JP5963509B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents
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このような理由から、保管時又は使用前において固形ゲル状であって、化粧水、乳液として機能するものについては、開発が殆どなされてこなかった。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
寒天の量を上記の範囲とすることで、固形ゲルを維持することができる。また、寒天の含有量を上記の範囲とすることで、皮膚に塗布する際に、小さなブロック状となりボソボソした感触で均一に伸びないということを防ぐことができる。
寒天の含有量と、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールの合計含有量の重量比を上記の範囲とすることで、皮膚へ塗布する際に、ボソボソした感触を生じることなく、滑らかに伸ばすことができる。
ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンの含有比率を上記の範囲とすることで、塗布する際の滑らかさが向上し、皮膚なじみが良くなる。
キサンタンガムを更に用いることで、保管時の固形ゲルの強度を十分に維持することができる。
このような物性の固形ゲルを用いることで、皮膚への塗布前のゲル安定性と、皮膚へ塗布した際の滑らかな延びの両者を満足することができる。
このような形状の皮膚外用剤とすることにより、簡単に1回の使用量を手に取ることができ、便利である。また、従来の化粧水や乳液にない形状の皮膚外用剤であるため、視覚的にも楽しめる。
多価アルコールをこの範囲で含むことにより、化粧水や乳液としての保湿効果を高めることができる。
また、本発明の皮膚外用剤においては、多価アルコールをこの範囲で含む場合には、皮膚への塗布前のゲル安定性と、皮膚へ塗布した際の滑らかな伸びの両者を満足することができる。
このような容器入り皮膚外用剤は、固形ゲル状の皮膚外用剤の1回塗布量を簡単に取り出すことができる。
また、容器から宝石、ビーズ、或いはキャンディを取りだすようなユニークな感覚で、皮膚外用剤の1回塗布量を取りだすことができる。
このような製造方法によれば、上述した容器入り皮膚外用剤を簡便に製造することができる。
また、容器に液状組成物を流し込み、平板状のゲルを形成し、これを任意にカットして、皮膚外用剤を製造することも出来る。
また、本発明の皮膚外用剤の製造方法によれば、上記のような容器入り皮膚外用剤を簡便に製造できる。
ここで、固形ゲル状の剤形は、皮膚外用剤の通常の保管条件である0〜40℃程度の温度下におけるものである。
また、本発明において「固形ゲル状」とは、流動性のない状態を意味する。
本発明の皮膚外用剤は、水溶性高分子を、総量で0.5〜8重量%、好ましくは0.6〜7重量%、さらに好ましくは0.7〜6重量%の範囲で含む。
また、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、及び寒天の合計含有量は、好ましくは0.5〜8重量%、好ましくは1.0〜6重量%である。
ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールは、寒天に由来するボソボソ感を抑制し、皮膚への伸びを良好にする。すなわち、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールを用いずに固形ゲルを形成させると、ボソボソ感が出現し、皮膚への伸びが悪くなる。
また、ポリビニルピロリドンとポリビニルアルコールの何れかが欠けると、皮膚へ伸ばす際のボソボソ感が出現し、滑らかな伸びが実現できなくなる。
寒天は、ゲルに強度を付与するが、肌に伸ばした時にボソボソ感がある。
しかしながら、寒天を使用しないで固形ゲルを形成させようとすると、水溶性高分子の含有量を8重量%より大きくしなければならず、このようにすると、中味液(皮膚外用剤)が水飴状態になり肌に伸ばして使用することが困難になる。
本発明において用いられる寒天のゼリー強度は、1.5重量%寒天濃度で、好ましくは30g/cm2以上、特に好ましくは100g/cm2以上、より好ましくは200g/cm2以上である。
寒天として、例えば、商品名:ウルトラ寒天AX−30(ゼリー強度:30g/cm2)、商品名:ウルトラ寒天AX−200(ゼリー強度:200g/cm2)、商品名:伊那寒天up−26(ゼリー強度:650g/cm2)を用いることができる。
寒天の含有量は、皮膚外用剤全量に対して、好ましくは0.4〜5重量%、さらに好ましくは0.5〜4重量%、より好ましくは0.6〜4重量%である。寒天の量を上記の範囲とすることで、固形ゲルを維持することができる。また、皮膚上に伸ばした際の、ボソボソ感を防ぐことができる。
ポリビニルアルコールの含有量は、皮膚外用剤全量に対して、好ましくは0.01〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜4重量%、より好ましくは、0.1〜3重量%である。ポリビニルアルコールの量を上記の範囲とすることで、皮膚上に伸ばした際の滑らかさを付与することができる。
ポリビニルピロリドンの含有量は、皮膚外用剤全量に対して、好ましくは0.01〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜4重量%、より好ましくは、0.1〜3重量%である。ポリビニルピロリドンの量を上記の範囲とすることで、皮膚上に伸ばした際の滑らかさを付与することができる。
寒天の含有量と、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンの含有量の重量比は、好ましくは1:50〜50:1、さらに好ましくは1:40〜40:1、より好ましくは1:30〜30:1、特に好ましくは1:20〜20:1である。寒天と、他の2種の高分子の含有比を上記の範囲とすることで、皮膚へ塗布する際に、ボソボソした感触を生じずに、滑らかに伸ばすことができる。
キサンタンガムを更に用いることで、保管時の固形ゲルの強度を十分に維持することができる。
この場合のキサンタンガムの含有量は、皮膚外用剤全量に対して、好ましくは0.1〜3重量%、さらに好ましくは0.2〜2重量%、より好ましくは0.3〜2重量%である。
また、寒天とキサンタンガムの含有重量比は、好ましくは1:20〜20:1、さらに好ましくは1:10〜10:1である。
但し、これらその他の水溶性高分子は、水溶性高分子の全量に対して、好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下である。
このような多価アルコールとして、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等を用いることができる。また、これらのポリエチレングリコール付加物やポリプロピレングリコール付加物も用いることができる。例えば、グリセリン若しくはジグリセリンのポリエチレングリコール付加物、グリセリン若しくはジグリセリンのポリプロピレングリコール付加物、などを用いることができる。また、ポリエチレングリコールも好ましく用いることができる。
これらは、単独で用いることもできるし、複数種を組み合わせて用いることもできる。
好ましい保湿剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコールが挙げられる。
多価アルコールを上記範囲で含むことにより、化粧水やローションとしての保湿効果を高めることができる。また、本発明の皮膚外用剤においては、多価アルコールをこの範囲で含む場合には、皮膚への塗布前のゲル安定性と、皮膚へ塗布した際の滑らかな伸びの両者を満足することができる。
例えば、合成エステル油、液体油脂、固体油脂、ロウ類、炭化水素油等を用いることができる。
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ-2-エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ−2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
このような物性の固形ゲルを用いることで、皮膚への塗布前のゲル安定性と、皮膚へ塗布した際の滑らかな延びの両者を満足することができる。
以下、本発明の皮膚外用剤の製造方法の一形態を、以下に説明する。
すなわち、水を20〜95重量%、および上述した水溶性高分子を合計で0.5〜8重量%含む、60℃以上に加温した液状組成物を、複数の収容部を有する樹脂性容器の各収容部に流し込む。(流し込み工程)。流し込みは、滴下などの方法により行うことができる。
続いて、流し込んだ液状組成物を冷却し、ゲルを形成する(ゲル形成工程)。
なお、流し込みを行う容器は、必ずしも複数の収容部を有する樹脂性容器でなくてよく、様々な容器内に流し込むことができるのはもちろん、樹脂製フィルム上に滴下するなどすることによって、流し込んでもよい。
まず、水に高分子を均一に分散させ、75℃まで加温し、混合して高分子を溶解させた。続いて、活性剤と油分を混合して、75℃まで加温した後、上記高分子を溶解した水に加えて撹拌混合した。これを、70℃まで冷却し、1つの収容部の直径10mm、深さ10mmの錠剤用トレーに流し込み、30℃まで冷却した。
錠剤用トレーからゲルを取り出し、触手にて硬さ、柔らかさの度合いを評価した。
4:ゲルの硬さが丁度よい
3:ゲルはやや硬い、または、やや柔らかい
2:ゲルはかなり硬い、または、かなり柔らかい
1:ゲルは硬すぎる、または、全くゲル化していない
4:肌に伸ばし易く馴染み易い
3:肌に伸ばし易いが、馴染みにくい
2:肌に伸ばし難く馴染みにくい
1:肌に全く馴染まない
なお、評価2で、スコアが1の場合については、評価3、4は行わなかった。
ゲルを目じりから頬部に塗布し、5分後に肌の状態を評価した。
4:被膜感が十分あり、肌がすべすべする
3:被膜感はやや弱いが、肌がすべすべする
2:被膜感がかなり弱く、肌のすべすべ感もない
1:被膜感が全くなく、肌のすべすべ感も全くない
ゲルを目じりから頬部に塗布し、60分後に肌の状態を評価した。
4:しっとり感があり、肌が滑らか
3:ややしっとり感があり、肌が滑らか
2:しっとり感が少なく、肌の滑らか感も少ない
1:しっとり感および滑らか感が全くない
また、実施例の皮膚外用剤は、塗布後(5分、60分)の皮膚の滑らかさも実現するものであった。
一方、比較例の皮膚外用剤は、ゲルの形成、触感、皮膚への伸ばしやすさの少なくとも何れかが良好とは言い難かった。比較例6〜10は、硬い触感で、皮膚へ塗布する際に、ボソボソして皮膚上に伸びにくかった。一方、比較例1〜5は、固形ゲルを形成しなかった。
Claims (8)
- 水を20〜95重量%、並びに、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、及び寒天を合計で0.5〜8重量%の範囲で含む固形ゲル状皮膚外用剤であって、
寒天の含有量が、0.4〜5重量%であり、
寒天の含有量と、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールの合計含有量の重量比が、1:50〜50:1であり、
ポリビニルアルコールの含有量と、ポリビニルピロリドンの含有量の重量比が、1:50〜50:1である、皮膚外用剤。 - さらにキサンタンガムを含有する、請求項1に記載の皮膚外用剤。
- 60℃以上で液状、30℃以下で固形ゲル状である、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
- 粒状、ダイス状、又は板状である、請求項1〜3の何れかに記載の皮膚外用剤。
- 多価アルコールを5〜70質量%含む、請求項1〜4の何れかに記載の皮膚外用剤。
- 多価アルコールが、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン若しくはジグリセリンのポリエチレングリコール付加物、グリセリン若しくはジグリセリンのポリプロピレングリコール付加物から選ばれる、請求項5に記載の皮膚外用剤。
- 複数の収容部を有する樹脂製容器の各収容部に、請求項1〜6の何れかに記載の皮膚外用剤の1回塗布量が収容されている、容器入り皮膚外用剤。
- 水を20〜95重量%、並びに、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、及び寒天を合計で0.5〜8重量%含む、60℃以上に加温した液状組成物を、複数の収容部を有する樹脂性容器の各収容部に流し込む、流し込み工程と、流し込んだ液状組成物を冷却し、ゲルを形成する工程と、を有する、容器入り皮膚外用剤の製造方法であって、
寒天の含有量が、0.4〜5重量%であり、
寒天の含有量と、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールの合計含有量の重量比が、1:50〜50:1であり、
ポリビニルアルコールの含有量と、ポリビニルピロリドンの含有量の重量比が、1:50〜50:1である容器入り皮膚外用剤の製造方法。
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