターン115が第2の犠牲層113上で互いに分離した状態とする。これにより、スペーサ部材50の下部、柱部材52A,52Bの下部、正側直交側面固定電極13A、負側直交側面固定電極13B、中間直交側面固定電極13C、正側平行側面固定電極14A、負側平行側面固定電極14B、および中間平行側面固定電極14Cの各固定電極の一部、下部固定電極を構成する、正側下部固定電極11A、負側下部固定電極11B、および中間下部固定電極11Cの全部が形成される。
次に、図9A〜図9Hを参照して、下側基板10の構造物のうち、正側上部固定電極22A、負側上部固定電極22B、および中間上部固定電極22Cほかの製造工程までについて説明する。図9A〜図9Hは、下側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。
第3のシード層114を選択的にエッチング除去した後、図9Aに示すように、第2の犠牲層113上に第3の犠牲層120を形成する。このとき、第3の金属パターン115の上面は、第3の犠牲層120の表面に露出した状態とされる。このような第3の犠牲層120を形成する工程は、上述した第1の犠牲層110を形成する工程と同等の方法により行うことができる。
第3の犠牲層を形成した後、図9Bに示すように、第1のシード層103を形成した方法と同等の方法により、第3の犠牲層120上に第4のシード層121を形成し、第1の金属パターン104や第2の金属パターン112を形成した方法と同等の方法により、その第4のシード層121上に第4の金属パターン122を形成する。ここで、第4の金属パターン122の形成時には、マスクとなるレジストパターンの膜厚を40μm程度、メッキの膜厚25μm程度に形成された状態とすればよい。
第4の金属パターン112を形成した後、図9Cに示すように、第1のシード層103や第2のシード層111をエッチング除去した方法と同等の方法により、第4の金属パターン122をマスクとして第4のシード層121を除去する。これにより、第4の金属パターン122が第3の犠牲層120上で分離した状態とする。これにより、スペーサ部材50の一部、柱部材52A,52Bの上部、梁部材53A,53B、可動部材30、直交側面可動電極33M、平行側面可動電極34M、正側直交側面固定電極13A、負側直交側面固定電極13B、中間直交側面固定電極13C、正側平行側面固定電極14A、負側平行側面固定電極14B、および中間平行側面固定電極14Cの各固定電極の上部が形成される。
第4のシード層121を選択的にエッチング除去した後、図9Dに示すように、第3の犠牲層120上に第4の犠牲層123を形成する。このとき、第4の金属パターン122の上面は、第4の犠牲層123の表面に露出した状態とされる。このような第4の犠牲層123を形成する工程は、上述した第1の犠牲層110や第2の犠牲層113を形成する工程と同等の方法により行うことができる。
第4の犠牲層123を形成した後、図9Eに示すように、第1のシード層103等を形成した方法と同等の方法により、第4の犠牲層123上に第5のシード層124を形成し、第1の金属パターン104等を形成した方法と同等の方法により、その第5のシード層124上に第5の金属パターン125を形成する。ここで、第5の金属パターン125の形成時には、マスクとなるレジストパターンの膜厚を40μm程度、メッキの膜厚20μm程度に形成された状態とすればよい。
第5の金属パターン125を形成した後、図9Fに示すように、第1のシード層103等をエッチング除去した方法と同等の方法により、第5の金属パターン125をマスクとして第5のシード層124を除去する。これにより、第5の金属パターン125が第4の犠牲層123上で分離した状態とする。これにより、スペーサ部材50の一部、上面可動電極32Mの全部が形成される。
第5のシード層124を選択的にエッチング除去した後、図9Gに示すように、第1の犠牲層110、第2の犠牲層113、第3の犠牲層120、第4の犠牲層123を除去する。これにより、可動部材30の一部を構成する第4のシード層121の下方に空間が形成された状態となる。第1の犠牲層110、第2の犠牲層113、第3の犠牲層120、第4の犠牲層123の除去は、例えば、オゾンアッシャー装置を用いてオゾンをこれら犠牲層に作用させることにより、行うことができる。
第1から第4の犠牲層を除去した後、図9Hに示すように、第3のシード層114、第3の金属パターン115、第4のシード層121、および第4の金属パターン122のうち、可動部材30を構成する部材の表面に、撥水性、絶縁性および帯電性を発現する電着材料を用いた電着により、絶縁膜126を形成する。この絶縁膜126は、上述した絶縁帯電体30Eを構成する。このような絶縁膜126の製造工程の具体例を以下に示す。
例えば、スルフォニウムカチオンが分散する電着液(例えば、日本ペイント(株)製、INSULEED3020X)を30℃に調整し、この電着液の中に、上述した工程を経た微細構造体および白金からなる固定電極が浸漬された状態とする。この状態で可動部材30を構成する部材に負電圧を印加するとともに、固定電極に正電圧を印加する。すなわち、可動部材30を構成する部材を構成する部材を負極とし、固定電極を正極として電着液中に浸漬し、定電圧源を用いて電圧を印加することにより、カチオン電着を行う。
この電着により、電着液に分散している絶縁膜126の形成材料が、負電圧が印加された可動部材30を構成する部材の表面に析出することにより、絶縁膜126が形成される。電着液に分散している材料は、負電圧が印加されていない絶縁膜126や、その他の部材の表面には付着せず、負電圧を印加した可動部材30を構成する部材のみに絶縁膜126を選択的に形成することができる。したがって、可動部材30および各可動電極31M,32M,33M,34Mの表面に、絶縁帯電体30Eとなる絶縁膜126を、容易に形成することができる。
このようにして絶縁膜126を形成した後、微細構造体を水洗処理し、乾燥させた後、窒素雰囲気において190℃で25分間の加熱処理を行うことにより、絶縁膜126が熱硬化された状態とする。
絶縁膜126を熱硬化した後、微細構造体に対して、例えば、公知の軟X線法、液体接触法などの方法により、帯電処理を行う。このような帯電処理により、絶縁膜126の表面には負電荷が帯電した状態となる。
次に、図10A〜図10Dを参照して、上側基板20の構造物に関する製造工程について説明する。図10A〜図10Dは、上側基板の構造物に関する製造方法を示す工程図である。
図10Aに示すように、例えば、酸化シリコンからなる第2の絶縁膜131が一方の面に形成された、シリコンからなる上側基板130を用意する。ここで、上側基板130は、複数のトランジスタ、抵抗、容量、配線などから構成された半導体集積回路を備えるようにしてもよい。この場合、集積回路の配線や、パッドの配線などと電気的に接続するためのコンタクトホールなどが、第2の絶縁膜の所定の箇所に形成されていてもよい。
このような上側基板130に対して、上述した第1のシード層103等を形成した方法と同様の方法により第2の絶縁膜131上に第6のシード層132を形成し、第1の金属パターン104等を形成した方法と同様の方法により第6のシード層132上に第6の金属パターン133を形成する。ここで、第6の金属パターン133の形成時には、例えば、塗布するレジスト材料の膜厚を5μm程度、メッキ膜の膜厚を1μm程度とすることにより、第6の金属パターンの高さを1μm程度に形成することができる。これにより、上部固定電極を構成する、正側上部固定電極22A、負側上部固定電極22B、および中間上部固定電極22Cの各固定電極の一部、およびスペーサ部材50の一部が形成される。
第6の金属パターン133を形成した後、図10Bに示すように、上述した第1の金属パターン104を形成した方法と同様の方法により第6の金属パターン133上の一部に第7の金属パターン134を形成する。ここで、第7の金属パターン134の形成時には、例えば、塗布するレジスト材料の膜厚を20μm程度、メッキ膜の膜厚を15μm程度とすることにより、第7の金属パターン134の高さを15μm程度に形成することができる。これにより、スペーサ部材50の一部が形成される。
第7の金属パターン134を形成した後、第1のシード層103等をエッチング除去した方法と同様の方法により、第6の金属パターン133、および第6の金属パターン133をマスクとして第6のシード層132をエッチング除去し、図10Cに示すように、第6の金属パターン133および第7の金属パターン134が第6のシード層132上で互いに分離した状態とする。
次に、図10Dに示すように、下側基板100の構造物のうち、下側基板100の第1の絶縁膜102が形成された側の面と、上側基板130の構造物のうち、上側基板130の第2の絶縁膜131が形成された側の面とを対向させる。そして、下側基板100の構造物のうち、スペーサ部材50を構成する第5の金属パターン125の上面と、上側基板130の構造物のうち、スペーサ部材50を構成する第7の金属パターン134の上面とを貼り合わせる。この貼り合わせる方法としては、公知のCOC(Chip On Chip)接合や、常温SAB(Surface Activated Bonding )接合などにより行うことができる。これにより、静電変換装置1が完成する。
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
本発明は、振動エネルギーを電気エネルギーに変換する静電変換装置に適用することができ、携帯端末装置などの携帯型の電子機器の電源に好適である。
1…静電変換装置、10…下側基板、11…上面、11A…正側下部固定電極、11B…負側下部固定電極、11C…中間下部固定電極、11P…絶縁膜、13A…正側直交側面固定電極、13B…負側直交側面固定電極、13C…中間直交側面固定電極、14A…正側平行側面固定電極、14B…負側平行側面固定電極、14C…中間平行側面固定電極、20…上側基板、22…下面、22A…正側上部固定電極、22B…負側上部固定電極、22C…中間上部固定電極、22P…絶縁膜、30…可動部材、30E…絶縁帯電体、31…下面、31M…下面可動電極、32…上面、32M…上面可動電極、33A,33B…直交側面、33M…直交側面可動電極(側面可動電極)、34A,34B…平行側面、34M…平行側面可動電極(側面可動電極)、50…スペーサ部材、51…開口、52A,52B…柱部材、53A,53B…梁部材、X…直交方向、Y…揺動方向、Z…垂直方向、PA…正側変位位置、PB…負側変位位置、PC…静止位置。

Claims (7)

  1. 上下に離間して平行配置された上側基板および下側基板と、
    前記上側基板と前記下側基板との間にこれら基板と平行配置されるとともに、これら基板の平面方向と平行な一定の揺動方向に沿って揺動自在に支持されて、表面に絶縁帯電体が形成された平板形状をなす可動部材と、
    前記可動部材の下面に、前記下側基板に向けて突設されて、表面に前記絶縁帯電体が形成された下面可動電極と、
    前記可動部材の上面に、前記上側基板に向けて突設されて、表面に前記絶縁帯電体が形成された上面可動電極と、
    前記可動部材の各側面に、前記平面方向に向けて突設されて、表面に前記絶縁帯電体が形成された側面可動電極と、
    前記下側基板の上面に形成されている絶縁膜上のうち前記下面可動電極と対向する位置に突設されて、当該下面可動電極の揺動により誘導電荷を発生させる下部固定電極と、
    前記上側基板の下面に形成されている絶縁膜上のうち前記上面可動電極と対向する位置に突設されて、当該上面可動電極の揺動により誘導電荷を発生させる上部固定電極と、
    前記下側基板の上面または前記上側基板の下面に形成されている絶縁膜上のうち前記側面可動電極と対向する位置に突設されて、当該側面可動電極の揺動により誘導電荷を発生させる側面固定電極と
    を備えることを特徴とする静電変換装置。
  2. 請求項1に記載の静電変換装置において、
    前記下面可動電極は、前記可動部材の下面のうち前記揺動方向と直交する直交方向に延在するように突設されて、表面に前記絶縁帯電体が形成された板状部材からなり、
    前記下部固定電極は、前記下側基板の上面に形成されている前記絶縁膜のうち、前記下面可動電極の揺動による変位のない静止位置と対向する位置に前記直交方向に延在するように突設された導電体の板状部材からなる中間下部固定電極と、当該絶縁膜上のうち、前記下面可動電極が前記揺動方向に変位した正側変位位置と対向する位置に当該直交方向に延在するように突設された導電体の板状部材からなる正側下部固定電極と、当該絶縁膜上のうち、前記下面可動電極が前記揺動方向とは逆方向に変位した負側変位位置と対向する位置に当該直交方向に延在するように突設された導電体の板状部材からなる負側下部固定電極とを含む
    ことを特徴とする静電変換装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の静電変換装置において、
    前記上面可動電極は、前記可動部材の上面のうち前記揺動方向と直交する直交方向に延在するように突設されて、表面に前記絶縁帯電体が形成された板状部材からなり、
    前記上部固定電極は、前記上側基板の下面に形成されている前記絶縁膜のうち、前記上面可動電極の揺動による変位のない静止位置と対向する位置に前記直交方向に延在するように突設された導電体の板状部材からなる中間上部固定電極と、当該絶縁膜上のうち、前記上面可動電極が前記揺動方向に変位した正側変位位置と対向する位置に当該直交方向に延在するように突設された導電体の板状部材からなる正側上部固定電極と、当該絶縁膜上のうち、前記上面可動電極が前記揺動方向とは逆方向に変位した負側変位位置と対向する位置に当該直交方向に延在するように突設された導電体の板状部材からなる負側上部固定電極とを含む
    ことを特徴とする静電変換装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の静電変換装置において、
    前記側面可動電極は、前記可動部材の各側面のうち前記揺動方向と直交する直交側面に突設されて、表面に前記絶縁帯電体が形成された板状の直交側面可動電極からなり、
    前記側面固定電極は、前記下側基板の上面または前記上側基板の下面に形成されている前記絶縁膜のうち、前記直交側面可動電極の揺動による変位のない静止位置と対向する位置に立設された導電体の柱状部材からなる中間直交側面固定電極と、当該絶縁膜上のうち、前記直交側面可動電極が前記揺動方向に変位した正側変位位置と対向する位置に立設された導電体の柱状部材からなる正側直交側面固定電極と、当該絶縁膜上のうち、前記直交側面可動電極が前記揺動方向とは逆方向に変位した負側変位位置と対向する位置に立設された導電体の柱状部材からなる負側直交側面固定電極とを含む
    ことを特徴とする静電変換装置。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の静電変換装置において、
    前記側面可動電極は、前記可動部材の各側面のうち前記揺動方向と平行する平行側面に突設されて、表面に前記絶縁帯電体が形成された凸状の平行側面可動電極からなり、
    前記側面固定電極は、前記下側基板の上面または前記上側基板の下面に形成されている前記絶縁膜のうち、前記平行側面可動電極の揺動による変位のない静止位置と対向する位置に立設された導電体の柱状部材からなる中間平行側面固定電極と、当該絶縁膜上のうち、前記平行側面可動電極が前記揺動方向に変位した正側変位位置と対向する位置に立設された導電体の柱状部材からなる正側平行側面固定電極と、当該絶縁膜上のうち、前記平行側面可動電極が前記揺動方向とは逆方向に変位した負側変位位置と対向する位置に立設された導電体の柱状部材からなる負側平行側面固定電極とを含む
    ことを特徴とする静電変換装置。
  6. 下側基板と、当該下側基板上に、当該下側基板の平面方向と平行な一定の揺動方向に沿って揺動自在に支持されて、表面に絶縁帯電体が形成された平板形状をなす可動部材と、当該可動部材の上方に配置された上側基板とを有し、当該可動部材の上面、下面、および各側面に可動電極をそれぞれ突設するとともに、当該下側基板のうち当該可動電極に対向する位置に固定電極をそれぞれ立設し、外部から与えられた振動エネルギーにより当該可動電極を揺動させ、これに応じて当該固定電極を移動する誘導電荷から得られた電気エネルギーを出力する静電変換装置の製造方法であって、
    前記下側基板上に揺動自在支持された、前記可動電極を有する前記可動部材を含む下側基板構造体のうち、前記可動部材および前記可動電極の表面に、撥水性、絶縁性、および帯電性を発現する電着材料を用いた着電により、前記絶縁帯電体となる絶縁膜を形成する絶縁帯電体ステップを備える
    ことを特徴とする静電変換装置の製造方法。
  7. 請求項6の静電変換装置の製造方法において、
    前記絶縁帯電体ステップは、
    スルフォニウムカチオンが分散する着電液の中に、前記下側基板構造体および白金からなる前記固定電極を浸漬した浸漬状態とするステップと、
    前記浸漬状態で、前記可動部材および前記可動電極に負電圧を印加するとともに、前記固定電極に正電圧を印加することによりカチオン着電を行うステップと
    を含むことを特徴とする静電変換装置の製造方法。
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