以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、方向を示す場合には各図面中に記載した座標軸を用いることにする。
<第1実施形態>
この第1実施形態におけるステージ装置は、図1に示すように大きくはベース2と、そのベース2の上方(図のZ軸方向)に設けられたステージ3とから構成されている。ベース2およびステージ3は各々、磁性材料を用いて四角形のプレート状に構成されている。
ベース2の上面21およびステージ3の下面31は各々平面に形成されており、ベース2の上面21に対してステージ3の下面31が所定の間隔をもって平行になるように対向して配置されている。すなわち、ベース2の上面21およびステージ3の下面31はそれぞれ対向面となる。
また、ステージ3の上面32も平面として形成されており、図示しないワークを載置するために用いることができる。
ベース2の上面21には、その上面21の四角形を形成する四辺のうちの一対の対向する辺の中央部に、一対の第1の一次側磁束発生部4a、4aが設けられており、もう一対の対向する辺の中央部に一対の第2の一次側磁束発生部4b、4bが設けられている。
第1の一次側磁束発生部4a、4aはそれぞれZ方向より見て矩形状に形成されており、Y方向に所定距離を置いて平行に配置されるとともに、ステージ3に対してX方向の推力を与える向きに設けられている。同様に、第2の一次側磁束発生部4b、4bもそれぞれZ方向より見て矩形状に形成されており、X方向に所定距離を置いて平行に配置され、ステージ3に対してY方向の推力を与える向きに設けられている。すなわち、第1の一次側磁束発生部4a、4aは、対向面であるベース2の上面21およびステージ3の下面31に平行な第1の移動方向としての図中のX方向に沿うようにして、互いに平行に設けられており、第2の一次側磁束発生部4b、4bは、上記第1の移動方向に直交し、かつ、対向面であるベース2の上面21およびステージ3の下面31に平行な第2の移動方向としての図中のY方向に沿うようにして、互いに平行に設けられている。
ステージの下面31には、その下面31の四角形を形成する四辺のうちの一対の対向する辺の中央部に一対の第1の二次側磁束発生部5a、5aが設けられており、もう一対の対向する辺の中央部に一対の第2の二次側磁束発生部5b、5bが設けられている。
第1の二次側磁束発生部5a、5aおよび第2の二次側磁束発生部5b、5bは、それぞれY方向、X方向を長手方向とする直方体形状に形成されており、各々突極として上述の第1の一次側磁束発生部4a、4aまたは第2の一次側磁束発生部4b、4bに対向するようにして配置されている。これらの二次側磁束発生部5a〜5bは、一次側磁束発生部4a〜4bによって与えられる磁気の変化によってステージ3への駆動力として推力を与えられるものである。そのため、二次側磁束発生部5a、5a、二次側磁束発生部5b、5bは磁性材料を用いて形成することが必要であり、渦電流の発生による損失を抑えるためには積層鋼板や圧粉体として形成されることが好ましい。
なお、上述のように方向性が意味をもたず、構成や機能のみに着目して説明する場合には、単に一次側磁束発生部、二次側磁束発生部として称し、「第1の」「第2の」といった表現を省略することにする。
ベース2の上面21の中央部には円柱状の台座62が設けられるとともに、これと対向するようにしてステージの中央部にはエアベアリング61が設けられている。エアベアリング61は対向する台座62に向けてエアを噴出し、台座62との間で薄いエア膜を形成するようにして浮上力を生じさせる。そのため当該エアベアリング61は、ステージ3をベース2の上面21に対して垂直方向に支持するための垂直支持手段として作用するとともに、この支持方向に対して直交する方向に対しては低摩擦にすることができるようになっている。
なお、単純に垂直方向に支持するのみであれば、ベース2の上に大きさの等しい球体を複数個配置し、その上にステージ3を載せる方式の垂直支持手段も考えられるが、装置メンテナンスの容易化および低摩擦化のためには上記のようにエアベアリング61を用いるほうが好適である。
図2は、ベース2よりステージ3を上方に離間させた際の状態を示したものである。
ベース2の上面21に設けている一次側磁束発生部4a〜4bは、それぞれ磁石ユニット41a〜41bと、それらを各々巻回したコイル42a〜42bとから構成されている。なお、本実施形態において使用する一次側磁束発生部4a〜4bは、各々同一の構成を採るものを90°ずつ向きを変えるようにしたものである。
このように構成した一次側磁束発生部4a〜4bをベース2の上面21に十文字になるように配置して、それらの中央に台座62を設けてある。このとき、一次側磁束発生部4a〜4bの磁石ユニット41a、〜41bおよび台座62のステージ3に対向する面62aは、上面21に対して平行に形成し、かつ、略同一平面上になるようにしてある。
ステージ3の下面31に設けてある突極としての二次側磁束発生部5a〜5bは、上述したようにそれぞれ一次側磁束発生部4a〜4bに対向するように十文字になるように配置されているとともに、それらの中央にエアベアリング61がエア噴出面61aを下方にして設けられている。エア噴出面61aは、ステージ3の下面と平行になるようにして設けられているとともに、これと対向する台座62の上面62aもベース2の上面21と平行になるようにして設けられている。
また、二次側磁束発生部5a〜5bのベース2に対向する面は、各々下面31に対して平行に形成し、かつ、略同一平面上になるようにしてある。また、およびエアベアリング61のエア噴出面61aは、二次側磁束発生部5a〜5bのベース2に対向する面と平行で、かつ、ごく僅かに下方向に突出させた状態となるように設定してある。
上記のように形成しているため、ベース2の上面21に対して、ステージ3の下面31を対向させるようにして配置し、エアベアリング61から台座62に向かってエア63を噴出させステージ3を浮上させたとき、エアベアリング61と台座62の対向面が適切なエア排出条件でもって平行を保つならば、第1の一次側磁束発生部4a〜4bと、二次側磁束発生部5a〜5bの各対向面を平行に保つことができる。
なお、本実施形態においてはステージ装置1を作動させている間、エアベアリング61と台座62との隙間は10〜50μm程度にしつつ、一次側磁束発生部4a〜4bと、二次側磁束発生部5a〜5bとの各隙間は0.1〜1.0mm程度にすることができるようにしている。
本実施形態においては、エアベアリング61と対向してエア層を形成する台座62を円柱状に形成してあるが、エア層の形成を適切に行うことができる限りこの形態には限定されず、単なる四角形の板状に形成したものであってもよい。
図3(a)および(b)にベース2の平面図および正面図を示す。これらを用いて、一次側磁束発生部4a〜4bの構成について説明する。上述したように、一次側磁束発生部4a〜4bは全て同一の構成のものを、向きを変えたものに過ぎないため、ここでは図3(a)において上側にある第1の一次側磁束発生部4aを例にとって説明する。
第1の一次側磁束ユニット4aは上述したように、磁石ユニット41aと当該磁石ユニット41aを巻回すコイル42aから構成されている。磁石ユニット41aは直方体状のブロックとして構成された磁性材料からなる鉄心部22と、当該鉄心部22の上方に貼り付けられた大きさの等しい2つの板状磁石41a1、41a2とから構成されている。板状磁石41a1、41a2の上面は共同して磁極面43aを形成し、当該磁極面43aは上述したステージ3に対向する面として、上面21に対して平行になるように形成してある。鉄心部22は積層鋼板もしくは圧粉体として構成することも可能であり渦電流損失を低減するためには好適である。
板状磁石41a1、41a2はそれぞれ厚み方向に異なる磁極が形成されるようにして磁化されているとともに、互いに異なる磁極を上方向に向けて隣接して配置し、これらの2枚の板状磁石41a1、41a2によって、ほぼ正方形の磁極面43aを形成する。図3(a)中の上側に位置する磁石ユニット41aであれば、上側(Z方向)にN極を向けた板状磁石41a1を右側に配置し、上側(Z方向)にS極を向けた板状磁石41a2を左側に配置してある。
こうした磁石ユニット41aのうち上面がN極である板状磁石41a1からは外部に対して磁束が発せられ、上面がS極である板状磁石41a2には磁束が帰還する磁路が形成される。磁石ユニット41aを巻回すコイル42aは、給電することによって磁極面43aに対して垂直方向の磁場を発生させることが可能となっている。そのため、N極またはS極のいずれかの極性を強め、他方を弱めるようにして、上記板状磁石41a1、41a2より発せられる、または帰還してくる磁束のバランスを変更することができる。このようにして、対向する二次側磁束発生部5a(図2参照)に対して隣接する2つの板状磁石41a1、41a2の間で、上記の異なる磁極が隣接する方向に推力を発生させることが可能となる。
上記のものとは逆に、図3(a)中の上側に位置する磁石ユニット41aであれば、図3(b)の正面図からも分かるように、上側(Z方向)にN極を向けた板状磁石41a1を左側に配置し、上側(Z方向)にS極を向けた板状磁石41a2を右側に配置してある。すわわち、上述した磁石ユニット41aに対して180°回転させた位置関係にある。
また、第2の一次側磁束ユニット4b、4bであれば、図3(a)に示したとおり、上述の第1の一次側磁束ユニット4a、4aをベース2の中心を軸に回転させた形態になっており、異なる磁極をY方向に隣接するように配置してある。
図4(a)および(b)にベース2の底面図および正面図を示す。ただし、この図は図中の座標軸が示すように、通常使用する状態から左右方向に裏表を逆にしたものとして記載してある。
上述したように、二次側磁束発生部5a〜5bは直方体状に構成されるとともに、ベース2(図2参照)との対向する面、すなわち突極としての磁極面51a〜51bが下面31と平行で、かつ略同一平面となるように構成してある。
これらの二次側磁束発生部5a〜5bは非作動時における基準位置として、それぞれの中心が、図3における各一次側磁束発生部4a〜4bの磁極面43a〜43bの中心に合致するように構成されている。すなわち、各磁石ユニット41a〜41bが有する磁極の異なる板状磁石41a1、41a2(41b1、41b2)の境界線上、換言すれば異なる磁極間に対応する位置になるようにされている。これは、コイル22に通電しない状態においては、各方向への推力を発生させないように、磁気的にバランスのとれた位置に図4の二次側磁束発生部5a〜5bの位置を設定することが好ましいためである。
上記のような二次側磁束発生部5a〜5bの磁極面51a〜51bと対向する一次側磁束発生部4a〜4bの磁極面41a〜41bに対して小さく形成することが肝要である。
以下、図3および図4を用いつつ説明を行う。
第1の一次側磁束ユニット4aにおける磁極面43aは、上述したとおり四角形を形成している。その推力発生方向の辺の長さをS1として、これと直交する方向の長さをW1として定義する。同様に、これと対向する第1の二次側磁束ユニット5aにおける磁極面51aの大きさを、推力発生方向の辺の長さS2、これと直交する方向の長さをW2として定義する。
本実施形態においては、S2はS1の約1/2に設定しており、推力発生方向に最大限第1の二次側磁束発生部5aが動作した場合であっても磁極面51aはいずれかの板状磁石41a1、41a2と重なった位置となり、この間まで互いの磁極面41a、51aのオーバーラップする部分の面積が変わることなく、常に対向状態を保ったまま移動することができる。そのため、磁気ギャップに変化が無く、漏れ磁束の増大による効率の変化が生じることがない。
他方、推力の発生方向に直交する方向に対してみると、W1に対してW2が小さく形成されているため、この大きさの差の分だけ相対移動しても、この範囲内では磁極面41a、51aが互いにオーバーラップする部分の面積が変わらず、常に対向状態を保ったまま移動させることができる。そのため、磁気ギャップの変化および漏れ磁束の増大が生じないことになる。そのため、こうした領域では直交する第2の一次側磁束ユニット41b1によって発生する推力によって、自らが生じさせる推力発生方向とは異なる直交方向に相対移動させられたとしても、第1の一次側磁束発生部4aと第1の二次側磁束発生部5aとはこれらによって生じさせる推力に影響が及ばないため、良好な制御性を失わず精度良く位置決めすることが可能となっている。
以下、上記のように構成した本実施形態のステージ装置の動作原理について説明する。
図5(a)、図5(b)は、それぞれ図3におけるY1−Y1位置、Y2−Y2位置における断面図に、ステージ3側を加えて記載した模式図である。
まず、図5(a)を見ると、Y1−Y1位置における一次側磁束発生部4aでは、磁極面43aの表面が右側がN極、左側がS極になるように形成されている。このため、当該磁極面43aの異なる磁極間に中心位置が対応するようにして磁極面51aを磁気ギャップとしての隙間δ1でもって近接させた二次側磁束発生部5aとの間で、上記N極より磁極面51aに対して磁束が発せられる向きに、上記S極に向かって磁極面51aより磁束が与えられる向きに磁気回路が形成される。
このとき、図のように上方から見て時計回りの電流を与えることで、磁極面43aに対して下向きの磁界が発生する。そのため、上述のN極より磁極面51aに対する磁束は弱められ、S極に向かう磁極面51aからの磁束は強められる。従って、磁束の強まった図の左側に向けて二次側磁束発生部5aが引きつけられるようにして推力Fが発生する。
次に、図5(b)を見ると、Y2−Y2位置における一次側磁束発生部4aでは、磁極面43aの表面が右側がS極、左側がN極になるように形成されている。このため、磁気ギャップとしての隙間δ2でもって近接させた二次側磁束発生部5aとの間で、上記N極より磁極面51aに対して磁束が発せられる向きに、上記S極に向かって磁極面51aより磁束が与えられる向きに磁気回路が形成される。
このとき、図のように上方から見て反時計回りの電流を与えることで、磁極面43aに対して上向きの磁界が発生する。そのため、上述のN極より磁極面51aに対する磁束は強められ、S極に向かう磁極面51aからの磁束は弱められる。従って、磁束の強まった図の左側に向けて二次側磁束発生部5aが引きつけられるようにして推力Fが発生する。
上記のようにして、各々異なる方向の電流を与えることによって、Y1−Y1位置においてもY2―Y2位置においても同じ方向に推力を生じさせることができる。この場合には、磁束の発生する方向が異なるため、互いに磁性材料で構成されているベース2およびステージ3を通じて、磁束の帰還する閉ループを構成することができるために効率が高くなる。
また、上記とは逆の方向にそれぞれ電流を与えることによって、逆方向に推力を発生させることも可能である。Y1−Y1位置とY2−Y2位置で同方向の電流を与えて、互いに逆方向の推力を発生させることで、ステージ3をZ軸回りに回転移動させることも可能である。
上記のように構成したステージ装置は次のようにして動作させることが可能となる。以下、図6を用いて説明する。
ステージ3はベース2に対して、エアベアリング61の作用によって浮上状態となり、一次側磁束発生部4a〜4bと二次側磁束発生部5a〜5bとの吸引力との間でバランスをとりながら、僅かな浮上量を保ちつつ第1の移動方向としてのX方向と、これに直交する第2の移動方向としてのY方向に低摩擦で移動できるようになっている。
このような状態で、各一次側磁束発生部4a〜4bに電流を与えて磁束の方向を変化させることによって、これらと対向する二次側磁束発生部5a〜5bに推力F11、F12、F21、F22を発生させ、ステージ3を動作させることができるようになっている。
この時、図6(a)のように、対辺に設けられる第1の一次側磁束発生部4a、4aによって生じる推力F11とF12とを等しく与えることによって、ステージ3をX方向に平行に移動させることができる。また、第2の一次側磁束発生部4b、4bによって生じる推力F21とF22とを等しく与えることによって、ステージ3をY方向に平行に移動させることができる。
これらを組み合わせることで、ステージ3の向きを変えることなく、X、Yの任意の方向に移動させることができる。
さらに、図6(b)のようにして、対辺で発生する推力F11とF12とを同じ大きさで反対方向になるように制御することで、ステージ3の中心位置を変えることなく、Z軸回りの回転を行わせることもできる。これはF21とF22を上記と同じように制御することでも可能であるし、双方を協働して行わせても良い。
また、電流を与える向きだけではなく、大きさを変化させることによって、発生する推力の大きさをそれぞれ変化させることも可能である。そのため、X方向には大きく動かしつつY方向には僅かな量しか動かさないようにして斜行させる場合や、X、Y方向に移動させつつ、Z軸回りの回転動作を加える場合など、X方向、Y方向、Z軸回りの回転方向の3つの自由度でもって任意に動作させることが可能となる。本実施形態においては、X方向、Y方向、Z軸回りの回転方向の各方向に対するステージ3の必要な移動量を基に、第1の一次側磁束発生部4a、4aおよび第2の一次側磁束発生部4b、4bへの給電量を決定して制御するようにしている。
さらに、一次側磁束発生部4a〜4bと、これと対向する二次側磁束発生部5a〜5bとは、対向する磁極面43a〜43b、51a〜51b(図3、図4参照)が上記の移動方向と平行になるように構成されているために、これらによって形成される磁気ギャップ(図5のδ1、δ2)がステージ3の移動に際して変化しないため、漏れ磁束が増減することなく制御量が安定する。そのため位置精度を向上させることが可能となっている。
なお、X方向またはY方向への並進移動を行わせるだけで良ければ、それぞれの方向に沿って一次側磁束発生部4a、4bと二次側磁束発生部5a、5bのペアを一組ずつ設けるのみで足りる。さらに、回転移動を行わせるためには、XまたはY方向のいずれかのみに、一次側磁束発生部4a、4bと二次側磁束発生部5a、5bとのペアを一対平行に設けるだけでもよい。しかしながら、本実施形態では、X、Y方向それぞれに対で設け、矩形状に配置するようにしてある。これは一次側磁束発生部4a〜4bと二次側磁束発生部5a〜5bをそれぞれ、同一の構成とすることで、機器の製作を容易化するとともに、ステージ3の中心軸回りに対称な構成とすることで、機器の重量および推力の発生のバランスを取りやすくすることができ、より位置精度の向上に寄与することができるためである。
また、上記のように矩形状になるように配置することによって、第1の一次側磁束発生部4a、4aおよび第1の二次側磁束発生部5a、5aは、直交する第2の一次側磁束発生部の4b、4bおよび第2の二次側磁束発生部5b、5bによって互いに影響を受けることがない。そのため、X、Y方向の推力を相互に独立したものとして扱い制御することができ、より制御性が向上して位置精度が高まる。
さらに、本実施形態では、ベース2の側に電気配線が必要となる一次側磁束発生部4a〜4bを設け、ステージ3の側に電気配線が不要で軽量な二次側磁束発生部5a〜5bを設けているために、断線等の故障が少なく、機器の動作特性に優れたものとすることができる。
また、本実施形態では、エアベアリング61をステージ3の中央に配置していることで、移動にかかわらず常に重心位置を基点に浮上力を働かせることができるため、ベース2に対して傾きを生じることがない。
以上のように、本実施形態のステージ装置は、ベース2と、当該ベース2と対向するように垂直支持手段61を介して設けられたステージ3とを具備し、前記ベース2と前記ステージ3の相対する対向面に平行に前記ステージ3が移動可能に構成されたものであって、前記ベース2の前記ステージ3との対向面に平行な第1の移動方向に沿って複数の第1の一次側磁束発生部4a、4aが互いに平行に設けられるとともに、前記第1の移動方向と直交し、かつ、前記対向面と平行な第2の移動方向に沿って少なくとも一つの第2の一次側磁束発生部4bが設けられており、前記ステージ3の前記ベース2との対向面に、前記第1の一次側磁束発生部4aと前記第2の一次側磁束発生部4bに各々対向するようにして第1の二次側磁束発生部5aと第2の二次側磁束発生部5bとが設けられており、前記第1および第2の一次側磁束発生部4a、4a、並びに、前記第1および第2の二次側磁束発生部5a、5bの各磁極面が前記対向面と略平行に形成されるようにして構成したものである。
上記のように、ベース2とステージ3に各々一次側磁束発生部4a、4bと二次側磁束発生部5a、5bとを直接設ける構成としているため、装置の薄型化および小型化を図ることができる。また、直交方向に配置した第1および第2の一次側磁束発生部4a、4bにより与える磁界の変化によって、二次側磁束発生部5a、5bに推力を発生させることで、ステージ3をベース2に対して水平方向に移動させることや、垂直軸回りに回転させることができる。この際、第1および第2の一次側磁束発生部4a〜4bに形成した磁極面、並びに、第1および第2の二次側磁束発生部5a〜5bに形成した磁極面が全て対向面と略平行で、上記第1および第2の移動方向と平行になるために、ステージ3を移動または回転させた場合でも、互いに対向する一次側磁束発生部4a〜4bと二次側磁束発生部5a〜5bとの間で、磁気ギャップの大きさが変化せず適切に制御し続けることができ位置精度を向上させることができる。
また、前記第1および第2の一次側磁束発生部4a〜4bが、各々前記第1または第2の移動方向に沿って異なる磁極を配するようにして永久磁石を設けた磁石ユニット41a〜41bと、当該磁石ユニット41a〜41bの周囲を各々巻回して磁極面に対して垂直方向の磁界を与えるコイル42a〜42bとを備えているとともに、前記第1および第2の二次側磁束発生部5a〜5bの各々が鉄心からなる突極として構成されており、前記第1および第2の二次側磁束発生部5a〜5bにおける磁極面が、対向する第1または第2の一次側磁束発生部4a〜4bの磁極面よりも前記第1および第2の移動方向に小さく形成されるようにして構成しているため、一次側磁束発生部4a〜4bおよび二次側磁束発生部5a〜5bを各々単純な構成にして、よりコンパクトで安価な装置とすることができる。また、二次側磁束発生部5a〜5bは一次側磁束発生部4a〜4bと磁極面の大きさが異なる分、磁気ギャップを変えることなく相対移動することが可能であるため、より精度良く位置制御を行うことが可能となる。
さらに、給電を行わない非作動時において前記第1および第2の二次側磁束発生部5a〜5bの各磁極面の中心が、当該磁極面と対向する前記磁石ユニット41a〜41bの異なる磁極間に対応する位置になるように構成しているため、コイル42a〜42bに電流を流していない非作動時を、各二次側磁束発生部5a〜5bの位置を最も磁気的に安定した位置にすることによって、非作動時および作動時の動作位置の安定化を図ることができる。
また、前記第1および第2の一次側磁束発生部4a〜4bを前記ベース2側に設けるとともに、第1および第2の二次側磁束発生部5a〜5bを前記ステージ3側に設けるようにして構成しているため、電気配線の必要な一次側磁束発生部4a〜4bが固定側となって断線等の故障の発生を抑制できるとともに、可動側を軽量にすることによって動作速度を増大させることが可能となる。
また、前記第1および第2の一次側磁束発生部4a〜4bが各々一対ずつ設けられ、矩形状に配置されているとともに、前記第1および第2の二次側磁束発生部5a〜5bが各々一対ずつ設けられ、矩形状に配置するようにして構成しているため、ステージ3に対して磁力をバランス良く作用させることができるために制御性が良くなり、その結果位置精度を向上させることができる。
さらに、前記垂直支持手段が、前記ステージ3の前記ベース2との対向面の中央部に設けられたエアベアリング61であって、前記ベース2の前記ステージ3との対向面に対してエア63を噴出することで、前記ステージ3を前記ベース2に対して浮上させるように構成しているため、簡単な構成でベース2に対してステージ3を精度良く、かつ、低摩擦でもって支持させることができるとともに、各磁極間のギャップを適切に維持することができるため、動作精度をさらに向上させることができる。
<第2実施形態>
第2実施形態におけるステージ装置を図7に示す。上述した第1実施形態のステージ装置1と共通する部分については同じ符号を付して説明を省略する。
この実施形態では、ベース2の上面21の四隅に第1の補極171を、ステージ3の下面31の四隅に上記第1の補極171と対向するようにして第2の補極172を設けた点が第1実施形態と大きく異なっている。
図8は、ベース2よりステージ3を上方に離間させた際の状態を示したものである。
ベース2に対しては合計で四個の第1の補極171〜171が設けられており、これと対応するようにしてステージ3の下面31には第2の補極172〜172が設けられている。第1の補極171〜171および第2の補極172〜172は、それぞれ直方体状のブロックとして形成されており、各々対向するようにして配置されている。これらの第1の補極171〜171およびは第2の補極172〜172は磁性材料によって形成されるものであり、渦電流損失を避けるために、積層鋼板もしくは圧粉体として構成することも好適である。
図9(a)に示すように、第1の補極171〜171はそれぞれ上方から見て磁石ユニット41aとほぼ同じ大きさの正方形状に形成されており、上述したようにベース2の上面21の四隅に配置されている。さらに、図9(b)に示すように、第1の補極171〜171の上面171a〜171aは、磁極ユニット41aの上面(磁極面)43aに対して僅かに高さ方向の位置を低くして、かつ、平行となるように形成してある。
図10(a)および(b)に本実施形態におけるベース2の底面図および正面図を示す。ただし、この図は図中の座標軸が示すように、通常使用する状態から左右方向に裏表を逆にしたものとして記載してある。
図10(a)に示すように、第2の補極172〜172はZ軸方向から見て正方形の形状をしており、上述したようにステージ3の下面31の四隅に配置されている。また、この第2の補極172〜172は、第1の補極171〜171(図9参照)の形成する正方形よりもステージ3の移動ストロークと対応して小さく形成されている。さらに、図10(b)に示すように、各第2の補極172〜172の下面172a〜172aは、二次側磁束発生部5aの磁極面51aとほぼ同一の平面を形成するようにしてある。
この第2の実施形態に係るステージ装置101は、上記のように構成することで、次のようにして推力を発生させることができる。
以下、図11(a)および(b)を用いて説明を行う。図11(a)、図11(b)は、それぞれ図9におけるY3−Y3位置、Y4−Y4位置における断面図に、ステージ3側を加えて記載した模式図である。
図11(a)では、図5(a)のものに第1の補極171、171および第2の補極172、172を加えたものになる。すなわち、第1の一次側磁束発生部4aにおける磁束の発生については図5(a)の場合と何ら変わることがない。しかしながら、第1の一次側磁束発生部4aおよび第1の二次側磁束発生部5aと近接して、それぞれ第1の補極171、171および第2の補極172、172が設けられていることによって、磁束の通過する経路が構成されている点が異なる。
この場合においては、第1の一次側磁束発生部4aの磁極面43aに対して下向きの磁束が発生した場合、この第1の一次側磁束発生部4aの図中右側ではベース2から第1の補極171、第2の補極172、ステージ3までの間を通過するようにして磁束が帰還する反時計回りの磁路が形成される。また、第1の一次側磁束発生部4aの図中左側ではベース2から第1の補極171、第2の補極172、ステージ3までの間を通過するようにして磁束が帰還する時計回りの磁路が形成される。このようにして、各々磁性材料で形成されたベース2、第1の補極171、第2の補極172およびステージ3の間を通過する磁路が形成されることで、第1の一次側磁束発生部4aと第1の二次側磁束発生部5aの間で効率よく磁束を集中させることができる。
さらには、第1の補極171〜171、第2の補極172〜172の各磁極面171a〜171a、172a〜172aは、第1の一次側磁束発生部4aと第1の二次側磁束発生部5aとの間の間隔δ3よりも若干大きく設定してあるが、十分に近接して設けているために、漏れ磁束が生じにくく効率の向上に寄与している。
また、上記磁極面171a〜171a、172a〜172aは互いに平行であり、ステージ3のベース2に対する移動方向と平行にされているため、ステージ3が移動しても磁気ギャップとしての磁極面171a〜171aと172a〜172aとの間隔が変わることがない。また、第2の補極172〜172の磁極面172a〜172aが、第1の補極171〜171の磁極面171a〜171aよりもステージ3の移動ストローク分小さく形成されていることで、ステージ3が移動する範囲内では、第2の補極172〜172の磁極面172a〜172aと第1の補極171〜171の磁極面171a〜171aとがオーバーラップする部分の面積が変化しない。そのためにステージ3の移動に際して漏れ磁束の量が変化せず、同一の制御条件を維持することができる。これにより位置精度を向上させることができる。
図11(b)は、図5(b)のものに第1の補極171、171、第2の補極172、172を加えたものである。この場合においても、双方の磁極面171a〜171a、172a〜172aは、第1の一次側磁束発生部4aと第1の二次側磁束発生部5aとの間の間隔δ4よりも若干大きく設定されている。なお、δ4とδ3とは同じ大きさになるように設定している。
これも、図11(a)の場合と同様に、第1の一次側磁束発生部4aの磁極面43aに対して上向きの磁束が発生した場合、この第1の一次側磁束発生部4aの図中右側ではステージ3から第2の補極172、第1の補極171、ベース2までの間を通過するようにして磁束が帰還する時計回りの磁路が形成される。また、第1の一次側磁束発生部4aの図中左側ではステージ3から第2の補極172、第1の補極171、ベース2までの間を通過するようにして磁束が帰還する反時計回りの磁路が形成される。このようにして、磁路が形成されることで、第1の一次側磁束発生部4aと第1の二次側磁束発生部5aの間で効率よく磁力を生じさせることができる。
上記のような第1の補極171、171および第2の補極172、172は、磁路を形成するためのものであるため、ベース2またはステージ3のいずれかのみに設けて、ベース2からステージ3に向けて、またはステージ3からベース2に向けて、延出して近接させることでも同様の効果を得ることが可能である。しかしながら、補極を片方だけに設けると、その分補極が高さ方向に大きくなって一次側磁束発生部4a〜4b、または二次側磁束発生部5a〜5bよりも突出することになってしまい、ステージ3をベース2の上に設置する際の作業性が悪化する。そのために、双方に補極を設けて近接させる構成とすることが好適である。また、突極として構成しているために、より漏れ磁束の低減効果も期待できる。
上記のように構成することで、第1の実施形態の場合と同様に、一次側磁束発生部4a〜4bのコイル42a〜42bに電流を与え、その電流の向きおよび大きさを制御することで、ベース2に対してステージ3のXおよびY方向への移動、Z軸回りの回転を行わせることができる。上述したように、第1の補極171〜171および第2の補極172〜172が加わることで、重量が増大するものの磁路を効率よく形成できるため効率を向上させることが可能となっており、その結果、推力の増大、位置精度のさらなる向上を図ることができる。
以上のように、本実施形態に係るステージ装置101は、前記ベース2および前記ステージ3を磁性材料で構成するとともに、前記ベース2の前記ステージ3に対する対向面21に、前記ステージ3に向けて延出する複数の第1の補極171〜171が設けられており、当該第1の補極171〜171を通じて前記ベース2と前記ステージ3の間で磁束の通過する経路を形成するようにして構成してあるため、磁束の流れを効率よく形成でき、推力を増大させることができる。
また、前記ステージ3の前記ベース2との対向面31に、複数の第2の補極172〜172を各々前記第1の補極171〜171と対向させつつ近接するように設けるようにして構成しているため、漏れ磁束をさらに低減させて磁束の流れをより効率よく形成でき、推力を増大させることができる。
<第3実施形態>
第3実施形態におけるステージ装置を図12に示す。上述した第1実施形態および第2実施形態と共通する部分については同じ符号を付して説明を省略する。
この実施形態は、上述した第2実施形態において図7に示すようにベース2とステージ3の四隅にそれぞれ設けられていた第1の補極171〜171と第2の補極172に代えて、図12に示すように、それぞれ第3の一次側磁束発生部204c〜204cと第3の二次側磁束発生部205c〜205cとを設けたものである。
第3の一次側磁束発生部204c〜204cはベース2の上面21の四隅にそれぞれ設けられており、全て同一の形状を有するように構成されている。これらは断面を略台形とされつつZ方向に延出された柱状に形成されており、それぞれ底辺のうち短いほうの辺がベース2の中心方向を向くようにして配置され、ベース2の中心から外側に向かって放射状に広がるように形成されている。また、これらは、ベース2の中心を軸とする同一の円周上に沿うようにして均等に配置されており、特にベース2の中心を挟んで対称となる位置に設けられた第3の一次側磁束発生部204c、204c同士が、対となって後述するようにステージ3の回転運動を行わせるようにして用いられる。
第3の二次側磁束発生部205c〜205cは、ベース3の下面31の四隅に突極としてそれぞれ設けられており、全てが同一の形状を有するように構成されている。そして、これらは各々第3の一次側磁束発生部204c〜204cと対向しつつ近接するようにして設けられている。第3の二次側磁束発生部205c〜205cは、各々Z方向から見たときの断面が第3の一次側磁束発生部204c〜204cよりも一回り小さな台形状に形成されており、各々底辺のうち短いほうの辺がステージ3の中心方向を向くように配置されている。そして、図12のような給電を行っていない非作動時においては、第1および第2の一次側磁束発生部5a〜5bはそれぞれ対向する第1および第2の二次側磁束発生部4a〜4bの中心に位置するように設定されているとともに、同時に第3の二次側磁束発生部205c〜205cも各々第3の一次側磁束発生部204c〜204cの中心に位置するように設定されている。
図13は、ベース2よりステージ3を上方に離間させた際の状態を示したものである。
第3の一次側磁束発生部204c〜204cは、上述した第1および第2の一次側磁束発生部4a〜4bと同様の構成を採り、上側に異なる磁極が並列に並ぶように配置された磁石ユニット241cと、これを巻回すコイル242cから構成されている。磁石ユニット241cの上面は磁極面となっており、これらは第1および第2の一次側磁束発生部4a〜4bを構成する磁石ユニット41a〜41bの磁極面と略同一平面になるようにして構成されている。コイル242cは、電流を与えることによって、磁石ユニット241cの磁極面に対して、垂直方向の磁界を与えることができるようになっている。
また、第3の一次側磁束発生部204c〜204cを構成する各磁石ユニット241c〜241cの上面は、ベース2の中心を軸とする半径方向に磁極が異なるように配置されており、図中の右下および左下に配置された磁石ユニット241c、241cはそれぞれ上方から見て磁極が時計回りにS極、N極の順になるように形成され、図中の左上および右上に配置された磁石ユニット241c、241cはそれぞれ上方から見て磁極が時計回りにN極、S極の順になるように形成されている。すなわち、ベース2の中心を挟んで互いに対称の位置に配置されている第3の一次側磁束発生部204c〜204cの各磁石ユニット241c〜241cは、互いに同じ磁極が向き合うようにして配置されるようになっている。
上記のようにして第3の一次側磁束発生部204c〜204cは、ベース2の中心を軸とする同一円心上に配置され、その向きに磁極が配置されるようにして構成されているものであって、第1の移動方向としてのX方向および第2の移動方向としてのY方向と直交する軸を中心とした回転方向に沿って設けられているものということができる。
このような第3の一次側磁束発生部204c〜204cと対向するようにして、同じように第3の二次側磁束発生部205c〜205cは配置されており、第3の二次側磁束発生部205c〜205c並びに第1および第2の二次側磁束発生部5a〜5bのベース2に対向する面は、各々下面31に対して平行に形成し、かつ、略同一平面上になるようにされている。第3の二次側磁束発生部205c〜205cは第1および第2の二次側磁束発生部5a〜5bと同様に鉄心として磁性材料によって形成されており、渦電流損失を避けるために、積層鋼板もしくは圧粉体として構成することも好適である。
上述したように、第3の一次側磁束発生部204c〜204cは第1および第2の二次側磁束発生部4a〜4bと、第3の二次側磁束発生部205c〜205cは第1および第2の二次側磁束発生部5b〜5cと各々同様の構成を採るようにしたものである。そのため、構成要素の数は増えるものの比較的製作は容易であるとともに、制御を行うことも簡単である。
上記のようにして構成した本実施形態のステージ装置は、次のようにして動作させることができる。
本実施形態においては、上述の実施形態と同様、ステージ3の向きを変更することなくX方向またはY方向に動作させる場合には、第1の一次側磁束発生部4a、4aまたは第2の一次側磁束発生部4b、4bに電流を与えてそれぞれX方向、Y方向に向けた推力を発生させる。この際には、上述したようにベース3の中心を挟んで対向する一次側磁束発生部4a〜4bにおいて互いに異なる磁極の磁束を強化する向きに磁力を発生させれば良いため、対向する一次側磁束発生部4a〜4bの間で磁束が通過する経路を形成しやすく、より効率が良くなる。
また、ステージ3に対してZ軸回りの回転運動をさせる場合には、第3の一次側磁束発生部204c〜204cに対して、それぞれZ方向から見たときに時計回りあるいは反時計回りの同一の方向に向く推力を発生させるようにして、それぞれを構成するコイルに電流を与えればよい。例えば、上側より見て時計回りにステージ3を回転運動させる場合には、図中右下および左下に位置する第3の一次側磁束発生部204c、204cに対しては、N極側の磁束を強化しつつS極側の磁束を弱めるべく、コイル204c、204cに対して上側より見て反時計回りの電流を与えればよい。同時に、図中左上および右上に位置する第3の一次側磁束発生部204c、204cに対しては、S極側の磁束を強化しつつN極側の磁束を弱めるべく、コイル204c、204cに対して上側より見て時計回りの電流を与えればよい。ステージ3を逆方向に回転運動させる場合には、それぞれの第3の一次側磁束発生部204c、204cに対して、反対向きの電流を与えればよい。
上記のように、ステージ3に対してZ軸回りの回転運動をさせる場合においても、ベース3の中心を挟んで互いに対称位置になるように設けられている第3の一次側磁束発生部204c〜204cは、互いに異なる磁極の磁束を強化する向きに磁力を発生させれば良いため、対向する第3の一次側磁束発生部204c〜204cの間で磁束が通過する経路を形成しやすく、より効率が良くなる。このようにして、ステージ3に回転運動を行わせることを目的とした第3の一次側磁束発生部204c〜204cを独立して有していることによって、より精密に位置制御を行うことができるようになっている。
また、第3の一次側磁束発生部204c〜204cと第3の二次側磁束発生部205c〜205cとの対向面は、互いに平行であり、かつ、ステージ3の移動方向に対しても平行になるように構成されているため、これらの間で形成される磁気ギャップの大きさは、ステージ3の移動に伴って変化することがなく、常に効率が良い状態を保つことができるようになっている。そのため、位置精度の向上を図ることも可能となっている。
上述したように、第3の一次側磁束発生部204c〜204cは、ベース3の中心を挟んで対称位置にあるものに対して互いに逆方向の推力を与えることによって、中心位置を変えることなく回転運動を行わせるものである。こうした機能を得られるようにするためには、最低限中心位置を挟んで一対の第3の一次側磁束発生部204c〜204cがあるのみで足りる。本実施形態において、第3の一次側磁束発生部204c〜204cを二対、計4個設けるようにしたのは、ステージ3に対する推力と重心のバランスを考慮したためであり、コストダウンや軽量化を優先させる場合においては一対とすることが好適である。
また、本実施形態においては、第3の一次側磁束発生部204c〜204cおよび第3の二次側磁束発生部205c〜205cを台形状に形成することによって、これらによって発生する推力の方向がベース2の中心を軸とする円周に沿って変化するようになっているため、より回転運動を行うための効率が向上できるようになっている。この考えをさらに推し進め、回転運動にとって一層効率よく推力を発生させるためには、ベース2の中心を軸とする円周に沿った扇形になるように形成することも好適である。しかしながら、製造コストの観点からは、部品形状の単純化や共通化を行うことが必要とされる場合もあり、そのような場合には第1および第2の一次側磁束発生部4a〜4bならびに第1および第2の二次側磁束発生部5a〜5bと同様に、単純な直方体状に形成することが適切であり、このように構成した場合であっても上記と同様に回転運動を行わせることが可能である。
本実施形態のように、Z軸回りの回転移動を行わせるためのものとして、第3の一次側磁束発生部204c〜204cを独立して有することによって、より位置精度を高めた制御が可能となる。また、こうすることで、第1の一次側磁束発生部4a、4aおよび第2の一次側磁束発生部4b、4bは、それぞれX方向およびY方向への並進移動を行わせるためだけのものとして使用することができる。このようにして、X方向、Y方向への並進移動およびZ軸回りの回転移動を、それぞれ別個の一次側磁束発生部4a〜4b、204c〜204cに機能分担させることによって、制御を簡単に行わせることが可能となり、その結果位置精度を向上させることができる。
これらの一次側磁束発生部4a〜4b、204c〜204cに対して、各々与える電流の向きや大きさを制御することによって、ステージ3をX方向またはY方向のいずれか一方に移動させたり、中心位置を維持させたままで回転運動させたり、あるいは、これらの運動を組み合わせて同時に行うことにより、ステージ3を斜行させたり、回転させつつ並進移動させたりすることも可能となる。
このように各方向への移動を組み合わせて行う際には、ある方向にステージ3を移動させることで、他の方向に推力を発生させる一次側磁束発生部4a〜4b、204c〜204cと二次側磁束発生部5a〜5b、205c〜205cとの間でも中心位置に僅かにずれを生じることがあり、推力に増減が生じることがあるためである。そのため、ステージ3とベース2との相対位置に応じて、各方向への推力を補正するようにしてある。
以上のように、本実施形態におけるステージ装置201は、前記ベース2および前記ステージ3の対向面のうちのいずれか一方に、前記第1および第2の移動方向と直交する軸を中心とした回転方向に沿って対称となる位置に、第3の一次側磁束発生部204c〜204cが少なくとも一対設けられており、前記ベース2および前記ステージ3の対向面のうちの他方に、前記第3の一次側磁束発生部204c〜204cと対向するようにして第3の二次側磁束発生部205c〜205cが設けられており、前記第3の一次側磁束発生部204c〜204c、および、前記第3の二次側磁束発生部205c〜205cの各磁極面が前記対向面と略平行に形成されているように構成したものである。
このように構成しているため、第1の移動方向としてのX方向、第2の移動方向としてのY方向、これらと直交する軸としてのZ軸回りの回転方向に対するステージ3の移動をより精密に実施させることができるようになる。
さらに、本実施形態におけるステージ装置201は、前記ベース2および前記ステージ3の対向面のうちのいずれか一方に、前記第1および第2の移動方向と直交する軸を中心とした回転方向に沿って対称となる位置に、第3の一次側磁束発生部204c〜204cが少なくとも一対設けられており、前記ベース2および前記ステージ3の対向面のうちの他方に、前記第3の一次側磁束発生部204c〜204cと対向するようにして第3の二次側磁束発生部205c〜205cが設けられており、前記第3の一次側磁束発生部204c〜204c、および、前記第3の二次側磁束発生部205c〜205cの各磁極面が前記対向面と略平行に形成されているとともに、前記第3の一次側磁束発生部204c〜204cが、前記回転方向に沿って異なる磁極を配するようにして永久磁石を設けた磁石ユニット241c〜241cと、当該磁石ユニット241c〜241cの周囲を各々巻回して磁極面に対して垂直方向の磁界を与えるコイル242c〜242cとを備えており、前記第3の二次側磁束発生部205c〜205cの各々が鉄心からなる突極として構成したものである。
このように構成しているため、第1〜第3の一次側磁束発生部4a〜4b、204c〜204cと第1〜第3の二次側磁束発生部5a〜5b、205c〜205cがそれぞれ同一の構造を有するようになる。そのため、製作が容易になる上に制御が簡単になり、その上、内部での磁路を効率的に形成できるために効率を向上させることが可能となる。
また、前記第1の一次側磁束発生部4a、4aおよび二次側磁束発生部5a、5aと、第2の一次側磁束発生部4b、4bおよび二次側磁束発生部5b、5bと、前記第3の一次側磁束発生部204c〜204cおよび二次側磁束発生部205c〜205cとを、各々協働して前記第1の移動方向、前記第2の移動方向または前記回転方向の推力を発生させるものとして、前記第1〜第3の一次側磁束発生部4a〜4b、204c〜204cを構成する各コイル42a〜42b、242c〜242cへの給電を独立して制御するように構成したため、第1の移動方向としてのX方向、第2の移動方向としてのY方向、これらと直交する軸としてのZ軸回りの回転方向へのステージ3の移動をそれぞれ独立して制御することができるため、各方向への移動を組み合わせる際にも容易に制御することが可能となり、その結果、位置精度を向上させることが可能となる。
<第4実施形態>
第4実施形態におけるステージ装置を図14に示す。上述した第1〜第3実施形態と共通する部分については同じ符号を付してある。
この実施形態においても、上述の第1〜第3実施形態と同様に、矩形状のプレートとして形成されたベース303の上方(Z方向)に、同様に矩形状のプレートとして形成されたステージ302を配置してある。ベース302の上面321およびステージ303の下面331はそれぞれ平面として形成され、互いに対向する対向面として平行になるように配置されている。
ベース302の上面321の中央には、上面を平面として形成された円柱状の台座362が設けられており、これと対向するようにして、ステージ303の中央部にはエアベアリング361が設けられている。
また、ベース302の上面321の四辺には二次側磁束発生部305a〜305bが、ステージ303の下面331の四辺には一次側磁束発生部304a〜304bが、各々近接しつつ対向するように設けられている。
二次側磁束発生部305a〜305bは鉄心として磁性材料によって形成され、渦電流損失を抑制するために積層鋼板によって形成している。
図15は、ベース2よりステージ3を上方に離間させた際の状態を示したものである。
ベース2に設けられた二次側磁束発生部305a〜305bのうち、第1の二次側磁束発生部305a、305aは、長手方向をX方向に向けた長方形の平板状の形態をとり、上面に凹凸が形成されているとともに、一対のものが上記台座362を挟んでY方向に所定距離離間して設けられている。また、第2の二次側磁束発生部305b、305bは、上記第1の二次側磁束発生部305a、305aと同一の形状ではあるが、90°方向を変えてY方向に長手方向が向かうようにして配置されている。第2の二次側磁束発生部305b、305bも上記第1の二次側磁束発生部305a、305aと同様、上記台座362を挟んでX方向に所定距離離間して設けられている。
ステージ3の下面331には、上記第1の二次側磁束発生部305a、305aおよび第2の二次側磁束発生部305b、305bと対向するようにして、それぞれ長手方向をX方向に向けた第1の一次側磁束発生部304a、304aおよび第2の一次側磁束発生部304b、304bが設けられている。なお、第1の一次側磁束発生部304a、304aと、第2の一次側磁束発生部304b、304bとは、それぞれ同一のものを向きを異ならせて配置したものである。
第1の一次側磁束発生部304a、304aは各々第1の二次側磁束発生部305a、305aと協働して、ステージ303に対して第1の移動方向としてのX方向への推力を生じさせるものであり、第2の一次側磁束発生部304b、304bは各々第1の二次側磁束発生部305a、305aと協働して、ステージ303に対して第2の移動方向としてのY方向への推力を生じさせるものである。
ステージ303の中央に設けたエアベアリング361は、エア噴出面361aが、ステージ303の下面331よりも下側に位置し、かつ当該下面331と平行になるようにして設定されている。さらに、ベース302の中央に設けられた台座362も上面362aがベース302の上面321と平行になるようにして形成されている。
そのため、エア噴出面361aよりエア63を排出することによって台座362に対して浮上力を働かせたとき、ステージ303は下面331をベース302の上面321に対して平行とした状態を維持することができる。
また、後に詳述するように、一次側磁束発生部304a〜304bの各磁極面はそれぞれベース302の上面321に対して平行になるように、二次側磁束発生部305a〜305bの各磁極面はステージ303の下面331に対して平行になるようにして形成している。そのため、上記のようにエアベアリング361の作用によってステージ303がベース302に対して浮上したとき、対向する一次側磁束発生部304a〜304bと二次側磁束発生部305a〜305bとの各磁極面は平行な状態で近接させることができるようになっている。
図16に、Z方向から見た際の一次側磁束発生部304a〜304bと二次側磁束発生部305a〜305bとの位置関係を示す。この図は、ベース302に対してステージ303を基準位置に設置したときを示しており、ベース302とステージ303の中心位置が上方向より見て同一の位置になり、かつ各辺が平行になるようにして配置されている。
この図において、図中上側に位置する第1の一次側磁束発生部304aと第1の二次側磁束発生部305aに着目すると、第1の一次側磁束発生部304aは第1の二次側磁束発生部305aに対してX方向にも、Y方向にも小さく形成されていることが分かる。
具体的には、推力発生方向であるX方向について見ると、第1の一次側磁束発生部304aの長さをL1として、第1の二次側磁束発生部305aの長さをL2としたとき、L2はL1よりも大きく形成されている。この差(L2−L1)は、ステージ303がベース304に対して第1の移動方向であるX方向に相対移動可能なストロークよりも小さく形成されている。
また、推力発生方向と直交するY方向について見ると、第1の一次側磁束発生部304aの幅をB1として、第1の二次側磁束発生部305aの幅をB2としたとき、B2はB1よりも大きく形成されている。この差(B2−B1)もステージ303がベース304に対して第2の移動方向であるY方向に相対移動可能なストロークよりも小さく形成されている。
従って、X方向、Y方向のいずれの方向に対してもステージ303が移動可能な範囲内で、第1の一次側磁束発生部304aと第1の二次側磁束発生部305aとがオーバーラップして形成する対向面の面積は常に変わることがない。そのため相対移動に際して漏れ磁束の増減が生じず、常に効率の良い条件を保ったままで制御することが可能となっている。
上述したような、第1の一次側磁束発生部304aと第1の二次側磁束発生部305aとの寸法および位置の関係は、図中の下側に位置する第1の一次側磁束発生部304aと第1の二次側磁束発生部305aとの関係にも当てはまり、さらには、XY方向が異なるのみで第2の一次側磁束発生部304bと第2の二次側磁束発生部305bとの関係にも当てはまる。
次に、組をなす第1の一次側磁束発生部304aと第1の二次側磁束発生部305aの詳細な構成について説明する。
これらは、一般にはリニアパルモータとして知られる構成と同じものであり、その動作原理は特開平3−139159号公報によって詳しく開示されているために省略する。本実施形態のステージ装置302は、組をなす一次側磁束発生部と二次側磁束発生部とを、4組、ベース302とステージ303との間に配したものということができる。
図17に示すように、第1の一次側磁束発生部304aは長手方向を推力発生方向であるX方向に向けて配置されるものであり、一個の鉄心部341aに対して3つの磁束発生ユニット342a、343a、344aをX方向に隣接して設けてある。これらの3つの磁束発生ユニット342a、343a、344aは、第1の二次側磁束発生部305aと対向するようにして配置されており磁極面を形成するものである。また、上記磁束発生ユニット342a、343a、344aは、全て同一の形状のものとしている。
第1の二次側磁束発生部305aは長手方向を推力発生方向であるX方向に向けて配置されるものであり、その上面には矩形断面を有するようにしてZ方向に突出され、かつ、Y方向に平行に形成された歯部305a1〜305a1が、溝部305a2〜305a2と交互にX方向に形成されている。さらに、歯部305a1〜305a1は上面が同一高さを有する平面として磁極面を形成するとともに、X方向に等間隔で形成され、第1の一次側磁束発生部341aとの間でXY平面に対して平行な隙間を形成する。
磁束発生ユニット342aに着目して、図18(a)、(b)を用いてさらに詳細な構成を説明する。図18(a)は、磁束発生ユニット342aの中心における断面を示した図である。
磁束発生ユニット342aは、鉄心として構成された磁極342a1と、その周囲に巻回されたコイル342a5から構成されている。磁極342a1は磁性材料からなり、渦電流損失を抑制するため積層鋼板によって形成している。磁極342a1には、下側に向けて凸となる極歯342a2〜342a2と、溝部342a3〜342a3とが交互に形成されており、極歯342a2〜342a2はX方向に等ピッチで形成されている。極歯342a2〜342a2は、下側の面が第1の二次側磁束発生部305aの歯部305a1〜305a1との間で平行になるように形成されており、磁気ギャップとして隙間δ5を形成する。
また、同図で示すように、極歯342a2〜342a2のピッチに対して、第1の二次側磁束発生部305aの歯部305a1〜305a1のピッチは異なるようにして形成されている。
本実施形態では、上記溝部342a3〜342a3の中に、各々厚み方向に着磁された板状の永久磁石342a4〜342a4を、隣接するもの同士の極性が互いに逆方向になるようにして挿入してある。そのため、極歯342a2〜342a2と第1の二次側磁束発生部305aの歯部305a1〜305a1との間では、上方向または下方向への磁束が発生する。このようにして、永久磁石組み込み型の磁極342a1とすることによって、より推力の増大を図ることができる。
コイル342a5に対して電流を与えることによって、磁極342a1に対して上向きまたは下向きの磁束を発生させ、上記極歯342a2〜342a2と第1の二次側磁束発生部305aの歯部305a1〜305a1との間で発生する上方向または下方向への磁束のいずれか一方を強め、他方を弱めることができる。
このとき、極歯342a2〜342a2と第1の二次側磁束発生部305aの歯部305a1〜305a1とのピッチの相違により得られる位置関係から、図の右方向または左方向への推力が発生する。
さらに、図18(b)に示すように、極歯342a2〜342a2は、Y方向に対して傾斜した角度で形成されており、いわゆるスキューが形成されている。このためコギングトルクが減少して、効率の良い動作制御を行わせることが可能となっている。また、極歯342a2〜342a2の側にスキューを形成しているため、第1の磁束発生部304aが第2の磁束発生部305aに対して、推力発生方向と異なるY方向に相対移動した場合であっても、極歯342a2〜342a2と歯部305a1〜305a1との重なり合う部分に変化は生じないために、磁力の変化が生じない。そのため、推力発生方向と直交する方向に対しては、自由に動作させることができる。
歯部305a1〜305a1の側を傾斜させてスキューを形成することも可能ではあるが、こうすると第1の磁束発生部304aが第2の磁束発生部305aに対してY方向に相対移動した場合に、極歯342a2〜342a2と歯部305a1〜305a1との重なり合う部分に変化が生じるため、磁力の変化が生じることになる。そのため、Y方向への動作とX方向への動作を独立して扱うことができない。
以上のような磁束発生ユニット342aと同じものを、図17のように磁束発生ユニット342a、343a、344aとして長手方向に沿って3つ設け、第1の磁束発生部304aとして構成することで、さらに大きな移動ストロークを得ることができる。この場合には、各々の磁束発生ユニット342a、343a、344aに与える電流を、位相差を設けるようにして制御することで、連続的に推力の発生箇所を変えていくことによって、第1の磁束発生部304aを第2の磁束発生部305aに沿って進行させていくことができる。
さらに、図17のような、第1の一次側磁束発生部304aと第1の二次側磁束発生部305aと同じものを、図16のようにY方向に一対平行して配置するとともに、90°方向を変えて、第2の一次側磁束発生部304b、304bと第2の二次側磁束発生部305b、305bとしてX方向に一対平行して配置してある。
このように構成することで、第1〜第3実施形態と同様に、ステージ303を、X、Y方向に移動させることや、Z軸回りに回転させることができるようになっている。また、推力を発生する部分をリニアパルスモータ構成とすることによって、重量は大きくなるものの、第1〜第3実施形態以上の移動ストロークを得ることや、大きな推力を得ることもできる。
また、本実施形態においては、軽量に構成した一次側磁束発生部304a〜304bをステージ303の側に設け、二次側磁束発生部305a〜305bをベース302側に設けているため、ステージ303の側に電気配線を接続する必要はあるものの、可動側を軽量に構成できるため、動作速度および反応速度を向上させることができる。もちろん、これを逆に設置することも可能である。
以上のような構成を特開2002−153085号公報で開示されている平面ステージの構成と比較した場合にも、次のような優れた特質を有する。
すなわち、特開2002−153085号公報等で開示される平面ステージは、XYに碁盤の目状に形成されたプラテンの上を、X方向、Y方向にそれぞれ設けられたリニアモータ部を有するステージが移動するが、上記のようなプラテンを形成するためには大きな面積を有する平板の表面に、XY方向に碁盤の目状の溝を形成する必要がある。しかしながら、その表面は磁極面を形成することから、磁気ギャップの均一化の観点から高い精度が要求される。
また、ステージ部を容易に駆動させるために、エアベアリングによる浮上機構を導入しようとした場合、上述のように形成した碁盤の目状の溝の一部を埋込んだうえで、一層精度良く表面を仕上げなければならない。
さらには、X方向Y方向の溝が混在しているために、X方向に推力を与えるモータにとってはY方向の溝のみが有用であるにもかかわらず、X方向の溝の分、磁極面同士を対向させることができず効率が低下する。
また、碁盤の目状の溝のため、僅かにZ軸回りの回転を行わせたのみで、磁極面同士の対向関係が失われて、効率よく制御することができない。
他方、本実施形態のステージ装置301では、上記の問題点は解消される。すなわち、ベース302およびステージ303に対しては、上記のような大きな面積にわたって高い加工精度が要求されることがなく、加工費用が低減できる。
また、ベース302に対しては全面に渡る溝加工が不要であることからエアベアリングを用いた浮上機構を導入するための加工も容易に行うことができる。
さらに、推力発生方向以外の余計な溝が形成されていないため、効率を最大限に発揮させることができる。また、Z軸回りの回転も、碁盤の目タイプよりも大きく行わせることができる。
以上のように、本実施形態のステージ装置301は、第1および第2の一次側磁束発生部304a〜304bが、各々前記第1または第2の移動方向に沿って一定間隔で極歯342a2と溝部342a3とを交互に形成した磁極342a1を複数個備えるとともに、それらの磁極342a1の周囲を各々巻回したコイル342a5を備えており、前記第1および第2の二次側磁束発生部305a〜305bが、各々前記第1または第2の一次側磁束発生部304a〜304bの前記極歯342a2〜342a2と対向する位置に等間隔で歯部305a1〜305a1を有する鉄心として構成されており、前記第1および第2の二次側磁束発生部305a〜305bにおける各磁極面が、対向する第1または第2の一次側磁束発生部304a〜304bの磁極面よりも前記第1および第2の移動方向に大きく形成されるようにして構成したものである。
このように構成しているため、対向面に平行な移動と回転とを行わせることができるとともに、大型化する反面、大きな推力や移動ストロークを得ることが可能となる。
さらに、前記溝部342a3の内部に、隣接するもの同士の極性が互いに逆方向になるようにして各々永久磁石342a4が挿入されているようにして構成しているため、一次側磁束発生部304a〜304bを永久磁石組み込み型のものとして、より小型で大きな推力を発生させることが可能となる。
また、前記第1および第2の二次側磁束発生部305a〜305bの歯部305a1を、各々前記第2または第1の移動方向と平行な方向に形成するとともに、前記第1および第2の一次側磁束発生部304a〜304bに設ける極歯342a2〜342a2を、各々前記第2または第1の移動方向に対して傾斜させるようにしてスキューを形成するように構成したため、コギングトルクを低減することが可能となるとともに、対向する第1および第2の一次側磁束発生部304a〜304bと第1および第2の二次側磁束発生部305a〜305bとの相対位置が推力発生方向とは直交する方向にずれた場合でも、それらが有する歯342a2〜342a2、305a1〜305a1同士の位置関係にはズレが生じないため、直交するそれぞれの移動方向への動作が互いに影響を及ぼし合わない。
さらに、前記ベース302に前記第1および第2の二次側磁束発生部305a〜305bを設けるとともに、前記ステージ303に第1および第2の一次側磁束発生部304a〜304bを設けるようにして構成しているため、より小型で軽量な一次側磁束発生部304a〜304bを可動側に設けることで、動作および反応速度を増大させることが可能となる。
なお、各部の具体的な構成は、上述した第1〜第4実施形態のみに限定されるものではない。
例えば、上述した第1〜第4実施形態では、エアベアリング61(361)をステージ3(303)の側に設けて、これと対向する台座62(362)をベース2(302)の側に設けていたが、これを逆に設けた構成とすることも可能であり、こうすればエア配管を固定側に設けることになるため配管の損傷等による故障が少なくなるとともに、保守作業が容易になる。しかしながら、上述した第1〜第4実施形態のような配置とすることで、ステージ3(303)が移動したとしても、常にステージ3(303)の中央の位置で浮上力を働かせることができるために、重心位置とのバランスおよび動作安定性の点ではこちらが勝る。
また、上述した第1〜第4実施形態では、各方向に対してステージ3を移動させる目標値を基に、各一次側磁束発生部4a〜4b、204c〜204c、304a〜304bをオープン制御するように構成していたが、ステージ3(303)とベース2(302)との相対位置をセンサによって検出し、その検出値を基にしてフィードバック制御するようにして構成することも可能である。
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。