JP5965823B2 - エレベータ群管理システム - Google Patents
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Description
最初に、図8を用いてエレベータかご(またはかごとも称す)走行時の乗車率と、消費電力量及びエネルギーのロスの関係について説明する。図8において、破線はモータ及びインバータの効率が100%となるときの消費電力量、実線は実際の消費電力量を示す。また、図中の塗りつぶした部分が実際の消費電力量と効率100%のときの消費電力量の差分であり、これがインバータ及びモータによって生じるエネルギーのロスに相当する。このエネルギーのロスは図に示すように、図8(a)(b)どちらにおいても、後述する乗車率優先閾値に近い乗車率(力行時及び回生時の消費電力量が小さくなる)ほど小さく、乗車率優先閾値から離れた乗車率(力行時及び回生時の消費電力量が大きくなる)ほど大きくなる。また、かごに乗場呼びを割当てる、すなわち、かごの乗車率の増加に対するエネルギーのロスの変化に着目すると、乗車率が乗車率優先閾値以下の場合は割当てによりロスが減少し、乗車率優先閾値より大きな場合は割当てによりロスが増大する。
図1は、本実施例のエレベータ群管理システム全体の制御ブロック図である。K台のかご22A〜22Cの運転を、各エレベータの号機制御装置21A〜21Cが制御しており、これら各号機制御装置に対して群管理制御部1が統括して制御を行っている。
総合評価指標演算部110では、省エネ評価指標演算部107に加えて、待ち時間評価指標演算部108及びその他の評価指標演算部109が設けられた場合、各演算部で演算された各評価指標に基づいて、次式(1)に示す総合評価指標を演算する。
ΦT(k)=ΦW(k)+wEΦE(k)+wOΦO(k) ・・・(1)
ここで、ΦT(k)はk号機の総合評価指標、ΦW(k)はk号機の待ち時間評価指標、ΦE(k)はk号機の省エネ評価指標、ΦO(k)はk号機のその他の評価指標、wEは省エネ評価指標に対する重み係数、wOはその他の評価指標に対する重み係数である。この重み係数の値の決め方は、例えば交通量が所定量を超えた場合はwEを小さくすることにより待ち時間短縮効果を重視し、交通量が所定量以下の場合はwEを大きくすることにより、省エネルギー効果を重視した割当て制御を行う。他には、出勤時や退勤時、平常時など、ビルの交通流の特徴に応じて決定しても良いし、時間帯に応じて決定しても良い。
C=min(ΦT(k)) ・・・(2)
なお、新規の乗場呼びに対して割当てかごを決定した後についても、総合評価指標を用いていずれかのかごに割当て済みの乗場呼びに対する割当て変更の可否の演算を行ってもよい。
予測ルート作成部103の詳細について説明する。図2に予測ルート作成部103の内部ブロックを示す。予測ルート作成部は、呼び探索部1031、端階推定部1032、予測ルート修正部1033からなる。
P(i)=P´(i)−PC-OUT(i)−PH-OUT(i)+PH-IN(i)
・・・(3)
ただし、PC-OUT(i)はi階におけるかご呼びによる予測降り人数、PH-OUT(i)はi階における乗場呼びによる予測降り人数、PH-IN(i)はi階における乗場呼びによる予測乗り人数である。また、P´(i)は同一区間におけるi階の前の階における予測かご内人数である。なお、区間1において、P(かごの現在位置)=現在のかご内人数となる。また、区間2において、P(方向反転階1)=0となる。さらに、区間3において、P(方向反転階2)=0となる。
パラメータ設定部1061aでは、乗車率優先閾値を演算するのに必要な乗車率を乗車率パラメータとして設定する。
消費電力量演算部1061bでは、かご及びビル仕様データ記憶部101で記憶された走行時のトルク算出に必要なパラメータ(かごの定格速度やかごの重量、ビル階床数等)と、パラメータ設定部1061aで設定された乗車率パラメータとにより消費電力量を演算する。
FC100からFC107までは、上昇方向乗車率優先閾値ρE(UP)を演算する処理である。
FC101では、パラメータ設定部1061aにより、乗車率パラメータρを0として初期化する。
FC102では、乗車率がρ(0〜100%)となるときの上昇走行時の消費電力量E(ρ)を算出する。ここで、E(ρ)は次式(4)で概算できる。例えば、乗車率ρの1%刻みの各E(ρ)を概算して保存しておけばよい。
E(ρ)=Pacc(ρ)×Tacc/2+Pconst(ρ)×Tconst
+Pdcc(ρ)×Tdcc/2 ・・・(4)
ただし、Pacc(ρ)は加速走行時の消費電力、Taccは加速走行時間、Pconst(ρ)は定速走行時の消費電力、Tconstは定速走行時間、Pdcc(ρ)は減速走行時の消費電力、Tdccは減速走行時間を示す。
P(ρ)={(J×2×KR×α)/DS
+(Mca+MRL×ρ/100−MCW+Mloss)×DS×g/(2×KR)}
×V×KR×2/(60×DS)×η ・・・(5)
ただし、Jは慣性モーメント、αは加速度、Mcaはかご重量、MRLは定格積載重量、MCWは釣り合い重り重量、Mlossは走行損失、DSはシーブ径、Vは走行速度である。加速度αは、定速時は0、加速時は+の加速度、減速時は−の加速度である。また、KRは、ローピング(エレベータの乗りかごと釣合いおもりとのワイヤーロープのかけ方)に依存する係数であり、例えばKR=2の場合は2:1ローピングとなり、ロープに加わる荷重は1:1ローピングの場合と比較して1/2となる。
J=M×DS 2/(4×KR)+JR ・・・(6)
ここで、JRは回転系の慣性モーメントであり、Mは次式(7)で概算できる。
M=(Mca+MRL×ρ/100+MCW)/KR+(Mrp+Mtal)×H/(2×KR)
・・・(7)
ここで、Mrpはロープの単位長さ当たりの重量、Mtalはテールコードの単位長さ当たりの重量、Hは走行距離を示す。
かご及びビル仕様データ記憶部101に記憶されたデータに基づき、(4)から(7)の式を用いることにより、乗車率ρの時の上昇走行時の消費電力量E(ρ)が概算される。走行距離Hは、エレベータが定格速度に十分達する距離とする。
E(ρ)=Pacc(ρ)×Tacc/2+Pconst(ρ)×Tconst
+Pdcc(ρ)×Tdcc/2 ・・・(8)
また、乗車率ρのときの消費電力P(ρ)は次式(9)で概算できる。
P(ρ)={(J×2×KR×α)/DS
−(Mca+MRL×ρ/100−MCW−Mloss)×DS×g/(2×KR)}
×V×KR×2/(60×DS)×η ・・・(9)
ここで、Jは(6)式と同一となる。
以上により、上昇方向乗車率優先閾値ρE(UP)及び下降方向乗車率優先閾値ρE(DOWN)が演算される。上記では(4)から(9)の式により演算したが、ロープやテールコードの重量を0と見なす、かご重量を定格積載重量の定数倍と見なす、釣り合い重りの重量を定格積載重量の定数倍と見なすなどとし、より簡易に消費電力量の演算を行うこともできる。また、FC101及びFC109と、FC105及びFC113によって上昇方向及び下降方向の乗車率優先閾値の探索範囲を乗車率0%から100%までとしているが、これらの乗車率優先閾値は、上昇方向時は30%から50%、下降方向時は50%から70%の間の値をとるため、予めこの範囲のみを探索するようにしても良い。
なお、先に示した図8において、効率100%の場合の消費電力量は、式(5)及び式(9)において、η=1.0としたときのものである。
φE(A)=SumA(A)+SumA(B)・・・(10)
ここで、図11の場合のSumA(A)は乗車率ρのときの上昇走行時のロス最小化関数fUP(ρ)及び乗車率ρのときの下降走行時のロス最小化関数fDOWN(ρ)を用いて次式(11)により演算する。
SumA(A)=fUP(15)+fUP(15)+fDOWN(50)+fUP(55)
+fDOWN(50)+fDOWN(60)+fUP(20)
+fUP(10)+fUP(10)+fUP(5)・・・(11)
なお、SumA(B)についても式(11)と同様にして演算すれば良い。
φE(k)=Sumk(k)+Σl≠kSumk(l)・・・(12)
また、このときのSumk(l)は次式(13)で演算することができる。
Sumk(l)=Σn:全区間Σi:区間nの階fdir(k。l,n)(ρk(l、n,i))
・・・(13)
ここで、dir(k,l,n)はk号機に新規乗場呼びを仮割当てした場合のl号機の区間nにおける走行方向、ρk(l、n,i)はk号機に新規乗場呼びを仮割当てした場合のl号機の区間nにおけるi階の予測乗車率である。
100 かご及び各階ホール情報収集部
101 かご及びビル仕様データ記憶部
102 到着予測時間演算部
103 予測ルート作成部
104 予測かご内人数演算部
105 予測乗車率演算部
106 ロス最小化関数設定部
107 省エネ評価指標演算部
108 待ち時間評価指標演算部
109 その他の評価指標演算部
110 総合評価指標演算部
111 割当てかご決定部
21A〜C 号機制御装置
22A〜C かご
23A〜C かご内操作ボタン
24A〜C 荷重センサ
3A〜B 乗場操作ボタン
Claims (6)
- かご内操作ボタンとかご利用者の重量または人数を検出するセンサが設けられた複数台のエレベータかごと、乗場に設けられた乗場操作ボタンからのエレベータかごの乗場呼びを受けるとともに、前記複数台のエレベータかごに対して前記乗場呼びに対応するエレベータかごを割当てるエレベータ群管理制御部を有するエレベータ群管理システムにおいて、
前記エレベータ群管理制御部は、
前記複数台のエレベータかごの上昇方向運転及び下降方向運転で、力行運転と回生運転が変わる境界となる閾値を、前記複数台の各エレベータの所定のかご内乗車率、所定のかご内乗車人数、所定のかご内荷重量のうちのいずれかで表される閾値として演算する閾値演算部と、
前記複数台のエレベータかごそれぞれについて、エレベータかごが受け持つ乗場呼び及びかご呼びから時間軸上の予測走行軌跡を作成する予測走行軌跡作成部と、
前記時間軸上の予測走行軌跡における各階のかご内の予測乗車率、予測乗車人数、予測荷重値のうちのいずれかで表される予測値と前記閾値との比較に基づき、前記予測値が前記閾値よりも小さくかつ前記閾値に近いエレベータかごを割当て易くする割当てかご決定部と、
各エレベータかごについて、各階の各方向をサービスするのに当該のエレベータかごが到着するまでの時間を推定演算する到着予測時間演算部とを有し、
前記予測走行軌跡作成部は、
新規に発生した乗場呼びを、前記複数台のエレベータかごの何れかに仮割当てしたときの、全エレベータかごの時間軸上の予測走行軌跡を作成することを特徴とするエレベータ群管理システム。 - 請求項1において、
前記エレベータ群管理制御部は、
前記予測走行軌跡作成部により作成された前記全エレベータかごの予測走行軌跡から、
将来発生する呼びに応答するエレベータかごを将来呼び応答かごとして選定し、
前記将来呼び応答かごの前記予測走行軌跡が、前記将来発生する呼びに応答するように前
記予測走行軌跡を追加して修正する予測走行軌跡修正部を有することを特徴とするエレベ
ータ群管理システム - 請求項1において、
前記エレベータ群管理制御部は、
前記到着予測時間演算部で推定演算された各エレベータかごの到着予測時間に基づいて、
前記予測走行軌跡の各階において、
前記乗場呼びのあった乗場呼び階を出発時の各エレベータかごの予測かご内人数を演算する予測かご内人数演算部を有することを特徴とするエレベータ群管理システム。 - 請求項3において、
前記エレベータ群管理制御部は、
前記予測かご内人数演算部にて演算された、
各エレベータの前記予測走行軌跡の各階における前記かご内人数と、
各エレベータかごのかご定員から、
乗場呼び階出発時の予測乗車率を演算する予測乗車率演算部を有することを特徴とするエレベータ群管理システム。 - 請求項4において、
前記エレベータ群管理制御部は、
前記予測かご内人数演算部にて演算された前記予測かご内人数または前記予測乗車率演算部にて演算された前記予測乗車率における評価指標を演算する評価指標演算部を有することを特徴とするエレベータ群管理システム。 - 請求項5において、
前記エレベータ群管理制御部は、
前記評価指標演算部にて演算された評価指標に基づいて、前記予測走行軌跡上の各階において、前記予測値が前記閾値よりも小さくかつ前記閾値に近いエレベータかごを割当て易くする前記割当てかご決定部を有することを特徴とするエレベータ群管理システム。
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