〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る視軸制御装置のジャイロアライメントシステムの構成例を示している。図1に示す構成は一例であって、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
図1に示す視軸制御装置のジャイロアライメントシステム2は、本開示の視軸制御装置のジャイロ検出補正方法を実行する手段の一例である。このジャイロアライメントシステム2には、撮像装置4の視軸の指向機能および機体6の動揺に対する空間安定化機能を備えた視軸制御装置8、発光手段10およびジャイロ12が含まれる。このジャイロアライメントシステム2では、発光手段10から発せられた基準光が視軸制御装置8を介して撮像装置4に入射された状態を利用して、機体6の動揺に対するジャイロ12のアライメントを行う。
撮像装置4は、撮像対象の静止画像や動画像を撮影する手段の一例である。この撮像装置4は機体6上において、視軸制御装置8に対して所定の位置に固定されている。この撮像装置4には、視軸制御装置8によって視軸が指向されてその画像が取り込まれる。またこの撮像装置4は、たとえば図示しない表示手段に接続されている。そしてこの表示手段には、撮像装置4が取り込んだ画像が表示される。
機体6は、船舶や航空機などの構造体であり、撮像装置4、視軸制御装置8、ジャイロ12が固定設置される。また、固定設置された各要素は、角度や位置の関係は保持されている。また、通常、アライメント調整は、機体本機に搭載する前に、各要素間の角度や位置関係を保持する筐体において実施されることから、筐体を意味していると考えてもよい。また、本発明の説明においては、機体6は、模擬的に動揺を印加する手段である。すなわち、この機体6には、たとえば基準軸として、水平面上の2軸にロール(ROLL)軸(x軸)およびピッチ(PITCH)軸(y軸)、およびこれらの直交するヨー(YAW)軸(z軸)が設定されている。機体6は、各基準軸を中心として軸回りに回動し、動揺することで、撮像装置4、視軸制御装置8およびジャイロ12を傾斜させる。製造工程や調整工程における上記のアライメント調整では、機体6としてたとえば視軸制御装置8およびジャイロ12が設置されて、角度や位置関係を保持する筐体を動揺試験機上に搭載して行われる。
視軸制御装置8は、本開示の視軸制御装置の一例である。視軸制御装置8は、撮像装置4の視軸を撮像対象に向けて指向させるとともに、機体の6の動揺に対して視軸のブレを無くす空間安定化機能を有する。視軸制御装置8は、たとえば撮像装置4の撮像方向の前面側に配置される偏向手段14と、この偏向手段14を制御する制御部16で構成される。偏向手段14は、たとえば視軸制御装置8に対して所定の方向に入射された光や像を取り込み、撮像装置4側に向けて偏向させる。
偏向手段14は、たとえば2枚のウェッジプリズムで構成されている。これらのウェッジプリズムは、撮像装置4の視軸を通過させるように視軸方向に並べて近接させている。視軸制御装置8では、これらのプリズムを所定の軸回りに回転させることで撮像装置4の視軸を偏向させる。また、視軸制御装置8では、空間安定化処理として、ジャイロ12からの動揺検出結果に基づいて偏向手段14を動作させることで、撮像装置4の視軸を機体6の動揺から独立させている。
制御部16は、偏向手段14を制御しており、たとえばジャイロ12からの動揺検出情報を取り込み、この動揺量に基づいて偏向手段14に対して制御情報を生成する。また、ジャイロ12のアライメント処理では、制御部16は、撮像装置4に取り込まれた画像に基づいて入力された変位量を取り込んで、ジャイロ12の検出補正情報の演算を行う。そして、制御部16は、ジャイロ12からの検出情報に対し、演算した検出補正情報を付加して偏向手段14に対する制御情報を生成する。制御部16は、この制御情報に基づいてジャイロ12の検出情報が補正され、偏光手段14の偏向量が制御される。
ジャイロ12は、機体6に設置されて、その傾斜角度または傾斜角速度を検出する慣性センサの一例である。このジャイロ12には、たとえば検出方向を示す独立した検出軸として、水平面上の2軸にX1軸およびY1軸が設定され、これら2軸に直交してZ1軸が設定されている。
また、視軸制御装置8には、たとえば偏向手段14によって指向された視軸に固定される独立した視軸方向軸として、水平面上の2軸にX2軸およびY2軸が設定され、これら2軸に直交してZ2軸が設定されている。この視軸方向軸は、たとえば撮像装置4の視軸を指向させるために外部から入力された視軸角指令によって、所定の方向に指向された視軸を基準にして設定される。
発光手段10は、ジャイロ12のアライメントを取るための基準光を発光する手段であり、たとえばコリメータなどを利用する。この発光手段10は、偏向手段14に対して正対状態に配置され、たとえば機体6の基準軸の内の1つであるロール軸(x軸)に平行な基準光を発光する。発光手段10による発光方向は、たとえば撮像装置4に取り込まれた基準光を含む画像情報に基づいて調整すればよい。
偏向手段14では、発光手段10から発せられた基準光を取り込み、この基準光を含む像を撮像装置4側に向けて偏向する。このとき偏向手段14は、基準光を機体6に固定された撮像装置4に対して所定の基準位置に向けるように偏向することで、偏向手段14に設定された視軸方向軸と機体6の基準軸とが一致した状態となる。この基準位置は、たとえば撮像装置4の視軸中心に設定すればよい。
このジャイロアライメントシステム2では、基準光を取り込んだ画像を利用し、ジャイロ12の検出軸に対する補正情報を演算する。この補正情報の演算処理は、たとえば基準軸毎の機体6の動揺に対して実行される。これにより、空間安定化処理を実行した視軸制御装置8の視軸ブレに基づいて、ジャイロ12の検出軸と、機体6の基準軸および撮像装置4の視軸とを一致させる。
図2は、ジャイロアライメント制御処理の一例を示している。図2に示す処理内容、処理手順は、本開示の視軸制御装置のジャイロ検出補正方法、またはジャイロ検出補正プログラムの一例である。
この制御処理では、発光手段10から発光された基準光を撮像装置4側に向けて偏向させる(S1)。偏向手段14は、たとえば機体6の基準軸であるx軸方向に正対状態に配置された発光手段10から平行に発せられた基準光を取り込む。そして、偏向手段14は、取り込んだ基準光を撮像装置4の基準位置に向けて指向させる。
動揺手段を構成する機体6は、基準軸毎に動揺処理を行う(S2)。この動揺処理では、たとえば1つめのアライメントとして、基準光の光軸および偏向手段14の視軸を一致させたx軸まわりに機体6を動揺させる。この動揺処理により、視軸制御装置8では、たとえばy軸方向およびz軸方向について視軸が回転しないように視軸の空間安定化処理を行う。
視軸制御装置8の制御部16は、視軸制御装置8の空間安定化機能を動作させると、ジャイロ12が検出した動揺量の検出情報を取り込む(S3)。そして制御部16は、ジャイロ12の検出情報に基づき、機体6の動揺に対して視軸を安定化させるための制御情報を演算する。そして偏向手段14は、制御部16が生成した制御情報に基づいて視軸を偏向させるように動作する。
撮像装置4では、偏向手段14によって偏向された基準光を含む画像を取り込み、この画像を図示しない表示手段に表示する。このとき、たとえば入射された基準光の光点が機体6の動揺に応じて移動し、または回転している場合には、制御部16は、この光点を画像の基準位置で安定化させるための変位量を取り込む(S4)。この変位量は、たとえば視軸制御装置8に設置された図示しない入力手段によって入力される。
このジャイロアライメントシステム2では、既述のように機体6の基準軸に対して基準光の入射方向と偏向手段14による視軸方向とを一致させている。そして撮像装置4に取り込んだ基準光が画像内で移動することは、視軸に対してジャイロの検出軸にズレが生じていることになる。
そこで、制御部16では、ジャイロ12の検出情報に対する検出補正情報を演算し(S5)、この検出補正情報によって視軸制御を行う。これにより、視軸制御装置4は、機体6に固定されたジャイロ12の検出軸について、視軸に対する座標変換を行う。
アライメントシステム2では、上記のS2〜S5の処理について、機体6のx軸方向の動揺に対するアライメントを行ったのち、たとえばy軸まわりまたはz軸まわりのアライメントを行う。
この視軸制御装置8では、アライメント処理によって演算したジャイロ検出補正情報を記憶する。そして、視軸制御装置8は、たとえば撮像装置4およびジャイロ12とともに実際の機体6に設置された際に、ジャイロ12の検出情報とジャイロ補正情報とに基づいて偏向手段14の視軸制御を行う。
斯かる構成によれば、撮像装置4が設置された機体6に対して平行な光を利用して、視軸制御装置8は、ジャイロ12の検出補正情報を演算するので、少ない工程でジャイロ12のアライメントが行える。また、撮像装置4に取り込んだ光を含む画像情報によってアライメントが行えるので、設定作業の簡易化が図られる。機体6と、撮像装置4や視軸制御装置8との間で、個別の調整を行わないので、多段階の調整処理による検出誤差の発生を防止でき、視軸制御装置の空間安定化機能に対する信頼度が高められる。
〔第2の実施の形態〕
図3は、第2の実施の形態に係るストラップダウン方式による視軸制御の構成例を示している。図3に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
図3に示す視軸制御システム20は、機体22上に撮像装置4、ジャイロ12、視軸制御機構24およびプリズム25を備えている。この視軸制御機構24およびプリズム25は、既述の偏向手段14の一例であり、視軸制御機構24によって撮像装置4の視軸を偏向する。は、本開示の視軸制御装置8は、視軸制御機構24およびプリズム25を含んで構成されている。この視軸制御機構24は、ジャイロ12によって検出した機体22の動揺による傾斜角度または角速度情報などの検出情報に基づいてプリズム25を指向させて視軸の空間安定化を図る。
この視軸制御装置8の空間安定化処理では、ジャイロ12の検出座標系(X1―Y1―Z1)の検出状態によって、視軸制御装置8の視軸方向座標系(X2−Y2−Z2)の指向精度が左右される。そこで、視軸制御装置8は、ジャイロ12の検出座標系と視軸制御装置8の視軸方向座標系を一致させるアライメントを行う。
図4は、視軸制御システムの機能構成例を示している。
図4に示す視軸制御システム20は、撮像装置4の視軸の指向や機体22の動揺に対する視軸の空間安定化を図るために視軸制御機構24に対する視軸角制御を行う。視軸制御システム20は、視軸制御機構24に対する空間安定化処理の実行のON/OFFを切替える切替部38を備えている。視軸制御機構24は、たとえば制御部24−1および機構部24−2を含んで構成されている。視軸制御システム20は、切替部38をONにすることで機体の22の動揺に対して視軸を空間安定化させる制御を実行する。ジャイロ12のアライメント処理において、たとえば視軸方向座標系と光軸との設定段階では、空間安定化処理をOFF状態にしている。
視軸制御システム20は、ジャイロアライメント設定装置50(図5)によって入力される動揺制御や基準光を利用してジャイロ12の検出情報に対する補正情報の演算を行う。具体的には、視軸制御システム20は、基準光を含む画像情報を利用し、ジャイロ12の検出座標と視軸方向座標を一致させるための座標変換情報を設定する。
視軸制御システム20による視軸角コマンドの生成機能の構成について説明する。視軸制御システム20には、たとえば機体22の動揺によって、以下の機体動揺レートが加えられる。
この機体動揺レートは、たとえば機体22に設定された基準軸x軸、y軸またはz軸を基準に示されている。
ジャイロ12では、加えられた機体動揺レートを検出する。ジャイロ12による検出情報は、以下のジャイロ方向座標系で示す。
このジャイロ方向座標系で示す検出情報は、具体的に慣性空間に置かれたジャイロ12が検出した物理量を示している。
ジャイロ12が検出した検出情報は、視軸制御装置8の制御部16に取り込まれる。制御部16には、たとえば既述の切替部38とともに、アライメント補正座標変換部26、角度増分演算部28、逆行列演算部30、回転マトリクス計算部32を含んで構成される。また、制御部16には、行列演算部34、座標変換行列−オイラー角変換部36、メモリ部40、オイラー角−座標変換行列変換部42を含んで構成される。この制御部16では、ジャイロ12によって検出された動揺情報を利用し、この機体22の動揺を空間座標に対してキャンセルするための動揺補正情報を生成する。
アライメント補正座標変換部26は、ジャイロ12による検出情報に対して補正情報を付加する機能部の一例である。このアライメント補正座標変換部26による補正では、たとえば、ジャイロ方向座標系で検出された検出情報について、視軸方向座標系に座標変換させる演算処理を行う。この座標変換行列は、たとえば次式で表す。
このジャイロ−視軸方向座標変換行列は、たとえばジャイロ12に対するアライメントが設定されない場合には、次式に示す単位行列Eが設定されている。
そして、アライメント補正座標変換部26では、ジャイロ12の検出値に対するアライメント処理により、以下の補正情報が付加された動揺検出情報が演算される。
角度増分演算部28では、たとえば機体22の動揺によって増加する角度を算出する。この算出処理では、たとえばジャイロ12による動揺検出時間Δtを取り込み、動揺検出情報に付加して角度の増加量を算出する。動揺検出時間Δtは、たとえば図示しない計時手段などから取り込めばよい。
逆行列演算部30では、たとえばジャイロ12の検出情報に基づいて算出した機体22の動揺による傾斜角度に対抗するための制御情報を示す逆行列を演算する。ここで算出された演算情報は、たとえば次式で表す。
回転マトリクス計算部32では、逆行列演算部30から演算情報を取り込み、動揺情報の回転マトリクスを算出する。この回転マトリクスは、たとえば以下の式で表す。
である。
行列演算部34では、算出した回転マトリクスを取り込み、座標変換行列を算出する。この座標変換行列は、たとえば以下の式で表す。
となる。
ここで算出された座標変換行列は、座標変換行列−オイラー角変換部36によって、視軸制御機構24に対する動揺補正指令に変換される。この動揺補正指令は、たとえば、次式に示すように、プリズム25に対する姿勢角度として、それぞれRL角、EL角、AZ角が設定される。オイラー角は、たとえば回転させる軸やその順序に基づいてそれぞれ異なる定義が設定されており、その定義毎に表される座標が異なる。そのため、本発明のアライメント処理では、オイラー角の定義を統一させる必要がある。具体的には、座標変換行列−オイラー角変換部36と後述するオイラー角−座標変換行列変換部42との間では、オイラー角について同一の定義を利用する。なお、以下に示す式は、所定のオイラー角の定義に基づいて設定された一例であり、座標変換行列−オイラー角変換部36による設定がこの式に限定されるものではない。オイラー角の他の定義に基づいて変換処理の式を利用してもよい。
切替部38が切替えられ、空間安定化機能がONになると、ここで算出された動揺補正指令は、たとえばメモリ40に記憶されるとともに、オイラー角−座標変換行列変換部42によって座標変換行列に変換される。そして、この座標変換行列は、行列演算部34に対してフィードバックされ、検出された動揺情報と組み合わせて次の動揺補正指令が生成される。切替部38がOFFの場合には、フィードバックされる座標変換行列は、視軸角指令に従った行列となる。たとえば図4に示すように視軸角指令が全て0の場合には、単位行列となる。
そして、動揺補正指令を含む視軸角コマンドに基づいて視軸制御機構24を機能させ、機体動揺レートを物理的に積分43した値の動揺角度θが打ち消されることで、視軸の空間安定化が図れる。この視軸制御システム20では、機体22の動揺に対するジャイロ12の検出情報の適正化を図るために、アライメント補正座標変換部26の変換行列を設定する。
視軸制御システム20では、所定の視軸角に設定された視軸制御機構24において得られる視軸に平行に入射させる基準光を利用してアライメント制御を行う。空間安定化を動作させた視軸制御装置22では、ジャイロ12の検出情報によって発生した画像のブレに対し、この画像ブレが発生しない状態に補正情報を設定することでアライメントをとる。
図5は、ジャイロのアライメント設定装置の構成例を示している。
図5に示すジャイロアライメント設定装置50は、視軸制御システム20の機体22の動揺座標に対して平行に照射される基準光を利用して、ジャイロのアライメントの設定処理を行う。このジャイロアライメント設定装置50には、たとえば基準光を発光する発光手段であるコリメータ54や、機体22を基準軸座標系(x−y−z)において動揺させる動揺試験機56を備える。
ジャイロ12のアライメント処理において、プリズム25は、機体22の基準軸の内、ロール軸(x軸)に対して平行に設定されている。また、プリズム25は、基準光の発光方向に視軸方向座標系のX2軸(図6)が合わせられている。
<基準光の発光方向と動揺試験機x軸との調整処理>
図6は、基準光の発光方向と動揺試験機x軸との調整状態を示している。図6に示すコリメータ54は、基準光の発光による光軸が動揺試験機56の基準座標のx軸と平行になるように設置位置および発光方向が設定される。コリメータ54の発光方向の調整処理は、プリズム25を通じて撮像装置4に取り込まれた基準光の光点を含む画像情報に基づいて行われる。
図7に示す画像情報60には、入射された基準光の光点62が表示される。コリメータ54の設定処理では、動揺試験機56を基準軸のx軸まわりに動揺させ、この動揺に対して画像情報60内の光点62が移動しないように設置方向が調整される。このとき視軸制御装置のプリズム25などを通して、撮像装置4に十分な光量が導かれるようにコリメータ54の設置位置を適宜調整する。この光点62は、動揺試験機56を動揺させると、基準光の光軸と動揺試験機56のx軸とが平行でなければ、入射方向に応じて回動する。これにより、画像情報60内には、光点62の軌跡64が生じる。この調整処理では、たとえば光点62の軌跡64が生じないようにコリメータ54を基準軸のピッチ軸(y軸)方向またはヨー軸(z軸)方向に調整する。この調整処理ではたとえば、コリメータ54を図示しない2軸のあおり調整機構に搭載してもよく、または図示しないスペーサなどを用いてその傾きを調整してもよい。
<基準光の発光方向と視軸の調整処理>
以上の調整処理により、基準光の発光方向と動揺試験機56の基準軸(x軸)とを一致させる。これにより、視軸方向座標系(X2−Y2−Z2)は、基準光の発光方向と動揺試験機56の基準軸座標系(x−y−z)とを介して、ジャイロ座標系(X1−Y1−Z1)に関連づけられることでアライメント処理が行える。
<ピッチ軸、ヨー軸まわりのアライメント処理>
図8は、ジャイロのロール検出軸を、ピッチ軸、ヨー軸まわりにアライメント処理する原理の一例を示している。
このアライメント処理では、動揺試験機56の基準軸座標方向の動揺に対するジャイロ12に設定されたジャイロ方向座標系を調整する。
この調整処理では、アライメント補正座標変換26おいてジャイロ−視軸方向座標変換行列を以下のように変更する。
この式においてたとえば「Cyaw」は、「cos(yaw)」を示し、「Syaw」は、「sin(yaw)」を示している。そして、この調整処理では、式中の「yaw」、「pitch」の値が変更される。
図8に示す視軸制御機構24およびプリズム25は、視軸の空間安定化機能を動作させ、ジャイロ12が検出する機体22の傾斜に応じて視軸制御機構24に対する動作制御を開始させる。空間安定化を開始(ON)させるとともに、動揺試験機56を基準軸の1つであるロール軸(x軸)を基準軸として回動させて機体22をロール軸(x軸)に動揺させる。これにより、ジャイロ12にロール検出軸に対する動揺回転を検出させる。ジャイロ12のロール検出軸が動揺試験機56のロール軸と一致していない場合、ジャイロ12のロール検出軸をピッチ軸、ヨー軸方向に調整するため、数式10の「yaw」、「pitch」の値を変更する。
撮像装置4は、視軸制御装置8のプリズム25を介して基準光を含む画像を取り込む。図9に示す画像情報60には、基準光の光点62が表示される。ジャイロ12に設定されたジャイロ12のロール軸検出方向と機体22のロール動揺回転軸とが一致している場合、画像情報60に含まれる基準光の光点62は、静止状態となる。視軸方向座標系は、上記の設定処理によって基準光の発光方向および動揺試験機56の基準軸に一致している。したがって動揺する機体22に対し、撮像装置4の視軸は、視軸制御機構24の安定化する。
ジャイロ12ロール検出軸と動揺試験機のロール回転軸にズレがある場合、図9に示す画像情報60の光点62は、たとえばy軸および/またはz軸まわりに移動する画ブレが表示される。ジャイロのアライメント処理では、画像情報60において光点62が移動せず、たとえば基準位置として画像情報60の中心位置に静止状態になるように調整する。この調整処理では、たとえば図示しない視軸制御装置8に設置された入力手段に対して、光点62を基準位置に静止させる修正情報が入力される。この修正情報は、たとえば画像情報60の光点62をy軸方向および/またはz軸方向に移動させる情報であり、この修正情報に基づいて、変位量68が設定される。
視軸制御装置8は、入力された変位量68に基づいて、ジャイロ12の検出補正情報を演算する。この検出補正情報は、空間座標を基準に設定されたジャイロ方向座標系の検出情報を動揺試験機56の基準軸(x軸)に一致させる座標変換情報である。
<ロール軸まわりのアライメント>
図10は、ジャイロ12のピッチ検出軸(もしくはヨー検出軸)を、ロール軸まわりにアライメントする原理の一例を示している。
このアライメント処理では、視軸制御装置8によって空間安定化を実行させた状態で、動揺試験機56を基準軸の1つであるヨー軸(z軸)を中心に回動させて、機体22を基準軸方向のロール軸(x軸)方向に動揺させる。そして、撮像装置4は、視軸制御装置8のプリズム25を介して基準光を含む画像を取り込む。
図11に示す画像情報60には、たとえばロール軸(x軸)方向に基準光の光点62が移動して表示される。この光点62の移動は、たとえばジャイロ方向座標系と視軸方向座標系とが一致していないことによって生じる。
そこで、ジャイロのアライメント処理では、画像情報60において光点62が移動せず、たとえば基準位置として画像情報60の中心位置に静止状態になるように視軸を調整する。この調整処理では、たとえば図示しない視軸制御装置8に設置された入力手段に対して、光点62を基準位置に静止させる変位量70が入力される。変位量70は、たとえば画像情報60の光点62をx軸方向に移動させる情報である。
このロール軸まわりのアライメント処理において、図12に示すアライメント補正座標変換部26は、入力された変位量70に基づいてジャイロ−視軸方向座標変換行列を設定する。アライメント補正座標変換部26は、たとえば変位量70の値を変換処理し、ジャイロ−視軸方向座標変換行列の各パラメータ情報を設定する。
この時、アライメント補正座標変換行列は、以下のように表される。
となり、上記の式において、「roll」の値を変更する。また「yaw」、「pitch」の値は、前項で調整した値を使用すればよい。
なお、ロール軸まわりのアライメント処理では、ヨー軸(z軸)を中心に回動させる場合に限られず、ピッチ軸(y軸)を中心に回動させてもよい。
<画像内の空間安定化ポイントの位置調整処理>
以上の調整処理により、画像情報60内のコリメータ54の光点を基準として、ジャイロ座標系と視軸方向座標系との関連づけを行うことができる。しかし、この調整処理では、画像内に見えるコリメータ54の光点を基準としてアライメントしており、視軸方向座標系の原点方向は、ジャイロ座標系の基準方向と一致していない。すなわち、画像情報60内において、視軸制御によって空間安定化するポイントは、撮像装置4が取り込む画像の中心ではない。そこで、画像の中心で空間安定化させるための調整処理について説明する。
図13は、撮像装置4の視軸と基準光の光軸とを平行に調整する状態例を示している。この調整処理では、たとえば視軸制御機構24に対してオフセット角を設定することで、プリズム25による視軸の指向方向を設定する。視軸の調整では、たとえば図14に示すように撮像装置4によって取り込まれた基準光を含む画像情報60を利用し、光点62が画像情報60の基準位置としてたとえば中心に位置するようにオフセット角が設定される。
オフセット角は、図4の視軸角指令に以下のような値を入力することにより設定する。
このオフセット角は、ジャイロ座標系の原点方向と視軸方向座標系の原点方向のオフセットを意味している。したがって、この値を用いて、アライメント補正座標変換行列を以下のように設定する。
以上により、空間安定化ポイントを画像情報60の中心に位置調整することができる。
以上の設定処理により、動揺試験機56に平行に入力された基準光を基準に、ロール軸、ピッチ軸、ヨー軸まわりについてジャイロ方向座標系と視軸方向座標系を一致させることで、ジャイロのアライメントが設定される。
斯かる構成によれば、ジャイロの設置状態を変更させることなく、その検出座標の方向を基準軸および基準光の発光方向に補正する座標変換行列によってアライメントを行うので、調整工程を軽減できる。また、撮像装置に取り込んだ光を含む画像情報によってアライメントが行えるので、設定作業の簡易化が図られる。
〔第3の実施の形態〕
図15は、第3の実施の形態に係る視軸制御装置のハードウェア構成例を示している。図15に示す構成は一例であり、本発明が係る構成に限定されるものではない。また、図15において、図1ないし図14と同一部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
図15に示す視軸制御装置8は、撮像装置4の視軸を指向させる機能とともに、撮像装置4が設置された機体の動揺などによって視軸のブレを防止させる空間安定化機能を有する。視軸制御装置8には、たとえば偏向手段14を構成するダブルプリズム機構部80、ダブルプリズム制御部82などで構成されている。
ダブルプリズム制御部82は、ダブルプリズム機構部80に対して視軸角制御や動揺補正指令などを出力する。また、ダブルプリズム制御部82は、ジャイロ12の検出情報に対して検出補正情報を演算し、補正座標変換行列を設定するアライメント補正座標変換部26を構成する。ダブルプリズム制御部82は、たとえばジャイロ12のほか、撮像装置4の動作制御を行う撮像装置制御部84や入力手段86に接続されている。そして、算出された検出補正情報やダブルプリズム機構部80に設置されたセンサなどによる検出情報、または入力手段86から受信した情報は、たとえば記憶部92に格納される。
撮像装置制御部84は、たとえば視軸制御装置8のダブルプリズム制御部82に対して、コントロール信号などの送受信を行っている。このコントロール信号は、たとえば撮像装置4の視軸を撮像対象に対して追跡させるために視軸を偏向させる情報などが含まれる。
入力手段86は、たとえばダブルプリズム制御部82に対して制御情報を入力する手段である。この入力手段86は、たとえば既述のアライメント処理において、画像情報60に含まれる光点62の変位量68、70の入力に利用される。この入力手段86には、たとえばパラメータ計算設定部90、記憶部92を備えている。パラメータ計算設定部90は、たとえば入力された変位量68、70に基づきアライメント補正座標変換部26に対する設定情報の算定を行う。ここで算定された情報は、たとえばダブルプリズム制御部82の記憶部92に記憶される。
ダブルプリズム機構部80には、たとえば撮像装置4の視軸方向に平行にウェッジプリズム100、102が設置される。このウェッジプリズム100、102は、それぞれプリズム1回転機構104、プリズム2回転機構106を備えている。そしてウェッジプリズム100、102は、たとえば視軸回りにそれぞれ回転することで、視軸を任意の方向に偏向させることができる。
プリズム回転機構104、106には、たとえばそれぞれモータ108、114、モータアンプ110、116および角度センサ112、118が設置されている。そして、このモータアンプ110、116は、ダブルプリズム制御部82からの制御指示によって制御される。また角度センサ112、118の検出情報は、ダブルプリズム制御部82に取り込まれる。
図16に示す視軸制御装置8には、たとえばコンピュータで構成されたダブルプリズム制御部82と、ダブルプリズム機構部80などで構成される。
このダブルプリズム制御部82は、たとえば視軸角を生成する視軸角指令発生器120、視軸角−プリズム角変換器122、プリズム角1制御器130、プリズム角2制御器132を備える。このダブルプリズム制御部82は、撮像装置4に入射した基準光の入射位置を示す光点62と視軸との変位量68、70に基づいてジャイロの検出補正情報を演算する。そして、ダブルプリズム制御部82は、ウェッジプリズム100、102のいずれかまたは両方を回転させて視軸の偏向量が制御される。
視軸角コマンド発生器120は、たとえばジャイロ12の検出情報、外部入力情報や撮像装置制御部84またはその他の機能部からの視軸制御指示を受け、視軸制御装置8に対する視軸角コマンドを生成する機能部の一例である。この視軸角コマンド発生器120で生成された視軸角指令は、たとえば撮像装置4の視軸角を表した指示情報であり、視軸角−プリズム角変換器122に入力される。
視軸角コマンド発生器120には、たとえば補正部124、算出部126が構成されている。補正部124には、たとえばジャイロ12の検出情報に対してアライメントで設定した補正情報を付加する機能部である。また算出部126は、たとえば入力手段86のパラメータ計算設定部90から入力された変位量68、70などに基づいて、変換行列の演算など、動揺補正指令の算出を行う。
視軸角−プリズム角変換器122は、たとえばダブルプリズムで偏向させる視軸の偏向角度をウェッジプリズム100、102毎の制御情報に変換する機能部の一例である。この視軸角−プリズム角変換器122は、たとえば視軸角指令発生器120から受けた視軸角指令について、ウェッジプリズム100、102を回転させるためのプリズム角情報に変換する。
プリズム角1制御器130は、たとえばウェッジプリズム100に対する制御機能部である。プリズム角1制御器130には、変換されたプリズム角1指令が取り込まれる。また、プリズム角2制御器132は、たとえばウェッジプリズム102に対する制御機能部であり、変換されたプリズム角2指令が取り込まれる。
プリズム角1制御器130は、たとえば取り込んだプリズム角1指令に基づき、ダブルプリズム機構部80のモータアンプ110に対して印加すべき電圧や電流の指示を出力する。そしてモータ108の駆動により、たとえばプリズム1回転機構104によってウェッジプリズム100を回動させる。このウェッジプリズム100の回動によりプリズム角1の応答が発生する。このプリズム角1の応答情報は、角度センサ112によって検出され、プリズム角1制御器130側に通知される。
プリズム角2制御器132は、たとえば取り込んだプリズム角1指令に基づき、モータアンプ116に対して印加すべき電圧や電流の指示を出力してモータ114を駆動させ、たとえばプリズム2回転機構106を介してウェッジプリズム102を回転させる。このウェッジプリズム102の回転によりプリズム角2応答が発生する。このプリズム角2の応答情報は、角度センサ118によって検出され、プリズム角2制御器132側に通知される。
プリズム角1制御器130は、たとえば取り込んだプリズム角1応答情報に基づいて、モータアンプ110、モータ108に対するフィードバック制御を行ってもよい。また、プリズム角2制御器132は、たとえば取り込んだ各プリズム角2応答情報に基づいて、モータアンプ116、モータ114などに対するフィードバック制御を行ってもよい。
ダブルプリズム機構部80は、たとえばプリズム100、102の回転により生じたプリズム角1応答およびプリズム角2応答が組み合わさることで、偏向手段14による視軸角応答が設定される。
図17は、ダブルプリズム制御部82を構成するコンピュータの構成例を示している。
図17に示す視軸制御装置8には、視軸制御機構部80とともに制御部16として機能するコンピュータ140を備えている。このコンピュータ140は、たとえば視軸制御装置8のダブルプリズム制御部82を構成している。コンピュータ140は、たとえばプロセッサ142、メモリ144、RAM(Random Access Memory)146、入出力部147、148などで構成されている。またコンピュータ140には、たとえば入出力部147、148を介してジャイロ12、撮像装置制御部84、外部のコンピュータ150が接続している。
プロセッサ142は、たとえばメモリ144に記憶されているOS(Operating System)や入力された視軸角情報に基づいて、ウェッジプリズム100、102の回転制御を行うアプリケーションプログラムを実行する演算手段である。
メモリ144は、たとえばハードディスク装置などの記憶媒体で構成されている。メモリ144にはたとえば、ジャイロ12の検出情報などから視軸角コマンドを演算する視軸角コマンド発生器演算プログラム300、視軸角コマンドに従って視軸制御機構部80に対する制御情報を演算する視軸制御演算プログラム302などが格納されている。また、メモリ144には、アライメント補正座標変換行列などの設定パラメータ304や、角度センサ112、118で検出したプリズム角の応答情報などが格納される。
RAM146は、メモリ144に記憶されたプログラムを展開し、演算処理を行うなどのワークエリアを構成する。RAM146は、たとえばアライメント処理の実行時にメモリ144から視軸角コマンド発生器演算プログラム300や視軸制御演算プログラム302、設定パラメータ304などをロードする。これによりRAM146は、アライメント補正座標変換部26(図4)などとして機能する。また、角度センサ112、118で検出したプリズム角の検出情報やジャイロの検出情報などの応答情報、視軸制御機構部へ出力されるモータの電圧、電流指令情報などが格納される。これらの応答情報および指令情報は演算周期ごとに更新される。
第1の入出力部147は、たとえばプロセッサ142により制御され、生成されたモータの電圧、電流指令情報をダブルプリズム機構部80側に出力する。また、入出力部147は、たとえば角度センサ112、118から検出角度情報を取り込む。これにより、出力した視軸角と検出角度とを比較しフィードバック制御などに利用する。そのほか視軸制御装置8は、第1の入出力部147を介して撮像装置制御部84に接続される。この撮像装置制御部84は、たとえば表示手段152に接続している。表示手段152は、たとえば撮像装置4が取り込んだ画像を表示する手段である。この表示手段152は、たとえばジャイロ12のアライメント設定において、基準光の光点62を含む画像情報60が表示される。既述の基準光を利用したアライメント処理において、画像情報60を表示させる。
第2の入出力部148は、たとえばアライメント調整を行うための外部のコンピュータ150に接続するインターフェースの一例である。
なお、この表示手段152は、調整終了後、不要であれば取り外してもよい。
コンピュータ150は、視軸制御装置8のコンピュータ140で使用するプログラムや設定パラメータなどを作成する開発環境である。これは、コンピュータ140の第2の入出力部148を通じて、コンピュータ140の内部の各コンポーネントに接続される。
外部コンピュータ150内で作成された演算プログラムなどは、コンピュータ150内で実行形式に変換された後、視軸制御装置8のコンピュータ140に対し第2の入出力部148を通じて、メモリ144内に格納される。そして視軸制御装置8が起動し、コンピュータ140のプログラム動作開始の操作が行われると、メモリ144内に格納した各種プログラム300、302や設定パラメータ304がRAM上に展開される。
入力手段156は、たとえば外部コンピュータ150に対して数値情報を入力するキーボードなどで構成される。また、表示手段154は、外部コンピュータ150からの出力を表示するディスプレイなどで構成される。この入力手段156は、たとえばタッチパネルなどで構成し、表示手段1504と一体に構成してもよい。
その他、コンピュータ140には、たとえば外部機器やネットワークと接続可能にする通信機能などを備えてもよい。
図18、図19、図20は、ジャイロのアライメント処理に利用する動揺試験機の構成例を示している。
図18に示す動揺試験機56は、内部に被試験体162を載置する載置部160が構成されている。この載置部160は、たとえば被試験体162である視軸制御システム20が載置されて基準軸方向毎に動揺させる3軸ジンバル装置を構成している。動揺試験機56は、たとえば載置部160の周囲にヨージンバル164、ピッチジンバル166が形成されている。動揺試験機56は、たとえばジャイロアライメント処理において、ヨー軸(z軸)、またはピッチ軸(y軸)を中心に視軸制御システム20を動揺させる場合は、ヨージンバル164またはピッチジンバル166を動作させる。
また、図19に示す動揺試験機56は、たとえばヨージンバル164に直交方向のロール軸(x軸)方向に被試験体162を回動可能にするロールジンバル167が設置されている。また動揺試験機56は、たとえば背面側にコリメータ54を収納したり、動揺試験機56の制御機能などを備えるケース部168を備えている。
図20に示す動揺試験機56は、たとえば動揺試験機56に対する動作制御を入力する指令卓170が接続されている。この指令卓170は、たとえばコンピュータで構成された専用端末、または汎用PC(Personal Computer)であってもよい。動揺試験機56は、たとえば操作部172、3軸ジンバルを動作させる駆動部174などで構成されている。
操作部172は、たとえば指令卓170からの制御指示に応じて動揺試験機56の動作制御を行うPC176、商用電源などに接続されて給電する内部電源部178、サーボアンプ180、182、184などを備えている。PC176は、たとえば指令卓170からの入力操作によって駆動プログラム190を起動させ、動作切替部192を切替える。動作切替部192は、たとえば指令卓170からの自動駆動制御とその他の手動角度入力操作とを切替える手段である。
PC176からの動作指令は、ヨージンバル164を動作させる場合には、サーボアンプ180に指令が出力される。また、ピッチジンバル166を動作させる場合には、サーボアンプ182、ロールジンバル167を動作させる場合には、サーボアンプ184に指令が出力される。そして、PC176は、たとえば各サーボアンプ180、1182、184からヨー、ピッチ、ロール軸の角度情報を取り込む。
駆動部174には、たとえばヨージンバル164を駆動させるモータ200、ピッチジンバル166を動作させるモータ202、ロールジンバル167を動作させるモータ204が設置されている。モータ200は、サーボアンプ180との間で駆動のON/OFFなどの制御情報の送受信が行われる。また、モータ202は、サーボアンプ182との間で制御情報が送受信され、モータ204は、サーボアンプ184との間で制御情報が送受信される。その他、駆動部174には、たとえば緊急停止用のリミットスイッチ206が設置されている。
動揺試験機56は、ジャイロアライメント処理において、たとえば設定された所定角度に応じて、基準軸毎に動揺処理を実行する。このジャイロアライメント処理では、たとえば動揺試験機56を動作させる指令卓170と視軸制御装置8の制御部16とを連動させてもよい。また、視軸制御装置8の制御部16のコンピュータによって動揺試験機56の動作制御を行うようにしてもよい。
図21は、発光手段の構成例を示している。
ジャイロアライメント処理では、平行に照射される基準光を得るために、たとえばコリメータ(Collimator)54を利用する。図21に示すコリメータ54は、たとえば外部に光源210が配置され、コリメータ54の内部に配置された反射ミラー212で光を反射している。反射した光は、背面側に設置された凹面ミラー214に照射され、反射することで平行な光が照射される。
そして、視軸制御システム20では、コリメータ54から動揺試験機56に対して平行に照射された基準光を利用して、ジャイロ12の検出軸と撮像装置4の視軸とを一致させることで、ジャイロ12のアライメントを設定する。
図22、図23、図24、図25、図26および図27は、ジャイロのアライメント処理の一例を示すフローチャートを示している。図23ないし図27は、図22のサブフローを示している。図22ないし図27に示す処理手順、処理内容などは一例であって、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
図22に示すジャイロアライメント処理は、本開示の視軸制御装置のジャイロ検出補正方法、そのジャイロ検出補正プログラムの一例である。視軸制御システム20では、アライメント設定準備処理として機体22のロール軸(x軸)と視軸の調整処理を行う(S11)。そして、動揺試験機56を動作させるとともに、視軸制御システム20は、空間安定化機能を動作させる(S12)。視軸制御システム20は、動揺する機体22に対し、平行に入射される基準光の画像を利用し、その画像の視軸がブレを起こさないように、ピッチ軸または、ヨー軸まわりのアライメントを設定する(S13)。
ピッチ軸または、ヨー軸まわりのアライメントが設定されると、動揺試験機56をピッチ軸またはヨー軸を中心に回動させ、この状態で視軸制御装置8は、空間安定化処理を行う(S14)。そして、視軸制御装置8は、この動揺に対しロール軸(x軸)まわりのアライメントを設定する。
図23に示すジャイロアライメント設定準備処理では、たとえば発光手段の照射方向と機体22のロール軸とを調整する(S21)。視軸制御システム20では、コリメータ54の設置状態を調整し、撮像装置4の画像情報60によって基準光と視軸を平行に設定する。また、視軸制御システム20では、撮像装置4に取り込んだ画像情報60により視軸に対して、基準位置に基準光が取り込まれるように視軸角の調整制御を行う(S22)。
図24に示すピッチ、ヨー軸まわりの空間安定化処理では、動揺試験機56の基準軸のうちロール軸(x軸)を中心に動揺試験機56を動揺させる(S31)。そして、視軸制御装置8は、ジャイロ12の検出情報を取り込み(S32)、この検出情報から視軸制御機構24に対する視軸の補正量を演算する(S33)。そして、視軸制御装置8の制御部16は、視軸制御機構24に対して動揺補正指令を出力する(S34)。
図25に示すピッチ、ヨー軸まわりのアライメント処理では、撮像装置4に取り込まれる画像情報を表示手段150に表示させ(S41)、表示画面60に含まれる基準光の光点62の移動を制止するように視軸の設定操作が行われる。視軸制御装置8は、光点62の移動を制止させるピッチ軸およびヨー軸まわりを調整した変位量68を取り込み(S42)、この入力された変位量68に応じて補正座標変換行列の演算を行う(S43)。視軸制御装置8のアライメント補正座標変換部26は、ジャイロ12の検出情報に補正座標変換行列を付加して補正した動揺補正指令を生成する(S44)。
図26に示すロール軸まわりの空間安定化処理では、動揺試験機56の基準軸のうちピッチ軸またはヨー軸を中心に動揺試験機56を動揺させる(S51)。そして、視軸制御装置8は、ジャイロ12の検出情報を取り込み(S52)、この検出情報から視軸制御機構24に対する視軸の補正量を演算する(S53)。そして、視軸制御装置8の制御部16は、視軸制御機構24に対して動揺補正指令を出力する(S54)。
図27に示すロール軸まわりのアライメント処理では、撮像装置4に取り込まれる画像情報を表示手段150に表示させ(S61)、表示画面60に含まれる基準光の光点62の移動を制止するように視軸の設定操作が行われる。視軸制御装置8は、光点62の移動を制止させるピッチ軸およびヨー軸まわりを調整した変位量70を取り込み(S62)、この入力された変位量70に応じて補正座標変換行列の演算を行う(S63)。視軸制御装置8のアライメント補正座標変換部26は、ジャイロ12の検出情報に補正座標変換行列を付加して補正した動揺補正指令を生成する(S64)。
〔他の実施の形態〕
(1)上記実施の形態では、基準光を利用したジャイロのアライメント処理において、基準光の光点62を含む画像情報60を表示手段150に表示し、たとえば利用者の入力操作によって視軸の変位量68、70が入力されているがこれに限られない。視軸制御システム20は、たとえば撮像装置4に取り込まれた光点62と基準位置である中心位置とを調整する変位量を画像解析などによって自動で設定してもよい。
(2)上記実施の形態では、発光手段としてコリメータ54を利用したがこれに限られない。平行光を照射できる手段であれば、たとえばレーザ光による発光手段を利用してもよい。
以上説明したように、本開示の視軸制御装置、視軸制御装置のジャイロ検出補正方法、およびそのジャイロ検出補正プログラムの好ましい実施形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。