JP5963667B2 - 気体圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、気体圧縮機に関し、詳細にはベーンロータリ型の気体圧縮機の改良に関する。
例えば、自動車などの車両には、車室内の温度調整を行うための空調装置が設けられている。このような空調装置は、冷媒(冷却媒体)を循環させるようにしたループ状の冷媒サイクルを有しており、この冷媒サイクルは、蒸発器、圧縮機、凝縮器、膨張弁が順に設けられている。
前記空調装置の圧縮機(コンプレッサ)は、蒸発器で蒸発されたガス状の冷媒(冷媒ガス)を圧縮して高圧の冷媒ガスとし、凝縮器へ送出するものである。
このような圧縮機として、従来より、略楕円状の内周面を有するシリンダ内に、先端部がシリンダの内周面に摺接し、突出収納自在に設けた複数枚の板状のベーンを有するロータが回転自在に軸支されたベーンロータリ型の圧縮機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このベーンロータリ型の圧縮機は、ロータの回転にともない回転するベーンのシリンダ内周面との摺接によって容積が変化する圧縮室を有し、この圧縮室の容積の増大にともない吸入口を介して冷媒ガスを吸入し、圧縮室の容積の減少にともない吸入した冷媒ガスを圧縮して、高圧の冷媒ガスを吐出口を通して吐出室に吐出する。そして、吐出室から高圧の冷媒ガスを凝縮器側へ送出する。
なお、前記ベーンは、ロータの内側から表面に露出するスリット状のベーン溝に摺動自在に配置されている。そして、このベーンは、ベーン背圧空間等を通してベーン溝内の底部に供給される油による背圧(ベーン背圧)及び回転するロータの遠心力によって先端側がロータ表面から突出し、ベーンの先端がシリンダ内周面に当接した状態を維持する。
特開2009−228520号公報
ところで、特許文献1のようなベーンロータリ型の気体圧縮機は、ロータの回転による遠心力と前記ベーン背圧の圧力上昇によって、各ベーンの先端をシリンダの内周面に押し付けながら圧縮室の容積を減少させて冷媒ガスの圧縮を行う。
この際、圧縮行程が進むにつれて、圧縮室の容積が減少して圧縮室内の圧力が高まり、この圧力が、ベーンをベーン溝内の底部側に押下げる力として作用している。
ところで、前記ベーン背圧は、圧縮行程後に吐出された気体の吐出圧力(高圧)に応じた圧力の油分をベーン溝内の底部に供給することで得られているので、ベーン背圧は吐出された気体の吐出圧力よりも低圧となる。このため、気体圧縮機の運転状況等によってベーンの先端に作用する圧縮室内の圧力(ベーンをベーン溝内の底部側に押下げる圧力)が、ロータの回転による遠心力とベーン背圧の和よりも大きくなると、ベーンがチャタリング(ベーン先端とシリンダ内周面とが離間と衝突とを繰り返す現象)を起こすおそれがある。
そこで、本発明は、ベーンに作用させるベーン背圧を昇圧させて、ベーンのチャタリングを防止することができる気体圧縮機を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、回転軸と一体的に回転する略円柱状のロータと、前記ロータを該ロータの外周面の外方から取り囲む輪郭形状の内周面を有するシリンダと、前記ロータに形成したベーン溝に摺動可能に挿入され、所定の油路から前記ベーン溝に供給された冷凍機油による背圧を受けて前記シリンダの内周面に向けて突出可能に設けられた複数枚の板状のベーンと、前記ロータおよび前記シリンダの両端をそれぞれ塞ぐ2つのサイドブロックとを備え、前記ベーンは、ベーン先端が前記シリンダの内周面に当接して前記シリンダの内周面と前記ロータの外周面との間に形成された空間を仕切ることにより複数の圧縮室を形成するものであり、これら形成された各圧縮室が前記ロータの1回転の期間に、気体の吸入、圧縮及び吐出を1サイクルのみ行うように、前記シリンダの内周面の輪郭形状が設定された気体圧縮機であって、圧縮行程の初期から所定範囲にかけては、前記油路は前記ベーン溝と連通して前記ベーン溝内に所定圧の冷凍機油が供給され、圧縮行程の前記所定範囲から吐出行程の直前近傍にかけては前記ベーン溝が前記油路から遮蔽されて密閉空間とされて、圧縮行程の進行にともなう前記ベーンの前記ベーン溝内への引っ込みによって前記背圧を昇圧させ、更に、前記ベーン溝内の昇圧された前記背圧の一部を、前記圧縮行程で圧縮された高圧気体が吐出される吐出圧空間側に連通して逃がすための通路と、前記吐出圧空間に吐出される前記高圧気体中から油分を分離する油分離器を備え、前記通路は、前記2つのサイドブロックのうちの少なくともいずれか一方側のサイドブロックの、前記ロータの回転方向に沿って所定範囲に形成された凹状の連通溝内の、前記ロータの回転方向に沿った、前記圧縮行程が進行する側の端部位置近傍に開口するように形成されており、前記通路が形成されている前記連通溝内の、前記圧縮行程が進行する側の端部位置は、吐出行程にて、前記ベーンが前記ベーン溝内に最大に押し込まれる位置に近接しており、前記通路内又は該通路の端面に、前記通路を開閉可能な弁体を配置しており、前記通路の穴と反対側の開口部が、前記油分離器の前記高圧気体が導入される側に連通していることを特徴としている。
本発明に係る気体圧縮機によれば、圧縮行程の所定範囲から吐出行程の直前近傍にかけて、ベーンに作用させる背圧を昇圧させることができるので、ベーンのチャタリングを確実に防止することができる。
更に、昇圧によって背圧が所定以上に高くなりそうな場合には、閉じている弁体を開いて、通路を通して背圧の一部を圧縮室側へ逃がすことができる。よって、ベーン先端がシリンダ内周面に必要以上に強く当接することが抑制され、ロータの回転駆動時に無駄な動力ロスを低減することができる。
本発明の実施形態1に係る気体圧縮機(ベーンロータリ型の気体圧縮機)を示す縦断面図。 図1のA−A線断面図。 本発明の実施形態1におけるリヤサイドブロックの内面側を示す図。 (a)は、気体の吸入行程、圧縮行程、吐出行程時における、圧縮室内の圧力とベーンに作用させる昇圧された背圧の変化状態を示す図、(b)は、昇圧された背圧を所定量だけ減圧させた状態を示す図。 (a)は、実施形態1におけるリヤサイドブロックの外面側を示す図、(b)は、図5(a)のB−B線断面図。 リヤサイドブロックの外面に形成された穴が連通溝を通してベーン溝に連通している状態を示す図。 本発明の実施形態2におけるリヤサイドブロックの内面側を示す図。 (a)は、実施形態2におけるリヤサイドブロックの外面側を示す図、(b)は、図8(a)のC−C線断面図。
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
〈実施形態1〉
図1は、本発明に係る気体圧縮機の一実施形態であるベーンロータリ型の気体圧縮機(以下、「コンプレッサ」という)を示す縦断面図、図2は、図1におけるA−A線に沿った横断面を示す図である。なお、本実施形態のコンプレッサは、電動モータを内蔵している電動式である。
図示のコンプレッサ100は、例えば、冷却媒体の気化熱を利用して冷却を行なう空気調和システム(以下、「空調システム」という)の一部として構成され、この空調システムの他の構成要素である凝縮器、膨張弁、蒸発器等(いずれも図示を省略する)とともに冷却媒体の循環経路上に設けられている。なお、このような空調システムとしては、例えば、車両(自動車など)の車室内の温度調整を行うための空調装置が挙げられる。
コンプレッサ100は、空調システムの蒸発器から取り入れた気体状の冷却媒体としての冷媒ガスを圧縮し、この圧縮された冷媒ガスを空調システムの凝縮器に供給する。凝縮器は圧縮された冷媒ガスを液化させ、高圧で液状の冷媒として膨張弁に送出する。そして、高圧で液状の冷媒は、膨張弁で低圧化され、蒸発器に送出される。低圧の液状冷媒は、蒸発器において周囲の空気から吸熱して気化し、この気化熱との熱交換により蒸発器周囲の空気を冷却する。
図1に示すように、このコンプレッサ100は、本体ケース11とフロントカバー12とから主に構成されているハウジング10の内部に、モータ90と圧縮機本体60と油分離器70が収容された構成である。
本体ケース11は、略円筒形状であり、その円筒形状の一方の端部が塞がれたように形成され、他方の端部は開口して形成されている。
フロントカバー12は、この本体ケース11の開口側の端部に接した状態でこの開口を塞ぐように蓋状に形成されていて、この状態で締結部材により本体ケース11に締結されて本体ケース11と一体化され、内部に空間を有するハウジング10を形成する。
フロントカバー12には、ハウジング10の内部と外部とを通じさせて、空気調和システムの蒸発器から低圧の冷媒ガスG1をハウジング10の内部に導入する吸入ポート12aが形成されている。
一方、本体ケース11には、ハウジング10の内部と外部とを通じさせて、高圧の冷媒ガスG2をハウジング10の内部から空気調和システムの凝縮器に吐出する吐出ポート11aが形成されている。
本体ケース11の内部に設けられたモータ90は、永久磁石のロータ90aと電磁石のステータ90bとを備えた多相ブラシレス直流モータを構成している。
ステータ90bは本体ケース11の内周面に嵌め合わされて固定され、回転するロータ90aには回転軸51が固定されている。
そして、モータ90は、フロントカバー12に取付けられた電源コネクタ90cを介して供給された電力によってステータ90bの電磁石を励磁することにより、ロータ90aをその軸心回りに回転駆動させ、これにより、回転軸51を軸心回りに回転駆動させる。
なお、電源コネクタ90cとステータ90bとの間に、インバータ回路90dなどを備えた構成を採用することもできる。
本実施形態のコンプレッサ100は上述したとおり、モータ90を使った電動式のものであるが、本発明に係る気体圧縮機は電動式のものに限定されるものではなく、機械式のものであってもよい。
例えば、仮に本実施形態のコンプレッサ100を機械式のものとした場合は、モータ90を備える代わりに、回転軸51をフロントカバー12から外部へ突出するまで延長して、そのフロントカバー12から突出した回転軸51の先端部に、車両のエンジン等から動力の伝達を受けるプーリーや歯車等を備えた構成とすればよい。
モータ90とともにハウジング10の内部に収容された圧縮機本体60は、回転軸51の延びた方向に沿ってモータ90と並んで配置されており、ボルト等の複数の締結部材15により、本体ケース11に固定されている。
ハウジング10の内部に収容された圧縮機本体60は、軸心回りに回転自在の回転軸51と、回転軸51と一体的に回転する略円柱状のロータ50と、図2に示すように、このロータ50を、その外周面の外方から取り囲む輪郭形状の内周面を有するシリンダ40と、ロータ50に形成されたベーン溝59にそれぞれ挿入され、所定の油路からベーン溝59の底部(背圧室)59aに供給された冷凍機油Rによる背圧(ベーン背圧)を受けてロータ50の外周面からシリンダ40の内周面に向けて突出自在に設けられた5枚の板状のベーン58と、ロータ50およびシリンダ40の各両端面に接してこれら各両端面を覆う2つのサイドブロック(フロントサイドブロック20、リヤサイドブロック30)とを備えている。
ここで、回転軸51は、フロントカバー12に形成された軸受12b、圧縮機本体60の各サイドブロック20,30にそれぞれ形成された軸受27,37により、回転自在に支持されている。
また、圧縮機本体60は、ハウジング10の内部の空間を、圧縮機本体60を挟んだ左側の空間と右側の空間とに仕切っている。
これらハウジング10の内部に仕切られた2つの空間のうち圧縮機本体60に対して左側の空間は、吸入ポート12aを通じて蒸発器(不図示)から低圧の冷媒ガスG1が導入され、この低圧の冷媒ガスG1が圧縮機本体60の内部に吸入される前に通過する低圧雰囲気の吸入室13であり、モータ90は吸入室13に配置されている。
一方、圧縮機本体60に対して右側の空間は、圧縮機本体60から油分離器70を介して吐出された高圧の冷媒ガスG2が、吐出ポート11aから凝縮器(不図示)に吐出される前に通過する高圧雰囲気の吐出室14である。
圧縮機本体60の内部には、図2に示すように、シリンダ40の内周面とロータ50の外周面と両サイドブロック20,30とに囲まれた略三日月形状の単一のシリンダ室42が形成されている。
具体的には、シリンダ40の内周面とロータ50の外周面とが、回転軸51の軸心回りの1周(角度360[度])の範囲で1箇所だけ近接するように、シリンダ40の内周面の輪郭形状が設定されていて、これにより、シリンダ室42は単一の空間を形成している。
なお、シリンダ40の内周面の輪郭形状のうち、シリンダ40の内周面とロータ50の外周面とが最も近接した部分として形成された近接部48は、シリンダ40の内周面とロータ50の外周面とが最も離れた部分として形成された遠隔部49から、ロータ50の回転方向W(図2において時計回り方向)に沿って下流側に角度270[度]以上(360[度]未満)離れた位置に形成されている。
シリンダ40の内周面の輪郭形状は、回転軸51およびロータ50の回転方向Wに沿って遠隔部49から近接部48に至るまで、ロータ50の外周面とシリンダ40の内周面との間の距離が徐々に減少するような形状に設定されている。
ベーン58は、ロータ50に形成されたベーン溝59に摺動可能に収容されていて、後述する油路からベーン溝59の底部(背圧室)59aに供給される冷凍機油による背圧(ベーン背圧)により、ロータ50の外周面から外方に突出する。
また、ベーン58は単一のシリンダ室42を複数の圧縮室43に仕切るものであり、回転軸51(ロータ50)の回転方向Wに沿って相前後する2枚のベーン58によって1つの圧縮室43が形成される。
したがって、5枚のベーン58が回転軸51回りに角度72[度]の等角度間隔で設置された本実施形態においては、5つの圧縮室43が形成される。
なお、隣接する2枚のベーン58の間に近接部48が存在する圧縮室43については、近接部48と1枚のベーン58とによって1つの閉じた微小空間を構成するため、隣接する2枚のベーン58の間に近接部48が存在する圧縮室43は、近接部48によって2つの圧縮室43に分割されることになる。よって、全体として5つの圧縮室43と微小な1つの圧縮室が形成される。
ベーン58によりシリンダ室42を仕切って得られた圧縮室43の内部の容積は、回転方向Wに沿って圧縮室43が遠隔部49から近接部48に至るまで徐々に小さくなる。
このシリンダ室42の、回転方向Wの最上流側の部分(回転方向Wに沿って、近接部48に対する下流側の直近部分)には、フロントサイドブロック20に形成された、吸入室13に通じる吸入孔23(図2において、フロントサイドブロック20はこの断面位置よりも手前側に位置するため、このフロントサイドブロック20に形成された吸入孔23は二点鎖線(想像線)で記載している)が臨んでいる。
一方、シリンダ室42の、ロータ50の回転方向Wの最下流側の部分(回転方向Wに沿って、近接部48に対する上流側の直近部分)には、シリンダ40に形成された吐出部45の吐出孔45bが臨み、その上流側には、シリンダ40に形成された2つ目の吐出部46の吐出孔46bが臨んでいる。
シリンダ40の内周面の輪郭形状は、吸入室13からフロントサイドブロック20に形成された吸入孔23を通じた冷媒ガスの圧縮室43への吸入、圧縮室43内での冷媒ガスの圧縮および圧縮室43から吐出孔45bを通じた吐出部45への冷媒ガスの吐出を、ロータ50の1回転の期間に1サイクルだけ行うように設定されている。
すなわち、シリンダ40の内周面の断面輪郭形状は、ロータ50の外周面に略接する近接部48から、ロータ50の回転方向Wに沿った角度90[度]以内に設定された遠隔部49までの範囲で、シリンダ40の内周面とロータ50の外周面との間の距離が急激に大きくなるように形成されている。更に、回転方向Wに沿って遠隔部49から近接部48までの、角度270[度]以上の広い範囲で、シリンダ40の内周面とロータ50の外周面との間の距離が徐々に小さくなるように形成されている。
そして、圧縮室43の、回転方向Wの下流側に位置しているベーン58が、近接部48近くの吸入孔23を通過し始めてから、回転方向Wの上流側に位置しているベーン58が、吸入孔23を通過し終わるまでの範囲では、回転方向Wへの回転に伴って圧縮室43の容積が大きくなることによる負圧により、吸入孔23を通じて圧縮室43内に冷媒ガスが吸入される行程(吸入行程)となる。
そして、ロータ50の回転が進み、圧縮室43の上流側のベーン58が回転方向Wの下流に向かって、吸入孔23を通過し終わると、圧縮室43は閉じた空間となるとともに、遠隔部49から近接部48に向かう回転方向Wへの回転により、圧縮室43の容積が減少し、圧縮室43内に閉じこめられた冷媒ガスが圧縮される行程(圧縮行程)となる。
圧縮行程の終盤では、圧縮室43の内部の圧力が所定の吐出圧力に達し、そのとき圧縮室43が近接部48の手前に形成された吐出部45,46に到達しているときは、圧縮室43の内部の冷媒ガスが後述する吐出孔45b,46bを通じて吐出部45,46に吐出される行程(吐出行程)となる。
そして、ロータ50の1回転の間に、各圧縮室43が吸入行程、圧縮行程、吐出行程をこの順序で繰り返すことにより、吸入室13から吸入された低圧の冷媒ガスは高圧になり、吐出部45,46から油分離器70を介して吐出室14に吐出させる。
油分離器70は、冷凍機油が混ざった冷媒ガスから冷凍機油を分離するものである。
つまり、コンプレッサ100の内部には、ベーン58の背圧を供給するために冷凍機油が封入されているが、この冷凍機油は、ベーン58とベーン溝59との間の隙間や、ロータ50とサイドブロック20,30との間の隙間等から滲みだして、ロータ50と両サイドブロック20,30との間の接触部分や、ベーン58とシリンダ40や両サイドブロック20,30との間の接触部分などにおける潤滑や冷却等の機能も発揮し、その冷凍機油の一部が、圧縮室43内の冷媒ガスと混ざる。
大量の冷凍機油が混ざったままの冷媒ガスが凝縮器に吐出されると、空気調和システムの効率が低下する。このため、冷媒ガスから冷凍機油を分離する必要があり、油分離器70によって冷媒ガスに混じっている冷凍機油の分離が行われる。
各吐出部45,46は、シリンダ40の外周面、本体ケース11の内周面およびリヤサイドブロック30とによって囲まれた空間(以下、「吐出チャンバ45a,46a」という)と、吐出チャンバ45a,46aと圧縮室43とを通じさせる吐出孔45b,46bと、圧縮室43内の冷媒ガスの圧力が吐出チャンバ45a,46a内の圧力(以下、この圧力を「吐出圧力Pd」という)以上のとき、差圧により吐出チャンバ45a,46aの側に反るように弾性変形して吐出孔45b,46bを開き、冷媒ガスGの圧力が吐出チャンバ45a,46a内の吐出圧力Pd未満のとき弾性力により吐出孔45b,46bを閉じる吐出弁45c,46cと、吐出弁45c,46cが吐出チャンバ45a,46aの側に過度に反るのを防止する弁サポート45d,46dとを備えている。
なお、2つの吐出部45,46のうち、回転方向Wの下流側に設けられている吐出部、すなわち近接部48に近い側の吐出部45は、主たる吐出部である(以下、この吐出部45を「主吐出部45」という)。
この主吐出部45は、圧縮室43が臨んでいる期間中に、その圧縮室43内の圧力は必ず吐出圧力Pdに達して、圧縮室43内で圧縮された冷媒ガスGを必ず吐出する部分である。
一方、2つの吐出部45,46のうち、回転方向Wの上流側に設けられている吐出部、すなわち近接部48から遠い側の吐出部46は、副次的な吐出部である(以下、この吐出部46を「副吐出部46」という)。
この副吐出部46は、圧縮室43が主吐出部45に臨む以前の段階で吐出圧力Pdに達したときに、圧縮室43内の過圧縮(吐出圧力Pdを超える圧力に圧縮されること)を防止するために設けられたものであり、圧縮室43が副吐出部46に臨んでいる期間中に圧縮室43内の圧力が吐出圧力Pdに達した場合に限って、圧縮室43の内部の冷媒ガスGを副吐出部46から吐出させるものであり、圧縮室43内の圧力が吐出圧力Pdに達しない場合は、圧縮室43の内部の冷媒ガスGは副吐出部46から吐出されず、主吐出部45に臨んでいる期間中に主吐出部45から吐出される。
主吐出部45の吐出チャンバ45aは、リヤサイドブロック30の外面(吐出室14に向いた面)まで貫通して形成された吐出路38を介して、リヤサイドブロック30の外面に取り付けられた油分離器70に通じている。
主吐出部45の吐出チャンバ45aと副吐出部46の吐出チャンバ46aとの間には、両吐出チャンバ45a,46aを通じさせる連通路39がシリンダ40の外周部に形成されていて、副吐出部46の吐出チャンバ46aは、この連通路39、吐出チャンバ45aおよび吐出路38を介して、リヤサイドブロック30の外面に取り付けられた油分離器70に通じている。
油分離器70は、前述したように、冷媒ガスに混ざった冷凍機油を冷媒ガスから分離するものであるが、本実施形態におけるものは、各吐出チャンバ45a,46aに吐出されて、吐出路38を通って導入された高温、高圧の冷媒ガスを、吐出室14に吐出する前に、油分離器70内の内周面に斜め下側に向けて噴出させて螺旋状に旋回させることで生じる遠心力により、冷媒ガス中から冷凍機油を遠心分離する構造となっている。
そして、図2に示すように、冷媒ガスから分離された冷凍機油Rは吐出室14の底部に溜まり、冷凍機油Rが分離された後の高圧の冷媒ガスG2は吐出室14に吐出された後、吐出ポート11aを通って凝縮器(不図示)に吐出される。
吐出室14の底部に溜められた冷凍機油Rは、吐出室14に吐出された高圧(略吐出圧力Pdに相当)の冷媒ガスG1による高圧雰囲気により、リヤサイドブロック30に形成された油路34aを通じて、図3に示すように、リヤサイドブロック30の、ロータ50の端面55b(図1参照)に対向する内面35に形成された背圧供給用の凹部であるサライ溝31に供給される。
なお、図3は、リヤサイドブロック30を示しているが、フロントサイドブロック20は、リヤサイドブロック30に対して略線対称に表すことができる。
更に、吐出室14の底部に溜められ冷凍機油Rは、リヤサイドブロック30に形成された油路34a,34b、シリンダ40に形成された油路44およびフロントサイドブロック20に形成された油路24を通じて、フロントサイドブロック20の、ロータ50の端面55aに対向する内面35に形成された背圧供給用の凹部であるサライ溝21にも供給される。
ここで、各サライ溝21,31はともに、ロータ50の軸心回りの所定の回転角度の範囲αに対応して形成されていて(図3参照)、各油路34a,34b,44,24の内面25,35における出口を、広い回転角度の範囲αに拡げるための開口ということができる。
サライ溝21,31が形成された回転角度の範囲αは、図2,3に示したように、圧縮室43が吸入行程にあるときから、圧縮行程の終盤に近づく(圧縮室43が副吐出部46に臨み始める)角度位置までの範囲に対応している。
この回転角度の範囲αは、圧縮室43の回転方向Wの上流側(後ろ側)のベーン58の、突出側の先端がシリンダ40の近接部48に接する位置を基準位置(回転角度0[度])としたときの、軸心回りの回転方向Wへの回転角度を表すものであり、回転角度の範囲αとしては、例えば、0〜220[度]に設定されている。
ただし、この回転角度の範囲αの具体的な範囲は、例示の範囲に限定されるものではなく、シリンダ40の内周面41の断面輪郭形状やベーン58の枚数、設定された吐出圧力Pdの値等によって適宜設定される。
本実施形態のコンプレッサ100においては、各油路34a,34b,44,24とサライ溝21,31とを含めて、ベーン溝59の底部59aに冷凍機油を供給する油路ということができる。
各ベーン溝59は、ロータ50の両端面55a,55bまで貫通して形成されており、これら両端面55a,55bにおいて開口している。
そして、ロータ50の端面55aに開口したベーン溝59が、サライ溝21,31が形成された回転角度の範囲αに位置している期間中は、サライ溝21とベーン溝59の底部59aとが通じて、サライ溝21からベーン溝59の底部59aに冷凍機油が供給される。
一方、ベーン溝59が、サライ溝21,31が形成された回転角度の範囲αを除いた回転角度の範囲βにあるときは、サライ溝21,31とベーン溝59の底部59aとが通じていないため、サライ溝21,31からベーン溝59の底部59aへの冷凍機油の供給は遮断されるとともに、ベーン溝59内は閉じた空間となる。
サライ溝21,31からベーン溝59の底部59aに供給された冷凍機油は、ベーン58をシリンダ40の内周面41に向けて突出させる背圧(ベーン背圧)となる。
ここで、リヤサイドブロック30のサライ溝31に供給される冷凍機油は、油路34aから、リヤサイドブロック30の軸受37とこの軸受37に支持された回転軸51の外周面との間の非常に狭い隙間を通過したものである。
なお、リヤサイドブロック30のサライ溝31に供給される冷凍機油は、油路34aにおいては吐出室14の高圧雰囲気に応じた吐出圧力Pdであったが、この狭い隙間を通過する間の圧力損失により、サライ溝31に到達したときは、吐出室14の内部の吐出圧力Pdよりも低い圧力である中圧Pmになっている。
ここで、中圧Pmとは、吸入室13における冷媒ガスの圧力である低圧Psよりも高く、吐出室14内における冷媒ガスの圧力である吐出圧Pdよりも低い圧力である。
同様に、フロントサイドブロック20の油路24とサライ溝21との間で冷凍機油が通過する通路は、フロントサイドブロック20の軸受27とこの軸受27に支持された回転軸51の外周面との間の非常に狭い隙間である。
なお、フロントサイドブロック20のサライ溝21に供給される冷凍機油は、油路24においては吐出室14の高圧雰囲気に応じた吐出圧力Pdであるが、この狭い隙間を通過する間の圧力損失により、サライ溝21に到達したときは、吐出室14の内部の吐出圧力Pdよりも低い圧力である中圧Pmになっている。
したがって、サライ溝21,31からベーン溝59に供給されてベーン58をシリンダ40の内周面に向けて突出させる背圧(ベーン背圧)は中圧Pmである。
サライ溝21,31は、前述したように、圧縮室43が吸入行程にあるときから圧縮行程の終盤に近づくまでの範囲(回転角度の範囲α)に対応して形成されているが、この範囲においては、圧縮室43内の圧力は最大でも中圧Pmであるため、サライ溝21,31からベーン溝59の底部59aに供給される中圧Pmの冷凍機油によって、ベーン58の背圧が不足することはない。
一方、ベーン溝59が、サライ溝21,31が形成された回転角度の範囲αを超えて回転角度の範囲βに移行すると、ベーン溝59の底部59aはサライ溝21,31に連通せずに、冷凍機油の供給が遮断され、供給された冷凍機油で満たされた(完全に冷凍機油のみで満たされた状態だけでなく、冷媒ガスが僅かに混入している状態も含む)閉じた空間となり、圧縮が進むにしたがってベーン58がベーン溝59内の底部59a側へ押し込まれてくると、この閉じた空間では略液圧縮状態となる。
液圧縮状態では、吐出室14内の吐出圧力Pdを超える高い圧力Phが得られるため、ベーン58に作用させる背圧(ベーン背圧)として、この高い圧力Phを供給することができる。
ところで、本実施形態のコンプレッサ100のように、ロータ50の1回転の間に冷媒ガスの吸入行程、圧縮行程、吐出行程を1サイクルしか行わない、いわゆる1ステージ方式のコンプレッサでは、ロータ50の1回転当たり、吸入行程、圧縮行程、吐出行程を2サイクル行うものよりも、圧縮行程の長さが長い。このため、先行する圧縮室43A(図2参照)が圧縮行程の終盤にあるとき、その圧縮室43Aに後続する圧縮室43B(図2参照)内も比較的高い圧力になる。
しかも、回転方向Wに沿った遠隔部49から近接部48までの角度が270[度]以上と広く設定されている本実施形態のコンプレッサ100では、圧縮行程の長さが一層長いため、圧縮行程の中盤から終盤付近では相前後する2つの圧縮室43A,43B(図2参照)内の圧力は、ともに略吐出圧力Pd程度の高圧となる。
この結果、両圧縮室43A,43Bを仕切っているベーン58(先行する圧縮室43Aの上流側のベーン58A(図2参照))の先端側(シリンダ40の内周面41と当接する側)には、ベーン背圧と反対向き(ベーン58をベーン溝59内に押下げる方向)の高い圧力が作用し易い。このため、このベーン58Aがチャタリングを起こして、圧縮効率が低下したり、異音などの問題を生じるおそれがある。
しかしながら、本実施形態のコンプレッサ100は、前述したように、回転角度の範囲βではベーン溝59が中圧Pmの冷凍機油で略満たされた閉じた空間となり、圧縮が進むにしたがってベーン溝59内へのベーン58の引っ込み量が増大し、ベーン58の引っ込み量が増大するにしたがって、略液圧縮状態のベーン溝59内の圧力は上昇する。
よって、両圧縮室43A,43B内の圧力がともに略吐出圧力Pd程度となる程度まで圧縮が進むと、ベーン58に作用する背圧(ベーン背圧)が昇圧されていき、圧縮行程の最後付近(吐出行程の直前から直後付近)では、両圧縮室43A,43B内の圧力(略吐出圧力Pd程度)を大幅に超える圧力Phまで昇圧される。
このように、本実施形態に係るコンプレッサ100によれば、圧縮行程の最後付近(吐出行程の直前から直後付近)において、両圧縮室43A,43B内の圧力がともに略吐出圧力Pdとなる程度まで圧縮が進むと、略液圧縮状態のベーン溝59内の圧力が上昇して、ベーン58に作用する背圧(ベーン背圧)を大幅に昇圧させることができる。よって、圧縮行程の終盤から吐出行程の直前においても、ベーン58の先端がシリンダ40の内周面に良好に摺動した状態に保持されるので、ベーン58のチャタリングを確実に防止することができる。
図4(a)は、上記したコンプレッサ100の吸入行程、圧縮行程、吐出行程におけるベーン58に作用するベーン背圧(図のa)の変化と、圧縮室43内の圧力(図のb)の変化を示した図である。なお、図4(a)において、Pdは前記吐出圧力(高圧)値であり、Psは圧縮室43内に吸入される冷媒ガスの圧力(低圧)値である。
また、図4(a)において、ロータ50の回転角度が0度(360度)付近は、ベーン58が圧縮室43の回転方向Wに沿って近接部48付近に位置しているときであり(吐出行程と吸入行程の間)、ロータ50が1回転(回転角度が0〜360度)することで、上記した1サイクルの吸入行程、圧縮行程、吐出行程が行われる。
図4(a)に示すように、圧縮行程の終盤付近(ロータ50の回転角度が270度付近)からベーン58に作用する背圧(ベーン背圧)が上昇し、吐出行程の直前付近(ロータ50の回転角度が355度付近)で圧力Phに達する。
ところで、上記したようベーン背圧を昇圧させることで、ベーン58の先端をシリンダ40の内周面に良好に当接させることができるが、圧縮行程の最後付近(吐出行程の直前から直後付近)では、圧縮室43内の圧力(略吐出圧力Pd程度)よりも大幅に高い圧力Phがベーン背圧として作用するので、ベーン58の先端がシリンダ40の内周面に必要以上に強く当接することがある。
特に、吐出行程の直前から直後の間では、圧縮室43内の高圧の冷媒ガスの一部が吐出孔45bから吐出されるために圧縮室43内の圧力が急激に低下して、ベーン58の先端がシリンダ40の内周面により強く当接することとなる。
このように、吐出行程の直前から直後でベーン58の先端がシリンダ40の内周面に必要以上に強く当接した状況では、ベーン58の先端とシリンダ40の内周面との間での接触抵抗が必要以上に大きくなるため、ロータ50の回転駆動時に無駄な動力が必要となり、運転効率が低下する。
そこで、本実施形態では、図3に示すように、リヤサイドブロック30の内面35に背圧の一部を逃がすための穴80が形成されている。この穴80は、サライ溝31が形成された回転角度の範囲αを除いた回転角度の範囲βで、圧縮行程の最後付近(主吐出部45での吐出行程の直前付近)となっている領域に対応して形成されている。
更に、この穴80は、サライ溝31が形成された回転角度の範囲αを除いた回転角度の範囲β内で、圧縮行程の終盤付近から主吐出部45での吐出行程付近となっている領域に対応して形成された凹状の連通溝81内の一方の端部付近(図3では、連通溝81の右端部付近)に設けられている。
図5(a),(b)に示すように、穴80は、リヤサイドブロック30の外面36に形成された油吐出口82内まで通路83を通して連通している。なお、図5(a),(b)において、リヤサイドブロック30の外面36の油吐出口82に不図示の油分離器が設置されている。また、この油吐出口82は、油流路溝84を介して前記吐出路38に通じている。
また、通路83の油吐出口82側に形成された大径部にはトリガーバルブタイプの圧力調整弁(以下、「第1リリーフ弁」という)85が配置されている。この第1リリーフ弁85は、球状の弁体86とバネ部材87を有し、通常はバネ部材87の付勢力(バネ力)で弁体86を付勢して通路83の小径側を塞いだ閉弁状態にある。
この第1リリーフ弁85は、ベーン溝59内の圧力(ベーン背圧)と吐出圧力(前記吐出行程で吐出路38を通して吐出室14へ吐出される高圧ガス(冷媒ガス)の吐出圧力)との差圧で作動し、この差圧が所定圧Pa(<Ph)以下のときは閉弁状態となり、差圧が所定圧Pa以上になるとバネ部材87の付勢力に抗して開弁状態となるように構成されている。
そして、図2、図6に示すように、圧縮行程の終盤付近から圧縮行程の最後付近(吐出行程の直前から直後付近)では、連通溝81がベーン溝59内の底部59aに連通するような位置関係にある。これにより、穴80が連通溝81を通してベーン溝59内の底部59aと連通状態にあるため、ベーン背圧(ベーン溝59内の底部59aに供給されて液圧縮状態にある冷凍機油R)の一部が、穴80から通路83側に排出される。
そして、第1リリーフ弁85は、前記差圧が所定圧Pa以上になるとバネ部材87の付勢力に抗して開弁状態となり、液圧縮状態にある冷凍機油Rの一部が油吐出口82から油分離器70(図1参照)へ排出される。なお、油分離器70へ排出された冷凍機油は、吐出室14内の底部に戻される。そして、吐出工程ではベーン背圧が低下するため、第1リリーフ弁85は閉弁状態となる。
このように、第1リリーフ弁85が開弁状態となって、液圧縮状態にある冷凍機油Rの一部が穴80から通路80aを通して油分離器70側に排出されると、図4(b)に示すように、吐出行程の直前から直後付近で昇圧されているベーン背圧(図のa)が所定圧Paに減圧される。よって、吐出行程の直前から直後付近でベーン58の先端がシリンダ40の内周面に必要以上に強く当接することを抑制できるので、ロータ50の回転駆動時に無駄な動力ロスを低減することができる。
〈実施形態2〉
本実施形態では、図7に示すように、リヤサイドブロック30の内面35に背圧の一部を逃がすための穴80aが形成されている。この穴80aは、サライ溝31が形成された回転角度の範囲αを除いた回転角度の範囲βで、圧縮行程の最後付近(主吐出部45での吐出行程の直前付近)となっている領域に対応して形成されている。
本実施形態では、この穴80aは、サライ溝31が形成された回転角度の範囲αを除いた回転角度の範囲β内で、圧縮行程の終盤付近から主吐出部45での吐出行程付近となっている領域に対応して形成された凹状の連通溝81内の一他の端部付近(図7では、連通溝81の左端部付近)に設けられている。
図8(a),(b)に示すように、穴80aは、リヤサイドブロック30内に形成した通路83aを通して外面36(即ち、吐出室14:図1参照)に連通している。なお、図8(a),(b)において、リヤサイドブロック30の外面36の油吐出口82に不図示の油分離器が設置されている。また、この油吐出口82は、油流路溝84を介して前記吐出路38に通じている。
また、リヤサイドブロック30の外面36の通路83aが連通している領域には、リードバルブタイプの圧力調整弁(以下、「第2リリーフ弁」という)88が配置されている。この第2リリーフ弁88の基端側は、固定ネジ88aによって外面36に固定されており、通常は第2リリーフ弁88の付勢力(弾性力)で通路83aを塞いだ閉弁状態にある。
この第2リリーフ弁88は、ベーン溝59内の圧力(ベーン背圧)と吐出圧力(前記吐出行程で吐出路38を通して吐出室14へ吐出される高圧ガス(冷媒ガス)の吐出圧力)との差圧で作動し、この差圧が所定圧Pa(<Ph)以下のときは閉弁状態となり、差圧が所定圧Pa以上になると開弁状態となるように構成されている。
そして、実施形態1と同様に、圧縮行程の終盤付近から圧縮行程の最後付近(吐出行程の直前から直後付近)では、連通溝81がベーン溝59内の底部59aに連通するような位置関係にある。これにより、穴80aが連通溝81を通してベーン溝59内の底部59aと連通状態にあるため、ベーン背圧(ベーン溝59内の底部59aに供給されて液圧縮状態にある冷凍機油R)の一部が、穴80aから通路83a側に排出される。
そして、第2リリーフ弁88は、前記差圧が所定圧Pa以上になると開弁状態となり、液圧縮状態にある冷凍機油Rの一部がこの通路83aを通してリヤサイドブロック30の外面36(即ち、吐出室14)へ排出される。なお、吐出行程ではベーン背圧が低下するため、第2リリーフ弁88は閉弁状態となる。
このように、第2リリーフ弁88が開弁状態となって、液圧縮状態にある冷凍機油Rの一部が穴80aから通路83aを通して吐出室14側に排出されると、図4(b)に示すように、吐出行程の直前から直後付近で昇圧されているベーン背圧(図のa)が所定圧Paに減圧される。よって、吐出行程の直前から直後付近でベーン58の先端がシリンダ40の内周面に必要以上に強く当接することを抑制できるので、ロータ50の回転駆動時に無駄な動力ロスを低減することができる。
10 ハウジング
13 吸入室
14 吐出室
20 フロントサイドブロック
21,31 サライ溝
30 リヤサイドブロック
38 吐出路
40 シリンダ
42 シリンダ室
43,43A,43B 圧縮室
50 ロータ
58,58A ベーン
59 ベーン溝
70 油分離器
80、80a 穴
83、83a 通路
85 第1リリーフ弁(弁体)
88 第2リリーフ弁(弁体)
90 モータ
100 ベーンロータリコンプレッサ(気体圧縮機)

Claims (4)

  1. 回転軸と一体的に回転する略円柱状のロータと、
    前記ロータを該ロータの外周面の外方から取り囲む輪郭形状の内周面を有するシリンダと、
    前記ロータに形成したベーン溝に摺動可能に挿入され、所定の油路から前記ベーン溝に供給された冷凍機油による背圧を受けて前記シリンダの内周面に向けて突出可能に設けられた複数枚の板状のベーンと、
    前記ロータおよび前記シリンダの両端をそれぞれ塞ぐ2つのサイドブロックとを備え、
    前記ベーンは、ベーン先端が前記シリンダの内周面に当接して前記シリンダの内周面と前記ロータの外周面との間に形成された空間を仕切ることにより複数の圧縮室を形成するものであり、これら形成された各圧縮室が前記ロータの1回転の期間に、気体の吸入、圧縮及び吐出を1サイクルのみ行うように、前記シリンダの内周面の輪郭形状が設定された気体圧縮機であって、
    圧縮行程の初期から所定範囲にかけては、前記油路は前記ベーン溝と連通して前記ベーン溝内に所定圧の冷凍機油が供給され、
    圧縮行程の前記所定範囲から吐出行程の直前近傍にかけては前記ベーン溝が前記油路から遮蔽されて密閉空間とされて、圧縮行程の進行にともなう前記ベーンの前記ベーン溝内への引っ込みによって前記背圧を昇圧させ、
    更に、前記ベーン溝内の昇圧された前記背圧の一部を、前記圧縮行程で圧縮された高圧気体が吐出される吐出圧空間側に連通して逃がすための通路と、
    前記吐出圧空間に吐出される前記高圧気体中から油分を分離する油分離器を備え、
    前記通路は、前記2つのサイドブロックのうちの少なくともいずれか一方側のサイドブロックの、前記ロータの回転方向に沿って所定範囲に形成された凹状の連通溝内の、前記ロータの回転方向に沿った、前記圧縮行程が進行する側の端部位置近傍に開口するように形成されており、
    前記通路が形成されている前記連通溝内の、前記圧縮行程が進行する側の端部位置は、吐出行程にて、前記ベーンが前記ベーン溝内に最大に押し込まれる位置に近接しており、前記通路内又は該通路の端面に、前記通路を開閉可能な弁体を配置しており、
    前記通路の穴と反対側の開口部が、前記油分離器の前記高圧気体が導入される側に連通していることを特徴とする気体圧縮機。
  2. 前記弁体は、前記ベーン溝内の圧力と吐出行程で吐出室側へ吐出される高圧ガスの吐出圧力との差圧で作動し、この差圧が所定圧以下のときは閉弁状態となり、前記差圧が前記所定圧以上になると開弁状態となることを特徴とする請求項1に記載の気体圧縮機。
  3. 前記弁体は、トリガーバルブタイプのリリーフ弁であることを特徴とする請求項に記載の気体圧縮機。
  4. 前記弁体は、リードバルブタイプのリリーフ弁であることを特徴とする請求項に記載の気体圧縮機。
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