JP5966825B2 - シャワーヘッド - Google Patents
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Description
本発明は、シャワーヘッドに関する。
従来、例えば水栓からホース等を介して供給される水を吐水するシャワーヘッドとしては、例えば略円板状の外形を有するヘッド本体部を構成する部材であって複数の散水孔を有する散水板を備え、この散水板によってヘッド本体部の内部に散水孔と連通する通水空間を形成する構成のものがある。シャワーヘッドは、例えば、ホース等によって水栓と接続されることで、シャワー装置を構成する。このようなシャワーヘッドにおいては、水栓からホース等を介して供給される水は、例えば散水板の略中央の位置にて通水空間に連通する流入口から通水空間内に流入し、通水空間内を空間的に満たした状態で、各散水孔から噴出する。
このようなシャワーヘッドにおいては、シャワー装置の使用者等によってシャワーヘッドへの給水が停止された後に、いわゆる水垂れという現象が生じる問題がある。水垂れとは、例えばシャワーヘッドがシャワーホルダ等により所定の姿勢で保持された状態において、シャワーヘッドへの給水の停止後に、通水空間内を満たしていたシャワーヘッド内の残水が散水孔から流出して水が滴る現象である。こうした水垂れが長時間続くことは、シャワー装置の使用上好ましくない。
そこで、シャワーヘッドにおいて生じる水垂れを抑制するための技術が種々提案されている。具体的には、例えば、ヘッド本体部の内部にメッシュを設ける構成が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。かかる構成によれば、メッシュの網目において生じる表面張力の作用によって通水空間内に水が保持され、水垂れが抑制される。その他には、例えば、散水孔の内周面を親水化させる技術が挙げられる(例えば、特許文献2参照。)。かかる技術によれば、水垂れの原因となる、散水孔から通水空間内に入り込む空気に関し、その空気の入り込む力に対して、散水孔において残水を保持する力を増大させることができ、水垂れが抑制される。
上述したような従来の技術においては、次のような問題がある。まず、ヘッド本体部の内部にメッシュを設ける構成においては、シャワーヘッドを構成する部品点数が増えることや、メッシュを設けるに際してメッシュと他の部材との間におけるシール性を確保する必要が生じること等から、シャワーヘッドの構造が複雑となる。また、散水孔の内周面を親水化させる技術によれば、散水孔の内周面に対して、親水膜を設けたり表面を粗面化させたりといった親水処理を施す必要があるため、シャワーヘッドの製造工程が複雑となる。
また、上述したような従来の技術に共通する点は、ヘッド本体部の内部に残水を保持することによって、水垂れを抑制しようとすることである。つまり、従来の技術は、メッシュによる表面張力や散水孔の内周面の親水性等によって、シャワーヘッドへの給水の止水後に通水空間内の残水が散水孔から出にくくすることで、水垂れを抑制している。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で、製造工程の複雑化を招くことなく、給水が停止された後の水垂れが続く時間を短縮することができるシャワーヘッドを提供することを目的とする。
本発明に係るシャワーヘッドは、供給される水の流入口を有する基板部と、複数の散水孔を有し前記基板部に対して互いの板面側が対向するように設けられ前記基板部と共に前記流入口および前記散水孔が連通する通水空間を形成する散水板とを備えたシャワーヘッドであって、前記通水空間を形成する面として、互いに対向する前記基板部と前記散水板との間の空間を外周側から取り囲む内側壁面を有し、前記内側壁面は、前記複数の散水孔のうち最外周に位置する散水孔である最外周散水孔を前記通水空間の外周側から囲むような曲面形状を有する第1の壁面部と、周方向に互いに隣り合う前記第1の壁面部の間に設けられ前記第1の壁面部と共に凹凸状をなす第2の壁面部とを有するものである。
このような構成のシャワーヘッドによれば、簡単な構造で、製造工程の複雑化を招くことなく、給水が停止された後の水垂れが続く時間を短縮することができる。
また、本発明に係るシャワーヘッドにおいては、前記第2の壁面部は、前記通水空間の中心側に向けて凸となる曲面形状を有し、前記第2の壁面部の前記曲面形状における中心側の頂点の接線上に、当該第2の壁面部の下側直近に位置する前記最外周散水孔の前記通水空間側の開口部が形成されている。
このような構成のシャワーヘッドによれば、水の界面張力による慣性を利用して通水空間内の残水を素早く排水することが可能となる。
また、本発明に係るシャワーヘッドにおいては、前記第1の壁面部は、前記通水空間の外周側に向けて凸となる円弧に沿う曲面形状を有し、前記第2の壁面部は、前記通水空間の中心側に向けて凸となる円弧に沿う曲面形状を有する。
このような構成のシャワーヘッドによれば、最外周散水孔の上方および下方において通水空間内の残水を最外周散水孔に導くための作用が得やすくなり、最外周散水孔の周囲の残水をより効率的に排出することができる。また、最外周散水孔の配置等に応じて内側壁面の形状を容易に設計することができる。
また、本発明に係るシャワーヘッドにおいては、前記第2の壁面部の曲面形状が沿う前記円弧の曲率半径は、前記第1の壁面部の曲面形状が沿う前記円弧の曲率半径よりも大きい。
このような構成のシャワーヘッドによれば、最外周散水孔の上方および下方において通水空間内の残水を最外周散水孔に導くための作用が得やすくなり、最外周散水孔の周囲の残水をより効率的に排出することができる。
また、本発明に係るシャワーヘッドは、前記流入口と前記通水空間との間の通水経路に設けられ、前記流入口から流入した水を前記通水空間に噴射させるために前記通水経路の流路面積を部分的に減少させる絞り部と、前記通水経路に連通し、前記絞り部から噴射される水に混入させる空気を取り込むための空気通路と、を備える。
このような構成のシャワーヘッドによれば、通水空間内に噴射されて内側壁面に衝突した水の戻りを抑えることができ、水に混入している空気の大径化を抑制することができる。これにより、水に混入している空気について適度な径を維持することができ、空気混入水による柔らかな浴び心地を得ることができる。
本発明によれば、簡単な構造で、製造工程の複雑化を招くことなく、給水が停止された後の水垂れが続く時間を短縮することができる。
本発明は、シャワーヘッドのヘッド本体部の内部に散水孔と連通する通水空間を有する構成において、シャワーヘッドへの給水の停止後の状態における通水空間内の水の界面に作用する界面張力に着目し、通水空間を形成する外周側の壁面の形状を工夫することで、通水空間内の残水の散水孔からの排水を促し、水垂れが続く時間の短縮化を図ろうとするものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の実施形態に係るシャワーヘッド1の構成について、図1〜図8を用いて説明する。シャワーヘッド1は、例えば、ホース等によって水栓と接続されることで、シャワー装置を構成する。本実施形態に係るシャワーヘッド1は、複数の散水孔4が設けられたヘッド本体部2と、ヘッド本体部2への給水通路を構成するとともにヘッド本体部2を支持する通水支持部3とを備える。
ヘッド本体部2は、全体として略円板状の外形を有する。ヘッド本体部2においては、その略円板状の外形における一方の板面側に、複数の散水孔4が開口し、他方の板面側に、通水支持部3の一端が固定される。また、ヘッド本体部2は、通水支持部3の一端が固定される側に、ヘッド本体部2に供給される水の流入口5を有する(図3参照)。以下の説明では、ヘッド本体部2において、複数の散水孔4が開口する板面側を正面側(前側)とし、通水支持部3の一端が固定される板面側を背面側(後側)とする。また、ヘッド本体部2から通水支持部3が延設される側(図1において下側)を下、その反対側を上とする。
ヘッド本体部2は、ヘッド本体部2の背面側の部分を構成する基板部6と、ヘッド本体部2の正面側の部分を構成する散水板7とを備える(図3、図4参照)。基板部6および散水板7は、いずれも略同径の略円板状の外形を有し、一方の板面側同士を互いに対向させた状態で互いに固定されることで、全体として略円板状の外形を有するヘッド本体部2を構成する。そして、ヘッド本体部2の内部においては、基板部6と散水板7とに挟まれた空間として、ヘッド本体部2の背面側の流入口5、およびヘッド本体部2の正面側の複数の散水孔4に連通する通水空間8が形成される。
このように、本実施形態に係るシャワーヘッド1は、供給される水の流入口5を有する基板部6と、複数の散水孔4を有し基板部6に対して互いの板面側が対向するように設けられ基板部6と共に流入口5および散水孔4が連通する通水空間8を形成する散水板7とを備える。これら基板部6および散水板7を有するヘッド本体部2の各部について説明する。
まず、基板部6について説明する。基板部6は、上述したように、略円板状の外形を有し、ヘッド本体部2の背面側の部分を構成する。基板部6は、基板部6の主な部分を構成する基板本体9と、ヘッド本体部2の背面側に設けられる流入口5を構成する流路形成部材10とを有する。
基板本体9は、略円板状の外形を有するとともに、全体的に正面側が凸側となるようにわずかに湾曲した凸曲面に沿う形状を有する部材である。基板本体9の正面側の板面(以下「前面」という。)には、周壁部11が設けられている。周壁部11は、基板本体9の前面において、円形状の周縁に沿って環状に設けられる。
周壁部11は、基板本体9の前面のうちの周縁部分を、同じく基板本体9の前面の他の部分に対して部分的に前側に位置させる。つまり、周壁部11は、基板本体9の前面において、その前面の周縁部分を他の部分に対して前側に張り出させた段差面を形成する部分である。言い換えると、周壁部11は、基板本体9の前面において、その前面の周縁に沿って全周にわたって設けられることで、周壁部11に取り囲まれた部分の板面を底面とする凹部を形成する部分である。本実施形態では、基板本体9は、ABS樹脂等の樹脂製の部材であって、周壁部11は、基板本体9において一体に成形される部分である。
このように周壁部11が設けられた基板本体9の前面においては、周壁部11に囲まれた部分の板面である基板本体前面9aと、周壁部11の前面である周壁前面11aとが存在する。基板本体前面9aは、上述したように基板本体9が有する湾曲形状に沿う板面である。周壁前面11aも同様に基板本体9が有する湾曲形状に沿う形状を有し、基板本体前面9aと略平行な面に沿う面として形成される。つまり、基板本体前面9aの前側に位置する基板本体前面9aと平行な仮想面を想定した場合、周壁前面11aは、その仮想面の周縁部に沿う形状を有する。
また、基板本体9は、その外周面に、基板部6と散水板7とを互いに固定するための係合突起9bを有する。係合突起9bは、基板本体9の周方向に沿って略等間隔(略等角度間隔)に複数箇所に設けられる。係合突起9bは、基板本体9の周方向を長手方向としながら正面視で略矩形状となる形状を有する突起部分である。本実施形態では、係合突起9bは、基板本体9の外周面において周方向に沿って12箇所に設けられている(図4、図8参照)。
また、基板本体9は、略円板状の外形における中央部に、前後方向(板面に対して略垂直方向)に貫通する貫通孔部9cを有する(図4参照)。貫通孔部9cは、基板本体9の円板状の外形に対して中心を一致させる円形状に沿う孔部である。この貫通孔部9cに対して流路形成部材10が嵌め込まれることで、流路形成部材10が基板本体9に対して位置決めされた状態で設けられる。
流路形成部材10は、全体として略円筒状の外形を有する部材であり、筒軸方向の一端側に拡径された部分を有する(図4、図7参照)。つまり、流路形成部材10において拡径された部分を大径部10aとした場合、流路形成部材10は、大径部10aと、大径部10aよりも径が小さい小径部10bとを有する。大径部10aは、小径部10bに対して鍔状に張り出した部分である。なお、流路形成部材10は、例えば基板本体9と同様に樹脂製の部材である。
流路形成部材10は、大径部10a側を前側とした向きで、つまり小径部10b側から、基板本体9の貫通孔部9cに対して前側から嵌め込まれる(図4参照)。流路形成部材10は、基板本体9に対して、周方向および前後方向について位置決めされた状態で嵌め込まれる。
具体的には、流路形成部材10においては、小径部10bの外周面に、流路形成部材10の筒軸方向(前後方向)に沿う突条部分である係止突起10cが設けられている。この係止突起10cに対応して、基板本体9側においては、貫通孔部9cの内周面に、基板本体9の中心軸方向に沿う溝部である係止溝9dが設けられている(図4参照)。したがって、流路形成部材10は、その係止突起10cを係止溝9dに嵌合させた状態で、基板本体9の貫通孔部9cに嵌め込まれる。これにより、流路形成部材10の基板本体9に対する周方向についての相対的な動き(相対回転)が規制され、流路形成部材10が基板本体9に対して周方向について位置決めされる。本実施形態では、係止突起10cおよび貫通孔部9cによる係止形状部分は、周方向について互いに略180°間隔を隔てた2箇所の位置に設けられている。
また、流路形成部材10の基板本体9に対する前後方向の位置決めに関しては、流路形成部材10は、小径部10bにおいて有する段差面10dを、貫通孔部9cに存在する所定の面に接触させることで位置決めされる(図5、図7参照)。段差面10dは、小径部10bの前側の部分に設けられた拡径部分の後面として形成される面である。つまり、流路形成部材10は、小径部10bから、段差面10dを形成する部分、大径部10aと、2段階に拡径された形状を有する(図7参照)。
このように外径寸法が異なる複数の部分を有する流路形成部材10に対し、基板本体9の貫通孔部9cは、前側の拡径部9eと、後側の縮径部9fとを有する。貫通孔部9cのうち拡径部9eの内径寸法は、流路形成部材10の大径部10aの外径寸法に対応する大きさを有する。また、貫通孔部9cのうち縮径部9fの内径寸法は、流路形成部材10の小径部10b(の段差面10dより後側の部分)の外径寸法に対応する大きさを有する。このように拡径部9eと縮径部9fを有する貫通孔部9cにおいては、拡径部9eと縮径部9fとの間で内径を変化させる段差面9gが存在する。そして、流路形成部材10は、段差面10dを段差面9gに接触させることで、基板本体9に対する後側への移動が規制され、位置決めされる。なお、基板本体9の貫通孔部9cに対する流路形成部材10の嵌合状態は、ヘッド本体部2において、基板部6に対して固定される散水板7を構成する部材によって流路形成部材10が前側から押し付けられることで保持される。
また、流路形成部材10は、上述したように基板本体9に対して位置決めされて嵌め込まれた状態において、大径部10aの大部分を、基板本体9の基板本体前面9aよりも前側に突出させる。つまり、基板本体9の貫通孔部9cは、流路形成部材10を受け入れた状態で、前側の開口端が大径部10aの後側の端面部分によって塞がれた態様となる(図3参照)。
流路形成部材10は、上記のとおりヘッド本体部2の背面側に設けられる流入口5から、基板部6と散水板7との間に形成される通水空間8までの流路を形成するための部材である。流路形成部材10は、全体としての略円筒状の外形において、筒軸方向の両側が開口した筒状の空間を内部に有する。そして、図3および図5に示すように、流路形成部材10の後端の開口部、つまり小径部10bの先端の開口部により、流入口5が構成される。これに対し、流路形成部材10の前側の開口部、つまり大径部10aの前側の開口部は、基板部6に対して固定される散水板7を構成する部材によって塞がれる。
図3および図5に示すように、流路形成部材10においては、流路形成部材10の前側の開口部が散水板7の構成部材によって塞がれることで、流路形成部材10の筒状の内部空間によって流路形成部材10の筒軸方向(前後方向)に沿う軸方向流路12が形成される。また、軸方向流路12の前端部、つまり軸方向流路12の下流側の端部においては、軸方向流路12に連通するように、流路形成部材10の径方向に沿う径方向流路13が、複数放射状に設けられている。本実施形態においては、径方向流路13は、流路形成部材10の周方向について等間隔(等角度間隔)を隔てて12箇所に設けられている。
径方向流路13は、流路形成部材10において大径部10aの部分に設けられる。径方向流路13は、流路形成部材10の内周側から外周側にかけて大径部10aの部分を貫通するように、流路形成部材10の径方向に沿って直線状に形成される。したがって、径方向流路13は、内周側については、軸方向流路12を形成する流路形成部材10の内周面のうち大径部10a部分の内周面に開口し、外周側については、鍔状に張り出した大径部10aの外周面に開口する。ここで、径方向流路13の外周側の開口部は、大径部10aのうち上述したように基板本体9の基板本体前面9aから前側に突出した部分に位置するように設けられる。つまり、径方向流路13の外周側の開口部は、流路形成部材10が嵌り込む貫通孔部9cを形成する内周面によって外側から塞がれることがないように、貫通孔部9cから前側に突出した部分に配置される。この径方向流路13の外周側の開口部の位置は、通水空間8に臨む位置となる(図3参照)。
また、径方向流路13においては、軸方向流路12に連通する内周側の開口部において、軸方向流路12を形成する大径部10aの内周面から下流側(外周側)にかけて縮径するテーパ状の傾斜面部13aが設けられている(図5参照)。これにより、軸方向流路12から径方向流路13へ流入する水の流れが円滑になる。また、径方向流路13においては、下流側の流路は、外周側の開口部にかけて略矩形状(面取り四角形状)の流路断面形状を有する(図7参照)。
次に、散水板7について説明する。散水板7は、上述したように、略円板状の外形を有し、ヘッド本体部2の正面側の部分を構成する。散水板7は、複数の散水孔4を構成するノズル部材14と、ノズル部材14を前面側から覆うカバー部材15とを有する。
ノズル部材14は、ゴム等や樹脂等の材料により、弾性を有する部材として構成される。本実施形態では、ノズル部材14は、シリコンゴム製の部材である。ノズル部材14は、略円板状の基部14aと、基部14aの前側の面(以下「基部前面」という。)14dから突出するように設けられる複数のノズル部14bとを有する。
基部14aは、基板部6を構成する基板本体9の湾曲形状に沿うように、全体的に正面側が凸側となるようにわずかに湾曲した凸曲面に沿う形状を有する。基部14aにおいては、略円板状の外形における中央部に、前後方向(板面に対して略垂直方向)に貫通する貫通孔14cが設けられている。
ノズル部14bは、基部前面14dから突出方向先端側にかけてテーパ状に縮径する略円錐形状を有する突起部分である。ノズル部14bは、基部14aの後側の面(以下「基部後面」という。)14eからノズル部14bの先端にかけて貫通するノズル孔14fを形成する(図3参照)。つまり、ノズル孔14fの後端開口部14gは基部後面14eに開口し、ノズル孔14fの前端はノズル部14bの先端面に開口する。ノズル孔14fは、ノズル部14bの形状に沿って、基部後面14eからノズル部14bの先端にかけてテーパ状に縮径する略円錐状の内周面によって形成される。このノズル部14bのノズル孔14fが、散水孔4において水を放出する通水孔として機能する。
このようにノズル部材14が有する各ノズル部14bによって各散水孔4が構成される。つまり、ノズル部材14が有するノズル部14bの数は、散水板7が有する散水孔4の数に一致する。本実施形態では、散水孔4(ノズル部14b)は、ヘッド本体部2の正面視において、略同心円状に46箇所に設けられている(図4、図8参照)。詳細には、46箇所の散水孔4は、ヘッド本体部2の中心側から外周側にかけて順に径が大きくなる3周の各円周に沿ってそれぞれ等間隔に(等角度間隔に)6箇所、16箇所、24箇所に配置されている。
ノズル部材14は、後述するように基板部6とともに通水空間8を形成する部材である。そして、上記のとおりシリコン等によって弾性を有する部材であるノズル部材14は、通水空間8のシール性を得るためのパッキンとして機能する。
カバー部材15は、略円板状の前面部15aと、前面部15aの周縁部から後側に向けて設けられる周壁部15bとを有し、全体として後側に開口する略椀状の形状を有する。カバー部材15は、例えば基板本体9と同様に樹脂製の部材である。
前面部15aは、ノズル部材14の基部14aと同様に、基板部6を構成する基板本体9の湾曲形状に沿うように、全体的に正面側が凸側となるようにわずかに湾曲した凸曲面に沿う形状を有する。前面部15aにおいては、散水板7においてカバー部材15の背面側に設けられるノズル部材14のノズル部14bを突出させるための貫通孔15cが設けられている。貫通孔15cは、背面側から前面側へのノズル部14bの突出を許容するための孔であり、前面部15aにおいて複数のノズル部14bの配置に対応した位置に設けられる。
周壁部15bは、略円板状の前面部15aの円周に沿う外周面部であり、前面部15aの後面側から後方に向けて突設される。周壁部15bは、散水板7と基板部6とにより構成されるヘッド本体部2において外周側面を構成する部分である。周壁部15bには、基板部6を構成する基板本体9の外周面に設けられた係合突起9bと係合する係合孔部15dが設けられている。係合孔部15dは、基板本体9の周方向に沿う係合突起9bの配置に対応して、周壁部15bの周方向に沿って略等間隔に複数設けられる。各係合孔部15dは、周壁部15bにおいて後方に突出するように切り出された突片15eに設けられる。
また、カバー部材15においては、後述するようにカバー部材15を通水支持部3に対して固定するためのネジを貫通させるネジ孔部15fが設けられている。ネジ孔部15fは、略円板状の前面部15aの中央部において、カバー部材15を前後方向に貫通する貫通孔を形成する部分であって、前面部15aの背面側から筒状に突出する部分を有する。
このような構成を有するノズル部材14とカバー部材15は、略椀状のカバー部材15に対して、背面側からノズル部材14が嵌め込まれることで、一体的な散水板7を構成する。ノズル部材14がカバー部材15に嵌め込まれた状態においては、ノズル部材14は、ノズル部14bをカバー部材15の貫通孔15cから前側に突出させるとともに、基部前面14dをカバー部材15の後面15gに対して全面的に接触させた状態となる。なお、ノズル部材14の基部14aとカバー部材15の前面部15aとは互いに略同じ外径寸法を有し、ノズル部材14がカバー部材15に嵌め込まれた状態において、基部14aの外周面も、カバー部材15の周壁部15bの内周面に接触した状態となる。また、ノズル部材14は、中央の貫通孔14cに、カバー部材15において後方に向けて突出するネジ孔部15fの筒状部分を貫通させる。
以上説明した基板部6と散水板7とが互いに固定されることで、内部に通水空間8を有するヘッド本体部2が構成される。ここで、基板部6は、基板本体9に流路形成部材10が嵌め込まれた状態のものであり、散水板7は、カバー部材15にノズル部材14が嵌め込まれた状態のものである。また、基板部6を構成する基板本体9および流路形成部材10、並びに散水板7を構成するノズル部材14およびカバー部材15は、同心配置された状態で組み付けられ、一体的なヘッド本体部2を構成する。
基板部6と散水板7の固定は、基板本体9の外周面の係合突起9bとカバー部材15の周壁部15bの係合孔部15dとの係合作用、および係合孔部15dが形成された突片15eの弾性変形を利用した、いわゆるスナップフィットにより行われる。すなわち、基板部6と散水板7とを重ね合わせた状態から基板本体9をカバー部材15の周壁部15b内に押し込むことで、突片15eが弾性変形によって外側に広がり係合突起9bを乗り越えて係合突起9bが係合孔部15dに嵌り込み、基板部6と散水板7とが互いに嵌合した状態となる。ここで、基板本体9は、カバー部材15の前面部15aと略同じ外径寸法を有し、基板本体9の外周側面は、カバー部材15の周壁部15bの内周面に接触した状態で周壁部15bにより覆われた状態となる。つまり、基板本体9は、略椀状のカバー部材15内に嵌り込んだ状態となる。
このように基板部6と散水板7とが互いに嵌合した状態において、ヘッド本体部2の周縁部においては、ノズル部材14の基部後面14eの周縁部が基板本体9の前面側に設けられた周壁部11の周壁前面11aに接触し、基部14aの周縁部が、周壁部11とカバー部材15の前面部15aの周縁部とによって挟まれた態様となる。また、ヘッド本体部2の中央部においては、ノズル部材14の基部後面14eの中央部が上述したように基板本体9の基板本体前面9aよりも前側に突出した流路形成部材10の前面に接触し、ノズル部材14の基部14aの中央部が、流路形成部材10とカバー部材15の前面部15aの中央部とによって挟まれた態様となる。
詳細には、ヘッド本体部2の中央部分においては、流路形成部材10に対して、前側からカバー部材15のネジ孔部15fの筒状の後方突出部分がノズル部材14の貫通孔14cを介して挿入され、流路形成部材10の前側の開口部が塞がれる。そして、ノズル部材14は、中央の貫通孔14cを形成する内側の縁端部を、流路形成部材10の前端部の周縁部に接触させるとともに、貫通孔14cから流路形成部材10の前面の中央部分を基部14aの前面に臨ませる。基板部6と散水板7との嵌合状態においては、貫通孔14cから前側に臨む流路形成部材10の前面の中央部分の前端面と、基部14aの前面とは、略同一面を形成する。なお、流路形成部材10の前面において、ノズル部材14の貫通孔14cから前側に臨む部分には、後述するように、流路形成部材10により形成される流路内に空気を導入するための空気通路20が開口する。
このように基板部6と散水板7とが互いに嵌合した状態において、基板本体9の基板本体前面9aと、ノズル部材14の基部後面14eと、周壁部11の内周面である内側壁面30とにより、通水空間8が形成される。つまり、通水空間8は、前後方向に互いに対向する基板本体前面9aおよび基部後面14eと、これらの周囲を囲む内側壁面30とによって形成される。このように、本実施形態のシャワーヘッド1は、通水空間8を形成する面として、互いに対向する基板部6と散水板7との間の空間を外周側から取り囲む内側壁面30を有する。
また、通水空間8の中央部側(内周側)には、基板本体9の基板本体前面9aよりも前側に突出した部分であって、流路形成部材10の径方向流路13が開口する、流路形成部材10の大径部10aの外周面が臨む。このような通水空間8に対しては、径方向流路13および軸方向流路12を介して流入口5が連通するとともに、基部後面14eに後端開口部14gを開口させるノズル孔14fを有する散水孔4が連通する。
続いて、ヘッド本体部2と共にシャワーヘッド1を構成する通水支持部3について説明する。通水支持部3は、全体として管状に構成される部分であり、ヘッド本体部2を支持するとともに、ヘッド本体部2への通水経路を構成する部分である。通水支持部3は、その一端側(上端側)がヘッド本体部2の背面側に固定されるとともに、他端側(下端側)から水の供給を受ける。通水支持部3の内部には、通水支持部3の管状の形状に沿って給水通路3aが形成されている(図3参照)。
通水支持部3の一端部(上端部)には、ヘッド本体部2に固定されるための固定部16が設けられている。固定部16は、略筒状の形状を有する基部16aと、基部16aの周囲において放射状に延設されるステー部16bとを有する。固定部16は、略筒状の基部16aの筒軸方向が円板状の外形を有するヘッド本体部2の中心軸方向と一致するような態様で、ヘッド本体部2の背面側、つまり基板部6を構成する基板本体9の背面側に固定される。
通水支持部3は、ネジ(図示略)によりヘッド本体部2に固定される。このため、通水支持部3の固定部16においては、ステー部16bに、ネジを貫通させる貫通孔16cが設けられている。本実施形態では、固定部16において、周方向に略等間隔に3箇所にステー部16bが設けられており、各ステー部16bに1個の貫通孔16cが設けられている。一方、ヘッド本体部2側においては、基板本体9の背面側に、貫通孔16cを貫通したネジを受けるためのネジ穴を形成する突起状のボス部9hが設けられている。ボス部9hは、貫通孔16cの配置位置に対応して、3箇所に設けられる。なお、基板本体9の背面側においては、固定部16から通水支持部3が延出する下側の外縁部に、通水支持部3の中途部を支持する板状のステー9jが設けられている。
また、通水支持部3の他端部には、シャワーヘッド1をホース等の他の給水管に接続するための接続部17が設けられている。接続部17は、例えば通水支持部3における他の管状部分よりも拡径された部分であって、通水支持部3内の給水通路3aを下端側に開口させる。接続部17に対しては、ホース等の給水管が通水支持部3内の給水通路3aと連通するように接続される。
通水支持部3は、その給水通路3aにより、接続部17側から流入する水をヘッド本体部2へと導く。給水通路3aは、その下流側(上端側)の端部が前側に開口するように形成される。そして、この給水通路3aの前側を向く開口が、ヘッド本体部2において後側に向けて開口する流路形成部材10の後端開口部、つまり流入口5に対向する。これにより、給水通路3aによって供給される水が流入口5からヘッド本体部2内の軸方向流路12に流れ込む。
また、給水通路3aの上端部の前側を向く開口部分においては、カバー部材15を通水支持部3に対して固定するためのネジ(図示略)が螺挿されるネジ穴部18が、前側に向けて突設されている。ネジ穴部18は、給水通路3aを形成する後側の内壁面において、略円板状の外形を有するヘッド本体部2の中心軸線に沿って前側に突出する筒状の部分である。この筒状のネジ穴部18において、前側が開口するネジ穴18aが設けられる。そして、通水支持部3がヘッド本体部2に固定された状態において、カバー部材15のネジ孔部15fの後方突出部分の後端面と、通水支持部3のネジ穴部18の突出側端面(前端面)とが互いに接触し、ネジ孔部15fの貫通孔とネジ穴18aとが連通する。このような構成において、カバー部材15を通水支持部3に固定するためのネジは、ヘッド本体部2の前面側からネジ孔部15fを貫通して、ネジ穴18aにねじ込まれる。
このように、通水支持部3は、その上端部の固定部16によってヘッド本体部2の背面側に固定されるとともに、ヘッド本体部2の正面側からねじ込まれるネジによるカバー部材15の固定を受ける。このような通水支持部3のヘッド本体部2に対する固定構造によれば、通水支持部3のネジ穴18aにねじ込まれるネジの作用により、ヘッド本体部2を構成する基板本体9と流路形成部材10とノズル部材14は、通水支持部3の固定部16とカバー部材15とによって挟まれる。これにより、上述したような基板部6と散水板7との間におけるスナップフィットによる固定に加え、ヘッド本体部2の中央部が強固に固定され、パッキンとして機能するノズル部材14の他の部材に対する密着性が増し、通水空間8について良好なシール性が得られる。
次に、本実施形態のシャワーヘッド1において、散水孔4から吐水される水を空気混入水とするための構造について、図5を用いて説明する。なお、図5においては、上側がヘッド本体部2の前側に相当し、下側がヘッド本体部2の後側に相当する。
本実施形態のシャワーヘッド1は、主に流路形成部材10において、空気混入水を生成するための構造を有する。具体的には、図5に示すように、流路形成部材10においては、径方向流路13の上流側(ヘッド本体部2の中心側)の端部に位置する絞り部19と、径方向流路13の上流側の部分から前側に開口する空気通路20とが設けられている。これらの絞り部19および空気通路20は、上述したように放射状に複数設けられる径方向流路13のそれぞれにおいて設けられる。
絞り部19は、流路形成部材10において形成される軸方向流路12から径方向流路13へと続く通水経路において設けられる。つまり、絞り部19は、流入口5と通水空間8との間の通水経路に設けられる。
具体的には、本実施形態では、絞り部19は、径方向流路13の上流側端部に設けられ、径方向流路13の流路面積を部分的に減少させる。つまり、絞り部19は、ヘッド径方向に沿う直線状の径方向流路13において、そのヘッド径方向の内側端部の流路を構成する部分であって、径方向流路13の他の部分に対して流路面積を減少させる。
したがって、径方向流路13の上流側において軸方向流路12の下流側の部分を形成する壁面に臨む開口、つまり径方向流路13の上流側の開口(内周側開口)の大きさ(内径寸法)は、径方向流路13の下流側において大径部10aの外周面に臨む開口、つまり径方向流路13の下流側の開口(外周側開口)の大きさ(内径寸法)よりも小さくなる。なお、本実施形態では、径方向流路13における絞り部19の流路断面形状が円形状であり、径方向流路13の他の部分の流路断面形状が略矩形状である。このため、径方向流路13の内周側開口の形状が円形状となり、外周側開口の形状が略矩形状となる。
このように軸方向流路12および径方向流路13によって形成される流路において絞り部19を有する構成によれば、絞り部19の部分において水の流速が増し、径方向流路13から通水空間8に水を噴射させる作用が得られる。このように、絞り部19は、流入口5から流入した水を通水空間8に噴射させるために流路形成部材10により形成される通水経路の流路面積を部分的に減少させる。
空気通路20は、流路形成部材10により形成される通水経路に連通し、絞り部19から噴射される水に混入させる空気を取り込むための構成である。図5に示すように、本実施形態では、空気通路20は、径方向流路13において、絞り部19に対して拡径した流路部分の上流側端部の位置において、前側(図5において上側)に開口するように設けられる。つまり、空気通路20は、径方向流路13において絞り部19の下流側直近に設けられている。
空気通路20は、後側については径方向流路13に連通し、前側については流路形成部材10の前面に開口する。詳細には、流路形成部材10の前面における内周側の部分に開口するように設けられる。このように流路形成部材10の前面において空気通路20が開口する部分は、筒状の流路形成部材10の前側の開口端において円環状にわずかに突出している。このように空気通路20が開口する流路形成部材10の前面の突出部分は、ノズル部材14の貫通孔14cに後側から嵌り、ノズル部材14の前側に臨む部分となる。本実施形態では、空気通路20は、流路形成部材10の前面において、12箇所に設けられる径方向流路13の位置に対応して流路形成部材10の周方向に沿って12箇所に開口する(図4参照)。
図3および図5に示すように、空気通路20の前側の開口端面には、カバー部材15の後面15gが接触する。そこで、カバー部材15においては、空気通路20と外界とを連通させるための空気経路が設けられる。このカバー部材15に設けられる空気通路は、カバー部材15の後面15gに設けられる円環状の溝部15kと、溝部15kの位置においてカバー部材15の前面部15aを前後方向に貫通する空気孔15mとにより構成される(図5参照)。これらの溝部15kおよび空気孔15mによって、空気通路20内への空気の取り込み通路が確保される。
溝部15kは、カバー部材15の後面15gにおいて、空気通路20の開口位置に対応して、空気通路20の開口を覆うように円環状に設けられ、後面15gが流路形成部材10の前面に接触した状態で空気通路20の開口端面に面するように設けられる。空気孔15mは、その前側がカバー部材15の前面部15aの前面に開口し、後側が溝部15k内に開口するように設けられる。本実施形態では、空気孔15mは、円環状の溝部15kの円周方向について等間隔に8箇所に設けられている(図4参照)。なお、空気通路20内に空気を取り込むための構成は、ヘッド本体部2の外部と空気通路20とを連通させる構成であればよく、特に本実施形態に限定されるものではない。
以上のように絞り部19および空気通路20を有する構成によれば、径方向流路13内において絞り部19の出口付近で生じる負圧作用により、外界から空気孔15mおよび溝部15kを介して空気通路20から径方向流路13内に空気が取り込まれる。これにより、径方向流路13内を流れる水に空気が混入され、径方向流路13から通水空間8内に噴射される水として、空気混入水が得られる。
図6に、本実施形態のシャワーヘッド1の外観を示す。図6に示すように、シャワーヘッド1は、その外装を構成する部品として、化粧カバー21と、外装カバー22とを有する。つまり、図1および図2に示すようなシャワーヘッド1の構造体が内部構造として化粧カバー21および外装カバー22に覆われる。
化粧カバー21は、ヘッド本体部2と略同じ外径を有する円板状の部材であり、ヘッド本体部2を構成するカバー部材15の前面側に固定される。化粧カバー21は、カバー部材15に対してスナップフィットにより固定される。このため、カバー部材15の周壁部15bには、係止片部15jが設けられている。係止片部15jは、カバー部材15を基板本体9に対して固定するための係合孔部15dを形成する突片15eと同様に後方に突出する突片状の部分である。係止片部15jは、カバー部材15の周壁部15bにおいて、周方向に突片15eと交互に配置されている。
また、化粧カバー21は、カバー部材15に固定された状態で、ノズル部材14の複数のノズル部14bの突出を許容する複数の孔部21aを有する。本実施形態では、孔部21aは、ノズル部14bの配置に対応して46個箇所に設けられている。化粧カバー21がカバー部材15に固定されることで、孔部21aからノズル部14bの先端部が突出した状態となる。化粧カバー21は、ヘッド本体部2の前側に装着されることで、カバー部材15において前面に露出する中央部のネジ等を覆い隠し、シャワーヘッド1の意匠性を向上させる
外装カバー22は、化粧カバー21の前面が臨む開口22bを有するとともにヘッド本体部2を覆う略円板状のヘッド部22aと、ヘッド本体部2から延出する通水支持部3を覆う略筒状の延設部22cとを有する。外装カバー22は、ヘッド部22aから延設部22cにかけて滑らかに繋がる連続的かつ一体的な形状をなす。延設部22cは、シャワーヘッド1の使用者による把持部分として機能する。外装カバー22の下側には、通水支持部3の下端部に設けられる接続部17が露出しており、この接続部17に、ホース等が接続される。
以上のような構成を備えるシャワーヘッド1における水の流れについて説明する。シャワーヘッド1は、ホース等を介して接続部17に接続される水栓等から水の供給を受ける。シャワーヘッド1において、接続部17に接続されるホース等によって通水支持部3の下端部から供給された水は、通水支持部3の内部の給水通路3aを通って、ヘッド本体部2に導かれる。ヘッド本体部2に導かれた水は、ヘッド本体部2の背面側に開口する流入口5から流路形成部材10により形成される軸方向流路12に流れ込む。軸方向流路12に流れ込んだ水は、前側に送られてから径方向流路13によって径方向に流れの方向を変え、複数の径方向流路13から放射状に通水空間8内に噴射される。ここで、絞り部19による負圧作用によって空気通路20から空気が取り込まれることによる、通水空間8から空気混入水が噴射される。通水空間8内に噴射された水は、通水空間8内を満たしながら、複数の散水孔4から噴出する。
以上のような構成を備える本実施形態のシャワーヘッド1において、ホース等を介する水の供給が停止されると、水垂れという現象が生じる。水垂れは、例えばシャワーヘッド1がシャワーホルダ等により所定の姿勢で保持された状態において、通水空間8内を満たしていた残水が上側から空気と置換され、通水空間8内の水位の低下をともなって散水孔4から残水が流出することにより生じる。こうした水垂れが長時間続くことは、シャワー装置の使用上好ましくない。
そこで、本実施形態のシャワーヘッド1においては、シャワーヘッド1への給水の停止後(止水後)の水切れを良くして水垂れが続く時間を短くするため、止水後の状態における通水空間8内の水の界面に作用する界面張力に着目し、通水空間8を形成する壁面のうち、通水空間8の外周側を形成する内側壁面30の形状が工夫されている。
具体的には、図4および図8に示すように、通水空間8を形成する内側壁面30は、ヘッド本体部2の軸方向視(正面視)において、周方向に沿って凹凸形状が繰り返す波状に形成され、全体として花びら状となる形状を有する。こうした内側壁面30の花びら状の壁面形状は、その少なくとも一部に、ヘッド本体部2の前面側に配置される複数の散水孔4のうち最外周に位置する散水孔4である最外周散水孔4Aとの関係により定まる形状部分を有する。すなわち、本実施形態の場合、内側壁面30は、上述したように略同心円状に配置される46箇所の散水孔4のうち最外周の円周に沿って配置される24箇所の最外周散水孔4Aの存在の影響を受けた形状部分を有する。
詳細には、通水空間8を形成する内側壁面30は、最外周散水孔4Aに対して通水空間8の外周側から最外周散水孔4Aを囲むような曲面形状を有する第1の壁面部としてのガイド面31と、周方向に互いに隣り合うガイド面31の間に設けられガイド面31と共に凹凸状をなす第2の壁面部としての連結面32を有する。内側壁面30においては、これらのガイド面31と連結面32とが周方向に交互に設けられることで、連続的な凹凸形状による花びら形状が形成される。内側壁面30を構成するガイド面31は、24箇所の最外周散水孔4Aの各最外周散水孔4Aに対応して設けられる。したがって、本実施形態では、内側壁面30を構成するガイド面31、および周方向に互いに隣り合うガイド面31間に設けられる連結面32は、それぞれ24箇所ずつ設けられ、これら24組のガイド面31および連結面32により、内側壁面30の花びら形状が形成される。
ガイド面31は、最外周散水孔4Aを外側から囲む壁面部である。すなわち、ヘッド本体部2の前面側の周縁部において円周に沿って配置された24箇所の最外周散水孔4Aを、そのさらに外周側から取り囲む内側壁面30において、ガイド面31は、ヘッド本体部2の径方向の外側から各最外周散水孔4Aを囲むような形状を有する。本実施形態では、ガイド面31は、ヘッド本体部2の正面視(ヘッド本体部2の中心軸方向視)あるいは散水孔4を構成するノズル部14bの中心軸方向視において、略円形状となる円錐形状のノズル部14bの形状に沿って、ノズル部14bにおけるヘッド本体部2の径方向(以下「ヘッド径方向」という。)の外側の略半分を囲むように、ヘッド径方向外側に凸となる湾曲した曲面形状を有する。
ここで、ガイド面31について、最外周散水孔4Aを囲むような形状とは、厳密には、最外周散水孔4Aのうち、通水空間8を形成する基部後面14eに対するノズル孔14fの後端開口部14gを対象とするものであり、このノズル孔14fの後端開口部14gをヘッド径方向の外側から囲むような形状である。また、ガイド面31について、最外周散水孔4Aを囲むとは、ヘッド本体部2の正面視あるいは散水孔4を構成するノズル部14bの中心軸方向視において、ノズル孔14fの後端開口部14gの周りを囲むことである。本実施形態の場合、ガイド面31は、円錐状のノズル部14bの基部の外形よりも外側から最外周散水孔4Aを囲むような円弧に沿う形状を有する。
連結面32は、本実施形態では、ヘッド本体部2の周方向(以下「ヘッド周方向」という。)に互いに隣り合うガイド面31の間において、ヘッド径方向の内側に凸となる湾曲した形状を有する。つまり、連結面32は、ヘッド周方向に互いに隣り合う最外周散水孔4Aの間から、ヘッド径方向の内側に張り出すように湾曲した曲面形状を有する。かかる曲面形状により、連結面32は、ガイド面31とともに花びら状の凹凸状をなす。
このように通水空間8を形成する内側壁面30の壁面形状としてガイド面31および連結面32を有する本実施形態のシャワーヘッド1によれば、簡単な構造で、製造工程の複雑化を招くことなく、給水が停止された後の水垂れが続く時間を短縮することができる。すなわち、本実施形態のシャワーヘッド1によれば、通水空間8を形成する壁面の形状の工夫による対応であることから、従来技術のようにメッシュ等の別部材を設けたり親水処理等の表面処理を行ったりする必要がなく、構造の複雑化や製造工程の複雑化を回避することができる。そして、止水後の水垂れが続く時間の短縮化は、内側壁面30の形状の工夫によって得られる、通水空間8内の最外周散水孔4A周りにおける水の界面に作用する界面張力の作用に基づく。
ここで、水の界面に作用する界面張力について、図9を用いて説明する。図9に示すように、所定の壁面40に対して静止した水の液面の端部には、次の3つの力が作用している。すなわち、(1)表面張力(白抜き矢印A1参照)、(2)水の界面張力(矢印A2参照)、(3)壁の界面張力(破線矢印A3参照)である。(1)表面張力は、水の表面に働く力である。(2)水の界面張力は、水自身が壁の壁面に沿って下側に分子を引きつけようとする力として作用する。(3)壁の界面張力は、壁の壁面が水と空気との界面を引き上げようとする力として作用する。
本実施形態のシャワーヘッド1においては、このように壁面と水面との関係において作用する3つの張力の存在に着目し、この3つの張力の関係を通水空間8内における内側壁面30と止水時において低下する通水空間8内の水面との関係に応用し、通水空間8を形成する内側壁面30の壁面形状が設定されている。
具体的には、本実施形態の内側壁面30においては、上述したようにガイド面31が通水空間8の外周側から最外周散水孔4Aを囲むような形状を有することに加え、ヘッド周方向に互いに隣り合うガイド面31間に設けられる連結面32は、通水空間8の中心側(ヘッド径方向内側)に向けて凸となる曲面形状を有し、この曲面形状における中心側(ヘッド径方向内側)の頂点の接線の方向が下側直近に位置する最外周散水孔4Aの開口部に向かうように形成されている。つまり、連結面32の曲面形状における中心側の頂点の接線上に、この連結面32の下側直近に位置する最外周散水孔4Aの後端開口部14gが形成されている。
このような内側壁面30の形状について、図10を用いて説明する。図10は、ヘッド本体部2の正面視において左下に位置する最外周散水孔4Aの周囲の部分(図8のA部分)を拡大的に示す図である。なお、本実施形態のシャワーヘッド1において、内側壁面30の形状について工夫の対象となるのは、ヘッド本体部2の前後方向(ヘッド本体部2の中心軸方向)あるいは散水孔4を構成するノズル部14bの中心軸方向に対して垂直な面に沿う形状であり、内側壁面30の奥行き方向(周壁部11によって形成される凹部の深さ方向)の形状は対象ではない。このため、図10においては、内側壁面30の形状を、内側壁面30の壁面形状に沿う1本の曲線30Aで示す。
図10に示すように、ガイド面31は、ヘッド径方向外側から最外周散水孔4Aを囲むように、ヘッド径方向の外側に凸となる円弧に沿う湾曲形状を有する。また、本実施形態では、連結面32は、ヘッド径方向の内側に凸となる円弧に沿う湾曲形状を有する。このように、本実施形態の内側壁面30においては、ガイド面31は、通水空間8の外周側に向けて凸となる円弧に沿う曲面形状を有し、連結面32は、通水空間8の中心側に向けて凸となる円弧に沿う曲面形状を有する。
そして、連結面32は、ヘッド径方向の内側に向けて凸となる曲面形状における中心側の頂点B1の接線B2に沿う方向がその連結面32の下側直近に位置する最外周散水孔4Aの通水空間8側の開口部である後端開口部14g(符号B3で示す開口領域参照)に向かうような形状を有する。つまり、連結面32の中心側の頂点B1の接線B2上に、その下側直近に位置する最外周散水孔4Aの後端開口部14gが形成されている。ここで、下側直近に位置する最外周散水孔4Aとは、連結面32においてその下側に連続するガイド面31により外周側が囲まれる直下の最外周散水孔4Aを指す。また、最外周散水孔4Aの開口部とは、最外周散水孔4Aにおいて通水空間8を形成する基部後面14eに対するノズル孔14fの後端開口部14gである。
以上のようなガイド面31および連結面32を有する内側壁面30の形状によれば、シャワーヘッド1の通水状態からの止水後に通水空間8内において散水孔4からの排水により下降中の水面に作用する水の界面張力の方向をおよそ最外周散水孔4A(の後端開口部14g)に向けることができる。つまり、本実施形態の内側壁面30においては、連結面32は、下降中の水面に作用する水の界面張力の方向が直下に位置する最外周散水孔4Aの後端開口部14gに向かうように形成されていると言える。さらに言うと、本実施形態の内側壁面30の形状は、ヘッド周方向に隣り合う連結面32の中心側(ヘッド径方向内側)の頂点同士の間に、最外周散水孔4A(の後端開口部14g)を位置させるような形状である。このような内側壁面30の形状により、水の界面張力による慣性を利用して通水空間8内の残水を素早く排水することが可能となる。
図10に示す例においては、連結面32の頂点B1の接線B2に沿う方向のうち下側に向く方向は、右斜め下方向である。この右斜め下方向は、連結面32の中心側の頂点B1の位置に下降中の水位(符号C1参照)が位置した状態において、頂点B1に作用する表面張力(矢印D1)および壁の界面張力(矢印D3)に対して作用する水の界面張力(矢印D2)の方向と略一致する。具体的には、連結面32の頂点B1の位置において、頂点B1に作用する表面張力(矢印D1)は、加工中の水面に沿って水平方向に右側に向けて作用する。また、頂点B1に作用する壁の界面張力(矢印D3)は、頂点B1から左斜め上方向に作用する。そして、これら表面張力および壁の界面張力に対して、頂点B1に作用する水の界面張力(矢印D2)は、頂点B1から右斜め下方向に作用し、接線B2に沿う下側方向と略一致する。この接線B2に沿う下側方向には、直下の最外周散水孔4Aの後端開口部14g(開口領域B3)が存在する。
このように、内側壁面30の壁面形状によれば、連結面32の頂点B1において作用する水の界面張力の方向を、その連結面32の直下に位置する最外周散水孔4Aの後端開口部14gに向けることができる。これにより、通水空間8の外周部分において、水の界面張力の作用によって最外周散水孔4Aに対して水を重点的に導くことができ、通水空間8内の残水の排水が促進され、ヘッド本体部2内部の水を効率的に散水孔4から放出することが可能となる。結果として、止水後に通水空間8内の残水をすばやく排水することが可能となり、止水後において水垂れが続く時間を短縮することができる。
また、本実施形態の内側壁面30は、最外周散水孔4A直下において、水の表面張力の方向と水の界面張力の方向とが互いに略同じ方向となるような形状を有する。具体的には、図10に示す例において、最外周散水孔4Aの直下の壁面形状は、ガイド面31とその下側に連続する連結面32との連続部分において略水平方向に沿う形状から、連結面32の湾曲形状に沿って徐々に右斜め下方向に向く形状へと変化する形状である。
このような壁面形状によれば、下降中の水位が最外周散水孔4Aの直下の壁面の位置(符号C2参照)に位置する状態で、壁の界面張力(矢印E3)に対して、表面張力の方向(矢印E1)と水の界面張力の方向(矢印E2)とがおよそ同じ向きに作用することになる。これにより、最外周散水孔4A直下の水が、その最外周散水孔4Aの次下段に存在する最外周散水孔4Aへ向けて引き込まれやすくなる。つまり、最外周散水孔4Aの直下において、表面張力の方向(矢印E1)と水の界面張力の方向(矢印E2)とがなるべく近付くように壁面形状の方向性を規定することで、最外周散水孔4Aの直下に存在する水がそのさらに下側の最外周散水孔4Aに向けて進みやくなる状況を作り出すことができる。
すなわち、最外周散水孔4Aの直下の壁面において表面張力の方向(矢印E1)と水の界面張力の方向(矢印E2)とを略同じ方向とすることにより、これら2つの張力を凝集させることができ、最外周散水孔4Aの直下の壁面において、さらにその下側に位置する最外周散水孔4Aに対して水が重点的に導かれるような流れを形成することができる。結果として、最外周散水孔4Aの直下において内側壁面30の壁面上に水が滞留することなく、通水空間8内の残水の排水が促進され、ヘッド本体部2内部の水を効率的に散水孔4から放出することが可能となる。
なお、このような最外周散水孔4A直下における壁面形状による作用を得ることは、上述したような、着目する最外周散水孔4Aの上方における連結面32の中心側の頂点の接線の方向と最外周散水孔4Aの位置との関係に基づく壁面形状との関係において、次のような背景の下に至ったものである。
上述したように水の界面張力の作用方向(矢印D2参照)が最外周散水孔4Aの後端開口部14gの開口領域B3に向かうような壁面形状として壁面を配置した場合、そのことのみを満たすような壁面形状によると、内側壁面30を形成する周壁部11によって最外周散水孔4Aの後端開口部14gを塞ぐことになってしまう。そこで、最外周散水孔4Aの位置を回避するような壁面形状として壁面を配置することが考えられるが、かかる場合、最外周散水孔4Aの直下に水が滞留するおそれが生じる。そこで、上述したように、最外周散水孔4Aの直下の壁面において、表面張力の方向(矢印E1)と水の界面張力の方向(矢印E2)とがおよそ同じ向きに作用するような壁面形状が採用される。
以上のように、本実施形態の内側壁面30の形状によれば、最外周散水孔4Aの上方および下方において、次のような作用により、通水空間8内の残水を最外周散水孔4Aの後端開口部14gに対して効率的に導くことができる。すなわち、例えば図10に示す最外周散水孔4Aの上方においては、連結面32の中心側の頂点B1の接線B2の方向と最外周散水孔4Aの後端開口部14gの位置との関係に基づいて規定される壁面形状により、水の界面張力の作用(矢印D2参照)によって、通水空間8内の残水を最外周散水孔4Aに対して効率的に導くことができる。また、最外周散水孔4Aの下方においては、水の表面張力(矢印E1参照)と水の界面張力(矢印E2参照)との相互作用によって、通水空間8内の残水を最外周散水孔4Aの下方に位置する直近の最外周散水孔4Aに対して効率的に導くことができる。このような最外周散水孔4Aの上方および下方における作用が、上述したように全体的に花びら形状をなす、ガイド面31および連結面32を有する本実施形態の内側壁面30の壁面形状によって得られる。
また、本実施形態の内側壁面30においては、上述したように、通水空間8の外周側に向けて凸となる曲面形状を有するガイド面31、および通水空間8の中心側に向けて凸となる曲面形状を有する連結面32は、いずれも円弧状に沿う形状を有する。
このような壁面形状によれば、上述したような最外周散水孔4Aの上方および下方において通水空間8内の残水を最外周散水孔4Aに導くための作用が得やすくなり、最外周散水孔4Aの周囲の残水をより効率的に排出することができる。また、ガイド面31および連結面32がいずれも円弧に沿う形状であることから、内側壁面30の形状を円弧という単純な形状の組み合わせとすることができ、最外周散水孔4Aの配置等に応じて内側壁面30の形状を容易に設計することができる。
また、本実施形態の内側壁面30の壁面形状としては、ガイド面31および連結面32がいずれも円弧に沿う曲面形状を有する構成において、連結面32の曲面形状が沿う円弧の曲率半径が、ガイド面31の曲面形状が沿う円弧の曲率半径よりも大きい形状が採用されている。言い換えると、本実施形態の内側壁面30においては、ガイド面31の円弧の曲率の方が連結面32の円弧の曲率よりも大きくなるような壁面形状が採用されている。
具体的な数値としては、例えば、ガイド面31の曲率半径と連結面32の曲率半径の比が2.5:4程度となるように各曲面の曲率半径が設定される。つまり、この場合、例えば、ガイド面31の曲率半径が2.5cm程度に設定されるのに対し、連結面32の曲率半径が4cm程度に設定される。
このようなガイド面31と連結面32との間における曲率半径の大小関係によれば、上述したように最外周散水孔4Aの上方において得られる作用については、連結面32の曲率半径が比較的大きいことから、水の界面張力の作用を大きくすることができ、また、最外周散水孔4Aの下方において得られる作用については、ガイド面31の曲率半径が比較的小さいことから、最外周散水孔4A直下の水を速やかに下側の連結面32の方へ導くことができる。これにより、最外周散水孔4Aの周囲の残水をより効率的に排出することができる。
なお、ガイド面31と連結面32との間における曲率半径の大小関係は、本実施形態のように連結面32の方がガイド面31よりも大きい場合に限定されてない。つまり、ガイド面31の曲率半径の方が連結面32の曲率半径よりも大きかったり、これらの曲率半径が互いに同程度の大きさであったりしてもよい。ただし、上述したように最外周散水孔4Aの周囲の残水をより効率的に排出する観点からは、本実施形態のように連結面32の曲率半径の方がガイド面31の曲率半径よりも大きい方が好ましい。また、本実施形態の内側壁面30においては、ガイド面31および連結面32がいずれも円弧に沿う曲面形状を有する構成が採用されているが、ガイド面31および連結面32の曲面形状としては、円弧に沿う形状以外の形状が採用されてもよい。
本実施形態の内側壁面30の形状によって得られる効果について、実験結果を示して説明する。この実験では、本実施形態の内側壁面30の形状に対する比較例として、図10において曲線130Aで示すような壁面形状を採用した。曲線130Aで示す比較例としての壁面は、従来のシャワーヘッド構造において採用されている形状であり、円周に沿って配置される複数の最外周散水孔4Aを外側から囲むように、全体的に円周に沿う形状を有する。また、この実験で採用した比較例の壁面は、本実施形態の内側壁面30よりも外側に位置する。なお、その他の構成、例えば散水孔4の構成や数等は、本実施形態の内側壁面30と比較例とで共通する。
このような比較例の壁面と、本実施形態の内側壁面30それぞれについて、水垂れの継続時間を計測した。実験結果としては、曲線130Aで示すような従来の壁面形状の場合の水垂れの継続時間に対して、本実施形態の内側壁面30の場合の水垂れの継続時間が約半分程度の時間であるという結果が得られた。つまり、本実施形態の内側壁面30の形状を採用することで、比較例の壁面形状との関係において、残水の排出速度を約倍程度に向上することができた。
図10に示すように、曲線130Aで示す比較例の壁面形状においては、例えば内側壁面30の連結面32の頂点B1の位置に対応する水位の位置(符号C1参照)において、表面張力(矢印F1参照)および壁の界面張力(矢印F3参照)に加えて作用する水の界面張力(矢印F2参照)の方向は、壁面に沿った方向ではあるものの、最外周散水孔4Aの後端開口部14gに向かう方向ではない。つまり、比較例の壁面形状において、水の界面張力(矢印F2参照)の方向には、最外周散水孔4Aは存在しない。このため、上述したように最外周散水孔4Aの上方における水の界面張力による流れは、最外周散水孔4Aの後端開口部14gに対して直接的には作用しない。この点、本実施形態の内側壁面30によれば、上述したように水の界面張力の方向が最外周散水孔4Aの後端開口部14g方向を向くことから、水の界面張力の作用によって最外周散水孔4Aの後端開口部14gに対して水を導くことができる。
また、曲線130Aで示す比較例の壁面形状においては、下降中の水位が最外周散水孔4Aの直下の壁面の位置(符号C2参照)に位置する状態で、壁の界面張力(矢印G3)に対して作用する表面張力の方向(矢印G1)と水の界面張力の方向(矢印G2)の開きが本実施形態の内側壁面30の場合と比べて大きく異なり、表面張力と水の界面張力とが分散される。この点、本実施形態の内側壁面30によれば、上述したように表面張力の方向と水の界面張力の方向を互いに近付けることができ、これらの張力の相互作用によって最外周散水孔4A直下の水を速やかに下側の最外周散水孔4Aに導くことができる。
これらのことから、上述したような実験結果のとおり、本実施形態の内側壁面30の形状によれば、比較例の壁面形状と比べて水垂れの継続時間を大幅に短くすることができる。なお、本実施形態の内側壁面30の壁面形状によれば、比較例の壁面形状の場合に比して壁面が内周側に位置することから通水空間8内の容積が減る点で、水垂れの継続時間が必然的に短くなるが、容積の減少量は10%程度である。これに対し、水垂れの継続時間については、本実施形態の内側壁面30の形状によると上記のとおり約半分程度に短縮される。したがって、本実施形態の内側壁面30の形状の場合と比較例の壁面形状の場合との間における通水空間8の容積の違いを差し引いても、本実施形態の内側壁面30の形状によれば、水垂れの継続時間の短縮について十分な効果を得ることができる。以上のように、この実験結果から、本実施形態の内側壁面30の形状によれば水垂れの継続時間の大幅な短縮効果が得られることが実証された。
また、本実施形態の内側壁面30の形状によれば、上述したように通水空間8に噴射される水として生成される空気混入水との関係において、径方向流路13から通水空間8内に噴射されて内側壁面30に衝突した水の戻りが抑えられ、水に混入している空気の大径化が抑制されるという作用が得られる。かかる作用について、図11を用いて説明する。図11(a)は、本実施形態の内側壁面30により得られる混入空気大径化の抑制作用についての説明図であり、同図(b)は、従来形状の場合における作用についての説明図である。
まず、図11(b)により、通水空間8の内側壁面の形状として従来形状の内側壁面230が採用された場合、径方向流路13から通水空間8内に噴射された水内の空気が大径化することについて説明する。なお、図11(b)に示す従来形状の内側壁面230は、図10において曲線130Aで示すような壁面形状と同様、全体的に円周に沿う形状を有する。
図11(b)に示すように、通水空間8内において、径方向流路13から噴射される水は、その噴射方向に沿って内側壁面230に衝突する(矢印J1参照)。内側壁面230に衝突した水は、内側壁面230に沿って両側に分かれた流れを形成する(矢印J2参照)。このように内側壁面230への衝突位置から両側に分かれた水の流れは、隣の径方向流路13からの噴射流から分かれた流れと合流し、径方向内側に戻る(矢印J3参照)。このように径方向内側に戻る流れは、径方向流路13から噴射される水の流れとともに渦状の流れを生じさせる。こうした渦状の流れの内側には低圧な領域(符号J4参照)が生じ、この領域において流れの滞留や衝突等によって、水中の混入空気による気泡同士が合体して成長し、空気が大径化することになる。水に混入された空気が大径化することは、シャワーヘッド1から吐水されるシャワー水の浴び心地の面で好ましくない。
このような従来形状の場合における作用に対し、本実施形態の内側壁面30の形状によれば、次のような作用が得られる。図11(a)に示すように、通水空間8内において、径方向流路13から噴射される水の一部は、その噴射方向に沿って内側壁面30を形成するガイド面31の部分に衝突する(矢印H1参照)。ガイド面31の部分に衝突した水は、ガイド面31の湾曲形状に沿って両側に分かれる(矢印H2参照)。ここで、ガイド面31の両側においては連結面32によって空間が広がるため、ガイド面31の両側に分かれた水の流れは、ガイド面31内の狭い空間からガイド面31外の広い空間に解放されて分散される(矢印H3参照)。
このようにガイド面31の両側において分散された流れは、隣のガイド面31から分散された流れと合流し、径方向内側に戻る(矢印H4参照)。ただし、この径方向内側に戻る流れは、上述した従来形状の場合と比べて小さく、その径方向内側に戻る流れによって生じる渦状の流れも小さくなる。このため、渦状の流れによって生じる低圧な領域(符号H5参照)は、従来形状の場合と比べて狭くなる。これにより、低圧な領域において生じる流れの滞留や衝突等が抑制され、水中の混入空気による気泡同士が合体しにくくなり、空気の大径化が抑制される。
このように、本実施形態の内側壁面30の形状によれば、径方向流路13から噴射される水について、壁面の凹凸形状によって流れが分散され、内側壁面30に衝突することによるショックが軽減される。これにより、径方向流路13から通水空間8内に噴射されて内側壁面30に衝突した水の戻りを抑えることができ、水に混入している空気の大径化を抑制することができる。したがって、水に混入している空気について適度な径を維持することができ、空気混入水による柔らかな浴び心地を得ることができる。
以上説明した本実施形態のシャワーヘッド1のように、水垂れが続く時間の短縮化を図るために、ヘッド本体部2内の通水空間8の壁面形状を工夫することで、止水後において通水空間8の残水を積極的に排出させる構成は、従来にはない新規な構成である。かかる構成により、簡単な構造で、製造工程の複雑化を招くことなく、給水が停止された後の水垂れが続く時間を短縮することができる。
なお、本実施形態のシャワーヘッド1においては、通水空間8を形成する壁面として花びら形状をなす内側壁面30は、基板部6を構成する基板本体9の前面に一体に設けられた周壁部11により形成されているが、このような内側壁面は、他の構成によって実現されてもよい。花びら形状をなす内側壁面は、例えば、散水板7を構成するノズル部材14の一部によって設けられてもよく、独立した部材により設けられてもよい。また、本実施形態のシャワーヘッド1においては、内側壁面30は花びら形状を有するが、内側壁面30としては、最外周散水孔4Aを通水空間8の外周側から囲むような曲面形状を有する第1の壁面部と、周方向に互いに隣り合う第1の壁面部の間に設けられ第1の壁面部と共に凹凸状をなす第2の壁面部とを有する構成であれば、全体的な形状は特に限定されない。
1 シャワーヘッド
2 ヘッド本体部
4 散水孔
4A 最外周散水孔
5 流入口
6 基板部
7 散水板
8 通水空間
9 基板本体
10 流路形成部材
14 ノズル部材
14g 後端開口部
15 カバー部材
19 絞り部
20 空気通路
30 内側壁面
31 ガイド面(第1の壁面部)
32 連結面(第2の壁面部)
2 ヘッド本体部
4 散水孔
4A 最外周散水孔
5 流入口
6 基板部
7 散水板
8 通水空間
9 基板本体
10 流路形成部材
14 ノズル部材
14g 後端開口部
15 カバー部材
19 絞り部
20 空気通路
30 内側壁面
31 ガイド面(第1の壁面部)
32 連結面(第2の壁面部)
Claims (5)
- 供給される水の流入口を有する基板部と、複数の散水孔を有し前記基板部に対して互いの板面側が対向するように設けられ前記基板部と共に前記流入口および前記散水孔が連通する通水空間を形成する散水板とを備えたシャワーヘッドであって、
前記通水空間を形成する面として、互いに対向する前記基板部と前記散水板との間の空間を外周側から取り囲む内側壁面を有し、
前記内側壁面は、前記複数の散水孔のうち最外周に位置する散水孔である最外周散水孔を前記通水空間の外周側から囲むような曲面形状を有する第1の壁面部と、周方向に互いに隣り合う前記第1の壁面部の間に設けられ前記第1の壁面部と共に凹凸状をなす第2の壁面部とを有する、
シャワーヘッド。 - 前記第2の壁面部は、前記通水空間の中心側に向けて凸となる曲面形状を有し、
前記第2の壁面部の前記曲面形状における中心側の頂点の接線上に、当該第2の壁面部の下側直近に位置する前記最外周散水孔の前記通水空間側の開口部が形成されている、
請求項1に記載のシャワーヘッド。 - 前記第1の壁面部は、前記通水空間の外周側に向けて凸となる円弧に沿う曲面形状を有し、
前記第2の壁面部は、前記通水空間の中心側に向けて凸となる円弧に沿う曲面形状を有する、
請求項1または請求項2に記載のシャワーヘッド。 - 前記第2の壁面部の曲面形状が沿う前記円弧の曲率半径は、前記第1の壁面部の曲面形状が沿う前記円弧の曲率半径よりも大きい、
請求項3に記載のシャワーヘッド。 - 前記流入口と前記通水空間との間の通水経路に設けられ、前記流入口から流入した水を前記通水空間に噴射させるために前記通水経路の流路面積を部分的に減少させる絞り部と、
前記通水経路に連通し、前記絞り部から噴射される水に混入させる空気を取り込むための空気通路と、を備える、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のシャワーヘッド。
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