以下、実施形態に係るエアバッグ装置について説明する。
はじめに、下記の第1及び第2実施形態に共通する実施形態について説明しておく。
すなわち、エアバッグ装置は、割開き可能なリッドを有するエアバッグ組込パネルに組込まれるエアバッグ装置であり、インフレータと、エアバッグと、アウターバッグとを備える。
インフレータは、リッドの内側に配設され、ガスを発生可能に構成されている。エアバッグは、通常状態では折畳まれており、リッドとインフレータとの間に配設される。また、エアバッグは、インフレータから導入されるガスによって袋状に膨張展開可能に構成されている。
アウターバッグは、通常状態では、折畳まれたエアバッグの周囲を囲んでおり、エアバッグの膨張展開時にエアバッグがラジアル方向に展開することを抑制する。本実施形態では、アウターバッグは、シート状部材によって構成されている。シート状部材は、方形状の第1シート部分と、第1シート部分の四方縁部より延出する4つの方形状の第2シート部分と、各第2シート部分の間に設けられた4つの第3シート部分とを含む。そして、4つの第2シート部分が第1シート部分から立上がって折畳まれたエアバッグ及び膨張展開中のエアバッグを囲うことが可能な周壁部を形成している。この状態では、各第2シート部分間の各第3シート部分は、周壁部を形成するのには余分な部分となり、周壁部の外方又は内方にはみ出る。かかる第3シート部分が、各第2シート部分のいずれかの外面又は内面に沿って配設されて、当該第2シート部分に対して接合部を介して接合されている。この接合部は、第2シート部分の側縁部に対して交差する方向に沿って形成された部分を含む。これにより、各第2シート部分が上記周壁部を形成する状態に維持されている。
第3シート部分が第2シート部分に対して接合される接合部は、第2シート部分の側縁部に対して直交する部分を含むこと、すなわち、第2シート部分の側縁部に沿ったラインで接合された部分を含むことが好ましい。
上記第1シート部分は、インフレータ側に配設されてもよいし、リッド側に配設されてもよい。前者の場合、第1シート部分にインフレータを取付ければよい。後者の場合、第2シート部分にインフレータ固定用のシート状部分を延設し、これにインフレータを取付ければよい。前者のより具体的な例を第1実施形態で、後者のより具体的な例を第2実施形態で説明する。
上記エアバッグ装置によると、4つの第2シート部分が第1シート部分から立上がって周壁部を形成するように、各第3シート部分が4つの前記第2シート部分のいずれかに第2シート部分の側縁部に対して接合部を介して接合され、この接合部が第2シート部分の側縁部に対して交差する方向に沿って形成された部分を含む、このため、膨張展開しようとするエアバッグが、アウターバッグの開口周縁部を広げようとしても、その力は、接合部のうち第2シート部分の側縁部に対して交差する方向に沿って形成された部分によって広い部分で受止められる。これにより、接合部全体を破断するような力が作用することを抑制することができる。
特に、上記接合部が、第2シート部分の先端側縁部に沿ったラインで接合された部分を含むと、上記力を、接合部のうちのより広い部分で受止めることができる。これにより、接合部全体を破断するような力が作用することを余地確実に抑制することができる。
以下、より具体的な実施形態について説明する。
{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係るエアバッグ装置について説明する。第1実施形態では、第1シート部分がインフレータ側に設けられ、インフレータが当該第1シート部分に取付けられている例を説明する。
図1は本実施形態に係るエアバッグ装置20の全体構成を示す断面図であり、図2はエアバッグ装置20を示す斜視図である。なお、図1では、エアバッグ装置20をインストルメントパネル10に組込んだ状態を示している。また、図1は、車両の前後方向に沿った面における断面を示している。
このエアバッグ装置20は、車両の助手席前方にあるインストルメントパネル10に組込まれ、車両衝突時等に助手席乗員前方に膨張展開して、助手席乗員を受止めて衝撃を吸収する装置として構成されている。
すなわち、車両の助手席の車両前方には、エアバッグ組込パネルとしてインストルメントパネル10が配設されている。インストルメントパネル10には、割開き可能なリッド12が形成されている。ここでは、インストルメントパネル10は、樹脂により形成されている。また、インストルメントパネル10の内周面には、その略方形状の領域を3方(ここでは、車両後方及び両側方向)から囲むようにして溝状のティアライン13が形成されており、そのティアライン13によって囲まれる領域がリッド12とされている。エアバッグ装置20は、本リッド12の内側に組込まれている。そして、エアバッグ装置20の作動時には、インストルメントパネル10がティアライン13に沿って裂けることにより、リッド12が割開かれて開口が形成されるようになっている。また、インストルメントパネル10の内面には、上記リッド12の外周囲に立設されたリッド側周壁部14が形成されている。リッド側周壁部14は、ティアライン13よりも外周側にあり、リッド12を外周囲全体に亘って囲っている。なお、ティアライン13の形成例は上記例に限られない。例えば、インストルメントパネルにH字状又は放射状にティアラインが形成され、インストルメントパネルが複数の部分に分れて割開かれてもよい。要するに、ティアラインは、エアバッグ装置20の作動時にエアバッグ展開用の開口を形成可能な態様で形成されていればよい。また、リッド側周壁部14が形成されていることも必須ではない。
また、インストルメントパネル10の内側には、車両のボディに固定された部材である車体側部材18が配設されている。ここでは、車体側部材18として、ボディに固定され、インストルメントパネル10内で車幅方向に沿って配設された部材(いわゆるリーンホースと呼ばれる部材)を想定している。上記インストルメントパネル10は、周知構造を含む取付構造によって車両のボディに固定され、また、本体側部材も車両のボディに固定されているので、インストルメントパネル10と車体側部材18とは一定の位置関係に保たれている。従って、車体側部材18にエアバッグ装置20を取付けることで、エアバッグ装置20もインストルメントパネル10に対して一定の位置に配設される。
なお、エアバッグ装置20は、上記リッド12に対して取付固定されていてもよい。そのような構成例については後述する変形例で説明する。この場合、エアバッグ装置20は、車体側部材18に取付けられていなくてもよい。また、リッド12は、インストルメントパネル10とは別部材として構成されていてもよい。
本エアバッグ装置20は、上記のようなインストルメントパネル10に組込まれる。なお、ここで、エアバッグ装置20がインストルメントパネル10に組込まれるとは、エアバッグ装置20がインストルメントパネル10から膨張展開可能な位置に配設される場合を含み、エアバッグ装置20がインストルメントパネル10に対して物理的機械的に固定されていることは必須ではない。
本エアバッグ装置20は、インフレータ22と、エアバッグ30と、アウターバッグ40とを備えている。
インフレータ22は、点火装置及びガス発生剤等を有しており、上記リッド12の内側に配設されている。このインフレータ22は、車両自体に設置された衝撃検知部等からの点火命令信号を受けて前記点火装置によりガス発生剤を燃焼させ、これによりガスを発生可能に構成されている。ここでは、インフレータ22は、短円柱状に形成されており、その外周に金属板等でつば部24が形成されている。ここでは、つば部24は、方形状に形成されている。また、つば部24の一主面にネジ部25が突設されており、このネジ部25を利用して、インフレータ22とエアバッグ30、アウターバッグ40等との取付がなされる。
エアバッグ30は、布等でガス導入口を有する袋状に形成されている。上記インフレータ22は、ガス導入口を介してエアバッグ30内にガスを導入可能な位置及び姿勢で、エアバッグ30に取付けられている。このエアバッグ30は、通常状態では、折畳まれてリッド12の内側、ここでは、リッド12とインフレータ22との間に配設されている。エアバッグ30の折畳み構成は、予め決定された折り線に沿って折られる構成であっても、くしゃくしゃに丸めるように折畳まれる構成であってもよい。もっとも、エアバッグ30は、直方体箱形状をなすように折畳まれていることが好ましい。そして、車両衝突時等の膨張展開時には、エアバッグ30は、インフレータ22よりガス導入口を介して導入されるガスによって、リッド12を割開いてインストルメントパネル10の外方に突出するように膨張して、車室内側である助手席乗員側に向けて袋状に膨張展開する。
アウターバッグ40は、折畳み可能でかつ接合可能な柔軟なシート状部材41(布或は樹脂シート等)を縫製することにより構成されている。接合は、縫製によって行われることが好ましく、ここでも縫製した例で説明するが、これは必須ではない。
アウターバッグ40は、第1シート部分42と、4つの第2シート部分43a、43bと、4つの第3シート部分44とを含む。
第1シート部分42は、方形状に形成されている。第2シート部分43a、43bは、第1シート部分42の4方縁部より延出する方形状に形成されている。第3シート部分44は、各第2シート部分43a、43b間に設けられる形状、ここでは、方形状に形成されている。これら第1シート部分42と、4つの第2シート部分43a、43bと、4つの第3シート部分44とは、当初から一枚のシート状部材によって一体化されており、縫合等によって後から接合された構成ではない。
そして、各第2シート部分43a、43bが第1シート部分42に対して垂直姿勢で立上がって、折畳まれたエアバッグ30及び膨張展開中のエアバッグ30を囲うことが可能な環状の周壁部40Wに形成されている。また、各第2シート部分43a、43bが周壁部40Wを形成する状態を維持するように、各第3シート部分44が第2シート部分43a、43bのいずれかの外面に沿って配設され、この状態で、各第3シート部分44が各第2シート部分43a、43bのいずれかに接合されている。この際の接合部46全体は、第2シート部分43a、43bの側縁部に対して交差する方向に沿って形成されている。好ましくは、接合部46は、第2シート部分43a、43bの側縁部に対して直交する方向、即ち、第2シート部分43a、43bの先端側縁部(アウターバッグ40の開口40X側縁部)に沿ったラインに沿って形成されている。
従って、アウターバッグ40は、全体としてみると、一方側が開口する直方体箱状、より具体的には、第1シート部分42を底部40Bとし、第2シート部分43a、43bを周壁部40Wとする直方体箱状に形成されている。アウターバッグ40のうち上記底部40Bとは反対側は、リッド12に向けて開口している。
上記底部40Bの中間部(ここでは中央部)には、インフレータ取付孔40hが形成されている。インフレータ22は、エアバッグ30と共にインフレータ取付孔40hの周縁部に取付けられている。この状態で、周壁部40Wは、折畳まれたエアバッグ30の外周を囲んでいる。特に、ここでは、各第2シート部分43a、43bが、第1シート部分42の外周部に沿った方形環状形態をなして、折畳まれたエアバッグ30の外周を囲んでいる。
上記アウターバッグ40の一製造例について具体的に説明する。
上記アウターバッグ40を製造するにあたって、まず、図3及び図4に示すシート状部材41を準備する。図3はシート状部材41の平面展開図であり、図4は図3に示すシート状部材41の展開図において折ラインFを示した図である。
シート状部材41は、第1シート部分42と、4つの第2シート部分43a、43bと、4つの第3シート部分44とを含む。
第1シート部分42は、方形状、ここでは、一組の対辺が他方の一組の対辺よりも長い長方形状に形成されている。
この第1シート部分42の周囲4方の縁部より延出するようにして、4つの第2シート部分43a、43bが延出している。第1シート部分42のうち長い方の一組の対辺の縁部より延出するのが2つの方形状の第2シート部分43aであり、第1シート部分42のうち短い方の一組の対辺の縁部より延出するのが2つの方形状の第2シート部分43bである。第1シート部分42の周囲4方の縁部からの第2シート部分43a、43bの延出長は、アウターバッグ40の高さに応じて同じに設定されている。
第3シート部分44は、方形状に形成され、各第2シート部分43a、43bの間に設けられている。より具体的には、第3シート部分44は、第2シート部分43a、43bの延出長と同じ長さの4辺によって囲まれる正方形状に形成されている。もっとも、第3シート部分44は、第2シート部分43a、43bの間を埋めるような態様でそれらの間に存在していればよく、必ずしも方形状である必要はない。例えば、第3シート部分44の外側コーナー部が切除された形状であってもよい。
従って、シート状部材41は、第1シート部分42、第2シート部分43a、43b及び第3シート部分44が上記のように一体化された、方形状の一枚のシートとして形成されている。従って、製造用の元の布から本シート状部材41を裁断する際に歩留りを高くすることができる。
なお、第1シート部分42の中央部にはインフレータ取付孔40hが形成され、このインフレータ取付孔40hの周縁部に固定孔40haが(ここでは4つ)形成されている。
上記シート状部材41を図5に示すように折る。すなわち、シート状部材41が、第1シート部分42と各第2シート部分43a、43bとの間の折ラインFで折られる。これにより、各第2シート部分43a、43bが第1シート部分42に対して立上がる。各第2シート部分43a、43bが方形環状をなすようにすると、各第2シート部分43a、43b間に第3シート部分44が余る。方形状の各第3シート部分44は、第1シート部分42の頂点と共通する頂点とこれに対向する頂点とを結ぶ折ラインFで2つ折りされ、直角三角形状を呈して各第2シート部分43a、43b間の外方に引出される。
対向する一組の第2シート部分43bを挟む各第3シート部分44は、その間の第2シート部分43bの外面に接するように折曲げられる。この状態では、直角三角形状をなす各第3シート部分44は、その一方の斜辺を第2シート部分43bの先端側縁部に沿わせた状態となる。このため、隣合う第3シート部分44は、第2シート部分43bの先端側縁部で相互に重なった状態となる。隣合う第3シート部分44は、第2シート部分43bの先端側縁部の全体で重なっていてもよいし、第2シート部分43bの中間部で部分的に重なっていてもよい。
そして、隣合う2つの第3シート部分44が、その間の第2シート部分43bに対して共通する接合部46で接合される。すなわち、隣合う第3シート部分44が第2シート部分43bの外面で重なり合っているため、当該重なり合う箇所を含む接合部46で、当該隣合う第3シート部分44を、第2シート部分43bに接合する。この接合部46の延在方向は、上記したように、第2シート部分43bの先端側縁部に沿った方向である。換言すれば、接合部46の延在方向は、周壁部40Wのうちエアバッグ30の膨張展開方向側の周縁部に沿った方向である。これにより、各第3シート部分44が第2シート部分43bに接合され、第2シート部分43a、43bが周壁部40Wをなす状態を維持できる。
なお、接合部は、(細かな)ジグザグの縫目等で形成されていてもよい。この場合でも。接合部46の延在方向は、当該接合部を全体として見た場合の延在方向として捉えることができる。
また、接合部は、必ずしも直線状である必要はなく、曲線等を描いていてもよいし、途中で曲っていてもよい。この場合でも、当該接合部の一部が第2シート部分の側縁部に対して交差する方向に沿って形成されていればよい。
なお、第3シート部分44を第2シート部分43a、43bに接合する構成は上記例に限られない。各第3シート部分44が、周壁部40Wの周りで同一方向に折られ、それぞれ別々の第2シート部分43a、43bに接合されていてもよい。
また、接合部46の形成箇所、位置は、上記例に限られない。例えば、上記第3シート部分44の対角線(折られた線)方向に沿ったラインで接合されていてもよい。すなわち、接合部46は、第2シート部分43a、43bの側縁部に対して傾斜する方向に沿って形成されていればよい。
また、上記第3シート部分44は、第2シート部分43a、43bの内側に折込まれて、内側から第2シート部分43a、43bに接合されてもよい。
また、上記接合部46とは別箇所に接合部が形成されていてもよい。別箇所に形成された接合部は、第2シート部分43a、43bの側縁部に沿った方向に沿って形成されていてもよい。
また、本実施形態では、隣合う第2シート部分43a、43bの側縁部同士は、接合されず、上記第3シート部分44が第2シート部分43a、43bに接合されることで、4つの第2シート部分43a、43bが上記周壁部40Wをなすように維持されている。もっとも、これは必須ではなく、隣合う第2シート部分43a、43bの側縁部同士が接合されていてもよい。
なお、アウターバッグ40は、強度上の必要性等に応じて、全体的或は部分的に複数の布等が重ね合されていてもよい。
上記アウターバッグ40は、図2に示すように、直方体箱状をなすように折られていることが好ましい。この形態に折ることを想定すると、第1シート部分42の大きさは、折畳まれたエアバッグ30の平面視の大きさとほぼ同じであることが好ましい。また、第2シート部分43a、43bの延出長は、折畳まれたエアバッグ30の高さ寸法(エアバッグ30の膨張展開方向)の寸法と同じかそれよりも大きい寸法に設定するとよい。
もっとも、アウターバッグ40が直方体箱状をなしていることは必須ではない。
エアバッグ30及びインフレータ22は、次のようにしてアウターバッグ40に取付固定されている。
すなわち、図1及び図2に示すように、インフレータ22のつば部24に突設されたネジ部25をアウターバッグ40のインフレータ取付孔40hの周縁部の固定孔40haに挿通させた状態で、インフレータ22の一部がインフレータ取付孔40h内に配設される。なお、インフレータ22のつば部24に突設されたネジ部25は、エアバッグ30のガス導入口の周縁部に形成された固定孔に挿通されており、当該エアバッグ30に対して取付(仮固定)されている。
上記インフレータ22のつば部24に対しては、アウターバッグ40の外側から固定ブラケット28が重ね合される。固定ブラケット28には、ネジ部25に対応する孔が形成されており、当該孔から突出するネジ部25にナット29が螺合締結される。これにより、つば部24と固定ブラケット28との間に、エアバッグ30のうちガス導入口の周縁部及びアウターバッグ40のうちインフレータ取付孔40hの周縁部が挟込み固定される。これにより、エアバッグ30及びインフレータ22がアウターバッグ40に対して取付固定される。
なお、上記アウターバッグ40を縫製した後、インフレータ22及びエアバッグ30をアウターバッグ40に取付ける前に、アウターバッグ40を表裏反転させてもよい。
また、インフレータ22には、インフレータ固定部材95が固定されている(図1参照)。インフレータ固定部材95は、金属板等によって形成された部材であり、ここでは、略L字状に曲る形状に形成されている。そして、ここでは、上記ネジ部25がインフレータ固定部材95の一端部に挿通された状態でネジ部25にナット29が螺合締結されることで、インフレータ固定部材95の一端部が上記固定ブラケット28の外面とナット29との間で締付け固定され、もって、インフレータ固定部材95がインフレータ22に固定されている。また、インフレータ固定部材95の他端部は、車体側部材18に固定可能な形状に形成されている、ここでは、車体側部材18に突設された固定ボルト18Bを、前記インフレータ固定部材95の他端部に挿通して、当該固定ボルト18Bにナット18Nを螺合締結することにより、インフレータ固定部材95が車体側部材18に対して固定される。そして、本インフレータ固定部材95が車体側部材18に固定されることで、インフレータ22がリッド12の内側の一定位置に固定されている。
本実施形態では、エアバッグ装置20は車体側部材18に固定されており、インストルメントパネル10には固定されていないため、エアバッグ装置20の組付を簡単に行える。
なお、インフレータ22或は車体側部材18に対するインフレータ固定部材95の固定は、上記例に限られず、カシメ或は溶接、嵌め込み構造、或はこれらの複合構成であってもよい。
なお、上記例では、シート状部材41を縫合してアウターバッグ40を形成した後、そのままのアウターバッグ40内に折畳まれたエアバッグ30を収容すると説明したが必ずしもその必要はない。シート状部材を縫合して袋状に形成した後、その袋状のシート状部材を反転させてアウターバッグを構成してもよい。
図7〜図9は、上記エアバッグ装置20の展開動作を示す説明図である。なお、これらの展開動作を示す説明図では、説明の便宜上簡略化して記載されている。
まず、展開動作前の通常状態では、図7に示すように、折畳まれたエアバッグ30は、リッド12とインフレータ22との間に配設されている。この状態では、リッド側周壁部14は、折畳まれたエアバッグ30を周囲四方から取囲んでいる。また、アウターバッグ40の周壁部40Wは環状をなして、折畳まれたエアバッグ30を周囲四方から取囲んでいる。
この状態で、インフレータ22から発生したガスがエアバッグ30内に導入されると、図8に示すように、エアバッグ30は、リッド12とリッド側周壁部14とインフレータ22とで囲まれる空間内で膨張を開始する。
この際、エアバッグ30の主膨張展開方向(インフレータ22からリッド12に向う方向)では、インフレータ固定部材95によりインフレータ22はリッド12に対して一定距離離れた位置で固定されているため、エアバッグ30の突出方向の膨張展開力は、リッド12のティアライン13を分断する力として作用する。これにより、リッド12が割開かれ、インストルメントパネル10に開口が形成される。
この際、エアバッグ30は、その主膨張展開方向(インフレータ22からリッド12に向う方向)を中心としてその周囲に向うラジアル方向にも膨張展開しようとする。ところが、エアバッグ30の外周は周壁部40Wによって囲まれているため、エアバッグ30がリッド側周壁部14とインフレータ22との間でラジアル方向に広がるように外方に膨張展開してしまうことを抑制することができる。
特に、リッド側周壁部14が存在する部分では、膨張展開しようとするエアバッグ30は、リッド側周壁部14の内面に向けて押付けられるので、エアバッグ30とリッド側周壁部14との間で周壁部40Wの一部分(開口40Xに近い部分)が挟込まれるように保持される。これにより、周壁部40Wのうちリッド側周壁部14とインフレータ22との間に介在する部分が、膨張展開しようとするエアバッグ30のうちのインフレータ22近傍部分を周囲全体に亘ってより確実に受止めることになり、エアバッグ30がリッド側周壁部14とインフレータ22との間でラジアル方向に広がるように外方に膨張展開してしまうことをより確実に抑制することができる。
そして、リッド12が割開かれると、図9に示すように、エアバッグ30がインストルメントパネル10の開口を通って外方に膨張展開する。この際にも、周壁部40Wが、エアバッグ30がラジアル方向に膨張展開することを受止める上記構成が維持され、エアバッグ30がラジアル方向に広がることを抑制する。
また、エアバッグ30が膨張展開する際には、アウターバッグ40の膨張展開力は、アウターバッグ40の周壁部を広げる力として作用する。この際、周壁部40Wの環状形状を維持する接合部46は、開口40Xの開口縁部の延在方向に沿った方向に形成されているため、当該力は、接合部46のうちのなるべく広範な部分で受止められる。このため、接合部46を、多数回縫製構造にする等しなくても、開口40Xが接合部46で開き難いようにすることができる。
なお、接合部の少なくとも一部が第2シート部分の側縁部に対して交差する方向に沿って形成されていれば、周壁部40Wを広げようとする力は、接合部に対して周壁部40Wの周方向にある程度分散して受止められると期待できる。このため、接合部46の少なくとも一部は、必ずしも開口40Xの開口縁部の延在方向に沿った方向に形成されている必要はなく、第2シート部分43a、43bの側縁部に対して交差する方向に形成されていればよい。
なお、リッド12が割開かれた状態で、アウターバッグ40のうち開口40Xに近い部分が、インストルメントパネル10の開口周縁部とエアバッグ30との間に挟まれることが好ましい。さらには、リッド12が割開かれた状態で、アウターバッグ40のうち開口40Xに近い部分が、インストルメントパネル10の開口周縁部を越えてインストルメントパネル10の表面側に延出することが好ましい。そのためには、アウターバッグ40の高さ(第2シート部分43a、43bの延出長)をインフレータ22とリッド12との間の距離よりも大きくしておくことが好ましい。
そして、エアバッグ30がインストルメントパネル10と助手席乗員との間に膨張展開することで、助手席乗員を受止めて衝撃を吸収する。
図10〜図12は、リッド側周壁部14を省略した場合における、エアバッグ装置20の展開動作を示す説明図である。
この場合、展開動作前の通常状態では、図10に示すように、折畳まれたエアバッグ30は、リッド12とインフレータ22との間に配設されている。この状態では、アウターバッグ40の周壁部40Wは環状をなして、折畳まれたエアバッグ30を周囲四方から取囲んでいる。
この状態で、インフレータ22から発生したガスがエアバッグ30内に導入されると、図11に示すように、エアバッグ30は、リッド12とリッド側周壁部14とインフレータ22とで囲まれる空間内で膨張を開始する。
この際、エアバッグ30は、その主膨張展開方向(インフレータ22からリッド12に向う方向)を中心としてその周囲に向うラジアル方向にも膨張展開しようとする。ところが、エアバッグ30の外周は周壁部40Wによって囲まれているため、エアバッグ30がリッド側周壁部14とインフレータ22との間でラジアル方向に広がるように外方に膨張展開してしまうことを抑制することができる。この状態で、アウターバッグ40のうち開口40Xに近い部分が、エアバッグ30とリッド12との間に挟まれていることが好ましい。
そして、リッド12が割開かれると、図12に示すように、エアバッグ30がインストルメントパネル10の開口を通って外方に膨張展開する。この際にも、周壁部40Wが、エアバッグ30がラジアル方向に膨張展開することを受止める上記構成が維持され、エアバッグ30がラジアル方向に広がることを抑制する。
また、エアバッグ30の膨張展開力は、周壁部40Wを広げる力(周壁部40Wの周方向に沿って引張る力)として作用する。この力は、上記と同様に、接合部46のうちのなるべく広範な部分で受止められる。
リッド12が割開かれた状態で、アウターバッグ40のうち開口40Xに近い部分が、インストルメントパネル10の開口周縁部とエアバッグ30との間に挟まれることが好ましい。さらには、リッド12が割開かれた状態で、アウターバッグ40のうち開口40Xに近い部分が、インストルメントパネル10の開口周縁部を越えてインストルメントパネル10の表面側に延出することが好ましい。
そして、エアバッグ30がインストルメントパネル10と助手席乗員との間に膨張展開することで、上記と同様に、助手席乗員を受止めて衝撃を吸収する。
以上のように構成されたエアバッグ装置20によると、4つの第2シート部分43a、43bが第1シート部分42から立上がってインフレータ22とリッド12との間で折畳まれたエアバッグ30及び膨張展開中のエアバッグ30を囲うことが可能な周壁部40Wを形成するように、各第3シート部分44が4つの第2シート部分43a、43bの少なくとも2つにその側縁部に対して接合部46を介して接合され、当該接合部46は第2シート部分43a、43bに対して交差する部分を含む。このため、膨張展開しようとするエアバッグ30が、アウターバッグ40の周壁部40Wを広げようとする力を、接合部46のうちのある程度広い部分で受止めることができ、アウターバッグ40の接合部全体を破断するような力が作用することを抑制することができる。
特に、本実施形態では、接合部46は、アウターバッグの開口40Xの周縁部に沿って形成されているため、膨張展開しようとするエアバッグ30が、周壁部40Wを広げようとする力を、接合部46のうちのより広い部分で受止めることができる。別の捉え方とすると、アウターバッグ40の周壁部40Wを広げようとする力の作用方向と、接合部46の延在方向とが同方向であるため、前記力は、接合部46を裂く力として作用し難い。このため、アウターバッグ40の開口40Xが、接合部46で破断することをより効果的に抑制できる。
また、第2シート部分43a、43bの側縁部同士は接合されず、第3シート部分44が第2シート部分43bに接合されることで、4つの第2シート部分43a、43bが周壁部40Wをなすように維持されているため、より少ない接合箇所で、アウターバッグ40を容易に形成できる。もっとも、第2シート部分43a、43b同士の側縁部同士が接合されていてもよい。
しかも、隣合う2つの第3シート部分44が、それらの間の第2シート部分43aに対して共通する接合部46で接合されているため、より少ない接合箇所でその接合作業を容易に行える。もっとも、各第3シート部分44は、それぞれ別々の接合部で、4つの第2シート部分43a、43bのいずれかに接合されていてもよい。
また、全体として一枚のシート状部材41によってアウターバッグ40を容易に形成することができる。
また、エアバッグ30が膨張展開する際には、アウターバッグ40によって、インストルメントパネル10の内側でエアバッグ30がラジアル方向に展開することを有効に抑制することができる。また、そのための構成を主としてシート状部材41で構成されたアウターバッグ40によって実現できるため、部品点数の削減、軽量化、コスト削減が可能となる。
また、リッド側周壁部14とインフレータ22との間では、アウターバッグ40によってエアバッグ30のラジアル方向への広がりが抑制されているため、リッド側周壁部14の高さ寸法を低くすることができ、或は、別例で述べたように、リッド側周壁部14自体を無くすることも可能となり、インストルメントパネルの構成の簡易化、軽量化も実現可能となる。
もっとも、アウターバッグ40の周壁部40Wの一部が、膨張展開中のエアバッグ30と、リッド12の外周囲に立設されたリッド側周壁部14との間に挟込まれることで、周壁部40Wがエアバッグ30を取り囲む状態をより確実に維持できる。これにより、エアバッグ30がラジアル方向に広がることをより確実に抑制することができる。
また、アウターバッグ40が直方体箱状をなすように折られているため、折畳まれたエアバッグ30及びそれを覆うアウターバッグ40が、直方体外観をなすようにすることができる。これにより、折畳まれたエアバッグ30及びアウターバッグ40の形状安定化及び収容作業の容易化を図り易い。
また、第1シート部分42にインフレータ取付孔40hが形成されているため、第1シート部分42を利用してインフレータ22をアウターバッグ40に取付固定できる。
また、第3シート部分44は、周壁部40Wのうちエアバッグ30の膨張展開方向側の周縁部に沿ったラインで第2シート部分43aに接合されているため、アウターバッグ40がラジアル方向に広がろうとする力が、接合部46を破断する力として作用し難く、従って、周壁部40Wがエアバッグ30を囲む状態をより確実に維持できる。
また、インフレータ取付孔40hに対向する位置に開口40Xが形成されているため、インフレータ22の前方側に、開口40Xを通じてエアバッグ30を円滑に膨張展開させることができる。
また、インフレータ22がインフレータ固定部材95を介して車体側部材18に固定されているため、インフレータ22とインストルメントパネル10との固定構造を簡略化或は省略することができる。
結果、リッド側周壁部14を設けた場合であっても、リッド側周壁部14にエアバッグ装置20を固定するための構成(取付用の孔)等を設けなくてもよくなる。このため、リッド側周壁部14に着目すると、そのような観点からも構成の簡易化が図られる。
もっとも、後述する変形例で説明するように、リッド側周壁部にエアバッグ装置が固定されていてもよい。
本第1実施形態を前提として、各種変形例について説明する。
まず、図13及び図14に示す第1変形例のように、上記エアバッグ装置20に対応するエアバッグ装置20Bが、アウターバッグ40の内側で折畳まれたエアバッグ30を覆う補助ラップ部材(ラッピングクロス)60を備えていてもよい。ここでは、補助ラップ部材60は、長方形状に形成されており、その両端部に弧状に凹むインフレータ嵌込凹部62が形成されると共に、当該インフレータ嵌込凹部62の周縁部にネジ部25を挿通可能な取付孔62aが形成されている。また、その長手方向中間部に、その幅方向に沿って、エアバッグ30の膨張展開によって破断可能な破断部64が形成されている。ここでは、破断部64は、補助ラップ部材60をその幅方向において部分的に切込むことにより形成されている。
上記補助ラップ部材60は、折畳まれたエアバッグ30を覆うように装着され、その両端部がインフレータ22まで引出されている。そして、インフレータ22のネジ部25が取付孔62aに挿通されており、インフレータ22とエアバッグ30、アウターバッグ40との取付構造部分を利用して、補助ラップ部材60がインフレータ22に取付固定されている。このように補助ラップ部材60がエアバッグ30を覆う状態で、破断部64は折畳まれたエアバッグ30の上部の略中央部に配設される。
この補助ラップ部材60によって、エアバッグ30がより確実に折畳まれた形態に維持される。特に、折畳まれたエアバッグ30をアウターバッグ40内に入れる前の状態で、補助ラップ部材60を装着して、エアバッグ30を折畳んだ状態に維持し、かつ、折畳まれたエアバッグ30からインフレータ22が分離し難いようにすることによって、当該エアバッグ30を容易にアウターバッグ40内に入れることができる。
なお、補助ラップ部材60は、上記形状に限られない。例えば、補助ラップ部材60は、折畳まれたエアバッグ30の天井部分から4方の側方部分に沿って延びる十字形状に形成されていてもよい。
また、図15に示す第2変形例に係るエアバッグ装置20Cは、インフレータ22と、エアバッグ30と、アウターバッグ40Cとを備えている。インフレータ22及びエアバッグ30は、上記したものと同じである。
アウターバッグ40Cは、上記アウターバッグ40に対して、その開口40Xを囲む周縁部に、膨張展開中のエアバッグ30とリッド12の開口外側周縁部との間に挟込み可能な第1延設片50、第2延設片52を設けた構成とされている(図20〜図22も参照)。
より具体的には、アウターバッグ40Cは、折畳み可能でかつ接合可能な柔軟なシート状部材41C(布或は樹脂シート等)を縫製することにより構成されている。接合は、上記と同様に、縫製によって行われることが好ましいが、これは必須ではない。
アウターバッグ40Cは、上記実施形態と同様に、第1シート部分42と、4つの第2シート部分43a、43bと、4つの第3シート部分44とを含み、さらに、第1延設片50、第2延設片52を含む。
一対の第2シート部分43aの先端部(開口40X側部分)に、第1延設部50が設けられ、一対の第2シート部分43bの先端部(開口40X側部分)に第2延設部52が設けられている。第1延設部50は、先端側に向けて順次幅狭となる略台形状に形成され、隣接する2つの第2延設部52は、接した状態で先端側に向けて順次幅狭となる略台形状に形成されている。これら第1延設部50及び第2延設部52は、折畳まれたエアバッグ30の上部を、それぞれの大部分を重複させないで覆えるようになっている。
上記第1延設部50及び第2延設部52は、エアバッグ30の膨張展開時において、膨張展開中のエアバッグ30とインストルメントパネル10のうちリッド12の外周側表面との間に挟込み可能に構成されている(図22参照)。つまり、第1延設部50及び第2延設部52は、エアバッグ30の膨張展開時において、インストルメントパネル10に形成された開口を通って外方に延出可能な程度の寸法に設定されている。
なお、本変形例において、インストルメントパネル10に形成されたリッド側周壁部14は存在していても省略されていてもよく、以下では、リッド側周壁部14が省略されているという前提で説明する。
上記アウターバッグ40Cは、アウターバッグ40と同様手順で製造することができる。
すなわち、アウターバッグ40Cを製造するにあたって、まず、図16及び図17に示すシート状部材41Cを準備する。図16はシート状部材41Cの平面展開図であり、図17は図16に示すシート状部材41Cの展開図において折ラインFを示した図である。
シート状部材41Cは、第1実施形態におけるシート状部材41の形状部分に、第1延設部50及び第2延設部52を形成するための部分を付加した形状とされている。つまり、シート状部材41Cのうち第2シート部分43a、43bの外向き側部分に、第1延設部50を形成するための部分及び第2延設部52を形成するための部分が延設された形状とされている。
そして、図18に示すように、上記第1実施形態と同様に、シート状部材41Cを折ラインFで折って、各第2シート部分43a、43bが第1シート部分42に対して立上がるようにする。また、各第3シート部分44を第2シート部分43a、43b間の外方に引出して、直角三角形状を呈するように折る。
そして、各第3シート部分44を、第2シート部分43bに対して接合部46で接合する。
これにより、図19に示すように、第1シート部分42を底部40Bとし、かつ、第2シート部分43a、43bを周壁部40Wとする箱状のエアバッグ30の収容部分と、当該収容部分の開口40Xより延出する第1延設片50、第2延設片52とを含むアウターバッグ40Cが製造される。
図20〜図22は、上記エアバッグ装置20Cの展開動作を示す説明図である。
まず、展開動作前の通常状態では、図20に示すように、折畳まれたエアバッグ30は、リッド12とインフレータ22との間に配設されている。また、アウターバッグ40Cの周壁部40Wは、環状をなして、折畳まれたエアバッグ30を周囲四方から取囲んでおり、第1延設部50及び第2延設部52は、折畳まれたエアバッグ30の上部を覆っている。
この状態で、インフレータ22から発生したガスがエアバッグ30内に導入されると、図21に示すように、エアバッグ30は、リッド12とインフレータ22とで囲まれる空間内で膨張を開始する。
この際、第1延設部50及び第2延設部52は、折畳まれたエアバッグ30とリッド12との間で挟込まれるので、アウターバッグ40Cの周壁部40Wの脱落が抑制されている。これにより、周壁部40Wは、エアバッグ30がラジアル方向に膨張展開することを有効に抑制する。
そして、上記第1実施形態で説明したように、エアバッグ30の膨張展開力により、リッド12が割開かれ、インストルメントパネル10に開口が形成される。
インストルメントパネル10に開口が形成されると、図22に示すように、エアバッグ30は当該開口を通ってインストルメントパネル10の外方に膨張展開しようとする。この際、アウターバッグ40Cのうち第1延設部50及び第2延設部52は、インストルメントパネル10の前記開口を通って外方に押出される。そして、エアバッグ30がインストルメントパネル10の開口を通って外方に突出すると、アウターバッグ40Cのうち第1延設部50及び第2延設部52は、インストルメントパネル10の開口或はリッド12の外周側表面と膨張展開中のエアバッグ30との間に挟込まれる。これにより、エアバッグ30の膨張展開中において、インストルメントパネル10の内側でアウターバッグ40Cがエアバッグ30の周囲を囲う状態がより確実に維持される。そして、アウターバッグ40Cのうちインストルメントパネル10の内側に存在する部分が、膨張展開するエアバッグ30のうちインストルメントパネル10の内側に位置する部分を周囲全体に亘って受止めて、エアバッグ30がインストルメントパネル10の内側でラジアル方向に広がることを抑制する。
そして、エアバッグ30がインストルメントパネル10と助手席乗員との間に膨張展開することで、助手席乗員を受止めて衝撃を吸収する。
以上のように構成されたエアバッグ装置20Cによっても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
加えて、アウターバッグ40Cのうち開口40Xを囲む周縁部に設けられた第1延設部50及び第2延設部52が、膨張展開中のエアバッグ30とリッド12の外周側外面との間に挟込まれるため、周壁部40Wがインストルメントパネル10の内側で、アウターバッグ40Cが膨張展開中のエアバッグ30を囲う状態をより確実に維持できる。これにより、リッド12とインフレータ22との間でエアバッグ30がラジアル方向に広がることをより確実に抑制できる。
また、エアバッグ30が膨張展開した状態で、リッド12の開口外側周縁部とエアバッグ30との間に第1延設部50、第2延設部52が配設されるため、リッド12の開口が割れ難くなる。また、エアバッグ30とリッド12の開口との直接的な擦れが抑制される。
なお、本変形例では、リッド側周壁部14が省略された例で説明したが、インストルメントパネル10にリッド側周壁部14が設けられていてもよい。
また、本変形例では、4つの第2シート部分43a、43bの全てに第1延設部50又は第2延設部52を形成しているが、必ずしもその必要はない。4つの第2シート部分43a、43bのうちの少なくとも1つに第1延設部50又は第2延設部52が形成されていればよい。
図23に示す第3変形例に係るエアバッグ装置20Dは、インフレータ22と、エアバッグ30と、アウターバッグ40Dとを備えている。インフレータ22及びエアバッグ30は、上記したものと同じである。
アウターバッグ40Dは、上記アウターバッグ40に対して、その開口40Xを取り囲む周縁部に、天井部48Dと、延出部49Dとを設けた構成とされている(図24〜図27も参照)。
より具体的には、アウターバッグ40Dは、上記アウターバッグ40と同様に第1シート部分42と、4つの第2シート部分43a、43bと、4つの第3シート部分44とを含み、さらに、天井部48Dと、延出部49Dとを含む。
天井部48Dは、一対の第2シート部分43aのうちの一方の先端部(開口40X側の部分)に天井部48Dが延設されている。天井部48Dは、上記開口40Xを覆って閉塞可能な形状、ここでは、方形状に形成されている。天井部48Dには、エアバッグ30の膨張展開時に破断可能な破断部48Daが形成されている。ここでは、天井部48Dの基端部と先端部との間にその幅方向に沿って破断部48Daが形成されている。破断部48Daは、天井部48Dを部分的に切込むことにより形成されている。そして、天井部48Dが開口40Xを塞いだ状態で、破断部48Daが折畳まれたエアバッグ30の上部の略中央部に配設される。
この天井部48Dの先端部から延出部49Dがさらに延設されている。延出部49Dは、アウターバッグ40Dの外周を通ってインフレータ取付孔40hに達する長さ寸法に形成されており、インフレータ取付孔40hの周縁部と共にインフレータ22に取付けられるように構成されている。より具体的には、延出部49Dは、一対の第2シート部分43aのうちの他方と第1シート部分42を覆える程度の大きさの方形状に形成されている。延出部49Dの先端部には、インフレータ22の外周形状に応じた弧状凹部49Daが形成され、その弧状凹部49Daの外周であって上記固定孔40haと対応する位置に固定孔49Dhが形成されている。そして、延出部49Dが、他方の第2シート部分43aの外面側を通って第1シート部分42に回り込むように配設される。この状態で、弧状凹部49Daの周縁部がインフレータ取付孔40hの周縁部に揃えて配設され、インフレータ取付孔40hの周縁部と共にインフレータ22に固定される。この固定構造によって、上記天井部48Dが開口40Xを覆った状態が維持される。また、通常状態において、アウターバッグ40D及び折畳まれたエアバッグ30と、インストルメントパネル10とが一定の位置関係に保たれる。
上記アウターバッグ40Dは、次の手順で製造することができる。
すなわち、アウターバッグ40Dを製造するにあたって、まず、図24及び図25に示すシート状部材41Dを準備する。図24はシート状部材41Dの平面展開図であり、図25は図24に示すシート状部材41Dの展開図において折ラインFを示した図である。
シート状部材41Dは、上記第1実施形態におけるシート状部材41の形状(つまり長方形状)に、天井部48D及び延出部49Dを形成するための部分を付加した形状とされている。つまり、シート状部材41Dのうち、一方の第2シート部分43aの外向き端部に、天井部48D及び延出部49Dを形成するための部分が形成されている。
そして、図26に示すように、上記第1実施形態と同様に、シート状部材41Dを折ラインFで折って、各第2シート部分43a、43bが第1シート部分42に対して立上がるようにする。また、各第3シート部分44を第2シート部分43a、43b間の外方に引出して、直角三角形状を呈するように折る。そして、各第3シート部分44を、第2シート部分43bに対して接合部46で接合する。
これにより、図27に示すように、第1シート部分42を底部40Bとし、かつ、第2シート部分43a、43bを周壁部40Wとする箱状のエアバッグ30の収容部分と、当該収容部分の開口40Xより延出する天井部48D及び延出部49Dとを含むアウターバッグ40Dが製造される。
そして、このアウターバッグ40Dに対して、折畳まれたエアバッグ30が収容される。また、天井部48D及び延出部49Dが折畳まれたエアバッグ30及びアウターバッグ40Dの収容部分の外周を包込むように取り回されて、インフレータ取付孔40hの周縁部及び弧状凹部49Daの周縁部がインフレータ22に取付けられる。これにより、図23に示すエアバッグ装置20Dが製造される。
このエアバッグ装置20Dでは、エアバッグ30がリッド12を割開いて外に飛出す前後(好ましくはリッド12が割れた後)、膨張展開するエアバッグ30が前記破断部48Daで天井部48Dを破断してアウターバッグ40Dの外方に膨張展開していく。
このため、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。加えて、天井部48Dが開口40Xを覆っているため、アウターバッグ40Dが折畳まれたエアバッグ30を覆う状態をより確実に維持することができる。これにより、本エアバッグ装置20Dインストルメントパネル10への組込作業等を容易に行える。
また、エアバッグ30が膨張展開する際に、天井部48Dがインストルメントパネル10の開口或はリッド12の外周側表面と膨張展開中のエアバッグ30との間に挟込まれる。このため、インストルメントパネル10の内側でアウターバッグ40Dがエアバッグ30を囲む状態がより確実に維持され、エアバッグ30のラジアル方向への広がりをより確実に維持できる。
また、図28に示す第4変形例及び図29に示す第5変形例のように、上記アウターバッグ40Dがエアバッグ30に直接的に取付けられていてもよい。
図28及び図29に示す各例では、インフレータ取付孔40h周りで、アウターバッグ40Dがエアバッグ30に直接的に取付けられている。より具体的には、図28に示す例では、アウターバッグ40Dの第1シート部分42が、インフレータ取付孔40hを囲む円状の接合部分としての円状縫合部分70を介して、エアバッグ30に直接的に固定されている。また、図29に示す例では、第1シート部分42の周りの4つの辺に沿った方形状の接合部分としての方形状縫合部分72を介して、アウターバッグ40Dがエアバッグ30に取付けられている。
エアバッグ30に対するアウターバッグ40Dの縫合は、エアバッグ30を袋状に縫合する前後のいずれに行ってもよいし、また、アウターバッグ40Dを袋状に縫合する前後のいずれに行ってもよい。
図28及び図29に示す変形例によると、アウターバッグ40Dがエアバッグ30に直接的に取付けられているため、インフレータ22を取付ける前の製造途中状態で、エアバッグ30(或はその成形用のシート状部材)とアウターバッグ40D(或はその成形用のシート状部材)とを一体的な構成部品として取扱うことができ、作業工程上便利である。
特に、アウターバッグ40Dの第1シート部分42がインフレータ取付孔40h周りでエアバッグ30に取付けられているため、取付け後におけるアウターバッグ40Dの加工が容易である。また、インフレータ取付孔40hの周囲でエアバッグ30がアウターバッグ40Dに取付けられているため、エアバッグ30がインフレータ22周りを固定箇所として安定して膨張展開することができる。
また、図28に示す例においては、円状縫合部分70を介してエアバッグ30がアウターバッグ40Dに直接的に固定されているため、エアバッグ30の膨張展開力が当該円状縫合部分70に作用すると、当該力は円状縫合部分70に対してその延在方向に分散する。このため、アウターバッグ40Dとエアバッグ30とが外れ難くなる。
また、図29に示す例においては、アウターバッグ40Dとエアバッグ30とが方形状縫合部分72を介して縫合されているため、アウターバッグ40Dの第1シート部分42(底部40B)が方形形状を維持し易い。このため、アウターバッグ40Dが直方体箱状を維持し易くなる。
勿論、上記天井部48D、延出部49Dが省略されたアウターバッグ40等についても、同様に、エアバッグ30に事前に取付けておくとよい。また、エアバッグ30を円滑に膨張展開動作させることが可能な範囲で、アウターバッグ40Dの他の部分、例えば、アウターバッグ40Dの第2シート部分43a、43bの一部がエアバッグ30に取付けられていてもよい。
図30及び図31は第6変形例に係るエアバッグ装置120を示す図である。図30はエアバッグ装置120がインストルメントパネル110に連結固定された状態を示している。
すなわち、インストルメントパネル110は、車体に固定されるインストルメントパネル本体110Aと、そのインストルメントパネル本体110Aに取付けられるリッドパネル110Bとを有している。インストルメントパネル本体110Aには、開口(ここでは略方形開口)が形成されており、当該開口にリッドパネル110Bが嵌込み固定されている。リッドパネル110Bの固定は、例えば、リッドパネル110Bに形成された係合部110Baをインストルメントパネル本体110Aに形成された被係合部(図示省略)に係合させること等により行われる。
リッドパネル110Bは、樹脂等により形成されており、エアバッグ装置120が組込まれるエアバッグ組込パネルとして用いられる。このリッドパネル110Bには、上記リッド12と同様のリッド112が形成されている。リッド112の周囲にはティアライン13が形成されている。
リッドパネル110Bの内面には、リッド112の外周囲に立設されたリッド側周壁部114が形成されている。このリッド側周壁部114は、リッド112を外周囲全体に亘って囲っている。但し、リッド側周壁部114は、リッドパネル110Bの主面に対して傾斜しており、インストルメントパネル本体110Aへのリッドパネル110Bの取付状態では、略直下を向くように延出している。また、この状態で、リッド側周壁部114のうち車両前方に位置する一方側の側壁部114A(図30において左側)の下端部は、車両後方に位置する他方側の側壁部114B(図30において右側)の下端部よりも上方に位置している。また、各側壁部114A、114Bには、後述するベルト170、172を連結するための取付孔114Ah、114Bhが形成されている。
本エアバッグ装置120は、リッド112の外周囲に立設されたリッド側周壁部114に連結固定されるものであり、インフレータ22と、エアバッグ30と、アウターバッグ40とを備え、さらにベルト170、172を備えている。インフレータ22と、エアバッグ30と、アウターバッグ40とは、上記したものと同じである。
ベルト170、172は、インフレータ22とリッド側周壁部114とに連結されて、インフレータ22をリッド112の内側の一定位置に保持する部材である。ここでは、ベルト170、172の一端部がインフレータ22に接合され、ベルト170、172の他端部がリッド側周壁部114に形成された取付孔114Ah、114Bhを通ってアウターバッグ40の外周部に接合された例について説明する。
すなわち、アウターバッグ40の周壁部40Wの外周面の一部(一方の第2シート部分43a)にベルト170が接合され、アウターバッグ40の周壁部40Wの外周面のうち前記ベルト170の取付箇所に対向する他の部分(一方の第2シート部分43a)にベルト172が接合されている。
一対のベルト170は、基端部で一体化され、長手方向中間部で穴部(ここでは基端側から先端側に向けて順次幅狭になる形状)を介して分離され、先端部で切断等により分離された構成とされている。また、一対のベルト170の先端部は、インフレータ22の外周形状に応じた弧状の凹状縁部を有しており、その凹状縁部の外周であってエアバッグ30のガス導入口回りに形成された取付用孔に対応する箇所に取付用孔が形成されている。この一対のベルト170の基端部は、周壁部40Wの外周面に縫合等により接合されており、リッド側周壁部114に対する取付前の状態(図31参照)では、周壁部40Wから上方に延出している。
また、一対のベルト172は、上記一対のベルト170に対して長さ寸法が異なる点を除いて、当該一対のベルト170と略同様構成を有している。この一対のベルト172の基端部は、周壁部40Wの外周面に縫合等により接合されており、リッド側周壁部114に対する取付前の状態(図31参照)では、周壁部40Wから上方に延出している。
上記インフレータ22、エアバッグ30及びアウターバッグ40の一体化構造物を、リッドパネル110Bに取付けるための構成について説明する。
まず、一対のベルト170及び一対のベルト172それぞれを、リッド側周壁部114の側壁部114A、114Bの取付孔114Ah、114Bhに内側から通しつつ、折畳まれたエアバッグ30及びこれを覆うアウターバッグ40をリッド側周壁部114内に押込む。
この後、一対のベルト170及び一対のベルト172それぞれを、リッド側周壁部114の外面からインフレータ22の周囲に向けて折返す。そして、インフレータ22のネジ部25を一対のベルト170及び一対のベルト172の先端側の取付孔に通す。そして、インフレータ22のつば部24に固定ブラケット28を重ね合せた状態で、ナット29をネジ部25に螺合締結する。なお、この状態に至るまで、ナット29をネジ部25に対して緩く締結しておき、必要に応じてナット29を取外せる状態にしておくとよい。これにより、インフレータ22がリッド112に対して一定距離離れた位置で保持されることになる。
そして、上記のように、インフレータ22、エアバッグ30及びアウターバッグ40が取付けられたリッドパネル110Bを、インストルメントパネル本体110Aの開口内にその外方から嵌め込むと、本エアバッグ装置120がインストルメントパネル110に組込まれることになる。この際、エアバッグ装置120と車体側部材18との強固な固定構造は不要であるため、エアバッグ装置120を比較的容易に組込むことができる。
図32は、リッド112とリッド側周壁部114とエアバッグ装置120との概略的な関係を示す図である。なお、説明の便宜上、リッド側周壁部114の側壁部114A、側壁部114Bを略同高さ位置に示す等、簡略化している。
この図に示すように、折畳まれたエアバッグ30は、リッド112とインフレータ22との間に配設されている。この状態では、リッド側周壁部114は、折畳まれたエアバッグ30の上端部を周囲四方から取囲んでいる。また、周壁部40Wは、折畳まれたエアバッグ30を周囲四方から取囲んでいる。
この状態で、インフレータ22から発生したガスがエアバッグ30内に導入されると、エアバッグ30は、リッド112とリッド側周壁部114とインフレータ22とで囲まれる空間内で膨張し、やがて、リッド112を割開いて、インストルメントパネル110の開口を通って外方に膨張展開する。
これらの際、エアバッグ30の主膨張展開方向(インフレータ22からリッド112に向う方向)では、ベルト170、172によって、インフレータ22はリッド112に対して一定距離離れた位置で保持されているため、エアバッグ30の突出方向の膨張展開力は、リッド112を割開く力或はインストルメントパネル110の外方に向けて膨張展開する力として作用する。
このように構成されたエアバッグ装置120によると、上記実施形態と同様に、リッド側周壁部114とインフレータ22との間で、エアバッグ30がラジアル方向に広がってしまうことを抑制しつつ、なるべく軽量化することができるという作用効果を得ることができる。
また、インフレータ22を主としてベルト170、172によってリッド112の内側一定位置に保持するため、インフレータ22の保持構成をより軽量化することができる。
しかも、ベルト170、172の基端部が取付孔114Ah、114Bhを通ってアウターバッグ40の周壁部40Wに接合されているため、周壁部40Wは、膨張展開中のエアバッグ30とリッド側周壁部114との間から抜出難くなる。これにより、周壁部40Wがより確実にリッド側周壁部114とインフレータ22との間により確実に維持され、その間部分でのエアバッグ30のラジアル方向への広がりをより確実に抑制することができる。
また、ベルト170、172によってインフレータ22を、リッド112の内側の一定位置に固定しているため、インフレータ22と車体側部材との固定構造を簡略化或は省略することができる。これにより、例えば、インストルメントパネル本体110Aに対して、インフレータ22、エアバッグ30等を取付けたリッドパネル110Bを取付ければよいため、インストルメントパネル110へのエアバッグ装置120の組込作業が容易となる。
なお、上記ベルト170、172自体の主機能は、リッド112に対するインフレータ22の位置を一定に保持することである。このため、ベルト170、172は、エアバッグ30の外周回り全体に連続的に存在するのではなく、エアバッグ30の外周回りに間欠的に少なくとも2カ所(ここでは、エアバッグ30回りの4カ所)に存在していればよい。
また、ベルトを、リッド側周壁部に連結する構成は、上記例に限られない。
例えば、図33に示す第7変形例のように、ベルト270、272の長手方向中間部がリッド側周壁部114の側壁部114A、114Bに形成された取付孔114Ah、114Bhに通され、ベルト270、272の両端部がインフレータ22に接合された構成であってもよい。
この場合でも、上記第6変形例と同様の作用効果を得ることができる。また、ベルト270、272の両端部をインフレータ22に接合すればよいため、アウターバッグに縫合等による接合する作業が不要となり、その接合構造を簡易化することができる。
また、例えば、図34に示す第8変形例のように、ベルト370、372の基端部をインフレータ22に接合し、ベルト370、372の他端部を、フック374を介して側壁部114A、114Bに形成された取付孔114Ah、114Bhに係止固定するようにしてもよい。フック374としては、例えば、金属板材を略U字状に折曲げた部材を用いることができ、ベルト370、372の他端部とフック374との接合構造としては、縫合、カシメ等による挟み込み構造、他のクリップ部材等を用いた構成を採用することができる。また、フック374は、ここでは、側壁部114A、114Bの外面から取付孔114Ah、114Bhに係止される。
この場合でも、上記第6変形例と同様の作用効果を得ることができる。また、ベルト370、372の両端部のフック374をインフレータ22に側壁部114A、114Bに形成された取付孔114Ah、114Bhに引っ掛けるようにして比較的容易に係止して接合することができる。
また、例えば、上記ベルト370、372にベルト長調整機構を組込めば、ベルト370、372が比較的長い状態でフック374を取付孔114Ah、114Bhに容易に引っ掛けることができ、また、この後、ベルト370、372の長さを短くすれば、インフレータ22を一定位置に保持することができる。
また、エアバッグ30が膨張する際に、エアバッグ30及びリッド側周壁部114が外方に膨らむことで、ベルト370、372が外方に湾曲するように膨らむと、取付孔114Ah、114Bhに外方から係止されたフック374の基端部が外方に変位し、フック374の先端部が取付孔114Ah、114Bhの周縁部でリッド側周壁部114の内面に強く食込む。これにより、フック374の脱落がより確実に防止される。
{第2実施形態}
第2実施形態に係るエアバッグ装置について説明する。第2実施形態では、第1シート部分に破断部が形成され、第2シート部分がインフレータ取付用シート部を介してインフレータに取付けられている例を説明する。図35は本第2実施形態に係るエアバッグ装置420を示す斜視図である。なお、本第2実施形態の説明において、上記第1実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
このエアバッグ装置420は、上記第1実施形態と同様構成にてインストルメントパネル10(図1参照)に組込まれるものであり、インフレータ22と、エアバッグ30と、アウターバッグ440とを備えている。インフレータ22及びエアバッグ30は上記第1実施形態で説明したものと同じである。
アウターバッグ440は、折畳み可能でかつ接合可能な柔軟なシート状部材441(布或は樹脂シート等)を縫製することにより構成されている。接合は、縫製によって行われることが好ましく、ここでも縫製した例で説明するが、これは必須ではない。
アウターバッグ440は、第1シート部分442と、4つの第2シート部分443a、443bと、4つの第3シート部分444と、インフレータ取付用シート部445とを含む。
第1シート部分442は、方形状に形成されている。第2シート部分443a、443bは、第1シート部分442の4方縁部より延出する方形状に形成されている。第3シート部分444は、各第2シート部分443a、443b間に設けられる方形状に形成されている。また、一対の第2シート部分443aの先端部にインフレータ取付用シート部445が設けられている。インフレータ取付用シート部445は、方形状に形成されている。これら第1シート部分442と、4つの第2シート部分443a、443bと、4つの第3シート部分444と、2つのインフレータ取付用シート部445とは、当初から一枚のシート状部材によって一体化されており、縫合等によって後から接合された構成ではない。
そして、各第2シート部分443a、443bが第1シート部分442に対して垂直姿勢で立上がって、折畳まれたエアバッグ30及び膨張展開中のエアバッグ30を囲うことが可能な環状の周壁部440Wに形成されている。また、各第2シート部分443a、443bが周壁部440Wを形成する状態を維持するように、各第3シート部分444が第2シート部分443a、443bのいずれかの外面に沿って配設され、この状態で、各第3シート部分444が各第2シート部分443aに接合されている。この接合部446は、第2シート部分443a、443bの側縁部に対して交差する方向に沿って形成された部分を含んでいる。好ましくは、接合部446は、第2シート部分443a、443bの側縁部に対して直交する方向に沿って形成された部分、即ち、第2シート部分443a、443bの先端側縁部(インフレータ22側縁部)に沿ったラインに沿って形成された部分を含む。
従って、アウターバッグ440は、全体としてみると、一方側が開口する直方体箱状、より具体的には、第1シート部分442を天井部440Cとし、第2シート部分443a、443bを周壁部440Wとする直方体箱状に形成されている。アウターバッグ440のうち上記天井部440Cとは反対側は、インフレータ22側に向けて開口しており、この開口を塞ぐようにインフレータ取付用シート部445が設けられる。
上記天井部440Cには、エアバッグ30の膨張展開により破断可能な破断部448が形成されている。ここでは、破断部448は、天井部440C(第1シート部分442)をその幅方向において部分的に切込むことにより形成されている。
一対のインフレータ取付用シート部445は、周壁部440Wのインフレータ22側開口を塞ぐことが可能な方形状を2分割した形状に形成されている。なお、一対のインフレータ取付用シート部445間には、隙間が設けられているが、この隙間は必須ではない。
一対のインフレータ取付用シート部445のそれぞれは、一対の第2シート部分443aの先端部に連設されている。各インフレータ取付用シート部445の先端部には、弧状凹部445gが形成され、また、弧状凹部445g周りに取付孔445aが形成されている(図36〜図39参照)。そして、弧状凹部445g内にインフレータ22の外周の一部が配設された状態で、ネジ部25が取付孔445aに挿通されて当該ネジ部25にナットが螺合締結されることで、一対のインフレータ取付用シート部445のそれぞれがインフレータ22に取付けられる。
一対のインフレータ取付用シート部445の先端部がインフレータ22に取付けられた状態で、周壁部440W及び天井部440Cが折畳まれたエアバッグ30の周囲部分及び上方部分を囲んでいる。この状態で、アウターバッグ440は全体として直方体箱状に折られている。つまり、第1実施形態に対する第2実施形態の主な相違点は、第1シート部分442がリッド12側の天井部440Cを構成していること、第2シート部分443aがインフレータ取付用シート部445を介してインフレータ22に取付けられていることである。
上記アウターバッグ440の一製造例について具体的に説明する。
上記アウターバッグ440を製造するにあたって、まず、図36及び図37に示すシート状部材441を準備する。図36はシート状部材441の平面展開図であり、図37は図36に示すシート状部材441の展開図において折ラインFを示した図である。
シート状部材441は、第1シート部分442と、4つの第2シート部分443a、443bと、4つの第3シート部分444と、2つのインフレータ取付用シート部445とを含む。
第1シート部分442と、4つの第2シート部分443a、443bと、4つの第3シート部分444とは、上記第1実施形態におけるシート状部材41と同形状、即ち、全体として方形状を呈するように一体形成されている。第1シート部分442には、その一対の長辺の中間位置に当該長辺の方向に沿って延びる破断部448が形成されている。
また、一対の第2シート部分443aの先端部のそれぞれに、インフレータ取付用シート部445が連設されている。各インフレータ取付用シート部445の先端部に、上記弧状凹部445g及び取付孔445aが形成されている。
上記シート状部材441は、図37に示す折ラインFで折られ、図38に示すように、第1シート部分442を天井部440Cとし、第2シート部分443a、443bを周壁部440Wとする箱状形態に形成される。そして、各第3シート部分444が第2シート部分443a、443bの一部である第2シート部分443bに接合され、第2シート部分443a、443bが周壁部440Wをなす形状に維持される。
これにより、周壁部440Wの一方側開口である底側に一対のインフレータ取付用シート部445が配設されると共に、その反対側の開口に天井部440Cが設けられた、アウターバッグ440が形成される。
そして、このアウターバッグ440内に折畳まれたエアバッグ30が挿入配置され、インフレータ22のネジ部25を、エアバッグ30及び一対のインフレータ取付用シート部445の取付孔445aに挿通させて、当該ネジ部25にナットを螺合締結させることで、インフレータ22とアウターバッグ440との取付固定がなされる。
この第2実施形態に係るエアバッグ装置420の膨張展開動作は、エアバッグ30が膨張展開する際に、リッドを押し破る前後で、天井部440Cの破断部448を破断することを除いて、上記第1実施形態のエアバッグ装置20の動作と同様である。
すなわち、展開動作前の通常状態では、図40に示すように、折畳まれたエアバッグ30は、リッド12とインフレータ22との間に配設されている。この状態では、リッド側周壁部14は、折畳まれたエアバッグ30を周囲四方から取囲んでいる。また、アウターバッグ440の周壁部440Wは環状をなして、折畳まれたエアバッグ30を周囲四方から取囲んでいる。
この状態で、インフレータ22から発生したガスがエアバッグ30内に導入されると、図41に示すように、エアバッグ30は、リッド12とリッド側周壁部14とインフレータ22とで囲まれる空間内で膨張を開始する。
この際、エアバッグ30の主膨張展開方向(インフレータ22からリッド12に向う方向)では、インフレータ固定部材95によりインフレータ22はリッド12に対して一定距離離れた位置で固定されているため、エアバッグ30の突出方向の膨張展開力は、リッド12のティアライン13を分断する力として作用する。これにより、リッド12が割開かれ、インストルメントパネル10に開口が形成される。
この際、エアバッグ30は、その主膨張展開方向(インフレータ22からリッド12に向う方向)を中心としてその周囲に向うラジアル方向にも膨張展開しようとする。ところが、エアバッグ30の外周は周壁部440Wによって囲まれているため、エアバッグ30がリッド側周壁部14とインフレータ22との間でラジアル方向に広がるように外方に膨張展開してしまうことを抑制することができる。
そして、リッド12が割開かれると、この前後(好ましくはリッド12が割開かれた後)に、天井部440Cの破断部448も破断される。図42に示すように、エアバッグ30がインストルメントパネル10の開口を通って外方に膨張展開する。この際、破断された天井部440Cは、膨張展開するエアバッグ30によりリッド12の外方に押出され、インストルメントパネル10の開口周縁部或はリッド12の外周側外面との間に挟込まれる。これにより、アウターバッグ440がインフレータ22側に脱落することがより確実に抑制される。従って、周壁部440Wが、エアバッグ30がラジアル方向に膨張展開することを受止める上記構成がより確実に維持され、エアバッグ30がラジアル方向に広がることをより確実に抑制する。
また、エアバッグ30がアウターバッグ440の開口440Xを越えて膨張展開すると、アウターバッグ440の膨張展開力は、周壁部440Wを広げる力として作用する。この際、周壁部440Wの環状形状を維持する接合部446は、開口440Xの開口縁部の延在方向に沿った方向に形成されているため、当該力は、接合部446のうちのなるべく広範な部分で受止められる。このため、接合部446を、多数回縫製構造にする等しなくても、開口440Xが接合部446で開き難いようにすることができる。
なお、上記第1実施形態と同様に、接合部446は、必ずしも開口440Xの開口縁部の延在方向に沿った方向に形成された部分を含む必要はなく、第2シート部分443a、443bの側縁部に対して交差する方向に沿って形成された部分を含んでいればよい。
そして、エアバッグ30がインストルメントパネル10と助手席乗員との間に膨張展開することで、助手席乗員を受止めて衝撃を吸収する。
なお、上記動作は、リッド側周壁部14が存在する例であったが、リッド側周壁部14が省略されている場合でも、アウターバッグ440が膨張展開するエアバッグ30とリッド側周壁部14との間に挟込まれない点を除いて、上記と同様の動作を行うことができる。
この第2実施形態に係るエアバッグ装置420によると、第1シート部分442にインフレータ22が固定されていることによる作用効果を除いて、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、インフレータ取付用シート部445によってアウターバッグ440をインフレータ22に容易に固定できる。そして、この状態で、第2シート部分443a、443bによって形成された周壁部440W及び第1シート部分442が折畳まれたエアバッグ30を覆うため、当該折畳み状態をより確実に維持できる。
本第2実施形態を前提とする変形例について説明する。
図43に示す第9変形例では、上記アウターバッグ440がエアバッグ30に直接的に取付けられている。
すなわち、第9変形例では、アウターバッグ440を構成するシート状部材441のうち一方のインフレータ取付用シート部445が、エアバッグ30に直接的に固定されている。接合部分449Bは、一方のインフレータ取付用シート部445の外周に沿って形成されている。エアバッグ30に対するアウターバッグ440の縫合は、エアバッグ30を袋状に縫合する前後のいずれに行ってもよいし、また、アウターバッグ440を袋状に縫合する前後のいずれに行ってもよい。
この変形例によると、アウターバッグ440(特に、インフレータ取付用シート部445)がエアバッグ30に直接的に取付けられているため、インフレータ22を取付ける前の製造途中状態で、エアバッグ30(或はその成形用のシート状部材)とアウターバッグ440(或はその成形用のシート状部材)とを一体的な構成部品として取扱うことができ、作業工程上便利である。
なお、インフレータ取付用シート部445がエアバッグ30に直接的に取付けられる必要はなく、第2シート部分443a、443bの一部がエアバッグ30に直接的に取付けられていてもよい。
図44に示す第10変形例に係るエアバッグ装置420Cは、インフレータ22と、エアバッグ30と、アウターバッグ440Cとを備えている。インフレータ22及びエアバッグ30は、上記したものと同じである。
アウターバッグ440Cは、上記アウターバッグ440と同様に、第1シート部分442と、第2シート部分443a、443bと、第3シート部分444とを含む。また、アウターバッグ440Cは、一対の第2シート部分443aの先端部に設けられたインフレータ取付用シート部445とは別に、他方の一対の第2シート部分443bの先端部に設けられたインフレータ取付用シート部445Cを含む。インフレータ取付用シート部445Cは、第1シート部分442の長辺の長さの半分よりも小さく、インフレータ22に対する固定箇所(ここでは、ネジ部25)に達する程度に設定されている。インフレータ取付用シート部445Cは、上記一対のインフレータ取付用シート部445の隙間を塞ぎつつ、一対のインフレータ取付用シート部445の外面を通ってインフレータ22のネジ部25に向けて配設される。また、各インフレータ取付用シート部445Cの先端部には、インフレータ22の外周形状に応じた弧状凹部445Cgが形成されると共に、取付孔445Caが形成されている。取付孔445Caは、インフレータ22のつば部24に突設されたネジ部25を挿通可能な孔形状に形成されている。そして、インフレータ22のネジ部25が、エアバッグ30のガス導入口の周縁部に形成された固定孔、インフレータ取付用シート部445の取付孔445a及びインフレータ取付用シート部445Cの取付孔445Caに挿通された状態で、当該ネジ部25にナットが螺合締結される。これにより、アウターバッグ440Cがエアバッグ30と共にインフレータ22に固定される。
上記アウターバッグ440Cは、次の手順で製造することができる。
すなわち、アウターバッグ440Cを製造するにあたって、まず、図45及び図46に示すシート状部材441Cを準備する。図45はシート状部材441Cの平面展開図であり、図46は図45に示すシート状部材441Cの展開図において折ラインFを示した図である。
シート状部材441Cは、第2実施形態におけるシート状部材441の形状に対して、一対の第2シート部分443bの先端部に、一対のインフレータ取付用シート部445Cを付加した形状とされている。
そして、図47及び図48に示すように、上記第2実施形態と同様に、シート状部材441Cを折ラインで折って、第1シート部分442に対して第2シート部分443a、443bが立上がり、第2シート部分443a、443bが周壁部440Wをなす状態とする。
そして、図49及び図50に示すように、第3シート部分444を第2シート部分443a、443bの少なくとも一部に接合して、第2シート部分443a、443bが周壁部440Wをなす状態を維持する。
この後、折畳まれたエアバッグ30を周壁部440W内に配設し、一対のインフレータ取付用シート部445及び一対のインフレータ取付用シート部445Cを、周壁部440Wの一方側開口近傍に取り回す。そして、エアバッグ30のガス導入口に配設されているインフレータ22のネジ部25を、エアバッグ30の固定孔、インフレータ取付用シート部445の取付孔445a及びインフレータ取付用シート部445Cの取付孔445Caに挿通させて、当該ネジ部25にナットを螺合締結させる。これにより、エアバッグ装置420Cが完成する。
ここでは、4つのインフレータ取付用シート部445、445Cが設けられているが、そのうちの一部が省略されてもよい。
この変形例によると、インフレータ取付用シート部445、445Cが周壁部440Wの一方側開口をほぼ全体的に塞いだ状態で、インフレータ22に固定されているため、エアバッグ30の膨張展開中において、エアバッグ30がインフレータ22側に膨張展開することをより確実に抑制することができる。
また、通常状態でも、インフレータ取付用シート部445、445Cが周壁部440Wの一方側開口をほぼ全体的に塞いだ状態でインフレータ22に固定されているため、アウターバッグ440Cが折畳まれたエアバッグ30を覆う状態をより確実に維持することができる。また、さらに、エアバッグ30の膨張展開中において、アウターバッグ440C及びエアバッグ30に対してインフレータ22をより確実に固定した状態を維持できる。
なお、本第2実施形態においても、第1実施形態における第1変形例と同様に、アウターバッグ440の内側で折畳まれたエアバッグ30が補助ラップ部材(ラッピングクロス)で覆われていてもよい。
{変形例}
なお、上記各実施形態では、エアバッグ装置が助手席用としてインストルメントパネルに組込まれる例で説明したが、適用対象はそれに限られない。例えば、運転席、サイドエアバッグ等、何らかの取付パネルに組込まれ、リッドを割開いて膨張する各種エアバッグに適用し得る。
また、上記各実施形態及び各変形例記載として説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。例えば、第1実施形態の第9変形例に係るベルト170、172に係る構成が第2実施形態に適用されてもよい。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。