JP5961931B2 - 複合半透膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液状混合物から選択的にその成分を分離する複合半透膜の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は多孔性支持膜上にポリアミドを主成分とする薄膜(分離活性層)を備え、高塩除去率でかつ高透水性の複合半透膜を製造する方法に関する。
現在市販されている複合半透膜としては、主に多孔性支持膜上にゲル層とポリマー層を架橋した活性層とを有するものと、多孔性支持膜上でモノマーを重縮合した活性層を有するものの2種類がある。中でも、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合によって得られるポリアミドからなる分離機能層を多孔性支持膜上に被覆して得られる複合半透膜が広く用いられている。
しかしながら、前記従来の複合半透膜は、高い透水性および塩除去率を有するが、未だ十分でなく、さらに高い塩除去率を維持したまま透水性を向上させることが、効率面・経済面などから要求されている。また、逆浸透膜として用いる場合には、高圧力での長時間運転においても上記の膜性能を維持できることが要求される。
これらの要求に対し、アシル化触媒を用いて界面重縮合反応を行う方法(特許文献1)や、界面重縮合反応を行う際に溶解度パラメーターが8〜14(cal/cm31/2である化合物を存在させる方法(特許文献2)、形成された複合半透膜に、過硫酸化合物水溶液を接触させる方法(特許文献3)及び次亜塩素酸ナトリウム水溶液を接触させる方法(特許文献4)が提案されているが、これらの方法は製膜時に大量の薬剤を使用するため、地球環境への負荷が増大する問題がある。
また、特許文献5および6ではポリアミドを形成する界面重縮合反応の際に、濃度の異なる多官能酸ハロゲン化物溶液を2段階で塗布し、膜性能を向上させる方法が提案されているが、前記要求に到達するレベルの複合半透膜を得られていないのが現状である。
特開昭63-12310号公報 特許第3023300号公報 特許第3111539号公報 特開2005-246207号公報 国際公開第99/01208号パンフレット 特開昭63-178805号公報
本発明では、経済的な負担や廃液処理への負荷を軽減しつつ、高い塩除去率と透水性を有する複合半透膜の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、多孔性支持膜上で多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物を接触させてポリアミド分離機能層を形成する方法において、多孔性支持膜に多官能アミンを含む水溶液を接触させた後、多官能酸ハロゲン化物を含む溶液を接触させる前に、多官能酸ハロゲン化物を含まない液体Aを接触させることを特徴とする複合半透膜の製造方法である。
本発明によれば、高い塩除去率と透水性を有する複合半透膜の製造方法を提供することができる。
本発明は、高い塩除去率を維持したまま透水性を向上させる方法である。
本発明において複合半透膜は、実質的に分離性能を有する分離機能層が、実質的に分離性能を有さない多孔性支持膜上に接触されてなる。前記分離機能層は多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との反応によって得られるポリアミドからなるものである。ここで多官能アミンは脂肪族多官能アミンと芳香族多官能アミンの少なくとも1つの成分からなる。
脂肪族多官能アミンとは、一分子中に2個以上のアミノ基を有する脂肪族アミンであり、好ましくはピペラジン系アミンおよびその誘導体である。例えば、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、2-メチルピペラジン、2,6-ジメチルピペラジン、2,3,5-トリメチルピペラジン、2,5-ジエチルピペラジン、2,3,5-トリエチルピペラジン、2-n-プロピルピペラジン、2,5-ジ-n-ブチルピペラジンなどが例示され、性能発現の安定性から、特に、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジンが好ましい。
また、芳香族多官能アミンとは、一分子中に2個以上のアミノ基を有する芳香族アミンであり、特に限定されるものではないが、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、1,3,5-トリアミノベンゼンなどがあり、そのN-アルキル化合物としてN,N-ジメチルメタフェニレンジアミン、N,N-ジエチルメタフェニレンジアミン、N,N-ジメチルパラフェニレンジアミン、N,N-ジエチルパラフェニレンジアミンなどが例示され、性能発現の安定性から、特にメタフェニレンジアミン、1,3,5-トリアミノベンゼンが好ましい。
多官能酸ハロゲン化物とは、一分子中に2個以上のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物であり、上記多官能アミンとの反応によりポリアミドを与えるものであれば特に限定されない。多官能酸ハロゲン化物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,3-ベンゼンジカルボン酸、1,4-ベンゼンジカルボン酸の酸ハロゲン化物を用いることができる。酸ハロゲン化物の中でも、酸塩化物が好ましく、特に経済性、入手の容易さ、取扱い易さ、反応性の容易さ等の点から、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸の酸ハロゲン化物であるトリメシン酸クロリドが好ましい。上記多官能酸ハロゲン化物は単独で用いることもできるが、混合物として用いてもよい。
多官能酸ハロゲン化物を溶解する溶媒は、水と非混和性であり、かつ多孔性支持膜を破壊しないことが好ましく、架橋ポリアミドの生成反応を阻害しないものであればいずれであっても良い。代表例としては、液状の炭化水素、トリクロロフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられるが、オゾン層を破壊しない物質であることや入手のしやすさ、取り扱いの容易さ、取り扱い上の安全性を考慮すると、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘプタデカン、ヘキサデカンなどの直鎖脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロオクタン、エチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、1-オクテン、1-デセンなどの不飽和脂肪族炭化水素が好ましく、これらの単体あるいは混合物が好ましく用いられる。
次に、複合半透膜の好ましい製造方法について説明する。複合半透膜中の実質的に分離性能を有する分離機能層は、例えば、前述の多官能アミンを含有する水溶液と、前述の多官能酸ハロゲン化物を含有する、水とは非混和性の溶液を用い、後述の多孔性支持膜上で接触させ界面重縮合をさせることにより形成される。
ここで、多官能アミンを含有する水溶液における濃度は、0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜15重量%である。0.1重量%より低いと分離機能層の形成が見られず、20重量%を超えると生成するポリアミドが嵩高くなり望ましい膜性能が得られない。
多官能アミンを含有する水溶液や多官能酸ハロゲン化物を含有する溶液には、両成分間の反応を妨害しないものであれば、必要に応じて、アシル化触媒や極性溶媒、酸捕捉剤、界面活性剤、酸化防止剤等の化合物が含まれていてもよい。
本発明において多孔性支持膜は、実質的にイオン等の分離性能を有さず、実質的に分離性能を有する分離機能層に強度を与えるためのものである。孔のサイズや分布は特に限定されないが、例えば、均一で微細な孔、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面まで徐々に大きな微細孔を持ち、かつ、分離機能層が形成される側の表面で微細孔の大きさが0.1 nm以上100 nm以下であるような支持膜が好ましい。
本発明に使用する多孔性支持膜は、ミリポア社製”ミリポアフィルターVSWP”(商品名)や、東洋濾紙社製”ウルトラフィルターUK10”(商品名)のような各種市販材料から選択することもできるが、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No. 359(1968)に記載された方法に従って製造することができる。
多孔性支持膜に使用する材料やその形状は特に限定されないが、例えばポリエステルまたは芳香族ポリアミドから選ばれる少なくとも一種を主成分とする布帛(基材)により強化されたポリスルホンや酢酸セルロースやポリ塩化ビニル、あるいはそれらを混合したもの(多孔性支持体)が好ましく使用される。使用される多孔性支持体の素材としては、化学的、機械的、熱的に安定性の高いポリスルホンを使用するのが特に好ましい。具体的に例示すると、ポリスルホンのジメチルホルムアミド(以下、DMFと記載)溶液を、密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に略一定の厚さに塗布し、ドデシル硫酸ソーダ0.5重量%DMF2重量%を含む水溶液で湿式凝固させることによって、表面の大部分が直径数10 nm以下の微細な孔を有した好適な多孔性支持膜を得ることができる。
上記の多孔性支持膜の厚みは、複合半透膜の強度およびそれをエレメントにしたときの充填密度に影響を与える。十分な機械的強度および充填密度を得るためには、多孔性支持膜の厚みは50〜300 μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは100〜250 μmの範囲内である。また、そのうちの多孔性支持体の厚みは、10〜200 μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは30〜100 μmの範囲内である。
多孔性支持膜の形態は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡、原子間顕微鏡により観察できる。例えば走査型電子顕微鏡で観察するのであれば、基材から多孔質支持体を剥がした後、これを凍結割断法で切断して断面観察のサンプルとする。このサンプルに白金または白金−パラジウムまたは四塩化ルテニウム、好ましくは四塩化ルテニウムを薄くコーティングして3〜6 kVの加速電圧で高分解能電界放射型走査電子顕微鏡(UHR-FE-SEM)で観察する。高分解能電界放射型走査電子顕微鏡は、日立製S-900型電子顕微鏡などが使用できる。得られた電子顕微鏡写真から多孔性支持体の膜厚や表面孔径を決定する。なお、本発明における厚みや孔径は平均値を意味するものである。
多孔性支持膜表面への多官能アミンを含有する水溶液の接触は、該水溶液が表面に均一にかつ連続的に接触されればよく、公知の塗布手段、例えば、該水溶液を多孔性支持膜表面にコーティングする方法、多孔性支持膜を該水溶液に浸漬する方法で行えばよい。次いで、過剰に塗布された該水溶液を液切り工程により除去する。液切りの方法としては、例えば膜面を垂直方向に保持して自然流下させる方法等がある。液切り後、膜面を乾燥させ、水溶液の水の全部あるいは一部を除去してもよい。
本発明の方法は、多官能酸ハロゲン化物を含む溶液を接触し反応させる前に、多官能酸ハロゲン化物を含まない液体Aを塗布することを含む。液体Aの塗布方法については特に限定されるものではなく、例えばバーコーター、ダイコーター、グラビアコーター、スプレー等による方法を適宜採用することができる。ここで、液体Aの塗布厚は特に限定されないが、多官能酸ハロゲン化物を含む溶液と接触する直前の塗布厚は0.1 mm以下であることが好ましい。直前の塗布厚が大きくなると、多官能酸ハロゲン化物を含む溶液を接触させた際、反応界面の多官能酸ハロゲン化物が液体Aによって希釈され、界面重縮合反応の進行が不十分になり、結果として膜性能の低下につながる。
液体Aは、多官能酸ハロゲン化物を含まず、また、多孔性支持膜を破壊しないものであれば特に限定されるものではない。代表例としては、液状の炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル等であって前記所定の性質を有するものが挙げられる。中でも、オゾン層を破壊しない物質であることや入手のしやすさ、取り扱いの容易さ、取り扱い上の安全性を考慮すると、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、エチルシクロヘキサン、1-オクテン、1-デセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、ナフタレン、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、メチルベンジルアルコール、クレゾール、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、アニソール、エチルベンジルエーテル、ジベンジルエーテル、オキセタン、オキソラン、オキサン、ジオキソラン、ジオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ビニルアルデヒド、メタクリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、エチルプロピルケトン、ジアセトンアルコール、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどが挙げられる。これらの中でも、特に前記炭化水素類、前記アルコール類、前記ケトン類が好ましい。これらの化合物は単独で用いてもよく、もしくは2種類以上併用してもよい。中でも多官能酸ハロゲン化物溶液に用いている溶媒と同一の液体を用いれば、使用薬剤の種類の低減につながるため、さらに好ましい。必要に応じて、アシル化触媒や酸捕捉剤、界面活性剤、酸化防止剤等の化合物が含まれていてもよい。
なお、本発明において、多官能酸ハロゲン化物を含まないとは、例えば液体Aに、多官能酸ハロゲン化物を多官能カルボン酸に変換する公知の加水分解処理を行った後、高速液体クロマトグラフィーまたはイオンクロマトグラフィーなどを用いて液体A中の多官能カルボン酸の濃度を定量したときに、検出限界(つまり1 ppm)未満であることを指す。
その後、前述の液体Aが塗布された多孔性支持膜に、前述の多官能酸ハロゲン化物を含有する溶液を塗布し、反応により架橋ポリアミドの分離機能層を形成させる。
溶液中の多官能酸ハロゲン化物の濃度は、0.01〜10重量%の範囲内であると好ましく、0.02〜2.0重量%の範囲内であるとさらに好ましい。この範囲であると、十分な反応速度が得られ、また副反応の発生を抑制することができる。さらに、この溶液にN,N-ジメチルホルムアミドのようなアシル化触媒を含有させると、界面重縮合が促進され、さらに好ましい。
多官能酸ハロゲン化合物の溶液を接触させて界面重縮合を行い、多孔性支持膜上に架橋ポリアミドを含む分離機能層を形成した後は、余剰の溶媒を液切りするとよい。液切りの方法は、例えば、膜を垂直方向に把持して余剰の溶媒を自然流下して除去する方法を用いることができる。この場合、垂直方向に把持する時間としては、1〜5分間の間にあることが好ましく、1〜3分間であるとより好ましい。短すぎると分離機能層が完全に形成せず、長すぎると溶媒が過乾燥となり欠点が発生しやすく、性能低下を起こしやすい。
上述の方法により得られた複合半透膜は、50〜150℃の範囲内、好ましくは70〜130℃の範囲内で1〜10分間、より好ましくは2〜8分間熱水処理する工程などを付加することで、複合半透膜の溶質阻止性能や透水性をより一層向上させることができる。
このように形成される本発明の複合半透膜は、プラスチックネットなどの原水流路材と、トリコットなどの透過水流路材と、必要に応じて耐圧性を高めるためのフィルムと共に、多数の孔を穿設した筒状の集水管の周りに巻回され、スパイラル型の複合半透膜エレメントとして好適に用いられる。さらに、このエレメントを直列または並列に接続して圧力容器に収納した複合半透膜モジュールとすることもできる。
また、上記の複合半透膜やそのエレメント、モジュールは、それらに原水を供給するポンプや、その原水を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いることにより、原水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例において、n-デカンは全て和光純薬工業株式会社製「n-デカン」特級を使用した。
膜の特性は、複合半透膜に、温度25℃、pH 6.5に調整した海水(塩濃度約3.5%)を操作圧力5.5 MPaで供給して膜ろ過処理を行い、透過水、供給水の水質を測定することにより、次の式から求めた。
(塩除去率)
塩除去率(%) = 100×{1 - (透過水中の塩濃度 / 供給水中の塩濃度)}
(膜透過流束)
供給水(海水)の膜透過水量を、膜面1平方メートルあたり、1日あたりの透水量(立方メートル)でもって膜透過流束(m3/m2/日)を表した。
(実施例1)
多孔性支持膜である布帛補強ポリスルホン支持膜(限外ろ過膜)は、次の手法により製造した。すなわち、単糸繊度0.5デシテックスのポリエステル繊維と1.5デシテックスのポリエステル繊維との混繊糸からなる、通気度0.7 cm3/cm2/秒、平均孔径7 μm以下の湿式不織布であって、縦30 cm、横20 cmの大きさのものを、ガラス板上に固定し、その上に、ジメチルホルムアミド(DMF)溶媒のポリスルホン濃度15重量%の溶液(20℃)を、総厚み210〜215 μmになるようにキャストし、直ちに水に浸漬してポリスルホンの多孔性支持膜を製造した。得られた多孔性支持膜をPS支持膜と記す。
このようにして得られたPS支持膜を、メタフェニレンジアミン(以下mPDAという)6.5重量%水溶液中に室温下2分間浸漬し、該支持膜を垂直方向にゆっくりと引き上げ、支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、n-デカンを液体Aとして膜表面にダイコーターを用いてコートし、60秒間静置した。(このときの塗布厚は0.064 mmであった。)そして、トリメシン酸クロリド(以下TMCという)0.175重量%を含むn-デカン溶液を、表面が完全に濡れるように塗布した。次に、膜を垂直にして余分な溶液を液切りして除去した後、膜面に残った溶媒を蒸発させるために、膜表面での風速が8 m/sとなるように、温度30℃の空気を1分間吹き付けた。得られた複合半透膜を上記条件で評価したところ、塩除去率は99.8%、膜透過流束は0.86m3/m2/日であった。
(実施例2〜10)
実施例1において、浸漬させるmPDAの濃度、その後塗布する液体A、さらに塗布するTMC溶液の濃度を下記の表1に記載の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様に複合半透膜を作製した。このようにして得られた複合半透膜の評価結果を下記の表1に示す。なお、混合溶媒(つまり液体A)における混合比はいずれも体積比である。
(比較例1)
実施例1において、液体Aを用いることなく、直ちにTMC0.175重量%を含むn-デカン溶液の塗布を行ったこと以外は、実施例1と同様に複合半透膜を作製した。このようにして得られた複合半透膜の評価結果を下記の表1に示す。
(比較例2〜6)
比較例1において、浸漬させるmPDA濃度およびその後塗布するTMC溶液の濃度を下記の表1に記載の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様に複合半透膜を作製した。このようにして得られた複合半透膜の評価結果を下記の表1に示す。
Figure 0005961931
実施例および比較例の結果から、ポリアミド分離機能層を形成する方法において、多孔性支持膜に多官能アミンを含む水溶液を接触させた後、多官能酸ハロゲン化物を含む溶液を接触させる前に、多官能酸ハロゲン化物を含まない液体Aを接触させることにより、高い塩除去率を維持したまま、透水性が向上した複合半透膜を得ることができる。

Claims (4)

  1. 多孔性支持膜上で多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物を接触させてポリアミド分離機能層を形成する方法において、
    多孔性支持膜に多官能アミンを含む水溶液を接触させた後、多官能酸ハロゲン化物を含む溶液を接触させる前に、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、キシレン、エタノール、イソプロピルアルコール、ジエチルエーテル、アセトン、酢酸から選ばれる1種類または2種類以上を混合した液体Aを接触させることを特徴とする
    複合半透膜の製造方法。
  2. 前記多官能アミン水溶液の濃度が0.1〜20重量%であり、前記多官能酸ハロゲン化物溶液の濃度が0.01〜10重量%である、請求項1に記載の複合半透膜の製造方法。
  3. 前記液体Aは、ヘキサンおよびデカンの少なくとも一方を50%以上またはエタノールを75%以上含む、請求項1または2に記載の複合半透膜の製造方法。
  4. 前記多官能アミンはメタフェニレンジアミンであり、前記多官能酸ハロゲン化物はトリメシン酸クロリドである、請求項1〜3のいずれかに記載の複合半透膜の製造方法。
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