図1は本発明の区画壁の一例を示す概略部分斜視図であり、図2は図1の壁取付部材によるシートの取付構造を示す概略図であり、図3は図1の区画壁を示す概略図である。
この例において、長尺な壁取付部材(又はレール部材)1は、天井壁(図示せず)に取り付け可能な板状取付部2と、この板状取付部の端部から延びる第1の延出規制壁3と、この第1の延出規制壁から所定間隔をおいて板状取付部2から延出する第2の延出規制壁4とを備えている。前記一対の延出規制壁3,4の先端部は内側に鈎状に屈曲し、シートの抜け規制部に対する鈎状係止部3a,4aを形成しており、一対の延出規制壁3,4は、先端部が狭まった形態のスリット状で長細状の抜け止め凹部5を形成している。さらに、一対の延出規制壁3,4間の板状取付部2の下部壁には、壁取付部材(又はレール部材)1を位置決めしつつ隣接させて連結可能とするため、連結部材7が装着可能な連結凹溝6が形成されている。
一方、シート10は、難燃性及び耐熱性並びに強度の観点からガラス繊維強化合成樹脂シートで形成され、シート本体11の上端部が折り曲げ(又は折り重ね)られ、折り曲げ先端部(上端縁)から所定間隔を離れて折り重ね部が一体化し、前記鈎状の係止部3a,4aに対して係合可能なフラップ状の係止片12を有している。このフラップ状の係止片12は、係止部3a,4aに対応して、シート本体11から斜め方向(この例では、斜め下方)に傾斜して固化し、先端部がシート本体11から遊離した形態を有しており、シート本体11の厚み方向に伸縮又は変形自在である。このようなシート10は、シート本体11の上端部を所定の幅で折り畳んで重ね合わせ、シート本体11の折り曲げ先端部(端縁)から所定の間隔をおいて(所定の幅を残して)重ね合わせ部を一体化(溶着などの一体化手段で一体化)することにより形成でき、シート10の上端部には、シート本体11の厚み方向に伸縮又は変形可能な細長いリング状部13を形成でき、このリング状部13に隣接してフラップ状の係止片12を形成できる。さらに、フラップ状の係止片12は、抜け止め凹部5内での収容状態において、抜け止め凹部5内で、少なくとも一対の延出規制壁3,4の延出方向に自由に移動(遊動)可能である。
なお、フラップ状の係止片12は、シート本体11の重ね合わせ部において、折り曲げ先端部(遊離の端縁)からクサビ状のスペーサを挿入し、重ね合わせ部を溶着して固化又は硬化することにより形成できる。例えば、図5に示されるように、シート本体11の重ね合わせ部を折り曲げ先端部から所定の幅を残して長手方向(例えば、横方向)に線状(連続的又は所定間隔をおいてスポット的)に溶着した後、折り曲げ先端部からクサビ状のスペーサ14aを挿入し、スペーサを介して重ね合わせ部(例えば、スペーサの挿入深部(先端部)及び折り曲げ先端部に対応する重ね合わせ部)を溶着することにより、フラップ状の係止片12を形成できる。なお、シート本体11に対する係止片12の角度は、前記スペーサ14aの先端部の角度を調整して重ね合わせ部を溶着することにより調整又は設定できる。
このような壁取付部材(又はレール部材)1では、前記のように、板状取付部2を、ネジ部材14を用いて天井壁に取り付けた後、前記シート10の上縁部を壁取付部材1の下方からスリット状の抜け止め凹部5に沿って挿入又は装着することにより、区画壁を容易に形成できる。特に、シート10の側縁部(上端部)を、一対の延出規制壁3,4の先端部のスリット状開口部から抜け止め凹部5内に挿入すると、細長いリング状部13及びフラップ状の係止片12が厚み方向に伸縮又は変形可能であるため、シート10を抜け止め凹部5内に円滑に挿入できる。しかも、シート10がガラス繊維で強化されているため、下方からであってもスリット状開口部に沿って円滑に挿入できる。そして、シート10のフラップ状の係止片12を鈎状の係止部3a,4aよりも深い抜け止め凹部5内に進入させると、厚み方向に圧縮されていたフラップ状の係止片12が開放されて広がるため、シート10を下方へ牽引することにより、フラップ状の係止片12が鈎状の係止部3a,4aと強固に係合し、シート10の抜けを防止する。
また、区画壁の形成において、前記壁取付部材1と、区画壁の両側壁とシート10の両側部とをそれぞれ取付可能な一対のシート取付部材15,16とを用いて区画壁形成部材を形成し、一対のシート取付部材15,16により、シート10を横方向に緊張させて取り付けることができる。このようなシート取付部材15,16としては、例えば、断面L字状の形態を有し、シート本体11を挟持可能な板状シート挟持部15a,16aと、このシート挟持部と直交して区画壁の側部壁に取付可能な板状壁取付部15b,16bとを有するL字状シート取付部材(L字状アングル)を用いることができる。具体的には、抜け止め凹部5にシート10の上縁部を挿入又は装着した後、シート本体11の一方の側部の両面を、粘着剤層10a,10bを介して、第1の一対のL字状シート取付部材15,16のシート挟持部15a,16aで挟持し、ビスなどのネジ部材19aとナット19bとで締結して一体化できる。そして、第1の一対のL字状シート取付部材15,16の壁取付部15b,16bを区画壁の側部壁にネジ部材20などで取付ける。その後、前記と同様に、シート本体11の他方の側部の両面を、粘着剤層10a,10bを介して、第2の一対のL字状シート取付部材17,18のシート挟持部17a,18aで挟持し、ネジ部材19aとナット19bとで締結して一体化する。そして、シート本体11を緊張させて、第2の一対のL字状シート取付部材17,18の壁取付部17b,18bを対向する側壁部にネジ部材20などにより取り付けることにより、シート10を緊張させ、均一に展張できる。特に、抜け止め凹部5内には係止片(抜け規制部)12が遊びをもって自由に移動可能(又は上下方向に移動が可能)な形態で収容されている。すなわち、前記シート10の前記抜け規制部(肉厚規制部)12は、抜け止め凹部5内で上下方向(一対の延出規制壁3,4の延出方向)及び前後方向にも自由に可動である。そのため、天井壁の壁面に歪み(傾斜、波うちなど)があったとしても、長細状の抜け止め凹部5内での係止片(抜け規制部)12の遊びにより天井壁の壁面の歪みを吸収でき、均一に緊張させてシート10を展張できる。また、シート10の両側部をそれぞれ一対の第1及び第2のシート挟持部15a〜18aと両面粘着テープで貼り合わせ、第1の壁取付部15b,16bを一方の壁面に取り付けた後、シート10を引っ張りながら第2の壁取付部17b,18bを他方の側壁に取り付けることにより、円滑かつ効率よく展張させてシート10を取り付けることができる。その際、区画壁の側部壁にネジ部材20を螺合して前進動させることにより、シート10を緊張させて展張できる。
なお、シート本体11の側部は、一対のL字状シート取付部材15,16(17,18)のシート挟持部15a,16a(17a,18a)で挟持すればよく、必ずしも粘着剤層は必要ではない。前記フラップ状の係止片12は、シート本体11の上端部(及び/又は側端部)の重ね合わせ部(折り重ね部)を長手方向に線状又はスポット状(特に線状)で溶着することにより形成する場合が多く、長手方向の溶着部の幅を(連続的に又は間隔をおいて)大きくして、係止片12をフラップ状に傾斜させて形成してもよい。また、折り畳みリング状部13を形成することなく、シート本体11の側縁部(上端部)に、細幅のフラップ片(又は細幅の帯状フラップ)の端部を一体化することにより形成してもよい。さらに、折り重ね部を長手方向に間隔をおいて溶着し、非溶着部の折り重ね部をシート本体から浮き上がらせて係止部とすることもできる。
シート本体11に対するフラップ状の係止片12の角度は、壁取付部材の係止部に対して係止可能であればよく、例えば、10〜60°、好ましくは20〜50°、さらに好ましくは30〜45°程度であってもよい。フラップ状の係止片12はシート本体11に対して所定の角度で固化し、シート本体11からの所定の延出形態を保持している場合が多い。
なお、前記の例では、前記第1及び第2の一対のL字状シート取付部材15〜18において、シート挟持部15a〜18aに比べて、壁取付部15b〜18bの上部は延出しており、壁取付部15b〜18bの上端部壁には、壁取付部材1の断面形状に対応して段部(又は切り欠き部)が形成され、壁取付部材1の両側部(長手方向の両端部)に対する受け部を形成している。なお、壁取付部材1の端部を一対のL字状シート取付部材15〜18に装着又は取り付けた状態では、前記壁取付部15b〜18bに形成された段部(切り欠き部)に第1及び第2の延出規制壁3,4が収容された形態を有していてもよく、鈎状係止部3a,4aの先端部は、前記シート挟持部15a,16aの上端壁又は上端面と接触又は当接していてもよい。
壁取付部材(又はレール部材)
前記壁取付部材(又はレール部材)は、上部壁及び/又は側部壁に対して直接的又は間接的に取り付け可能な板状取付部を備えており、この板状取付部は壁面に対して直接的又は間接的に(例えば、板状取付部を収容可能な収容部材などの介在部材を介して)取り付けてもよいが、壁面の歪みを吸収できるため、好ましくは壁面に対して直接的に取り付けられる。また、板状取付部は、上部壁及び側部壁のいずれに取り付けてもよく、例えば、側部壁に沿って板状取付部を取り付け、立設した壁取付部材にシートを横方向に展張してもよい。好ましい態様では、上部壁(特に天井壁)に板状取付部が取り付けられ、横方向に延びる壁取付部材から垂下した状態でシートを展張して取り付けてもよい。
壁取付部材(又はレール部材)は、室内などの空間(上部空間など)を仕切るため、シートが装着可能なスリット状の抜け止め凹部を有する。抜け止め凹部を形成するため、板状取付部からは、所定の間隔をおいて、先端部が屈曲又は湾曲して狭まった形態で一対の延出規制壁が延出している。この一対の延出規制壁は、板状取付部の軸方向に延びて(通常、板状取付部の全長に亘り)形成されている。一対の延出規制壁で形成される抜け止め凹部は、長手方向に沿って、先端部が狭まって開口した形態(細幅で開口したアリ溝状の形態など)で、前記シートの挿入を許容し、かつ前記抜け規制部からのシートの抜けを規制する。すなわち、抜け止め凹部(抜け止め空間)では、シートの端部を横方向に摺動又は移動可能(特に横方向に摺動又は移動可能)であり、かつ縦方向への抜けが規制された形態(抜け止め状態)で装着又は収容できればよい。このような形態では、シートを抜け止め凹部に挿入又は装着するだけで抜け止め状態で区画壁を形成できる。一対の延出規制壁(抜け止め凹部)は、断面形状が非対称であってもよいが、シートの抜け規制部との係合性を向上させるためには、断面形状が対称形状であるのが有利である。
一対の延出規制壁の先端部は狭まっていればよいが、シートの抜け規制部が抜けるのを確実に防止するため、通常、先端部は、シートの抜け規制部に対する係止部を形成している。
前記一対の延出規制壁及び抜け止め凹部は種々の形態を有していてもよく、例えば、図6(A)に示す壁取付部材21では、天井壁などに取り付け可能な板状取付部22と、この板状取付部から所定間隔をおいてから延出する一対の延出規制壁23,24と、一対の延出規制壁の先端部が内側に湾曲して狭まった湾曲係止部23a,24aを形成している。図6(B)に示す壁取付部材31では、板状取付部32から延出する一対の延出規制壁33,34の先端部が、図6(A)と同様に、内側に湾曲して狭まった湾曲係止部33a,34aを形成しており、一対の延出規制壁33,34の強度を高めたるため、一対の延出規制壁33,34の途中部は橋架け部35で連結されている。
さらに、図6(C)に示す壁取付部材41は、板状取付部42と、この板状取付部から所定間隔をおいて延出する一対の延出規制壁43,44とを備えており、一対の延出規制壁43,44のうち一方の延出規制壁44は、途中部から他方の延出規制壁(この例では、端部側の延出規制壁)43の方に向かって湾曲して先端部が狭まった形態を有しており、湾曲して狭まる部位は係止部44aとして機能させることができる。
このような湾曲係止部を有する壁取付部材では、後述するように、前記湾曲係止部に対して、シートの上縁部及び又は側縁部に形成した肉厚抜け規制部などの被係止部(抜け規制部)を係止できる。
なお、板状取付部及び一対の延出規制壁は、前記のように、一体化して壁取付部材を形成してもよく、板状取付部と一方の延出規制壁とを有する第1の取付部材と、この第1の取付部材に対して装着可能又は位置決め可能であり、かつ他方の延出規制壁を有する第2の取付部材とで構成してもよい。
図6(D)に示す壁取付部材51は、天井壁に取付可能な板状取付部53と、この板状取付部の端部から延びる第1の延出規制壁54とを備えた断面L字状の第1の取付部材52と;この第1の取付部材52の装着溝に対して装着可能な板状装着壁56と、この装着壁の端部から延びる第2の延出規制壁57とを備えた断面L字状の第2の取付部材55とを備えている。第1の取付部材52の前記板状取付部53の下部壁には浅溝状の装着溝53aが形成され、この装着溝には、第2の取付部材55の板状装着壁56が装着可能である。なお、板状装着壁56は、ネジ部材による天井壁への取付に伴って、板状装着壁56の幅方向の両側部で突出した突出部(凸条部)56a,56bを板状取付部53と接触させ、板状取付部53に対する圧着強度を高めるため、断面コ字状に形成されている。また、板状装着壁56を確実に位置決め(又は装着)するため、板状取付部53の先端部は板状装着壁56側に屈曲して、板状装着壁56の突出部56aを案内可能な屈曲部53bを形成している。そのため、第2の取付部材55の板状装着壁56を第1の取付部材52の装着溝53aに装着し、ネジ部材を用いて天井壁に取り付けることにより、第1の取付部材52と第2の取付部材55とを一体化でき、前記板状取付部53から所定の間隔をおいて前記板状取付部53に対して直交する方向に延出する一対の延出規制壁54,57を形成できる。
前記第1の延出規制壁54及び第2の延出規制壁57の先端部は、内側に断面V字状の形態で鈎状に屈曲し、シートの抜け規制部に対する屈曲又は鈎状係止部54a,57aを形成しており、一対の延出規制壁54,57は、先端部が狭まった形態のスリット状で長細状の抜け止め凹部58を形成している。
図6(E)に示す壁取付部材61は、図1及び図2と同様に、断面L字状の第1の取付部材62と、この第1の取付部材に対して位置決め可能な断面L字状の第2の取付部材65とを備えており、第1の取付部材62は、下部壁に形成された浅溝状の装着溝63aと、一方の端部に形成された屈曲部63bとを備えた板状取付部63と、この板状取付部の他方の端部から延出する第1の延出規制壁64とを備えている。一方、第2の取付部材65は、前記装着溝63aに装着可能又は位置決め可能な板状装着壁66と、この板状装着壁の端部から延出する第2の延出規制壁67とを備えている。第1の延出規制壁64及び第2の延出規制壁67は、先端部が内側に断面U字状に湾曲し、係止部64a,67aを形成している。
このように、延出規制壁を含め、壁取付部材としては種々の形態が採用でき、例えば、一対の延出規制壁の先端部は狭まってシートの抜け規制部の抜けを規制又は防止できればよく、一対の延出規制壁が先端部で互いに近づく方向に湾曲していてもよい。延出規制壁(少なくとも一方の延出規制壁、好ましくは双方の延出規制壁)の先端部は、内側に断面U字状又はV字状の形態で屈曲又は湾曲しているのが好ましく、特に鈎状の係止部を形成しているのが好ましい。なお、前記の例では、一対の延出規制壁のうち一方の延出規制壁が板状取付部の端部から下方に延出しているが、一対の延出規制壁は、両側部を残して板状取付部の中央部から所定の間隔をおいて延出していてもよい。
なお、長尺な壁取付部材(又はレール部材)は、例えば、アルミニウムの押し出し成形により形成できる。このような押し出し成形により、先端部が拡がった形態で一対の延出規制壁が形成される場合がある。このような場合、押し出し成形後に、一対の延出規制壁の延出方法(又は姿勢)を矯正してもよい。
シートの挿入又は装着を容易にするため、長尺な壁取付部材(レール部材)では、一対の延出規制部により長手方向に沿ってスリット状の開口部(抜け止め凹部の細幅の開口部)が形成され、抜け止め凹部(抜け止め空間)には、シートの上縁部及び/又は側縁部が装着可能である。特に、シートの上縁部及び/又は側縁部に形成された抜け規制部が、一対の延出規制部の少なくとも先端部(特に係止部)と係止して前記シートが抜け止め状態で装着可能である。
殆どの壁面(上部壁及び/又は側部壁の壁面)は完全に平坦ではなく、壁面には、通常、傾斜、波うち、凹凸部などによる歪み部が存在する。本発明では、壁取付部材が長尺であり、壁面(上部壁及び/又は側部壁の壁面)に歪み部があっても、前記抜け止め凹部内にシートの抜け規制部が遊んで挿入又は装着されているため、前記歪みを抜け規制部の遊びにより吸収でき、シートに皺や歪みを生じさせることなく区画を形成できる。前記壁面の歪みを吸収するためには、抜け止め凹部に対して抜け規制部が緊密に装着されていると、前記壁面の歪みを吸収することができない。そのため、抜け止め凹部内で抜け規制部が遊動可能、特に前記一対の延出規制壁の少なくとも延出方向に遊動可能であるのが好ましい。抜け規制部が遊動可能な抜け止め凹部は、断面円形状、楕円形状の空間を形成してもよく、断面四角形状の空間を形成してもよい。前記一対の延出規制壁の少なくとも延出方向に大きな遊動空間を形成するため、好ましい抜け止め凹部(抜け止め空間)は細長状の空間を形成する。抜け止め凹部(抜け止め空間)の長さは、抜け規制部が遊動可能な長さ、例えば、シートの端部(上端など)から抜け規制部までの長さ(例えば、シートの端部からフラップ状係止片の端部までの長さ)の1.2倍以上(例えば、1.3〜15倍程度)、好ましくは1.5倍以上(例えば、1.5〜10倍程度)、さらに好ましくは1.7倍以上(例えば、2〜5倍程度)であってもよく、1.3〜5倍(例えば、1.5〜3倍)程度であってもよい。
なお、複数の長尺な壁取付部材を壁面(例えば、天井壁面)に取り付ける場合、隣接部において、壁取付部材の軸方向が位置ずれする場合がある。このような場合、前記板状取付部に、長手方向にキー溝などの連結凹溝を形成し、隣接する壁取付部材の連結凹溝に連結部材(棒状体や板状体などの連結部材)を挿入又は装着することにより、隣接する壁取付部材の位置ずれを防止してもよい。なお、連結凹溝は、壁取付部材の適所に形成でき、前記図1に示すように、板状取付部の下部壁であってもよく、上部壁であってもよい。
壁取付部材(レール部材)をネジ部材などの固定手段で壁面(天井壁など)に取り付ける場合、壁取付部材(レール部材)の板状取付部には固定位置の指標となる溝や凹部又は孔を形成してもよい。例えば、板状取付部の下部壁面に、長手方向に沿って溝を形成したり、長手方向に間隔をおいて凹部又は孔を形成すると、これらの溝や凹部などを固定手段による固定位置の指標とすることができ、施工性及び位置決め精度を向上できる。
長尺な壁取付部材は、前記一対の延出規制壁による抜け止め凹部(抜け止め空間)を維持しつつ、平面形状が直線状に延びていてもよく、湾曲していてもよい。
シート
シートは、通常、少なくとも端部(上端部及び/又は側部)が前記抜け止め凹部に装着又は収容可能であればよく、布帛、プラスチックなどで形成してもよく、含浸処理、繊維強化などにより強化されていてもよい。シート(例えば、防煙壁や排煙壁などとして使用されるシートなど)は、難燃性又は不燃性シート、例えば、不燃性合成樹脂シート、ガラス繊維強化合成樹脂シートなどの繊維強化合成樹脂シート(ガラス繊維基布含有シートなど)などであってもよい。シートとしては、端部が折り返し又は折り畳み可能なシート(不燃性又は難燃性シートなど)、可撓性を有するシート(不燃性又は難燃性シートなど)、特に可撓性と溶着性とを有する不燃性シート(不燃性又は難燃性シートなど)が使用される。シートは、不透明であってもよいが、通常、透明又は半透明である場合が多い。また、シートは、必要により着色していてもよい。シートは、被係止部を容易に形成するため、溶着可能であってもよい。シートは柔軟性を有していてもよいが、抜け止め凹部への挿入又は装着操作を容易にするため、強度の高いシートであってもよい。
前記シートの端部には、抜け止め凹部からの脱離を規制するため、抜け規制部が形成されており、この抜け規制部は、シートの端部の折り曲げ又は折り畳み加工、シート端部への厚肉部材の接合加工などにより径大化加工されている場合が多い。
シートの抜け規制部としては、前記一対の延出規制部の少なくとも先端部の形態(特に係止部の形態)に応じて、種々の形態の規制部が形成できる。シートの抜け規制部は、前記一対の延出規制壁の先端部の係止部に対して係止可能な係止片(例えば、下端部が横方向に拡がって傾斜した係止片)を有していてもよく、例えば、図7(A)に示すように、シート本体11の縁部に、頂部に断面矢じり状又は逆V字状の被係止部71aを有する帯状体(細幅の被係止帯)71を取り付けることにより形成してもよく、図7(B)に示すように、頂部に断面矢印状又はアンカー状の被係止部72aを有する帯状体(被係止帯)72を取り付けることにより形成してもよく、図7(C)に示すように、頂部に断面クラゲ状(シート本体に対する取り付け部を中心として断面U字状)の形態の被係止部73aを有する帯状体(被係止帯)73をシート本体11の縁部に取り付けることにより形成してもよい。
また、前記一対の延出規制壁の先端部からの抜けを防止するための被係止部(シートの抜け規制部)の形態は、断面多角形状、断面円形又は楕円形状などの厚肉部(一対の延出規制壁の先端部のスリット状開口部よりも肉厚な被係止部又は肉厚規制部)で形成でき、例えば、図7(D)に示すように、帯状体(被係止帯)74の頂部に形成された断面四角形状の被係止部74a、図7(E)に示すように、帯状体(被係止帯)75の頂部に形成された断面円形又は楕円形状の被係止部75aの形態であってもよい。さらに、図7(F)に示すように、シートの抜け規制部を形成する帯状体(細幅の被係止帯)76は、断面円形状の被係止部76aと、この被係止部から延出し、かつシート本体11の縁部を両側から挟持可能な一対の薄肉状帯状体(薄肉状脚部)77a,77bとを備えていてもよい。
なお、前記シートの抜け規制部(被係止部)は、延出規制壁間の抜け止め凹部に収容可能であり、かつ鈎状係止部に対して係止又は係合可能であればよく、抜け止め凹部に対しては、鈎状係止部の開口部から抜け止め凹部の深部方向に挿入してもよく、図7(D)〜(F)の形態の抜け規制部(被係止部)では、抜け止め凹部の開口部よりも抜け規制部の厚みを大きくし、抜け止め凹部の側部の開口部からスライド式に挿入してもよい。
さらに、帯状部を利用することなく、例えば、図7(G)に示すように、抜け止め凹部の開口部よりも厚みが大きな所定厚みの細幅体78aをシート本体11に溶着(溶融圧着)などにより一体化し、被係止部78を形成してもよい。また、細幅体は、全体に亘りシート本体に溶着してもよく、細幅体の幅方向の中央部に溝状凹部(押圧または圧縮部)を形成した形態で長手方向に溶着してもよい。
さらに、図7(H)に示すように、シートの抜け規制部79は、シート本体11の上端部を折り返して第1の折り返し部(又は折り重ね部)79aを形成し、さらに第1の折り返し部を折り返して第2の折り返し部(又は折り重ね部)79bを形成し、第1の折り返し部79aと第2の折り返し部79bとの重ね合わせ部をシート本体11と溶着などにより一体化して被係止部80を形成してもよい。このような折り返し構造又は多重重ね合わせ構造の抜き規制部は、シート本体の材質に拘わらず、被係止部80を補強でき、一対の延出規制壁の先端部からの抜けを確実に防止できる。なお、抜け規制部が挿入可能である限り、折り返し回数は特に制限されず、例えば、図1に示されるように、1回であってもよく、2〜5回(例えば、2〜3回)程度であってもよい。
なお、前記帯状体は、シート本体11に対して、種々の一体化手段、例えば、溶着、接着、縫合(ステッチ状の縫合を含む)などの他、ステープラー(ホッチキス)などの綴じ具を用いてステープルなどの綴じ部材で取り付けて一体化してもよい。
前記シート端部の折り畳みや折り重ね部は、好ましくはウェルダーなどの溶着手段、縫合手段、綴じ部材などで互いに一体化してもよい。シートの端部は、予めウェルド(溶着)加工により抜け規制部が形成されている場合が多い。さらに、上記シートの端部は、樹脂含浸、補強材などにより補強されていてもよい。なお、シートの端部は予め加工されていてもよく、施工現場で所定の加工を施してもよい。
なお、シートの上縁部及び/又は側縁部は、シートの抜け規制部の形態に応じて、前記のように、壁取付部材の側方からスリット状の抜け止め凹部に沿って挿入又は装着してもよく、スリット状開口部を通じて下方及び/又は側方から抜け止め凹部内に挿入又は装着してもよい。
壁取付部材に装着又は取り付け可能である限り、前記シートの製造方法は特に制限されず、前記のように、一体化手段(ウェルダーによる溶着手段など)により、シート本体の上縁部及び/又は側縁部に、抜け規制部(壁取付部材の抜け止め凹部に係止可能であり、かつ前記抜け止め凹部内で抜け規制部が遊びをもって収容可能な抜け規制部)を形成すればよい。
さらに、壁取付部材は、壁面に対する取付部位を遮蔽するための遮蔽部材を備えていてもよい。図8に示す長尺な壁取付部材101は、図1及び図2と同様に、板状取付部102と、この板状取付部の一方の側において板状取付部102から所定間隔をおいて下方に延びる第1及び第2の延出規制壁103,104と、前記板状取付部102の他方の端部から下方に延びる屈曲延出部106とを備えている。第1の延出規制壁103及び第2の延出規制壁104の先端部は、内側に断面鈎状に屈曲した係止部103a,104aを形成し、第1の延出規制壁103及び第2の延出規制壁104により、細幅のスリット状開口部を有し、先端部が狭まった形態の細長い抜け止め凹部105が形成されている。
この例でも、シート10は前記図1、図2及び図5に示すシートと同様に形成されており、スリット状開口部を通じてシート10の上端部を下方から進入させることにより、抜け止め凹部105内に円滑に挿入できる。しかも、開放されて広がったフラップ状の係止片12が鈎状の係止部103a,104aと強固に係合し、シート10の抜けを防止する。
そして、この例では、壁取付部材101をネジ部材14で天井壁15aに取り付けた後、ネジ部材14を遮蔽するため、前記第2の延出規制壁104と屈曲延出部106との内壁(対向壁)には、カバー部材107が装着可能な装着溝が形成されている。このようなカバー部材107を利用することにより、ネジ部材14を遮蔽して美観を向上できる。なお、カバー部材(又は遮蔽部材)は着脱可能であってもよい。
さらに、壁取付部材と組み合わせて区画壁構造を形成するためのシート取付部材は、前記挟着構造に限らず、種々の形態でシートの端部(例えば、両側部)を保持可能であればよく、粘着剤を利用することなく、シート本体の端部(例えば、側部)とシート取付部材とを強固に一体化してもよい。例えば、前記壁取付部材と、前記シートの端部(例えば、側部)を挟持可能な一対のシート挟持部と、このシート挟持部からL字状に延び、かつ側部壁に取り付け可能な壁取付部とを備えた一対のシート取付部材とで区画壁形成部材を構成し、シートの端部(例えば、両側部)を保持又は挟持し、シートを展張させてもよい。図9は本発明の他の区画壁構造を示す概略分解斜視図であり、図10は図9に示す第1の一対のシート取付部材の概略平面図である。
この例では、シート本体の一方の側部をシート本体の側部を挟持可能な第1の一対のシート取付部材115,116は、前記と同様に、断面L字状に形成され、シート本体11を挟持可能な板状シート挟持部115a,116aと、区画壁の側部壁に取付可能な板状壁取付部115b,116bとを備え、L字状アングルを形成している。前記シート挟持部115a,116aの対向面のうち、先端部側(前方側)には、互いに噛合又は嵌合可能な断面V字状の溝117が隣接して縦方向に延びる挟着域(挟着部位)118が形成され、板状壁取付部側には、シート本体11の側部を挟着して互いに対向する一対のシート挟持部115a,116aを締結するための締結域(締結部位)119が形成され、この締結域ではネジ部材19a及びナット19bを利用して一対のシート挟持部115a,116aを締結可能である。すなわち、挟着域(挟着部位)118と締結域(締結部位)119とが分離している。
そのため、壁取付部材1の抜け止め凹部5に対して、横方向からシート10の上縁部の被係合部(肉厚規制部)78を挿入又は装着した後、シート本体11の一方の側部を、第1のシート取付部材115,116のシート挟持部115a,116aで挟持すると、挟着域(挟着部位)118ではV字状溝117によりシート本体11の側部を強固に挟着して確実に抜け止めできるとともに、締結域119では、一対のシート挟持部115a,116aをネジ部材19aの螺着により締結しても、ネジ部材19aによる捻り力がシート本体11に作用することがなく、シート10を均一に展張できる。また、仮に締結域119にシート10の端部が位置し、ネジ部材19aによる捻り力がシート10の端部に作用したとしても、挟着域118でシート本体11の側部を強固に挟着しているため、皺や波うちを形成することなく、シート10を展張できる。
前記壁取付部115b,116bは、前記と同様に、側部壁に対してネジ部材20で取り付け可能である。なお、第1の一対のシート取付部材115,116には、ネジ部材19a及び20の螺合位置を示す(指標又は目印とする)とともに、位置ずれを防止しつつ螺合又はねじ込むため、長手方向に所定の間隔をおいて凹部又は窪み部若しくは細孔部が形成されている。なお、螺合位置は、長手方向に沿って形成された浅溝状又は筋状の凹部であってもよい。
さらに、第1の一対のシート取付部材115,116は、突き合わせ操作により位置ずれを防止するため、壁取付部115b,116bの対向部には、互いに嵌合可能な位置決め部(位置決め凹凸部、噛み合い部)120が形成されている。この例では、断面台形状の凸条部と、この凸条部に適合した断面凹溝部とで位置決め部120が形成されている。そのため、シート本体11の側部をV字状溝117を有する挟着域(挟着部位)118で挟持しても、一対のシート取付部材115,116が位置ずれすることなく、前記一対のシート挟持部115a,116aを挟着できるとともに、壁取付部115b,116bを側部壁に取り付け可能である。
なお、図9及び図10では、シート本体の一方の側部を挟持する例を図示しているが、シート本体の両側部を挟持してもよい。すなわち、前記第1の一対のシート取付部材115,116と同様の構造を有する第2の一対のL字状シート取付部材(図示せず)を利用して、シート本体11の他方の側部を第2の一対のシート挟持部のV字状溝で強固に挟持できるとともに、第2の一対の壁取付部を他方の側部壁に取り付け可能である。
さらに、前記と同様に、前記一対のL字状シート取付部材115,116において、壁取付部115b,116bは、シート挟持部115a,116aよりも延出しており、壁取付部115b,116bの上端部壁には、壁取付部材1の断面形状に対応して、第1及び第2の延出規制壁3,4が収容可能な段部(又は切り欠き部)が形成され、壁取付部材1の両側部を受けるための受け部を形成している。
さらに、この例では、一対の延出規制壁3,4間の板状取付部2の下部壁ではなく、板状取付部2の下部壁のうち一対の延出規制壁3,4から幅(又は側部)方向に延出する延出部の下部壁には、ネジ部材などにより、天井壁(図示せず)に取り付け可能なプレート状の連結部材(細長状プレート)27が配設可能であり、この連結部材で、壁取付部材(又はレール部材)1を位置決めしつつ壁取付部材(又はレール部材)1の隣接部を連結可能である。なお、前記連結部材27には、長手方向の所定の側部にはマーカー部(この例では、切り欠き部)27aが形成され、板状取付部2の下部壁に対する進入又は挿入長さのマーカーとしている。
なお、シート挟持部は、挟着域を備えている必要はなく、少なくとも締結域を備えていればよく、締結域はシート挟持部の対向部の少なくとも一部に形成してもよく、全体に亘り形成してもよい。好ましい態様では、シート挟持部は、少なくとも挟着域及び締結域を備えている。シート挟持部は、少なくとも1つの挟着部と少なくとも1つの締結部とを備えていればよく、シート挟持部の先端部側から壁取付部に向かって、順次に互いに隣接して形成してもよく、挟着部と締結部と挟着部とを順次に形成してもよい。また、シート挟持部において、必ずしも挟着域と締結域とに分離する必要はないが、前記のように、挟着域と締結域とに分離すると、シートに皺などが生成するのを有効に防止しつつ、シートを展張できる。
前記挟着域118は、断面V状の溝に限らず、互いに突き合わせ可能な形態(断面凹凸嵌合又は噛み合せなどの形態)、例えば、断面U字状、断面台形状などの溝で形成してもよい。例えば、シートを挟持した状態で、一対のシート挟持部は、断面山形状、鋸切り状又は波形状若しくはS字状に連なる挟着部を形成してもよい。
壁取付部115b,116bの対向部に形成された位置決め部120は必ずしも必要ではないが、シートの取り付け操作を円滑に行うためには、壁取付部115b,116bの対向部に位置決め部を形成するのが有利である。この位置決め部は、前記の形態に限らず、長手方向に沿って形成された凸状(断面三角形又は四角形状の凸条など)と凹溝(断面V字状又はコ字状溝など)とで形成してもよく、長手方向に間隔をおいて形成された突出部と凹部とで構成してもよい。また、位置決め部は、シートの取り付けに支障のない限り、前記壁取付部115b,116bの対向部の適所に形成してもよく、前記締結域に形成してもよい。すなわち、一対のシート挟持部の締結域及び/又は一対の壁取付部の対向部に位置決め部を形成してもよい。
さらに、シート本体11を緊張させて、壁面に取り付けるため、張力調整ユニットを利用してもよい。図11は張力調整ユニットの一例を示す概略分解斜視図であり、図12は図11に示す張力調整ユニットの概略断面図である。
この張力調整ユニットは、ネジ部材130などにより壁部(又は側壁部)に取り付け可能な壁プレート部材121と、この壁プレート部材に対して一方の端部が固定された螺旋棒体(ネジ棒部)122と、この螺旋棒体が挿通可能な挿通孔(螺旋棒体122の外径よりも内径が大きな挿通孔)125を有する進退動プレート部材124と、この進退動プレート部材124と前記壁プレート部材121との間に介在し、前記螺旋棒体122に対して螺合可能であり、かつ周縁部が波形状の円盤状のナット部材123とを備えている。そのため、この円盤状ナット部材123は、前記螺旋棒体122に対する螺合に伴う進退動(直線動)に伴って前記進退動プレート部材124を進退動可能である。なお、螺旋棒体122は、前記壁プレート部材121のうちシート取付部材115,116の壁取付部115b,116bの側縁部に対応する部位に位置している。前記壁プレート部材121には、長手方向に所定の間隔をおいて、複数の螺旋棒体(ネジ棒部)122が取り付けられている。前記壁プレート部材121から延出する前記螺旋棒体122の先端部には、操作部127を有する筒状締結部材126が螺合可能であり、この締結部材の前方壁は、螺合に伴う前進動によりシート取付部材115,116の壁取付部115b,116bを締結可能である。すなわち、筒状締結部材126は、前記螺旋棒体122を中心として、前記壁取付部115b,116bを挟持又は締結可能な直径に形成されている。
さらに、前記進退動プレート部材124には、案内ピン128が突出して形成され、この案内ピンは、前記壁取付部115b,116bに形成された案内孔129に沿って挿通可能である。前記案内ピン128及び案内孔129も、進退動プレート部材124及び前記壁取付部115b,116bの長手方向に間隔をおいて形成されている。
このような張力調整ユニットでは、シート本体11の端部(又は側部)をシート挟持部115a,116aで挟持した状態で、円盤状のナット部材123を回転動させることにより、螺旋棒体122に沿って前記進退動プレート部材124及びシート取付部材115,116を進退動(直線動)させることができる。また、これらの操作において、進退動プレート部材124の案内ピン128が、前記壁取付部115b,116bの案内孔129に沿って進退動可能であるため、位置ずれすることなく円滑に操作できる。そのため、壁面とシート取付部材115,116との間隔を円滑かつ効率よく調整でき、シート本体11を緊張させることができる。そして、筒状締結部材126の操作部127を回転させて螺旋棒体122に沿って前進動させ、筒状締結部材126でシート取付部材115,116の壁取付部115b,116bを締結することにより、シート本体11を緊張させて、壁面に取り付けることができる。
なお、壁プレート部材は必ずしも必要ではなく、螺旋棒体の一方の端部が壁部(又は側壁部)に対して直接的に固定されていてもよい。施工性などの観点から、螺旋棒体の一方の端部を、壁プレート部材に固定し、壁部(又は側壁部)に対して間接的に固定可能であるのが好ましい。その螺旋棒体に対して螺合可能なナット部材(螺合部材)は前記のように円盤状である必要はなく、回転に伴って螺旋棒体の軸線に沿って進退動可能であればよい。また、シートの端部(又は側部)が一対のシート挟持部で挟持された状態で、前記螺旋棒体に対するナット部材の進退動に伴って、シートを牽引可能(横方向に牽引可能)であればよく、シート取付部材の壁取付部とともに、シートを牽引可能であってもよい。例えば、進退動プレート部材は、シート取付部材の壁取付部と一体化していてもよく、前記締結部材は必ずしも必要ではなく、前記ナット部材及び締結部材のうち少なくとも一方の螺合部材(螺合に伴ってシートを牽引するための部材)を備えていてもよい。また、締結部材は、壁取付部を締め付け可能である限り、締結前記筒状に限らず、板状などの形態の前進部(前方部又は締め付け部)を備えていてもよい。
なお、図示する例では、張力調整ユニットによりシートを横方向に展張又は緊張させているが、前記シートの取り付け形態に応じて、シートの端部を縦方向に展張又は緊張させてもよい。例えば、シート本体の上縁部ではなく側縁部の規制部を壁取付部材の抜け止め凹部に係止可能であり、遊びをもって収容する場合、前記張力調整ユニットは、上部壁及び/又は下部壁に張力調整ユニットを取り付け、シートを縦方向に展張又は緊張させてもよい。また、張力調整ユニットは、一対のシート取付部材のうち少なくとも一方のシート取付部材に取り付ければよく、双方のシート取付部材に取り付けてもよい。なお、張力調整ユニットを利用してシートを取り付ける場合、シートの一方の端部は前記シート取付部材に限らず他の取付部材で取り付けられていてもよい。
本発明は、室内の空間(上部空間など)を区画する施工方法も含む。この方法では、壁取付部材を上部壁及び/又は側部壁に対して取り付け、前記壁取付部材の抜け止め凹部内に遊びをもってシートの抜け規制部を収容し、この抜け規制部によりシートの上縁部及び/又は側縁部を抜けが規制された形態でシートを抜け止め凹部に装着することにより、区画壁を効率よく施工できる。この方法では、壁取付部材を壁面(例えば、天井壁面)に取り付けた後、壁取付部材にシートを装着するため、施工性を大きく改善できる。すなわち、壁取付部材にシートを装着した状態で、壁取付部材を壁面(例えば、天井壁面)に取り付ける方法では、壁取付部材から延出するシートが、壁面への壁取付部材の取付部位での取り付け作業を邪魔してしまい、作業効率を低下させている。一方、壁取付部材を壁面(例えば、天井壁面)に取り付けた後、壁取付部材にシートを取り付けようとすると、シートが可撓性を有していることに加えて、壁取付部材の装着部に対してシートを緊密に装着する必要があるため、シートの取り付け作業が困難である。これに対して、本発明では、壁取付部材を壁面に取り付けた後であっても、壁取付部材の抜け止め凹部にシートを挿入するだけで、一対の延出規制壁の先端部でシートの抜け規制部を係止又は掛止でき、施工効率を大幅に改善できる。
なお、前記ガラス繊維強化樹脂シートなどの強度の大きなシートでは、両側部からシートを引っ張らなくても、シートの皺や波うちを防止でき、シートを綺麗に展張できる。そのため、シートの両側部は、壁面(例えば、両側壁など)から遊離していてもよいが、壁面(例えば、両側壁)に対して取り付けてもよい。シートの両側部は種々の取り付け手段(ブラケット)で取り付けることができ、例えば、シートに対するシート取付部(又は挟持部)と、壁面(例えば、側壁面)に対する壁取付部とを有する部材(例えば、断面L字状のシート取付部材又はアングルなど)が利用できる。このようなシート取付部材を用いると、緊張させてシートを効率よく取り付けることができる。例えば、第1のシート取付部材を用い、シート本体の一方の側部をシート取付部に取り付けて(又は一対の第1のシート取付部材の挟持部で挟持して)第1の壁取付部を一方の壁面に取り付けた後、第2のシート取付部材を用い、シート本体の他方の側部を第2のシート取付部に取り付け(又は一対の第2のシート取付部材の挟持部で挟持して)、シートを引っ張りながら他方の壁面に第2の壁取付部を取り付けることにより、シートを緊張又は展張させて取り付けることができる。なお、第1のシート取付部材及び第2のシート取付部材は、予めシートの両側部にそれぞれ取り付けて施工してもよく、第1のシート取付部材でシートの一方の側部を第1の壁取付部により一方の壁面に取り付けた後、第2のシート取付部材をシートの他方の側部に取り付けてもよい。なお、必ずしも必要ではないが、第1のシート取付部材及び第2のシート取付部材(取付部材の上端部)に、壁取付部材に対する受け部を形成すると、区画壁や区画構造の美観を向上できる。
なお、シート取付部(又は一対のシート取付部材の挟持部)とシートとの間には接合手段(例えば、粘着剤層)を介在させてもよい。例えば、シートの両側部をそれぞれ第1及び第2のシート取付部(又は一対のシート取付部材の挟持部)と両面粘着テープで貼り合わせ、第1の壁取付部を一方の壁面に取り付けた後、シートを引っ張りながら第2の壁取付部を他方の側壁に取り付けることにより、円滑かつ効率よくシートを展張させてシートを取り付けることができる。
好ましい区画壁の態様では、壁取付部材は上部壁(特に、天井壁)に対して直接的に取り付けられ、縦方向への抜けが規制された形態でシートの抜け規制部が抜け止め凹部内に収容されている。また、シートは横方向に展張されている。特に、上記態様は、区画壁構造が防煙壁構造(防炎垂れ壁構造)や排煙壁構造として有用である。
なお、前記区画壁形成部材を利用し、前記シートの端部(例えば、側部)を一対のシート取付部材のシート挟持部で挟持し、このシート挟持部からL字状に延びる壁取付部を壁部(例えば、側部壁)に取り付け、区画壁を施工してもよい。
なお、シートを縦方向に両側から挟持する中間部材(保持部材)によりシートの長手方向の途中部を挟持し、シートの揺動や揺れなどを防止してもよい。
また、組立セット、防煙壁又は区画構造において、シートの一方の端部に前記抜け規制部を形成し、他方の端部にも前記抜け規制部などの肉厚部や被係止部を形成してもよい。また、他方の端部(特に、シートの下端部(下縁部))には、下方向への荷重を作用させてシートを縦方向に展張するため、荷重手段(棒状体又は板状体などの錘部材など)を取り付けてもよい。
また、必要であれば、シートの両側部のうち少なくとも一方の側部を把持部材(一対の挟持部材)で把持又は挟持し、シートの側部を挟持した状態で把持部材(前記一対の挟持部材)をネジ部材などの締結部材で締結してもよく、前記把持部材に対して、縦部材(縦方向に固定した部材)を介して、牽引手段としてのネジ部材を螺合して、前記シートを横方向に展張させ、前記把持部材の端部に縦部材を取り付けてもよい。また、シートの下端部に下部棒状部材を取り付け、下部取付部材(固定された取付部材)を介して、下方から下部棒状部材に牽引手段としてのネジ部材を螺合することにより、シートを下方に牽引して展張してもよい。このようなネジ部材によるシートの展張については、前記特許文献6及び7を参照できる。