[第1の実施の形態]
以下、図面を参照して第1の実施の形態のセルバランス回路及び当該セルバランス回路を備えた電池監視システムについて詳細に説明する。
まず、本実施の形態の電池監視システムの構成について説明する。本実施の形態の電池監視システムの概略構成の一例を図1に示す。図1に示した本実施の形態の電池監視システム10は、複数の電池セルを含む組電池8(図1では、具体的一例として、三個の電池セル(CELL1〜CELL3、以下、総称する場合は、電池セルと称する)を含む場合を示している)の電池電圧を監視・制御する機能を有している。なお、本実施の形態では、組電池8の電池セルの高電位側に接続された信号線L(L0〜L3、以下、総称する場合は、信号線Lと称する)は、当該電池セルの上位(高電位)側に接続された電池セルの低電位側に接続された信号線Lと等しい。例えば、信号線L2は、電池セルCELL2の高電位側に接続された信号線Lであり、かつ、電池セルCELL3の低電位側に接続された信号線Lでもある。
電池監視システム10は、外付けセルバランス用FET12と、セルバランス回路14と、外付けセルバランス用FET12及びセルバランス回路14の間の信号線Lに設けられた抵抗素子R(R1〜R4、以下、総称する場合は、抵抗素子Rと称する)と、当該抵抗素子Rに並列に接続されたダイオードD(D1〜D4、以下、総称する場合は、ダイオードDと称する)と、を備えて構成されている。
本実施の形態のセルバランス回路14の保護回路20は、組電池8と接続するためのセルモニタ端子V(V0〜V3、以下、総称する場合は、セルモニタ端子Vと称する)と、内蔵セルバランス用FET22と、電圧監視回路24と、バランス制御回路26と、を備えて構成されている。
セルモニタ端子Vは、組電池8の各電池セルの正極(高電位側)に接続された信号線L毎に設けられている。
内蔵セルバランス用FET22は、具体的一例として、NMOSトランジスタを用いており、各電池セル毎に、NMOSトランジスタN(N1〜N3、以下、総称する場合は、NMOSトランジスタNと称する)が設けられている。NMOSトランジスタNは、ドレイン端子が電池セルの正極(高電位)側に対応する信号線K(K0〜K3、以下、総称する場合は、信号線Kと称する)に接続され、ソース端子が電池セルの負極(低電位)側に対応する信号線Kに接続されている。また、ゲート端子が、バランス制御回路26に接続されている。
電圧監視回路24は、セルモニタ端子Vに接続された信号線Kに接続されており、信号線Kにより入力された電圧に応じて、図示を省略した電圧検出回路等により、各電池セルの電池電圧を検出し、検出した電池電圧にバラツキが生じていると判断した場合は、バラツキを均等化(バランス)するために、他の電池セルよりも電池電圧の高い電池セルの電圧を放電するようにバランス制御回路26に指示することにより、各電池セルの電圧(電圧のバランス)を監視する機能を有している。バランス制御回路26は、電圧監視回路24の指示に応じて、放電させる電池セルに対応する内蔵セルバランス用FET22のNMOSトランジスタNをオン状態にするための制御信号を出力する。
また、本実施の形態の電池監視システム10では、外付けセルバランス用FET12とセルバランス回路14との間の信号線Lに、アノードが外付けセルバランス用FET12に接続され、カソードが保護回路20(セルモニタ端子V)に接続されたダイオードDと、当該ダイオードDと並列に接続された抵抗素子Rと、が設けられている。
また、本実施の形態の外付けセルバランス用FET12は、具体的一例として、NMOSトランジスタを用いており、各電池セル毎に、NMOSトランジスタM(M1〜M3、以下、総称する場合は、NMOSトランジスタMと称する)が設けられている。NMOSトランジスタMは、ドレイン端子が電池セルの正極(高電位)側に接続され、ソース端子が電池セルの負極(低電位)側に接続されている。また、ソース端子が接続されている信号線Lの、ダイオードD及び抵抗素子Rと保護回路20(セルモニタ端子V)との間にゲート端子が接続されている。
次に、本実施の形態の電池監視システム10の電池監視動作及び放電動作について説明する。なお、ここでは、具体的一例として、電池セルCELL2の電池電圧が他の電池セル(CELL1、CELL3)に比べて高くなった場合に、電池セルCELL2を放電させて電池電圧を下げる場合の動作について説明する。
図2に、本実施の形態の電池監視システム10の電池監動作及び放電動作の流れの一例のフローチャートを示す。
保護回路20の電圧監視回路24は、各電池セルそれぞれの電池電圧を検出して監視し(図2:ステップ100)、各電池セルの電池電圧が均一か(セルバランスがとれているか)否かを判断する。各電池セルの電池電圧が等しいか、電池電圧の差が予め定められた許容範囲内である場合は、そのまま各電池セルの電池電圧の監視を継続する(図2:ステップ102で肯定)。
一方、セルバランスがとれていない場合(図2:ステップ102で否定)、ここでは、具体的一例として、電池セルCELL2の電池電圧が他と比べて高いと判断された場合、電池セルCELL2を放電させると決定して(図2:ステップ104)バランス制御回路26にその旨を指示する。
バランス制御回路26では、当該指示に応じて、放電させる電池セルに対応する内蔵セルバランス用FET22のNMOSトランジスタNをオン状態にさせるための制御信号を出力する。ここでは、具体的一例として、NMOSトランジスタN2をオン状態にする(図2:ステップ106)。なお、この際、NMOSトランジスタN1及びNMOSトランジスタN2はオフ状態である。
さらに、NMOSトランジスタN2がオン状態になることにより、電池セルCELL2の正極(高電位)側から抵抗素子R3、ダイオードD3、セルモニタ端子V2、NMOSトランジスタN2、セルモニタ端子V1、及び抵抗素子R2を介して、電池セルCELL2の負極(低電位)側に電流が流れ込む電流経路が確立される(図2:ステップ108)。
この際、抵抗素子R3とダイオードD3に流れる電流による電圧降下は、ダイオードD3の順方向電圧(一般的には、約0.7V)にクランプされるため、セルモニタ端子V2の電圧は、電池セルCELL2の正極(高電位)側の電圧から、順方向電圧(0.7V)だけ、低い電圧となる。
一方、セルモニタ端子V1から抵抗素子R2を介して、電池セルCELL2の負極へと流れ込む電流により、抵抗素子R2に電圧降下が発生する。ここで、抵抗素子R2に流れる電流が充分に大きい(電圧降下が大きい)場合、セルモニタ端子V1の電圧は、セルモニタ端子V2とほぼ等しい値(V1≒V2=電池セルCELL2の正極(高電位)側の電圧−0.7V)となる。
従って、外付けセルバランス用FET12のNMOSトランジスタM2のゲート端子には、セルモニタ端子V1の電圧(電池セルCELL2の正極(高電位)側の電圧−0.7V)が印加され、ソース端子には電池セルCELL2の負極(低電位)側の電圧が印加されることになる。NMOSトランジスタM2のゲート−ソース間電圧VgsがNMOSトランジスタM2の閾値電圧Vth以上の充分に大きな電圧となる(図2:ステップ110)ため、NMOSトランジスタM2がオン状態になる(図2:ステップ112)。
NMOSトランジスタM2がオン状態になることにより、電池セルCELL2の正極(高電位)側と負極(低電位)側とが短絡(図2:ステップ114)して大きな電流が流れ、電池セルCELL2のみ放電電流が流れて、放電が開始される(図2:ステップ116)。CELL2のみ放電電流が流れ、電池電圧が低下するため、他の電池セル(CELL1、CELL3)と電池電圧のバランスをとることができる。
次に、本実施の形態の電池監視システム10の放電終了動作について説明する。なお、ここでも引き続き、具体的一例として、電池セルCELL2を放電させている場合について説明する。
図3に、本実施の形態の電池監視システム10の放電終了動作の流れの一例のフローチャートを示す。なお、放電終了のタイミングは、例えば、セルバランス回路14の保護回路20の電圧監視回路24で放電させている電池セルCELL2の電池電圧を検出し、所定の電圧(他の電池セルとバランスが取れる電圧)になった場合や、放電量(低下させる電圧値)に応じて予め定められた時間が経過したか否か等により判断すればよく、特に限定されない。
放電を終了させる場合は、その旨を電圧監視回路24からバランス制御回路26に指示し、バランス制御回路26は、内蔵セルバランス用FET22のNMOSトランジスタN2がオフするように制御信号を出力する(図3:ステップ200)。当該制御信号により、NMOSトランジスタN2がオフ状態になると、上述した(図2、ステップ108参照)電流経路が遮断される(図3:ステップ202)。
電流経路が遮断されることにより、NMOSトランジスタM2のゲート端子とソース端子との間に設けられている抵抗素子R2に電流が流れなくなり、抵抗素子R2による電圧降下が得られなくなるため、NMOSトランジスタM2のゲート−ソース間電圧Vgs=0Vになる(図3:ステップ204)。これにより、NMOSトランジスタM2がオフ状態になる(図3:ステップ206)。従って、電池セルCELL2の放電が終了する(図3:ステップ208)。
以上説明したように、本実施の形態の電池監視システム10は、外付けセルバランス用FET12と、セルバランス回路14と、を備えて構成されている。また、セルバランス回路14の保護回路20は、組電池8の各電池セルの正極(高電位)側・負極(低電位)側に接続された信号線Lが接続されるセルモニタ端子Vと、内蔵セルバランス用FET22と、電圧監視回路24と、バランス制御回路26と、を備えて構成されている。内蔵セルバランス用FET22は、各電池セル毎に設けられたNMOSトランジスタNにより構成されている。また、外付けセルバランス用FET12は、組電池8の各電池セル毎に設けられ、ドレイン端子が各電池セルの正極(高電位)側の信号線Lに接続され、ソース端子が各電池セルの負極(低電位)側の信号線Lに接続され、かつゲート端子がソース端子と保護回路20のセルモニタ端子Vとの間の信号線Lに接続されたNMOSトランジスタMにより構成されている。さらに、NMOSトランジスタMのソース端子の接続点とゲート端子の接続点との間(最上位の電池セルにおいては、さらにドレイン端子の接続点と保護回路20のセルモニタ端子Vとの間)の信号線Lには、アノードがNMOSトランジスタMにカソードが保護回路20のセルモニタ端子Vに接続されたダイオードDと、当該ダイオードDに並列に接続された抵抗素子Rと、が設けられている。
電池セルの放電動作は、電圧監視回路24が各電池セルの電池電圧を検出し、他の電池セルに比べて電池電圧が高い電池セルの放電をバランス制御回路26に指示し、当該指示に基づいてバランス制御回路26から出力された制御信号により、放電させる電池セルに対応する内蔵セルバランス用FET22のNMOSトランジスタMがオン状態になる。電池セルの正極(高電位)側から抵抗素子R、ダイオードD、セルモニタ端子V、NMOSトランジスタN、セルモニタ端子V、及び抵抗素子Rを介して、電池セルの負極(低電位)側に電流が流れ込む電流経路が確立される。ダイオードDの順方向電圧により、抵抗素子RとダイオードDに流れる電流による電圧降下がクランプされ、セルモニタ端子Vの電圧は、電池セルの正極(高電位)側の電圧−順方向電圧となる。また、抵抗素子Rに流れる電流により発生する電圧降下によって、正極(高電位)側の信号線Lが接続されるセルモニタ端子Vの電圧は、負極(低電位)側の信号線Lが接続されるセルモニタ端子Vとほぼ等しくなる。外付けセルバランス用FET12のNMOSトランジスタMのゲート端子には、正極(高電位)側の信号線Lが接続されるセルモニタ端子Vの電圧が印加され、ソース端子には電池セルの負極(低電位)側の電圧が印加されるため、ゲート−ソース間電圧VgsがNMOSトランジスタMの閾値電圧Vth以上の充分に大きな電圧となり、オン状態になる。これにより、電池セルの正極(高電位)側と負極(低電位)側とが短絡して大きな放電電流が流れて、放電が開始される。
すなわち、本実施の形態の電池監視システム10では、セルバランス回路14の保護回路20の内蔵セルバランス用FET22におけるNMOSトランジスタNをオン状態にすることにより、外付けセルバランス用FET12におけるNMOSトランジスタNのゲート−ソース間電圧を大きくしてNMOSトランジスタNをオン状態にすることができ、電池セルの正極(高電位)側及び負極(低電位)側を短絡させるため、大きな放電電流を流して電池セルの放電を行うことができる。
このように本実施の形態の電池監視システム10では、外付けセルバランス用FET12により電池セルの正極(高電位)側及び負極(低電位)側を短絡させて放電を行っているため、放電電流を大きくすることができる。また、例えば、上述の従来の電池監視システム2000のセルバランス回路2014の(図9参照)では、外部の外付けセルバランス用FET1012のゲート端子に制御信号を出力するためのセルモニタ端子VGを保護回路2020を必要としたが、本実施の形態の電池監視システム10のセルバランス回路14の保護回路20では、このような端子(セルモニタ端子VG)を必要としないため、端子数が増加することを防止できる。
従って、保護回路20に設けられたセルモニタ端子Vの端子数を増加させることなく、保護回路20の外部に設けられた外付けセルバランス用FET12により各電池セルの放電を行うことができる。
また、放電電流を大きくすることができるため、電池セルのバランスが取れるまで長い時間を要することがなく、保護回路20(セルバランス回路14)が搭載される基板の実装面積が大きくなるのを抑制して、低価格な電池監視システム10を実現することができる。
なお、本実施の形態では、全ての信号線Lに対して同様に、ダイオードD及び抵抗素子Rを設けているが、最下位の電池セルCELL1に対応するダイオードD1及び最上位の電池セルCELL3に抵抗素子R4を設けないように構成しても、上述のようにそれぞれ対応する外付けセルバランス用FET12のゲート−ソース間電圧Vgsを大きくする効果が得られるため、このように構成してもよい。
[第2の実施の形態]
以下、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と略同様の構成、動作については、その旨を記載し、詳細な説明を省略する。
本実施の形態の電池監視システムの概略構成の一例を図4に示す。本実施の形態の電池監視システム30は、第1の実施の形態の電池監視システム10の外付けセルバランス用FET12の変わりに、外付けセルバランス用FET32が設けられている。
本実施の形態の外付けセルバランス用FET32は、具体的一例として、PMOSトランジスタを用いており、各電池セル毎に、PMOSトランジスタP(P1〜P3、以下、総称する場合は、PMOSトランジスタPと称する)が設けられている。PMOSトランジスタPは、ソース端子が電池セルの正極(高電位)側に接続され、ドレイン端子が電池セルの負極(低電位)側に接続されている。また、ソース端子が接続されている信号線Lの、ダイオードD及び抵抗素子Rと保護回路20(セルモニタ端子V)との間にゲート端子が接続されている。
また、本実施の形態の電池監視システム30では、外付けセルバランス用FET32とセルバランス回路14との間の信号線Lに、カソードが外付けセルバランス用FET32に接続され、アノードが保護回路20(セルモニタ端子V)に接続されたダイオードDと、当該ダイオードDと並列に接続された抵抗素子Rと、が設けられている。すなわち、第1の実施の形態の電池監視システム10と、ダイオードDのアノード及びカソードが逆向きに接続された状態になっている。
次に、本実施の形態の電池監視システム30の電池監視動作及び放電動作について説明する。なお、これらの動作の流れは第1の実施の形態における各動作の流れ(図2参照)と略同様であるため、詳細な説明は省略する。また第1の実施の形態と同様に、具体的一例として、電池セルCELL2の電池電圧が他の電池セル(CELL1、CELL3)に比べて電圧が高くなった場合に、電池セルCELL2を放電させて電池電圧を下げる場合の動作について説明する。
セルバランス回路14の保護回路20における内蔵セルバランス用FET22のNMOSトランジスタN2をオン状態にする。これにより、電池セルCELL2の正極(高電位)側から抵抗素子R3、セルモニタ端子V2、NMOSトランジスタN2、セルモニタ端子V1、抵抗素子R2、及びダイオードD2を介して、電池セルCELL2の負極(低電位)側に電流が流れ込む電流経路が確立される。この際、抵抗素子R2とダイオードD2に流れる電流による電圧降下は、ダイオードD2の順方向電圧(一般的には、約0.7V)にクランプされるため、セルモニタ端子V1の電圧は、電池セルCELL2の負極(低電位)側の電圧から、順方向電圧(0.7V)だけ、高い電圧となる。
一方、電池セルCELL2の正極(高電位)側から抵抗素子R3を介してセルモニタ端子V2へと流れ込む電流により、抵抗素子R3に電圧降下が発生する。ここで、抵抗素子R3に流れる電流が充分に大きい(電圧降下が大きい)場合、セルモニタ端子V2の電圧は、セルモニタ端子V1とほぼ等しい値(V2≒V1=電池セルCELL2の負極(低電位)側の電圧+0.7V)となる。
従って、外付けセルバランス用FET32のPMOSトランジスタP2のゲート端子には、セルモニタ端子V2の電圧(電池セルCELL2の負極(低電位)側の電圧+0.7V)が印加され、ソース端子には電池セルCELL2の正極(高電位)側の電圧が印加されることになるため、PMOSトランジスタP2のゲート−ソース間電圧VgsがPMOSトランジスタP2の閾値電圧Vth以上の充分に大きな電圧となるため、PMOSトランジスタP2がオン状態になる。
PMOSトランジスタP2がオン状態になることにより、電池セルCELL2の正極(高電位)側と負極(低電位)側とが短絡して大きな電流が流れ、電池セルCELL2のみ放電電流が流れて、放電が開始される。CELL2のみ放電電流が流れ、電池電圧が低下するため、他の電池セルと電池電圧のバランスをとることができる。
次に、本実施の形態の電池監視システム10の放電終了動作について説明するが、上述の電池監視動作及び放電動作と同様に、第1の実施の形態における動作の流れ(図3参照)と略同様であるため、詳細な説明は省略する。また第1の実施の形態と同様に、具体的一例として、電池セルCELL2を放電させている場合について説明する。
放電を終了させる場合は、その旨を電圧監視回路24からバランス制御回路26に指示し、バランス制御回路26から出力された制御信号により、内蔵セルバランス用FET22のNMOSトランジスタN2がオフ状態になり、上述した電流経路が遮断される。
PMOSトランジスタP2のゲート端子とソース端子との間に設けられている抵抗素子R3に電流が流れなくなり、抵抗素子R3による電圧降下が得られなくなるため、PMOSトランジスタP2のゲート−ソース間電圧Vgs=0Vになる。これにより、PMOSトランジスタP2がオフ状態になり、電池セルCELL2の放電が終了する。
以上説明したように、本実施の形態の電池監視システム30では、第1の実施の形態と同様に、セルバランス回路14の保護回路20の内蔵セルバランス用FET22におけるNMOSトランジスタNをオン状態にすることにより、ダイオードDの順方向電圧及び外付けセルバランス用FET32のPMOSトランジスタPのゲート−ソース間の信号線Lに設けられた抵抗Rによる電圧降下を利用して、PMOSトランジスタPのゲート−ソース間電圧を大きくしてPMOSトランジスタPをオン状態にして、電池セルの正極(高電位)側・負極(低電位)側を短絡させて放電させるように構成されている。
従って、第1の実施の形態と同様に、保護回路20に設けられたセルモニタ端子Vの端子数を増加させることなく、保護回路20の外部に設けられた外付けセルバランス用FET32により各電池セルの放電を行うことができる。
[第3の実施の形態]
上述の第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、内蔵セルバランス用FET22のNMOSトランジスタNをオン状態にさせることにより電池セルの正極(高電位)側から負極(低電位)側に流れる電流による電圧降下を利用して外付けセルバランス用FET12、32のNMOSトランジスタM、PMOSトランジスタPのゲート−ソース間電圧を充分に高くしてNMOSトランジスタM、PMOSトランジスタPをオン状態にして、放電電流を流すことにより電池セルの放電を行っていた。しかしながら、組電池8の各電池セルの電池電圧が低い場合には、内蔵セルバランス用FET22のNMOSトランジスタNをオン状態にさせて電流を流しても、当該電流が小さいため、外付けセルバランス用FET12、32のNMOSトランジスタM、PMOSトランジスタPのゲート−ソース間電圧を閾値Vth以上の高い電圧とすることができないことがある。本実施の形態では、このように電池セルの電池電圧が低い場合でも、外付けセルバランス用FETをオン状態にすることができる電池監視システムについて説明する。
以下、図面を参照して本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施及び第2の実施の形態と略同様の構成、動作については、その旨を記載し、詳細な説明を省略する。
本実施の形態の電池監視システムの概略構成の一例を図5に示す。本実施の形態の電池監視システム40は、第1の実施の形態の電池監視システム10の外付けセルバランス用FET12の変わりに、外付けセルバランス用FET42が設けられている。
外付けセルバランス用FET42は、第1の実施の形態の外付けセルバランス用FET12と比べて最上位の電池セル(CELL3)に対応するセルバランス用FETがPMOSトランジスタP(P3)とした点が異なっている。PMOSトランジスタP3は、ソース端子及びゲート端子が信号線L3に接続され、ドレイン端子が信号線L2に接続されている。
また、PMOSトランジスタP3のソース端子とゲート端子との間の信号線L3には、カソードがPMOSトランジスタP3のソース端子に接続され、アノードが保護回路20(セルモニタ端子V3)に接続されたダイオードD4と、当該ダイオードD4と並列に接続された抵抗素子R4と、が設けられている。すなわち、第1の実施の形態の電池監視システム10と、ダイオードD4のアノード及びカソードが逆向きに接続された状態になっている。
また、本実施の形態の保護回路50は、PMOSトランジスタMP1、MP2、及びNMOSトランジスタMN3をさらに備えるように構成されている。PMOSトランジスタMP1、MP2、及びNMOSトランジスタMN3は、外付けセルバランス用FET42のFETのゲート端子が接続された信号線L(対応する信号線K)に所定の電圧を印加することにより、当該ゲート端子に印加される電圧を調整する機能を有するものである。PMOSトランジスタMP1及びPMOSトランジスタMP2のソース端子は、保護回路50の電源端子VDDに接続されている。PMOSトランジスタMP1のドレイン端子は、セルモニタ端子V0に接続された信号線K0に接続され、PMOSトランジスタMP2のドレイン端子は、セルモニタ端子V1に接続された信号線K1に接続されている。NMOSトランジスタMN3は、ソース端子が保護回路50のGND(グランド)端子に接続され、ドレイン端子が、セルモニタ端子V3に接続された信号線K3に接続されている。また、PMOSトランジスタMP1、MP2、及びNMOSトランジスタMN3のゲート端子は、バランス制御回路56に接続されている。
次に、本実施の形態の電池監視システム40の電池監視動作及び放電動作について説明する。なお、ここでは、具体的一例として、電池セルCELL2の電池電圧が他の電池セル(CELL1、CELL3)に比べて高くなった場合に、電池セルCELL2を放電させて電池電圧を下げる場合の動作について説明する。
図6に、本実施の形態の電池監視システム40の電池監動作及び放電動作の流れの一例のフローチャートを示す。
ステップ300、302、304、306は、第1の実施の形態の電池監視システム10の電池監視動作及び放電動作のステップ100、102、104、106(図2参照)にそれぞれ対応している。保護回路50の電圧監視回路54が、各電池セルそれぞれの電池電圧を検出して監視し、セルバランスがとれていない場合、具体的一例として、電池セルCELL2の電池電圧が他と比べて高いと判断された場合、電池セルCELL2を放電させると決定してバランス制御回路56にその旨を指示する。バランス制御回路26は、当該指示に応じて、NMOSトランジスタN2をオン状態にさせるよう制御信号を出力する。
本実施の形態では、この後さらに、バランス制御回路56は、さらにオンにさせる内蔵セルバランス用FET22に応じて、PMOSトランジスタMP1、PMOSトランジスタMP2、及びNMOSトランジスタMN3のいずれかをオン状態にさせるよう制御信号を出力する(ステップ307)。ここでは、内蔵セルバランス用FET22のNMOSトランジスタN2をオン状態にさせたため、PMOSトランジスタMP2のみをオン状態にさせるための制御信号を出力する。
次のステップ308は、第1の実施の形態のステップ108に対応し、NMOSトランジスタN2がオン状態になることにより、電池セルCELL2の正極(高電位)側から抵抗素子R3、ダイオードD3、セルモニタ端子V2、NMOSトランジスタN2、セルモニタ端子V1、及び抵抗素子R2を介して、電池セルCELL2の負極(低電位)側に電流が流れ込む電流経路が確立される。
本実施の形態では、上記ステップ307の動作により、この後さらに、上記ステップ307でオン状態にしたFETが接続されている信号線K、セルモニタ端子V(信号線L)に電源電圧VDDまたはGNDを印加する。ここでは、PMOSトランジスタMP2がオン状態になったため、信号線K1、セルモニタ端子V1に電源電圧VDDが印加される。
この際、抵抗素子R3とダイオードD3に流れる電流による電圧降下は、ダイオードD3の順方向電圧(一般的には、約0.7V)にクランプされるため、セルモニタ端子V2の電圧は、電池セルCELL2の正極(高電位)側の電圧から、順方向電圧(0.7V)だけ、低い電圧となる。一方、セルモニタ端子V1から抵抗素子R2を介して、電池セルCELL2の負極へと流れ込む電流により、抵抗素子R2に電圧降下が発生するが、NMOSトランジスタMN2のゲート端子が接続されている信号線L1(セルモニタ端子V1)には、電源電圧VDDが印加されているため、セルモニタ端子V1の電圧は、セルモニタ端子V2+電源電圧VDD(V1=V2+電源電圧VDD=電池セルCELL2の正極(高電位)側の電圧−0.7V+電源電圧VDD)となる。
従って、外付けセルバランス用FET12のNMOSトランジスタM2のゲート端子には、セルモニタ端子V1の電圧(電池セルCELL2の正極(高電位)側の電圧−0.7V+電源電圧VDD)が印加され、ソース端子には電池セルCELL2の負極(低電位)側の電圧が印加されることになる。
これにより、電池セルCELL2の正極(高電位)側の電圧が小さい場合であっても、NMOSトランジスタM2のゲート−ソース間電圧VgsがNMOSトランジスタM2の閾値電圧Vth以上の充分に大きな電圧となる(図6:ステップ310、第1の実施の形態のステップ110に対応)ため、NMOSトランジスタM2がオン状態になる(図6:ステップ312、第1の実施の形態のステップ112に対応)。
この後のステップ314、316は、第1の実施の形態のステップ314、316にそれぞれ対応している。電池セルCELL2の正極(高電位)側と負極(低電位)側とが短絡して大きな電流が流れ、電池セルCELL2のみ放電電流が流れて、放電が開始される。これにより、電池セルCELL2の電池電圧が低下するため、他の電池セル(CELL1、CELL3)と電池電圧のバランスをとることができる。
なお、上記では、電池セルCELL2の正極(高電位)側の電圧が小さい場合であっても、NMOSトランジスタM2のゲート−ソース間電圧VgsをNMOSトランジスタM2の閾値電圧Vth以上の充分に大きな電圧とするために、NMOSトランジスタM2のゲート端子が接続された信号線L1(セルモニタ端子V1)に電源電圧VDDが印加されるようにしているが、組電池8の最上位の電池セルである電池セルCELL3においては、同様に、電源電圧VDDを印加しても外付けセルバランス用FET42のFETがNMOSトランジスタである場合(第1の実施の形態と同様の場合であり、ゲート端子が信号線L2に接続されている場合)はオン状態にすることができない。電源電圧VDDは、電池セルCELL3の正極(高電位)側に接続されているため、電池セルCELL3の電池電圧が低い場合(正極(高電位)側の電圧−負極(低電位)側が小さい場合)、電源電圧VDDをセルモニタ端子V2に印加したとしても、ゲート-ソース間電圧Vgsを閾値Vth以上の充分に大きな値とすることができない。そのため、本実施の形態では、最上位の電池セルCELL3に対応する外付けセルバランス用FET42は、上述のように、PMOSトランジスタP3としている。
電池セルCELL3を放電させる場合は、保護回路50の内蔵セルバランス用FET22のNMOSトランジスタN3をオン状態にし、さらにNMOSトランジスタMN3をオン状態にして、信号線K3を介してセルモニタ端子V3にGNDを印加する(セルモニタ端子V3の電位をGNDに引き下げる)。これにより、PMOSトランジスタP3のソース端子には、電池セルCELL3の正極(高電位)側の電圧が印加され、ゲート端子には、GNDに引き下げられたセルモニタ端子V3の電圧が印加されるため、ゲート−ソース間電圧Vgs閾値Vth以上の充分に大きな値とすることができ、PMOSトランジスタP3をオン状態にすることができる。
次に、本実施の形態の電池監視システム40の放電終了動作について説明するが、放電終了動作は、保護回路50のオン状態になっているPMOSトランジスタMP1、PMOSトランジスタMP2、及びNMOSトランジスタMN3をオフ状態にする他は、第1の実施の形態(図3参照)及び第2の実施の形態における動作の流れと略同様であるため、詳細な説明は省略する。また第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様に、具体的一例として、電池セルCELL2を放電させている場合について説明する。
放電を終了させる場合は、その旨を電圧監視回路54からバランス制御回路56に指示し、バランス制御回路56から出力された制御信号により、内蔵セルバランス用FET22のNMOSトランジスタN2がオフ状態になり、上述した電流経路が遮断される。
また、本実施の形態では、オン状態になっているPMOSトランジスタMP2にバランス制御回路56から制御信号を出力して、オフ状態にする。
電流経路が遮断されると共に、セルモニタ端子V1への電源電圧VDDの印加が無くなるため、NMOSトランジスタM2のゲート−ソース間電圧Vgs=0Vになる。これにより、NMOSトランジスタM2がオフ状態になり、電池セルCELL2の放電が終了する。
以上説明したように、本実施の形態の電池監視システム40では、外付けセルバランス用FET42と、セルバランス回路44と、を備えて構成されている。また、セルバランス回路44の保護回路50は、組電池8の各電池セルの正極(高電位)側・負極(低電位)側に接続された信号線Lが接続されるセルモニタ端子Vと、内蔵セルバランス用FET22と、PMOSトランジスタMP1と、PMOSトランジスタMP2と、NMOSトランジスタMN3と、電圧監視回路54と、バランス制御回路56と、を備えて構成されている。内蔵セルバランス用FET22は、各電池セル毎に設けられたNMOSトランジスタNにより構成されている。また、外付けセルバランス用FET42は、組電池8の各電池セル毎に設けられ、最上位の電池セルに対しては、ソース端子が各電池セルの正極(高電位)側の信号線Lに接続され、ドレイン端子が各電池セルの負極(低電位)側の信号線Lに接続され、かつゲート端子がソース端子と保護回路20のセルモニタ端子Vとの間の信号線Lに接続されたPMOSトランジスタPにより構成されている。また、その他の各電池セルに対しては、ドレイン端子が各電池セルの正極(高電位)側の信号線Lに接続され、ソース端子が各電池セルの負極(低電位)側の信号線Lに接続され、かつゲート端子がソース端子と保護回路20のセルモニタ端子Vとの間の信号線Lに接続されたNMOSトランジスタMにより構成されている。さらに、外付けセルバランス用FET52のソース端子の接続点とゲート端子の接続点との間の信号線Lには、ダイオードDと、当該ダイオードDに並列に接続された抵抗素子Rと、が設けられている。
電池セルの放電動作は、電圧監視回路54が各電池セルの電池電圧を検出し、他の電池セルに比べて電池電圧が高い電池セルの放電をバランス制御回路56に指示し、当該指示に基づいてバランス制御回路56から出力された制御信号により、放電させる電池セルに対応する内蔵セルバランス用FET22のNMOSトランジスタMがオン状態になる。さらに、これに対応するPMOSトランジスタMP1、PMOSトランジスタMP2、及びNMOSトランジスタMN3のいずれかがオン状態になる。電池セルの正極(高電位)側から抵抗素子R、ダイオードD、セルモニタ端子V、NMOSトランジスタN、セルモニタ端子V、及び抵抗素子Rを介して、電池セルの負極(低電位)側に電流が流れ込む電流経路が確立されると共に、セルモニタ端子Vに電源電圧VDDまたは、GNDが印加される。外付けセルバランス用FET52の最上位の電池セルに対応するPMOSトランジスタPでは、ゲート端子にGND電位により引き下げられた電圧が印加され、ソース端子に正極(高電位)側の電圧が印加される。また、その他の電池セルに対応するNMOSトランジスタMでは、ゲート端子に正極(高電位)側の信号線Lが接続されるセルモニタ端子Vに電源電圧VDDが印加された電圧が印加され、ソース端子に電池セルの負極(低電位)側の電圧が印加される。従って、外付けセルバランス用FET42では、ゲート−ソース間電圧Vgsが閾値電圧Vth以上の充分に大きな電圧となり、オン状態になる。これにより、電池セルの正極(高電位)側と負極(低電位)側とが短絡して大きな放電電流が流れて、放電が開始される。
すなわち、本実施の形態の電池監視システム40では、組電池8の電池セルの電池電圧が低い場合であっても、セルバランス回路44の保護回路50の内蔵セルバランス用FET22におけるNMOSトランジスタNをオン状態にし、かつ対応するPMOSトランジスタMP1、PMOSトランジスタMP2、及びNMOSトランジスタMN3をオン状態にすることにより所定の電圧を放電させたい電池セルに対応する外付けセルバランス用FET42のゲート端子が接続されているセルモニタ端子Vに所定の電圧(電源電圧VDDまたはGND)を印加させることにより、外付けセルバランス用FET42のゲート−ソース間電圧を大きくしてオン状態にすることができ、電池セルの正極(高電位)側及び負極(低電位)側を短絡させるため、大きな放電電流を流して電池セルの放電を行うことができる。
このように本実施の形態の電池監視システム40では、電池セルの電池電圧が低い場合であっても、外付けセルバランス用FET42により電池セルの正極(高電位)側及び負極(低電位)側を短絡させて放電を行っているため、放電電流を大きくすることができる。また、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様に、保護回路50の端子数が増加することを防止できる。
従って、電池セルの電池電圧が低い場合であっても、保護回路50に設けられたセルモニタ端子Vの端子数を増加させることなく、保護回路50の外部に設けられた外付けセルバランス用FET42により各電池セルの放電を行うことができる。
また、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様に、放電電流を大きくすることができるため、電池セルのバランスが取れるまで長い時間を要することがなく、保護回路50(セルバランス回路44)が搭載される基板の実装面積が大きくなるのを抑制して、低価格な電池監視システム40を実現することができる。
なお、上述したように本実施の形態では、外付けセルバランス用FET42のゲート−ソース間電圧Vgsを閾値Vth以上の充分な電圧とするために、最上位の電池セルを放電させる場合には、GNDを印加し、その他の電池セルを放電させる場合は、電源電圧VDDを印加するように構成しているが、これに限らず、電源電圧VDDよりも電圧を印加させるためのスイッチング素子(FET)を保護回路50が備えるようにしてもよい。例えば、セルバランス回路44に別途設けられた電源回路や、セルバランス回路44の外部に設けられた電源から電源電圧VDDよりも高い電圧が供給されるようにしてもよい。なお、このような場合において、外付けセルバランス用FET52の閾値電圧Vthを考慮して充分に高い電圧が供給される場合は、最上位の電池セルに対応する外付けセルバランス用FET42及びダイオードD(図5では、PMOSトランジスタP3及びダイオードD4)を他の電池セルに対応する物と同様(第1の実施の形態と同様)とすることができる。
[第4の実施の形態]
以下、図面を参照して本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態、第2の実施の形態、及び第3の実施の形態と略同様の構成、動作については、その旨を記載し、詳細な説明を省略する。
本実施の形態の電池監視システムの概略構成の一例を図7に示す。本実施の形態の電池監視システム60は、第3の実施の形態の電池監視システム40の外付けセルバランス用FET42の変わりに、外付けセルバランス用FET62が設けられている。本実施の形態の電池監視システム60は、第2の実施の形態が第1の実施の形態の外付けセルバランス用FET12がNMOSトランジスタMであったものをPMOSトランジスタPに変えたように、第3の実施の形態の外付けセルバランス用FET42と、FETの導電型が逆である外付けセルバランス用FET62を備えた場合を示している。
本実施の形態の外付けセルバランス用FET62は、最下位の電池セル(CELL1)に対応するセルバランス用FETがNMOSトランジスタM(M1)となっており、その他の電池セルに対応するセルバランス用FETがPMOSトランジスタP(P2、P3)となっている。NMOSトランジスタM1は、ソース端子及びゲート端子が信号線L0に接続され、ドレイン端子が信号線L1に接続されている。
また、最下位の電池セル(CELL1)に接続されるダイオードD1、D2は、アノードが外付けセルバランス用FET62側に、カソードが保護回路70(セルモニタ端子V)側に接続されており、その他の電池セルに対応するダイオードD3、D4は、カソードが外付けセルバランス用FET62側に、アノードが保護回路70(セルモニタ端子V)側に接続されている。
また、本実施の形態の保護回路70は、PMOSトランジスタMP1、NMOSトランジスタMN2、及びNMOSトランジスタMN3を備えるように構成されている。PMOSトランジスタMP1、及びNMOSトランジスタMN2、MN3は、外付けセルバランス用FET62のFETのゲート端子が接続された信号線L(対応する信号線K)に所定の電圧を印加することにより、当該ゲート端子に印加される電圧を調整する機能を有するものである。PMOSトランジスタMP1のソース端子は、保護回路70の電源端子VDDに接続されている。PMOSトランジスタMP1のドレイン端子は、セルモニタ端子V0に接続された信号線K0に接続されている。NMOSトランジスタMN2及びNMOSトランジスタMN3は、ソース端子が保護回路70のGND(グランド)端子に接続されている。NMOSトランジスタMN2のドレイン端子は、セルモニタ端子V2に接続された信号線K2に接続されており、NMOSトランジスタMN3のドレイン端子は、セルモニタ端子V3に接続された信号線K3に接続されている。また、PMOSトランジスタMP1、及びNMOSトランジスタMN2、MN3のゲート端子は、バランス制御回路76に接続されている。
次に、本実施の形態の電池監視システム60の電池監視動作及び放電動作について説明する。なお、これらの動作の流れは第3の実施の形態における各動作の流れ(図6参照)と略同様であるため、詳細な説明は省略する。また第3の実施の形態と同様に、具体的一例として、電池セルCELL2の電池電圧が他の電池セル(CELL1、CELL3)に比べて電圧が高くなった場合に、電池セルCELL2を放電させて電池電圧を下げる場合の動作について説明する。
保護回路70の電圧監視回路74が、各電池セルそれぞれの電池電圧を検出して監視し、セルバランスがとれていない場合、具体的一例として、電池セルCELL2の電池電圧が他と比べて高いと判断された場合、電池セルCELL2を放電させると決定してバランス制御回路76にその旨を指示する。バランス制御回路76は、当該指示に応じて、NMOSトランジスタN2をオン状態にさせるよう制御信号を出力する。
バランス制御回路76は、さらにオンにさせる内蔵セルバランス用FET22に応じて、PMOSトランジスタMP1、及びNMOSトランジスタMN2、MN3のいずれかをオン状態にさせるよう制御信号を出力する(NMOSトランジスタMN2をオン状態にさせるための制御信号を出力する)。
電池セルCELL2の正極(高電位)側から抵抗素子R3、ダイオードD3、セルモニタ端子V2、NMOSトランジスタN2、セルモニタ端子V1、及び抵抗素子R2を介して、電池セルCELL2の負極(低電位)側に電流が流れ込む電流経路が確立される。さらに、信号線K2、セルモニタ端子V2にGNDが印加される。
セルモニタ端子V2には、GND電位が印加されており、外付けセルバランス用FET62のPMOSトランジスタP2では、ゲート端子にセルモニタ端子V2の電位が印加され、ソース端子には、電池セルCELL2の正極(高電位)側の電圧が印加されるため、電池セルCELL2の正極(高電位)側の電圧が小さい場合であっても、PMOSトランジスタP2のゲート−ソース間電圧VgsがPMOSトランジスタP2の閾値電圧Vth以上の充分に大きな電圧となり、PMOSトランジスタP2がオン状態になる。
これにより、電池セルCELL2の正極(高電位)側と負極(低電位)側とが短絡して大きな電流が流れ、電池セルCELL2のみ放電電流が流れて、放電が開始される。これにより、電池セルCELL2の電池電圧が低下するため、他の電池セル(CELL1、CELL3)と電池電圧のバランスをとることができる。
なお、上記では、電池セルCELL2の正極(高電位)側の電圧が小さい場合であっても、PMOSトランジスタP2のゲート−ソース間電圧VgsをPMOSトランジスタP2の閾値電圧Vth以上の充分に大きな電圧とするために、PMOSトランジスタP2のゲート端子が接続された信号線L2(セルモニタ端子V2)にGNDが印加されるようにしているが、組電池8の最下位の電池セルである電池セルCELL1においては、同様に、GNDを印加しても外付けセルバランス用FET62のFETがPMOSトランジスタである場合(第2の実施の形態と同様の場合であり、ゲート端子が信号線L1に接続されている場合)はオン状態にすることができない。GNDは、電池セルCELL1の負極(低電位)側に接続されているため、電池セルCELL1の電池電圧が低い場合(正極(高電位)側の電圧−負極(低電位)側が小さい場合)、GNDをセルモニタ端子V0に印加したとしても、ゲート-ソース間電圧Vgsを閾値Vth以上の充分に大きな値とすることができない。そのため、本実施の形態では、最下位の電池セルCELL1に対応する外付けセルバランス用FET62は、上述のように、NMOSトランジスタM1としている。
電池セルCELL1を放電させる場合は、保護回路70の内蔵セルバランス用FET22のNMOSトランジスタN1をオン状態にし、さらにPMOSトランジスタMP1をオン状態にして、信号線K0を介してセルモニタ端子V0に電源電圧VDDを印加する。これにより、NMOSトランジスタM1のソース端子には、電池セルCELL1の負極(低電位)側の電圧が印加され、ゲート端子には、電源電圧VDDが印加されたセルモニタ端子V0の電圧が印加されるため、ゲート−ソース間電圧Vgs閾値Vth以上の充分に大きな値とすることができ、NMOSトランジスタM1をオン状態にすることができる。
次に、本実施の形態の電池監視システム60の放電終了動作について説明するが、放電終了動作は、第3の実施の形態における動作の流れと略同様であるため、詳細な説明は省略する。また同様に、具体的一例として、電池セルCELL2を放電させている場合について説明する。
放電を終了させる場合は、その旨を電圧監視回路74からバランス制御回路76に指示し、バランス制御回路76から出力された制御信号により、内蔵セルバランス用FET22のNMOSトランジスタN2がオフ状態になり、上述した電流経路が遮断されると共に、NMOSトランジスタMN2にバランス制御回路76から制御信号を出力して、オフ状態にする。
電流経路が遮断されると共に、セルモニタ端子V2への電源電圧VDDの印加が無くなるため、PMOSトランジスタP2のゲート−ソース間電圧Vgs=0Vになり、PMOSトランジスタP2がオフ状態になり、電池セルCELL2の放電が終了する。
以上説明したように、本実施の形態の電池監視システム60では、第3の実施の形態と同様に、組電池8の電池セルの電池電圧が低い場合であっても、セルバランス回路64の保護回路70の内蔵セルバランス用FET22におけるNMOSトランジスタNをオン状態にし、かつ対応するPMOSトランジスタMP1、及びNMOSトランジスタMN2、MN3をオン状態にすることにより所定の電圧を放電させたい電池セルに対応する外付けセルバランス用FET62のゲート端子が接続されているセルモニタ端子Vに所定の電圧(電源電圧VDDまたはGND)を印加させることにより、外付けセルバランス用FET62のゲート−ソース間電圧を大きくしてオン状態にすることができ、電池セルの正極(高電位)側及び負極(低電位)側を短絡させるため、大きな放電電流を流して電池セルの放電を行うことができるように構成されている。
従って、第3の実施の形態と同様に、電池セルの電池電圧が低い場合であっても、保護回路20に設けられたセルモニタ端子Vの端子数を増加させることなく、保護回路20の外部に設けられた外付けセルバランス用FET32により各電池セルの放電を行うことができる。また同様に、放電電流を大きくすることができるため、電池セルのバランスが取れるまで長い時間を要することがなく、保護回路70(セルバランス回路64)が搭載される基板の実装面積が大きくなるのを抑制して、低価格な電池監視システム60を実現することができる。
なお、上述したように本実施の形態では、外付けセルバランス用FET62のゲート−ソース間電圧Vgsを閾値Vth以上の充分な電圧とするために、最下位の電池セルを放電させる場合には、電源電圧VDDを印加し、その他の電池セルを放電させる場合は、GNDを印加するように構成しているが、これに限らない。例えば、最下位の電池セルの負極(低電位)側の電圧がGNDではなく、GNDよりも大きい場合は、全てのセルモニタ端子Vに対して、GNDを印加させるように構成してもよい。なお、このような場合において、外付けセルバランス用FET62の閾値電圧Vthを考慮してGNDが充分に低い場合は、最下位の電池セルに対応する外付けセルバランス用FET62及びダイオードD(図7では、NMOSトランジスタM1及びダイオードD1、D2)を他の電池セルに対応する物と同様(第2の実施の形態と同様)とすることができる。
なお、第1の実施の形態〜第4の実施の形態では、外付けセルバランス用FET及び内蔵セルバランス用FET、さらに第3の実施の形態及び第4の実施の形態では、所定の電圧(電源電圧VDD、GND)をセルモニタ端子Vに印加させるために保護回路に設けられたスイッチング素子としてNMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタを用いているがこれに限らず、例えば、NMOSトランジスタをNPNトランジスタ、PMOSトランジスタをPNPトランジスタとしてもよい。なお、製造コストの観点からは、NMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタを用いることが好ましい。
また、第3の実施の形態及び第4の実施の形態は、組電池8の電池セルの電池電圧が低くでも外付けセルバランス用FETのゲート−ソース間電圧Vgsを閾値Vth以上の充分に高い電圧とするために、所定の電圧(電源電圧VDD、GND)を印加させているため、保護回路の電圧監視回路で各電池セルの電池電圧を検出した結果、所定の電圧以下であると判断した場合にのみ、上述のように所定の電圧を印加するようにしてもよいし、電池セルの電圧の大小にかかわらず、所定の電圧を印加するように構成してもよい。
また、第1の実施の形態〜第4の実施の形態で説明した、電池監視システム、セルバランス回路、保護回路の構成や動作、ダイオードD、抵抗素子R等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更されることは言うまでもない。