JP5962630B2 - アモルファス合金薄帯の製造方法 - Google Patents

アモルファス合金薄帯の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アモルファス合金薄帯の製造方法に関し、特に、磁気特性のばらつきを低減したアモルファス合金薄帯を製造する方法に関するものである。
インダクタや電力用トランスの鉄心等に使用されるアモルファス合金薄帯を製造する方法の1つに、冷却ロール法がある。この方法は、溶融金属を、その供給ノズルから回転する1つまたは複数の冷却ロールの表面に供給し、溶融金属を急冷凝固させてアモルファス合金薄帯を連続的に製造する方法である。
この冷却ロール法においては、溶融金属が冷却ロールに接触するロール周方向長さや接触時間等により冷却速度が求まり、冷却速度により製造されるアモルファス合金薄帯のアモルファス化の程度が決定される。すなわち、冷却速度が十分に大きい場合には、溶融金属の温度が凝固点温度以下まで低下し、良好な性状を有するアモルファス合金薄帯を得ることができる。これに対して、冷却速度が小さい場合には、製造されたアモルファス合金薄帯の一部に結晶部分が存在したり、あるいは溶融金属状態の部分が存在したりする場合がある。後者の場合には、所望の特性が得られないばかりでなく、性状が悪く、商品として不適なものとなる。
そのため、アモルファス合金薄帯を常に適切な冷却条件下で製造するための様々な提案がなされている。例えば、特許文献1には、タンディッシュ内に溶融金属の重量をオンタイムで測定する手段を設け、測定された溶融金属の重量に基づいて供給ノズルからの溶融金属の供給圧力を制御することにより、供給ノズルと冷却ロールとの間に、常に一定の溶融金属溜まり(以下、「パドル」と称する)を保持し、全長に亘って均一な厚みを有するアモルファス合金薄帯を製造する方法が記載されている。
また、特許文献2には、供給ノズルと冷却ロールの表面との間の距離(以下、「供給ノズル・ロール間距離」と称する)を光学的に測定し、供給ノズル・ロール間距離が極大となる位置に供給ノズルを設定して、供給ノズルのスリットと冷却ロールの表面との平行状態として溶融金属を供給することにより、アモルファス合金薄帯を安定して製造する技術が記載されている。
さらに、溶融金属からの伝熱により冷却ロールの中央部において熱膨張が生じる、いわゆるサーマルクラウンへの対策も提案されている。例えば、特許文献3には、製造開始時から所定の時間が経過した後に、供給ノズル・ロール間距離を狭めることにより、板厚が均一なアモルファス合金薄帯を製造する技術が記載されている。また、特許文献4には、製造時にサーマルクラウン量を測定し、測定値に基づいて供給ノズル・ロール間距離を調整する技術が記載されている。
さらにまた、良好な品質のアモルファス合金薄帯を安定して製造するために、供給ノズル・ロール間距離の測定精度を向上させる技術も提案されている。例えば、特許文献5には、アモルファス合金薄帯の製造に先立って、光学的な方法、例えばレーザー計測等により供給ノズル・ロール間距離を測定するに当たって、冷却ロールを1m/s以上の周速度で回転させ、供給ノズル周囲と冷却ロールの表面の間に発生する高温気体を排除することにより、供給ノズル・ロール間距離の測定精度を向上させる技術が記載されている。
特開平8−257698号公報 特開平2−11250号公報 特開昭62−289355号公報 特開平1−218749号公報 特開平2−112855号公報
しかしながら、特許文献1〜5に記載された技術を用いてアモルファス合金薄帯を製造したところ、健全なアモルファス合金薄帯が製造される条件下であっても、特性、特に比透磁率や磁束密度等の磁気特性において、ばらつきが生じる場合があることが判明した。
そこで、本発明の目的は、磁気特性のばらつきを低減したアモルファス合金薄帯を製造する方法を提案することにある。
発明者は、上記課題を解決する方途について鋭意検討した。まず、製造されたアモルファス合金薄帯の磁気特性がばらつく原因を究明すべく、アモルファス合金薄帯の製造過程を詳細に調査した。その結果、以下の知見が得られた。
(a)供給ノズルの位置制御は正常に行われており、位置制御の条件やプログラム上の設定に問題はなかった。また、特性のばらつきは製造初期だけではなく、製造中にも発生しており、サーマルクラウンとは別の原因があり、この原因により供給ノズル・ロール間距離にばらつきが発生したと考えられた。なお、サーマルクラウンは、製造初期の溶融金属を供給ノズルからロール表面に吐出させる際に大きな熱膨張を発生させ、その後は常時一定の幅・厚みで製造を実施することより、熱膨張に変動はなくなり、そのためクラウンも変動しないこととなる。
(b)供給ノズル位置の調整量(供給ノズルの移動量)は、最大で60μmであった。
(c)供給ノズル位置の調整は、常にではなく散発的に発生し、冷却ロールの表面に対して研削および研磨処理を施した後や、ロール交換を行った直後に発生する場合があった。また、供給ノズル位置の調整が行われた冷却ロールの表面に対して研削および研磨処理を施すと、供給ノズル位置の調整が発生しなくなる場合もあった。
発明者は、上述したようにサーマルクラウンとは別の原因による供給ノズル・ロール間距離のばらつきに磁気特性のばらつきの原因があると推察し、上記供給ノズル・ロール間距離のばらつきが発生する原因について調査するために、製造装置のあらゆる箇所にカメラを配置し、装置の各部における製造データ(薄帯の張力、ロールの回転数等)を常時記録可能とした。供給ノズルの位置調整が入り、供給ノズル・ロール間距離に変動が発生した場合には、映像とともに製造データを参照できる状態の下でアモルファス合金薄帯を製造し、供給ノズルの位置調整が行われた原因を調査した。しかし、供給ノズル・ロール間距離の変動が発生したにもかかわらず、供給ノズルの位置調整の原因を特定することはできなかった。
そこで、薄帯の鋳造に的を絞り、供給ノズル・ロール間距離を拡大して観察できるように、遠距離から望遠して拡大することが可能なレンズと、さらに溶融金属が高輝度であることから溶融金属からの光を遮光する遮光手段とを備えた高速度カメラを用いて製造時の状態を録画し、撮影された画像を詳細に解析した。その結果、供給ノズル・ロール間距離が瞬間的に縮小しているフレームを発見した。そして、この距離の縮小が発生したアモルファス合金薄帯においては、上記した磁気特性のばらつきが発生していることが判明した。
発明者は、上記距離の縮小の原因について検討した。まず、上述したようにサーマルクラウンについては対策が施されているため、サーマルクラウンが原因ではない。また、冷却ロールの表面粗さについては、粗さ計を用いて粗さ測定を常時行い、ドレッシング手段により基準内の表面粗さとなるように調整されているため、冷却ロールの表面粗さが原因でもない。さらに、製造後においては、同様に表面の粗さを測定すると同時に、冷却ロールの表面からシリコーン樹脂を用いたレプリカ法によりレプリカを採取し、その表面に金属を蒸着させて、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope,SEM)等により熱影響等についても調査・管理している。その結果、製造前後によって大きな違いは見出せなかったため、これらの要因が原因ではない。
その他、ノズルを支持している架台も電動リニアシリンダにて昇降するシステムにより位置制御されており、供給ノズル・ロール間距離の制御と同時に制御を実施させるに伴い常時位置については確認しているため、架台の位置を調べてみても特に問題となるようなデータはなかった。
以上の結果を受けて、発明者は、上記距離の縮小の原因は、冷却ロールの偏心にあるのではないかと推測した。すなわち、冷却ロールは、アモルファス合金薄帯の製造装置に組み付ける際に、その最大偏心量が100μm以下となるように芯出しされている。この最大偏心量の、冷却ロールの直径に対する比は1.7/10000以下であり、冷却ロールは非常に高い精度で芯出しして製造装置に組み付けられている。
しかしながら、鋳造時の供給ノズル・ロール間距離は、製造するアモルファス合金薄帯によるが、数百μm程度に設定されるのが通例であり、供給ノズル・ロール間距離に対する最大偏心量の割合が大きく、最大偏心量が100μmの冷却ロールが回転すると、供給ノズル・ロール間距離は大きく変動することが予想される。
このような供給ノズル・ロール間距離の大きな変動に対して、供給ノズルの位置制御は十分に追従することはできない。すなわち、供給ノズルの位置制御は、熱膨張による冷却ロールの径の緩やかな時間変動(サーマルクラウン)には対応できるが、冷却ロールの偏心のような、瞬間的かつ非常に大きな距離変動に追従するのは困難である。こうしたことから、冷却ロールの偏心により、供給ノズル・ロール間距離が大きく変動してパドルに振動が発生した結果、磁気特性がばらついたアモルファス合金薄帯が製造されたと推測される。
発明者は、この推測を検証するために、冷却ロールを、ガタ殺しを用いてより高精度に芯出しして組み付け、冷却ロールの最大偏心量を低減した状態の下でアモルファス合金薄帯の製造を行った。その結果、磁気特性のばらつきのないアモルファス合金薄帯が得られた。ここに、冷却ロールの偏心が、磁気特性がばらついたアモルファス合金薄帯が製造された原因であることが判明した。
発明者はさらに、冷却ロールの最大偏心量と製造されたアモルファス合金薄帯の磁気特性との関係について詳細に調査した結果、最大偏心量に基づいて鋳造時の供給ノズル・ロール間距離を調整することにより、磁気特性のばらつきが抑制されたアモルファス合金薄帯が得られることを見出し、本発明を完成させるに到った。
すなわち、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)溶融金属を、その供給ノズルから回転する冷却ロールの表面に供給し、前記溶融金属を急冷凝固させてアモルファス合金薄帯を連続的に製造するに当たり、前記冷却ロールの最大偏心量に基づいて前記供給ノズルと前記冷却ロールの表面との間の距離を調整することを特徴とするアモルファス合金薄帯の製造方法。
(2)前記供給ノズルと前記冷却ロールの表面との間の距離y(μm)は、前記冷却ロールの最大偏心量x(μm)に関して以下の式(A)を満足する、前記(1)に記載の製造方法。
y≧5x−150 (A)
(3)前記冷却ロールの最大偏心量は60μm以下である、前記(1)または(2)に記載の製造方法。
(4)前記供給ノズルと前記冷却ロールの表面との間の距離は150μm以上800μm以下である、前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の製造方法。
本発明によれば、冷却ロールの最大偏心量に基づいて供給ノズルと冷却ロールの表面との間の距離を調整するようにしたため、磁気特性のばらつきが抑制されたアモルファス合金薄帯を製造することができる。
アモルファス合金薄帯製造装置の一例の模式図である。 図1に示した装置における供給ノズル付近の拡大図である。 冷却ロールの最大偏心量および供給ノズルと冷却ロールの表面との間の距離と、製造されたアモルファス合金薄帯の磁気特性との関係を示す図である。 供給ノズルと冷却ロールの表面との間の距離を測定する方法を説明する図である。 本発明に係るアモルファス合金薄帯の製造方法において使用した装置における冷却ロール付近の拡大図である。 本発明に係るアモルファス合金薄帯の製造方法において使用した装置におけるガタ殺しを示す図である。
以下、図面を参照して本発明を詳しく説明する。図1は、アモルファス合金薄帯製造装置の一例を示す図である。この図に示すアモルファス合金薄帯製造装置100は、タンディッシュ11内の溶融金属をノズルカセット22を介して供給する供給ノズル12と、該供給ノズル12から供給された溶融金属を冷却してアモルファス合金薄帯13とする冷却ロール14と、該冷却ロール14の表面を研削および研磨して冷却ロール14の表面の粗さを所定値以下に調整するドレッシング手段15とを備える。ここで、供給ノズル12とノズルカセット22は、ヒーター25により加熱され適切な温度に保持されている。
図2は、装置100における供給ノズル12付近の拡大図である。この図に示すように、タンディッシュ11内の溶融金属Mを、供給ノズル12から回転する冷却ロール14の表面に供給して、供給ノズル12と冷却ロール14の表面との間に常に一定のパドルPを保持しつつ、冷却ロール14上の溶融金属Mを急冷凝固させ、凝固して得られたアモルファス合金薄帯13に所定の張力をかけて巻き取ることにより、アモルファス合金薄帯13を連続的に製造することができる。その際、冷却ロール14の最大偏心量に基づいて供給ノズル12と冷却ロール14の表面との間の距離を調整することが肝要である。
上述のように、発明者は、製造されたアモルファス合金薄帯の磁気特性がばらつく原因が冷却ロール14の偏心にあること、また、冷却ロール14の最大偏心量に基づいて供給ノズル・ロール間距離を調整することにより、磁気特性のばらつきが抑制されたアモルファス合金薄帯を製造することができることを見出した。
図3は、冷却ロール14の最大偏心量および供給ノズル・ロール間距離と、製造されたアモルファス合金薄帯13の磁気特性との関係を示す図である。この図において、黒丸および黒三角は、磁気特性のばらつきが抑制されたアモルファス合金薄帯が得られたことを示しており、×は磁気特性がばらつくアモルファス合金薄帯が得られたことを示している。ここで、「アモルファス合金薄帯の磁気特性のばらつきが低減された」とは、800A/mの磁場中において磁束密度1.5T以上を確保するアモルファス合金薄帯(その際のさらに詳細な特性として、比透磁率1.5×10、なお、実際の最大比透磁率μ≧2×10、鉄損0.4w/kg(50Hz、1.5T))の製造が定常的に製造可能であることを意味している。
通常、アモルファス状態であれば、それぞれの元素が結晶のような規則性を持たずにばらばらの状態で固定されており、そのため規定する磁場を印加した場合、印加方向に関係なく、また磁壁の移動を妨げることなく移動できるため、所望の磁束密度に達することとなる。そのため、製造したアモルファス合金薄帯が規定の磁場で所望の磁束密度が確保されない場合、そのアモルファス合金薄帯に磁化容易軸が存在するか、磁壁をピンニングする何らかの原因が存在していることとなる。また所望の板厚となっておらず、磁束密度そのものが得られていない場合もある。このように、所望の磁束密度が得られない種々の原因があるが、測定によって得られた結果から製造されたアモルファス合金薄帯が商品としては不適となっていると言える。この場合、特性が得られないアモルファス合金薄帯について種々の調査をすれば、その原因が明らかとなり、例えば磁化容易軸が存在したり、磁壁のピンニングが存在したりする場合は結晶化が始まっている場合があり、X線回折法にて測定を実施すると結晶化にともない特性X線のピークが観察される。また、板厚が不十分である場合も磁束密度が不足し、それは光学顕微鏡、レーザー顕微鏡で表面観察をすると表裏面が滑らかではなく、一部薄くなっている箇所がある場合がある(この場合、冷却が不十分で結晶化を伴うことが多く、軟磁性材となっていないことが多い)。これらにより、製造後リコイリングラインでコイルを所望の重量に巻きなおす際に、オンライン検査で鉄損および透磁率を測定し、製造されたアモルファス合金薄帯コイルの良否を判断した場合、前述した値より劣っている場合では不良とする。またそれがコイル中に散在している場合は特性がばらついているとなる。この場合、かつ問題ない部分が小ロットに対応できるのであれば、製造したアモルファス合金薄帯を全量廃棄することなく、不良部位のみを切り捨てて、販売可能となる。これが歩留まりに直結することとなるため、その測定方法とともにリコイリングにおける良否部位の判断適用は非常に重要となる。
図3から明らかなように、冷却ロール14の最大偏心量が60μm以下の場合には、供給ノズル・ロール間距離の大きさに関わらず、磁気特性のばらつきが抑制された優良なアモルファス合金薄帯が得られていることが分かる。これに対して、冷却ロール14の最大偏心量が60μmを超える場合には、供給ノズル・ロール間距離の大きさ如何によって、磁気特性のばらつきが発生する。すなわち、冷却ロール14の最大偏心量が80μmの場合には、供給ノズル・ロール間距離が200μm以下の場合には磁気特性のばらつきのある不良なアモルファス合金薄帯が得られたが、供給ノズル・ロール間距離が300μm以上であれば、磁気特性のばらつきが抑制された良好なアモルファス合金薄帯が得られた。
また、冷却ロール14の最大偏心量が100μmの場合には、供給ノズル・ロール間距離が300μm以下の場合には磁気特性のばらつきのある不良なアモルファス合金薄帯が得られたが、供給ノズル・ロール間距離が400μm以上であれば、磁気特性のばらつきが抑制された良好なアモルファス合金薄帯が得られた。
つまり、冷却ロール14の最大偏心量に基づいて、供給ノズル・ロール間距離を調整することにより、磁気特性のばらつきが抑制されたアモルファス合金薄帯が得られることが分かる。具体的には、図3に示した結果から、供給ノズル12と冷却ロール14の表面との間の距離y(μm)が冷却ロール14の最大偏心量x(μm)に関して以下の式(A)を満足する場合には、磁気特性のばらつきが抑制された良好なアモルファス合金薄帯13を製造することができる。
y≧5x−150 (A)
冷却ロール14の最大偏心量は、冷却ロール14を装置100に組み付ける際の芯出しに大きく影響される。しかし、芯出しは通常、冷却ロール14の軸の向きを調整するねじ(図示せず)で行うのが通例であるため、冷却ロール14の最大偏心量を所定の値に設定するのは困難である。そこで、冷却ロール14を装置100に組み付けた際に冷却ロールの最大偏心量を測定し、求められた最大偏心量に基づいて、上記式(A)を満足するように、ノズル・ロール間距離を調整することが好ましい。
供給ノズル・ロール間距離は、レーザー距離計、渦流計等の非接触センサーを用いて測定することができる。図4は、例としてレーザー距離計を用いて供給ノズル・ロール間距離を測定する様子を示す図である。レーザー距離計23は投光機23aと受光機23bからなり、供給ノズル12の端部と冷却ロール14間にレーザー光を通すことによりギャップ測定を可能とし、供給ノズル・ロール間距離を測定することができる。センサーは、例えば、冷却ロール14の台16上に高さ調節用の支持台を配置し、この支持台上に配置するのが望ましい。冷却ロール14の台16上の支持台の配置は、センサーが供給ノズル・ロール間距離を測定できるような位置に適宜決めればよい。
また、冷却ロール14の最大偏心量は、例えば、渦流計や三角測量を応用したレーザーセンサー、超音波センサー等を用いて、各位置における冷却ロール14の偏心量を測定することができる。なお、その際に用いるセンサーとして、例えば、渦流計は渦電流式変位センサーとも呼ばれ、高周波発生コイルと検知コイルからなり、導体が近づいた際に導体に発生した渦電流から位相変化を測定することにより位置を測定する方法と、一個のコイルから自己のインピーダンスの変化を測定することにより位置を測定する方法がある。どちらも導体であれば、周囲の雰囲気に依存せずに測定することが可能である。また、反射型の超音波センサーは、反射波の検知時間により距離を測定する方法である。
冷却ロール14の最大偏心量の低減は、冷却ロール14の芯出しの精度を向上させる手段を設けることにより行うことができる。図5は、本発明に係るアモルファス合金薄帯の製造方法において使用した装置における冷却ロール付近の拡大図である。この図において、台16上に設置されたハウジング17内に、調心手段18を介してロールチョック19が配置されており、このロールチョック19のベアリング19aに冷却ロール14の軸14aが挿入されて、冷却ロール14が回動可能に構成されている。また、ハウジング17の上面および側面に加速度センサー20が設けられており、この加速度センサー20により測定されたハウジング17の加速度に基づいて、調心手段18により、冷却ロール14の軸14aの芯出しを調整できる。また、ロールチョック19のベアリング19aを精密級のものとしている。その際に可能であれば円筒軸受けとすることが望ましい。このような構成により、冷却ロール14の最大偏心量を100μmに低減することができる。
さらに、図6に示すように、冷却ロール14とハウジング17との間にガタ殺し24を設けることにより、冷却ロール14の偏心量を60μm以下に低減することができる。
冷却ロール14の最大偏心量が60μm以下の場合には、不規則な振動の発生を低減して吐出した溶融金属MのパドルPを安定させることができるとともに、ロールの回転に伴う周囲の雰囲気の流れの乱れを低減することができ、板厚が均一なアモルファス合金薄帯として磁気特性(透磁率、鉄損)のばらつきを低減できる。
また、供給ノズル・ロール間距離は、150μm以上800μm以下とすることが好ましい。ここで、150μm以上とすることにより、所望の大きさを有するパドルPを形成して保持し、パドルPを冷却させすぎてノズルを閉塞させることなく、アモルファス合金薄帯を安定して製造することができる。また、800μm以下とすることにより、供給ノズル12から吐出された溶融金属Mのジェットが乱れる前に冷却ロールに到達可能となる。同時に大きな問題となる溶融金属Mの縮流の問題も回避できる。上述したように、一般的に冷却が弱い場合、アモルファス化が十分ではなく結晶化が行われ、所望の磁気特性が得られない。しかしながら、十分な冷却速度が存在する場合でも、あまりにも厚い層が形成される場合、溶融金属Mの表層部の粘度が弱くなり、気流および振動等で容易に吹き飛ばされることになる。そのため、液体の粘度の小さい部位が吹き飛ばされて逆に厚みが不足したり、形状が良好でなかったりする場合がある。流体には表面張力が存在し、ノズルから吐出されたジェットは縮流することになる。スリット形状にロールに吐出させたジェットについては供給ノズル端部において、距離が長い場合、縮流が発生し、端部において厚くなり過ぎる場合がある。そのため、これを防ぐためにも上記の距離以下にすることが望ましい。
上記した以外の製造条件、例えば、供給ノズル12から冷却ロール14の表面に供給される溶融金属Mの供給圧力や、冷却ロール14の回転速度等は、製造されるアモルファス合金薄帯13の要求に応じて適切に設定すればよい。
こうして、比透磁率や磁束密度等の磁気特性のばらつきが抑制されたアモルファス合金薄帯を製造することができる。
(発明例1)
図1に示した銅製の冷却単ロールを有する装置100に、図5に示した構成を適用した装置を用いて、アモルファス合金薄帯をFe-Si-B-Mn系のアモルファス合金薄帯を製造した。まず、Fe82Si10B7Mn1(atomic%)の原料を高周波溶解炉により溶解し、得られた溶融金属を供給ノズルから回転する冷却ロールの表面に供給して溶融金属を急冷凝固させ、幅150mm、厚さ25μmのアモルファス合金薄帯を200kg製造した。その際、供給ノズル・ロール間距離を200μmとし、冷却ロールの回転数は、板厚が25μmで一定となるように制御した。製造中、渦流計により冷却ロールの最大偏心量を測定したところ、60μmであった。
(発明例2)
発明例1における装置に、図6に示したガタ殺しをさらに設けた装置を用いて、アモルファス合金薄帯をFe-Si-B-Mn系のアモルファス合金薄帯を製造した。その他の条件は発明例1と全て同じである。製造中、渦流計により冷却ロールの最大偏心量を測定したところ、45、35および27μmであった。
(比較例)
発明例1と同様に、Fe-Si-B-Mn系のアモルファス合金薄帯を200kg製造した。ただし、製造は図1に示した装置により行った。その他の条件は発明例1と全て同じである。製造中、渦流計により冷却ロールの最大偏心量を測定したところ、80および100μmであった。
<磁気特性の評価>
発明例1および2、ならびに比較例の磁気特性のばらつきを評価するために、それぞれに対して比透磁率および磁束密度を1000mごとに測定してそれぞれの平均値を求め、所期した比透磁率からのずれを評価した。ここで、比透磁率の測定は、得られたアモルファス合金薄帯をコイルから切り出しエプスタイン試験片を作製し、エプスタイン試験によりB−H曲線、ヒステリシス損、透磁率、鉄損等を測定した。その際、単一のアモルファス合金薄帯に対する測定値およびリコイルラインに対する測定値の平均値を求め、得られた値を比透磁率の測定値とした。その結果、所期した比透磁率が2×10であるのに対して、発明例1の比透磁率は2.5×10(平均値)、発明例2の比透磁率は2.8×10(平均値)、比較例の比透磁率は2.0×10(平均値)であった。
一方、磁束密度の測定は、800A/mの磁場を印加して、同様にエプスタイン試験により測定した。その結果、発明例および比較例の磁束密度は、双方ともに1.5T以上(平均値)であった。
また鉄損については、50Hz、1.5Tで、比較例では0.42W/kgであったのに対し、発明例1では0.39W/kg、発明例2では0.38W/kgであった。
このように、発明例1および2と比較例とでは、磁束密度の差はほとんどなかったが、発明例1および2の比透磁率は比較例よりも大きく、発明例1および2の方が、比較例よりも所期した比透磁率からの低下が小さいことが分かる。また、発明例1と発明例2とを比較すると、発明例2の比透磁率が発明例1よりも大きく、比較例2に用いた装置により冷却ロールの最大偏心量をさらに低減して、所期した比透磁率からの低下をさらに抑制できることが分かる。
本発明によれば、冷却ロールの最大偏心量に基づいて供給ノズルと冷却ロールの表面との間の距離を調整するように構成し、磁気特性のばらつきが抑制されたアモルファス合金薄帯を製造することができるため、製鉄業において有用である。
11 タンディッシュ
12 供給ノズル
13 アモルファス合金薄帯
14 冷却ロール
14a 軸
15 ドレッシング手段
16 台
17 ハウジング
18 調心手段
19 ロールチョック
19a ベアリング
20 加速度センサー
21 断熱レンガ
22 ノズルカセット
23 レーザー距離計
23a 投光機
23b 受光機
24 ガタ殺し
25 ヒーター
100 アモルファス合金薄帯製造装置
M 溶融金属
P パドル

Claims (2)

  1. 溶融金属を、その供給ノズルから回転する冷却ロールの表面に供給し、前記溶融金属を急冷凝固させてアモルファス合金薄帯を連続的に製造するに当たり、
    前記冷却ロールの最大偏心量に基づいて前記供給ノズルと前記冷却ロールの表面との間の距離を調整し、
    前記供給ノズルと前記冷却ロールの表面との間の距離y(μm)は、前記冷却ロールの最大偏心量x(μm)に関して以下の式(A)を満足することを特徴とするアモルファス合金薄帯の製造方法。
    y≧5x−150 (A)
  2. 前記供給ノズルと前記冷却ロールの表面との間の距離は150μm以上800μm以下である、請求項に記載の製造方法。
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