JP5680934B2 - 静電変換装置および静電変換装置の製造方法 - Google Patents

静電変換装置および静電変換装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、振動エネルギーを電気エネルギーに変換する静電変換装置に関するものである。
近年、多数の携帯端末装置から構成されるユビキタスネットワークの開発が進んでいる。このユビキタスネットワークにおいて、ノードとなる携帯端末装置には、携帯性などの観点から、小型かつメンテナンス不要であることが望まれている(例えば、非特許文献1を参照。)。ところが、従来より携帯端末装置の電源に用いられている一次電池や二次電池は、携帯端末装置の構成要素と比較してサイズが大きくなるとともに、交換や充電などのメンテナンスが不可欠であった。
そこで、近年では、携帯端末装置に適した電源として、Energy harvesting技術を用いた手段が注目されている。このEnergy harvesting技術とは、環境の中に存在する振動、熱、電磁波(光や電波)など、通常は無駄に放出されていた各種エネルギーを電気エネルギーに変換する技術のことである。このようなEnergy harvesting技術のうち、振動エネルギーを電気エネルギーに変換する技術としては、電磁誘導、圧電変換、静電変換などを用いた技術が提案されている(非特許文献2を参照。)。中でも静電変換を用いる技術は、半導体プロセスやMEMS(Micro Electro Mechanical System)プロセスにより、小型化が容易であり、かつ機械的要素と電気的要素を独立して設計や作製することが可能であることから、多くの提案がなされている。その一例を図15に示す(非特許文献3を参照。)。
非特許文献3に開示された静電変換装置は、図15に示すように、20mm角程度のガラス板からなる下部基板701と、この下部基板701と同等の材料からなり、下部基板701の上方に所定距離離間し、かつ、下部基板701と互いに平行に配置された上部基板702と、この上部基板702の一端に連結され、上部基板702をその平面に平行な方向に振動させる加振器703とを備えている。下部基板701の上部基板702と対向する側の面上には、複数の電極704が設けられている。同様に、上部基板702の下部基板701と対向する側の面上には、複数の電極705が設けられている。これらの電極704および電極705は、対向配置されており、外部負荷706を介して電気的に接続されている。また、下部基板701に設けられた電極704の一部には、その上面に絶縁層707が設けられている。この絶縁層707は、一般に「エレクトレット」と呼ばれる電荷保持のための絶縁体として機能する。
このように構成された静電変換装置では、エレクトレットとして機能する絶縁層707により形成される静電場によってその絶縁層707と対向する電極705に誘導電荷を生じさせる。そして、加振器703を駆動させて上部基板702をその平面に平行な方向に振動させて、絶縁層707と電極705との重なり合う面積(以下、「重なり面積」という。)を変化させる。すると、電極705の絶縁層707と重なり合っていない部分が生じると、この部分に誘導されていた電荷が、外部負荷706を通って電極704に移動し、再びその部分が絶縁層707と重なり合うと、電極704に移動した電荷が外部負荷706を通ってその部分に移動することになる。これにより、外部負荷706に交流電流が流れることとなる。
T. Shimamura, et al. , "Nano-Watt Power Management and Vibration Sensing on a Dust-Size Batteryless Sensor Node for Ambient Intelligence Applications" , Proc. Int. Conf. ISSCC2010, pp. 504-505, 2010 S. Beeby, et al., "Energy harvesting vibration sources for microsystem applications" Meas. Sci. Technol., 17 (2006) pp. R175-R195 T. Tsutsumino, et al., "SEISMIC POWER GENERATOR USING HIGH-PERFORMANCE POLYMER ELECTRET" Proc. Int. Conf. MEMS 2006 , pp. 98-101, 2006
しかしながら、従来の静電変換装置では、上述したように重なり面積を変化させることで誘導された電荷を外部負荷に移動させていたので、エレクトレットと対向する電極が常にそのエレクトレットによる静電場の影響を受けるために、誘導電荷のうち外部負荷に移動しない電荷も存在することがあり、このため発電効率を向上させることが困難であった。
そこで、本願発明は、発電効率を向上させることができる静電変換装置および静電変換装置の製造方法を提供することを目的とする。
上述したような課題を解決するために、本発明に係る静電変換装置は、基板と、この第1の基板上に垂設された第1の帯電体と、第1の帯電体と離間して第1の基板上に垂設された第1の固定電極と、第1の帯電体および第1の固定電極と離間して第1の基板上方に設けられ、この第1の基板の平面に対して平行な第1の方向に移動可能に支持された可動部材と、この可動部材に設けられ、第1の方向に延在する部材からなる第1の可動電極とを備え、第1の電極は、可動部材の移動に伴って、第1の帯電体と第1の固定電極との間を出入りすることを特徴とするものである。
上記静電変換装置において、外部負荷と接続される第1の端子および第2の端子をさらに備え、第1の端子は、第1の固定電極に接続され、第2の端子は、第1の可動電極に接続されるようにしてもよい。
上記静電変換装置において、第1の可動電極は、可動部材の第1の方向における正負両側に設けられ、第1の固定電極は、第1の可動電極と離間して設けられ、第1の帯電体は、第1の可動電極と離間して設けられるようにしてもよい。
また、上記静電変換装置において、第1の基板上に第1の方向に対して垂直な第2の方向に所定間隔離間して垂設された棒状の一対の柱部材と、一方の柱部材の上端に一端が支持され、他方の柱部材に向かって第1の基板の平面方向に延在する一対の梁部材とをさらに備え、可動部材は、直方体の形状を有し、柱部材と対向する一対の第1の側面に梁部材の他端が接続されることにより第1の基板上方に配設され、第1の可動電極は、可動部材の第1の側面と直交する第2の側面に設けられ、第1の帯電体および第1の固定電極は、第2の側面から離間して配置されるようにしてもよい。
また、上記静電変換装置において、第1の帯電体と可動部材との間隔は、第1の固定電極と可動部材との間隔よりも短いようにしてもよい。
また、上記静電変換装置において、可動部材を挟んで第1の基板と平行に設けられた第2の基板と、第2の基板の可動部材と対向する面上に設けられた第2の固定電極と、第2の基板の可動部材と対向する面上に、第2の固定電極から第2の方向に離間して配設された第2の帯電体と、可動部材の第2の基板と対向する面上に垂設された第2の可動電極とをさらに備えるようにしてもよい。
また、上記静電変換装置において、第2の可動電極は、第2の方向に互いに所定間隔離間して複数設けられ、第2の固定電極および第2の帯電体は、第2の方向に交互に複数設けられるようにしてもよい。
また、本発明に係る静電変換装置の製造方法は、基板と、基板上に垂設された第1の帯電体と、第1の帯電体と離間して基板上に垂設された第1の固定電極と、第1の帯電体および第1の固定電極と離間して基板上方に設けられ、この基板の平面に対して平行な第1の方向に移動可能に支持された可動部材と、この可動部材に設けられ、第1の方向に延在する部材からなる第1の可動電極とを備え、第1の電極は、可動部材の移動に伴って、第1の帯電体と第1の固定電極との間を出入りする静電変換装置の製造方法であって、上面に絶縁膜が形成されたシリコン基板を用意する第1のステップと、絶縁膜上にフォトレジストを塗布し、このフォトレジストに対して所定の形状のマスクパターンを用いて露光することにより所定の箇所に第1の開口部が形成された第1のレジストパターンを形成する第2のステップと、メッキ法により第1の開口部内に金属を堆積して第1の金属パターンを形成した後、第1のレジストパターンを除去することにより、第1の固定電極の下部および第2の固定電極の下部を形成する第3のステップと、第1の金属パターンを含む絶縁膜上に、第1の金属パターンの上面を露出させた第1の犠牲層を形成する第4のステップと、第1の犠牲層上にフォトレジストを塗布し、このフォトレジストに対して所定の形状のマスクパターンを用いて露光することにより所定の箇所に第2の開口部が形成された第2のレジストパターンを形成する第5のステップと、メッキ法により第2の開口部内に金属を堆積して第2の金属パターンを形成した後、第2のレジストパターンを除去することにより、第1の固定電極の上部、第2の固定電極の上部、可動部材および可動電極を形成する第6のステップと、第1の犠牲層を除去する第7のステップと、第2の固定電極の表面に、電着により第1の帯電体を形成する第8のステップとを有することを特徴とするものである。
本発明によれば、可動部材が移動すると、第1の可動電極が第1の帯電体と第1の固定電極との間を出入りする。この間から第1の可動電極が出ているときには、静電誘導により第1の固定電極に電荷が現れる。逆に、その間に第1の可動電極が入ると、第1の可動電極は、第1の帯電体の近くに位置するので電荷が誘導される一方、第1の固定電極は、第1の可動電極により第1の帯電体からシールドされるので電場の影響を受けなくなる。このように、第1の固定電極が第1の帯電体から電場の影響を受ける状態と受けない状態に変化することにより、第1の固定電極に誘導された電荷が全て移動するので、発生させる電流を増やすことができ、結果として、発電効率を向上させることができる。
図1は、本発明に係る第1の実施の形態の静電変換装置の構成を模式的に示す平面図である。 図2は、図1のI-I線断面図である。 図3は、図1のII-II線断面図である。 図4は、図1のIII-III線断面図である。 図5は、図1の静電変換装置の動作を説明するための要部拡大図である。 図6は、図1の静電変換装置の動作を説明するための要部拡大図である。 図7は、図1の静電変換装置の動作を説明するための要部拡大図である。 図8Aは、本発明に係る第1の実施の形態の静電変換装置の製造方法を説明するための模式図である。 図8Bは、本発明に係る第1の実施の形態の静電変換装置の製造方法を説明するための模式図である。 図8Cは、本発明に係る第1の実施の形態の静電変換装置の製造方法を説明するための模式図である。 図8Dは、本発明に係る第1の実施の形態の静電変換装置の製造方法を説明するための模式図である。 図8Eは、本発明に係る第1の実施の形態の静電変換装置の製造方法を説明するための模式図である。 図8Fは、本発明に係る第1の実施の形態の静電変換装置の製造方法を説明するための模式図である。 図8Gは、本発明に係る第1の実施の形態の静電変換装置の製造方法を説明するための模式図である。 図8Hは、本発明に係る第1の実施の形態の静電変換装置の製造方法を説明するための模式図である。 図9は、本発明に係る第2の実施の形態の静電変換装置の構成を模式的に示す平面図である。 図10は、図9のIV-IV線断面図である。 図11は、図9のV-V線断面図である。 図12は、図9の静電変換装置の動作を説明するための要部拡大図である。 図13は、図9の静電変換装置の動作を説明するための要部拡大図である。 図14Aは、本発明に係る第2の実施の形態の静電変換装置の製造方法を説明するための模式図である。 図14Bは、本発明に係る第2の実施の形態の静電変換装置の製造方法を説明するための模式図である。 図14Cは、本発明に係る第2の実施の形態の静電変換装置の製造方法を説明するための模式図である。 図14Dは、本発明に係る第2の実施の形態の静電変換装置の製造方法を説明するための模式図である。 図14Eは、本発明に係る第2の実施の形態の静電変換装置の製造方法を説明するための模式図である。 図14Fは、本発明に係る第2の実施の形態の静電変換装置の製造方法を説明するための模式図である。 図14Gは、本発明に係る第2の実施の形態の静電変換装置の製造方法を説明するための模式図である。 図14Hは、本発明に係る第2の実施の形態の静電変換装置の製造方法を説明するための模式図である。 図15は、従来の静電変換装置の構成を模式的に示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。
<静電変換装置の構成>
図1〜図4に示すように、本実施の形態に係る静電変換装置1は、上面に酸化シリコン等の絶縁膜12が形成されたシリコン等からなる半導体基板11と、この半導体基板11上方に設けられ、この半導体基板11の平面に対して平行な第1の方向(以下、「Y方向」という。)に揺動可能に支持された可動部材15と、絶縁膜12上の可動部材15からY方向に直交する方向(以下、「X方向」という。)に離間した位置に設けられた複数の第1の固定電極16および第2の固定電極17とを備えている。ここで、可動部材15、第1の固定電極16および第2の固定電極17は、半導体基板11上において互いに絶縁分離されている。また、第2の固定電極17の表面は、絶縁帯電体18により覆われている。さらに、本実施の形態では、可動部材15と第1の固定電極16とは、配線19を介して一対の端子20に接続されている。可動部材15は一方の端子20に電気的に接続され、複数の第1の固定電極16は電気的に共通に他方の端子20に接続されている。この端子20は、外部負荷21と接続可能に構成されている。
なお、便宜上、X方向およびY方向に垂直な方向、すなわち半導体基板11の平面に対して垂直な方向を「Z方向」という。また、X方向において、柱部材13aから柱部材13bに向かう側を正の側とする。同様に、Y方向において、図1の紙面に対して上方を正の側とする。同様に、Z方向において、半導体基板11から離間する側を上側または上方、半導体基板11に近づく側を下側または下方とする。また、図2〜図4においては、切断面以外については記載を省略している。
ここで、可動部材15は、絶縁膜12上においてX方向に所定間隔離間して設けられた一対の柱部材13a,13bと、一端が一方の柱部材13a,13bに支持され他端が他方の柱部材13a,13bに向かって延在し可動部材15に接続される一対の梁部材14a,14bとによって支持されている。
柱部材13a,13bは、絶縁膜12上から上方に突出した金属からなる棒状の部材から構成される。柱部材13aの上端には梁部材14aの一端、柱部材13bの上端には梁部材14bの一端がそれぞれ接続されている。
梁部材14a,14bは、X方向に沿って延在する金属からなる棒状の部材から構成される。上述したように、梁部材14aの一端は、柱部材13aの上端に接続され、他端は、可動部材15の1つの側面に接続されている。同様に、梁部材14bの一端は、柱部材13bの上端に接続され、他端は、可動部材15の1つの側面に接続されている。このような梁部材14a、14bは、少なくともY方向に可撓性を有するように形成されている。これは、例えば、幅よりも厚さの方を大きく、言い換えるとZY方向の断面においてY方向の長さよりもZ方向の長さの方が大きくなるように形成することにより、実現することができる。
可動部材15は、金属からなる直方体の部材から構成され、半導体基板11に平行な上面および下面の長手方向がX方向に沿い、短手方向がY方向に沿うように配設されている。ここで、可動部材15の柱部材13a,13bと対向する2つの側面(以下、「第1の側面」という。)には、対向する梁部材14a,14bの他端が接続されている。これにより、可動部材15は、梁部材14a、14bによって半導体基板11上方に吊設されることとなる。このとき、上述したように梁部材14a、14bがY方向に可撓性を有するので、可動部材15は、Y方向に移動可能な状態とされている。したがって、静電変換装置1が外力を受けると、可動部材15は、シリコン基板11に対して相対的に移動することとなる。静電変換装置1自体が振動すると、可動部材15は、シリコン基板11に対して相対的に往復運動することとなる。また、可動部材15の第1の側面とは異なる2つの側面(以下、「第2の側面」という。)には、Y方向に沿って垂設された複数の板状の可動電極15aが互いにX方向に所定間隔離間して形成されている。上述したように可動部材15がY方向に移動可能とされているので、この可動部材15の移動に伴って可動電極15aもY方向に移動することとなる。
第1の固定電極16は、絶縁膜12上から上方に突出した金属の棒状の部材から構成され、絶縁膜12上において、互いにX方向に所定間隔離間して形成されている。第1の固定電極16は、可動部材15の第2の側面とそれぞれ所定間隔を空けて配置されている。1つの可動電極15aに第1の固定電極16を1つずつ対応付けることができる。
第2の固定電極17は、絶縁膜12上から上方に突出した金属の棒状の部材から構成され、絶縁膜12上において、互いにX方向に所定間隔離間して形成されている。これらの第2の固定電極17は、可動部材15の第2の側面と所定間隔離間して配置されている。また、第2の固定電極17は、第1の固定電極16とX方向に所定間隔離間して配置されている。これにより、可動部材15が第1の固定電極16および第2の固定電極17の方に向かってY方向に移動すると、可動電極15aは、第1の固定電極16および第2の固定電極18の間に位置することとなる。また、第1の固定電極16と第2の固定電極17との距離は、第1の固定電極16が、第2の固定電極17の表面に設けられた絶縁帯電体18により形成される静電場の影響を受ける距離に設定される。さらに、第2の固定電極17は、図示しない配線を介してグランドに接続されている。1つの可動電極15aに第2の固定電極17を1つずつ対応付けることができる。なお、可動部材15が静止した状態において、第2の固定電極17と可動部材15の距離は、第1の固定電極16と可動部材15の距離よりも短く設定される。
絶縁帯電体18は、第2の固定電極17の表面に形成された絶縁体から構成される。このような絶縁帯電体18は、後述するように電子ビーム法、液体接触法、コロナ放電法などによって予め電子を帯電しており、エレクトレットとして機能する。
ここで、互いに隣り合う1つの第1の固定電極16と1つの絶縁帯電体18と1つの可動電極15aとは、1つの単位構造体を形成する。この単位構造体は、可動部材15の第2の側面に対して左右対称に設けられている。
<静電変換装置の発電動作>
次に、図5〜図7を参照して、本実施の形態に係る静電変換装置による発電動作について説明する。
まず、図5に示すように、可動部材15が静止してる状態において、絶縁帯電体18の近くに位置する第1の固定電極16は、絶縁帯電体18により形成される静電場の影響を受けるので、静電誘導の原理により絶縁帯電体18の負電荷に対応した正電荷が第1の固定電極16に現れる。
このような状態において、例えば静電変換装置1が振動させられると、質量を有する可動部材15がY方向に揺動する。可動部材15がY方向の正の向きに移動したときには、図6に示すように、可動電極15aは、第1の固定電極16と絶縁帯電体18で覆われた第2の固定電極17との間に移動する。これにより、可動電極15aは、絶縁帯電体18が形成する静電場の影響を受けて、静電誘導の原理により、その負電荷に対応する正電荷が可動電極15aに現れる。この正電荷は、可動電極15aと第1の固定電極16とが外部負荷21を介して電気的に接続されていることから、図5において第1の固定電極16に現れた正電荷が移動してきたものである。
一方、第1の固定電極16は、可動電極15aによって絶縁帯電体18から遮蔽された状態、すなわち、絶縁帯電体18と第1の固定電極16とを結ぶ直線上に可動電極15aが位置することによって第1の固定電極16から見たときに絶縁帯電体18が可動電極15aによって隠され、言わば絶縁帯電体18の電場からシールドされた状態になっている。これにより、第1の固定電極16は、絶縁帯電体18の静電場の影響を受けなくなるので、絶縁帯電体18により誘起されていた正電荷が全て外部負荷21を通って可動電極15aの側に移動することになり、外部負荷21に流れる電流量が増えることとなる。
図6に示す状態から、可動部材15がY方向の負の向きに再度移動すると、図5に示すように、第1の固定電極16と絶縁帯電体18との間に何も存在しなくなるので、第1の固定電極16は、絶縁帯電体18により形成される静電場の影響を受け、静電誘導により第1の固定電極16に正電荷が現れることとなる。この正電荷は、可動電極15aから移動してきたものである。一方、可動電極15aは、絶縁帯電体18から遠ざかるので、絶縁帯電体18の電場の影響を受けないまたは電場の影響が低下するので、絶縁帯電体18により誘起されていた正電荷が外部負荷21を通って固定電極16の側に移動することとなる。
このように、静電変換装置1が振動させられることによって可動部材15がY方向に往復運動すると、外部負荷21を介して可動電極15aと第1の固定電極16との間で正電荷が移動するので、結果として、外部負荷21に電流が流れることとなる。このとき、可動電極15aが第1の固定電極16と絶縁帯電体18との間に移動すると、第1の固定電極16が可動電極15aによって絶縁帯電体18からシールドされるので、第1の固定電極16に誘導されていた正電荷が全て可動電極15aに移動するので、発電効率が向上する。さらに、単位構造体が可動部材15の第2の側面の両方に対して対称に設けられているので、各単位構造体において上述したような電荷の移動が行われるので、発生される電流を増大させることができる。
なお、可動部材15が第1の固定電極16および第2の固定電極17の方に向かって大きく変位した場合、第2の固定電極17と可動部材15との間隔が第1の固定電極16と可動部材15との間隔よりも短く設定されているので、図7に示すように、可動部材15は、絶縁帯電体18で覆われた第2の固定電極17に接触することがある。このように接触することがあったとしても、第2の固定電極17が絶縁帯電体18で覆われているので、可動部材15と第2の固定電極とがスティッキング(固着)することを防ぐことができる。また、絶縁帯電体18がストッパとして機能することになり、可動電極15aと第1の固定電極16とがスティッキングすることも防ぐことができる。
<静電変換装置の製造方法>
次に、本実施の形態に係る静電変換装置の製造方法の一例について、図8A〜図8Hを参照して説明する。
まず、例えば、酸化シリコンからなる絶縁膜12が上面に形成された、シリコンからなる半導体基板11を用意する。この半導体基板11は、複数のトランジスタ、抵抗、容量、配線などから構成された半導体集積回路を備えるようにしてもよい。この場合、集積回路の配線や、パッドの配線などと電気的に接続するためのコンタクトホールなどが、絶縁膜12の所定の箇所に形成されていてもよい。
このような半導体基板11に対して、図8Aに示すように、絶縁膜12上に第1のシード層101を形成する。この第1のシード層101は、例えば、スパッタ法や蒸着法などにより、絶縁膜12上にチタンを堆積した後、この上に金を堆積することにより形成することができる。この場合、チタンの膜厚は0.1μm程度、金の膜厚は0.1μm程度とすればよい。
第1のシード層101を形成した後、この第1のシード層101の上にレジスト材料を塗布し、このレジスト材料に対して所望のパターンを有するマスクを用いて露光することにより、第1のシード層101上の所望の位置に開口部が形成されたレジストパターンを形成する。このとき、その開口部からは、第1のシード層101が露出している。このようなレジストパターンを形成した後、例えばメッキ法により、そのレジストパターンの開口部内に金を堆積した後、そのレジストパターンを除去することにより、図8Bに示すように、第1のシード層101上に上方に突出した柱状の第1の金属パターン102を形成する。このとき、例えば、塗布するレジスト材料の膜厚を20μm程度、メッキ膜の膜厚を15μm程度とすることにより、第1の金属パターン102の高さを15μm程度に形成することができる。
第1の金属パターン102を形成した後、この第1の金属パターン102をマスクとして第1のシード層101をエッチング除去し、図8Cに示すように、第1の金属パターン102が絶縁膜12の上で互いに分離した状態とする。これにより、柱部材13a,13bの下部、第1の固定電極16の下部、第2の固定電極17の下部が形成される。
第1のシード層のエッチング除去は、例えば、第1のシード層101の上層にある金を、硝酸と塩酸からなる王水エッチング液でウエットエッチングした後、このウエットエッチングにより露出した第1のシード層101の下層にあるチタンを、フッ化水素水溶液によりウエットエッチングすることにより行うことができる。
第1のシード層101を選択的にエッチング除去した後、図8Dに示すように、絶縁膜12上に第1の犠牲層103を形成する。このとき、第1の金属パターン102の上面は、第1の犠牲層103表面に露出した状態とされる。このような第1の犠牲層103は、例えば、PBO(ポリベンゾオキサゾール)からなる感光性有機樹脂を絶縁膜12上に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を公知のリソグラフィ技術によりパターニングすることにより形成することができる。そのパターニングでは、前処理として120℃のプリベークを4分間行い、パターニング後に310℃の加熱処理を行い、有機樹脂の膜が熱硬化された状態とする。その有機樹脂としては、例えば、住友ベークライト社製のCRC8300を用いることができる。
第1の犠牲層103を形成した後、図8Eに示すように、上述した第1のシード層101を形成した方法と同様の方法により第1の犠牲層103上に第2のシード層104を形成し、第1の金属パターン102を形成した方法と同様の方法により第2のシード層104上に第2の金属パターン105を形成する。ここで、第2の金属パターン105の形成時には、例えば、マスクとなるレジストパターンの膜厚を40μm程度、メッキの膜厚25μm程度に形成された状態とすればよい。
第2の金属パターン105を形成した後、第1のシード層101をエッチング除去した方法と同様の方法により、第2の金属パターン105をマスクとして第2のシード層104をエッチング除去し、図8Fに示すように、第2の金属パターン105が第1の犠牲層103上で互いに分離した状態とする。これにより、柱部材13a,13bの上部、梁部材14a,14b、可動部材15、第1の固定電極16の上部、および、第2の固定電極17の上部が形成される。
第2のシード層104を選択的にエッチング除去した後、図8Gに示すように、第1の犠牲層103を除去する。これにより、可動部材15の一部を構成する第2のシード層104の下方に空間が形成された状態となる。第1の犠牲層103の除去は、例えば、オゾンアッシャー装置を用いてオゾンを第1の犠牲層103に作用させることにより、行うことができる。
第1の犠牲層103を除去した後、図8Hに示すように、第1のシード層101、第1の金属パターン102、第2のシード層104および第2の金属パターン105のうち、第2の固定電極17を構成する部材の表面に、撥水性、絶縁性および帯電性を発現する電着材料を用いた電着により、絶縁膜106を形成する。この絶縁膜106は、上述した絶縁帯電体18を構成する。
このような絶縁膜106の製造工程の具体例を以下に示す。例えば、スルフォニウムカチオンが分散する電着液(例えば、日本ペイント(株)製、INSULEED3020X)を30℃に調整し、この電着液の中に、上述した工程を経た半導体基板11および白金からなる対向電極が浸漬された状態とする。この状態で第2の固定電極17を構成する部材に負電圧を印加するとともに、対向電極に正電圧を印加する。すなわち、第2の固定電極17を構成する部材を負極とし、対向電極を正極として電着液中に浸漬し、定電圧源を用いて電圧を印加することにより、カチオン電着を行う。この電着により、電着液に分散している絶縁膜形成材料が、負電圧が印加された第2の固定電極17を構成する部材の表面に析出することにより、絶縁膜106が形成される。電着液に分散している材料は、負電圧が印加されていない絶縁膜12や、その他の部材の表面には付着せず、負電圧を印加した第2の固定電極17を構成する部材のみに絶縁膜106を選択的に形成することができる。
絶縁膜106を形成した後、半導体基板11を水洗処理し、乾燥させた後、窒素雰囲気において190℃で25分間の加熱処理を行うことにより、絶縁膜106が熱硬化された状態とする。
絶縁膜106を熱硬化した後、半導体基板11に対して、例えば、公知の電子ビーム法、液体接触法、コロナ放電法などの方法により、帯電処理を行う。例えば、コロナ放電を用いる場合は、半導体基板11の下面および第2の固定電極17を構成する部材をグランドに取り、DC放電を行う。コロナ放電の条件は、印加電圧を−1000V、印加時間を60分とすればよい。このような帯電処理により、絶縁膜106の表面には負電荷が帯電した状態となる。これにより、本実施の形態に係る静電変換装置1が得られる。
上述した方法により製造された静電変換装置1は、例えば静電変換装置1が振動させられることにより、可動部材15がY方向の正負の向きに移動すると、可動電極15aが絶縁帯電体18と第1の固定電極16との間を出入りする。この間から可動電極15aが出ているときには、静電誘導により第1の固定電極16に電荷が現れる。逆に、その間に可動電極15aが入ると、可動電極15aは、絶縁帯電体18の近くに位置するので電荷が誘導される一方、第1の固定電極16は、可動電極15aにより絶縁帯電体18からシールドされるので電場の影響を受けなくなる。このように、第1の固定電極16が絶縁帯電体18から電場の影響を受ける状態と受けない状態に変化することにより、第1の固定電極16に誘導された電荷が全て移動するので、発生させる電流を増やすことができ、結果として、発電効率を向上させることができる。
従来の静電変換装置では、振動エネルギーを電気エネルギーに変換するための機構をその振動による変位方向に対して鉛直な方向に設けていたので、その機構を設けることができる場所が限定されていた。このため、発電量の増加を実現することが困難であった。例えば、図15に示した静電変換装置では、電極705や絶縁層707といった振動エネルギーを電気エネルギーに変換するための機構を、下部基板701と上部基板702との対向面のみにしか設けられなかったので、発電量を増やすには限界があった。これに対して、本実施の形態では、可動部材15の2つの側面に単位構造体を形成できるので、従来よりも多数の単位構造体を設けることが可能となり、結果として、出力の向上や静電変換装置の小型化を実現することができる。
また、本実施の形態では、撥水性、絶縁性および帯電性を発現する電着材料を用いた電着により、機能性高分子膜からなる絶縁帯電体18を形成する。これにより、従来では、電荷供給源である帯電体を可動部や振動素子の上面または下面にしか形成できなかったが、その帯電体を、複雑かつ立体的な構造に形成することが可能となる。また、振動素子の複数面での静電変換や、固定電極と可動電極とのスティッキング現象の防止が可能となる。
なお、本実施の形態では、可動電極15a、第1の固定電極16および第2の固定電極17を、可動部材15の第2の側面の両面に設ける場合を例に説明したが、第2の側面の一方のみ設けるようにしてもよいことはいうまでもない。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態は、上述した第1の実施の形態の静電変換装置1において、可動部材15の上面に可動電極を設けるとともに、この可動電極と対向する位置に固定電極をさらに設けたものである。したがって、上述した第1の実施と同等の構成要素については、同じ名称および符号を付して、適宜説明を省略する。
<静電変換装置の構成>
図9〜図11に示すように、本実施の形態に係る静電変換装置2は、半導体基板(以下、「第1の半導体基板」という。)11と、この第1の半導体基板11の上方に所定距離離間して配置された第2の半導体基板31と、第1の半導体基板11と第2の半導体基板31との間に配設され、これらの距離を所定の距離に保つスペーサ部材41とを備えている。なお、図9〜図11においては、切断面以外については記載を省略している。
第1の半導体基板11には、この第1の半導体基板11の上面に形成された絶縁膜(以下、「第1の絶縁膜」という。)12上に、Y方向に揺動可能に支持された可動部材15と、この可動部材15からY方向に離間した位置に設けられた複数の第1の固定電極16および第2の固定電極17が設けられている。ここで、可動部材15は、絶縁膜12上にX方向に所定間隔離間して設けられた一対の柱部材13a,13bと、一端が一方の柱部材13a,13bに支持され他端が他方の柱部材13a,13bに向かって延在し可動部材15に接続される一対の梁部材14a,14bとによって支持されている。また、第2の固定電極17の表面は、絶縁帯電体18により覆われている。また、可動部材15と第1の固定電極16は、半導体基板11上などに設けられた配線19を介して端子20に電気的に接続されている。この端子20は、外部負荷21と接続可能に構成されている。
ここで、可動部材15の上面には、可動部材15の材料と同等の材料から構成され、X方向に沿って垂設された複数の板状の部材15bが互いにY方向に所定間隔離間して形成されている。上述したように、可動部材15がY方向に移動可能とされているので、この可動部材15の移動に伴って部材(以下、「第2の可動電極」という。)15bもY方向に往復運動することとなる。
また、第2の半導体基板31は、第1の半導体基板11と対向する面に形成された第2の絶縁膜32上に、複数の第3の固定電極33および第4の固定電極34と、この第4の固定電極34の表面を覆う絶縁帯電体35とを備えている。
ここで、第2の半導体基板31は、シリコン等からなる半導体基板から構成され、第1の半導体基板11と同等の外形を有する。第2の絶縁膜32は、酸化シリコン等からなり、第2の半導体基板31の下面に形成されている。
また、第3の固定電極33は、第2の絶縁膜32上から下方に突出しX方向に延在する金属の板状の部材から構成され、第2の絶縁膜32上において、可動部材15の上面と所定間隔離間して配設されている。このような第3の固定電極33は、可動部材15が静止した状態において、第2の可動電極15bと対向している。
また、第4の固定電極34は、第2の絶縁膜32上から下方に突出しX方向に延在する金属の板状の部材から構成され、第2の絶縁膜32上において、隣り合う第3の固定電極33と互いに平行かつ等間隔に離間して配設されている。このような第4の固定電極34は、接地されている。
また、第2の絶縁帯電体35は、第4の固定電極34の表面に形成された絶縁体から構成される。このような第2の絶縁帯電体35は、予め電子を帯電しており、エレクトレットとして機能する。
スペーサ部材41は、金属から構成され、平面視略矩形の開口を有する筒の形状を有する。その開口内には、図9に示されるように、柱部材13a,13b、梁部材14a,14b、可動部材15、第1の固定電極16、第2の固定電極17、第3の固定電極33および第4の固定電極34が収容される。
<静電変換装置の発電動作>
次に、図12,図13を参照して、本実施の形態に係る静電変換装置の発電動作について説明する。なお、第1の絶縁帯電体18を用いた発電動作については、上述した第1の実施の形態と同等であるので、説明を省略する。以下において、第2の絶縁帯電体35を用いた発電動作について説明する。ここで、本実施の形態では、可動部材15と第1の固定電極16とは、配線19を介して一対の端子20に接続されている。可動部材15は一方の端子23に電気的に接続され、複数の第3の固定電極33は電気的に共通に他方の端子30に接続されている。この端子23は、外部負荷21と接続可能に構成されている。これにより、第2の可動電極15bと第3の固定電極33とは、外部負荷24を介して電気的に接続されている。
まず、図12に示すように、可動部材15が静止している状態において、負電荷を帯びた第2の絶縁帯電体35と対向する第3の固定電極33は、第2の絶縁帯電体35により形成される静電場の影響を受けるので、静電誘導の原理により第2の絶縁帯電体35の負電荷に対応した正電荷が第3の固定電極33に現れる。
このような状態において、例えば静電変換装置1が振動させられると、可動部材15がY方向に揺動する。可動部材15がY方向の正の向きに移動したときには、図13に示すように、第2の可動電極15bもY方向の正の向きに移動し、第2の絶縁帯電体35で覆われた第4の固定電極34に近づく。すると、第2の可動電極15bは、第3の固定電極33よりも第2の絶縁帯電体35に近づくので、この第2の絶縁帯電体35が形成する静電場の影響をより強く受け、静電誘導の原理により、その負電荷に対応する正電荷が第2の可動電極15bに現れる。この正電荷は、第2の可動電極15bと第3の固定電極33とが外部負荷24を介して電気的に接続されていることから、図12において第3の固定電極33に現れた正電荷が移動してきたものである。
図13に示す状態から、可動部材15がY方向の負の向きに再度移動すると、図12に示すように、第2の絶縁帯電体35との距離が、再び第2の可動電極15bよりも第3の固定電極33の方が短くなるので、第3の固定電極33には、静電誘導により正電荷が現れることとなる。この正電荷は、第2の可動電極15bから移動してきたものである。
このように、静電変換装置1が振動させられることによって可動部材15がY方向に沿って往復運動すると、外部負荷24を介して第2の可動電極15bと第3の固定電極33との間で電荷が移動するので、結果として、外部負荷24に電流が流れることとなる。このとき、第1の実施の形態でも説明したように、第1の可動電極15aと第1の固定電極16との間でも電荷の移動が起こり、外部負荷24にも電流が流れている。これにより、本実施の形態によれば、直方体形状の可動部材15の表面を形成する6つの面のうち、2つの第2の側面と上面という合計3つの面での静電変換できるので、結果として、出力の向上や静電変換装置の小型化を実現することができる。
<静電変換装置の製造方法>
次に、本実施の形態に係る静電変換装置の製造方法の一例について、図14A〜図14Gを参照して説明する。
まず、第1の半導体基板11の製造方法については、第1の実施の形態で図8Fを参照して説明した工程、すなわち、第2のシード層104をエッチング除去して第2の金属パターン105が第1の犠牲層103上に分離された状態までは、同等の工程により形成することができる。そこで、以下においては、図8Fで示した工程以降の工程について説明する。なお、本実施の形態においては、第1の実施の形態と異なり、スペーサ部材41も同時に形成する。このスペーサ部材41の一部は、第1の固定電極16や第2の固定電極17の場合と同様、第1のシード層101、第1の金属パターン102、第2のシード層104および第2の金属パターン105から構成される。
第2のシード層104を除去した後、図14Aに示すように、第1の犠牲層103上に第2の犠牲層201を形成する。このとき、第2の金属パターン105の上面は、第2の犠牲層201表面に露出した状態とされる。このような第2の犠牲層201を形成する工程は、図8Dを参照して説明した第1の犠牲層103を形成する工程と同等の方法により行うことができる。
第2の犠牲層201を形成した後、図14Bに示すように、第1のシード層101を形成した方法と同等の方法により、第2の犠牲層201上に第3のシード層202を形成し、第1の金属パターン102や第2の金属パターン105を形成した方法と同等の方法により、その第3のシード層202上に第3の金属パターン203を形成する。ここで、第3の金属パターン203の形成時には、マスクとなるレジストパターンの膜厚を40μm程度、メッキの膜厚25μm程度に形成された状態とすればよい。
第3の金属パターン203を形成した後、図14Cに示すように、第1のシード層101や第2のシード層104をエッチング除去した方法と同等の方法により、第3の金属パターン203をマスクとして第3のシード層202を除去する。これにより、第3の金属パターン203が第3の犠牲層201上で分離した状態とする。これにより、第2の可動電極15bおよびスペーサ部材41の一部が形成される。
第3のシード層202を選択的にエッチング除去した後、図14Dに示すように、第1の犠牲層103および第2の犠牲層201を除去する。この除去は、第1の実施の形態で図8Gを参照して説明した第1の犠牲層103の除去と同等の方法により行うことができる。これにより、可動部材15の一部を構成する第2のシード層104の下方に空間が形成された状態となる。
次に、例えば、酸化シリコンからなる第2の絶縁膜32が一方の面に形成された、シリコンからなる第2の半導体基板31を用意する。ここで、第2の半導体基板31は、複数のトランジスタ、抵抗、容量、配線などから構成された半導体集積回路を備えるようにしてもよい。この場合、集積回路の配線や、パッドの配線などと電気的に接続するためのコンタクトホールなどが、第2の絶縁膜32の所定の箇所に形成されていてもよい。
このような第2の半導体基板31に対して、図14Eに示すように、第2の絶縁膜32上に、第4のシード層301、第4の金属パターン302、第5のシード層303、および、第5の金属パターン304を順次形成することにより、第3の固定電極33、第4の固定電極34およびスペーサ部材41の一部を形成する。これらは、第1の実施の形態で図8A〜図8Gを参照して説明した工程と同様の工程により形成することができる。
次に、図14F,図14Gに示すように、第1の半導体基板11の第2の固定電極17を構成する部材、および、第2の半導体基板31の第4の固定電極34を構成する部材の表面に、例えば電着などにより、絶縁膜305を形成する。第1の半導体基板11に形成された絶縁膜305は、上述した第1の絶縁帯電体18を構成し、第2の半導体基板31に形成された絶縁膜305は、上述した第2の絶縁帯電体35を構成する。このような絶縁膜305の電着は、上述した第1の実施の形態で図8Hを参照して説明した絶縁膜106を形成する工程と同様の工程により形成することができる。
絶縁膜305が熱硬化されると、第1の半導体基板11および第2の半導体基板31に対して、例えば、公知の電子ビーム法、液体接触法、コロナ放電法などの方法により、帯電処理を行う。このような帯電処理により、絶縁膜305の表面には負電荷が帯電した状態となる。
絶縁膜305を帯電させた後、図14Hに示すように、第1の半導体基板11の第1の絶縁膜12が形成された側の面と、第2の半導体基板31の第2の絶縁膜32が形成された側の面とを対向させ、第1の半導体基板11に形成された第3の金属パターン203の上面と、第2の半導体基板31に形成された第5の金属パターン304の上面とを貼り合わせる。この貼り合わせる方法としては、公知のCOC(Chip On Chip)接合や、常温SAB(Surface Activated Bonding )接合などにより行うことができる。これにより、静電変換装置2が得られる。
以上説明したように、本実施の形態によっても、上述した第1の実施の形態と同等の作用効果を実現することができる。また、本実施の形態では、可動部材15の2つの側面および上面で静電変換ができるので、出力の向上やさらなる小型化を実現することができる。
本発明は、振動エネルギーを電気エネルギーに変換する静電変換装置に適用することができる。
1,2…静電変換装置、11…(第1の)半導体基板、12…(第1の)絶縁膜、13a,13b…柱部材、14a,14b…梁部材、15…可動部材、15a,15b…可動電極、16…第1の固定電極、17…第2の固定電極、18…(第1の)絶縁帯電体、19,22…配線、20,23…端子、21,24…外部負荷、31…第2の半導体基板、32…第2の絶縁膜、33…第3の固定電極、34…第4の固定電極、35…第2の絶縁帯電体、41…スペーサ部材、101…第1のシード層、102…第1の金属パターン、103…第1の犠牲層、104…第2のシード層、105…第2の金属パターン、201…第2の犠牲層、202…第3のシード層、203…第3の金属パターン、301…第4のシード層、302…第4の金属パターン、303…第5のシード層、304…第5の金属パターン。

Claims (7)

  1. 第1の基板と、
    前記第1の基板上に垂設された第1の帯電体と、
    前記第1の帯電体と離間して前記第1の基板上に垂設された第1の固定電極と、
    前記第1の帯電体および前記第1の固定電極と離間して前記第1の基板上方に設けられ、この第1の基板の平面に対して平行な第1の方向に移動可能に支持された可動部材と、
    この可動部材に設けられ、前記第1の方向に延在する部材からなる第1の可動電極と
    を備え、
    前記第1の可動電極は、前記可動部材の移動に伴って、前記第1の帯電体と前記第1の固定電極との間を出入りし、
    前記第1の基板上に前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に所定間隔離間して垂設された棒状の一対の柱部材と、
    一方の前記柱部材の上端に一端が支持され、他方の前記柱部材に向かって前記第1の基板の平面方向に延在する一対の梁部材と
    をさらに備え、
    前記可動部材は、直方体の形状を有し、前記柱部材と対向する一対の第1の側面に前記梁部材の他端が接続されることにより前記第1の基板上方に配設され、
    前記第1の可動電極は、前記可動部材の前記第1の側面と直交する第2の側面に設けられ、
    前記第1の帯電体および前記第1の固定電極は、前記第2の側面から離間して配置される
    ことを特徴とする静電変換装置。
  2. 外部負荷と接続される第1の端子および第2の端子をさらに備え、
    前記第1の端子は、前記第1の固定電極に接続され、
    前記第2の端子は、前記第1の可動電極に接続される
    ことを特徴とする請求項1記載の静電変換装置。
  3. 前記第1の可動電極は、前記可動部材の前記第1の方向における正負両側に設けられ、
    前記第1の固定電極は、前記第1の可動電極と離間して設けられ、
    前記第1の帯電体は、前記第1の可動電極と離間して設けられる
    ことを特徴とする請求項1または2記載の静電変換装置。
  4. 前記第1の帯電体と前記可動部材との間隔は、前記第1の固定電極と前記可動部材との間隔よりも短い
    ことを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の静電変換装置。
  5. 前記可動部材を挟んで前記第1の基板と平行に設けられた第2の基板と、
    前記第2の基板の前記可動部材と対向する面上に設けられた第2の固定電極と、
    前記第2の基板の前記可動部材と対向する面上に、前記第2の固定電極から前記第2の方向に離間して配設された第2の帯電体と、
    前記可動部材の前記第2の基板と対向する面上に垂設された第2の可動電極と
    をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の静電変換装置。
  6. 前記第2の可動電極は、前記第2の方向に互いに所定間隔離間して複数設けられ、
    前記第2の固定電極および前記第2の帯電体は、前記第2の方向に交互に複数設けられる
    ことを特徴とする請求項記載の静電変換装置。
  7. 基板と、この基板上に垂設された第1の帯電体と、前記第1の帯電体と離間して前記基板上に垂設された第1の固定電極と、前記第1の帯電体および前記第1の固定電極と離間して前記基板上方に設けられ、この基板の平面に対して平行な第1の方向に移動可能に支持された可動部材と、この可動部材に設けられ、前記第1の方向に延在する部材からなる第1の可動電極とを備え、前記第1の可動電極は、前記可動部材の移動に伴って、前記第1の帯電体と前記第1の固定電極との間を出入りし、前記基板上に前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に所定間隔離間して垂設された棒状の一対の柱部材と、一方の前記柱部材の上端に一端が支持され、他方の前記柱部材に向かって前記基板の平面方向に延在する一対の梁部材とをさらに備え、前記可動部材は、直方体の形状を有し、前記柱部材と対向する一対の第1の側面に前記梁部材の他端が接続されることにより前記基板上方に配設され、前記第1の可動電極は、前記可動部材の前記第1の側面と直交する第2の側面に設けられ、前記第1の帯電体および前記第1の固定電極は、前記第2の側面から離間して配置される静電変換装置の製造方法であって、
    上面に絶縁膜が形成されたシリコン基板を用意する第1のステップと、
    前記絶縁膜上にフォトレジストを塗布し、このフォトレジストに対して所定の形状のマスクパターンを用いて露光することにより所定の箇所に第1の開口部が形成された第1のレジストパターンを形成する第2のステップと、
    メッキ法により前記第1の開口部内に金属を堆積して第1の金属パターンを形成した後、前記第1のレジストパターンを除去することにより、前記第1の固定電極の下部および第2の固定電極の下部を形成する第3のステップと、
    前記第1の金属パターンを含む前記絶縁膜上に、前記第1の金属パターンの上面を露出させた第1の犠牲層を形成する第4のステップと、
    前記第1の犠牲層上にフォトレジストを塗布し、このフォトレジストに対して所定の形状のマスクパターンを用いて露光することにより所定の箇所に第2の開口部が形成された第2のレジストパターンを形成する第5のステップと、
    メッキ法により前記第2の開口部内に金属を堆積して第2の金属パターンを形成した後、前記第2のレジストパターンを除去することにより、前記第1の固定電極の上部、前記第2の固定電極の上部、前記可動部材および前記可動電極を形成する第6のステップと、
    前記第1の犠牲層を除去する第7のステップと、
    前記第2の固定電極の表面に、電着により前記第1の帯電体を形成する第8のステップと
    を有することを特徴とする静電変換装置の製造方法。
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