図1は、加工制御システム4がウェブ材料の加工を制御する、グローバルネットワーク環境2を示す構成図である。より具体的に言えば、ウェブ製造工場6A〜6M(ウェブ製造工場6)が製造現場を表しており、これらの製造現場は、互いの間でウェブロール7の形態でウェブ材料を生産及び出荷し、完成したウェブロール10を加工現場8A〜8N(加工現場8)に出荷するものである。ウェブ製造工場6は、地理的に分散していてもよく、ウェブ製造工場のそれぞれは、1つ以上の製造工程ラインを有してもよい。加工現場8は、ウェブ製造工場6と同じ実体の一部であってもよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、加工現場8は、完成したウェブロール10の消費者である。加工現場8は、完成したウェブロール10をウェブ製造工場6から購入し、等級レベルに基づいて製品12に組み込むために、完成したウェブロール10を個々のシートに加工してもよい。つまり、どのシートが製品12のうちのどれに組み込まれるべきかという選択プロセスは、どの等級レベルを各シートが満たしているかに基づき得る。本願に記載する技術に従えば、加工現場8はまた、完成したウェブロール10の異常、即ち潜在的な欠陥に関するデータを受領してもよい。最終的に、加工現場8は、完成したウェブロール10を個々のシートに加工してもよく、それらのシートは、消費者14A〜14N(消費者14)への販売のために、製品12に組み込まれてもよい。
一般に、ウェブロール7、10は、既製のウェブ材料を含んでもよく、そのウェブ材料は、ある方向には一定の寸法を、またその直交方向には所定の又は不定の長さを有する任意のシート状材料であってよい。ウェブ材料の例には、金属、紙、織布、不織布、ガラス、ポリマーフィルム、フレキシブル回路又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限られない。金属には、鋼鉄又はアルミニウムなどの材料を挙げることができる。織布には一般的に様々な織物が挙げられる。不織布には、紙、濾材又は絶縁材料などが挙げられる。フィルムには、例えば積層体及びコーティングされたフィルムを含む無色(clear)かつ不透明なポリマーフィルムが挙げられる。
製品12に組み込むための個々のシートに加工する準備のできた完成したウェブロール10を生産するために、未完成のウェブロール7は、1つのウェブ製造工場、例えばウェブ製造工場6Aにて、あるいは複数の製造工場にて、多数の工程ラインによるプロセスを受けることが必要となり得る。各プロセスに関して、ウェブロールは典型的に、ウェブがそこから製造プロセスの中へ送られるソースロールとして使用される。各プロセスの後、ウェブは通常ウェブロール7に再度収集されて、別の製品ラインに移動されるか又は別の製造工場に出荷され、次にそこで広げられ、処理され、再度ロールに収集される。最終的に完成したウェブロール10が製造されるまでこのプロセスが繰り返される。
ある工場、例えばウェブ製造工場6Aによってウェブロール7に取り込まれた異常は、工場6Aがウェブロール7に対する処理を終えると検出可能となり得るが、その異常は、ウェブ製造工場6Bなどの別のウェブ製造工場がウェブロール7に対して製造処理を実施した後に検出不能となり得る。
多数の応用例で、各ウェブロール7のウェブ材料は、1つ以上のウェブ製造工場6の1つ以上の生産ラインで多数のコーティングを施されることがある。このコーティングは一般に、最初の製造プロセスの場合はベースウェブ材料の露出表面に、後の製造プロセスの場合は既に施されたコーティングの露出表面に施される。コーティングの例には、接着剤、ハードコート、低接着性裏面コーティング、金属化コーティング、中性密度コーティング、電気的に導電性若しくは非導電性のコーティング、又はこれらの組み合わせが挙げられる。所定のコーティングは、ウェブ材料の一部分のみに塗布されてもよく、又はウェブ材料の露出された表面を完全に被覆してもよい。更に、ウェブ材料はパターン形成されていてもされていなくてもよい。
ウェブロール7の所与の1つの各製造プロセス中、1つ以上の検査システムがウェブの異常情報を獲得する。例えば、図2に示されているように、生産ラインのための検査システムは、ウェブが処理されるとき、例えば、1つ以上のコーティングがウェブに塗布されるとき、連続して移動ウェブに近接して配置される1つ以上の画像取得装置を含んでもよい。画像取得装置は、連続して移動ウェブの連続的な部分を走査してデジタル画像データを取得する。検査システムは、いわゆる「局所的な」異常情報を生成するために、1つ以上のアルゴリズムで画像データを解析することができる。異常情報は、ウェブのうちの明確な領域を表し、対応する領域におけるウェブの物理的な偏りに関する複数の特徴を規定する、複数の異常対象を含み得る。異常対象は、例えば、ウェブの異常領域の幅における偏り、又はウェブの異常領域の長さにおける偏りなどの特徴を規定し得る。したがって、長さ及び幅は、例えば様々な等級レベルを規定する所定の特徴からの物理的な偏りを表し得る。例示的な一実施形態において、異常を識別するために、また各異常を表すデータ構造として異常対象を形成するために、画像データが取得及び処理され得る。異常情報の収集及び登録に関する情報が、本願の譲受人に譲渡された2007年7月26日出願の、Floederらへの同時継続中の特許出願第11/828,369号「Multi-Unit Process Spatial Synchronization」に詳述されており、その全ての内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
概して、加工制御システム4は、用途固有の、即ち、製品12に特有であり得る1つ以上の欠陥検出アルゴリズム(「レシピ」)を適用して、各ウェブロール10に関する加工計画を選択及び作成する。特定の異常が、ある製品、例えば製品12Aに欠陥を生じ得るのに対し、その異常は、別の製品、例えば製品12Bには欠陥を生じないこともあり得る。いくつかの実施形態において、加工制御システム4は、所与の異常が繰り返し異常であると決定されたか、又は不規則的な異常、即ち、非繰り返し異常であると決定されたかに応じて、ウェブロール10の識別された異常に対して異なる用途固有の欠陥検出レシピを適用してもよい。各加工計画は、最終的に消費者14に販売され得る製品12を作製するために、対応する完成したウェブロール10を処理するための規定された命令を表すものである。例えば、ウェブロール10は、最終製品、例えば、ノートブックコンバータのディスプレイに適用するための特定寸法のシートに加工され得る。別の例として、この同じウェブロール10は、携帯電話のディスプレイに適用するための最終製品に加工されてもよい。加工制御システム4は、繰り返し及び非繰り返し異常に適用され得る異なる欠陥検出アルゴリズムに照らして、どの製品がウェブの最大利用率といった特定のパラメータを最良に達成するかを識別することができる。更に、作業者は、パラメータのいずれか(例えば、ウェブの利用率)に与える影響を調べるために、異なる欠陥検出アルゴリズムの特定の拘束(例えば、繰り返し及び非繰り返し異常に適用される感度の差など)を調整することができる。加工選択プロセスに影響を及ぼすために用いることができる製品選択パラメータの他の例としては、生産された製品から単位製品が生み出す推定収益又は利益、ウェブを加工するのに必要な工程時間、各工程ラインに関する現時点の機械能力、異なる製品に関する現在の需要、又はその他のパラメータが挙げられる。製品選択プロセスに関する更なる詳細は、Floederらの米国特許第7,187,995号、名称「MAXIMIZATION OF YIELD FOR WEB-BASED ARTICLES」(2007年3月6日発行)に記載されており、当該特許の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
製造工場6内の工程ラインのうちの特定の要素が、繰り返し異常又は欠陥をウェブに取り入れることがある。例えば、ウェブが工程ラインを移動する際にウェブと係合する「ロール」が、規則的な間隔で、繰り返し異常をウェブに取り入れることがある。ウェブ工程ラインで利用される例示的なロールには、鋳造ホイール、プルロール、ニップロール、微細複製ロール、ウェブ清掃用部品、及びアイドラローラなどが挙げられる。本願に記載する技術によれば、自動検査システムは、製造工場6内に設置されたものであっても、遠隔式であっても、ウェブ内のこれらの繰り返し異常を特定し、その繰り返し異常を誘発した発生源ロールを識別する。これにより、作業者は、システムの異常を発生させる要素をつきとめ、その問題のある要素を修理又は交換することが可能となる。
以下に更に詳細に記載するように、ウェブ検査システムは、ウェブ内における異常(又は欠陥に分類された異常)の位置を識別し、これらの位置を、ウェブの製造中に受信したロール同期信号と相関させることができる。例えば、製造工場6の所与のウェブ製造プロセスに関して対象となる各ロールは、同期マークを備えてもよい。ウェブの製造中、ウェブ検査システムは、それぞれのロールが1回転を完了したことを示唆するロール同期信号を、ロールのそれぞれから受信する。ウェブ検査システムは、これらの同期マークの発生を記録する。ウェブ検査システムは次いで、異常又は欠陥について位置データとの相関を取るために、ロール同期信号のそれぞれの発生点を検査システムの空間領域に変換する。
本願に記載する技術は、複数の利点をもたらし得る。例えば、それらの技術は、従来のシステムと比べて、相当な精度の改善を達成し得る。例えば、それらの技術を使用して、25μm未満で異なるロール寸法を容易に区別することができる。これにより、直径が同様である一群のロールから、問題のあるロールを識別することが可能となる。更に、それらの技術により、多数の不規則的な欠陥の中からでさえ、ウェブ上の繰り返し異常又は欠陥を検出することが可能となる。加えて、それらの技術により、システムが、ロールの欠陥を生じる領域のクロスウェブ方向及び外周方向の位置を正確に測定し、更には、同じロール上又は同じクロスウェブ方向の位置にある複数の繰り返し欠陥同士を区別することも可能となる。
更に、場合によっては、異常がウェブの表側に発生するかウェブの裏側に発生するかにかかわらず、異常は従来の検査システムでは同様に見えることがしばしばある。しかしながら、例えば、ウェブの一方の側、例えば裏にある異常は、後のプロセスにおけるコーティングによって修復され得るが、表側にある異常は、最終的な製造作業の後も依然として視認可能となるため、ウェブのどちらの側に欠陥が発生しているかを知ることが、多くの場合に望まれる。したがって、特定の繰り返し異常に関して、原因となるロールを判定することにより、検査システムは、各ローラが配置されている側(即ち表又は裏)を指定するデータを記憶し、自動化された方式で、各繰り返し異常を個々のローラと相関させることによって、ウェブのどちらの側に異常があるのかを判定することができる。ユーザに表示及び指示し、データをデータベースに記憶し、あるいはデータを他の電子システム又は装置に通信することによって、異常を発生させているローラの側を示すデータが出力されることができる。
本願に記載する検査システムは更に、ウェブの裏側にある繰り返し異常については作業者に警告することなく自動的に無視し、一方で、表側にある欠陥については直ちに警告するように設定されてもよい。あるいは、ウェブの裏にあるそのような異常は、低度の警告又は注意レベルにあるものとして指定されてもよい。したがって、本願に記載する技術の別の潜在的利点は、重要度が様々である異常を効率的に検出及び報告することであり得る。
図2は、図1の例示的なウェブ製造工場6A内にある、ウェブ工程ラインの一部分の中に配置された検査システムの例示的な実施形態を示す構成図である。この例示的な実施形態では、ウェブ20の一区間が、2つの支持ロール22、24の間に配置されている。画像収集装置26A〜26N(画像収集装置26)は、連続的に移動ウェブ20に近接して配置されている。画像取得装置26は、連続して移動するウェブ20の一連の各部分を走査して画像データを採取する。取得コンピュータ27は、画像取得装置26から画像データを収集し、この画像データを予備解析のための解析28に送信する。
画像取得装置26は、移動ウェブ20の連続的な部分を読取ることができ、並びにデジタルデータストリームの形態で出力を提供することができる従来の画像デバイスであり得る。図2に示されているように、撮像装置26は、デジタルデータストリームを直接提供するカメラ又は追加のアナログ−デジタルコンバータを有するアナログカメラであってよい。例えばレーザースキャナなどの他のセンサが、画像収集装置として利用されてもよい。ウェブの連続的な部分は、データが単一のラインの連続によって得られているということを示す。単一のラインは、センサ要素又は画素の一列に位置する、連続して移動ウェブの領域を含む。画像を収集するのに好適な装置の例には、Dalsa(Waterloo,Ontario,Canada)のPiranha Models、又はAtmel(San Jose,Calif)のModel Aviiva SC2 CLなどのラインスキャンカメラが挙げられる。更なる例には、Surface Inspection Systems GmbH(Munich,Germany)からの、アナログ−デジタルコンバータと連結したレーザースキャナが挙げられる。
画像は所望により、画像の入手を支援する光学的組立体の利用により取得することができる。この組立体は、カメラの一部であるか、又はカメラから分離されているかのいずれかであってよい。光学的組立体は、撮像プロセス中に反射光、透過光又は半透過光(transflected light)を利用する。反射光は、例えば、表面のかき傷などウェブ表面の変形によって生じた欠陥の検出に、しばしば好適である。
いくつかの実施形態では、基準マーク制御器30が基準マークリーダ29を制御して、ロール及び位置の情報をウェブ20から集める。例えば、基準マーク制御器30は、バーコード又は他のしるしをウェブ20から読み取るための1つ以上の写真光学センサを有していてもよい。加えて、基準マーク制御器30は、ウェブ20及び/又はローラ22、24と係合した1つ以上の高精度エンコーダから位置信号を受信してもよい。この位置信号に基づいて、基準マーク制御器30は、検出された各基準マークに対する位置情報を判定する。基準マーク制御器30は、ロール及び位置情報を解析用コンピュータ28に通信し、取得したウェブの画像データと関連する位置情報を使用して、どの異常が繰り返し異常であり、どれが不規則的な異常であるかを判定し、この判定に基づいて適切なレシピを適用することができる。解析用コンピュータ28は、問題のある要素を識別するために、任意の繰り返し異常の位置を、ウェブの製造中に受信したロール同期信号と更に相関させることができる。ウェブ上の特定の位置を識別するための基準マークの適用及び使用に関する技術は、本願の譲受人に譲渡された2004年4月19日出願の、同時係属中の特許出願第10/826,995号「Apparatus and Method for the Automated Marking on Webs of Material」(Floederら)に記載されており、その全ての内容は参照によって本明細書に組み込まれる。基準マーク並びに基準マーク制御器30及びリーダ29に関して議論するが、基準マークは、本願に記載する技術のために全ての実施形態においては必要ではないこともある。他の実施形態では、本願に記載する技法から逸脱することなく、ウェブ上の異常の箇所及び他の情報を判定するために、他の手段が使用され得る。
解析用コンピュータ28は、取得コンピュータ27から得た画像ストリームを処理する。解析用コンピュータ28は、1つ以上の初期アルゴリズムでデジタル情報を処理して局所的な異常情報を生成するが、この異常情報は、ウェブ20のうちの、最終的に欠陥と見なされ得る異常を含んだ領域を識別するものである。識別された各異常について、解析用コンピュータ28は、ウェブ20の異常、そしておそらくは周辺部分を包含する画素データを含んだ異常画像を、画像データから抽出する。解析用コンピュータ28は、必要に応じて、異常を異なる欠陥区分に分類してもよい。例えば、斑点と、かき傷と、油たれとを区別するための固有の欠陥部類があってもよい。他の部類は、欠陥の更なるタイプを区別してもよい。本明細書に記載する技術によれば、解析用コンピュータ28は、製品12のどこで異常が欠陥を発生させ得るかを更に判定することができる。
基準マーク制御器30によって生成された位置データに基づいて、解析用コンピュータ28は、工程ラインの座標系内における各異常の空間的位置を判定する。つまり、基準マーク制御器30から得た位置データに基づいて、解析用コンピュータ28は、現在の工程ラインで使用されている座標系内における、各異常のx、y軸上の位置、そしておそらくはz軸上の位置を判定する。例えば、座標系は、x次元が、ウェブ20を横断する距離を表し、y次元がウェブの長さに沿った距離を示し、z次元がウェブの高さを表すように規定されてもよく、これはコーティング、材料又はウェブに既に適用された他の層の数に基づき得る。更に、x、y、z座標系の原点は、工程ライン内のある物理的な箇所で規定されてもよく、典型的には、ウェブ20の初期供給点の配置に関連付けられる。
いずれの場合も、解析用コンピュータ28はデータベース32に、工程ラインの座標系に対する各異常の空間的位置を記録し、この情報は本明細書においては局所的異常情報と呼ばれる。つまり、解析用コンピュータ28は、ウェブ20のロール情報及び各異常の位置情報を含めて、ウェブ20の局所的異常情報をデータベース32に記憶する。解析用コンピュータ28はまた、各異常ごとに、製品12のうちの、その異常によって欠陥が発生し得る製品を記録してもよい。データベース32は、1つ以上のデータベースサーバーを実行するデータストレージファイル又は1つ以上のデータベース管理システム(DBMS)を含む、数多くの様々な形態のいずれかで実行されることができる。データベース管理システムは、例えば、リレーショナル(RDBMS)、階層的(HDBMS)、多次元(MDBMS)、オブジェクト指向(ODBMS若しくはOODBMS)又はオブジェクトリレーショナル(ORDBMS)データベース管理システムであり得る。一例として、データベース32は、SQL Server(商標)によってMicrosoft Corporationから提供されているリレーショナルデータベースとして実行される。
処理が終了すると、解析用コンピュータ28は、データベース32に収集されたデータを、ネットワーク9を介して加工制御システム4に送信する。具体的に言えば、解析用コンピュータ28は、後のオフラインでの詳細な解析のために、ロール情報、並びに局所的異常情報及び対応する副画像を加工制御システム4に通信する。例えば、この情報は、データベース32と加工制御システム4との間のデータベース同期によって通信され得る。いくつかの実施形態において、製品12のうちの、各異常によって欠陥が発生し得る製品を、解析用コンピュータ28ではなく加工制御システム4が判定してもよい。完成したウェブロール10についてのデータがデータベース32に収集されると、そのデータは、除去可能な若しくは水性のマークで直接ウェブの表面上にて、あるいは、ウェブ上の異常をマークする前又はその間にウェブに貼り付けられ得るカバーシート上にて、ウェブロール上の異常をマークするために使用されることができる。
図3は、例示的なウェブ製造工場、例えば図1のウェブ製造工場6Aにおける例示的なウェブ工程ライン40の更なる詳細を示す構成図である。つまり、図3は、様々なロールを有する典型的なウェブ工程ラインを示している。例えば、簡潔にするために、図2はアイドラローラ46A〜46Nのみを示しているが、工程ライン40は、アイドラ、プルロール、レングスオリエンタ、コーティングロールなどを含めて、多数のタイプのローラを有していてもよい。場合により、ウェブ工程ラインは、ウェブ40の横断経路全体に沿って100以上ものロールを有していてもよい。製造システム40は、図2の検査システムと同じ製造ラインの一部であってもよく、あるいは、製造システム40は、図2の検査システムとは異なる製造ラインの一部であってもよい。
製造システム40は、典型的には製造部品48A〜48M(製造部品48)を通じて基材をリードローラ41から引いて、ウェブローラ42の上に収集されるウェブ44を生産することによって、ウェブ44を生産する。したがって、ウェブ44はウェブ製造部品48を横断することができ、ウェブ製造部品48は様々な方式でウェブ44を製造することができる。例えば、製造部品48のうちの1つ、例えば製造部品48Aが、ウェブ44にコーティングを施してもよい。
アイドラローラ46A〜46N(アイドラローラ46)は、ウェブ44がウェブ製造システム40を横断するとき、ウェブ44を支持する。つまり、ウェブ44は、製造部品48による製造処理を受ける間、アイドラローラ46に載置されることができる。アイドラローラ46はウェブ44を適切に位置付けるために必要となり得るが、アイドラローラ46は、ウェブ44に異常又は欠陥を付与することがある。例えば、アイドラローラ46のうちの1つ以上のアイドラローラが、ウェブ44の裏側にかき傷を与えることがある。アイドラローラ46に関して議論するが、アイドラローラ46に加えて、あるいはアイドラローラ46に代わって、鋳造ホイール、プルロール、ニップロール、微細複製ロール、又はウェブ清掃用部品などの他の種類のロールが、ウェブ製造システム40に存在してもよい。したがって、本明細書で説明する技術は、アイドラローラと共に使用することに限定されるものではなく、ウェブ工程ライン内の、対象となる任意のロールに適用されることができる。アイドラローラの使用は単に、説明の目的で例示するものである。
本明細書に記載する技術は、ウェブ内における異常又は欠陥の位置を識別し、それらの位置をロール同期信号と相関させる。例えば、ウェブ製造プロセス40に関して対象となる各ロールは、それぞれの同期マーク47A〜47Nを備えることができる。更に、それぞれの同期マークを検知するために、同期マークリーダ50A〜50N(同期マークリーダ50)が、対象となるロールのそれぞれ(この例ではアイドラローラ46のそれぞれ)に関連付けられている。同期マークリーダ50のそれぞれは、アイドラローラ46のうちの対応する1つが完全に1回転したことを検出することができ、次いでトリガパルスの形態でロール同期信号を放ち、そのロール同期信号を遠隔同期ユニット54が検出する。つまり、同期マークリーダ50のそれぞれは、ローラ46のうちの対応する1つが完全に1回転すると短パルスを出力することができ、各短パルスの前縁は、その1回転が検出されたことを示すことができる。一実施形態において、同期マークリーダ50のそれぞれは、写真光学センサであってよい。例えば、リーダ50は、Banner EngineeringのD10シリーズのセンサであってよい。一般に、リーダ50は、対応する同期マーク47を、そのマークが回転してリーダを通過したときに検出する。この例示的な実施形態において、同期マーク47は、再帰反射性材料又はロールの機械加工された部分などの物標であってよい。ローラ46のうちの対応する1つのローラの基準点同期マーク47を検出すると、リーダ50の1つが同期マーク信号を出力する。したがって、リーダ50のそれぞれは、ローラ46のうちの対応する1つが回転するたびに、離散信号を出力する。
ロール同期信号を、ウェブ工程ライン40に関連付けられた座標系の空間領域に変換するのを支援するために、回転エンコーダが、工程ラインに沿って1つ以上のロールに取り付けられる。この例では、回転エンコーダ52はウェブローラ41に取り付けられている。他の実施形態では、あるエンコーダが、エンコーダ52に代わって、あるいはエンコーダ52に加えて、ローラ46のうちの1つ以上のローラと共に使用されてもよい。エンコーダ52は、一実施形態において、正弦波エンコーダに基づく位置センサであってよい。他の実施形態では、他のタイプの位置センサ又はエンコーダが利用されてもよい。一般に、エンコーダ52は、ウェブローラ41の物理的移動に直接同期された電気パルスを出力する。例えば、エンコーダ52は、ウェブローラ41が回転するたびに、一連のパルスを放つことができる。一実施形態において、例えば、エンコーダ52は、1回転当たり4百万個のパルスを放ち、それにより位置精度を高度なものにすることができる。
遠隔同期ユニット54は、エンコーダ52から位置パルスを、そして同期マークリーダ50からロール同期信号を受信し、アイドラローラ46のそれぞれと整列するウェブ44の様々な区間を識別する論理マップを作成する。例えば、ローラのそれぞれに対し、遠隔同期ユニット54は、ウェブの空間領域を、それぞれがそれぞれのローラの周囲と同じ程度の長さである一連の区間に分割する。アイドラローラ46Aに対応する各ウェブ区間は、例えば、18.85インチ(47.88cm)、即ち6.00インチ(15.24cm)*πである。アイドラローラ46Bに対応する各ウェブ区間は、18.91インチ(48.03cm)であり、アイドラローラ46Cに対応するウェブ区間は、18.79インチ(47.73cm)である。このように、遠隔同期ユニット54は、空間領域内におけるウェブ区間を対象となるローラのそれぞれに対して決定するために、エンコーダ52から得た位置データ、並びに同期マークリーダ50から得たロール同期信号を使用して、ロール同期信号をプロセス40の座標系の空間領域に変換する。結果として、遠隔同期ユニット54は、ウェブ区間を判定し、繰り返される欠陥を最終的に検出するために、ローラ46のそれぞれの正確な直径に関するデータを事前に必要としない。
場合により、対象となるロールの一部又は全部が、ほぼ同じ直径を有してもよい。例えば、アイドラローラ46の部分集合又は全部が、ほぼ同じ直径である6インチ(15.24cm)を有してもよい。しかしながら、アイドラローラ46のこの部分集合は通常、製造上の変動性が原因で、厳密に同じ直径を有することはない。例えば、アイドラローラ46Aの直径は6.01インチ(15.27cm)であり得、アイドラローラ46Bの直径は6.02インチ(15.29cm)であり得、アイドラローラ46Cの直径は5.98インチ(15.19cm)であり得る。説明する技術は、所与のローラに対して、繰り返される欠陥とそれに対応するロール同期信号との間の相対的なオフセットの変動を算出することによって得られる平均値を導入する。これにより、実質的に同等の寸法のローラを有するがローラ自体に製造上の変動性を有する製造ラインにおいても繰り返し欠陥の検出が可能となる高精度がもたらされる。
異常をアイドラローラ46のうちの1つに関連付けるために、検査システムはまず、ウェブ44に関するデータを集める。エンコーダ52から得たパルス、及び遠隔同期ユニット54によって収集され相関付けられた、同期マークリーダ50から得たロール同期信号を使用して、検査システムは、ローラのそれぞれに対して、識別されたウェブ区間の異常データを解析する。検査システムは、これらのウェブ区間の多数の事例にわたってデータの結果を平均化することができる。例えば、一実施形態において、検査システムは、所与のローラに対して、ウェブ区間データの100個の事例を収集することができる。検査システムは次いで、このデータを解析して、繰り返し異常と不規則的な異常とを区別することを試みる。所与のローラに対して、解析したウェブ区間の事例のうちの大多数で、あるいは、異常が生じるそれらの事例において、同じ位置の比較的近くで異常が生じている場合、検査システムは、その異常が、例えばアイドラローラ46のうちの1つによって発生された、繰り返し異常であると判定することができる。例えば、アイドラローラ46Aがウェブ44に異常を発生させる場合、その異常はおそらく繰り返され、この繰り返し異常の事例は、ローラ46Aの直径を6.00インチ(15.24cm)とすれば、約18.85インチ(47.88cm)間隔で生じるはずである。
いくつかの構成において、アイドラローラ46によってウェブ44に付与される異常のうちの少なくとも一部は、ウェブ44をシートに加工する準備ができる頃には修復、即ち修正され得る。換言すれば、アイドラローラ46はウェブ44に異常を付与し得るが、その異常は、ウェブ44を加工する準備ができる前に他の製造プロセスを通じて修正され得るため、その異常が欠陥を発生させないこともある。例えば、アイドラローラ46によってウェブ44に付与される異常は、ウェブ44の裏側にある。ウェブ44の表に生じる異常は、ウェブ44にて修復又は修正されることができない。つまり、ウェブ44の表側の表面に生じる異常は、そのような異常を含んだウェブ区間又は個々のシートが製品12のうちの1つに加工される場合、製品12に欠陥を発生させ得る。本明細書に記載する技術によれば、検査システムは、異常がウェブ44の表側に生じたのか裏側に生じたのかを判定することが可能であり得る。更に、検査システムは、表側に生じる異常の発生源を追跡して、アイドラローラ46のうちの特定の1つ、例えばアイドラローラ46Aが原因であるとつきとめることが可能であり得る。したがって、製造システム40の作業者は、アイドラローラ46Aのうちの異常を発生させた部分をつきとめ、アイドラローラ46Aを修理することができる。
図4は、遠隔同期ユニット54の例示的な実施形態をより詳細に示す構成図である。図3に示すように、遠隔同期ユニット54は、エンコーダ52及び同期マークリーダ50に電気的に結合されており、それらから信号を受信することができる。
一般に、例示的な遠隔同期ユニット54は、各ロール同期信号(図4に「1周(Once Around)」信号A、B〜Nとして示す)の発生点が受信されたことを検知し、その信号を、エンコーダ52から得た位置データに対する空間領域に変換する。更に、同期ユニット54は、同期信号のうちの、それぞれのローラの1回転に対応する位置を識別する位置データを出力する。
この例示的な実施形態において、遠隔同期ユニット54は、カウンタ56A〜56N(「カウンタ56」)とレジスタ58A〜58N(「レジスタ58」)とを有している。同期マークリーダ50のそれぞれは、カウンタ56のうちの1つに関連付けられており、カウンタ56はレジスタ58のうちの1つに関連付けられている。エンコーダ52から得られるパルス信号は、大域的増分駆動カウンタ(global increment driving counters)56として使用される。つまり、エンコーダ52がウェブの移動を検出すると、エンコーダ52は、カウンタ56のそれぞれを同時に増分するために使用される一連のパルスを送信する。図4の例示的な実施形態において、ローラ46Aは、ローラの外縁の周りに一連の穴を有することができ、それらの穴を通じて光が照らされることができる。タイムエンコーダ52が、それらの穴のうちの1つを通る光を検出するたびに、エンコーダ52はカウンタ56のそれぞれに信号を送信することができる。次に、カウンタ56は、エンコーダ信号のパルス列を同時に受信し、それと並行して、それらの対応するカウンタを増分することができる。
ローラのそれぞれから得られたロール同期信号は、ローラの対応するカウンタ内の値を記録するためのトリガとして使用される。具体的に言えば、ローラ46のいずれかが完全に1回転する間に、そのローラの対応する同期マーク47は、それに関連付けられた同期マークリーダ50を通過する。例えば、ローラ46Aが回転するたびに、同期マークリーダ50Aは同期マーク47Aを検出する。マーク47Aを検出すると、同期マークリーダ50Aは、短パルスの形態でロール同期信号を遠隔同期ユニット54に出力する。このパルスに応答して、遠隔同期ユニット54は、対応するカウンタ、この場合はカウンタ56Aの現在の値を、対応するデータレジスタ、つまりレジスタ58Aにラッチする。
制御器60は、レジスタ58のそれぞれを高速でポーリングするか、あるいは割り込み駆動されて最新のカウンタデータを取り出す。したがって、コンピュータ60のポーリング周期は、ローラ46の回転よりも高速である。レジスタ58のうちの1つ、例えばレジスタ58Aにポーリングした直後、カウンタデータが以前のポーリングと同じものである場合、制御器60は、現在のカウンタデータを無視してもよい。しかしながら、カウンタデータが変化している場合、制御器60はそのカウンタデータを取り出し、このカウンタデータをローラ番号と共に解析用コンピュータ59に送信することができる(図5)。つまり、あるデータレジスタ58の変化を検出すると、同期ユニット54の制御器60は、現在のエンコーダパルスカウントの形態でロール位置データを出力する。ある異常が、ローラ46のうちの1つによって発生された繰り返し異常であるか否かを判断するため、並びに、ローラ46のうちのどのローラが、この繰り返し異常を発生させているかを判定するために、解析用コンピュータ59は、図5及び6に関連して説明されるように、ローラのそれぞれに対してこのロール位置データを検査データと調和させる。解析用コンピュータ59はデータをディスプレイに出力して、ローラ46のうちのどのローラが、繰り返し異常の各組みを発生させたかを示すことができる。例えば、解析用コンピュータ59は、ウェブの一部分の図形表示、並びに、繰り返し異常及びその繰り返し異常を発生させたと識別されたローラの表示を出力することができる。加えて、解析用コンピュータ59は、繰り返し異常を、その繰り返し異常を発生させたと識別されたローラに関連付けるデータベース(例えばデータベース32)に、データを出力し記憶することができる。
図5はシステム61を示す構成図であり、このシステム61において、解析用コンピュータ59は、1つ以上の遠隔同期ユニット(例えば図3及び4の遠隔同期ユニット54)から得たロール位置データを検査データと組み合わせて、対象となるローラのうちのいずれか(例えばローラ46のいずれか)が、繰り返し異常を発生させているか否か、またその場合にどのローラがその繰り返し異常を発生させているかを判定する。解析用コンピュータ59は、一例として図2の解析用コンピュータ28、取得コンピュータ27、及び画像収集装置26に関して示すように、1つ以上のウェブ検査部品に結合されてもよい。異常の有無についてウェブを検査するための検査システムの使用法が、本願の譲受人に譲渡された2007年7月26日出願の同時係属出願第11/828,369号「Multi−Unit Process Spatial Synchronization」(Floederら)、及び本願の譲受人に譲渡された2004年4月19日出願の第10/826,995号「Apparatus and Method for the Automated Marking of Defects on Webs of Material」(Floederら)に、より詳細に記載されており、これらの全ての内容が参照によって明細書に組み込まれる。
一実施形態において、解析用コンピュータ59は、サーバクラスのコンピュータであってもよい。他の実施形態において、解析用コンピュータ59は、検査及び位置情報の処理に必要な大量のデータの取り扱いが可能な分散計算システム又は他の計算システムであってよい。
上述のように、遠隔同期ユニット54の制御器60は、ローラ46のうちの1つが1回転したことを検出すると、ロール位置データを送信するが、そのロール位置データは、ローラ識別子(即ちトリガ番号)及び記録された現在のエンコーダ位置の形態であり得、そのエンコーダ位置は、ローラが所与の回転を完了することに相当するダウンウェブ位置(DW位置)を表すものである。いくつかの実施形態において、エンコーダ52は、ロール及び検出された異常を、ウェブ区間の空間領域において相関付けるようにするために、遠隔同期ユニット54及び検査システムの双方に位置パルスを送信してもよい。他の実施形態において、2つの別個のエンコーダが使用されて、解析用コンピュータ59で調整される位置基準情報が供給されてもよい。更に他の実施形態では、基準マークなど、ダウンウェブ方向の距離を追跡する別の手段が検査システムで用いられてもよい。基準マークをウェブで使用するための技術が、本願の譲受人に譲渡された2007年7月26日出願の同時継続中の特許出願第11/828,376号「Fiducial Marking for Multi-Unit Process Spatial Synchronization」(Floederら)において議論されており、その全ての内容が参照によって明細書に組み込まれる。
いずれの場合も、解析用コンピュータ59は、遠隔同期ユニット54から得たロール位置データを、検査システムで判定されたウェブ上の異常の位置データと相関させる。ビデオ又は他の画像データが、検査センサから取得コンピュータ62A〜62M(「取得コンピュータ62」)に送られてもよい。これらのコンピュータは、ウェブ上の様々な種類の異常、例えば、かき傷、斑点、油たれ、しみ、又は他の種類の異常を検出するために、検査データを収集及び処理することが可能なソフトウェア及び/又はハードウェアを代表するものである。例えば、収集コンピュータ62は、解析用コンピュータ59又は図2の解析用コンピュータ29上で実行されるソフトウェアモジュールであってもよい。あるいは、収集コンピュータ62は、解析用コンピュータとは別の独立したユニットであってもよい。いずれの場合も、取得コンピュータ62のうちの1つが異常を検出したとき、例えば取得コンピュータ62Aが異常を検出したとき、センサ62Aは、異常の種類、異常のクロスウェブ位置、及び異常のダウンウェブ位置を指定する異常データを出力する。
解析用コンピュータ59は、その異常データ及びロール位置データを処理して、同じローラに関し、複数のウェブ区間内において任意の異常が実質的に同じクロスウェブ位置で、かつ実質的に同じダウンウェブ方向にオフセットして繰り返し生じているか否かを判断する。例えば、ローラ46のうちの1つが、繰り返し異常を発生させている場合、その繰り返し異常は、実質的に同じクロスウェブ位置で生じ、対応するローラの外周、即ちその繰り返し異常を発生させているローラの外周の間隔を置いて繰り返すことになる。このように、解析用コンピュータ59は、繰り返し異常が生じていると判定することができる。更に、繰り返し異常のダウンウェブ位置を、種々のローラのウェブ区間のダウンウェブ位置と相関させて、解析用コンピュータ59は、ローラ46のうちのどのローラが、繰り返し異常のそれぞれを発生させているかを識別することが可能である。
図6は、異常データ63とそれに対応するロール位置データ65との例示的なセットを示す構成図である。解析用コンピュータ59による処理の前は、全ての異常は同じに見える、つまり、不規則的及び繰り返し異常は、視覚的に区別できない。しかしながら、解析後は、解析用コンピュータ59は、不規則的な異常74を、繰り返し異常64、66、70、及び72と区別し、信号76を用いて、繰り返し異常を、異常を発生させているローラと相関させることができる。
エンコーダ52及び同期マークリーダ50は一連のパルスを生成し、これらのパルスは、ウェブ67のダウンウェブ長さに沿った、時間の経過に伴うローラ46のそれぞれの位置を図式的に描くものである。エンコーダ52から得られるエンコーダパルス及び同期マークリーダ50から得られる同期パルスが、それぞれ信号76及びグラフ78A〜78N(「グラフ78」)として表されている。このデータ、つまりロール位置データに基づき、解析用コンピュータ59は、同期マークリーダ50のうちの1つから得られる同期パルス同士の間に生じる、エンコーダ52から得られたエンコーダパルスの数を判定する。図6の例において、ローラ46Aは1回転あたり11個のエンコーダパルスを有しており、ローラ46Cは1回転あたり19個のエンコーダパルスを有しており、ローラ46B及び46Dはいずれも1回転あたり9個のエンコーダパルスを有している。
解析用コンピュータ59は、異常64A〜64D(「異常64」)が、同様のクロスウェブ位置で生じ、かつそれらのダウンウェブ位置情報に基づき、製造されたウェブに関連付けられた座標系内で定期的な間隔で生じる繰り返し異常であることを判定する。解析用コンピュータは更に、異常64のうちの1つが、ローラ46Cからの各同期パルスの後に1つのエンコーダパルスを生じていると判定する。つまり、この例において、異常のダウンウェブ位置は、ローラ46Cの新たなウェブ区間の始点から一定にオフセットしている。したがって、解析用コンピュータ59は、繰り返し異常64がローラ46Cによるものであると判定する。作業者は次いで、繰り返し異常64のクロスウェブ位置にてローラ46Cを検査し、ローラ46Cを修理するかあるいは交換することができる。
同様に、一組の異常66A〜66D(「異常66」)は全て、同じクロスウェブ位置で生じている。しかしながら、発生すると予想されたが見失われている異常68A及び68Bが存在する。問題のあるローラが異常を発生させなかったか、あるいは、検査システムが位置68Aと68Bの一方又は両方にて異常の検出に失敗した可能性がある。しかしながら、いずれの場合も、解析用コンピュータ59は依然として、繰り返し異常の有無を判定することができる。これは、見失われる異常68A及び68Bがあろうとも、ローラの新たなウェブ区間の大多数が、同じクロスウェブ位置に、かつ同期パルスから実質的に同じ距離に、即ち、そのローラの新たなウェブ区間の始点に異常を含む場合、解析用コンピュータ59は、繰り返し異常の有無を判定するからである。この場合、繰り返し異常66のそれぞれは、信号78Aの同期パルスの過半数の後に、7個のエンコーダパルスを生じる。したがって、解析用コンピュータ59は、ローラ46Aが、繰り返し異常を発生させていると判定することができる。
本明細書で説明する技術は、繰り返し異常70A〜70G(「繰り返し異常70」)及び繰り返し異常72A〜72G(「繰り返し異常72」)を検出するために、また繰り返し異常70を繰り返し異常72と区別するためにも使用されてよい。繰り返し異常70及び繰り返し異常72はそれぞれ、同じクロスウェブ位置にて生じている。繰り返し異常70はそれぞれ、グラフ78Bの同期パルスからエンコーダパルス1つ後に、またグラフ78Dの同期パルスからエンコーダパルス4つ後に生じている。繰り返し異常72はそれぞれ、グラフ78Bの同期パルスからエンコーダパルス7つ後に、またグラフ78Dの同期パルスからエンコーダパルス1つ後に生じている。ローラ46B又は46Dのいずれかが、これらの繰り返される欠陥のいずれかを発生させた可能性があることは明らかであるが、ローラ46B及び46Dの直径は検出可能な程度でおそらくは異なるため、解析用コンピュータ59は依然として、繰り返される欠陥70及び72のどちらが、ローラ46B及び46Dによって発生されたのかを判断することができる。見やすさと読みやすさのために、少数のエンコーダパルスが図6の例に示されている。しかしながら、多くの実施形態において、はるかに多数のエンコーダパルスが同期パルスの間で用いられる。例えば、一実施形態において、4百万個ものエンコーダパルスが、同期パルスの間に生じることがある。この解像度により、時間の経過に伴う極めて小さな位置の差を検出することも可能である。したがって、公称で同じ直径を有する2つの別々のローラが、2セットの繰り返される欠陥を同じクロスウェブ位置に発生させている場合、2つのローラのうちの一方の同期パルスを基準とすると、一方のセットの異常は静止しているように見え、もう一方のセットはスライドしているように見える。このことが図7及び8に概念的に示されている。
図7は、不規則な繰り返し異常が複数回発生する例示的なウェブ80を示す構成図である。ウェブ80は、例えばウェブ44に対応し得る。この例において、ウェブ80は、3つのアイドラローラ、例えばアイドラローラ46A、46B、及び46Cを横断したものであり得る。アイドラローラ46A、46B、及び46Cは、同じ公称直径6インチ(15.24cm)を有してもよいが、実際の直径は、それぞれのローラでわずかに異なり得る。アイドラローラ46に対応する同期マークが使用されて、所与のローラに対するウェブ区間が論理的に判定される。図7の例において、破線は、ウェブ区間82A〜82D(ウェブ区間82)の間の境界を示すために用いられており、つまり、破線は、ローラ46のうちの1つに対して同期マークリーダ50のうちの1つから得られる同期パルスを表している。各破線は、一定距離102の後に生じ、この一定距離102は、アイドラローラ46の各外周のうちの1つ、即ち同期パルス間の距離に対応している。この場合、例えば、距離102は18.85インチ(47.88cm)となり得る。
この区間化により、例えば、アイドラローラ46Aがウェブ44上の異常のうちのいずれかを発生させているか否かを判定することが可能となる。ウェブ区間82Aは、異常84A、86A、88A、90、及び92を含む。ウェブ区間82Bは、異常84B、86B、88B、及び94を含む。ウェブ区間82Cは、異常84C、86C、88C、96、及び98を含む。ウェブ区間82Dは、異常84D、86D、88D、及び80を含む。これらの異常のうちのいずれかが、アイドラローラ46Aによって発生された繰り返し異常であるか否かを判定するために、解析用コンピュータは、各異常と、各同期パルス、即ち各破線で表される各ウェブ区間の始点との間の距離を判定する。簡潔にする目的で、4つのウェブ区間82のみ図7に示されているが、更に多数の区間が解析に用いられてもよい。例えば、一実施形態において、解析用コンピュータは100個のウェブ区間を解析した後に、繰り返し異常に関する判定を行う。
解析用コンピュータは、ローラのそれぞれに対してこの解析を繰り返す。つまり、解析用コンピュータは、各同期パルスごとにウェブを同様の方式で区間分けして、繰り返し異常の特定の発生源を識別することを可能にする。
図8は、単一のローラに関して区間分けされた、図7のデータから形成された例示的な合成マップ110を示す構成図である。つまり、合成マップ110は、全体的なダウンウェブ長102(この例では18.85インチ(47.88cm))を有しており、ウェブ区間のそれぞれは重ね合わされている。結果として、合成マップ110は、ウェブ80のウェブ区間82のそれぞれから生じた異常を含んでおり、これらの異常は、その特定のローラに対する同期パルスによって規定されるウェブ区間の始点に空間的に位置合わせされている。
合成マップ110において、異常84、86、及び88はそれぞれ、繰り返し異常であるように見える。しかしながら、合成マップ110は、繰り返し異常84が、種々のウェブ区間の間にダウンウェブ方向に移動することを示している。つまり、異常84及び88は、繰り返し異常であるが、アイドラローラ46Aの外周の間隔で繰り返されるものではない。解析用コンピュータ59は、このことを、この特定のローラに対する同期パルスから異常84及び88のそれぞれまでの距離が、異常84及び88のそれぞれの事例についての閾値の差を超えたと判定することによって判断することができる。
対照的に、合成マップ110に示すように、異常86は、アイドラローラ46Aの外周の間隔と実質的に同じ間隔で離間しているため、異常86は、繰り返し異常であり、そのデータが区間分けされたローラによって発生されたものである。つまり、異常86のそれぞれの事例に関し、同期パルスと異常86の事例との間の距離は、許容距離内にある。この許容距離は、例えば、エンコーダの位置解像度に応じて±2パルスとなり得る。したがって、検査システムは、異常86がアイドラローラ46Aによって発生された繰り返し異常であると判定することができる。例えば、異常86は、アイドラローラ46A上の粗い箇所が原因の、ウェブ80の裏側のかき傷であり得る。この判定を用いて、作業者は、この位置にてローラ46Aを修理して、アイドラローラ46Aが更なる異常を発生させるのを防止しようと試みることができる。
いくつかの実施形態では、ウェブ80が最終的に製品に加工されたときに、これらの異常が実際に欠陥を発生させる可能性は非常に低いので、検査システムは、後のウェブ区間で同様の位置に生じる異常を無視するように再プログラムされてもよい。つまり、アイドラ又はウェブの裏側に位置することがわかっている他のローラによって発生される異常のほぼ全てが、ウェブ80の製造中のある時点で修復されることができる。
しかしながら、ウェブ80の不規則的な異常90、92、94、96、98、及び80は、おそらくはウェブ80の表側で発生したものであり、異常90、92、94、96、98、及び80は、おそらくはウェブ80の残りの製造中に矯正されることがない。したがって、検査システムは、図2のデータベース32などのデータベースに、あるいはウェブの表面に、これらの異常の位置をマーキングしてもよく、またシステムは、ウェブ80が製品に加工されると、これらの異常が欠陥を発生させる可能性があることを指摘してもよい。
図9は、繰り返し異常を発生させているローラを識別するための例示的な方法を示すフローチャートである。この方法について、解析用コンピュータ59に関連して議論するが、この方法は、単一のコンピュータの性能による制限を受けるものではない。まず、解析用コンピュータ59がセンサ62から異常データを受信する(120)。上で議論したように、センサ62は、ウェブ上の様々な種類の異常、例えば、かき傷、斑点、油たれ、しみ、又は他の種類の異常を検出するために、検査データを収集及び処理することが可能なソフトウェア及び/又はハードウェアを代表するものである。センサ62から出力される異常データは、図3のウェブ44などのウェブ上にある異常のクロスウェブ位置及びダウンウェブ位置の両方を含む。この異常データは更に、異常の種類の情報を含むことができ、その情報により、識別された異常が、穴、くぼみ、かき傷、変色、又は他の種類の異常など、どのような種類の異常であるかを識別することができる。
解析用コンピュータ59はまた、ローラデータを受信する(122)。ローラデータは、各ローラの識別子、並びに、各ローラの回転の完了が発生したことを特徴付けるデータを含み得る。例えば、ローラデータは、ユーザによって割り当てられ得る固有の識別子又はラベルを使用するローラ46Aを識別し得るものであり、また、同期マークリーダ50Aが同期マーク47Aを読み取ったときの、各事例ごとのトリガ番号(例えばシーケンス番号)及びダウンウェブ位置を含み得るものである。
解析用コンピュータは、異常データを処理して繰り返し異常を識別することができ、受信した異常データを受信したローラデータと相関させて、問題のある要素(124)に異常を登録することができる。まず、解析用コンピュータ59は、ローラデータを処理してウェブを一連の区間に論理的に分割するが、対象の各ローラごとに同様の方式でウェブを再度分割してもよい。つまり、対象となる各ローラごとに、一連の各区間の長さが、同期マークリーダ50のうちの対応する1つから得られた2つの連続するトリガ信号間の距離によって定められる。結果として、この分割に対する各区間の長さは、ローラ46のうちの対応するローラの外周に実質的に等しいものとなる。例えば、解析用コンピュータ59は、ローラ46Aに対し、ウェブを1組の区間に論理的に分割することができる。したがって、工程ラインの座標系を基準とした、同期マークリーダ50Aから得られた信号間のダウンウェブ距離は、ローラ46Aの外周に等しいものとなる。以下で更に詳細に述べるように、対象となる所与のロールに対するこれらの論理区間のそれぞれの異常データは、それらの区間内にある実質的に共通の位置における異常の有無を、つまり、共通のクロスウェブ位置、及び全て又は閾値の数の論理的区間の始点からの共通のダウンウェブ距離に生じる異常の有無を判定するために解析されることができる。この閾値の数は、一実施形態において、区間の過半数であり得る。いくつかの実施形態において、各区間の幅は、ウェブの幅であり得る。図10に関連して説明した実施形態などの他の実施形態において、ウェブは、各区間の幅が対応するレーンの幅で規定されるように、クロスウェブ方向に複数のレーンに再分割されてもよい。
対象となるローラのそれぞれに対するウェブの論理的分割に基づいて、解析用コンピュータ59は、それらの区間のそれぞれのおける異常の位置を識別する。このように、解析用コンピュータ59は、各ローラの各回転を基準とした各異常の位置を判定する。解析用コンピュータ59は次いで、異常データを解析して(126)、繰り返し異常の有無を判定する(128)。解析用コンピュータ59は、各ローラごとに、ローラの回転を基準とした実質的に同じ位置に異常が発生しているか否かを判定する。つまり、解析用コンピュータ59は、ローラのいずれかに対し、異常のうちのいずれかが論理的区間上の実質的に同じ位置にあるか否かを判定する。例えば、解析用コンピュータ59は、所与の分割に対し、全て又は閾値の数の区間で、16インチ(40.64cm)クロスウェブ方向に、かつ5インチ(12.7cm)ダウンウェブ方向に異常が発生していると判定することができる。
繰り返し異常の有無を判定することにより、解析用コンピュータ59は次いで、ローラ46のうちの、異常を発生させているローラを識別することができる(130)。例えば、問題の異常はローラ46Aの各回転の後に、実質的に同じクロスウェブ位置及びダウンウェブ位置で生じているため、解析用コンピュータ59は、ローラ46Aが、繰り返し異常を発生させていると判定することができる。それに応答して、解析用コンピュータ59は、異常を発生させているローラの識別子を出力することができる(132)。例えば、解析用コンピュータ59は、識別子をコンピュータ画面に出力してもよい。また、例えば、問題のあるローラの上に又はその近くに光を照明させるなど、異常を発生させているローラを識別する他の方法が使用されてもよい。別の例として、解析用コンピュータは、問題のあるローラに関連付けられた発光ダイオード(LED)を照明させてもよく、ここで、各ローラはLEDに関連付けられ、LEDは、中央で視認する位置を作業者に与えるように、基板上に配置される。加えて、解析用コンピュータ59は、異常の位置を更に出力して、問題のあるローラの修理において作業者を助けてもよい。作業者は、異常の位置を用いて、ローラ上の同期マークの位置を判定し、繰り返し異常の位置でローラを検査して、その繰り返し異常を発生させている要素が修理可能であるか否かを判定することができる。
図10は、各レーンの解析のためにレーン154A〜154K(「レーン154」)に論理的に分割された例示的なウェブ152を示す構成図である。一実施形態において、繰り返し異常の発生点が存在するか否かを判定するために、例えば、ウェブ67を表し得るウェブ152は、レーン154などのレーンに分割されることができる。図2の検査システムなどの解析システムが、レーン154のそれぞれを個別に検査することができる。繰り返し異常は、概ねクロスウェブ方向の同じ位置に発生するため、ウェブ152をレーン154に分割することにより、データ収集の効率を向上させることができる。つまり、各レーンは、他のレーンに発生する異常を考慮することなく個別に検査されることができる。
図10の例示的な実施形態において、ウェブ152はレーン154A〜154Kに分割されている。図示したレーンの数は単に例示的なものであり、レーンの数の選択は、ウェブ152の寸法、利用可能な検査装置の数、又は他の要素を受けてなされてもよい。レーン154A、154C、154E、154I、及び154Kは破線で画定されており、レーン154B、154D、154F、154H、及び154Jは一点短鎖線で画定されている。図10の例において、隣接するレーンはわずかに重なっており、そのため、レーンの中央に発生する繰り返し異常だけでなく、レーンの縁部に沿った繰り返し異常の発生点も検出されることになる。5mm程度のレーン幅が有用であると判明している。
図2の画像収集装置26などの画像収集装置が、レーン154にてウェブ152を検査することができる。1つの画像収集装置26で、レーン154のそれぞれを検査することができる。解析用コンピュータ27は、図2に関連して説明したように、対応する画像収集装置26が異常を検出したか否かを判定することができる。更に、図5の解析用コンピュータ59は、繰り返し異常がレーン154のうちのいずれかで発生しているか否かを判定することができる。一実施形態において、解析用コンピュータ59は、図11に関連して説明するアルゴリズムを使用して、レーン154のうちの1つにおける繰り返し異常の有無を判定することができる。
繰り返し異常は、レーン154Aと154Bとの間の重なり合う領域内など、レーンの重なり合いにおいても発生し得るため、そのような異常は2度検出されることがある。検査システムは、様々な要素を使用して、そのような重複する検出を調整することができる。例えば、検査システムは、繰り返し異常のクロスウェブ位置、並びに、それらの異常の各事例のダウンウェブ位置、及び事例同士の間の繰り返し距離を比較することができる。2つの繰り返し異常が、同じクロスウェブ位置で発見され、異常の事例が同じダウンウェブ位置に同じ間隔で発生する場合、システムは、それらの繰り返し異常のうちの一方を破棄して、同じ繰り返し異常に対して2つの警告を発しないようにすることができる。
図11は、繰り返し異常の有無を判定するための別の例示的なアルゴリズムを示すフローチャートである。図11の方法は、例示的な一実施形態において、図9の工程128の結果を実現するために用いられることができる。一実施形態において、図11の方法は、例えばレーン154Aなどの図10のレーン154のそれぞれから収集されたデータに、別々に適用されてもよい。
ある例示的な実施形態において、解析用コンピュータ59はまず、検出される第1の異常となり得る始点Aを判定する(160)。上で議論したように、繰り返し異常は、アイドラローラなどのウェブ生産又は製造システムの要素によって発生される異常である。したがって、本願で「Rmin」と呼ばれる一定の距離が存在し、この距離は、繰り返し異常に関して考えられる最小の繰り返し距離である。例えば、ウェブプロセスで使用される複数のアイドラローラのうちの1つ以上によって発生される繰り返し異常の場合、Rminは、対象となる最小のアイドラローラの外周である。したがって、解析用コンピュータ59は、点AとBのクロスウェブ位置が同じとなり、かつ点AとBとの間のダウンウェブ距離が少なくともRminとなるように、レーン154Aにて点Bを探索することができる(162)。
解析用コンピュータ59は次いで、点Cのクロスウェブ位置が点AとBのクロスウェブ位置と同じとなるように、かつ点BとCとの間のダウンウェブ距離が、点AとBとの間の距離のある倍数となるように、点Cがレーン154Aに存在するか否かを判定することができる(164)。繰り返し異常は、予想される全ての事例で繰り返されないこともある。繰り返し異常のうちのいくつかの事例は、図6に関連して議論するように、無視されてもよい。したがって、点Cが繰り返し異常の事例であるか否かを判定するにおいて、この例示的な実施形態は、点BとCとの間の距離が点AとBとの間の距離の倍数であるか否かを判定する。例示的な一実施形態において、その倍数は、1、1/2、1/3、2、又は3のいずれかとなり得る。つまり、所与の用途の検出能力に基づいて、熟練したユーザは、まばらに繰り返す欠陥を識別するために使用する倍数を予め規定することができる。例えば、非常に高い検出能力を有する所与のシステムでは、この倍数は1となり得るが、低い検出能力を有する第2のシステムは5の倍数を使用してもよい。第1のシステムは、所与の異常からのダウンウェブ距離を1つのみ調べるが、第2のシステムは、1、2、3、4、5の倍数並びに1/2、1/3、1/4及び1/5の倍数を調べる。計算の複雑さは、倍数の増加と共に増大することに留意されたい。実際には、3の倍数で通常は十分となり得る。
点Cが、点Bからのある距離に、つまり、例えば点AとBとの間の距離の1倍、1/2倍、1/3倍、2倍、又は3倍の距離に見出されることができない場合(166の「いいえ」の分岐)、解析用コンピュータ59は、新たな始点となる異常Aを取得し(168)、この新たな始点が繰り返し異常の一部であるか否かを判定しようと試みる。しかしながら、解析用コンピュータ59がそのような点Cを見出す場合(「166の「はい」の分岐)、解析用コンピュータ59は次いで、点CとDとの間の距離が点AとBとの間の距離の倍数となる点Dを探索することができる(170)。一実施形態において、工程164と同様に、考えられる倍数のセット、例えば1、1/2、1/3、2、及び3が使用され得る。点Dを使用して、点A、B、及びCが実際に一連の繰り返し異常の一部であることを確認することができる。
点Dが発見されない場合(「172の「いいえ」の分岐)、解析用コンピュータ59は再び、新たな始点の異常点Aを選択するプロセスを再開することができる(168)。例えば、点A、B、及びCにおける異常が、繰り返し異常の一部ではなく、点AとBとの間の距離と、点BとCとの間の距離とが単に偶然に一致した場合、点Dは発見されることができない。しかしながら、解析用コンピュータ59が点Dを発見した場合(172の「はい」の分岐)、点A、B、C、及びDは、一列の繰り返し異常をなしている可能性が極めて高い。したがって、解析用コンピュータ59は、点AとBとの間の距離、点BとCとの間の距離、及び点CとDとの間の距離のうちの最小のものとして繰り返し距離を判定することができる(174)。解析用コンピュータ59は次いで、点A、B、C、及びDのクロスウェブ位置で、点Dからの所定の繰り返し距離にて繰り返し異常を発見すると期待することができる。解析用コンピュータ59は、レーン154のそれぞれを解析して、繰り返し異常を同様に発見することができる。
繰り返し異常を判定した後、解析用コンピュータ59は、図9の方法によって、その繰り返し異常の発生源であるローラを判定することができる。例えば、解析用コンピュータ59は、繰り返し異常の1つの事例と、点A、即ち繰り返し異常のうちの最初に認識された事例との間のオフセットを算出することができる。解析用コンピュータ59は次いで、このオフセットを用いて、ローラ46のうちの解析中の1つに対応する同期マーク47のうちの1つの推定位置を予測することができる。解析用コンピュータ59は次いで、推定位置の一定の許容誤差内でその同期マークが記録されたか否かを判定することができる。同期マークが、推定位置で、あるいは推定位置の所定の許容レベル内で記録された場合、解析された同期マークに対応するローラが、問題のあるローラとなる。しかしながら、同期マークが、推定位置で、あるいは許容レベル内で記録されなかった場合、その同期マークに対応するローラは、繰り返し異常を発生させているローラではない。
解析用コンピュータ59によって適用される許容誤差は、異常を分離する期待回転数の関数となり得る。例えば、20.000cm及び20.001cmの直径を有する2つのほぼ同一のローラの場合、ローラの2つの繰り返し間隔を分離するダウンウェブ距離は約62.800cm及び62.803cmとなり、これらのダウンウェブ距離は、小さすぎて測定できない可能性がある。しかしながら、ローラの50回の期待回転数の後、ウェブ区間の端部のダウンウェブ位置は3140cm及び3140.15cmとなり、0.15cmの位置の差異がもたらされ、これは、解析用コンピュータ59によって適用される測定可能な許容誤差である。
一例として、一連の繰り返し異常の第1の位置、即ち点Aの位置は、0.4924mで記録された可能性があり、繰り返し異常のうちのn番目の事例は、79.5302mのダウンウェブ距離で発生した可能性がある。オフセットは、79.1008m(79.5302m−0.4924m)となる。ローラA(図3)の第1の同期マークは、位置0.0012mで同期マークリーダ50Aによって読み取られた可能性がある。したがって、ローラ46Aが、繰り返し異常を発生させている場合、その一連の中のn番目の異常に最も近い同期マーク47Aに関して記録された位置は、79.1020m(0.0012m+79.1008m)に比較的近いものとなるはずである。解析された異常に最も近い同期マークが実際には78.7508mで記録された場合、誤差は0.3512mとなり、この誤差は、ローラ46Aがその繰り返し異常を発生させているローラではないと判定するのに十分に有意なものである。しかしながら、ローラ46Bに関して記録された第1の同期マークは、0.0001mに存在していた可能性がある。したがって、同期マーク47Bに関して記録された位置は、79.1009m(79.1008m+0.0001m)にあると予測することができる。同期マーク47Bが実際に記録された位置が79.1018mであった場合、誤差はわずか0.0009mとなり、これは、ローラ46Bがその繰り返し異常を発生させていることを示唆するものである。
レーン154の使用に関連して議論したが、上述の方法は、レーン154を使用することに限定されるものではない。例えば、この方法は、レーン154に分割されていないウェブ152全体に適用されてもよい。別の例示的な実施形態において、単一の解析用コンピュータ59とするのではなく、各レーンごとに1台の解析用コンピュータとして複数の解析用コンピュータが使用されてもよい。例えば、図2の取得コンピュータ27は、対応するレーン154に対して図11の方法を実現するようにプログラムされてもよい。取得コンピュータ27のそれぞれは次いで、調整のために、発見した繰り返し異常を解析用コンピュータ59にアップロードすることができる。上述の方法は、コンピュータのプロセッサにこの方法の各工程を実施させるソフトウェア命令の形態で、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体にコード化されてもよい。
図12は、例示的なユーザインタフェース180を示す構成図である。ユーザインタフェース180は、様々な情報を描写するグラフィカルユーザインタフェース(「GUI」)として実装され得る。例えば、ユーザインタフェース180は、データ出力領域182を有することができる。データ出力領域182は、例えば解析用コンピュータ59を通じてシステムと対話するユーザのために、様々な生データ及び/又は要約データを表示し得る。
図12の例示的な実施形態において、データ出力領域182は、検出された繰り返し異常に関する情報を表示する「繰り返し」領域183A、並びに、検出されたロールスリップに関する情報を表示する「スリップ」領域183Bを含む。繰り返し領域183Aは、ロール識別子の列186と、優先度の列188と、処置の説明の列190と、マップの列192とを含む。ロール識別子の列186の記載内容は、その行の記載内容に対応するロールを識別するものである。例えば、ロール識別子の列186の第1の記載内容は「1」であり、「1」で識別されるロールに関する情報がその列に含まれることを示している。
優先度の列188の記載内容は、検出された繰り返し異常がどの程度、重要又は重大であるかをユーザに示している。図12の例において、優先度は、「高(high)」、「中(medium)」、又は「低(low)」で表されている。他の実施形態で、「緑(green)」、「黄(yellow)」、若しくは「赤(red)」、又は数字目盛、例えば1〜10など、異なる優先度レベル及び指標が使用され得る。
処置の説明の列190の記載内容は、ユーザが取るべき提案される処置又は必須の処置をユーザに示している。例えば、説明の列190の最初の記載内容は「ロール#3を引く(pull roll #3)」である。この表示を見たユーザは、番号「3」で識別されるローラを新たなローラに交換するべきである。更に、優先度の列188に優先度「高」が与えられると、ユーザはロール「3」を可能な限り早期に交換するべきである。
マップの列192は、ユーザがロールを選択し、マップ画面184上で合成マップを閲覧できるようにするものである。例えば、ユーザは、解析用コンピュータ59に接続されたマウスを使用して、列192内のセルのいずれかにポインタを導き、ボタンを押下して、対応するローラを選択することができる。図12の例において、ユーザはロール「4」を選択している。したがって、解析用コンピュータ59は、ロール「4」に対応する合成マップをマップウィンドウ184に表示させている。ウィンドウ184内の合成マップは、図8の合成マップ110と類似したものであってよい。解析用コンピュータ59は、データ出力領域182と同じウィンドウに、あるいは別のウィンドウとして、マップ184を表示してもよい。解析用コンピュータ59は、マップ184において、不規則的な異常198を表示し、それらを、検出された繰り返し異常200と区別することができる。例えば、一実施形態において、不規則的な異常198は、黒色などの1色で現れてもよく、一方で、繰り返し異常200は、赤色などの異なる色で現れてもよい。別の実施形態において、多数の事例にわたる特定の位置での異常の発生数により、マップ184に表示される異常の色が決定されてもよい。例えば、マップ184は、ローラ「4」に関して収集されたデータのうちの少なくとも20個の事例に対して合成マップを表示してもよい。合成マップ上の特定の箇所で1度のみ発生する異常は、黒色で表示されてもよい。合成マップ上の同じ箇所で2回〜5回発生する異常は、緑色で表示されてもよい。6回〜10回発生する異常は、黄色で表示されてもよい。11回以上発生する異常は、赤色で表示されてもよい。
スリップ領域183Bは、ウェブが製造システムを横断するときにローラがスリップしているか否かに関する情報を表示する。このスリップは、例えば、ウェブがローラと一定に接触していないときに発生し得るものである。これにより、ウェブがローラと接触しないとき、ウェブに異常又は欠陥が発生することがある。いずれの場合も、スリップ領域183Bは、ロール識別子の列194及び優先度の列196を表示する。ロール識別子の列194は、該当するローラを識別する情報を表示する。優先度の列196は、深刻度など、ロールスリップの優先度を示唆する。同様に、他の実施形態において、色分けされた優先度又は数値による優先度など、他の種類の優先度が使用されることもできる。
一実施形態において、解析用コンピュータ59は、優先度に基づいてデータ出力領域182に表示されるデータを、優先度の列188及び196の値に基づいて、最大のものから最小のものへと自動的に並び替えてもよい。一実施形態において、解析用コンピュータ59は、自動的に、つまりユーザがデータを「更新」する必要なく、ユーザインタフェースにデータを読み込む。一実施形態において、データ出力領域182は、0〜20個の入力事項を表示することができる。一実施形態において、データ出力領域182は、スクロールバー、タブ、又は大量の入力事項を表示するための他の手段を有してもよい。
図13は、加工制御システム4の例示的実施形態を更に詳細に示す構成図である。この例示的な実施形態において、アプリケーションサーバ208は、ソフトウェアモジュール211の動作環境を提供する。ソフトウェアモジュールは、複数の欠陥処理モジュール210A〜210M(用途固有の欠陥検出レシピ)と、ユーザインターフェースモジュール212と、加工制御エンジン214とを含む。
ソフトウェアモジュール211は、データ222にアクセスするためにデータベース220と情報のやりとりを行い、このデータ222は、異常データ222A、ロールデータ222B、画像データ222C、製品データ222D、加工現場データ222E、欠陥マップ222F、複合欠陥マップ222G、加工制御規則222H、及び加工計画222Iを含み得る。
データベース220は、1つ以上のデータベースサーバーを実行するデータストレージファイル又は1つ以上のデータベース管理システム(DBMS)を含む、多数の様々な形態のいずれかで実行されることができる。一例として、データベース220は、SQL Server(商標)によってMicrosoft Corporationから提供されているリレーショナルデータベースとして実行される。
異常データ222A、ロールデータ222B、及び画像データ222Cは、ウェブ製造工場6(図1)から受信したロール情報、異常情報、及びそれぞれの異常画像を表す。製品データ222Dは、製品12(図1)に関連したデータを表す。より詳細には、製品データ222Dは、各加工現場8で生産可能な各種製品12を定義する。各製品12に関して、製品データ222Dは、所与のウェブロール10が特定の製品の品質要件を満たしているかどうかを判定するために必要な、1つ以上の欠陥処理モジュール60を特定する。換言すれば、製品データ222Dは、各製品12の異常データ222A及び画像データ222Cを解析するために使用されるべき1つ以上の欠陥処理モジュール60を特定する。
更に、製品データ222Dは、加工制御システム4が加工現場8を選択しウェブロール10の加工計画を作成する際に使用することができる、製品12に関する他の情報を保存する。例えば、製品データ222Dは、製品12のそれぞれに関する単位当たりの推定収益を指定するデータを更に含んでもよい。製品データ222Dは、製品12のそれぞれに関する単位当たりの推定利益、ウェブロールを各製品に加工するための推定加工時間、製品それぞれに対する産業需要の現時点のレベルを指定するデータ、又は加工計画の選択において有用であり得るその他のデータを含んでもよい。
加工現場データ222Eは、加工現場8に関連するデータを表す。例えば、加工現場データ222Eは、現場の場所、工程ラインの数、及び加工現場8のそれぞれに関する各工程ラインの現在利用可能な能力を保存してもよい。加工現場データ222Eは、各加工現場8における各製品12の現時点の在庫レベル、各加工現場へのウェブロールの出荷に伴う出荷費用、各加工現場で利用可能な出荷に関する選択肢、各加工現場によって受信された消費者14からの現時点での注文情報を指定するデータ、各加工現場に関する新規又は好ましい消費者を指定するデータ、及び加工計画を選択するのに有用であり得るその他のデータなどが挙げられるがこれらに限定されない、その他のデータを保存してもよい。
以下に更に詳細に記載するように、加工制御エンジン214は、1つ以上の欠陥処理モジュール60を選択及び適用して、どの異常が製品12にとっての実際の欠陥であると見なされるかを指定する欠陥マップ222Fを出力する。換言すれば、各欠陥マップ72Fは、特定のウェブロール10及び特定の製品12に対応している。各欠陥マップ72Fは、対応する製品12の製品固有の要件に基づいて、特定のウェブロール10の特定の欠陥位置を指定する。場合によっては、欠陥マップ72Fは、一連の中間欠陥マップを作成する際に複数の欠陥処理モジュール60によって決定される集合欠陥を表してもよい。例えば、欠陥マップ72Fは、2つ以上の欠陥処理モジュール60によって欠陥と分類された異常の和集合を表してもよい。同様に、複数のレシピによって欠陥と分類された異常の交差、又は特定のレシピによって識別された欠陥の集合欠陥からの除去といった、その他の操作を規定することができる。
更に、特定の欠陥マップ72Fを作成する場合、加工制御エンジン214は、異なる欠陥処理モジュール60を選択して、これを繰り返しであると識別された異常、及び不規則的であると識別された異常に適用するように設定され得る。例えば、この技術は、同じウェブ内の非繰り返し又は不規則的な異常とは対照的に、異なる閾値又は基準を繰り返し異常に適用するのが有利であり得、この異なる閾値又は基準は、異なる欠陥処理モジュール60、即ち、レシピとして実行され得ることを認識する。換言すれば、ウェブ内のどの異常が所与の候補製品にとって欠陥であると見なされるかを判断する場合、加工制御エンジン214は、1つ以上の欠陥処理モジュール60の第1のセットを繰り返し異常に適用し、欠陥処理モジュール60の第2のセットを不規則的な異常に適用してもよい。これらのセットの欠陥検出レシピは、アルゴリズム及び考慮される異常特性の点で異なってもよく、又は同じ異常特性であると見なし、感度の点のみで異なってもよい。
加工制御エンジン64は、加工制御規則222Hに従って、作製された欠陥マップ222Fを解析して、ウェブロール10のそれぞれに用いられる最終的な加工を選択する。例えば、加工制御エンジン64は、特定のウェブロール10がウェブの最大歩留まり(即ち、利用率)を達成するのを可能にするのは製品12のうちのどれかを判定するために、欠陥マップ222Fを解析することができる。加工制御規則222Hは、欠陥マップ222Fを処理する際の加工制御エンジン64による検討材料として、例えば、ウェブ材料の使用、ウェブロール10のそれぞれによって製造されることになる、異なる製品12に関する単位数、ウェブロールによってもたらされることになる、候補製品12に関する収益又は利益推定額、ウェブを加工するのに必要となる、異なる製品のそれぞれに関する工程時間、加工現場10内の各工程ラインに関する現時点の機械能力、製品12のそれぞれに関する現時点の需要レベル、及びその他のパラメータなど、1つ以上のパラメータを指定する。
この処理中に、加工制御エンジン64は、多数の製品12に加工される場合に、特定のウェブロール10が最も有効に利用され得る(例えば、最大歩留まりを達成することができる)ことを判定してもよい。換言すれば、加工制御エンジン64は、第1の製品に加工される場合には、ウェブの第1の部分を最も有効に利用することができ、異なる製品に関しては第2の部分最も有効に利用することができることを判定することができる。この場合、加工制御エンジン64は、ウェブの各部分が加工される対応製品に基づいて、このウェブの各部分内の欠陥位置を指定する「複合」欠陥マップ72Gを作成する。加工制御エンジン64は、2つ以上の欠陥マップ222Fの各部分を継ぎ合わせすることによって複合欠陥マップを作って、ウェブ全体の完全な複合欠陥マップを形成することができる。
所与のウェブロール10に関して特定の製品又は一連の製品を選択すると、加工制御エンジン214は、対応する加工計画72Iを作成する。各加工計画72Iは、対応するウェブロールを処理するための正確な命令を提供する。より具体的には、各加工計画222Iは、ウェブを個々の製品シートに物理的にスライスするための処理レーンの設定を規定する。加工制御システム4は、それぞれの仕向け先である加工現場8への各ウェブロール10の出荷を命令する出荷指示を出力する。更に、加工制御システム4は、ウェブロールを選択された製品に加工するために使用される適切な加工現場8に対して、ネットワーク9を介して加工計画を通信する。
ユーザインターフェースモジュール212は、ユーザが、加工制御エンジン214によって使用されるパラメータを設定し、かつ欠陥マップ72F、72Gを見ることができるインターフェースを提供する。例えば、以下に例示されるように、ユーザインターフェースモジュール212により、ユーザは、最大ウェブ利用率、生産単位数、推定収益、推定利益、機械能力、現時点の需要レベル、及び/又は他のパラメータのうちの1つ以上を考慮するように、加工制御エンジン214に指示することが可能となる。更に、ユーザインターフェースモジュール212と情報のやりとりを行うことにより、ユーザは、欠陥マップ72Fを作成する際に1つ以上の欠陥処理モジュール60のどの組み合わせが適用されるべきか、並びにレシピによって作成された中間欠陥マップを組み合わせる際に、操作、例えば、和集合、交差、加算、減算を適用するべきであることを指定することができる。更に、ユーザインタフェース212により、作業者は、推定ウェブ利用率、生産単位数、推定収益、推定利益、機械能力、現時点の需要レベル、及び/又はレシピの指定の組み合わせに基づいて達成されるその他のパラメータを見ることが可能となる。このように、ユーザは、所望の結果を達成し消費者満足を維持するために、レシピを再設定及び調整することを選択することができる。
図14は、ユーザインターフェースモジュール212によって提供される例示的インターフェースモジュール230であり、ユーザはこれを利用して情報のやりとりを行って、加工制御エンジン214を設定する。例示のインターフェース230は、ユーザがウェブロールに関する固有の識別子を入力する入力機構232を含む。ドロップダウンメニュー、検索機能、最近製造されたロールの選択可能なリスト、又は同様のものといった、ロールを選択するためのその他の機構を使用してもよい。
更に、インターフェースモジュール230は複数の入力機構236〜244を提供し、これによりユーザは、推奨加工計画を作成する際の加工制御エンジン214による検討材料として、1つ以上の製品選択パラメータを選択することができる。この例では、インターフェースモジュール230は、選択されたウェブロールに関するウェブ利用率を最適化することを求める加工計画を選択するように加工制御エンジン214に指示する、第1の入力選択機構236を含む。入力機構238は、選択されたウェブロールから作製される部品の数を最大化するように加工制御エンジン214に指示する。同様に、入力機構240、242は、選択されたウェブロールから発生する収益及び利益をそれぞれ(respectfully)最大化するように、加工制御エンジン214に指示する。入力機構244は、選択されたウェブロールに関する工程時間を最小にする加工計画を選択するように、加工制御エンジン214に指示する。1つ以上のパラメータを選択したら、ユーザは送信ボタン248を選択し、これが、選択されたウェブロールを欠陥処理モジュール210で処理するように加工制御システムに指示した後、加工制御エンジン214により解析及び加工計画の選択が行われる。
このように、インターフェースモジュール230は、どのようにユーザが1つ以上のパラメータに基づいて加工制御エンジン214を設定することができるかの単純化した説明を提供する。インターフェースモジュール230は、入力機構236〜244のうちの1つのみを選択することをユーザに要求してもよい。特定の実施形態において、インターフェースモジュール230は、ユーザが最小ウェブ利用率を規定することができる入力機構96を含む。これは、ユーザが、利益などの一次パラメータが最大化されるのを選択するが、基準利用率を満たすことを望む場合に有利であり得る。
図15は、ユーザインターフェースモジュール212によって提供される別の例示的ユーザインタフェース300を提供する。この実施形態では、例示的インターフェース300は、ユーザが各パラメータに関する対応する重み付け関数を入力する入力機構302〜310を含む。具体的には、入力機構302により、ユーザは、各パラメータに関して0〜100の範囲の重み付け関数を入力することができ、その場合、0は、パラメータを除外することを加工制御エンジン214に指示し、100は、可能な限り最も高い重み付けを表す。
欠陥処理モジュール210は、ユーザが送信ボタン312を選択すると、選択されたウェブロールに関する異常データを解析し、続いて加工制御エンジン214により解析及び加工計画の選択が行われる。
所与のウェブロール10に関する加工計画を選択すると、加工制御エンジン214は、各候補製品12に関する欠陥マップ222Fを、非ゼロの重み付けを有するパラメータのそれぞれに関して解析することができる。図6の例では、加工制御エンジン214は、欠陥マップ222F及び製品データ222Dを解析して、ウェブ利用率、製造される部品の数、発生する利益、及び各候補製品に関する工程時間を計算する。以下に更に詳細に記載するように、加工制御エンジン214は、次に、各製品に関する各パラメータの計算結果を正規化した後、正規化された結果から重み値を計算する。最後に、加工制御エンジン214は、加工計画を重み値の関数(例えば、合計)として選択する。ウェブロール10の加工計画を選択するときに加工制御システム4が複数のパラメータを使用する他の技術を利用してもよい。
図16は、加工制御システム4による異常情報の処理をより詳細に示すフローチャートである。特に、図16は、欠陥処理モジュール210による異常データ222A及び画像データ222Cの処理を示す。
加工制御システム4は、ウェブ製造工場6にある解析用コンピュータ28によって、簡易な第1の検出アルゴリズムを用いてウェブ20から最初に抽出された、画像324、326などの画像及び異常データを受信する。
図16に示されるように、欠陥処理モジュール210は、製品12に関する最大N種の異なる要件320に対して必要に応じて「M種の」異なるアルゴリズム(図7ではA1〜Am 328で示されている)を適用する。相互参照表322を使用して、要件320と欠陥処理モジュール210との間のマッピングについて説明する。具体的には、相互参照表322は、各異常が所与の要件320に関して欠陥であるか又は誤検出であるかを判定する際に、どの欠陥処理モジュール210が使用されるかを示している。
いくつかの実施形態では、より多くのより簡易なアルゴリズムが、並行して好都合に用いられている。例えば、後続の欠陥処理モジュール210のうちの少なくとも1つが、各異常と組み合わせ閾値−画素サイズ基準との比較を含むアルゴリズムを適用すれば好都合なことが多い。光学フィルム等での実際の使用に際して、面積が大きい場合、目標と輝度値との差異がごく僅かしかない異常は受容できず、たとえ面積が極めて小さい場合でも、目標値と輝度値との差異が大きい異常は受容できない。更に、閾値−画素サイズ基準は、繰り返し異常と不規則的な異常とで異なるように調整されてもよい。例えば、一連の繰り返し異常のうちの1つであると判定された異常と対比して不規則的な異常として見なされるためには、相対的に高い組み合わせ閾値−画素サイズ基準が必要であり得る。したがって、不規則的な異常のみを考慮するレシピと比べて、繰り返し異常に関するレシピは、欠陥と見なすために必要なより低い画素サイズ−輝度閾値の組み合わせを規定してもよい。
更に、欠陥処理モジュール210が適用するアルゴリズムは、近隣平均化、近隣ランク付け、コントラスト拡張、各種の単項及び2項画像操作、ラプラシアンフィルタ等のデジタルフィルタリング、ソーベル演算子、高域通過フィルタリング及び低域通過フィルタリング、テクスチャ解析、フラクタル解析、フーリエ処理及びウェーブレット変換等の周波数処理、畳み込み、モルホロジー処理、閾値化、連結成分解析、ブロブ処理、ブロブ分類、又はこれらの組み合わせを含むがこれに限定されない、極めて複雑な画像処理及び欠陥抽出を組み込むことができる。欠陥検出の所望の精度レベルを達成するために、特定のウェブ及び欠陥種類に基づいて他のアルゴリズムを適用してもよい。
N種の製品要件320のそれぞれは、個々の欠陥処理アルゴリズム328(本明細書ではレシピとも呼ばれる)の選択された組み合わせを用いて達成されることができる。これらのアルゴリズムは、非常に簡単な閾値及び最小限のブロブ処理を用いてもよいし、あるいは空間フィルタ、モルホロジー演算、周波数フィルタ、ウェーブレット処理、又はその他の任意の公知の画像処理アルゴリズムなどのより複雑なアルゴリズムを用いてもよい。この例示的な相互参照表322において、製品要件R1は、アルゴリズムA2、A4、及びAMの組み合わせを用い、そのそれぞれを、どの異常がR1にとって実際の欠陥であるかを決定するために全ての異常画像に適用する。大多数の好都合な実施形態では、単純なOR論理が採用される、即ちA2、A4、及びAMのいずれかが当該異常を実際の欠陥として報告したならば、ウェブ20の当該部分は製品要件R1を満たさない。指定された用途に関しては、後続のアルゴリズム328の報告を製品要件320が満たされているか否かの決定に組み合わせた論理は、単純なOR論理よりも複雑であってよい。同様に、製品要件R2は、A2、A3、及びA4等を用いる。このように、R2にとっての欠陥として識別された異常は、R1にとっての欠陥と類似している場合もあるし、又は大幅に異なっている場合もある。
上述のように、個々の欠陥処理アルゴリズム328は、繰り返し異常又は不規則的な異常を解析するようにカスタマイズされてもよい。例えば、一連の欠陥処理アルゴリズム328は、繰り返し異常であると考えられる異常のみをアルゴリズムに対する入力セットとして用いて、欠陥の結果セットを生成するように設定されてもよい。同様に、別の一連の欠陥処理アルゴリズムは、不規則的であると考えられる異常のみをアルゴリズムに対する入力セットとして用いて、欠陥の結果セットを生成するように設定されてもよい。このように、欠陥検出アルゴリズムによって解析された、異常輝度、面積、長さ、幅、及びその他の特性などの基準の具体的なレベル及び閾値を、異常が繰り返し異常であるか不規則的な異常であるかに基づいて調整することができる。
相互参照表322を用いてどの異常が実際の欠陥であると見なされるかを決定した後、加工制御エンジン214は、ロールの様々な製品要件に対応した実際の欠陥位置の欠陥マップ222Fを定式化する。場合によっては、加工制御エンジン214は、欠陥マップ222Fの1つ以上の部分を継ぎ合わせることによって、1つ以上の複合欠陥マップ222Gを作成してもよい。この図示の例では、加工制御エンジン214は、第1の製品要件(MAP−R1)の欠陥マップから継ぎ合わされた第1の部分330と、第2の製品要件(MAP−R2)の欠陥マップからの第2の部分332とを有する複合マップ222Gを作成する。このように、加工制御エンジン214は、ウェブの特定部分が別の製品に加工される場合にウェブが最も有効に利用され得ることを判定することができる。これが終わった時点で、必要な記憶媒体を最小化するために、部分画像情報を破棄することが可能となることが多い。
欠陥処理モジュール210が適用する異常検出アルゴリズムの画像処理及びそれに続く適用の更なる詳細は、2003年4月24日に出願された同一出願人による同時係属中の米国特許出願第10/669,197号、名称「APPARATUS AND METHOD FOR AUTOMATED WEB INSPECTION」(代理人整理番号58695US002)に記載されており、当該出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
図17〜図24は、加工制御エンジン214が加工規則222Hを適用して、ウェブ材料の使用、生産単位数、収益、利益、工程時間、設備能力、製品需要、及びその他のパラメータなどの1つ以上のユーザ設定可能なパラメータに基づいて加工計画222Iを作成する、様々な例示的実施形態を示すフローチャートである。
図17は、加工制御エンジン214がウェブ利用率を最大化するために所与のウェブロール10の加工計画222Iを選択する1つの例示的な方法を示すフローチャートである。最初に、加工制御エンジン214は、ウェブロール10を加工できる一連の候補製品12を識別する(340)。上述のように、ウェブロールが特定の加工現場8へ出荷済み、又は現在出荷中である場合、加工制御エンジン214は当該ウェブロールが適した特定の加工現場に関連付けられた製品の1つ以上を選択する。あるいは、考慮対象のウェブロールが未だ出荷されていない場合、加工制御システム4は当該ウェブロールが適した製品12の全てを選択することができる。
加工制御エンジン214はデータベース222の製品データ222Dにアクセスして、識別された一連の好適な製品の製品要件を識別し、識別した要件に基づいて欠陥処理モジュール210の1つ以上を選択する(342)。上述のように、このとき、加工制御エンジン214は、例えば、所与のウェブロール10の異常データ222A内の、繰り返し異常に関するレシピの第1のセット及び不規則的な異常に関する異なるレシピの第2のセットといった、用途固有の欠陥検出レシピを増加(multiple)させてもよい。
次に、加工制御エンジン214は、選択された欠陥処理モジュール210を起動し、ウェブ製造工場6から受信した異常データ222A及び画像データ222Cに対応する欠陥検出アルゴリズムを適用して、製品要件のそれぞれに関する欠陥情報を定式化する。加工制御エンジン214は、欠陥処理モジュール210が識別した欠陥に基づいて欠陥マップ222Fを作成する(344)。
図17の例において、加工制御エンジン214は欠陥マップの最初の1つを選択し(346)、該マップを解析して、使用する材料の百分率、使用する実際の面積、又は何らかの他の好都合な尺度でウェブの歩留まりを計算する(348)。加工制御エンジン214は、各欠陥マップについてこの処理を繰り返す(350、352)。
加工制御エンジン214は次いで、当該ウェブロールの最大歩留まりが得られる製品を選択する(354)。加工制御エンジン214は、選択された製品に関連付けられた欠陥マップを識別し、作業者による確認のために、選択された欠陥マップに従って推奨加工計画222Iを出力する(356)。このように、加工制御エンジン214は、最大歩留まりが得られる製品を選択する際に、潜在的に消費者満足を犠牲にする可能性なしに、繰り返し欠陥及び非繰り返し欠陥に対して異なる感度を有する欠陥検出レシピを用いて作成された集合欠陥マップなどの複数の欠陥マップを処理することができる。例えば、場合によっては、消費者は最終製品における繰り返し欠陥により敏感であり得るので、繰り返し異常を欠陥として分類するためのより厳しいレシピが好ましい場合がある。この場合、繰り返し異常にのみ適用される、より厳しい用途固有の欠陥検出レシピを適用することにより、消費者満足度の改善をもたらすことができる。この処理により、作業者は、実質的に同じ消費者満足度を達成した上で、ウェブの加工歩留まりを増加させるために、異なる一連の用途固有(application)の欠陥検出レシピの感度を選択しかつ変更することが可能となる。例えば、変更されていない又は感度が中等度に増大されている繰り返し欠陥のみに適用されるレシピと組み合わされて用いられる、不規則的な(非繰り返し)異常のみに適用されるそれほど厳しくないレシピは、加工制御エンジン214によって示されるように、最終的に加工歩留まりの増加を達成できる上、普通であれば繰り返し異常と非繰り返し異常との間の差異なく達成されるような実質的に同じ消費者満足度を維持することができる。感度の差異の例としては、例えば、繰り返し及び不規則的な異常の画素サイズ、輝度、又はその他の特性における5%の相対的差異、10%の相対的差異、20%の相対的差異、及び30%の相対的差異が挙げられる。
加工制御エンジン214は更に、加工計画を適切な加工現場8に伝達し、加工現場へ特定のウェブロール10を出荷する旨の出荷指示を出力(例えば、表示又は印刷)することができる(358)。
図18は、工程制御エンジン214が、ウェブロールから製造される部品の数を最大化するために所与のウェブロール10に対する加工計画222Iを作成する例示的な方法を示すフローチャートである。上述のように、加工制御エンジン214は、ウェブロール10を加工することができる一連の候補製品12を識別し、欠陥検知アルゴリズムを適用するために欠陥処理モジュール210の1つ以上を選択的に起動し、該ウェブロールの欠陥マップ222Fを作成する(360〜364)。
図18の例示的な方法において、加工制御エンジン214は、欠陥マップの最初の1つを選択し(366)、このマップを解析して、それぞれの製品向けに製造可能な部品の総数を計算する(368)。加工制御エンジン214は、各欠陥マップについてこの処理を繰り返す(370、372)。
加工制御エンジン214は次いで、最大数の部品がウェブロールにより製造される製品を選択する(374)。例えば、欠陥の特定の位置に基づいて、より小さい寸法の製品(例えば、携帯電話ディスプレイ用のフィルム)と比べると、より大きな寸法の製品(例えば、コンピュータ画面用のフィルム)に実現できる部品は殆どない可能性がある。
加工制御エンジン214は、選択された製品に基づいて加工計画222Iを作成し、この加工計画を適切な加工現場8に伝達し、この加工現場へ特定のウェブロール10を出荷する旨の出荷指示を出力(例えば、表示又は印刷)する(376〜378)。
図19は、加工制御エンジン214が、ウェブロールから得られる総単位販売数量を最大化するために、所与のウェブロール10に対する加工計画222Iを作成する例示的な方法を示すフローチャートである。上述のように、加工制御エンジン214は、ウェブロール10を加工することができる一連の候補製品12を識別し、欠陥検知アルゴリズムを適用するために欠陥処理モジュール210の1つ以上を選択的に起動し、該ウェブロールの欠陥マップ222Fを作成する(380〜384)。
次に、加工制御エンジン214は、欠陥マップの最初の1つを選択し(386)、このマップを解析して、それぞれの製品向けに製造可能な部品の総数を計算する(387)。次いで、加工制御エンジン214は製品データ222Dにアクセスして、特定の製品の単位当たりの推定販売価格を検索する。推定販売価格に基づいて、加工制御エンジン214は、ウェブロールが製品に加工されればウェブロールから得られるであろう総推定売り上げを(例えば、ドルで)計算する(38)。加工制御エンジン214は、各欠陥マップについてこの処理を繰り返す(390、392)。
加工制御エンジン214は次いで、ウェブロールに関して最大の販売実績、即ち収益が得られる製品を選択する(394)。例えば、特定の部品は、市場要因により他の部品に比べてより高いプレミアム価格が付く場合がある。この例示的実施形態では、加工制御エンジン214は、ウェブロールの最大利用率は達成しないにもかかわらず、他の好適な製品よりも高い販売額が得られると予想される製品を選択することができる。
加工制御エンジン214は、選択された製品に基づいて加工計画222Iを作成し、この加工計画を適切な加工現場8に伝達し、この加工現場へ特定のウェブロール10を出荷する旨の出荷指示を出力(例えば、表示又は印刷)する(396〜398)。
図20は、加工制御エンジン214が、ウェブロールから得られる総利益を最大化するために、所与のウェブロール10の加工計画222Iを作成する例示的な方法を示すフローチャートである。上述のように、加工制御エンジン214は、ウェブロール10を加工することができる一連の候補製品12を識別し、欠陥検知アルゴリズムを適用するために欠陥処理モジュール210の1つ以上を選択的に起動し、該ウェブロールの欠陥マップ222Fを作成する(400〜404)。
加工制御エンジン214は次いで、欠陥マップの最初の1つを選択し(276)、このマップを解析して、それぞれの製品向けに製造可能な部品の総数を計算する(407)。次に、加工制御エンジン214は製品データ222Dにアクセスして、特定の製品の単位当たりの推定販売価格及び推定コストを検索する。推定した推定販売価格及びコストに基づいて、加工制御エンジン214は、ウェブロールが製品に加工された場合にウェブロールから得られる推定総利益を計算する(408)。加工制御エンジン214は、各欠陥マップについてこの処理を繰り返す(410、412)。
加工制御エンジン214は次いで、ウェブロールに対して最大利益をもたらす製品を選択する(414)。加工制御エンジン214は、選択された製品に基づいて加工計画222Iを作成し、この加工計画を適切な加工現場8に伝達し、この加工現場へ特定のウェブロール10を出荷する旨の出荷指示を出力(例えば、表示又は印刷)する(416〜418)。
図21は、加工制御エンジン214が工程時間を最小化しながら、要求される最小限の歩留まりを達成するために、所与のウェブロール10の加工計画222Iを作成する例示的な方法を示すフローチャートである。上述のように、加工制御エンジン214は、ウェブロール10を加工することができる一連の候補製品12を識別し、欠陥検知アルゴリズムを適用するために欠陥処理モジュール210の1つ以上を選択的に起動し、該ウェブロールの欠陥マップ222Fを作成する(420〜424)。
次に、加工制御エンジン214は、欠陥マップの最初の一つを選択し(306)、このマップを解析してそれぞれの製品に対して生み出されるであろう歩留まりを、使用する材料の百分率、使用する実際の面積、又はその他の好都合な尺度のいずれかで計算する(428)。加工制御エンジン214は、各欠陥マップについてこの処理を繰り返す(430、432)。
加工制御エンジン214は次いで、推定された歩留まりに従い製品をランク付けし(434)、所定の最小歩留まりを達成する製品だけを含む製品の部分集合を選択する(436)。次に、加工制御エンジン214は、製品データ222Dで指定された工程時間に従い製品の部分集合をランク付けする(438)。加工制御エンジン214は次いで、推定された工程時間が最短である製品の部分集合から製品を選択する(440)。加工制御エンジン214は、選択された製品に基づいて加工計画222Iを作成し、この加工計画を適切な加工現場8に伝達し、この加工現場へ特定のウェブロール10を出荷する旨の出荷指示を出力(例えば、表示又は印刷)する(442〜444)。このように、加工制御エンジン214は、ウェブロール10の加工計画222Iを規定して、加工現場8におけるウェブの加工時間を最小化(即ち、スループットを最大化)すると同時に、許容できる歩留まりレベルを達成する。
図22は、加工制御エンジン214が、加工現場8における工程ラインの利用率を最大化した上で、ウェブロールに要求された最小歩留まりを達成するために、所与のウェブロール10の加工計画222Iを作成する例示的な方法を示すフローチャートである。上述のように、加工制御エンジン214は、ウェブロール10を加工することができる一連の候補製品12を識別し、欠陥検知アルゴリズムを適用するために欠陥処理モジュール210の1つ以上を選択的に起動し、該ウェブロールの欠陥マップ222Fを作成する(460〜464)。
次に、加工制御エンジン214は、欠陥マップの最初の一つを選択し(346)、このマップを解析してそれぞれの製品に対して生み出されるであろう歩留まりを、使用する材料の百分率、使用する実際の面積、又はその他の好都合な尺度のいずれかで計算する(468)。加工制御エンジン214は、各欠陥マップについてこの処理を繰り返す(470、472)。
加工制御エンジン214は次いで、推定された歩留まりに従い製品をランク付けして(474)、所定の最小歩留まりを達成する製品だけを含む製品の部分集合を選択する(476)。次に、加工制御エンジン214は、加工現場データ222Eにアクセスして、製品の部分集合の加工に適した加工現場8の一連の工程ラインを決定する。加工制御エンジン214は、現在未使用の能力に従い、識別された工程ラインをランク付けする(478)。加工制御エンジン214は次いで、未使用の能力(360)が最大である工程ラインに対応する製品の部分集合から製品を選択する(480)。加工制御エンジン214は、選択された製品に基づいて加工計画222Iを作成し、この加工計画を適切な加工現場8に伝達し、この加工現場へ特定のウェブロール10を出荷する旨の出荷指示を出力(例えば、表示又は印刷)する(482〜484)。このように、加工制御エンジン214は、ウェブロール10の加工計画222Iを規定して、加工現場8の工程ラインの利用率を最大化しながら、許容できる歩留まりレベルを達成する。
図23は、加工制御エンジン214が複合欠陥マップに基づいて所与のウェブロール10の加工計画222Iを作成して、ウェブロールを2つ以上の製品に加工してウェブロールの利用率を最大化する、例示的な方法を示すフローチャートである。上述のように、加工制御エンジン214は、ウェブロール10を加工することができる一連の候補製品12を識別し、欠陥検知アルゴリズムを適用するために欠陥処理モジュール210の1つ以上を選択的に起動し、該ウェブロールの欠陥マップ222Fを作成する(500〜504)。
次に、加工制御エンジン214は、欠陥マップを解析して、歩留まりに基づいてマップ上の領域を規定する(506)。例えば、図7に示すように、加工制御エンジン214は、解析に基づいて、欠陥マップ群の1つにおいて第一の製品の歩留まりが比較的高くなる第1の領域と、異なる製品マップにおいて第2の製品の歩留まりが高くなる第2の非重複領域とを規定することができる。
加工制御エンジン214は、推定された歩留まりに基づいて非重複領域をランク付けかつ選択し(510)、非重複領域を継ぎ合わせることによって複合欠陥マップを形成することにより複合欠陥マップ222Gを作成する(512)。このように、加工制御エンジン214は、ウェブの特定部分が異なる製品に加工される場合に、ウェブが最も有効に利用されるものと判定することができる。
加工制御エンジン214は、複合欠陥マップに基づいて加工計画222Iを作成し、この加工計画を適切な加工現場8に伝達し、該加工現場に特定のウェブロール10を出荷する旨の出荷指示を出力(例えば、表示又は印刷)する(514〜516)。このように、加工制御エンジン214は、ウェブロールの利用率を最大化するために、ウェブロールを2つ以上の製品に加工する、ウェブロール10の加工計画222Iを規定する。
図24は、加工制御エンジン214が、複数の設定可能なパラメータの重み付き平均に基づいて、所与のウェブロール10の加工計画222Iを作成する例示的な方法を示すフローチャートである。加工制御エンジン214は、ウェブロール10を加工することができる一連の候補製品12を識別し、欠陥検知アルゴリズムを適用するために欠陥処理モジュール210の1つ以上を選択的に起動し、該ウェブロールの欠陥マップ222Fを作成する(520〜524)。
次に、加工制御エンジン214は、上述の技術の任意のものを採用して、ウェブ利用率、部品の歩留まり、利益、販売額、工程能力、工程時間、又は製品それぞれのその他のパラメータなどの指定されたパラメータを計算する(526)。加工制御エンジン214は次いで、パラメータのそれぞれを共通の範囲、例えば0〜100に正規化する(528)。
加工制御エンジン214は次いで、図6に示すように、ユーザ設定可能な重み付けに従ってパラメータのそれぞれを調整し(530)、各製品の重み付き総平均を計算する(532)。加工制御エンジン214は、パラメータの最大重み付き平均に対応する製品を選択し(534)、対応する欠陥マップに基づいて、選択された製品の加工計画222Iを作成する(536)。
加工制御エンジン214は、この加工計画を適切な加工現場8に伝達し、加工現場に特定のウェブロール10を出荷する旨の出荷指示を出力(例えば、表示又は印刷)する(538)。このように、加工制御エンジン214は、保存されている画像異常情報に基づいてウェブロールを製品に加工するための加工計画222Iを規定する際に、複数のパラメータを考慮することができる。
図25は、加工現場8Aの一実施形態を示す構成図である。この例示的実施形態では、加工現場8Aは、加工のために装填及び準備完了しているウェブロール10Aを含んでいる。
加工サーバ608は、加工制御システム4から加工マップを受信し、この加工マップをデータベース606に保存する。ロール10Aからバーコードが読み込まれ、加工サーバ608に特定のウェブ603を通知することにより、加工サーバはデータベース606にアクセスし対応する加工マップを検索することができる。バーコードは、ウェブ603が作動状態にあるときには入力装置600により、又は装填前には携帯バーコード装置により読み込まれ得る。
加工サーバ608が加工計画を表示することにより、作業者は加工装置604を設定することができる。具体的には、加工装置604は、加工計画に従ってウェブ603を多数の個別シート(即ち、製品12A)に物理的に切断するように設定される。
ウェブ603がマーキング動作中にシステムを通過する際に、入力装置500が基準マークを読み、関連付けられたバーコードが定期的に検知される。バーコードと基準マークとの組み合わせにより、加工計画において識別された欠陥にウェブ603の物理的な位置を正確に位置合わせすることが可能になる。規則的な再位置合わせは、進行中の位置合わせの精度を保証する。当業者であれば、従来の物理的な座標変換技術による再位置合わせを確立することができる。ウェブ603が加工マップに位置合わせされたら、特定の欠陥の実際の位置がわかる。
欠陥がウェブマーカー602の下を通過する際に、欠陥を視覚的に識別するためにウェブ603にマークが施される。具体的には、加工サーバ608はウェブマーカー602に対し一連の命令を出力し、ウェブマーカーは次いでウェブ603に位置特定マークを施す。本発明の多くの用途において、ウェブマーカー602は、それぞれの加工計画に従って、ウェブ603内の欠陥の上に、又はそれに隣接して、位置特定マークを配置する。しかし、いくつかの特定用途では、位置特定マークは、それらが位置を識別する異常から所定の仕方で間隔を置いて配置される。ウェブマーカー602は、例えば、それぞれが一連のジェットノズルを有する一連のインクジェットモジュールを含んでいてよい。
マークの種類、及び欠陥の上又はその近くにあるマークの正確な位置は、ウェブ材料、欠陥分類、欠陥への対処に必要なウェブ処理、及びウェブの意図された最終使用用途に基づいて選択され得る。配列されたインクマーカーの場合、欠陥が装置をダウンウェブ方向に通過する際に、マーカーはそれらのクロスウェブ位置に応じて選択的に噴射される。この方法により、生産速度が150フィート/分を超える高速ウェブに対して、1mm未満のマーク付け精度が規則的に達成された。しかしながら、1000メートル/分を超える、より高速のウェブも本発明の能力の範囲内にある。
加工サーバ608は、加工計画に従って任意の時点でウェブ603の加工を一時停止することにより、加工装置604の再設定を可能にする。例えば、一様なウェブ603を異なる製品に加工する場合、加工サーバ608は、第1の製品が生産された後で加工プロセスを停止して、後続の製品のために加工装置604を再設定できるようにする。切断装置及びその他の機構の位置決めを、例えば、第2の製品を生産するために必要に応じて再設定することができる。
図26は、例えば、最大歩留まり又はその他の設定可能なパラメータを達成するために加工計画に従ってウェブを処理する際の、加工現場8Aなどの加工現場の例示的な動作を示すフローチャートである。
最初に、加工サーバ608は、加工制御システム4からロール情報及び加工計画を受信し保存する(620)。これは、ウェブロールを受け取る前に起こっても後に起こってもよい。例えば、加工サーバ608は、実際のウェブロールが加工現場に到着する数週間前に、特定のウェブロールのロール情報及び加工計画を受信することができる。あるいは、加工サーバ608は、既に加工現場における在庫に保存されたウェブロールのロール情報及び加工計画を受信することができる。
次に、加工サーバ608は、加工されるべき特定のウェブロールのバーコード情報を受信することにより、加工サーバ608がデータベース606にアクセスし対応する加工マップを検索する(622)。上記の通り、バーコードは、装填の前に(例えば、携帯バーコード装置により)読み込まれてもよいし、加工のためにウェブ603が装填され準備完了になった後で入力装置600により読み込まれてもよい。
加工サーバ608は加工計画を表示し、それによって作業者は、加工計画に従ってウェブ603を多数の個別シート(即ち、製品12A)に物理的に切断するように加工装置604を設定することができる(526)。あるいは、加工装置604は、加工計画に従って自動化様式又は半自動化様式に設定されてもよい。
加工装置604が設定されると、ウェブ603は作動状態に設定され、入力装置500は基準マーク及び関連付けられたバーコードを読み込み(528)、欠陥のある製品の視覚的認識を支援するために、ウェブマーカー602を用いてウェブ603に視覚的にマーク付けすることができる(630)。加工装置604は受信したウェブ603を加工して、製品12Aを形成する(632)。
加工計画の任意の時点で、加工サーバ608は、計画により再設定が求められていることを判断することができる(634)。その場合、加工サーバ608は、加工装置604の再設定を指示する(636)。この処理は、加工計画に従ってウェブ603の全てが1つ以上の製品12Aに加工されるまで続く(638)。
図27は、例示のウェブロールの一部分に関する実際の異常データに第1のレシピを適用することによって作成された例示的な欠陥マップ700を示す。この例では、第1のレシピは、全ての異常、即ち、繰り返し異常及び非繰り返し異常の両方を考慮するように設定されている。更に、第1のレシピは、異常を欠陥と分類するときに第1の感度レベルを適用するように設定されている。図27に示されるように、欠陥マップは、第1の重要度レベルに基づいて欠陥であると判定された不規則的な異常及び繰り返し異常の両方の発生を含んでいる。
図28は、例示のウェブロールの一部分に関する同じ異常データに第2のレシピを適用することによって作成された第2の例示的な欠陥マップ800を示す。この例では、第2のレシピは、全ての異常、即ち、繰り返し異常及び非繰り返し異常の両方を考慮するように設定されているが、第1のレシピによって適用された感度レベルよりも高い第2の感度レベルを適用するように設定されている。図28に示されるように、欠陥マップ800は、第2の重要度レベルに基づいて欠陥であると判定された不規則的な異常及び繰り返し異常の両方の発生の増加を含む。したがって、ウェブ利用率のかなりの損失を犠牲にして消費者満足度の増加を潜在的に達成するために、特定の状況では、第1のレシピの代わりに第2のレシピを用いてもよい。
図29は、例示のウェブロールの一部分に関する同じ異常データに設定された第3のレシピを適用することによって作成された第3の欠陥マップ850を示す。この例では、第3の第1のレシピ(即ち、感度のより低いレシピ)は、非繰り返し、即ち、不規則的であると判定された異常のみを欠陥と考慮するように設定されている。更に、第2のレシピ(即ち、感度のより高いレシピ)は、繰り返し異常であると判定された異常のみを欠陥と考慮するように設定されている。図27、図28に鑑みて図29から分かるように、欠陥マップ850は、感度のより低い第1のレシピの均一な適用(図27の欠陥マップ700)と比べて増加した数の欠陥を含んでいるが、感度のより高いレシピの均一な適用(図28の欠陥マップ800)と比べて減少した数の欠陥を含んでいる。したがって、消費者満足に実質的に影響を与えることなく増加したウェブ利用率を潜在的に達成するために、特定の状況では、より感度の高い第2のレシピの均一な適用の代わりに、第3のレシピ(即ち、改善された組み合わせ)を用いてもよい。
以下の表1は、例示のウェブロールの全長に対してレシピを適用した際の実際のデータを示している。この場合、第3のレシピ(即ち、不規則的な異常に適用される第1のレシピと、繰り返し異常に適用される第2のレシピとの改善された組み合わせ)で欠陥であると見なされる異常の数は、第2のレシピの均一な適用によるものよりも大幅に少ない。つまり、この試みでは、第3のレシピは、より感度の低い第1のレシピよりも765個多いが、より感度の高い第2のレシピよりも1501個少ない欠陥を検出する。このように、消費者満足に対する影響が大きい傾向がある繰り返し異常に関して、より感度の高い第2のレシピの効果を認識することができる一方で、感度の低い第1のレシピよりおよそ3分の1だけ追加の欠陥負荷を受け入れる。この場合、ウェブが小さな携帯端末用のディスプレイ製品に加工される場合には、0.27%の歩留まり増加となり、より大きなサイズのノート型パソコン用のディスプレイ製品に加工される場合には、6.02%の歩留まり増加となる。
図30は、作業者が、不規則的な異常に適用するための第1のレシピ902、及び繰り返し異常に適用するための第2のレシピ904を規定する、例示的なユーザインタフェース900を示し、第2のレシピは、所与の異常に関して画像データを解析する際、複数の異なる画像処理作業906を適用する。このように、第2のレシピ904は、上述のように、異常を欠陥と分類することに関してより慎重に扱うべき、つまり「厳密」であり得る。この例では、ユーザは、繰り返し距離が500mm超でありかつ連鎖長が10以上の事例である繰り返し欠陥のみを検出するように、第2のレシピ904を設定してある。これに加えて、作業者は、和集合操作908を用いてレシピ902、904の結果を組み合わせる第3のレシピを事実上規定している。
本発明の様々な実施形態について説明してきた。これら及び他の実施形態は、以下の「特許請求の範囲」の範囲内である。
〔態様1〕
デジタル情報を提供するために、ウェブの連続的な部分を撮像することと、
異常を含む前記ウェブ上の領域を識別するために、少なくとも1つの初期アルゴリズムにより前記デジタル情報を処理することと、
前記ウェブ上の前記異常の部分を識別することと、
前記ウェブ上の前記部分に基づいて、一連の前記異常を繰り返し異常であると識別し、残りの前記異常を不規則的な異常であると識別することと、
前記繰り返し異常のどれが製品にとっての実際の欠陥を表しているかを判定するために、前記繰り返し異常の前記デジタル情報を第1の欠陥検出アルゴリズムにより解析することと、
前記不規則的な異常のどれが前記製品にとっての実際の欠陥を表しているかを判定するために、前記不規則的な異常の前記デジタル情報を第2の欠陥検出アルゴリズムにより解析することと、
前記製品にとっての判定された実際の欠陥に基づいて、前記ウェブを前記製品に加工することと、
を含む方法。
〔態様2〕
前記第1の欠陥検出アルゴリズムが、前記不規則的な異常に適用される前記第2の検出アルゴリズムよりも高い感度を前記繰り返し異常に適用するように構成される、態様1に記載の方法。
〔態様3〕
前記識別された領域のそれぞれに関する前記デジタル情報の一部を抽出することと、
前記ウェブの前記実際の欠陥を判定するために、前記デジタル情報の前記抽出された部分を前記第1の欠陥検出アルゴリズム及び前記第2の欠陥検出アルゴリズムで解析することと、
を更に含む、態様1に記載の方法。
〔態様4〕
解析の前に前記デジタル情報の前記抽出された部分を保存又はバッファリングすることを更に含む、態様3に記載の方法。
〔態様5〕
前記保存又はバッファリングされた部分が、前記ウェブ全体で撮像が行われた後に解析される、態様4に記載の方法。
〔態様6〕
前記初期アルゴリズムが、前記デジタル情報を閾値化しブロブリストを形成することを含む、態様1に記載の方法。
〔態様7〕
前記第1の欠陥検出アルゴリズム及び前記第2の欠陥検出アルゴリズムが、それぞれ、近隣平均化、近隣ランク付け、コントラスト拡張、様々な単項及び2項画像操作、デジタルフィルタリング、テクスチャ解析、フラクタル解析、周波数処理、畳み込み、モルホロジー処理、閾値化、連結成分解析、ブロブ処理又はブロブ分類のうちの1つ以上を含む、態様1に記載の方法。
〔態様8〕
前記第1の欠陥検出アルゴリズム及び前記第2の欠陥検出アルゴリズムが、それぞれ、複数の画像処理作業を含み、前記各アルゴリズムの複数の工程が、各異常と組み合わせ閾値−画素サイズ基準とを少なくとも比較することを含む、態様1に記載の方法。
〔態様9〕
前記第1の欠陥検出アルゴリズムの前記組み合わせ閾値−画素サイズ基準が、前記第2の欠陥検出アルゴリズムの前記閾値−画素基準によって規定される画素サイズよりも小さい画素サイズを規定する、態様8に記載の方法。
〔態様10〕
前記第1の欠陥検出アルゴリズムの前記組み合わせ閾値−画素サイズ基準が、前記第2の欠陥検出アルゴリズムの前記閾値−画素基準によって規定される画素サイズよりも大きい画素サイズを規定する、態様8に記載の方法。
〔態様11〕
前記閾値−画素サイズ基準のうちのいずれか1つが満たされると、異常が実際の欠陥であると識別される、態様8に記載の方法。
〔態様12〕
ウェブ製造システムの複数のセンサからロール同期信号を受信することを更に含み、前記センサのそれぞれが、前記ウェブ製造システムの別々のローラに対応しており、前記ロール同期信号のそれぞれが、前記ウェブの製造中に前記対応するローラが1回転を完了したことを示す、態様1に記載の方法。
〔態様13〕
前記ウェブのダウンウェブ距離を示す位置信号を出力する前記ローラのうちの少なくとも1つにあるエンコーダと、
デジタル情報を提供するために、ウェブの連続的な部分を撮像する撮像装置と、
前記ウェブ上の異常を含む領域を識別するために、前記デジタル情報を初期アルゴリズムで処理する解析用コンピュータであって、ここで、該解析用コンピュータは、前記位置信号に基づいて前記ウェブ上の前記異常の位置を判定するために前記異常データを処理し、かつ一連の前記異常を繰り返し異常であると識別する、解析用コンピュータと、
前記繰り返し異常のどれが製品にとっての実際の欠陥を表しているかを判定するために、前記繰り返し異常の前記デジタル情報を第1の欠陥検出アルゴリズムで処理し、かつ、前記不規則的な異常のどれが前記製品にとっての実際の欠陥を表しているかを判定するために、前記不規則的な異常の前記デジタル情報を第2の欠陥検出アルゴリズムにより解析する加工制御システムと、
を含むシステム。
〔態様14〕
製造中に前記ウェブと接触している複数のローラであって、前記ローラの2つ以上はそれぞれ、対応するローラが1回転を完了したことを示すための同期マークを含む、複数のローラと、
前記複数のローラの前記同期マークを読み取りロール同期信号を出力する複数の同期マークリーダであって、前記ロール同期信号のそれぞれは、前記ウェブの製造中に前記対応するローラが1回転を完了したことを示す、複数の同期マークリーダと、
前記エンコーダから前記位置信号を、また前記同期マークリーダから前記複数のロール同期信号を受信する同期ユニットであって、前記同期ユニットは、前記ロール同期信号のそれぞれの発生点を、ウェブ工程ラインに関連付けられた座標系内のダウンウェブ位置に変換する、同期ユニットと、
を更に含み、
前記解析用コンピュータが、前記繰り返し異常の位置を前記ロール同期信号の前記ダウンウェブ位置と相関させることによって、前記繰り返し異常を発生させた前記ローラの表示を出力する、態様13に記載のシステム。
〔態様15〕
前記第1の欠陥検出アルゴリズムが、前記不規則的な異常に適用される前記第2の検出アルゴリズムよりも高い感度を前記繰り返し異常に適用するように構成される、態様13に記載のシステム。
〔態様16〕
前記解析用コンピュータが、前記識別された領域のそれぞれに関する前記デジタル情報の一部を抽出し、かつ、前記ウェブの前記実際の欠陥を判定するために、前記デジタル情報の前記抽出された部分を、前記第1の欠陥検出アルゴリズム及び前記第2の欠陥検出アルゴリズムで解析する、態様13に記載のシステム。
〔態様17〕
解析の前に前記デジタル情報の前記抽出された部分を保存又はバッファリングすることを更に含む、態様13に記載のシステム。
〔態様18〕
前記保存又はバッファリングされた部分が、前記ウェブ全体で撮像が行われた後に解析される、態様13に記載のシステム。
〔態様19〕
前記初期アルゴリズムが、前記デジタル情報を閾値化しブロブリストを形成することを含む、態様13に記載のシステム。
〔態様20〕
前記第1の欠陥検出アルゴリズム及び前記第2の欠陥検出アルゴリズムが、それぞれ、近隣平均化、近隣ランク付け、コントラスト拡張、様々な単項及び2項画像操作、デジタルフィルタリング、テクスチャ解析、フラクタル解析、周波数処理、畳み込み、モルホロジー処理、閾値化、連結成分解析、ブロブ処理又はブロブ分類のうちの1つ以上を含む、態様13に記載のシステム。
〔態様21〕
前記第1の欠陥検出アルゴリズム及び前記第2の欠陥検出アルゴリズムが、それぞれ、複数の画像処理作業を含み、前記各アルゴリズムの複数の工程が、各異常と組み合わせ閾値−画素サイズ基準とを少なくとも比較することを含む、態様13に記載のシステム。
〔態様22〕
前記第1の欠陥検出アルゴリズムの前記組み合わせ閾値−画素サイズ基準が、前記第2の欠陥検出アルゴリズムの前記閾値−画素基準によって規定される画素サイズよりも小さい画素サイズを規定する、態様21に記載のシステム。
〔態様23〕
前記第1の欠陥検出アルゴリズムの前記組み合わせ閾値−画素サイズ基準が、前記第2の欠陥検出アルゴリズムの前記閾値−画素基準によって規定される画素サイズよりも大きい画素サイズを規定する、態様13に記載のシステム。
〔態様24〕
前記閾値−画素サイズ基準のうちのいずれか1つが満たされると、異常が実際の欠陥であると識別される、態様13に記載のシステム。
〔態様25〕
プログラマブルプロセッサに、
ウェブ上の異常の位置を識別するデジタルデータをウェブ検査システムから受信させ、
前記異常を含む前記ウェブ上の領域を識別するために、前記デジタル情報を少なくとも1つの初期アルゴリズムで処理させ、
前記ウェブ上の前記位置に基づいて、一連の前記異常を繰り返し異常であると識別し、残りの前記異常を不規則的な異常であると識別させ、
前記繰り返し異常のどれが製品にとっての実際の欠陥を表しているかを判定するために、前記繰り返し異常の前記デジタル情報を第1の欠陥検出アルゴリズムにより解析させ、
前記不規則的な異常のどれが前記製品にとっての実際の欠陥を表しているかを判定するために、前記不規則的な異常の前記デジタル情報を第2の欠陥検出アルゴリズムにより解析させ、
前記ウェブの製品への加工を制御するために、前記実際の欠陥の前記位置を指定する欠陥マップを出力させる、
ための命令を含む、コンピュータ読み取り可能な媒体。