《第1実施形態》
図1は本発明の一実施形態に係るトルクロッドに収容されるリニアアクチュエータ100の分解斜視図であり、図2は図1のII−II線に沿う断面図である。リニアアクチュエータ100は、往復動のアクチュエータであり、制振用に、トルクロッドに格納される。
図1に示すように、直動式アクチュエータ100は、インナ部材2と、アウタ部材3と、板バネ4、5と、フランジ6、7と、シャフト9とを備えている。インナ部材2は、アウタ部材3の内側に配置され、シャフト9を介して、リニアアクチュエータ100が締結されるトルクロッドに固定され、固定子となる。一方、アウタ部材3は、インナ部材2に対して前後方向(スラスト方向)に相対的に往復動するように、板バネ4、5を介してインナ部材2に支持されており、可動子となる。本例のリニアアクチュエータ100において、図1の矢印Xに示す向きが、スラスト方向となり、インナ部材2とアウタ部材3とが相対的に移動する移動軸方向となる。
まず、インナ部材2を説明する。インナ部材2の内部には、コアとなる複数の板状の積層鋼板21が積層されており、当該積層鋼板21の中心部には、シャフト9を挿入するための挿入孔が設けられている。積層鋼板21はシャフト9に対して対称な形状をしており、積層鋼板21の上面と下面、及び当該上面と当該下面との間の側面をボビン22で覆われている。積層鋼板21の周囲には、ボビン22を介して、コイル23、24が巻かれ、当該コイル23、24のコイル面がシャフト9の中心軸と平行になるよう巻かれている。コイル23のリード線(図示しない)は、シャフト9に沿って、インナ部材2の外部に引き出されている。
ボビン22は、シャフト9の軸を中心に対称な形状をしており、シャフト9の挿入孔が設けられ、シャフト9が挿通される挿通部221と、コイル23、24が巻かれる巻線部222と、磁石25、26を支持する支持部223とを有している。支持部223は、ボビン22の上面及び下面にそれぞれ設けられ、磁石25、26をそれぞれ支持するための凹部が形成されている。挿通部221、巻線部222及び支持部223は一体に形成されている。
積層鋼板21の上下面には、ボビン22を介して、一対の磁石25、26がそれぞれ設けられている。磁石25は、2個の磁石251、252を有し、磁石251、252は、積層鋼板21の上面に沿うよう、並列な状態で並べられ、隣り合うそれぞれの磁極が異なるように並べられている。同様に、磁石26は、2個の磁石261、262を有し、磁石261、262は、積層鋼板21の下面に沿うよう、並列な状態で並べられ、隣り合うそれぞれの磁極が異なるように並べられている。また、積層鋼板21及びシャフト9を介して対向する、磁石251の磁極と磁石261の磁極は異極に、磁石252の磁極と磁石262の磁極もそれぞれ異極になるよう、磁石25及び磁石26が設けられている。
次に、アウタ部材3について説明する。アウタ部材3は、外枠31と、積層鋼板32、33とを備えている。外枠31は、アウタ部材の形状を保つための本体部であって、直方体状に形成されている。外枠31の表面である6面のうち、シャフト9が貫通する部分は開口しており、シャフト9の径方向に位置する4面は開口しておらず、アウタ部材3は、シャフト9の径方向からインナ部材2を囲うように構成されている。また、外枠31のうち、磁石25、26とそれぞれ対向する上部311及び下部312には、積層鋼板32を支持するための凹部が形成されている。外枠31の四隅にはボルト8を挿入する挿入孔64が設けられている。
積層鋼板32、33は、アウタ部材3のコアであって、複数の板状の鋼板が積層されている。積層鋼板32は上部311の凹部に嵌めこまれ、積層鋼板33は下部312の凹部に嵌めこまれることで、外枠31に支持されている。積層鋼板32は、磁石25との間で所定の間隔を空けつつ、磁石25と対向する位置に設けられている。同様に、積層鋼板33は、磁石26との間で所定の間隔を空けつつ、磁石26と対向する位置に設けられている。すなわち、磁石25と積層鋼板32、及び、磁石26と積層鋼板33は、ラジアル方向において互いに所定の隙間を空けつつ、対向配置されている。なお、この場合のラジアル方向は、ボビン22の中心点を始点とする径方向である。
板バネ4、5は、インナ部材2の磁石25、26とアウタ部材3との間に、アウタ部材3の移動軸方向と垂直方向(シャフト9の径方向)に所定間隔をもち、それぞれ同一の軸心となるように配置され、インナ部材2とアウタ部材3とを連結する。板バネ4及び板バネ5の四隅にはボルト8を挿入する挿入孔が設けられ、板バネ4及び板バネ5の中央部には、シャフト9を挿入する挿入孔が設けられている。
板バネ4、5は、2つのコイル23、24に対応するように2箇所で、シャフト9付近とアウタ部材3の外枠31付近とを上下方向、すなわち、磁石25及び積層鋼板32との間、及び、磁石26及び積層鋼板33との間で作用する磁気方向に連結し、インナ部材2とアウタ部材3とが相対変位したときにコイル23、24と干渉しないようにする開口を備えた枠部41、51を備えている。これによって、板バネ4、5を図1のZ方向に長くすることでバネの大きな撓みを許容してアクチュエータの大きな出力を確保することができる、一方で、後述するような磁気方向と往復動方向とに垂直な軸の周りにアウタ部材3の回転振動を生じる原因にもなるので、この回転振動が過大にならないよう、回転振動の軸の中心から離れた所にストッパが必要である。
フランジ6、7は、板状の枠の形状に形成されており、アウタ部材3の移動軸方向に両端から、板バネ4、5及びアウタ部材3を狭持する一対の部材である。フランジ6の四隅には、ボルト8を挿入する挿入孔64が設けられ、フランジ7の四隅には、ボルト8と締結するウェルドナットなどの係合部が設けられている。そして、ボルト8を挿入し係合部と係合させることで、フランジ6、7は、移動軸方向の両端から、インナ部材3及び板バネ4、5を狭持して、固定されている。
またフランジ6は、ラジアルストッパ60を備えている。ラジアルストッパ60は、フランジ6に固定されてラジアルストッパ60を支持するための支持部63を有しており、当該支持部63を介してフランジ6と一体に形成されている。支持部63は、フランジ6の外枠を構成する四辺うち、長辺側の二辺の中央部分から、外枠の中心点に向けてそれぞれ延在するよう形成されている。支持部63は、外枠の中心点を対称とした一対の形状になっている。また、一対の支持部63の間隔は、シャフト9の直径より十分大きいため、一対の支持部63でシャフト9を支持する構成にはなっていない。なおラジアルストッパ60の詳細な構成は後述する。
フランジ7についても、同様に、後述するラジアルストッパ70を備えており、ラジアルストッパ70は、支持部73を介してフランジ6と一体化されている。ラジアルストッパ70及び支持部73の構成は、ラジアルストッパ60及び支持部63の構成と基本的に同じ構成である。
シャフト9は、リニアアクチュエータ100と、トルクロッドとを締結するための筒状の部材である。シャフト9の端部には、ねじによりトルクロッドと締結するねじ用の穴が設けられている。あるいは、シャフト9が圧入ピン等になり、リニアアクチュエータ100とトルクロッドとを締結させてもよい。シャフト9は、リニアアクチュエータ100の重心を通る位置に設けられ、インナ部材2から、図1及び2のX軸方向に向けて延設されている。シャフト9の軸は、インナ部材2及びアウタ部材3の移動軸と同一軸になっている。
ここで、リニアアクチュエータ100の動作について説明する。図1及び図2に示すリニアアクチュエータ100において、コイル23、24に通電していない状態では、磁力を発生する磁石25とコアとなる積層鋼板32との間における磁気作用及び、磁力を発生する磁石26とコアとなる積層鋼板33との間における磁気作用により、インナ部材2及びシャフト9はアウタ部材3に対して所定の位置で保持された状態となる。かかる状態の時、磁石25と積層鋼板32との間で作用する磁気方向は、シャフト9の軸方向に対して鉛直方向であり、磁石25及び積層鋼板32の対向面の法線方向である(図1、2のZ軸方向)。また、磁石26と積層鋼板33との間で作用する磁気方向は、シャフト9の軸方向に対して鉛直方向であり、磁石26及び積層鋼板33の対向面の法線方向である(図1、2のZ軸方向)。
コイル23、24への通電により発生する磁界が、磁石25と積層鋼板32との間の磁界及び磁石26と積層鋼板33との間の磁界と干渉することで、往復動する力がシャフト9の軸方向に働く。これにより、インナ部材2及びアウタ部材3は、シャフト9の軸方向を移動軸方向として相対的に移動する。
本例のような、アクティブトルクロッド用の往復動式リニアアクチュエータ100において、車両の走行等で生じる外乱入力、コイル23、24への過大電流の投入、あるいは、リニアアクチュエータを構成する部材の寸法公差により、初期モーメントが発生する場合がある。そして、初期モーメントが要因となって、アウタ部材3が、リニアアクチュエータ100の移動軸方向に倒れるモードで回転振動することが分かっている。この回転振動は、移動軸の方向及び磁石25、26と積層鋼板32、33との間でそれぞれ作用する磁気方向に垂直な方向(図1のY軸方向)を軸として回転する方向に生じる。本例では、以下に説明するように、ラジアルストッパ60、70をフランジ6、7に設けることで、この回転振動を抑制している。
図1〜図3を用いて、ラジアルストッパ60、70を説明する。図3は図1のIII−III線に沿う断面図であって、フランジ6及びラジアルストッパ60の断面図ある。ラジアルストッパ60は、アウタ部材3とトルクロッド300の収容部301とを当接させることで、上記の回転振動を規制するための部材であって、第1規制部61、第2規制部62及び支持部63を有している。第1規制部61は、フランジ6の外枠を構成する4辺のうち、長辺の2辺と平行な柱状の部材であって、フランジ6と同材料で形成されている。また第1規制部61の長手方向は、磁石25、26と積層鋼板32、33との間の磁気方向と平行になっている。また、第1規制部61の長さ(当該磁気方向の長さ)は、フランジ6の外枠の長辺の長さより長い。そのため、フランジ6及びラジアルストッパ60を、外枠の長辺側の側面から(図1のY軸方向から)みたとき、第1規制部61の両端は、当該外枠の長辺の両端よりも、当該磁気方向に突出している。
第1規制部61の長手方向の長さは、後述する、リニアアクチュエータ100を収容するためのトルクロッド300の収容部301の上面と第1規制部61の一方の先端部との間の隙間、及び、収容部301の下面と第1規制部61の他方の先端部との間の隙間に応じて決まっている。
第1規制部61の長手方向の一端及び他端には、上記移動軸方向に対して平行な方向に沿う端面がそれぞれ形成されている。そして、当該端面が、リニアアクチュエータ100の回転振動時に、収容部301の上面301b及び下面301cと当接する当接面となる。
第2規制部62は、フランジ6の外枠を構成する4辺のうち、短辺の2辺及び長辺の2辺に対して垂直な柱状の部材であって、当該外枠と同材料で形成されている。第2規制部62は、支持部63から、シャフト9の軸方向(移動軸方向、図1、3のX軸方向)に延在している。第2規制部62の一端は支持部63に固定され、第2規制部62の他端は第1規制部61の中心点に固定されている。詳細は後述するが、第2規制部62の、シャフト9の軸方向への長さは、後述するトルクロッド300の収容部301の側面と第1規制部61との隙間の大きさに応じて決まる。第1規制部61、第2規制部62、支持部63及びフランジ6は一体に形成されている。すなわち、第1規制部61は、第2規制部62の一端から、磁石25、26と積層鋼板32、33との間の磁気方向と平行に延在するよう形成されている。第2規制部62は、支持部63から、シャフト9の軸方向に延在するよう形成されている。支持部63は、シャフト9の外枠のうち長辺の中央部分から、当該磁気方向及びシャフト9の軸方向に垂直な方向に延在するよう形成されている。
図1に示すように、ラジアルストッパ60は、一対になっている。また、ラジアルスストッパ60は、フランジ6の外枠の表面より外側(インナ部材2に対して外方側)に設けられ、シャフト9と当接しない位置に設けられている。そのため、本例において、ラジアルストッパ60は、シャフト9の位置を基準とした位置合わせをしなくてもよい。
また、アウタ部材3に対する、第1規制部61の長手方向の位置について、フランジ6、7を、板バネ4、5を介してアウタ部材3にボルト8で固定する際に、フランジ6、7の締結位置を調整することで、ラジアルストッパ60の位置を決める。フランジ6の四隅に設けられた、ボルト8の挿入孔64の断面は、上記磁気方向の長さを上記磁気方向に対して垂直方向の長さより長くなるように形成され、ボルト8の直径に対して、第1規制部61の長手方向に長い長孔状に形成されている。そのため、フランジ6の締結位置を微調整することで、ラジアルストッパ60の位置が調整される。
一対のラジアルストッパ70は、上記の回転振動を規制するための部材であって、フランジ7の支持部73に設けられている。ラジアルストッパ70の構成は、ラジアルストッパ60の構成と同様であるため、説明を省略する。
次に、リニアアクチュエータ100を備えたトルクロッド300を、図4〜図6を用いて説明する。図4はトルクロッド300の分解斜視図であり、図5は図4のV−V線に沿う断面図である。図6は図5のVI線で囲う部分の拡大図である。
図4及ぶ図5に示すように、トルクロッド300は、図1及び図2に示すリニアアクチュエータ100を備えたロッドであって、収容部301と、連結部302、303とを備えている。収容部301は、内部にリニアアクチュエータ100を収容するための直方体状の空洞部分を有し、当該空洞部分の天面、底面及び3つの側面を覆う筐体であって、トルクロッド300の本体部である。連結部302、303は、車体フレーム及びエンジン等にそれぞれ連結される部材であって、収容部301の両端にそれぞれ設けられ、円筒状に形成されている。連結部302の中央部分には、リニアアクチュエータ100とトルクロッド300とを連結するボルト501を挿入するための挿入孔302aが形成されている。また、収容部301の3つの側面のうち、連結部302a側の側面の中央部には、挿入孔302aと対向するように、挿入孔301aが形成されている。
リニアアクチュエータ100が収容部301に収容され、ボルト501を挿入孔301a及び302aに通して、シャフト9を固定すると、リニアアクチュエータ100が、収容部301内で位置決めされつつ、トルクロッド300に固定される。そして、リニアアクチュエータ100が、収容部301に収容されると、リニアアクチュエータ100の上面と収容部301の上面301bとの間には、隙間が形成され、リニアアクチュエータ100の下面と収容部301の下面301cとの間には、隙間が形成される。上面301bは、収容部301の内壁うち天井面の壁面である。また、下面301cは、収容部301の内壁うち底面の壁面である。上面301b及び下面301cは、磁石25、26と積層鋼板32、33との間で作用する磁気方向に対して垂直方向に沿った面である。
ここで、図5及び6を用いて、リニアアクチュエータ100と収容部301の内壁との間の隙間について、説明する。リニアアクチュエータ100と収容部301の内壁との間の隙間には、隙間A及び隙間Bが形成されている。隙間Aは、ラジアルストッパ60の第1規制部61における長手方向の先端部分と収容部301の上面301bとの間により形成される隙間である。隙間Aは、上記の回転振動を抑制するための隙間である。回転振動が発生した場合に、リニアアクチュエータ100は、図5及び図6のY軸方向を回転軸として振動する。そして、回転振動が発生すると、第1規制部61の先端部分は、上面301bに当たるため、リニアアクチュエータ100の回転振動が規制される。
また、ラジアルストッパ60の第1規制部61における長手方向の先端部分と収容部301の下面301cとの間にも、隙間Aと同様の隙間が形成されており、リニアアクチュエータ100の回転振動を規制している。
一方、隙間Bは、リニアアクチュエータ100の駆動を規制しないように設けられた隙間である。コイル23、24に電流を流し、リニアアクチュエータ100を駆動させると、アウタ部材3はシャフト9の軸方向でインナ部材2に対して相対的に移動する。またラジアルストッパ60はフランジ6に固定されているため、ラジアルストッパ60もリニアアクチュエータ100の駆動に伴い移動する。そのため、隙間Bを設けることで、リニアアクチュエータ100の駆動した場合における、ラジアルストッパ60の移動幅を確保している。
これにより、ラジアルストッパ60は、第1規制部61の先端部分と上面301bとの間に隙間Aを形成し、アクチュエータ100の回転振動を抑制する部材となる。また本例では、ラジアルストッパ60は、フランジ6から、リニアアクチュエータ100の外方に向けて延在しているが、隙間A及び隙間Bを形成することで、リニアアクチュエータ100によるシャフト9の軸方向の移動を制限することがないようにしている。
図4に戻り、収容部301側面のうち、開放している側面の周囲には、ボルト305のねじ穴301dが形成されている。蓋体304は、収容部301にリニアアクチュエータ100を収容した状態で、収容部301の開放部分を覆う蓋である。ボルト305は、ねじ穴301dに締結されて、蓋体304を収容部301に固定するためのねじである。
上記のように、本例は、アウタ部材3の回転振動により、アウタ部材3と収容部301との間を当接させて、回転振動を規制するラジアルストッパ60,70を備える。これにより、リニアアクチュエータ100に回転振動が発生した場合には、アウタ部材3と収容部301との間が当接して、回転振動を抑制することができる。
また本例は、アウタ部材3及び収容部301との間における、ラジアルストッパ60、70の当接面を、移動軸方向に対して平行な面とする。これにより、リニアアクチュエータ100に回転振動が発生した場合には、ラジアルストッパ60、70の当接面が当接して、回転振動を抑制することができる。また、リニアアクチュエータ100が回転振動した場合の、移動軸方向に対して垂直方向へのリニアアクチュエータ100の振動を規制することができる。また、本発明のリニアアクチュエータ100の特性上、移動軸方向には移動し易く、移動方向に対して垂直な方向に移動し難しいため、ラジアルストッパ60と収容部301との間の隙間を調整する際、当該隙間を安定して調整することができ、隙間の管理を容易にすることができる。
また、本例は、収容部301の内壁(上面301b又は下面301c)との間に隙間Aを空けて、上記の回転振動を規制するラジアルストッパ60を備えている。これにより、リニアアクチュエータ100に回転振動が発生した場合には、当該隙間Aを形成していた、ラジアルストッパ60と収容部301の内壁とが当接して、回転振動を規制することができる。また、本例は、ラジアルストッパ60は、リニアアクチュエータ100の外側で隙間Aを形成することで、回転振動を抑制する構成としている。従来では、回転振動を抑制するために、リニアアクチュエータ100の内部において、シャフト9とフランジ6、7のシャフト挿入孔との隙間を位置合わせする(クリアランス管理)必要があったが、本例では、このような位置あわせが不要になり、フランジ6及びラジアルストッパ60の寸法管理が容易になる。その結果として、リニアアクチュエータ100全体の位置決め精度が向上し、トルクロッド60へのリニアアクチュエータ100の組み付け精度も向上し、トルクロッドの製造を容易に行うことができる。
また本例において、ラジアルストッパ60は第1規制部61を有し、上記の移動軸方向に対して平行な面に沿う上面301b又は下面301cとの間で、隙間Aを形成する。これにより、リニアアクチュエータ100が回転振動した場合の、当該移動軸方向に対して垂直方向へのリニアアクチュエータ100の振動を規制することができるため、回転振動を抑制することができる。
また本例は、第1規制部61の長手方向の一端又は他端に、上記の移動軸方向に対して平行な方向に沿う端面を有する。これにより、リニアアクチュエータ100が駆動した場合における、アウタ部材3の移動を制限することなく、リニアアクチュエータ100の回転振動時には、回転振動を抑制することができる。
また本例において、ラジアルストッパ60は、フランジ6からリニアアクチュエータ100の移動軸方向に延在し、第1規制部61とフランジ6とを固定する第2規制部62を有している。これにより、ラジアルストッパ60をフランジ6の外方に延在させることができるため、上記従来のような、リニアアクチュエータ100の内部におけるクリアランス管理が不要になり、フランジ6及びラジアルストッパ60の寸法管理が容易になる。またフランジ6、7の外枠に対して、第2規制部62、72を有するラジアルストッパ60、70を固定するだけで、回転振動を抑制することができるため、フランジ6、7及びラジアルストッパ60、70の設計の自由度を高めることができる。
また本例は、挿入孔64の断面が、上記磁気方向に対して垂直な方向の長さより上記磁気方向の長さを長くするように形成されている。これにより、アウタ部材3に対してフランジ6の位置合わせをすることで、隙間Aを調整することができるため、ラジアルストッパ60、70及びフランジ6、7の寸法管理を容易にすることができる。
なお、本例は、フランジ6及びフランジ7にラジアルストッパ60、70をそれぞれ設けたが、図7に示すように、フランジ6のみにラジアルストッパ60を設けてもよい。すなわち、本例は、フランジ6及びフランジ7の何れか一方のみに、ラジアルストッパ60、70を設けてもよい。これにより、ラジアルストッパ60の位置決めを、一対のフランジ6、7のうち片方のみ対して行えばよいため、アクチュエータの組み立てを容易にすることができる。図7は、本例の変形例に係るリニアアクチュエータ100の分解斜視図である。
また本例は、図8に示すように、ラジアルストッパ60、70の第1規制部61、71を、第2規制部62、72の固定部分から、磁気方向と平行な一方向のみ延在する形状としてもよい。図8は本例の変形例に係るリニアアクチュエータ100の分解斜視図である。第1規制部61、71の長手方向の長さは、図1に示す第1規制部61、71の長手方向の長さの約半分である。一方、幅方向は同じ長さである。第1規制部61の一端は、リニアアクチュエータ100を収容した時の収容部301の上面301bに向けて延在し、当該一端が開放端になっている。一方、第1規制部61の他端は第2規制部62に固定されている。
なお、磁石25、26はアウタ部材3に設けてもよい。
上記アウタ部材3及びフランジ6、7が本例の「アウタ部」に相当し、インナ部材2が本発明の「インナ部」に、積層鋼板31、32が「磁極部」に、ラジアルストッパ60が本発明の「規制部」に、ボルト8が本発明の「第1締結部材」に相当する。
《第2実施形態》
図9は、発明の他の実施形態に係るトルクロッドに設けられるリニアアクチュエータ100の分解斜視図である。本例では上述した第1実施形態に対して、フランジ6、7とラジアルストッパ60、70を別部材にする点が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであり、上記の記載を適宜、援用する。なお、フランジ7とラジアルストッパ70の構成は、フランジ6とラジアルストッパ60の構成と同様であるため、説明を省略する。
図9に示すように、第1規制部61及び第2規制部62は一体に形成されているが、支持部63及びフランジ6に対しては別体になっている。支持部63及びフランジ6は一体に形成されている。第1規制部61及び第2規制部62の形状は、図8に示す第1規制部61及び第2規制部62の形状と同形状であるため、説明を省略する。
第2規制部62と固定される、第1規制部61の先端部分、言い換えると、一体化された第1規制部61及び第2規制部62の屈曲部分には、雄ねじ65を挿入するための挿入孔が設けられている。また第2規制部62の内部には、シャフト9の軸方向と平行な方向を軸とする筒状の挿入孔が設けられている。第1規制部61の挿入孔と第2規制部62の挿入孔は軸方向に対する断面形状を同一形状として、軸心も同一である。支持部63には、雌ねじが第2規制部62を固定される部分に形成されている。雌ねじは雄ねじ65を締結する。なお、図9では支持部63に設けられる雌ねじは図示されていないが、支持部73の雌ねじ76と同様の位置に設けられる。第1規制部61の挿入孔及び第2規制部62の挿入孔の軸方向に対する断面形状は、磁石25、26と積層鋼板32、33との間で作用する磁気方向(図9のZ方向)の長さを当該磁気方向に対して垂直な方向(図9のY方向)の長さより長くなるように形成され、雄ねじ65の直径に対して、磁気方向に長い長孔状に形成されている。
雄ねじ65が、第1規制部61及び第2規制部62の挿入孔に挿入され、雌ねじにより締め付けられると、第1規制部61の挿入孔の入口部分が座面となって、第1規制部61及び第2規制部62を支持部63に固定する。雄ねじ65を雌ねじに完全に締め付ける前は、第1規制部61及び第2規制部62の挿入孔によって、ラジアルストッパ60を第1規制部61の長手方向に僅かに移動させることができる。これにより、本例は、第1規制部61及び第2規制部62を支持部63及びフランジ6に固定する際に、ラジアルストッパ6の位置を上記の磁気方向(第1規制部61の長手方向)に微調整することができる。
上記のように本例は、フランジ6、7とラジアルストッパ60、70とを別部材で形成している。これにより、フランジ6、7及びラジアルストッパ60、70の設計の自由度を向上させることができる。
また本例は、ラジアルストッパ60、70に雄ねじ65を挿入するための挿入孔を有し、挿入孔の軸方向の断面が、上記磁気方向に対して垂直な方向の長さより上記磁気方向の長さを長くするように形成されている。これにより、フランジ6、7に対してラジアルストッパ60、70の位置合わせをすることで、隙間Aを調整することができるため、ラジアルストッパ60、70及びフランジ6、7の寸法管理を容易にすることができる。また、本発明のリニアアクチュエータ100の特性上、移動軸方向には移動し易く、移動方向に対して垂直な方向に移動し難しいため、ラジアルストッパ60と収容部301との間の隙間を調整する際、当該隙間を安定して調整することができ、隙間の管理を容易にすることができる。
《第3実施形態》
図10は、発明の他の実施形態に係るトルクロッドに設けられるリニアアクチュエータ100の分解斜視図である。本例では上述した第1実施形態に対して、フランジ6、7とラジアルストッパ60、70を別部材にする点が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであり、上記の記載を適宜、援用する。なお、フランジ7とラジアルストッパ70の構成は、フランジ6とラジアルストッパ60の構成と同様であるため、説明を省略する。
図10に示すように、第1規制部61、第2規制部62及び支持部63は一体に形成されているが、フランジ6に対しては別体になっている。第1規制部61、第2規制部62及び支持部63の形状は、図8に示す第1規制部61、第2規制部62及び支持部63の形状と同形状であるため、説明を省略する。
フランジ6の外枠の四辺のうち長辺の二辺の中央部分には、3つの挿入孔が設けられている。これらの挿入孔は、フランジ6の外側から内側に向けて貫通した、筒状の貫通孔である。支持部63には、これらの挿入孔と軸心を同一とする雌ねじが、挿入孔と対応しつつそれぞれ形成されている。そして、フランジ6の挿入孔には、雄ねじ65がそれぞれ挿入されており、雄ねじ65は支持部63の雌ねじと締結する。
フランジ6の挿入孔の軸方向に対する断面形状は、磁石25、26と積層鋼板32、33との間で作用する磁気方向(図10のZ方向)の長さを当該磁気方向に対して垂直な方向(図10のX方向)の長さより長くなるように形成され、雄ねじ65の直径に対して、磁気方向に長い長孔状に形成されている。
雄ねじ65が、フランジ6の挿入孔に挿入され、支持部63の雌ねじにより締め付けられると、フランジ6の挿入孔の入口部分が座面となって、フランジ6を支持部63に固定する。雄ねじ65を雌ねじに完全に締め付ける前は、フランジ6の挿入孔によって、ラジアルストッパ60を第1規制部61の長手方向に僅かに移動させることができる。これにより、本例は、ラジアルストッパ60をフランジ6に固定する際に、ラジアルストッパ6の位置を上記の磁気方向(第1規制部61の長手方向)に微調整することができる。
上記のように本例は、フランジ6、7と、第1規制部61、第2規制部62及び支持部63で形成されるラジアルストッパ60とを別部材で構成し、フランジ6、7に雄ねじ65を挿入するための挿入孔を有し、挿入孔の軸方向の断面が、上記磁気方向に対して垂直な方向の長さより上記磁気方向の長さを長くするように形成されている。これにより、フランジ6、7及びラジアルストッパ60、70の設計の自由度を向上させることができる。また、フランジ6、7に対してラジアルストッパ60、70の位置合わせをすることで、隙間Aを調整することができるため、ラジアルストッパ60、70及びフランジ6、7の寸法管理を容易にすることができる。また、本発明のリニアアクチュエータ100の特性上、移動軸方向には移動し易く、移動方向に対して垂直な方向に移動し難しいため、ラジアルストッパ60と収容部301との間の隙間を調整する際、当該隙間を安定して調整することができ、隙間の管理を容易にすることができる。
なお、雄ねじ65が本発明の「第2締結部材」に相当する。
《第4実施形態》
図11は発明の他の実施形態に係るトルクロッドの分解斜視図であり、図12は図11のXII-XII線に沿う断面図であり、図13は図12XIII線で囲う部分の拡大図である。本例では上述した第1実施形態に対して、調整治具401を設ける点が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであり、上記の記載を適宜、援用する。
調整治具401は、リニアアクチュエータ100を収容部301に収容する際に、収容部301の上面301bと第1規制部61の先端部分との間、及び、収容部301の下面301cと第1規制部61の先端部分との間にそれぞれ挿入される。調整治具401は、板状の部材であって、収容部301の上面301b及び下面301cの形状に沿うよう形成され、上記の移動軸方向と平行な方向に沿うよう形成されている。調整治具401は、リニアアクチュエータ100の上面と上面301bとの間の隙間、及び、リニアアクチュエータ100の下面と下面301cとの間の隙間を所定の長さに調整し、保つための治具である。
図12及び図13に示すように、リニアアクチュエータ100と収容部301の内壁との間には、回転振動を抑制するための隙間Aが形成されている。本例では、隙間Aの磁気方向への長さを調整するために、調整治具401が設けられている。そのため、当該隙間Aは、ラジアルストッパ60の第1規制部61、71における長手方向の一方の先端部分と上側の調整治具401の下面との間により形成され、また、ラジアルストッパ60の第1規制部61、71における長手方向の他方の先端部分と下側の調整治具401の上面との間により形成される。
そして、本例は、調整治具401の厚さを規定することで、隙間Aの長さを調整することが可能となる。本例では、フランジ6とアウタ部材3との間、及び、フランジ7とアウタ部材3との間に、板バネ5、6を狭持させている。板バネ5、6において、シャフト9の軸方向と平行な方向への撓みに対して、上記の磁気方向への撓みは小さい。そのため、板バネ5、6の主面の法線方向(図11のX方向)に対して垂直な方向(図11のZ方向)に、調整治具401を設けることで、リニアアクチュエータ100とトルクロッド300との組み付け精度を向上させることができる。なお隙間Bは、第1実施形態に係る隙間Bと同様であるため、説明を省略する。
上記のように、本例は、第1規制部61、71の一端と収容部301の内壁である上面301bとの間に、調整治具401を挿入し、第1規制部61、71の他端と収容部301の内壁である下面301cとの間に、調整治具401を挿入する。これにより、リニアアクチュエータ100に回転振動が発生した場合には、当該隙間Aを形成していた、ラジアルストッパ60と調整治具401とが当接して、回転振動を規制することができる。また、本例は、ラジアルストッパ60は、リニアアクチュエータ100の外側で隙間Aを形成することで、回転振動を抑制する構成としている。また、本例は、調整治具401を用いることで、隙間Aの寸法管理が容易になるため、リニアアクチュエータ100全体の位置決め精度が向上し、トルクロッド60へのリニアアクチュエータ100の組み付け精度も向上し、トルクロッドの製造を容易に行うことができる。
なお、本例では、収容部301の上側及び下側にそれぞれ調整治具401を設けたが、収容部301の上側又は下側のいずれか一方のみに設けてもよい。
上記調整治具401が本発明の「板部材」に相当する。
《第5実施形態》
図14は発明の他の実施形態に係るトルクロッドの分解斜視図であり、図15は図14のXV-XV線に沿う断面図であり、図16は図15のXVI線で囲う部分の拡大図である。本例では上述した第2実施形態に対して、隙間ゲージ402を設ける点が異なる。これ以外の構成は上述した第2実施形態と同じであり、上記の記載を適宜、援用する。なお、図14に示す、隙間ゲージ402は説明のために描写しているが、実際のトルクロッドの構成には含まれない。
ラジアルストッパ60、70は、図9に示すラジアルストッパ60、70と同じであるが、第1規制部61の一端は、リニアアクチュエータ100を収容した時の収容部301の下面301cに向けて延在し、当該一端が開放端になっている。
収容部301は、上面301b及び下面301cを開放しており、上面301bと下面301cとの間の側面を覆っている。蓋体304は、上下面で一対の蓋になっており、上面301b及び下面301cをそれぞれ覆う部材である。ボルト305は、ねじ穴に締結されて、一対の蓋体304を収容部301にそれぞれ固定するためのねじである。
隙間ゲージ402は、リニアアクチュエータ100を収容部301に収容する際に、ラジアルストッパ60、70と収容部301の下面301cとの間、及び、ラジアルストッパ60、70と収容部301の側面との間に、挿入される。隙間ゲージ402は、柱状の部材を直角に屈曲させた部材であって、収容部301の側面と下面301cの一部分に沿う形状で形成されている。すなわち、隙間ゲージ402は、磁石25、26と積層鋼板32、33との間で作用する磁気方向(図14のZ方向)を長手方向にもつゲージ402aと、インナ部材2及びアウタ部材3の相対的な移動方向(図14のX方向)を長手方向にもつゲージ402bとを有している。そして、ゲージ402bの長手方向の長さは、収容部301の側面とラジアルストッパ60、70の第1規制部61との間の長さより長くなるように形成されている。
隙間ゲージ402は、収容部301に収容されたリニアアクチュエータ100のラジアルストッパ60、70の位置と対応する位置に設けられ、ラジアルストッパ60、70と蓋体304の内壁との間で隙間を調整するためのゲージであり、ラジアルストッパ60、70の位置決めをするためのゲージである。ゲージ402bの厚さ方向の長さ(インナ部材2及びアウタ部材3の相対的な移動方向に対して垂直方向の長さ)は、ラジアルストッパ60、70と蓋体304の内壁との間で隙間を形成するように構成されている。
次に、隙間ゲージ402を用いた、本例のトルクロッドの製造方法について説明する。まず、ラジアルストッパ60、70をフランジ6、7に完全に固定していない状態、言い換えると、ラジアルストッパ60、70の位置合わせが可能な状態で、収容部301に収容する。次に、ボルト501により収容部301とリニアアクチュエータ100とを締結する。
隙間ゲージ402を、リニアアクチュエータ100と収容部301との間の隙間に入れて、蓋体304で上面301b及び下面301cを閉じて、ボルト305で蓋体304を締結する。そして、ラジアルストッパ60、70の端面を、隙間ゲージ402のゲージ402bを当てて、ゲージ402bをラジアルストッパ60、70の端面と蓋体304との間で狭持する。ゲージ402bを狭持させた状態で、雄ねじ65(図9を参照)を雌ねじに完全に締め付けて、ラジアルストッパ60、70をフランジ6、7にそれぞれ、完全に固定する。
その後、蓋体304(少なくともゲージ402bを狭持していた蓋体304)を外さないで、隙間ゲージ402をトルクロッドから取り出す。これにより、ラジアルストッパ60、70の端面と蓋体304との間の隙間の寸法を保つことができる。
上記の工程により、隙間ゲージ402よる位置決め部分において、図15及び図16に示すような、隙間Aが、蓋体304の内壁とラジアルストッパ60、70の上記移動軸方向と平行な方向に沿う表面との間に形成される。そして、隙間Aは、上記のように、回転振動を抑制するため設けられる隙間である。本例では、蓋体304とラジアルストッパ60との間に、隙間ゲージ402が設けられていたため、隙間ゲージ402(ゲージ402b)の厚さを規定することで、隙間Aの長さを調整することが可能となる。なお、図15及び図16において、隙間Bが、収容部301の内壁とラジアルストッパ60、70の上記移動軸方向に対して垂直な方向に沿う表面との間に形成されているが、当該隙間Bはアウタ部材3の移動を妨げないような間隔を空けていればよいため、本例では、必ずしも隙間ゲージ402を用いて、隙間寸法を管理する必要はない。
上記のように、本例において、アウタ部材3と蓋体304との間に、ラジアルストッパ60、70と蓋体304との間の間隔を規定する隙間ゲージ402を挟持させて、ラジアルストッパ60、70の位置決めをした状態で、ラジアルストッパ60、70を固定し、その後に、隙間ゲージ402を収容部301から取り出す。これにより、上記の隙間Aを形成することができ、リニアアクチュエータ100に回転振動が発生した場合には、当該隙間Aを形成していた、ラジアルストッパ60、70と蓋体304とが当接して、回転振動を規制することができる。また、本例は、ラジアルストッパ60、70は、リニアアクチュエータ100の外側で隙間Aを形成することで、回転振動を抑制する構成としている。また、本例は、隙間ゲージ402を用いることで、隙間Aの寸法管理が容易になるため、リニアアクチュエータ100全体の位置決め精度が向上し、トルクロッド60へのリニアアクチュエータ100の組み付け精度も向上し、トルクロッドの製造を容易に行うことができる。
なお、本例では、収容部301の下面301cで隙間ゲージ402を用いたが、収容部301の上面301bで隙間ゲージ402を用いてもよく、あるいは、上面301b及び下面301cで隙間ゲージ402を用いてもよい。また、隙間ゲージ402で、ラジアルストッパ60、70を位置合わせした状態で、雄ねじ65を用いて、ラジアルストッパ60、70を固定する工程において、雄ねじ65を締結させるための工具が収容部301内に入りにくい場合には、組み立て用の工具を通す貫通孔を収容部301に設けてもよい。また、当該工程において、必ずしも雄ねじ65を用いて、ラジアルストッパ60、70を締結する必要はなく、ラジアルストッパ60、70を接着剤で固定してもよい。
上記の隙間ゲージ402が本発明の「規定部材」に、収容部301及び蓋体304が本発明の「収容部」に相当する。
《第6実施形態》
図17は発明の他の実施形態に係るトルクロッドの斜視図であり、図18は図17のXVIII-XVIII線に沿う断面図であり、図19は図18のXIX線で囲う部分の拡大図である。本例では上述した第1実施形態に対して、ラジアルストッパ80をトルクロッド300の収容部301に設ける点が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであり、上記の記載を適宜、援用する。
図17に示すように、本例のリニアアクチュエータ100にはラジアルストッパが設けられておらず、トルクヘッド300の収容部301の上面301b及び下面301cに、ラジアルストッパ80が設けられている。ラジアルストッパ80は直方体の形状であって、上面301b及び下面301cの面上で、収容部301の内壁に設けられている。言い換えると、ラジアルストッパ80は、上面301bから下方に突起した形状、及び、下面301cから上方に突起した形状に形成されている。
また、ラジアルストッパ80は、上記の移動軸方向に対して垂直方向に沿った端面80aを、リニアアクチュエータ100側に有している。端面80aは、フランジ6のうち、移動軸方向に対して垂直方向に沿った側壁面6aと平行になるよう形成されている。
リニアアクチュエータ100を収容部301に収容すると、フランジ6の側壁面6aと端面80aとは、所定の隙間Cを空けた状態で対向する。隙間Cの長さ(側壁面6aから端面80aまでの距離)は、リニアアクチュエータ100で上記の回転振動が発生した場合のアウタ部材3の移動幅に応じて設定される。隙間Cの長さは、上面301b及び下面301cにおけるラジアルストッパ80の設置位置、あるいは、ラジアルストッパ80の移動軸方向の長さを規定することで、調整することができる。なお、図17において図示はしていないが、リニアアクチュエータ100は、上記の実施形態と同様に、蓋体を開閉して、リニアアクチュエータ100を収容部301に収容すればよい。
次に、リニアアクチュエータ100に回転振動が発生した時の動作について説明する。リニアアクチュエータ100に回転振動が発生した場合には、アウタ部材3は、図18のY軸方向を回転軸として、X軸方向に倒れるように回転するため、フランジ6の側壁面6aが端面80aに当接し、回転振動が抑制される。すなわち、ラジアルストッパ80がリニアアクチュエータ100の回転振動を抑制する部材となる。
上記のように、本例は、リニアアクチュエータ100を収容する収容部301の内壁(上面301b又は下面301c)に、ラジアルストッパ80を設け、ラジアルストッパ80の端面80aとフランジ6、7の側壁面6aとの間に、隙間Cを形成する。これにより、リニアアクチュエータ100に回転振動が発生した場合には、当該隙間Cを形成していた、ラジアルストッパ80とフランジ6、7が当接して、回転振動を規制することができる。また、本例は、ラジアルストッパ80はリニアアクチュエータ100の内部に設けられていないため、上記従来のような、リニアアクチュエータ100の内部におけるクリアランス管理が不要になり、フランジ6及びラジアルストッパ80の寸法管理が容易になる。その結果として、リニアアクチュエータ100全体の位置決め精度が向上し、トルクロッド300へのリニアアクチュエータ100の組み付け精度も向上し、トルクロッド300の製造を容易に行うことができる。
なお、本例において、ラジアルストッパ80は直方体としたが、回転振動時に、フランジ6の側壁面と当接するために適した端面を少なくとも有していれば、直方体以外の形状であってもよい。またラジアルストッパ80は、上面301b又は下面301cの何れか一方に設けていればよく、また上面301bと下面301cとの間の収容部301の側面に設けてもよい。
また、第5実施形態に係る隙間ゲージ402を、アウタ部材3と収容部301に設けられてラジアルストッパ80との間に挟持した状態で、リニアアクチュエータ100を収容部301に収容し、ボルト501により収容部301とリニアアクチュエータ100とを連結した後に、隙間ゲージ402を取り出すことで、隙間Cを形成してもよい。
上記のラジアルストッパ80が、本発明の「規制部」に相当する。